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特許7609151搬送システム、搬送方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241224BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B65G1/00 501H
B25J5/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022166012
(22)【出願日】2022-10-17
(65)【公開番号】P2024058735
(43)【公開日】2024-04-30
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】森光 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】小池 宇織
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-127887(JP,A)
【文献】特開昭62-157104(JP,A)
【文献】特開平09-278121(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115009749(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/04
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びるガイドレールが設けられた棚と、
前記ガイドレールに係合可能な載置台と、
前記載置台を昇降させる昇降部と、
前記ガイドレールと前記載置台との係合を検出する係合検出センサと、
前記ガイドレールと前記載置台とが係合していないこと、および、前記載置台の高さが、前記ガイドレールの下端よりも高い所定の高さ以上であることを含む第1条件が満たされた場合、前記昇降部の動作を停止させる安全制御部と
を備える搬送システム。
【請求項2】
前記搬送システムは、前記載置台の高さを検出する高さ検出センサを備える、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記載置台には、前記ガイドレールと係合する溝が設けられ、
前記係合検出センサは、前記溝に設けられる
請求項1または2のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項4】
前記載置台には、水平方向に伸縮する伸縮アームが設けられ、
前記安全制御部は、前記第1条件が満たされた場合、前記伸縮アームの動作を停止させる
請求項1または2のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項5】
前記昇降部は、移動可能な移動部上に設けられ、
前記安全制御部は、前記ガイドレールと前記載置台とが係合していることを含む第2条件が満たされた場合、前記移動部の動作を停止させる
請求項2に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記昇降部への駆動源の供給を遮断する第1遮断部と、
前記移動部への駆動源の供給を遮断する第2遮断部と
を備え、
前記安全制御部は、前記昇降部の動作を停止させる場合、前記第1遮断部を遮断状態とし、前記移動部の動作を停止させる場合、前記第2遮断部を遮断状態とする
請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記載置台には、水平方向に伸縮する伸縮アームが設けられ、
前記第1遮断部は、前記伸縮アームへの駆動源の供給をさらに遮断する
請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記載置台には、水平方向に伸縮する伸縮アームが設けられ、
前記搬送システムは、前記伸縮アームへの駆動源の供給を遮断する第3遮断部を備え、
前記安全制御部は、前記ガイドレールと前記載置台が係合しておらず、かつ、前記載置台の高さが、前記所定の高さとは異なる高さ以上である場合、前記第3遮断部を遮断状態にする
請求項6に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記搬送システムは、
前記移動部による移動を検出する移動検出センサと、
前記移動部および前記昇降部への駆動源の供給を遮断する第4遮断部と
を備え、
前記安全制御部は、前記第1条件が満たされる場合、および前記第2条件が満たされる場合、前記第4遮断部を遮断状態にし、
前記第2条件は、前記載置台の高さが前記所定の高さ以上であること、および前記移動部が移動していることを含む
請求項5に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記載置台には、水平方向に伸縮する伸縮アームが設けられ、
前記第4遮断部は、前記伸縮アームへの駆動源の供給をさらに遮断する
請求項9に記載の搬送システム。
【請求項11】
棚に設けられた鉛直方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに係合可能な載置台との係合を検出し、
前記ガイドレールと前記載置台とが係合していないこと、および、前記載置台の高さが、前記ガイドレールの下端よりも高い所定の高さ以上であることを含む第1条件が満たされた場合、前記載置台を昇降させる昇降部の動作を停止させる
搬送方法。
【請求項12】
コンピュータに、
棚に設けられた鉛直方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに係合可能な載置台との係合を検出するセンサの検出結果を取得する処理と、
前記ガイドレールと前記載置台とが係合していないこと、および、前記載置台の高さが、前記ガイドレールの下端よりも高い所定の高さ以上であることを含む第1条件が満たされた場合、前記載置台を昇降させる昇降部の動作を停止させる処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システム、搬送方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、物品を台車に載置して搬送する搬送ロボットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6413899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台車に載置された物品を棚に格納する手段や、棚に収容された物品を台車に載置する手段として、棚にガイドレールを設け、載置台をガイドレールに沿って上昇させることが考えられる。このケースでは、ガイドレールと係合していない状態の載置台を上昇させた場合、物品を落下させてしまう恐れがあるという問題があった。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、棚に収容される物品が落下することを防止できる搬送システム、搬送方法、およびプログラムを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の搬送システムは、
鉛直方向に延びるガイドレールが設けられた棚と、
前記ガイドレールに係合可能な載置台と、
前記載置台を昇降させる昇降部と、
前記ガイドレールと前記載置台との係合を検出する係合検出センサと、
前記ガイドレールと前記載置台とが係合していないことを含む第1条件が満たされた場合、前記昇降部の動作を停止させる安全制御部と
を備える。
【0007】
本開示の一態様の搬送方法は、
棚に設けられた鉛直方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに係合可能な載置台との係合を検出し、
前記ガイドレールと前記載置台とが係合していないことを含む第1条件が満たされた場合、前記載置台を昇降させる昇降部の動作を停止させる。
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、
コンピュータに、
棚に設けられた鉛直方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに係合可能な載置台との係合を検出するセンサの検出結果を取得する処理と、
前記ガイドレールと前記載置台とが係合していないことを含む第1条件が満たされた場合、前記載置台を昇降させる昇降部の動作を停止させる処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、棚に収容される物品が落下することを防止できる搬送システム、搬送方法、およびプログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1にかかる搬送システムの構成を説明する図である。
図2】実施形態1にかかる棚の正面図である。
図3】実施形態1にかかる搬送ロボットの斜視図である。
図4】実施形態1にかかる搬送ロボットの側面図である。
図5】実施形態1にかかる搬送ロボットの機能を示すブロック図である。
図6】実施形態2にかかる搬送ロボットの側面図である。
図7】実施形態2にかかる搬送ロボットの機能を示すブロック図である。
図8】実施形態2にかかる搬送ロボットの動作を説明する図である。
図9】実施形態2にかかる搬送ロボットの動作を説明する図である。
図10】実施形態2にかかる安全制御部の動作を説明する図である。
図11】実施形態3にかかる搬送ロボットの機能を示すブロック図である。
図12】実施形態3にかかる安全制御部の動作を説明する図である。
図13】変形例にかかる搬送ロボットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
実施形態1
以下、図面を参照して実施形態1にかかる搬送システム1について説明する。図1は、搬送システム1の概要を説明する図である。搬送システム1は、棚11および搬送ロボット12を備えている。搬送ロボット12は、物品を搬送して棚11に格納する。搬送ロボット12は、棚11から物品を取り出し、取り出した物品を搬送する。
【0013】
棚11は、図示しない物品を収容している。物品は、例えば、通函であってもよい。棚11は、筐体111、支持部材112、およびガイドレール113を備えている。支持部材112は、棚11に収容される物品を支持する(図2参照)。
【0014】
ガイドレール113は、搬送ロボット12の載置台121に設けられた溝1211と係合する。ガイドレール113は、鉛直方向に延びている。ガイドレール113は、棚11の前面と平行に設けられた板状部材であってもよい。板状部材は、筐体111から内側に突出する。ガイドレール113は、筐体111の左右両側に設けられていてもよく、いずれかに設けられていてもよい。
【0015】
搬送ロボット12は、載置台121、移動部122、昇降部123、伸縮アーム124、および係合検出センサ125を備えている。載置台121は、物品を載置可能な台であり、天板とも呼ばれる。載置台121には、溝1211が設けられている。溝1211は、棚11のガイドレール113と係合する。溝1211は、搬送ロボット12の進行方向右側と左側の両方に設けられてよい。
【0016】
搬送ロボット12は、移動可能な移動部122により水平方向に移動する。昇降部123は、移動部122上に設けられている。昇降部123は、載置台121を昇降させる。伸縮アーム124は、水平方向に伸縮する。伸縮アーム124は、棚11から物品を取り出して載置台121に載置し、載置台121上の物品を棚11に格納する。
【0017】
なお、伸縮アーム124は、棚11側に設けられていてもよい。また、伸縮アーム124以外の機構により、物品が移載されてもよい。また、搬送ロボット12、棚11の周辺に固定されていてもよい。この場合、搬送ロボット12は、移動部122を備えていなくてもよい。
【0018】
係合検出センサ125は、溝1211に設けられる。係合検出センサ125は、ガイドレール113と溝1211とが係合していることを検出する。ガイドレール113と溝1211とが係合している場合、ガイドレール113と載置台121とが係合する。係合検出センサ125は、例えば、フォトインタラプタやフォトリフレクタである。このケースでは、係合検出センサ125は発光部および受光部を備える。発光部からの光がガイドレール113で遮られている場合、ガイドレール113と載置台121とが係合していることを検出してもよい。発光部からの光がガイドレール113で反射されている場合、ガイドレール113と載置台121とが係合していることを検出してもよい。なお、係合検出センサ125は、ガイドレール113から受ける力を検出するセンサ(例:接触センサ、磁気センサ)であってもよい。
【0019】
なお、搬送システム1には、搬送ロボット12の走行を制御するサーバ(不図示)が備えられていてもよい。搬送ロボット12は、自ら搬送ルートを生成して自律移動を行ってもよい。サーバを含まない、搬送ロボット12内で処理が完結したシステムも搬送システム1には含まれ得る。
【0020】
図2を参照して、棚11の構成例について詳細に説明する。なお、説明の明確化のため、xyzの3次元直交座標系を示している。z方向が鉛直方向である。
【0021】
棚11は、筐体111、支持部材112、ガイドレール113、および仕切板114を備えている。
【0022】
筐体111は、z軸正方向側に設けられた天板、z軸負方向側に設けられた底板、y軸正方向側に設けられた左側板、y軸負方向側に設けられた右側板が一体に形成された構成を有している。筐体111の背面は、背面板により閉じられていてもよい。搬送ロボット12が筐体111の内部に進入できるように、底板は薄く形成されていてもよい。また、筐体111は、底板を備えていなくてもよい。
【0023】
支持部材112は、筐体111の内面、および後述する仕切板114において、奥行き方向(x軸方向)に延設されるとともに、高さ方向(z軸方向)に等間隔に並設されている。隣接して対向する一対の支持部材112上を、物品2から幅方向外側に突出した突出部が摺動することによって、物品2を出し入れできる。なお、支持部材112が、物品2の底面を支持してもよい。この場合、物品2は、突出部を備えていなくてもよい。
【0024】
ガイドレール113は、鉛直方向(z軸方向)に延びる。ガイドレール113は、yz面に平行な板状部材であってもよい。板状部材は、側板の内面および仕切板114から略垂直に立ち上がるように設けられる。
【0025】
地面または底板と、ガイドレール113の下端との間には、搬送ロボット12が進入するための隙間が形成されている。搬送ロボット12の昇降部123を収縮させた状態が、点線で示されている。隣接して対向する2つのガイドレール113の間の距離は、物品2の幅よりも大きい。棚11から物品2を出し入れするとき、ガイドレール113と物品2が干渉しないようになっている。物品2の突出部が通る切欠き(投入口)が、ガイドレール113に設けられてもよい。この場合、物品2の幅が、ガイドレール113間の距離よりも大きくてもよい。
【0026】
仕切板114は、筐体111の右側板および左側板に平行、すなわちxz平面に平行、かつ、筐体111の前面から背面に至るように設けられている。筐体111の右側板および左側板と、隣接する仕切板114との間隔、並びに仕切板114同士の間隔が等しくなるように仕切板114が設けられている。なお、図2の例では、2枚の仕切板114が設けられているが、仕切板114の枚数は何ら限定されない。また、仕切板114は、設けられていなくてもよい。
【0027】
次に、図3図4、および図5を参照して、搬送ロボット12について説明する。図3は、搬送ロボット12の構成を示す斜視図である。図4は、搬送ロボット12の構成を示す側面図である。図5は、搬送ロボット12の機能構成を示すブロック図である。
【0028】
図3および図4を参照すると、搬送ロボット12は、載置台121、移動部122、昇降部123、伸縮アーム124、および係合検出センサ125を備えている。図5を参照すると、搬送ロボット12は、制御部126および安全制御部127を備えている。制御部126は、移動部122、昇降部123、および伸縮アーム124の通常動作を制御する。安全制御部127は、係合検出センサ125の検出結果に基づいて昇降部123の動作を停止(例:緊急停止)させる。安全制御部127は、さらに移動部122および伸縮アーム124の動作を停止させてもよい。
【0029】
載置台121の側面には、鉛直方向に延びる溝1211が設けられている。溝1211は、載置台121の下面から上面に至るように設けられている。溝1211は、ガイドレール113に係合可能である。
【0030】
移動部122は、移動部本体1221と、移動部本体1221に回転可能に設けられた左右一対の駆動車輪1222と、前後一対の従動車輪1223と、各駆動車輪1222を回転駆動する一対のモータ1224とを有している。各モータ1224は、減速機などを介して、各駆動車輪1222を回転させる。各モータ1224は、制御部126からの制御信号に応じて、各駆動車輪1222を回転させる。各モータ1224は、制御部126からの制御信号に応じて、各駆動車輪1222を回転させることで、移動部本体1221を任意の位置に移動することができる。なお、上記移動部122の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、移動部122の駆動車輪1222および従動車輪1223の数は任意でよく、移動部本体1221を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0031】
昇降部123が伸縮することで、載置台121が昇降する。昇降部123は、上下方向へ伸縮するテレスコピック型の伸縮機構として構成されていてもよい。伸縮アーム124は、載置台121に取り付けられている。伸縮アーム124は、アーム本体1241および駆動装置1242を備えている。駆動装置1242は、載置台121の内部のガイドレール機構(不図示)に取り付けられており、アーム本体1241を水平方向に移動させる。駆動装置1242は、アーム本体1241を軸周りに回転させる機構をさらに有していてもよい。
【0032】
係合検出センサ125は、溝1211に設けられている。係合検出センサ125は、載置台121の左右両側に設けられていてもよい。係合検出センサ125は、溝1211とガイドレール113とが係合していることを検出できる。搬送ロボット12は、移動部122の移動を検出する移動検出センサや、載置台121の高さを検出する高さ検出センサをさらに備えていてもよい。
【0033】
制御部126は、移動部122、昇降部123、および伸縮アーム124の通常動作を制御する。制御部126は、移動部122の各モータ1224に制御信号を送信することで、各駆動車輪1222の回転を制御し、移動部本体1221を任意の位置に移動させることができる。制御部126は、昇降部123の回転装置1231に対して制御信号を送信することで、載置台121の高さ位置を制御することができる。また、制御部126は、伸縮アーム124の駆動装置1242に制御信号を送信することでアーム本体1241の水平位置を制御できる。
【0034】
制御部126は、駆動車輪1222に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪1222の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、移動部本体1221の移動を制御してもよい。制御部126は、移動部本体1221に設けられたカメラや超音波センサなどの距離センサにより検出された距離情報、移動環境の地図情報などの情報に基づいて、移動部122、昇降部123、および伸縮アーム124の動作を制御してもよい。
【0035】
制御部126は、例えば、制御処理、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)1261によって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)からなるメモリ1262、外部と信号の入出力を行うインタフェース部(I/F)1263などからなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。CPU1261、メモリ1262、およびインタフェース部1263は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0036】
安全制御部127は、係合検出センサ125の検出結果を取得する。安全制御部127は、係合検出センサ125以外のセンサの検出結果をさらに取得してもよい。安全制御部127は、ガイドレール113と載置台121とが係合していないことを含む第1条件が満たされた場合、昇降部123の動作を停止させる。
【0037】
安全制御部127は、制御部126と同様に、プロセッサやメモリなどを含んでいてもよい。安全制御部127は、PLC(Programmable Logic Controller)であってもよい。
【0038】
第1条件は、載置台121の高さが所定の高さh1以上であることをさらに含んでもよい。昇降部123の動作を停止させる場合、安全制御部127は、昇降部123への電源の供給を停止させてもよい。
【0039】
なお、ガイドレール113と載置台121とを係合させる際、昇降部123を伸長させる必要がない場合がある。例えば、載置台121を傾けられるように構成されている場合、載置台121を傾けることで、ガイドレール113と載置台121とを係合させることができる。また、例えば、ガイドレール113が棚11の片側に設けられている場合、搬送ロボット12が棚11の前面と平行に移動することで、ガイドレール113と載置台121とを係合させることができる。このような場合、第1条件は、載置台121の高さに関する条件を含まなくてもよい。
【0040】
実施形態1によれば、ガイドレールと載置台とが係合していない場合、載置台の動作を停止させることができる。これにより、棚に収容される物品が落下することを防止できる。また、搬送ロボットが転倒することを防止できる。
【0041】
実施形態2
実施形態2は、実施形態1の具体例である。図6は、実施形態2にかかる搬送ロボット12aの構成を示す側面図である。図4図6とを比較すると、搬送ロボット12aには、高さ検出センサ128が追加されている。高さ検出センサ128は、載置台121の高さを測定する。高さ検出センサ128は、載置台121の高さをミリメートル単位、センチメートル単位で測定できる必要はない。高さ検出センサ128は、載置台121の高さが所定の高さh1以上であることを検出できればよい。
【0042】
高さ検出センサ128は、伸縮する昇降部123を撮影することで載置台121の高さを測定してもよい。例えば、テレスコピック型の昇降部123に含まれる複数の筒が、異なる色で着色されている場合、新たな色の筒が現れた場合、載置台121の高さが所定の高さh1以上であることを測定できる。昇降部123が複数の帯を巻回して構成される場合、各帯は異なる色で着色された複数の部分を含む。昇降部123の長さが所定の長さを超えた場合、異なる色を有する新たな部分が出現すればよい。
【0043】
また、高さ検出センサ128は、載置台121の下面と移動部本体1221の上面との間の距離を測定する測距センサであってもよい。この場合、高さ検出センサ128は、移動部本体1221の上面や、載置台121の下面に設けられてもよい。また、高さ検出センサ128は、載置台121と地面との間の距離を測定してもよい。高さ検出センサ128は、磁気による検知機構であってもよい。
【0044】
図7は、搬送ロボット12aの機能構成を示すブロック図である。搬送ロボット12aは、移動部122、昇降部123、伸縮アーム124、係合検出センサ125、制御部126、安全制御部127、高さ検出センサ128、電源129、リレー130、およびリレー131を備えている。
【0045】
制御部126は、移動部122、昇降部123、および伸縮アーム124を制御するためのコマンドを供給する。制御部126は、ロボット制御装置とも言う。制御部126は、例えば、PC(Personal Computer)である。
【0046】
安全制御部127は、係合検出センサ125の検出結果および高さ検出センサ128の検出結果を取得する。安全制御部127は、取得した検出結果に基づいてリレー130およびリレー131の状態を切り替える制御を行う。安全制御部127は、安全制御装置とも言う。安全制御部127は、例えば、PLCによって実現される。
【0047】
安全制御部127は、上述した第1条件が満たされる場合、リレー130を遮断状態にする。これにより、昇降部123の動作および伸縮アーム124の動作が停止する。第1条件は、ガイドレール113と載置台121とが係合していないこと、および載置台121の高さが所定の高さh1以上であることを含む。所定の高さh1は、ガイドレール113の下端よりも高く設定される。所定の高さh1は、物品が落下するリスク等に応じて適切に設定される。
【0048】
第1条件が満たされていない場合、載置台121をガイドレール113に沿って上昇させられていない。安全制御部127が昇降部123の動作を停止させることで、物品2が落下するリスクや、搬送ロボット12が転倒するリスクを低減できる。
【0049】
また、第1条件が満たされていない場合、伸長させた伸縮アーム124がユーザにぶつかってしまう恐れがある。載置台121がユーザの目の高さ程度まで上昇している場合は、特にリスクが大きい。安全制御部127が伸縮アーム124の動作を停止させることで、伸縮アーム124がユーザにぶつかるリスクを低減できる。
【0050】
安全制御部127は、さらに、ガイドレール113と載置台121とが係合していることを含む第2条件が満たされた場合、リレー131を遮断状態にする。これにより、移動部122の動作が停止する。安全制御部127は、第1条件が満たされた場合にも、移動部122の動作を停止させてもよい。
【0051】
第2条件が満たされていない場合に移動部122を動作させると、載置台121や昇降部123を損傷させるリスクがある。また、棚11や載置台121から物品2を落下させるリスクがある。移動部122の動作を停止させることで、搬送ロボット12を損傷させるリスクや、物品2が落下するリスクを低減できる。
【0052】
電源129は、移動部122、昇降部123、および伸縮アーム124に電力を供給する。配線21は、昇降部123および伸縮アーム124に電力を供給するための配線である。配線22は、移動部122に電力を供給するための配線である。
【0053】
配線21上に、リレー130(リレー1とも言う)が設けられる。リレー130は、第1遮断部とも言う。リレー130は、昇降部123および伸縮アーム124への電源129の供給を遮断する。リレー130は、安全制御部127からの制御信号に応じて、昇降部123および伸縮アーム124と、電源129との間の接続状態を切り替える。
【0054】
配線22上に、リレー131(リレー2とも言う)が設けられる。リレー131は、第2遮断部とも言う。リレー131は、移動部122への電源129の供給を遮断する。リレー131は、安全制御部127からの制御信号に応じて、移動部122と電源129の間の接続状態を切り替える。
【0055】
なお、電源129の代わりに、高圧エアやオイルなどの駆動源が用いられてもよい。この場合、第1遮断部および第2遮断部は、バルブなどにより構成される。
【0056】
次に、図8および図9を参照して、搬送ロボット12aの動作の概要を説明する。図8は、載置台121がガイドレール113に係合する前の状態を示している。移動部122は、溝1211のx方向の位置と、ガイドレール113のx方向の位置が略一致するように移動する。昇降部123が載置台121を上昇させ、載置台121の高さがガイドレール113の下端に到達すると、載置台121とガイドレール113の係合が開始する。載置台121とガイドレール113が係合すると、安全制御部127は、移動部122の動作を停止させる。
【0057】
図9は、載置台121が物品2の高さまで上昇した状態を示している。載置台121がガイドレール113に係合しているため、安全制御部127は、昇降部123の動作および伸縮アーム124の動作を停止させない。搬送ロボット12aは、伸縮アーム124を用いて載置台121に荷物を載置する。一方、ガイドレール113と載置台121とが係合していない場合、安全制御部127は、昇降部123の動作を停止する。
【0058】
図10は、安全制御部127の動作を説明する図である。表30の第1列は、係合検出センサ125の検出結果を表している。第2列は、高さ検出センサ128の検出結果を表している。第3列は、リレー1(リレー130)の接続状態を表している。「ON」は接続状態を表し、「OFF」は遮断状態を表している。第4列は、リレー2(リレー131)の接続状態を表している。
【0059】
まず、リレー1の状態について説明する。第4行を参照すると、第1条件が満たされる場合、つまり、載置台121とガイドレール113とが係合しておらず、かつ、載置台121の高さが所定の高さh1以上である場合、リレー1の状態は遮断状態になっている。意図しない昇降動作や係合の失敗により、ガイドレール113に係合しないまま載置台121の高さが所定の高さh1以上になった場合、昇降部123への電源129の供給が停止される。そして、昇降部123は、セーフティトルクオフ状態になる。
【0060】
次に、リレー2の状態について説明する。第2行および第3行を参照すると、第2条件が満たされる場合、つまり、載置台121とガイドレール113とが係合している場合、リレー2は遮断状態になっている。また、第4行を参照すると、第1条件が満たされる場合にも、リレー2は遮断状態になっている。
【0061】
なお、ガイドレール113と載置台121とを係合させる際に、移動部122の動作が必要な場合、第2行においてリレー131の状態を「ON」にしてもよい。この場合、載置台121の高さが低く、昇降部123が損傷するリスクや、物品を落下させるリスクは小さい。所定の高さh1は、1m程度が適切であると考えられるが、物品の重さなどのリスク要因に応じて適切に設定され得る。
【0062】
伸縮アーム124への電源129の供給を遮断するリレー(第3遮断部とも言う)が、昇降部123への電源129の供給を遮断するリレー131とは別に設けられてもよい。この場合、ガイドレール113と載置台121とが係合しておらず、かつ、載置台121の高さが、所定の高さh1とは異なる高さh2以上である場合に、リレーを遮断状態にする。これにより、伸縮アーム124を停止させる条件と、昇降部123を停止させる条件とを異ならせることができる。
【0063】
実施形態2も、実施形態1と同様の効果を奏する。また、実施形態2は、棚11と係合した搬送ロボット12が移動することによるリスクを低減できる。実施形態2は、棚11と係合していない搬送ロボット12が伸縮アーム124を伸長させることによるリスクを低減できる。
【0064】
実施形態3
実施形態3は、実施形態2の変形例である。図11は、実施形態3にかかる搬送ロボット12bの機能構成を示すブロック図である。図7図11を比較すると、搬送ロボット12bには、移動検出センサ132が追加されている。配線21および22が、配線23に置き換わっている。リレー130およびリレー131が、リレー133に置き換わっている。
【0065】
移動検出センサ132は、移動部122による移動を検出する。移動検出センサ132は、移動部122の速度を監視する速度監視センサであってもよい。速度は、例えば、モータ1224の回転速度をもとに監視されてもよい。また、移動検出センサ132は、周囲環境と搬送ロボット12との間の距離を測るセンサであってもよい。測定された距離の変化に応じて、移動部122による移動が検出される。
【0066】
配線23は、移動部122、昇降部123、および伸縮アーム124に電力を供給するための配線である。
【0067】
配線23上にリレー133が設けられる。リレー133は、単にリレーと言う場合がある。リレー133は、第4遮断部とも言われる。リレー133は、移動部122,昇降部123、および伸縮アーム124への電源129の供給を遮断する。リレー133は、安全制御部127からの制御信号に応じて、移動部122,昇降部123および伸縮アーム124と、電源129との間の接続状態を切り替える。
【0068】
安全制御部127は、第1条件が満たされる場合、リレー133を遮断状態にする。また、安全制御部127は、第2条件が満たされる場合、リレー133を遮断状態にする。第2条件は、ガイドレール113と載置台121とが係合していること、載置台121の高さが所定の高さh1以上であること、および移動部122が移動していることを含む。
【0069】
図12は、安全制御部127の動作を説明する図である。表40の第3列は、移動検出センサ132の検出結果を表している。「x」は、don’t careを表している。「=0」は、移動部122の速度が0であること、つまり移動部122が移動していないことを表している。「>0」は、移動部122の速度が0でないこと、つまり移動部122が移動していることを表している。第4列は、リレー133(リレー)の接続状態を表している。
【0070】
第4行を参照すると、第1条件が満たされる場合、リレー133は「OFF」になっている。
【0071】
第5行を参照すると、第2条件が満たされる場合、リレー133は「OFF」になっている。第2条件が満たされる場合、リレー133が「OFF」になり、移動部122の速度は0になる。したがって、第5行の状態から第3行の状態に遷移する。これにより、昇降部123等を損傷する可能性のある状態から、安全な状態に遷移する。
【0072】
第2行を参照すると、載置台121とガイドレール113が係合した状態で、移動部122が移動可能である。しかし、載置台121の高さが所定の高さh1未満であるため、昇降部123等が損傷したり、物品が落下させたりするリスクは低い。搬送ロボット12bは、移動しつつガイドレール113と載置台121とを係合させることができる。
【0073】
なお、搬送ロボット12bは、伸縮アーム124を備えていなくてもよい。この場合、伸縮アーム124がユーザに接触するリスク以外のリスク(例:物品2を落下させるリスク)を低減できる。
【0074】
実施形態3も、実施形態2と同様の効果を奏する。実施形態3で使用される遮断部の数は、実施形態2で使用される遮断部の数よりも少ない。
【0075】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0076】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0077】
例えば、係合検出センサ125、高さ検出センサ128、および移動検出センサ132は、棚11側に設けられてもよい。この場合、各センサは、検出結果を搬送ロボット12やサーバに送信してもよい。
【0078】
また、実施形態にかかる搬送システムは、棚11と搬送ロボット12を一体化した搬送ロボット12cを備えていてもよい。図13は、搬送ロボット12cの構成を示す側面図である。載置台121は鉛直軸周りに回転可能であってもよい。この場合も、物品を落下させるリスク、昇降部123を損傷させるリスク、伸縮アーム124をユーザに接触させてしまうリスク等を低減できる。
【符号の説明】
【0079】
1 搬送システム
11 棚
111 筐体
112 支持部材
113 ガイドレール
114 仕切板
12、12a、12b、12c 搬送ロボット
121 載置台
1211 溝
122 移動部
1221 移動部本体
1222 駆動車輪
1223 従動車輪
1224 モータ
123 昇降部
124 伸縮アーム
1241 アーム本体
1242 駆動装置
125 係合検出センサ
126 制御部
1261 CPU
1262 メモリ
1263 インタフェース部
127 安全制御部
128 高さ検出センサ
129 電源
130、131、133 リレー
132 移動検出センサ
21、22、23 配線
30、40 表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13