(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】報知システム、方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20241224BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20241224BHJP
G06V 10/40 20220101ALI20241224BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06T7/20 300
G06V10/40
(21)【出願番号】P 2023550823
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2021035769
(87)【国際公開番号】W WO2023053243
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-07-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 佑樹
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-124836(JP,A)
【文献】国際公開第2018/088062(WO,A1)
【文献】特開2021-093649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/90
G06V10/00-20/90、30/418、40/16、40/20
G06Q10/00-99/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得する画像取得手段と、
前記顧客画像から顧客の年齢を推定する年齢推定手段と、
前記店舗に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知する検知手段と、
前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを、年齢制限商品を展示する什器または該什器の周辺に設けられた報知装置を用いて
、前記顧客が前記年齢制限商品の購入対象年齢であるか否かに応じて異なる報知音で前記店舗内に報知する報知手段と、
を備える報知システム。
【請求項2】
前記画像取得手段は、前記什器の前に居る顧客を撮像した前記顧客画像を取得する
請求項
1に記載の報知システム。
【請求項3】
前記報知手段は、年齢制限商品が取り出された時間を含む前記顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を表示させる
請求項1
または2に記載の報知システム。
【請求項4】
前記報知手段は、年齢制限商品を取り出す顧客の画像を含む前記顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を表示させる
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の報知システム。
【請求項5】
前記報知手段は、年齢制限商品を取り出した顧客の推定年齢を含む前記顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を表示させる
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の報知システム。
【請求項6】
前記検知手段は、取り出しに伴う商品の動きを検知し、
前記報知手段は、取り出された商品を特定する情報を含む前記顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を表示させる
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の報知システム。
【請求項7】
コンピュータが、
店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得し、
前記顧客画像から顧客の年齢を推定し、
前記店舗に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知し、
前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを、年齢制限商品を展示する什器または該什器の周辺に設けられた報知装置を用いて
、前記顧客が前記年齢制限商品の購入対象年齢であるか否かに応じて異なる報知音で前記店舗内に報知する方法。
【請求項8】
コンピュータに、
店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得し、
前記顧客画像から顧客の年齢を推定し、
前記店舗に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知し、
前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを、年齢制限商品を展示する什器または該什器の周辺に設けられた報知装置を用いて
、前記顧客が前記年齢制限商品の購入対象年齢であるか否かに応じて異なる報知音で前記店舗内に報知する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアにおいて、たばこなど購入に年齢制限のある一部の商品は、万引き防止のために顧客の手が届かない、レジの近くのラックに保管されている。顧客は、購入を希望する商品を店員に伝え、店員に商品をラックから取ってもらう。店員は、顧客が年齢条件を満たしているか判断し、商品を販売する。
【0003】
本開示に関連する技術として、特許文献1は、年齢制限商品の識別情報が入力されると、顧客を撮影した画像を解析し、年齢条件を満たしているか否か判断する会計装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
顧客が什器から商品を取ることができれば、顧客のために商品を取る店員の作業負担を減らすことができる。しかし、什器から年齢制限商品を顧客が自由に取りだすことができると、購入が制限される年齢の顧客までもが該商品を取り出せてしまう場合がある。購入が制限される年齢の顧客が商品を取り出さないよう、店員が監視することも、店員にとって負担となる。特許文献1は、什器に展示された商品を管理することについて言及していない。
【0006】
本開示は、什器に展示された年齢制限商品を管理する報知システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る報知システムは、店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得する画像取得手段と、前記顧客画像から顧客の年齢を推定する年齢推定手段と、前記店舗に設置された什器に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知する検知手段と、前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する報知手段と、を備える。
【0008】
本開示に係る方法は、店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得し、前記顧客画像から顧客の年齢を推定し、前記店舗に設置された什器に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知し、前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する。
【0009】
本開示に係るプログラムは、コンピュータに、店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得し、前記顧客画像から顧客の年齢を推定し、前記店舗に設置された什器に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知し、前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、什器に展示された年齢制限商品を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】報知システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図2】報知システム100の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】年齢制限商品を展示する什器の例を示す概略図である。
【
図4】報知システム100の他の構成例を示すブロック図である。
【
図5】年齢制限商品の取り出しに関する情報の表示例である。
【
図6】コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本開示に係る情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム、プログラムを記録する非一時的な記録媒体の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、開示の技術を限定するものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、一実施形態に係る報知システム100の構成例を示すブロック図である。報知システム100は、画像取得部101、年齢推定部102、検知部103、及び、報知部104を備える。
【0014】
一実施形態に係る報知システム100は、店舗にいる顧客が、年齢制限商品を展示する什器から商品を取り出したことを報知するために用いられる。年齢制限商品には、例えば、購入できる年齢の下限が設けられる。下限が設けられる商品は、例えば、たばこやお酒である。なお、年齢制限商品は、購入できる年齢の上限が設けられる商品であってもよい。
【0015】
画像取得部101は、店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得する。顧客画像は、顧客の顔を含む顔画像であってもよい。また、顧客画像は、顧客の身体を含む身体画像であってもよい。
【0016】
顧客画像は、年齢制限商品を展示する什器の前に居る顧客を撮影するカメラによって撮影される。カメラは、例えば、什器に設置されても、什器の付近に設置されてもよい。ただし、カメラの設置場所はこれには限られない。画像取得部101は、店舗に一般的に設置される監視カメラから顧客画像を取得してもよい。
【0017】
年齢推定部102は、画像取得部101が取得した顧客画像から顧客の年齢を推定する。推定の方法は、既知の方法を含む任意の方法が用いられる。例えば、年齢推定部102は、顔画像から、顔特徴と年齢の関係に基づいて顧客の年齢を推定してもよい。また、年齢推定部102は、身体画像から推定される顧客の身長、体形、または、歩容に基づいて、顧客の年齢を推定してもよい。
【0018】
年齢推定部102は、顧客の年齢層を推定してもよい。また、年齢推定部102は、顧客が所定の年齢条件を満たしているか否か推定してもよい。例えば、年齢推定部102は、顧客が20歳以上であるかを推定してもよい。また、年齢推定部102は、顧客が20歳未満、または、未成年であるか推定してもよい。
【0019】
検知部103は、店舗に設置された什器に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知する。検知部103は、例えば、顧客の動き、または、年齢制限商品の動きを検知することで、取り出しに関する行動を検知する。年齢制限商品の取り出しに関する行動は、例えば、商品を持ち上げる行動、什器の中に手を入れる行動、什器の扉を開ける行動、及び、閉める行動を含んでもよい。行動の検知方法は、既知の方法を含む任意の方法が用いられる。
【0020】
例えば、検知部103は、画像取得部101が取得した顧客画像に基づいて、行動を検知してもよい。ここで、画像取得部101は、什器周辺の顧客の姿勢を撮像するカメラから顧客画像を取得する。検知部103は、顧客画像から手の位置、または、体の向きを含む顧客の姿勢を推定することで、行動を検知してもよい。
【0021】
あるいは、検知部103は、什器内を撮像した画像に基づいて、商品を取り出す行動を検知してもよい。検知部103は、什器にあった商品がなくなったとき、商品を取り出す行動があったと検知してもよい。
【0022】
また、検知部103は、物体の動きを検知するセンサの出力に基づいて、商品の取り出しに関する行動を検知してもよい。顧客の手があるとき、もしくは、商品が取り出されるとき、センサの出力が変化する。物体の動きを検知するセンサは、例えば、赤外線センサ、人感センサ、または、測距センサを含む。例えば、測距センサは、センサの位置から什器の取り出し口の位置にある物体までの距離を測定する。測距センサは、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナである。検知部103は、センサの出力の変化に基づいて、商品の取り出しに関する行動を検知してもよい。
【0023】
また、検知部103は、什器に設けられた扉の開閉センサの出力に基づいて、扉を開閉する行動を検知してもよい。検知部103は、什器内に設けられた圧力センサの出力に基づいて、商品を持ち上げる行動を検知してもよい。圧力センサは、展示された商品から受ける圧力を検知する。
【0024】
報知部104は、顧客の推定年齢と、検知の結果とに基づき、年齢が推定された顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する。報知部104は、年齢制限商品の取り出しに関する行動の検知の結果を、検知部103から取得する。さらに、報知部104は、商品を取り出した顧客の推定年齢を年齢推定部102から取得する。例えば、報知部104は、商品を取り出す行動が検知されたときに什器の前にいた人について、推定年齢を取得する。
【0025】
報知部104は、推定年齢が所定条件を満たす顧客が年齢制限商品を取り出すと報知する。所定条件とは、例えば、顧客の推定年齢が購入対象年齢外であることである。例えば、報知部104は、商品購入対象年齢外と推定される顧客が商品を取り出すと報知する。推定年齢が所定条件を満たさない顧客が年齢制限商品を取り出した場合は、報知部104は報知しなくてもよい。なお、所定条件は、推定年齢が購入対象となる年齢の閾値に近いことを含んでもよい。例えば、報知部104は、購入対象年齢であっても、推定年齢が閾値に近い場合に、取り出しを報知してもよい。
【0026】
報知部104は、例えば、未成年と推定される顧客については報知し、成人と推定される顧客については、報知しなくてもよい。報知部104は、未成年であるか、成人であるか、確実でない場合、例えば、顧客が20-29歳と推定される場合にも報知してもよい。
【0027】
報知部104は、任意の報知装置に取り出しを報知させる。報知装置は、例えば、スピーカー、ランプ、ディスプレイである。スピーカーは、報知部104の指示により、音声や通知音を流す。報知部104は、ランプを点灯させることで報知してもよい。ディスプレイは、報知部104の指示により、例えば、「年齢確認が必要な商品が取り出されました」などの報知メッセージを表示する。報知部104は、複数の報知装置によって報知をしてもよい。
【0028】
報知部104は、商品を取り出した顧客、または、店舗内のその他の顧客に報知を行ってもよいし、店員に報知を行ってもよい。報知を受けた顧客は、商品の取り出しが管理されていることを知ることができる。報知を受けた店員は、商品を取り出した顧客の場所へ向かって、顧客の年齢を確認してもよい。あるいは、報知を受けた店員は、顧客が退店した後、顧客による商品の取り出しがあったことを確認してもよい。報知装置は、什器周辺に設けられても、什器に搭載されてもよい。また、報知装置は、店舗レジスター及び店員が携帯する端末を含む、店員が使用する端末であってもよい。なお、報知装置は、顧客が使用する端末であってもよい。
【0029】
報知部104は、顧客画像に基づいて、年齢が推定された顧客と、商品を取り出した顧客が同一人物であることを特定してもよい。また、報知部104は、行動が検知された時間と、什器の前で顧客が撮影された時間とに基づいて、年齢が推定された顧客と、商品を取り出した顧客が同一人物であることを特定してもよい。
【0030】
報知部104は、顧客の推定年齢に応じて異なる報知を行ってもよい。例えば、報知部104は、顧客が商品の購入対象年齢であるか否かによって、報知レベルを変えてもよい。また、報知部104は、年齢層によって報知レベルを変えてもよい。報知レベルは、例えば、警告と、通常の報知とを含む。
【0031】
報知部104は、例えば、顧客が未成年である場合、警告としてスピーカーに警告音を流し、顧客が成人である場合、通常の報知として音楽または通知音を流す。警告音は、通知音よりも、音量が大きくても、または、再生時間が長くてもよい。報知部104は、警告の場合は赤色のランプを点灯させ、通常の報知として緑色のランプを点灯させてもよい。報知部104は、報知として、ディスプレイに通知文を表示し、警告として、ディスプレイに赤色や黄色の表示をし、表示を点滅させてもよい。
【0032】
報知システム100は、店舗サーバ、または、店舗レジスターなどによって実現されてもよい。また、報知システム100は、商品を展示する什器に搭載された端末によって実現されてもよい。
【0033】
図2は、報知システム100の動作例を示すフローチャートである。報知システム100は、例えば、カメラの前に人が検知されたとき、
図2の動作を開始してもよい。報知システム100の画像取得部101は、カメラの前の人が検知されたことに基づいて、カメラを起動させてもよい。画像取得部101は、例えば、カメラの前に所定時間以上滞留していることが検知されたことに基づいてカメラを起動させてもよい。あるいは、画像取得部101は、カメラの前を人が通過した場合にも、カメラを起動させてもよい。
【0034】
図3は、店舗に設置された、年齢制限商品を展示する什器の例を示す概略図である。
図3において、什器40には、年齢制限商品P1が展示される。顧客C1は、什器40から年齢制限商品P1を取り出す。什器40には、報知システム100とスピーカー30が搭載されている。なお、報知システム100は、店舗のバックヤードなどに設置されてもよい。また、カメラ20が天井に設置されている。なお、カメラ20は什器40に搭載されてもよい。カメラ20は、年齢制限商品P1を取り出す顧客C1を撮像する。カメラ20とスピーカー30は、有線または無線により、報知システム100と通信可能に接続される。
【0035】
画像取得部101は、例えば、カメラ20から、什器40の前の顧客を撮像した顧客画像を取得する(ステップS1)。画像取得部101は、顧客画像を年齢推定部102に送信する。画像取得部101は、さらに、検知部103に顧客画像を送信してもよい。
【0036】
年齢推定部102は、顧客画像から顧客の年齢を推定する(ステップS2)。
【0037】
検知部103は、商品の取り出しに関する行動を検知する(ステップS3)。検知部103は、例えば、什器の扉の開閉センサ、什器内に設けられる取り出しセンサ、及び、什器周辺の顧客の姿勢を撮像するカメラの少なくともいずれかのセンサの出力に基づいて、顧客の行動を検知する。検知部103は、カメラ20が撮影した顧客画像に基づいて行動を検知してもよい。
【0038】
ステップS3は、ステップS2の前、または、ステップS1の前に実行されてもよい。
【0039】
報知部104は、顧客の推定年齢と、行動の検知の結果とに基づき、顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する(ステップS4)。例えば、報知部104は、推定年齢が所定の条件を満たす顧客C1が年齢制限商品を取り出すと、スピーカー30に報知音を流す。
【0040】
一実施形態において、画像取得部101は、店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得する。年齢推定部102は、顧客画像から顧客の年齢を推定する。そして、検知部103は、店舗に設置された什器に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知する。報知部104は、顧客の推定年齢と行動の検知の結果とに基づき、顧客による年齢制限商品の取り出しを検知する。したがって、報知システム100によれば、什器に展示された年齢制限商品を管理できる。
【0041】
報知システム100によれば、報知部104が報知を行うことにより、年齢制限商品を管理する店員の労力を減らすことができる。さらに、什器に鍵、扉、顧客の認証システムなどを設ける必要がないため、什器のコスト上昇を抑えることができる。また、報知システム100によれば、顧客は什器の商品を取り出すために、個人情報の事前登録などが必要ないから、顧客にとって便利である。
【0042】
たばこは小さいため、万引きされるリスクが高い。また、未成年者がたばこを自由に取り出せるのは好ましくない。そこで、報知システム100は、例えば、たばこの管理に利用可能である。
【0043】
報知システム100は、無人店舗においても、有人店舗においても利用可能である。無人店舗とは、店員がいなくても顧客が商品を購入できる店舗である。顧客は、例えば、什器から商品を取り出して、商品の会計をする。会計は、店員を介して行われても、顧客が自身で行ってもよい。会計時に顧客の年齢が確認されてもよい。
【0044】
[第2の実施形態]
図4は、他の実施形態に係る報知システム100の構成例を示すブロック図である。第2の実施形態に係る報知システム100は、制御部105を備える点で、第1の実施形態に係る報知システム100と相違する。第2の実施形態に係る画像取得部101、年齢推定部102、検知部103、及び、報知部104の構成に関し、第1の実施形態と同様の構成については、詳しい説明を省略する。
【0045】
報知システム100には、カメラ20、センサ21、スピーカー30、及び、ディスプレイ31を含む装置が接続されてもよい。ただし、報知システム100には、これらの装置の一部が接続されなくてもよく、これら以外の装置が接続されてもよい。
【0046】
カメラ20は、顧客画像を撮影し、画像を画像取得部101に送信する。カメラ20は1つに限られず、複数のカメラ20が報知システム100に接続されてもよい。
【0047】
センサ21は、検知部103に信号を送信する。検知部103は、センサ信号に基づいて商品の取り出しに関する行動を検知する。センサ21は、例えば、圧力センサ、扉の開閉センサ、カメラである。画像取得部101と、検知部103とが同一の顧客画像を用いる場合、カメラ20とセンサ21は単一のカメラであってもよい。
【0048】
報知部104は、スピーカー30及び、ディスプレイ31により、年齢制限商品が取り出されたことを報知する。
【0049】
制御部105は、顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を図示しない記憶部に記憶させる。制御部105は、取り出しが検知されるごとに情報を記憶してもよい。制御部105は、さらに、店舗内を継続的に撮影した画像を記憶部に記憶させてもよい。制御部105は、取り出しがあったときに店舗内を継続的に撮影した画像に関連付けて、取り出しに関する情報を記憶させてもよい。ただし、記憶の態様は特に限定されない。記憶された情報は、商品の取り出しがあった時の状況を店員が確認するために用いられる。
【0050】
取り出しに関する情報は、年齢制限商品が取り出された時間、年齢制限商品を取り出す顧客に関する情報、及び、取り出された商品に関する情報の少なくともいずれかを含む。
【0051】
年齢制限商品が取り出された時間は、例えば、検知部103が、商品を取り出す行動を検知した時間である。時間が記憶されることによって、店員は、同じ時間、または、時間帯の監視カメラの映像を確認することで、状況を確認することができる。
【0052】
顧客に関する情報は、例えば、顧客の画像、または、推定年齢を含む。制御部105は、画像取得部101が取得した顧客画像、または、年齢推定部102が推定した推定年齢を記憶させてもよい。年齢推定部102が、さらに、顧客の性別を推定する場合、顧客に関する情報には、顧客の性別が含まれてもよい。
【0053】
取り出された商品に関する情報は、例えば、商品名、または、取り出された商品の展示位置を含む。商品名、または、展示位置によって、店員は取り出された商品を特定できる。検知部103は、センサ信号に基づいて、取り出された商品を特定してもよい。検知部103は、商品画像の特徴量を記憶したデータベースまたは、商品の位置を記憶したデータベースを参照して商品名を特定してもよい。また、検知部103は、センサ信号に基づいて、取り出された商品の展示位置を特定してもよい。取り出された商品の展示位置は、顧客がどこから商品を取り出したかを示すから、取得位置とも呼ばれる。取得位置は、例えば、什器の上段左側、または、中段右側などと特定される。
【0054】
報知部104は、制御部105によって記憶された情報に基づいて、報知を行ってもよい。例えば、報知部104は、顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報をディスプレイ31に表示させる。報知部104は、ディスプレイ31に
図5に示すリストを表示してもよい。
図5は、年齢制限商品の取り出しに関する情報の表示例である。
【0055】
図5のリストは、年齢制限商品が取り出された時間、顧客の推定年齢、及び、商品の取得位置を含む。報知部104は、推定年齢が所定の条件を満たすか否かによって、情報を目立たせてもよい。例えば、報知部104は、20歳未満と推定される顧客に関する情報を異なる色で表示させてもよい。また、報知部104は、20歳未満と推定される顧客の情報の付近に印を表示してもよい。
【0056】
報知部104は、取り出しに関する情報が選択されたことに基づいて、取り出しに対応する画像を表示させてもよい。取り出しに対応する画像は、例えば、商品を取り出す顧客の画像、取り出しがあった時間の什器内もしくは店舗内の画像、または、年齢推定に用いられた顧客画像である。例えば、
図5において、店員がリスト内の行をクリックすると、報知部104は、クリックされた行に対応する画像をディスプレイ31に表示させる。
【0057】
制御部105は、推定年齢が所定の条件を満たす顧客について、商品の取り出しに関する情報を記憶させてもよい。所定の条件を満たす顧客の情報が記憶されると、全ての顧客による取り出しの情報が記憶される場合に比べて、店員が簡単に記録を確認できる。例えば、制御部105は、未成年と推定される顧客による商品の取り出しに関する情報に限り、記憶させてもよい。
【0058】
第2の実施形態において、制御部105は、顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を記憶させる。そして、報知部104は、取り出しに関する情報を表示させる。したがって、商品の取り出しがあった時の状況を店員が確認できる。
【0059】
店員は、記録上の在庫数と展示された商品の数が合わなかったとき、記憶された情報を確認してもよい。例えば、店員は、商品がなくなったとき、どのような人が什器の前にいたか、確認してもよい。
【0060】
[変形例]
各実施形態に係る報知システム100は、例えば、以下のような変形が可能である。
【0061】
検知部103は、顧客の年齢が所定の条件を満たすと推定されたことに応じて、商品を取り出す行動の検知を開始してもよい。例えば、検知部103は、顧客が未成年であると推定された場合に限り、商品の取り出しを検知してもよい。
【0062】
年齢推定部102は、商品を取り出す行動が検知されたことに応じて、年齢の推定を開始してもよい。例えば、年齢推定部102は、検知部103から検知の結果を受信した後に、顧客の年齢を推定する。画像取得部101は、検知部103から検知の結果を受信してから、顧客画像を取得してもよい。画像取得部101は、検知の結果に基づいてカメラを起動させてもよい。
【0063】
報知システム100は、顧客からの指示に応じて画像の取得を開始してもよい。例えば、顧客は、什器または什器の周辺に設置されたタッチパネルディスプレイを操作し、画像の取得を開始するよう報知システム100に指示してもよい。画像取得部101は、タッチパネルからの入力に基づいて、カメラを起動し、顧客画像を取得する。タッチパネルは、報知部104が報知を行うための報知装置の一例であってもよい。
【0064】
報知システム100は、さらに、表示制御部を備えてもよい。変形例に係る表示制御部は、什器周辺の顧客を撮像した画像を什器周辺のディスプレイに表示させる。該ディスプレイは、報知部104が報知を行うための報知装置の一例であってもよい。什器周辺の顧客を撮像した画像は、例えば、前述の顧客画像である。
【0065】
表示制御部が、什器周辺の顧客の画像をディスプレイに表示することで、顧客は自身が撮影されていることを認識できる。したがって、什器に展示された商品の万引きを防止することができる。
【0066】
また、画像取得部101は、例えば、店舗の入り口に設置されたカメラ、または、店舗内の任意の場所に設置されたカメラで撮影された顧客画像を取得してもよい。撮影された顧客は、例えば、撮影された地点から什器までカメラにより追跡される。報知部104は、追跡の結果に基づいて、年齢が推定された顧客と、商品を取り出した顧客が同一人物であることを特定してもよい。
【0067】
[ハードウェア構成]
上述した各実施形態において、報知システム100の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各報知システム100の各構成要素の一部又は全部は、コンピュータ500とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0068】
図6は、コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図6を参照すると、コンピュータ500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、プログラム504、記憶装置505、ドライブ装置507、通信インタフェース508、入力装置509、入出力インタフェース511、及び、バス512を含む。
【0069】
プログラム504は、各装置の各機能を実現するための命令(instruction)を含む。プログラム504は、予め、ROM502やRAM503、記憶装置505に格納される。CPU501は、プログラム504に含まれる命令を実行することにより、各装置の各機能を実現する。例えば、報知システム100のCPU501がプログラム504に含まれる命令を実行することにより、報知システム100の機能を実現する。また、RAM503は、各装置の各機能において処理されるデータを記憶してもよい。例えば、コンピュータ500のRAM503に、顧客画像を記憶してもよい。
【0070】
ドライブ装置507は、記録媒体506の読み書きを行う。通信インタフェース508は、通信ネットワークとのインタフェースを提供する。入力装置509は、例えば、マウスやキーボード等であり、店員等からの情報の入力を受け付ける。出力装置510は、例えば、ディスプレイであり、顧客または店員等へ情報を出力(表示)する。入出力インタフェース511は、周辺機器とのインタフェースを提供する。バス512は、これらハードウェアの各構成要素を接続する。なお、プログラム504は、通信ネットワークを介してCPU501に供給されてもよいし、予め、記録媒体506に格納され、ドライブ装置507により読み出され、CPU501に供給されてもよい。
【0071】
なお、
図6に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の構成要素が追加されていてもよく、一部の構成要素を含まなくてもよい。
【0072】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、1つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0073】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用又は専用の回路(circuitry)や、これらの組み合わせによって実現されてもよい。これらの回路は、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0074】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0075】
また、報知システム100の少なくとも一部がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてよい。すなわち、報知システム100を実現するための機能の少なくとも一部が、ネットワーク経由で実行されるソフトウェアによって実行されてよい。
【0076】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態における構成は、本開示のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
【0077】
上記実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得する画像取得手段と、
前記顧客画像から顧客の年齢を推定する年齢推定手段と、
前記店舗に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知する検知手段と、
前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する報知手段と、
を備える報知システム。
[付記2]
前記報知手段は、推定年齢が所定の条件を満たす顧客が年齢制限商品を取り出すと報知する、
付記1に記載の報知システム。
[付記3]
前記報知手段は、商品購入対象年齢外と推定される顧客が年齢制限商品を取り出すと報知する、
付記1または2に記載の報知システム。
[付記4]
前記報知手段は、顧客の推定年齢に応じて異なる報知を行う
付記1乃至3のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記5]
前記画像取得手段は、前記年齢制限商品を展示する什器の前に居る顧客を撮像した前記顧客画像を取得する
付記1乃至4のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記6]
前記検知手段は、顧客の動き、または、年齢制限商品の動きを検知することで、前記年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知する、
付記1乃至5のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記7]
前記検知手段は、年齢制限商品を展示する什器の扉の開閉センサ、什器内に設けられる取り出しセンサ、及び、什器周辺の顧客の姿勢を撮像するカメラの少なくともいずれかのセンサの出力に基づいて、前記顧客の前記行動を検知する
付記1乃至6のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記8]
前記報知手段は、前記顧客による年齢制限商品の取り出しに関する情報を表示させる
付記1乃至7のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記9]
前記報知手段は、年齢制限商品が取り出された時間を含む前記取り出しに関する情報を表示させる
付記8に記載の報知システム。
[付記10]
前記報知手段は、年齢制限商品を取り出す顧客の画像を含む前記取り出しに関する情報を表示させる
付記8または9に記載の報知システム。
[付記11]
前記報知手段は、年齢制限商品を取り出した顧客の推定年齢を含む前記取り出しに関する情報を表示させる
付記7乃至10のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記12]
前記検知手段は、取り出しに伴う商品の動きを検知し、
前記報知手段は、さらに、取り出された商品を特定する情報を含む前記取り出しに関する情報を表示させる
付記7乃至11のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記13]
前記報知手段は、年齢制限商品を展示する什器周辺に設けられた報知装置に商品の取り出しを報知させる
付記1乃至12のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記14]
前記報知手段は、店員が使用する端末に商品の取り出しを報知する
付記1乃至13のいずれか1つに記載の報知システム。
[付記15]
店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得し、
前記顧客画像から顧客の年齢を推定し、
前記店舗に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知し、
前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する方法。
[付記16]
コンピュータに、
店舗にいる顧客を撮像した顧客画像を取得し、
前記顧客画像から顧客の年齢を推定し、
前記店舗に展示された年齢制限商品の取り出しに関する行動を検知し、
前記顧客の推定年齢と、前記検知の結果とに基づき、前記顧客による年齢制限商品の取り出しを報知する処理を実行させるプログラムを非一時に記録する記録媒体。
【符号の説明】
【0078】
101 画像取得部
102 年齢推定部
103 検知部
104 報知部
105 制御部
20 カメラ
21 センサ
30 スピーカー
31 ディスプレイ
40 什器
C1 顧客
P1 年齢制限商品