IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7609166認証システム、端末、管理サーバ、個人情報提供方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】認証システム、端末、管理サーバ、個人情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20241224BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241224BHJP
【FI】
G06F21/62 345
G06F21/32
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545002
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2020032371
(87)【国際公開番号】W WO2022044205
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大谷 美樹
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-155570(JP,A)
【文献】特開2016-091067(JP,A)
【文献】秋山 寛子 他,情報銀行システムにおける個人情報蓄積機構の機能設計と実装,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ,日本,一般社団法人情報処理学会,2013年07月03日, Vol.2013 No.2,pp.1953-1957,[ISSN]1882-0840
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F12/14
21/00-21/10
21/30-21/46
21/60-21/88
G09C 1/00-5/00
H04K 1/00-3/00
H04L 9/00-9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶すると共に、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、管理サーバと、
を含み、
前記管理サーバは、前記個人情報の提供が拒否された場合、前記生体認証により提供が行われたサービスの情報である概略情報であって個人を特定できる情報を含まない前記概略情報を、前記行動情報として前記情報サーバに送信する
認証システム。
【請求項2】
前記認証成功者が所持する端末をさらに含み、
前記管理サーバは、前記認証成功者に対してサービスの提供が終了すると、前記端末に対して、個人情報の提供可否に関する照会であって、自装置に記憶された個人情報のリストを含む照会を送信し、
前記端末は、前記個人情報のリストを用いて、前記認証成功者が前記第三者に提供を許可する個人情報の種類を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を生成する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記端末から前記個人情報の提供可否に関する照会に対する肯定応答を受信すると、前記行動情報を前記情報サーバに送信する、請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報と、前記認証成功者に対して提供されたサービスの概略に関する概略情報と、を含む前記行動情報を前記情報サーバに送信する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項5】
前記情報サーバは、前記認証成功者から提供された個人情報の種類に応じて前記認証成功者に支払う対価を決定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記対価を受け取るための対価受取情報を記憶し、
前記情報サーバは、前記認証成功者に支払う対価を前記管理サーバに通知し、
前記管理サーバは、前記認証成功者の前記対価受取情報に基づき前記通知された対価を支払う、請求項5に記載の認証システム。
【請求項7】
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続され、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶すると共に、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信し、
前記個人情報の提供が拒否された場合、前記生体認証により提供が行われたサービスの情報である概略情報であって個人を特定できる情報を含まない前記概略情報を、前記行動情報として前記情報サーバに送信する
管理サーバ。
【請求項8】
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続された管理サーバが、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶し、
前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信し、
前記個人情報の提供が拒否された場合、前記生体認証により提供が行われたサービスの情報である概略情報であって個人を特定できる情報を含まない前記概略情報を、前記行動情報として前記情報サーバに送信する
個人情報提供方法。
【請求項9】
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続された管理サーバに搭載されたコンピュータに、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する処理と、
前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する処理と、
前記個人情報の提供が拒否された場合、前記生体認証により提供が行われたサービスの情報である概略情報であって個人を特定できる情報を含まない前記概略情報を、前記行動情報として前記情報サーバに送信する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証システム、端末、管理サーバ、個人情報提供方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体情報を利用した各種サービスの普及が始まっている。例えば、空港内で行われる各種手続き(チェックイン、手荷物預け入れ等)やホテルのチェックイン等に顔認証が用いられている。
【0003】
顔認証を利用したサービスでは、次のような流れで処理が行われる。まず、端末(空港やホテルに設置された端末)が利用客の顔画像を取得し、当該顔画像を特徴付ける特徴量(特徴ベクトル)を生成する。生成された特徴量は、ネットワーク上のサーバに送信される。
【0004】
サーバは、顔認証によるサービスを受ける利用者の生体情報と個人情報(氏名、住所等)を格納するデータベースを備える。サーバは、端末から照合要求を取得すると、上記データベースを検索(照合)し、端末からの照合要求に対応する生体情報と個人情報を特定する。サーバは、特定した個人情報を端末に送信し、空港等に設置された端末は、取得した個人情報に基づいた業務を行う。
【0005】
また、認証情報や個人情報に関する様々な利活用が検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、インターネットを利用する企業、一般ユーザの多様な要求に応えつつ、本来の所有者である一般ユーザ(ISPの利用者)の関与可能な状況下で、個人情報を取引する方法、システムを提供する、と記載されている。
【0007】
特許文献2には、安否確認を要求する不特定の相手方に対し予め認証情報を登録させる必要なく、かつプライバシに配慮した形で安否確認に有効な情報を提供できるようにする、と記載されている。
【0008】
特許文献3には、消費行動に関連する個人情報の対価として、サービスや商品を提供する、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2002-056111号公報
【文献】特開2006-243798号公報
【文献】特開2008-243072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、生体認証を用いてサービスを提供する際、利用者の個人情報が必要となる。ここで、多数の個人情報を収集し蓄積することで当該個人情報は大きな価値を生む。具体的には、どのような年齢層の利用者がどのようなサービスの提供を受けているといったデータは、企業のマーケティングにおける大きな判断材料となる。
【0011】
しかし、生体認証によるサービス提供時に用いられた個人情報は、利用者のプライバシ保護の観点から、利用者の同意なく第三者に提供することは困難である。とりわけ、氏名や住所等の個人情報を第三者に提供することに強い抵抗を覚える利用者も多い。
【0012】
本発明は、生体認証によるサービス提供に関連した個人情報を利用者が制御、管理することに寄与する、認証システム、端末、管理サーバ、個人情報提供方法及び記憶媒体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の視点によれば、情報サーバと、複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶すると共に、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、管理サーバと、を含む、認証システムが提供される。
【0014】
本発明の第2の視点によれば、生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する管理サーバと接続され、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可する個人情報を入力するためのGUIを生成する、端末が提供される。
【0015】
本発明の第3の視点によれば、情報サーバと、複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続され、前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶すると共に、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、管理サーバが提供される。
【0016】
本発明の第4の視点によれば、情報サーバと、複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続された管理サーバにおいて、前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶し、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、個人情報提供方法が提供される。
【0017】
本発明の第5の視点によれば、情報サーバと、複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続された管理サーバに搭載されたコンピュータに、前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する処理と、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する処理と、を実行させるためのプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の各視点によれば、生体認証によるサービス提供に関連した個人情報を利用者が制御、管理することに寄与する、認証システム、端末、管理サーバ、個人情報提供方法及び記憶媒体が提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態の概要を説明するための図である。
図2】第1の実施形態に係る認証システムの概略構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る認証システムの利用者登録フェーズにおける動作を説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る認証システムのサービス登録フェーズにおける動作を説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る認証システムのサービス提供フェーズにおける動作を説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズにおける動作を説明するための図である。
図7】第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズにおける動作を説明するための図である。
図8】第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズにおける動作を説明するための図である。
図9】第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズにおける動作を説明するための図である。
図10】第1の実施形態に係る認証サーバの処理構成の一例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る認証サーバの利用者登録部の動作を説明するための図である。
図12】第1の実施形態に係る認証サーバの利用者登録部の動作を説明するための図である。
図13】第1の実施形態に係る認証情報データベースの一例を示す図である。
図14】第1の実施形態に係る認証情報データベースの一例を示す図である。
図15】第1の実施形態に係る認証情報データベースの一例を示す図である。
図16】第1の実施形態に係る管理サーバの処理構成の一例を示す図である。
図17】第1の実施形態に係る管理サーバの個人情報取得部の動作を説明するための図である。
図18】第1の実施形態に係る利用者情報データベースの一例を示す図である。
図19】第1の実施形態に係る管理サーバから送信される行動情報の一例を示す図である。
図20】第1の実施形態に係る認証端末の処理構成の一例を示す図である。
図21】第1の実施形態に係る情報サーバの処理構成の一例を示す図である。
図22】第1の実施形態に係る情報サーバの動作を説明するための図である。
図23】第1の実施形態に係る端末の処理構成の一例を示す図である。
図24】第1の実施形態に係る認証システムのサービス登録フェーズに関する動作の一例を示すシーケンス図である。
図25】第1の実施形態に係る認証システムのサービス提供フェーズに関する動作の一例を示すシーケンス図である。
図26】第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズに関する動作の一例を示すシーケンス図である。
図27】第2の実施形態に係る認証システムの動作を説明するための図である。
図28】第2の実施形態に係る認証端末の処理構成の一例を示す図である。
図29】管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図30】変形例に係る個人情報の提供可否に関する動作を説明するための図である。
図31】変形例に係る個人情報の提供可否に関する動作を説明するための図である。
図32】変形例に係る個人情報の提供可否に関する動作を説明するための図である。
図33】変形例に係る個人情報の提供可否に関する動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0021】
一実施形態に係る認証システムは、情報サーバ101と、認証サーバ102と、管理サーバ103と、を含む(図1参照)。認証サーバ102は、複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、記憶された生体情報を用いて生体認証を行う。管理サーバ103は、生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する。管理サーバ103は、サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を情報サーバ101に送信する。
【0022】
生体認証によりサービスの提供を受けた利用者(認証成功者)は、当該利用者の個人情報を記憶、管理する管理サーバ103に対して第三者に提供することを許可する個人情報を入力する。即ち、利用者は、生体認証によるサービス提供に関連した個人情報を第三者に提供するか否かを制御、管理することができる。
【0023】
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0025】
[システムの構成]
図2は、第1の実施形態に係る認証システムの概略構成の一例を示す図である。図2に示すように、認証システムには、認証センター、情報センター及び複数のサービス提供者が含まれる。
【0026】
認証システムに参加する各サービス提供者は、生体認証を用いたサービスの提供を行う。サービス提供者により提供されるサービスとして、小売店等での代金決済サービスやホテル等での宿泊サービスが例示される。あるいは、サービス提供者により提供されるサービスは、空港や港における出入国審査等であってもよい。本願開示のサービス提供者は、生体認証を用いて提供できる任意のサービスが提供できればよい。
【0027】
認証センターには、認証サーバ10が設置されている。認証サーバ10は、利用者の生体情報を記憶し、当該生体情報を用いて利用者の生体認証を行う。認証サーバ10は、生体情報を用いた認証の認証局として動作する。認証サーバ10は、認証センターの敷地に設置されたサーバであってもよいし、クラウド上に設置されたサーバであってもよい。
【0028】
なお、利用者の生体情報には、例えば、顔、指紋、声紋、静脈、網膜、瞳の虹彩の模様(パターン)といった個人に固有の身体的特徴から計算されるデータ(特徴量)が例示される。あるいは、利用者の生体情報は、顔画像、指紋画像等の画像データであってもよい。利用者の生体情報は、利用者の身体的特徴を情報として含むものであればよい。本願開示では、人の「顔」に関する生体情報を用いる場合について説明する。
【0029】
認証サーバ10は、生体認証によるサービスを実現するためのサーバ装置である。認証サーバ10は、各サービス提供者から送信される「認証要求」を処理し、認証処理の結果をサービス提供者に送信する。認証サーバ10は、複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、当該記憶された生体情報を用いて生体認証を行う。
【0030】
各サービス提供者は、管理サーバと認証端末を有する。
【0031】
例えば、サービス提供者S1には、管理サーバ20と、複数の認証端末30が設置されている。サービス提供者S2には、管理サーバ20と、複数の認証端末31が設置されている。
【0032】
以降の説明において、各構成要素を区別する必要がある場合には、ハイフンより右側の符号を用いる。サービス提供者S1とサービス提供者S2に含まれる各装置の動作等は同一とすることができるので、以降の説明は、サービス提供者S1を中心に説明する。
【0033】
図2に示す各装置は相互に接続されている。例えば、認証サーバ10と管理サーバ20は、有線又は無線の通信手段により接続され、相互に通信が可能となるように構成されている。
【0034】
管理サーバ20は、サービス提供者の業務全般を制御、管理するサーバである。例えば、サービス提供者が小売店である場合には、管理サーバ20は、商品の在庫管理等を行う。あるいは、サービス提供者がホテル事業者であれば、管理サーバ20は、宿泊客の予約情報の管理等を行う。
【0035】
管理サーバ20は、上記サービス提供に係る機能に加え、利用者の生体認証に関する制御機能、管理機能を備える。管理サーバ20は、認証システムを利用する利用者の個人情報(例えば、氏名等)を記憶する。即ち、管理サーバ20は、生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する。また、管理サーバ20は、サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち認証成功者が第三者(情報センター、情報サーバ40)への提供を許可した個人情報を情報サーバ40に送信する。
【0036】
認証端末30は、管理サーバ20と接続され、サービス提供者を訪れた利用者(利用客)のインターフェイスとなる装置である。利用者は、認証端末30を介して種々のサービス提供を受ける。例えば、サービス提供者が小売店である場合には、利用者は、認証端末30を用いて代金の決済を行う。あるいは、サービス提供者がホテル事業者であれば、利用者は認証端末30を用いてチェックイン手続きを行う。
【0037】
情報センターには、情報サーバ40が設置されている。情報センター及び情報サーバ40は、利用者からみた「第三者」に相当する。情報サーバ40は、サービス提供者からサービスを受けた利用者の行動に関する情報を収集する。例えば、情報サーバ40は、利用者が利用したサービスの種類、氏名、年齢、性別等を収集する。収集された情報は、他の事業者に譲渡等される。または、情報サーバ40は、収集した情報を解析し、解析結果を他の事業者等に譲渡する。他の事業者は、取得した解析結果等をマーケティング等に役立てる。
【0038】
上記利用者の行動に関する情報に利用者の個人情報(例えば、氏名、年齢等)が含まれる場合には、情報サーバ40は、当該個人情報の提供に対する対価、利益を個人情報提供者に与える。
【0039】
端末50は、利用者(生体認証を用いたサービスの提供を受ける利用者;認証成功者)が所持する端末である。
【0040】
図2は例示であって、本願開示の認証システムの構成等を限定する趣旨ではない。例えば、認証センターには2台以上の認証サーバ10が含まれていてもよい。あるいは、サービス提供者には少なくとも1台以上の認証端末30が含まれればよい。あるいは、管理サーバ20と認証端末30の機能が統合され、当該統合された1台の装置により生体認証を用いたサービスが提供されてもよい。あるいは、各サービス提供者において、図2に示すように1台の管理サーバ20に複数の認証端末30が接続されていてもよいし、1台の管理サーバ20に1台の認証端末30が接続されていてもよい。あるいは、認証サーバ10と情報サーバ40の機能が統合されていてもよい。つまり、認証サーバ10も利用者からみた「第三者」に該当し得る。
【0041】
[システムの動作概略]
続いて、第1の実施形態に係る認証システムの概略動作について説明する。
【0042】
認証システムの動作には、4つのフェーズが含まれる。
【0043】
第1のフェーズは、利用者のシステム登録を行うフェーズ(利用者登録フェーズ)である。
【0044】
第2のフェーズは、サービスの登録を行うフェーズ(サービス登録フェーズ)である。
【0045】
第3のフェーズは、利用者に生体認証を用いたサービスを提供するフェーズ(サービス提供フェーズ)である。
【0046】
第4のフェーズは、サービスの提供を受けた利用者の行動に関する情報を収集するフェーズ(情報収集フェーズ)である。
【0047】
[利用者登録フェーズ]
図3は、第1の実施形態に係る認証システムの利用者登録フェーズにおける動作を説明するための図である。
【0048】
生体認証を用いたサービスの提供を希望する利用者は、事前に利用者登録を行う。利用者は、認証システムにて利用者自身を特定するための情報(ユーザID(Identifier)、パスワード(PW;Pass Word))を決定し、システムに登録する。なお、図3を含む図面において、ユーザIDを「uID」と表記する。
【0049】
また、利用者は、自身の生体情報(例えば、顔画像)をシステムに登録する。
【0050】
利用者は、任意の手段を用いて上記3つの情報(ユーザID、パスワード、生体情報)をシステムに登録する。例えば、利用者は、上記3つの情報が記載された書類を認証センターに郵送し、認証センターの従業員が上記3つの情報を認証サーバ10に入力してもよい。あるいは、利用者は、上記3つの情報が格納された、USB(Universal Serial Bus)等の外部記憶装置を認証センターに郵送してもよい。
【0051】
あるいは、利用者は、所有する端末50を操作して撮像した自身の顔画像と、ユーザID、パスワードを認証サーバ10に入力してもよい。端末50には、スマートフォン、携帯電話機、ゲーム機、タブレット等の携帯端末装置やコンピュータ(パーソナルコンピュータ、ノートパソコン)等が例示される。
【0052】
認証サーバ10は、取得した顔画像から特徴量(複数の特徴量からなる特徴ベクトル)を生成し、当該特徴量とユーザID、パスワードを対応付けて記憶する。具体的には、認証サーバ10は、認証情報データベースに新規なエントリを追加し、上記3つの情報を対応付けて記憶する。
【0053】
このように、利用者登録フェーズにて、システムにおいて利用者を一意に定める第1のID(例えば、ユーザID)と利用者の認証に用いられる第1の生体情報がシステムに登録される。なお、第1の実施形態では、システム利用者を一意に定める識別子(第1のID)としてユーザIDとパスワードを用いる例を説明するが、利用者間でユーザIDの重複がなければ、上記識別子(第1のID)としてユーザIDを用いることも可能である。
【0054】
[サービス登録フェーズ]
図4は、第1の実施形態に係る認証システムのサービス登録フェーズにおける動作を説明するための図である。
【0055】
利用者登録を終えた利用者は、生体認証によりサービスを受けたいサービス提供者を選択し、当該選択したサービス提供者をシステムに登録する。例えば、図2において、利用者がサービス提供者S1からサービスの提供を希望する場合には、サービス提供者S1をシステムに登録する。
【0056】
利用者は、選択したサービス提供者からサービスを受けるために必要な個人情報をシステムに登録する。当該システムに登録される個人情報としては、氏名、年齢、性別、連絡先、対価を受け取るための情報等が例示される。連絡先は、例えば、端末50が受信可能なアカウントのメールアドレスである。また、利用者は、対価(個人情報提供に対する対価)を受け取るための対価受取情報をシステムに登録する。対価受取情報として、銀行口座、仮想通貨の受取口座、オンラインショッピングのID情報等が例示される。また、利用者は、上記個人情報と併せて、利用者登録フェーズにて決定されたユーザID、パスワードをシステムに登録する。
【0057】
なお、本願開示において、個人情報は、利用者(被認証者)の生体情報を含まない情報と定義される。即ち、生体情報及び当該生体情報から生成された特徴量は、本願開示の「個人情報」から除外される。
【0058】
利用者は、上記3つの情報(個人情報、ユーザID、パスワード)を任意の手段を用いてサービス提供者に入力する。例えば、利用者は、上記3つの情報を記載した媒体(紙媒体、電子媒体)を、選択したサービス提供者に郵送する。サービス提供者の従業員が上記3つの情報を管理サーバ20に入力する。利用者は、サービス提供者に設置された認証端末30を操作して、上記3つの情報を管理サーバ20に入力してもよい。
【0059】
あるいは、図4に示すように、利用者は端末50を操作して上記3つの情報を管理サーバ20に入力してもよい。この場合、利用者は、サービス提供者が管理、運営するWEB(ウェブ)ページ上にて上記3つの情報を入力する。
【0060】
管理サーバ20は、上記3つの情報(個人情報、ユーザID、パスワード)を取得すると、認証サーバ10に対して「サービス登録要求」を送信する。具体的には、管理サーバ20は、サービス提供者ID、ユーザID及びパスワードを含むサービス登録要求を認証サーバ10に送信する。
【0061】
サービス提供者IDは、認証システムに含まれるサービス提供者(生体認証を利用する認証基盤に参加している小売店等)を一意に識別するための識別情報である。図2の例では、サービス提供者S1、S2のそれぞれに異なるサービス提供者IDが割り当てられている。
【0062】
なお、サービス提供者IDは、サービス提供者ごとに割り当てられるIDであって、サービスごとに割り当てられるIDではない。例えば、図2において、サービス提供者S1とS2が同じ種類のサービス(例えば、宿泊サービス)を提供する事業者であっても、経営主体が異なればこれらのサービス提供者には異なるIDが割り当てられる。
【0063】
認証サーバ10と管理サーバ20は、任意の方法によりサービス提供者IDを共有する。例えば、サービス提供者が認証基盤に参加する際、認証サーバ10がサービス提供者IDを生成し、当該生成したサービス提供者IDをサービス提供者に配付(通知)すればよい。図4を含む図面において、サービス提供者IDを「spID」と表記する。
【0064】
サービス登録要求を受信すると、認証サーバ10は、当該要求に含まれるユーザIDとパスワードをキーとして認証情報データベースを検索し、対応する利用者を特定する。その後、認証サーバ10は、「サービスユーザID」を生成する。
【0065】
サービスユーザIDは、利用者とサービス提供者の対応関係(組み合わせ)を一意に定める識別情報である。例えば、図2の例では、利用者U1とサービス提供者S1の組み合わせから定まるサービスユーザIDと、利用者U1とサービス提供者S2の組み合わせから定まるサービスユーザIDには、それぞれ異なる値が設定される。
【0066】
認証サーバ10は、ユーザID、パスワード、特徴量、サービス提供者ID、上記生成されたサービスユーザIDを対応付けて記憶する。図4を含む図面において、サービスユーザIDを「suID」と表記する。
【0067】
認証サーバ10は、上記生成したサービスユーザIDを、サービス登録要求の送信元に送信する。認証サーバ10は、サービスユーザIDを含む応答を管理サーバ20に送信し、サービスユーザIDの払い出しを行う。
【0068】
管理サーバ20は、認証サーバ10から取得したサービスユーザIDと利用者の個人情報(対価受取情報を含む個人情報)を対応付けて記憶する。管理サーバ20は、利用者情報データベースに新規なエントリを追加し、上記情報(個人情報、サービスユーザID)を格納する。
【0069】
利用者は、生体認証を用いたサービスの提供を受けたいサービス提供者ごとに上記のような登録動作を繰り返す。換言すれば、利用者は、サービスの提供が不要なサービス提供者についての利用登録を行う必要はない。
【0070】
このように、サービス登録フェーズにおいて、利用者が利用を希望するサービスのサービス提供者から、第1のID(例えば、ユーザID)と第2のID(例えば、サービス提供者ID)を含むサービス登録要求が認証サーバ10に送信される。認証サーバ10は、当該サービス登録要求を処理する際、利用者とサービス提供者の組み合わせにより一意に定まる第3のID(例えば、サービスユーザID)を生成する。認証サーバ10は、当該第3のIDをサービス提供者に送信する。サービス提供者(管理サーバ20)は、利用者の個人情報と第3のIDを対応付けて記憶する。
【0071】
[サービス提供フェーズ]
図5は、第1の実施形態に係る認証システムのサービス提供フェーズにおける動作を説明するための図である。
【0072】
サービスの登録(サービス登録フェーズ)を終了した利用者は、サービス提供者を訪問する。利用者は、認証端末30の前に移動する。
【0073】
認証端末30は、面前の利用者から生体情報を取得する。具体的には、認証端末30は、利用者を撮像し、顔画像を取得する。認証端末30は、取得した顔画像を管理サーバ20に送信する。
【0074】
管理サーバ20は、取得した顔画像から特徴量を生成する。管理サーバ20は、当該生成した特徴量とサービス提供者IDを含む認証要求を認証サーバ10に送信する。
【0075】
認証サーバ10は、認証要求から特徴量を取り出し、当該取り出した特徴量と認証情報データベースに登録された特徴量を用いた照合処理(1対N照合;Nは正の整数、以下同じ)を実行する。
【0076】
認証サーバ10は、照合処理により利用者を特定し、当該特定した利用者に対応付けられている複数のサービスユーザIDのうち認証要求に含まれるサービス提供者IDに対応するサービスユーザIDを特定する。
【0077】
認証サーバ10は、特定したサービスユーザIDを認証要求の送信元に送信する。認証サーバ10は、特定したサービスユーザIDを含む応答(認証要求に対する応答)を管理サーバ20に送信する。
【0078】
管理サーバ20は、取得したサービスユーザIDをキーとして利用者情報データベースを検索し、サービスユーザIDに対応する利用者を特定する。管理サーバ20は、特定された利用者の全部又は一部の個人情報を認証端末30に送信する。認証端末30は、取得した個人情報を用いてサービスを提供する。
【0079】
認証端末30は、サービスの提供を終了すると、その旨を管理サーバ20に通知する。具体的には、認証端末30は、「サービス提供終了通知」を管理サーバ20に送信する。
【0080】
このように、サービス提供フェーズにおいて、認証端末30は、利用者の第2の生体情報を取得すると共に、取得した第2の生体情報を管理サーバに送信する。認証サーバ10は、サービス提供者から利用者の生体情報と第2のID(サービス提供者ID)を含む認証要求を受信する。認証サーバ10は、第1及び第2の生体情報と第2のIDを用いた照合処理により第3のID(サービスユーザID)を特定する。認証サーバ10は、特定した第3のIDをサービス提供者に送信する。管理サーバ20は、利用者にサービスを提供する際、認証要求を認証サーバ10に送信することで取得した第3のIDを用いて利用者の個人情報を特定する。サービス提供者は、特定された個人情報を用いて利用者にサービスを提供する。
【0081】
[情報収集フェーズ]
図6は、第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズにおける動作を説明するための図である。
【0082】
情報収集フェーズにおいて、情報サーバ40が、サービス提供者からサービスの提供を受けた利用者(認証成功者)の行動に関する情報を収集する。以降の説明において、情報サーバ40が収集する情報(管理サーバ20が情報サーバ40に提供する情報)を「行動情報」と表記する。
【0083】
生体認証を用いたサービスの提供が終了すると、サービス提供者(管理サーバ20)は、生体認証によりサービスの提供を受けた利用者の個人情報を第三者に提供することに関する利用者の意思を取得する。具体的には、管理サーバ20は、利用者が所持する端末50に対して個人情報の提供可否に関する照会(以下、情報提供照会と表記する)を送信する。情報提供照会には、管理サーバ20が記憶している個人情報(例えば、氏名、年齢、性別、住所等)のリストと、生体認証によるサービスを享受した利用者のサービスユーザIDが含まれる。
【0084】
情報提供照会を受信した端末50は、個人情報の提供に関する利用者の意思を取得する。例えば、端末50は、図7に示すようなGUI(Graphical User Interface)を用いて個人情報提供の可否を取得する。なお、端末50は、個人情報を提供することで対価が得られることを明示するような表示を行ってもよい。
【0085】
利用者が個人情報の提供を拒否した場合には、端末50は、管理サーバ20に対してその旨を通知する(情報提供照会に対する否定応答を送信する)。この場合、管理サーバ20は、認証成功者に対して提供されたサービスの概略に関する情報(以下、概略情報と表記する)を「行動情報」として情報サーバ40に送信する。概略情報には、サービス提供者の業種(宿泊業、小売業)、サービスを提供した場所、日時等が例示される。
【0086】
利用者が個人情報の提供を承諾する場合には、端末50は、管理サーバ20が保持する個人情報の各項目(種類)についての提供可否を入力するためのGUIを表示する(図8参照)。なお、端末50は、生体認証により受けたサービスの概略等を個人情報提供可否の入力画面に表示してもよい。例えば、端末50は、図9に示すようなGUIを表示してもよい。この場合、管理サーバ20は、概略情報や利用者の顔画像(認証端末30から取得した顔画像)を含む情報提供照会を端末50に送信してもよい。
【0087】
端末50は、図8図9に示すようなGUIにより取得した情報(第三者に提供を許可する個人情報の種類)を管理サーバ20に送信する。具体的には、端末50は、当該情報とサービスユーザIDを含む肯定応答を管理サーバ20に送信する。
【0088】
肯定応答を受信した管理サーバ20は、サービスユーザIDをキーとして利用者情報データベースを検索し、対応する利用者を特定する。管理サーバ20は、特定した利用者の個人情報のうち提供が許可された個人情報と概略情報を含む「行動情報」を情報サーバ40に送信する。
【0089】
情報サーバ40は、受信した行動情報を記憶する。行動情報に利用者の個人情報が含まれる場合には、情報サーバ40は、提供された個人情報の種類(項目、アイテム)に応じて、個人情報提供者に与える対価を決定する。具体的には、情報サーバ40は、予め定められた基準に従い対価を算出する。例えば、情報サーバ40は、氏名や年齢等の価値の高い情報を提供した利用者には高い対価を与え、性別等の価値の低い情報を提供した利用者には低い対価を与える。情報サーバ40は、算出した対価を管理サーバ20に通知する。
【0090】
なお、上記情報サーバ40による対価の決定は例示であって、情報サーバ40は種々の方法、基準に従って個人情報提供者に与える対価を決定することができる。例えば、情報サーバ40は、個人情報の需要(個人情報の購入を希望する企業の数)に応じて対価を決定してもよい。即ち、情報サーバ40は、需要の大きい(価値の高い)個人情報については高い対価を与え、重要の小さい(価値の低い)個人情報については低い対価を与えてもよい。あるいは、情報サーバ40は、情報提供を希望する企業等からの提示金額(オファー金額)に応じて個人情報提供者に与える対価を決定してもよい。情報サーバ40は、提示金額が大きい個人情報を提供した利用者に高い対価を与えてもよい。
【0091】
管理サーバ20は、個人情報提供者の対価受取情報を参照し、情報サーバ40から通知された対価(金銭、仮想通貨、ポイント)を個人情報提供者に支払う。個人情報の提供者は、サービス提供者を介して情報センターから個人情報提供に対する対価を得ることができる。なお、サービス提供者は、情報センター(情報サーバ40)から個人情報提供者に支払われる対価の一部を仲介手数料として取得してもよい。あるいは、情報センターは、所定期間(例えば、1か月)に取得した個人情報の総量等に応じた手数料をサービス提供者に支払ってもよい。
【0092】
なお、サービス提供者と情報センターの間で対価の支払いに関する契約を事前に結び、情報センターが個人情報提供者に支払う対価をサービス提供者が立て替えるような対応をすればよい。また、管理サーバ20と情報サーバ40の間でやり取りされる情報(行動情報、対価の通知)にIDを付与し、管理サーバ20は当該IDと個人情報提供者のサービスユーザIDを対応付けて管理することで、対価を支払う利用者を特定できる。
【0093】
このように、管理サーバ20は、認証成功者に対してサービスの提供が終了すると、端末50に対して、情報提供照会(個人情報の提供可否に関する照会であって、管理サーバ20に記憶された個人情報の項目リストを含む照会)を送信する。端末50は、取得した個人情報のリストを用いて、認証成功者が第三者に提供を許可する個人情報の種類を入力するためのGUIを生成する。端末50は、当該GUIを介して、第三者への提供が許可された個人情報の種類を取得し、当該取得した個人情報の種類を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は、端末50から肯定応答を受信すると、提供が許可された個人情報と提供したサービスの概略を示す概略情報を含む行動情報を情報サーバ40に送信する。
【0094】
続いて、第1の実施形態に係る認証システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
【0095】
[認証サーバ]
図10は、第1の実施形態に係る認証サーバ10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図10を参照すると、認証サーバ10は、通信制御部201と、利用者登録部202と、データベース管理部203と、サービス登録部204と、認証部205と、記憶部206と、を備える。
【0096】
通信制御部201は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、管理サーバ20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部201は、管理サーバ20に向けてデータを送信する。通信制御部201は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部201は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部201を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0097】
利用者登録部202は、上述の利用者登録を実現する手段である。利用者登録部202は、利用者(生体認証を用いたサービスの提供を希望する利用者;システム利用者)のユーザID、パスワード、生体情報(顔画像)を取得する。
【0098】
利用者登録部202は、任意の手段を用いて上記3つの情報(ユーザID、パスワード、生体情報)を取得する。例えば、利用者登録部202は、ユーザID、パスワードを決定するためのGUIや入力フォームを端末50に表示する。例えば、利用者登録部202は、図11に示すようなGUIを端末50に表示する。
【0099】
利用者登録部202は、GUI等により取得したユーザID、パスワードが既に登録されているユーザID、パスワードと重複していないことを検証する。当該重複が発生していなければ、利用者登録部202は、利用者の生体情報を取得するためのGUIを端末50に表示する。
【0100】
例えば、利用者登録部202は、図12に示すようなGUIを端末50に表示する。例えば、利用者は、図12に示す「ファイル選択」ボタンを押下し、システムに登録する顔画像の画像データを指定する。指定された顔画像は、プレビュー領域に表示される(図12では選択顔画像として表示されている)。
【0101】
利用者登録部202は、例えば、図11図12に示すようなGUIによりユーザID、パスワード、生体情報(顔画像)を取得すると、顔画像から特徴量(複数の特徴量からなる特徴ベクトル)を生成する。
【0102】
具体的には、利用者登録部202は、取得した顔画像から特徴点を抽出する。なお、特徴点の抽出処理に関しては既存の技術を用いることができるのでその詳細な説明を省略する。例えば、利用者登録部202は、顔画像から目、鼻、口等を特徴点として抽出する。その後、利用者登録部202は、特徴点それぞれの位置や各特徴点間の距離を特徴量として計算し、複数の特徴量からなる特徴ベクトル(顔画像を特徴づけるベクトル情報)を生成する。
【0103】
利用者登録部202は、ユーザID、パスワード及び上記生成した特徴量をデータベース管理部203に引き渡す。
【0104】
データベース管理部203は、認証情報データベースを管理する手段である。認証情報データベースは、システム利用者を特定する情報(ユーザID、パスワード)、生体情報(特徴量)、サービス提供者を特定するサービス提供者ID、各サービスにおいて利用者を特定するサービスユーザIDを対応付けて記憶する。
【0105】
データベース管理部203は、利用者登録部202から上記3つの情報(ユーザID、パスワード、特徴量)を取得した場合、認証情報データベースに新規エントリを追加する。例えば、利用者U1に関する上記3つの情報を取得した場合には、データベース管理部203は、図13の最下段に示されるエントリを追加する。なお、利用者登録の段階では、サービス提供者IDやサービスユーザIDは生成されていないのでこれらのフィールドには何も設定されない。
【0106】
サービス登録部204は、システム利用者による個別のサービス登録を実現する手段である。サービス登録部204は、サービス提供者の管理サーバ20から取得するサービス登録要求を処理する。
【0107】
サービス登録部204は、取得したサービス登録要求に含まれるユーザID、パスワードをキーとして認証情報データベースを検索する。サービス登録部204は、特定した利用者(ユーザID、パスワードの組から特定される利用者)のサービス提供者IDフィールドを確認する。
【0108】
サービス登録部204は、サービス提供者IDフィールドに、管理サーバ20から取得したサービス登録要求に含まれるサービス提供者IDが設定されているか否かを判定する。管理サーバ20から取得したサービス提供者IDが既にデータベースに登録されていれば、サービス登録部204は、その旨を管理サーバ20に通知する。この場合、認証情報データベースには、利用者が登録しようとしているサービス(サービス提供者)は既に登録されているので、サービス登録部204は、サービス登録要求に対する応答として「否定応答」を送信する。
【0109】
対して、特定された利用者のサービス提供者IDフィールドに、サービス登録要求に含まれるサービス提供者IDが設定されていなければ、サービス登録部204は、当該利用者とサービス提供者に対応するサービスユーザIDを生成する。
【0110】
上述のように、サービスユーザIDは、利用者とサービス提供者の組み合わせから一意に定まる識別情報である。例えば、サービス登録部204は、ユーザID、パスワード及びサービス提供者IDを用いてハッシュ値を計算し、当該計算されたハッシュ値をサービスユーザIDとする。具体的には、サービス登録部204は、ユーザID、パスワード及びサービス提供者IDの連結値を計算し、当該計算された連結値のハッシュ値を計算することで、サービスユーザIDを生成する。
【0111】
なお、上記ハッシュ値を用いたサービスユーザIDの生成は例示であって、サービスユーザIDの生成方法を限定する趣旨ではない。サービスユーザIDは、システム利用者とサービス提供者の組み合わせを一意に識別できる情報であればどのような情報であってもよい。例えば、サービス登録部204は、サービス登録要求を処理するたびに一意な値を採番しサービスユーザIDとしてもよい。
【0112】
サービスユーザIDを生成すると、サービス登録部204は、ユーザID及びパスワード等と共に、サービス提供者IDとサービスユーザIDをデータベース管理部203に引き渡す。データベース管理部203は、2つのID(サービス提供者ID、サービスユーザID)を認証情報データベースに登録する。例えば、利用者U1がサービス提供者S1についてサービス登録をすると、図14の最下段に示されるエントリに上記2つのIDが追加される。
【0113】
サービス登録はサービス提供者ごとに行われるため、1人の利用者に複数のサービス提供者、サービスユーザIDが設定されることがある。例えば、利用者U1がサービス提供者S1、S2のそれぞれに関してサービス登録を行った場合には、図15の2行目、3行目のエントリが生成される。なお、利用者U2がサービス提供者S1に関してサービス登録を行った場合には、図15の最下段のエントリが生成される。
【0114】
図15等に示す認証情報データベースは例示であって、認証情報データベースが記憶する情報を制限する趣旨ではない。例えば、認証用の特徴量に替えて顔画像が認証情報データベースに登録されていてもよい。即ち、認証の都度、認証情報データベースに登録された顔画像から特徴量が生成されてもよい。
【0115】
サービス提供者ID、サービスユーザIDが認証情報データベースに登録されると、サービス登録部204は、サービス登録要求が正常に処理されたことを管理サーバ20に通知する。サービス登録部204は、サービス登録要求に対する応答として「肯定応答」を送信する。その際、サービス登録部204は、サービスユーザIDを含む応答を管理サーバ20に送信する。
【0116】
認証部205は、システム利用者の認証処理を行う手段である。認証部205は、サービス提供者の管理サーバ20から受信する認証要求を処理する。
【0117】
認証部205は、認証要求に含まれる特徴量とサービス提供者IDを取り出す。認証部205は、取り出した特徴量とサービス提供者IDをキーとして認証情報データベースを検索し、対応するサービスユーザIDを特定する。
【0118】
認証部205は、認証要求から取り出した特徴量を照合側の特徴量、データベースに格納された特徴量を登録側の特徴量にそれぞれ設定し、1対N照合を実行する。具体的には、認証部205は、照合側と複数の登録側それぞれの特徴量との間の類似度を計算する。当該類似度には、カイ二乗距離やユークリッド距離等を用いることができる。なお、距離が離れているほど類似度は低く、距離が近いほど類似度が高い。
【0119】
認証部205は、データベースに登録された複数の特徴量のうち、照合対象の特徴量との間の類似度が所定の値以上の特徴量が存在するか否かを判定する。そのような特徴量が存在する場合、認証部205は、最も類似度が高い特徴量に対応する利用者(ユーザID、パスワード)を特定する。認証部205は、上記1対N照合により特定した利用者に対応付けられている少なくとも1以上のサービス提供者IDのうち、認証要求に含まれるサービス提供者IDに一致するエントリが存在するか否かを判定する。
【0120】
上記のようなエントリが存在する場合(上記2つの判定に成功した場合)、認証部205は、利用者の認証に成功したと判断する。この場合、認証部205は、認証要求の送信元である管理サーバ20に「肯定応答」を送信する。その際、認証部205は、特定したエントリのサービスユーザIDを含む応答(認証要求に対する応答)を生成し、管理サーバ20に送信する。
【0121】
上記2つの判定のうち少なくとも一方の判定に失敗した場合、認証部205は、利用者の認証に失敗したと判断する。この場合、認証部205は、認証要求の送信元である管理サーバ20に「否定応答」を送信する。
【0122】
例えば、図15の例では、「FV1」の特徴量と「S1」のサービス提供者IDが認証要求に含まれる場合、特徴量FV1により2行目、3行目のエントリ(利用者)が特定され、サービス提供者ID「S1」により2行目のエントリが特定される。その結果、上記認証要求は正常に処理され、「U1S1」というサービスユーザIDを含む肯定応答が、管理サーバ20に送信される。
【0123】
対して、「FV2」の特徴量と「S2」のサービス提供者IDが認証要求に含まれる場合、特徴量により最下段のエントリが特定されるが、当該エントリのサービス提供者IDは「S2」ではなく「S1」であるので、上記認証要求は正常に処理されない。その結果、管理サーバ20には否定応答が送信される。
【0124】
記憶部206は、認証サーバ10の動作に必要な情報を記憶する。記憶部206には、認証情報データベースが構築される。
【0125】
[管理サーバ]
図16は、第1の実施形態に係る管理サーバ20の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図16を参照すると、管理サーバ20は、通信制御部301と、個人情報取得部302と、サービス登録要求部303と、データベース管理部304と、認証要求部305と、行動情報提供部306と、記憶部307と、を備える。
【0126】
通信制御部301は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部301は、認証サーバ10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部301は、認証サーバ10に向けてデータを送信する。通信制御部301は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部301は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部301を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0127】
個人情報取得部302は、サービス提供者がサービスを提供する際に必要となる個人情報を取得する手段である。例えば、サービス提供者が「小売店」である場合には、個人情報取得部302は、利用者の氏名等に加えて、代金決済に関する情報(例えば、クレジットカードの情報、銀行口座の情報)を取得する。あるいは、サービス提供者が「ホテル事業者」である場合には、個人情報取得部302は、氏名等に加え、宿泊に関する予約情報(例えば、宿泊日等)を取得する。
【0128】
個人情報取得部302は、個人情報提供可否に関する照会(情報提供照会)を送信するための連絡先(例えば、端末50で受信可能なメールアドレス)と、情報サーバ40からの対価を受け取るための対価受取情報も利用者から取得する。
【0129】
さらに、個人情報取得部302は、上記氏名等の個人情報に加え、利用者がシステム登録する際に決定したユーザID、パスワードを取得する。
【0130】
個人情報取得部302は、個人情報、ユーザID、パスワードを任意の手段を用いて取得する。例えば、個人情報取得部302は、上記情報を入力するためのGUIやフォームを端末50に表示する(図17参照)。あるいは、図17に示すような情報が、サービス提供者が管理、運営するWEBページに表示されていてもよい。あるいは、端末50が、サービス提供者が提供するアプリケーションをダウンロードし、当該アプリケーションにより図17に示すような表示が行われてもよい。とりわけ、当該WEBページは、サービス提供者の会員情報を管理するWEBページであってもよい。即ち、各サービス提供者の会員が、自身の会員情報を管理するWEBページにてサービス登録が行われてもよい。
【0131】
個人情報取得部302は、GUI等を用いて取得した個人情報(連絡先、対価受取情報を含む個人情報)、ユーザID、パスワードをサービス登録要求部303に引き渡す。
【0132】
サービス登録要求部303は、認証サーバ10に対して、利用者のサービス利用に関する登録を要求(依頼)する手段である。
【0133】
サービス登録要求部303は、個人情報取得部302から取得した上記3つの情報(個人情報、ユーザID、パスワード)のうち、ユーザIDとパスワードを選択する。サービス登録要求部303は、当該選択したユーザID、パスワードとサービス提供者IDを含むサービス登録要求を認証サーバ10に送信する。
【0134】
サービス登録要求部303は、認証サーバ10からサービス登録要求に対する応答を取得する。取得した応答が「否定応答」である場合には、サービス登録要求部303は、その旨を利用者に通知する。例えば、サービス登録要求部303は、サービス登録は既に行われている旨を利用者に通知する。
【0135】
取得した応答が「肯定応答」である場合には、サービス登録要求部303は、サービス登録に成功した旨を利用者に通知する。また、サービス登録要求部303は、上記応答に含まれるサービスユーザIDと、個人情報取得部302から取得した個人情報(氏名、性別、住所、家族構成、連絡先、対価受取情報等)と、をデータベース管理部304に引き渡す。
【0136】
データベース管理部304は、利用者情報データベースを管理する手段である。利用者情報データベースは、サービス提供の対象となっている利用者(システム利用者)の情報を管理するデータベースである。利用者情報データベースは、当該利用者の個人情報(例えば、氏名等)と認証サーバ10から取得したサービスユーザIDを対応付けて記憶する。
【0137】
データベース管理部304は、サービス登録要求部303から上記情報(個人情報、サービスユーザID)を取得すると、利用者情報データベースに新規エントリを追加する。例えば、サービス提供者S1の管理サーバ20が、利用者U1に関する上記情報を取得した場合には、図18の最下段に示されるエントリが追加される。
【0138】
認証要求部305は、認証サーバ10に対して利用者の認証を要求する手段である。
【0139】
認証要求部305は、認証端末30から生体情報(顔画像)を取得すると、当該顔画像から特徴量を生成する。認証要求部305は、生成した特徴量とサービス提供者IDを含む認証要求を認証サーバ10に送信する。
【0140】
認証サーバ10からの応答が「否定応答」の場合(認証失敗の場合)には、認証要求部305は、その旨を認証端末30に通知する。
【0141】
認証サーバ10からの応答が「肯定応答」の場合(認証成功の場合)には、認証要求部305は、認証サーバ10からの応答に含まれるサービスユーザIDを取り出す。認証要求部305は、当該サービスユーザIDをキーとして利用者情報データベースを検索し、対応するエントリを特定する。
【0142】
認証要求部305は、当該特定したエントリの個人情報を読み出し、認証端末30に送信する。例えば、図18の例では、サービスユーザIDが「U1S1」であれば、最下段の個人情報が認証端末30に送信される。なお、認証要求部305は、認証端末30によるサービスの提供に不要な個人情報は認証端末30に送信する必要はない。例えば、情報提供照会の連絡先や対価受取情報がサービスの提供に必要なければ、これらの情報が認証端末30に送信されなくともよい。
【0143】
行動情報提供部306は、生体認証によるサービス提供時における利用者の行動に関する情報(行動情報)を情報サーバ40に提供する手段である。
【0144】
行動情報提供部306は、認証端末30から「サービス提供終了通知」を受信すると、利用者(認証成功者;生体認証によるサービス提供を受けた利用者)の所持する端末50に対して「情報提供照会」を送信する。上述のように、当該照会には、管理サーバ20が記憶している個人情報の一覧とサービスユーザIDが含まれる。
【0145】
情報提供照会に対する応答が否定応答(個人情報の提供を拒否)の場合には、行動情報提供部306は、概略情報を生成し、当該概略情報を「行動情報」として情報サーバ40に送信する。なお、概略情報は、利用者を特定できるような情報を含まず、生体認証によりサービスの提供が行われた事実とその簡潔な内容を情報サーバ40に通知するための情報である。そのため、管理サーバ20は、利用者の商品購入代金や宿泊の実績等を概略情報に含めてもよい。
【0146】
情報提供照会に対する応答が肯定応答(個人情報の提供を承諾)の場合には、行動情報提供部306は、当該応答に含まれるサービスユーザIDにより利用者を特定する。さらに、行動情報提供部306は、当該特定した利用者に関する個人情報のうち、利用者により提供が許可された個人情報を利用者情報データベースから読み出す。行動情報提供部306は、当該読み出した個人情報と概略情報を「行動情報」として情報サーバ40に送信する。
【0147】
個人情報と概略情報を含む行動情報を送信する際、行動情報提供部306は、送信する行動情報を識別可能とするID(行動情報ID)を生成し、当該IDを含む行動情報を情報サーバ40に送信する(図19参照)。行動情報提供部306は、行動情報IDとサービスユーザIDを対応付けて記憶する。
【0148】
行動情報提供部306は、対価に関する通知を情報サーバ40から受信すると、当該通知に含まれる行動情報IDを取り出し、対応する利用者(サービスユーザID)を特定する。行動情報提供部306は、特定したサービスユーザIDをキーとして利用者情報データベースを検索し、対応するエントリを特定する。行動情報提供部306は、特定したエントリの対価受取情報を参照し、対価の支払先を取得する。行動情報提供部306は、当該支払先に情報サーバ40から通知された対価を支払う。
【0149】
記憶部307は、管理サーバ20の動作に必要な情報を記憶する。利用者情報データベースは記憶部307に構築される。
【0150】
[認証端末]
認証端末30は、利用者から取得した生体情報を管理サーバ20に送信することで、管理サーバ20から利用者の個人情報を取得する。認証端末30は、当該取得した個人情報を用いて利用者にサービスを提供する。
【0151】
図20は、第1の実施形態に係る認証端末30の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図20を参照すると、認証端末30は、通信制御部401と、生体情報取得部402と、サービス提供部403と、メッセージ出力部404と、記憶部405と、を備える。
【0152】
通信制御部401は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部401は、管理サーバ20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部401は、管理サーバ20に向けてデータを送信する。通信制御部401は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部401は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部401を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0153】
生体情報取得部402は、カメラを制御し、利用者の生体情報(顔画像)を取得する手段である。生体情報取得部402は、定期的又は所定のタイミングにおいて自装置の前方を撮像する。生体情報取得部402は、取得した画像に人の顔画像が含まれるか否かを判定し、顔画像が含まれる場合には取得した画像データから顔画像を抽出する。
【0154】
なお、生体情報取得部402による顔画像の検出処理や顔画像の抽出処理には既存の技術を用いることができるので詳細な説明を省略する。例えば、生体情報取得部402は、CNN(Convolutional Neural Network)により学習された学習モデルを用いて、画像データの中から顔画像(顔領域)を抽出してもよい。あるいは、生体情報取得部402は、テンプレートマッチング等の手法を用いて顔画像を抽出してもよい。
【0155】
生体情報取得部402は、抽出した顔画像をサービス提供部403に引き渡す。
【0156】
サービス提供部403は、所定のサービスを利用者に提供する手段である。サービス提供部403は、生体情報取得部402から取得した顔画像を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は、当該顔画像に対応する個人情報(例えば、氏名等)を返信する。サービス提供部403は、当該返信された個人情報を用いて、利用者にサービスを提供する。サービス提供部403は、利用者に対してサービスの提供が終了すると、管理サーバ20に「サービス提供終了通知」を送信する。
【0157】
メッセージ出力部404は、利用者に対して種々のメッセージを出力する手段である。例えば、メッセージ出力部404は、利用者の認証結果に関するメッセージや、サービス提供に関するメッセージを出力する。メッセージ出力部404は、液晶モニタ等の表示デバイスを用いてメッセージを表示してもよいし、スピーカー等の音響機器を用いて音声メッセージを再生してもよい。
【0158】
記憶部405は、認証端末30の動作に必要な情報を記憶する。
【0159】
[情報サーバ]
図21は、第1の実施形態に係る情報サーバ40の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図21を参照すると、情報サーバ40は、通信制御部501と、行動情報処理部502と、記憶部503と、を備える。
【0160】
通信制御部501は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部501は、管理サーバ20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部501は、管理サーバ20に向けてデータを送信する。通信制御部501は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部501は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部501を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0161】
行動情報処理部502は、管理サーバ20から取得した行動情報を処理する手段である。行動情報処理部502は、取得した行動情報を記憶部503に記憶する。
【0162】
行動情報処理部502は、取得した行動情報に個人情報(例えば、氏名、年齢等)が含まれている場合には、当該行動情報の提供者(個人情報提供者)に支払う対価を決定する。例えば、行動情報処理部502は、図22に示すような得られた個人情報の種別と支払う対価(金額、ポイント等)を定めたテーブル情報を参照し、対価を決定する。行動情報処理部502は、提供された個人情報それぞれの種類に対応する対価の合計を計算し、個人情報提供者に支払う対価とする。なお、情報センターは、提供される情報の価値に応じて対価の多寡を定める。
【0163】
行動情報処理部502は、決定した対価を管理サーバ20に通知する。
【0164】
記憶部503は、情報サーバ40の動作の必要な情報を記憶する手段である。
【0165】
情報サーバ40は、蓄積された行動情報を解析し、事業者等に販売するための情報を生成する。しかし、当該機能は本願の趣旨とは異なるため、当該機能に関する説明は省略する。
【0166】
このように、情報サーバ40は、利用者(サービス提供を受けた認証成功者)から提供された個人情報の種類に応じて当該利用者に支払う対価を決定する。また、情報サーバ40は、利用者に支払う対価を管理サーバ20に通知する。管理サーバ20は、利用者の対価受取情報に基づき通知された対価を支払う。
【0167】
[端末]
図23は、第1の実施形態に係る端末50の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図23を参照すると、端末50は、通信制御部601と、個人情報制御部602と、記憶部603と、を備える。
【0168】
通信制御部601は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部601は、管理サーバ20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部601は、管理サーバ20に向けてデータを送信する。通信制御部601は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部601は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部601を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0169】
個人情報制御部602は、利用者の意思に応じてサービス提供者が保持する個人情報を情報サーバ40に提供するか否かを制御する手段である。
【0170】
個人情報制御部602は、管理サーバ20から情報提供照会を受信すると、管理サーバ20に記憶された個人情報を情報サーバ40に提供することを承諾するか否かに関する利用者の意思を取得する。具体的には、個人情報制御部602は、図7に示すようなGUIを表示し、個人情報提供に対する包括的(全体的)な利用者の意思を取得する。
【0171】
利用者に個人情報を提供する意思がなければ、個人情報制御部602は、その旨を管理サーバ20に通知する。具体的には、個人情報制御部602は、情報提供照会に対する否定応答を管理サーバ20に送信する。
【0172】
利用者に個人情報を提供する意思があれば、個人情報制御部602は、図8図9に示すようなGUIを表示し、情報センター(第三者)に対して提供を許可する個人情報の種類を取得する。個人情報制御部602は、図8図9に示す個人情報の種類に関し、管理サーバ20から取得する個人情報の項目一覧に基づいて決定する。図8図9では、利用者が第三者に提供可能な個人情報を選択するインターフェイスを図示しているが、各個人情報について提供許可、提供拒否(YES、NO)を設定するようなインターフェイスが用いられてもよい。
【0173】
サービス提供者(管理サーバ20)が異なれば、管理サーバ20が記憶している個人情報も異なる。従って、管理サーバ20から取得した個人情報の項目一覧を参照することで、個人情報制御部602が情報サーバ40に提供できない個人情報の選択を利用者に要求することもない。
【0174】
個人情報制御部602は、図8図9に示すGUIにより取得した個人情報の種類を管理サーバ20に送信する。具体的には、個人情報制御部602は、当該利用者により許可された個人情報の種類を含む肯定応答を管理サーバ20に送信する。
【0175】
記憶部603は、端末50の動作に必要な情報を記憶する。
【0176】
[システムの動作]
続いて、第1の実施形態に係る認証システムの動作について説明する。なお、動作の説明は、サービス登録フェーズ、サービス提供フェーズ及び情報収集フェーズについて行い、利用者登録フェーズに関する説明を省略する。
【0177】
図24は、第1の実施形態に係る認証システムのサービス登録フェーズに関する動作の一例を示すシーケンス図である。
【0178】
管理サーバ20は、利用者から個人情報(サービスを提供するために必要な情報)、ユーザID、パスワードを取得する(ステップS01)。
【0179】
管理サーバ20は、取得したユーザID及びパスワードとサービス提供者IDを含むサービス登録要求を認証サーバ10に送信する(ステップS02)。
【0180】
認証サーバ10は、取得したユーザID、パスワード及びサービス提供者IDを用いてサービスユーザIDを生成する(ステップS03)。
【0181】
認証サーバ10は、サービス提供者IDとサービスユーザIDを認証情報データベースに格納する(ステップS04)。
【0182】
認証サーバ10は、サービスユーザIDを含む応答(サービス登録要求に対する応答)を管理サーバ20に送信する(ステップS05)。
【0183】
管理サーバ20は、ステップS01にて取得した個人情報と、認証サーバ10から取得したサービスユーザIDを対応付けて、利用者情報データベースに格納する(ステップS06)。
【0184】
このように、管理サーバ20は、ユーザID、パスワード、サービス提供者IDを含む認証要求を認証サーバ10に送信することで、サービスユーザIDを取得する。管理サーバ20は、当該取得したサービスユーザIDと利用者の個人情報を対応付けて記憶する。
【0185】
図25は、第1の実施形態に係る認証システムのサービス提供フェーズに関する動作の一例を示すシーケンス図である。
【0186】
認証端末30は、利用者の顔画像(生体情報)を取得し、当該取得した顔画像を管理サーバ20に送信する(ステップS11)。
【0187】
管理サーバ20は、取得した顔画像から特徴量を生成する(ステップS12)。
【0188】
管理サーバ20は、当該生成された特徴量とサービス提供者IDを含む認証要求を認証サーバ10に送信する(ステップS13)。
【0189】
認証サーバ10は、認証要求に含まれる特徴量とサービス提供者IDを用いた認証処理を実行し、対応するサービスユーザIDを特定する(ステップS14)。
【0190】
認証サーバ10は、特定したサービスユーザIDを含む応答(認証要求に対する応答)を管理サーバ20に送信する(ステップS15)。
【0191】
管理サーバ20は、取得したサービスユーザIDを用いて利用者情報データベースを検索し、対応する個人情報を特定する(ステップS16)。
【0192】
管理サーバ20は、特定した個人情報を認証端末30に送信する(ステップS17)。
【0193】
認証端末30は、取得した個人情報を用いてサービスを提供する(ステップS18)。
【0194】
サービスの提供が終了すると、認証端末30は、サービス提供終了通知を管理サーバ20に送信する(ステップS19)。
【0195】
図26は、第1の実施形態に係る認証システムの情報収集フェーズに関する動作の一例を示すシーケンス図である。
【0196】
認証端末30からサービス提供終了通知を受信すると、管理サーバ20は、情報提供照会を端末50に送信する(ステップS21)。
【0197】
情報提供照会を受信すると、端末50は、個人情報を第三者(情報センター、情報サーバ40)に提供することについての利用者の意向を取得するためのGUIを生成する(個人情報提供の可否取得;ステップS22)。
【0198】
利用者が個人情報の提供に同意すれば、端末50は、第三者に提供可能な個人情報の種類を選択するためのGUIを生成する(提供する個人情報の選択;ステップS23)。
【0199】
端末50は、利用者が選択した個人情報の種類を含む応答(情報提供照会に対する応答)を生成し、管理サーバ20に送信する(ステップS24)。
【0200】
管理サーバ20は、提供が許可された個人情報と概略情報を含む行動情報を情報サーバ40に送信する(ステップS25)。
【0201】
情報サーバ40は、取得した行動情報を記憶する(ステップS26)と共に、個人情報提供者に支払う対価を決定する(ステップS27)。
【0202】
情報サーバ40は、決定した対価を管理サーバ20に通知する。(ステップS28)。
【0203】
管理サーバ20は、個人情報提供者の対価受取情報を参照し、管理サーバ20から通知された対価を利用者に支払う(ステップS29)。
【0204】
以上のように、第1の実施形態に係る認証システムでは、利用者にサービスの提供が行われると、当該サービスの提供により生じる情報(サービスの概略を示す概略情報)に加え、サービスの提供を受けた利用者の個人情報が情報センターに送信される。その際、利用者は、自身の個人情報のうち第三者に提供を許可する項目を選択できるので、意に沿わない個人情報の提供を拒否できる。即ち、利用者が自らの考えに基づいて、個人情報の提供又は拒否を制御することができる。
【0205】
また、個人情報を収集し活用する情報センターは、利用価値の高い個人情報(例えば、氏名、住所等)には高い対価を与えることで、そのような個人情報の収集を容易とする。即ち、大きな対価が得られるので、利用者は、利用価値の高い個人情報を第三者に提供することを承諾(納得)する。また、サービス提供者が異なれば、情報センターが収集可能な個人情報も異なり、情報センターはより多様なデータを収集することができる。例えば、情報センターは、小売業から利用者の支払金額と共に利用者の年齢を取得できたり、ホテル事業者から宿泊期間と利用者の年齢、性別等を取得できたりする。
【0206】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0207】
第2の実施形態では、認証端末30が、個人情報提供の可否を取得する場合について説明する。
【0208】
第2の実施形態に係る認証システムの構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図2に相当する説明を省略する。
【0209】
第2の実施形態では、第1の実施形態にて必要とした利用者の連絡先は不要である。第2の実施形態では、認証端末30が個人情報提供の可否を取得するためである。
【0210】
図27は、第2の実施形態に係る認証システムの動作を説明するための図である。
【0211】
認証端末30は、管理サーバ20から個人情報を取得すると、当該個人情報を利用してサービスを提供する。サービスの提供が終わると、認証端末30は、個人情報の提供可否を尋ねるGUIを表示する。具体的には、認証端末30は、図7に示すようなGUIを生成し、個人情報の提供可否を取得する。
【0212】
利用者が個人情報の提供に同意すると、認証端末30は、第三者に提供可能な個人情報を入力するためのGUI(例えば、図8図9に示すようなGUI)を生成する。認証端末30は、GUIを介して取得した提供可能な個人情報を管理サーバ20に送信する。
【0213】
管理サーバ20は、受信した個人情報に基づき行動情報(個人情報と概略情報を含む行動情報)を情報サーバ40に送信(提供)する。
【0214】
上記第2の実施形態に係る認証システムの動作を実現するためには、認証端末30に第1の実施形態に係る端末50の「個人情報制御機能」が含まれていればよい。即ち、図28に示すように、第2の実施形態に係る認証端末30は、個人情報制御部406を備えていればよい。
【0215】
以上のように、第2の実施形態に係る認証システムでは、認証端末30は、認証成功者に対してサービスの提供を終了すると、当該認証成功者が第三者に提供を許可する個人情報の種類を入力するためのGUIを生成する。管理サーバ20は、当該認証端末30を介して個人情報提供に関する利用者の意思を取得する。第2の実施形態によっても、利用者は、生体認証によるサービスに関する個人情報を適切に制御、管理できる。
【0216】
続いて、認証システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図29は、管理サーバ20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0217】
管理サーバ20は、情報処理装置(所謂、コンピュータ)により構成可能であり、図29に例示する構成を備える。例えば、管理サーバ20は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0218】
但し、図29に示す構成は、管理サーバ20のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。管理サーバ20は、図示しないハードウェアを含んでもよい。また、管理サーバ20に含まれるプロセッサ311等の数も図29の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311が管理サーバ20に含まれていてもよい。
【0219】
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
【0220】
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
【0221】
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0222】
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、無線通信回路やNIC(Network Interface Card)等を備える。
【0223】
管理サーバ20の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
【0224】
なお、認証サーバ10、認証端末30、情報サーバ40、端末50等も管理サーバ20と同様に情報処理装置により構成可能であり、その基本的なハードウェア構成は管理サーバ20と相違する点はないので説明を省略する。例えば、認証端末30は、利用者を撮像するためのカメラを備えていればよい。
【0225】
管理サーバ20は、コンピュータを搭載し、当該コンピュータにプログラムを実行させることで管理サーバ20の機能が実現できる。また、管理サーバ20は、当該プログラムにより個人情報提供方法を実行する。
【0226】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した認証システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。
【0227】
上記実施形態では、利用者がユーザID、パスワードを決定し、当該ユーザID、パスワードを用いてシステムに登録された利用者(システム利用者)を特定することを説明した。しかし、認証システムが、システム利用者を一意に特定するID(識別子)を決定してもよい。例えば、利用者登録フェーズにおいて、認証サーバ10は利用者の生体情報(顔画像、特徴量)を取得する。認証サーバ10は、当該生体情報に基づき上記IDを生成してもよい。例えば、認証サーバ10は、顔画像の特徴量からハッシュ値を計算し、当該計算されたハッシュ値を、ユーザID、パスワードの代わりとして用いてもよい。顔画像の特徴量は利用者ごとに異なり、当該特徴量から生成されたハッシュ値も利用者ごとに異なるため、システム利用者のIDとして用いることができる。
【0228】
上記実施形態では、利用者登録フェーズとサービス登録フェーズが異なるタイミングで実行されることを説明したが、これらのフェーズは実質的に同タイミングにて実行されてもよい。例えば、利用者がサービスの提供を希望するサービス提供者に設置された認証端末30が用いられ、上記2つの登録フェーズが実行されてもよい。具体的には、利用者は、認証端末30を用いて利用者登録を行い、その後、連続して、サービス登録を行ってもよい。この場合、認証端末30は、認証サーバ10の利用者登録機能(利用者登録部202)と管理サーバ20の個人情報取得機能(個人情報取得部302)を備えればよい。
【0229】
サービス提供者が有する複数の認証端末30は、同じ敷地や建物等に設置されていなくともよい。サービス提供者が共通すれば、各認証端末30は空間的に離れた場所に設置されていてもよい。
【0230】
上記実施形態では、1つのサービス提供者に1つのサービス提供者IDを割り当てることを説明したが、複数のサービス提供者に対して1つのサービス提供者IDが割り当てられてもよい。複数のサービス提供者をグループとしてまとめ、グループごとにサービス提供者IDが発行されてもよい。例えば、サービス提供者S1とS2が連携し、同じサービスを提供するような場合には、これらのサービス提供者S1、S2に対して共通のサービス提供者IDが発行されてもよい。
【0231】
上記実施形態では、管理サーバ20から認証サーバ10に「顔画像から生成された特徴量」に係る生体情報が送信される場合について説明した。しかし、管理サーバ20から認証サーバ10に「顔画像」に係る生体情報が送信されてもよい。この場合、認証サーバ10は、取得した顔画像から特徴量を生成し、認証処理(照合処理)を実行すればよい。
【0232】
上記実施形態では、認証端末30が顔画像を取得し、管理サーバ20が当該顔画像から特徴量を生成する場合について説明した。しかし、認証端末30が顔画像から特徴量を生成し、当該生成した特徴量を管理サーバ20に送信してもよい。即ち、管理サーバ20が特徴量の生成を行わなくてもよい。
【0233】
上記実施形態では、サービス登録フェーズにて、利用者が個人情報の登録の際、ユーザIDとパスワードをサービス提供者に入力する場合について説明した(図11参照)。しかし、当該ユーザIDとパスワードに替えて、利用者の生体情報(顔画像)がサービス提供者に入力されてもよい。この場合、管理サーバ20は、顔画像から生成された特徴量とサービス提供者IDを含むサービス登録要求を認証サーバ10に送信する。認証サーバ10は、当該要求に含まれる特徴量と認証情報データベースに登録された特徴量を用いた照合処理を実行し、対応する利用者を特定する。認証サーバ10は、利用者の特定(認証)に成功した場合に、サービスユーザIDを払い出す。このような対応により、利用者がユーザIDやパスワードを失念している場合でも、利用者は、容易にサービス登録を行える。あるいは、サービス提供者は、ユーザIDとパスワードに加え、利用者の生体情報(顔画像)を取得してもよい。この場合、認証サーバ10は、ユーザID、パスワード、生体情報が一致した場合に、サービスユーザIDを払い出してもよい(生体情報とパスワードを利用した二要素認証が実行されてもよい)。
【0234】
サービス提供者は、認証サーバ10から取得した情報や認証端末30から取得した情報をキャッシュ(一時的に保持)してもよい。例えば、管理サーバ20は、認証端末30から取得した生体情報と当該生体情報に基づく認証の結果(サービスユーザID)を所定の期間、キャッシュする。管理サーバ20は、認証端末30から生体情報を取得した際、最初にキャッシュされたデータを確認し、取得した生体情報にヒットするキャッシュデータが存在すれば、認証要求を認証サーバ10へ送信しない。管理サーバ20は、キャッシュデータに含まれるサービスユーザIDを用いて個人情報を特定する。あるいは、管理サーバ20は、生体情報と個人情報の組み合わせをキャッシュしてもよい。あるいは、サービスの種類に応じて、キャッシュされたデータを削除する条件を変更してもよい。例えば、ホテル事業者による宿泊サービスが提供される場合には、管理サーバ20は、宿泊客の滞在期間が終了したタイミングでキャッシュデータを削除してもよい。
【0235】
各装置(認証サーバ10、管理サーバ20、認証端末30)間のデータ送受信の形態は特に限定されないが、これら装置間で送受信されるデータは暗号化されていてもよい。これらの装置間では、生体情報が送受信され、当該生体情報を適切に保護するためには、暗号化されたデータが送受信されることが望ましい。
【0236】
上記実施形態では、サービス提供者ごとに個人情報提供の可否を利用者が決定することについて説明した。しかし、端末50は、認証システム全体について、個人情報提供の可否を入力するようなGUIを用意してもよい。
【0237】
上記実施形態で、サービス提供者からサービスの提供がなされた後に、個人情報提供の可否が判断されている。しかし、個人情報提供の可否は、サービス提供前に行われてもよい。即ち、認証サーバ10による認証が行われた後であれば、サービス提供前、サービス提供後いずれのタイミングで個人情報提供の可否が判断されてもよい。
【0238】
上記実施形態では、端末50が個人情報提供に関する可否を取得する場合について説明した。端末50は、当該用途とは異なる用途に用いられてもよい。例えば、利用者は、端末50を利用して認証サーバ10に登録された他の情報を更新してもよい。例えば、利用者は、端末50を用いて認証サーバ10にアクセスし、生体認証によりサービスの提供を受けるサービス提供者を選択してもよい。即ち、利用者は、認証サーバ10を介してサービス登録を行ってもよい。その際、サービス提供者の数が多ければ、利用頻度の低いサービス提供者や最近利用していないサービス提供者が優先して表示されてもよい。あるいは、利用者は、端末50を用いて、システムやサービスからの退会を申し込んでもよい。
【0239】
管理サーバ20は、情報サーバ40が提供された各個人情報に与える対価についての情報を予め取得し、当該取得した情報に基づいて利用者に還元される対価に関する情報を端末50や認証端末30に通知してもよい。例えば、管理サーバ20は、情報提供通知に含まれる個人情報の項目一覧と各項目が提供された場合に与えられる対価を端末50に通知してもよい。この場合、端末50は、図30に示すようなGUIを表示することができる。図30に示すように、端末50は、提供する個人情報の種類に応じて得られる対価(金銭、仮想通貨、オンラインショッピングで使用可能なポイント等)が異なることを明記してもよい。また、図30に示すように、端末50は、選択された個人情報を第三者に提供することで得られる対価の合計を表示してもよい。
【0240】
端末50や認証端末30は、第三者への提供が許可された個人情報それぞれについて提供データの提供期間を入力するようなGUIを表示してもよい(図31参照)。例えば、端末50や認証端末30は、図31に示すように、提供期間(例えば、1か月、1年、10年、無期限)を選択できるようなGUIを表示する。あるいは、端末50や認証端末30は、提供期間の開始と終了を入力するなGUIを表示してもよい(利用者は、20XX/YY/ZZ~20ZZ/YY/XXのような形式で提供期間を入力してもよい)。端末50や認証端末30は、提供が許可された個人情報と共に提供期間を管理サーバ20に通知する。管理サーバ20は、これらの情報を含む行動情報を情報サーバ40に送信する。情報サーバ40は、提供された個人情報の種類と、提供された個人情報の種類それぞれについてのデータの提供期間の長さに応じて対価を決定する。情報サーバ40は、指定された提供期間が過ぎた場合には記憶している個人情報を破棄する。
【0241】
上記実施形態では、個人情報の提供先として1つの情報センターを例示した。しかし、複数の情報センター(情報バンク)に個人情報が提供されてもよい。この場合、利用者は、複数の情報センターのうち個人情報の提供を許可する情報センターを選択してもよい。具体的には、管理サーバ20は、状況提供照会を送信する際、提携している情報センター(情報サーバ40)に関する情報も併せて端末50等に送信する。例えば、管理サーバ20は、情報センターの名称等を端末50等に送信する。端末50や認証端末30は、取得した情報を用いて図32に示すようなGUIを表示し、各情報センターについて個別に個人情報の提供可否を取得してもよい。即ち、端末50や認証端末30は、複数の情報センターそれぞれについて個人情報の提供を許可するか否かを入力するためのGUIを生成してもよい。
【0242】
また、端末50や認証端末30は、情報提供が許可された情報センターそれぞれについて提供する個人情報を選択するようなGUI(図8図9図30図31に示すようなGUI)を表示してもよい。端末50、認証端末30は、各情報センターから得られる対価も併せて表示してもよい(個人情報の提供先に応じて得られる対価が異なっていてもよい)。
【0243】
図8図9等のGUIにおいて、端末50や認証端末30は個人情報の種類を表示するのではなく、利用者(認証成功者)の個人情報をそのまま表示してもよい(図33参照)。
【0244】
上記実施形態では、利用者の身元確認について言及していないが、認証システムのいずれかで利用者の身元確認が行われてもよい。例えば、利用者登録をする際、認証サーバ10が利用者の身元確認を行ってもよい。この場合、認証サーバ10の利用者登録部202は、利用者の身元確認書類(例えば、パスポート等)を端末50から取得し、利用者の顔画像と身元確認書類に記載された顔画像を用いた1対1照合を実行してもよい。認証サーバ10は、当該照合に成功した利用者に関して、利用者登録を行ってもよい。あるいは、サービス登録の際に同様の身元確認が行われてもよい。認証システムのいずれかにおいて利用者の身元確認が行われることで、情報センターに提供される個人情報の信頼性が担保される。
【0245】
上記実施形態では、管理サーバ20が端末50に対して情報提供照会を送信することで、利用者に生体認証が実行された事実を通知している。しかし、認証サーバ10が当該事実を端末50に通知してもよい。この場合、端末50は、認証サーバ10からの通知を契機として情報提供可否に関するGUI等を表示してもよい。
【0246】
上記説明で用いた流れ図(フローチャート、シーケンス図)では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0247】
上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。
【0248】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、小売店やホテル業者等の顧客を認証する認証システムなどに好適に適用可能である。
【0249】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶すると共に、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、管理サーバと、
を含む、認証システム。
[付記2]
前記認証成功者が所持する端末をさらに含み、
前記管理サーバは、前記認証成功者に対してサービスの提供が終了すると、前記端末に対して、個人情報の提供可否に関する照会であって、自装置に記憶された個人情報のリストを含む照会を送信し、
前記端末は、前記個人情報のリストを用いて、前記認証成功者が前記第三者に提供を許可する個人情報の種類を入力するためのGUIを生成する、付記1に記載の認証システム。
[付記3]
前記管理サーバは、前記端末から前記個人情報の提供可否に関する照会に対する肯定応答を受信すると、前記行動情報を前記情報サーバに送信する、付記2に記載の認証システム。
[付記4]
前記管理サーバは、前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報と、前記認証成功者に対して提供されたサービスの概略に関する概略情報と、を含む前記行動情報を前記情報サーバに送信する、付記1乃至3のいずれか一に記載の認証システム
[付記5]
前記情報サーバは、前記認証成功者から提供された個人情報の種類に応じて前記認証成功者に支払う対価を決定する、付記1乃至4のいずれか一に記載の認証システム。
[付記6]
前記管理サーバは、前記対価を受け取るための対価受取情報を記憶し、
前記情報サーバは、前記認証成功者に支払う対価を前記管理サーバに通知し、
前記管理サーバは、前記認証成功者の前記対価受取情報に基づき前記通知された対価を支払う、付記5に記載の認証システム。
[付記7]
前記端末は、前記第三者に個人情報を提供することで得られる対価が表示されたGUIを生成する、付記2又は3に記載の認証システム。
[付記8]
前記端末は、前記第三者への提供が許可された個人情報の種類それぞれについて提供データの提供期間を入力するためのGUIを生成する、付記2、3又は7のいずれか一に記載の認証システム。
[付記9]
前記情報サーバは、前記提供された個人情報の種類と、前記提供された個人情報の種類それぞれについてのデータの提供期間の長さと、に応じて前記認証成功者に支払う対価を決定する、付記5に記載の認証システム。
[付記10]
前記端末は、複数の前記第三者それぞれについて個人情報の提供を許可するか否かを入力するためのGUIを生成する、付記2、3、7、8いずれか一に記載の認証システム。
[付記11]
前記管理サーバと接続され、被認証者の生体情報を取得し、前記認証成功者にサービスを提供する認証端末をさらに含み、
前記認証端末は、前記認証成功者に対してサービスの提供を終了すると、前記認証成功者が前記第三者に提供を許可する個人情報の種類を入力するためのGUIを生成する、付記1に記載の認証システム。
[付記12]
前記生体情報は、顔画像又は前記顔画像から生成された特徴量である、付記1乃至11のいずれか一に記載の認証システム。
[付記13]
生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する管理サーバと接続され、
前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可する個人情報を入力するためのGUIを生成する、端末。
[付記14]
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続され、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶すると共に、前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、管理サーバ。
[付記15]
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続された管理サーバにおいて、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶し、
前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する、個人情報提供方法。
[付記16]
情報サーバと、
複数の利用者それぞれの生体情報を記憶し、前記記憶された生体情報を用いて生体認証を行う、認証サーバと、に接続された管理サーバに搭載されたコンピュータに、
前記生体認証による認証成功者にサービスを提供するための個人情報を記憶する処理と、
前記サービスが提供された認証成功者の個人情報のうち前記認証成功者が第三者への提供を許可した個人情報を含む行動情報を前記情報サーバに送信する処理と、
を実行させるためのプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【0250】
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0251】
10、102 認証サーバ
20、20-1、20-2、103 管理サーバ
30、30-1、30-2、31-1、31-2 認証端末
40、101 情報サーバ
50 端末
201、301、401、501、601 通信制御部
202 利用者登録部
203、304 データベース(DB;Data Base)管理部
204 サービス登録部
205 認証部
206、307、405、503、603 記憶部
302 個人情報取得部
303 サービス登録要求部
305 認証要求部
306 行動情報提供部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス
402 生体情報取得部
403 サービス提供部
404 メッセージ出力部
406、602 個人情報制御部
502 行動情報処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33