(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】車両用コンソールボックス
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B60R7/04 C
(21)【出願番号】P 2021209237
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 亮太郎
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-101632(JP,A)
【文献】特開2012-101633(JP,A)
【文献】特開2010-30555(JP,A)
【文献】特開2015-223984(JP,A)
【文献】特開2009-40119(JP,A)
【文献】中国実用新案第210363497(CN,U)
【文献】米国特許第6231098(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口して物品を収納するボックス体と、前記ボックス体の上方開口部に対して開閉可能に設けられたコンソールリッドと、を備えた車両用コンソールボックスであって、
前記コンソールリッドは、アウタ部材とインナ部材によって内外二重構造に形成され、
前記アウタ部材は、
前記インナ部材に対向する下面に、車幅方向に沿って前記インナ部材に向かってリブ状に突出して、車幅方向両端部が前記インナ部材の車幅方向両側縁に対向するように設けられた下面リブ部と、
前記下面リブ部の車幅方向両端から所定長さ車幅方向内側までのそれぞれの下端部から前記インナ部材に向かって所定高さリブ状に突出された一対のリブ凸部と、
を有し、
前記インナ部材は、
前記アウタ部材に対向する上面の一対の前記リブ凸部のそれぞれに対向する位置に設けられて、前記アウタ部材の上方から作用する衝撃荷重によって破断可能な一対の脆弱部を有し、
前記アウタ部材の上方から衝撃荷重が作用した場合には、前記衝撃荷重が一対の前記リブ凸部のうちのいずれかを介して相対向する前記脆弱部に伝達され、前記脆弱部が破断される構成とされている、
車両用コンソールボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用コンソールボックスにおいて、
前記インナ部材は、
前記コンソールリッドの底面部を構成するコア下部材と、
前記コア下部材を覆うように配置されて、前記アウタ部材の下面に対向する平面視矩形状に形成された板状のコア上部材と、
を有し、
一対の前記脆弱部は、前記コア上部材の一対の前記リブ凸部のそれぞれに対向する位置に設けられている、
車両用コンソールボックス。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用コンソールボックスにおいて、
前記コア上部材は、
車幅方向両側縁から全長に亘って下方へ所定長さ延出される一対の縦壁部と、
一対の前記縦壁部から車幅方向外側へ延出される一対のフランジ部と、
を有し、
一対の前記脆弱部のそれぞれは、
車幅方向外側の側縁から相対向する前記リブ凸部の車幅方向内側端部に対向する位置よりも所定長さ車幅方向内側まで前記リブ凸部の下面に対向して車幅方向に延びる第1切欠き溝部と、
前記第1切欠き溝部の車幅方向外側の端部から前記縦壁部に沿って車両前後方向における剛性の高い方へ延びる第2切欠き溝部と、
前記第1切欠き溝部の車幅方向内側の端部から車両前後方向における剛性の高い方に向かって車幅方向斜め内側へ所定長さ延びた後、更に、前記コア上部材の車幅方向外側の前記側縁に沿って車両前後方向における剛性の高い方へ延びる第3切欠き溝部と、
を有し、
前記第1切欠き溝部乃至前記第3切欠き溝部は、車両前後方向おける剛性の高い方に開口する平面視U字状に配置されている、
車両用コンソールボックス。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用コンソールボックスにおいて、
一対の前記脆弱部のそれぞれは、
前記第1切欠き溝部の車幅方向外側の端部から前記縦壁部及び前記フランジ部の相対向する前記リブ凸部の車幅方向外側端部に対向する位置まで前記リブ凸部の下面に対向して車幅方向に沿って延びる第4切欠き溝部を有する、
車両用コンソールボックス。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両用コンソールボックスにおいて、
前記第1切欠き溝部は、
相対向する前記リブ凸部の車幅方向内側端部に対向する位置を含むように車幅方向に沿って形成されたスリット部を有し、
前記スリット部は、前記第1切欠き溝部の上端部の幅で貫通している、
車両用コンソールボックス。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用コンソールボックスにおいて、
前記コア上部材は、
一対の前記脆弱部のそれぞれの前記第1切欠き溝部よりも車両前後方向前側に、車幅方向全幅に亘って設けられた段差部を有し、
前記第2切欠き溝部及び前記第3切欠き溝部は、前記第1切欠き溝部の車幅方向両端部から前記段差部まで延びている、
車両用コンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両(主として自動車)の車室内に配置される運転席と助手席との間に装着される車両用コンソールボックスに関する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載されたリヤコンソールでは、上方に開口して小物を収納する樹脂製ボックスを収容している。ボックスの底壁部および側壁部は、樹脂製表面パネルによって外側方から覆われている。ボックスの開口は、ヒンジ部を介して回動自在に設けられた樹脂製リッドによって開閉されるようになっている。
【0003】
ボックスの底壁部には、下方に突出して車体側のブラケットに当接してボルト締結される当て部と、当て部の車体後方側に位置し、複数の切欠溝部から構成された脆弱部とが設けられている。そして、急ブレーキがかかって後部座席の乗員の頭部がリッドの後方部に上方から衝突すると、その衝撃荷重がヒンジ部からボックスの側壁部を経て、底壁部に形成された脆弱部に伝わることにより該脆弱部が破断して、衝撃荷重が吸収緩和されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたリヤコンソールでは、ボックスの底壁部に脆弱部を形成して、衝撃荷重を吸収緩和する構成になっているが、実使用時の機械的剛性が低下して商品性が悪化する虞がある。また、リッドの後方部に上方から衝撃荷重が作用したときに、衝撃荷重の側壁部及び底壁部への伝達不良が想定され、衝撃荷重の吸収緩和を効率よく行えない虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、実使用時の機械的剛性を確保すると共に、衝撃荷重を効率よく吸収緩和することができる車両用コンソールボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、上方に開口して物品を収納するボックス体と、前記ボックス体の上方開口部に対して開閉可能に設けられたコンソールリッドと、を備えた車両用コンソールボックスであって、前記コンソールリッドは、アウタ部材とインナ部材によって内外二重構造に形成され、前記アウタ部材は、前記インナ部材に対向する下面に、車幅方向に沿って前記インナ部材に向かってリブ状に突出して、車幅方向両端部が前記インナ部材の車幅方向両側縁に対向するように設けられた下面リブ部と、前記下面リブ部の車幅方向両端から所定長さ車幅方向内側までのそれぞれの下端部から前記インナ部材に向かって所定高さリブ状に突出された一対のリブ凸部と、を有し、前記インナ部材は、前記アウタ部材に対向する上面の一対の前記リブ凸部のそれぞれに対向する位置に設けられて、前記アウタ部材の上方から作用する衝撃荷重によって破断可能な一対の脆弱部を有し、前記アウタ部材の上方から衝撃荷重が作用した場合には、前記衝撃荷重が一対の前記リブ凸部のうちのいずれかを介して相対向する前記脆弱部に伝達され、前記脆弱部が破断される構成とされている、車両用コンソールボックスである。
【0008】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る車両用コンソールボックスにおいて、前記インナ部材は、前記コンソールリッドの底面部を構成するコア下部材と、前記コア下部材を覆うように配置されて、前記アウタ部材の下面に対向する平面視矩形状に形成された板状のコア上部材と、を有し、一対の前記脆弱部は、前記コア上部材の一対の前記リブ凸部のそれぞれに対向する位置に設けられている、車両用コンソールボックスである。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る車両用コンソールボックスにおいて、前記コア上部材は、車幅方向両側縁から全長に亘って下方へ所定長さ延出される一対の縦壁部と、一対の前記縦壁部から車幅方向外側へ延出される一対のフランジ部と、を有し、一対の前記脆弱部のそれぞれは、車幅方向外側の側縁から相対向する前記リブ凸部の車幅方向内側端部に対向する位置よりも所定長さ車幅方向内側まで前記リブ凸部の下面に対向して車幅方向に延びる第1切欠き溝部と、前記第1切欠き溝部の車幅方向外側の端部から前記縦壁部に沿って車両前後方向における剛性の高い方へ延びる第2切欠き溝部と、前記第1切欠き溝部の車幅方向内側の端部から車両前後方向における剛性の高い方に向かって車幅方向斜め内側へ所定長さ延びた後、更に、前記コア上部材の車幅方向外側の前記側縁に沿って車両前後方向における剛性の高い方へ延びる第3切欠き溝部と、を有し、前記第1切欠き溝部乃至前記第3切欠き溝部は、車両前後方向おける剛性の高い方に開口する平面視U字状に配置されている、車両用コンソールボックスである。
【0010】
次に、本発明の第4の発明は、上記第3の発明に係る車両用コンソールボックスにおいて、一対の前記脆弱部のそれぞれは、前記第1切欠き溝部の車幅方向外側の端部から前記縦壁部及び前記フランジ部の相対向する前記リブ凸部の車幅方向外側端部に対向する位置まで前記リブ凸部の下面に対向して車幅方向に沿って延びる第4切欠き溝部を有する、車両用コンソールボックスである。
【0011】
次に、本発明の第5の発明は、上記第3の発明又は第4の発明に係る車両用コンソールボックスにおいて、前記第1切欠き溝部は、相対向する前記リブ凸部の車幅方向内側端部に対向する位置を含むように車幅方向に沿って形成されたスリット部を有し、前記スリット部は、前記第1切欠き溝部の上端部の幅で貫通している、車両用コンソールボックスである。
【0012】
次に、本発明の第6の発明は、上記第3の発明乃至第5の発明のいずれか1つに係る車両用コンソールボックスにおいて、前記コア上部材は、一対の前記脆弱部のそれぞれの前記第1切欠き溝部よりも車両前後方向前側に、車幅方向全幅に亘って設けられた段差部を有し、前記第2切欠き溝部及び前記第3切欠き溝部は、前記第1切欠き溝部の車幅方向両端部から前記段差部まで延びている、車両用コンソールボックスである。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、通常時に、コンソールリッドのアウタ部材に静的な荷重が作用した場合には、その静荷重は、アウタ部材及びインナ部材を介して、ボックス体等に伝達される。その結果、通常時には、車両用コンソールボックスの実使用時の機械的剛性を確保することができる。また、コンソールリッドのアウタ部材に上方から衝撃荷重が作用した場合には、衝撃荷重が、アウタ部材の下面に設けられた一対のリブ凸部のうちのいずれかを介して相対向する脆弱部に伝達される。そして、脆弱部が破断されることにより、アウタ部材に作用した衝撃荷重を効率よく吸収緩和することができる。
【0014】
第2の発明によれば、一対の脆弱部は、アウタ部材の下面に対向して配置されたコア上部材の一対のリブ凸部のそれぞれに対向する位置に設けられている。その結果、一対の脆弱部を有するコア上部材は、アウタ部材とコンソールリッドの底面部を構成するコア下部材とによって覆われるため、コンソールリッドの見映えをよくすることができる。
【0015】
第3の発明によれば、アウタ部材の上方から衝撃荷重が作用した場合には、衝撃荷重が一対のリブ凸部のうちのいずれかを介して相対向する脆弱部の第1切欠き溝部に作用すると、第1切欠き溝部が衝撃荷重によって破断される。そして、第1切欠き溝部の車幅方向両端部に接続されて、剛性の高い方に向かって延びる第2切欠き溝部と第3切欠き溝部に、その衝撃荷重が伝達されて、第2切欠き溝部及び第3切欠き溝部が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。従って、コンソールリッドのアウタ部材に作用した衝撃荷重を効率よく吸収緩和することができる。
【0016】
第4の発明によれば、第1切欠き溝部の車幅方向外側の端部から縦壁部及びフランジ部の相対向するリブ凸部の車幅方向外側端部に対向する位置まで、リブ凸部の下面に対向して車幅方向に沿って延びる第4切欠き溝部が設けられている。そして、アウタ部材の上方から衝撃荷重が作用した場合には、第1切欠き溝部の車幅方向外側の端部から車幅方向に沿って延びる第4切欠き溝部に、その衝撃荷重が伝達されて、第4切欠き溝部が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。従って、コンソールリッドのアウタ部材に作用した衝撃荷重を確実に吸収緩和することができる。
【0017】
第5の発明によれば、アウタ部材の上方から衝撃荷重が作用した場合には、リブ凸部の車幅方向内側端部がスリット部に進入して、このスリット部の車幅方向両端部から第1切欠き溝部を確実に破断することができる。その結果、第1切欠き溝部の車幅方向両端部に接続されて、剛性の高い方に向かって延びる第2切欠き溝部と第3切欠き溝部に、その衝撃荷重が伝達されて、第2切欠き溝部及び第3切欠き溝部が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。更に、第4切欠き溝部にも衝撃荷重が伝達されて、第4切欠き溝部が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。従って、コンソールリッドのアウタ部材に作用した衝撃荷重を更に確実に吸収緩和することができる。
【0018】
第6の発明によれば、コア上部材は、車幅方向全幅に亘って設けられた段差部によって、一対の脆弱部のそれぞれの第1切欠き溝部よりも車両前後方向前側の剛性が高められる。そのため、第2切欠き溝部と第3切欠き溝部は、第1切欠き溝部の車幅方向両端部から、段差部まで、つまり、車両前後方向前側へ延びている。これにより、コンソールリッドの車両前後方向後方側の部分に上方から衝撃荷重が作用した場合には、衝撃荷重方向に形成された第2切欠き溝部及び第3切欠き溝部にその衝撃荷重を伝達して、破断させることができる。従って、コンソールリッドのアウタ部材に車両前後方向後方側の上方から作用した衝撃荷重を確実に吸収緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る車両用コンソールボックスを示す斜視図である。
【
図2】
図1のコンソールリッドを開放した状態を示す後方斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III矢視の側断面図である。
【
図5】コンソールリッドのインナ部材を構成するコア上部材を示す斜視図である。
【
図7】コンソールリッドのアウタ部材の下面を示す斜視図である。
【
図9】アウタ部材の左側のリブ凸部とコア上部材の左側の第1切欠き溝部との位置関係を示す説明図である。
【
図10】アウタ部材の上方から衝撃荷重が作用した場合に、左側の脆弱部が破断された一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る車両用コンソールボックスを具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、車両用コンソールボックス1の概略構成について
図1乃至
図3に基づいて説明する。尚、実線矢印によって各図に適宜に示される「前」、「後」は、車両前後方向における前方向、後方向を示し、「右」、「左」は、車両前方側に対して車幅方向における右方向、左方向を示している。「上」、「下」は、車両上下方向における上方向、下方向を示している。
【0021】
図1乃至
図3に示すように、車両(主として自動車)の車室内に配置された運転席と助手席との間に配置される車両用コンソールボックス1は、コンソール本体3と、ボックス体5と、コンソールリッド7と、を備えている。コンソール本体3は、合成樹脂材によって形成され、左右のカップホルダ11、不図示のシフトレバー、不図示のサイドブレーキ等が配設された意匠パネル12と、左右のサイドパネル13(
図1及び
図2において、左側のサイドパネル13を示している。)と、エンドパネル15と、を備えている。エンドパネル15は、左右のサイドパネル13の後端縁に装着されて、左右のサイドパネル13の後端縁を連結している。
【0022】
図2及び
図3に示すように、コンソール本体3内に収納されるボックス体5は、上方に開口して物品を収納する物品収納室17を構成する前後左右の立壁部18及び底板部19とを備えて略箱形状に形成されている。ボックス体5は、その一部の立壁部18の下部外側面が車室のフロアパネル上に配設された不図示の固定ブラケットに対しボルト等の締付け部材によって締結固定されている。
【0023】
ボックス体5の上方に開口する上方開口部21を覆うコンソールリッド7は、下面の左右両側縁部の後部に、下方に向かって円弧状に張り出す左右のアーム23が設けられている。各アーム23の先端には、上方に張り出すレバー25が形成されている。各レバー25の先端には、ヒンジ軸26が挿通され、各アーム23及びレバー25は、エンドパネル15の内側に回動可能に支持されている。
【0024】
従って、コンソールリッド7の後部は、ヒンジ軸26を中心として、各アーム23及びレバー25を介してコンソール本体3に対して回動可能に組み付けられる。各レバー25の基端側には、下方に張り出すストッパ部25Aが形成されている。
図2に示すように、コンソールリッド7を閉じ位置から開き位置に回動させた場合には、各ストッパ部25Aが左右のサイドパネル13の内側上端面に当たり、コンソールリッド7が開き位置で保持される。
【0025】
次に、コンソールリッド7の概略構成を
図3乃至
図9に基づいて説明する。
図3及び
図4に示すように、コンソールリッド7は、アウタ部材28とインナ部材29によって内外二重構造となっている。アウタ部材28は、合成樹脂材から構成され、上板部31と、その上板部31の車幅方向両側縁から緩やかに下方に延出されて断面湾曲状をなす各側壁部32とを備え、平面形が車両前後方向に長い略矩形状に形成されている。
【0026】
インナ部材29は、合成樹脂材によって形成され、アウタ部材28の左右の側壁部32と、アウタ部材28の前後の端縁部との下方を覆う略板状のコア下部材35と、コア下部材35の上面とアウタ部材28の下面との間に配置された略板状のコア上部材36と、から構成されている。コア下部材35は、アウタ部材28の左右の側壁部32の内側壁面間の距離にほぼ等しい幅に形成されている。
【0027】
そして、コア下部材35は、アウタ部材28の前端縁から所定長さ(例えば、約3cm~4cm程度である。)後方までの下面を覆った後、アウタ部材28の両側壁部32の下端部近傍位置に対向するように、下方へ所定高さ(例えば、3cm~4cm程度)延びる。そして、更に、コア下部材35は、アウタ部材28の後端部近傍まで、アウタ部材28の上板部31に対して略平行に延びた後、緩やかに上方に延びて、アウタ部材28の後端縁に接続されている。従って、コア下部材35は、平面形が、アウタ部材28の左右の側壁部32の内側壁面間の距離にほぼ等しい幅で、アウタ部材28の車両前後方向の長さにほぼ等しい車両前後方向に長い略矩形状に形成されている。
【0028】
また、コア下部材35の前側部分には、コンソールリッド7を閉じ状態に係脱可能にロックする不図示のロック機構のロック解除操作を行う解除レバー38が車両上下方向に揺動可能に設けられている。解除レバ-38の前側端部は、コア下部材35の前側壁部35Aに形成された横長矩形状の貫通孔39から突出している。また、解除レバー38の前側端部は、解除レバ-38の後方側端部を上方へ付勢する圧縮コイルバネ41により、下方へ回動するように付勢され、略水平位置に保持されている。
【0029】
そして、解除レバー38の前側端部を上方へ引き上げることにより、不図示のロック機構のロックが解除され、コンソールリッド7を上方へ開くことができる。その後、コンソールリッド7を閉じることによって、不図示のロック機構がロックされて、コンソールリッド7が閉じた状態で、再度、ロックされる。そして、解除レバー38の前側端部は、圧縮コイルバネ41により、下方へ回動するように付勢され、略水平位置に保持される。
【0030】
また、コア上部材36は、
図3乃至
図5に示すように、解除レバー38とアウタ部材28の内側下面との間に配置されて、コア下部材35の車幅方向の幅よりも少し狭い車幅方向の幅で、解除レバー38の上方を覆う平面視略四角形状の上板部43を有している。また、コア上部材36は、上板部43の後端縁から全幅に亘って下方へ所定高さ(例えば、高さ約1cm程度)延出された縦壁状の段差部45を有している。また、コア上部材36は、段差部45の下端縁から全幅に亘って車両前後方向後側へ延出された車両前後方向に長い平面視略長四角形状の下板部46を有している。
【0031】
そして、コア上部材36は、
図4及び
図5に示すように、上板部43と段差部45と下板部46のそれぞれの車幅方向両側縁から全長に亘って下方へ延出される一対の縦壁部48を有している。また、コア上部材36は、一対の縦壁部48のそれぞれの下端縁から全長に亘って車幅方向外側へ、略直角に延出される一対のフランジ部49を有している。また、コア上部材36の一対のフランジ部49は、上板部43の後端縁近傍に対向する位置から、下板部46の後端縁近傍に対向する位置までの車幅方向外側の側縁から下方へ所定高さ(例えば、高さ約0.5cm~1cm程度)延出される補強リブ51が形成されている。
【0032】
また、コア上部材36は、
図3及び
図5に示すように、下板部46の車両前後方向の後端縁から全幅に亘って下方へ延出されて、一対の縦壁部48の後端縁を接続する縦壁部52を有している。また、コア上部材36は、縦壁部52の下端縁から全長に亘って車両前後方向外側へ、略直角に延出されて、一対のフランジ部49の後端縁を接続するフランジ部53を有している。
【0033】
図5に示すように、コア上部材36の上板部43は、車両前後方向における前側端縁部と後側端縁部のそれぞれの車幅方向の両端と略中央部に平面視十字状に形成された高さの低い各補強リブ55が設けられている。また、
図3及び
図5に示すように、コア上部材36の下板部46は、段差部45の下端縁から下板部46の車両前後方向の略中央部まで直線状に延びる各補強リブ56が、各2列ずつで車幅方向中央位置に対して左右対称に設けられている。各補強リブ56は、各2列ずつで、車幅方向中央部から車幅方向の両側縁部までの間のそれぞれの略中央部よりも内側に配置されている。
【0034】
そして、各2列の補強リブ56の間には、車両前後方向の前端部と、中央部と、後端部に、車幅方向に延びて各補強リブ56間を接続する各補強リブ57が設けられている。また、各2列の補強リブ56のうちの車幅方向外側の補強リブ56の後端部には、車幅方向外側に、平面視十字状に形成された高さの低い各補強リブ58が設けられている。また、コア上部材36の下板部46は、車両前後方向の後端縁部の車幅方向の両端と略中央部に平面視十字状に形成された高さの低い各補強リブ59が設けられている。
【0035】
また、
図5に示すように、コア上部材36の下板部46には、各2列の補強リブ56と、車幅方向の両側縁部との間における、段差部45に近い部分において、段差部45側へ開口する平面視略U状に構成された各脆弱部61A、61Bが設けられている。従って、各脆弱部61A、61Bは、下板部46の段差部45によって剛性の高くなった方へ開口する平面視略U字状に構成されている。各脆弱部61A、61Bは、後述のように、コンソールリッド7のアウタ部材28に、上方から衝撃荷重が作用した際に、各脆弱部61A、61Bのうちの何れかが破断されて、衝撃荷重が吸収緩和されるように設定されている(
図10参照)。
【0036】
ここで、各脆弱部61A、61Bの概略構成について、
図6に基づいて説明する。尚、各脆弱部61A、61Bは、コア上部材36の車幅方向中央位置に対して互いに左右対称に形成されているため、車両前方側に対して車幅方向の左側に配置された脆弱部61Aの概略構成について
図6に基づいて説明する。従って、脆弱部61Bは、コア上部材36の車幅方向中央位置に対して、脆弱部61Aを左右反転した形状に構成されている。
【0037】
図6に示すように、脆弱部61Aは、下板部46の車幅方向左側(車幅方向外側)の側縁から、補強リブ56までの距離の略半分の位置まで車幅方向に沿って内側(右側)へ延びる断面略V字状の第1切欠き溝部62を有している。また、脆弱部61Aは、第1切欠き溝部62の車幅方向外側の端部から車幅方向外側の側縁に沿って、つまり、縦壁部48の上端縁部に沿って、車両前後方向前側に設けられた段差部45の下端縁まで延びる断面略V字状の第2切欠き溝部63を有している。従って、第2切欠き溝部63は、第1切欠き溝部62の車幅方向外側の端部から、下板部46の車両前後方向における剛性の高くなった方へ延びて、段差部45の下端縁に達している。
【0038】
また、脆弱部61Aは、第1切欠き溝部62の車幅方向右側(車幅方向内側)の端部から車両前後方向前側に設けられた段差部45に向かって延びる断面略V字状の第3切欠き溝部65を有している。第3切欠き溝部65は、第1切欠き溝部62の車幅方向右側(車幅方向内側)の端部から車幅方向斜め内側へ所定長さ(例えば、第1切欠き溝部62と略同じ長さである。)延びる斜め切欠き溝部65Aと、斜め切欠き溝部65Aの先端から車幅方向外側の側縁に沿って、段差部45の下端縁まで延びる前方切欠き溝部65Bとから構成されている。
【0039】
つまり、斜め切欠き溝部65Aは、コンソールリッド7のアウタ部材28に上方から衝撃荷重が作用した際に、第1切欠き溝部62の車幅方向右側(車幅方向内側)の端部から下板部46内に発生する最大破断応力の方向に沿って車幅方向斜め内側へ所定長さ延びている。前方切欠き溝部65Bは、斜め切欠き溝部65Aの先端から、下板部46の車両前後方向における剛性の高くなった方へ延びて、段差部45の下端縁に達している。
【0040】
従って、第2切欠き溝部63と第3切欠き溝部65の前方切欠き溝部65Bとの距離は、第1切欠き溝部62の長さよりも長い距離に設定されている。尚、コンソールリッド7のアウタ部材28に上方から衝撃荷重が作用した際に、第1切欠き溝部62の車幅方向右側(車幅方向内側)の端部から剛性の高くなった方へ延びる最大破断応力の方向は、CAE(Computer Aided Engineering)や実験により予め決定されている。
【0041】
また、脆弱部61Aは、第1切欠き溝部62の車幅方向左側(車幅方向外側)の端部から縦壁部48を経てフランジ部49の車幅方向略中央部まで、車幅方向に沿って延びる断面略V字状の第4切欠き溝部66を有している。断面略V字状の第1切欠き溝部62乃至第4切欠き溝部66の切欠き深さは、コア上部材36の板厚の、例えば、約3/5程度の寸法に形成されている。また、
図6に示すように、第1切欠き溝部62の長手方向略中央部には、第1切欠き溝部62の長さの約半分の長さで、第1切欠き溝部62の車両上下方向の上端部の幅寸法で貫通するスリット部68が設けられている。スリット部68は、平面視車幅方向に長い略長楕円形、略長方形、略長六角形等の形状で貫通している。
【0042】
次に、アウタ部材28の上板部31の内側下面に、コア上部材36の各脆弱部61A、61Bの第1切欠き溝部62に対向して設けられる下面リブ部71等の概略構成について
図3、
図4、
図7乃至
図9に基づいて説明する。
図4、
図7乃至
図9に示すように、アウタ部材28の上板部31の内側下面には、コア上部材36の各脆弱部61A、61Bを構成する第1切欠き溝部62に対向する位置に、車幅方向に沿ってコア上部材36の下板部46に向かってリブ状に突出する下面リブ部71が設けられている。
【0043】
下面リブ部71の車幅方向両端部は、コア上部材36の下板部46の車幅方向両側縁、つまり、各縦壁部48に対向するように設けられている。また、下面リブ部71の車幅方向両端部から所定長さ車幅方向内側までのそれぞれの下端部から下板部46に向かって所定高さ(例えば、高さ約5mm~10mm程度)リブ状に突出する一対のリブ凸部72が形成されている。
【0044】
図3及び
図4に示すように、下面リブ部71の車両上下方向の下端面と、コア上部材36の下板部46に設けられた各補強リブ56との間には、所定高さ(例えば、高さ約1mm~2mm)の隙間が形成されている。また、各リブ凸部72の車両上下方向の下端面と、コア上部材36の下板部46の上面との間には、所定高さ(例えば、高さ約2mm~3mm)の隙間が形成されている。従って、下面リブ部71の車両上下方向の下端面が、各補強リブ56に略水平に当接した場合には、各リブ凸部72の車両上下方向の下端面と下板部46の上面との間には、所定高さ(例えば、高さ約1mm~2mm)の隙間が形成される。
【0045】
また、
図4及び
図9に示すように、各リブ凸部72の車幅方向外側の端部は、コア上部材36の車幅方向外側の側縁に設けられた各縦壁部48に対向するように設けられている。従って、各リブ凸部72の下面は、各脆弱部61A、61Bの第1切欠き溝部62及び第4切欠き溝部66に対向するように設けられている。また、各リブ凸部72の車幅方向内側の端部は、各脆弱部61A、61Bの第1切欠き溝部62に形成されたスリット部68の車幅方向略中央部に対向するように設けられている。
【0046】
従って、後述のように、コンソールリッド7のアウタ部材28に、上方から衝撃荷重が作用した際には、一対のリブ凸部72のうちの何れかが第1切欠き溝部62及び第4切欠き溝部66に当接する。そして、リブ凸部72の車幅方向内側の端部が、第1切欠き溝部62のスリット部68に進入して、スリット部68の車幅方向両端部から破断が開始されるように構成されている(
図10参照)。
【0047】
また、
図3、
図7及び
図8に示すように、アウタ部材28の上板部31の下面及び左右側壁部32の内側面の基端部には、車幅方向に沿って下板部46に向かってリブ状に突出する一対の補強リブ75が設けられている。一対の補強リブ75は、下面リブ部71とコア上部材36の段差部45に対向する位置との間の車両前後方向略中央位置と、下面リブ部71と上板部31の後端縁との間の車両前後方向略中央位置とに設けられている。
【0048】
また、アウタ部材28の上板部31の下面には、下面リブ部71と後方側の補強リブ75との間の2カ所の位置、及び、後方側の補強リブ75よりも後方側の位置に、車幅方向に沿ってコア上部材36の下板部46に向かってリブ状に突出する各補強リブ76が設けられている。
【0049】
また、アウタ部材28の一対の側壁部32のそれぞれの内側面には、一対の補強リブ75のそれぞれの車幅方向両端部に対向する位置と、車両前後方向前側の補強リブ75と上板部31の前端縁との間の車両前後方向略中央部に、各弾性係止片78が設けられている。尚、
図7には、車幅方向左側の側壁部32の内側面に設けられた各弾性係止片78を示している。
【0050】
また、
図5に示すように、コア上部材36の車幅方向外側の両側縁に設けられた一対のフランジ部49には、アウタ部材28の各弾性係止片78に対向する位置に、各弾性係止片78を差し込むことによって弾性的に係止される各係止孔79が設けられている。従って、コア上部材36の上方にアウタ部材28を重ね合わせて、各弾性係止片78を対向する各係止孔79に差し込むことによって、各弾性係止片78が各係止孔79に弾性的に係止されて、コア上部材36の上側にアウタ部材28が装着される。
【0051】
次に、コンソールリッド7のアウタ部材28に、車幅方向中央部よりも左側の位置において、車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した際に(
図3及び
図4参照)、コア上部材36の脆弱部61Aが破断された一例について、
図10に基づいて説明する。尚、コンソールリッド7のアウタ部材28に、車幅方向中央部よりも右側の位置において、車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した際には、コア上部材36の脆弱部61Bが同様に破断される。
【0052】
図3及び
図4に示すように、コンソールリッド7のアウタ部材28に、車幅方向中央部よりも左側の位置において、車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した際には、
図10に示すように、アウタ部材28の下面に設けられた下面リブ部71の車幅方向左端側に形成されたリブ凸部72が、相対向する脆弱部61Aの第1切欠き溝部62に衝突する。この際に、リブ凸部72の車幅方向右側(車幅方向内側)の端部が、スリット部68内に進入して、スリット部68の長手方向両端部に衝撃荷重が伝達される。
【0053】
その結果、
図10に示すように、スリット部68の長手方向両端部に衝撃荷重による応力集中が発生して、スリット部68の長手方向両端部から断面略V字形の第1切欠き溝部62の破断が確実に開始される。そして、第1切欠き溝部62の破断が、車幅方向左側(車幅方向外側)の端部まで達した場合には、更に、断面略V字形の第2切欠き溝部63及び第4切欠き溝部66が破断され、リブ凸部72が破断部分に進入する。そして、第2切欠き溝部63の破断は、第2切欠き溝部63の先端部から段差部45を上方へ伝達し、更に、上板部43の平面視十字状に形成された補強リブ55を破断している。
【0054】
また、第1切欠き溝部62の破断が、車幅方向右側(車幅方向内側)の端部まで達した場合には、更に、第3切欠き溝部65の斜め切欠き溝部65Aが破断される。そして、斜め切欠き溝部65Aの破断が、車幅方向斜め内側の先端まで達した後、更に、車幅方向斜め内側方向へ伝達して、下板部46が破断されている。
【0055】
これにより、コア上部材36の車幅方向左側に設けられた脆弱部61Aを構成する第1切欠き溝部62と、第2切欠き溝部63と、第3切欠き溝部65の斜め切欠き溝部65Aと、第4切欠き溝部66が破断されることにより、アウタ部材28に作用した衝撃荷重を効率よく吸収緩和することができる。また、斜め切欠き溝部65Aの先端部よりも車幅方向斜め内側部分へ破断が伝達すると共に、第2切欠き溝部63の先端部よりも車両前後方向前側の段差部45及び上板部43へ破断が伝達することにより、アウタ部材28に作用した衝撃荷重を更に効率よく吸収緩和することができる。
【0056】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車両用コンソールボックス1では、通常時に、コンソールリッド7のアウタ部材28に静的な荷重が作用した場合には、その静荷重は、アウタ部材28とインナ部材29を構成するコア下部材35及びコア上部材36を介して、ボックス体5等に伝達される。その結果、通常時には、車両用コンソールボックス1の実使用時の機械的剛性を確保することができる。
【0057】
また、コンソールリッド7のアウタ部材28に車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した場合には、衝撃荷重が、アウタ部材28の下面に設けられた一対のリブ凸部72のうちのいずれかを介して相対向する脆弱部61A又は脆弱部61Bに伝達される。そして、脆弱部61A又は脆弱部61Bを構成する第1切欠き溝部62乃至第4切欠き溝部66が、リブ凸部72によって破断されることにより、アウタ部材28に作用した衝撃荷重を効率よく吸収緩和することができる。
【0058】
また、一対の脆弱部61A、61Bは、アウタ部材28の下面に対向して配置されたコア上部材36の一対のリブ凸部72のそれぞれに対向する位置に設けられている。その結果、一対の脆弱部61A、61Bを有するコア上部材36は、アウタ部材28とコンソールリッド7の底面部を構成するコア下部材35とによって覆われるため、コンソールリッド7の見映えをよくすることができる。
【0059】
また、アウタ部材28に車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した場合には、衝撃荷重が一対のリブ凸部72のうちのいずれかを介して相対向する脆弱部61A又は脆弱部61Bの断面略V字形の第1切欠き溝部62に作用する。その結果、第1切欠き溝部62は、リブ凸部72を介して第1切欠き溝部62に作用する衝撃荷重によって破断される。
【0060】
そして、第1切欠き溝部62の車幅方向両端部に接続されて、剛性の高い方に向かって延びる断面略V字形の第2切欠き溝部63と第3切欠き溝部65に、その衝撃荷重よる破断が伝達されて、第2切欠き溝部63及び第3切欠き溝部65が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。従って、コンソールリッド7のアウタ部材28に作用した衝撃荷重を効率よく吸収緩和することができる。
【0061】
また、断面略V字形の第4切欠き溝部66が、第1切欠き溝部62の車幅方向外側の端部からコア上部材36の縦壁部48及びフランジ部49の相対向するリブ凸部72の車幅方向外側端部に対向する位置まで、リブ凸部72の下面に対向して車幅方向に沿って設けられている。そして、アウタ部材28に車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した場合には、第1切欠き溝部62の車幅方向外側の端部から第4切欠き溝部66に、その衝撃荷重が伝達されて、第4切欠き溝部66が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。従って、コンソールリッド7のアウタ部材28に作用した衝撃荷重を確実に吸収緩和することができる。
【0062】
また、アウタ部材28に車両前後方向後方側の上方から衝撃荷重が作用した場合には、リブ凸部72の車幅方向内側端部がスリット部68に進入して、このスリット部68の車幅方向両端部から第1切欠き溝部62を確実に破断することができる。その結果、第1切欠き溝部62の車幅方向両端部に接続されて、剛性の高い方に向かって延びる第2切欠き溝部63と第3切欠き溝部65に、その衝撃荷重が伝達されて、第2切欠き溝部63及び第3切欠き溝部65が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。
【0063】
更に、第1切欠き溝部62の車幅方向外側の端部から車幅方向外側へ延びる第4切欠き溝部66にも衝撃荷重が伝達されて、第4切欠き溝部66が破断されて、衝撃荷重が吸収緩和される。従って、第1切欠き溝部62のリブ凸部72の車幅方向内側端部に対向する位置にスリット部68を設けることによって、スリット部68の車幅方向両端部から第1切欠き溝部62乃至第4切欠き溝部66を破断することができ、コンソールリッド7のアウタ部材28に作用した衝撃荷重を更に確実に吸収緩和することができる。
【0064】
また、コア上部材36は、車幅方向全幅に亘って設けられた段差部45によって、一対の脆弱部61A、61Bのそれぞれの第1切欠き溝部62よりも車両前後方向前側の剛性が高められる。そのため、第2切欠き溝部63と第3切欠き溝部65は、第1切欠き溝部62の車幅方向両端部から、段差部45まで、つまり、車両前後方向前側へ延びている。これにより、コンソールリッド7の車両前後方向後方側の部分に上方から衝撃荷重が作用した場合には、衝撃荷重方向に形成された第2切欠き溝部63及び第3切欠き溝部65にその衝撃荷重を伝達して、破断させることができる。従って、コンソールリッド7のアウタ部材28に車両前後方向後方側の上方から作用した衝撃荷重を確実に吸収緩和することができる。
【0065】
尚、前記実施形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【0066】
本発明の車両用コンソールボックスは、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記
図1~
図10の前記実施形態に係る車両用コンソールボックス1等と同一符号は、前記実施形態に係る車両用コンソールボックス1等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0067】
(A)例えば、コンソールリッド7が、コンソール本体3に対し左右方向(車幅方向)へ回動して開閉可能に組み付けられた場合においても、本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用コンソールボックス
5 ボックス体
7 コンソールリッド
21 上方開口部
28 アウタ部材
29 インナ部材
35 コア下部材
36 コア上部材
45 段差部
48 縦壁部
49 フランジ部
61A、61B 脆弱部
62 第1切欠き溝部
63 第2切欠き溝部
65 第3切欠き溝部
65A 斜め切欠き溝部
65B 前方切欠き溝部
66 第4切欠き溝部
68 スリット部
71 下面リブ部
72 リブ凸部