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<図1>
  • 特許-乾式床受け梁と、梁と床の納まり構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】乾式床受け梁と、梁と床の納まり構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20241224BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
E04B1/00 501N
E04B5/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020151858
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046032
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】兪 東延
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 博之
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-144128(JP,A)
【文献】特開平09-221863(JP,A)
【文献】実開昭59-160712(JP,U)
【文献】特開平08-218487(JP,A)
【文献】実開昭63-071301(JP,U)
【文献】特開2013-028932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00- 1/61
E04B 5/00- 5/48
E04F 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のフランジとウエブを備えるH形鋼により形成される、梁本体と、
前記梁本体の長手方向に間隔を置いて前記ウエブの一方の広幅面に設けられている、断面形状が略コの字状の複数の箱形下地材と、を有し、
前記箱形下地材を構成する縦片には、落とし込み式の乾式床を支持する通し床受け材が取り付けられるようになっており、
前記縦片が、前記フランジの端部と面一もしくは該端部よりも外側の位置に配設されており、
略コの字状の前記箱形下地材は、上横片と前記縦片を備える断面形状がL型の鋼材の該縦片の途中位置に、下横片が固定されることにより形成されており、
前記下横片と前記縦片により形成される隙間は、他部材との干渉防止用の隙間であることを特徴とする、乾式床受け梁。
【請求項2】
複数の前記箱形下地材の前記縦片に対して、前記梁本体の長手方向に延設する前記通し床受け材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の乾式床受け梁。
【請求項3】
前記ウエブのうち、前記箱形下地材が取り付けられている広幅面と反対側の広幅面において、壁を支持する壁支持材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾式床受け梁。
【請求項4】
前記箱形下地材の内部において、該箱形下地材を構成する、上横片と、前記縦片と、下横片に固定されている補強リブが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乾式床受け梁。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乾式床受け梁と、該乾式床受け梁が支持する乾式床と、により構成される、梁と床の納まり構造であって、
前記乾式床が落とし込まれた状態で前記通し床受け材に載置固定されていることを特徴とする、梁と床の納まり構造。
【請求項6】
前記乾式床は、ALCパネル、プレキャストコンクリートパネルのいずれか一種であり、該乾式床が固定金具を介して前記通し床受け材の横片に固定されていることを特徴とする、請求項5に記載の梁と床の納まり構造。
【請求項7】
前記乾式床は、バルコニー床版であり、
前記乾式床受け梁は、バルコニー床梁であり、
前記バルコニー床版が前記バルコニー床梁よりも室内側に配置され、
前記バルコニー床梁よりも屋外側に腰壁が配置されており、
前記壁支持材が前記腰壁を支持していることを特徴とする、請求項3に記載の乾式床受け梁を有する場合の請求項5又は6に記載の梁と床の納まり構造。
【請求項8】
腰壁の左右にそれぞれ、外廊下もしくはバルコニーと陸屋根があり、
前記乾式床は、外廊下床版もしくはバルコニー床版であり、
前記乾式床受け梁は、外廊下床梁もしくはバルコニー床梁であり、
前記壁支持材が前記腰壁を支持していることを特徴とする、請求項3に記載の乾式床受け梁を有する場合の請求項5又は6に記載の梁と床の納まり構造。
【請求項9】
前記乾式床は、玄関土間床版であり、
前記乾式床受け梁は、玄関床梁であり、
前記玄関床梁の有する前記通し床受け材に前記玄関土間床版が載置固定され、該玄関床梁の上フランジに玄関床版が載置固定されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の梁と床の納まり構造。
【請求項10】
前記乾式床は、浴室床版であり、
前記乾式床受け梁は、浴室床梁であり、
前記浴室床梁の有する前記通し床受け材に前記浴室床版が載置固定され、該浴室床梁の上フランジに洗面室床版が載置固定されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の梁と床の納まり構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式床受け梁と、梁と床の納まり構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物において乾式床を適用する場合、梁の上面(H形鋼により形成される梁においては上フランジの上面)に乾式床の一部を載置することにより、梁と床の納まり構造が一般に形成されている。一方、バルコニーやユニットバス等において、床レベルをフラットにしたり、水勾配の確保や内部床との相対的なレベル関係の確保を図るために、一部の床が落とし込まれた梁と床の納まり構造が適用されることもある。このように、乾式床を落とし込んで梁に支持させる構造では、梁の天端ではなく、梁のウエブに固定されている床受け下地金具を介し、床受け下地金具に取り付けられている床受け金具を介して乾式床が落とし込まれた状態でウエブに固定されている。この梁と床の納まり構造の一例を、図1を参照して説明する。
【0003】
図1は、従来のバルコニーにおける、梁と床の納まり構造の一例を示す縦断面図である。図示する梁と床の納まり構造100では、H形鋼により形成される梁本体10のウエブ11の室内側の広幅面において、溝形鋼等により形成される複数の床受け下地金具21が取り付けられている。各床受け下地金具21には山形鋼等により形成されている床受け金具22が取り付けられており、床受け金具22に乾式床40が落とし込まれた状態で載置される。
【0004】
梁本体10のウエブ11の屋外側の広幅面には、山形鋼等により形成される腰壁受け下地金具23が固定され、腰壁受け下地金具23には同様に山形鋼等により形成される腰壁受け金具24が固定されている。上記するウエブ11と床受け下地金具21との固定や、ウエブ11と腰壁受け下地金具23との固定はいずれも、双方の金具に開設されているボルト孔を位置合わせし、ボルト接合することにより行われる。
【0005】
腰壁30は、腰壁フレーム31と、その室内側と屋外側にビス等により固定される腰壁パネル32と、それらの天端において止水材34を介して取り付けられている笠木35とを有し、腰壁フレーム31の脚部が腰壁受け金具24にボルト接合されることにより固定されている。梁本体10の上フランジ12の上面には、乾式床40の端部と腰壁フレーム31の間に亘る耐火被覆成形板36が配設され、乾式床40の上面と耐火被覆成形板36の上面がフラットになっている。腰壁30のうち、室内側の腰壁パネル32は途中位置で切れており、腰壁パネル32の下端には水切りカバー37eが取り付けられ、さらにその下方には防水下地合板37aが取り付けられている。乾式床40の上面と耐火被覆成形板36の上面には、防水下地材38aと防水シート38bが敷設され、バルコニーには所定の水勾配が設けられている。
【0006】
上記するように、ウエブ11の広幅面には複数の床受け下地金具21が梁本体10の長手方向に間隔を置いて取り付けられ、各床受け下地金具21に取り付けられている床受け金具22により乾式床40が落とし込まれた状態で支持されているが、従来の床受け下地金具21は一般に、ウエブ11の広幅面において305mm以下のピッチで固定されている。このことから、梁本体10のウエブ11には、多数の床受け下地金具21を取り付けるためのボルト孔が必要になるとともに、多数の床受け下地金具21を要するといった課題を有している。
【0007】
また、梁本体10のウエブ11には、配水管ダクト用の開口をはじめとする各種の設備貫通孔が設けられ得るが、ウエブ11に取り付けられる多数の床受け下地金具21が各種の設備貫通孔や他の取り付け金具等と干渉する可能性が高いといった課題も有している。
【0008】
ここで、特許文献1には、バルコニー床梁の上フランジにて腰壁(ここでは、手摺壁)を支持するとともに、上フランジからブラケットを介して乾式床を支持している、バルコニー緑化構造が提案されている。このバルコニー緑化構造では、手摺壁を構成する手摺支柱に対して添え柱の脚部が接合され、添え柱に取り付けられているブラケットに植栽受け梁が架け渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-127196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、バルコニー床梁のウエブに取り付けられている床受け下地金具を介して乾式床が落とし込まれた状態で支持される梁と床の納まり構造を開示するものでないことから、この乾式床の落とし込みを前提とした納まり構造において、梁のウエブに多数の床受け下地金具が取り付けられることに起因する様々な課題を解消するものではない。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、梁の途中位置に乾式床が落とし込まれた状態で固定される梁と床の納まり構造に関し、乾式床を支持するための多数の床受け下地金具を不要にでき、当該多数の床受け下地金具をウエブに取り付けるための多数のボルト孔を不要にできる乾式床受け梁と、この乾式床受け梁を備えている梁と床の納まり構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく、本発明による乾式床受け梁の一態様は、
上下のフランジとウエブを備えるH形鋼により形成される、梁本体と、
前記梁本体の長手方向に間隔を置いて前記ウエブの一方の広幅面に設けられている、断面形状がコの字状もしくは略コの字状の複数の箱形下地材と、を有し、
前記箱形下地材を構成する縦片には、落とし込み式の乾式床を支持する通し床受け材が取り付けられるようになっており、
前記縦片が、前記フランジの端部と面一もしくは該端部よりも外側の位置に配設されていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、梁本体のウエブの広幅面に対して、断面形状がコの字状もしくは略コの字状の複数の箱形下地材が設けられ、箱形下地材に対してウエブの長手方向に延設する通し床受け材が取り付けられるようになっていることから、乾式床を支持するための多数の床受け下地金具を不要にでき、各床受け下地金具をウエブにボルト接合するための多数のボルト孔を不要にできる。箱形下地材の断面形状がコの字状等を呈していることから、箱形下地材は高い剛性を有し、従って、従来の溝形鋼等により形成される床受け下地金具の配設ピッチ(305mm等かそれ以下)に比べて格段に長い、1m乃至1.5m程度のピッチでウエブに取り付けられることで足りる。ここで、「箱形下地材がウエブの一方の広幅面に設けられている」とは、箱形下地材がウエブに対して例えば溶接接合により固定されている形態等が含まれる。このように、箱形下地材がウエブの一方の広幅面に設けられていることから、ウエブに取り付け用のボルト孔を開設する必要はない。コの字状の箱形下地材は、例えば平鋼をコの字状に曲げ加工することにより形成でき、あるいは、三枚の平鋼を溶接することにより形成できる。
【0014】
また、本態様では、箱形下地材を構成する縦片が、乾式床受け梁の上下フランジの端部と面一もしくは該端部よりも外側の位置に配設されていることにより、縦片に対する通し床受け材の取り付け性が良好になる。さらに、縦片がウエブから比較的離れた位置にあることから、ウエブに取り付けられている他部材(ボルトを含む)と縦片が干渉することを抑制できる。
【0015】
また、本発明による乾式床受け梁の他の態様は、複数の前記箱形下地材の前記縦片に対して、前記梁本体の長手方向に延設する前記通し床受け材が取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、複数の箱形下地材の縦片に対して、梁本体の長手方向に延設する通し床受け材が取り付けられ、この通し床受け材に対して乾式床が落とし込まれた状態で載置されることから、通し床受け材にて乾式床を安定的に支持することができる。ここで、箱形下地材の縦片に対する通し床受け材の固定は、縦片に開設されているボルト孔に対して通し床受け材に開設されているボルト孔を位置合わせし、ボルト接合すること等により行われる。通し床受け材は、山形鋼等の形鋼材により形成され、落とし込みの態様により、山形鋼がL型に配設されて箱形下地材に取り付けられる使用形態と、山形鋼が逆L型に配設されて箱形下地材に取り付けられる使用形態がある。
【0017】
また、本発明による乾式床受け梁の他の態様は、前記ウエブのうち、前記箱形下地材が取り付けられている広幅面と反対側の広幅面において、壁を支持する壁支持材が取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、ウエブの一方の広幅面に複数の箱形下地材が固定され、ウエブの他方の広幅面には、建物の外壁やバルコニーを構成する腰壁、室内における界壁や間仕切り壁等、様々な壁を支持する壁支持材が取り付けられていることにより、乾式床受け梁が、落とし込み式の乾式床の支持機能と壁の支持機能の双方の機能を有することになる。ここで、壁支持材による壁の支持形態は、壁の下方の側方から壁の内部に進入して壁の構成部材とボルト接合される形態や、壁の下端を下方から支持する形態等がある。
【0019】
また、本発明による乾式床受け梁の他の態様は、前記箱形下地材の内部において、該箱形下地材を構成する、上横片と、前記縦片と、下横片に固定されている補強リブが設けられていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、コの字状もしくは略コの字状の箱形下地材の内部に一つもしくは複数の補強リブが設けられていることにより、より一層剛性の高い箱形下地材が形成される。ここで、箱形下地材を構成する上横片と、縦片と、下横片に対して、補強リブは溶接接合等により固定されるのが好ましい。
【0021】
また、本発明による乾式床受け梁の他の態様において、略コの字状の前記箱形下地材は、上横片と前記縦片を備える断面形状がL型の鋼材の該縦片の途中位置に、下横片が固定されることにより形成されており、
前記下横片と前記縦片により形成される隙間は、他部材との干渉防止用の隙間であることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、略コの字状の箱形下地材が、その下方において下横片と縦片により形成される隙間を備え、この隙間が例えば梁本体に接続される他部材(ボルトを含む)との干渉防止用の隙間であることにより、箱形下地材が他部材との干渉を回避しながら、乾式床を支持することが可能になる。
【0023】
また、本発明による梁と床の納まり構造の一態様は、
前記乾式床受け梁と、該乾式床受け梁が支持する乾式床と、により構成される、梁と床の納まり構造であって、
前記乾式床が落とし込まれた状態で前記通し床受け材に載置固定されていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、梁本体のウエブの広幅面に断面形状がコの字状等の複数の箱形下地材が固定されている乾式床受け梁を適用し、この箱形下地材に対してウエブの長手方向に延設する通し床受け材が取り付けられるようになっていることから、乾式床を支持するための多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、通し床受け材にて乾式床を安定的に支持することができる。
【0025】
また、本発明による梁と床の納まり構造の他の態様において、前記乾式床は、ALCパネル、プレキャストコンクリートパネルのいずれか一種であり、該乾式床が固定金具を介して前記フランジに固定されていることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、乾式床として、ALC(軽量気泡コンクリート、Autoclaved Light weight Concrete)床版(ALCパネル)やプレキャストコンクリート床版(PCa床版、PCaパネル)が適用されることにより、施工性が良好になるとともに、耐火性能に優れた梁と床の納まり構造を形成できる。
【0027】
また、本発明による梁と床の納まり構造の他の態様において、前記乾式床は、バルコニー床版であり、
前記乾式床受け梁は、バルコニー床梁であり、
前記バルコニー床版が前記バルコニー床梁よりも室内側に配置され、
前記バルコニー床梁よりも屋外側に腰壁が配置されており、
前記壁支持材が前記腰壁を支持していることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、梁本体のウエブの広幅面に断面形状がコの字状等の複数の箱形下地材が固定されている乾式床受け梁(バルコニー床梁)が適用されることにより、乾式床(バルコニー床版)を支持するための多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、腰壁が安定的に支持され、かつ所定の水勾配を備えたバルコニーを形成することができる。
【0029】
また、本発明による梁と床の納まり構造の他の態様は、腰壁の左右にそれぞれ、外廊下もしくはバルコニーと陸屋根があり、
前記乾式床は、外廊下床版もしくはバルコニー床版であり、
前記乾式床受け梁は、外廊下床梁もしくはバルコニー床梁であり、
前記壁支持材が前記腰壁を支持していることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、腰壁(手摺腰壁)の左右の一方に陸屋根があり、他方に集合住宅の外廊下やバルコニーがある形態においても、梁本体のウエブの広幅面に断面形状がコの字状等の複数の箱形下地材が固定されている乾式床受け梁(外廊下床梁もしくはバルコニー床梁)が適用されることにより、乾式床(外廊下床版もしくはバルコニー床版)を支持するための多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、腰壁が安定的に支持され、かつ所定の水勾配を備えた陸屋根と外廊下もしくはバルコニーの双方を形成することができる。
【0031】
また、本発明による梁と床の納まり構造の他の態様において、前記乾式床は、玄関土間床版であり、
前記乾式床受け梁は、玄関床梁であり、
前記玄関床梁の有する前記通し床受け材に前記玄関土間床版が載置固定され、該玄関床梁の上フランジに玄関床版が載置固定されていることを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、梁本体のウエブの広幅面に断面形状がコの字状等の複数の箱形下地材が固定されている乾式床受け梁(玄関床梁)が適用されることにより、乾式床(玄関土間床版)を支持するための多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、玄関框を介して配設される玄関土間と玄関床を形成することができる。
【0033】
また、本発明による梁と床の納まり構造の他の態様において、前記乾式床は、浴室床版であり、
前記乾式床受け梁は、浴室床梁であり、
前記浴室床梁の有する前記通し床受け材に前記浴室床版が載置固定され、該浴室床梁の上フランジに洗面室床版が載置固定されていることを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、梁本体のウエブの広幅面に断面形状がコの字状等の複数の箱形下地材が固定されている乾式床受け梁(浴室床梁)が適用されることにより、乾式床(浴室床版)を支持するための多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、ユニットバス等の浴室とこれに隣接する洗面室を形成することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上の説明から理解できるように、本発明の乾式床受け梁と、梁と床の納まり構造によれば、乾式床を支持するための多数の床受け下地金具を不要にでき、当該多数の床受け下地金具をウエブに取り付けるための多数のボルト孔を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来の梁と床の納まり構造の一例の縦断面図である。
図2】実施形態に係る乾式床受け梁の一例の分解斜視図であって、通し床受け材を二つの取り付け姿勢で示した図である。
図3】実施形態に係る乾式床受け梁の一例の斜視図である。
図4】箱形下地材の他の変形例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例の縦断面図である。
図6A】第2実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例の縦断面図である。
図6B】第2実施形態に係る梁と床の納まり構造の他の例の縦断面図である。
図7】第3実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例の縦断面図である。
図8】第4実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施形態に係る乾式床受け梁の一例と梁と床の納まり構造の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0038】
[実施形態に係る乾式床受け梁]
はじめに、図2乃至図4を参照して、実施形態に係る乾式床受け梁の一例について説明する。ここで、図2は、実施形態に係る乾式床受け梁の一例の分解斜視図であって、通し床受け材を二つの取り付け姿勢で示した図であり、図3は、実施形態に係る乾式床受け梁の一例の斜視図である。
【0039】
図示する乾式床受け梁15は、ウエブ11と上フランジ12と下フランジ13とを備えるH形鋼により形成される梁本体10と、ウエブ11の一方の広幅面に固定されている複数(図示例は二つ)の箱形下地材50と、各箱形下地材50に取り付けられる通し床受け材55とを有する。
【0040】
通し床受け材55は山形鋼により形成され、図2には、各箱形下地材50に取り付けられる二つの姿勢の通し床受け材55を示しており、一方(図2の中央図)は逆L型の姿勢で箱形下地材50に取り付けられるようになっており、他方(図2の下図)はL型の姿勢で箱形下地材50に取り付けられるようになっている。
【0041】
図2の中央図に示す通し床受け材55は、縦片56と上方の横片57(上横片)を有し、縦片56には、二つの箱形下地材50にボルト接合される二つ一組のボルト孔56aを二組備え、各組のボルト孔56aの中央位置には平面視三角形状の補強リブ58が溶接接合されている。この姿勢で各箱形下地材50にボルト接合される通し床受け材55において、上横片57の上面に乾式床が載置されることになる。
【0042】
一方、図2の下図に示す通し床受け材55は、縦片56と下方の横片57(下横片)を有し、縦片56には、二つの箱形下地材50にボルト接合される二つ一組のボルト孔56aを二組備えている。この姿勢で各箱形下地材50にボルト接合される通し床受け材55において、縦片56と下横片57の上面の間に乾式床が落とし込まれて載置されることになる。
【0043】
箱形下地材50は、断面形状がコの字状を呈し、縦片51と上横片52と下横片53とを有しており、コの字状の内側には平鋼により形成される補強リブ54が溶接接合されている。縦片51において、補強リブ54の左右位置にはボルト孔51aが開設されており、通し床受け材55の備えるボルト孔56aが位置合わせされてボルトが挿通されるようになっている。
【0044】
また、箱形下地材50を構成する縦片51は、梁本体10の上下のフランジ12,13の端部12a,13aと面一もしくは端部12a,13aよりも外側の位置に配設されている(ウエブ11からフランジ端部までの幅t1、ウエブ11から縦片51の外側面までの幅t2の際に、t2≧t1)。このことにより、縦片51に対する通し床受け材55の取り付け性が良好になるとともに、縦片51がウエブ11から比較的離れた位置にあることから、ウエブ11に取り付けられている他部材やボルト等と縦片51が干渉することを抑制できる。
【0045】
梁本体10のウエブ11の広幅面に対して、箱形下地材50の上横片52と下横片53と補強リブ54の端片が溶接接合されている。尚、本明細書において、「溶接」とは、開先溶接(完全溶け込み溶接、部分溶け込み溶接)や隅肉溶接など、接合部に要求される強度や接合態様(剛接続、ピン接続)に応じて選択される適宜の溶接を示す。
【0046】
例えば、図2に示す梁本体10に取り付けられている箱形下地材50に対して、図2の中央図に示す通し床受け材55を位置合わせし、対応するボルト孔51a、56aにボルトを挿通してナット締め(ボルトナット59による接合)することにより、図3に示す乾式床受け梁15が形成される。
【0047】
ここで、図示例の乾式床受け梁15は、梁本体10のウエブ11に二つの箱形下地材50が接合されている形態であるが、乾式床受け梁15の長さ等に応じて、三つ以上の箱形下地材50が接合されてもよい。箱形下地材50の断面形状がコの字状等を呈していることから、箱形下地材50は高い剛性を有している。そのため、従来の溝形鋼等により形成される床受け下地金具の配設ピッチ(305mm等かそれ以下)に比べて格段に長い、1m乃至1.5m程度のピッチでウエブ11に取り付けることができる。
【0048】
図3に示すウエブ11の他方の広幅面(箱形下地材50が接合されていない側の広幅面)には、壁を支持する壁支持材60(図5等参照)がウエブ11に対してボルト接合等により取り付けられている。このように、ウエブ11の他方の広幅面に壁支持材60が取り付けられている形態の乾式床受け梁15は、落とし込まれた状態の乾式床の支持機能と、腰壁等の壁の支持機能の双方の機能を有する。
【0049】
図4には、箱形下地材の他の変形例を示している。図4に示す箱形下地材50Aは、略コの字状の箱形下地材であり、平鋼が曲げ加工等により形成された断面形状がL型(逆L型)の上横片52と縦片51を有し、縦片51の途中位置に別途の平鋼からなる下横片53Aが溶接により取り付けられている。より詳細には、上横片52及び縦片51の内側の中央位置に平鋼により形成される補強リブ54が溶接接合されており、二つの下横片53Aが縦片51と補強リブ54にそれぞれ溶接接合されることにより、箱形下地材50Aが形成される。
【0050】
箱形下地材50Aによれば、図2に示す箱形下地材50に比べて下横片53Aが上方に位置していることから、下横片53Aの下方に隙間Gが形成される。このことにより、箱形下地材50を適用した際にその下横片53が他の金具やボルト等と干渉する場合に、箱形下地材50Aを適用することでこのような他部材との干渉を解消することができる。
【0051】
乾式床受け梁15によれば、梁本体10のウエブ11の広幅面に対して、断面形状がコの字状もしくは略コの字状の複数の箱形下地材50,50Aが固定され、箱形下地材50,50Aに対してウエブ11の長手方向に延設する通し床受け材55が取り付けられるようになっていることから、乾式床を支持するための多数の床受け下地金具を不要にでき、各床受け下地金具をウエブにボルト接合するための多数のボルト孔を不要にできる。
【0052】
[実施形態に係る梁と床の納まり構造]
次に、図5乃至図8を参照して、各実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例について説明する。
【0053】
<第1実施形態に係る梁と床の納まり構造>
まず、図5を参照して、第1実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例について説明する。ここで、図5は、第1実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例の縦断面図である。
【0054】
図5に示す梁と床の納まり構造200は、図1と同様にバルコニー床梁とバルコニー床版の納まり構造の一例である。梁と床の納まり構造200では、バルコニー床梁15A(乾式床受け梁の一例)の備える通し床受け材55に対して、バルコニー床版40A(乾式床の一例)が落とし込まれた状態で載置されている。
【0055】
バルコニー床版40Aには貫通孔41が開設されており、貫通孔41に落とし込まれた固定金具42の先端が通し床受け材55の横片57(上横片)の下面に係合することにより、バルコニー床版40Aがバルコニー床梁15Aに固定されている。
【0056】
ここで、バルコニー床版40Aには、ALC床版(ALCパネル)やプレキャストコンクリート床版(PCaパネル)が適用される。
【0057】
一方、バルコニー床梁15Aを構成する梁本体10のウエブ11の屋外側の広幅面には、固定片61を介して壁支持材60がボルトナット62により取り付けられており、屋外側に張り出す壁支持材60がバルコニーの腰壁30を支持している。腰壁30は、腰壁フレーム31と、その室内側と屋外側にビス等により固定される腰壁パネル32と、それらの天端において止水材34を介して取り付けられている笠木35とを有し、腰壁フレーム31の脚部が壁支持材60にボルト接合されることにより固定されている。
【0058】
バルコニー床梁15Aの上フランジ12の上面には、バルコニー床版40Aの端部と腰壁30の間に亘る耐火被覆成形板36が配設され、バルコニー床版40Aの上面と耐火被覆成形板36の上面がフラットになっている。腰壁30のうち、室内側の腰壁パネル32は途中位置で切れており、腰壁パネル32の下端には水切りカバー37eが取り付けられ、さらにその下方には防水下地合板37aと立ち上がり防水下地板37bが取り付けられ、これらが立ち上がり防水シート37c、37dにて被覆されている。バルコニー床版40Aの上面と耐火被覆成形板36の上面には、防水下地材38aと防水シート38bが敷設され、所定の水勾配が設けられている。
【0059】
梁と床の納まり構造200によれば、複数の箱形下地材50を備えているバルコニー床梁15Aにてバルコニー床版40Aが落とし込まれた状態で支持されるとともに、バルコニー床梁15Aの備えている壁支持材60にてバルコニーの腰壁30が支持されていることから、多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、腰壁30が安定的に支持され、かつ所定の水勾配を備えたバルコニーが形成される。
【0060】
<第2実施形態に係る梁と床の納まり構造>
次に、図6A図6Bを参照して、第2実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例と他の例について説明する。ここで、図6A図6Bはそれぞれ、第2実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例と他の例の縦断面図である。
【0061】
図6Aに示す梁と床の納まり構造300は、手摺腰壁である腰壁30の左右の一方(図示例は左側)に陸屋根があり、他方に集合住宅のバルコニーがある形態における、梁と床の納まり構造である。バルコニー側においては、図5に示す梁と床の納まり構造200とほぼ同様の構造を有しており、バルコニー床梁15Aの備える通し床受け材55に対して、バルコニー床版40Aが落とし込まれた状態で載置されており、所定の水勾配を有するバルコニーが形成されている。
【0062】
一方、腰壁30の下方には腰壁と同程度の幅を有する乾式床45'が配設されており、バルコニー床梁15Aの有する壁支持材60が乾式床45'を下方から支持している。
【0063】
腰壁30の左側には所定の水勾配を有する陸屋根が設けられているが、この陸屋根において、H形鋼により形成される床梁10'の上フランジ12'の上面に乾式床45が載置され、乾式床45には貫通孔41が開設されており、貫通孔41に落とし込まれた固定金具42の先端が上フランジ12'の下面に係合することにより、乾式床45が床梁10'に固定されている。乾式床45の上面には、勾配断熱材38cが載置され、その上に防水下地材38aと防水シート38bが敷設されている。
【0064】
一方、図6Bに示す梁と床の納まり構造400は、手摺腰壁である腰壁30の左右の一方(図示例は左側)に陸屋根があり、他方に集合住宅の外廊下がある形態における、梁と床の納まり構造である。外廊下側においては、図6Aに示す梁と床の納まり構造300と同様の構造を有しており、外廊下床梁15Bの備える通し床受け材55に対して、外廊下床版40Bが落とし込まれた状態で載置されており、所定の水勾配を有する外廊下が形成されている。また、腰壁30の左側には、図6Aと同様に所定の水勾配を有する陸屋根が設けられている。
【0065】
梁と床の納まり構造300、400によっても、複数の箱形下地材50を備えているバルコニー床梁15Aや外廊下床梁15Bにてバルコニー床版40Aや外廊下床版40Bが落とし込まれた状態で支持されるとともに、バルコニー床梁15Aや外廊下床梁15Bの備えている壁支持材60にて腰壁30が支持されていることから、多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、腰壁30が安定的に支持され、かつ所定の水勾配を備えたバルコニーや外廊下が形成される。
【0066】
<第3実施形態に係る梁と床の納まり構造>
次に、図7を参照して、第3実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例と他の例について説明する。ここで、図7は、第3実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例と他の例の縦断面図である。
【0067】
図7に示す梁と床の納まり構造500は、ユニットバスを構成する浴室と、浴室の一方側(図示例は右側)にある洗面室と、浴室の他方側(図示例は左側)にある外壁及び内壁とを備えている形態において、左右二本の浴室床梁15C,15C'に対して落とし込まれた状態の浴室床版40Cが支持されている、梁と床の納まり構造である。
【0068】
洗面室側の浴室床梁15Cを構成する梁本体10のウエブ11において、浴室側である左側の広幅面に複数の箱形下地材50が接合され、各箱形下地材50に対して通し床受け材55がL型の姿勢で配設され、ボルトナット59を介して取り付けられている。
【0069】
一方、外壁側の浴室床梁15C'を構成する梁本体10のウエブ11において、浴室側である右側の広幅面に複数の箱形下地材50が接合され、各箱形下地材50に対して通し床受け材55がL型の姿勢で配設され、ボルトナット59を介して取り付けられている。
【0070】
左右にある通し床受け材55に対して浴室床版40Cが落とし込まれた状態で載置されている。浴室床版40Cには貫通孔41が開設されており、貫通孔41に落とし込まれた固定金具42の先端が通し床受け材55の横片57(下横片)の下面に係合することにより、浴室床版40Cが左右の浴室床梁15C、15C'に固定されている。
【0071】
浴室床梁15Cにおいて、梁本体10の上フランジ12の上面には洗面室用の乾式床46(洗面室床版)が載置され、乾式床46と浴室床版40Cの間の隙間を縦に立設した乾式床48が閉塞している。乾式床46には貫通孔41が開設されており、貫通孔41に落とし込まれた固定金具42の先端が上フランジ12の下面に係合することにより、乾式床46が浴室床梁15Cに固定されている。乾式床46の上面には、複数の床構成材が順に敷設されて洗面室を形成し、洗面室と浴室を開閉自在に繋ぐ浴室ドア72が設けられている。浴室床梁15Cの周囲には耐火被覆材67が配設されており、耐火被覆材67は、乾式床46の下面にその一端近傍が固定され、浴室床梁15Cの洗面室側の側方から下フランジ13の下面に亘り、さらに浴室床版40Cの下面に亘って包囲している。尚、図示を省略するが、例えば紙面奥側に間仕切り壁があり、間仕切り壁が乾式床46に支持されていてもよい。
【0072】
一方、浴室床梁15C'において、梁本体10の上フランジ12の上面には耐火被覆成形板65を介して薄厚の乾式床47が載置されており、乾式床47と浴室床版40Cの間の隙間を縦に立設した乾式床48が閉塞している。
【0073】
乾式床47には内壁73が支持されており、内壁73は、金属製のスタッド74a及び内壁ランナー74bと、石膏ボード等により形成される内壁ボード74cとを有する。
【0074】
浴室床梁15C'において、ウエブ11の外壁側の広幅面には、曲げ加工されたガセットプレートにより形成される複数の壁支持材60が梁本体10の長手方向に間隔を置いてボルト接合されており、各壁支持材60は外壁側に張り出している。そして、各壁支持材60の外壁側の隅角部には、山形鋼(形鋼材の一例)により形成される取り付け金具63が溶接により取り付けられている。
【0075】
梁本体10の長手方向に間隔を置いて取り付けられている、複数の壁支持材60の備える取り付け金具63に対して、外壁75の幅方向に延設する通し金具である外壁受け金具64が取り付けられている。より具体的には、外壁受け金具64も山形鋼により形成されており、双方の金具に開設されているボルト孔(図示せず)にボルトが挿通され、ナット締めされることにより(ボルトナット62により)、外壁75が外壁受け金具64に対してボルト接合されている。外壁受け金具64が複数の壁支持材60に固定されている通し金具であることにより、外壁75の全域を外壁受け金具17により固定することができる。
【0076】
外壁75は、外壁パネル76aとパネルフレーム76bと断熱材76cとを有している。外壁パネル76aは、例えば窯業系もしくは金属系のサイディングボードにより形成される。また、パネルフレーム76bは、溝形鋼を枠状に組み付けることにより形成されている。また、断熱材76cは、グラスウールやロックウール等により形成されている。
【0077】
また、乾式床47の一端と外壁75との間のデッドスペースSには、ロックウール等により形成されている断熱吸音ボード66が配設されている。
【0078】
梁と床の納まり構造500によっても、複数の箱形下地材50を備えている浴室床梁15C,15C'にて浴室床版40Cが落とし込まれた状態で支持されていることから、多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、洗面室と浴室が形成される。
【0079】
<第4実施形態に係る梁と床の納まり構造>
次に、図8を参照して、第4実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例と他の例について説明する。ここで、図8は、第4実施形態に係る梁と床の納まり構造の一例と他の例の縦断面図である。
【0080】
図8に示す梁と床の納まり構造600は、玄関を構成する玄関土間と、玄関土間の一方側(図示例は右側)にある玄関床と、玄関土間の他方側(図示例は左側)にある玄関ドアとを備えている形態において、左右二本の玄関床梁15D,15D'に対して落とし込まれた状態の玄関土間床版40Dが支持されている、梁と床の納まり構造である。
【0081】
玄関床側の玄関床梁15Dを構成する梁本体10のウエブ11において、玄関土間側である左側の広幅面に複数の箱形下地材50が接合され、各箱形下地材50に対して通し床受け材55が逆L型の姿勢で配設され、ボルトナット59を介して取り付けられている。
【0082】
一方、玄関ドア側の玄関床梁15D'を構成する梁本体10のウエブ11において、玄関土間側である右側の広幅面に複数の箱形下地材50が接合され、各箱形下地材50に対して通し床受け材55が逆L型の姿勢で配設され、ボルトナット59を介して取り付けられている。
【0083】
左右にある通し床受け材55に対して玄関土間床版40Dが落とし込まれた状態で載置されている。玄関土間床版40Dには貫通孔41が開設されており、貫通孔41に落とし込まれた固定金具42の先端が通し床受け材55の横片57(上横片)の下面に係合することにより、玄関土間床版40Dが左右の玄関床梁15D、15D'に固定されている。
【0084】
玄関床梁15Dにおいて、梁本体10の上フランジ12の上面には玄関床用の乾式床46(玄関床版)が載置されている。玄関土間床版40Dの上面には土間モルタル78aが施工され、土間モルタル78aの上に複数のタイル78bが敷き並べられている。玄関土間床版40Dの上面のうち、玄関床側の端部近傍の上面には、桟木77aが設置され、合板77b、玄関框77cが順に積層されている。一方、乾式床46の上面には、複数の床構成材が順に敷設されて玄関床を形成し、玄関框77cと最上層の床構成材が面一に形成されている。尚、図示を省略するが、例えば紙面奥側に間仕切り壁があり、間仕切り壁が乾式床46に支持されていてもよい。
【0085】
一方、玄関床梁15D'において、梁本体10のウエブ11の玄関ドア側の広幅面にも箱形下地材50が接合されており、箱形下地材50に大寸法の通し床受け材55'がボルトナット59により取り付けられている。そして、上フランジ12の上面には耐火被覆成形板66が載置され、上フランジ12の上面と通し床受け材55'の上面に亘って薄厚の乾式床47が載置されており、これらの上方に土間モルタル78aが施工されている。乾式床47の屋外側に、玄関ドア79が設けられている。
【0086】
梁と床の納まり構造600によっても、複数の箱形下地材50を備えている玄関床梁15D,15D'にて玄関土間床版40Dが落とし込まれた状態で支持されていることから、多数の床受け下地金具とウエブにおける多数のボルト孔を不要にしながら、玄関土間と玄関床が形成される。
【0087】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0088】
10,10A,10B,10C,10D:梁本体
11:ウエブ
12:上フランジ(フランジ)
13:下フランジ(フランジ)
15:乾式床受け梁
15A:バルコニー床梁(乾式床受け梁)
15B:外廊下床梁(乾式床受け梁)
15C,15C':浴室床梁(乾式床受け梁)
15D,15D':玄関床梁(乾式床受け梁)
30:腰壁
31:腰壁フレーム
32:腰壁パネル
34:止水材
35:笠木
36:耐火被覆成形板
37a:防水下地合板
37b:立ち上がり防水下地板
37c、37d:立ち上がり防水シート
37e:水切りカバー
38a:防水下地材
38b:防水シート
38c:勾配断熱材
40:乾式床
40A:バルコニー床版(乾式床)
40B:外廊下床版(乾式床)
40C:浴室床版(乾式床)
40D:玄関土間床版(乾式床)
41:貫通孔
42:固定金具
45,46,47,48:乾式床
50,50A:箱形下地材
51:縦片
51a:ボルト孔
52:上横片
53,53A:下横片
54:補強リブ
55:通し床受け材
56:縦片
56a:ボルト孔
57:横片(上横片、下横片)
58:補強リブ
59:ボルトナット
60:壁支持材
61:固定片
62:ボルトナット
63:取り付け金具
64:外壁受け金具
65:耐火被覆成形板
66:断熱吸音ボード
67:耐火被覆材
72:浴室ドア
73:内壁
74a:スタッド
74b:内壁ランナー
74c:内壁ボード
75:外壁
76a:外壁パネル
76b:パネルフレーム
76c:断熱材
77a:桟木
77b:合板
77c:玄関框
78a:土間モルタル
78b:タイル
79:玄関ドア
200,300,400,500,600:梁と床の納まり構造
G:隙間
S:デッドスペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8