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特許7609149ログ管理装置、ログ管理方法、ログ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ログ管理装置、ログ管理方法、ログ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241224BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022162441
(22)【出願日】2022-10-07
(65)【公開番号】P2024055485
(43)【公開日】2024-04-18
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】河内 太一
(72)【発明者】
【氏名】堀田 大地
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032757(JP,A)
【文献】特開2000-020436(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188528(WO,A1)
【文献】特開2001-222731(JP,A)
【文献】特開2020-149479(JP,A)
【文献】米国特許第09747057(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行ログデータを記録するための記憶装置と、
1又は複数のプロセッサと、
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記記憶装置の現時点の空き容量を取得する処理と、
前記車両の走行計画を取得する処理と、
前記走行計画において将来記録することが予測される前記走行ログデータの予測データサイズを算出する処理と、
前記予測データサイズと前記空き容量とに基づき前記走行計画における前記記憶装置の容量の不足を予測する処理と、
前記記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、前記空き容量を増加させる処理と、
を実行するように構成されている
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のログ管理装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、前記車両に走行停止を指示する処理をさらに実行し、
前記車両が走行停止したことを条件として、前記空き容量を増加させる処理を実行する
ように構成されている
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のログ管理装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記空き容量を増加させる処理の実行により、前記予測データサイズから前記空き容量を差し引いた必要容量よりも前記空き容量が増加したかを判定する処理と、
前記空き容量が前記必要容量よりも増加したことを受けて、前記空き容量を増加させる処理を終了して前記車両に走行再開を指示する処理と、
をさらに実行するように構成されている
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のログ管理装置であって、
前記空き容量を増加させる処理は、前記記憶装置に記録されている前記走行ログデータを圧縮する処理により前記空き容量を増加させることを含む
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のログ管理装置であって、
前記圧縮する処理は、
前記走行ログデータのデータ種別ごとの圧縮効率を取得することと、
前記圧縮効率が高い前記データ種別の前記走行ログデータから順に圧縮することと、
を含む
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項6】
請求項4に記載のログ管理装置であって、
前記圧縮する処理は、前記空き容量を所定容量以上増加させることのできる複数の圧縮方式から圧縮時間が最短の圧縮方式を選択して前記走行ログデータを圧縮することを含む
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のログ管理装置であって、
前記空き容量を増加させる処理は、前記記憶装置に記録されている前記走行ログデータを外部装置に送信し、送信した前記走行ログデータを削除する処理により前記空き容量を増加させることを含む
ことを特徴とするログ管理装置。
【請求項8】
1又は複数のプロセッサにより実行される車両の走行ログデータを記憶装置に記録するログ管理方法であって、
前記記憶装置の現時点の空き容量を取得することと、
前記車両の走行計画を取得することと、
前記走行計画において将来記録することが予測される前記走行ログデータの予測データサイズを算出することと、
前記予測データサイズと前記空き容量とに基づき前記走行計画における前記記憶装置の容量の不足を予測することと、
前記記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、前記空き容量を増加させる処理を実行することと、
を含む
ことを特徴とするログ管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載のログ管理方法であって、
前記記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、前記車両に走行停止を指示することをさらに含み、
前記車両が走行停止したことを条件として、前記空き容量を増加させる処理を実行する
ことを特徴とするログ管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載のログ管理方法であって、
前記空き容量を増加させる処理の実行により、前記予測データサイズから前記空き容量を差し引いた必要容量よりも前記空き容量が増加したかを判定することと、
前記空き容量が前記必要容量よりも増加したことを受けて、前記空き容量を増加させる処理を終了して前記車両に走行再開を指示することと、
をさらに含む
ことを特徴とするログ管理方法。
【請求項11】
車両の走行ログデータを記憶装置に記録する処理をコンピュータに実行させるログ管理プログラムであって、
前記記憶装置の現時点の空き容量を取得する処理と、
前記車両の走行計画を取得する処理と、
前記走行計画において将来記録することが予測される前記走行ログデータの予測データサイズを算出する処理と、
前記予測データサイズと前記空き容量とに基づき前記走行計画における前記記憶装置の容量の不足を予測する処理と、
前記記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、前記空き容量を増加させる処理と、
をさらに前記コンピュータに実行させるように構成された
ことを特徴とするログ管理プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のログ管理プログラムであって、
前記記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、前記車両に走行停止を指示する処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記車両が走行停止したことを条件として、前記空き容量を増加させる処理を前記コンピュータに実行させる
ように構成された
ことを特徴とするログ管理プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のログ管理プログラムであって、
前記空き容量を増加させる処理の実行により、前記予測データサイズから前記空き容量を差し引いた必要容量よりも前記空き容量が増加したかを判定する処理と、
前記空き容量が前記必要容量よりも増加したことを受けて、前記空き容量を増加させる処理を終了して前記車両に走行再開を指示する処理と、
をさらに前記コンピュータに実行させるように構成された
ことを特徴とするログ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の走行ログデータを記憶装置に記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、事故や故障が発生した場合の原因究明を目的として、走行ログデータを記憶装置に記録することが行われる。特に、自動運転車においては、システムが一般的な車両と比べて巨大となる一方で、責任の所在を客観的に明らかにすることができることが求められており、記録することが望ましい走行ログデータは膨大となる。このため、従来、走行ログデータを効率的に記録するための様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、自動運転ECUの運転モードに応じて記録対象とする情報を切り替える記録対象設定部を備えた車両用記録装置が開示されている。その他、本技術分野の技術レベルを示す文献として、以下の特許文献2及び特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021―174413号公報
【文献】特開2019―139291号公報
【文献】特開2010―182148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両が走行を開始してから記録される走行ログデータは、その目的からすれば、少なくとも車両が走行を終了するまでの間は保持されることが望ましい。しかしながら、走行ログデータを記録するための記憶装置の容量は、当然に有限である。このため、車両が走行を開始してから走行を終了するまでの間に記憶装置の容量が不足し、走行ログデータを記録することができない、又は上書きしなければならなくなる虞がある。また、走行ログデータの記録を継続できるように記憶装置の交換を行うこととすると、作業時間の発生による利便性の低下や交換のための人員コストの増加といった課題が生じ得る。
【0006】
上記の特許文献で開示されるように、状況に応じて必要となる走行ログデータを選択して記録することで容量不足を回避することも考えられる。しかしながら、システムが状況を適切に感知できずに必要な走行ログデータが記録されない虞がある。特に、自動運転車においては、走行ログデータの全てを記録して保持することが望ましく、より適切な手段が求められている。
【0007】
本開示の1つの目的は、上記の課題を鑑み、車両が走行を開始してから走行を終了するまでの間の走行ログデータを記録して保持することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の開示は、ログ管理装置に関する。
【0009】
第1の開示に係るログ管理装置は、車両の走行ログデータを記録するための記憶装置と、1又は複数のプロセッサと、を備え、1又は複数のプロセッサは、記憶装置の現時点の空き容量を取得する処理と、車両の走行計画を取得する処理と、走行計画において将来記録することが予測される走行ログデータの予測データサイズを算出する処理と、予測データサイズと記憶装置の現時点の空き容量とに基づき走行計画における記憶装置の容量の不足を予測する処理と、記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、空き容量を増加させる処理と、を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第2の開示は、第1の開示に係るログ管理装置に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理装置に関する。
【0011】
1又は複数のプロセッサは、記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、車両の走行停止を指示する処理をさらに実行し、車両が走行停止したことを条件として、空き容量を増加させる処理を実行するように構成されている。
【0012】
第3の開示は、第2の開示に係るログ管理装置に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理装置に関する。
【0013】
1又は複数のプロセッサは、空き容量を増加させる処理の実行により、予測データサイズから空き容量を差し引いた必要容量よりも記憶装置の空き容量が増加したかを判定する処理と、記憶装置の空き容量が必要容量よりも増加したことを受けて、空き容量を増加させる処理を終了して車両に走行再開を指示する処理と、をさらに実行するように構成されている。
【0014】
第4の開示は、第1乃至第3のいずれか1つの開示に係るログ管理装置に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理装置に関する。
【0015】
空き容量を増加させる処理は、記憶装置に記録されている走行ログデータを圧縮する処理により記憶装置の空き容量を増加させることを含む。
【0016】
第5の開示は、第4の開示に係るログ管理装置に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理装置に関する。
【0017】
圧縮する処理は、走行ログデータのデータ種別ごとの圧縮効率を取得することと、圧縮効率が高いデータ種別の走行ログデータから順に圧縮することと、を含む。
【0018】
第6の開示は、第4の開示に係るログ管理装置に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理装置に関する。
【0019】
圧縮する処理は、記憶装置の空き容量を所定容量以上増加させることのできる複数の圧縮方式から圧縮時間が最短の圧縮方式を選択して走行ログデータを圧縮することを含む。
【0020】
第7の開示は、第1乃至第3のいずれか1つの開示に係るログ管理装置に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理装置に関する。
【0021】
空き容量を増加させる処理は、記憶装置に記録されている走行ログデータを外部装置に送信し、送信した走行ログデータを削除する処理により空き容量を増加させることを含む。
【0022】
第8の開示は、1又は複数のプロセッサにより実行され車両の走行ログデータを記憶装置に記録するログ管理方法に関する。
【0023】
第8の開示に係るログ管理方法は、記憶装置の現時点の空き容量を取得することと、車両の走行計画を取得することと、走行計画において将来記録することが予測される走行ログデータの予測データサイズを算出することと、予測データサイズと記憶装置の現時点の空き容量とに基づき走行計画における記憶装置の容量の不足を予測することと、記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、空き容量を増加させる処理を実行することと、を含むことを特徴とする。
【0024】
第9の開示は、第8の開示に係るログ管理方法に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理方法に関する。
【0025】
記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、車両の走行停止を指示することをさらに含み、車両が走行停止したことを条件として、空き容量を増加させる処理を実行する。
【0026】
第10の開示は、第9の開示に係るログ管理方法に対して、さらに以下の特徴を有するログ管理方法に関する。
【0027】
空き容量を増加させる処理の実行により、予測データサイズから空き容量を差し引いた必要容量よりも記憶装置の空き容量が増加したかを判定することと、記憶装置の空き容量が必要容量よりも増加したことを受けて、空き容量を増加させる処理を終了して車両に走行再開を指示することと、をさらに含む。
【0028】
第11の開示は、車両の走行ログデータを記憶装置に記録する処理をコンピュータに実行させるログ管理プログラムに関する。
【0029】
第11の開示に係るログ管理プログラムは、記憶装置の現時点の空き容量を取得する処理と、車両の走行計画を取得する処理と、走行計画において将来記録することが予測される走行ログデータの予測データサイズを算出する処理と、予測データサイズと記憶装置の現時点の空き容量とに基づき走行計画における記憶装置の容量の不足を予測する処理と、記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、空き容量を増加させる処理と、をさらにコンピュータに実行させるように構成されていることを特徴とする。
【0030】
第12の開示は、第11の開示に係るログ管理プログラムに対して、さらに以下の特徴を有するログ管理プログラムに関する。
【0031】
記憶装置の容量の不足が予測されることを受けて、車両の走行停止を指示する処理をさらにコンピュータに実行させ、車両が走行停止したことを条件として、空き容量を増加させる処理をコンピュータに実行させるように構成されている。
【0032】
第13の開示は、第12の開示に係るログ管理プログラムに対して、さらに以下の特徴を有するログ管理プログラムに関する。
【0033】
空き容量を増加させる処理の実行により、予測データサイズから空き容量を差し引いた必要容量よりも記憶装置の空き容量が増加したかを判定する処理と、記憶装置の空き容量が必要容量よりも増加したことを受けて、空き容量を増加させる処理を終了して車両に走行再開を指示する処理と、をさらにコンピュータに実行させるように構成されている。
【発明の効果】
【0034】
本開示によれば、走行計画において将来記録することが予測される走行ログデータの予測データサイズが算出される。そして、予測データサイズと記憶装置の現時点の空き容量とに基づき走行計画における記憶装置に容量の不足が予測されるとき、記憶装置の空き容量を増加させる処理が実行される。これにより、車両が走行計画に従って目的地まで走行する間に、適時に記憶装置に空き容量を増加させることができ、記憶装置の容量が不足することを抑止することができる。延いては、車両が走行を開始してから走行を終了するまでの間の走行ログデータを記録して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1実施形態に係るログ管理装置の概要について説明するための概念図である。
図2】第1実施形態に係るログ管理装置において、処理装置が実行する処理の構成を示すブロック図である。
図3】ログ管理装置の構成について説明するためのブロック図である。
図4】第1実施形態に係るログ管理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係るログ管理装置において、処理装置が実行する処理の構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係るログ管理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態に係るログ管理装置の概要について説明するための概念図である。
図8】第3実施形態に係るログ管理装置において、処理装置が実行する処理の構成を示すブロック図である。
図9】第3実施形態に係るログ管理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態に係るログ管理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図11】第4実施形態に係るログ管理装置の概要について説明するための概念図である。
図12】第4実施形態に係るログ管理装置において、処理装置が実行する処理の構成を示すブロック図である。
図13】第4実施形態に係るログ管理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態について説明する。
【0037】
1-1.概要
まず、図1を参照して第1実施形態に係るログ管理装置100の概要について説明する。
【0038】
ログ管理装置100は、車両の走行ログデータを記録する機能を提供する。ログ管理装置100は、車両制御システム200に含まれる種々の装置と通信可能に構成され、車両制御システム200から走行ログデータを取得する。例えば、ログ管理装置100は、車両に搭載され、CAN(Controller Area Network)等で構成された車載ネットワークに接続している。
【0039】
ここで、車両制御システム200は、車両の制御を行うためのシステム全体を表し、車両制御システム200により車両の種々の制御が実現される。例えば車両が自動運転車である場合、車両制御システム200により、車両の自動運転機能が実現される。車両制御システム200は、典型的には、車両の走行環境を検出する1又は複数のセンサ210と、車両の外部の装置と通信して情報を送受信する1又は複数の通信装置220と、1又は複数のセンサ210が検出する情報及び1又は複数の通信装置220が受信する情報に基づいて種々の制御に係る処理を実行する1又は複数のECU(Electronic Control Unit)230と、1又は複数のECU230により駆動される1又は複数のアクチュエータ240と、により構成される。
【0040】
1又は複数のセンサ210として、カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR等の車両の周囲環境(先行車、白線、障害物等)を検出するセンサや、車速センサ、Gセンサ、ジャイロセンサ等の車両の走行状態(車速、加速度、ヨーレート等)を検出するセンサが例示される。1又は複数の通信装置220として、インフラ又は周辺車両と通信を行う無線通信装置、GPS受信機、インターネットに接続しインターネット上のサーバと通信を行う装置等が例示される。1又は複数のアクチュエータ240として、動力装置(内燃機関、電気モータ等)の動作に関わるアクチュエータ、ブレーキ機構の動作に関わるアクチュエータ、ステアリング機構の動作に関わるアクチュエータ等が例示される。また車両が自動運転車である場合、1又は複数のECU230として、自動運転機能に係る処理を実行するECU(自動運転装置)が例示される。
【0041】
従って、車両制御システム200から取得される走行ログデータとしては、1又は複数のセンサ210の検出情報(走行映像、点群データ、車間距離、白線認識状態、検出物体、車速、加速度、ヨーレート等)の時系列データ、1又は複数の通信装置220の受信情報(地図情報、道路交通情報、GPS位置情報等)の時系列データ、及び1又は複数のECUの制御情報(アクセル開度指令値、ブレーキ制御量、ステアリング制御量、目標走行軌道、自己位置推定結果等)の時系列データが例示される。
【0042】
ログ管理装置100は、さらに車両制御システム200から走行計画を取得するように構成される。走行計画は、車両の目的地までの走行を規定する情報であり、典型的には、目的地の位置情報、目的地までの走行ルート、目的地の到着時間が含まれる。
【0043】
ここで、ログ管理装置100において、走行計画における目的地は、車両が走行を終了する地点であることが想定される。例えば、車両が定期運行バスである場合、走行計画における目的地は、終点となるバス停又はその後に向かう車庫である。車両がタクシーや自動運転車である場合、走行計画における目的地は、乗客が指定する乗降場所又はその後に向かう車庫である。ただし、走行計画における目的地は、車両が一時的に走行を終了する地点であっても良い。
【0044】
なお、走行計画は、車両制御システム200において生成される情報であっても良いし、1又は複数の通信装置220により取得される情報であっても良い。あるいは、あらかじめ定められた情報であっても良い。例えば、車両が自動運転車である場合、自動運転機能において生成される走行計画であって良いし、車両が自動運転車でない場合、カーナビゲーション機能において生成される走行計画であって良い。また、車両がオンデマンドバスである場合、配車システムから受信される走行計画であって良いし、車両が定期運行バスである場合、あらかじめ定められた走行計画であって良い。
【0045】
ログ管理装置100は、処理装置110と、記憶装置120と、を備えている。ログ管理装置100において、車両制御システム200から取得する走行ログデータは、記憶装置120に記録される。また車両制御システム200から取得する走行計画は処理装置110に伝達される。記憶装置120として、HDD、SSD、フラッシュメモリ等が例示される。処理装置110は、記憶装置120に記録する走行ログデータを管理するコンピュータである。
【0046】
第1実施形態に係るログ管理装置100において、処理装置110が実行する処理は特徴的である。処理装置110は、記憶装置120から現時点の空き容量を取得するように構成される。そして、処理装置110は、車両の走行計画と記憶装置120の現時点の空き容量とに応じて、記憶装置120に記録されている走行ログデータを圧縮する処理を実行する。以下、処理装置110が実行する特徴的な処理により実現されるログ管理装置100の機能を「容量確保機能」とも称する。
【0047】
図2は、第1実施形態に係るログ管理装置100において、処理装置110が実行する特徴的な処理、つまり、容量確保機能に係る処理の構成を示すブロック図である。容量確保機能に係る処理は、走行時間予測処理部P110と、記憶容量取得処理部P120と、管理処理部P130と、ログ圧縮処理部P140と、により構成される。
【0048】
走行時間予測処理部P110は、ログ管理装置100が取得する走行計画に基づいて、車両が現在地から目的地まで走行するのに要する予測走行時間を算出する。例えば、走行時間予測処理部P110は、走行計画における現在地から目的地までの走行ルートの距離と、車両の平均車速と、から予測走行時間を算出する。さらに、走行時間予測処理部P110は、事前に定義された誤差を含めて予測走行時間を算出するように構成されていても良い。例えば、走行時間予測処理部P110は、平均値+3σの範囲で予測走行時間を算出しても良い。
【0049】
ここで、走行時間予測処理部P110において予測走行時間を算出するために、ログ管理装置100は、車両制御システム200から1又は複数のセンサ210の検出情報、1又は複数の通信装置220の受信情報、又は1又は複数のECU230の制御情報を取得するように構成されていても良い。例えば、走行時間予測処理部P110は、車両の現在地として、車両制御システム200から取得する位置情報(GPS位置情報や自己位置推定情報)を用いても良い。あるいは、走行時間予測処理部P110は、予測走行時間を算出するに際して、走行ログデータとして取得する情報を用いるように構成されていても良い。
【0050】
記憶容量取得処理部P120は、記憶装置120にアクセスし、記憶装置120の現時点の空き容量を取得する。
【0051】
管理処理部P130は、走行時間予測処理部P110において算出した予測走行時間と、記憶容量取得処理部P120において取得した空き容量と、に基づいて、記憶装置120に記録する走行ログデータの管理に係る処理を実行する。特に、管理処理部P130は、予測データサイズ算出処理P131と、空き容量確保処理P132と、を実行するように構成される。
【0052】
予測データサイズ算出処理P131は、走行計画において将来記録することが予測される走行ログデータのデータサイズ(以下、「予測データサイズ」とも称する。)を算出する処理である。例えば、記憶装置120の空き容量の変化から1秒当たりに記録されるデータサイズを算出し、予測走行時間と1秒当たりに記録されるデータサイズとの積から予測データサイズを算出する。さらに、予測データサイズ算出処理P131において、管理処理部P130は、誤差を含めて予測データサイズを算出しても良い。例えば、走行時間予測処理部P110が平均値+3σの範囲で予測走行時間を算出するように構成されるとき、予測データサイズ算出処理P131において、管理処理部P130は、平均値+3σの範囲で算出された予測走行時間と1秒当たりに記録されるデータサイズとの積から誤差を含めた予測データサイズを算出しても良い。
【0053】
空き容量確保処理P132は、所定の条件で、ログ圧縮処理部P140に対して処理の実行の指示を生成する処理である。空き容量確保処理P132の実行により生成された指示は、管理処理部P130からログ圧縮処理部P140に伝達される。
【0054】
少なくとも、空き容量確保処理P132は、予測データサイズ算出処理P131により算出される予測データサイズと記憶容量取得処理部P120において取得される空き容量とに基づき走行計画における記憶装置120の容量の不足を予測する処理を含んでいる。そして、管理処理部P130は、空き容量確保処理P132において、記憶装置120の容量の不足が予測されることを受けて、ログ圧縮処理部P140に処理を実行させる指示を生成するように構成される。
【0055】
ログ圧縮処理部P140は、記憶装置120にアクセスし、管理処理部P130から伝達される指示に従って、記憶装置120に記録されている走行ログデータの圧縮処理を実行する。つまり、ログ圧縮処理部P140が処理を実行することにより、記憶装置120の空き容量が増加する。またログ圧縮処理部P140は、圧縮処理の実行状態を管理処理部P130に通知する。なお、ログ圧縮処理部P140が実行する圧縮処理は、好適な公知のアルゴリズムを採用して良い。
【0056】
以上説明するように、容量確保機能に係る処理が構成される。特に、容量確保機能において、処理装置110は、予測データサイズと記憶装置120の現時点の空き容量とに基づき、走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測されることを受けて、記憶装置120の空き容量を増加させる処理を実行する。
【0057】
1-2.構成
次に、図3を参照して第1実施形態に係るログ管理装置100の構成について説明する。前述したように、ログ管理装置100は、処理装置110と、記憶装置120と、を備えている。処理装置110は、記憶装置120にアクセスし、記憶装置120に記録される走行ログデータを処理することができるように構成されている。例えば、処理装置110は、記憶装置120と電気的に接続し、互いに情報を伝達することができるように構成される。
【0058】
処理装置110は、メモリ111と、プロセッサ115と、を含むコンピュータである。メモリ111は、プロセッサ115と結合し、処理の実行に必要な種々のデータ112と、複数の実行可能なインストラクション114と、を格納している。ここでインストラクション114は、コンピュータプログラム113(ログ管理プログラム)により与えられる。処理装置110が処理の実行に際して取得する情報は、データ112としてメモリ111に格納される。
【0059】
インストラクション114は、プロセッサ115に所定の処理を実行させるように構成されている。つまり、インストラクション114に従ってプロセッサ115が動作することにより、所定の処理が実現される。特に、インストラクション114は、走行時間予測処理部P110、記憶容量取得処理部P120、管理処理部P130、及びログ圧縮処理部P140に係る処理をプロセッサ115に実行させるように構成されている。つまり、インストラクション114に従ってプロセッサ115が動作することにより、プロセッサ115は、走行時間予測処理部P110、記憶容量取得処理部P120、管理処理部P130、及びログ圧縮処理部P140として機能する。
【0060】
なお、処理装置110は、複数のコンピュータにより構成されていても良い。この場合、処理装置110は、複数のメモリ111と、複数のプロセッサ115と、を含んでいて良い。例えば、処理装置110は、車両に搭載されるマイクロコンピュータと、インターネット上に構成されたサーバと、により分離して構成されていても良い。そして、複数のコンピュータが互いに協調して処理を実行するように構成されていても良い。例えば、走行時間予測処理部P110に係る処理は、インターネット上に構成されたサーバにおいて実行され、車両に搭載されるマイクロコンピュータはサーバとの通信により予測走行時間を取得し、その他の処理を実行するように構成されていても良い。
【0061】
1-3.処理
次に、第1実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理、より詳しくは、プロセッサ115が実行する処理について説明する。図4は、第1実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、典型的には、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0062】
ステップS100で、ログ管理装置100は、走行計画から予測走行時間を算出する。ステップS100に係る処理は、走行時間予測処理部P110により実行される。ステップS100の後、処理はステップS110に進む。
【0063】
ステップS110で、ログ管理装置100は、ステップS100において算出した予測走行時間から予測データサイズを算出する。ステップS110に係る処理は、管理処理部P130により予測データサイズ算出処理P131として実行される。ステップS110の後、処理はステップS120に進む。
【0064】
ステップS120で、ログ管理装置100は、記憶装置120の現時点の空き容量を取得する。ステップS120に係る処理は、記憶容量取得処理部P120により実行される。ステップS120の後、処理はステップS130に進む。
【0065】
ステップS130で、ログ管理装置100は、ステップS120において取得した空き容量がステップS110において算出した予測データサイズよりも大きいか否かを判定する。
【0066】
空き容量が予測データサイズよりも大きい場合(ステップS130;Yes)、走行計画における記憶装置120の容量の不足は予測されないとして、圧縮処理を実行せずに今回処理は終了する。
【0067】
空き容量が予測データサイズ以下となる場合(ステップS130;No)、走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測され、処理はステップS140に進む。
【0068】
ステップS140で、ログ管理装置100は、圧縮処理の実行により確保できる記憶装置120の空き容量(圧縮後の空き容量)を予測する。例えば、採用する圧縮方式と、圧縮の対象とする走行ログデータのデータサイズと、から圧縮後の空き容量を予測する。ステップS140の後、処理はステップS150に進む。
【0069】
ステップS150で、ログ管理装置100は、ステップS140において予測した圧縮後の空き容量がステップS110において算出した予測データサイズよりも大きいか否かを判定する。ここで、ステップS130-S150に係る処理は、管理処理部P130により空き容量確保処理P132として実行される。
【0070】
圧縮後の空き容量が予測データサイズ以下となる場合(ステップS150;No)、圧縮処理の実行によっても記憶装置120の容量の不足が回避できないとして、警告を行う(ステップS170)。ここで、警告として、車両の乗客に対する音又は表示による通知や、車両の管理者(例えば、バスの運行会社)への通信による通知等が例示される。このように警告を行うことにより、圧縮処理の実行によっても記憶装置120の容量の不足が回避できない場合の対応を仰ぐことができる。例えば、バスの運行会社は、人員を派遣して記憶装置120を回収するといった対応をとることができる。延いては、必要な走行ログデータが記録されないといった事態を抑制することができる。
【0071】
圧縮後の空き容量が予測データサイズより大きい場合(ステップS150;Yes)、圧縮処理の実行により記憶装置120の容量の不足が回避できるとして、ログ管理装置100は、所定の方式で圧縮処理を実行する(ステップS160)。ステップS160に係る処理は、圧縮後の空き容量が予測データサイズより大きい場合(ステップS150;Yes)に管理処理部P130が生成する指示を受けて、ログ圧縮処理部P140により実行される。ステップS160の後、ログ圧縮処理部P140が圧縮処理の完了を管理処理部P130に通知することで、処理は終了する。
【0072】
このように第1実施形態に係るログ管理装置100により処理が実行される。またこのように第1実施形態に係るログ管理装置100により、車両の走行ログデータを記憶装置120に記録するログ管理方法が実現される。あるいは、ログ管理方法をコンピュータに実行させるログ管理プログラムとして実現することも可能である。この場合、ログ管理プログラムは、エンコードされた記録媒体として与えることができる。
【0073】
1-4.効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、走行計画において将来記録することが予測される走行ログデータの予測データサイズが算出される。そして、予測データサイズと記憶装置120の現時点の空き容量とに基づき走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測されるとき、圧縮処理により記憶装置120の空き容量を増加させる。これにより、車両が走行計画に従って目的地まで走行する間に、適時に記憶装置120の空き容量を増加させることができ、記憶装置120の容量を不足することを抑止することができる。延いては、車両が走行を開始してから走行を終了するまでの間の走行ログデータを記録して保持することができる。また、記憶装置120の空き容量を増加させる処理(圧縮処理)は、走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測されることを受けて実行されるため、不必要に実行されることはない。延いては、ログ管理装置100の処理負荷を過度に増大させることなく、適時に記憶装置120の空き容量を増加させることができる。
【0074】
なお、ログ管理装置100は、車両制御システム200から取得する走行ログデータを処理装置110に依らずに記憶装置120に逐次記録するように構成されていても良いし、処理装置110により記録する走行ログデータが選択されるように構成されていても良い。第1実施形態によれば、適時に記憶装置120の空き容量を増加させることができるため、処理装置110により記録する走行ログデータが選択される場合について、選択される走行ログデータをより広く与えることができる。
【0075】
2.第2実施形態
以下、第1実施形態について説明する。ただし、以下においては、主として第1実施形態と相違する内容について詳しく説明し、第1実施形態と重複する内容については適宜省略する。
【0076】
2―1.概要
まず、第2実施形態に係るログ管理装置100の概要について説明する。
【0077】
第2実施形態に係るログ管理装置100は、第1実施形態に対して、管理処理部P130が実行する処理に特徴を有している。図5は、第2実施形態に係るログ管理装置100において、容量確保機能に係る処理の構成を示すブロック図である。図5に示すように、第1実施形態(図2)に対して、管理処理部P130は、圧縮方法選択処理P133をさらに実行するように構成される。なお、第2実施形態に係るログ管理装置100の構成は、第1実施形態に係るログ管理装置100(図3)と同様であって良い。
【0078】
圧縮方法選択処理P133は、記憶装置120の空き容量や記憶装置120に記録される走行ログデータの情報に基づいて、ログ圧縮処理部P140が実行する圧縮処理の圧縮方式又は圧縮対象の走行ログデータの指定の指示を生成する処理である。ここで、走行ログデータの情報として、走行ログデータが記録された時刻の情報、走行ログデータのデータ種別(画像、音声、メッセージ、数値等)の情報、データ種別ごとのデータサイズの情報等が例示される。管理処理部P130は、記憶容量取得処理部P120から走行ログデータの情報を取得するように構成されていて良い。この場合、記憶容量取得処理部P120は、記憶装置120にアクセスすることで走行ログデータの情報を取得又は算出する。あるいは、管理処理部P130が記憶装置120に直接アクセスして、走行ログデータの情報を取得又は算出するように構成されていても良い。
【0079】
圧縮方法選択処理P133の実行により生成された指示は、管理処理部P130からログ圧縮処理部P140に伝達される。ログ圧縮処理部P140は、管理処理部P130から伝達される圧縮方式又は圧縮対象の走行ログデータの指定の指示に従って、圧縮処理を実行する。
【0080】
圧縮方法選択処理P133としては、いくつかの態様を考えることができる。以下、圧縮方法選択処理P133のいくつかの態様について説明する。
【0081】
第1の態様は、走行ログデータが記録された時刻が古い順に圧縮対象の走行ログデータを指定する場合である。この場合、例えば、圧縮方法選択処理P133により、走行ログデータが記録された時刻の範囲が、圧縮対象の走行ログデータの指定の指示として生成される。指示に係る時刻の範囲は、例えば、記録された時刻が最も古い時点から、圧縮処理によって記憶装置120の空き容量を所定容量以上増加することができる走行ログデータが含まれる時点までで与えられる。ここで、所定容量は、例えば、予測データサイズと現時点の空き容量との差分である。あるいは、圧縮方法選択処理P133により、単に記録された時刻が古い順に圧縮処理を実行することと、所定容量と、が指示として生成されても良い。そして、ログ圧縮処理部P140は、記録された時刻が古い順に圧縮処理を実行し、空き容量が所定容量以上増加したことを受けて圧縮処理を終了するように構成されていても良い。
【0082】
第2の態様は、特定の圧縮方式における圧縮効率の高い走行ログデータの順に圧縮対象の走行ログデータを指定する場合である。この場合、例えば、管理処理部P130は、走行ログデータの情報として、記憶装置120に記録される走行ログデータのデータ種別と、データ種別ごとのデータサイズの情報と、を取得する。そして、圧縮方法選択処理P133により、走行ログデータのデータの種別が、圧縮対象の走行ログデータの指定の指示として生成される。指示に係るデータの種別は、例えば、圧縮処理によって記憶装置120の空き容量を所定容量以上増加することができる走行ログデータが圧縮効率の高い順に含まれるように与えられる。あるいは、圧縮方法選択処理P133により、単に圧縮効率の高いい走行ログデータの順に圧縮処理を実行することと、記録される走行ログデータの圧縮効率と、所定容量と、が指示として生成されても良い。そして、ログ圧縮処理部P140は、圧縮効率の高い順に圧縮処理を実行し、空き容量が所定容量以上増加したことを受けて圧縮処理を終了するように構成されていても良い。
【0083】
なお、圧縮効率は、メモリ111のデータ112として格納することで管理することができる。あるいは、コンピュータプログラム113として与えることも可能である。また、圧縮効率は、事前の調査を基に定められたものであって良い。
【0084】
このような圧縮方法選択処理P133の実施例として、画像データの圧縮効率が最も高く、メッセージデータの圧縮効率が最も低いときに、画像データから圧縮処理を実行していくことが挙げられる。
【0085】
第3の態様は、空き容量を所定容量以上増加させることのできる複数の圧縮方式から圧縮時間が最短の圧縮方式を選択して指定する場合である。この場合、ログ圧縮処理部P140は、複数の圧縮方式による圧縮処理を実行することができるように構成される。そして、圧縮方法選択処理P133により、圧縮方式の指示が生成される。
【0086】
空き容量を所定容量以上増加させることができるか否かは、記憶装置120に記録される走行ログデータのデータサイズと、圧縮方式の仕様と、から判定することが可能である。また複数の圧縮方式それぞれの圧縮時間は、複数の圧縮方式ごとの圧縮効率が与えられることで算出することが可能である。複数の圧縮方式ごとの圧縮効率は、メモリ111のデータ112として格納されていて良い。あるいは、コンピュータプログラム113として与えられていても良い。
【0087】
第3の態様では、圧縮方法選択処理P133により、所定容量と、記憶装置120に記録される走行ログデータサイズと、複数の圧縮方式ごとの圧縮効率と、が指示として生成されても良い。そして、ログ圧縮処理部P140は、空き容量を所定容量以上増加させることのできる複数の圧縮方式から圧縮時間が最短の圧縮方式を選択して圧縮処理を実行するように構成されていても良い。
【0088】
このような圧縮方法選択処理P133の実施例として、例えば、ログ圧縮処理部P140がA方式、B方式、及びC方式の3つの圧縮方式による圧縮処理を実行することができるように構成されているとする。ここで、A方式、B方式、及びC方式は、この順に圧縮時間が長く、また圧縮効率が高いとする。いま、A方式は、1TBまで空き容量を確保でき、B方式は、1.6TBまで空き容量を確保でき、C方式は、2TBまで空き容量を確保できるとする。この場合に、空き容量を1.5TB以上確保しようとするとき(所定容量が1.5TB)、B方式が選択されることとなる。
【0089】
以上説明した態様は、それぞれを組み合わせることも可能である。例えば、第2の態様と第3の態様とを組み合わせた態様を圧縮方法選択処理P133として採用することも可能である。
【0090】
2-2.処理
次に、第2実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理について説明する。図6は、第2実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、典型的には、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0091】
第2実施形態では、第1実施形態(図4)に対して、圧縮後の空き容量が予測データサイズより大きい場合(ステップS150;Yes)に、ログ管理装置100は、圧縮方法選択処理P133を実行する(ステップS200)。そして、ステップS200の後、ログ管理装置100は、圧縮処理を実行する(ステップS210)。ステップS210に係る処理は、管理処理部P130が生成する処理の実行指示を受けて、ログ圧縮処理部P140により実行される。ここで、ログ圧縮処理部P140は、圧縮方法選択処理P133の実行により生成された圧縮方法の指示に従い圧縮処理を実行する。ステップS210の後、ログ圧縮処理部P140が圧縮処理の完了を管理処理部P130に通知することで、処理は終了する。
【0092】
このように第2実施形態に係るログ管理装置100により処理が実行される。またこのように第2実施形態に係るログ管理装置100により、車両の走行ログデータを記憶装置120に記録するログ管理方法が実現される。あるいは、ログ管理方法をコンピュータに実行させるログ管理プログラムとして実現することも可能である。この場合、ログ管理プログラムは、エンコードされた記録媒体として与えることができる。
【0093】
2-4.効果
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態に対して、管理処理部P130は圧縮方法選択処理P133をさらに実行する。また、圧縮方法選択処理P133により、ログ圧縮処理部P140が実行する圧縮処理の圧縮方法についての指示が生成される。そして、ログ圧縮処理部P140は、圧縮方法選択処理P133の実行により生成された圧縮方法の指示に従い圧縮処理を実行する。
【0094】
これにより、記憶装置120の空き容量や記憶装置120に記録される走行ログデータの情報に応じて、より効率的な圧縮処理の実行を図ることができる。延いては、記憶装置120の容量の不足を回避する目的に対して不必要に圧縮処理が実行されることを抑制し、ログ管理装置100の処理負荷を低減することができる。
【0095】
3.第3実施形態
以下、第3実施形態について説明する。ただし、以下においては、主として第1実施形態と相違する内容について詳しく説明し、第1実施形態と重複する内容については適宜省略する。
【0096】
3-1.概要
まず、図7を参照して第3実施形態に係るログ管理装置100の概要について説明する。
【0097】
第3実施形態に係るログ管理装置100は、車両制御システム200に走行指示を行うことが特徴的である。ここで、走行指示には、車両の走行停止の指示と、車両の走行開始の指示と、車両の走行継続の指示と、が含まれる。またログ管理装置100は、車両制御システム200から車両の走行状態を取得するように構成される。ここで、走行状態は、少なくとも車両が走行中か停止中かについての情報を含んでいる。
【0098】
特に、第3実施形態に係るログ管理装置100は、走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測されるとき、車両に走行停止を指示する。そして、車両が走行停止したことを条件として、記憶装置120の空き容量を増加させる処理(圧縮処理)を実行するように構成される。
【0099】
車両制御システム200は、走行指示に従って車両を制御するように構成されていて良い。例えば、車両制御システム200により車両の自動運転機能が実現される場合、自動運転機能に係る処理を実行するECU(自動運転装置)は、ログ管理装置100から走行停止の指示を取得したことを受けて、車両を安全な場所へ退避させて停止させる処理を実行することが挙げられる。このとき、ログ管理装置100が取得する走行状態は、車両が退避中であるか否かについての情報を含んでいても良い。以下、車両は自動運転車であり、車両制御システム200により自動運転機能が実現されるとして説明する。
【0100】
図8は、第3実施形態に係るログ管理装置100において、容量確保機能に係る処理の構成を示すブロック図である。図8に示すように、第1実施形態(図2)に対して、管理処理部P130は、さらに自動運転装置231に走行指示を行うように構成される。また、管理処理部P130は、自動運転装置231から車両の走行状態を取得する。なお、第3実施形態に係るログ管理装置100の構成は、第1実施形態に係るログ管理装置100(図3)と同様であって良い。
【0101】
管理処理部P130は、空き容量確保処理P132の実行において、自動運転装置231に走行指示を行う。第3実施形態に係るログ管理装置100では、管理処理部P130は、空き容量確保処理P132において、記憶装置120の容量の不足が予測されることを受けて、自動運転装置231に車両の走行停止を指示するように構成される。そして、管理処理部P130は、自動運転装置231から取得する走行状態から、車両が走行停止したことを受けて、ログ圧縮処理部P140に処理を実行させる指示を生成するように構成される。
【0102】
さらに、管理処理部P130は、空き容量確保処理P132において、ログ圧縮処理部P140から圧縮処理の完了が通知されたことを受けて、自動運転装置231に走行再開を指示するように構成されていて良い。特に、管理処理部P130は、空き容量確保処理P132の実行により、圧縮処理により増加させることが必要な容量として、予測データサイズから現時点の空き容量を差し引いた必要容量を算出しても良い。加えて、管理処理部P130は、算出した必要容量を、ログ圧縮処理部P140へ指示するように構成されていて良い。そして、ログ圧縮処理部P140は、記憶装置120の空き容量が指示された必要容量よりも増加したことを受けて、圧縮処理を終了し、圧縮処理の完了を通知するように構成されていて良い。
【0103】
3-2.処理
次に、第3実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理について説明する。図9及び図10は、第3実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理を示すフローチャートである。ここで、図9及び図10は、図に示すAで接続しており、1つのフローチャートを示している。図9及び図10に示すフローチャートは、典型的には、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0104】
第3実施形態では、第1実施形態(図4)に対して、空き容量が予測データサイズ以下となる場合(ステップS130;No)に、ログ管理装置100は、自動運転装置231に車両の走行停止を指示する(ステップS310)。ステップS310の後、処理はステップS320に進む。
【0105】
なお、空き容量が予測データサイズよりも大きい場合(ステップS130;Yes)、ログ管理装置100は、圧縮処理を実行せずに、自動運転装置231に車両の走行継続を指示し(ステップS300)、今回処理は終了する。
【0106】
ステップS320で、ログ管理装置100は、自動運転装置231から取得する走行状態から、車両が走行停止したか否かを判定する。車両が走行停止したと判定する場合(ステップS320;Yes)、処理はステップS140に進む。
【0107】
ステップS140、ステップS150、及びステップS170に係る処理は、第1実施形態と同様であって良い。
【0108】
第3実施形態では、圧縮後の空き容量が予測データサイズよりも大きい場合(ステップS150;Yes)に、ログ管理装置100は、ステップS110で算出した予測データサイズからステップS120で取得した空き容量を差し引くことにより、必要容量を算出する(ステップS330)。ステップS330の後、処理はステップS160に進む。
【0109】
ステップS160で、ログ管理装置100は、所定の方式で圧縮処理の実行を開始する。その後、ログ管理装置100は、記憶装置120の空き容量がステップS330で算出した必要容量より増加したか否かを適時判定する(ステップS340)。そして、ログ管理装置100は、記憶装置120の空き容量が必要容量より増加するまで圧縮処理の実行を継続する(ステップS340;No)。
【0110】
圧縮処理の実行により記憶装置120の空き容量が必要容量より増加した場合(ステップS340;Yes)、ログ管理装置100は、圧縮処理を終了する(ステップS350)。その後、ログ管理装置100は、自動運転装置231に走行再開を指示し(ステップS360)、処理は終了する。
【0111】
このように第3実施形態に係るログ管理装置100により処理が実行される。またこのように第3実施形態に係るログ管理装置100により、車両の走行ログデータを記憶装置120に記録するログ管理方法が実現される。あるいは、ログ管理方法をコンピュータに実行させるログ管理プログラムとして実現することも可能である。この場合、ログ管理プログラムは、エンコードされた記録媒体として与えることができる。
【0112】
3-3.効果
以上説明したように、第3実施形態によれば、第1実施形態に対して、ログ管理装置100は、車両制御システム200に走行指示を行う。特に、ログ管理装置100は、走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測されるとき、車両に走行停止を指示する。そして、車両が走行停止したことを条件として、記憶装置120に記録する走行ログデータの圧縮処理を実行するように構成される。
【0113】
これにより、ログ管理装置100は、車両の制御を停止させた状態で、記憶装置120の空き容量を増加させる処理を実行することができる。つまり、ログ管理装置100は、圧縮処理の実行に際して、車両制御システム200において必要とされた計算リソースや通信リソースを確保することができる。延いては、ログ管理装置100は、大計算量かつ高圧縮な方式により圧縮処理を実行することができる。
【0114】
さらに、第3実施形態に係るログ管理装置100は、予測データサイズから空き容量を差し引いた必要容量を算出し、記憶装置120の空き容量が必要容量よりも増加したことを受けて、圧縮処理を終了して車両に走行再開を指示するように構成され得る。このように構成することで、必要なだけ圧縮処理を実行した後すぐに車両の走行を再開することができる。延いては、圧縮処理の実行によるダウンタイムの最小化を図ることができる。
【0115】
なお、第3実施形態は、第2実施形態と好適に組み合わせられて良い。この場合、圧縮方法選択処理P133の第3の態様では、所定容量を必要容量として良い。第3実施形態においては、圧縮処理を実行する際は車両の制御が停止していることとなるため、ログ管理装置100は、車両制御システム200の処理負荷を考慮することなく圧縮処理を実行することができる。つまり、圧縮方式の良し悪しは、圧縮効率と圧縮時間のトレードオフのバランスのみを考慮して判断することができる。従って、圧縮方法選択処理P133の第3の態様は、第3実施形態と第2実施形態との組み合わせにおいて特に有効である。
【0116】
以上説明した効果は、車両制御システム200の処理負荷が大きく多くのリソースを必要とし、かつ記録することが望ましい走行ログデータが膨大となる自動運転車において特に有効である。従って、第3実施形態に係るログ管理装置100と自動運転装置231とを含むように構成された自動運転システムは、前述した効果を有する1つの有用な実施形態として考えることができる。
【0117】
4.第4実施形態
以下、第4実施形態について説明する。ただし、以下においては、主として第1実施形態と相違する内容について詳しく説明し、第1実施形態と重複する内容については適宜省略する。
【0118】
4-1.概要
まず、図11を参照して第4実施形態に係るログ管理装置100の概要について説明する。
【0119】
第4実施形態に係るログ管理装置100は、記憶装置120に記録されている走行ログデータを外部装置に送信することが特徴的である。そして、送信した走行ログデータを記憶装置120から削除することにより記憶装置120の空き容量を増加させる。図11には、外部装置として、外部ストレージ300が示されている。外部ストレージ300は、例えば、インターネット上に構成されたデータサーバである。この場合、ログ管理装置100は、インターネットに接続して通信を行うことができるように構成される。なお、第4実施形態に係るログ管理装置100の構成は、第1実施形態に係るログ管理装置100(図3)と同様であって良い。
【0120】
図12は、第4実施形態に係るログ管理装置100において、容量確保機能に係る処理の構成を示すブロック図である。図12に示すように、第1実施形態(図2)に対して、容量確保機能に係る処理は、ログ圧縮処理部P140に代替して、ログ送信処理部P141により構成されている。
【0121】
第4実施形態では、管理処理部P130は、空き容量確保処理P132において、所定の条件で、ログ送信処理部P141に対して処理の実行の指示を生成する。特に、管理処理部P130は、空き容量確保処理P132において、記憶装置120の容量の不足が予測されることを受けて、ログ送信処理部P141に処理を実行させる指示を生成するように構成される。ここで、ログ送信処理部P141に処理を実行させる指示には、外部ストレージ300に送信し記憶装置120から削除する走行ログデータを指定する情報が含まれていても良い。
【0122】
ログ送信処理部P141は、記憶装置120にアクセスし、管理処理部P130から伝達される指示に従って、記憶装置120に記録されている走行ログデータを外部ストレージ300に送信する処理、及び送信した走行ログデータを記憶装置120から削除する処理を実行する。つまり、ログ送信処理部P141が処理を実行することにより、記憶装置120の空き容量が増加する。またログ送信処理部P141は、処理の実行状態を管理処理部P130に通知する。
【0123】
4-2.処理
次に、第4実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理について説明する。図13は、第4実施形態に係るログ管理装置100が実行する処理を示すフローチャートである。図13に示すフローチャートは、典型的には、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0124】
第4実施形態では、第1実施形態(図4)に対して、空き容量が予測データサイズ以下となる場合(ステップS130;No)、ログ管理装置100は、記憶装置120に記録する走行ログデータを外部ストレージ300に送信する処理を実行する(ステップS400)。そして、送信した走行ログデータを記憶装置120から削除する処理を実行する(ステップS410)。
【0125】
ステップS400及びステップS410に係る処理は、空き容量が予測データサイズ以下となる場合(ステップS130;No)に管理処理部P130が生成する指示を受けて、ログ送信処理部P141により実行される。ステップS410の後、ログ送信処理部P141が処理の完了を管理処理部P130に通知することにより、処理は終了する。
【0126】
このように第4実施形態に係るログ管理装置100により処理が実行される。またこのように第4実施形態に係るログ管理装置100により、車両の走行ログデータを記憶装置120に記録するログ管理方法が実現される。あるいは、ログ管理方法をコンピュータに実行させるログ管理プログラムとして実現することも可能である。この場合、ログ管理プログラムは、エンコードされた記録媒体として与えることができる。
【0127】
4-4.効果
以上説明したように、第4実施形態によれば、予測データサイズと記憶装置120の現時点の空き容量とに基づき走行計画における記憶装置120の容量の不足が予測されるとき、記憶装置120に記録する走行ログデータを外部ストレージ300に送信し、送信した走行ログデータを記憶装置120から削除する処理により記憶装置120の空き容量を増加させる。
【0128】
このように第4実施形態を採用することによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。特に第4実施形態では、記憶装置120から走行ログデータを削除することにより空き容量を増加させるため、処理の実行によって記憶装置120の容量の不足を確実に回避することができる。一方で、一般に、走行ログデータを送信することは、圧縮処理に比べて計算リソースや通信リソースが高くなる。従って、第4実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態との組み合わせを考えることも可能である。この場合、例えば、圧縮処理の実行によっても記憶装置120の容量の不足が回避できない場合(図6のステップS150;No)に、ログ送信処理部P141による処理を実行するように構成することが挙げられる。また走行ログデータを送信することが圧縮処理に比べて計算リソースや通信リソースが高いことから、第2実施形態は、第3実施形態との組み合わせも有効である。
【符号の説明】
【0129】
100 ログ管理装置
110 処理装置
111 メモリ
113 ログ管理プログラム
115 プロセッサ
120 記憶装置
200 車両制御システム
300 外部ストレージ
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