(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】光造形3D印刷アッセンブリおよび光造形3D印刷方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/129 20170101AFI20241224BHJP
B29C 64/286 20170101ALI20241224BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20241224BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241224BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241224BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20241224BHJP
【FI】
B29C64/129
B29C64/286
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2021562176
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020061014
(87)【国際公開番号】W WO2020212625
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-19
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508224029
【氏名又は名称】ユニベルシテイト ファン アムステルダム
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナワダ スハス
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0084241(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126647(US,A1)
【文献】特開2004-064079(JP,A)
【文献】特開2007-298990(JP,A)
【文献】特表2018-518400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/129
B29C 64/286
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光造形3D印刷アッセンブリであって、投影位置において第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンを投影するデジタル投影システムと、第2解像度を有する第2パターンを投影するフォトマスクシステムと、を備え、前記第2パターンおよび前記第1パターンは前記投影位置にて互いに位置合わせされ、前記フォトマスクシステムは前記デジタル投影システムと前記投影位置との間に少なくとも1つのフォトマスクを備える、光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項2】
前記第2解像度は、前記投影位置にて前記第1解像度よりも少なくとも10倍高い、請求項1に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項3】
(a)前記第1解像度は1インチあたり
200ドットより低く、前記第2解像度は1インチあたり200ドットより高い、
(b)前記第1解像度は1インチあたり250ドットより低く、前記第2解像度は1インチあたり250ドットより高い、および、
(c)前記第1解像度は1インチあたり100ドットより低く、前記第2解像度は1インチあたり300ドットより高い、
のいずれか1つを満たす、請求項1又は2に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項4】
前記フォトマスクシステムは少なくとも基板を備え、該基板は、該基板に恒久的に画定された前記第2パターンの少なくとも一部を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項5】
前記フォトマスクシステムは一連の基板を備え、該基板の各々は、該基板の各々に恒久的に画定された前記第2パターンの少なくとも一部を備える、請求項4に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項6】
位置合わせシステムを備え、該位置合わせシステムは前記第2パターンおよび前記第1パターンを有し、前記第2パターンおよび前記第1パターンは位置合わせされ、光重合するための組み合わせ画像を作成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項7】
前記位置合わせシステムは、前記デジタル投影システムと前記フォトマスクシステムとの位置合わせ提供部と、前記位置合わせ提供部を検知する検知部と、前記デジタル投影システムおよび前記フォトマスクシステムを互いに対して位置合わせする位置合わせアクチュエータとを備える、請求項6に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項8】
前記デジタル投影システムは、電磁放射ビームを生成する電磁放射源と、前記電磁放射源の下流に位置し、前記電磁放射ビームをコリメートするコリメート光学系と、前記コリメート光学系の下流に位置するデジタルミラーデバイスと、前記投影位置を平行移動させる少なくとも1つの軸平行移動装置とを備え、前記フォトマスクシステムは、前記コリメート光学系のコリメートされたビームにおいて少なくとも1つのフォトマスクを位置決めするために設けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項9】
前記デジタル投影システムは、光源と、前記光源の下流に位置するコリメート光学系と、前記コリメート光学系の下流に位置するデジタルミラーデバイスと、前記投影位置を平行移動させる少なくとも1つの軸平行移動装置とを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項10】
前記デジタル投影システムは、パターン化された光源と、前記パターン化された光源の下流に位置するコリメート光学系と、前記投影位置を平行移動させる少なくとも1つの軸平行移動装置とを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項11】
さらに、光硬化樹脂を収容する容器と、前記投影位置を画定するターゲット面であって、前記デジタル投影システムからの放射で重合された固化層を受けるターゲット面とを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項12】
前記フォトマスクシステムは、一連のフォトマスクと、少なくとも1つの前記フォトマスクを選択して前記第2パターンを生成する選択システムと、を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項13】
前記フォトマスクシステムは、前記第2パターンを生成するため前記第1パターンの投影中に前記少なくとも1つのフォトマスクを変位させるアクチュエータを備え、前記アクチュエータが平行移動ステージおよび回転ステージから選択された少なくとも1つを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項14】
前記フォトマスクシステムは、光造形3D印刷アッセンブリに、付加システムとして設けられる、請求項1~13のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項15】
投影位置にて第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンを投影するデジタル投影システムを備える光造形3D印刷アッセンブリで使用するための光造形3D印刷アッセンブリであって、
-1インチあたり200ドットより高い第2解像度で、空洞又はチャネルのような少なくとも1つのミクロ特徴を作成する少なくとも1つのフォトマスクと、
-前記光造形3D印刷アッセンブリにおいて光硬化層の間で前記フォトマスクを変位させるアクチュエータと、
-前記デジタル的に画定された第1パターンに前記少なくとも1つのミクロ特徴を生成するため前記光造形3D印刷アッセンブリの前記デジタル投影システムと前記投影位置とから選択された少なくとも1つに対して、前記少なくとも1つのフォトマスクを位置決めする前記アクチュエータを制御する制御部と、を備える光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項16】
一連の前記フォトマスクと、
-規則格子のような所定のミクロ特徴を作成するため、前記一連のフォトマスクから少なくとも1つのフォトマスクを選択するフォトマスク選択システムと、
-前記少なくとも1つのミクロ特徴を作るため、前記一連の前記フォトマスクから少なくとも1つのフォトマスクを選択する制御部であって、前記少なくとも1つのミクロ特徴を生成するため、前記選択された少なくとも1つのフォトマスク
と、投影光学系と、前記投影位置とを互いに対して位置決めする前記アクチュエータを制御する制御部と、を備える請求項15に記載の光造形3D印刷アッセンブリ。
【請求項17】
光造形3D印刷方法であって、
-光造形3D印刷加工中、投影光学系を用いて、樹脂容器内の投影位置にて第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンを投影することと、
-前記樹脂容器と前記投影光学系との間に少なくとも1つのフォトマスクを設けることと、
-前記少なくとも1つのフォトマスクを用いて前記投影位置にて少なくとも1つのフォトマスクパターンを投影し、前記投影位置にて第2解像度を有す
る第2パターンを投影し、前記第1パターン上に
前記第2パターンを設けることと、を備える光造形3D印刷方法。
【請求項18】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の光造形3D印刷アッセンブリを制御して三次元オブジェクトを生成するコンピュータプログラム製品であって、データプロセッサにて動作するとき、
-前記三次元オブジェクトを、前記投影位置にて投影される個別のスライスに離散化し、
-各スライスを、前記第1解像度を有する前記デジタル的に画定された第1パターンに分解し、
-各スライスを、前記第2解像度を有する前記第2パターンに分解し、
-前記第2パターンを、夫々の基本フォトマスクが基本パターンを有する一連の基本フォトマスクから少なくとも1つの基本フォトマスクの選択に分解し、
-後続のスライスを前記第1パターンの変位に分解し、
-後続のスライスを前記第2パターンの変位に分解し、
-制御指令を与え、前記デジタル投影システムおよび前記フォトマスクシステムを制御し、前記三次元オブジェクトを生成するために前記デジタル的に画定された第1パターンおよび前記第2パターンを同時に生成する、光造形3D印刷アッセンブリを制御するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、光造形3D印刷アッセンブリ、光造形3D印刷方法、および光造形3D印刷アッセンブリを制御するコンピュータプログラム製品に関する。
【0002】
[背景技術]
米国特許公報第9733429号の要約には、「大きな厚みのマイクロ格子構造を形成するためのシステムおよび方法である。一実施形態では、フォトノマー樹脂は、透明な底部を有するモールドに固定され、その内部面はモールド剥離剤でコーティングされている。基板は、そのフォトノマー樹脂の上面に接触して配置される。このフォトノマー樹脂は、フォトマスクを介して、コリメートされた1つ又は複数の光源によって下方から照射されてポリマー導波管を形成し、基板まで延在し、該基板と接続されたマイクロ格子構造を形成する。マイクロ格子構造の層の形成後、並進回転システムを用いて基板を上昇させ、追加のフォトノマー樹脂がモールドに付加され、そのフォトノマー樹脂は、フォトマスクを介して再び照射されてマイクロ格子構造の更なる層を形成する。このプロセスが複数回繰り返され、積層されたマイクロ格子構造が形成される。」ことが記載されている。
【0003】
米国特許公報第9862147号の要約には、「本発明では、感光性樹脂を硬化させる方法が開示される。この方法は、モデルの断面から取得したベクトルファイルに基づいて、外輪郭領域および内輪郭領域を有するサブピクセルパターンを生成する工程と、フォトマスクモジュールにサブピクセルパターンを提供する工程であって、フォトマスクモジュールはピクセルマトリックスを有するパネルを含み、ピクセルマトリックスは複数の正方形ピクセルを含み、複数の正方形ピクセルのそれぞれは、三色カラーフィルタされたサブピクセルを含む、提供する工程と、内輪郭領域から外輪郭領域を区別するために、カラーフィルタされたサブピクセルのそれぞれについて色の塗りつぶしを行う工程と、パネルを通過する光を発する光源に感光性樹脂を露光する工程と、を含む。」ことが記載されている。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0056605号の要約には、「3D印刷システムは、構築装置と光学投影エンジンとを備える。構築装置は、硬化タンクと、光硬化性材料と、構築プラットフォームとを含み、光硬化性材料および構築プラットフォームは、硬化タンク内に配置される。光学投影エンジンは、少なくとも第1のピクセルサイズおよび第2のピクセルサイズを有する画像ビームを構築プラットフォームに投影して光硬化性材料を硬化させるズームレンズを有し、第1のピクセルサイズは第2のピクセルサイズとは異なる。」ことが記載されている。
【0005】
米国特許出願公開第2018/126647号の要約には、「本発明は、放射線源によって生成された放射線場の不均一な強度分布を補正する装置、特に、放射線の作用下で固化可能な材料を構築面において層ごとに固化することによって3D物品を生成する装置のための放射線源に関する。この装置は、放射線源と構築面との間において、放射線の作用下で固化可能な材料を層ごとに固化することによって3D物品を生成する装置の放射線経路に導入される補正またはフィルタリング装置を含む。さらに、放射線源によって生成された放射線場の不均一な強度分布を補正する装置を生成するための改良された方法、並びに、3D物品を生成するための改良された方法および装置が提案される。」ことが記載されている。
【0006】
国際公開第2015007772号の要約には、「本発明は、露光マスク(28)を用いて、放射線(14)の作用によって固化可能な材料(16)を層ごとに固化することにより、3Dオブジェクト(12)を生成する方法に関する。該方法では、少なくとも1つの、好ましくは単一のデジタル露光マスクが、構築面(22)においてオブジェクト(12)における固化される各オブジェクト層を形成するために生成され、露光マスクによって、放射線が構築面に選択的に投影される。本発明によれば、この方法は、露出時間中に振動式で構築面(22)を露出することによって、改良されてさらに滑らかな表面を有する3Dオブジェクトを簡便に生成することができるという点で改良されている。本発明はまた、改良された露光マスク生成装置および3Dオブジェクトを生成するための改良された装置に関する。」ことが記載されている。
【0007】
CHI ZHOUらの「A Novel Low-Cost Process Based on Vector Projection for High-Speed, and Large-Area Stereo lithography Scanning and Mask High-Accuracy, High-Throughput, Fabrication」(2015年3月1日発行)における要約では、「光重合ベースのプロセスは、最も一般的な積層造形(AM)プロセスの1つである。このプロセスの2つの主要構成は、レーザベースのベクトル毎の走査(0D)と、投影ベースの層毎の露光(2D)とである。高度に集束された微細レーザにより、その走査をベースとしたプロセスでは非常に高度且つ精密な表面仕上げが可能となるが、走査のシリアル(serial)性に起因して、このプロセスについては速度が遅いという課題がある。レーザ走査とは対照的に、投影をベースとしたプロセスでは、1回の露光で全層を形成可能であり、これにより製造効率が向上する。しかしながら、投影装置の解像度が制限され、また様々な光学的欠点があるため、大きな面積の製造に対しては表面品質が大幅に低下する。この問題を解決するために、ベクター走査とマスク投影とを組み合わせた新たなハイブリットプロセスが提示されている。このプロセスでは、レーザは微小スポットに焦点を合わせて層の境界を走査するのに用いられる一方、投影は、大きなプラットフォーム面に焦点を合わせて層の内部領域を形成するために用いられる。レーザ走査のための輪郭を抽出する効率的なスライスプロセスが提案されている。マスク投影のためオフセット輪郭をグレースケール画像へ変換するために、スライスしたものから画像への変換アルゴリズムも開発されている。実験結果は、提案したハイブリッドプロセスが表面品質を低下させずに作製速度を大幅に改善させることができることを実証した。」ことが記載されている。
【0008】
米国特許出願公開第2019/084241号の要約では、「3Dオブジェクトを作製するためのマルチスケール多光子フォトリソグラフィシステムは、3Dオブジェクトが作製される元である感光性組成物を支持するように構成された支持構造と、光路を介して感光性組成物に光を集束させるように構成された顕微鏡対物と、第1の波長の光を顕微鏡対物に提供するように構成された第1の光学アッセンブリであって、第1の波長が感光性組成物において単一光子プロセスを誘導するように選択される第1の光学アッセンブリと、第2の波長の光を顕微鏡対物に提供するように構成された第2の光学アッセンブリであって、第2の波長が感光性組成物において多光子プロセスを誘導するように選択される第2の光学アッセンブリと、第1および第2の光学アッセンブリに動作可能に結合されたコントローラとを含み得る。コントローラは、プロセッサと、プロセッサに動作可能に接続された非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、該コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されると、第1の光学アッセンブリを介して光路を通って光の第1の波長で感光性材料を照射することを含むオペレーションを実行し、単一光子のフォトリソグラフィを介して3Dオブジェクトの第1の領域を生成する命令を含む。第2の光学アッセンブリを介して、光路を通って第2の波長の光で感光性材料を照射し、多光子フォトリソグラフィを介して3Dオブジェクトの第2の領域を生成する。3Dオブジェクトが完成するまで、工程(a)と(b)とを繰り返す。」ことが記載されている。
【0009】
米国特許出願公開第2004/019408号の要約では、「リソグラフィツールは、露光チャンバと、リソグラフィツールのユーザによって規定されたように露光されるレチクルを交換するレチクルハンドラとを含む。レチクルハンドラは、真空対応ロボットと、該ロボットを収容する真空チャンバと、レチクルを投入して大気圧から真空に移行するロードロックと、レチクルを加工する加工ステーションと、露光工程中に交換できるように、少なくとも1つの追加のレチクルを保管するレチクルライブラリとを備え得る。このロボットは、複数の手持ち把持部を有し、複数のレチクルを同時に保持可能である。これにより、第1ハンドにより第1レクチルをレチクルステージから取り外し、第2ハンドにより第2レチクルをレチクルステージに搭載可能になる等により、交換時間が最小限に抑えられる。」ことが記載されている。
【0010】
[発明の概要]
これらの様々な方法の中でもとりわけ、先行技術の1つ以上の欠点は、解像度と印刷可能なオブジェクト寸法との間のトレードオフを提案していることである。大型のオブジェクトを印刷するための方法では、現在、サブμmの解像度を提供することができず、高解像度の印刷技術は妥当な時間枠内にてオブジェクト(体積が数立方センチメートル)を3D印刷することができない。
【0011】
従って、本発明の一局面は、代替の3D印刷方法を提供することであり、この方法は、好ましくは、1つ又は複数の上述の欠点をさらに少なくとも部分的に取り除くことである。
【0012】
ここでは、光造形3D印刷アッセンブリが提供され、該光造形3D印刷アッセンブリは、デジタル投影システムであって、投影位置に、第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンを投影するデジタル投影システムと、第2解像度を有する第2パターンを投影するフォトマスクシステムと、を備え、第2パターンおよび第1パターンは投影位置にて互いに位置合わせされ、フォトマスクシステムはデジタル投影システムと投影位置との間に少なくとも1つのフォトマスクを提供する。
【0013】
さらに、投影位置にて第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンを投影するデジタル投影システムを備える光造形3D印刷アッセンブリで使用するための光造形3D印刷付加アッセンブリが提供され、該光造形3D印刷付加アッセンブリは、
-1インチあたり200ドットより高い、特に1インチあたり250ドットより高い、とりわけ1インチあたり300ドットより高い第2解像度で、空洞又はチャネルのような少なくとも1つのミクロ特徴を作製する少なくとも1つのフォトマスクと、
-光造形3D印刷アッセンブリにおいて光硬化層の間でフォトマスクを変位させるアクチュエータと、
-デジタル的に画定された第1パターンに少なくとも1つのミクロ特徴を作成するため光造形3D印刷アッセンブリのデジタル投影システムと投影位置とから選択された少なくとも1つに対して、少なくとも1つのフォトマスクを位置決めするアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【0014】
さらに、光造形3D印刷方法が提供され、該光造形3D印刷方法は、
-光造形3D印刷加工中、投影光学系を用いて、樹脂容器内の投影位置にて第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンを投影することと、
-樹脂容器と投影光学系との間に少なくとも1つのフォトマスクを設けることと、
-少なくとも1つのフォトマスクを用いて、投影位置にて少なくとも1つのフォトマスクパターンを投影し、投影位置にて第2解像度を有する第2パターンを投影し、第1パターン上に第2パターンを設けることと、を備える。
【0015】
さらに、コンピュータプログラム製品が設けられ、光造形とフォトリソグラフィのパターン、すなわち第1パターンおよび第2パターン、とを位置あわせする。
【0016】
光造形およびフォトリソグラフィの重合ベースの3D印刷方法の組み合わせにより、光造形方法を用いて高容積および高解像度の3D印刷が可能になる。コンピュータプログラム製品は、光造形のパターンとフォトリソグラフィのパターンとを位置合わせするために設けられる。
【0017】
本明細書に記載の方法およびアッセンブリは、デジタル照射システム(例えば、デジタルミラーデバイス、LCD、反射型液晶パネル、又はレーザ走査方法)を備え、完全に三次元的に一致したより大きな特徴(ここでの名称はマクロパターン)を3D印刷する。これは第1パターンを提供する。方法およびアッセンブリは、また、より小さな特徴(ここでの名称はミクロパターン)を印刷するためのフォトマスクパターンと、様々なフォトマスクパターン間で切り替わるための平行移動又は回転ステージとを備えるフォトマスクシステムを含む。これは第2パターンを提供する。フォトマスクシステムは、基板に恒久的に画定されたパターンを用いる。フォトマスクシステムは、1つの基板に1つの完全なパターンを用いることができる。一実施形態では、幾つかの基本パターンは、別々の基板にそれぞれ設けられる。これらの基板は、組み合わされ第2パターンを形成可能である。さらに別の実施形態では、オブジェクトの種々の微細部を印刷するために、後続のパターンは個別の基板にて用いることができる。
【0018】
不明瞭を回避するためだけであるが、3D印刷は、積層造形とも称される。積層造形により、材料層を何層も重ねることにより、3Dオブジェクトの生成が可能になる。
【0019】
2つの手法を組み合わせることで、いずれの方法でも単独ではできない部材の製造が可能になる(解像度、縮尺、および三次元的な一致性に関して)。例えば、低解像度での大型オブジェクト(現在の光造形方法を用いた最大500×500cm)の形状であるものの、同時に、その一片が印刷されるにつれてサブμm特徴を備えた1つ又は複数のフォトマスクパターンを周期的に繰り返すことができる。これにより、規則正しく繰り返される微細構造を有する大型部材が作製されるようになる。このマクロ構造(即ち、オブジェクトの全体の形状)は、デジタル的に画定される一方、ミクロの特徴はフォトマスクシステムにより画定されるようになる。
【0020】
従って、ここに記載した方法では、印刷されるオブジェクトのサイズを犠牲にすることなく、従来の光造形方法と比較して、解像度を100~1000倍向上させることができる。あるいは、この方法は、二光子重合のような高解像度の印刷方法と比較して、印刷時間が100~1000分の1に短縮する。この方法は、完全に一致した大型のマクロ構造でありつつ、規則正しい微細構造を繰り返す必要がある場合特に有用である。
【0021】
最新のアッセンブリは、様々な分野にて使用可能である。以下は、その例である。
【0022】
組織骨格(Tissue Scaffolds):細胞の成長を促進し患者ごとにオーダーメイドの器官を作製するために多孔質構造の器官を印刷する。この場合、器官そのものは、特徴サイズが500μmを超えるマクロ特徴である。フォトマスクのパターニングを用いて、細胞の成長に必要なミクロ特徴を作製するための高い表面積体積比である多孔質格子を作製可能である。
【0023】
メタマテリアル:「メタマテリアル」として知られている超軽量且つ頑丈な格子は、高解像度3D印刷(即ち、100μm未満の特徴サイズ)における重要なアプリケーションとされてきた。航空宇宙産業、家具設計や自動車分野と同じくらい多様なセクターが、この最新のアッセンブリおよび方法から恩恵を受けることができる。既知の技術の限界は、解像度と機能的部材に対する部材サイズとの組み合わせである。
【0024】
液体クロマトグラフィカラム:現在の液体クロマトグラフィは、ランダムにカラムに充填された5μm未満の粒子に拠る。3D印刷が生み出す恩恵または全体的に整列した多孔質媒体は、シミュレーションや実験を用いて立証されてきた。しかしながら、低印刷解像度(または二光子重合での長い造形時間)は、分取又は分析スケール分離に適用可能なスケールでの3D印刷カラムの開発を制限してきた。この提案したアッセンブリおよび方法により、単純な繰り返し多孔質グリッドの作製が可能になると共に、解像度と造形体積との両方の観点から液体クロマトグラフィカラムの物理的な要件を満たすことが可能になる。
【0025】
マイクロ流体デバイス:マイクロ流体およびラボオンチップスのデバイスは、従来、平面的なフォトリソグラフィ技術を用いてきたが、非常に時間がかかり、多くの場合、クリーンルーム設備を必要とする。既知の3D印刷は、わずかな時間とコストで三次元設計を十分に作製する機会を提供している。しかしながら、既知の光造形のアッセンブリの解像度は、マイクロ流体デバイスというより「ミリ流体」デバイスを作製するだけしかできず、小型化という目的にそぐわないことが多い。最新のアッセンブリおよび方法は、両方の技術の利点を組み合わせて、マイクロ流体デバイスの販売を商業的に魅力的な提案できる製造時間とコストで超高解像度の複雑なチップデザインを作製する。接続ポートなどのマクロ特徴や溶媒リザーバは、既知の生成プロセス部品にて画定可能であると共に、ミクロチャネルは、提案された追加的特長により作製可能である。
【0026】
このアッセンブリの一実施形態では、第2解像度は、投影位置にて第1解像度よりも少なくとも10倍高い。
【0027】
一実施形態では、第1解像度は1インチあたり200ドットより低く、第2解像度は1インチあたり200ドットより高く、具体的な実施形態では、第1解像度は1インチあたり250ドットより低く、第2解像度は1インチあたり250ドットより高い。さらに具体的な実施形態では、第1解像度は1インチあたり100ドットより低く、第2解像度は1インチあたり300ドットより高い。複数の実施形態では、第1解像度は特定の構造の印刷をより高速に行うことが可能になるようにさらに低いものの、第2解像度はさらに高くしてもよく、1インチあたり最大600ドット以上に高くしてもよい。
【0028】
このアッセンブリの一実施形態では、フォトマスクシステムは少なくとも基板を備え、該基板はこの基板に恒久的に画定された第2パターンの少なくとも一部を備える。その一実施形態では、フォトマスクシステムは一連の基板を備え、該基板の各々は、該基板の各々に恒久的に画定された第2パターンの少なくとも一部を備える。
【0029】
一実施形態では、この光造形3D印刷アッセンブリは、さらに、第2パターンおよび第1パターンを位置合わせし、光重合するための組み合わせ画像を作成する位置合わせシステムまたはアダプタを備える。その一実施形態では、位置合わせシステムは、デジタル投影システムとフォトマスクシステムとの位置合わせ提供部と、位置合わせ提供部を検知する検知部と、デジタル投影システムおよびフォトマスクシステムを互いに対して位置合わせする位置合わせアクチュエータとを備える。
【0030】
一実施形態では、前記デジタル投影システムは、電磁放射ビームを発生させる電磁放射源と、電磁放射源の下流に位置し、電磁放射ビームをコリメートするコリメート光学系と、コリメート光学系の下流に位置するデジタルミラーデバイスと、投影位置を平行移動させる少なくとも1つの軸平行移動装置とを備え、フォトマスクシステムは、コリメート光学系のコリメートされたビームにおいて少なくとも1つのフォトマスクを位置決めするために設けられる。一実施形態では、この電磁放射は、紫外線又は可視光の範囲内である。
【0031】
一実施形態では、前記デジタル投影システムは、光源と、光源の下流に位置するコリメート光学系と、コリメート光学系の下流に位置するデジタルミラーデバイスと、投影位置を平行移動させる少なくとも1つの軸平行移動装置とを備える。
【0032】
一実施形態では、前記デジタル投影システムは、パターン化された光源と、パターン化された光源の下流に位置するコリメート光学系と、投影位置を平行移動させる少なくとも1つの軸平行移動装置とを備える。
【0033】
一実施形態では、この光造形3D印刷アッセンブリは、さらに、光硬化樹脂を収容する容器と、投影位置を画定するターゲット面であって、デジタル投影システムからの放射で重合された固化層を受けるターゲット面とを備える。
【0034】
一実施形態では、このフォトマスクシステムは、一連のフォトマスクと、少なくとも1つのフォトマスクを選択して第2パターンを生成する選択システムと、を備える。これにより、アッセンブリの用途がさらに広がる。微細パターンは、基礎パターンの組み合わせに分解可能であり、それらの基礎パターンを示すフォトマスクは、動的であっても組み合わされ、その微細パターンを生成することができる。これにより、例えば、微細パターンを加工中に変更することが可能になる。この方法では、例えば、複雑な3Dにて稼働するチャネルを作成することが可能である。
【0035】
一実施形態では、このフォトマスクシステムは、第2パターンを生成するため第1パターンの投影中に少なくとも1つのフォトマスクを変位させるアクチュエータを備え、具体的には、アクチュエータが平行移動ステージおよび回転ステージから選択された少なくとも1つを備える。これにより、パターンは、例えば、低解像度の第1パターンにおいて選択された位置にて作製可能となる。
【0036】
一実施形態では、このフォトマスクシステムは、光造形3D印刷アッセンブリに付加システムとして設けられる。これにより、既存の光造形3D印刷システムの大幅な改良が可能となる。
【0037】
さらに、光造形3D印刷付加アッセンブリが提供され、特に、前述の光造形3D印刷付加アッセンブリは、
-特に、1インチあたり200ドットより高い、特に1インチあたり250ドットより高い、とりわけ1インチあたり300ドットより高い第2解像度で、空洞又はチャネルのような少なくとも1つのミクロ特徴を作成する少なくとも1つのフォトマスクと、
-動作中、光造形3D印刷アッセンブリにおいて、特に光硬化層の間でフォトマスクを変位させるアクチュエータと、
-デジタル的に画定された第1パターンに所定の少なくとも1つのミクロ特徴を生成するため光造形3D印刷アッセンブリのデジタル投影システムと投影位置とから選択された少なくとも1つに対して、少なくとも1つのフォトマスクを位置決めするアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【0038】
一実施形態では、光造形3D印刷付加アッセンブリは一連の前記フォトマスクと、
-規則格子のような所定のミクロ特徴を作成するため、一連のフォトマスクから少なくとも1つのフォトマスクを選択するフォトマスク選択システムと、
-少なくとも1つのミクロ特徴を生成するため、一連のフォトマスクから少なくとも1つのフォトマスクを選択する制御部であって、少なくとも1つのミクロ特徴を生成するため、選択された少なくとも1つのフォトマスクと、投影光学系と、投影位置とを互いに対して位置決めするアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【0039】
この光造形3D印刷方法の一実施形態では、該方法は、さらに、
-少なくとも1つのフォトマスクを変位させるアクチュエータを設けることと、
-移動を行うことであって、第1パターンの投影とともに、光造形印刷工程中に、少なくとも1つのフォトマスクを、特に、回転、平行移動、およびそれらの組み合わせから選択されるものである移動を行うことと、を含む。
【0040】
光造形3D印刷方法の一実施形態では、該方法は、さらに、
-一連の少なくとも1つのフォトマスクを設けることと、
-一連の少なくとも1つのフォトマスクから少なくとも1つのフォトマスクを選択することと、
-第1パターンの投影中に第2パターンを変更することであって、該変更は、選択された少なくとも1つのフォトマスクのうちの少なくとも1つを、除去、追加、置換すること、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含む、変更することと、を備える。
【0041】
この光造形3D印刷方法の一実施形態では、繰り返しパターンを含む少なくとも1つのフォトマスクが設けられ、第2解像度を有する少なくとも1つの三次元的な規則格子を生成する第2パターンを生成する。
【0042】
さらに、三次元オブジェクトを生成するための光造形3D印刷アッセンブリを制御するコンピュータプログラム製品が提供され、該コンピュータプログラム製品は、データプロセッサにて動作するとき、
-三次元オブジェクトを、投影位置にて投影される個別のスライスに分解し、
-各スライスを、第1解像度を有するデジタル的に画定された第1パターンに分解し、
-各スライスを、第2解像度を有する第2パターンに分解し、
-第2パターンを、夫々の基本フォトマスクが基本パターンを有する一連の基本フォトマスクから少なくとも1つの基本フォトマスクの選択に分解し、
-後続のスライスを第1パターンの変位に分解し、
-後続のスライスを第2パターンの変位に分解し、
-制御指令を与え、デジタル投影システムおよびフォトマスクシステムを制御し、三次元オブジェクトを生成するためにデジタル的に画定された第1パターンおよび第2パターンを同時に生成する。
【0043】
さらに、三次元オブジェクトを生成するための光造形3D印刷付加アッセンブリを制御するコンピュータプログラム製品が提供され、該コンピュータプログラム製品は、データプロセッサにて動作するとき、
-投影位置にて投影される個別のスライスへの三次元オブジェクトの分解を読み出し、
-第1解像度を有し、各スライスと対応する第1パターンを読み出し、
-補正がなされた対応するスライスから第1パターンを取り去り、
-各補正されたスライスを、第2解像度を有する第2パターンに分解し、
-第2パターンを、夫々の基本フォトマスクが基本パターンを有する一連の基本フォトマスクから少なくとも1つの基本フォトマスクの選択に分解し、
-連続するスライスのため、第1パターンの変位を読み出し、
-連続するスライスを第2パターンの変位に分解し、
-制御指令を与え、さらなる光造形3D印刷システムと同期してフォトマスクシステムを制御し、三次元オブジェクトを生成するため、第1パターンおよび第2パターンを同時に生成する。
【0044】
このコンピュータプログラム製品により、既存のアッセンブリの改良が可能になる。
【0045】
本発明は、さらに、光造形3D印刷アッセンブリに関し、該アッセンブリは、投影位置にて第1解像度を有する第1パターンを投影するデジタル投影システムと、投影位置にて第2解像度を有する第2パターンを投影するフォトマスクシステムとを備える。
【0046】
本発明は、さらに、光造形3D印刷付加アッセンブリに関し、該付加アッセンブリは、
-空洞又はチャネルのような、少なくとも1つのミクロ特徴を作製する少なくとも1つのフォトマスクと、
-光造形のシステムの作動中フォトマスクを変位させるアクチュエータと、
-少なくとも1つのフォトマスクと、投影光学系と投影位置とを互いに対して位置決めし、所定の繰り返しミクロ特徴を生成するアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【0047】
本発明は、さらに、光造形3D印刷付加アッセンブリに関し、該アッセンブリは、
-空洞又はチャネルのような、少なくとも1つのミクロ特徴を作製する少なくとも1つのフォトマスクと、
-光造形のシステムの作動中フォトマスクを変位させるアクチュエータと、
-少なくとも1つのフォトマスクと、投影光学系と、投影位置とを互いに位置決めし、所定の繰り返しミクロ特徴を生成するアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【0048】
「上流」および「下流」という用語は、光発生手段(ここでは具体的には第1光源)からの光の伝播に関連するアイテムおよび特徴の配置に関し、この光発生手段からのビーム光内の第1の位置に対して、光発生手段に近接したビーム光の第2の位置が「上流」であり、光発生手段から遠くに離れたビーム光内の第3の位置が「下流」である。
【0049】
「実質的に~からなる」のような、本明細書における「実質的に」という用語は、当業者には理解されるであろう。「実質的に」という用語は、「全面的に」、「完全に」、「全て」等と表現された実施形態も包含するものである。したがって、実施形態においては、「実質的に」という形容詞は削除されてもよい。該当する場合、「実質的に」という用語は、90%以上、例えば95%以上、特に99%以上、とりわけ100%を含む99.5%以上に係ってもよい。「を備える」という用語は、「を備える」という用語が「からのみ成る」という意味で使われる実施形態も包含する。
【0050】
「機能的に」という用語は、当業者によって且つ当業者にとって明瞭に理解されるであろう。「実質的に」と同様に「機能的に」という用語は、「全面的に」、「完全に」、「全て」等と表現された実施形態も包含するものでもある。したがって、実施形態においては、形容詞的な「機能的に」という用語は削除されてもよい。例えば「機能的に平行な」などの用法で用語が使用されるとき、当業者には、この形容詞的な「機能的に」という用語は上述した「実質的には」という用語を包含することが理解される。「機能的に」という用語は、具体的には、形容詞的な「機能的に」という用語が存在しないかのように特徴が機能可能となるような当該特徴の構成を包含すると理解される。「機能的に」という用語は、言及する特徴の変形例を包含することを意図するものであり、この変形例とは、当該特徴の機能的用途において、恐らくは発明において当該特徴が関係する他の特徴との組み合わせで、この特徴の組み合わせが動作または機能可能なものを指す。例えば、アンテナが通信装置と機能的に連結、あるいは、機能的に接続されている場合、アンテナが受信した電磁信号は、通信装置によって使用されることが可能である。例えば、「機能的に平行な」という場合の「機能的に」という用語は、厳密に平行なことを包含して使用されるが、上述した「実質的に」という用語に包含される実施形態をも包含して使用される。例えば、「機能的に平行な」とは、作動中に、一例として、部材同士が平行であるように機能する実施形態に関連して使用される。この場合、意図された使用分野の範囲において、部材同士が平行であるかのように運転されることが、当業者にとって明らかである実施形態を包含する。
【0051】
さらに、明細書および特許請求の範囲における第1(の)、第2(の)、第3(の)、等の用語は、類似した要素を区別するために用いられており、必ずしも逐次順又は時間的順序を述べるためのものではない。このように用いられる用語は適切な状況下で互いに入れ換え可能であること、および本明細書に記載されている本発明の実施形態が、本明細書において説明又は図示されている以外の順序で実施可能であると理解されるべきである。
【0052】
本明細書においてデバイスまたは装置はとりわけ作動中のものを記載している。当業者に明らかである通り、本発明は作動の方法または作動中の装置に限定されない。
【0053】
上述した実施形態は本発明を限定するのではなく例示するものであり、および当業者であれば添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多数の代替実施形態を設計し得るであろうことに、留意すべきである。請求項において、括弧の中に入れられたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。「備える」という動詞およびその活用形の使用は、請求項に記載したもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。ある要素に先行する冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、当該要素が複数存在することを除外しない。本発明は、複数の別々の要素を備えるハードウェアにより、且つ適切にプログラムされたコンピュータにより具現化され得る。複数の手段を列挙するデバイス即ち装置クレームにおいて、これら手段の複数はハードウェアの1つ且つ同じ項目によって具体化され得る。特定の手段が互に異なる従属クレームに記載されるという事実のみで、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないと示すことはない。
【0054】
本発明は、さらに、明細書に記載された、且つ/又は添付の図面に示された、特徴となる構成のうちの1つ又は複数を備える装置又はデバイスに適用される。本発明はさらに、明細書に記載された、且つ/又は添付の図面に示された、特徴となる構成のうちの1つ又は複数を備える方法又はプロセスに関する。
【0055】
本特許で論じられる様々な態様はさらなる利点を提供するために組み合わされ得る。さらに、特徴の一部は1つ以上の分割出願の基礎となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
ここで、本発明の実施形態を、単なる例示として、添付の概略的な図面を参照して説明する。添付の図面において、対応する参照符号は対応する部分を示す。図面は必ずしも縮尺どおりではない。
【
図1】本アッセンブリの一実施形態の概略的に示す側面図である。
【
図5】印刷中のオブジェクトを示す代替のセットアップである。
【
図6】マイクロパターン付きオブジェクトを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1~4は、光造形印刷アッセンブリ1の一実施形態を概略的に示す。アッセンブリ1は、デジタル投影システム2を備える。このデジタル投影システムそれ自体は、本分野では公知のものである。デジタル投影システムの光源は、UV若しくは可視光LEDシステム、又は、水銀アークランプを備えてもよい。投影された画像は、デジタルミラーデバイス(DMD)、レーザラスタ若しくはレーザスクリーニング、液晶ディスプレイ(LCD)、又はシリコンベース照射システムの液晶により画成可能である。
【0058】
光造形印刷システム1は、投影位置を画定する面4を備える。多くの場合、そのような面は平坦面となる。この面は、変位システム5に取り付けられる。このような変位システム5は、いわゆるZ軸移動テーブルを備える場合が多い。これにより、面4は上下に、即ち
図1に示されるように移動可能である。
【0059】
光造形印刷システム1は、さらに、重合性樹脂7を収容する容器6を備える。
【0060】
光造形印刷システム1は、さらに、フォトマスクシステム3を備える。フォトマスクシステム3は、第1マスク8を保持するフレームを備え、本実施形態では、第2マスク8’も備える。フォトマスクシステム3は、さらに、マスク8、8’をX-Y面(表示)において平行移動させるアクチュエータ9を備える。一実施形態では、このアクチュエータは、ほんのわずかな量、通常はミクロンオーダーで、マスク8、8’を移動即ち平行移動するマイクロ平行移動セット部と、例えばマスク8をマスク8’と、またその逆にも置き換えるマクロ平行移動セット部とを有する。
【0061】
このフォトマスクシステムに用いられるマスク8、8’は、基板に恒久的に画定されるパターンを備える。先に述べたように、多数の選択が可能であり、探求されてきた。例えば、第2パターンを、完全に基板に設けることが可能である。印刷されるオブジェクト1つに対して、後続の幾つかの第2パターンは、第1パターンと組み合わせて連続して用いることが可能である。明らかなことであるが、この第1パターンは、オブジェクトの印刷中に変化し得る。複数の代替実施形態では、一連の基礎パターンは別の基板に夫々設けることが可能である。これらの基礎の基板を組み合わせて、第2パターンを形成する、即ち結果的に第2パターンとなるようにしてよい。例えば、このフォトマスクは、当業者にとって既知であり、例えば、ソーダ石灰、石英、またはテフロンの基板に作られてもよい。
【0062】
オブジェクトを3D印刷するために、第1パターンおよび第2パターンは、第2パターンによって画定された特徴が適切な位置にあるように、第1パターンによって画定された特徴に位置合わせされる。これにより、光重合される、組み合わされた画像が作製される。最後に、位置合わせシステムが設けられる。これは、多数の方法にて提供され得る。一実施形態では、1つ又は複数の位置合わせ特徴がフォトマスクに追加される。一実施形態では、デジタルカメラのような画像検出器がフォトマスク上の位置合わせ特徴と、デジタル投影システムの詳細を記録する。次に、制御システムは、アクチュエータ、例えばフォトマスクシステム平行移動テーブル、を制御し、フォトマスク位置を設定且つ較正する。他のより簡潔又は複雑なシステムを用いて、デジタル投影システムおよびフォトマスクシステムを互いに対して位置合わせおよび較正してもよい。これにより、組み合わされた画像がスライス毎に作製される。
【0063】
図5では、光造形印刷システム1の概略的な一実施形態が示され、デジタル投影システム2の一実施形態が詳細に示されている。この実施形態では、光源およびコリメート光学系10は、コリメートされた光ビーム14を生成するため設けられる。系10は、面4に対して45度でそこにセットされたミラー11にビーム14を投影する。この実施形態では、ミラー11には第1パターン12が設けられる。このようなパターン12は、静的であってもよい。一実施形態では、パターン12は動的であり、例えば、パターン12を変化させ得るLCD又はDMD要素を備える。
【0064】
図5では、オブジェクト13の形成が現状のシステムの一実施形態にて示されている。この実施形態では、このオブジェクトの次の層は、投影面4’に形成される。この投影面4’は、実際には、形成中のオブジェクト13の一端である。
【0065】
変位システム5は、オブジェクトをZ方向に平行移動させ、実際には、そのオブジェクトを樹脂7から引っ張る。そのオブジェクトをZ方向に引くと、新たな樹脂が、オブジェクト13の形成されたばかりの新たな層と、樹脂容器6の(光学的に透明な)底部13との間を流れる。
【0066】
図6では、3D印刷されたオブジェクトの写真が示されている。このオブジェクトは、比較的広い壁部を示す第1パターンを有する。この比較的広い壁部には、低解像度の第2パターンが印刷される。
図7および
図8では、写真がそれらの第2パターンを示している。
【0067】
上記の説明および図面は、本発明の幾つかの実施形態を示すために含まれているものであり、保護の範囲を限定するためではないことも明らかであろう。この開示を始めとするより多くの実施形態が当業者には明白であろう。これらの実施形態は、本発明の保護の範囲および本質内にあって、先行技術の技法と本特許の開示との自明な組み合わせである。
【符号の説明】
【0068】
1…光造形印刷アッセンブリ、2…デジタル投影システム、3…フォトマスクシステム、4…印刷面、5…(印刷されるオブジェクトの)変位システム、6…容器、7…重合性樹脂、8,8’…マスク、9…アクチュエータ、10…コリメート光学系、11…ミラー、12…第1パターン、13…印刷中のオブジェクト、14…投影ビーム、15…樹脂容器の光学的に透明な底部