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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】検査装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/06 20060101AFI20241224BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241224BHJP
【FI】
G01R1/06 F
G01R31/26 F
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024549639
(86)(22)【出願日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2024019206
【審査請求日】2024-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮越 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】合田 青陽
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 恭介
(72)【発明者】
【氏名】勝見 駿斗
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-134421(JP,A)
【文献】特開2005-294449(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179471(WO,A1)
【文献】特開2011-196791(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1716969(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06
G01R 31/26
G01R 31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、
前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、
を備え、
前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、
前記配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、
前記導電軸は伸縮可能であることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、
前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、
を備え、
前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、
前記配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、
前記挿入部の断面形状、および前記穴の断面形状は多角形であることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、
前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、
を備え、
前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、
前記配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、
前記挿入部の側面には凹凸が設けられていることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
前記プローブは、前記導電軸が移動することで前記電極の上を転がるように構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、
前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、
前記電極の上に設けられ、前記電極を露出させる第1スリットが形成されたカバーと、
を備え、
前記第1スリットは、前記プローブが前記第1スリットを介して前記電極と接触可能な形状であることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
前記プローブは軸方向からみて多角形であり、
前記第1スリットは、前記多角形に対応する形状であることを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、
前記配線は、
前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、
前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、
を有することを特徴とする請求項5または6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記プローブは、前記導電軸が移動することで前記電極の上を転がるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、
前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、
を備え、
前記プローブには、前記側面の全周にわたって第2スリットが形成され、
前記配線は、
前記プローブが挿入された状態で前記第2スリットに配置される環状部と、
前記環状部から延びる導電軸と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項10】
前記プローブは、前記導電軸が移動することで前記電極の上を転がるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項11】
前記測定対象のうち前記プローブの軸方向の両側に設けられ、前記プローブをガイドするガイド部を備えることを特徴とする請求項または10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記ガイド部には、前記測定対象であるレーザの光出射部に対応する位置に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項13】
前記プローブは、柱状の回転体と、前記回転体の側面を覆う前記導電体と、を有し、
前記導電体は、交換可能に設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の検査装置。
【請求項14】
前記プローブは、円柱型または角柱型であることを特徴とする請求項1、2、3、5、6、9、10の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項15】
前記プローブの軸方向の長さは、前記測定対象であるレーザの出射光と干渉しないように設定されていることを特徴とする請求項1、2、3、5、6、9、10の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項16】
前記プローブと前記配線は着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、5、6、9、10の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項17】
柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成されたプローブの前記側面を、LDチップである半導体装置と接触させ、
前記プローブの前記側面と前記半導体装置とが接触した状態で、前記半導体装置の上で、前記LDチップのレーザ光軸と交わる方向に前記プローブを転がして移動させて、前記側面の前記導電体を前記半導体装置の電極と接触させ、
前記導電体を前記電極と接触させた状態で、前記半導体装置の検査を行い、
前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、
前記プローブに電流を供給するように構成された配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、
前記導電軸は伸縮可能であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
複数の前記半導体装置を前記プローブの移動方向に並べ、
前記移動方向に並んだ前記複数の前記半導体装置にわたって、前記プローブを転がして移動させて、前記複数の半導体装置の検査を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はプローブ、検査装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、相手側電極に対して電圧印加または電流測定等によって電気的処理を行うために相手側電極に電気的に接触する面接触プローブが開示されている。面接触プローブは、導電性を有したプローブ支持体と、プローブ支持体に一体的に設けられた弾性層と、少なくとも弾性層の表面に設けられて相手側電極に電気的に接触される導電層とを備える。プローブ支持体が帯状に構成され、弾性層が中空の凸状に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-196791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にLD(Laser Diode)の検査装置では、各LDチップをピックアップし検査ステージに置き、LDチップ上面の電極にプローブ針を押し当てて検査を実施する。このような検査装置では、検査回数の増加に伴いプローブ針の先端が変形および摩耗することで、コンタクト不良が発生することがある。また、同一サンプルを複数回検査する際、電極面に凹凸が生じ、この凹凸が外観不良およびコンタクト不良の原因となることがある。
【0005】
プローブ先端形状の変更で摩耗による劣化を抑制できる。しかし、プローブ先端および電極の形状によっては、プローブと電極の接触面積が小さくなり、接触抵抗の増大が懸念される。特許文献1のプローブでは、支持体に半円形の弾性層を設置し、弾性層に金属皮膜を成膜することで、コンタクト時の電極の損傷を低減している。一方でチップを検査する際にはプローブを昇降させ、チップからチップへ移動させる必要がある。このため、プローブの昇降のための時間が必要となる。
【0006】
本開示は、検査時間を短縮できるプローブ、検査装置および半導体装置の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る検査装置は、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、を備え、前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、前記配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、前記導電軸は伸縮可能であることを特徴とする。
本開示に係る検査装置は、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、を備え、前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、前記配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、前記挿入部の断面形状、および前記穴の断面形状は多角形であることを特徴とする。
本開示に係る検査装置は、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、を備え、前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、前記配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、前記挿入部の側面には凹凸が設けられていることを特徴とする。
本開示に係る検査装置は、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、前記電極の上に設けられ、前記電極を露出させる第1スリットが形成されたカバーと、を備え、前記第1スリットは、前記プローブが前記第1スリットを介して前記電極と接触可能な形状であることを特徴とする。
本開示に係る検査装置は、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたプローブと、前記導電体と電気的に接続され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線と、を備え、前記プローブには、前記側面の全周にわたって第2スリットが形成され、前記配線は、前記プローブが挿入された状態で前記第2スリットに配置される環状部と、前記環状部から延びる導電軸と、を有することを特徴とする。
【0008】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成されたプローブの前記側面を、LDチップである半導体装置と接触させ、前記プローブの前記側面と前記半導体装置とが接触した状態で、前記半導体装置の上で、前記LDチップのレーザ光軸と交わる方向に前記プローブを転がして移動させて、前記側面の前記導電体を前記半導体装置の電極と接触させ、前記導電体を前記電極と接触させた状態で、前記半導体装置の検査を行い、前記プローブには、前記プローブの軸方向に延びる穴が形成され、前記プローブに電流を供給するように構成された配線は、前記穴に挿入されて前記導電体と電気的に接続される挿入部と、前記挿入部から前記プローブの外側に延びる導電軸と、を有し、前記導電軸は伸縮可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るプローブおよび半導体装置の製造方法では、プローブが測定対象の上を転がって移動して、プローブ側面の導電体が測定対象の電極と接触する。このため、次のチップへの移動の際にプローブの昇降が必要ない。従って、検査時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る検査装置の斜視図である。
図2】実施の形態1に係るプローブの断面図である。
図3】実施の形態1に係るプローブの側面図である。
図4】実施の形態1に係る導電軸の構造を説明する図である。
図5】実施の形態1に係るプローブの動作を説明する正面図である。
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係るプローブと出射光の関係を説明する平面図である。
図8】実施の形態1に係るプローブとPDの動作を説明する平面図である。
図9】実施の形態1の変形例に係る検査ステージの動作を説明する平面図である。
図10A】実施の形態1に係るプローブの断面の例を示す図である。
図10B】実施の形態1に係るプローブの断面の例を示す図である。
図11】実施の形態2に係る検査装置の斜視図である。
図12】実施の形態2に係るプローブの動作を説明する正面図である。
図13】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図14】実施の形態3に係る検査装置の断面図である。
図15】実施の形態4に係る検査装置の斜視図である。
図16】実施の形態4に係るプローブの側面図である。
図17】実施の形態4に係るプローブの動作を説明する正面図である。
図18A】実施の形態4に係るガイドの機能を説明する図である。
図18B】実施の形態4に係るガイドの機能を説明する図である。
図19A】実施の形態4に係るガイドの機能を説明する図である。
図19B】実施の形態4に係るガイドの機能を説明する図である。
図20】実施の形態5に係る検査装置の斜視図である。
図21】実施の形態5に係るプローブの断面図である。
図22】実施の形態5に係るプローブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各実施の形態に係るプローブ、検査装置および半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る検査装置100の斜視図である。検査装置100は、検査ステージ10と、プローブ20と、プローブ20に電流を供給するように構成された配線30を備える。検査ステージ10上には複数の半導体装置50が並べられる。半導体装置50は例えばLDチップである。検査時には半導体装置50の上面側の電極51とプローブ20が接触し、半導体装置50の裏面側の電極と検査ステージ10が接触する。この状態で、電源60から配線30、プローブ20および検査ステージ10を介して、半導体装置50に電流が供給され、検査が実施される。このとき、例えば検査ステージ10がGNDとなる。
【0013】
図2は、実施の形態1に係るプローブ20の断面図である。プローブ20は、柱状であり、例えば全体が導電体で形成されている。プローブ20は例えば円柱型である。また、プローブ20には、プローブ20の軸方向に延びる穴22が形成されている。配線30は穴22に挿入されて、プローブ20と電気的に接続される。プローブ20は全体が導電体で形成されていなくても良い。少なくともプローブ20の側面21の一部が導電体で形成されていれば良く、配線30は側面21の導電体と電気的に接続されていれば良い。
【0014】
プローブ20は、測定対象である半導体装置50の上を転がって移動して、側面21の導電体が測定対象の電極51と接触するように構成されている。プローブ20は、ローラー型と言っても良い。
【0015】
図3は、実施の形態1に係るプローブ20の側面図である。配線30は、プローブ20の穴22に挿入されてプローブ20の側面21の導電体と電気的に接続される挿入部32と、挿入部32からプローブ20の外側に延びる導電軸31を有している。プローブ20の穴22はプローブ20を軸方向に貫通している。これに限らず、プローブ20の穴22は、プローブ20の両端面にそれぞれ形成され、プローブ20を軸方向に貫通していなくても良い。ただし、穴22の形成プロセスを考慮すると、貫通した穴22の方が形成位置のズレを抑制し易い。
【0016】
また、プローブ20と配線30は着脱可能に設けられても良い。これにより、プローブ20の劣化または損傷時に、配線30からプローブ20を取り外して、プローブ20のみを交換することができる。例えば、配線30をプローブ20の両側に1本ずつ設けることで、図3の矢印に示されるように、配線30を容易に取り外すことができる。これに限らず、プローブ20の穴22が軸方向に貫通している場合には、配線30はプローブ20の穴22を貫通するように1本設けられても良い。
【0017】
導電軸31は移動機構61に接続される。移動機構61は導電軸31を半導体装置50の整列方向に沿って移動させるように構成されている。移動機構61によって導電軸31が移動することで、プローブ20は挿入部32を軸として電極51の上を転がるように構成されている。
【0018】
図4は、実施の形態1に係る導電軸31の構造を説明する図である。導電軸31は伸縮可能であっても良い。例えば導電軸31は2重構造になっており、図4の矢印に示されるように伸縮する。これにより、図4に示されるようにプローブ20が傾いて電極51に片当たりした際に、プローブ20の傾きを解消する方向に力が働く。従って、電極51への片当たりを防止することができる。
【0019】
図5は、実施の形態1に係るプローブ20の動作を説明する正面図である。図6は、実施の形態1に係る半導体装置50の製造方法を示すフローチャートである。図5、6を用いて、半導体装置50の検査方法を説明する。まず検査ステージ10上に複数の半導体装置50を並べる(ステップ1)。つまり、複数の半導体装置50をプローブ20の移動方向に並べる。なお、図5では、複数の半導体装置50のうち半導体装置50a、50bのみが示されている。
【0020】
次に、プローブ20を半導体装置50aの上方から半導体装置50aとコンタクトさせる(ステップ2)。つまり、プローブ20の側面21を、半導体装置50aの電極51と接触させる。この際、例えば側面21の一部のみが導電体で形成されている場合には、側面21の導電体が半導体装置50aの電極51と接触するまで、半導体装置50aの上でプローブ20を転がして移動させても良い。
【0021】
次に、プローブ20と電極51がコンタクトした状態で、配線30を介してプローブ20に電流を供給して半導体装置50aの検査を行う(ステップ3)。次に、プローブ20の側面21と半導体装置50aとが接触した状態で、図5の矢印に示されるように、複数の半導体装置50の上でプローブ20を転がして移動させる(ステップ4)。これにより、プローブ20の側面21の導電体を隣の半導体装置50bの電極51と接触させる(ステップ5)。次に、プローブ20の導電体を電極51と接触させた状態で、ステップ3と同様に、半導体装置50bの検査を行う(ステップ6)。
【0022】
ステップ4~6を繰り返すことで、検査ステージ10上に並んだ複数の半導体装置50を検査することが出来る。つまり、プローブ20の移動方向に並んだ複数の半導体装置50にわたって、プローブ20を転がして移動させて、複数の半導体装置50の検査を行う。
【0023】
次に、本実施の形態の効果を説明する。本実施の形態によれば、プローブ20の軸方向の長さの設計により、針状プローブと比較して電極51との接触面積を増大させることができる。これにより、接触抵抗を低減でき、電極51への局所的な圧力を低減させ、電極51の損傷を抑制できる。また、プローブ20の変形および摩耗を抑制できる。
【0024】
また、プローブ20が測定対象の上を転がって移動して、プローブ20の側面21の導電体が測定対象の電極51と接触する。このため、次のチップへの移動の際にプローブ20の昇降が必要ない。従って、検査時間を短縮できる。なお、複数の半導体装置50は、プローブ20が転がった際に半導体装置50間の隙間に落ちない程度に、近い距離に配置されると良い。LDチップである半導体装置50がバー状態であっても本実施の形態の検査方法を適用することができる。
【0025】
さらに、プローブ20が配線30から取り外し可能なため、プローブ20のみを交換することができる。従って、コストを削減することができる。
【0026】
図7は、実施の形態1に係るプローブ20と出射光55の関係を説明する平面図である。プローブ20の軸方向の長さは、測定対象であるレーザの出射光55と干渉しないように設定されていても良い。本実施の形態のプローブ20は容易に長さを変更できる。例えば平面視において、プローブ20がLDチップからはみ出さないように設計されても良い。
【0027】
また、図7に示されるように、プローブ20は、基本的にはレーザ光軸に対して平行に配置される。これに限らず、出射光55に干渉しなければプローブ20はレーザ光軸に対して多少斜めに配置されても良い。また、検査時には、活性層へ負荷低減のために、チップ中央、つまり活性層の直上からプローブ20の位置をずらしても良い。
【0028】
図8は、実施の形態1に係るプローブ20とPD(Photo Diode)62の動作を説明する平面図である。検査時には、プローブ20に電流が供給されることで、LDチップである半導体装置50から出射光55が出射される。この出射光55をPD62で検出することで検査が行われる。この際、図8の矢印に示されるように、プローブ20の移動に合わせてPD62も移動する。これにより、プローブ20の移動に合わせた検査が可能となる。
【0029】
図9は、実施の形態1の変形例に係る検査ステージ10の動作を説明する平面図である。プローブ20とPD62の位置を固定して、検査ステージ10を移動させても良い。この場合も、相対的に複数の半導体装置50の上をプローブ20が転がって移動すると言える。
【0030】
また、プローブ20の穴22および配線30の挿入部32の形状は、お互いに確実に接触可能な形状であると良い。図10A図10Bは、実施の形態1に係るプローブの断面の例を示す図である。図10Aの例では、挿入部32aの断面形状、およびプローブ20aの穴22aの断面形状は八角形である。これに限らず、挿入部32aの断面形状、およびプローブ20aの穴22aの断面形状は多角形であれば良い。図10Bの例では、プローブ20の穴22の断面形状は円形であり、挿入部32bの側面には凹凸が設けられている。挿入部32bの断面形状は花びら型であると言っても良い。
【0031】
本実施の形態では、プローブ20が円柱型の例について説明したが、プローブ20は半導体装置50の上を転がって移動可能であれば、断面形状が多角形である角柱型であっても良い。また、配線30として、プローブ20の側面21の導電体と電気的に接続され、プローブ20に電流を供給可能なあらゆる配線を採用できる。また、本実施の形態では移動機構61は導電軸31を介してプローブ20を回転させ移動させたが、プローブ20を回転させ移動させる手段は導電軸31を介したものに限定されない。また、半導体装置50はレーザでは無くても良い。本実施の形態の測定対象として、上面に電極51が形成されたあらゆる半導体装置を採用することができる。
【0032】
上述した変形は、以下の実施の形態に係るプローブ、検査装置および半導体装置の製造方法について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係るプローブ、検査装置および半導体装置の製造方法については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0033】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る検査装置200の斜視図である。検査装置200は、電極51の上に設けられ、電極51を露出させるスリット241が形成されたカバー240を備える点が実施の形態1の検査装置100と異なる。スリット241は、プローブ20がスリット241を介して電極51と接触可能な形状である。電流リーク防止のため、カバー240は不導体または絶縁体で形成されている。カバー240はLD出射光と干渉しない程度の寸法に設計されていると良い。他の構成は検査装置100の構成と同様である。
【0034】
図12は、実施の形態2に係るプローブ20の動作を説明する正面図である。図13は、実施の形態2に係る半導体装置50の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態の製造方法は、チップを並べたあと、電極51上にカバー240を配置すること(ステップ10)が、実施の形態1の製造方法と異なっている。他のステップは実施の形態1のステップと同様である。なお、本実施の形態では、ステップ2、5においてスリット241にプローブ20が嵌ると、検査が開始される(ステップ3、6)。
【0035】
本実施の形態によれば、隣接チップ間の隙間にプローブ20が落ちることを防止できる。また、プローブ20が転がった際にカバー240のスリット241に嵌ることで、電極51と任意の位置でコンタクトすることができる。また、プローブ20がLDチップからはみ出すことを防止することができる。
【0036】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係る検査装置300の断面図である。検査装置300は、プローブ320と、電極51を露出させるスリット341が形成されたカバー340を備える。プローブ320は例えば軸方向からみて多角形である。スリット341は、プローブ320の外形である多角形に対応する形状である。例えばスリット341は、図14に示されるように、プローブ320の側面のうち隣接する3つの面が形成する部分が嵌ることが可能な形状である。他の構成は実施の形態2の構成と同様である。図14の例では、プローブ320は軸方向からみて八角形であるが、プローブ320はカバー340の上を転がることが可能であれば、あらゆる多角形であって良い。
【0037】
本実施の形態によれば、プローブ320を多角形にすることで、電極51との接触面積を増大させることができる。また、カバー340のスリット341の形状を、プローブ320の断面形状と合わせることで、接触面積を確保できる。
【0038】
なお、プローブ320の角の数が少ない場合は、転がす際の障害となる可能性がある。このため、プローブ320を滑らかに転がるような形状とすると良い。例えば、多角形の角は丸まっていても良い。
【0039】
実施の形態4.
図15は、実施の形態4に係る検査装置400の斜視図である。図16は、実施の形態4に係るプローブ420の側面図である。プローブ420には、側面421の全周にわたってスリット423が形成されている。スリット423は、例えばプローブ420の軸方向の中央を含む位置に形成される。配線430は、環状部433と、環状部433から延びる導電軸431とを有している。環状部433には、プローブ420が挿入される。環状部433は、プローブ420が挿入された状態でスリット423に配置される。
【0040】
プローブ420は、少なくとも側面421の一部と、環状部433が配置されるスリット423の底部が導電体で形成されている。側面421の導電体と、スリット423の底部の導電体は電気的に接続されている。これにより、側面421の導電体と配線430を電気的に接続することができる。実施の形態1と同様に、プローブ420は、導電軸431が移動することで電極51の上を転がるように構成されている。
【0041】
検査装置400は、測定対象のうちプローブ420の軸方向の両側に設けられ、プローブ420をガイドするガイド部442を備える。ガイド部442は、例えば検査ステージ10に設けられた支持部443によって支持されている。図17は、実施の形態4に係るプローブ420の動作を説明する正面図である。本実施の形態では、ステップ3においてプローブ420を検査ステージ10に固定されたガイド部442の間に下ろし、電極51とコンタクトさせる。つまり、プローブ420は、ガイド部442に挟まれた状態で電極51とコンタクトする。プローブ420は、ガイド部442の間を転がって隣の半導体装置50に移動する。
【0042】
電流リーク防止のため、ガイド部442は不導体または絶縁体で形成されている。また、ガイド部442には、測定対象であるレーザの光出射部に対応する位置に切り欠き444が形成されている。これにより、レーザ出射光とガイド部442の干渉を抑制している。
【0043】
図18A図18B図19Aおよび図19Bは、実施の形態4に係るガイド部442の機能を説明する図である。図18Aに示されるように、プローブ420が半導体装置50の上面と垂直な方向に傾いた場合にも、図18Bに示されるようにガイド部442で傾きを補正できる。また、図19Aに示されるように、プローブ420が半導体装置50の上面と平行な方向に傾いた場合にも、図19Bに示されるようにガイド部442で傾きを補正できる。このように、ガイド部442を設けることで、配線430が一か所に設けられる場合にも安定してプローブ420を転がすことができる。
【0044】
本実施の形態によれば、実施の形態1と比べて配線430の数を減らすことができる。従って、コストを低減させることができる。また、プローブ420がガイド部442間を転がることで、レーザ光軸に対してプローブ420を常に平行に保つことができる。また、ガイド部442の切り欠き444により、LD出射光のケラレを抑制できる。
【0045】
なお、本実施の形態の配線430についても、プローブ420から着脱可能であっても良い。例えば環状部433はプローブ420から取り外すことが出来ても良い。
【0046】
実施の形態5.
図20は、実施の形態5に係る検査装置500の斜視図である。図21は、実施の形態5に係るプローブ520の断面図である。図22は、実施の形態5に係るプローブ520の側面図である。本実施の形態では、プローブ520の構成が実施の形態4と異なる。また、図20の例ではガイド部442が設けられていない。これに限らず、本実施の形態においてもガイド部442を設けても良い。他の構成は実施の形態4の構成と同様である。
【0047】
プローブ520は、柱状の回転体524と、回転体524の側面を覆う導電体525を有している。導電体525は、例えば回転体524の側面全体を覆う。回転体524の材質は限定されない。回転体524は、電極51上を転がるためことが可能なように、電極51とのコンタクト時に形状を保持できる程度の硬度を有する材質で形成されると良い。回転体524は、必要な硬度が確保できれば、ゴム、樹脂等の弾性素材で形成されても良い。
【0048】
導電体525は交換可能に設けられている。導電体525は、例えば金属薄膜を回転体524にラミネートして形成される。または表面コーティングまたは貼り付けにより導電体525を形成しても良い。
【0049】
実施の形態4と同様に、プローブ520には、側面521の全周にわたってスリット523が形成されている。配線430の環状部433に、プローブ520が挿入される。環状部533は、プローブ520が挿入された状態でスリット523に配置される。プローブ520は、環状部433が導電体525と接触できるように構成されている。具体的には、導電体525を形成する際、スリット523両側の側面521に加えて、スリット523内部にも金属薄膜を形成する。
【0050】
本実施の形態では、回転体524を安価な材料で形成し、その周りを導電体525で覆う。このような構造によれば、プローブ520の表面に損傷、汚れた等が生じた場合に導電体525のみを交換すれば良い。このため、コスト低減が期待できる。また、回転体524に弾性素材を用いた場合は、電極51の損傷を抑制できる。
【0051】
各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0052】
10 検査ステージ、20 プローブ、20a プローブ、21 側面、22 穴、22a 穴、30 配線、31 導電軸、32 挿入部、32a 挿入部、32b 挿入部、50、50a、50b 半導体装置、51 電極、55 出射光、60 電源、61 移動機構、100、200 検査装置、240 カバー、241 スリット、300 検査装置、320 プローブ、340 カバー、341 スリット、400 検査装置、420 プローブ、421 側面、423 スリット、430 配線、431 導電軸、433 環状部、442 ガイド部、443 支持部、444 切り欠き、500 検査装置、520 プローブ、521 側面、523 スリット、524 回転体、525 導電体、533 環状部
【要約】
本開示に係るプローブは、柱状であり、少なくとも側面の一部が導電体で形成され、測定対象の上を転がって移動して、前記側面の前記導電体が前記測定対象の電極と接触するように構成されたことを特徴とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22