(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】搬送制御装置、搬送制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/20 20060101AFI20241224BHJP
B65H 31/30 20060101ALI20241224BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B65H7/20
B65H31/30
B65H37/04 Z
(21)【出願番号】P 2021008830
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】望月 潤
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06338479(US,B1)
【文献】特開2014-034132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/20
B65H 31/30
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の第1用紙処理装置から排出された用紙を下流側の第2用紙処理装置へ搬送する用紙搬送装置の用紙搬送要求タイミングを制御する搬送制御装置であって、
前記第2用紙処理装置の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングで搬送要求信号を前記用紙搬送装置へ送信する搬送要求部と、
前記用紙搬送装置から用紙が送り出されたことを示す用紙通過信号を受信する通過情報受信部と、
前記用紙通過信号の受信タイミングに基づいて、搬送遅延の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記搬送要求部は、搬送遅延が発生していないと判定された場合に、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングで搬送要求信号を送信し、搬送遅延が発生していると判定された場合には、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングにおいて前記搬送要求信号を送信しないように構成された搬送制御装置。
【請求項2】
前記搬送要求タイミングを補正するタイミング補正部を備え、
前記タイミング補正部は、
前記第2用紙処理装置に設けられるとともに、加工を行う加工部よりも上流側に設けられた用紙検出位置を用紙が通過したタイミングに基づいて、前記用紙に対する実際の加工位置を推定し、
推定された前記加工位置と、予め設定された基準加工位置とのずれ量に基づいて前記搬送要求タイミングを補正するように構成されている請求項1に記載の搬送制御装置。
【請求項3】
搬送遅延が発生していると判定された場合に、搬送遅延信号を前記第2用紙処理装置へ通知する搬送遅延通知部を備える請求項1又は2に記載の搬送制御装置。
【請求項4】
上流側の第1用紙処理装置から排出された用紙を下流側の第2用紙処理装置へ搬送する用紙搬送装置の用紙搬送要求タイミングを制御する搬送制御方法であって、
前記第2用紙処理装置の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングで搬送要求信号を前記用紙搬送装置へ送信する工程と、
前記用紙搬送装置から用紙が送り出されたことを示す用紙通過信号を受信する工程と、
前記用紙通過信号の受信タイミングに基づいて、搬送遅延の有無を判定する工程と、
搬送遅延が発生していないと判定された場合に、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングで搬送要求信号を送信する工程と、
搬送遅延が発生していると判定された場合には、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングにおいて前記搬送要求信号を送信しない工程と
をコンピュータが実行する搬送制御方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1から3のいずれかに記載の搬送制御装置として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
用紙搬送装置から用紙が供給される用紙処理装置であって、
請求項1又は2のいずれかに記載の搬送制御装置を備える用紙処理装置。
【請求項7】
前記用紙搬送装置から供給された用紙に対して加工を行う加工部と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記加工部に対する給紙を制御する給紙制御部を備え、
前記搬送制御装置は、前記用紙搬送装置において搬送遅延が発生している場合に、搬送遅延信号を前記給紙制御部に出力する搬送遅延通知部を備え、
前記給紙制御部は、前記搬送遅延信号が通知された場合に、前記加工部に対する給紙を一時的に停止させる請求項6に記載の用紙処理装置。
【請求項8】
第1用紙処理装置から排出された用紙を搬送する用紙搬送装置と、
前記用紙搬送装置から用紙が供給される第2用紙処理装置と、
請求項1から3のいずれかに記載の搬送制御装置と
を具備する用紙処理システム。
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載の搬送制御装置と、
上流側の第1用紙処理装置から排出された用紙を下流側の第2用紙処理装置へ搬送する用紙搬送装置
と、
を備え、
前記用紙搬送装置は、
前記第1用紙処理装置から排出された用紙を集積する用紙集積エリアと、
前記用紙集積エリアから前記第2用紙処理装置へ用紙を搬送する搬送路に設けられるとともに、前記用紙が通過したことを検知するセンサと、
用紙搬送制御装置と
を備え、
前記
用紙搬送制御装置は、
前記搬送制御装置から搬送要求信号を受信した場合に、用紙の搬送を行い、
前記センサによって前記用紙の通過が検知された場合に、
前記搬送制御装置に用紙通過信号を送信する用紙
処理システム。
【請求項10】
前記センサは、搬送方向における前記用紙の前端を検知した場合に、用紙の通過を検知する請求項9に記載の用紙
処理システム。
【請求項11】
前記センサは、前記用紙集積エリアから用紙が排出される排出部近傍に設けられている請求項10に記載の用紙
処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側の用紙処理装置から排出された用紙を下流側の用紙処理装置に搬送する用紙搬送装置に係り、特に、用紙の搬送タイミングを制御する搬送制御装置、搬送制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷機から排出された用紙を一冊分集積し、集積した用紙束を搬送する用紙搬送装置が知られている。例えば、特許文献1には、印刷機から排出された用紙を一時的に集積する用紙集積部を備え、用紙集積部に所定枚数の用紙が集積されて用紙束が形成されると、タイミングベルトを駆動することにより、用紙束を排出部から排出して、後続の処理を行う製本機へ搬送する用紙搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された用紙搬送装置は、印刷機から排出された用紙が所定枚数集積されたタイミングで、用紙束を製本機へ搬送する。このため、搬送のタイミングは、印刷機の印刷速度に応じたものになり、製本機側において加工処理のタイミングを調整する必要があった。また、製本機側における加工処理の速度が印刷機の印刷速度に依存するため、効率化を図ることが難しかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、下流側の用紙処理装置における加工サイクルに応じた適切なタイミングで用紙搬送を行うことのできる搬送制御装置、搬送制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、上流側の第1用紙処理装置から排出された用紙を下流側の第2用紙処理装置へ搬送する用紙搬送装置の用紙搬送要求タイミングを制御する搬送制御装置であって、前記第2用紙処理装置の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングで搬送要求信号を前記用紙搬送装置へ送信する搬送要求部と、前記用紙搬送装置から用紙が送り出されたことを示す用紙通過信号を受信する通過情報受信部と、前記用紙通過信号の受信タイミングに基づいて、搬送遅延の有無を判定する判定部と、を備え、前記搬送要求部は、搬送遅延が発生していないと判定された場合に、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングで搬送要求信号を送信し、搬送遅延が発生していると判定された場合には、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングにおいて前記搬送要求信号を送信しないように構成された搬送制御装置である。
【0007】
本発明の第2態様は、上流側の第1用紙処理装置から排出された用紙を下流側の第2用紙処理装置へ搬送する用紙搬送装置の用紙搬送要求タイミングを制御する搬送制御方法であって、前記第2用紙処理装置の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングで搬送要求信号を前記用紙搬送装置へ送信する工程と、前記用紙搬送装置から用紙が送り出されたことを示す用紙通過信号を受信する工程と、前記用紙通過信号の受信タイミングに基づいて、搬送遅延の有無を判定する工程と、搬送遅延が発生していないと判定された場合に、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングで搬送要求信号を送信する工程と、搬送遅延が発生していると判定された場合には、次の前記加工サイクルに対応する前記搬送要求タイミングにおいて前記搬送要求信号を送信しない工程とをコンピュータが実行する搬送制御方法である。
【0008】
本発明の第3態様は、コンピュータを上記搬送制御装置として機能させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の第4態様は、用紙搬送装置から用紙が供給される用紙処理装置であって、上記搬送制御装置を備える用紙処理装置である。
【0010】
本発明の第5態様は、第1用紙処理装置から排出された用紙を搬送する用紙搬送装置と、前記用紙搬送装置から用紙が供給される第2用紙処理装置と、上記搬送制御装置とを具備する用紙処理システムである。
【0011】
本発明の第6態様は、上記搬送制御装置と、上流側の第1用紙処理装置から排出された用紙を下流側の第2用紙処理装置へ搬送する用紙搬送装置と、を備え、前記用紙搬送装置は、前記第1用紙処理装置から排出された用紙を集積する用紙集積エリアと、前記用紙集積エリアから前記第2用紙処理装置へ用紙を搬送する搬送路に設けられるとともに、前記用紙が通過したことを検知するセンサと、用紙搬送制御装置とを備え、前記用紙搬送制御装置は、前記搬送制御装置から搬送要求信号を受信した場合に、用紙の搬送を行い、前記センサによって前記用紙の通過が検知された場合に、前記搬送制御装置に用紙通過信号を送信する用紙処理システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、下流側の用紙処理装置における加工サイクルに応じた適切なタイミングで用紙搬送を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る用紙処理システムの全体概略構成を示した機能ブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る用紙搬送装置及び下流側の用紙処理装置の概略側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る用紙搬送装置の概略平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る搬送制御部によって実現される機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る搬送要求タイミングについて説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る搬送制御部及び用紙搬送装置の制御装置が実行する処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る給紙制御部が実行する給紙制御処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係るタイミング補正部が実行するタイミング補正処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る搬送制御装置、搬送制御方法、及びプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙処理システム10の全体概略構成を示した機能ブロック図である。
図1に示すように、用紙処理システム10は、用紙搬送装置100、上流側の用紙処理装置(第1用紙処理装置)101、及び下流側の用紙処理装置(第2用紙処理装置)102を備えている。用紙搬送装置100は、例えば、後述する
図2に示すように、用紙処理装置101及び用紙処理装置102に連結されている。
【0015】
用紙処理装置101は、用紙に対して所定の加工処理を行い、処理済みの用紙を用紙搬送装置100に排出する。用紙処理装置101の一例として、印刷機、裁断機を有するアンワインダ装置等が挙げられる。
【0016】
用紙搬送装置100は、用紙処理装置101から排出された用紙を一時的に集積し、集積した用紙を一枚ずつ又は所定枚数ずつ下流側の用紙処理装置102に供給する。用紙処理装置102は、用紙搬送装置100から用紙の供給を受け、用紙に対して所定の加工処理を行い、加工済みの用紙を排出する。用紙処理装置102の一例として、回転式打抜機、中綴じ機、裁断装置等が挙げられる。例えば、用紙処理装置102は、所定のサイクル(周期)で加工処理を連続的に行う装置である。
【0017】
例えば、用紙搬送装置100は制御装置50を備え、用紙処理装置101は制御装置60を備え、用紙処理装置102は制御装置70を備えている。
【0018】
制御装置50、60、70は、例えば、共通の通信ネットワークを介して接続され、相互に情報の授受が可能な構成とされていてもよい。なお、通信の接続形態や通信プロトコルについては特に限定されない。すなわち、本実施形態においては、少なくとも制御装置60と制御装置70との間で、後述する一連の処理が実現できるように接続されていればよい。
【0019】
用紙処理装置102の制御装置70は、例えば、搬送制御部71、給紙制御部72、加工制御部73等を備えている。これら各制御部の詳細は後述する。
【0020】
本実施形態においては、一例として、用紙処理装置102の制御装置70が搬送制御部71を搭載している場合を例示しているが、この例に限定されない。例えば、搬送制御部71は、単独の制御装置として個別に配置されていてもよいし、制御装置70等の上位装置に搭載されてもよいし、制御装置50に搭載されていてもよい。すなわち、用紙処理システム10が全体として搬送制御部71の機能を有していればよく、その機能を実現する具体的な装置については、特に限定されない。例えば、搬送制御部71の一部の機能を制御装置70が有し、搬送制御部71の一部の機能を制御装置50が有していてもよい。搬送制御部71等によって実行される各種処理の詳細については後述する。
【0021】
また、用紙処理システム10は、上流側の用紙処理装置101を必ずしも有している必要はない。例えば、上流側の用紙処理装置101によって加工された用紙を自動搬送車両等のロボット又は人が用紙搬送装置100の用紙集積エリア15(
図2参照)に設置するような構成としてもよい。
【0022】
図2は、用紙搬送装置100及び用紙処理装置102の概略側面図、
図3は、用紙搬送装置100の概略平面図を示した図である。
図2では、用紙処理装置102の一例として回転式打抜機を適用した場合を例示している。しかしながら、用紙処理装置102が回転式打抜機に限定されないことは、上述した通りである。
【0023】
また、以下に説明する用紙搬送装置100及び用紙処理装置102の構成については一例であり、この例に限定されるものではない。例えば、代替の構成を用いたり、構成の一部を変更したり省略したりすることが可能である。
【0024】
図2、
図3に例示するように、用紙搬送装置100は、第1搬送部5を備えている。第1搬送部5は、用紙集積エリア15に集積された用紙を用紙処理装置102に搬送する。第1搬送部5は、例えば、サンクション式のベルトコンベヤ(以下「コンベヤ」という。)を備えている。コンベヤは、例えば、
図3に示すように、駆動ローラ1、アイドルローラ2、駆動ローラ1とアイドルローラ2との間に掛け渡された無端状の複数の搬送ベルト3、及び搬送駆動部4等を備えている。
【0025】
駆動ローラ1は、例えば、回転軸と、回転軸の軸方向に互いに間隔をあけて配置された4つの第1プーリー(図示略)とを備える。第1プーリーは、回転軸と一体的に回転可能に取り付けられる。
【0026】
アイドルローラ2は、例えば、駆動ローラ1の回転軸に平行な軸と、軸のまわりに回転自在な4つの第2プーリー(図示略)とを備えている。第2プーリーは、4つの第1プーリーにそれぞれ対向して配置される。
【0027】
各搬送ベルト3は、駆動ローラ1の第1プーリーとアイドルローラ2の第2プーリーとの間にそれぞれ掛け渡されている。各搬送ベルト3は、全長にわたって所定間隔をあけて設けられた複数の通気孔3aを有している。なお、搬送ベルト3は、
図3に例示したように、複数のベルトから構成されていてもよいし、単一のベルトから構成されていてもよい。
【0028】
搬送駆動部4は、例えば、駆動ローラ1の回転軸を一定速度で回転させることにより、搬送ベルト3を一定速度で移動させる。これにより、搬送ベルト3の上面(用紙搬送面)に配置された用紙が用紙処理装置102に向けて所定の速度で搬送される。搬送駆動部4は、例えば、駆動ローラ1の回転軸の一端に固定されたプーリー4aと、駆動ローラ1と平行な駆動軸を有するモータ4bと、モータ4bの駆動軸に固定されたプーリー4cと、プーリー4aおよびプーリー4c間に掛け渡された無端ベルト4dとを備えている。
例えば、モータ4bは、回転数が可変とされていてもよい。回転数を制御することで、第1搬送部5の搬送速度を調整することが可能となる。
【0029】
搬送ベルト3の上面には、搬送ベルト3の長手方向に直交する幅方向に沿って設けられた抑止板(ストッパー)14が設けられている。抑止板14は、搬送ベルト3に対応してそれぞれ設けられてもよいし、4本の搬送ベルト3の搬送面の全体を横切るように配置される単一の板であってもよい。抑止板14は、搬送ベルト3の長手方向に沿って移動可能とされ、用紙搬送装置100から排出される用紙のサイズに応じて配置位置が変更される。抑止板14は、抑止板保持部14aによって保持されている。
【0030】
図2に示されるように、用紙処理装置101との連結部近傍には、搬入ローラ13が設けられている。搬入ローラ13は、用紙処理装置101から排出される用紙を取り込む。搬入ローラ13によって取り込まれた用紙は、その前端が抑止板14に衝突し、用紙集積エリア15に順次集積される。用紙集積エリア15は、例えば、搬入ローラ13の下端から抑止板14との間に設けられたエリアであり、抑止板14の配置に応じて、換言すると、用紙サイズに応じて大きさが変化する。
【0031】
用紙搬送装置100において、用紙集積エリア15の下流側には、第1センサ51が設けられている。第1センサ51によって、第1搬送部5における用紙の搬送路に仮想的に設定された第1用紙検出位置を用紙が通過したことが検知される。第1センサ51は、例えば、用紙が安定して搬送されたことを確認できる位置に設置されている。
【0032】
用紙搬送装置100において、用紙処理装置102との連結部近傍には、搬出ローラ16が設けられている。搬出ローラ16は、搬送ベルト3の上面を搬送してきた用紙を受け取り、用紙処理装置102へ排出する。
【0033】
用紙搬送装置100において、搬入ローラ13における下流側、例えば、搬入ローラ13の用紙排出部近傍に、用紙の通過を検知するためのセンサが設けられていてもよい。このセンサは、例えば、用紙処理装置101から排出された用紙の枚数をカウントするために用いられる。
【0034】
また、同様に、搬出ローラ16における上流側、例えば、搬出ローラ16の用紙受取部近傍に、用紙の通過を検知するためのセンサが設けられていてもよい。このセンサは、例えば、用紙搬送装置100から排出される用紙の枚数をカウントするために用いられる。
【0035】
用紙搬送装置100は、例えば、吸引切替部7を備えている。吸引切替部7は、例えば、
図3に示されるように、吸引ボックス11及び吸引ファン(吸気源)12を備えている。
【0036】
吸引ボックス11は、搬送ベルト3の上側部分および下側部分の間に配置されている。吸引ボックス11は、例えば、上面に吸気穴11aを備える。各吸気穴11aは、各搬送ベルト3の上側部分に対向して配置される。また、吸引ボックス11は、
図2に示されるように、吸気穴11aを開閉するシャッタ11bを備える。シャッタ11bは、シャッタ駆動部(図示略)によって開閉が制御される。シャッタ駆動部は、例えば、シャッタ11bに取り付けられたリフト機構、リフト機構に取り付けられたモータ等により構成されている。
【0037】
図3に示すように、吸引ファン12は、例えば、吸引ボックス11に直結され、吸引ボックス11内に負圧を発生させるように構成されている。用紙搬送装置100の動作中において、例えば、吸引ファン12は連続運転される。
【0038】
また、シャッタ11bは、所定のタイミングで開閉するように制御される。これにより、シャッタ11bが開いている状態では、吸引ボックス11に対向するように配置された用紙が搬送ベルト3に設けられた通気孔3aを通じて搬送ベルト3の搬送面に吸引される。また、シャッタ11bが閉じている状態では、用紙が搬送ベルト3に吸引されないこととなる。
【0039】
上述した用紙搬送装置100が備える各部は、制御装置50(
図1参照)によって制御される。制御装置50は、例えば、搬入ローラ13を駆動するローラ駆動部(図示略)、第1搬送部5を駆動する搬送駆動部4(
図3参照)、搬出ローラ16を駆動するローラ駆動部(図示略)を制御する。また、制御装置50は、吸引切替部7の制御、例えば、吸引ボックス11のシャッタ11bの開閉を制御するシャッタ駆動部(図示略)及び吸引ファン12のファン駆動を制御する。
【0040】
また、制御装置50は、後述する搬送制御部71(
図5参照)から送信された搬送要求信号に基づいて用紙の搬送を制御する。例えば、制御装置50は、搬送要求信号を受信すると、用紙の搬送を行う。より具体的には、制御装置50は、吸引ボックス11のシャッタ11bを開くことで、集積された用紙のうちの最下の用紙を搬送ベルト3の搬送面に吸着させて残りの用紙から分離させ、分離させた用紙を第1搬送部5によって用紙処理装置102へ搬送させる。
【0041】
上述の用紙搬送装置100によれば、運転中において、搬入ローラ13によって上流側の用紙処理装置101から用紙が取り込まれ、用紙の前端が抑止板14に衝突して用紙集積エリア15に順次集積される。また、吸引ボックス11のシャッタ11bが開かれることにより、集積された用紙のうちの最下の用紙が、吸引ボックス11によって搬送ベルト3の搬送面に吸着されて、残りの用紙から分離される。そして、駆動ローラ1が駆動されることにより、最下の用紙は、搬送ベルト3によって下流側の用紙処理装置102に供給される。
【0042】
次に、用紙処理装置102について説明する。用紙処理装置102は、例えば、所定のサイクル(周期)で加工を連続的に行う装置である。その一例として、本実施形態では、連続的に打抜き加工を行う回転式打抜機(ロータリーダイカッター)を挙げて説明する。ここで、「打抜き加工」には、例えば、エンボス加工、筋入れ加工、およびミシン目加工等が含まれる。
【0043】
図2に示すように、回転式打抜機である用紙処理装置102は、例えば、第2搬送部22及び打抜き加工部24を備えている。また、用紙処理装置102は、搬入ローラ21、用紙位置決めローラ23等を備えていてもよい。
【0044】
搬入ローラ21は、用紙搬送装置100から搬送されてきた用紙を取り込む。例えば、搬入ローラ21は、用紙搬送装置100との連結部近傍に設けられ、取り込んだ用紙を第2搬送部22に排出する。例えば、搬入ローラ21と第2搬送部22との間には、用紙の通過を検知する第2センサ52が設けられている。第2センサ52は、例えば、用紙の搬送方向における前端を検知すると、センサ検知信号を制御装置70に出力する。なお、第2センサ52は、適宜省略してもよい。
【0045】
第2搬送部22は、搬入ローラ21によって取り込まれた用紙を打抜き加工部24へ搬送する。第2搬送部22は、例えば、サンクション式のベルトコンベヤ(以下「コンベヤ」という。)を備えている。コンベヤは、例えば、駆動ローラ31、アイドルローラ32、駆動ローラ31とアイドルローラ32との間に掛け渡された無端状の搬送ベルト33、及び搬送駆動部34等を備えている。駆動ローラ31、アイドルローラ32の構成は、例えば、上述した用紙搬送装置100の第1搬送部5と同様の構成とされている。
【0046】
搬送ベルト33については、
図3に示した搬送ベルト3のように、複数のベルトから構成されていてもよいし、単一のベルトから構成されていてもよい。また、搬送ベルト33は、搬送ベルト3と同様に、全長にわたって所定間隔をあけて設けられた複数の通気孔(図示略)を有している。
【0047】
搬送駆動部34は、例えば、駆動ローラ31の回転軸を一定速度で回転させることにより、搬送ベルト33を一定速度で移動させる。これにより、搬送ベルト33上に配置された用紙が後段の打抜き加工部24に搬送される。搬送駆動部34は、例えば、駆動ローラ31の回転軸の一端に固定されたモータを備えている。また、モータは、
図3に示したように、プーリー及びベルトを介して駆動ローラの駆動軸と間接的に連結されていてもよい。また、モータは、回転数が可変とされていてもよい。
【0048】
また、用紙処理装置102は、用紙搬送装置100と同様に吸引切替部(図示略)を備えていてもよい。
【0049】
打抜き加工部24は、加工ローラ35と、受けローラ36とを備えている。加工ローラ35は、例えば、駆動ローラ31と平行に配置されている。受けローラ36は、加工ローラ35と搬送面を挟んで対向するように設けられている。例えば、受けローラ36は、加工ローラ35に平行に、かつ周面が加工ローラ35の周面から一定の間隔をあけて配置されている。加工ローラ35の周面には、例えば、シート状の刃型35a(
図6参照)が装着される。
【0050】
加工ローラ35は、ローラ駆動部37によって回転駆動される。ローラ駆動部37は、例えば、モータ42を有している。このモータ42が所定の回転速度で回転制御されることにより、加工ローラ35及び受けローラ36が互いに等しい速度で同期して回転する。
【0051】
例えば、ローラ駆動部37は、受けローラ36の回転軸の一端に連結されたプーリー41と、受けローラ36と平行な駆動軸を有するモータ42と、モータ42の駆動軸に固定されたプーリー43と、プーリー41とプーリー43との間に掛け渡された無端ベルト44とを備えている。そして、モータ42の駆動によって、受けローラ36が一定速度で回転するようになっている。
【0052】
また、受けローラ36の回転軸には、連動連結機構(図示略)が連結されている。これにより、受けローラ36の回転に同期して、加工ローラ35が回転させられる。
なお、ローラ駆動部37の構成については一例であり、公知のローラ駆動部を適宜採用することが可能である。
【0053】
受けローラ36とモータ42との間には、回転位置検出部45が配置されている。回転位置検出部45の一例として、ロータリーエンコーダが挙げられる。回転位置検出部45の出力パルスは、制御装置70(
図1参照)に出力される。制御装置70は、回転位置検出部45からの出力パルスに基づいて、例えば、加工ローラ35に仮想的に設定された基準位置P0の回転位置(0°~360°)を演算する。
【0054】
また、加工ローラ35及び受けローラ36の上流側には、第2搬送部22から用紙を受け取り、加工ローラ35へと供給する用紙位置決めローラ23が設けられている。
また、用紙位置決めローラ23と加工ローラ35との間に仮想的に設定された第2用紙検出位置には、用紙の通過を検知するための第3センサ53が設けられている。換言すると、第3センサ53による用紙の検知位置が第2用紙検出位置となる。第3センサ53は、例えば、用紙の前端の通過を検知するとセンサ検知信号を制御装置70(
図1参照)に送信する。更に、用紙位置決めローラ23と加工ローラ35との間には、用紙の下面を支持する平坦な支持プレートが設けられていてもよい。
【0055】
用紙処理装置102の運転時において、加工ローラ35および受けローラ36は、ローラ駆動部37によって一定速度で連続的に回転駆動される。また、用紙搬送装置100から搬入ローラ21を介して搬入された用紙は、第2搬送部22によって打抜き加工部24の方へ向けて搬送される。第2搬送部22によって搬送された用紙は、用紙位置決めローラ23の間隙を通過して打抜き加工部24に搬送される。打抜き加工部24において、用紙は、加工ローラ35と受けローラ36との間を通過する際に、刃型35a(
図6参照)によって打抜き加工される。打抜き加工された用紙は、後段に設けられた第3搬送部25によって搬送され、所定の集積エリア(図示略)に集積される。なお、第3搬送部25の構成については、例えば、第2搬送部22と同様の構成や公知の構成が採用される。
【0056】
上述した用紙処理装置102が備える各部は、制御装置70によって制御される。制御装置70は、例えば、搬入ローラ21を駆動するローラ駆動部(図示略)、搬送駆動部34、用紙位置決めローラ23を駆動するローラ駆動部(図示略)、打抜き加工部24を駆動するローラ駆動部37、及び第3搬送部25を駆動する搬送駆動部(図示略)等を制御する。より具体的には、搬入ローラ21を駆動するローラ駆動部(図示略)、搬送駆動部34、用紙位置決めローラ23を駆動するローラ駆動部(図示略)、及び第3搬送部25を駆動する搬送駆動部(図示略)は、給紙制御部72によって制御される。また、打抜き加工部24を駆動するローラ駆動部37は、加工制御部73によって制御される。また、搬送制御部71は、給紙制御部72との協働により、打抜き加工部24に対して適切なタイミングで用紙を供給する。
また、制御装置70には、用紙処理装置102に設けられた第2センサ52及び第3センサ53のセンサ検知信号が入力される。制御装置70の搬送制御部71及び給紙制御部72は、これらのセンサ検知信号に基づいて、用紙搬送及び給紙を行う。
【0057】
次に、上述した用紙処理システム10における用紙搬送装置100の用紙の搬送タイミングを制御する搬送制御部71について説明する。本実施形態においては、一例として、搬送制御部71が制御装置70に搭載されている場合を例示して説明するが、この例に限定されない点については上述した通りである。
【0058】
図4は、本実施形態に係る制御装置70のハードウェア構成の一例を示した図である。
図4に示すように、制御装置70は、例えば、CPU81、CPU81が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための記憶部82、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ83、ネットワークに接続するための通信インターフェース84、入力部85、表示部86等を備えている。これら各部は、例えば、バス88を介して接続されている。記憶部82の一例として、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気ディスク、光磁気ディスク、SSD(Solid State Drive)等の半導体メモリ等が挙げられる。
【0059】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、搬送制御プログラム、給紙制御プログラム、加工制御プログラム等)の形式で記憶部82に記憶されており、これらプログラムをCPU81がメインメモリ83に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶部82に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。
【0060】
なお、制御装置50についても、同様の構成とされており、記憶部に格納されたプログラムをCPU等のプロセッサがメインメモリに読み出して演算処理を実行することにより、後述する各種機能や処理が実現される。
【0061】
図5は、本実施形態に係る搬送制御部71によって実現される機能の一例を示した機能ブロック図である。
図5に示すように、搬送制御部71は、例えば、搬送要求部93、通過情報受信部94、判定部95等を備えている。また、搬送制御部71は、記憶部90、タイミング設定部91、及び搬送トリガ発生部92を更に備えていてもよい。また、搬送制御部71は、例えば、搬送遅延通知部96を更に備えていてもよい。また、搬送制御部71は、タイミング補正部97を更に備えていてもよい。
【0062】
タイミング設定部91は、用紙処理装置102の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングを設定する。例えば、タイミング設定部91は、用紙処理システム10の運転開始時に搬送要求タイミングを設定する。また、用紙のサイズ、用紙の搬送速度、加工ローラの回転速度等の設定値に変更が生じた場合に、搬送要求タイミングを設定する。用紙のサイズ、用紙の搬送速度、加工ローラの回転速度等の設定は、例えば、制御装置70が備える入力部85(
図4参照)から入力され、設定される。また、他の制御装置(例えば、上位装置)からネットワークを介して受信するような構成とされていてもよい。
【0063】
上述したように、用紙処理装置102は、運転中において所定のサイクルで加工(打抜き加工)を行う。したがって、加工サイクルに応じた適切なタイミングで用紙を加工ローラ35へ供給する必要がある。タイミング設定部91は、このような周期的に、かつ、連続的に行われる加工処理に合わせた用紙の搬送要求タイミングを設定するものである。
【0064】
以下、搬送要求タイミングについて、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、用紙処理装置102の加工ローラ35の外周の所定範囲には、刃型35aが取り付けられている。また、加工ローラ35には、基準位置P0が設定されている。この基準位置P0は、搬送要求タイミングと同期をとるために便宜上設定された仮想上の位置である。
【0065】
本実施形態では、一例として、基準位置P0が加工ローラ35の最下点Sに到達するときに、用紙の前端が加工ローラ35の最下点Sに到達するように制御する。加工ローラ35において、基準位置P0と刃型35aの前端P1との間の距離d1は、用紙における加工開始位置に応じた距離とされる。すなわち、基準位置P0は、刃型35aの前端P1と用紙の加工開始位置とに応じて都度設定される仮想上の位置であるといえる。
【0066】
搬送要求タイミングは、例えば、加工ローラ35の最下点Sと第3センサ53の設置位置との間の距離L1、第3センサ53と第2センサ52との間の距離L2、及び第2センサ52と第1センサ51との間の距離L3並びに加工ローラ35の回転速度v1、及び用紙の搬送速度v2に基づいて、演算により求めることができる。なお、用紙搬送装置100における用紙の搬送速度と、用紙処理装置102における用紙の搬送速度とは、同じ速度に設定されているものとする。なお、第2センサ52は省略可能であり、この場合には、第3センサ53から第1センサ51までの距離(L2+L3)とすればよい。
【0067】
例えば、用紙が第1センサ51を通過してから加工ローラ35の最下点Sに到達するまでの時間(以下「搬送時間」という。)tは、以下の式によって表される。
【0068】
t=(L1+L2+L3)/v2 (1)
【0069】
したがって、加工ローラ35の基準位置P0が加工ローラ35の最下点Sに到達するタイミングからt時間前に搬送要求タイミングが設定される。換言すると、搬送要求タイミングは、
図6に示すように、基準位置P0が回転位置P2に到達するタイミングである。
また、基準位置P0と回転位置P2との距離d2は、以下の(2)式で表される。
【0070】
d2=v1×t (2)
【0071】
ここで、上記距離L1~L3、回転速度v1、用紙の搬送速度v2は、例えば、設計値に基づく値である。また、加工ローラ35の回転速度v1、用紙の搬送速度v2が可変であるシステムにおいては、その時々に応じた入力設定値を用いればよい。
【0072】
タイミング設定部91によって設定された搬送要求タイミングの情報は、記憶部90に記憶される。例えば、記憶部90には、搬送要求タイミングを判定する判定条件が記憶されている。判定条件として、例えば、加工ローラ35の回転位置P2に関する情報が挙げられる。より具体的には、基準位置P0に対する回転位置P2の角度情報、基準位置P0から回転位置P2までの距離d2、基準位置P0が最下点Sを通過してから回転位置P2に到達するまでの時間情報等が挙げられる。
本実施形態では、搬送要求タイミングの情報として、回転位置P2の回転位置が記憶部90に格納されている場合を例示して、以下説明する。なお、回転位置P2は、搬送要求タイミングを判定するために使用される回転位置であることから、以下「搬送判定位置P2」という。
【0073】
搬送トリガ発生部92は、記憶部90に格納されている搬送要求タイミングの情報に基づいてトリガを発生させる。例えば、搬送トリガ発生部92は、記憶部90に記憶されている搬送判定位置P2と基準位置P0とが一致したときに搬送トリガを発生させる。例えば、搬送トリガ発生部92は、回転位置検出部45からの出力パルスに基づいて、加工ローラ35に仮想的に設定された基準位置P0の回転位置(0°~360°)を演算する。そして、この基準位置P0の回転位置が搬送判定位置P2に一致したときに、搬送トリガを発生させる。
【0074】
搬送要求部93は、搬送トリガ発生部92によって搬送トリガが発生されると、搬送要求信号を用紙搬送装置100の制御装置50に送信する。より具体的には、搬送要求部93は、後述する判定部95から搬送正常信号が入力された場合には、次の給紙トリガにおいて、搬送要求信号を送信する。一方、搬送要求部93は、判定部95から搬送遅延信号が入力された場合には、次の給紙トリガにおいて搬送要求信号の送信をせずに、すなわち、このタイミングでの搬送要求信号の送信をスキップし、再度、給紙トリガが発生するまで待機する。
【0075】
用紙搬送装置100の制御装置50は、搬送要求信号を受信すると、給紙を行う。具体的には、制御装置50は、吸引ボックス11のシャッタ11bを開くことにより、用紙集積エリア15に集積された用紙のうちの最下の用紙を残りの用紙から分離させる。これにより、分離された一枚の用紙は、搬送ベルト3によって用紙処理装置102に供給させる。
【0076】
用紙搬送装置100において、第1センサ51によって用紙の通過が検知されると、第1センサ51から制御装置50にセンサ検知信号が出力される。制御装置50は、センサ検知信号を受信すると、制御装置70に対して用紙通過信号を送信する。
【0077】
ここで、第1センサ51は、用紙の前端を検知したときにセンサ検知信号を出力することが好ましい。例えば、用紙の後端を検知しようとすると、用紙のサイズが変わった場合に、前端が通過してから後端を検知するまでの時間が変わってしまうため、演算処理が複雑になるからである。また、加工ローラ35における基準位置P0も用紙の前端に合わせて設定されていることから、演算処理の簡素化の観点から用紙の前端を検知することが好ましい。なお、第2センサ52及び第3センサ53についても同様である。
【0078】
搬送制御部71の通過情報受信部94は、用紙通過信号を受信する。
【0079】
判定部95は、用紙通過信号の受信タイミングに基づいて、搬送遅延の有無を判定する。例えば、判定部95は、搬送要求部93によって搬送要求信号が送信されてから所定期間内に用紙通過信号を受信したか否かによって、搬送遅延が生じているか否かを判定する。
【0080】
例えば、所定期間は、搬送制御部71が搬送要求信号を送信してから用紙搬送装置100がこの搬送要求信号に従って用紙を搬送して、第1センサ51の設置位置を通過するまでに要する時間と、用紙位置決めローラ23の機械的性能に基づいて決定される調整時間とに基づいて設定される。例えば、用紙搬送装置100において搬送タイミングに多少ズレ(誤差)が生じても、その時間的ズレが用紙位置決めローラ23によって調整可能な範囲であれば、用紙位置決めローラ23の回転数を調整(回転停止も含む)することにより、適切な供給タイミングで用紙を加工ローラ35に供給することができる。しかしながら、用紙位置決めローラ23が調整可能な範囲を超える搬送タイミングのズレが生じた場合には、その時間のずれを用紙位置決めローラ23で吸収することができないため、1加工サイクル分、給紙を停止させ、次の加工サイクルで給紙を再開する必要がある。「所定期間」は、このように、用紙位置決めローラ23によって調整可能な用紙の搬送タイミングの時間レンジに相当する。「所定期間」は、例えば、用紙位置決めローラ23を駆動する駆動モータの加減速可能範囲、及び、用紙位置決めローラ23が確実に用紙をグリップ(保持)できる用紙の供給速度等を考慮して設定される。
【0081】
判定部95は、例えば、搬送要求信号が送信されてから所定期間内に用紙通過信号を受信した場合には、搬送正常信号を出力する。一方、所定期間内に用紙通過信号を受信していなかった場合には、搬送遅延信号を出力する。搬送正常信号は、例えば、搬送要求部93に出力される。また、搬送遅延信号は、例えば、搬送要求部93及び搬送遅延通知部96に出力される。
【0082】
搬送遅延通知部96は、搬送遅延信号が入力された場合に、搬送遅延信号を給紙制御部72に出力する。給紙制御部72は、搬送遅延信号が入力されると、用紙位置決めローラ23を一時停止させ、加工ローラ35への給紙のタイミングを調整する。給紙制御部72による制御については、後述する。
【0083】
タイミング補正部97は、記憶部90に格納されている搬送要求タイミングの情報を補正する。例えば、上述したタイミング設定部91によって設定された搬送要求タイミングは、演算で得た理論上の値である。しかしながら、実際の運転時には、第1搬送部5による用紙の送り出し時間、用紙集積エリア15から一枚の用紙を取り出して移動させるまでに要する時間、第1搬送部5及び第2搬送部22による搬送速度等の様々な誤差により、用紙の搬送が開始されてから加工ローラ35の最下点Sに到達するまでの時間は理論値に対してずれが生じる。同様に、加工ローラ35の回転速度についても加工ローラの上下移動によるずれなどによって、変化するおそれがある。タイミング補正部97は、このようなずれを補正するために設けられている。なお、タイミング補正部97による補正方法についての詳細は、後述する。
【0084】
次に、上述した搬送制御部71によって実行される各種処理について図面を参照して説明する。
図7は、搬送制御部71及び用紙搬送装置100の制御装置50が実行する処理の手順の一例を示したフローチャートである。以下に説明する搬送制御部71において実行される一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、搬送制御プログラム等)の形式で記憶部82(
図4参照)に記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)81がメインメモリ83に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、実現される。また、制御装置50についても同様である。
【0085】
まず、運転中においては、搬送制御部71は、加工サイクルに応じた搬送要求タイミングで搬送トリガを発生させ(SA1)、搬送トリガが発生したタイミングで搬送要求信号を用紙搬送装置100の制御装置50へ送信する(SA2)。制御装置50は、搬送要求信号を受信すると(SA3)、用紙の搬送を行う(SA4)。そして、第1センサ51によって用紙の通過が検知されると(SA5)、制御装置50は、用紙通過信号を搬送制御部71に送信する(SA6)。
【0086】
搬送制御部71は、用紙通過信号を受信すると(SA7)、搬送遅延が発生したか否かを判定する。例えば、搬送要求信号を送信してから所定期間内に用紙通過信号を受信したか否かを判定する(SA8)。この結果、所定期間内に用紙通過信号を受信した場合には、搬送遅延なしと判定し(SA8:NO)、ステップSA1に戻る。これにより、次の搬送トリガが発生したタイミングで、搬送要求信号が用紙搬送装置100の制御装置50に送信される(SA1、SA2)。
【0087】
一方、ステップSA8において、例えば、所定期間内に用紙通過信号を受信していない場合には、搬送遅延ありと判定し(SA8:YES)、搬送遅延信号を給紙制御部72に出力する(SA9)。これにより、後述するように、制御装置70の給紙制御部72において、搬送遅延が発生した用紙に対してタイミング調整を行う処理が行われる。
【0088】
続いて、搬送トリガが発生すると(SA10)、この搬送トリガでは、搬送要求信号を送信せずに(SA11)、ステップSA1に戻る。
【0089】
このように、ステップSA8において、搬送遅延が発生したと判定した場合には、次の搬送トリガ発生時における搬送要求信号の送信を行わずに、換言すると、搬送要求信号の送信をスキップして、次の搬送トリガ発生まで待機状態となる。これにより、搬送遅延が発生しているにもかかわらず、次の用紙が搬送されてしまうことにより、用紙処理装置102において複数枚の用紙が滞留してしまうことを回避することが可能となる。
【0090】
また、このように用紙の滞留が発生してしまうと、必要以上に加工ローラ35への用紙の供給を停止させなければならない。よって、本実施形態のように制御することで、必要以上に給紙を停止させることなく、速やかに給紙を開始させることができる。この結果、加工効率の低下を抑制することが可能となる。
【0091】
次に、用紙処理システム10の運転時において、給紙制御部72が実行する処理について説明する。なお、後述する一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、給紙制御プログラム等)の形式で制御装置70が備える記憶部82(
図4参照)に記憶されており、このプログラムをCPU81がメインメモリ83に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0092】
図8は、給紙制御部72が実行する給紙制御処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0093】
まず、第3センサ53によって用紙が検知されると(SB1:YES)、搬送遅延信号が入力されているか否かを判定する(SB2)。具体的には、第3センサ53による前回の用紙検知から今回の用紙検知の間に、搬送遅延信号が入力されたか否かを判定する。
この結果、搬送遅延信号が入力されていない場合には(SB2:NO)、用紙は用紙位置決めローラ23によって加工ローラ35へ供給され(SB3)、ステップSB1に戻る。
【0094】
一方、搬送遅延信号が入力されていた場合には(SB2:YES)、用紙位置決めローラ23を停止させ、用紙の供給を一時停止させる(SB4)。すなわち、搬送遅延信号が入力されていた場合、第3センサ53によって検知された用紙は、用紙搬送装置100において搬送遅延が発生した用紙であることがわかる。このような用紙をそのまま加工ローラ35へ供給してしまうと、誤差範囲を超える位置ずれが発生してしまい、不良品となる。したがって、この場合には、一旦給紙を止めて、次の給紙タイミングまで待機状態となる。
【0095】
なお、「給紙タイミング」は、加工ローラ35の回転速度、加工ローラ35と第3センサ53との間の距離L1、用紙位置決めローラ23の回転速度等に基づいて決定される。なお、タイミングの決め方は、上述した「搬送要求タイミング」の設定方法に準ずればよい。
【0096】
続いて、加工ローラ35の基準位置P0(
図6参照)が最下点Sに近付き、次の給紙タイミングになると、給紙制御部72は、用紙位置決めローラ23の回転を再開させ、用紙を加工ローラ35へ供給し(SB5)、ステップSB1に戻る。
【0097】
このように、用紙搬送装置100において用紙の搬送遅延が発生した場合には、搬送遅延の発生を通知する搬送遅延信号が搬送制御部71から給紙制御部72に出力される。これにより、給紙制御部72は、搬送遅延が発生した用紙の供給タイミングを調整することが可能となる。すなわち、搬送遅延が発生した場合には、用紙位置決めローラ23を一時停止させることで、1回分の加工サイクルをスキップして待ち状態とし、次の加工サイクルにおける適切な給紙タイミングで用紙を供給する。これにより、搬送遅れが発生した場合でも用紙の前端と基準位置P0とを一致させることができ、打ち抜き加工を適切な位置に行わせることができる。
【0098】
また、このように、タイミング合わせのために、用紙処理装置102において1サイクル分の加工をスキップして待ち状態とした場合には、用紙搬送装置100側でも同様に用紙の搬送が待機される(
図7のSA10、SA11)。これにより、用紙処理装置102における給紙と用紙搬送装置100における搬送とを連動させることができ、用紙処理装置102において複数枚の用紙が滞留してしまうことを回避することが可能となる。
【0099】
次に、タイミング補正部97(
図6参照)による搬送要求タイミングの補正方法について、
図9を参照して説明する。
図9は、タイミング補正部97が実行するタイミング補正処理の手順の一例を示したフローチャートである。
搬送要求タイミングの補正を行うタイミングは、特に限定されないが、一例として、タイミング設定部91によって搬送要求タイミングが設定された直後、所定時間間隔、加工ずれ量が一定値を超えたとき等が挙げられる。また、タイミング補正部97による搬送要求タイミングの補正は、用紙処理システム10が運転状態にあるとき、換言すると、加工ローラ35による加工処理が行われている状態で行われる。
【0100】
例えば、
図7に示したように、記憶部90に格納されている現在の搬送要求タイミングに基づいて搬送要求信号が制御装置50に送信され、給紙が行われ、第1センサ51によって用紙の通過が検知されると、用紙通過信号が制御装置50から送信される。
【0101】
そして、この用紙が用紙搬送装置100から用紙処理装置102に搬送され、第3センサ53によって検知されると(SC1)、タイミング補正部97は、第3センサ53による検知タイミングに基づいて、用紙の前端が加工ローラ35の最下点Sに到達するときの基準位置P0の回転位置を推定する(SC2)。この推定位置は、第3センサ53によって用紙が検知されたときの加工ローラ35における基準位置P0の回転位置、第3センサ53と加工ローラ35の最下点Sとの間の距離L1、加工ローラ35の回転速度v1、及び用紙の搬送速度v2に基づいて演算により求めることができる。
【0102】
続いて、タイミング補正部97は、推定した基準位置P0の回転位置と加工ローラ35の最下点Sとの差分Xを算出する(SC3)。次に、現在の搬送判定位置P2、すなわち、記憶部90に格納されている搬送判定位置P2を差分Xを用いて補正する(SC4)。具体的には、推定した基準位置P0の回転位置が最下点Sよりも進んでいた場合には、搬送判定位置P2を最下点Sに近づく方向に差分Xの分だけ補正する。これにより、搬送要求信号の搬送要求タイミングを差分Xに応じた時間だけ遅延させることができる。一方、推定した基準位置P0の回転位置が最下点Sよりも遅れていた場合には、搬送判定位置P2を最下点Sから遠ざかる方向に差分Xの分だけ補正する。これにより、搬送要求信号の搬送要求タイミングを差分Xに応じた時間だけ早めることができる。
このように搬送判定位置P2の補正を行うことにより、用紙の前端と加工ローラ35の基準位置P0とのずれを減少させることができ、加工の位置ずれを所定の誤差範囲内に抑えることが可能となる。
【0103】
タイミング補正部97は、搬送判定位置P2を補正すると、補正後の搬送判定位置P2を記憶部90に格納する(SC5)。これにより、記憶部90に格納されていた搬送判定位置P2は補正後の搬送判定位置P2に更新され、以降は、更新後の搬送判定位置P2に基づいて搬送トリガが発生されることとなる。
【0104】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る搬送制御装置、搬送制御方法、及びプログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
【0105】
例えば、本実施形態に係る搬送制御部(搬送制御装置)71は、用紙処理装置102の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングで搬送要求信号を用紙搬送装置100へ送信する搬送要求部93と、用紙搬送装置100から用紙が送り出されたことを示す用紙通過信号を受信する通過情報受信部94と、用紙通過信号の受信タイミングに基づいて、搬送遅延の有無を判定する判定部95とを備える。
【0106】
そして、判定部95によって搬送遅延が発生していないと判定された場合には、搬送要求部93は、次の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングで搬送要求信号を送信する。他方、判定部95によって搬送遅延が発生していると判定された場合には、次の加工サイクルに対応する搬送要求タイミングにおいて搬送要求信号を送信せずに、次の搬送要求タイミングまで待機する。
【0107】
このように、用紙搬送装置100において、用紙の搬送遅延が生じていない場合には、次の加工タイミングにおいて用紙の搬送を行うので、加工タイミングに合わせた適切なタイミングで用紙を供給することが可能となる。これにより、用紙処理装置102の加工能力を低下させることなく、連続運転を可能とすることができる。
【0108】
また、用紙搬送装置100において、用紙の搬送遅延が生じた場合には、次の加工タイミングにおいて用紙の搬送を行わせないことにより、搬送遅延が発生しているにもかかわらず、次の用紙が搬送されてしまうことにより、用紙処理装置102において複数枚の用紙が滞留してしまうことを回避することが可能となる。
【0109】
また、このように用紙の滞留が発生してしまうと、必要以上に加工ローラ35への用紙の供給を停止させなければならない。よって、本実施形態のように制御することで、必要以上に給紙を停止させることなく、速やかに給紙を開始させることができる。この結果、加工効率の低下を抑制することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態に係る搬送制御部(搬送制御装置)71は、搬送要求タイミングを補正するタイミング補正部97を備える。タイミング補正部97は、用紙処理装置102に設けられるとともに、加工を行う打抜き加工部24よりも上流側に設けられた用紙検出位置を用紙が通過したタイミングに基づいて、用紙に対する実際の加工位置を推定し、推定した加工位置と、予め設定された基準加工位置とのずれ量に基づいて搬送要求タイミングを補正する。
【0111】
このように実際の運転時における加工位置に基づいて搬送要求タイミングを補正するので、運転状態に応じた適切な搬送要求タイミングで搬送要求信号を送信させることができる。これにより、加工の位置ずれを所定の誤差範囲内に抑えることが可能となる。
なお、加工位置の推定位置ではなく、用紙に対する実際の加工位置と予め設定された基準加工位置とのずれ量に基づいて、搬送要求タイミングを補正することとしてもよい。
【0112】
また、本実施形態に係る搬送制御部(搬送制御装置)71によれば、所定期間内に用紙通過信号を受信しなかった場合には、給紙制御部72に対して搬送遅延信号を通知する搬送遅延通知部96を備える。
【0113】
これにより、給紙制御部72に対して搬送遅延があったことを事前に通知することが可能となる。この結果、給紙制御部72は、搬送遅延が発生した用紙に対してタイミング調整を行うことができ、適切な給紙タイミングで用紙を打抜き加工部24に供給することが可能となる。
【0114】
また、本実施形態においては、制御装置70が搬送制御部71の機能を備える場合を例示していたが、これに限らず、搬送制御部71は、制御装置50に搭載されていてもよいし、制御装置70の上位制御装置に搭載されていてもよい。また、搬送制御部71は、独立した一つの制御装置として存在することとしてもよい。
【0115】
そして、上記のように、搬送制御部71が制御装置70とは異なる装置に搭載されている場合には、例えば、用紙処理装置102が備える各部と搬送制御部71との間で相互に授受していた情報については、ネットワーク(通信媒体)を介して送受信するようにすればよい。例えば、送受信する情報として、搬送遅延信号、回転位置検出部45による出力パルス又は出力パルスに基づいて演算された加工ローラの回転位置等が挙げられる。
【0116】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0117】
また、上記実施形態で説明した情報提示処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0118】
例えば、上記実施形態において、判定部95は、搬送要求信号を送信してから所定期間内に用紙通過信号を受信したか否かに基づいて、搬送遅延が発生したか否かを判定していた。しかしながら、搬送遅延が発生しているか否かの判定方法は、この例に限定されない。例えば、用紙通過信号を受信したときの加工ローラ35の基準位置P0の回転位置を回転位置検出部45から取得し、この回転位置が加工ローラ35の所定の位置範囲にあるか否かに基づいて、搬送遅延が発生しているか否かを判定することとしてもよい。ここで、「所定の位置範囲」は、例えば、上記「所定期間」に相当する位置範囲であり、搬送判定位置P2、加工ローラ35の回転速度に基づいて演算により算出することができる。
【0119】
また、上記のように、用紙通過信号を受信したときの加工ローラ35の基準位置P0の回転位置に基づいて搬送遅延が発生したか否かを判定する場合には、タイミング補正部97が、「所定の位置範囲」についても補正することとしてもよい。この場合、タイミング補正部97は、例えば、用紙通過信号を受信したときの加工ローラ35の回転位置を仮の用紙通過判定位置として一時的に記憶し、記憶した仮の用紙通過判定位置を上記差分Xで補正することとしてもよい。そして、補正後の用紙通過判定位置を中心として、前後に所定範囲の裕度を持たせることによって、「所定の位置範囲」を補正する。なお、この所定範囲の裕度は、所定期間に相当する回転位置範囲である。
【符号の説明】
【0120】
1 :駆動ローラ
2 :アイドルローラ
3 :搬送ベルト
3a :通気孔
4 :搬送駆動部
5 :第1搬送部
10 :用紙処理システム
11b :シャッタ
14 :抑止板
15 :用紙集積エリア
22 :第2搬送部
23 :用紙位置決めローラ
24 :打抜き加工部
35 :加工ローラ
35a :刃型
36 :受けローラ
37 :ローラ駆動部
45 :回転位置検出部
50 :制御装置
51 :第1センサ
52 :第2センサ
53 :第3センサ
60 :制御装置
70 :制御装置
71 :搬送制御部(搬送制御装置)
72 :給紙制御部
73 :加工制御部
90 :記憶部
91 :タイミング設定部
92 :搬送トリガ発生部
93 :搬送要求部
94 :通過情報受信部
95 :判定部
96 :搬送遅延通知部
97 :タイミング補正部
100 :用紙搬送装置
101 :用紙処理装置
102 :用紙処理装置