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特許7609157照明制御データ生成方法及び照明制御データ生成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】照明制御データ生成方法及び照明制御データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20241224BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20241224BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241224BHJP
   H05B 45/12 20200101ALI20241224BHJP
   H05B 47/14 20200101ALI20241224BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20241224BHJP
【FI】
G09G3/34 J
G02B27/01
G09G3/20 611H
G09G3/20 621F
G09G3/20 621K
G09G3/20 632C
G09G3/20 642F
G09G3/20 642P
G09G3/20 670Q
G09G3/20 680B
G09G3/34 D
H05B45/12
H05B47/14
H05B47/165
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022508367
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010538
(87)【国際公開番号】W WO2021187461
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020046977
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(72)【発明者】
【氏名】土田 清
(72)【発明者】
【氏名】山川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴之
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/101121(WO,A1)
【文献】特開2016-075770(JP,A)
【文献】特開2013-109103(JP,A)
【文献】特開2007-005615(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0064444(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
H05B 47/14
H05B 47/165
H05B 45/12
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイ装置における複数の光源を制御するための照明制御データを生成する照明制御データ生成方法であって、
前記照明制御データを参照して前記光源を制御する光源制御部において互いに異なる値に設定される複数の出力レベルそれぞれにおける前記光源が発する光の輝度により複数の測定点を測定点特定部が特定する測定点特定ステップと、
特定した前記複数の測定点の間を補間することにより出力特性を出力特性取得部が取得する出力特性取得ステップと、を含み、
前記測定点特定ステップでは、要求輝度が閾値を超えたときには第1の特定点数の前記測定点を特定し、前記要求輝度が前記閾値以下であるときには前記第1の特定点数よりも多い第2の特定点数の前記測定点を特定する、
照明制御データ生成方法。
【請求項2】
前記出力特性取得ステップでは、前記要求輝度が前記閾値を超えたときには前記第1の特定点数の前記測定点の間を直線補間し、前記要求輝度が前記閾値以下であるときには前記第2の特定点数の前記測定点の間を曲線補間する、
請求項1に記載の照明制御データ生成方法。
【請求項3】
前記測定点特定ステップでは、前記要求輝度が前記閾値を超えたときには設定された前記出力レベルにおいて第1の測定回数にわたって前記光源が発する光の輝度を測定し、測定した前記第1の測定回数の前記輝度を平均することにより一つの前記測定点を特定し、前記要求輝度が前記閾値以下であるときには設定された前記出力レベルにおいて前記第1の測定回数よりも多い第2の測定回数にわたって前記光源が発する光の輝度を測定し、測定した前記第2の測定回数の前記輝度を平均することにより一つの前記測定点を特定する、
請求項1又は2に記載の照明制御データ生成方法。
【請求項4】
前記照明制御データは前記要求輝度に応じた複数の制御モードを含み、
前記複数の制御モードは、それぞれ前記出力特性を含み、
前記出力特性取得ステップでは、前記複数の制御モード毎に前記出力特性を取得し、
前記測定点特定ステップでは、光減衰率の異なる複数のフィルタのうち何れか一つを選択フィルタとして使用することで前記光源が発する光の輝度をライトメータにて測定可能範囲となるように前記光源が発する光を減衰し、前記要求輝度が高い前記制御モードから順に前記出力特性を取得する際、前記複数のフィルタを光減衰率が高い順に前記選択フィルタに切り替える、
請求項1から3の何れか1項に記載の照明制御データ生成方法。
【請求項5】
前記測定点特定ステップでは、前記複数の光源のうち特定対象光源が発する特定対象光の輝度に係る前記測定点を特定する際、前記複数の光源を順に点灯させつつ、DMD表示素子を通じて前記特定対象光源からの前記特定対象光を透過型スクリーンに向けて反射させ、前記複数の光源のうち前記特定対象光源以外の光源からの光を前記透過型スクリーンとは異なる方向に向けて反射させる、
請求項1から4の何れか1項に記載の照明制御データ生成方法。
【請求項6】
ヘッドアップディスプレイ装置における複数の光源を制御するための照明制御データを生成する照明制御データ生成装置であって、
前記照明制御データを参照して前記光源を制御する光源制御部において互いに異なる値に設定される複数の出力レベルそれぞれにおける前記光源が発する光の輝度により複数の測定点を特定する測定点特定部と、
特定した前記複数の測定点の間を補間することにより出力特性を取得する出力特性取得部と、を含み、
前記測定点特定部は、要求輝度が閾値を超えたときには第1の特定点数の前記測定点を特定し、前記要求輝度が前記閾値以下であるときには前記第1の特定点数よりも多い第2の特定点数の前記測定点を特定する、
照明制御データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御データ生成方法及び照明制御データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、ユーザの周辺の照度を検出する照度センサの照度信号に基づいて、記憶部に記憶される照明制御データを読み出し、光源の出力を変化させて表示画像の輝度を調整する。この照明制御データは、照明装置の光源の個体差を考慮して製造時にキャリブレーションすることで生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-4121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成においては、照明制御データの生成に要する時間が長くなる。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、照明制御データの生成に要する時間を短くすることができる照明制御データ生成方法及び照明制御データ生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る照明制御データ生成方法は、ヘッドアップディスプレイ装置における複数の光源を制御するための照明制御データを生成する照明制御データ生成方法であって、前記照明制御データを参照して前記光源を制御する光源制御部において互いに異なる値に設定される複数の出力レベルそれぞれにおける前記光源が発する光の輝度により複数の測定点を測定点特定部が特定する測定点特定ステップと、特定した前記複数の測定点の間を補間することにより出力特性を出力特性取得部が取得する出力特性取得ステップと、を含み、前記測定点特定ステップでは、要求輝度が閾値を超えたときには第1の特定点数の前記測定点を特定し、前記要求輝度が前記閾値以下であるときには前記第1の特定点数よりも多い第2の特定点数の前記測定点を特定する。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係る照明制御データ生成装置は、ヘッドアップディスプレイ装置における複数の光源を制御するための照明制御データを生成する照明制御データ生成装置であって、前記照明制御データを参照して前記光源を制御する光源制御部において互いに異なる値に設定される複数の出力レベルそれぞれにおける前記光源が発する光の輝度により複数の測定点を特定する測定点特定部と、特定した前記複数の測定点の間を補間することにより出力特性を取得する出力特性取得部と、を含み、前記測定点特定部は、要求輝度が閾値を超えたときには第1の特定点数の前記測定点を特定し、前記要求輝度が前記閾値以下であるときには前記第1の特定点数よりも多い第2の特定点数の前記測定点を特定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、照明制御データの生成に要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
図2】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係る照明装置の概略図である。
図4】本開示の一実施形態に係る表示ユニットの概略図である。
図5】本開示の一実施形態に係る光源駆動装置のブロック図である。
図6】本開示の一実施形態に係る照明制御データ生成装置のブロック図である。
図7】本開示の一実施形態に係るサンプル品データ取得装置のブロック図である。
図8】本開示の一実施形態に係る出荷品データ取得装置のブロック図である。
図9】本開示の一実施形態に係るサンプルプロジェクタ装置が属するグレードを示す概略図である。
図10】本開示の一実施形態に係るマスターデータ生成時におけるRGB出力特性を示すグラフである。
図11】本開示の一実施形態に係る製品データ生成時の高輝度モードにおけるRGB出力特性を示すグラフである。
図12】本開示の一実施形態に係る製品データ生成時の低輝度モードにおけるRGB出力特性を示すグラフである。
図13】本開示の一実施形態に係る制御モードと輝度の関係を示すグラフである。
図14図13の一部を拡大した図である。
図15】本開示の一実施形態に係るマスターデータ生成処理のフローチャートである。
図16】本開示の一実施形態に係るマスターデータ生成処理のサブフローチャートである。
図17】本開示の一実施形態に係る製品データ生成処理のフローチャートである。
図18】本開示の一実施形態に係る高輝度モードにおいて光源に供給される電流の波形パターンとスイッチの動作を示すタイミングチャートである。
図19】本開示の一実施形態に係る低輝度モードにおいて光源に供給される電流のパルスを示すタイミングチャートである。
図20】本開示の一実施形態に係る可変式NDフィルタ装置の模式図である。
図21】本開示の一実施形態に係る図12の一部を拡大した図である。
図22】本開示の一実施形態に係る制御モードとDMDデューティ比を示す図である。
図23】本開示の一実施形態に係る制御モードとDMDデューティ比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る照明制御データ生成方法、照明制御データ生成装置及びヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と記載)の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、HUD装置1は、車両2のダッシュボードに搭載され、画像を表す表示光Lを生成し、生成した表示光Lをウインドシールド3に向けて放射する。表示光Lは、ウインドシールド3で反射したうえで視認者4(例えば、車両2の運転者)に到達する。これにより、視認者4は、ウインドシールド3の前方に表示された虚像Vを視認可能となる。虚像Vには、例えば、エンジン回転数、車速等の各種車両情報が表示される。
【0011】
図2に示すように、HUD装置1は、プロジェクタ装置18と、透過型スクリーン50と、光源駆動装置5と、平面鏡55,61と、凹面鏡62と、凹面鏡駆動部65と、筐体70と、透光部71と、備える。プロジェクタ装置18は、照明光Cを放射する照明装置10と、照明光Cを受けて表示光Lを放射する表示ユニット19と、を備える。
【0012】
筐体70は、例えば、遮光性の材質により箱状に形成されている。筐体70内には、平面鏡61、凹面鏡62及び凹面鏡駆動部65が収納される。筐体70には、表示光Lが通過する開口部70aが形成されている。
透光部71は、アクリル等の透光性樹脂からなる湾曲板状により形成され、筐体70の開口部70aを塞ぐように設けられている。
【0013】
照明装置10は、照明光Cを生成し、その生成した照明光Cを表示ユニット19に向けて放射する。具体的には、図3に示すように、照明装置10は、光源群11と、光合成部13と、光源温度検出部600と、を備える。
【0014】
光源群11は、例えば、それぞれLED(Light Emitting Diode)からなる3つの光源11r,11g,11bから構成されている。光源11rは、赤色光源であり、赤色光Rを放射する。光源11gは、緑色光源であり、緑色光Gを放射する。光源11bは、青色光源であり、青色光Bを放射する。光源11r,11g,11bの各々は、光源駆動装置5によって駆動され、所定の光強度及びタイミングで発光する。
【0015】
光合成部13は、光源11r,11g,11bから順次放射される赤色光R、緑色光G及び青色光Bの光軸を合わせることで照明光Cを生成し、その生成した照明光Cを表示ユニット19に向けて放射する。具体的には、光合成部13は、反射ミラー13aと、特定の波長の光を反射し、かつ、当該特定の波長以外のその他の波長の光を透過するダイクロイックミラー13b,13cと、を備える。反射ミラー13aは、入射した青色光Bを、ダイクロイックミラー13bに向けて反射させる。ダイクロイックミラー13bは、入射した緑色光Gをダイクロイックミラー13cに向けて反射させつつ、反射ミラー13aからの青色光Bをそのまま透過させる。ダイクロイックミラー13cは、入射した赤色光Rを表示ユニット19に向けて反射させつつ、ダイクロイックミラー13bからの緑色光G及び青色光Bを透過させる。これにより、ダイクロイックミラー13cは、赤色光R、緑色光G及び青色光Bを同一の光軸上に合成した照明光Cを表示ユニット19に向けて放射する。
光源温度検出部600は、各光源11r,11g,11bの温度を検出し、図5に示すように、その検出結果を光源温度信号STとして光源駆動装置5に出力する。
【0016】
図4に示すように、表示ユニット19は、プリズム15と、光強度検出部500と、DMD(Digital Micro mirror Device)表示素子30と、投射光学系40と、平面鏡54と、を備える。
平面鏡54は、照明装置10からの照明光Cをプリズム15に向けて反射する。
プリズム15は、透光性の材質により、直角二等辺三角形柱状に形成される。プリズム15は、平面鏡54に対向する傾斜面15aと、DMD表示素子30に対向する直交面15bと、投射光学系40に対向する直交面15cと、を備える。平面鏡54からの照明光Cはプリズム15の傾斜面15aに到達する。傾斜面15aは平面鏡54からの照明光Cの大部分をプリズム15内に入射させ、平面鏡54からの照明光Cの一部を光強度検出部500に向けて反射させる。プリズム15内に入射した照明光Cはプリズム15の直交面15bからDMD表示素子30に向けて出射する。DMD表示素子30からの表示光Lは、直交面15bを介してプリズム15内に入射した後、傾斜面15aに向けて反射する。そして、傾斜面15aにて反射した表示光Lは、直交面15cから投射光学系40に向けて出射する。
【0017】
DMD表示素子30は、複数の可動式のマイクロミラー30aを備える。複数のマイクロミラー30aは、画像M(図2参照)の画素に対応するようにマトリックス状に配置されている。マイクロミラー30aは、図示しない電極を備え、この電極に印加される電圧値を切り替えることでオン及びオフの何れかの状態となる。マイクロミラー30aは、オン状態のときに照明光Cを透過型スクリーン50に向かうように反射する。マイクロミラー30aは、オフ状態のときに照明光Cを透過型スクリーン50とは異なる方向に反射する。
【0018】
各マイクロミラー30aは、光源駆動装置5によりオン状態とオフ状態の間で切り替えられることにより、所望の色、例えば、白色の照明光Cに基づき画像Mの各画素における輝度及び色を表現する。各マイクロミラー30aは、光源駆動装置5による制御のもと、1フレームに占めるオン状態となる期間であるDMDデューティ比が調整されることにより、画像Mの各画素における輝度を調整する。
【0019】
光強度検出部500は、例えばフォトダイオードを有する受光素子からなり、プリズム15で反射した照明光Cを受ける位置に設けられている。光強度検出部500は、照明光Cの一部を受光し、照明光Cを構成する光R、G、Bそれぞれの光強度を時分割で検出する。図5に示すように、光強度検出部500は、その検出結果を光強度検出信号SFBとして光源駆動装置5の後述する第2の制御部200に出力する。
【0020】
図4に示すように、投射光学系40は、凹レンズ又は凸レンズ等で構成され、DMD表示素子30からのプリズム15を経た表示光Lを拡大し、その拡大した表示光Lを図2に示す平面鏡55に出射する。平面鏡55は、表示光Lを透過型スクリーン50に向けて反射させる。
図2に示すように、透過型スクリーン50は、ホログラフィックディフューザ、マイクロレンズアレイ、拡散板等から構成され、投射光学系40からの表示光Lを受けて、画像Mを表示する。
【0021】
平面鏡61は、透過型スクリーン50に表示された画像Mを表す表示光Lを、凹面鏡62に向けて反射させる。この平面鏡61は凹面鏡であってもよい。
凹面鏡62は、平面鏡61からの表示光Lをウインドシールド3に向けて反射する。表示光Lは、筐体70の透光部71を透過したうえでウインドシールド3にて視認者4に向けて反射する。
【0022】
凹面鏡駆動部65は、何れも図示しない、モータと、モータの駆動力を凹面鏡62に伝達する歯車機構と、を備える。凹面鏡駆動部65は、図2の紙面垂直方向に延びる回転軸Axを中心に凹面鏡62を回転させる。凹面鏡62が回転軸Axを中心に回転することにより、視認者4に対する表示光Lの照射位置が高さ方向に調整される。
【0023】
図5に示すように、光源駆動装置5は、光源群11に定電流を供給する光源ドライバ300と、インダクタL1と、光源群11を駆動させる光源駆動部43と、光源駆動部43及びDMD表示素子30等を制御する第2の制御部200と、凹面鏡駆動部65等を制御する第1の制御部100と、を備える。
【0024】
光源ドライバ300は、図示しない車載バッテリからの電力に基づき定電流を生成する定電流ドライバIC(Integrated Circuit)からなり、第2の制御部200により制御される。
光源ドライバ300は、第2の制御部200からの指令信号に基づき、定電流を光源群11に供給する。光源ドライバ300は、第2の制御部200から光源ドライバ300をオフする旨の指令信号を受けると、定電流の供給を停止する。インダクタL1は、光源ドライバ300と光源群11の間に接続されている。
【0025】
光源駆動部43は、スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swaと、コンデンサC1と、電圧検出部49と、を備える。
スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swaは、例えば、n型チャネルのFET(Field Effect Transistor)からなり、第2の制御部200による制御のもと、オン状態(閉状態)とオフ状態(開状態)の間で切り替わる。
スイッチ部Swrは光源11rに直列に接続されている。スイッチ部Swgは光源11gに直列に接続される。スイッチ部Swbは光源11bに直列に接続されている。スイッチ部SwcとコンデンサC1は互いに直列に接続され、スイッチ部Swr,Swg,Swbに対して並列に接続されている。
【0026】
スイッチ部Swr,Swg,Swbは、オン状態に切り替わることにより、対応する光源11r,11g,11bに光源ドライバ300からの電流を流し、対応する光源11r,11g,11bを点灯させる。スイッチ部Swr,Swg,Swbは、オフ状態に切り替わることにより、光源ドライバ300から対応する光源11r,11g,11bへの電流を遮断し、対応する光源11r,11g,11bを消灯する。
スイッチ部Swaは、オン状態に切り替わることで、光源ドライバ300からインダクタL1に流れるインダクタ電流を目標値に制御する機能を有する。
スイッチ部Swcは、オン状態に切り替わることで光源ドライバ300からコンデンサC1に電流を流すことにより、後述するパルスP(図19参照)の立ち上がり部分の傾きを調整する機能を有する。
電圧検出部49は、グランドとスイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swaの間に接続され、電圧検出信号SVを検出したうえで第2の制御部200に出力する。
【0027】
図5に示すように、第1の制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を備えるマイクロコントローラからなり、凹面鏡駆動部65を制御する。第1の制御部100には、照度センサ7を通じて検出された車両2の周囲の外光の光強度を示す要求輝度信号SLが入力される。第1の制御部100は、入力された要求輝度を示す要求輝度信号SLを第2の制御部200に出力する。
【0028】
第2の制御部200は、所望の機能をハードウェアで実現するLSI(Large Scale Integration)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などから構成されている。
第2の制御部200には、映像信号入力部700から画像Mを表示するための映像信号SE、光源温度検出部600により検出された光源温度信号ST、電圧検出部49により検出された電圧検出信号SV及び光強度検出部500により検出された光強度検出信号SFBが入力される。
【0029】
第2の制御部200は、要求輝度に応じた照明光Cの光強度に設定する光源制御部201と、DMD表示素子30を制御する表示素子制御部202と、照明制御データDmが記憶される記憶部203と、照明制御データDmを補正する製品データ生成部205と、を備える。製品データ生成部205は、ドライブ能力判定部205aと、マスターデータ選択部205bと、測定点特定部205cと、出力特性取得部205dと、データ補正部205eと、を備える。
表示素子制御部202は、映像信号SEに基づき、DMD表示素子30における各マイクロミラー30aをオン/オフ制御することにより、画像Mを表示する。
【0030】
図13に示すように、照明制御データDmは、各制御モードQ1~Qn(nは任意の自然数)における輝度範囲Blを示すデータを含む。各制御モードQ1~Qnの輝度範囲Blは、プロジェクタ装置18から所望の色、例えば、白色の照明光Cを放射するための輝度範囲である。制御モードQ1~Qnの輝度範囲Blの中央値は、制御モードQ1から制御モードQnに近づくにつれて小さくなる。制御モードQ1~Qnは、それぞれ、低輝度モードと高輝度モードの何れであるか、後述するゲイン設定部201aにより設定されるゲイン、光源11r,11g,11bへ供給される電流のターゲット値(リミット値)、光源11r,11g,11bのデューティ比を含む点灯パターン、後述するRGB出力特性等に関する情報を含む。例えば、ゲイン及びターゲット値は、制御モードQ1から制御モードQnに近づくにつれて小さく設定される。例えば、制御モードQxと制御モードQyの間でモードが切り替わると、低輝度モードと高輝度モードの間でモードが切り替わる。
照明制御データDmは光源温度毎に設定される。一例として、-40℃、-30℃、-10℃、10℃、25℃、40℃、50℃、60℃、70℃それぞれに対応する照明制御データDmが用意されている。照明制御データDmは、光源温度毎に、制御モードQ1~Qnの数及び内容、並びに各制御モードQ1~Qnでの輝度範囲Blが異なる。
【0031】
図5に示すように、光源制御部201は、例えば、光源群11に供給する電力を制御するPMIC(Power Management Integrated Circuit)を含む。光源制御部201は、光源温度検出部600により検出された光源温度信号STに基づき光源温度に最も近い温度に関する照明制御データDmを参照する。光源制御部201は、照明制御データDmを参照して、要求輝度信号SLに基づく要求輝度を実現する制御モードQ1~Qnに移行し、移行した制御モードQ1~Qnにて光源ドライバ300を介して光源群11に電流を供給する。これにより、照明光Cは要求輝度信号SLに応じた輝度となる。光源制御部201の出力レベルは可変である。光源制御部201の出力レベルが高くなるほど、光源電流のピーク値Pk(図18及び図19参照)が大きくなるとともに、光源電流がターゲット値
に到達するまでの時間が短く、すなわち、光源電流の増加の傾きが大きくなる。
【0032】
例えば、光源制御部201は、要求輝度信号SLに基づきターゲット値を決定し、決定したターゲット値と光強度検出信号SFBを比較する。光源制御部201は、光強度検出信号SFBがターゲット値未満となったときに光源ドライバ300から光源群11に電流を供給し、光強度検出信号SFBがターゲット値以上となったときに光源ドライバ300から光源群11への電流の供給を停止する。これにより、光源制御部201は、光強度検出信号SFBを監視しつつターゲット値を目標として光源ドライバ300から光源群11に供給される電流値をフィードバック制御する。このターゲット値は、光源11r,11g,11b毎に異なる値に設定される。
【0033】
図5に示すように、光源制御部201は、光強度検出部500により検出された光強度検出信号SFBのゲインを設定するゲイン設定部201aを備える。ゲイン設定部201aは、要求輝度(要求輝度信号SL)が低くなるにつれてゲインを高く設定する。ゲイン設定部201aは、光強度検出信号SFBのゲインを調整することにより、光強度検出信号SFBを光源制御部201により読み取り可能な値に設定する。光源制御部201は、ゲイン設定部201aにより設定されたゲインのずれの有無及びずれ量を加味して、光強度検出信号SFBを読み取っている。よって、光源制御部201の個体差に起因するゲインのバラツキに伴って、照明光Cの輝度がターゲット値からずれることが抑制される。
【0034】
光源制御部201は、図18に示すように、点灯許可期間Trにわたってスイッチ部Swrをオンとすることにより、光源ドライバ300から光源11rに電流Irが供給されて光源11rを点灯させる。
光源制御部201は、点灯許可期間Tgにわたってスイッチ部Swgをオンとすることにより、光源ドライバ300から光源11gに電流Igが供給されて光源11gを点灯させる。
光源制御部201は、点灯許可期間Tbにわたってスイッチ部Swbをオンとすることにより、光源ドライバ300から光源11bに電流Ibが供給されて光源11bを点灯させる。
【0035】
光源制御部201は、光源11r,11g,11bのうち何れか一つを選択的に点灯させ、点灯させる光源11r,11g,11bを切り替える、いわゆるフィールドシーケンシャル方式により動作する。光源制御部201は、表示期間Tonにおいては光源11r,11g,11bに電流Ir,Ig,Ibを供給し、非表示期間Tofにおいてはスイッチ部Swr,Swg,Swbをオフとすることにより光源11r,11g,11bへの電流Ir,Ig,Ibの供給を停止する。画像Mが表示される期間においては、表示期間Tonと非表示期間Tofは交互に繰り返される。1回の表示期間Tonと1回の非表示期間Tofにより1フレーム、すなわち1周期が構成される。表示期間Tonは、予め設定された順番の複数の点灯許可期間Tr,Tg,Tbから構成される。
【0036】
第2の制御部200は、要求輝度信号SLに基づき、高輝度モード及び低輝度モードの何れかのモードに移行する。第2の制御部200は、要求輝度信号SLが閾値以下であるときには低輝度モードに移行し、要求輝度信号SLが閾値を超えたときには高輝度モードに移行する。例えば、閾値は、例えば、4000カンデラに設定される。
第2の制御部200は、高輝度モードにおいては、図18に示すように、電流Ir,Ig,Ibを矩形波として光源11r,11g,11bに供給する。第2の制御部200は、高輝度モードにおいては、要求輝度の変化に応じて、電流Ir,Ig,Ibのターゲット値Tgt、電流Ir,Ig,Ibが供給される期間Ti、及び後述するDMDデューティ比を変化させることにより、照明光C又は表示光Lの輝度を調整する。
【0037】
第2の制御部200は、低輝度モードにおいては、図19に示すように、電流Ir,Ig,Ibを三角波である複数のパルスPとして光源11r,11g,11bに供給する。第2の制御部200は、低輝度モードにおいては、要求輝度の変化に応じて、パルスPの数を増減させることにより、照明光C又は表示光Lの輝度を調整する。
なお、本例に限らず、第2の制御部200は、パルスPの数を増減させることに加えて、パルスPのピーク値Pk(ターゲット値)を増減させることにより、照明光C又は表示光Lの輝度を調整してもよい。
【0038】
低輝度モードにおけるパルスPの生成方法について説明する。
図5及び図19に示すように、第2の制御部200(光源制御部201)は、点灯許可期間Trにおいて、パルスPを生成する前に、スイッチ部Swr,Swcをオン状態とし、スイッチ部Swg,Swb,Swaをオフ状態とする。このとき、光源ドライバ300から電流はコンデンサC1及びスイッチ部Swcを介してグランドに流れる。これにより、コンデンサC1にはエネルギがチャージされる。コンデンサC1が満充電状態に近づくと、コンデンサC1に流れる電流値が小さくなり、スイッチ部Swrを介して光源11rに供給される電流Irが増加する。これにより、パルスPの立ち上がり部分の波形が形成される。コンデンサC1により、パルスPの立ち上がり部分の傾きを調整することができる。そして、第2の制御部200は、電流Irがターゲット値Tgtに到達したときに、スイッチ部Swaをオン状態とする。このとき、光源ドライバ300からの電流はスイッチ部Swaを介してグランドに流れ、光源11rに供給される電流Irが減少する。これにより、パルスPの立ち下がり部分の波形が形成される。
【0039】
図6に示すように、照明制御データ生成装置800は、プロジェクタ装置18の出荷品である出荷品プロジェクタ装置18kに適した照明制御データDmを生成する。照明制御データ生成装置800は、プロジェクタ装置18のサンプル品であるサンプルプロジェクタ装置18a~18jにおける各温度でのRGB出力特性を取得するサンプル品データ取得装置801と、サンプル品データ取得装置801を通じて取得されたRGB出力特性に基づきマスター照明制御データであるマスターデータM1~M10を生成するマスターデータ生成部802と、出荷品プロジェクタ装置18kにおける各温度でのRGB出力特性を取得する出荷品データ取得装置810と、マスターデータM1~M10のうち出荷品プロジェクタ装置18kに適した最適マスターデータMxを選択し、最適マスターデータMxを出荷品データ取得装置810を通じて取得されたRGB出力特性に基づき補正して照明制御データDmを生成する製品データ生成部205と、を備える。
製品データ生成部205は、出荷品プロジェクタ装置18kの一部を構成する。サンプル品データ取得装置801、マスターデータ生成部802及び出荷品データ取得装置810はプロジェクタ装置18とは別に設けられる。
【0040】
図7に示すように、サンプル品データ取得装置801は、ライトメータ803と、可変式ND(Neutral Density)フィルタ装置804と、室温調整部806と、恒温槽808と、検査光放射部809と、を備える。
恒温槽808は内部空間の温度を一定に保つ容器である。室温調整部806は、マスターデータ生成部802による制御のもと、恒温槽808の内部空間の温度を調整する。恒温槽808内にはサンプルプロジェクタ装置18a~18jの何れかが順番に収容される。恒温槽808は、プロジェクタ装置18からの表示光Lを透過させる恒温槽ガラス805を備える。恒温槽ガラス805は、表示光Lが透過する際に、表示光Lの光強度を低下させる。恒温槽808内は暗室となっている。
ライトメータ803及び可変式NDフィルタ装置804は恒温槽808の外部である暗室内に位置する。
ライトメータ803は、可変式NDフィルタ装置804を経た表示光Lの輝度を測定し、測定した検出信号をマスターデータ生成部802に出力する。検査光放射部809は、ゲイン設定部201aにより設定されたゲインのずれの有無及びずれ量を検査するための検査光を光強度検出部500に照射する。
【0041】
可変式NDフィルタ装置804は、マスターデータ生成部802による制御のもと、恒温槽ガラス805を経た表示光Lの輝度をライトメータ803の測定可能範囲に調整する。
詳しくは、図20に示すように、可変式NDフィルタ装置804は、それぞれ異なる光減衰率に設定される複数、本例では5つのフィルタF0~F4と、フィルタF0~F4を支持する回転板804aと、回転板804aを回転方向Cwに回転させる回転駆動部804cと、を備える。
フィルタF0~F4の光減衰率の大小関係は、フィルタF0の光減衰率>フィルタF1の光減衰率>フィルタF2の光減衰率>フィルタF3の光減衰率>フィルタF4の光減衰率に設定される。
回転板804aは、円板状に形成され、回転軸Ayを中心に回転方向Cwに回転可能に支持される。回転方向Cwは反時計回りの方向である。回転板804aは、回転方向Cwの一方向にのみ回転可能であり、回転方向Cwの反対方向である時計回りの方向に回転不能に構成されている。回転軸Ayは回転板804aの中心に位置し、回転板804aの厚さ方向(図20の紙面垂直方向)に沿って延びる。回転板804aは、回転方向Cwに沿って並ぶフィルタF0~F4を支持する。フィルタF0~F4は回転軸Ayを中心に等角度間隔、本例では、72°間隔で配置されている。
なお、上記では、回転板804aが反時計回りの方向のみ回転可能な構成を例示したが、これに限らず回転板804aを時計回りの方向のみ回転可能な構成としてもよい。
回転駆動部804cは、マスターデータ生成部802による制御のもと、回転板804aを回転方向Cwに回転させることにより、サンプルプロジェクタ装置18a~18jから表示光Lが照射される照射範囲804bをフィルタF0~F4の何れか一つに重ねる。照射範囲804bは、回転する回転板804aに対して固定されている。具体的なRGB出力特性の取得時のフィルタF0~F4の切り替え方法については後で詳述する。
【0042】
図7に示すように、マスターデータ生成部802は、例えば、マイクロコントローラからなる。マスターデータ生成部802は後述するマスターデータ生成処理を実行する。マスターデータ生成部802は、マスターデータM1~M10を記憶する記憶部807と、測定点特定部802aと、出力特性取得部802bと、を備える。測定点特定部802a及び出力特性取得部802bが実行する処理内容は後で詳述する。
【0043】
図8に示すように、出荷品データ取得装置810は、ライトメータ813と、可変式NDフィルタ装置814と、チャンバー818と、検査光放射部819と、を備える。
チャンバー818は、出荷品プロジェクタ装置18kが設置されるラインに設けられ、ライトメータ813及び出荷品プロジェクタ装置18kを収容する。チャンバー818内は暗室である。
可変式NDフィルタ装置814は、可変式NDフィルタ装置804と同様に、複数のフィルタと、複数のフィルタを支持する回転板と、回転板を回転方向に回転させる回転駆動部と、を備える。可変式NDフィルタ装置814は製品データ生成部205により制御される。ライトメータ813は、ライトメータ803と同様の構成であり、製品データ生成部205に検出信号を出力する。検査光放射部819は、検査光放射部809と同様の構成であり、製品データ生成部205により制御され、出荷品プロジェクタ装置18kの光強度検出部に検査光を放射する。
【0044】
(マスターデータ生成処理)
図15のフローチャートを参照しつつ、マスターデータ生成部802により実行されるマスターデータ生成処理について説明する。
まず、マスターデータ生成部802は、図9に示すように、サンプルプロジェクタ装置18a~18jを光源ドライバ300のドライブ能力に応じてグレードG1~G10に分類する(ステップS1)。サンプルプロジェクタ装置18a~18jは、それぞれ同一の品種であり、シリアルナンバーが異なる。このため、サンプルプロジェクタ装置18a~18jはそれぞれ個体差を有している。個体差の一種である光源ドライバ300のドライブ能力は、光源制御部201の出力レベルと光源11r,11g,11bに流れる光源電流のピーク値Pk(図18及び図19参照)の関係により定まる。光源ドライバ300のドライブ能力が高いほど、光源制御部201の出力レベルが低くても、光源11r,11g,11bに流れる光源電流のピーク値Pkが大きくなる。光源ドライバ300の個体差によりドライブ能力にはバラツキが生じる。例えば、サンプルプロジェクタ装置18bの光源制御部201のドライブ能力がサンプルプロジェクタ装置18aの光源制御部201のドライブ能力よりも高い場合、サンプルプロジェクタ装置18a,18bの出力レベルが同一であっても、サンプルプロジェクタ装置18bにおける光源電流のピーク値Pkは、サンプルプロジェクタ装置18aにおける光源電流のピーク値Pkよりも高くなり、これにより、照明光C又は表示光Lの輝度も高くなる。
一例として、上記ステップS1において、マスターデータ生成部802は、サンプルプロジェクタ装置18a~18j毎に、光源電流のピーク値Pkを設定された出力レベルで除したドライブ能力値を算出する。すなわち、以下の式によりドライブ能力値が算出される。
ドライブ能力値=ピーク値Pk/出力レベル
そして、マスターデータ生成部802は、算出したドライブ能力値を高低順に並び替えた後、サンプルプロジェクタ装置18a~18jをドライブ能力値の高低順でグレードG1~G10に分類する。例えば、サンプルプロジェクタ装置18aのドライブ能力値がサンプルプロジェクタ装置18a~18jのうち最低である場合、サンプルプロジェクタ装置18aがグレードG1に分類される。サンプルプロジェクタ装置18bのドライブ能力値がサンプルプロジェクタ装置18a~18jのうち2番目に低い場合、サンプルプロジェクタ装置18bがグレードG2に分類される。以下、プロジェクタ装置18c~18jも同様に、それぞれグレードG3~G10に分類される。
【0045】
次に、マスターデータ生成部802は、グレードG1~G10毎にマスターデータM1~M10を生成し、生成したマスターデータM1~M10を記憶部807に記憶させ(ステップS2)、マスターデータ生成処理を終了する。マスターデータ生成処理は、出荷品プロジェクタ装置18kの製造前に実行される。
マスターデータ生成部802は、このステップS2において、マスターデータM1~M10を生成するための図16に示すサブフローチャートを読み出す。
【0046】
図16のサブフローチャートに係る処理はサンプルプロジェクタ装置18a~18j毎に実行される。これにより、グレードG1~G10に対応するマスターデータM1~M10が生成される。各マスターデータM1~M10は各温度でのマスターデータを有する。以下の例では、グレードG1のマスターデータM1を生成する場合について説明する。この場合、図16のサブフローチャートの開始前には、グレードG1に属するサンプルプロジェクタ装置18aが図7に示す恒温槽808内に設置され、サンプルプロジェクタ装置18aの電源がオンされる。
【0047】
まず、マスターデータ生成部802は、室温調整部806を介して恒温槽808内の温度を目標温度に設定する(ステップS11)。そして、マスターデータ生成部802は、恒温槽808内の温度が目標温度で安定するのを待つ(ステップS12;NO)。そして、マスターデータ生成部802は、恒温槽808内の温度が目標温度で安定した旨判別したとき(ステップS12;YES)、光源制御部201のIC特性であるゲインずれ情報を取得する(ステップS13)。このステップS13においては、マスターデータ生成部802は、検査光放射部809を通じて検査光を光強度検出部500に照射する。検査光は予め設定された輝度の光である。そして、マスターデータ生成部802は、ゲイン設定部201aによりゲインが設定値に設定された状態で、この検査光を光強度検出部500に照射したときの光強度検出信号SFBを測定する。そして、マスターデータ生成部802は、測定した光強度検出信号SFBと基準値の差分に基づきゲインの設定値に対するずれを示すゲインずれ情報を取得する。この基準値は、例えば、複数のプロジェクタ装置18において、ゲイン設定部201aによりゲインが設定値に設定された状態で、検査光を光強度検出部500に照射したときの光強度検出信号SFBの平均値である。
【0048】
次に、マスターデータ生成部802は、取得したゲインずれ情報を加味して、室温調整部806により調整された目標温度での制御モードQ1~QnそれぞれのRGB出力特性を取得することによりマスターデータM1を生成する(ステップS14)。
図10に示すように、RGB出力特性は、光源制御部201の出力レベルとライトメータ803により検出された表示光Lの輝度の関係を示す特性である。RGB出力特性は、所望の色、例えば、白色の照明光Cを放射するための光源11rに係るR出力特性、光源11gに係るG出力特性、及び光源11bに係るB出力特性を含む。
このステップS14は、光源制御部201の異なる複数の出力レベルそれぞれと光源11r,11g,11bが発する光の輝度による複数の測定点P1~Pxを特定する測定点特定部802aにより実行される測定点特定ステップS14aと、特定した複数の測定点P1~Pxの間を補間することによりRGB出力特性を取得する出力特性取得部802bにより実行される出力特性取得ステップS14bと、を含む。
図10に示す測定点Pxのxは任意の数であり、マスターデータにおいては、xは、低輝度モード及び高輝度モードの何れの場合でも同一の数、例えば、20に設定される。マスターデータには高い信頼性が求められる。このため、マスターデータの測定点の数は、後述する出荷品プロジェクタ装置18kにおけるRGB出力特性を取得する際の測定点の数よりも多く設定される。
詳しくは、測定点特定部802aは、光源11rからの赤色光の測定、光源11gからの緑色光の測定、及び光源11bからの青色光の測定を順番に行う。例えば、赤色光の測定を行うにあたって、測定点特定部802aは、光源制御部201の出力レベルを第1の値に設定したうえで、図18に示すように、光源11r,11g,11bに順に電流Ir,Ig,Ibを供給することにより光源11r,11g,11bを順に点灯させる。測定点特定部802aは、赤色光を測定する際、測定対象光源である光源11rが点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオン状態とし、光源11r以外の光源11g,11bが点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオフ状態とする。そして、測定点特定部802aは、ライトメータ803を通じて表示光Lである赤色光の輝度を測定し、第1の値と赤色光の輝度が交わる測定点P1にプロットする。
次に、測定点特定部802aは、光源制御部201の出力レベルを第1の値よりも大きい第2の値に設定したうえで、上記同様に、ライトメータ803を通じて表示光Lである赤色光の輝度を測定し、第2の値と赤色光の輝度が交わる測定点P2にプロットする。以降、同様に、測定点P3~Pxをプロットする。
図10に示す測定点P1~Pxは、光源制御部201の出力レベルに対応する横軸において等間隔に設定される。
【0049】
測定点特定部802aは、低輝度モード及び高輝度モードの何れの場合でも、光源制御部201の出力レベルにおいて予め設定される測定回数(例えば、10回)にわたって光源11rの赤色光の輝度を測定し、測定した測定回数分の輝度を平均することにより測定点P1~Pxを特定する。マスターデータには高い信頼性が求められる。このため、マスターデータを生成する際の輝度の平均回数は、後述する出荷品プロジェクタ装置18kの照明制御データDmを生成する際の輝度の平均回数よりも多く設定されている。
【0050】
出力特性取得部802bは、特定された複数の測定点P1~Pxの間を補間、例えば、直線補間することにより図10の折れ線Lrで示す光源11rに係るR出力特性を取得する。
R出力特性と同様に、マスターデータ生成部802は、図10の折れ線Lgで示す光源11gに係るG出力特性と図10の折れ線Lbで示す光源11bに係るB出力特性を取得する。マスターデータ生成部802は、G出力特性の測定点を特定する際には、測定対象光源である光源11gが点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオン状態とし、光源11g以外の光源11r,11bが点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオフ状態とする。また、マスターデータ生成部802は、B出力特性の測定点を特定する際には、測定対象光源である光源11bが点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオン状態とし、光源11b以外の光源11r,11gが点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオフ状態とする。
以上で、RGB出力特性が取得される。マスターデータ生成部802は、制御モードQ1~Qn毎にRGB出力特性を取得する。
【0051】
例えば、ゲインが設定値を上回るようにずれている場合に、ゲインずれ情報を加味した補正が行われないと、光強度検出部500に照射された光の光強度に対する光強度検出信号SFBの電流値は高くなることから、光強度検出信号SFBに基づき調整される表示光Lの輝度も高くなる。このように、ゲインが設定値を上回ることに伴って表示光Lの輝度が高まることを抑制するために、ゲインずれ情報を加味した補正が行われる。例えば、マスターデータ生成部802は、ゲインずれ情報にゲインが設定値を上回るようにずれている旨の情報が含まれる場合、取得したゲインずれ情報を加味することにより、測定点P1~Px、ひいては、折れ線Lr,Lg,Lbが下方向、すなわち輝度低下方向にずれるように補正する。また、これと同様に、マスターデータ生成部802は、例えば、ゲインずれ情報にゲインが設定値を下回るようにずれている旨の情報が含まれる場合、取得したゲインずれ情報を加味することにより、測定点P1~Px、ひいては、折れ線Lr,Lg,Lbが上方向、すなわち輝度増加方向にずれるように補正する。この際の補正量は、ゲインずれ情報に含まれるゲインと設定値のずれ量に応じた値となる。
【0052】
測定点特定部802aは、測定点特定ステップS14aにおいて、ライトメータ803を通じて光源11r,11g,11bからの光の輝度を検出する際、可変式NDフィルタ装置804を通じて、下記の表1に示すように、フィルタF0~F4の何れかを照射範囲804bに重ねることによりフィルタF0~F4の何れかを選択フィルタFsに設定する。
【0053】
【表1】
【0054】
上記表1に示すように、可変式NDフィルタ装置804は、マスターデータ生成部802による制御のもと、制御モードQ1から制御モードQnまで輝度範囲Blの中央値の高い順にRGB出力特性を取得する。この際、可変式NDフィルタ装置804は、選択フィルタFsを、フィルタF0→フィルタF1→フィルタF2→フィルタF3→フィルタF4の順番で、言い換えると、フィルタF0~F4を光減衰率の高い順番で切り替える。
上記表1において、制御モードQa,Qb,Qc,Qdのa,b,c,dは任意の数であり、2<a<b<c<d<nの大小関係に設定される。
【0055】
詳しくは、可変式NDフィルタ装置804は、上記表1に示すように、制御モードQ1のR出力特性、G出力特性及びB出力特性を取得する際、フィルタF0を選択フィルタFsに設定する。
可変式NDフィルタ装置804は、制御モードQ1のB出力特性を取得した後、制御モードQ2のR出力特性の取得を開始する前に、選択フィルタFsをフィルタF0からフィルタF1に切り替える。この際、可変式NDフィルタ装置804は、図20に示すように、回転駆動部804cを介して回転方向Cwに沿って切り替え角度αだけ回転板804aを回転させる。この切り替え角度αは、360°をフィルタの数で割った角度に設定される。
【0056】
そして、可変式NDフィルタ装置804は、上記表1に示すように、制御モードQ2から制御モードQaまで選択フィルタFsをフィルタF1に維持する。次に、可変式NDフィルタ装置804は、制御モードQaのB出力特性を取得した後、制御モードQbのR出力特性を取得する前に、選択フィルタFsをフィルタF1からフィルタF2に切り替える。この際、可変式NDフィルタ装置804は、図20に示すように、回転駆動部804cを介して回転方向Cwに沿って切り替え角度αだけ回転板804aを回転させる。
【0057】
そして、可変式NDフィルタ装置804は、上記表1に示すように、制御モードQbから制御モードQcまで選択フィルタFsをフィルタF2に維持する。次に、可変式NDフィルタ装置804は、制御モードQcのB出力特性を取得した後、制御モードQdのR出力特性を取得する前に、選択フィルタFsをフィルタF2からフィルタF3に切り替える。この際、可変式NDフィルタ装置804は、図20に示すように、回転駆動部804cを介して回転方向Cwに沿って切り替え角度αだけ回転板804aを回転させる。
【0058】
そして、可変式NDフィルタ装置804は、上記表1に示すように、制御モードQdから制御モードQn-1まで選択フィルタFsをフィルタF3に維持する。次に、可変式NDフィルタ装置804は、制御モードQn-1のB出力特性を取得した後、制御モードQnのR出力特性を取得する前に、選択フィルタFsをフィルタF3からフィルタF4に切り替える。この際、可変式NDフィルタ装置804は、回転駆動部804cを介して回転方向Cwに沿って切り替え角度αだけ回転板804aを回転させる。
以上で、制御モードQ1~QnでのRGB出力特性が取得される。制御モードQ1~QnでRGB出力特性が取得される際、光減衰率が低くなるように選択フィルタFsが切り替えられることがない。例えば、光減衰率が低くなるように選択フィルタFsがフィルタF2からフィルタF1に切り替えられる場合、切り替え角度αよりも大きい角度、例えば、288°にわたって回転方向Cwに沿って回転板804aを回転させる必要がある。この場合、選択フィルタFsの切り替えに時間がかかる。一方、本実施形態では、選択フィルタFsを切り替える際、切り替え角度αだけ回転板804aを回転させれば済むため、選択フィルタFsの切り替えに時間がかかることが抑制される。
【0059】
なお、本例では、可変式NDフィルタ装置804は、制御モードQ1~Qn毎に共通の選択フィルタFsを設定していたが、これに限らない。例えば、可変式NDフィルタ装置804は、制御モードQaのR出力特性を取得した後、制御モードQaのG出力特性を取得する前に、選択フィルタFsをフィルタF1からフィルタF2に切り替えてもよい。
【0060】
マスターデータ生成部802は、各温度でマスターデータM1を生成したか否かを判別する(ステップS15)。各温度は、例えば、-40℃、-30℃、-10℃、10℃、25℃、40℃、50℃、60℃、70℃である。マスターデータ生成部802は、各温度でマスターデータM1を生成していない旨判別すると(ステップS15;NO)、ステップS11の処理に戻り、室温調整部806を介してマスターデータM1を生成していない温度に目標温度を設定する。すなわち、ステップS11~S15の処理が繰り返されることにより、各温度でマスターデータM1が生成される。
【0061】
マスターデータ生成部802は、各温度でマスターデータM1を生成した旨判別すると(ステップS15;YES)、生成した各温度でのマスターデータM1を記憶部807に記憶させ(ステップS16)、図16のサブフローチャートが終了となる。マスターデータM1は、上述した図13に示す照明制御データDmと同様の内容を含む。マスターデータM2~M10も、マスターデータM1と同様に、図16に示すサブフローチャートにより生成される。
【0062】
(製品データ生成処理)
次に、図17のフローチャートに沿って、製品データ生成部205により実行される製品データ生成処理について説明する。
まず、ドライブ能力判定部205aは、出荷品プロジェクタ装置18kの光源ドライバ300のドライブ能力を判定する(ステップS21)。このステップS21においては、例えば、ドライブ能力判定部205aは、上述したように、出荷品プロジェクタ装置18kの光源ドライバ300のドライブ能力値を算出する。
そして、マスターデータ選択部205bは、判定したドライブ能力に基づきマスターデータM1~M10のうち最適マスターデータMxを選択する(ステップS22)。このステップS22において、マスターデータ選択部205bはサンプルプロジェクタ装置18a~18jのそれぞれのドライブ能力値のうち算出したドライブ能力値に最も近いサンプルプロジェクタ装置が属するグループに対応するマスターデータを最適マスターデータMxとして選択する。
そして、製品データ生成部205は、選択した最適マスターデータMxを仮の照明制御データDmとして記憶部203に記憶する(ステップS23)。ステップS24~S26では、出荷品プロジェクタ装置18kは仮の照明制御データDmに基づき動作する。
【0063】
次に、出力特性取得部205dは、出荷品データ取得装置810を通じて、出荷品プロジェクタ装置18kのゲインずれ情報を取得し(ステップS24)、取得したゲインずれ情報を加味して、出荷品プロジェクタ装置18kにおける常温でのRGB出力特性を取得する(ステップS25)。ステップS24,S25は、それぞれ上記ステップS13,S14と同様の処理である。ステップS25に係る処理は、常温でのRGB出力特性を取得するだけなので、各温度でのRGB出力特性を取得するマスターデータ生成処理に比べて、短時間で行うことができる。
【0064】
このステップS25は、上記ステップS14に係るマスターデータのRGB出力特性を取得するステップと同様に、光源制御部201における異なる複数の出力レベルそれぞれにおいて光源11r,11g,11bが発する光の輝度による複数の測定点P1~Pm,Pnを特定する測定点特定部205cにより実行される測定点特定ステップS25aと、特定した複数の測定点P1~Pm,Pnの間を補間することによりRGB出力特性を取得する出力特性取得部205dにより実行される出力特性取得ステップS25bと、を含む。
【0065】
以下、出荷品のRGB出力特性を取得するステップS25について、マスターデータに関するRGB出力特性を取得するステップS14との相違点を中心に説明する。なお、図11及び図12のグラフにおいて輝度を示す縦軸の縮尺は異なっており、縦軸に設定される参照値Spは同一の値に設定されている。参照値Spは、例えば、2000Nitである。
測定点特定部205cは、要求輝度が閾値を超えた高輝度モードにおいては、図11に示すように、第1の特定点数nの測定点P1~Pnを特定する。出力特性取得ステップS25bは、高輝度モードにおいては、特定した測定点P1~Pnの間を直線補間することによりRGB出力特性を取得する。
【0066】
測定点特定部205cは、要求輝度が閾値以下となる低輝度モードにおいては、図12に示すように、第2の特定点数mの測定点P1~Pmを特定する。出力特性取得ステップS25bは、低輝度モードにおいては、特定した測定点P1~Pmの間を直線補間することによりRGB出力特性を取得する。
なお、出力特性取得部205dは、低輝度モードにおいて、特定した測定点P1~Pmの間を直線補間に限らず、曲線補間してもよい。曲線補間は、例えば、ラグランジュ補間、スプライン補間、又は最小二乗法等である。高輝度モードにおいては輝度と光源制御部201の出力レベルの関係は直線的に変化し、低輝度モードにおいては輝度と光源制御部201の出力レベルの関係は曲線的に変化する傾向がある。この傾向を加味すると、低輝度モードにおいて、測定点P1~Pmの間を曲線補間することは好ましい。
第1の特定点数n及び第2の特定点数mはそれぞれ自然数であり、第2の特定点数mは第1の特定点数nよりも大きい、すなわち、m>nの大小関係がある。このように、低輝度モードの第2の特定点数mが高輝度モードの第1の特定点数nよりも多く設定されることにより、高輝度モードよりも高い精度が求められる低輝度モードのRGB出力特性の信頼性を高めることができる。本例では、第1の特定点数nは10であり、第2の特定点数mは15である。
測定点P1~Pn及び測定点P1~Pmは、光源制御部201の出力レベルに対応する横軸において等間隔に設定される。
なお、測定点特定部205cは、測定点特定部802aと同様に、光源11r,11g,11bのうち何れか一つの測定対象光源が点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオン状態とし、光源11r,11g,11bのうち測定対象光源以外の光源が点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオフ状態とする。例えば、制御モードQ1のRGB出力特性を取得する際は、測定対象光源以外の光源は、制御モードQ1の輝度範囲Bl1の中央値の輝度で点灯される。
【0067】
測定点特定部205cは、低輝度モードのとき、光源制御部201の設定された出力レベルにおいて、第2の測定回数N2にわたって測定対象光源の光の輝度を測定し、測定した測定回数分の輝度を平均することにより測定点P1~Pmを特定する。測定点特定部205cは、高輝度モードのとき、光源制御部201の設定された出力レベルにおいて、第1の測定回数N1にわたって測定対象光源の光の輝度を測定し、測定した測定回数分の輝度を平均することにより測定点P1~Pnを特定する。低輝度モードにおいては、より高い精度の測定点P1~Pmが求められる。よって、第2の測定回数N2は第1の測定回数N1よりも多い数に設定されている。一例として、第2の測定回数N2は5回に設定され、第1の測定回数N1は3回に設定される。
【0068】
そして、製品データ生成部205は、取得したRGB出力特性に基づき、図13に示す比較データMcを取得する(ステップS26)。比較データMcは、最適マスターデータMxと比較されるデータであり、各制御モードQ1~Qnでの輝度範囲Blが最適マスターデータMxと異なる。
【0069】
次に、データ補正部205eは、比較データMcと常温(例えば25°)の最適マスターデータMxとの差分に基づき最適マスターデータMxを補正することにより照明制御データDmを生成する(ステップS27)。
このステップS27においては、製品データ生成部205は、図14に示すように、制御モードQ1における常温の最適マスターデータMxの輝度範囲Bl1と比較データMcの輝度範囲Bl2の差分値Df1,Df2を取得する。差分値Df1は輝度範囲Bl1,Bl2の最大値の差分値である。差分値Df2は輝度範囲Bl1,Bl2の最小値の差分値である。そして、製品データ生成部205は、差分値Df1,Df2を補正値として、各温度の最適マスターデータMxの制御モードQ1の輝度範囲Blを補正する。例えば、製品データ生成部205は、最適マスターデータMxの輝度範囲Bl1の上限値を差分値Df1だけ大きくし、最適マスターデータMxの輝度範囲Bl1の下限値を差分値Df2だけ大きくする。制御モードQ2~Qnにおいても、これと同様に、輝度範囲Blを補正する。すなわち、常温の最適マスターデータMxと比較データMcの比較に基づく補正値は、常温以外の各温度での最適マスターデータMxの補正にも利用される。よって、最適マスターデータMxの補正を簡易化することができる。
【0070】
製品データ生成部205は、補正した最適マスターデータMxを照明制御データDmとして記憶部203に書き込み(ステップS28)、製品データ生成処理を終了する。これにより、出荷品プロジェクタ装置18kは出荷品プロジェクタ装置18kに適した照明制御データDmを利用できるため、表示光Lの輝度及び色度をターゲット値に近づけることができる。
【0071】
次に、上述のように照明制御データDmが書き込まれた出荷品プロジェクタ装置18kであるプロジェクタ装置18の動作について説明する。
図13に示すように、プロジェクタ装置18の第2の制御部200は、要求輝度に応じて制御モードQ1~Qn間でモードを切り替える。制御モードQ1~Qnの輝度範囲Blの端部は不使用範囲Jに設定される。第2の制御部200は、要求輝度が不使用範囲Jに達する前に制御モードQ1~Qn間でモードを切り替える。不使用範囲Jは、制御モードQ1~Qnの輝度範囲Blのうち、プロジェクタ装置18により使用されない範囲である。輝度範囲Blの端部は、輝度範囲Blの端部以外の中央部に比べて、所望の色、例えば、白色の照明光C又は表示光Lを実現できる精度が低くなる。よって、制御モードQ1~Qnの輝度範囲Blの端部が不使用範囲Jに設定されることにより、所望の色、例えば、白色の照明光C又は表示光Lを実現できる精度が高まる。
【0072】
次に、不使用範囲Jの設定方法について説明する。不使用範囲Jは、第2の制御部200により実行されるプログラムにより自動で設定されてもよいし、人によるコンピュータ等の操作により設定されてもよい。以下では、図21を参照しつつ、制御モードQ1の輝度範囲BlAの下端部に位置する不使用範囲J1、及び制御モードQ2の輝度範囲BlBの下端部に位置する不使用範囲J2について説明するが、その他の制御モードQ3~Qnの不使用範囲Jも同様に設定される。
図21に示すように、制御モードQ1の輝度範囲BlAと制御モードQ2の輝度範囲BlBが重なる重複領域E1が特定される。そして、重複領域E1の非端部にモード切替値E2を設定する。モード切替値E2は、例えば、重複領域E1の中央値に設定される。不使用範囲J1は、制御モードQ1の輝度範囲BlAのうちモード切替値E2以下の範囲に設定される。不使用範囲J2は、制御モードQ2の輝度範囲BlBのうちモード切替値E2以上の範囲に設定される。
【0073】
第2の制御部200は、制御モードQ1にて光源11r,11g,11bを制御している状態で、要求輝度が低下してモード切替値E2に到達すると、制御モードQ1から制御モードQ2に移行する。また、第2の制御部200は、制御モードQ2にて光源11r,11g,11bを制御している状態で、要求輝度が増加してモード切替値E2に到達すると、制御モードQ2から制御モードQ1に移行する。
【0074】
第2の制御部200は、DMD表示素子30の各マイクロミラー30aを、表示期間Tonにおいてはオンとし、非表示期間Tofにおいてはオフとする。第2の制御部200は、DMD表示素子30のDMDデューティ比により、表示光Lの輝度を調整することが可能となる。DMDデューティ比は、1周期に占める表示期間Tonの合計時間の割合で求められる。
【0075】
図22及び図23に示すように、高輝度モード、すなわち、制御モードQ1~Qxにおいては、表示期間Tonは1周期の前半部分に設定され、非表示期間Tofは1周期の後半部分に設定される。低輝度モード、すなわち、制御モードQy~Qnにおいては、非表示期間Tofは1周期の最初と最後に設定され、表示期間Tonは、最初と最後の表示期間Tonに挟まれるように設定される。
【0076】
第2の制御部200は、図22に示すように、制御モードQ1においてはDMDデューティ比を85%に設定し、制御モードQ2においてはDMDデューティ比を75%に設定し、制御モードQ3~QnにおいてはDMDデューティ比を50%に設定する。このように、制御モードQ2のDMDデューティ比は、制御モードQ1のDMDデューティ比と制御モードQ3のDMDデューティ比の間の値、一例として、制御モードQ1のDMDデューティ比と制御モードQ3のDMDデューティ比の間の中央値に設定される。これにより、制御モードQ1,Q2,Q3間でモードが切り替えられたときに、DMDデューティ比が急激に変化することが抑制され、これにより、制御モードQ1~Qnの間でモードが切り替わったときに、表示光Lの輝度が急激に変化することが抑制され、虚像Vのちらつきが抑制される。
【0077】
図23の時刻t1に示すように、高輝度モードに属する制御モードQxから低輝度モードに属する制御モードQyに制御モードが切り替えられたときに、制御モードQyにおける1周期の最初に非表示期間Tofが設定される。これにより、制御モードQxから制御モードQyに切り替わったときに瞬間的に表示光Lの輝度が高まることが抑制される。
また、図23の時刻t2に示すように、低輝度モードに属する制御モードQyから高輝度モードに属する制御モードQxにモードが切り替えられたときに、制御モードQxにおける1周期の前半に表示期間Tonが設定される。これにより、制御モードQyから制御モードQxに切り替わったときに瞬間的に表示光Lの輝度が低くなることが抑制される。
なお、本例では、高輝度モードの制御モードQ1~Qxと低輝度モードの制御モードQy~Qnの間で1周期に占める表示期間Ton及び非表示期間Tofの位置が異なっていた。しかしながら、これに限らず、高輝度モードの制御モードQ1~Qxと低輝度モードの制御モードQy~Qnの間で電流Ir,Ig,Ibの波形の位相がすらされることにより、制御モードQyと制御モードQxの間で瞬間的に表示光Lの輝度が変化することが抑制されてもよい。
また、第2の制御部200は、表示期間Tonにおいて、それぞれ幅(図18の期間Ti)が異なる複数の電流Ir,Ig,Ibの矩形波を光源11r,11g,11bに供給する。この際、第2の制御部200は、高輝度モード及び低輝度モードの何れであっても、表示期間Tonの後端部分に電流Ir,Ig,Ibの各矩形波のうち幅が長い矩形波を配置してもよい。
【0078】
なお、第1の制御部100の制御内容の一部を、第2の制御部200が実行してもよいし、反対に、第2の制御部200の制御内容の一部を、第1の制御部100が実行してもよい。また、第1及び第2の制御部100,200は一つの制御部として構成されてもよい。
【0079】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1-1)HUD装置1における複数の光源11r,11g,11bを制御するための照明制御データDmを生成する照明制御データ生成方法は、仮の照明制御データDmを参照して光源11r,11g,11bを制御する光源制御部201において互いに異なる値に設定される複数の出力レベルそれぞれにおける光源11r,11g,11bが発する光の輝度により複数の測定点P1~Pn,Pmを特定する測定点特定ステップS25aと、特定した複数の測定点P1~Pn,Pmの間を補間することによりRGB出力特性を取得することにより照明制御データDmを生成する出力特性取得ステップS25bと、を含む。測定点特定ステップS25aでは、要求輝度が閾値を超えた高輝度モードのときには第1の特定点数nの測定点P1~Pnを特定し、要求輝度が閾値以下である低輝度モードのときには第1の特定点数nよりも多い第2の特定点数mの測定点P1~Pmを特定する。
この構成によれば、高輝度モードにおける測定点P1~Pnの数が低輝度モードにおける測定点P1~Pmよりも少なく設定される。よって、測定点特定ステップS25aの測定点P1~Pn,Pmを特定する処理を短時間で終わらせることができる。従って、照明制御データDmの生成に要する時間を短くすることができる。
高輝度モードにおいては、光源制御部201の出力レベルと輝度の関係が直線的に変化するため、高輝度モードにおける測定点P1~Pnの数を少なくしても、RGB出力特性を示す折れ線Lr,Lg,Lbに与える影響は少なく、照明制御データDmの信頼性は確保される。一方、低輝度モードにおいては、光源制御部201の出力レベルと輝度の関係が曲線的に変化するため、低輝度モードにおける測定点P1~Pmの数が多い方が照明制御データDmの信頼性の確保という観点からは好ましい。
【0080】
(1-2)出力特性取得ステップS25bでは、要求輝度が閾値を超えた高輝度モードのときには第1の特定点数nの測定点P1~Pnの間を直線補間し、要求輝度が閾値以下である低輝度モードのときには第2の特定点数mの測定点P1~Pmの間を曲線補間する。
この構成によれば、高輝度モードにおいては、光源制御部201の出力レベルと輝度の関係が直線的に変化するため、測定点P1~Pnの間を直線補間することで照明制御データDmの信頼性が高まる。
一方、低輝度モードにおいては、光源制御部201の出力レベルと輝度の関係が曲線的に変化するため、測定点P1~Pmの間を曲線補間することで照明制御データDmの信頼性が高まる。
【0081】
(1-3)測定点特定ステップS25aでは、要求輝度が閾値を超えた高輝度モードのときには設定された光源制御部201の出力レベルにおいて第1の測定回数N1にわたって光源11r,11g,11bの何れかが発する光の輝度を測定し、測定した第1の測定回数N1の輝度を平均することにより測定点P1~Pnを特定し、要求輝度が閾値以下である低輝度モードのときには設定された光源制御部201の出力レベルにおいて第1の測定回数N1よりも多い第2の測定回数N2にわたって光源11r,11g,11bの何れかが発する光の輝度を測定し、測定した第2の測定回数N2の輝度を平均することにより測定点P1~Pmを特定する。
低輝度モードにおいては、高輝度モードに比べて、微少な輝度変化が虚像Vの視認性に与える影響は大きい。このため、低輝度モードにおける測定回数を高輝度モードにおける測定回数よりも多くすることにより、低輝度モードの測定点P1~Pnの精度を高めることができ、虚像Vの視認性を高めることができる。
【0082】
(1-4)照明制御データDmは要求輝度に応じた複数の制御モードQ1~Qnを含む。出力特性取得ステップS25bでは、複数の制御モードQ1~Qn毎にRGB出力特性を取得する。測定点特定ステップS25aでは、光減衰率の異なる複数のフィルタF0~F4のうち何れか一つを選択フィルタFsとして使用することで光源11r,11g,11bの何れかが発する光に基づく照明光C又は表示光Lの輝度をライトメータ803にて測定可能範囲となるように光を減衰し、要求輝度が高い制御モードQ1~Qnから順にRGB出力特性を取得する際、複数のフィルタF0~F4を光減衰率が高い順に、すなわち、フィルタF0→フィルタF1→フィルタF2→フィルタF3→フィルタF4の順番で、選択フィルタFsに切り替える。
この構成によれば、RGB出力特性を取得する際、フィルタF0~F4における選択フィルタFsへの切り替えの順番を単純化することができる。よって、選択フィルタFsの切り替えに要する時間を短くすることができ、ライトメータ803により輝度が迅速に測定される。従って、照明制御データDmの生成に要する時間を短くすることができる。
【0083】
(1-5)測定点特定ステップS25aでは、複数の光源11r,11g,11bのうち特定対象光源(例えば、光源11r)が発する特定対象光(例えば、赤色光)の輝度に係る測定点P1~Pn,Pmを特定する際、複数の光源11r,11g,11bを順に点灯させつつ、DMD表示素子30を通じて特定対象光源からの特定対象光を透過型スクリーン50に向けて反射させ、複数の光源11r,11g,11bのうち特定対象光源以外の光源(例えば、光源11g,11b)からの光(例えば、緑色光及び青色光)を透過型スクリーン50とは異なる方向に向けて反射させる。
この構成によれば、特定対象光源以外の光源を光らせることにより、HUD装置1の実使用に近い状態で、特定対象光の輝度を測定することができる。よって、より高精度で測定点P1~Pn,Pmを特定することができる。
例えば、測定点P1~Pn,Pmを特定するために、特定対象光(例えば、赤色光)の輝度を測定する際にも、特定対象光以外の色の光(例えば、緑色光及び青色光)の影響を受けて特定対象光(赤色光)の色度が変わることが想定される。上記構成によれば、特定対象光以外の色の光の影響も加味して測定点P1~Pn,Pmを特定することができる。
【0084】
(1-6)照明制御データ生成装置800は、HUD装置1における複数の光源11r,11g,11bを制御するための照明制御データDmを生成する。照明制御データ生成装置800は、照明制御データDmを参照して光源11r,11g,11bを制御する光源制御部201において互いに異なる値に設定される複数の出力レベルそれぞれにおける光源11r,11g,11bが発する光の輝度により複数の測定点P1~Pnを特定する測定点特定部205cと、特定した複数の測定点P1~Pn,Pmの間を補間することによりRGB出力特性を取得することにより照明制御データDmを生成する出力特性取得部205dと、を含む。測定点特定部205cは、要求輝度が閾値を超えた高輝度モードのときには第1の特定点数nの測定点P1~Pnを特定し、要求輝度が閾値以下である低輝度モードのときには第1の特定点数nよりも多い第2の特定点数mの測定点P1~Pmを特定する。
この構成によれば、上述したように、照明制御データDmの生成に要する時間を短くすることができる。
【0085】
(2-1)HUD装置1は、複数の光源11r,11g,11bと、光源11r,11g,11bを駆動させる光源ドライバ300と、照明制御データDmに基づき光源ドライバ300を介して複数の光源11r,11g,11bを点灯させる制御部の一例である第2の制御部200と、複数の光源11r,11g,11bが放射した照明光Cに基づき表示光Lを生成するDMD表示素子30と、を備える。照明制御データDmは、要求輝度に応じた輝度の照明光Cを生成するための第1の制御モードの一例である制御モードQ1及び第2の制御モードの一例である制御モードQ2を含む。制御モードQ1,Q2は、互いに一部が重なるようにそれぞれ異なる輝度範囲BlA,BlBを有する。第2の制御部200は、制御モードQ1の輝度範囲BlAと制御モードQ2の輝度範囲BlBが重なる重複領域E1の非端部に位置するモード切替値E2に要求輝度が到達したときに制御モードQ1,Q2の間でモードを切り替える。
各制御モードQ1~Qnの輝度範囲Blの端部は、所望の色、例えば、白色の照明光Cを実現できる精度が低い領域である。上記構成によれば、重複領域E1の非端部にモード切替値E2を設定することにより、制御モードQ1,Q2の輝度範囲BlA,BlBの端部が不使用範囲Jに設定される。よって、所望の色(例えば白色)の照明光Cを実現しつつ要求輝度に応じて照明光Cの輝度を変化させることができる。よって、虚像Vの視認性が高まる。
【0086】
(2-2)モード切替値E2は、重複領域E1の中央値に設定される。
この構成によれば、例えば、2つの制御モードQ1,Q2の不使用範囲J1,J2を同一の長さに設定できる。
【0087】
(2-3)HUD装置1は、DMD表示素子30からの表示光Lを受けて画像Mを表示する透過型スクリーン50を備える。DMD表示素子30は、画像Mの画素に対応して設けられる複数のマイクロミラー30aを備える。各マイクロミラー30aは、第2の制御部200による制御のもと、光源11r,11g,11bからの光を透過型スクリーン50に向かうように反射させるオン状態、及び光源11r,11g,11bからの光を透過型スクリーン50とは異なる方向に反射させるオフ状態の間で切り替わる。制御モードQ1の輝度範囲BlAの中央値は、制御モードQ2の輝度範囲BlBの中央値、及び第3の制御モードの一例である制御モードQ3の輝度範囲Blの中央値よりも大きく設定される。制御モードQ2の輝度範囲BlBの中央値は、制御モードQ1の輝度範囲BlAの中央値よりも小さく設定され、かつ制御モードQ3の輝度範囲Blの中央値よりも大きく設定される。第2の制御部200は、1周期に占めるマイクロミラー30aがオン状態となる期間であるDMDデューティ比を変化させることにより表示光Lの輝度を調整する。制御モードQ1のDMDデューティ比は制御モードQ2のDMDデューティ比及び制御モードQ3のDMDデューティ比よりも大きく設定される。制御モードQ2のDMDデューティ比は制御モードQ3のDMDデューティ比よりも大きく、かつ、制御モードQ1のDMDデューティ比よりも小さく設定される。
この構成によれば、制御モードQ1,Q2,Q3の間でモードが切り替わったときに、DMDデューティ比が急激に変化することが抑制される。これにより、要求輝度の変化により表示光Lの輝度が急激に変化することが抑制される。よって、虚像Vの視認性が高まる。
【0088】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0089】
(変形例)
上記実施形態においては、常温の最適マスターデータMxと比較データMcの比較に基づく補正値は、常温以外の最適マスターデータMxの補正にも適用されていた。しかしながら、これに限らず、各温度の補正値を取得して、その補正値を各温度のマスターデータMxに適用してもよい。
【0090】
上記実施形態においては、出力特性取得部205dは、取得したゲインずれ情報を加味して、出荷品プロジェクタ装置18kにおける常温でのRGB出力特性を取得していたが、ゲインずれ情報を加味しなくてもよい。
【0091】
上記実施形態においては、HUD装置1は、車載用であったが、車載用に限らず、飛行機、船等の乗り物に搭載されていてもよい。また、HUD装置1からの表示光Lはウインドシールド3に投射されていたが、専用のコンバイナに投射されてもよい。
【0092】
上記実施形態においては、第2の制御部200は、外光の光強度を示す要求輝度信号SLに基づき高輝度モード及び低輝度モードの何れかに移行していたが、これに限られず、HUD装置1や車両2に設けられた図示しない操作部を視認者4が操作することで、要求輝度が変更されたとして、上記各モード間を移行してもよい。
上記実施形態における可変式NDフィルタ装置804,814は省略されてもよい。
【0093】
上記実施形態においては、マスターデータ生成部802は、低輝度モード及び高輝度モードの何れの場合でも測定点の数を同一に設定していたが、これに限らず、製品データ生成部205と同様に、低輝度モードの測定点の数を高輝度モードの測定点の数よりも多く設定してもよい。
【0094】
上記実施形態においては、モード切替値E2は、重複領域E1の中央値に設定されていたが、重複領域E1内であれば、重複領域E1の中央値以外に設定されてもよい。
【0095】
上記実施形態においては、低輝度モードのときの測定回数(第2の測定回数N2)は、高輝度モードのときの測定回数(第1の測定回数N1)よりも多い数に設定されていたが、これに限らず、低輝度モードと高輝度モードの間で測定回数は同一の数に設定されてもよい。また、測定回数は、複数回に限らず単数回であってもよい。測定回数が単数回の場合には輝度は平均化されない。
【0096】
上記実施形態における可変式NDフィルタ装置804の5つのフィルタF0~F4の数及び配置態様は適宜変更可能である。また、回転板804aの回転方向Cwは、反時計回り方向に限らず、時計回り方向であってもよい。
【0097】
上記実施形態における測定点特定部205c,802aは、測定対象光源以外の光源が点灯している期間においてはDMD表示素子30の各マイクロミラー30aをオフ状態としていたが、測定対象光源以外の光源を消灯してもよい。
【0098】
上記実施形態においては、制御モードQ1、制御モードQ2及び制御モードQ3~Qnの間でDMDデューティ比を3段階で変化させていたが、これに限らず、制御モードQ1~Qnの間でDMDデューティ比を4段階以上で変化させてもよいし、DMDデューティ比を2段階で変化させてもよい。また、制御モードQ1~Qnの間でDMDデューティ比を変化させずに一定に保ってもよい。
【0099】
上記実施形態においては、高輝度モードの第1の特定点数nと低輝度モードの第2の特定点数mの2種類の特定点数が設定されていたが、3種類以上の特定点数が設定されてもよい。この場合、要求輝度が低くなるにつれて特定点数が多くなるように設定されてもよい。
【0100】
上記実施形態においては、図23に示すように、高輝度モードの制御モードQ1~Qxと低輝度モードの制御モードQy~Qnの間で1周期に占める表示期間Ton及び非表示期間Tofの配置態様が異なっていたが、同じであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 HUD装置
2 車両
3 ウインドシールド
4 視認者
5 光源駆動装置
7 照度センサ
10 照明装置
11 光源群
11b,11g,11r 光源
13 光合成部
13a 反射ミラー
13b,13c ダイクロイックミラー
15 プリズム
15a 傾斜面
15b,15c 直交面
18 プロジェクタ装置
18a~18j サンプルプロジェクタ装置
18k 出荷品プロジェクタ装置
19 表示ユニット
30 DMD表示素子
30a マイクロミラー
40 投射光学系
43 光源駆動部
49 電圧検出部
50 透過型スクリーン
54,55,61 平面鏡
62 凹面鏡
65 凹面鏡駆動部
70 筐体
70a 開口部
71 透光部
100 第1の制御部
200 第2の制御部
201 光源制御部
201a ゲイン設定部
202 表示素子制御部
203,807 記憶部
205 製品データ生成部
205a ドライブ能力判定部
205b マスターデータ選択部
205c 測定点特定部
205d 出力特性取得部
205e データ補正部
300 光源ドライバ
500 光強度検出部
600 光源温度検出部
700 映像信号入力部
800 照明制御データ生成装置
801 サンプル品データ取得装置
802 マスターデータ生成部
802a 測定点特定部
802b 出力特性取得部
803 ライトメータ
803 メータ
804 可変式NDフィルタ装置
F0~F4 フィルタ
804a 回転板
804b 照射範囲
804c 回転駆動部
805 恒温槽ガラス
806 室温調整部
808 恒温槽
809 検査光放射部
810 出荷品データ取得装置
813 ライトメータ
814 可変式NDフィルタ装置
818 チャンバー
819 検査光放射部
R 赤色光
B 青色光
G 緑色光
C 照明光
C1 コンデンサ
G1-G10 グレード
L 表示光
M 画像
L1 インダクタ
M1-M10 マスターデータ
Mc 比較データ
Mx 最適マスターデータ
P パルス
Q1-Qn,Qa,Qb,Qc,Qd,Qx,Qy 制御モード
V 虚像
SE 映像信号
SL 要求輝度信号
SFB 光強度検出信号
Ib,Ig,Ir 電流
Df1,Df2 差分値
ST 光源温度信号
Bl,Bl1,Bl2,BlA,BlB 輝度範囲
Lb,Lg,Lr 折れ線
SV 電圧検出信号
Dm 照明制御データ
Tr,Tg,Tb 点灯許可期間
Ax 回転軸
Ay 回転軸
P1~Px,Pm,Pn 測定点
Pk ピーク値
Swa,Swb,Swc,Swg,Swr スイッチ部
Ton 表示期間
Tof 非表示期間
J1,J2,J 不使用範囲
E1 重複領域
E2 モード切替値
図1
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