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特許7609251測位タイミング選定装置、無線通信システム、測位タイミング選定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】測位タイミング選定装置、無線通信システム、測位タイミング選定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/02 20180101AFI20241224BHJP
   H04W 4/33 20180101ALI20241224BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20241224BHJP
【FI】
H04W4/02
H04W4/33
H04W64/00 110
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023506818
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2022002590
(87)【国際公開番号】W WO2022196110
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2021042605
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】日高 健夫
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-112816(JP,A)
【文献】特開2008-236516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段と、
前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段と、
測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段と、
前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段と、
を備える測位タイミング選定装置。
【請求項2】
前記測位タイミング選定手段は、
一定の時間長の時間間隔と、連続する複数の前記時間間隔からなる一定の時間長である測定周期とを任意に定め、前記所定条件を前記測定周期の各々において測定を行う前記測定装置の最大数とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が最大数となる前記時間間隔の時間を前記測定周期の各々において選択し、選択した時間の各々を前記チャネルの各々に対する前記測定周期ごとの前記測位時間として選定する、
請求項1に記載の測位タイミング選定装置。
【請求項3】
前記測位タイミング選定手段は、
前記測定周期において前記測定時間が存在するが前記測位時間に含まれなかった前記測定装置が存在する場合、同一の測定周期内で前記測位時間に含まれなかった前記測定装置が測定を行う前記時間間隔が示す時間を更に前記測位時間として選定する、
請求項2に記載の測位タイミング選定装置。
【請求項4】
前記測位タイミング選定手段は、
前記測位時間を選定する際、前記測位時間の候補となる前記時間間隔が複数存在する場合、最先の前記時間間隔が示す時間を前記測位時間として選定する、
請求項2または請求項3に記載の測位タイミング選定装置。
【請求項5】
前記測位タイミング選定手段は、
一定の時間長である測定周期を任意に定め、前記所定条件を前記測定周期の各々において測定を行う前記測定装置の最大数とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が最大数となる時間を前記測定周期の各々において選択し、選択した時間の各々において予め定められる時間長の部分を任意に選択し、選択した部分の各々を前記チャネルの各々に対する前記測定周期ごとの前記測位時間として選定する、
請求項1に記載の測位タイミング選定装置。
【請求項6】
前記測位タイミング選定手段は、
一定の時間長の時間間隔を任意に定め、前記所定条件を測位の精度に応じて定められる前記無線端末装置の測位に必要となる前記電波強度の数以上とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が、測位の精度に応じて定められる前記無線端末装置の測位に必要となる前記電波強度の数以上となる前記時間間隔の時間を選択し、選択した時間の各々を前記チャネルの各々に対する測定周期ごとの前記測位時間として選定する、
請求項1に記載の測位タイミング選定装置。
【請求項7】
前記測位タイミング選定手段は、
選定した前記測位時間が連続している場合、連続している前記測位時間における前記測定装置の組み合わせが同一である場合、最先の前記測位時間のみを前記測位時間とする、
請求項6に記載の測位タイミング選定装置。
【請求項8】
無線端末装置と、
前記無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置と、
測位タイミング選定装置と、を備え、
前記測位タイミング選定装置は、
複数の前記測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段と、
前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段と、
測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段と、
前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段と、
を備える無線通信システム。
【請求項9】
無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得し、
取得した前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、
選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定し、
測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得し、
取得した前記チャネル識別情報のチャネルに対して選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する、
ことを含む測位タイミング選定方法。
【請求項10】
コンピュータを、
無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段、
前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段、
測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段、
前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置をと宛先する応答要求信号を送信する測位開始指示手段、
として機能させるためのプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位タイミング選定装置、無線通信システム、測位タイミング選定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが所有するスマートフォンなどの無線端末装置の電波強度から無線端末装置の位置を測位するサービスがある。電波強度を測定するには無線端末装置に無線電波を空中に対して放射させる必要がある。無線電波を放射させる方式として以下の2つの方式が存在する。一方の方式は、無線端末装置側が契機となる方式である。この方式では、例えば、無線端末装置に測位用のアプリケーションプログラムをインストールしておき、そのアプリケーションプログラムが動作することにより、無線端末装置が測位用の無線電波を放射する。他方の方式は、ネットワーク側が契機となる方式である。この方式では、通信ネットワークを経由して無線端末装置に接続する外部の端末装置が、測位を行うタイミングで無線端末装置に対して応答要求パケットを送信する。無線端末装置は、応答要求パケットを受信すると、応答パケットを送信し、応答パケットを送信する際に無線電波を放射する。この無線電波が測位用の無線電波となる。
【0003】
これらの方式の共通の課題として、無線端末装置が測位用の無線電波を過剰に放射すると、無線端末装置のバッテリの消耗が大きくなり、その一方で、無線電波の放射の間隔を間引くと、測位の更新頻度と精度が低下してしまうという課題がある。このような課題に鑑みて、例えば、特許文献1,2に開示されるような無線端末装置のバッテリの消耗を軽減する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2006-245930号公報
【文献】日本国特開2007-053483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、位置検索機能を付加した通信端末において、低電力とすることでより長時間の位置検索動作を簡便な操作で行うことができ、また、ユーザの利便性を向上させることを目的としてなされた発明である。特許文献1に記載の発明では、電源供給をオフした後に、位置情報取得手段により取得された位置情報を通信手段によりネットワークを介して他の端末もしくは監視装置へ送信することにより、低電力化を図っている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、電源キーにより電源オフ操作されることを契機として測位を行うことにより低電力化を図る。このため、無線端末装置に対して、例えば、アプリケーションプログラムをインストールして、電源キーにより電源オフ操作されることを契機として測位を行うという新たな機能を追加しないといけないという課題がある。
【0007】
特許文献2に記載の発明は、省電力モードに設定された無線端末装置の位置情報入手方法を提供することを目的としてなされた発明である。特許文献2に記載の発明は、特許文献1のように無線端末装置側を測位の契機とせず、ネットワーク側を測位の契機とする発明である。特許文献2に記載の発明では、アクセスポイント(以下、AP(Access Point)ともいう)が、省電力モードに遷移した無線端末装置宛の蓄積データの有無に関わらず、蓄積データが有る旨の蓄積データ情報を含むビーコンフレームを送信する。省電力モードに遷移してドーズ状態となった無線端末装置は、ビーコンフレームの受信前にアウェイク状態に遷移し、受信したビーコンフレームを参照する。無線端末装置が参照するビーコンフレームには、蓄積データの有無に関わらず蓄積データが有る旨の蓄積データ情報が含まれている。このため、無線端末装置は、蓄積データが有ると判断し、蓄積データ要求フレームをAPに送信する。その際に、無線端末装置は、無線電波を放射するので、その無線電波に基づいて測位を行うことができる。蓄積データが実際には存在しない場合、APは、ダミーデータを無線端末装置に送信し、ダミーデータを受信した無線端末装置は、再び省電力モードに遷移する。これにより、無線端末装置の測位を行いつつ、無線端末装置の省電力化を図っている。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の発明では、蓄積データの有無に関わらず蓄積データが有る旨の蓄積データ情報を含むビーコンフレームを送信する特殊なAPが必要となるという課題がある。また、ビーコンフレームの送信間隔が短い場合、無線端末装置から過剰に無線電波を放射することになり、無線端末装置におけるバッテリの消耗が大きくなるという課題がある。
【0009】
本発明の目的の一例は、上述した課題を解決する測位タイミング選定装置、無線通信システム、測位タイミング選定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、測位タイミング選定装置は、無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段と、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段と、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段と、前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段と、を備える。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、無線通信システムは、無線端末装置と、前記無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置と、測位タイミング選定装置と、を備え、前記測位タイミング選定装置は、複数の前記測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段と、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段と、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段と、前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段と、を備える。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、測位タイミング選定方法は、無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得し、取得した前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定し、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得し、取得した前記チャネル識別情報のチャネルに対して選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信することを含む。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、記録媒体は、コンピュータを、無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段、前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段、として機能させるためのプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、無線端末装置、及びアクセスポイントに対して測位のために新たな機能を追加することなく無線端末装置のバッテリの消耗を抑制しながら測位を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るサーバ装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る端末装置データテーブルのデータ構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る測定装置データテーブルのデータ構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る測定データテーブルのデータ構成を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る測位タイミング選定装置の内部構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る測位タイミングテーブル記憶部が記憶する測位タイミングテーブルのデータ構成を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る測位タイミング選定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の実施形態に係る端末装置データ取得部、測定装置データ取得部、測位タイミングテーブル生成部による処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る応答要求信号送信部による処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る応答信号受信部による処理の流れを示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係る測定データ取得部、測位タイミング選定部、測位タイミングテーブル生成部による処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の実施形態に係る測位タイミング選定部による処理を説明するための図(その1)である。
図14】本発明の実施形態に係る測位タイミング選定部による処理を説明するための図(その2)である。
図15】本発明の実施形態に係る測位タイミング選定装置の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による無線通信システム100について、図面を参照して説明する。図1は、無線通信システム100の構成を示すブロック図である。無線通信システム100は、測位タイミング選定装置1、無線端末装置2-1,2-2、AP装置3-1,3-2,3-3、測定装置4-1,4-2,4-3,4-4、基地局装置6、コアネットワーク7、インターネット網8、及びサーバ装置9を備える。
【0017】
基地局装置6は、例えば、通信事業者によって運営されるLTE(登録商標)(Long Term Evolution)方式の移動体通信網における基地局側に設置される装置である。コアネットワーク7は、前記の通信事業者によって運営される通信ネットワークであり、基地局装置6とインターネット網8とを接続する。インターネット網8は、ISP(Internet Service Provider)などの複数の通信事業者によって構築されている通信ネットワークである。サーバ装置9は、例えば、クラウドサーバであり、インターネット網8に接続し、内部の記憶領域にデータの蓄積する処理などを行う。
【0018】
図2は、サーバ装置9の内部構成を示すブロック図である。サーバ装置9は、送受信部91と、記憶部92とを備える。送受信部91は、例えば、IP(Internet Protocol)による通信を行う通信モジュールであり、インターネット網8に接続し、インターネット網8を経由して接続する装置との間でデータの送受信を行う。記憶部92は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、図3図5に示すテーブルを記憶する。
【0019】
図3は、端末装置データテーブル93のデータ構成を示す図である。端末装置データテーブル93は、「端末装置識別情報」、「チャネル識別情報」の項目を有する。「端末装置識別情報」の項目には、無線端末装置2-1,2-2の各々を識別可能な端末装置識別情報が書き込まれる。端末装置識別情報は、例えば、無線端末装置2-1,2-2の各々に予め付与されるMAC(Media Access Control)アドレスである。「チャネル識別情報」の項目には、対応する「端末装置識別情報」の項目に書き込まれている端末装置識別情報によって識別される無線端末装置2-1,2-2が、例えば、無線LAN(Local Area Network)において使用しているチャネルを特定するチャネル識別情報が書き込まれる。チャネル識別情報は、例えば、番号である。
【0020】
端末装置データテーブル93への端末装置データの書き込みは、例えば、以下のようにして行われる。無線端末装置2-1,2-2が、いずれかのAP装置3-1,3-2,3-3に接続した際のチャネルを示すチャネル識別情報を取得し、取得したチャネル識別情報と、自らの端末装置識別情報とを含む端末装置データ書き込み要求信号を生成する。無線端末装置2-1,2-2は、生成した端末装置データ書き込み要求信号を接続したAP装置3-1,3-2,3-3、インターネット網8を経由して、サーバ装置9の送受信部91に送信する。送受信部91は、端末装置データ書き込み要求信号を受信すると、受信した端末装置データ書き込み要求信号に含まれる端末装置識別情報と、チャネル識別情報とを記憶部92の端末装置データテーブル93に書き込む。なお、端末装置データテーブル93において、既に書き込み対象の端末装置識別情報のレコードが存在する場合、送受信部91は、そのレコードの「チャネル識別情報」の項目に対して端末装置データ書き込み要求信号に含まれるチャネル識別情報を上書きする。これに対して、端末装置データテーブル93において、書き込み対象の端末装置識別情報のレコードが存在しない場合、送受信部91は、新たにレコードを生成し、生成したレコードに端末装置識別情報と、チャネル識別情報とを書き込む。また、無線端末装置2-1,2-2は、接続するチャネルが切り替わった際にも端末装置データ書き込み要求信号を生成してサーバ装置9の送受信部91に送信する。
【0021】
図4は、測定装置データテーブル94のデータ構成を示す図である。測定装置データテーブル94は、「測定装置識別情報」、「チャネル識別情報」、「測定周期」の項目を有する。「測定装置識別情報」の項目には、測定装置4-1~4-4の各々を識別可能な測定装置識別情報が書き込まれる。測定装置識別情報は、それぞれが異なる識別情報となるように測定装置4-1~4-4の各々に対して予め付与されており、例えば、記号や番号によって表される。
【0022】
「チャネル識別情報」の項目には、対応する「測定装置識別情報」の項目に書き込まれている測定装置識別情報によって識別される測定装置4-1~4-4が測定するチャネルに対応するチャネル識別情報が書き込まれる。図4では、1台の測定装置4-1~4-4が、チャネル識別情報「1」と「6」の2つを測定することを示しているが、1台の測定装置4-1~4-4が、1つのチャネルを測定するようにしてもよいし、3つ以上のチャネルを測定するようにしてもよい。
【0023】
「測定周期」の項目には、対応する「チャネル識別情報」の項目に書き込まれているチャネル識別情報が示すチャネルを測定する間隔を示す時間(測定周期)が書き込まれる。図4に示す例では、測定周期の全てが「100秒毎」である例を示している。しかしながら、測定周期は、チャネルごとに異なっていてもよい。測定装置4-1~4-4の各々が同一のチャネルを測定する場合に測定装置4-1~4-4ごとに測定周期が異なっていてもよい。
【0024】
測定装置データテーブル94への測定装置データの書き込みは、例えば、以下のようにして行われる。測定装置4-1~4-4には、運用開始前に、運用者の操作によって、内部の記憶領域に測定装置識別情報、測定対象のチャネルを示すチャネル識別情報、各々のチャネルに対する測定周期が書き込まれる。測定装置4-1~4-4は、起動すると、内部の記憶領域が記憶する測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定周期とを含む測定装置データ書き込み要求信号を生成する。測定装置4-1~4-4は、生成した測定装置データ書き込み要求信号を基地局装置6、コアネットワーク7、インターネット網8を経由して、サーバ装置9の送受信部91に送信する。送受信部91は、測定装置データ書き込み要求信号を受信すると、受信した測定装置データ書き込み要求信号に含まれる測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定周期とを記憶部92の測定装置データテーブル94に書き込む。なお、測定装置データテーブル94において、既に書き込み対象の測定識別情報のレコードが存在する場合、送受信部91は、そのレコードの「チャネル識別情報」と「測定周期」の項目に対して測定装置データ書き込み要求信号に含まれるチャネル識別情報と、測定周期とを上書きする。これに対して、測定装置データテーブル94において、書き込み対象の測定識別情報のレコードが存在しない場合、送受信部91は、新たにレコードを生成し、生成したレコードに、測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定周期とを書き込む。また、測定装置4-1~4-4は、運用開始後に、運用者の操作によって内部の記憶領域のチャネル識別情報と、測定周期とが書き換えられた際にも測定装置データ書き込み要求信号を生成してサーバ装置9の送受信部91に送信する。
【0025】
図5は、測定データテーブル95のデータ構成を示す図である。測定データテーブル95は、「測定装置識別情報」、「チャネル識別情報」、「測定開始時刻」、「測定終了時刻」、「端末装置識別情報」、「電波強度」の項目を有する。「測定装置識別情報」の項目には、測定装置4-1~4-4のいずれかに対応する測定装置識別情報が書き込まれる。「チャネル識別情報」、「測定開始時刻」、「測定終了時刻」、「端末装置識別情報」、「電波強度」の項目の各々には、各々に対応する「測定装置識別情報」に書き込まれている測定装置識別情報の測定装置4-1~4-4が測定したチャネルを示すチャネル識別情報、測定を開始した時刻、測定を終了した時刻、測定対象の無線端末装置2-1,2-2の端末装置識別情報、及び測定した無線電波の電波強度が書き込まれる。
【0026】
測定データテーブル95への測定データの書き込みは、例えば、以下のようにして行われる。測定装置4-1~4-4は、内部に時計などの計時部を備えており、測定を開始する際と、測定を終了する際とにおいて、計時部から時刻を取得する。測定装置4-1~4-4は、測定を終了すると、自装置の測定装置識別情報と、測定したチャネルのチャネル識別情報と、測定開始時刻と、測定終了時刻と、測定した無線端末装置2-1,2-2の端末装置識別情報と、測定した無線電波の電波強度とを含む測定データ書き込み要求信号を生成する。測定装置4-1~4-4は、生成した測定データ書き込み要求信号を基地局装置6、コアネットワーク7、インターネット網8を経由して、サーバ装置9の送受信部91に送信する。送受信部91は、測定データ書き込み要求信号を受信すると、記憶部92の測定データテーブル95に新たにレコードを生成する。送受信部91は、生成したレコードに、受信した測定データ書き込み要求信号に含まれる測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定開始時刻と、測定終了時刻と、端末装置識別情報と、電波強度とを書き込む。すなわち、測定データテーブル95には、測定装置4-1~4-2が測定を行うごとに新たに1つのレコードが追加されていくことになる。
【0027】
図1に戻り、測位タイミング選定装置1、無線端末装置2-1,2-2、AP装置3-1,3-2,3-3、測定装置4-1,4-2,4-3,4-4は、例えば、建物内の1つのフロア5に設置される。AP装置3-1~3-3は、例えば、無線LANルータなどの装置であり、ISPの通信網(不図示)に接続しており、そのISPの通信網を経由してインターネット網8に接続する。AP装置3-1~3-3は、複数の無線LANのチャネルを提供し、提供するチャネルを介して無線端末装置2-1,2-2、及び測位タイミング選定装置1に接続する。
【0028】
無線端末装置2-1,2-2は、測位対象の端末装置であり、例えば、スマートフォンなどの無線LANの通信機能を備えた装置である。無線端末装置2-1,2-2には、上記したように予め端末識別情報が付与されている。無線端末装置2-1,2-2は、AP装置3-1~3-3が提供する無線LANのチャネルのいずれか1つを利用してAP装置3-1~3-3のいずれか1つに接続する。以下の説明において、無線端末装置2-1,2-2の各々に端末装置識別情報として、それぞれ「A」,「B」が予め付与されているものとして示す場合がある。
【0029】
測定装置4-1~4-4は、例えば、無線センサである。測定装置4-1~4-4は、起動すると、内部の記憶領域に予め書き込まれているチャネル識別情報が示すチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を、内部の記憶領域に予め書き込まれている測定周期ごとに一定時間測定する。測定装置4-1~4-4の各々は、起動すると測定を開始するため、非同期で測定を行うことになる。測定装置4-1~4-4は、LTE(登録商標)方式の端末局側の通信機能を備えた装置であり、基地局装置6に接続し、基地局装置6との間でデータの送受信を行う。測定装置4-1~4-4には、上記したように測定装置識別情報が付与されており、測定対象のチャネルを示すチャネル識別情報と、チャネル識別情報に関連付けられた測定周期とが予め設定されている。以下の説明において、測定装置4-1~4-4の各々に測定装置識別情報として、それぞれ「α」,「β」,「γ」,「δ」が予め付与されているものとして示す場合がある。
【0030】
図1の例では、2台の無線端末装置2-1,2-2と、3台のAP装置3-1~3-3とを示している。しかしながら、設置される無線端末装置2-1,2-2の数および設置されるAP装置3-1~3-3の数は特に限定されない。無線端末装置2-1,2-2およびAP装置3-1~3-3の各々の数は、1以上であれば、どのような数であってもよい。また、図1の例は、4台の測定装置4-1~4-4を示している。しかしながら、設置される測定装置4-1~4-4の数は、2以上であれば、どのような数であってもよい。
【0031】
測位タイミング選定装置1は、例えば、図6に示す内部構成を備える。すなわち、測位タイミング選定装置1は、測定データ取得部10、測位タイミング選定部11、設定情報取得部12、測位開始指示部15、端末局通信部16、無線通信部17、及び計時部18を備える。端末局通信部16は、LTE(登録商標)方式の端末局の通信機能を有する機能部であり、基地局装置6に接続する。無線通信部17は、無線LAN方式の通信機能を有する機能部であり、AP装置3-1~3-3が提供する無線LANのチャネルのいずれか1つを利用してAP装置3-1~3-3のいずれか1つに接続する。無線通信部17と、無線端末装置2-1,2-2とは、同一の無線LANのサブネットに属しているものとする。計時部18は、例えば、時計である。測定装置4-1~4-4の各々が内部に備える計時部と、計時部18とは時刻が同期するように予め設定されている。
【0032】
測定データ取得部10は、任意に定める取得始点時刻と、取得終点時刻とによって示す時間幅の測定データの取得を要求する測定データ要求信号を周期的に生成する。測定データ取得部10は、生成した測定データ要求信号をサーバ装置9に送信する。測定データ取得部10は、サーバ装置9が測定データ要求信号を受けて送信する測定データ送信信号を受信する。測定データ取得部10が受信する測定データ送信信号には、サーバ装置9の送受信部91が、測定データテーブル95から読み出した取得始点時刻と、取得終点時刻との間の測定データが含まれている。
【0033】
測位タイミング選定部11は、無線端末装置2-1,2-2が放射する無線電波の総量を抑えるために、測定データ取得部10が取得した測定データに基づいて、チャネルごとに、測定を行う測定装置4-1~4-4の台数が最大数となるタイムスロットを測定周期ごとに選択する。測位タイミング選定部11は、選択したタイムスロットの各々を、チャネルの各々に対する測定周期ごとの測位時間として選定する。ここで、タイムスロットとは、一定の時間長の時間間隔である。測定周期とは、連続する複数のタイムスロットからなる一定の時間長を有する時間の区切りの各々を示している。
【0034】
設定情報取得部12は、端末装置データ取得部13と、測定装置データ取得部14とを備える。端末装置データ取得部13は、端末装置データ要求信号を生成し、生成した端末装置データ要求信号をサーバ装置9に送信する。端末装置データ取得部13は、サーバ装置9が端末装置データ要求信号を受けて送信する端末装置データ送信信号を受信する。端末装置データ送信信号には、サーバ装置9の送受信部91が、端末装置データテーブル93から読み出した端末装置データが含まれている。
【0035】
測定装置データ取得部14は、測定装置データ要求信号を生成し、生成した測定装置データ要求信号をサーバ装置9に送信する。測定装置データ取得部14は、サーバ装置9が測定装置データ要求信号を受けて送信する測定装置データ送信信号を受信する。測定装置データ送信信号には、サーバ装置9の送受信部91が、測定装置データテーブル94から読み出した測定装置データが含まれている。
【0036】
測位開始指示部15は、測位タイミングテーブル生成部151、測位タイミングテーブル記憶部152、応答要求信号送信部153、及び応答信号受信部154を備える。測位タイミングテーブル生成部151は、端末装置データ取得部13が取得した端末装置データと、測定装置データ取得部14が取得した測定装置データとに基づいて、測位タイミングテーブル記憶部152に測位タイミングテーブル155を生成する。また、測位タイミングテーブル生成部151は、測位タイミング選定部11がチャネルごとに測定周期の各々において選定した測位時間に基づいて、測位タイミングテーブル155を更新する。測位タイミングテーブル記憶部152は、測位タイミングテーブル生成部151が生成する測位タイミングテーブル155を記憶する。
【0037】
図7は、測位タイミングテーブル155のデータ構成を示す図である。測位タイミングテーブル155は、「端末装置識別情報」、「アドレス情報」、「チャネル識別情報」、「応答要求信号送信時刻」の項目を有する。「端末装置識別情報」の項目には、無線端末装置2-1,2-2の端末識別情報が書き込まれる。「アドレス情報」の項目には、対応する端末装置識別情報の無線端末装置2-1,2-2に付与されているアドレス情報が書き込まれる。ここで、アドレス情報とは、例えば、IPアドレスである。「チャネル識別情報」の項目には、対応する対応する端末装置識別情報の無線端末装置2-1,2-2が使用しているチャネルのチャネル識別情報が書き込まれる。「応答要求信号送信時刻」の項目は、複数のサブ項目として「送信時刻1」、「送信時刻2」、…の項目を含んでいる。「送信時刻1」、「送信時刻2」、…の各々には、応答要求信号を送信する時刻を示す情報が書き込まれる。
【0038】
応答要求信号送信部153は、測位タイミングテーブル155を参照し、計時部18が示す時刻が、測位タイミングテーブル155の「送信時刻1」、「送信時刻2」,…のいずれかの項目に書き込まれている時刻に一致すると、一致したレコードの「端末装置識別情報」の項目、及び「アドレス情報」の項目の各々に書き込まれている端末装置識別情報と、アドレス情報とを読み出す。応答要求信号送信部153は、読み出した端末装置識別情報と、アドレス情報とを含む応答要求信号を生成する。応答要求信号送信部153は、生成した応答要求信号を、無線通信部17を介して接続先のAP装置3-1~3-3に送信する。応答要求信号送信部153は、応答要求信号を送信する際、応答要求信号に含まれるアドレス情報を応答信号受信部154に出力する。
【0039】
応答信号受信部154は、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に対応する応答信号を、無線通信部17を介して受信したか否かを判定する。応答信号受信部154は、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に対応する応答信号を受信していないと判定した場合、そのアドレス情報に対応するレコードを測位タイミングテーブル155から削除する。
【0040】
図8は、測位タイミング選定装置1のハードウェア構成例を示す図である。測位タイミング選定装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、HDD24、通信モジュール25,26を備えたコンピュータである。通信モジュール25は、端末局通信部16である。通信モジュール26は、無線通信部17である。測位タイミングテーブル記憶部152は、RAM23、または、HDD24において生成される記憶領域である。ROM22、または、HDD24に予め記憶されているアプリケーションプログラムがCPU21によって実行されることにより、測定データ取得部10、測位タイミング選定部11、設定情報取得部12、測位開始指示部15、及び計時部18の機能部が構成されることになる。
【0041】
(測位タイミング選定装置による処理)
次に、図9から図14を参照しつつ測位タイミング選定装置1による処理について説明する。図9から図12は、測位タイミング選定装置1による処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
(測位タイミングテーブルの生成処理)
図9は、設定情報取得部12と測位タイミングテーブル生成部151による処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すフローチャートの処理が開始される前に、既に、無線端末装置2-1,2-2、AP装置3-1~3-3、測定装置4-1~4-4が起動しており、無線端末装置2-1,2-2は、AP装置3-1~3-3が提供する無線LANのチャネルのいずれか1つを利用してAP装置3-1~3-3のいずれか1つに接続しているものとする。そのため、サーバ装置9の記憶部92には、端末装置データテーブル93、測定装置データテーブル94が生成されているものとする。
【0043】
測位タイミング選定装置1が起動すると、端末装置データ取得部13は、端末装置データ要求信号を生成する。端末装置データ取得部13は、生成した端末装置データ要求信号を端末局通信部16、基地局装置6、コアネットワーク7、インターネット網8を経由してサーバ装置9に送信する。サーバ装置9の送受信部91は、端末装置データ要求信号を受信すると、記憶部92の端末装置データテーブル93が記憶する端末装置データ、すなわち、端末装置データテーブル93が記憶する全てのレコードを読み出す。送受信部91は、読み出した端末装置データを含む端末装置データ送信信号を生成する。送受信部91は、生成した端末装置データ送信信号をインターネット網8、コアネットワーク7、基地局装置6を経由して測位タイミング選定装置1に送信する。端末装置データ取得部13は、端末局通信部16を介して端末装置データ送信信号を受信し、受信した端末装置データ送信信号に含まれる端末装置データを読み出す。端末装置データ取得部13は、読み出した端末装置データを測位タイミングテーブル生成部151に出力する。
【0044】
測定装置データ取得部14は、測定装置データ要求信号を生成する。測定装置データ取得部14は、生成した測定装置データ要求信号を端末局通信部16、基地局装置6、コアネットワーク7、インターネット網8を経由してサーバ装置9に送信する。サーバ装置9の送受信部91は、測定装置データ要求信号を受信すると、記憶部92の測定装置データテーブル94が記憶する測定装置データ、すなわち、測定装置データテーブル94が記憶する全てのレコードを読み出す。送受信部91は、読み出した測定装置データを含む測定装置データ送信信号を生成する。送受信部91は、生成した測定装置データ送信信号をインターネット網8、コアネットワーク7、基地局装置6を経由して測位タイミング選定装置1に送信する。測定装置データ取得部14は、端末局通信部16を介して測定装置データ送信信号を受信し、受信した測定装置データ送信信号に含まれる測定装置データを読み出す。測定装置データ取得部14は、読み出した測定装置データを測位タイミングテーブル生成部151に出力する(ステップSa1)。
【0045】
なお、ステップSa1の処理において、上記の通り、端末装置データ取得部13が先に処理を行い、測定装置データ取得部14がその後に処理を行うようにしてもよい。別法として、測定装置データ取得部14が先に処理を行い、端末装置データ取得部13がその後に処理を行うようにしてもよい。別法として、端末装置データ取得部13による処理と、測定装置データ取得部14による処理が並列に行われるようにしてもよい。
【0046】
測位タイミングテーブル生成部151は、端末装置データ取得部13が出力する端末装置データと、測定装置データ取得部14が出力する測定装置データとを取り込む。測位タイミングテーブル生成部151は、取り込んだ端末装置データと、測定装置データとに基づいて、測位タイミングテーブル記憶部152に測位タイミングテーブル155を生成する。測位タイミングテーブル生成部151は、測位タイミングテーブル155において、端末装置データに含まれる端末装置識別情報ごとにレコードを生成し、生成したレコードの「端末装置識別情報」と「チャネル識別情報」の項目の各々に、端末装置データに含まれる端末装置識別情報と、チャネル識別情報とを書き込む。
【0047】
測位タイミングテーブル生成部151は、例えば、予め取得しておく端末装置識別情報とアドレス情報とを関連付けたアドレス対応リストのデータを参照して、「アドレス情報」の項目に、「端末装置識別情報」の項目の端末装置識別情報に対応するアドレス情報を書き込む。
【0048】
測位タイミングテーブル生成部151は、測定装置データに含まれる測定装置4-1~4-4の測定対象のチャネルごとの測定周期に基づいて、例えば、測位タイミングテーブル155の「チャネル識別情報」の項目に書き込まれているチャネル識別情報に対応するチャネルごとの送信時刻を0時から24時までの間で複数選定する。測定装置4-1~4-4の測定周期は、測定装置データに含まれる測定周期から既知であるが、実際に測定装置4-1~4-4が測定を行っている時刻は、不明である。そのため、測位タイミングテーブル生成部151は、複数の送信時刻を、例えば、以下のような手法により、任意に選定する。
【0049】
測位タイミングテーブル生成部151は、各レコードの「送信時刻1」の項目に書き込む時刻を、0時00分00秒から0時00分59秒の間からランダムに選択する。測位タイミングテーブル生成部151は、「送信時刻1」の項目に書き込む時刻を基準として、各々のレコードにおいて、各々に対応するチャネルの測定周期ごとになるように、「送信時刻2」,「送信時刻3」,…の各々に書き込む複数の送信時刻を0時から24時までの間で任意に選定する。また、測位タイミングテーブル生成部151は、実際に測定装置4-1~4-4が測定を行っている時刻を、測定装置4-1~4-4が測定することによって得られる測定データから詳細に検出できるようにするために、各レコードの各々に対応するチャネルの測定周期よりも短い間隔で複数の送信時刻を選定するようにしてもよい。また、測位タイミングテーブル生成部151は、複数の送信時刻を選定する際に全ての送信時刻が異なるように選定するようにしてもよい。
【0050】
測位タイミングテーブル生成部151は、測位タイミングテーブル155の「応答要求信号送信時刻」の項目の「送信時刻1」,「送信時刻2」,…の項目の順に時系列になるように、「送信時刻1」,「送信時刻2」,…の項目に対して、選定した複数の送信時刻を書き込んで(ステップSa2)、処理を終了する。
【0051】
(応答要求信号の送信処理)
図10は、応答要求信号送信部153による処理の流れを示すフローチャートである。応答要求信号送信部153は、測位タイミングテーブル記憶部152が記憶する測位タイミングテーブル155を参照し、測位タイミングテーブル155にレコードが存在するか否かを判定する(ステップSb1)。応答要求信号送信部153は、測位タイミングテーブル155にレコードが存在しないと判定した場合(ステップSb1:No)、処理を終了する。
【0052】
一方、応答要求信号送信部153は、測位タイミングテーブル155にレコードが存在すると判定した場合(ステップSb1:Yes)、計時部18の時刻を継続して参照し、計時部18の時刻が、測位タイミングテーブル155の「送信時刻1」、「送信時刻2」,…のいずれかの項目に書き込まれている時刻に一致すると、一致したレコードの「端末装置識別情報」の項目、及び「アドレス情報」の項目の各々に書き込まれている端末装置識別情報と、アドレス情報とを読み出す。
【0053】
応答要求信号送信部153は、読み出した端末装置識別情報と、アドレス情報とを含む応答要求信号を生成する。例えば、端末装置識別情報がMACアドレスであり、アドレス情報がIPアドレスである場合、応答要求信号送信部153は、応答要求信号として、読み出したMACアドレスを宛先とし、IPアドレスをヘッダに含むユニキャスト用のARP(Address Resolution Protocol)要求パケットを生成する。計時部18の時刻に送信時刻が一致するレコードが複数存在する場合、応答要求信号送信部153は、複数のレコードの各々に対して応答要求信号を生成する。
【0054】
応答要求信号送信部153は、生成した応答要求信号を、無線通信部17を介して接続先のAP装置3-1~3-3に送信する。応答要求信号送信部153は、応答要求信号を送信する際、応答要求信号に含まれるアドレス情報を応答信号受信部154に出力し(ステップSb2)、その後、再び、ステップSb1の処理を行う。
【0055】
(応答信号の受信処理)
図11は、応答信号受信部154による処理の流れを示すフローチャートである。応答要求信号送信部153が生成する応答要求信号が、上記したようにユニキャスト用のARP要求パケットである場合、応答要求信号は、ARP要求パケットの宛先のMACアドレスに対応する無線端末装置2-1,2-2に到達することになる。ARP要求パケットを受信した無線端末装置2-1,2-2は、応答信号として、ARP要求パケットのヘッダに含まれている自装置のIPアドレスを含むARP応答パケットを生成する。無線端末装置2-1,2-2は、生成した応答信号を接続先のAP装置3-1~3-3に送信する。この応答信号を送信する際に、無線端末装置2-1,2-2は、無線電波を放射する。この無線電波の放射の間に測定時間が存在する測定装置4-1~4-4は、無線端末装置2-1,2-2によって放射された無線電波の電波強度を測定することができる。この測定によって得られる測定データが、サーバ装置9の記憶部92が記憶する測定データテーブル95に蓄積されることになる。
【0056】
応答信号受信部154は、応答要求信号送信部153が出力するアドレス情報を取り込むと、図11に示すフローチャートの処理を開始する。応答信号受信部154は、取り込んだアドレス情報に一致するアドレス情報を含む応答信号を、無線通信部17を介して受信したか否かを判定する(ステップSc1)。応答信号が、上記したARP応答パケットである場合、応答信号受信部154は、ARP応答パケットに含まれるIPアドレスと、応答要求信号送信部153から受けたIPアドレスとが一致するか否かにより、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に一致するアドレス情報を含む応答信号を受信したか否かを判定する。
【0057】
ステップSc1の判定処理は、より詳細には、例えば、以下のようにして行われる。応答信号受信部154は、内部にタイマを備えており、応答要求信号送信部153からアドレス情報を受けるごとに、アドレス情報に対応付けてタイマを起動する。タイマが計測する時間は、例えば、予め定められているARP要求パケットを送信してからARP応答パケットを受信するまでの時間である。応答信号受信部154は、タイマが満了するまでに、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に一致するアドレス情報を含む応答信号を受信した場合、そのアドレス情報については、応答信号を受信したとして判定する。一方、応答信号受信部154は、タイマが満了までに、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に一致するアドレス情報を含む応答信号を受信しなかった場合、応答信号を受信しなかったとして判定する。
【0058】
応答信号受信部154は、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に一致するアドレス情報を含む応答信号を受信したと判定した場合(ステップSc1:Yes)、処理を終了する。一方、応答信号受信部154は、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に一致するアドレス情報を含む応答信号を受信しなかったと判定した場合(ステップSc1:No)、応答要求信号送信部153から受けたアドレス情報に対応するレコードを測位タイミングテーブル155から削除して(ステップSc2)、処理を終了する。
【0059】
(測位タイミングの選定処理)
図12は、測定データ取得部10と測位タイミング選定部11と測位タイミングテーブル生成部151による処理の流れを示すフローチャートである。図10に示したフローチャートの処理が行われると、測定装置4-1~4-4は、無線端末装置2-1,2-2が放射する無線電波を測定することが可能になる。それにより、サーバ装置9の記憶部92が記憶する測定データテーブル95に測定データが蓄積されていくことになる。
【0060】
測定データ取得部10は、周期的に、計時部18が示す時刻を参照し、参照した時刻以前の時刻である2つの時点の時刻を任意に定める。測定データ取得部10は、2つの時点の時刻のうち遅い方の時刻、すなわち参照した時刻に近い方の時刻を取得終点時刻とし、残りの一方を取得始点時刻として定める。測定データ取得部10は、定めた取得始点時刻と、取得終点時刻とを含む測定データ要求信号を生成する。測定データ取得部10は、生成した測定データ要求信号を端末局通信部16、基地局装置6、コアネットワーク7、インターネット網8を経由してサーバ装置9に送信する(ステップSd1)。
【0061】
サーバ装置9の送受信部91は、測定データ要求信号を受信すると、記憶部92の測定データテーブル95が記憶する測定データの中から「測定開始時刻」の項目に書き込まれている時刻が、取得始点時刻以後の時刻であって、「測定終了時刻」の項目に書き込まれている時刻が、取得終点時刻以前であるレコードを検出する。送受信部91は、検出したレコードを取得対象の測定データとして読み出し、読み出した測定データを含む測定データ送信信号を生成する。送受信部91は、検出したレコードの全ての項目に書き込まれているデータを測定データとして読み出すようにしてもよいし、「測定装置識別情報」、「チャネル識別情報」、「測定開始時刻」、「測定終了時刻」の項目の各々に書き込まれている測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定開始時刻と、測定終了時刻とを測定データとして読み出すようにしてもよい。
【0062】
送受信部91は、生成した測定データ送信信号をインターネット網8、コアネットワーク7、基地局装置6を経由して測位タイミング選定装置1に送信する。測定データ取得部10は、端末局通信部16を介して測定データ送信信号を受信する。
【0063】
測定データ取得部10は、受信した測定データ送信信号に測定データが含まれているか否かを判定する(ステップSd2)。測定データ取得部10は、受信した測定データ送信信号に測定データが含まれていないと判定した場合(ステップSd2:No)、処理を終了する。一方、測定データ取得部10は、受信した測定データ送信信号に測定データが含まれていると判定した場合(ステップSd2:Yes)、測定データ送信信号から測定データを読み出す。測定データ取得部10は、読み出した測定データを測位タイミング選定部11に出力する。
【0064】
測位タイミング選定部11は、測定データ取得部10が出力する測定データを取り込む。測位タイミング選定部11は、取り込んだ測定データに含まれている測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定時間を示す情報、すなわち測定開始時刻と、測定終了時刻とを読み出す。測位タイミング選定部11は、読み出した測定装置識別情報と、チャネル識別情報と、測定時間を示す情報とに基づいて、チャネルごとに、図13に示すように、測定装置4-1~4-4が行った測定時間を時系列に並べる。図13において、例えば、測定装置αが、測定装置4-1に対応し、測定装置βが、測定装置4-2に対応し、測定装置γが、測定装置4-3に対応し、測定装置δが、測定装置4-4に対応する。
【0065】
測位タイミング選定部11は、一定の時間間隔であるタイムスロットを任意に設定し、更に、連続する複数のタイムスロットを含む一定の時間長の測定周期を任意に設定する。ただし、タイムスロットの時間長は、少なくとも測定装置4-1~4-4が無線電波の電波強度を測定するのに十分な時間長であるものとする。図13では、1つの測定周期ごとに、5つのタイムスロットを設定した例を示している。測位タイミング選定部11は、測定周期ごとに、測定している測定装置α~δの台数が最大数になるタイムスロットを選択する。
【0066】
例えば、図13に示す例では、測定周期1では、測定装置α,β,γの測定時間が存在しており、符号31で示す5番目のタイムスロットのみが最大数となるため、測位タイミング選定部11は、5番目のタイムスロットを選択する。測定周期2では、測定装置β,γ,δの測定時間が存在しており、最大数となるタイムスロットが、2番目と、3番目の2つのタイムスロットになる。複数の候補となるタイムスロットが存在する場合、測位タイミング選定部11は、最先のタイムスロット(最も早い時刻に開始するタイムスロット)を選択する。そのため、測定周期2に対しては、測位タイミング選定部11は、符号32で示す2番目のタイムスロットを選択する。
【0067】
また、図14に示す例では、測定周期1では、測定装置α,β,γ,δの測定時間が存在する。最大数となるタイムスロットは、測定装置α,β,δが測定を行う符号33で示す5番目のタイムスロットである。そのため、測位タイミング選定部11は、まず、5番目のタイムスロットを選択する。ただし、5番目のタイムスロットには、測定周期1において測定時間が存在する測定装置γが含まれていない。そのため、測位タイミング選定部11は、測定装置γの測定時間が存在する1番目と2番目のタイムスロットのうち、符号34で示す最先の1番目のタイムスロットを選択する。
【0068】
上記の測位タイミング選定部11によるタイムスロットの選択の条件を整理すると、以下のような条件となる。(1)測定周期ごとに、その測定周期において測定時間が存在する測定装置α~δの台数が最大数となるタイムスロットを選択する。(2)測定周期において測定時間が存在する測定装置α~δが、選択したタイムスロットに含まれていない場合、含まれなかった測定装置α~δの測定時間を含むタイムスロットを選択する。(3)1つの測定周期において、候補となるタイムスロットが複数存在する場合、最先のタイムスロットを選択する。
【0069】
測位タイミング選定部11は、上記のようにして選択したタイムスロットの開始時刻と、終了時刻との間の時間を測位時間として定める。測位タイミング選定部11は、選定した測位時間が周期的に発生するとみなして、0時から24時に拡張して、更に、測定周期ごとの測位時間を選定する(ステップSd3)。
【0070】
測位タイミング選定部11は、チャネルごとに測定周期の各々において選定した測位時間を測位タイミングテーブル生成部151に出力する。測位タイミングテーブル生成部151は、測位タイミング選定部11が出力するチャネルごとの測定周期の各々の測位時間を取り込む。測位タイミングテーブル生成部151は、取り込んだチャネルごとの測定周期の各々の測位時間に基づいて、測位タイミングテーブル155の「応答要求信号送信時刻」の項目に含まれる「送信時刻1」,「送信時刻2」,…の項目に書き込まれている送信時刻を書き換えて更新し(ステップSd4)、処理を終了する。
【0071】
例えば、測位タイミング選定部11がタイムスロットを「10秒」に設定し、測位周期を「50秒」に設定しており、測位タイミング選定部11が、チャネル識別情報「1」のチャネルに対して最初の測定周期である「0:00:00」から「0:00:50」の間に、測位時間を「0:00:20」から「0:00:30」の間として選定しているとする。この場合、測位タイミングテーブル生成部151は、測位の開始時間である「0:00:20」を最初の送信時刻とし、測位タイミングテーブル155の「チャネル識別情報」が「1」であるレコードの「送信時刻1」の項目を「0:00:20」に書き換えて更新する。
【0072】
時間が経過するにつれて、サーバ装置9の記憶部92が記憶する測定データテーブル95が記憶する測定データの数は増加していくことになる。そのため、図12に示すフローチャートが周期的に繰り返し行われることにより、測位タイミングテーブル155の「応答要求信号送信時刻」の項目に書き込まれる送信時刻の精度は高まっていくことになる。これにより、無線端末装置2-1,2-2は、測定を行う測定装置4-1~4-4の台数ができるだけ多い時間であってタイムスロットで区切られた短い時間に測位用の無線電波を放射することになる。タイムスロットの時間長は、上記したように、少なくとも測定装置4-1~4-4が無線電波の電波強度を測定するのに十分な時間長である。そのため、測位に必要な分解能を維持しつつ、測位用の無線電波の1回当たりの送信時間を短くすることができる。また、測定を行う測定装置4-1~4-4の台数ができるだけ多い時間に測位用の無線電波を放射するため、測定できる電波強度のサンプル数も増加させることができる。したがって、無線端末装置2-1,2-2は、無線電波の放射を最小限に抑えて、バッテリの消耗を抑制しつつ、電波強度のサンプル数を増加させることにより、測位の更新頻度や精度を向上させることができる。
【0073】
また、無線通信システム100が備えるAP装置3-1~3-3は、例えば、一般的な無線LANルータであり、特許文献2に記載の発明のように測位用の新たな機能を追加したAPではない。また、無線通信システム100における無線端末装置2-1,2-2は、一般的なスマートフォンなどの無線端末装置であり、特許文献1に記載の発明のように、無線端末装置2-1,2-2に測位用の新たな機能を追加した無線通信端末ではない。したがって、測位タイミング選定装置1を用いることにより、無線端末装置2-1,2-2、及びAP装置3-1~3-3に対して測位のために新たな機能を追加することなく無線端末装置のバッテリの消耗を抑制しながら測位を行うことが可能となる。
【0074】
上記の実施形態では、測位タイミングテーブル生成部151は、予め取得しておくアドレス対応リストのデータを参照して、測位タイミングテーブル155の「アドレス情報」の項目に、端末装置識別情報に対応するアドレス情報を書き込むようにしている。これに対して、例えば、無線端末装置2-1,2-2の各々の端末識別情報とアドレス情報とを記憶するアドレス管理サーバ装置が、AP装置3-1~3-3のいずれかに備えられているか、または、AP装置3-1~3-3のいずれかに接続している場合、測位タイミングテーブル生成部151が、無線通信部17を介してアドレス管理サーバ装置に接続し、アドレス管理サーバ装置から無線端末装置2-1,2-2の各々の端末識別情報とアドレス情報とを取得するようにしてもよい。また、端末識別情報がMACアドレスであり、アドレス情報がIPアドレスである場合、測位タイミングテーブル生成部151が、ARPプロトコルによってネットワーク探索を行って、無線端末装置2-1,2-2の各々の端末識別情報とアドレス情報とを取得するようにしてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、応答要求信号送信部153は、例えば、ユニキャスト用のARP要求パケットを応答要求信号として生成するようにしている。これに対して、応答要求信号送信部153は、pingコマンド等によって生成されるICMP(Internet Control Message Protocol)のエコー要求パケットを応答要求信号として生成するようにしてもよい。無線端末装置2-1,2-2は、ICMPのエコー要求パケットを受信すると、送信元にICMPのエコー応答パケットを送信し、その際に、無線電波を放射する。この無線電波の放射の間に測定時間が存在する測定装置4-1~4-4は、無線端末装置2-1,2-2によって放射された無線電波の電波強度を測定することができる。ICMPエコー要求パケットを応答要求信号とする場合、応答要求信号送信部153は、測位タイミングテーブル155の「端末装置識別情報」の項目から端末装置識別情報を読み出す必要はなく、「アドレス情報」の項目からアドレス情報、すなわちIPアドレスを読み出し、読み出したIPアドレスを宛先とするICMPエコー要求パケットを応答要求信号として生成することになる。
【0076】
また、応答要求信号送信部153は、無線LANフレームを応答要求信号として生成するようにしてもよい。無線端末装置2-1,2-2は、その無線LANフレームを受信すると、Ackフレームを応答信号として接続先のAP装置3-1~3-3に送信し、その際に、無線電波を放射する。この無線電波の放射の間に測定時間が存在する測定装置4-1~4-4は、無線端末装置2-1,2-2によって放射された無線電波の電波強度を測定することができる。ただし、Ackフレームには送信元のMACアドレスが含まれていない。そのため、測定装置4-1~4-4は、Ackフレームが送信される際に測定する電波強度に対応する無線電波の放射元の無線端末装置2-1,2-2を特定する手段を備える必要がある。そのような手段として、例えば、測定装置4-1~4-4が、Ackフレームに先立って測位タイミング選定装置1が送信する応答要求信号のフレームを取得し、取得したフレームの宛先のMACアドレスを取得しておくという手段を用いてもよい。また、無線LANフレームを応答要求信号にする場合、応答要求信号送信部153は、測位タイミングテーブル155の「アドレス情報」の項目からアドレス情報を読み出す必要はなく、「端末装置識別情報」の項目から端末装置識別情報、すなわちMACアドレスを読み出してフレームを生成する。また、上記したようにAckフレームには送信元のMACアドレスが含まれていない。そのため、応答要求信号送信部153は、アドレス情報に替えて生成したフレームを応答信号受信部154に出力する。応答信号受信部154は、応答要求信号送信部153から受けたフレームに対応するAckフレームであるか否かに基づいて、図11に示したステップSc1の判定処理を行う。
【0077】
また、上記の実施形態では、測位タイミング選定装置1と、無線端末装置2-1,2-2は、同一の無線LANのサブネットに属しているとしている。しかしながら、無線端末装置2-1,2-2に対して、他のサブネットからでも接続することができるネットワーク構成になっているのであれば、その他のサブネットに測位タイミング選定装置1が属していてもよい。
【0078】
また、上記の実施形態では、サーバ装置9が、クラウドサーバであるとして説明しているが、サーバ装置9は、オンプレサーバであってもよい。
【0079】
また、上記の実施形態では、無線LAN方式の無線端末装置2-1,2-2を測位の対象としている。しかしながら、5G(Generation)、LTE(登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)の方式の無線端末装置を測位の対象としてもよい。また、測定装置4-1~4-4は、測定したデータをLTE(登録商標)方式の通信手段で送信している。しなしながら、有線及び無線LAN、LPWA、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの方式により測定したデータを送信するようにしてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態では、測位タイミング選定部11は、ステップSd3において、選定した測位時間が周期的に発生するとみなして、0時から24時に拡張して、更に、測定周期ごとの測位時間を選定するとしている。これに対して、測位タイミング選定部11は、選定した測位時間が周期的に発生するとみなさず、測定データ取得部10が取得始点時刻と取得終点時刻との間において取得した測定データに基づいて、チャネルごとに測定周期の各々において選定した測位時間を測位タイミングテーブル生成部151に出力するようにしてもよい。この場合、測位タイミングテーブル生成部151は、測位タイミングテーブル155の「応答要求信号送信時刻」の項目に書き込まれている送信時刻の一部、すなわち取得始点時刻と取得終点時刻との間に含まれる送信時刻を更新することになる。
【0081】
また、上記の実施形態では、測位タイミング選定部17は、図14を参照して説明したように、測定周期において測定時間が存在する測定装置γが、選択したタイムスロットに含まれていない場合、含まれなかった測定装置γの測定時間を含むタイムスロットを選択するようにしている。これに対して、3台の測定装置α,β,δが測定した電波強度によって無線端末装置2-1,2-2の測位ができる場合、含まれなかった測定装置γの測定時間を含むタイムスロットを測位時間として選択しないようにしてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態において、測位タイミング選定部17は、タイムスロットを定めずに、測定周期を定めておく。その前提の下、測位タイミング選定部17は、定めた測定周期の各々において測定装置4-1~4-4が最大数となる時間を選択し、選択した時間の各々から予め定められる時間長の部分を任意に選択し、選択した部分を測位時間として選定するようにしてもよい。ここで、予め定められる時間長とは、例えば、タイムスロットと同様に、少なくとも測定装置4-1~4-4が無線電波の電波強度を測定するのに十分な時間長であるものとする。
【0083】
また、上記の実施形態において、測位タイミング選定部17は、測定周期を定めずに、タイムスロットを定め、例えば、無線端末装置2-1,2-2の測位に必要となる電波強度の数を予め定めておく。その前提の下、測位タイミング選定部17は、測定装置4-1~4-4の台数が、予め定めた測位に必要となる電波強度の数以上となるタイムスロットを測位時間として選定するようにしてもよい。また、そのようにして選択したタイムスロットが連続しており、連続したタイムスロットにおける測定装置4-1~4-4の組み合わせが同一である場合、連続しているタイムスロットの最先のタイムスロットを測位時間として選定するようにしてもよい。
【0084】
また、上記の実施形態において、測位タイミング選定部17は、測定周期と、タイムスロットとを定めずに、例えば、無線端末装置2-1,2-2の測位に必要となる電波強度の数を予め定めておく。その前提の下、測位タイミング選定部17は、測定装置4-1~4-4の台数が、予め定めた測位に必要となる電波強度の数以上となる時間を選択し、選択した時間の各々から予め定められる時間長の部分を任意に選択し、選択した部分を測位時間として選定するようにしてもよい。ここで、予め定められる時間長とは、例えば、タイムスロットと同様に、少なくとも測定装置4-1~4-4が無線電波の電波強度を測定するのに十分な時間長であるものとする。
【0085】
図15は、上記の実施形態に係る測位タイミング選定装置1に替えて用いられる測位タイミング選定装置300の内部構成を示すブロック図である。測位タイミング選定装置300は、測定データ取得部310、測位タイミング選定部311、端末装置データ取得部312、及び測位開始指示部315を備える。測定データ取得部310は、無線端末装置2-1,2-2が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置4-1~4-4の各々が測定したチャネルを示すチャネル識別情報、測定を行った測定時間を示す情報を取得する。測位タイミング選定部311は、測定データ取得部310が取得する測定装置4-1~4-4ごとのチャネル識別情報と、測定時間を示す情報とに基づいて、チャネルごとに、測定を行う測定装置4-1~4-4の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々からチャネルの各々に対する測位時間を選定する。端末装置データ取得部312は、測位対象の無線端末装置2-1,2-2が使用するチャネルを示すチャネル識別情報を取得する。測位開始指示部315は、端末装置データ取得部312が取得するチャネル識別情報のチャネルに対して測位タイミング選定部311が選定した測位時間において、測位対象の無線端末装置2-1,2-2を宛先する応答要求信号を送信する。
【0086】
上述の測位タイミング選定装置1,300は内部に、コンピュータシステムを有している。測定データ取得部10,310、測位タイミング選定部11,311、測位開始指示部15,315、端末装置データ取得部13,312、測定装置データ取得部14の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより図9から図14を参照して説明した処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0087】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0088】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0089】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0090】
(付記1)無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段と、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段と、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段と、前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段と、を備える測位タイミング選定装置。
【0091】
(付記2)前記測位タイミング選定手段は、一定の時間長の時間間隔と、連続する複数の前記時間間隔からなる一定の時間長である測定周期とを任意に定め、前記所定条件を前記測定周期の各々において測定を行う前記測定装置の最大数とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が最大数となる前記時間間隔の時間を前記測定周期の各々において選択し、選択した時間の各々を前記チャネルの各々に対する前記測定周期ごとの前記測位時間として選定する、付記1に記載の測位タイミング選定装置。
【0092】
(付記3)前記測位タイミング選定手段は、前記測定周期において前記測定時間が存在するが前記測位時間に含まれなかった前記測定装置が存在する場合、同一の測定周期内で前記測位時間に含まれなかった前記測定装置が測定を行う前記時間間隔が示す時間を更に前記測位時間として選定する、付記2に記載の測位タイミング選定装置。
【0093】
(付記4)前記測位タイミング選定手段は、前記測位時間を選定する際、前記測位時間の候補となる前記時間間隔が複数存在する場合、最先の前記時間間隔が示す時間を前記測位時間として選定する、付記2または付記3に記載の測位タイミング選定装置。
【0094】
(付記5)前記測位タイミング選定手段は、一定の時間長である測定周期を任意に定め、前記所定条件を前記測定周期の各々において測定を行う前記測定装置の最大数とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が最大数となる時間を前記測定周期の各々において選択し、選択した時間の各々において予め定められる時間長の部分を任意に選択し、選択した部分の各々を前記チャネルの各々に対する前記測定周期ごとの前記測位時間として選定する、付記1に記載の測位タイミング選定装置。
【0095】
(付記6)前記測位タイミング選定手段は、一定の時間長の時間間隔を任意に定め、前記所定条件を測位の精度に応じて定められる前記無線端末装置の測位に必要となる前記電波強度の数以上とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が、測位の精度に応じて定められる前記無線端末装置の測位に必要となる前記電波強度の数以上となる前記時間間隔の時間を選択し、選択した時間の各々を前記チャネルの各々に対する前記測定周期ごとの前記測位時間として選定する、付記1に記載の測位タイミング選定装置。
【0096】
(付記7)前記測位タイミング選定手段は、選定した前記測位時間が連続している場合、連続している前記測位時間における前記測定装置の組み合わせが同一である場合、最先の前記測位時間のみを前記測位時間とする、付記6に記載の測位タイミング選定装置。
【0097】
(付記8)前記測位タイミング選定手段は、前記所定条件を測位の精度に応じて定められる前記無線端末装置の測位に必要となる前記電波強度の数以上とし、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が、測位の精度に応じて定められる前記無線端末装置の測位に必要となる前記電波強度の数以上となる時間を選択し、選択した時間の各々において予め定められる時間長の部分を任意に選択し、選択した部分の各々を前記チャネルの各々に対する前記測定周期ごとの前記測位時間として選定する、付記1に記載の測位タイミング選定装置。
【0098】
(付記9)前記測位開始指示手段は、送信した前記応答要求信号に対応する応答信号を受信しなかった場合、前記応答要求信号の宛先である前記無線端末装置を測位の対象から除外する、付記1から付記8のいずれか1つに記載の測位タイミング選定装置。
【0099】
(付記10)無線端末装置と、前記無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置と、測位タイミング選定装置と、を備え、前記測位タイミング選定装置は、複数の前記測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段と、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段と、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段と、前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段と、を備える無線通信システム。
【0100】
(付記11)無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得し、取得した前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定し、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得し、取得した前記チャネル識別情報のチャネルに対して選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する、ことを含む測位タイミング選定方法。
【0101】
(付記12)コンピュータを、無線端末装置が無線電波の伝送に使用するチャネルを伝搬する無線電波の電波強度を測定する複数の測定装置の各々が測定した前記チャネルを示すチャネル識別情報、前記測定を行った測定時間を示す情報を取得する測定データ取得手段、前記測定データ取得手段が取得する前記測定装置ごとの前記チャネル識別情報と、前記測定時間を示す情報とに基づいて、前記チャネルごとに、測定を行う前記測定装置の台数が予め定められる所定条件を満たす時間を選択し、選択した時間の各々から前記チャネルの各々に対する測位時間を選定する測位タイミング選定手段、測位対象の前記無線端末装置が使用する前記チャネルを示す前記チャネル識別情報を取得する端末装置データ取得手段、前記端末装置データ取得手段が取得する前記チャネル識別情報のチャネルに対して前記測位タイミング選定手段が選定した前記測位時間において、前記測位対象の無線端末装置を宛先とする応答要求信号を送信する測位開始指示手段、として機能させるためのプログラム(測位タイミング選定プログラム)を記憶した記録媒体。
【0102】
この出願は、2021年3月16日に出願された日本国特願2021-042605を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0103】
無線端末装置の位置を測定する無線通信システムにおいて利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1…測位タイミング選定装置
10…測定データ取得部(測定データ取得手段)
11…測位タイミング選定部(測位タイミング選定手段)
12…設定情報取得部
13…端末装置データ取得部(端末装置データ取得手段)
14…測定装置データ取得部
15…測位開始指示部(測位開始指示手段)
151…測位タイミングテーブル生成部
152…測位タイミングテーブル記憶部
153…応答要求信号送信部
154…応答信号受信部
16…端末局通信部
17…無線通信部
18…計時部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15