(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】管理装置、システム、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/48 20060101AFI20241224BHJP
G06F 9/50 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
G06F9/48 300Z
G06F9/50 150D
(21)【出願番号】P 2022565115
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2021038769
(87)【国際公開番号】W WO2022113578
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2020196779
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大村 竜義
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199807(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/002976(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0213509(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/48
G06F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送する転送手段と、
前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する指示手段と
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記指示手段は、前記実行装置の負荷状況に基づいて、前記データの転送先の前記実行装置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の管理装置と、
前記実行装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
前記実行装置は、
前記データの書き込み先のインタフェースの種別を示す通知手段情報を受信し、前記通知手段情報が示す種別のインタフェースに、受信した前記データを書き込む受信手段と、
前記アプリケーションの実行指示を受信した場合に、前記インタフェースに書き込まれた前記データを用いて、前記アプリケーションに前記ジョブを実行させる実行手段と
を備えることを特徴とする請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記インタフェースの種別は、ファイル、名前付きパイプおよび共有メモリのいずれかである
ことを特徴とする請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
コンピュータが、
所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送し、
前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する
ことを特徴とする管理方法。
【請求項7】
前記コンピュータが、
前記実行装置の負荷状況に基づいて、前記データの転送先の前記実行装置を決定する
ことを特徴とする請求項
6に記載の管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送する転送機能と、
前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する指示機能と
を実行させることを特徴とする管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、システム、管理方法および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
HPC(High Performance Computing)は、主に、非常に大きなサイズのデータを入出力とするシミュレーションに利用されている(特許文献1)。HPCにおけるファイルシステムは、多クライアントによる多量データファイルの読み書きが得意である。
【0003】
一方、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)向けのシステムでは、データ量がごく小さいデータ(マイクロデータという)が扱われている。マイクロデータを扱うファイルシステムでは、頻繁にファイルが作成されるため、ファイルの読み書き性能よりもファイルの作成性能が重要である。マイクロデータを扱うシステムでは、主に、データストリーム管理システムが用いられている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2010-539594号公報
【文献】特表2019-537092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データストリーム管理システムは専用システムであるため、様々なアプリケーションの実行基盤と併用することが難しい。
【0006】
また、HPCシステムは、様々なアプリケーションの実行基盤と併用することができるが、ファイルの作成性能が重要なマイクロデータの扱いが苦手である。
【0007】
また、一般的なジョブスケジューラは、実行時間が短時間である、IoTやAI向けの多量のジョブを、一つずつ管理している。そのため、ジョブの管理コストやスケジューリングコストが膨大になり、スループットが低下する。
【0008】
本発明の目的は、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することを可能にする、管理装置、システム、管理方法および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、管理装置は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送する転送手段と、前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する指示手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様において、管理方法は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送し、前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された管理プログラムは、コンピュータに、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送する転送機能と、前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する指示機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一の実施形態の管理装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態の管理装置の動作例を示す図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態の管理装置を含むシステムの構成例を含む図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態の管理装置の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第二の実施形態の実行装置の構成例を示す図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態の管理装置および実行装置の動作例を示す図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態の管理装置の動作例を示す図である。
【
図8】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。
【0015】
図1に本実施形態の管理装置10の構成例を示す。本実施形態の管理装置10は、転送部11と指示部12とを含む。
【0016】
転送部11は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送する。また、指示部12は、データの転送が完了した場合に、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。
【0017】
このように管理装置10を構成することによって、管理装置10は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送し、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。これにより、管理装置10は、データを受信する都度アプリケーションを実行させる場合に比べて、実行装置へのデータ転送の回数を減らすことができる。その結果、データの転送時間やファイルシステムへの負荷を低減することができる。また、アプリケーションの実行回数を減らすことができるので、ジョブスケジューラの負荷を低減することができる。そのため、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【0018】
次に、
図2に本実施形態の管理装置10の動作の例を示す。
【0019】
転送部11は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送する(ステップS101)。また、指示部12は、データの転送が完了した場合に、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する(ステップS102)。
【0020】
管理装置10は、このように動作することによって、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送し、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。これにより、管理装置10は、データを受信する都度アプリケーションを実行させる場合に比べて、実行装置へのデータ転送の回数を減らすことができる。その結果、データの転送時間やファイルシステムへの負荷を低減することができる。また、アプリケーションの実行回数を減らすことができるので、ジョブスケジューラの負荷を低減することができる。そのため、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【0021】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、管理装置10は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送し、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。そのため、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【0022】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
【0023】
まず、
図3に、本実施形態の管理装置20を含むシステムの構成例を示す。
【0024】
管理装置20は、実行装置40-iにおけるアプリケーションの実行を管理する装置である。実行装置40-i(iは1以上m以下の整数)は、アプリケーションを実行する装置である。管理装置20と実行装置40-iは、互いに接続される。
【0025】
管理装置20には、利用者端末60が接続される。利用者端末60は、アプリケーションにジョブを実行させるためにジョブ投入者が利用する端末である。
【0026】
次に、
図4に、本実施形態の管理装置20の構成例を示す。本実施形態の管理装置20は、フォワーダ21、コンダクタ22およびスケジューラ23を含む。フォワーダ21は、第一の実施形態の管理装置10(
図1)の転送部11に相当する。また、コンダクタ22は、第一の実施形態の管理装置10の指示部12に相当する。
【0027】
スケジューラ23は、アプリケーションに実行させるジョブをスケジューリングする。スケジューラ23は、利用者端末60から、アプリケーションに実行させるジョブに関する情報を示すジョブ情報を受信する。ジョブ情報は、実行アプリケーション情報、最大展開ノード数、発火条件情報、必要リソース情報および通知手段情報を含む。
【0028】
実行アプリケーション情報は、ジョブを実行させるアプリケーションを示す情報である。また、最大展開ノード数は、当該ジョブを実行させる実行装置の最大値である。また、発火条件情報は、アプリケーションにジョブを実行させる条件に関する情報である。本実施形態では、発火条件情報は、管理装置20が利用者端末60から受信したデータの量に関する条件を示す。管理装置20は、利用者端末60から受信したデータの量が、発火条件情報が示すデータ量以上になった場合に、アプリケーションにジョブを実行させる。
【0029】
必要リソース情報は、アプリケーションが当該ジョブを実行するにあたり必要なリソースの量を示す情報である。通知手段情報は、実行装置40-iの受信部41-iが実行部42-iに対してアプリケーションの実行開始を通知する際の、通知手段の種別(たとえば、ファイル、名前付きパイプ、共有メモリなど)を示す情報である。実行部42-iは、通知手段情報が示す通知手段を監視し、アプリケーションの実行開始が通知手段を介して通知された場合に、アプリケーションを実行する。通知手段は、実行装置40-iが管理装置20から受信したデータを書き込む書き込み先のインタフェースでもある。
【0030】
スケジューラ23は、ジョブ情報を受信すると、受付番号(ジョブID(Identification))、認証トークン、およびフォワーダ21のポート番号を決定し、決定されたこれらの情報を利用者端末60へ送信する。また、スケジューラ23は、決定されたこれらの情報と、ジョブ情報とを対応付けて、記憶部(図示せず)に記憶させる。また、スケジューラ23は、最大展開ノード数によって示される数の実行装置を選択する。ここで選択された実行装置を、以下、実行装置候補と呼ぶ。そしてスケジューラ23は、選択された実行装置40-iに対してアプリケーションを起動させ、また、アプリケーションを一時停止状態にさせる。
【0031】
認証トークンは、利用者端末60が管理装置20のフォワーダ21にアクセスする際の認証情報として使用される。
【0032】
フォワーダ21は、マイクロデータを受信する。マイクロデータは、極小サイズのデータを含む。マイクロデータは、スケジューラ23から利用者端末60に送信されたポート番号のポートへ、利用者の操作に応じて、利用者端末60から送信される。なお、マイクロデータには、ジョブIDが付与されている。
【0033】
また、フォワーダ21は、利用者端末60から受信したマイクロデータのデータ量が指定値以上となった場合に、その旨をコンダクタ22へ通知する。なお、本実施形態の場合、指定値は、発火条件情報が示す値である。発火条件情報は、ジョブIDと対応付けられて記憶部に記憶されている。また、受信データ量はジョブIDごとに管理される。
【0034】
コンダクタ22は、受信したマイクロデータのデータ量が指定値以上となった旨の通知を受信すると、各々の実行装置40-iの負荷状況の情報をスケジューラ23から取得する。また、コンダクタ22は、負荷状況の情報に基づいて、マイクロデータの転送先の実行装置40-iを決定する。コンダクタ22は、負荷の小さい実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する。なお、コンダクタ22は、実行装置候補の中から、マイクロデータの転送先の実行装置40-iを選択する。
【0035】
コンダクタ22は、たとえば、以下のような方法で、マイクロデータの転送先の実行装置40-iを決定する。
【0036】
まず、コンダクタ22は、ジョブが実行されていない実行装置40-iがあるか確認する。ジョブが実行されていない実行装置40-iがあれば、コンダクタ22は、当該実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する。ジョブが実行されていない実行装置40-iがない場合、コンダクタ22は、必要リソース情報が示すリソース量の空きリソースがある実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する。必要リソース情報が示すリソース量の空きリソースがある実行装置40-iがなければ、コンダクタ22は、実行装置候補のうち、実行されているジョブの優先度が最も低い実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する。
【0037】
そして、フォワーダ21は、コンダクタ22によって決定された転送先の実行装置40-iへ、マイクロデータを送信する。
【0038】
また、フォワーダ21は、実行装置40-iから、マイクロデータの受信完了が通知された場合、コンダクタ22へ、データの転送完了を通知する。
【0039】
コンダクタ22は、データの転送完了が通知された場合、実行装置40-iの受信部41-iに、アプリケーションの実行準備ができたことを通知する。
【0040】
次に、
図5を用いて、本実施形態の実行装置40-iについて説明する。実行装置40-iは、受信部41-iと実行部42-iとを含む。
【0041】
受信部41-iは、管理装置20のフォワーダ21が送信したマイクロデータを受信する。また、受信部41-iは、通知手段情報を受信する。なお、受信部41-iは、通知手段情報を受信するのではなく、ジョブ情報が記憶された記憶部を参照することによって通知手段情報を入手してもよい。
【0042】
受信部41-iは、マイクロデータを受信すると、受信したマイクロデータを、通知手段情報が示す通知手段に書き込み、マイクロデータの受信完了を管理装置20のフォワーダ21へ通知する。
【0043】
また、受信部41-iは、アプリケーションの実行準備ができたことが管理装置20から通知された場合、アプリケーションの一時停止を解除する。そして、受信部41-iは、通知手段を介して、アプリケーションの実行開始を実行部42-iへ通知する。
【0044】
実行部42-iは、アプリケーションを実行する。また、実行部42-iは、アプリケーションの実行が終了すると、アプリケーションの終了を受信部41-iへ通知する。
【0045】
受信部41-iは、アプリケーションの終了が通知された場合、アプリケーションを一時停止状態にする。
【0046】
このように管理装置20を構成することによって、管理装置20は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送し、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。これにより、管理装置20は、データを受信する都度アプリケーションを実行させる場合に比べて、実行装置へのデータ転送の回数を減らすことができる。その結果、データの転送時間やファイルシステムへの負荷を低減することができる。また、アプリケーションの実行回数を減らすことができるので、ジョブスケジューラの負荷を低減することができる。そのため、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【0047】
次に、
図6を用いて、本実施形態の管理装置20および実行装置40-iの動作例について説明する。
【0048】
管理装置20のスケジューラ23は、利用者端末60からジョブ情報を受信する(ステップS301)。ジョブ情報は、実行アプリケーション情報、最大展開ノード数、発火条件情報、必要リソース情報および通知手段情報を含む。
【0049】
スケジューラ23は、ジョブ情報を受信すると、当該ジョブに関し、フォワーダ21、コンダクタ22、受信部41-iを起動する(ステップS302)。また、スケジューラ23は、受付番号(ジョブID)、認証トークン、およびフォワーダ21のポート番号を決定し、決定されたこれらの情報を利用者端末60へ送信する(ステップS303)。また、スケジューラ23は、決定されたこれらの情報と、ジョブ情報とを対応付けて記憶部に記憶させる。また、スケジューラ23は、最大展開ノード数によって示される数の実行装置を選択する。そしてスケジューラ23は、選択された実行装置40-iに対してアプリケーションを起動させ、また、アプリケーションを一時停止状態にさせる。
【0050】
フォワーダ21は、マイクロデータを受信する(ステップS304)。マイクロデータは、極小サイズのデータファイルを含む。マイクロデータは、スケジューラ23から利用者端末60に送信されたポート番号のポートへ、利用者の操作に応じて、利用者端末60から送信される。なお、マイクロデータには、ジョブIDが付与されている。
【0051】
また、フォワーダ21は、利用者端末60から受信したマイクロデータのデータ量が指定値以上となった場合に、その旨をコンダクタ22へ通知する(ステップS305)。なお、本実施形態の場合、指定値は、発火条件情報が示す値である。
【0052】
コンダクタ22は、受信したマイクロデータのデータ量が指定値以上となった旨の通知を受信すると、各々の実行装置40-iの負荷状況の情報をスケジューラ23から取得する。また、コンダクタ22は、負荷状況の情報に基づいて、マイクロデータの転送先の実行装置40-iを決定する。コンダクタ22は、負荷の小さい実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する。そして、コンダクタ22は、転送先の情報をフォワーダ21へ送信する(ステップS306)。
【0053】
コンダクタ22は、たとえば、
図7に示す方法で、マイクロデータの転送先の実行装置40-iを決定する。
【0054】
まず、コンダクタ22は、ジョブが実行されていない実行装置40-iがあるか確認する(ステップS401)。ジョブが実行されていない実行装置40-iがあれば(ステップS401でYES)、コンダクタ22は、当該実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する(ステップS402)。ジョブが実行されていない実行装置40-iがない場合(ステップS401でNO)、コンダクタ22は、実行装置40-iの空きリソースを確認する。そして、コンダクタ22は、必要リソース情報が示すリソース量の空きリソースがある実行装置40-iを(ステップS403でYES)、マイクロデータの転送先として決定する(ステップS404)。必要リソース情報が示すリソース量の空きリソースがある実行装置40-iがなければ(ステップS403でNO)、コンダクタ22は、実行装置候補が実行しているジョブの優先度を確認する。そして、コンダクタ22は、実行装置候補のうち、実行されているジョブの優先度が最も低い実行装置40-iを、マイクロデータの転送先として決定する(ステップS405)。
【0055】
そして、フォワーダ21は、コンダクタ22によって決定された転送先の実行装置40-iへ、マイクロデータを送信する(
図6のステップS307)。
【0056】
実行装置40-iの受信部41-iは、マイクロデータを受信すると、受信したマイクロデータを、通知手段情報が示す通知手段に書き込み、マイクロデータの受信完了を管理装置20のフォワーダ21へ通知する(ステップS308)。
【0057】
また、フォワーダ21は、実行装置40-iから、マイクロデータの受信完了が通知された場合、コンダクタ22へ、データの転送完了を通知する(ステップS309)。
【0058】
コンダクタ22は、データの転送完了が通知された場合、実行装置40-iの受信部41-iに、アプリケーションの実行準備ができたことを通知する(ステップS310)。
【0059】
また、受信部41-iは、アプリケーションの実行準備ができたことが管理装置20から通知された場合、アプリケーションの一時停止を解除する。そして、受信部41-iは、通知手段を介して、アプリケーションの実行開始を実行部42-iへ通知する(ステップS311)。
【0060】
実行部42-iは、アプリケーションを実行する。また、実行部42-iは、アプリケーションの実行が終了すると、アプリケーションの終了を受信部41-iへ通知する。
【0061】
受信部41-iは、アプリケーションの終了が通知された場合、アプリケーションを一時停止状態にする。
【0062】
管理装置20は、このように動作することによって、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送し、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。これにより、管理装置20は、データを受信する都度アプリケーションを実行させる場合に比べて、実行装置へのデータ転送の回数を減らすことができる。その結果、データの転送時間やファイルシステムへの負荷を低減することができる。また、アプリケーションの実行回数を減らすことができるので、ジョブスケジューラの負荷を低減することができる。そのため、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【0063】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、管理装置20は、所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へデータを転送し、アプリケーションによるジョブの実行を実行装置に指示する。そのため、マイクロデータを用いたジョブを実行する際の負荷低減とスループットの向上をより汎用性が高い方法で実現することが可能になる。
【0064】
また、本実施形態の実行装置40-iは、管理装置20から受信したデータを、通知手段情報が示す通知手段に書き込む。これにより、ユーザが希望する通知手段でデータの受け渡しを行うことが可能になる。また、ファイル以外の手段を通知手段とした場合、ファイルシステムへの負荷をより低減することが可能になる。
【0065】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における管理装置(10、20)および実行装置40-i(以下、管理装置等とよぶ)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、管理装置等は、物理的または機能的に少なくとも二つ以上の複数の情報処理装置が用いられて実現されてもよい。また、管理装置等は、専用の装置として実現されてもよいし、汎用の装置が用いられてもよい。また、管理装置等の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0066】
図8は、本発明の各実施形態の管理装置等を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0067】
たとえば、
図1の転送部11および指示部12は、通信インタフェース91と演算装置93とで実現することが可能である。
【0068】
通信インタフェース91は、各実施形態の管理装置等が、有線および無線のうち少なくとも一方で外部装置と通信するための通信手段である。なお、管理装置等を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0069】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0070】
演算装置93は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0071】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0072】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0073】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に記録されているデータの読み込みやデータの書き込みを処理する装置である。
【0074】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0075】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図8に例示した情報処理装置90により管理装置等を構成し、この管理装置等に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0076】
この場合、管理装置等に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、管理装置等のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0077】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、管理装置等の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して管理装置等内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0078】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0079】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0080】
(付記1)
所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送する転送手段と、
前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する指示手段と
を備えることを特徴とする管理装置。
【0081】
(付記2)
前記指示手段は、前記実行装置の負荷状況に基づいて、前記データの転送先の前記実行装置を決定する
ことを特徴とする付記1に記載の管理装置。
【0082】
(付記3)
前記データは、極小サイズのマイクロデータを含む
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の管理装置。
【0083】
(付記4)
付記1から付記3のいずれかに記載の管理装置と、
前記実行装置と
を備えることを特徴とするシステム。
【0084】
(付記5)
前記実行装置は、
前記データの書き込み先のインタフェースの種別を示す通知手段情報を受信し、前記通知手段情報が示す種別のインタフェースに、受信した前記データを書き込む受信手段と、
前記アプリケーションの実行指示を受信した場合に、前記インタフェースに書き込まれた前記データを用いて、前記アプリケーションに前記ジョブを実行させる実行手段と
を備えることを特徴とする付記4に記載のシステム。
【0085】
(付記6)
前記インタフェースの種別は、ファイル、名前付きパイプおよび共有メモリのいずれかである
ことを特徴とする付記5に記載のシステム。
【0086】
(付記7)
所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送し、
前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する
ことを特徴とする管理方法。
【0087】
(付記8)
前記実行装置の負荷状況に基づいて、前記データの転送先の前記実行装置を決定する
ことを特徴とする付記7に記載の管理方法。
【0088】
(付記9)
前記データは、極小サイズのマイクロデータを含む
ことを特徴とする付記7または付記8に記載の管理方法。
【0089】
(付記10)
前記実行装置は、
前記データの書き込み先のインタフェースの種別を示す通知手段情報を受信し、前記通知手段情報が示す種別のインタフェースに、受信した前記データを書き込み、
前記アプリケーションの実行指示を受信した場合に、前記インタフェースに書き込まれた前記データを用いて、前記アプリケーションに前記ジョブを実行させる
をことを特徴とする付記9に記載の管理方法。
【0090】
(付記11)
前記インタフェースの種別は、ファイル、名前付きパイプおよび共有メモリのいずれかである
ことを特徴とする付記10に記載の管理方法。
【0091】
(付記12)
コンピュータに、
所定のジョブに関するデータの受信データ量が指定値以上となった場合に、アプリケーションを実行する実行装置へ前記データを転送する転送機能と、
前記データの転送が完了した場合に、前記アプリケーションによる前記ジョブの実行を前記実行装置に指示する指示機能と
を実行させることを特徴とする管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0092】
(付記13)
前記指示機能は、前記実行装置の負荷状況に基づいて、前記データの転送先の前記実行装置を決定する
ことを特徴とする付記12に記載の管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0093】
(付記14)
前記データは、極小サイズのマイクロデータを含む
ことを特徴とする付記12または付記13に記載の管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0094】
(付記15)
前記実行装置は、
前記データの書き込み先のインタフェースの種別を示す通知手段情報を受信し、前記通知手段情報が示す種別のインタフェースに、受信した前記データを書き込み、
前記アプリケーションの実行指示を受信した場合に、前記インタフェースに書き込まれた前記データを用いて、前記アプリケーションに前記ジョブを実行させる
をことを特徴とする付記14に記載の管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0095】
(付記16)
前記インタフェースの種別は、ファイル、名前付きパイプおよび共有メモリのいずれかである
ことを特徴とする付記15に記載の管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0096】
この出願は、2020年11月27日に出願された日本出願特願2020-196779を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0097】
10、20 管理装置
11 転送部
12 指示部
21 フォワーダ
22 コンダクタ
23 スケジューラ
40-i 実行装置
41-i 受信部
42-i 実行部
60 利用者端末
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体