IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用ルーフ 図1
  • 特許-車両用ルーフ 図2
  • 特許-車両用ルーフ 図3
  • 特許-車両用ルーフ 図4
  • 特許-車両用ルーフ 図5
  • 特許-車両用ルーフ 図6
  • 特許-車両用ルーフ 図7
  • 特許-車両用ルーフ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】車両用ルーフ
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20241224BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B62D25/06 A
B32B15/08 101A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021205301
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023090370
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】松岡 伴秋
(72)【発明者】
【氏名】都築 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 展代
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-085430(JP,A)
【文献】特開平02-037092(JP,A)
【文献】特開2011-137145(JP,A)
【文献】特開昭59-143095(JP,A)
【文献】特開2018-154252(JP,A)
【文献】特開2015-202686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0217783(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015201941(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ルーフであって、
鋼板と、前記鋼板の車室側表面を被覆した第1の樹脂層とを備える樹脂被覆鋼板と、
前記樹脂被覆鋼板の車室側表面に設けられた制振材と、を備え、
前記樹脂被覆鋼板は、前記鋼板が電着塗装された場合、周囲より前記電着塗装による塗膜の厚みの薄い薄層領域を含み、
前記制振材は、前記樹脂被覆鋼板の車室側表面の前記薄層領域に設けられている、
車両用ルーフ。
【請求項2】
前記樹脂被覆鋼板の前記車室側表面において設けられたフレームをさらに備え、
前記フレームは、第2の樹脂層に被覆されており、
前記第1の樹脂層は、前記第2の樹脂層と比較して厚い、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ルーフ。
【請求項3】
前記樹脂被覆鋼板の前記車室側表面において設けられたフレームをさらに備え、
前記フレームは、樹脂層に被覆されていない、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ルーフ。
【請求項4】
前記樹脂被覆鋼板は、前鋼板の車両外側表面を覆う第3の樹脂層をさらに含み、
前記第1の樹脂層は、前記第3の樹脂層と比較して厚い、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用ルーフ。
【請求項5】
前鋼板の車両外側表面は、樹脂層に被覆されてない、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用ルーフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ルーフに関し、特に樹脂被覆鋼板を用いた車両用ルーフに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂層によって表面が被覆され防錆性能を有する樹脂被覆鋼板を車両に使用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-202686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の課題を発見した。
樹脂被覆鋼板は、通常の鋼板よりも高額であるため、車両において使用する部位を適切に選択する必要がある。ところで、ルーフ用鋼板を有する車体を塗装液に沈めて、電着塗装をすることによって、防錆塗装されたルーフを有する車体を製造することができる。電着塗装の際、ルーフ用鋼板の車室側表面には、空気が溜まったエアポケットが発生する等して、電着塗装による塗膜の厚みが薄くなるおそれがある。そのため、防錆性が確保できず、制振材を、電着塗装による塗膜の厚みが薄い領域に設けることができなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を鑑み、防錆性を確保した車両用ルーフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両用ルーフは、
車両用ルーフであって、
鋼板と、前記鋼板の車室側表面を被覆した第1の樹脂層とを備える樹脂被覆鋼板と、
前記樹脂被覆鋼板の車室側表面に設けられた制振材と、を備え、
前記樹脂被覆鋼板は、前記鋼板が電着塗装された場合、周囲より前記電着塗装による塗膜の厚みの薄い薄層領域を含み、
前記制振材は、前記樹脂被覆鋼板の車室側表面の前記薄層領域に設けられている。
【0007】
このような構成によれば、樹脂層が車両用ルーフの車室側表面における薄層領域を被覆し、薄層領域の防錆性を確保する。そのため、制振材を車両用ルーフの車室側表面における薄層領域に設けることができる。
【0008】
また、前記樹脂被覆鋼板の前記車室側表面において設けられたフレームをさらに備え、
前記フレームは、第2の樹脂層に被覆されており、
前記第1の樹脂層は、前記第2の樹脂層と比較して、厚いことを特徴としてもよい。
【0009】
このような構成によれば、第1の樹脂層は、鋼板の車室側表面を被覆し、かつ、第2の樹脂層と比較して厚い。そのため、鋼板の車室側表面の防錆性を高める。さらに、第2の樹脂層は、第1の樹脂層と比較して薄い。よって、フレームにおける樹脂層の使用量を抑制し、コスト低減を図ることができる。
【0010】
また、前記樹脂被覆鋼板の前記車室側表面において設けられたフレームをさらに備え、
前記フレームは、樹脂層に被覆されていないことを特徴としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、フレームが樹脂層に被覆されていないことから、フレームにおける樹脂層の使用量が0(零)であり、さらなるコスト低減を図ることができる。
【0012】
また、前記樹脂被覆鋼板は、前鋼板の車両外側表面を覆う第3の樹脂層をさらに含み、
前記第1の樹脂層は、前記第3の樹脂層と比較して厚いことを特徴としてもよい。
【0013】
このような構成によれば、第1の樹脂層は、第3の樹脂層と比較して厚いことから、鋼板の車室側表面の防錆性を高める。また、第3の樹脂層が鋼板の車両外側表面に被覆して、鋼板の車両外側表面の防錆性を高める。また、第3の樹脂層は、第1の樹脂層と比較して薄いことから、鋼板の車両外側表面における樹脂層の使用量を抑制し、コスト低減を図ることができる。
【0014】
また、前鋼板の車両外側表面は、樹脂層に被覆されてないことを特徴としてもよい。
【0015】
このような構成によれば、鋼板の車両外側表面が樹脂層に被覆されていないことから、鋼板の車両外側表面における樹脂層の使用量が0(零)であり、さらなるコスト低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、防錆性を確保した車両用ルーフを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1に係る車両用ルーフの一例を示す底面図である。
図2】実施の形態1に係る車両用ルーフの一例の要部の断面図である。
図3】実施の形態1に係る車両用ルーフの一具体例の要部の断面図である。
図4】実施の形態1に係る車両用ルーフの第1の変形例を示す底面図である。
図5】実施の形態1に係る車両用ルーフの第1の変形例の要部の断面図である。
図6】実施の形態1に係る車両用ルーフの第2の変形例の要部の断面図である。
図7】実施の形態1に係る車両用ルーフの第3の変形例の要部の断面図である。
図8】関連する技術に係る車両用ルーフの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(関連する技術)
実施の形態の説明に先立って、関連する技術に係る車両用ルーフ900について説明する。図8に示す車両用ルーフ900において、制振材920が塗膜811を介して鋼板810の車室側表面に圧着されている。塗膜811は、電着塗装によって鋼板810の車室側表面に生成されたものである。しかし、制振材920が、上向きに貼り付ける作業の難しさなどから、塗膜811を介して鋼板810の車室側表面に完全に圧着されておらず、制振材920の端部920aが塗膜811から剥がれる場合があり得る。このような場合、そこへ、結露水W1bが鋼板810の車室側表面と伝って、制振材920の端部920aに到達する。すると、結露水W1bが制振材920の端部920aと鋼板810との間に保持される。従って、錆が進行し易くなり、防錆性が確保できなくなることがある。
【0019】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0020】
(実施の形態1)
図1図3を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1に係る車両用ルーフの一例を示す底面図である。図2は、図1に示す車両用ルーフの一例の要部の断面を示す断面図である。図3は、図1に示す車両用ルーフの一具体例の要部の断面を示す断面図である。
【0021】
なお、当然のことながら、図1及びその他の図面に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸プラス向き(UPR)が鉛直上向き、かつ、車室外側であり、z軸マイナス向き(DWN)が鉛直下向き、かつ、車室内側である。また、x軸マイナス向き(FR)が車室前方であり、x軸プラス向き(RR)が車室後方である。また、y軸マイナス向き(LT)が車室左方向であり、y軸プラス向き(RT)が車室右方向である。また、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0022】
図1に示すように、車両用ルーフ100は、樹脂被覆鋼板10と、制振材20とを備える。
【0023】
樹脂被覆鋼板10は、鋼板11と、第1の樹脂層12とを備える。
【0024】
鋼板11は、車両用ルーフ形状を有する。当該車両用ルーフ形状は、例えば、全領域、又は一領域が車室外側に張り出した形状や、パゴダルーフと同じ形状等がある。パゴダルーフの一例は、車両前方から視ると、中央部が車室内側に張り出し、かつ、両端部が車室外側に張り出した形状である。鋼板11は、車両用ルーフとして必要な機械的性質を有する。具体的には、鋼板11は、普通鋼、又は、クロム等の添加元素含有鋼からなるとよい。また、鋼板11の表面にはめっき皮膜が設けられていてもよい。鋼板11の表面のめっき皮膜の種類は特に限定されない。適用可能なめっき皮膜としては、例えば、亜鉛、アルミニウム、コバルト、錫、ニッケルのうちのいずれか1種を含むめっき、及び、これらの金属元素やさらに他の金属元素、非金属元素を含む合金めっき等が挙げられる。また、用途に応じ、金属板の両面、片面のみ、表面の一部、又は全面が塗膜で被覆されていてもよい。
【0025】
樹脂被覆鋼板10は、薄層領域10aを含む。薄層領域10aは、鋼板11が電着塗装された場合、周囲10bより電着塗装による塗膜の厚みの薄い領域である。薄層領域10aの厚みは、連続的に変化してもよい。例えば、薄層領域10aの厚みは、薄層領域10aと周囲10bとの境界から薄層領域10aの中央に向かうにつれて、徐々に薄くなるように連続的に変化してもよい。薄層領域10aは、鋼板11を電着塗装することによって経験的に特定してもよい。具体的には、薄層領域10aは、電着塗装した場合、鋼板11の車室側表面には、空気が溜まったエアポケットが発生する領域である。より具体的には、図3に示すように、薄層領域10aは、周囲10bより車室外側に張り出した凸領域である。
【0026】
図2に示すように、第1の樹脂層12は、鋼板11の車室側表面を被覆している。第1の樹脂層12は、樹脂を含み、鋼板11と比較して高い防錆性を有する。これらによって、第1の樹脂層12は、鋼板11の防錆性を高める。このような樹脂は、例えば、水系塗装用組成物、有機溶剤系塗装用組成物などの有機樹脂である。第1の樹脂層12の鋼板11への密着性や耐食性等を更に改善する目的で、第1の樹脂層12と鋼板11の表面との間に下地処理皮膜を設けてもよい。このように下地処理皮膜を設ける場合、その下地処理皮膜の層の数、組成は限定されない。第1の樹脂層12は、さらに顔料を含んでもよい。このような顔料は、例えば、防錆顔料や導電性顔料である。防錆顔料の種類、及び導電性顔料の種類は、特に限定されないが、防錆顔料は、例えば、珪酸塩化合物、燐酸塩化合物、バナジン酸塩化合物、および金属酸化物微粒子から選ばれる1種以上を含むと好ましい。また、導電性顔料は、例えば、金属、合金、導電性炭素、燐化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上を含むと好ましい。
【0027】
なお、樹脂被覆鋼板10は、電着塗膜層、中塗り塗膜層、及び上塗り塗膜層の少なくとも1層を備えてもよい。このような電着塗膜層、中塗り塗膜層、及び上塗り塗膜層の少なくとも1層は、第1の樹脂層12の少なくとも一部を被覆する。
【0028】
制振材20は、鋼板11の車室側表面における薄層領域10aに設けられている。制振材20は、薄層領域10aの全てを覆ってもよいし、薄層領域10aの一部を覆ってもよい。制振材20は、振動又は騒音を抑制するものであればよい。
【0029】
以上、車両用ルーフ100の構成によれば、第1の樹脂層12が車両用ルーフ100の車室側表面における薄層領域10aを被覆し、薄層領域10aの防錆性を確保する。そのため、制振材20を車両用ルーフ100の車室側表面における薄層領域10aに設けることができる。
【0030】
また、図8に示す車両用ルーフ900と同様に、制振材20が、上向きに貼り付ける作業の難しさなどから、鋼板11の車室側表面に完全に圧着されておらず、制振材20の端部20aが鋼板11から剥がれる場合がある。このような場合であっても、そこへ、結露水が鋼板11の車室側表面と伝って、制振材20の端部20aに到達する。すると、結露水が制振材20の端部20aと鋼板11との間に保持される。しかし、車両用ルーフ100の構成によれば、第1の樹脂層12が車両用ルーフ100の車室側表面における薄層領域10aを被覆していることから、水分から鋼板11を保護する。そのため、制振材20の貼り付け作業の難しさによる端部20aの剥離が生じても、薄層領域10aの防錆性を確保することができる。
【0031】
次に、車両用ルーフ100の製造方法の一例について説明する。まず、塗膜を鋼板11の車両内側表面上に塗布して、第1の樹脂層12を鋼板11に形成する。続いて、この第1の樹脂層12の形成された鋼板11を、車両用ルーフ100の形状に加工する、又は成形する。さらに、この加工された、又は成形された鋼板11の車室側表面における薄層領域10aに、制振材20を設ける。以上より、車両用ルーフ100を製造することができる。適宜、さらに、電着塗装、中塗塗装、及び上塗塗装の少なくとも1つを、この加工され、又は成形された鋼板11に施してもよい。
【0032】
(第1の変形例)
図4及び図5に示す車両用ルーフ100aは、図1に示す車両用ルーフ100の一変形例である。図4は、図1に示す車両用ルーフ100の第1の変形例を示す底面図である。図5は、図4に示す第1の変形例の要部の断面図である。車両用ルーフ100aは、フレーム30を除いて、車両用ルーフ100と同じ構成を備える。
【0033】
図4に示すように、車両用ルーフ100aは、フレーム30を備える。フレーム30は、制振材20を介して樹脂被覆鋼板10の車室側表面において設けられている。フレーム30は、樹脂被覆鋼板10を補強する。フレーム30の形状は、特に限定されないが、多種多様な形状を有する。図4に示すフレーム30の一例は、略梯子状に延びる部材である。
【0034】
図5に示すように、フレーム30は、フレーム本体31と、第2の樹脂層32とを備える。フレーム本体31は、樹脂被覆鋼板10を補強するために必要な機械的強度を有する。第2の樹脂層32は、フレーム本体31を被覆する。具体的には、第2の樹脂層32は、少なくともフレーム本体31の樹脂被覆鋼板10側表面を被覆する。第2の樹脂層32は、第1の樹脂層12と同様に、樹脂を含み、鋼板11と比較して高い防錆性を有する。
【0035】
第1の樹脂層12は、第2の樹脂層32と比較して、厚い。言い換えると、第1の樹脂層12の厚みt12は、第2の樹脂層32の厚みt31と比較して大きい。
【0036】
以上より、車両用ルーフ100aの構成によれば、第1の樹脂層12は、鋼板11の車室側表面を被覆し、かつ、第2の樹脂層32と比較して厚い。そのため、鋼板11の車室側表面の防錆性を高める。さらに、第2の樹脂層32は、第1の樹脂層12と比較して薄いことから、フレーム30における樹脂層の使用量を抑制し、コスト低減を図ることができる。第2の樹脂層32は、フレーム本体31を被覆することから、フレーム30の防錆性を確保することができる。
【0037】
(第2の変形例)
図6に示す車両用ルーフ100bは、図1に示す車両用ルーフ100の一変形例である。図6は、図1に示す車両用ルーフ100の第2の変形例の要部の断面を示す断面図である。車両用ルーフ100bは、フレーム30aを除いて、車両用ルーフ100と同じ構成を備える。
【0038】
図6に示すように、車両用ルーフ100bは、フレーム30aを備える。フレーム30aは、第2の樹脂層32を含まないところを除いて、フレーム30と同じ構成を有する。フレーム30aは、フレーム本体31を備える。フレーム本体31は樹脂層に被覆されない。なお、図5に示す車両用ルーフ100aは、第2の樹脂層32の厚みt31が0(零)である場合、車両用ルーフ100bと同じ構成を有する。
【0039】
以上より、車両用ルーフ100bの構成によれば、フレーム30aが樹脂層に被覆されていないことから、フレーム30aにおける樹脂層の使用量が0(零)であり、さらなるコスト低減を図ることができる。
【0040】
(第3の変形例)
図7に示す車両用ルーフ100cは、図1に示す車両用ルーフ100の一変形例である。図7は、図1に示す車両用ルーフ100の第3の変形例の要部の断面を示す断面図である。車両用ルーフ100cは、第3の樹脂層13を除いて、車両用ルーフ100と同じ構成を備える。
【0041】
図7に示すように、車両用ルーフ100cは、第3の樹脂層13を備え、第3の樹脂層13が、鋼板11の車両外側表面の少なくとも一部を被覆している。第3の樹脂層13は、第1の樹脂層12と同様に、樹脂を含み、鋼板11と比較して高い防錆性を有する。
【0042】
第1の樹脂層12は、第3の樹脂層13と比較して、厚い。言い換えると、第1の樹脂層12の厚みt12は、第3の樹脂層13の厚みt13と比較して大きい。
【0043】
以上より、車両用ルーフ100cの構成によれば、第1の樹脂層12は、鋼板11の車室側表面を被覆し、かつ、第3の樹脂層13と比較して厚い。そのため、鋼板11の車室側表面の防錆性を高める。さらに、第3の樹脂層13が、鋼板11の車両外側表面の少なくとも一部を被覆しているから、鋼板11の車両外側表面の防錆性を確保することができる。第3の樹脂層13が第1の樹脂層12と比較して薄いことから、鋼板11の車両外側表面における樹脂層の使用量を抑制し、コスト低減を図ることができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0045】
100、100a、100b、100c 車両用ルーフ
10 樹脂被覆鋼板
10a 薄層領域 10b 周囲
11 鋼板 12 第1の樹脂層
13 第3の樹脂層
20 制振材
30、30a フレーム
31 フレーム本体 32 第2の樹脂層
t12 第1の樹脂層12の厚み t31 第2の樹脂層32の厚み
t13 第3の樹脂層13の厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8