(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/02 20060101AFI20241224BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20241224BHJP
H05K 5/00 20250101ALI20241224BHJP
H05K 5/15 20250101ALI20241224BHJP
【FI】
H01H50/02 D
H01H9/02 C
H05K5/00 C
H05K5/02 P
(21)【出願番号】P 2022178311
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2021562567の分割
【原出願日】2020-11-20
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2019218188
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】関谷 優志
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 耕明
(72)【発明者】
【氏名】菊地 翔太
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-064874(JP,A)
【文献】実公昭50-015187(JP,Y1)
【文献】特開平11-054008(JP,A)
【文献】特開平08-250002(JP,A)
【文献】中国実用新案第2561085(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 59/00
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の開放端側を一方向において互いに向かい合わせて連結することにより電気部品を収納する第1フレーム及び第2フレームと、
連結された前記第1フレームと前記第2フレームとの相対変位を抑制する相対変位抑制機構と、を備え、
前記相対変位抑制機構は、
前記第1フレームの側壁に設けられた第1固定部と、
前記第2フレームの側壁に前記一方向において前記第1固定部と重畳するように設けられた第2固定部と、
前記第1固定部及び前記第2固定部の配列方向に摺動し、前記第1固定部及び前記第2固定部の各々の外側を前記第1固定部及び前記第2固定部に亘って移動が可能な固定部材と、を備え
、
前記固定部材が前記第1固定部及び前記第2固定部の両方に固定された第1状態と、前記固定部材が前記第1固定部または第2固定部のいずれかに固定された第2状態と、を有し、
前記第1固定部は、貫通孔の第1片挿入部を有し、
前記第2固定部は、貫通孔の第2片挿入部を有し、
前記固定部材は、部材本体と、前記部材本体に基部が固定された挿入片とを有し、
前記相対変位抑制機構は、
前記固定部材を前記第1固定部側から前記第2固定部側に向かって移動させることにより、前記挿入片が前記第1片挿入部及び前記第2片挿入部の各々に亘って挿入されることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記相対変位抑制機構は、前記第1状態では、前記一方向と直交する方向における前記第1フレームと前記第2フレームとの相対変位を抑制し、前記第2状態では、前記相対変位を解除する、ことを特徴とする請求項
1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記相対変位抑制機構は、前記第1片挿入部、前記第2片挿入部及び前記挿入片を含む組を複数組み備えている、ことを特徴とする請求項
1に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第2固定部は、第1被係止部を有し、
前記固定部材は、先端側に第1係止突起部が設けられた可撓性アームを有し、
前記相対変位抑制機構は、前記挿入片が前記第1片挿入部及び前記第2片挿入部の各々に挿入され、前記第1係止突起部を前記第1被係止部に引っ掛けて係止状態を保持することにより、前記第1状態を保持する、ことを特徴とする請求項
1に記載の電気機器。
【請求項5】
前記第1係止突起部は、前記可撓性アームの弾発力により前記第1被係止部に付勢される、ことを特徴とする請求項
4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記相対変位抑制機構は、前記第1係止突起部が設けられた可撓性アーム、及び前記第1被係止部を1組として複数組み備えている、ことを特徴とする請求項
4に記載の電気機器。
【請求項7】
前記第1固定部は、第2被係止部を有し、
前記可撓性アームは、前記可撓性アームの延伸方向において、前記第1係止突起部から離間して設けられた第2係止突起部を有し、
前記相対変位抑制機構は、前記挿入片が前記第1片挿入部に挿入され、前記可撓性アームの弾発力で前記第2係止突起部を前記第2被係止部に引っ掛けて係止状態とすることにより、前記第2状態を保持する、ことを特徴とする請求項
4に記載の電気機器。
【請求項8】
相対変位抑制機構は、前記第2被係止部及び前記第2係止突起部を1組として複数組み備えている、ことを特徴とする請求項
7に記載の電気機器。
【請求項9】
前記相対変位抑制機構は、前記可撓性アームの弾発力を利用して前記第1係止突起部を前記第2被係止部に引っ掛けて係止状態とすることにより、前記第2状態を保持する、ことを特徴とする請求項
7に記載の電気機器。
【請求項10】
前記相対変位抑制機構は、
前記固定部材の側壁に設けられた位置決め突起部と、
前第1フレームの側壁に設けられ、前記固定部材が前記第2固定部側から前記第1固定部側に向かって移動する際、前記第2状態で前記位置決め突起部が当接して前記固定部材の移動を止めるストッパ部と、を更に備えていることを特徴とする請求項
1に記載の電気機器。
【請求項11】
前記相対変位抑制機構は、前記第2フレームの側壁に前記一方向に延伸して設けられ、かつ前記位置決め突起部が前記一方向に沿って移動する案内部を更に備え、
前記ストッパ部は、前記案内部の終端に設けられていることを特徴とする請求項
10に記載の電気機器。
【請求項12】
前記第1固定部及び前記第2固定部の各々は、前記一方向に延伸し、前記第1フレーム及び前記第2フレームを連結することにより直線上に配置される案内レールを有し、
前記固定部材は、前記第1固定部及び前記第2固定部の各々の前記案内レールを摺動する摺動片を有し、
前記摺動片が各々の前記案内レールを摺動することによって前記第1固定部及び第2固定部の各々に亘って移動する、ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載の電気機器。
【請求項13】
前記摺動片は、前記案内レールの端部に係止する係止突起部を有し、
前記摺動片の前記係止突起部が、前記第1固定部の前記案内レールの端部に係止することで、前記第1状態を保持し、前記第2固定部の前記案内レールの端部に係止することで、前記第2状態を保持することを特徴とする、請求項1
2に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、特に、接点ユニット及び電磁石ユニットを収納するフレーム本体を備えた電気機器に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器としての電磁接触器は、接点ユニット及び電磁石ユニットを収納する本体フレームを備えている。そして、本体フレームは、互に向かい合う第1フレーム及び第2フレームと、第1フレーム及び第2フレームを連結する連結機構とを備えている。
【0003】
特許文献1及び2には、連結機構として、スナップフィット機構を備えた電磁接触器が開示されている。特許文献1に記載のスナップフィット機構は、第1フレームのフック部に設けられた嵌合部と第2フレームに設けられた嵌合突起部との嵌合によって第1フレーム及び第2フレームを連結している。
また、特許文献2に記載のスナップフィット機構は、上部ケースに設けられた係合突起と、下部ケースの弾性板部に設けられた受け口との嵌合によって上部ケース及び下部ケースを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/177961号
【文献】特開平7-312159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電磁接触器では、顧客が使用する電源の種類に対応して電磁コイルを交換することがある。特許文献1に記載のスナップフィット機構は、第1フレームの嵌合部と第2フレームの嵌合突起部との嵌合及び嵌合の解除を行うことができるので、電磁コイルの交換に有用である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスナップフィット機構では、マイナス形ドライバのような先端が偏平状(平板状)の工具を用いて第1フレームの可撓性突出板部を外側に撓ませることにより可撓性突出板部の嵌合部と第2フレームの嵌合突起部との嵌合を解除する構成なっており、工具で可撓性突出板部を撓ませる手間があった。また、可撓性突出板部を外側に撓ませる際、可撓性突出板部の撓み量を規制するストッパがないので、力加減によっては可撓性突出板部が折損することが懸念された。また、スナップフィット機構は複数箇所設けられており、複数のスナップフィット機構を工具で同時に解除する必要があり、作業性に問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記技術の問題点に着目してなされたものであり、本願発明の目的は、本体フレーム内の部品交換を容易に行うことが可能な電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電気機器は、
接点ユニットと、上記接点ユニットを駆動する電磁石ユニットと、収納部に上記接点ユニット及び上記電磁石ユニットを収納する本体フレームと、を備え、
上記本体フレームは、開放端側から突出する可撓性板部を有する第1フレームと、第1方向において上記第1フレームと互いに向かい合って収納部を構成する第2フレームと、上記第1フレーム及び上記第2フレームを連結するスナップフィット機構と、を備え、
上記スナップフィット機構は、上記可撓性突出板部に設けられた被嵌合部と、上記第2フレームの側壁に設けられ、上記被嵌合部と嵌合する嵌合突起部と、を有し、
上記被嵌合部及び上記嵌合突起部は、上記第1方向において上記第1フレーム及び上記第2フレームを相対的に近づけることにより嵌合し、上記第1方向と直交する第2方向において上記第1フレーム及び上記第2フレームを相対的に変位させることにより嵌合を解除する。
【0009】
本発明の他の態様に係る電気機器は、
各々の開放端側を一方向において互いに向かい合わせて連結することにより電気部品を収納する第1フレーム及び第2フレームと、連結された上記第1フレームと上記第2フレームとの相対変位を抑制する相対変位抑制機構と、を備えている。そして、上記相対変位抑制機構は、上記第1フレームの側壁に設けられた第1固定部と、上記第2フレームの側壁に上記一方向において上記第1固定部と重畳するように設けられた第2固定部と、上記第1固定部及び上記第2固定部に亘って移動が可能な固定部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、本体フレーム内の部品交換を容易に行うことが可能な電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電磁接触器の外観構成を示す斜視図である。
【
図4A】第1フレーム及び第2フレームの連結状態を示す断面図である。
【
図4B】第1フレーム及び第2フレームの連結状態を示す断面図である。
【
図7】第1フレーム及び第2フレームが位置決め機構で位置決めされた状態を示す断面図である。
【
図8A】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するための正面図である。
【
図8B】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するための断面図である。
【
図9A】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するための正面図である。
【
図9B】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するための断面図である。
【
図10A】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するための正面図である。
【
図10B】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するための断面図である。
【
図11A】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するための正面図である。
【
図11B】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するための断面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る電気機器用ケースを備えた電磁接触器の外観構成を示す斜視図である。
【
図13】電磁接触器の内部構造を示す断面図である。
【
図15A】Y方向において第1フレーム及び第2フレームの連結状態を示す断面図である。
【
図15B】X方向において第1フレーム及び第2フレームの連結状態を示す断面図である。
【
図18A】相対変位抑制機構の固定部材を第1フレームの第1固定部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図18B】相対変位抑制機構の第1固定部及び第2固定部を示す斜視図である。
【
図18C】相対変位抑制機構の固定部材を示す斜視図である。
【
図19A】相対変位抑制機構の相対変位抑制を解除した状態を示す側面図である。
【
図19B】相対変位抑制機構の相対変位抑制を解除した状態を示す断面図である。
【
図20A】相対変位抑制機構で相対変位を抑制した状態を示す側面図である。
【
図20B】相対変位抑制機構で相対変位を抑制した状態を示す断面図である。
【
図21】第1フレーム及び第2フレームが位置決め機構で位置決めされた状態を示す断面図である。
【
図22A】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するためのX方向に沿った正面図である。
【
図22B】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するためのY方向に沿った断面図である。
【
図23A】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するためのX方向に沿った正面図である。
【
図23B】第1フレーム及び第2フレームの連結を説明するためのY方向に沿った断面図である。
【
図24A】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するためのX方向に沿った正面図である。
【
図24B】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するためのX方向に沿った断面図である。
【
図25A】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するためのX方向に沿った正面図である。
【
図25B】第1フレーム及び第2フレームの連結解除を説明するためのX方向に沿った断面図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係る電磁接触器の外観構成を示す斜視図である。
【
図27A】相対変位抑制機構で相対変位を抑制した状態を示す斜視図である。
【
図27B】相対変位抑制機構で相対変位を抑制した状態を示す断面図である。
【
図28A】相対変位抑制機構の相対変位抑制を解除した状態を示す斜視図である。
【
図28B】相対変位抑制機構の相対変位抑制を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
また、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものではない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の実施形態では、空間内で互に直交する三方向において、同一平面内で互に直交する第2の方向及び第3の方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第2の方向及び第3の方向のそれぞれと直交する第1の方向をZ方向とする。
また、以下の実施形態では、電気機器としての電磁接触器に本発明を適用した場合について説明する。しかしながら、本発明は以下の実施形態の電磁接触器に限定されるものではなく、他の電気機器にも適用することが可能である。
【0013】
〔第1実施形態〕
≪電磁接触器の構成≫
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る電磁接触器1は、接点ユニット10と、この接点ユニット10を駆動する電磁石ユニット20と、この接点ユニット10及び電磁石ユニット20を収納部30a内に収納する本体フレーム30とを備えている。接点ユニット10及び電磁石ユニット20は、Z方向(第1方向)に直列配置で本体フレーム30の収納部30a内に収納されている。この電磁接触器1は、三相交流の電路を開閉するものである。
【0014】
<接点ユニット>
図2に示すように、接点ユニット10は、一対の固定接触子11及び12と、この一対の固定接触子11及び12に対して接離可能に配置された橋連形の可動接触子13と、この可動接触子13を保持する可動接点支え14と、を有する。
一対の固定接触子11及び12は、X方向(第2方向)に延伸し、一端側に固定接点が設けられ、他端側に外部端子部が設けられている。そして、一対の固定接触子11及び12は、各々の一端側が向かい合い、かつX方向に離間した状態で本体フレーム30に固定されている。
【0015】
可動接触子13は、X方向に延伸し、一端側及び他端側にそれぞれ可動接点が設けられている。可動接触子13の一端側の可動接点と一方の固定接触子11の固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子13の他端側の可動接点と他方の固定接触子12の固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子13は可動接点支え14に保持されている。一対の固定接触子11及び12、並びに可動接触子13は接点部を構成し、この接点部は三相交流の電路に対応してY方向に3つ並んで配置されている。
【0016】
<電磁石ユニット>
図2に示すように、電磁石ユニット20は、固定鉄心21及び可動鉄心22と、電磁コイル23と、復帰バネ26と、を有する。固定鉄心21及び可動鉄心22は、各々の接極面が互いに向かい合うようにして配置されている。
電磁コイル23は、電磁力によって固定鉄心21と可動鉄心22とを吸着させる磁界を発生する。電磁コイル23は、巻線24及びボビン25を有している。巻線24は、固定鉄心21及び可動鉄心22の各々の中央脚部と外側脚部との間を通って中央脚部の周囲を周回する。ボビン25は、この巻線24が巻き付けられたものである。ボビン25は、その内径側に固定鉄心21及び可動鉄心22の各々の中央脚部が挿入され、その外径側に巻線24が巻き付けられる円筒部を有している。また、ボビン25には、この円筒部の両端部から外径側にフランジ状に張り出したフランジ部が設けられている。この電磁コイル23は、顧客が使用する電源の種類に対応して交換できるようになっている。
【0017】
復帰バネ26は、可動鉄心22を固定鉄心21から離間する方向に付勢する付勢手段である。復帰バネ26は、例えば、電磁コイル23のボビン25の上面と可動鉄心22との間に亘って設けられたコイルバネである。
一対の固定接触子11及び12と可動接触子13とは、相互に接触、離間することによって回路の接続、遮断を切り換える電気接点である。
【0018】
図2に示すように、可動接触子13は、可動接点支え14のZ方向の一端側に固定されている。そして、可動接点支え14のZ方向の他端側は、可動鉄心22の脚部側とは反対側の背面部に固定されている。可動接触子13は、可動鉄心22のZ方向の移動に連動してZ方向に移動する。すなわち、一対の固定接触子11及び12と可動接触子13とは、固定鉄心21と可動鉄心22とが相互に離間した釈放状態では離間し、固定鉄心21と可動鉄心22とが接触した投入状態では接触する。
可動接触子13の可動鉄心22側とは反対側には、図示していないが接触バネが設けられている。
【0019】
<本体フレーム>
図1及び
図2に示すように、本体フレーム30は、Z方向において互いに向かい合って収納部30aを構成する第1フレーム31及び第2フレーム41と、この第1フレーム31及び第2フレーム41を連結するスナップフィット機構50と、を備えている。
第1フレーム31は、4つの側壁31a,31b,31c,31dを有する角筒状の外周側壁の一端側が開放され、かつ外周側壁の一端側とは反対側の他端側が底壁31eで閉塞された有底筒体で構成されている。同様に、第2フレーム41も、4つの側壁41a,41b,41c,41dを有する角筒状の外周側壁の一端側が開放され、かつ外周側壁の一端側とは反対側の他端側が底壁で閉塞された有底筒体で構成されている。側壁31a及び側壁41aと、側壁31b及び側壁41bとは、X方向において互いに反対側に位置している。側壁31c及び側壁41cと、側壁31d及び側壁41dとは、Y方向において互いに反対側に位置している。
【0020】
第1フレーム31には、一対の固定接触子11及び12のうちの一方の固定接触子11と電気的に接続された一次側端子部と、一対の固定接触子11及び12のうちの他方の固定接触子12と電気的に接続された二次側端子部とが設けられている。第2フレーム41の底壁側の四隅には取付孔を有する取付板部43が設けられている。第1フレーム31及び第2フレーム41は、耐熱性及び絶縁性に優れた例えばナイロン系の熱可塑性絶縁樹脂で形成されている。
なお、この第1実施形態では、接点ユニット10を収納する側を、可撓性突出板部51を有する第1フレーム31とし、電磁石ユニット41を収納する側を、嵌合突起部55を有する第2フレーム41としているが、その逆で、電磁石ユニット41を収納する側を、可撓性突出板部51を有する第1フレームとし、接点ユニット10を収納する側を、嵌合突起部55を有する第2フレームとしてもよい。
【0021】
<スナップフィット機構>
図3、
図4A及び
図4Bに示すように、スナップフィット機構50は、第1フレーム31及び第2フレーム41のうちの一方の第1フレーム31の開放端から突出する可撓性突出板部51の先端側に被嵌合部としての嵌合孔部(開口部)52が設けられたフック部53と、第1フレーム31及び第2フレーム41のうちの他方の第2フレーム41に設けられ、かつ可撓性突出板部51の嵌合孔部52と嵌合する嵌合突起部55と、を有する。
可撓性突出板部51は、Z方向に沿って延伸し、基部が第1フレーム31と一体化され、基部と反対側の先端側が第1フレーム31の開放端側から突出している(
図5参照)。そして、可撓性突出板部51の先端は、第2フレーム41の外周側壁の外面と対向している。
【0022】
嵌合孔部52は、可撓性突出板部51の先端側において、可撓性突出板部51の互いに対向するおもて面及び裏面に亘って貫通している。この嵌合孔部52に第2フレーム41の嵌合突起部55が嵌め込まれて嵌合している。なお、この第1実施形態では、被嵌合部として嵌合孔部52を用いているが、被嵌合部としては嵌合凹部でもよい。
嵌合孔部52及び嵌合突起部55は、Z方向(第1方向)において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に近づけることにより嵌合し、Z方向と直交するX方向(第2方向)において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより嵌合を解除する。
【0023】
可撓性突出板部51は、Z方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に近づけて嵌合孔部52と嵌合突起部55とが嵌合する嵌合時に、嵌合突起部55と接触して可撓性突出板部51を外側に撓ませる第1傾斜面51aを有する。すなわち、可撓性突出板部51は、嵌合孔部52と嵌合突起部55とが嵌合するZ方向に第1傾斜面51aを有する。この第1傾斜面51aは、可撓性突出板部51の先端部の肉厚が基部に向かって徐々に厚くなる方向の傾きで傾斜している。嵌合突起部55は、Z方向と直交するX方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させて嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除する時に、嵌合孔部52の内面と接触して可撓性突出板部51を外側に撓ませる第2傾斜面55aを有する。すなわち、嵌合突起部55は、嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除するX方向に第2傾斜面55aを有する。この第2傾斜面55aは、可撓性突出板部51が接触する位置から嵌合突起部55の肉厚が徐々に厚くなる方向の傾きで傾斜している。
【0024】
第1フレーム31及び第2フレーム41のうち、嵌合突起部55が設けられた他方の第2フレーム41には、Z方向と直交するX方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させて嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除する時に、可撓性突出板部51の先端側と接触して可撓性突出板部51を外側に撓ませる第3傾斜面56を有する。この第3傾斜面56は、第2フレーム41の外周側壁の外面側に設けられている。すなわち、スナップフィット機構50は、第2フレーム41に設けられた第3傾斜面56を有する。第3傾斜面56は、可撓性突出板部51が接触する位置から側壁表面に向けて肉厚が徐々に厚くなる方向の傾きで傾斜している。
【0025】
図3から
図6に示すようにスナップフィット機構50は、本体フレーム30の外周側壁のY方向において互いに反対側に位置する各々の部分にX方向に併設してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられている。すなわち、可撓性突出板部51、第1傾斜面51a及び嵌合孔部52を有するフック部53は、第1フレーム31のY方向(第3方向)において互いに反対側に位置する2つの側壁31c及び31dの各々の外面にX方向に離間して設けられている。また、第2傾斜面55aを有する嵌合突起部55、及び第3傾斜面56は、第2フレーム41のY方向において互いに反対側に位置する2つの側壁41c及び41dの各々の外面にX方向に離間して設けられている。
なお、スナップフィット機構50は、本体フレーム30の互いに反対側に位置する2つの側壁部の何れか片方に設けるようにしてもよいが、本体フレーム30の互いに反対側に位置する各々の側壁部にそれぞれ1つ以上設けることが好ましい。
【0026】
<位置決め機構>
また、
図7に示すように、本体フレーム30は、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の位置を位置決めする位置決め機構70を更に備えている。
位置決め機構70は、第1フレーム31の開放端から突出し、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、第2フレーム41の開放端から侵入して第2フレーム41の外周側壁の内面と対向する可撓性位置決め板部71を有する。可撓性位置決め板部71は、Z方向に沿って延伸し、基部が第1フレーム31と一体化され、基部と反対側の先端側が第1フレーム31の開放端側から突出している。そして、可撓性位置決め板部71の先端側は、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、第2フレーム41の開放端から侵入し、第2フレーム41の外周側壁の内面と対向する。この第1実施形態では、可撓性位置決め板部71は、第1フレーム31のX方向の2つの側壁31a及び31bにY方向に離間してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられている。すなわち、可撓性位置決め板部71は、第1フレーム31の4つの隅にそれぞれ設けられている。そして、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、第1フレーム31の側壁31a側に設けられた2つの可撓性位置決め板部71の各々の先端側は、第2フレーム41の側壁41aの内面と対向し、第1フレーム31の側壁31b側に配置された2つの可撓性位置決め板部71の各々は第2フレーム41の側壁41bの内面と対向する。この位置決め機構70は、4つの可撓性位置決め板部71の各々先端側が第2フレーム41の開放端側から侵入して第2フレーム41の外周側壁の内面と接触することで第1フレーム31と第2フレーム41との位置決めを行うことができる。第1フレーム31の側壁31a側に設けられた2つの可撓性位置決め板部71は、第2フレーム41の側壁41aの内面を付勢する弾発力を有し、第1フレーム31の側壁31b側に設けられた2つの可撓性位置決め板部71は第2フレーム41の側壁41bの内面を付勢する弾発力を有する。
なお、可撓性位置決め板部71は、側壁31a側及び側壁31b側に設けているが、側壁31c側及び側壁31d側に設けてもよい。
【0027】
<第1及び第2フレームの連結>
次に、第1フレーム31及び第2フレーム41の連結について、
図8A、
図8B、
図9A及び
図9Bを用いて説明する。
まず、
図8A及び8Bに示すように、第1フレーム31及び第2フレーム41を各々の開放端側が向かい合うようにしてZ方向に沿って配置する。
【0028】
次に、
図9A及び
図9Bに示すように、Z方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に近づけて可撓性突出板部51の先端の第1傾斜面51aと嵌合突起部55とを接触させる。そして、Z方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を更に相対的に近づけることにより、可撓性突出板部51の先端側の第1傾斜面51aが嵌合突起部55と接触しながら移動して可撓性突出板部51が外側に撓む。その後、
図3、
図4A及び
図4Bに示すように、可撓性突出板部51の嵌合孔部52に嵌合突起部55が嵌め込まれて嵌合し、可撓性突出板部51の弾発力により嵌合孔部52と嵌合突起部55とが係止する。これにより、スナップフィット機構50によって第1フレーム31及び第2フレーム41が互いに連結固定される。
【0029】
この第1フレーム31及び第2フレーム41の連結途中において、第1フレーム31の可撓性位置決め板部71の先端側が第2フレーム41の開放端側から侵入して第2フレーム41の外周側壁の内面と接触することにより第1フレーム31と第2フレーム41との位置決めがなされる。
また、第1フレーム31及び第2フレーム41の連結が完了した時点において、可撓性位置決め板部71は、第2フレーム41の外周側壁の内面を自身の弾発力で付勢するので、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向のガタツキ(振動)を抑制することができる。
【0030】
<第1及び第2フレームの連結解除>
次に、第1フレーム31及び第2フレーム41の連結解除について、
図10A、
図10B、
図11A及び
図11Bを用いて説明する。なお、
図10A及び
図11Aでは、
図3と同様に、第1フレーム31及び第2フレーム41の各々の側壁31c及び41c側を示している。
【0031】
まず、第1フレーム31及び第2フレーム41がスナップフィット機構50により連結された状態(
図3、
図4A及
図4B参照)から、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させて、可撓性突出板部51の内壁面と嵌合突起部55の第2傾斜面55aとを接触させると共に、可撓性突出板部51を第3傾斜面56に接触させる。そして、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を更に相対的に変位させることにより、
図10A及び
図10Bに示すように、可撓性突出板部51の内壁面が嵌合突起部55の第2傾斜面55aと接触しながら移動し、かつ可撓性突出板部51が第3傾斜面56と接触しながら移動することで可撓性突出板部51が外側に撓む。その後、可撓性突出板部51の嵌合孔部52内から外に嵌合突起部55が移動する。そして、第1フレーム31及び第2フレーム41をZ方向に相対的に離すことにより、
図11A及び
図11Bに示すように、可撓性突出板部51の嵌合孔部52及び嵌合突起部55の嵌合が解除される。これにより、スナップフィット機構50による第1フレーム31及び第2フレーム41の連結が解除される。すなわち、このスナップフィット機構50は、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより、第1フレーム31と第2フレーム41との連結を解除することができるので、工具を使用する必要がない。
【0032】
≪第1実施形態の効果≫
次に、この第1実施形態の主な効果について説明する。
この第1実施形態に係る電磁接触器1は、スナップフィット機構50を備えている。そして、このスナップフィット機構50は、上述したように、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより、嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除することができるので、従来のように工具を使用して嵌合を解除する必要がなく、工具で可撓性突出板部51を撓ませる手間が無い。従って、この第1実施形態に係る電磁接触器1によれば、本体フレーム30内の電磁コイル23等の部品交換を容易に行うことができる。また、工具を使用しないで可撓性突出板部51の嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除できるので、工具で可撓性突出板部51を撓ませるときの力加減で可撓性突出板部51が折損するといった懸念を排除できる。また、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより、4つのスナップフィット機構50の嵌合状態をほぼ同時に解除できるので、複数のスナップフィット機構を工具で解除状態とする場合と比較して作業性に優れている。
【0033】
この第1実施形態に係る電磁接触器1は、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の位置を位置決めする位置決め機構70を更に備えている。したがって、この第1実施形態に係る電磁接触器1によれば、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、位置決め機構70によって第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の位置決めを速やかに行うことができ、第1フレーム31及び第2フレーム41をスナップフィット機構50で連結するときの作業性を向上することができる。
【0034】
また、位置決め機構70の可撓性位置決め板部71は、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結した後、第2フレーム41の外周側壁の内面を付勢する弾発力を有するので、スナップフィット機構50により第1フレーム及び第2フレームがX方向に相対的に変位できるようになっていても、可撓性位置決め板部71の弾発力により第1フレーム及び第2フレームのX方向のガタツキ(振動)を抑制することができる。
【0035】
なお、上述の第1実施形態では、第1フレーム31に嵌合孔部52が設けられ、第2フレーム41に嵌合突起部55が設けられたスナップフィット機構50について説明した。しかしながら、本発明は上述の第1実施形態のスナップフィット機構50に限定されるものではない。例えば、本発明は、第1フレーム31に嵌合突起部55が設けられ、第2フレーム41に嵌合孔部52が設けられたスナップフィット機構に適用することができる。すなわち、本発明は、第1フレーム31及び第2フレーム41のうちの一方のフレームの開放端側から突出する可撓性突出板部51の先端側に被嵌合部が設けられたフック部と、他方のフレームに設けられ、かつ被嵌合部と嵌合する嵌合突起部とを有するスナップフィットを備えた電磁接触器に適用することができる。
【0036】
また、上述の第1実施形態では、スナップフィット機構50を、第1フレーム31のY方向において互いに反対側に位置する2つの側壁31c及び31dの各々に2つずつ設けた場合について説明した。しかしながら、スナップフィット機構50を設ける個数は上述の第1実施形態に限定されるものではない。例えば、スナップフィット機構50は2つの側壁31c及び31dの各々に1つずつでもよく、また、3つ以上ずつ設けてもよい。
また、上述の第1実施形態では、スナップフィット機構50の被嵌合部として嵌合孔部52を用いた場合について説明したが、本発明は嵌合孔部52に限定されるものではない。例えば被嵌合部として嵌合凹部を用いてもよい。
【0037】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態では、電気機器用ケースとして、電磁接触器のケース本体に本発明を適用した例について説明する。
≪電磁接触器の全体構成≫
図12及び
図13に示すように、本発明の第2実施形態に係る電磁接触器1Aは、電気機器として、接点ユニット10と、この接点ユニット10を駆動する電磁石ユニット20とを備えている。また、本発明の第2実施形態に係る電磁接触器1Aは、電気機器用ケースとして、接点ユニット10及び電磁石ユニット20を収納部30a内に収納する本体フレーム30を更に備えている。接点ユニット10及び電磁石ユニット20は、Z方向(第1方向)に直列配置で本体フレーム30の収納部30a内に収納されている。この電磁接触器1Aは、三相交流の電路を開閉するものである。
【0038】
<接点ユニット>
図13に示すように、接点ユニット10は、一対の固定接触子11及び12と、この一対の固定接触子11及び12に対して接離可能に配置された橋連形の可動接触子13と、この可動接触子13を保持する可動接点支え14と、を有する。
一対の固定接触子11及び12は、X方向(第2方向)に延伸し、一端側に固定接点が設けられ、他端側に外部端子部が設けられている。そして、一対の固定接触子11及び12は、各々の一端側が向かい合い、かつX方向に離間した状態で本体フレーム30に固定されている。
【0039】
可動接触子13は、X方向に延伸し、一端側及び他端側にそれぞれ可動接点が設けられている。可動接触子13の一端側の可動接点と一方の固定接触子11の固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子13の他端側の可動接点と他方の固定接触子12の固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子13は可動接点支え14に保持されている。一対の固定接触子11及び12、並びに可動接触子13は接点部を構成し、この接点部は三相交流の電路に対応してY方向に3つ並んで配置されている。
【0040】
<電磁石ユニット>
図13に示すように、電磁石ユニット20は、固定鉄心21及び可動鉄心22と、電磁コイル23と、復帰バネ26と、を有する。固定鉄心21及び可動鉄心22は、各々の接極面が互いに向かい合うようにして配置されている。
電磁コイル23は、電磁力によって固定鉄心21と可動鉄心22とを吸着させる磁界を発生する。電磁コイル23は、巻線24及びボビン25を有している。巻線24は、固定鉄心21及び可動鉄心22の各々の中央脚部と外側脚部との間を通って中央脚部の周囲を周回する。ボビン25は、この巻線24が巻き付けられたものである。ボビン25は、その内径側に固定鉄心21及び可動鉄心22の各々の中央脚部が挿入され、その外径側に巻線24が巻き付けられる円筒部を有している。また、ボビン25には、この円筒部の両端部から外径側にフランジ状に張り出したフランジ部が設けられている。この電磁コイル23は、顧客が使用する電源の種類に対応して交換できるようになっている。
【0041】
復帰バネ26は、可動鉄心22を固定鉄心21から離間する方向に付勢する付勢手段である。復帰バネ26は、例えば、電磁コイル23のボビン25の上面と可動鉄心22との間に亘って設けられたコイルバネである。
一対の固定接触子11及び12と可動接触子13とは、相互に接触、離間することによって回路の接続、遮断を切り換える電気接点である。
【0042】
図13に示すように、可動接触子13は、可動接点支え14のZ方向の一端側に固定されている。そして、可動接点支え14のZ方向の他端側は、可動鉄心22の脚部側とは反対側の背面部に固定されている。可動接触子13は、可動鉄心22のZ方向の移動に連動してZ方向に移動する。すなわち、一対の固定接触子11及び12と可動接触子13とは、固定鉄心21と可動鉄心22とが相互に離間した釈放状態では離間し、固定鉄心21と可動鉄心22とが接触した投入状態では接触する。
可動接触子13の可動鉄心22側とは反対側には、図示していないが接触バネが設けられている。
【0043】
<本体フレーム>
図12及び
図13に示すように、本体フレーム30は、Z方向において互いに向かい合って収納部30aを構成する第1フレーム31及び第2フレーム41と、この第1フレーム31及び第2フレーム41を連結するスナップフィット機構50と、を備えている。
第1フレーム31は、4つの側壁31a,31b,31c,31dを有する角筒状の外周側壁の一端側が開放され、かつ外周側壁の一端側とは反対側の他端側が底壁31eで閉塞された有底筒体で構成されている。同様に、第2フレーム41も、4つの側壁41a,41b,41c,41dを有する角筒状の外周側壁の一端側が開放され、かつ外周側壁の一端側とは反対側の他端側が底壁で閉塞された有底筒体で構成されている。側壁31a及び側壁41aと、側壁31b及び側壁41bとは、X方向において互いに反対側に位置している。側壁31c及び側壁41cと、側壁31d及び側壁41dとは、Y方向において互いに反対側に位置している。
【0044】
第1フレーム31には、一対の固定接触子11及び12のうちの一方の固定接触子11と電気的に接続された一次側端子部と、一対の固定接触子11及び12のうちの他方の固定接触子12と電気的に接続された二次側端子部とが設けられている。第2フレーム41の底壁側の四隅には取付孔を有する取付板部43が設けられている。第1フレーム31及び第2フレーム41は、耐熱性及び絶縁性に優れた例えばナイロン系の熱可塑性絶縁樹脂で形成されている。
なお、この第1実施形態では、接点ユニット10を収納する側を、可撓性突出板部51を有する第1フレーム31とし、電磁石ユニット20を収納する側を、嵌合突起部55を有する第2フレーム41としているが、その逆で、電磁石ユニット20を収納する側を、可撓性突出板部51を有する第1フレームとし、接点ユニット10を収納する側を、嵌合突起部55を有する第2フレームとしてもよい。
【0045】
<スナップフィット機構>
図14、
図15A及び
図15Bに示すように、スナップフィット機構50は、第1フレーム31及び第2フレーム41のうちの一方の第1フレーム31の開放端から突出する可撓性突出板部51の先端側に被嵌合部としての嵌合孔部(開口部)52が設けられたフック部53と、第1フレーム31及び第2フレーム41のうちの他方の第2フレーム41に設けられ、かつ可撓性突出板部51の嵌合孔部52と嵌合する嵌合突起部55と、を有する。
可撓性突出板部51は、Z方向に沿って延伸し、基部が第1フレーム31と一体化され、基部と反対側の先端側が第1フレーム31の開放端側から突出している(
図16参照)。そして、可撓性突出板部51の先端は、第2フレーム41の外周側壁の外面と対向している。
【0046】
嵌合孔部52は、可撓性突出板部51の先端側において、可撓性突出板部51の互いに対向するおもて面及び裏面に亘って貫通している。この嵌合孔部52に第2フレーム41の嵌合突起部55が嵌め込まれて嵌合している。なお、この第2実施形態では、被嵌合部として嵌合孔部52を用いているが、被嵌合部としては嵌合凹部でもよい。
嵌合孔部52及び嵌合突起部55は、Z方向(第1方向)において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に近づけることにより嵌合し、Z方向と直交するX方向(第2方向)において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより嵌合を解除する。
【0047】
可撓性突出板部51は、Z方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に近づけて嵌合孔部52と嵌合突起部55とが嵌合する嵌合時に、嵌合突起部55と接触して可撓性突出板部51を外側に撓ませる第1傾斜面51aを有する。すなわち、可撓性突出板部51は、嵌合孔部52と嵌合突起部55とが嵌合するZ方向に第1傾斜面51aを有する。この第1傾斜面51aは、可撓性突出板部51の先端部の肉厚が基部に向かって徐々に厚くなる方向の傾きで傾斜している。嵌合突起部55は、Z方向と直交するX方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させて嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除する時に、嵌合孔部52の内面と接触して可撓性突出板部51を外側に撓ませる第2傾斜面55aを有する。すなわち、嵌合突起部55は、嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除するX方向に第2傾斜面55aを有する。この第2傾斜面55aは、可撓性突出板部51が接触する位置から嵌合突起部55の肉厚が徐々に厚くなる方向の傾きで傾斜している。
【0048】
第1フレーム31及び第2フレーム41のうち、嵌合突起部55が設けられた他方の第2フレーム41には、Z方向と直交するX方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させて嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除する時に、可撓性突出板部51の先端側と接触して可撓性突出板部51を外側に撓ませる第3傾斜面56を有する。この第3傾斜面56は、第2フレーム41の外周側壁の外面側に設けられている。すなわち、スナップフィット機構50は、第2フレーム41に設けられた第3傾斜面56を有する。第3傾斜面56は、可撓性突出板部51が接触する位置から側壁表面に向けて肉厚が徐々に厚くなる方向の傾きで傾斜している。
【0049】
図14から
図17に示すようにスナップフィット機構50は、本体フレーム30の外周側壁のY方向において互いに反対側に位置する各々の部分にX方向に併設してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられている。すなわち、可撓性突出板部51、第1傾斜面51a及び嵌合孔部52を有するフック部53は、第1フレーム31のY方向(第3方向)において互いに反対側に位置する2つの側壁31c及び31dの各々の外面にX方向に離間して設けられている。また、第2傾斜面55aを有する嵌合突起部55、及び第3傾斜面56は、第2フレーム41のY方向において互いに反対側に位置する2つの側壁41c及び41dの各々の外面にX方向に離間して設けられている。
なお、スナップフィット機構50は、本体フレーム30の互いに反対側に位置する2つの側壁部の何れか片方に設けるようにしてもよいが、本体フレーム30の互いに反対側に位置する各々の側壁部にそれぞれ1つ以上設けることが好ましい。
【0050】
<相対変位抑制機構>
図12及び
図14に示すように、本体フレーム30は、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位を抑制する相対変位抑制機構80を更に備えている。この第2実施形態の相対変位抑制機構80は、相対変位として、第1フレーム31と第2フレーム41との連結方向(Z方向)と直交する二次元平面内のX方向及びY方向のそれぞれの方向の相対変位(横ずれ)を抑制することができる。また、Z方向の相対変位(縦ずれ)も抑制することができる。
【0051】
図18A及び
図18Bに示すように、相対変位抑制機構80は、第1フレーム31の側壁31aに設けられた第1固定部81と、第2フレーム41の側壁41aに設けられた第2固定部85と、この第1固定部81及び第2固定部85に着脱自在に取り付けが可能な固定部材90と、を備えている。そして、相対変位抑制機構80は、
図20A及び
図20Bに示すように、固定部材90が第1固定部81及び第2固定部85の両方に固定された第1状態と、固定部材90が第1固定部81又は第2固定部85の何れかに固定された第2状態として、
図19A及び
図20Bに示すように、固定部材90が第1固定部81に固定された第2状態とを有する。
【0052】
第1固定部81及び第2固定部85は、第1フレーム31と第2フレーム41とを連結する際、Z方向において互いに重畳するように設けられている。固定部材90は、後で詳細に説明するが、第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動し、第1固定部81及び第2固定部85の各々に亘って連結固定される(第1状態)。この第2実施形態では、
図18A、
図19A及び
図19Bに示すように、固定部材90が第1固定部81側に着脱自在に保持される(第2状態)。そして、この保持状態(第2状態)の固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動(
図19A及び
図19Bに示す状態(第2状態)から
図20A及び
図20Bに示す状態(第1状態)に移動)させることにより、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位を抑制することができる。そして、この相対変位抑制状態の固定部材90を第2固定部85側から第1固定部81側に向かって移動(
図20A及び
図20Bに示す状態(第1状態)から
図19A及び
図19Bに示す状態(第2状態)に移動)させることにより、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位抑制を解除することができる。固定部材90は、第1固定部81及び第2固定部85に亘って摺動する。即ち、相対変位抑制機構80は、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位の抑制及び解除を、工具を用いることなく(工具レスで)実施することができる。
第1固定部81は、第1フレーム31の側壁31aに一体成形で形成されている。第2固定部85は、第2フレーム41の側壁41aに一体成形で形成されている。
【0053】
図18B及び
図19Bに示すように、第1固定部81は、正面部81aと、Y方向において互いに反対側に位置する2つの側面部81bと、Z方向において互いに反対側に位置する2つの端面部81cと、を有する直方体形状の三次元構造で構成されている。そして、第1固定部81は、後述する挿入片92が挿入される第1片挿入部82と、後述する可撓性アーム93が挿入される第1アーム挿入部83と、を有している。第1片挿入部82及び第1アーム挿入部83の各々は、第1固定部81の一方の端面部81c側から他方の端面部81c側に亘って延伸する貫通孔で構成されている。
第1片挿入部82は、Y方向に互いに離間して2つ設けられている。そして、第1アーム挿入部83は、2つの第1片挿入部82の間において、Y方向に互いに離間して設けられている。
【0054】
図18B及び
図19Bに示すように、第2固定部85は、正面部85aと、Y方向において互いに反対側に位置する2つの側面部85bと、Z方向において互いに反対側に位置する2つの端面部85cと、を有する直方体形状の三次元構造で構成されている。そして、第2固定部85は、挿入片92が挿入される第2片挿入部86と、可撓性アーム93が挿入される第2アーム挿入部87と、を有している。第2片挿入部86及び第2アーム挿入部87の各々は、第2固定部85の一方の端面部85c側から他方の端面部85c側に亘って延伸する貫通孔で構成されている。
【0055】
第2片挿入部86は、Y方向に互いに離間して2つ設けられている。そして、第2アーム挿入部87は、2つの第2片挿入部86の間において、Y方向に互いに離間して2つ設けられている。
なお、この第2実施形態では、挿入片92が第1片挿入部82側から第2片挿入部86に側に向かって挿入される。このような場合、第2片挿入部86としては、底部を有する凹部で構成してもよい。
【0056】
図18B及び
図19Bに示すように、第1固定部81及び第2固定部85は、第1フレーム31と第2フレーム41とを連結する際、Z方向において、各々の正面部81aと85aとが面一になり、各々の側壁部81bと85bとが面一になるように外観形状の大きさが揃っている。
図19Bに示すように、第1片挿入部82及び第2片挿入部86は、第1フレーム31と第2フレーム41とを連結する際、Z方向において直線上に位置するように構成されている。換言すれば、第1片挿入部82及び第2片挿入部86は、Z方向において、互いに重畳するように構成されている。また、第1アーム挿入部83及び第2アーム挿入部87においても、第1フレーム31と第2フレーム41とを連結する際、Z方向において直線上に位置するように構成されている。換言すれば、第1アーム挿入部83及び第2アーム挿入部87は、Z方向において、互いに重畳するように構成されている。
【0057】
図20Bに示すように、第2固定部85は、可撓性アーム93の先端側に設けられた第1係止突起部93aが可撓性アーム93の可撓性を利用して引っ掛けられる第1被係止部88を有している。第1被係止部88は、2つの第2アーム挿入部87の各々の内壁に設けられており、Y方向において互いに隣り合って配置されている。
図19Bに示すように、第1固定部81は、可撓性アーム93に第1係止突起部93aから離間して設けられた第2係止突起部93bが可撓性アーム93の可撓性を利用して引っ掛けられる第2被係止部84を有している。第2被係止部84は、2つの第1アーム挿入部83の各々の内壁に設けられており、Y方向において互いに隣り合って配置されている。
図19B及び
図20Bに示すように、第1被係止部88及び第2被係止部84は、第1フレーム31と第2フレーム41とを連結する際、Z方向において直線上に位置するように構成されている。換言すれば、第1被係止部88及び第2被係止部84は、Z方向において、互いに重畳するように構成されている。
【0058】
図18A及び
図18Cに示すように、固定部材90は、部材本体91と、この部材本体91に各々の基部が固定された挿入片92及び可撓性アーム93と、を有している。
部材本体91は、平面が長手方向(例えばY方向)及び短手方向(例えばX方向)を含む二次元平面形状(長方形状)の上壁部91aと、上壁部91aの短手方向において互いに反対側に位置する2つの長辺のうちの一方の長辺側から上壁部91aと直交する方向(例えばZ方向)に延伸する背壁部91bと、上壁部91aの長手方向において互いに反対側に位置する2つの短辺側からそれぞれ背壁部91bに沿って延伸する2つの側壁部91cと、を有している。そして、部材本体91は、上壁部91aと反対側が開放され、この開放端側が第1固定部81及び第2固定部85の出入り口となる。即ち、固定部材90は、第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動する際、第1固定部81及び第2固定部85の各々の正面部81a,85a及び側面部81b,85bを摺動する。
なお、
図18A及び
図19Bに示すように、第1固定部81に固定部材90を取り付けたとき、固定部材90の長手方向はY方向となり、固定部材90の短手方向はX方向となる。
【0059】
図18C及び
図19Bに示すように、挿入片92は、基部(根元)が上壁部91aに一体成形により連結され、基部から部材本体91の開放端側に向かって延伸している。そして、挿入片92は、固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動(
図19A及び
図19Bに示す状態(第2状態)から
図20A及び
図20Bに示す状態(第1状態)に移動)させることにより、第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86の各々に亘って挿入される。そして、第1片挿入部82及び第2片挿入部86の各々に挿入された挿入片92により、第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向及びY方向の各々の方向の相対変位を抑制することができる。挿入片92は、第1片挿入部82及び第2片挿入部86の各々の内壁を摺動しながら移動する。挿入片92は、例えば上壁部91aの長手方向に幅広の板形状になっている。
【0060】
図18C及び
図19Bに示すように、可撓性アーム93は、基部が上壁部91aに一体成形により連結され、基部から部材本体91の開放端側に向かって延伸している。そして、可撓性アーム93は、基部とは反対側である先端側に設けられた第1係止突起部93aと、可撓性アーム93の延伸方向において、第1係止突起部93aから離間し、かつ第1係止突起部93aよりも基部側に設けられた第2係止突起部93bと、を有している。
【0061】
可撓性アーム93の第1係止突起部93aは、固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に移動(
図19A及び
図19Bに示す状態(第2状態)から
図20A及び
図20Bに示す状態(第1状態)に移動)させることにより、
図20A及び
図20Bに示すように、可撓性アーム93の弾発力で第2固定部85の第1被係止部88に引っ掛けられて第1被係止部88との係止状態が保持される。そして、この係止状態の保持により、挿入片92が第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86の各々に挿入された状態を保持する。即ち、相対変位抑制機構80は、固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動させ、可撓性アーム93の弾発力で可撓性アーム93の第1係止突起部93aを第2固定部85の第1被係止部88に引っ掛けて係止状態とすることにより、挿入片92が第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86の各々に亘って挿入された状態を保持し、かつ固定部材90が第1固定部81及び第2固定部85の両方に固定された第1状態を保持する。換言すれば、第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向及びY方向の各々の方向の相対変位の抑制状態を保持する。
【0062】
可撓性アーム93の第2係止突起部93bは、固定部材90を第2固定部85側から第1固定部81側に向かって移動(
図20A及び
図20Bに示す状態(第1状態)から
図19A及び
図19Bに示す状態(第2状態)に移動)させることにより、
図19A及び
図19Bに示すように、可撓性アーム93の弾発力で第1固定部81の第2被係止部84に引っ掛けられて第2被係止部84との係止状態が保持される。そして、この係止状態の保持により、挿入片92が第2固定部85の第2片挿入部86から抜かれた状態(外された状態)を保持する。即ち、相対変位抑制機構80は、固定部材90を第2固定部85側から第1固定部81側に向かって移動させ、可撓性アーム93の弾発力で可撓性アーム93の第2係止突起部93bを第1固定部81の第2被係止部84に引っ掛けて係止状態とすることにより、挿入片92が第2固定部85の第2片挿入部86から抜かれた状態(外れた状態)を保持し、かつ固定部材90が第1固定部81に固定された第2状態を保持する。換言すれば、第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向及びY方向の各々の方向の相対変位抑制の解除状態を保持する。
【0063】
可撓性アーム93は、第1係止突起部93aを第1被係止部88に付勢し、かつ第2係止突起部93bを第2被係止部84に付勢する弾発力を有する。そして、第1係止突起部93aは、可撓性アーム93の弾発力により第1被係止部88に付勢され、第1被係止部88との係止状態が保持される。また、第2係止突起部93bは、可撓性アーム93の弾発力により第2被係止部84に付勢され、第2被係止部84との係止状態が保持される。
【0064】
図18C及び
図19Bに示すように、挿入片92、第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86の各々は、上壁部91aの長手方向(Y方向)に併設して2つずつ設けられている。また、可撓性アーム93、第1固定部81の第1アーム挿入部83及び第2固定部85の第2アーム挿入部87の各々は、上壁部91aの長手方向(Y方向)に併設して2つずつ設けられている。
すなわち、この第1実施形態の相対変位抑制機構80は、挿入片92、第1片挿入部82及び第2片挿入部86を含む組を2組備え、また、可撓性アーム93、第1アーム挿入部83及び第2アーム挿入部87を含む組を2組備えている。
【0065】
なお、挿入片92、第1片挿入部82及び第2片挿入部86を含む組、並びに、可撓性アーム93、第1アーム挿入部83及び第2アーム挿入部87を含む組は、この第1実施形態の組数に限定されるものではなく、例えば1組でもよく、また、3組以上でもよい。更に、挿入片92、第1片挿入部82及び第2片挿入部86を含む組と、可撓性アーム93、第1アーム挿入部83及び第2アーム挿入部87を含む組とで組数が異なっていてもよい。
【0066】
図18Aから
図20Bに示すように、相対変位抑制機構80は、固定部材90の側壁に設けられた位置決め突起部95と、第1フレーム31の側壁に設けられ、固定部材90が第2固定部85側から第1固定部81側に向かって移動する際、挿入片92が第2片挿入部86から抜かれ、かつ固定部材90が第1固定部81に保持された状態で位置決め突起部95が当接して第1固定部81の移動を止めるストッパ部96と、を更に備えている。また、相対変位抑制機構80は、第2フレーム41の側壁41aにZ方向に延伸して設けられ、かつ位置決め突起部95がZ方向に沿って移動する案内凹部97を更に備えている。そして、ストッパ部96は、案内凹部97の終端に設けられ、第1フレーム31と案内凹部97との段差により構成されている。位置決め突起部95は、固定部材90を第1固定部81に取り付けたとき、固定部材90の側壁部91cから第2フレーム41に向かって突出し、案内凹部97と向かい合って案内凹部97の延伸方向に移動する。
【0067】
<相対変位の抑制>
次に、相対変位抑制機構80の相対変位の抑制について説明する。
まず、
図19A及び
図19Bに示すように、第1フレーム31及び第2フレーム41が連結された状態において、固定部材90は、第1本体フレーム31の第1固定部81側に摺動自在に取り付けられている(第2状態)。このとき、可撓性アーム93の第2係止突起部93bが、可撓性アーム93の弾発力により第1固定部81の第2被係止部84に引っ掛けられ、可撓性アーム93の第2係止突起部93bと第1固定部81の第2被係止部84との係止状態が保持されている。そして、この係止状態の保持により、固定部材90は、挿入片92が第1固定部81の第1片挿入部82のみに挿入され、かつ第2固定部85の第2片挿入部86から抜けた状態、即ち、X方向及びY方向の相対変位(横ずれ)の抑制が解除された状態で第1固定部81に保持されている。可撓性アーム93は、第1固定部81の第1アーム挿入部83及び第2固定部85の第2アーム挿入部87に挿入されている。しかしながら、可撓性アーム93の第1係止突起部93aが第1被係止部88と第2被係止部84との間に位置し、第1被係止部との係止がなされていないので、Z方向の相対変位(縦ずれ)の抑制は解除されている。
【0068】
次に、相対変位の抑制が解除されている状態から固定部材90を第2固定部85側に向かって差し込んで、
図20A及び
図20Bに示すように、固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動させる。この固定部材90の移動(第1固定部81側→第2固定部85側)により、挿入片92が第2固定部85の第2片挿入部86に移動し、挿入片92が第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86に亘って挿入される。
【0069】
また、この固定部材90の移動(第1固定部81側→第2固定部85側)により、可撓性アーム93の第1係止突起部93aが第2固定部85の第1被係止部88と接触しながら移動して可撓性アーム93が第1被係止部88とは反対側の外側に撓む。そして、この可撓性アーム93の外側の撓みにより第1係止突起部93aが第1被係止部88を乗り越える。そして、可撓性アーム93の第1係止突起部93aが可撓性アーム93の弾発力により第1被係止部88に引っ掛けられ、可撓性アーム93の第1係止突起部93aと第2固定部85の第1被係止部88との係止状態が保持される。このとき、固定部材90の上壁部91aが第1固定部81の第2被係止部84に当接して固定部材90の移動が止められると共に、第1係止突起部93aと第1被係止部88との位置決めがなされる。
【0070】
また、この固定部材90の移動(第1固定部81側→第2固定部85側)により、可撓性アーム93の第2係止突起部93bが第1固定部81の第2被係止部84と接触しながら移動して可撓性アーム93が第2被係止部84とは反対側の外側に撓む。そして、この可撓性アーム93の外側の撓みにより第2係止突起部93bが第2被係止部84を乗り越える。そして、可撓性アーム93の第2係止突起部93bが第1固定部81の第2被係止部84と第2固定部85の第1被係止部88との間に移動し、撓性アーム93の第2係止突起部93bと第1固定部81の第2被係止部84との係止状態が解除される。
【0071】
これにより、第1片挿入部82及び第2片挿入部86に亘って挿入された挿入片92によって、第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向及びY方向の各々の相対変位(横ずれ)を抑制することができる。また、可撓性アーム93の第1係止突起部93aと第2固定部85の第1被係止部88との係止が保持されることによって、第1フレーム31と第2フレーム41とのZ方向の相対変位(縦ずれ)も抑制することができる。また、固定部材90が第1固定部81及び第2固定部材85の両方に固定された第1状態を保持することができる。
【0072】
<相対変位抑制の解除>
次に、相対変位抑制機構80の相対変位の抑制の解除について説明する。
まず、相対変位が抑制されている状態(
図20A及び
図20B参照)から固定部材90を第2固定部85側から第1固定部81側に向かって移動させる(
図19A及び
図19B参照)。この固定部材90の移動により、挿入片92が第2固定部85の第2片挿入部86側から第1固定部81の第1片挿入部82側に移動し、挿入片92が第2固定部85の第2片挿入部86から抜かれる。
【0073】
また、この固定部材90の移動(第2固定部85側→第1固定部81側)により、可撓性アーム93の第1係止突起部93aが第2固定部85の第1被係止部88と接触しながら移動して可撓性アーム93が第1被係止部88とは反対側の外側に撓む。そして、この可撓性アーム93の外側の撓みにより第1係止突起部93aが第1被係止部88を乗り越える。そして、可撓性アーム93の第1係止突起部93aが第2固定部85の第1被係止部88と第1固定部81の第2被係止部84との間に移動し、可撓性アーム93の第1係止突起部93aと第2固定部85の第1被係止部88との係止状態が解除される。
【0074】
また、この固定部材90の移動(第2固定部85側→第1固定部81側)により、可撓性アーム93の第2係止突起部93bが第1固定部81の第2被係止部84と接触しながら移動して可撓性アーム93が第2被係止部84とは反対側の外側に撓む。そして、この可撓性アーム93の外側の撓みにより第2係止突起部93bが第2被係止部84を乗り越える。そして、可撓性アーム93の第2係止突起部93bが可撓性アーム93の弾発力により第2被係止部84に引っ掛けられ、可撓性アーム93の第2係止突起部93bと第1固定部81の第2被係止部84との係止状態が保持される。
【0075】
また、この固定部材90の移動(第2固定部85側→第1固定部81側)により、固定部材90の位置決め突起部95が第2固定部85の案内凹部97を移動し、位置決め突起部95が第1フレーム31のストッパ部96に当接して固定部材90の移動が止められると共に、第2係止突起部93bと第2被係止部84との位置決めがなされる。
【0076】
これにより、挿入片92が第2片挿入部86から抜かれているので、第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向及びY方向の各々の相対変位(横ずれ)の抑制を解除することができる。また、可撓性アーム93の第1係止突起部93aと第2固定部85の第1被係止部88との係止が解除されるので、第1フレーム31と第2フレーム41とのZ方向の相対変位(縦ずれ)抑制の解除をすることができる。また、固定部材90が第1固定部材81に固定された第2状態を保持することができる。
【0077】
なお、可撓性アーム93の第2係止突起部93bは、第2被係止部84の乗り越えを容易にするため、第2被係止部84と接する面がR形状になっている。
また、可撓性アーム93の第1係止突起部93aは、第1被係止部88の乗り越えを容易にするため、第1被係止部88と接する先端面が傾斜している。
また、固定部材90は、例えば柔軟性に優れたポリアミド(PA)樹脂で形成されている。
【0078】
<位置決め機構>
また、
図21に示すように、本体フレーム30は、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の位置を位置決めする位置決め機構70を更に備えている。
位置決め機構70は、第1フレーム31の開放端から突出し、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、第2フレーム41の開放端側から侵入して第2フレーム41の外周側壁の内面と対向する可撓性位置決め板部71を有する。可撓性位置決め板部71は、Z方向に沿って延伸し、基部が第1フレーム31と一体化され、基部と反対側の先端側が第1フレーム31の開放端側から突出している。そして、可撓性位置決め板部71の先端側は、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、第2フレーム41の開放端側から侵入し、第2フレーム41の外周側壁の内面と対向する。この第1実施形態では、可撓性位置決め板部71は、第1フレーム31のX方向の2つの側壁31a及び31bにY方向に離間してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられている。すなわち、可撓性位置決め板部71は、第1フレーム31の4つの隅にそれぞれ設けられている。そして、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、第1フレーム31の側壁31a側に設けられた2つの可撓性位置決め板部71の各々の先端側は、第2フレーム41の側壁41aの内面と対向し、第1フレーム31の側壁31b側に配置された2つの可撓性位置決め板部71の各々は第2フレーム41の側壁41bの内面と対向する。この位置決め機構70は、4つの可撓性位置決め板部71の各々先端側が第2フレーム41の開放端側から侵入して第2フレーム41の外周側壁の内面と接触することで第1フレーム31と第2フレーム41との位置決めを行うことができる。第1フレーム31の側壁31a側に設けられた2つの可撓性位置決め板部71は、第2フレーム41の側壁41aの内面を付勢する弾発力を有し、第1フレーム31の側壁31b側に設けられた2つの可撓性位置決め板部71は第2フレーム41の側壁41bの内面を付勢する弾発力を有する。
なお、可撓性位置決め板部71は、側壁31a側及び側壁31b側に設けているが、側壁31c側及び側壁31d側に設けてもよい。
【0079】
<第1及び第2フレームの連結>
次に、第1フレーム31及び第2フレーム41の連結について、
図22A、
図22B、
図23A及び
図23Bを用いて説明する。なお、
図22A及び
図23Aでは、
図14と同様に、第1フレーム31及び第2フレーム41の各々の側壁31c及び41c側を示している。
まず、
図22A及び11Bに示すように、第1フレーム31及び第2フレーム41を各々の開放端側が向かい合うようにしてZ方向に沿って配置する。
【0080】
次に、
図23A及び
図23Bに示すように、Z方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に近づけて可撓性突出板部51の先端の第1傾斜面51aと嵌合突起部55とを接触させる。そして、Z方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を更に相対的に近づけることにより、可撓性突出板部51の先端側の第1傾斜面51aが嵌合突起部55と接触しながら移動して可撓性突出板部51が外側に撓む。その後、
図14、
図15A及び
図15Bに示すように、可撓性突出板部51の嵌合孔部52に嵌合突起部55が嵌め込まれて嵌合し、可撓性突出板部51の弾発力により嵌合孔部52と嵌合突起部55とが係止する。これにより、スナップフィット機構50によって第1フレーム31及び第2フレーム41が互いに連結固定される。
【0081】
この第1フレーム31及び第2フレーム41の連結途中において、第1フレーム31の可撓性位置決め板部71の先端側が第2フレーム41の開放端側から侵入して第2フレーム41の外周側壁の内面と接触することにより第1フレーム31と第2フレーム41との位置決めがなされる。
また、第1フレーム31及び第2フレーム41の連結が完了した時点において、可撓性位置決め板部71は、第2フレーム41の外周側壁の内面を自身の弾発力で付勢するので、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向のガタツキ(振動)を抑制することができる。
【0082】
<第1及び第2フレームの連結解除>
次に、第1フレーム31及び第2フレーム41の連結解除について、
図24A、
図24B、
図25A及び
図25Bを用いて説明する。なお、
図24A及び
図25Aでは、
図14と同様に、第1フレーム31及び第2フレーム41の各々の側壁31c及び41c側を示している。
【0083】
まず、第1フレーム31及び第2フレーム41がスナップフィット機構50により連結された状態(
図14、
図15A及び
図15B参照)から、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させて、可撓性突出板部51の内壁面と嵌合突起部55の第2傾斜面55aとを接触させると共に、可撓性突出板部51を第3傾斜面56に接触させる。そして、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を更に相対的に変位させることにより、
図24A及び
図24Bに示すように、可撓性突出板部51の内壁面が嵌合突起部55の第2傾斜面55aと接触しながら移動し、かつ可撓性突出板部51が第3傾斜面56と接触しながら移動することで可撓性突出板部51が外側に撓む。その後、可撓性突出板部51の嵌合孔部52内から外に嵌合突起部55が移動する。そして、第1フレーム31及び第2フレーム41をZ方向に相対的に離すことにより、
図25A及び
図25Bに示すように、可撓性突出板部51の嵌合孔部52及び嵌合突起部55の嵌合が解除される。これにより、スナップフィット機構50による第1フレーム31及び第2フレーム41の連結が解除される。すなわち、このスナップフィット機構50は、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより、第1フレーム31と第2フレーム41との連結を解除することができるので、工具を使用する必要がない。
【0084】
〔第2実施形態の効果〕
次に、この第2実施形態の主な効果について説明する。
この第2実施形態に係る電磁接触器1Aは、スナップフィット機構50を備えている。そして、このスナップフィット機構50は、上述したように、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより、嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除することができるので、従来のように工具を使用して嵌合を解除する必要がなく、工具で可撓性突出板部51を撓ませる手間が無い。従って、この第2実施形態に係る電磁接触器1Aによれば、本体フレーム30内の電磁コイル23等の部品交換を容易に行うことができる。また、工具を使用しないで可撓性突出板部51の嵌合孔部52と嵌合突起部55との嵌合を解除できるので、工具で可撓性突出板部51を撓ませるときの力加減で可撓性突出板部51が折損するといった懸念を排除できる。また、X方向において第1フレーム31及び第2フレーム41を相対的に変位させることにより、4つのスナップフィット機構50の嵌合状態をほぼ同時に解除できるので、複数のスナップフィット機構を工具で解除状態とする場合と比較して作業性に優れている。
【0085】
この第2実施形態に係る電磁接触器1Aは、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の位置を位置決めする位置決め機構70を更に備えている。したがって、この第2実施形態に係る電磁接触器1Aによれば、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結する際、位置決め機構70によって第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の位置決めを速やかに行うことができ、第1フレーム31及び第2フレーム41をスナップフィット機構50で連結するときの作業性を向上することができる。
また、位置決め機構70の可撓性位置決め板部71は、第1フレーム31及び第2フレーム41を連結した後、第2フレーム41の外周側壁の内面を付勢する弾発力を有するので、スナップフィット機構50により第1フレーム及び第2フレームがX方向に相対的に変位できるようになっていても、可撓性位置決め板部71の弾発力により第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向のガタツキ(振動)を抑制することができる。
【0086】
この第2実施形態の本体フレーム30は、第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位を抑制する相対変位抑制機構80を備えている。そして、この相対変位移動機構80は、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位の抑制及び解除を、工具を用いることなく(工具レスで)実施することができる。したがって、この第2実施形態の相対変位抑制機構80によれば、本体フレーム30内の電磁コイル23(電気部品)等の部品交換を容易に行うことができる。
また、この相対変位抑制機構80は、固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に移動させることにより、第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86の各々に挿入片92を挿入させる構成になっている。したがって、この第2実施形態の相対変位抑制機構80は、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向及びY方向の各々の方向の相対変位を抑制することができる。
【0087】
また、この相対変位抑制機構80は、固定部材90を第1固定部81側から第2固定部85側に向かって移動させ、可撓性アーム93の弾発力で可撓性アーム93の第1係止突起部93aを第2固定部85の第1被係止部88に引っ掛けて係止状態とすることにより、挿入片92が第1固定部81の第1片挿入部82及び第2固定部85の第2片挿入部86の各々に亘って挿入された状態を保持する構成になっている。したがって、この第1実施形態の相対変位抑制機構80は、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との、Z方向の相対変位を抑制することができる。
ここで、この第2実施形態の本体フレーム30は、第1フレーム31と第2フレーム41とをスナップフィット機構50によって連結固定している。このような場合、相対変位抑制機構80のZ方向の相対変位抑制は補助的なものとなるが、スナップフィット機構50などの連結機構がない場合の本体フレーム(電気機器用ケース)においては、この第2実施形態の相対変位抑制機構80によるZ方向の相対変位抑制が有効となる。
【0088】
また、この第2実施形態の相対変位抑制機構80は、固定部材90を第2固定部85側から第1固定部81側に向かって移動させ、可撓性アーム93の弾発力で可撓性アーム93の第2係止突起部93bを第1固定部81の第2被係止部84に引っ掛けて係止状態とすることにより、挿入片92が第2固定部85の第2片挿入部86から抜かれた状態を保持する構成になっている。したがって、この第2実施形態の相対変位抑制機構80は、第1固定部81に取り付けられた固定部材90の抜け止め強度を高めることができる。
また、この第2実施形態の相対変位抑制機構80は、相対変位を抑制する挿入片92と、第1固定部81及び第2固定部85に固定部材90を保持する可撓性アーム93とが別々の構成となっているので、固定部材90を厚肉構成とすることができ、固定部材90自体の強度を高めることができる。
また、この相対変位抑制機構80は、連結された第1フレーム31及び第2フレーム41の相対変位を抑制することができるので、より信頼性の高い電磁接触器1Aを提供することができる。
【0089】
なお、上述の第2実施形態では、第1フレーム31に嵌合孔部52が設けられ、第2フレーム41に嵌合突起部55が設けられたスナップフィット機構50について説明した。しかしながら、本発明は上述の第1実施形態のスナップフィット機構50に限定されるものではない。例えば、本発明は、第1フレーム31に嵌合突起部55が設けられ、第2フレーム41に嵌合孔部52が設けられたスナップフィット機構に適用することができる。すなわち、本発明は、第1フレーム31及び第2フレーム41のうちの一方のフレームの開放端側から突出する可撓性突出板部51の先端側に被嵌合部が設けられたフック部と、他方のフレームに設けられ、かつ被嵌合部と嵌合する嵌合突起部とを有するスナップフィットを備えた電磁接触器に適用することができる。
【0090】
また、上述の第2実施形態では、スナップフィット機構50を、第1フレーム31のY方向において互いに反対側に位置する2つの側壁31c及び31dの各々に2つずつ設けた場合について説明した。しかしながら、スナップフィット機構50を設ける個数は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、スナップフィット機構50は2つの側壁31c及び31dの各々に1つずつでもよく、また、3つ以上ずつ設けてもよい。
また、上述の第2実施形態では、スナップフィット機構50の被嵌合部として嵌合孔部52を用いた場合について説明したが、本発明は嵌合孔部52に限定されるものではない。例えば被嵌合部として嵌合凹部を用いてもよい。
【0091】
また、上述の第2実施形態では、相対変位抑制機構80を、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向に位置する2つの側壁31a及び31b,41a及び41bのうちの各々の一方の側壁31a及び41aに亘って設けた場合について説明した。しかしながら、相対変位抑制機構80を設ける位置は上述の第2実施形態に限定されるものではない。例えば、相対変位抑制機構80は、第1フレーム31及び第2フレーム41のY方向に位置する2つの側壁のうちの一方の側壁31c及び41cに亘って設けてもよい。この場合においても、連結された第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向、Y方向及びZ方向の相対的な変位(位置ずれ)を抑制することができる。
また、上述の第2実施形態では、相対変位抑制機構80において、挿入片92が第1片挿入部82に挿入され、可撓性アーム93の弾発力で第2係止突起部93bを第2被係止部84に引っ掛けて係止状態とすることにより、固定部材90が第1固定部81に固定された第2状態を保持する場合について説明した。しかしながら、本発明は、この第2実施形態の第2状態に限定されるものではなく、固定部材90が第1固定部81に固定された第2状態を保持する場合にも適用することができる。
【0092】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る電磁接触器1Bは、基本的に上述の第2実施形態に係る電磁接触器1Aと同様の構成になっており、相対変位抑制機構の構成が異なっている。
即ち、
図26に示すように、この第3実施形態に係る電磁接触器1Bは、
図12に示す電磁接触器1Aの相対変位抑制機構80に代えて相対変位抑制機構60を備えている。その他の構成は、上述の第2実施形態と同様である。
【0093】
図26及び
図27Aに示すように、本体フレーム30は、連結された第1フレーム31及び第2フレーム41の相対的な変位を抑制する相対変位抑制機構60を備えている。この第3実施形態の相対変位抑制機構60は、相対変位として、第1フレーム31と第2フレーム41との連結方向(Z方向)と直交する二次元平面内のX方向及びY方向のそれぞれの方向の相対変位(横ずれ)を抑制することができる。また、Z方向の相対変位(縦ずれ)も抑制することができる。
図27A及び
図27Bに示すように、相対変位抑制機構60は、第1フレーム31に設けられた第1固定部61と、第2フレーム41に設けられた第2固定部62と、この第1固定部61及び第2固定部62に着脱自在に取り付け固定が可能な固定部材63と、を有する。そして、相対変位抑制機構60は、
図27A及び
図27Bに示すように、固定部材63が第1固定部61及び第2固定部62の両方に固定された第1状態と、固定部材63が第1固定部61又は第2固定部62の何れかに固定された第2状態として、例えば、
図28A及び
図28Bに示すように、固定部材63が第2固定部材62に固定された第2状態とを有する。
【0094】
第1固定部61及び第2固定部62はZ方向に延伸する案内レール61a,62aを有し、各々の案内レール61a,62aは第1フレーム31及び第2フレーム41を連結することにより直線上に配置される。固定部材63は、第1固定部61及び第2固定部62の各々の案内レール61a,62aを摺動する摺動片63aを有する。固定部材63は、摺動片63aが案内レール61a,62aを摺動することによって第1固定部61及び第2固定部62に亘って移動する。固定部材63は、第1固定部61及び第2固定部62の何れか一方の端部から摺動片63aを案内レール62aに差し込むことにより第2固定部62に摺動自在に保持される。この第3実施形態では、
図28A及び
図28Bに示すように、第2固定部62の第1固定部61側とは反対側の端部から第2固定部62の案内レール62aに固定部材63の摺動片63aを差し込んで第2固定部62に固定部材63を保持している。この状態から更に固定部材63を上方に移動して固定部材63の摺動片63aを第1固定部61の案内レール61aに差し込むことにより、
図27A及び
図27Bに示すように、固定部材63は第1固定部61及び第2固定部62に保持される。
【0095】
図27B及び17Bに示すように、摺動片63aは、案内レール61a,62aの端部61a
1,62a
1に係止する係止突起部63a
1を有する。そして、相対変位抑制機構60は、
図27Bに示すように、摺動片63aの係止突起部63a
1が第1固定部61の案内レール61aの端部61a
1に係止することで、固定部材63が第1固定部61及び第2固定部62の両方に固定された第1状態を保持し、
図28Bに示すように、摺動片63の係止突起部63a
1が第2固定部62の案内レール62aの端部62a
1に係止することで、固定部材63が第2固定部62に固定された第2状態を保持する。
なお、この第3実施形態とは逆に、第1固定部61の第2固定部62側とは反対側の端部から第1固定部61の案内レール61aに固定部材63の摺動片63aを差し込んで第1固定部61に固定部材63を保持する場合は、摺動片63aの係止突起部63a
1が第1固定部61の案内レール61aの端部に係止することで、固定部材63が第1固定部61に固定された第2状態を保持する。
【0096】
相対変位抑制機構60は、
図27A及び
図27Bに示すように、第1固定部61及び第2固定部62に固定部材63を保持する状態(第1状態)とすることにより、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の相対的な変位を抑制することができる。そして、相対変位抑制機構60は、
図28A及び
図28Bに示すように、第2固定部62のみに固定部材63を保持する状態(第2状態)とすることにより、第1フレーム31及び第2フレーム41のX方向の相対的な変位の抑制を解除することができる。即ち、相対変位抑制機構60は、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との相対変位の抑制及び解除を、工具を用いることなく(工具レスで)実施することができる。したがって、この第3実施形態の相対変位抑制機構60においても、上述の第1実施形態と同様に、本体フレーム30内の電磁コイル23(電気部品)等の部品交換を容易に行うことができる。
【0097】
また、この相対変位抑制機構60は、固定部材63を第2固定部63側から第1固定部61側に移動させることにより、第1固定部61及び第2固定部62の各々に固定される構成になっている。したがって、この第3実施形態の相対変位抑制機構60においても、連結された第1フレーム31と第2フレーム41との、X方向、Y方向及びZ方向の各々の方向の相対変位を抑制することができる。
また、この相対変位抑制機構60は、連結された第1フレーム31及び第2フレーム41の相対変位を抑制することができるので、より信頼性の高い電磁接触器1Bを提供することができる。
【0098】
以上、本発明を上記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0099】
1 電磁接触器
10 接点ユニット
11,12 固定接触子
13 可動接触子
14 可動接点支え
20 電磁石ユニット
21 固定鉄心
22 可動鉄心
23 電磁コイル
24 巻線
25 ボビン
26 復帰バネ
30 本体フレーム
30a 収納部
31 第1フレーム
31a,31b,31c,31d 側壁
31e 底壁
41 第2フレーム
41a,41b,41c,41d 側壁
43 取付板部
50 スナップフィット機構
51 可撓性突出板部
51a 第1傾斜面
52 嵌合孔部
53 フック部
55 嵌合突起部
55a 第2傾斜面
56 第3傾斜面
60 相対変位抑制機構
61 第1固定部
61a 案内レール
61a1 端部
62 第2固定部
62a 案内レール
62a1 端部
63 固定部材
63a 摺動片
63a1 係止突起部
70 位置決め機構
71 可撓性位置決め板部
80 相対変位抑制機構
81 第1固定部
82 第1片挿入部
83 第1アーム挿入部
84 第2被係止部
85 第2固定部
86 第2片挿入部
87 第2アーム挿入部
88 第1被係止部
90 固定部材(固定駒)
91 部材本体
91a 上壁部(天板部)
91b 背壁部
91c 側壁部
92 挿入片
93 可撓性アーム
93a 第1係止突起部
93b 第2係止突起部
95 位置決め突起部
96 ストッパ部
97 案内凹部