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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】昇降装置、搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/12 20060101AFI20241224BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20241224BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B66F7/12
B23P21/00 303A
B23P19/00 302G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022003042
(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公開番号】P2023102515
(43)【公開日】2023-07-25
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大江 正浩
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-070790(JP,U)
【文献】特開2014-234904(JP,A)
【文献】特開2006-137526(JP,A)
【文献】特開2015-030304(JP,A)
【文献】特開平11-049487(JP,A)
【文献】実開昭61-168098(JP,U)
【文献】国際公開第2020/031878(WO,A1)
【文献】米国特許第06109424(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/00- 7/28
B23P 19/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿う第1直棒部と、前記第1方向と異なる第2方向に沿う第2直棒部と、前記第1直棒部と前記第2直棒部との間の第1屈曲部と、を有し、前記第1方向と前記第2方向とに進退移動するプッシュチェーンと、
前記第1直棒部に形成され、前記プッシュチェーンの進退移動によって前記第1方向に沿って昇降するステージと、
前記第1直棒部の少なくとも一部および前記第1屈曲部の少なくとも一部において前記プッシュチェーンの進退移動を案内するガイドと、
前記プッシュチェーンのうち、前記プッシュチェーンの連結方向において前記第1屈曲部よりも前記第2直棒部の側のみと係合し、前記プッシュチェーンの進退移動を駆動するスプロケットと、を備えた昇降装置。
【請求項2】
前記スプロケットは、前記プッシュチェーンより前記ステージの側から前記プッシュチェーンと係合する請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記第1方向は前記第2方向と比較して鉛直方向と形成する角度が小さい請求項1または2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記ガイドの前記第1直棒部を挟支する部分について、前記第1方向に沿った長さが前記プッシュチェーンのチェーンピッチの2倍以上である請求項1から3の何れか1項に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記ガイドは、前記第1屈曲部を挟支する一組の曲面部と、前記第1直棒部を挟支し前記第1方向に沿う一組の平面部とを有する請求項1から4の何れか1項に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記スプロケットの前記第1方向における高さは、前記ガイドの前記第1方向における高さ以下である請求項1から5の何れか1項に記載の昇降装置。
【請求項7】
少なくとも前記第2直棒部を収容するケースをさらに備え、
前記ケースの前記第1方向における高さは、前記ガイドの前記第1方向における高さ以下である請求項1から6の何れか1項に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記プッシュチェーンは、前記プッシュチェーンの連結方向において前記第2直棒部よりも前記第1直棒部とは反対の側に位置し、前記第1方向と形成する角度よりも前記第2方向と形成する角度の方が小さい第3方向に沿う第3直棒部と、前記プッシュチェーンの連結方向において前記第2直棒部と前記第3直棒部との間に位置する第2屈曲部と、をさらに有する請求項1から7の何れか1項に記載の昇降装置。
【請求項9】
前記スプロケットは、前記第2直棒部のみと係合する請求項1から8の何れか1項に記載の昇降装置。
【請求項10】
前記スプロケットは、前記第2屈曲部のみと係合する請求項8に記載の昇降装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の昇降装置を備え、
搬送方向が鉛直方向と形成する角度よりも前記第1方向が鉛直方向と形成する角度が小さい搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプッシュチェーンを含む昇降装置、および当該昇降装置を備えた搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車の生産ラインのうち車体への部品の組付けラインに用いられる、車体の搬送および昇降を行う機能を有した搬送台車について開示する。特許文献1において、車体を支持する支持部の昇降には噛合チェーンが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-30304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コスト低減、または装置の簡素化の観点から、特許文献1の噛合チェーンを、一本のプッシュチェーンに置き換えることが考えられる。しかしながら、この場合、プッシュチェーンの座屈を低減するために、支持部の昇降方向にある程度の高さを有するプッシュチェーンのガイドを設ける必要があり、ひいては支持部の昇降方向における昇降機構の巨大化につながる。
【0005】
したがって、上記昇降機構を備えた搬送台車においては、上記昇降機構により昇降する車体等に対し作業を行う作業者が乗る床部の高さの増大につながる。昇降機構の昇降方向の高さをそのままに床部の高さを抑えるためには、昇降機構または床部の構造を複雑化させる必要があり、また、昇降機構の昇降可能な距離が短縮する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る昇降装置は、第1方向に沿う第1直棒部と、前記第1方向と異なる第2方向に沿う第2直棒部と、前記第1直棒部と前記第2直棒部との間の第1屈曲部と、を有し、前記第1方向と前記第2方向とに進退移動するプッシュチェーンと、前記第1直棒部に形成され、前記プッシュチェーンの進退移動によって前記第1方向に沿って昇降するステージと、少なくとも前記第1屈曲部において前記プッシュチェーンの進退移動を案内するガイドと、前記第1屈曲部よりも前記第2直棒部の側における前記プッシュチェーンと係合し、前記プッシュチェーンの進退移動を駆動するスプロケットとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、プッシュチェーンの座屈を低減しつつ、ステージの昇降方向における昇降装置の高さを低減する設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る昇降装置の側面の一部の概略拡大図である。
図2】本発明の実施形態1に係る搬送台車の概略側面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る昇降装置の概略側面図である。
図4】比較形態に係る昇降装置の概略側面図である。
図5】比較形態に係る昇降装置の側面の一部の概略拡大図である。
図6】本発明の実施形態2に係る昇降装置の概略側面図である。
図7】本発明の実施形態2に係る昇降装置の側面の一部の概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
<搬送台車>
図2は本実施形態に係る搬送台車の全体構成を説明するための概略側面図である。なお、本実施形態においては、自動車の生産ラインのうち車体への部品の組付けラインに用いられる、車体の搬送および昇降を行う機能を有した搬送台車を例に挙げて説明する。しかしながら、本明細書における搬送台車はこれに限られず、搬送および昇降する対象については特に問われず、当該対象を支持する部材の適切な変更により、当該対象を搬送および昇降する搬送台車を実現してもよい。
【0010】
本実施形態に係る搬送台車2は、図2に示すように、昇降装置4と、床部6と、車輪8とを備える。昇降装置4は、後述する方法により、例えば、図2に示す車体Xを支持し、昇降方向DEに沿って昇降させる装置である。床部6は、昇降装置4により支持される車体Xに対し部品の組付け等の作業を行う作業者Yが乗る台である。車輪8は、例えば、床部6の下方側に取り付けられ、不図示の駆動部により回転駆動されることにより床部6を搬送方向DCに沿って移動させるための車輪である。なお、車輪8は上述した駆動輪に限られず、搬送台車2自体が外力により押引されることにより回転する従動輪であってもよい。
【0011】
なお、本実施形態において、昇降方向DEが鉛直方向と形成する角度は、搬送方向DCが鉛直方向と形成する角度よりも小さい。例えば、昇降方向DEは鉛直方向と略同一方向であり、このため、昇降装置4によって車体Xは略鉛直方向に昇降する。また、搬送方向DCは、例えば、車輪8が接する地面と平行であってもよく、また、鉛直方向と直交する水平方向と略同一方向であってもよい。
【0012】
さらに、車輪8は不図示のレールの上に形成されていてもよく、この場合搬送方向DCはレールの延伸方向と略同一であってもよく、換言すれば、搬送台車2はレールに沿って移動してもよい。一方、車輪8は略鉛直方向に延伸する車輪支持柱8Aの下端に形成されていてもよく、また、車輪8は当該車輪支持柱8Aの回りに回転してもよい。この場合、搬送台車2は地面等のある平面上を自由に移動してもよい。
【0013】
例えば、昇降装置4は、図2に示すように、床部6の下方から延伸する床部支持柱6Aによって、床部6の下方側に支持されている。換言すれば、昇降装置4と床部6とは一体に形成されている。このため、車輪8の回動により床部6が搬送方向DCに移動することにより、昇降装置4も搬送方向DCに移動し、ひいては昇降装置4により支持される車体Xも搬送方向DCに移動する。したがって、搬送台車2は、昇降装置4により支持される車体Xおよび床部6上の作業者Yを共に搬送方向DCに移動させつつ、昇降装置4により車体Xを昇降方向DEに昇降させることができる。ゆえに、搬送台車2は、搬送方向DCに車体Xを搬送しつつ、昇降方向DEに車体Xを昇降させ、かつ、床部6上の作業者Yに車体Xに対する作業を行わせることができる。
【0014】
昇降装置4による車体Xの昇降、および車輪8の回転駆動による車体Xの搬送は、不図示の制御部による昇降装置4の制御、および車輪8の駆動部の制御を通じて実現してもよい。搬送台車2は上記制御部を備えていてもよい。または、制御部は、制御内容を不図示の通信手段により搬送台車2に送信することを通じて、搬送台車2の各部を制御してもよい。
【0015】
<昇降装置の概要>
次に、本実施形態に係る搬送台車2が備える昇降装置4について、図3を参照してより詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る昇降装置4の全体構成、および、昇降装置4の昇降動作を説明するための概略側面図である。なお、図3においては、より詳細に昇降装置4の各部を図示するため、後述するリンク機構24およびリンクレール26等の昇降装置4の一部の部材を透過して図示する場合がある。
【0016】
図3においては、昇降装置4が車体Xを昇降方向DEの上方にて支持する上昇状態4Uと、昇降装置4が車体Xを上昇状態4Uよりも昇降方向DEの下方にて支持する下降状態4Dとを示す。さらに、図3においては、昇降装置4が車体Xを上昇状態4Uと下降状態4Dとの間において支持する中間状態4Mを示す。
【0017】
図3の各図に示すように、昇降装置4は、プッシュチェーン10と、ステージ12と、ガイド14と、スプロケット16と、ケース18と、チェーン支持部20と、基部22と、リンク機構24と、リンクレール26とを備える。
【0018】
<プッシュチェーン>
昇降装置4の各部について、さらに図1図3と併せて参照してより詳細に説明する。図1図3の中間状態4Mに示す領域Aについて昇降装置4の一部の部材を抜き出して拡大して示す概略拡大図である。特に、図1は、ガイド14およびスプロケット16の周囲において、昇降装置4のうち、プッシュチェーン10、ガイド14、スプロケット16、およびチェーン支持部20のみを拡大して示す概略拡大図である。
【0019】
プッシュチェーン10は、略一直線上に整列する状態からある一方方向のみに屈曲できるローラチェーンである。プッシュチェーン10は、例えば、図1に示すように、複数のピン28の両端に複数のプレート30が連結され、各ピン28に回動可能にローラ32が外嵌されたローラチェーンである。
【0020】
特に、プレート30は、外プレート30Aと該外プレート30よりもピン28の延伸方向の内側に位置する内プレート30Bとを含み、ピン28には外プレート30Aと内プレート30Bとが交互に連結されている。ここで、各プレート30は、弓形部30Sと矩形部30Rとを含み、また、各プレート30は弓形部30Sおよび矩形部30Rが形成された側を揃えて連結されている。
【0021】
例えば、外プレート30Aと内プレート30Bとの少なくとも一方はピン28に対し回動可能に形成されている。このため、プッシュチェーン10は、ピン28の長手方向とプッシュチェーン10の連結方向との双方に直交する方向に可撓である。ただし、互いに隣り合う外プレート30Aの矩形部30R同士または内プレート30Bの矩形部30R同士の干渉により、プッシュチェーン10は、プッシュチェーン10が略直線上に並ぶ状態から矩形部30Rの側への屈曲が制限される。換言すれば、プッシュチェーン10は、プッシュチェーン10が略直線上に並ぶ状態から弓形部30S側にのみ屈曲する。
【0022】
本実施形態において、図1および図3に示すように、プッシュチェーン10は、第1直棒部10Aと、第2直棒部10Bと、第1直棒部10Aおよび第2直棒部10Bの間の第1屈曲部10Cとを含む。ここで、本明細書において、プッシュチェーン10の「直棒部」とは、矩形部30R側へのそれ以上の屈曲が制限されている部分を指す。また、本明細書において、プッシュチェーン10の「屈曲部」とは、矩形部30R同士が接触する状態から弓形部30Sの方向に屈曲したプレート30を含む部分を指す。
【0023】
第1直棒部10Aは、図1および図3に示す第1方向D1に沿い、第2直棒部10Bは、図1および図3に示す第2方向D2に沿う。特に、第1方向D1は第2方向D2と比較して鉛直方向と形成する角度が小さい。後に詳述するが、プッシュチェーン10はスプロケット16による駆動に伴い、連結方向に進退移動する。このため、プッシュチェーン10は第1方向D1と第2方向D2とに進退移動する。特に、第1直棒部10Aは第1方向D1に、第2直棒部10Bは第2方向D2に沿って進退移動する。
【0024】
なお、本実施形態に係るプッシュチェーン10は、図1に示す構造に限られない。例えば、本実施形態に係るプッシュチェーン10は、後述するガイドにより屈曲し、第1直棒部10Aと第2直棒部10Bとを形成するプッシュチェーンであれば、従来公知のプッシュチェーンを採用できる。
【0025】
<ステージ>
ステージ12は、車体Xを支持する支持部であり、第1直棒部10Aに形成され、例えば、ボルトおよびナット等の固定具12Fを介して第1直棒部10Aの第1屈曲部10Cと反対の側の端部に形成される。このため、ステージ12は、第1直棒部10Aの第1方向D1に沿った進退移動に伴い、車体Xと共に第1方向D1に沿って昇降する。したがって、搬送台車2が車体Xを昇降させる方向である昇降方向DEは、第1直棒部10Aの進退方向である第1方向D1と略同一方向である。第1方向D1が第2方向D2よりも鉛直方向と成す角度が小さいことにより、昇降装置4は、第1方向D1を昇降方向DEとした際により搬送台車2の昇降機構として適する構成とできる。
【0026】
したがって、プッシュチェーン10が第1直棒部10A側から第2直棒部10B側に移動することにより、ステージ12はプッシュチェーン10に引張され、第1方向D1の下方に向かって降下する。例えば、上昇状態4Uにある昇降装置4のプッシュチェーン10が第1直棒部10A側から第2直棒部10B側に移動すると、プッシュチェーン10の移動およびステージ12の降下に伴い、昇降装置4は中間状態4Mを経て下降状態4Dに移行する。
【0027】
また、プッシュチェーン10が第2直棒部10B側から第1直棒部10A側に移動することにより、プッシュチェーン10の第1直棒部10Aは後述するガイド14の上方からさらにその上方側に移動する。ここで、第1直棒部10Aは、矩形部30R側への屈曲が制限されており、また、後述するリンク機構24により、弓形部30S側への屈曲も制限される。このため、第1直棒部10Aは屈曲することなくガイド14のさらに上方に移動し続けてステージ12を押し上げる。
【0028】
したがって、プッシュチェーン10が第2直棒部10B側から第1直棒部10A側に移動することにより、ステージ12はプッシュチェーン10に押出され、第1方向D1の上方に向かって上昇する。例えば、下降状態4Dにある昇降装置4のプッシュチェーン10が第2直棒部10B側から第1直棒部10A側に移動すると、プッシュチェーン10の移動およびステージ12の上昇に伴い、昇降装置4は中間状態4Mを経て上昇状態4Uに移行する。
【0029】
例えば、床部6にはステージ12の形状と略同一またはそれよりも大きい開口部が形成されていてもよく、ステージ12は当該開口を通り抜けて昇降方向DEの上方に上昇してもよい。また、昇降装置4が下降状態4Dにある場合、ステージ12の上面は床部6の上面と略同一平面上に位置してもよい。
【0030】
<ガイド>
ガイド14は、第1直棒部10Aの少なくとも一部および第1屈曲部10Cの少なくとも一部において、プッシュチェーン10の進退方向を案内するガイドである。図1に示すように、ガイド14は、弓形部30Sの側に湾曲した一組の曲面部34と、第1方向D1に沿う一組の平面部36とを含む。曲面部34はプッシュチェーン10の第1屈曲部10Cが含むローラ32を挟支し、平面部36は第1直棒部10Aが含むローラ32を挟支する。
【0031】
例えば、ガイド14は、曲面部34と平面部36とのそれぞれの一方を有する第1ガイド14Aと、曲面部34と平面部36とのそれぞれの他方を有する第2ガイド14Bとを含む。第1ガイド14Aおよび第2ガイド14Bにおいて、曲面部34と平面部36とは連続して形成されていてもよい。
【0032】
例えば、プッシュチェーン10が第1直棒部10A側に移動する場合、第2直棒部10Bの第1屈曲部10C側に位置するローラ32は曲面部34に挟支される。ここでローラ32が弓形部30Sの側に湾曲した曲面部34に押されることにより、曲面部34と当接するプッシュチェーン10の部分は弓形部30Sの側に屈曲し第1屈曲部10Cとなる。
【0033】
また、プッシュチェーン10が第1直棒部10A側に移動する場合、第1屈曲部10Cの第1直棒部10A側に位置するローラ32は平面部36に挟支される。ここでローラ32が第1方向D1に沿う平面部36に挟支されたプッシュチェーン10の部分は第1方向D1に沿う方向に矯正され第1直棒部10Aとなる。
【0034】
ガイド14は、プッシュチェーン10のローラ32を挟支する一組の曲面部34および平面部36により、プッシュチェーン10の進行方向を案内する。このため、ガイド14はプッシュチェーン10を拘束するレール等のように複雑な機構を有することなくプッシュチェーン10を案内することができる。このため、本実施形態に係る昇降装置4はガイド14を簡素化できる。
【0035】
例えば、互いに隣接するピン28の間の距離をチェーンピッチCPとすると、第1方向D1に沿う平面部36がプッシュチェーン10を挟支する距離R1はチェーンピッチCPの2倍以上である。これにより、第1直棒部10Aは少なくともチェーンピッチCPの2倍以上の長さだけ平面部36により第1方向D1に向きを矯正される。この場合、ガイド14は平面部36を離れた第1直棒部10Aが弓形部30Sの側に屈曲することを低減できる。
【0036】
<スプロケット>
スプロケット16は、例えば、円盤部38の周囲に複数の歯38Tが形成された構造を有する。スプロケット16は、不図示の動力部により円盤部38の中心回りに回転する。また、スプロケット16の歯38Tがプッシュチェーン10の複数のローラ32の間に挿入されることにより、スプロケット16はプッシュチェーン10と係合する。
【0037】
これにより、スプロケット16はプッシュチェーン10と係合した状態において円盤部38の中心回りに回転することにより、歯38Tがローラ32を押してプッシュチェーン10を進退移動させる。したがって、スプロケット16は、プッシュチェーン10を進退移動させ、ひいては第1直棒部10Aに形成されたステージ12を第1方向D1に沿って昇降させる。
【0038】
スプロケット16は第1屈曲部10Cよりも第2直棒部10Bの側におけるプッシュチェーン10と係合する。特に、本実施形態において、スプロケット16は第2直棒部10Bとのみ係合する。このため、スプロケット16が第1屈曲部10Cと係合する場合と比較して、スプロケット16に対するプッシュチェーン10の巻付角が小さくなる。したがって、上記構成により、昇降装置4は、プッシュチェーン10の進退移動の速度ムラの低減を達成する。
【0039】
また、スプロケット16は、プッシュチェーン10の第1方向D1の上方側から、プッシュチェーン10と係合する。このため、ガイド14とスプロケット16とが形成する第1方向D1に沿う寸法は、ガイド14の下端から、ガイド14とスプロケット16とのそれぞれの上端のうち第1方向D1の上方側に位置する方までの距離となる。したがって、スプロケット16がプッシュチェーン10の第1方向D1の下方側からプッシュチェーン10と係合する場合と比較して、昇降装置4は装置全体の第1方向D1に沿う寸法を縮小できる。
【0040】
<ケースおよびチェーン支持部>
ケース18は、プッシュチェーン10の一部を収容するための収容部であり、図3に示すように、弓形部30Sの側に湾曲した一組の曲面部40と、第2方向D2に沿う一組の平面部42とを含む。
【0041】
例えば、プッシュチェーン10がさらに第2直棒部10B側に移動し続けることにより、第2直棒部10Bのケース18側の端部に位置するローラ32は曲面部40に挟支される。ここでローラ32が弓形部30Sの側に湾曲した曲面部40に挟支されることにより、曲面部40と当接するプッシュチェーン10の部分は弓形部30Sの側に屈曲する。これにより、例えば、図3の下方状態4Dに示すように、プッシュチェーン10には、第2直棒部10Bよりも第1直棒部10Aとは反対の側に位置する第2屈曲部10Dが形成される。
【0042】
また、プッシュチェーン10がさらに第2屈曲部10D側に移動し続けることにより、第2屈曲部10Dの第2直棒部10Bとは反対の側の端部に位置するローラ32は平面部42に挟支される。ここでローラ32が第2方向D2に沿う平面部42に挟支されたプッシュチェーン10の部分は第2方向D2に沿う方向に矯正される。これにより、例えば、図4の下方状態4Dに示すように、プッシュチェーン10には、第2屈曲部10Dよりも第1直棒部10Aとは反対の側に位置する第3直棒部10Eが形成される。
【0043】
特に、第3直棒部10Eは、第1方向D1と形成する角度よりも第2方向D2と形成する角度の方が小さい第3方向に沿う。例えば、第3直棒部10Eは、図4の下方状態D4に示すように、第2直棒部10Bと同じく第2方向D2に沿っていてもよい。この場合、第3直棒部10Eは、第2直棒部10Bと平行、かつ、第2直棒部10Bとは反対方向に進退移動する。
【0044】
図3の下降状態4Dに示すように、プッシュチェーン10の一部はケース18に第2屈曲部10Dにて屈曲した状態において格納される。このため、第2屈曲部10Dおよび第3直棒部10Eを有するプッシュチェーン10を備えた昇降装置4は、昇降装置4の昇降方向と直交する方向における寸法を縮小することができる。したがって、昇降装置4は、第1方向D1におけるステージ12の昇降距離を延長するためにプッシュチェーン10を延長した場合においても、昇降装置4の昇降方向と直交する方向における寸法の増大を低減することができる。
【0045】
チェーン支持部20は、例えば、図1に示すように、第2直棒部10Bのローラ32と接し、第2直棒部10Bを支持する平面部44を有する。例えば、チェーン支持部20の平面部44は、ガイド14の曲面部34の第2直棒部10B側の端部およびケース18の曲面部40と連続して形成されていてもよい。
【0046】
<基部およびリンク機構>
基部22は、少なくともガイド14、ケース18、およびチェーン支持部20を支持する略同一平面の上面を有し、ステージ12よりも第1方向D1の下方側に形成される。例えば、搬送台車2は床部6の昇降方向DEの下方側に基部22を含む。床部6は、図2に示すように、床部支持柱6Aを介して基部22を支持することにより昇降装置4と一体に形成されていてもよい。
【0047】
リンク機構24は、例えば、互いに交差する第1リンクビーム46および第2リンクビーム48と、第1リンクビーム46および第2リンクビーム48を互いに回動可能に拘束するリンクシャフト50とを含む。第1リンクビーム46は、ステージ12の下面に形成された第1固定シャフト12Aと基部22の上面に形成された第1スライドシャフト22Aとに回動可能に拘束されている。また、第2リンクビーム48は、ステージ12の下面に形成された第2スライドシャフト12Bと基部22の上面に形成された第2固定シャフト22Bとに回動可能に拘束されている。
【0048】
リンクレール26は、ステージ12の下面と基部22の上面とに形成される。ステージ12の下面のリンクレール26は、第2スライドシャフト12Bを第2方向D2に移動可能に拘束する。また、基部22の上面のリンクレール26は、第1スライドシャフト22Aを第2方向D2に移動可能に拘束する。
【0049】
第1スライドシャフト22Aと第2スライドシャフト12Bとは、ステージ12の昇降に伴い、リンクレール26上を第2方向D2に移動する。一方、第1リンクビーム46および第2リンクビーム48は、プッシュチェーン10の進退移動によらず、第1固定シャフト12Aおよび第2固定シャフト22Bにより、第2方向D2に対し拘束される。このため、リンク機構24の第1リンクビーム46および第2リンクビーム48は、プッシュチェーン10の進退移動に伴い各シャフト回りに回動し、ステージ12を基部22に対し拘束しつつ昇降させる。
【0050】
特に、リンク機構24は、ステージ12を基部22に対し、第2方向D2には拘束しつつ、第1方向D1にのみ昇降させる。これにより、ステージ12は第2方向D2にはほぼ移動することなく第1方向D1に沿ってのみ昇降する。また、リンク機構24がステージ12を第2方向D2に拘束することにより、リンク機構24はプッシュチェーン10の第1直棒部10Aの屈曲を低減する。
【0051】
例えば、昇降装置4はリンク機構24を複数備えていてもよい。例えば、図2図3等において、図示されているリンク機構24よりも紙面に向かって手前側に、さらにもう一つのリンク機構24が形成されていてもよい。この場合、図2図3等は手前側のリンク機構24およびリンクレール26等を透過して昇降装置4の各部を図示している。
【0052】
ここで、例えば、図1に示すように、ガイド14の下端から上端まで、およびチェーン支持部20の下端からスプロケット16の上端まで、それぞれの第1方向D1における高さを、高さH14、および高さH16とする。ここで、ガイド14およびチェーン支持部20は、略同一平面である基部22の上面に配置される。このため、高さH14、および高さH16が低いことは、それぞれ、昇降装置4における、ガイド14およびスプロケット16の第1方向D1における高さが低いことを指す。
【0053】
図1から明らかであるように、高さH16は高さH14よりも低い。換言すれば、本実施形態に係るスプロケット16の第1方向D1における高さは、ガイド14の第1方向D1における高さ以下である。このため、スプロケット16は昇降装置4全体の第1方向D1における寸法を縮小できる。ただし、図3の下降状態4Dから明らかであるように、最も下降した状態におけるステージ12の下面と当接しない限り、昇降装置4全体の第1方向D1における寸法を増大させずにスプロケット16の径を大きくすることができる。スプロケット16の径が大きいことにより、スプロケット16を駆動するために必要なトルクを低減することができる。スプロケット16の径を大きくする場合、スプロケット16を駆動する動力部についてもステージ12の下面と当接しない程度に大きくしてもよい。
【0054】
また、例えば、図3の上昇状態4Uに示すように、ケース18の下端から上端までの第1方向D1における高さを、高さH18とする。ここで、ケース18についても、略同一平面である基部22の上面に配置される。このため、高さH18が低いことは、昇降装置4における、ケース18の第1方向D1における高さが低いことを指す。
【0055】
図3から明らかであるように、高さH18は高さH14よりも低い。換言すれば、本実施形態においては、第1方向D1におけるケース18の上面の高さが、ガイド14の上面の高さよりも低い。このため、ケース18は昇降装置4全体の第1方向D1における寸法を縮小できる。
【0056】
<比較形態に係る昇降装置>
本実施形態に係る昇降装置4が奏する効果について、比較形態に係る昇降装置と比較して説明する。はじめに、比較形態に係る昇降装置について、図4および図5を参照して説明する。図4は、比較形態に係る昇降装置4Aの全体構成、および、昇降装置4Aの昇降動作を説明するための概略側面図である。図5は、図4に示す領域Bについて、昇降装置4Aのうち、プッシュチェーン10、ガイド14C、スプロケット16、およびチェーン支持部20のみを拡大して示す概略拡大図である。
【0057】
比較形態に係る昇降装置4Aは、本実施形態に係る昇降装置4と比較して、ガイド14に代えてガイド14Cを備え、スプロケット16が第1屈曲部10Cと係合し、ケース18を備えない点においてのみ構成が相違する。
【0058】
比較形態において、ガイド14Cは、図5に示すように、第1ガイド14Aのみが曲面部34と平面部36とを有し、第2ガイド14Bは第1ガイド14Aの平面部36と向かい合う平面部36のみを有する。また、比較形態において、スプロケット16は第1屈曲部10Cに係合し、特に、第1屈曲部10Cのローラ32は、第1ガイド14Aの曲面部34とスプロケット16とによって挟支される。
【0059】
比較形態においては、スプロケット16が第1屈曲部10Cと係合するため、ガイド14Cに案内される第1直棒部10Aとスプロケット16とが近接する。このため、比較形態においては、ガイド14Cのうち、第1直棒部10Aのローラ32を挟支する平面部36を有する第2ガイド14Bがスプロケット16と干渉しないように、第2ガイド14Bを形成する位置をスプロケット16の上方に移動させる必要がある。
【0060】
上述の通り、第1直棒部10Aの座屈を十分に低減するためには、第1直棒部10Aのローラ32を挟支する平面部36の第1方向D1に沿った距離R1をチェーンピッチCPの2倍以上確保する必要がある。このため、第2ガイド14Bをスプロケット16の上方に移動させつつ、平面部36の第1方向D1に沿った距離R1を確保するために、ガイド14Cは第1方向D1における高さが上昇する。
【0061】
例えば、図5に示すように、ガイド14Cの下端から上端までの第1方向D1における高さを高さH14Cとする。ここで、ガイド14Cについても、略同一平面である基部22の上面に配置される。このため、高さH14Cが低いことは、昇降装置4Aにおける、ガイド14Cの第1方向D1における高さが低いことを指す。
【0062】
比較形態においては、上述の通り、ガイド14Cの平面部36が形成される位置が、昇降装置4Aの第1方向D1の上方側に移動する。このため、高さH14Cは高さH14と比較して高くなる。換言すれば、比較形態に係るガイド14Cの第1方向D1における高さは、実施形態に係るガイド14の第1方向D1における高さよりも高くなる。
【0063】
したがって、比較形態に係る昇降装置4Aは、装置全体としての第1方向D1における高さが増大する。これに伴い、比較形態に係る昇降装置4Aは、第1方向D1において巨大化し、また、ステージ12の昇降距離をガイド14Cの第1方向D1における高さの増大分だけ短縮させる。
【0064】
例えば、比較形態に係る昇降装置4Aを搬送台車2が備える場合、搬送台車2の床部6の昇降方向DEにおける高さが、昇降装置4Aの第1方向D1における高さの増大分だけ高くなり、床部6を昇降する作業者Yの負担を増大させる。また、搬送台車2の床部6の昇降方向DEにおける高さが高くなることにより、床部6上において車体Xへの部品の組付け等を行うための空間が縮小する。
【0065】
床部6の高さを増大させることなく昇降装置4Aを備えた搬送台車2を構成するためには、ステージ12のうち平面視においてガイド14Cと重なる部分のみを上方に突出させる必要がある。このため、比較形態に係る昇降装置4Aは、床部6の低床化を実現するために複雑な設計を必要とする。
【0066】
さらに、比較形態に係る昇降装置4Aは、ケース18を備えないために、プッシュチェーン10に第2屈曲部10Dおよび第3直棒部10Eを形成しない。このため、昇降装置4Aは、ステージ12の下降に伴いチェーン支持部20上に移動するプッシュチェーン10を全て第2直棒部10Bとする必要がある。
【0067】
このため、昇降装置4Aは、ステージ12が下端に位置する場合における第2直棒部10Bを全てチェーン支持部20上に整列させるために必要なチェーン支持部20の第2方向D2における距離が延長する。したがって、昇降装置4Aは、プッシュチェーン10の延長に伴い必要となるチェーン支持部20の長さも延長するため、装置全体の第2方向D2における寸法が巨大化する。
【0068】
<本実施形態に係る昇降装置の奏する効果>
本実施形態に係る昇降装置4は、第1屈曲部10Cよりも第2直棒部10B側において、スプロケット16がプッシュチェーン10と係合する。このため、昇降装置4においては、スプロケット16と第1直棒部10Aとの距離が離れ、第1直棒部10Aのローラ32を挟支する平面部36を形成する第2ガイド14Bとスプロケット16との干渉が低減する。
【0069】
したがって、昇降装置4は、平面部36を形成する第2ガイド14Bの位置の自由度が向上し、ガイド14の第1方向D1における高さを低減する設計が可能となる。例えば、スプロケット16と第1直棒部10Aとの距離を十分に確保することにより、本実施形態に係る第2ガイド14Bは、曲面部34と連続した平面部36を有することができる。
【0070】
したがって、上記構成により、本実施形態に係る昇降装置4は、複雑な設計を必要とすることなく、ガイド14の第1方向D1における高さを低減させることができ、ひいては装置全体の第1方向D1における高さを低減させることができる。本実施形態に係る昇降装置4を備えた搬送台車2は、床部6の低床化を複雑な設計を必要とせず達成することができる。したがって、搬送台車2は、搬送台車2の構造を簡素化しつつ、作業者Yの床部6の昇降の負担を低減し、また、床部6上の空間をより広く確保できる。
【0071】
また、本実施形態に係る昇降装置4は、ステージ12の下降に伴いチェーン支持部20上に移動するプッシュチェーン10の一部を、ケース18内にて第2屈曲部10Dおよび第3直棒部10Eとして格納できる。したがって、本実施形態に係る昇降装置4は比較形態に係る昇降装置4Aと比較して、プッシュチェーン10の延長に伴い必要となるチェーン支持部20の長さの延長を低減するため、装置全体の第2方向D2における寸法の巨大化を低減する。上述した通り、本実施形態に係る昇降装置4が装置全体の第1方向D1における高さを低減できることと併せて考慮すると、昇降装置4は、昇降方向、および当該昇降方向と異なる方向における寸法の双方を低減できる。
【0072】
他にも、昇降装置4として、例えば、スプロケット16の代わりにプッシュチェーン10の末端にて別途動力部によりプッシュチェーン10を押引する構成が考えられる。ここで、本実施形態に係る昇降装置4は、第2屈曲部10Dにてプッシュチェーン10を屈曲させ、第3直棒部10Eを第2直棒部10Bの上方に位置させている。このため、昇降装置4について、例えば、プッシュチェーン10の末端にて上述の動力部によってプッシュチェーン10を押引する構成は、第3直棒部10Eの末端を当該動力部によって押引する構成となる。当該構成においては、上記動力部の位置についても第2直棒部10Bの上方とする必要があり、装置全体の第1方向D1における高さの増大を招来する。
【0073】
本実施形態に係る昇降装置4は、第2直棒部10Bと係合しプッシュチェーン10の進退移動を駆動するスプロケット16を備える。このため、プッシュチェーン10の末端にて上述の動力部によってプッシュチェーン10を押引する構成と比較して、本実施形態に係る昇降装置4は、装置全体の第1方向D1における高さの増大を低減できる。
【0074】
〔実施形態2〕
<他の実施形態に係る昇降装置>
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0075】
本実施形態に係る搬送台車2は、前実施形態に係る搬送台車2と比較して、昇降装置4に代えて昇降装置52を備える点においてのみ構成が異なる。本実施形態に係る昇降装置52について、図6および図7を参照して詳細に説明する。
【0076】
図6は、本実施形態に係る昇降装置52の全体構成、および、昇降装置52の昇降動作を説明するための概略側面図である。なお、図6においては、図3と同じく、昇降装置4の一部の部材を透過して図示する場合がある。また、図6においては、図3と同じく、昇降装置52の上昇状態52U、中間状態52M、および下降状態52Dについてそれぞれ示す。図7は、図6に示す領域Cについて、昇降装置4のうち、プッシュチェーン10、ガイド14、スプロケット16、および後述するケース54のみを拡大して示す概略拡大図である。
【0077】
本実施形態に係る昇降装置52は、前実施形態に係る昇降装置4と比較して、ケース18に代えてケース54を備え、チェーン支持部20を備えていない。ケース54は、上述した第2屈曲部10Dおよび第3直棒部10Eに加えて、第2直棒部10Bを格納する。このため、ケース54は、さらに、第2直棒部10Bのローラ32を挟支する一組の平面部56を有する。
【0078】
また、ケース54は、ケース18と比較して、第3直棒部10Eのローラ32を挟支する一組の平面部42を有するものの、曲面部40は一つしか有しておらず、一組の曲面部40にて第2屈曲部10Dのローラ32を挟支しない。代わりに、本実施形態に係る昇降装置52において、スプロケット16は第2屈曲部10Dと係合している。このため、第2屈曲部10Dのローラ32は、ケース54が有する曲面部40とスプロケット16によって挟支される。
【0079】
スプロケット16が第2屈曲部10Dと係合するため、本実施形態におけるスプロケット16へのプッシュチェーン10の巻付角は、前実施形態におけるスプロケット16へのプッシュチェーン10の巻付角と比較して増大する。このため、本実施形態においては、前実施形態と比較して、プッシュチェーン10と係合する歯38Tの個数が増大する。
【0080】
これにより、昇降装置52は、プッシュチェーン10を回転させるための力をより効率よくプッシュチェーン10の進退移動の力に伝導でき、プッシュチェーン10とスプロケット16との噛みずれが低減する。また、昇降装置52は、ステージ12上の車体X等の荷重によりプッシュチェーン10から伝達されるスプロケット16を回転させる力に対し、より効率よくスプロケット16を回転させないように維持することができる。したがって、昇降装置52は、ステージ12の耐荷重を増大させることができる。
【0081】
上記点を除き、本実施形態に係る昇降装置52は、前実施形態に係る昇降装置4と同一の構成を備えている。このため、本実施形態に係る昇降装置52は、前実施形態に係る昇降装置4と同じく、スプロケット16が第1屈曲部10Cよりも第2直棒部10Bの側においてプッシュチェーン10と係合する。
【0082】
したがって、本実施形態に係る昇降装置52は、前実施形態に係る昇降装置4について説明した理由と同一の理由から、複雑な設計を必要とすることなく、装置全体の第1方向D1における高さを低減させる設計が可能である。本実施形態に係る昇降装置52を備えた搬送台車2は、搬送台車2の構造を簡素化しつつ、作業者Yの床部6の昇降の負担を低減し、また、床部6上の空間をより広く確保できる。
【0083】
例えば、図7に示すように、ケース54の下端から上端までの第1方向D1における高さを高さH54とする。ここで、ケース54についても、略同一平面である基部22の上面に配置される。このため、高さH54が低いことは、昇降装置4における、ケース54の第1方向D1における高さが低いことを指す。
【0084】
図7から明らかであるように、高さH54はガイド14の第1方向D1における高さである高さH14よりも高い。ここで、例えば、プッシュチェーン10の屈曲できる角度をより大きく設計し、スプロケット16の径をより小さくすることにより、ケース54の第1方向D1における高さをより低く設計することができる。したがって、昇降装置4は、例えば、高さH54を高さH14よりも低くすることにより、装置全体の第1方向D1における高さをより低減することができる。
【0085】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
2 搬送台車
4、52 昇降装置
6 床部
10 プッシュチェーン
10A 第1直棒部
10B 第2直棒部
10C 第1屈曲部
10D 第2屈曲部
10E 第3直棒部
12 ステージ
14 ガイド
16 スプロケット
18、54 ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7