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  • 特許-駐車支援装置および駐車支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】駐車支援装置および駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20241224BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021058240
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154961
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木岡 雅美
(72)【発明者】
【氏名】星野 将史
(72)【発明者】
【氏名】竹田 厳太朗
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530867(JP,A)
【文献】特開2003-049702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0023349(US,A1)
【文献】国際公開第2017/187605(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/051585(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報と、前記他車両の車種情報とを受信する受信部と、
前記走行情報に基づき、自車両を前記駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う制御部と、
前記自車両の車種情報と、前記他車両の車種情報とを比較する判断部と、を備え、
前記走行情報は、前記駐車スペースに駐車した際の教師経路と、前記駐車スペースの周囲の特徴点情報とを含
前記自車両の車種と、前記他車両の車種とが同じである場合に、前記制御部は、前記走行情報に基づき、前記自車両を前記駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う、
駐車支援装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記自車両の車種と、前記他車両の車種とが異なる場合に、前記自車両が前記駐車スペースに駐車可能かを判断する、請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記駐車スペースのサイズを受信し、
前記判断部は、前記自車両のサイズが、前記駐車スペースのサイズ以下の場合に、前記駐車スペースに駐車可能と判断する、
請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記自車両のサイズが、前記他車両のサイズ以下の場合に、前記駐車スペースに駐車可能と判断する、請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記教師経路に沿って、前記自車両を駐車制御することが可能かを判断する、請求項から請求項のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記自車両の最小旋回半径が、前記教師経路の最小旋回半径以下の場合に、前記自車両を駐車制御することが可能と判断する、請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記自車両の最小旋回半径が、前記他車両の最小旋回半径以下の場合に、前記自車両を駐車制御することが可能と判断する、請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
経路生成部を更に備え、
前記判断部が、前記教師経路に沿って、前記自車両を駐車制御することができないと判断した場合に、前記経路生成部は、前記駐車スペースの位置に基づき第1の駐車経路を生成する、
請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記判断部は、前記教師経路に基づき、前記自車両を前記駐車制御するための第2の駐車経路を生成することが可能かを判断する、請求項から請求項のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
運転者の運転により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報と、前記他車両の車種情報とを受信し、
前記走行情報に基づき、自車両を前記駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行い、
前記自車両の車種情報と、前記他車両の車種情報とを比較し、
前記走行情報は、前記駐車スペースに駐車した際の教師経路と、前記駐車スペースの周囲の特徴点情報とを含
前記自車両の車種と、前記他車両の車種とが同じである場合に、前記走行情報に基づき、前記自車両を前記駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う、
駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置および駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駐車の際に自動運転により車両を移動させる駐車支援の技術が知られている。一例として、駐車支援の1つに、運転者による教師走行に基づいた走行経路を記憶し、記憶した走行経路を利用して、駐車支援を行う技術(以下、記憶型自動駐車と称する)がある。当該技術は例えば運転者の自宅または勤務先等の駐車場など、決まった駐車位置への駐車を繰り返し行なう場合に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6022447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、記憶型自動駐車において、運転者が教師走行を未実施の車両では、記憶型自動駐車を実行できないという課題があった。
【0005】
本開示は、ユーザが教師走行を未実施の車両においても、記憶型自動駐車を実行することができる駐車支援装置および駐車支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る駐車支援装置は、受信部と、制御部と、判断部とを備える。受信部は、運転者の運転により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報と、前記他車両の車種情報とを受信する。制御部は、走行情報に基づき、自車両を駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う。判断部は、自車両の車種情報と、他車両の車種情報とを比較する。走行情報は、駐車スペースに駐車した際の教師経路と、駐車スペースの周囲の特徴点情報とを含む。自車両の車種と、他車両の車種とが同じである場合に、制御部は、走行情報に基づき、自車両を駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う。
【0007】
本開示に係る駐車支援方法は、運転者の運転により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報と、他車両の車種情報とを受信し、走行情報に基づき、自車両を前記駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行い、自車両の車種情報と、他車両の車種情報とを比較し、走行情報は、駐車スペースに駐車した際の教師経路と、前記駐車スペースの周囲の特徴点情報とを含み、自車両の車種と、他車両の車種とが同じである場合に、走行情報に基づき、自車両を駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る駐車支援装置および駐車支援方法によれば、ユーザが教師走行を未実施の車両においても、記憶型自動駐車を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、車両の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る駐車支援装置で実行される駐車支援の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、本実施形態に係る駐車支援装置に含まれるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(本開示の実施形態を得るに至った経緯)
特許文献1の駐車支援装置について詳述する。駐車支援装置は、運転者の運転により車両を駐車スペースに駐車する間、センサ装置を使用して、駐車スペースの周囲についての基準データ(例えば走行経路のデータ)を記憶する。さらに、駐車支援装置は、車両が到達した駐車位置を記憶し、駐車位置についてのデータを記憶する。記憶型自動駐車を行う際において、駐車支援装置は、基準データと駐車位置に対する車両の現在位置に基づき駐車経路を生成する。つまり、手動駐車時の走行経路等の情報を取得し、その後の自動駐車時に手動駐車を倣って駐車することを支援する。
【0012】
しかしながら、特許文献1の記憶型自動駐車において、運転者が教師走行を未実施の車両においては、記憶型自動駐車を実行できない。例えば、ユーザが友人の家に初めて行き、車両を友人宅の駐車場に初めて駐車するシーンにおいては、ユーザは、友人宅の駐車場での教師走行は未実施であるため、記憶型自動駐車を実施できない。以下の実施形態では、ユーザが教師走行を未実施の車両においても、記憶型自動駐車を実行することができる駐車支援装置および駐車支援方法について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
<駐車支援装置160の構成について>
図1は、車両100の構成の一例を示すブロック図である。車両100は、車載カメラ110と、車載センサ120と、操舵アクチュエータ130と、エンジンアクチュエータ140と、ブレーキアクチュエータ150と、駐車支援装置160とを含む。
【0014】
車載カメラ110は、可視光カメラを含む。車両100は、車両100の前方を撮像する第1の車載カメラ、車両100の後方を撮像する第2の車載カメラ、車両100の左側方を撮像する第3の車載カメラ、および車両100の右側方を撮像する第4の車載カメラを備える。以下、第1の車載カメラ、第2の車載カメラ、第3の車載カメラ、および第4の車載カメラを特に区別しない場合には単に車載カメラ110という。また、詳細は後述するが、車載カメラ110は、例えば、車両100の周囲に存在する物体の特徴点を検出し、車両100と特徴点との位置関係から、車両100の現在位置を推定する用途に適用される。車載カメラ110は、撮像した画像信号を駐車支援装置160に出力する。なお、車載カメラ110は、可視光カメラに限らず、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラであってもよい。また、撮像する画像は、静止画であっても動画であってもよい。また、車載カメラ110は、車両100に内蔵されたカメラであっても良いし、車両100に後付けされたドライブレコーダのカメラ等であっても良い。尚、車両100の現在位置を推定するためのセンサとして、車載カメラ110に代えて、LiDAR、レーダ、又は、超音波センサ等が用いられてもよい。
【0015】
車載センサ120は、例えば、操舵角を検出する操舵角センサ、車両100の旋回角速度を検出するヨーレートセンサ、車両100の前後方向に作用する加速度を検出する加速度センサ、及び、車輪の回転速度を測定する車輪速度センサ等を含む。車載センサ120は、検出により得られたセンサ情報を、駐車支援装置160に出力する。
【0016】
操舵アクチュエータ130は、駐車支援装置160の出力に基づき、車両100の操舵角を調節する。駐車支援装置160は、操舵アクチュエータ130に目標操舵角を送信することで操舵角を制御する。駐車支援装置160は、操舵アクチュエータ130を制御することで車両100の走行時の旋回曲率を制御する。エンジンアクチュエータ140は、駐車支援装置160の出力に基づき、エンジンに対する燃料および空気の供給量を調節する。ブレーキアクチュエータ150は、駐車支援装置160の出力に基づき、車輪の制動力を調節する。
【0017】
次に、本実施形態の駐車支援装置160が備える機能について説明する。本実施形態の駐車支援装置160は、運転者の運転により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報を受信し、受信した走行情報を利用して、駐車支援を行う。このような駐車支援は例えば運転者の自宅の車庫、集合住宅の契約駐車位置、または勤務先等の駐車場内の規定の駐車位置等、決まった駐車位置への駐車を繰り返し行なう場合に、運転者の駐車の手間を低減するために有効である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の駐車支援装置160は、車両情報部161、受信部162、抽出部163、位置推定部164、判断部165、経路生成部166及び車両制御部167を備える。
【0019】
車両情報部161は、自車両の車長、車高及び車幅等の車両サイズ情報、及び、車両のメーカ及びモデルを含む車種情報を登録する。更に車両情報部161は、自車両の最小旋回半径(一例として、最大舵角で徐行した際に描く軌跡半径)を含む車両性能を示す性能情報を登録する。車両情報部161は、車両サイズ情報、車種情報、性能情報を後述する判断部165に出力する。
【0020】
受信部162は、他車両の運転者により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報を受信する。なお、運転者が手動運転によって駐車開始位置から駐車スペースの目標駐車位置まで車両を移動させる走行を教師走行とも称する。また教師走行時の走行情報を教師データとも称する。教師データは、教師走行時の目標駐車位置と、教師走行時の目標駐車位置の駐車スペースのサイズと、教師走行時の他車両の速度と、教師走行時の他車両の操舵角と、教師走行時の他車両の制動動作と、教師走行時の走行経路(以下、教師経路とも称する)に関する情報と、教師走行中に撮像された駐車スペースの周辺画像から抽出された特徴点情報とを含む。ここで教師走行時の走行経路に関する情報には、経路上の位置座標、経路長、最小旋回半径及び切り返し位置等の情報が含まれる。なお、受信部162と他車両との通信は、インターネット等のネットワークを介して行う構成とすればよい。また、自車両と他車両との間にサーバを介して通信しても良く、有線通信を利用してもよいし、無線通信を利用する構成としてもよい。
【0021】
さらに、受信部162は、他車両の車長、車高及び車幅等の車両サイズ情報、他車両のメーカ及びモデルを含む車種情報、及び、他車両の最小旋回半径を含む車両性能を示す性能情報を受信する。
【0022】
なお、他車両が備える記憶部は、教師データとして、教師走行時の目標駐車位置と、教師走行時の目標駐車場所の駐車スペースのサイズと、教師走行時の他車両の速度と、教師走行時の他車両の操舵角と、教師走行時の他車両の制動動作と、教師走行時の走行経路と、教師走行中に撮像された駐車スペースの周辺画像から抽出された特徴点情報とを記憶している。さらに、他車両の送信部は、当該教師データを、インターネット等のネットワークを介して送信する。教師データには、例えば、駐車スペース周囲の障害物の有無情報、および他車両と障害物との距離情報などを含んでもよい。さらに、送信部は、他車両の車長、車高及び車幅等の車両サイズ情報、及び、他車両のメーカ及びモデルを含む車種情報、他車両の最小旋回半径を含む車両性能を示す性能情報を送信する。
【0023】
抽出部163は、車載カメラ110が撮像した画像信号を受信する。さらに、抽出部163は、車両100が自動走行をする際の周辺画像から特徴点を抽出する。抽出部163による特徴点の抽出の手法は特に限定されるものではなく、公知の手法を適用してよい。例えば、抽出部163は、FAST(Features from Accelerated Segment Test)またはORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)等の手法により特徴点を抽出する。
【0024】
位置推定部164は、抽出部163から抽出された特徴点と、受信部162が受信した他車両の教師データに記憶されている特徴点とを受信する。位置推定部164は、パターンマッチングや特徴量探索等を用いて、車載カメラ110のカメラ画像から抽出された特徴点と、教師データに記憶されている特徴点とを照合する。そして、位置推定部164は、車載カメラ110のカメラ画像から抽出された特徴点で、かつ教師データに記憶されている特徴点と照合することができた特徴点のうち数個の特徴点をランダムに選択して、これらの数個の特徴点のカメラ画像内における位置と、当該数個の特徴点の実空間における三次元位置と、に基づいて、車両100の現在位置を推定する。
【0025】
判断部165は、車両情報部161から得られた自車両の車種情報と、受信部162から得られた他車両の車種情報とを比較し、自車両の車種と、他車両の車種とが同じであるか否かを判断する。具体的には、判断部165は、車両同士のメーカ及びモデルが同じであるか否かを判断する。判断部165は、自車両と他車両との車種が同じである場合に、駐車スペースに駐車可能と判断し、車両制御部167に駐車可能であることを示す信号を出力する。
【0026】
更に、判断部165は、自車両と他車両の車種が異なる場合に、教師データに含まれる駐車スペースのサイズと自車両のサイズとを比較し、自車両のサイズが駐車スペースのサイズ以下か否かを判断する。判断部165は、自車両のサイズが、駐車スペースのサイズ以下の場合に、駐車スペースに駐車可能と判断し、車両制御部167に駐車可能であることを示す信号を出力する。また、判断部165は、自車両と他車両の車種とが異なる場合に、受信部162から得られた他車両のサイズと自車両のサイズとを比較し、自車両のサイズが、他車両のサイズ以下の場合に、駐車スペースに駐車可能と判断してもよい。判断部165は、自車両のサイズが、他車両のサイズ以下の場合に、駐車スペースに駐車可能と判断し、車両制御部167に駐車可能であることを示す信号を出力する。
【0027】
更に、判断部165は、教師経路に沿って、自車両を駐車制御することが可能か否かを判断する。具体的には、判断部165は、自車両の最小旋回半径と、教師経路中に存在する経路の最小旋回半径とを比較する。判断部165は、自車両の最小旋回半径が、教師経路の最小旋回半径以下の場合に、駐車可能と判断し、車両制御部167に駐車支援が可能であることを示す信号を出力する。また、判断部165は、自車両の最小旋回半径が、教師経路の最小旋回半径よりも大きい場合に、教師走行に沿った駐車支援ができないと判断し、経路生成部166に後述する第1の駐車経路を生成するための信号を出力する。なお、判断部165は、自車両の最小旋回半径と、他車両の最小旋回半径とを比較し、自車両の最小旋回半径が、他車両の最小旋回半径以下の場合に、駐車可能と判断してもよい。また、判断部165は、自車両のサイズが、駐車スペースのサイズ以下の場合かつ、自車両の最小旋回半径が教師経路の最小旋回半径以下の場合に駐車可能と判断してもよい。
【0028】
更に、判断部165は、車両100の現在位置から目標駐車位置までの第1の駐車経路を生成することが可能か否かを判断する。例えば、判断部165は、後述する第1の駐車経路を生成するための信号を受信した経路生成部166から車両制御部167に第1の駐車経路が出力された場合に、第1の駐車経路を生成可能と判断する。
【0029】
経路生成部166は、判断部165から第1の駐車経路を生成するための信号を受信した場合、車両100の現在位置から目標駐車位置までの第1の駐車経路を生成する。より具体的には、経路生成部166は、教師データに含まれる目標駐車位置の情報、車両100の現在位置の情報、駐車スペース周囲の障害物の有無情報、車両サイズ情報、及び、性能情報等に基づき、第1の駐車経路を生成する。ここで、経路生成部166は、第1の駐車経路を生成する際に、教師データに含まれる経路上の位置座標、経路長、最小旋回半径及び切り返し位置等の教師走行時の走行経路に関する情報は用いない。経路生成部166は、生成した第1の駐車経路を車両制御部167に送信する。経路生成部166は、第1の駐車経路を生成できた場合、判断部165に第1の駐車経路が生成可能であることを示す信号を出力してもよい。経路生成部166は、第1の駐車経路を生成できなかった場合、判断部165に第1の駐車経路を生成できないことを示す信号を出力してもよい。
【0030】
車両制御部167は、エンジンアクチュエータ140、ブレーキアクチュエータ150及び操舵アクチュエータ130を制御する。つまり、車両制御部167は、車両100の操舵、制動、および加減速を制御することにより、車両100を駐車制御する。車両制御部167は、判断部165から、駐車可能であることを示す信号を受信した場合、教師データに基づき、駐車スペースの目標駐車位置に駐車制御する。なお、車両制御部167は、車両100が教師経路から外れた場合に、フィードバック制御により、車両100を走行経路に戻すように移動させる。例えば、車両制御部167は、推定部によって推定された車両100の現在位置に基づいて、車両100の位置と教師経路との差異を推定し、当該差異を小さくするように車両100を走行させる。フィードバック制御を行う理由としては、自動駐車を開始した際の車両100の位置が、教師経路の初期位置と一致しない場合があるためである。また、車両制御部167は、教師データに基づいて、車両100の教師経路を変更しても良い。例えば、教師経路の近傍に障害物が存在する場合には、車両制御部167は、車両100を一時停止させる、または当該障害物から離れるように走行経路を修正しても良い。また、車両制御部167は、駐車制御中に、車載カメラ110または超音波センサ等により障害物を検出した際には、検出した障害物を回避するための回避経路を含むように走行経路を修正してもよい。ここで回避経路は、一例として、障害物近傍から障害物を迂回し、再度走行経路に合流する経路であればよい。
【0031】
また、車両制御部167は、経路生成部166から第1の駐車経路を受信した場合、第1の駐車経路に沿って駐車制御をする。
【0032】
次に、以上のように構成された本実施形態の駐車支援装置160で実行される駐車支援処理の流れについて説明する。図2は、本実施形態に係る駐車支援装置160で実行される駐車支援の一例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、受信部162は、他車両の運転者により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報を受信する(S300)。なお、受信部162は、走行情報と共に、車両サイズ情報、車種情報及び性能情報等をあわせて受信する。
【0034】
そして、判断部165は、自車両の車種情報と、他車両の車種情報とを比較し、自車両の車種と、他車両の車種とが同じであるか否かを判断する。判断部165は、自車両と他車両との車種が同じである場合に(S310でYes)、駐車スペースに駐車可能と判断し、車両制御部167に駐車可能であることを示す信号を出力する。
【0035】
車両制御部167は、判断部165から、駐車可能であることを示す信号を受信した場合、教師データに基づき、駐車スペースの目標駐車位置に駐車制御する(S370)。なお、駐車支援装置160は、通知部を備え、通知部は、ユーザに対して、記憶型自動駐車を実行する旨を通知してもよい。通知部は、例えば、「記憶型自動駐車を実行可能です。」といった内容を音声によってユーザに通知する。または、通知部は、「記憶型自動駐車を実行可能です。」といった内容及び、教師経路を表示部に表示することでユーザに通知する。
【0036】
自車両と他車両との車種が同じでない場合(S310でNo)、判断部165は、教師データに含まれる駐車スペースのサイズと自車両のサイズとを比較し、自車両のサイズが駐車スペースのサイズ以下か否かを判断する。
【0037】
自車両のサイズが、駐車スペースのサイズ以下でない場合(S320でNo)、判断部165は、駐車スペースに駐車が不可能と判断し、自動駐車を断念する(S330)。なお、通知部は、自動駐車を断念した場合に、ユーザに対して、自動駐車が不可能である旨および、自動駐車が不可能と判断した理由を通知してもよい。通知部は、例えば、自動駐車を断念した場合、「駐車スペースが車両100よりも小さいため、自動駐車が実行できません。」といった内容を音声によってユーザに通知する。または、通知部は、「駐車スペースが車両100よりも小さいため、自動駐車が実行できません。」といった内容を表示部に表示することでユーザに通知する。なお、S310において、判断部165は、受信部162から得られた他車両のサイズと自車両のサイズとを比較し、自車両のサイズが、他車両のサイズ以下か否かを判断してもよい。当該ケースにおいては、判断部165は、自車両のサイズが、他車両のサイズ以下の場合に、駐車スペースに駐車可能と判断し(後述するS320でYesの処理に相当)、自車両のサイズが、他車両のサイズ以下でない場合に、駐車スペースに駐車が不可能と判断し、自動駐車を断念する(S320でNo及びS330の処理に相当)。
【0038】
自車両のサイズが、駐車スペースのサイズ以下の場合に(S320でYes)、判断部165は、教師経路に沿って、自車両を駐車制御することが可能かを判断する(S340)。
【0039】
具体的には、判断部165は、自車両の最小旋回半径と、教師経路中に存在する経路の最小旋回半径とを比較する。判断部165は、自車両の最小旋回半径が、教師経路の最小旋回半径以下の場合に、駐車可能と判断する。なお、判断部165は、自車両の最小旋回半径と、他車両の最小旋回半径とを比較し、自車両の最小旋回半径が、他車両の最小旋回半径以下の場合に、駐車可能と判断してもよい。また、判断部165は、自車両のサイズが、駐車スペースのサイズ以下の場合かつ、自車両の最小旋回半径が教師経路の最小旋回半径以下の場合に駐車可能と判断してもよい。
【0040】
教師経路に沿って、自車両を駐車制御することが可能な場合に(S340でYes)、判断部165は、車両制御部167に駐車可能であることを示す信号を出力する。車両制御部167は、判断部165から、駐車可能であることを示す信号を受信した場合、教師データに基づき、駐車スペースの目標駐車位置に駐車制御する(S370)。
【0041】
教師経路に沿って、自車両を駐車制御することができない場合に(S340でNo)、判断部165は、経路生成部166に第1の駐車経路を生成するための信号を出力する。経路生成部166は、判断部165から第1の駐車経路を生成するための信号を受信した場合、車両100の現在位置から目標駐車位置までの第1の駐車経路を生成する。経路生成部166は、生成した第1の駐車経路を車両制御部167に出力する。
【0042】
判断部165は、車両100の現在位置から目標駐車位置までの第1の駐車経路を生成することが可能かを判断する(S350)。例えば判断部165は、経路生成部166から車両制御部167に第1の駐車経路が出力された場合、第1の駐車経路を生成可能であると判断する。
【0043】
第1の駐車経路を生成可能な場合(S350でYes)、車両制御部167は、第1の駐車経路を用いて駐車スペースの目標駐車位置に駐車制御する(S360)。つまり、経路生成部166から第1の駐車経路を受信した場合(S350でYes)、車両制御部167は、第1の駐車経路を用いて駐車スペースの目標駐車位置に駐車制御する。なお、通知部は、ユーザに対して、第1の駐車経路を用いて駐車制御する旨を通知してもよい。通知部は、例えば、「記憶型自動駐車は実行できません。第1の駐車経路により駐車を実行しますか」といった内容を音声によってユーザに通知する。または、通知部は、「記憶型自動駐車は実行できません。第1の駐車経路により駐車を実行しますか。」といった内容及び、第1の駐車経路を表示部に表示することでユーザに通知する。
【0044】
第1の駐車経路を生成できない場合(S350でNo)、判断部165は、駐車スペースに駐車が不可能と判断し、自動駐車を断念する(S330)。S330、S360又はS370の後、図2の流れは終了する。
【0045】
(作用効果)
本実施形態に係る駐車支援装置160は次のような作用効果を奏する。
【0046】
駐車支援装置160は、運転者の運転により他車両を駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報を受信する受信部162と、走行情報に基づき、自車両を駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う制御部と、を備え、走行情報は、駐車スペースに駐車した際の教師経路と、駐車スペースの周囲の特徴点情報とを含む。これにより、ユーザが教師走行を未実施の車両100においても、記憶型自動駐車を実行することができる。より具体的には、ユーザが友人の家に初めて行き、車両100を友人宅の駐車場に初めて駐車するシーンにおいても、駐車支援装置160が教師データを取得することで記憶型自動駐車を実施することができる。
【0047】
駐車支援装置160は、判断部165を更に備え、受信部162は、更に、他車両の車種情報を受信し、判断部165は、自車両の車種情報と、他車両の車種情報とを比較し、自車両の車種と、他車両の車種とが同じである場合に、制御部は、走行情報に基づき、自車両を駐車スペースに自動で駐車する駐車制御を行う。これにより、車両サイズや車両性能に基づき、自動駐車を実施する前に、記憶型自動駐車が出来るか否かを適切に判断できる。
【0048】
判断部165は、自車両の車種と、他車両の車種とが異なる場合に、自車両が駐車スペースに駐車可能かを判断する。これにより、自車両の車種と他車両の車種とが異なる場合に、記憶型自動駐車が出来るか否かを適切に判断できる。一例として、記憶型自動駐車を行った際に、自動駐車の途中で、自車両のサイズが他車両のサイズよりも大きいため駐車スペースに駐車できないということが発生することを防ぐことができる。
【0049】
受信部162は、駐車スペースのサイズを受信し、判断部165は、自車両のサイズが、駐車スペースのサイズ以下の場合に、駐車スペースに駐車可能と判断する。これにより、記憶型自動駐車を行った際に、自動駐車の途中で、自車両のサイズが駐車スペースよりも大きいため駐車スペースに駐車できないということが発生することを防ぐことができる。
【0050】
判断部165は、自車両のサイズが、他車両のサイズ以下の場合に、駐車スペースに駐車可能と判断する。これにより、記憶型自動駐車を行った際に、自動駐車の途中で、自車両のサイズが他車両のサイズよりも大きいため駐車スペースに駐車できないということが発生することを防ぐことができる。
【0051】
判断部165は、教師経路に沿って、自車両を駐車制御することが可能かを判断する。これにより、自動駐車を実施する前に記憶型自動駐車が出来るか否かを適切に判断できる。
【0052】
判断部165は、自車両の最小旋回半径が、教師経路の最小旋回半径よりも小さい場合に、自車両を駐車制御することが可能と判断する。これにより、記憶型自動駐車を行った際に、自動駐車の途中で、自車両の最小旋回半径が教師経路の最小旋回半径よりも大きいため教師経路に沿って駐車制御できないということが発生することを防ぐことができる。
【0053】
判断部165は、自車両の最小旋回半径が、他車両の最小旋回半径よりも小さい場合に、自車両を駐車制御することが可能と判断する。これにより、記憶型自動駐車を行った際に、自動駐車の途中で、自車両の最小旋回半径が他車両の最小旋回半径よりも大きいため教師経路に沿って駐車制御できないということが発生することを防ぐことができる。
【0054】
経路生成部166を更に備え、判断部165が、教師経路に沿って、自車両を駐車制御することができないと判断した場合に、経路生成部166は、駐車スペースの位置に基づき第1の駐車経路を生成する。これにより、記憶型自動駐車の実施が困難と判断された場合においても、新たに駐車スペースまでの駐車経路を生成することで、駐車スペースに自動駐車することができる。
【0055】
(変形例)
判断部165は、教師経路に基づき、自車両を駐車制御するための第2の駐車経路を生成することが可能かを判断してもよい。ここで、判断部165は、教師データに含まれる、経路上の位置座標、経路長、最小旋回半径及び切り返し位置等の教師走行時の走行経路に関する情報に基づき判断すればよい。一例として、自車両の最小旋回半径が、教師経路の最小旋回半径よりも小さい場合に、第2の駐車経路を生成することが可能と判断する。経路生成部166は、教師データに含まれる、目標駐車位置の情報と車両100の現在位置、駐車スペース周囲の障害物の有無情報、車両サイズ情報、性能情報、経路上の位置座標、経路長、最小旋回半径及び切り返し位置等の教師走行時の走行経路に関する情報に基づき、第2の駐車経路を生成する。ここで、第2の駐車経路は、教師経路に沿う経路であるが、経路の一部が教師経路とは異なる場合がある。例えば、自動駐車を開始した際の車両100の現在位置が、教師経路の初期位置と一致しない場合、車両100の現在位置に基づいて、車両100の現在位置と教師経路との差異を推定し、経路生成部166は、車両100の現在位置から教師経路に合流するための経路を生成する。つまり、当該ケースにおいて、第2の駐車経路は、教師経路と車両100の現在位置から教師経路に合流するための経路を含む場合がある。
【0056】
また、一般に、手動運転においては、車両100を車庫に入庫させるよりも、車両100を車庫から出庫させる方が容易である。仮に、このような記憶手法であれば、運転者が車両100を後進させて車庫に入庫させることが不得意な場合でも、運転者が車両100を前進させて車庫から出庫させる教師走行により、記憶型自動駐車用の走行経路が生成可能となる。なお、本変形例では教師走行において運転者が車両100を前進させる場合を例として説明したが、教師走行において運転者が車両100を後進させてもよい。
【0057】
本実施形態で説明した駐車支援装置160において、車両情報部161、受信部162、抽出部163、位置推定部164、判断部165、経路生成部166及び車両制御部167などの各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0058】
駐車支援装置160で実行される処理方法と、同処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本開示の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリを挙げることができる。
【0059】
本実施形態の各機能ブロックの処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムにより実現されるものであってもよい。また、本実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。更に、ソフトウェア及びハードウェアの混在処理により実現してもよい。
【0060】
図3は、本実施形態に係る駐車支援装置160に含まれるコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置1004及び記録媒体から情報を読み取る読取装置1005を備える。上述した各部は、バス1006により接続される。読取装置1005は、上記各部の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1004に記憶させる。CPU1001は、記憶装置1004に記憶されたプログラムをRAM1003にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1003から順次読み出して実行する。これにより、上記各部の機能が実現される。また、プログラムを実行する際、RAM1003または記憶装置1004には、各実施の形態で述べた各種処理で得られた情報が記憶され、適宜利用される。
【0061】
コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されてもよい。また、本実施形態に係る処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施の形態の記載に制限されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができる。
【符号の説明】
【0062】
100 車両
110 車載カメラ
120 車載センサ
130 操舵アクチュエータ
140 エンジンアクチュエータ
150 ブレーキアクチュエータ
160 駐車支援装置
161 車両情報部
162 受信部
163 抽出部
164 位置推定部
165 判断部
166 経路生成部
167 車両制御部
1000 コンピュータ
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 記憶装置
1005 読取装置
1006 バス
図1
図2
図3