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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】車両フード構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/10 20060101AFI20241224BHJP
   B62D 37/02 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B62D25/10 A
B62D25/10 E
B62D37/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022020089
(22)【出願日】2022-02-14
(65)【公開番号】P2023117499
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 広太
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-138963(JP,A)
【文献】特開2004-136805(JP,A)
【文献】実開昭59-9953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/10
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードに開口が設けられ、該開口にフィンが配置される車両フード構造であって、
前記フィンは、フィン本体と、該フィン本体を下方から支持する立壁と、を有しており、
前記フィン本体は、車両幅方向に延びて設けられており、フィンアウタと該フィンアウタの下側に配置されるフィンインナとからなる分割構造となっており、
前記立壁は、上下方向に延びて設けられており、横断面視における外周面に周方向に非連続となる非連続部が設けられている、車両フード構造。
【請求項2】
前記フィン本体は、内部に中空部を有する中空形状となっている、請求項1記載の車両フード構造。
【請求項3】
前記フィンアウタと前記フィンインナのいずれか一方には、前記フィン本体の横断面視で、前記中空部側に延びており前記フィンアウタと前記フィンインナの他方の端部が対向する段差対向面と、前記他方の端部の前記中空部側に位置する段差裏側面と、を備える段差部が設けられている、請求項2記載の車両フード構造。
【請求項4】
前記フィンアウタと前記フィンインナとの見切り部は、前記フィン本体の下面に設けられている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両フード構造。
【請求項5】
前記立壁は、内部に中空部を有する中空形状となっている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車両フード構造。
【請求項6】
前記立壁は、該立壁の一側の側壁を構成する第1側壁と、該立壁の他側の側壁を構成する第2側壁と、を有しており、
前記第1側壁は、第1外側プライと、該第1外側プライの前記第2側壁側に配置され該第1外側プライと固定される第1内側プライと、を有しており、
前記第2側壁は、第2外側プライと、該第2外側プライの前記第1側壁側に配置され該第2外側プライと固定される第2内側プライと、を有しており、
前記第1内側プライと前記第2内側プライとは互いに固定されており、
前記非連続部は、前記第1外側プライと前記第2外側プライとを互いに固定し合わないことで設けられている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車両フード構造。
【請求項7】
前記非連続部は、前記第1内側プライおよび/または前記第2内側プライにて前記立壁の中空部側から塞がれている、請求項6記載の車両フード構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードの開口にフィンが配置される車両フード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開昭61-009380号公報は、車両のフード(ボンネット)に、空気流出板を回動可能に設けて空力性能を向上させる技術を開示している。
【0003】
ところで、車両のフードに開口を設け、該開口にフィンを配置して開口を通る空気流れを整流することも考えられる。その場合、フィンには、フィン自体の剛性(空気が流れる際およびユーザがフィンを触った際に変形しない程度の剛性)が必要であるとともに、衝突体が上方から衝突した際に衝撃を吸収する性能が必要となり、剛性と衝撃吸収を両立する構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-009380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、フィンの剛性と衝撃吸収を両立できる車両フード構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) フードに開口が設けられ、該開口にフィンが配置される車両フード構造であって、
前記フィンは、フィン本体と、該フィン本体を下方から支持する立壁と、を有しており、
前記フィン本体は、車両幅方向に延びて設けられており、フィンアウタと該フィンアウタの下側に配置されるフィンインナとからなる分割構造となっており、
前記立壁は、上下方向に延びて設けられており、横断面視における外周面に周方向に非連続となる非連続部が設けられている、車両フード構造。
(2) 前記フィン本体は、内部に中空部を有する中空形状となっている、(1)記載の車両フード構造。
(3) 前記フィンアウタと前記フィンインナのいずれか一方には、前記フィン本体の横断面視で、前記中空部側に延びており前記フィンアウタと前記フィンインナの他方の端部が対向する段差対向面と、前記他方の端部の前記中空部側に位置する段差裏側面と、を備える段差部が設けられている、(2)記載の車両フード構造。
(4) 前記フィンアウタと前記フィンインナとの見切り部は、前記フィン本体の下面に設けられている、(1)~(3)のいずれか1つに記載の車両フード構造。
(5) 前記立壁は、内部に中空部を有する中空形状となっている、(1)~(4)のいずれか1つに記載の車両フード構造。
(6) 前記立壁は、該立壁の一側の側壁を構成する第1側壁と、該立壁の他側の側壁を構成する第2側壁と、を有しており、
前記第1側壁は、第1外側プライと、該第1外側プライの前記第2側壁側に配置され該第1外側プライと固定される第1内側プライと、を有しており、
前記第2側壁は、第2外側プライと、該第2外側プライの前記第1側壁側に配置され該第2外側プライと固定される第2内側プライと、を有しており、
前記第1内側プライと前記第2内側プライとは互いに固定されており、
前記非連続部は、前記第1外側プライと前記第2外側プライとを互いに固定し合わないことで設けられている、(1)~(5)のいずれか1つに記載の車両フード構造。
(7) 前記非連続部は、前記第1内側プライおよび/または前記第2内側プライにて前記立壁の中空部側から塞がれている、(6)記載の車両フード構造。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両フード構造によれば、つぎの効果を得ることができる。
(i)フィン本体を下方から支持する立壁が設けられているため、空気が流れる際、ユーザがフィンを触った際、等にフィンが変形することを抑制でき、フィンの単品剛性を担保することができる。
(ii)フィン本体がフィンアウタとフィンインナとからなる分割構造となっているため、フィン本体が分割構造となっていない場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときに分割部分に応力集中が生じフィン本体が破損しやすくなる。また、フィン本体を下方から支持する立壁の外周面に周方向に非連続となる非連続部が設けられているため、立壁に非連続部が設けられていない場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときに非連続部分に応力集中が生じ立壁が破損しやすくなる。よって、上方から衝突体がフィンに衝突した際には、フィン本体と立壁の両方が破損することで衝突エネルギを吸収(EA)できる。
上記(i)、(ii)により、フィンの剛性と衝撃吸収の両立が可能となる。
【0008】
上記(2)の車両フード構造によれば、フィン本体が、内部に中空部を有する中空形状となっているため、フィン本体が中実形状となっている場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときにフィン本体が破損しやすくなり、フィン本体による衝突エネルギ吸収を効果的に行うことができる。
【0009】
上記(3)の車両フード構造によれば、段差部が設けられているため、フィンアウタとフィンインナの見切り部に段差ができることを抑制できる。よって、フィン本体部位を流れる空気流(風流れ)がフィン本体によって乱れることを抑制できる。
【0010】
上記(4)の車両フード構造によれば、フィンアウタとフィンインナの見切り部が、フィン本体の下面に設けられているため、フィンアウタとフィンインナの見切り部が車外から見え難くなり、フィンの意匠性を高めることができる。
【0011】
上記(5)の車両フード構造によれば、立壁が、内部に中空部を有する中空形状となっているため、立壁が中実形状となっている場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときに立壁が破損しやすくなり、立壁による衝突エネルギ吸収を効果的に行うことができる。
【0012】
上記(6)の車両フード構造によれば、立壁の、第1側壁が第1外側プライと第1内側プライを有しており、第2側壁が第2外側プライと第2内側プライとを有しており、第1内側プライと第2内側プライとが互いに固定されているため、第1、第2側壁を互いに固定し合うことができ、空気が流れる際、ユーザがフィンを触った際、等に立壁が変形することを抑制できる。
【0013】
また、非連続部が、第1外側プライと第2外側プライとを互いに固定し合わないことで設けられているため、非連続部を比較的容易に設けることができる。
【0014】
上記(7)の車両フード構造によれば、非連続部が、第1内側プライおよび/または第2内側プライにて立壁の中空部側から塞がれているため、立壁に非連続部が設けられている場合であっても、立壁の中空部に空気(風)が流入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明実施例の車両フード構造が適用される車両前部の模式平面図である。
図2図1におけるダクトの模式平面図である。
図3】本発明実施例の車両フード構造が適用される車両前部の断面図である。
図4】本発明実施例の車両フード構造が用いられる車両前部の、フードを省略した拡大斜視図である。
図5】本発明実施例の車両フード構造が用いられる車両前部の、フードとフィン本体を省略した拡大斜視図である。
図6】本発明実施例の車両フード構造における、フィン本体の拡大断面図である。
図7】本発明実施例の車両フード構造における、立壁の拡大断面図である。
図8】本発明実施例の車両フード構造における、立壁の変形例を示す拡大断面図である。
図9】インパクタが当る直前における、図1のA-A線拡大断面図である。
図10】インパクタが当りフィン本体が破損した状態における、図1のA-A線拡大断面図である。
図11】インパクタが当りフィン本体のみならず立壁も破損した状態における、図1のA-A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の車両フード構造について説明する。なお、図中、UPは車両上方、OUTは車両幅方向外側、FRは車両前方を示す。
【0017】
本発明実施例の車両フード構造10は、図1に示すように、フード20に開口(フード開口)21が設けられ、該開口21にフィン30が配置される構造である。
【0018】
フード20は、車両Vの前部にありラジエータ61等が収容される空間であるフロントコンパートメント60を上方から覆っている。フロントコンパートメント60の車両前側にはフロントバンパ62が配置されている。図3に示すように、フロントバンパ62の上端部62aは、車両幅方向に延びるバンパリンフォースメント67にバンパリテーナ62bを用いて固定されている。フロントバンパ62の上下方向中間部にはグリル63が設けられており、グリル63を通って車両前方からの空気(風)がフロントコンパートメント60に流入するようになっている。フロントコンパートメント60の下側にはアンダーカバー65が設けられている。アンダーカバー65は、フロントバンパ62の下端部62cから車両後方に向って延びて設けられている。
【0019】
フード20は、特に限定されるものではないが、たとえばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)製である。開口21は、フード20の車両前後方向中間部かつ車両幅方向中間部に、フード20を上下方向に貫通して設けられている。車両前方からグリル63を通ってフロントコンパートメント60に流入した空気は、フロントコンパートメント60内(具体的には後述するダクト70内)を車両後方かつ上方に流れた後、開口21を通ってフード20の上方に流出するようになっている。
【0020】
フード20には、フード20の剛性を向上させるために、車両幅方向に延びるフードブラケット23が少なくとも1つ設けられていてもよい。なお、図示例では、フードブラケット23が、フード20の車両前側端部と開口21よりも車両後側の部分に計2つ設けられる場合を示している。
【0021】
フロントコンパートメント60内でフード20の下側には、ダクト70が配置されている。ダクト70は、少なくとも一部がCFRP製である。ダクト70は、車両前方から取り入れた空気(風)を車両後方かつ上方に流す。図2に示すように、ダクト70は、グリル63からフロントコンパートメント60内に流入してきた空気を内部に取り入れる流入口71と、内部を通った空気が排出される排出口72と、を有する。
【0022】
ダクト70は、平面視で、フロントコンパートメント60の車両幅方向中央部またはその近傍で車両前後方向に延びて設けられるセンターダクト部70aと、フロントコンパートメント60内でセンターダクト部70aの車両幅方向の両側で車両前後方向に延びて設けられる一対のサイドダクト部70bと、を有する。
【0023】
センターダクト部70aと一対のサイドダクト部70bは、それぞれ、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。流入口71は、センターダクト部70aと一対のサイドダクト部70bのそれぞれの空気流れ方向上流側端(車両前方側端)に設けられている。そのため、流入口71は、3個設けられている。このため、ダクト70を三方ダクトまたは三方入口ダクトといってもよい。センターダクト部70aと一対のサイドダクト部70bは、それぞれ、流入口71が車両前方に開放するようにして設けられており、流入口71から車両後方かつ上方に湾曲してまたは折れ曲がって延びている。
【0024】
図1に示すように、センターダクト部70aの空気流れ方向中間部には、メインラジエータ61aが配設されており、センターダクト部70aを流れる空気との間で熱交換可能とされている。また、一対のサイドダクト部70bのそれぞれの空気流れ方向中間部には、サブラジエータ61bが配設されており、サイドダクト部70bを流れる空気との間で熱交換可能とされている。
【0025】
センターダクト部70aを流れメインラジエータ61aを通った空気と、一対のサイドダクト部70bを流れサブラジエータ61bを通った空気は、少なくとも一部が合流し、排出口72を通ってダクト70の外に流れるようになっている。排出口72は、開口21に連通している。そのため、ダクト70は、車両前方側から取り入れた空気を開口21へ導いている。
【0026】
一対のサイドダクト部70bのそれぞれの少なくとも空気流れ方向下流側端部は、平面視で車両後方かつセンターダクト部70a側(車両の幅方向中央側)に傾斜する傾斜部70b1となっている。これは、一対のサイドダクト部70bを流れてきた空気流れとセンターダクト部70aを流れてきた空気流れとがぶつかり合ってしまい、排出口72に達する前にダクト70内で空気流れが乱れることを抑制するためである。
【0027】
センターダクト部70aの、メインラジエータ61aより下流側には、センターダクト部70aを流れてきた空気を左右(車両幅方向)に2分割させる仕切り壁73が設けられている。仕切り壁73は、センターダクト部70aに一体に形成されていてもよく、別体に形成されて固定されていてもよい。
【0028】
仕切り壁73は、車両前後方向かつ上下方向に延びて設けられている。すなわち、仕切り壁73は、空気流れと平行またはほぼ平行に延びて設けられている。また、仕切り壁73の車両幅方向長さ(幅)は、センターダクト部70aにおける空気流路の同方向長さ(幅)に比べて著しく小とされている。したがって、仕切り壁73を設けることによる流れの圧力損失が低減されている。
【0029】
フィン30は、開口21を通る空気を整流するために設けられている。そのため、フィン30は整流フィンといってもよい。フィン30により、フロントコンパートメント60から流出してフード20の上面に沿って車両後方に流れる空気流れが車両Vから剥離することが抑制されている。
【0030】
フィン30は、特に限定されるものではないが、たとえばCFRP製である。図4に示すように、フィン30は、土台部31と、フィン本体33と、フィン本体33を下方から支持する立壁38と、を有する。ただし、土台部31は、必須の構成要件ではない。
【0031】
土台部31は、仕切り壁73の上に配置されており仕切り壁73に固定されている。土台部31は、仕切り壁73に一体に形成されていてもよく、別体に形成されて固定されていてもよい。土台部31は、車両前後方向に延びて設けられており、車両前側端部31aで開口21の車両前側縁部21aを形成するフード20部分に固定されており、車両後側端部31bで開口21の車両後側縁部21bを形成するフード20部分に固定されている(図3)。
【0032】
フィン本体33は、車両幅方向に延びて設けられている。フィン本体33は、内部に中空部33aを有する中空形状となっている。フィン本体33は、中空扁平状である。フィン本体33は、フィンアウタ34と該フィンアウタ34の下側に配置されるフィンインナ35とからなる分割構造となっている。
【0033】
図6に示すように、フィンアウタ34とフィンインナ35のいずれか一方には、段差部36が設けられている。なお、図示例では、段差部36がフィンアウタ34に設けられている場合を示している。段差部36は、段差対向面36aと、段差裏側面36bと、を有する。段差対向面36aは、フィン本体33の横断面視(車両幅方向と直交する断面視)で、フィンアウタ34とフィンインナ35の一方の外表面34aから中空部33a側(フィン本体33の内部側)に折れ曲がって延びており、フィンアウタ34とフィンインナ35の他方の端部35aがフィン本体33の横断面視における周方向に対向する面である。段差裏側面36bは、段差対向面36aの中空部33a側の端部(フィン本体33の内部側の端部)から折れ曲がって延びており、端部35aの中空部33a側(フィン本体33の内部側)に位置する面である。
【0034】
フィンアウタ34とフィンインナ35の見切り部37(段差対向面36aと端部35aとで出来る見切り部)は、車外から見え難くするために、フィン本体33の下面33bとなる位置に設けられている。
【0035】
図4図5に示すように、立壁38(柱といってもよい)は、上下方向に延びて設けられている。立壁38は、土台部31から上方に延びて設けられており、上端部でフィン本体33と固定されている。立壁38は、土台部31に一体に形成されていてもよく、別体に形成されて固定されていてもよい。
【0036】
立壁33は、フィン本体33を支持するために設けられている。立壁38は、1つのフィン本体33に対して、1つのみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。立壁38が1つのフィン本体33に対して1つのみ設けられる場合、立壁38はフィン本体33の車幅方向中央部に設けられる。立壁38は、平面視でフィン本体33によって隠れる大きさとされている。
【0037】
立壁38は、内部に中空部38aを有する中空形状となっている。立壁38は、車両前後方向長さが車両幅方向長さに比べて大となっている。これは、立壁38を空気流れと平行に延びて設けることで立壁38を設けることによる流れの圧力損失を低減するためである。
【0038】
立壁38は、立壁38の車両幅方向の一側の側壁を構成する第1側壁39と、立壁38の車両幅方向の他側の側壁を構成する第2側壁40と、を有している。図7図8に示すように、第1側壁39は、第1外側プライ39aと、第1外側プライ39aの第2側壁40側に配置され第1外側プライ39aと固定される第1内側プライ39bと、を有している。第2側壁40は、第2外側プライ40aと、第2外側プライ40aの第1側壁39側に配置され第2外側プライ40aと固定される第2内側プライ40bと、を有している。
【0039】
第1内側プライ39bと第2内側プライ40bとは互いに固定されている。中空部38aは、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bとで囲まれる空間である。第1内側プライ39bと第2内側プライ40bとのいずれか一方には、内側段差部42が設けられている。なお、図示例では、内側段差部42が第2内側プライ40bに設けられる場合を示している。内側段差部42は、内側段差対向面42aと、内側段差裏側面42bと、を有する。内側段差対向部42aは、立壁38の横断面視(上下方向と直交する断面視)で、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの一方の外表面40b1から中空部38a側(立壁38の内部側)に折れ曲がって延びており、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの他方の端部39b1が立壁38の横断面視における周方向に対向する面である。内側段差裏側面42bは、内側段差対向面42aの中空部38a側の端部(立壁38の内部側の端部)から折れ曲がって延びており、端部39b1の中空部38a側(立壁38の内部側)に位置する面である。内側段差部42により、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bとの見切り部に段差が生じることが抑制されている。
【0040】
第1外側プライ39aと第2外側プライ40aは、立壁38の外周面(外表面)38bを形成している。第1外側プライ39aと第2外側プライ40aとは、互いに固定されていない。このため、立壁38には、横断面視における外周面38bに周方向に非連続となる非連続部41(周方向に互いに固定されていない部位)が設けられている。第1外側プライ39aと第2外側プライ40aとは、非連続部41で、互いに当接していてもよく(図7)、離れていてもよい(図8)。
【0041】
非連続部41は、第1内側プライ39bおよび/または第2内側プライ40bにて立壁38の中空部38a側(立壁38の内部側)から塞がれている。
【0042】
非連続部41の中空部38a側には、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの両方が位置していてもよく(図7)、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの一方のみが位置していてもよい(図8)。第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの両方が位置する場合(図7)、非連続部41の中空部38a側が2層となる。これに対して、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの一方のみが位置する場合(図8)、非連続部41の中空部38a側は1層となる。そのため、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bの両方が位置する場合(図7)の方が、立壁38の剛性が高くなる。つまり、立壁38の外周面38bに非連続部41が設けられている場合に、第1内側プライ39bと第2内側プライ40bとで、見た目は不変で立壁38の剛性を変えることができる(剛性チューニングが可能である)。
【0043】
ここで、本発明実施例の作用、効果を説明する。
図9図11に示すように、衝突試験時であってフィン30に上方から衝突体(インパクタ)Hが衝突すると、フィン30に下方向へ荷重がかかる。そのため、分割構造となっているフィン本体33の分割部分に応力集中が生じフィン本体33が破損する(潰れる)(図10)。また、フィン本体33が潰れると同時またはフィン本体33が潰れた後には、立壁38にも下方向へ荷重がかかるため、非連続部41が設けられている立壁38の非連続部分に応力集中が生じ立壁38が破損する(潰れる)(図11)。
【0044】
(A)(i)フィン本体33を下方から支持する立壁38が設けられているため、空気が流れる際、ユーザがフィン30を触った際、等にフィン30が変形することを抑制でき、フィン30の単品剛性を担保することができる。
(ii)フィン本体33がフィンアウタ34とフィンインナ35とからなる分割構造となっているため、フィン本体33が分割構造となっていない場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときに分割部分に応力集中が生じフィン本体33が破損しやすくなる。また、フィン本体33を下方から支持する立壁38の外周面38bに周方向に非連続となる非連続部41が設けられているため、立壁38に非連続部41が設けられていない場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときに非連続部分に応力集中が生じ立壁38が破損しやすくなる。よって、上方から衝突体Hがフィン30に衝突した際には、フィン本体33と立壁38の両方が破損することで衝突エネルギを吸収(EA)できるとともに、フィン30の変形のストロークを確保することができる。
上記(i)、(ii)により、フィン30の剛性と衝撃吸収の両立が可能となる。
【0045】
(B)フィン本体33が、内部に中空部33aを有する中空形状となっているため、フィン本体33が中実形状となっている場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときにフィン本体33が破損しやすくなり、フィン本体33による衝突エネルギ吸収を効果的に行うことができる。
【0046】
(C)段差部36が設けられているため、フィンアウタ34とフィンインナ35の見切り部37に段差ができることを抑制できる。よって、フィン本体33部位を流れる空気流(風流れ)がフィン本体33によって乱れることを抑制できる。
【0047】
(D)フィンアウタ34とフィンインナ35の見切り部37が、フィン本体33の下面33bに設けられているため、フィンアウタ34とフィンインナ35の見切り部37が車外から見え難くなり、フィン30の意匠性を高めることができる。
【0048】
(E)立壁38が、内部に中空部38aを有する中空形状となっているため、立壁38が中実形状となっている場合に比べて、上方から衝突荷重が作用したときに立壁38が破損しやすくなり、立壁38による衝突エネルギ吸収を効果的に行うことができる。
【0049】
(F)立壁38の、第1側壁39が第1外側プライ39aと第1内側プライ39bを有しており、第2側壁40が第2外側プライ40aと第2内側プライ40bを有しており、第1内側プライ30bと第2内側プライ40bとが互いに固定されているため、第1、第2側壁39,40を互いに固定し合うことができ、空気が流れる際、ユーザがフィン30を触った際、等に立壁38が変形することを抑制できる。
【0050】
(G)非連続部41が、第1外側プライ39aと第2外側プライ40aとを互いに固定し合わないことで設けられているため、非連続部41を比較的容易に設けることができる。
【0051】
(H)非連続部41が、立壁38の横断面視で、第1内側プライ39bおよび/または第2内側プライ40bにて立壁38の中空部38a側から塞がれているため、立壁38に非連続部41が設けられている場合であっても、立壁38の中空部38a内に空気(風)が流入することを抑制できる。
【0052】
(I)立壁38は、車両前後方向長さが車両幅方向長さに比べて大となっているため、車両前後方向長さが車両幅方向長さに比べて小となっている場合に比べて、立壁38が立壁38部位を流れる空気流れ(風流れ)を遮ることを抑制でき、立壁38を設けることによる流れの圧力損失を低減できる。
【符号の説明】
【0053】
10 車両フード構造
20 フード
21 開口
30 フィン
31 土台部
31a 土台部の車両前側端部
31b 土台部の車両後側端部
33 フィン本体
33a フィン本体の中空部
33b フィン本体の下面
34 フィンアウタ
35 フィンインナ
36 段差部
36a 段差対向面
36b 段差裏側面
37 見切り部
38 立壁
38a 立壁の中空部
38b 立壁の外周面
39 第1側壁
39a 第1外側プライ
39b 第1内側プライ
40 第2側壁
40a 第2外側プライ
40b 第2内側プライ
41 非連続部
42 内側段差部
42a 内側段差対向面
42b 内側段差裏側面
60 フロントコンパートメント
61 ラジエータ
67 バンパリンフォースメント
70 ダクト
71 流入口
72 排出口
73 仕切り壁
H インパクタ
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11