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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20241224BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241224BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241224BHJP
   H02M 3/135 20060101ALI20241224BHJP
   B60L 9/18 20060101ALN20241224BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20241224BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02M7/48 R
H02M3/135 C
B60L9/18 J
B60L50/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022118627
(22)【出願日】2022-07-26
(65)【公開番号】P2024016474
(43)【公開日】2024-02-07
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田川 洋輔
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0331293(US,A1)
【文献】特開2020-150705(JP,A)
【文献】特開2017-139834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/00
H02J 7/35
H02J 7/34
H02M 7/48
H02M 3/135
B60L 9/18
B60L 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統との間で電力の授受を行う連系運転と、前記電力系統と解列された自立運転とを切り替え可能な電源システムであって、
蓄電装置およびDCDCコンバータを含む電池ユニットと、
電力指令に基づいて前記電池ユニットの出力電力を制御する制御装置と、を備え、
前記自立運転では、前記電池ユニットの電力が電気負荷に供給され、
前記連系運転では、前記電力系統からの供給電力が前記電気負荷に供給され、
前記制御装置は、
前記電源システムが前記連系運転する場合には、前記電力指令と前記電池ユニットの出力電力との偏差が第1閾値以上のとき、前記電源システムの故障と判定し、
前記電源システムが前記自立運転する場合には、前記偏差が前記第1閾値より大きい第2閾値以上のとき、前記電源システムの故障と判定する、電源システム。
【請求項2】
前記第1閾値は、前記出力電力の制御誤差に基づいて設定され、
前記第2閾値は、前記電気負荷の消費電力に基づいて設定される、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記電池ユニットの前記出力電力が、前記電力指令になるようフィードバック制御を実行するとともに、前記偏差に基づいて算出されたフィードバック量を上限値および下限値で制限し、
前記電源システムが前記連系運転する場合には、前記自立運転する場合に比較して、前記上限値および前記下限値を小さくする、請求項1または請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記電池ユニットは、複数であり、互いに並列に接続されている、請求項1または請求項2に記載の電源システム。
【請求項5】
前記DCDCコンバータは、三相インバータを転用したものであり、
前記三相インバータの各相アームに、前記蓄電装置が接続されている、請求項4に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システムに関し、特に、電力系統との間で電力の授受を行う連系運転と、電力系統と解列された自立運転とを切り替え可能な電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-213246号公報(特許文献1)には、DC/DCコンバータにおいて、入力電力と出力電力の偏差、あるいは、入力電圧と出力電圧の比とデューティ比の差に基づいて、DC/DCコンバータの故障を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-213246号公報
【文献】特開2016-67132号公報
【文献】特開2015-154625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電力供給の安定化のために、充放電可能な蓄電装置を備えた電源システム(蓄電システム)を、分散型エネルギーリソースのひとつとして活用している。蓄電装置を備えた電源システムを電力系統に並列(接続)することにより、電力系統の電力需要を増やす要請(上げDR(デマンドレスポンス))があった場合には、蓄電装置を充電することにより、上げDRに応えることができる。また、電力系統の電力需要を抑制する要請(下げDR)があった場合には、蓄電装置に蓄えた電力を放電し逆潮流を行うことにより、下げDRに応えることができる。
【0005】
このような電源システムにおいて、電源システムの入出力電力の制御は、電源システムと電力系統とを接続するPCS(Power Conditioning Subsystem:Power Conditioning System)からの要求電力に基づいて行われる。PCSは、電源システム(蓄電装置)の放電電力を交流電力に変換し、電力系統の交流電力を電源システム(蓄電装置)の充電電力に変換する。電源システムが電力系統に並列され、電源システムと電力系統との間で電力の授受を行う連系運転(系統連系)時には、電源システムの入出力電力が、PCSからの要求電力に基づいた電力指令になるよう制御される。連系運転時、PCSに接続されている電気負荷(たとえば、家庭負荷)への電力供給は、電力系統から行われるので、PCSからの要求電力は、DRに応答する電力であり、電力指令が大きく変動することはない。このため、連系運転時、電力指令と電源システム(蓄電装置)の出力電力との偏差は、電源システムにおける電力制御の制御誤差程度の範囲に収まる。したがって、連系運転時には、電力指令と出力電力との偏差が制御誤差の範囲を超えて大きくなった場合、電源システムの故障を疑うことができるので、電力指令と出力電力との偏差を閾値と比較することにより、電源システムの故障検知を行うことができる。
【0006】
停電等によって電力系統からの電力供給が困難な場合、電力系統と電源システムとが解列(遮断)され、電源システムは自立運転を行う。自立運転時、PCSに接続された電気負荷への電力供給は、電源システム(蓄電装置)から行われるので、電気負荷が消費する電力のすべてを、電源システムから出力(放電)するよう電力指令が生成される。PCSに接続される電気負荷は、種々多数であり、様々なタイミングでON/OFFを繰り返すので、電気負荷が消費する電力が大きく変動し、電力指令も大きく変動する。このため、自立運転時には、電力指令と出力電力との偏差が大きくなり、電力指令と出力電力との偏差を、連系運転時の閾値と比較しても、電源システムの故障検知を適切におこなうことができない。
【0007】
本開示の目的は、電源システムの連系運転時および自立運転時に、電源システムの故障検知を適切に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示の電源システムは、電力系統との間で電力の授受を行う連系運転と、電力系統と解列された自立運転とを切り替え可能な電源システムである。電源システムは、蓄電装置とDCDCコンバータとを含む電池ユニットと、電力指令に基づいて電池ユニットの出力電力を制御する制御装置とを備える。自立運転では、電池ユニットの電力が電気負荷に供給され、連系運転では、電力系統からの供給電力が電気負荷に供給される。制御装置は、電源システムが連系運転する場合には、電力指令と電池ユニットの出力電力との偏差が、第1閾値以上のとき、電源システムの故障と判定し、電源システムが自立運転する場合には、電力指令と電池ユニットの出力電力との偏差が第1閾値より大きい第2閾値以上のとき、電源システムの故障と判定する。
【0009】
この構成によれば、電源システムは、蓄電装置とDCDCコンバータとを含む電池ユニットを備え、電力系統との間で電力の授受を行う連系運転と、電力系統と解列された自立運転とを切り替え可能である。電源システムの制御装置は、電力指令に基づいて電池ユニットの出力電力を制御する。電源システムにおいて、自立運転では、電池ユニットの電力が電気負荷に供給され、連系運転では、電力系統からの供給電力が電気負荷に供給される。制御装置は、電源システムが連系運転する場合には、電力指令と電池ユニットの出力電力との偏差が、第1閾値より大きいとき、電源システムの故障と判定する。制御装置は、電源システムが自立運転する場合には、電力指令と電池ユニットの出力電力との偏差が第1閾値より大きな第2閾値より大きいとき、電源システムの故障と判定する。なお、本開示において、「α以上」とは「αより大きい」ことと同義である。
【0010】
電源システムの制御装置は、電力指令に基づいて電池ユニットの出力電力を制御する。連系運転時、電気負荷(たとえば、家庭負荷)への電力供給は、電力系統から行われるので、電気負荷の消費電力によって、電力指令が大きく変動することはない。このため、連系運転時、電力指令と電池ユニットの出力電力の偏差は、電源システムにおける出力電力の制御誤差程度の範囲に収まる。したがって、制御装置は、連系運転時、電力指令と出力電力との偏差が制御誤差の範囲を超えて、第1閾値より大きくなった場合、電源システムの故障と判定する。
【0011】
自立運転時には、電池ユニットの出力電力が電気負荷に供給されるので、電気負荷の消費電力によって、電力指令が大きく変動するとともに出力電力も大きく変動する。このため、電源システムが正常であっても、電力指令と電池ユニットの出力電力との偏差が第1閾値より大きくなることがある。制御装置は、自立運転時、電力指令と出力電力との偏差が第1閾値を超えても、電源システムの故障と判定することがなく、電力指令と出力電力との偏差が第2閾値より大きくなった場合に電源システムの故障と判定する。したがって、この構成によれば、電源システムの連系運転時および自立運転時に、電源システムの故障検知を適切に行うことができる。
【0012】
(2)好ましくは、第1閾値は、出力電力の制御誤差に基づいて設定され、第2閾値は、電気負荷の消費電力に基づいて設定される。
【0013】
連系運転時において、電源システムが正常な場合、電力指令と電池ユニット(電源システム)の出力電力との偏差は、各種センサの検出誤差(個体差)やスイッチング素子等、各素子の特性差等に起因した出力電力の制御誤差の範囲内に収まる。したがって、第1閾値を、出力電力の制御誤差に基づいて、たとえば、制御誤差の1.5~2倍に設定することにより、連系運転時において、電源システムの故障を早期かつ適切に判定することができる。
【0014】
自立運転時には、電池ユニット(電源システム)の出力電力が電気負荷に供給されるので、電気負荷の消費電力によって、電力指令が大きく変動するとともに出力電力も大きく変動する。第2閾値は、電気負荷の消費電力に基づいて、たとえば、電池ユニットから電力が供給される電気負荷のうち、最も消費電力が大きな電気負荷の最大消費電力の値に設定する。これにより、自立運転時において、異常な電力が出力されていることを検知でき、電源システムの故障を適切に判定することができる。
【0015】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)において、制御装置は、電池ユニットの出力電力が電力指令になるようフィードバック制御を実行するとともに、電力指令と出力電力の偏差に基づいて算出されたフィードバック量を上限値および下限値で制限し、電源システムが連系運転する場合には、自立運転する場合に比較して、上限値および下限値が小さくなるようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、電池ユニットの出力電力の制御は、電力指令と出力電力との偏差に基づいて算出されたフィードバック量を用いて、フィードバック制御によって行われる。電力指令と出力電力との偏差に基づいて算出されたフィードバック量は、上限値および下限値によって制限される。
【0017】
電源システムが連系運転する場合は、自立運転する場合に比較して、上限値および下限値が小さくされる。本開示において、下限値が小さくされるとは、下限値が負の場合においては、負の値が小さくされることである。なお、上限値が負の場合、上限値が小さくされるとは、負の値が大きくされることである。連系運転時には、小さな上限値および下限値によって、フィードバック量が制限されるので、外乱等によって出力電力が大きく変動することが抑制される。自立運転時には、フィードバック量を制限する上限値および下限値が大きくなるので、負荷変動に対する出力電力の応答性が向上する。
【0018】
(4)好ましくは、上記(1)~(3)において、電池ユニットは、複数であり、互いに並列に接続されているようにしてよい。
【0019】
この構成によれば、複数の電池ユニットが並列接続されて電源システムを構成するので、電源システムの入出力電力を大きくすることができる。
【0020】
(5)好ましくは、上記(1)~(4)において、DCDCコンバータは、三相インバータを転用したものであり、三相インバータの各相アームに、蓄電装置が接続されるようにしてもよい。
【0021】
近年、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)や電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの電動車両の普及が進んでいる。これら車両の買い換え、解体等に伴って回収されるバッテリ(蓄電装置)やPCU(Power Control Unit)を、リサイクルあるいはリユースすることが望まれる。この構成によれば、回収したPCUの三相インバータを、電源システムのDCDCコンバータに転用することにより、PCUのリユースを促進することができる。なお、電源システムの蓄電装置として、回収したバッテリ(蓄電装置)も用いれば、バッテリのリユースを促進することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、電源システムの連系運転時および自立運転時に、電源システムの故障検知を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態の電源システムの全体構成を示す図である。
図2】電動車両の一例を説明する図である。
図3】電源システムの制御装置の構成の一例を示す図である。
図4】電源システムの出力電力を制御するブロック線図の一例である。
図5】制御ECUで実行される故障判定ルーチンの処理の一例を示すフローチャートである。
図6】変形例1に係る、電源システムの制御装置を説明する図である。
図7】変形例2における電源システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
図1は、本実施の形態の電源システムPの全体構成を示す図である。電源システムPは、バッテリパック1とDCDCコンバータ2とを含む電池ユニットBuと、制御装置3とを備える。バッテリパック1は、本開示の「蓄電装置」の一例に相当する。本実施の形態において、電池ユニットBu(バッテリパック1およびDCDCコンバータ2)は、電動車両に搭載されるバッテリパックおよびPCU(Power Control Unit)を、電源システムPに転用したものである。バッテリパックおよびPCUを搭載した電動車両の構成の一例を説明する。
【0026】
図2は、電動車両の一例を説明する図である。図2において、電動車両Vは、回転電機とエンジンとを車両の駆動に併用するハイブリッド車である。電動車両Vは、バッテリパック1と、PCU20と、エンジン30と、回転電機としてのモータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構40と、駆動輪50と、を含む。
【0027】
バッテリパック1は、バッテリ10とシステムメインリレー(SMR)11とを備える。バッテリ10は、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、等の二次電池からなる単電池(電池セル)を、電気的に直列に接続した組電池である。バッテリパック1の出力端子(正極端子,負極端子)は、PCU20のバッテリ接続端子25に接続され、SMR11が閉成すると、バッテリ10とPCU20とが接続され、SMR11が開放されると、バッテリ10とPCU20との接続が遮断される。バッテリパック1には、監視ユニット15が設けられており、バッテリ10の電圧VB、バッテリ10の入出力電流IB、および、バッテリ10の温度等を検出する。
【0028】
PCU20は、昇圧コンバータ21、インバータ22およびインバータ23を含む。昇圧コンバータ21は、バッテリパック1から入力されるバッテリ電圧VBを昇圧し、インバータ22およびインバータ23に出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ21から昇圧された直流電力を三相交流電力に変換して、たとえばエンジン30を始動させるために、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ22は、エンジン30から伝達される動力によってモータジェネレータMG1で発電された交流電力を直流電力に変換し昇圧コンバータ21に戻す。このとき昇圧コンバータ21は、降圧回路として動作するよう制御される。インバータ23は、昇圧コンバータ21から出力された直流電力を三相交流電力に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
【0029】
動力分割機構40は、エンジン30とモータジェネレータMG1,MG2とに連結されて、これらの間で動力を分配する機構である。動力分割機構40として、遊星歯車機構を用いることができ、たとえば、エンジン30がプラネタリキャリアに、モータジェネレータMG1がサンギヤに、モータジェネレータMG2がリングギヤに接続されている。モータジェネレータMG2のロータ(および動力分割機構40のリングギヤの回転軸)は、図示しない減速ギヤ、差動ギヤおよびドライブシャフトを介して駆動輪50に連結されている。
【0030】
PCU20の昇圧コンバータ21は、リアクトルと、スイッチング素子Q1a,Q1b,Q2a,Q2bとを含む。スイッチング素子Q1a~Q2bは、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子からなり、各IGBT素子と逆並列に接続されるダイオードを含む。スイッチング素子Q1aとスイッチング素子Q1bとが並列に設けられ、スイッチング素子Q2aとスイッチング素子Q2bとが並列に設けられており、スイッチング素子Q1aとスイッチング素子Q1bとは同一の駆動信号で駆動され、スイッチング素子Q2aとスイッチング素子Q2bとは同一の駆動信号で駆動される。スイッチング素子Q1a,Q1bのコレクタが正極線Plに接続され、スイッチング素子Q2a,Q2bのエミッタが負極線Nlに接続されている。リアクトルは、スイッチング素子Q1a,Q1bのエミッタおよびスイッチング素子Q2a,Q2bのコレクタに接続されている。
【0031】
インバータ22は、三相インバータであり、正極線Plと負極線Nlとの間に直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4からなるU相アームと、正極線Plと負極線Nlとの間に直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6からなるV相アームと、正極線Plと負極線Nlとの間に直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8からなるW相アームとを備える。スイッチング素子Q3~Q8は、スイッチング素子Q1aと同様に、IGBT素子と逆並列に接続されるダイオードを含むスイッチング素子である。
【0032】
各相のアームの中間点は、MG1接続端子26を介して、モータジェネレータMG1の各相のコイルに接続されている。モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石同期モータであり、たとえばIPM(Interior Permanent Magnet)同期電動機であってよい。
【0033】
インバータ23の構成は、各相のアームのスイッチング素子が並列に設けられている他は、インバータ22の構成と同様な三相インバータである。スイッチング素子Q9a,Q9bがスイッチング素子Q3に相当し、スイッチング素子Q10a,Q10bがスイッチング素子Q4に相当してU相アームを構成する。スイッチング素子Q11a,Q11bがスイッチング素子Q5に相当し、スイッチング素子Q12a,Q12bがスイッチング素子Q6に相当してV相アームを構成する。スイッチング素子Q13a,Q13bがスイッチング素子Q7に相当し、スイッチング素子Q14a,Q14bがスイッチング素子Q8に相当してW相アームを構成する。
【0034】
各相のアームの中間点は、MG2接続端子27を介して、モータジェネレータMG2の各相のコイルに接続されている。モータジェネレータMG2も、IPM同期電動機であってよい。
【0035】
電動車両Vは、制御装置として、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)(HV-ECU)200、モータジェネレータECU(MG-ECU)210、バッテリECU(BT-ECU)220、および、エンジンECU(EG-ECU)230を備える。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、バッファ(いずれも図示せず)とを含んで構成される。
【0036】
BT-ECU220は、監視ユニット15で検出した、バッテリ10の電圧VBおよび入出電力IB等に基づいて、バッテリ10のSOC(State Of Charge)を演算し、HV-ECU200へ送信する。
【0037】
HV-ECU200は、電動車両Vの走行制御のために、たとえば、アクセル開度、車速等に基づいて要求駆動トルクTrを算出し、要求駆動トルクTrに駆動輪50の回転速度を乗じて、要求パワーPdを求める。要求パワーPdからバッテリ10のSOCに基づく充放電パワーPb(バッテリ10から放電するときに正の値)を減じて、エンジン30に要求される要求パワーPeを設定する。そして、エンジン30から要求パワーPeが出力されるとともに、要求駆動トルクTrが駆動輪50に出力されるよう、目標エンジン回転速度Ne、目標エンジントルクTe、モータジェネレータMG1の指令トルクTm1およびモータジェネレータMG2の指令トルクTm2を設定する。
【0038】
MG-ECU210は、モータジェネレータMG1から指令トルクTm1が出力されるよう、インバータ22の各スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。また、MG-ECU210は、モータジェネレータMG2から指令トルクTm2が出力されるよう、インバータ23の各スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
【0039】
EG-ECU230は、エンジン30が目標エンジン回転速度Neおよび目標エンジントルクTeで運転されるようエンジン30を制御する。
【0040】
図1を参照して、電源システムPにおいて、バッテリパック1およびDCDCコンバータ2は、電動車両Vに搭載されたバッテリパック1およびPCU20を転用したものである。3個のバッテリパック1(1-1-1、1-1-2、1-1-3)の出力端子の正極端子が、PCU20のインバータ23(三相インバータ)の各相アーム(U相アーム、V相アーム、W相アーム)の中間点が接続されたMG2接続端子27に、コイル(インダクタ)5を介して接続される。バッテリパック1の正極端子とコイル5との間の電力線は、コンデンサ6を介して、バッテリパック1の出力端子の負極端子と接続される。バッテリパック1の負極端子は、電力線Nl1によって、PCU20の負極線Nlに接続される。なお、図1においては、監視ユニット15の図示を省略している。バッテリパック1が、本開示の「蓄電装置」の一例に相当する。
【0041】
DCDCコンバータ2において、PCU20のインバータ22のスイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、および、スイッチング素子Q7が短絡されている。インバータ22の各相アームの中間点が接続されたMG1接続端子26において、U相アームが接続された端子が、電力線Nl2によって、バッテリ接続端子25の負極端子に接続される。バッテリ接続端子25の負極端子は、電池ユニットBuの負極端子28bに接続される。MG1接続端子26において、V相アームおよびW相アームが接続される端子が、電力線Pl1によって、電池ユニットBuの正極端子28aに接続される。
【0042】
このようにPCU20のインバータ23の各相アームをバッテリパック1に接続し、インバータ22の一部のスイッチング素子を短絡させ、MG1接続端子26を電池ユニットBuの正極端子28a、負極端子28bに接続することによって、PCU20は、インバータ23の各相アームに接続されたバッテリパック1(バッテリ10)の電圧を昇圧するDCDCコンバータ2に転用されている。
【0043】
電源システムPは、PCU20を転用したDCDCコンバータ2を含む電池ユニットBuを複数備え、各電池ユニットBuはPCS100に対して並列に接続される。本実施の形態において、電池ユニットBuは、n個(nは正の整数)の電池ユニットBuを備えており、たとえば、20個の電池ユニットBuを備えてよい。図1において、nはn番目の電池ユニットBu、電池ユニットBuに含まれるDCDCコンバータ2およびバッテリパック1を表している。なお、電池ユニットBuには、3個のバッテリパック1が並列に接続されており、20個の電池ユニットBuを備えた電源システムPでは、60個のバッテリパック1が並列に接続されている。
【0044】
各電池ユニットBuの正極端子28aは、正極線PLを介して、PCS100の入出力端子に接続される。各電池ユニットBuの負極端子28bは、負極線NLを介して、PCS100の入出力端子に接続される。
【0045】
PCS100は、電源システムPに加え、電力系統PG、太陽光発電装置650、および、負荷(電気負荷)300に接続されている。電力系統PGは、発電所や送電網からなる、たとえば商用電源である。PCS100は、電力変換装置を含み、太陽光発電装置650で発電した電力を負荷300に供給したり、逆潮流を行ったりする。PCS100は、上げDRの要請があると、電力系統PGの交流電力を直流電力に変換し、電源システムP(電池ユニットBu)の充電を行う。PCS100は、下げDRの要請があると、電源システムP(電池ユニットBu)の放電電力(出力電力)を交流電力に変換し、逆潮流を行う。負荷300は、家庭負荷(家電)であってよく、事業所や工場の電気負荷であってよい。
【0046】
電源システムPは、電力系統PGとの間で電力の授受を行う連系運転と、電力系統PGと解列された(遮断された)自立運転とを行う。連系運転時、負荷300への電力供給は、主に、電力系統PGの電力が供給される。連系運転時、電源システムPは、下げDRあるいは上げDRの要請に応じて、電力系統PGと電力の授受を行う。電源システムPの自立運転時には、電源システムP(電池ユニットBu)の出力電力(放電電力)が、負荷300に供給される。
【0047】
図3は、電源システムPの制御装置3の構成の一例を示す図である。制御装置3は、制御ECU400と駆動ECU450とを備える。各ECUは、CPUと、メモリと、バッファ(いずれも図示せず)とを含んで構成される。PCS-ECU500は、PCS100を制御する制御装置であり、電源システムP(電池ユニットBu)から出力される電力の要求値、あるいは、電源システムPに入力される電力の要求値である要求電力RP、および、電源システムPから出力される電圧の指令値である電圧指令VHを、制御ECU400に出力する。
【0048】
制御ECU400は、電源システムPから電力を出力するとき(電池ユニットBuから放電するとき)、要求電力RPおよび電圧指令VHに基づいて電力指令TPを生成する。駆動ECU450は、電源システムP(電池ユニットBu)の出力電力が、電力指令TPになるよう、電池ユニットBu(DCDCコンバータ2)をPMW制御する。
【0049】
図4は、電源システムPの出力電力を制御するブロック線図の一例である。このブロック線図は、制御ECU400に構成されてよい。図4において、電圧指令VHおよび要求電力RPは、PCS-ECU500から入力される。電圧指令VHは、電源システムPの出力電圧の要求値(目標電圧)であり、たとえば、100Vあるいは200Vであってよい。要求電力RPは、下げDRの要請によって連系運転を行う際、逆潮流を行う電力として、PCS-ECU500から要求される電力値である。電源システムPの自立運転時には、電源システムPは電力系統PGと解列されているので、要求電力RPは、0(零)である。要求電力RPは、実効値であってよい。
【0050】
図4において、出力電圧VPは、電源システムPの出力電圧であり、出力電力OPは、電源システムPの出力電力である。出力電力OPは、電源システムPの出力電圧VPと出力電流IPとから算出してよい。電圧指令VHと出力電圧VPとが差し引き点301に入力され、出力電圧VPが電圧指令VHになるよう電圧補正CPが生成され、加え合わせ点302に入力される。電圧補正CPは、出力電圧VPが電圧指令VHより大きい場合、負の値であり、出力電圧VPが電圧指令VHより小さい場合、正の値になる。
【0051】
加え合わせ点302には、要求電力RPとフィードバック量FPが入力され、要求電力RPとフィードバック量FPと電圧補正CPとが加算された値が、電力指令TPとして出力される。出力電力OPと電力指令TPを差し引き点303に入力し、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPに基づいて、比例積分(PI)制御によって生成されたフィードバック量FPが、加え合わせ点302に入力される。なお、フィードバック量FPは、上下限値(上限値および下限値)によってガード処理されたあと、加え合わせ点302に入力される。
【0052】
電源システムPの連系運転時、負荷300への電力供給は、電力系統PGから行われる。連系運転時、要求電力RPは、逆潮流の電力として、PCS-ECU500から指令(要求)される電力値であり、負荷300の負荷変動(消費電力の変動)によって変動することがない。連系運転時、電源システムPの出力電圧VPに大きな変動がなければ、出力電力OPと要求電力RPとの差は、電源システムPの制御誤差程度の範囲に収まる。したがって、連系運転時、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPも、電源システムPの出力電力の制御誤差の範囲に収まる。電源システムPに何らかの故障/異常が生じた場合、偏差ΔPが制御誤差の範囲を超えて大きくなる。制御誤差を考慮した第1閾値Th1(たとえば、制御誤差の1.5~2倍に相当する閾値)を設定し、偏差ΔPと第1閾値Th1とを比較し、偏差ΔPが第1閾値Th1より大きくなった場合、電源システムPに故障が生じていると判定することができる。
【0053】
電源システムPの自立運転時、負荷300への電力供給は、電源システムP(電池ユニットBu)から行われる。このため、電源システムPの出力電力OPは、負荷300の消費電力相当になる。なお、自立運転時、PCS-ECU500から指令される要求電力RPは、0である。負荷300の消費電力が変動し、消費電力が増加すると、電源システムPの出力電圧VPが低下し、消費電力が減少すると、出力電圧VPが上昇する。出力電圧VPが変動すると、出力電圧VPを電圧指令VHに維持するために、電圧補正CPが変動し、電力指令TPが変動する。電力指令TPの変動幅は、負荷300の消費電力の変動幅に相当し、電源システムPの出力電力の制御誤差の範囲を超える。このため、自立運転時、電源システムPに故障/異常が発生していなくとも、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPが第1閾値Th1より大きくなる。したがって、自立運転時にも、第1閾値Th1と偏差ΔPとを比較して、電源システムPの故障を判定すると、誤判定(誤検知)を行う場合がある。本実施の形態では、電源システムPの自立運転時には、第1閾値Th1より大きな第2閾値Th2と、偏差ΔPとを比較することにより、電源システムPの故障を判定(検知)する。これにより、自立運転時であっても、電源システムPの故障を適切に判定できるようにする。
【0054】
図5は、制御ECU400で実行される故障判定ルーチンの処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、電源システムPの作動中、所定期間毎に繰り返し処理される。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10において、電源システムPが自立運転中であるか否かを判定する。本実施の形態では、PCS-ECU500から、電源システムPが電力系統PGに並列され連系運転を行っているか、あるいは、電源システムPが電力系統PGから解列され自立運転を行っているかの情報(信号)が送信される。PCS-ECU500からの情報が連系運転である場合、否定判定されS11へ進む。PCS-ECU500からの情報が自立運転である場合、肯定判定されS12へ進む。
【0055】
S11では、閾値Thを第1閾値Th1に設定する。第1閾値Th1は、連系運転時における電源システムPの出力電力の制御誤差の1.5~5倍に相当する値であってよい。たとえば、本実施の形態では、第1閾値Th1は5kWである。また、S11では、フィードバック量FPの上限値UlをAに設定するとともに、下限値Llを-Aに設定する。なお、±Aの値は、第1閾値Th1と同様に、電源システムPの出力電力の制御誤差を考慮して設定されてよく、制御誤差の1.5~3倍に相当する値であってよい。たとえば、本実施の形態では、±Aの値は5kWに設定されている。
【0056】
S12では、閾値Thを第2閾値Th2に設定する。第2閾値Th2は、第1閾値Th1より大きな値であり、負荷300において最も消費電力の大きな負荷の最大消費電力に基づいて設定されてよい。たとえば、本実施の形態では、第2閾値Th2は30kWである。また、S12では、フィードバック量FPの上限値UlをBに設定するとともに、下限値Llを-Bに設定する。なお、±Bの値は、±Aの値より大きく、第2閾値Th2と同様に、最も消費電力の大きな負荷の最大消費電力に基づいて設定される。たとえば、本実施の形態では、±Bの値は30kWに設定されてよい。
【0057】
続くS13では、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPが閾値Thより大きいか否かを判定する。偏差ΔPは正負の符号を有するので、偏差ΔPの絶対値|ΔP|と閾値Thとを比較し、|ΔP|が閾値Thより大きい場合(|ΔP|>Th)、偏差ΔPが閾値Thより大きいと判定され(肯定判定)されS14へ進む。|ΔP|が閾値Th以下の場合(|ΔP|≦Th)、偏差ΔPが閾値Th以下であると判定され(否定判定)、今回のルーチンを終了する。
【0058】
S14では、電源システムPが故障していると判定し、今回のルーチンを終了する。S14において、電源システムPが故障していると判定された場合、電源システムPの作動を停止する等の故障処理が行われる。
【0059】
なお、S11およびS12で算出された上限値Ulおよび下限値Llは、図4における加え合わせ点302に入力されるフィードバック量FPのガード処理に用いられる。偏差ΔPに基づいて、比例積分(PI)制御によって生成されたフィードバック量FPが、上限値Ulを超える場合は、フィードバック量FPが上限値Ulに設定され、フィードバック量FPが下限値Llを下回る場合には、フィードバック量FPが下限値Llに設定され、加え合わせ点302に入力される。
【0060】
本実施の形態によれば、電源システムPの制御装置3(制御ECU400)は、電力系統PGとの間で電力の授受を行う連系運転時、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPが制御誤差の範囲を超えて、第1閾値Th1より大きくなった場合、電源システムPの故障と判定する。また、電力系統PGと解列された自立運転時には偏差ΔPが第1閾値Th1を超えても、電源システムPの故障と判定することがなく、偏差ΔPが、負荷300において最も消費電力の大きな負荷の最大消費電力に相当する第2閾値Th2より大きくなった場合に電源システムの故障と判定する。したがって、電源システムPの連系運転時および自立運転時に、電源システムPの故障検知を適切に行うことができる。
【0061】
本実施の形態によれば、電源システムPの制御装置(制御ECU400)は、電源システムP(電池ユニットBu)の出力電力の制御を、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPに基づいて算出されたフィードバック量FPを用いたフィードバック制御によって行う。フィードバック量FPは、上限値Ulおよび下限値Llによって制限されるが、連系運転する場合には、自立運転する場合に比較して、上限値Ulおよび下限値Llが小さく設定される。連系運転時には、小さな上限値(A)および下限値(-A)によって、フィードバック量FPが制限されるので、外乱等によって出力電力が大きく変動することが抑制される。自立運転時には、上限値(B)および下限値(-B)が大きくなるので、負荷変動に対する出力電力の応答性が向上する。
【0062】
本実施の形態によれば、電源システムPは、並列に接続された複数の電池ユニットBuから構成されている。これにより、電源システムPの入出力電力を大きくすることが可能になる。
【0063】
本実施の形態によれば、電池ユニットBuのDCDCコンバータ2は、電動車両VのPCU20に含まれるインバータ23(三相インバータ)を転用したものである。また、電池ユニットBuのバッテリパック1として、電動車両Vのバッテリパック1を用いている。したがって、電動車両Vの買い換え、解体等に伴って回収されるバッテリやPCUのリユースを促進することができる。
【0064】
上記の実施形態では、S13(図5)において、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPが閾値Thより大きいか否かを判定していた(「|ΔP|>Th?」)。しかし、偏差ΔPと閾値Thとを比較する構成は、これに限られない。たとえば、偏差ΔPの移動平均MAΔPと閾値Thとを比較してもよい。移動平均MAΔPは、たとえば、過去N回(たとえば、過去10回)の偏差ΔPの単純移動平均であってよい。これにより、外乱や電力系統PGの瞬低等によって、偏差ΔPが瞬間的に閾値Thを超えてしまう可能性を低減することができる。また、電力制御の応答遅れを考慮し、無駄時間を加味して偏差ΔPを算出することが望ましい。
【0065】
上記の実施形態では、S13(図5)において、電力指令TPと出力電力OPとの偏差ΔPが閾値Thより大きいか否かを判定していた(「|ΔP|>Th?」)。しかし、偏差ΔPと閾値Thとの比較に代えて、あるいは、加えて、フィードバック量FPが、上限値Ulあるいは下限値Llで制限された期間が所定期間(たとえば、10秒)継続したとき、電源システムPが故障していると判定してもよい。フィードバック量FPは、偏差ΔPに基づいて比例積分(PI)制御によって生成された値である。この構成によっても、偏差ΔPと閾値とを比較し、偏差ΔPが閾値をより大きい場合に、電源システムPが故障したと判定する構成と、実質的に同一の効果を奏することができる。
【0066】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る、電源システムPの制御装置3aを説明する図である。変形例1の制御装置3aは、電動車両Vに搭載された、HV-ECU200、MG-ECU210、および、BT-ECU220を利活用したものである。図6において、H/HV-ECU220a、および、HV-ECU(1)220a-1~HV-ECU(3)220a-3は、電動車両Vに搭載されたHV-ECU200を利活用したものである。MG-ECU210aは、MG-ECU210を利活用したものである。BT-ECU220a1~BT-ECU220a-3は、BT-ECU220を利活用したものである。
【0067】
図6において、インターフェースECU(I/F-ECU)600は、PCS-ECU500と制御装置3a(H/HV-ECU200a)との間を接続し、PCS-ECU500の通信プロトコルと制御装置3aの通信プロトコルとの間の整合を行っている。H/HV-ECU200aは、I/F-ECU600を介して、PCS-ECU500から受信した、要求電力RP、電圧指令VH、等から、電力指令TPを演算する。また、H/HV-ECU200aは、図5に示した故障判定ルーチンを実行する。
【0068】
MG-ECU210a、HV-ECU(1)220a-1~HV-ECU(3)220a-3、および、BT-ECU220a1~BT-ECU220a-3から構成された、サブ制御装置3a1は、電池ユニットBuを制御する制御装置である。図6において、サブ制御装置3a1-1は、図1における電池ユニットBu-1を制御する制御装置であり、各電池ユニットBu毎にサブ制御装置3a1が設けられる。すなわち、制御装置3aは、サブ制御装置3a1-1~サブ制御装置3a1-nのn個のサブ制御装置3a1を有する。
【0069】
図6において、BT-ECU(1)220a-1は、電池ユニットBu-1のバッテリパック1-1-1のバッテリ10の電圧VB、入出力電流IB、温度等を監視するとともに、SOCを算出する。HV-ECU(1)200a-1は、H/HV-ECU200aからの電力指令TPを受け、バッテリパック1-1-1の入出力電力を決定するとともに、バッテリパック1-1-1のSMR11の開閉制御を行う。また、HV-ECU200a-1は、バッテリパック1-1-1のバッテリ10の劣化度合の検出等を行う。BT-ECU(2)220a-2およびHV-ECU(2)200a-2は、バッテリパック1-1-2に対して、BT-ECU(1)220a-1およびHV-ECU(1)200a-1と同様の処理を行う。BT-ECU(3)220a-3およびHV-ECU(3)200a-3は、バッテリパック1-1-3に対して、BT-ECU(1)220a-1およびHV-ECU(1)200a-1と同様の処理を行う。MG-ECU210aは、HV-ECU(1)220a-1~HV-ECU(3)220a-3で決定した各バッテリパック1-1-1~1-1-3の入出力電力になるよう、DCDCコンバータ2-1を制御する(インバータ23の各相アームのスイッチング素子を駆動する)。
【0070】
サブ制御装置3a1-2~サブ制御装置3a1-nも、電池ユニットBu-2~電池ユニットBu-nに関して、サブ制御装置3a1-1と同様の処理を行う。この変形例1によれば、電源システムPの制御装置として、電動車両Vに搭載された、HV-ECU200、MG-ECU210、および、BT-ECU220のハードウェアを利活用することが促進できる。
【0071】
(変形例2)
図7は、変形例2における電源システムPaの全体構成を示す図である。上記実施の形態では、昇圧コンバータ21、インバータ22およびインバータ23を備えたPCU20を、電源システムPのDCDCコンバータ2に転用した例を説明した。上記実施の形態では、特に、大電力を通電可能とするために、並列にスイッチング素子が設けられたインバータ23を、DCDCコンバータ2のスイッチング素子として利用していた。しかし、電動車両に搭載されるPCUには、インバータがひとつ設けられるもの、あるいは、昇圧コンバータを備えないPCUが存在する。
【0072】
変形例2における電源システムPaは、ひとつのインバータのみを備えるPCU、あるいは、PCUからインバータ部分を抜き出した回路を、電源システムPaのDCDCコンバータ2Aに転用したものである。
【0073】
図7において、DCDCコンバータ2Aは、電動車両に搭載されたPCUのインバータ(三相インバータ)を転用したものである。図7において、バッテリパック1のSR1およびSR2は、システムメインリレー(SMR)である。上記実施の形態と同様に、3個のバッテリパック1(1-1-1、1-1-2、1-1-3)の出力端子の正極端子が、PCUの三相インバータの各相アーム(U相アーム2A1、V相アーム2A2、W相アーム2A3)の中間点に、コイル(インダクタ)5を介して接続される。バッテリパック1の正極端子とコイル5との間の電力線は、コンデンサ6を介して、バッテリパック1の出力端子の負極端子と接続される。三相インバータの各相アーム(U相アーム2A1、V相アーム2A2、W相アーム2A3)の上アームは正極線PLに接続され、PCS100の入出力端子に接続される。三相インバータの各相アーム(U相アーム2A1、V相アーム2A2、W相アーム2A3)の下アームは負極線NLに接続され、PCS100の入出力端子に接続される。バッテリパック1の負極端子は、負極線NLに接続される。
【0074】
このように、変形例2における電源システムPaでは、PCUの三相インバータの各相アームをバッテリパック1に接続し、三相インバータをDCDCコンバータ2Aに転用している。また、電源システムPaは、上記実施の形態と同様に、三相インバータを転用したDCDCコンバータ2Aと3個のバッテリパック1を含む電池ユニットBuaを複数そなえ、各電池ユニットBuaは並列に接続されている。この変形例2においても、上記実施の形態と同様に、制御装置3bによって、図5に示す故障判定ルーチンが実行され、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 バッテリパック、2,2A DCDCコンバータ、3,3a,3b 制御装置、5 コイル(インダクタ)、6 コンデンサ、10 バッテリ、11 SMR、15 監視ユニット、20 PCU、21 昇圧コンバータ、22,23 インバータ、25 バッテリ接続端子、26 MG1接続端子、27 MG2接続端子、28a 正極端子、28b 負極端子、30 エンジン、40 動力分割機構、50 駆動輪、100 PCS、200 HV-ECU、210 MEG-ECU、220 BT-ECU 230 EG-ECU、300 負荷、400 制御ECU、450 駆動ECU、500 PCS-ECU、600 I/F-ECU、650 太陽光発電装置、Bu,Bua 電池ユニット、MG1 モータジェネレータ、MG2 モータジェネレータ、P,Pa 電源システム、PG 電力系統、V 電動車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7