(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】マイクロ波信号のパルス整形のための磁束バイアス
(51)【国際特許分類】
H10N 60/10 20230101AFI20241224BHJP
H10N 60/00 20230101ALI20241224BHJP
【FI】
H10N60/10 K ZAA
H10N60/00 G
(21)【出願番号】P 2022547095
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2021055527
(87)【国際公開番号】W WO2021185595
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-08-10
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】アブド、バレーフ
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0085231(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0104614(US,A1)
【文献】特表2020-504466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0373369(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0156238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
混合デバイスによって、
複数の入力ポートを介して
入力信号および
磁束が経時的に変化する時間変動磁束を受信
することと、
前記混合デバイスによって、前記
入力信号および前記時間変動磁束を用いて、出力ポート上に出力信号を生成することであって、前記出力信号が、
前記入力信号から周波数変換を経て得られる信号が前記時間変動磁束によって
整形され
た波形プロファイルを有する、前記生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記混合デバイスによって、マイクロ波周波数のポンプ信号を受信すること
をさらに含み、前記
入力信号が、前記
ポンプ信号とは異なるマイクロ波周波数
の信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時間変動磁束が、時間の関数として変調される大きさを有する
パルス信号である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記
入力信号が、時間に対して固定された振幅、周波数、および位相を有する連続波信号である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合デバイスが、
非縮退混合デバイスであり、ジョセフソン・リング変調器を含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記出力信号の前記波形プロファイルが、前記時間変動磁束に応じた前記混合デバイスのジョセフソン・リング変調器に少なくとも一部基づいて生成される、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
方法であって、
回路によって、
複数の入力ポートを介して
入力信号および
磁束が経時的に変化する時間変動磁束を受信することであって、前記回路が、
前記入力信号が入力される第1の混合デバイスと、前記第
1の混合デバイスに結合された第
2の混合デバイス
とを含む、前記受信することと、
前記回路によって、前記
入力信号および前記時間変動磁束を用いて、前記
第2の混合デバイスに接続された出力ポート上に出力信号を生成することであって、前記出力信号が、
前記入力信号から周波数変換を経て得られる信号が前記時間変動磁束によって
整形され
た波形プロファイルを有する、前記生成すること
と
を含む、方法。
【請求項8】
前記時間変動磁束が、時間の関数として変調される大きさを有する
パルス信号である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の混合デバイスおよび前記第2の混合デバイスのうちの1つが、前記時間変動磁束を受信し、前記第1の混合デバイスおよび前記第2の混合デバイスのうちのもう1つが、固定磁束を受信する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の混合デバイスが、前記
入力信号
のマイクロ波信号および
ポンプ信号のマイクロ波信号を用いて、
第1の周波数変換により前記第2の混合デバイスに中間マイクロ波信号を提供するように構成される、請求項7ないし9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の混合デバイスが、中間信号を前記第1の混合デバイスから受信するように構成され、前記第2の混合デバイスが、
第2の周波数変換により前記中間信号を入力として用いて前記出力信号を生成するように構成される、請求項7ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
回路を構成する方法であって、
混合デバイスを磁気源に結合することであって
、第1の入力ポートを介して
磁束が経時的に変化する時間変動磁束を前記磁気源から受信するように構成される、前記結合することと、
第2の入力ポートを介して入力信号を受けて、出力ポート上に出力信号を生成するように前記混合デバイスを構成することであって、前記出力信号が、
前記入力信号から周波数変換を経て得られる信号が前記時間変動磁束によって
整形され
た波形プロファイルを有する、前記構成することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記時間変動磁束が、時間の関数として変調される大きさを有する
パルス信号である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記出力信号の前記波形プロファイルが、前記時間変動磁束に応じるように構成された前記混合デバイスのジョセフソン・リング変調器に少なくとも一部基づいて生成される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合デバイスが、共振器に結合されたジョセフソン・リング変調器を含む、請求項12ないし14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記混合デバイスが、連続入力マイクロ波信号を選択された波形プロファイルを有するパルス型出力マイクロ波信号に変換するように構成される、請求項12ないし15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
回路を構成する方法であって、
前記回路内で第1の混合デバイスおよび第2の混合デバイスを結合することであって
、前記第1の混合デバイスが、
第1の入力ポートを介して固定磁束を受信するために第1の磁気源に結合され、
第2の入力ポートを介して入力信号を受信するように構成され、前記第2の混合デバイスが、
第3の入力ポートを介して
磁束が経時的に変化する時間変動磁束を受信するために第2の磁気源に結合される、前記結合することと、
出力ポート上に出力信号を生成するように前記回路を構成することであって、前記出力信号が、
前記入力信号から周波数変換を経て得られる信号が前記時間変動磁束によって
整形され
た波形プロファイルを有する、前記構成することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記時間変動磁束が、時間の関数として変調される大きさを有する
パルス信号である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記固定磁束が、経時的に一定のままである大きさを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の混合デバイスが、前記
入力信号および
ポンプ信号を用いて、
第1の周波数変換により前記第2の混合デバイスに中間信号を提供するように構成される、請求項17ないし19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の混合デバイスが、中間信号を前記第1の混合デバイスから受信するように構成され、前記第2の混合デバイスが、
第2の周波数変換により前記中間信号を入力として用いて前記出力信号を生成するように構成される、請求項17ないし20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
システムであって、
回路
と、
前記回路の第1の部分に結合され、
第1の入力ポートを介して前記第1の部分に固定磁束を提供するように構成される、第1の磁気源と、
前記回路の第2の部分に結合され、
第2の入力ポートを介して前記第2の部分に
磁束が経時的に変化する時間変動磁束を提供するように構成される、第2の磁気源
と
を備え、前記回路が、
第3の入力ポートを介して入力信号を受信し、出力ポート上に出力信号を生成するように構成され、前記出力信号が、
前記入力信号から周波数変換を経て得られる信号が前記時間変動磁束によって
整形され
た波形プロファイルを有する、前記第2の磁気源と、
を備える、システム。
【請求項23】
前記第1の部分が、第1の混合デバイスを含み、前記第2の部分が、第2の混合デバイスを含み、前記第1の混合デバイスおよび前記第2の混合デバイスが、非縮退混合デバイス
である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の部分が、前記固定磁束と相互作用するように構成されるジョセフソン・リング変調器を含み、前記第2の部分が、前記時間変動磁束と相互作用するように構成される別のジョセフソン・リング変調器を含む、請求項22または23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の部分が、
第1の周波数変換により中間信号を前記第2の部分に出力するように構成され、
前記第2の部分が、
第2の周波数変換により前記中間信号を入力として使用して前記出力信号を生成するように構成される、請求項22ないし24のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超伝導デバイスのための方法および構造に関し、より詳細には、マイクロ波信号のパルス整形(pulse shaping)に磁束バイアスを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導デバイスの特徴は、それらが十分低い温度で電気抵抗ゼロをもたらし得ることである。超伝導デバイスを動作に適した温度まで冷却するために、希釈冷凍機(dilution refrigerator)または低温デバイスが採用され得る。既知の構成では、室温での様々な入力および出力マイクロ波線路が、希釈冷凍機の内部でより低温に維持されている超伝導デバイスにマイクロ波信号を提供するために、希釈冷凍機に接続される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、マイクロ波信号のパルス整形のために磁束バイアスを用いることを目的とする。方法の非限定的な実施例は、非縮退混合デバイス(nondegenerate mixing device)によって、入力ポートを介して信号および時間変動磁束(time-varying magnetic flux)を受信することを含む。方法は、非縮退混合デバイスによって、信号および時間変動磁束を用いて、出力ポート上に出力信号を生成することであって、出力信号が、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する、生成することを含む。
【0004】
方法の非限定的な実施例は、回路によって、入力ポートを介して信号および時間変動磁束を受信することであって、回路が、第2の非縮退混合デバイスに結合された第1の非縮退混合デバイスを含む、受信することを含む。方法は、回路によって、信号および時間変動磁束を用いて、出力ポート上に出力信号を生成することであって、出力信号が、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する、生成することを含む。
【0005】
回路を構成する方法の非限定的な実施例は、非縮退混合デバイスを磁気源(magnetic source)に結合することであって、非縮退混合デバイスが、入力ポートを介して時間変動磁束を磁気源から受信するように構成される、結合することを含む。方法は、出力ポート上に出力信号を生成するように非縮退混合デバイスを構成することであって、出力信号が、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する、構成することを含む。
【0006】
回路を構成する方法の非限定的な実施例は、回路内で第1の非縮退混合デバイスおよび第2の非縮退混合デバイスを結合することであって、第1の非縮退混合デバイスが、入力ポートを介して固定磁束(fixed magnetic flux)を受信するために第1の磁気源に結合され、第2の非縮退混合デバイスが、別の入力ポートを介して時間変動磁束を受信するために第2の磁気源に結合される、結合することを含む。方法は、出力ポート上に出力信号を生成するように回路を構成することであって、出力信号が、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する、構成することを含む。
【0007】
システムの非限定的な実施例は、回路の第1の部分に結合され、かつ入力ポートを介して第1の部分に固定磁束を提供するように構成される、第1の磁気源を含む。システムは、回路の第2の部分に結合され、かつ別の入力ポートを介して第2の部分に時間変動磁束を提供するように構成される、第2の磁気源であって、回路が、出力ポート上に出力信号を生成するように構成され、出力信号が、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する、第2の磁気源を含む。
【0008】
追加の技術的特徴および利益が、本発明の技術を通して実現される。本発明の実施形態および態様は、本明細書において詳細に記載され、特許請求される主題の一部と考えられる。より良く理解するために、詳細な説明および図面を参照する。
【0009】
本明細書で記載される排他的権利の詳細は、明細書の末尾における特許請求の範囲において詳細に示され、明確に請求される。本発明の実施形態の、前述のおよびその他の特徴および利点は、添付図面と併せて行われる以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路の概略図である。
【
図2】本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路のブロック図である。
【
図3】本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路のブロック図である。
【
図4】本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路の概略図である。
【
図5】本発明の1つまたは複数の実施形態による、ブロック図である。
【
図6】本発明の1つまたは複数の実施形態による、ブロック図である。
【
図7】本発明の1つまたは複数の実施形態による、システムのブロック図である。
【
図8】本発明の1つまたは複数の実施形態による、システムのブロック図である。
【
図9】本発明の1つまたは複数の実施形態による、周波数変換における非縮退3波混合(three-wavemixing)デバイスについての信号フロー図である。
【
図10A】本発明の1つまたは複数の実施形態による、差動モードにおける非縮退3波混合デバイスを示す図である。
【
図10B】本発明の1つまたは複数の実施形態による、差動モードにおける非縮退3波混合デバイスを示す図である。
【
図10C】本発明の1つまたは複数の実施形態による、共通モードにおける非縮退3波混合デバイスを示す図である。
【
図11】本発明の1つまたは複数の実施形態による、パルス整形のための方法のフロー・チャートである。
【
図12】本発明の1つまたは複数の実施形態による、パルス整形のための方法のフロー・チャートである。
【
図13】本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路を構成する方法のフロー・チャートである。
【
図14】本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路を構成する方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で示される図は、例示である。本発明の思想から逸脱することなく、図またはそこに記載される動作に対して多くの変形が存在し得る。例えば、アクションは、異なる順序で実行されてもよく、またはアクションが、追加され、削除され、もしくは修正されてもよい。また、「結合される」という用語およびその変形は、2つの要素間に通信経路を有することを述べ、それらの間に介在する要素/接続を有しない要素間の直接接続を意味しない。これらの変形の全てが、明細書の一部と考えられる。
【0012】
本発明の実施形態の添付図面および以下の詳細な説明において、図面に示される多様な要素には、2桁または3桁の参照番号が与えられている。わずかな例外を除いて、各参照番号の左端の桁は、その要素が最初に示される図面に対応する。
【0013】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、冷却システムの内部で連続波マイクロ波信号のパルス整形を実行する技術およびデバイスを提供する。本発明のいくつかの実施形態では、冷却システムは、希釈冷凍機を含む。本発明の1つまたは複数の実施形態は、量子デバイスの近傍でマイクロ波信号のパルス整形を実行する。本発明のいくつかの実施形態では、パルス整形するマイクロ波信号の近傍にある量子プロセッサは、冷却システムの内部にある。室温の電子部品を用いてマイクロ波信号を生成すること、およびマイクロ波線路を通してこれらの信号を超伝導デバイスに伝送することによって、様々な劣化問題がもたらされ得るため、本発明の1つまたは複数の実施形態は、マイクロ波信号のパルス整形が1つまたは複数の量子デバイスの近傍の冷却システム内部で発生することから、室温から希釈冷凍機のベース・ステージ温度にマイクロ波信号を伝送することに関連するそのような劣化問題を回避し得る。
【0014】
ここで本発明の態様のより詳細な説明について考えると、
図1は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、非縮退パラメトリック・デバイス(nondegenerate parametric device)102のための回路100の概略図を示す。非縮退パラメトリック・デバイス102は、例としてのジョセフソン・パラメトリック変換器(JPC)として示されている。非縮退パラメトリック・デバイス102は、量子限界においてマイクロ波信号を増幅し、または混合し、あるいはその両方を行うように構築される。非縮退パラメトリック・デバイス102は、基本固有モードのrf電流(即ち、無線周波数電流)の波腹において2つのマイクロ波共振器110(例えば、共振器a)および112(例えば、共振器b)に組み込まれるジョセフソン・リング変調器(Josephson ring modulator)(例えば、JRM)104を含む。JRM104は、量子限界においてマイクロ波信号の3波混合を実行し得るジョセフソン・トンネル接合106を含む、非線形分散要素である。JRM104は、4つのノードを有するホイートストン・ブリッジ構成で配置された4つの名目上同一のジョセフソン接合(Josephson junction)106を有する。JRM104の性能、即ち、電力利得、動的帯域幅、およびダイナミック・レンジは、JRM104のジョセフソン接合106の臨界電流、電磁環境(即ち、マイクロ波共振器110および112)の特定の実現、ならびにJRM104と共振器110および112との間のカップリングに強く依存する。
【0015】
図1に示されるように、共振器110(例えば、共振器a)の一端は、カップリング・コンデンサ(coupling capacitor)114Aおよび伝送線路116を介してポート150(例えば、ポートa)に結合し、共振器110の他端は、カップリング・コンデンサ114Aおよび伝送線路116を介してグランドに結合する。共振器112(例えば、共振器b)の一端は、カップリング・コンデンサ114Bおよび伝送線路116を介してポート160(例えば、ポートb)に結合し、共振器112の他端は、カップリング・コンデンサ114Bおよび伝送線路116を介してグランドに結合する。共振器110は共振周波数f
aを有し、共振器112は共振周波数f
bを有し、ここで、f
aは、f
bと等しくない。ポンプ・ポート170(例えば、ポートP)は、磁束線(flux line)120を介してJRM104に結合する。磁束線120は、JRM104に容量結合する短絡ループ122を含んでもよく、それにより、短絡コプレーナ・ストリップ線路を形成する。磁束線120は、JRM104の4つのノードのうちの2つの隣接ノードに容量結合した無損失オンチップ磁束線であってもよい。ポンプ・ポート170は、JRM104の2つの隣接ノードに差動的に結合する周波数f
pのポンプ・マイクロ波信号(例えば、ポンプ駆動)を受信し、その場合に、ポンプ駆動信号は、非縮退パラメトリック・デバイス102(例えば、JPC)の共通モードを引き起こす。
【0016】
制御された磁気源182は、電流(I)に基づいて磁場(例えば、Bフィールド、または磁束密度)を生成することによって、JRM104に外部磁束バイアスを提供する。ポート180(例えば、ポートM)は、外部磁束を受信するJRM104の例として示されている。ポート180の例としての位置は、例示の目的で与えられており、限定されることを意味しない。本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、磁気源182は、時間変動磁束またはパルス磁束を生成し、JRM104に提供するように構成される。印加される磁場は(例えば、電流(例えば、直流電流または交流電流)を超伝導コイルに印加することによって)変化し、次に、印加される磁束に変換される。磁束(Φ
ext)は、超伝導ループ(即ち、JRM104)を通り抜ける磁場の量を表す物理量である。
図1は、磁気源182がチップ190の外部にあることを示しているが、磁気源182は、他の方法で実施されてもよく、かつ本発明の1つまたは複数の実施形態においてオンチップであってもよいことを理解されたい。いくつかの実施例において、外部磁束は、オンチップ磁束線、外部磁気コイル(例えば、磁気源182)を用いて印加されてもよく、またはオンチップに統合された、もしくはチップ・パッケージ内の磁気材料を用いて、印加されてもよい。
【0017】
図1は、チップ190上においてJPCとして非縮退パラメトリック・デバイス102のマイクロストリップ実施態様を示しているが、非縮退パラメトリック・デバイス102は限定されることを意味しておらず、他の実施態様が可能であると考えられる。非縮退パラメトリック・デバイス102は、コプレーナ・ストリップ線路共振器、マイクロストリップ共振器(
図1に示される)、コンパクト/集中素子共振器、インピーダンス整合ネットワーク、集中素子コンデンサおよびインダクタ、ならびに3次元キャビティを用いて実施され得る。さらに、非縮退パラメトリック・デバイス102(例えば、JPC)のダイナミック・レンジは、例えば、ニオブ接合およびナノブリッジを用いることにより、JRM104を形成するジョセフソン接合106の臨界電流を拡大することによって改善され得る。非縮退パラメトリック・デバイス102の可変帯域幅は、リングにおいてシャントされたジョセフソン接合108を用いるなど、線形インダクタンスを有するJRM104のジョセフソン接合106をシャントすることによって増加され得る。また、非縮退パラメトリック・デバイス102の瞬時帯域幅は、適切に設計されたインピーダンス整合ネットワークを通してJRM104を外部フィードラインに結合することによって、拡張され得る。これは、デバイスが高速時間スケールで作動し、急峻なパルスをサポートすることを可能にする。
【0018】
図1に示される磁気源182は、概略的に超伝導磁気コイルとして描かれているが、磁気源182は、オンチップ磁束線またはJRMの近傍においてフリップ・チップ上に実現された磁束線あるいはその両方として実現されてもよく、それらは、DC電流およびAC電流によって駆動されることに留意されたい。追加的に、磁気源182とJRM104との間に比較的強い相互インダクタンスが存在するべきであるということに留意されたい。
【0019】
マイクロ波共振器110および112、伝送線路116、伝送線路124、ジョセフソン接合106および108、JRM104、ならびに磁束線120は、超伝導材料を含む。超伝導材料は、臨界温度未満で超伝導性を示す。
【0020】
図2は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路100による周波数変換を用いたパルス整形の実施例を示す。非縮退パラメトリック・デバイス102は、高調波が抑制された完全周波数変換モードで動作する無損失JPCであってもよい。
図2および
図3(後述する)は、
図1の詳細を組み込むが、詳細は、簡潔さのため、かつ
図2および
図3を不明確にしないように省略される。
【0021】
図2において、非縮退パラメトリック・デバイス102は、ポート150(例えば、ポートa)において周波数f
1を有する連続波/信号(continuous wave/signal)を、かつポート170(ポートP)において周波数f
pを有する連続波/信号を受信する。非縮退パラメトリック・デバイス102は、ポート180(例えば、ポートM)において、時間変動磁束またはパルス磁束を受信する。この実施例では、時間変動磁束は、例えば、0からB
1の大きさで繰り返される矩形パルスとして示されている。値0は、説明のために示されており、大きさは、B
1と非ゼロ値との間を含む任意の値の間で変動し得る。非縮退パラメトリック・デバイス102は、周波数f
2を有し、かつポート180における時間変動磁束入力に基づいて整形されたパルスまたは波形を有する出力信号を生成するように構成される。周波数f
1の入力信号および周波数f
2の出力信号に関して、ポンプ信号(周波数f
p)は、f
p=|f
2-f
1|を満たすように印加される。ダイオードベースの混合器とは異なり、非縮退パラメトリック・デバイス102(例えば、JPC)の作動点は、磁気源182から印加された磁束バイアスに依存する。印加される磁束を時間の関数として変化させることによって、非縮退パラメトリック・デバイス102は、非縮退パラメトリック・デバイス102を通して伝送されたマイクロ波信号を変調するように構成され、それによって、周波数変換により周波数f
2である出力信号についての変調されたパルス形状または波形形状をもたらす。
【0022】
磁気源182は、ポート180のための時間変動磁束を生成するようにコントローラ(図示せず)によって制御され、かつコントローラに結合され得る。例としてのコントローラは、例えば、DC電流およびAC電流などの時間変動電流を提供するように構成される電流源を含んでもよく、または電流源を制御するために結合されてもよい。コントローラは、メモリ内のコンピュータ実行可能命令を読み出し/実行するように構成されるプロセッサを含み得る。命令の実行に基づいて、コントローラは、電流源に、磁気源182に提供される電流を変化させるように構成され、本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、磁気源182は、同様に時間変動磁束(例えば、パルス磁束)を生成する。
【0023】
この実施例では、
図2は、矩形波を時間変動磁束として示す。異なる種類の時間変動磁束が、対応する出力信号(周波数f
2)をパルス整形するために利用され得ると考えられる。時間変動磁束の種類の例は、方形パルス(例えば、
図2に示される)、シンク(sinc)・パルス、ガウシアン・パルス(例えば、
図3に示される)、レイズドコサイン(コサイン2乗)・パルスなどを含み得る。
【0024】
図3は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路100による周波数変換を用いたパルス整形を示す。
図3において、非縮退パラメトリック・デバイス102は、高調波が抑制された完全周波数変換モードで動作する無損失JPCであってもよい。非縮退パラメトリック・デバイス102は、ポート150(例えば、ポートa)において周波数f
1を有する連続波/信号を、かつポート170(ポートP)において周波数f
pを有する連続波/信号を受信する。本明細書で述べたように、非縮退パラメトリック・デバイス102は、ポート180(例えば、ポートM)において時間変動磁束またはパルス磁束を受信する。この実施例では、時間変動磁束は、0からB
1まで変化する大きさを有するガウシアン・パルスとして示される。非縮退パラメトリック・デバイス102は、
図3に示されるように、周波数f
2を有し、かつポート180における時間変動磁束入力に基づいて整形されたパルスまたは波形を有する出力信号を生成するように構成される。
図3に示される磁束変調のガウシアン形状は、出力においてマイクロ波信号のガウシアン・パルスを生成するために必要な実際のパルス形状を例示的に簡略化したものであることに留意されたい。実際に必要な形状は、印加される磁束の関数として、デバイス時間応答(対時間)を用いて数学的に計算され得る。この場合も、周波数f
1の入力信号および周波数f
2の出力信号に関して、ポンプ信号(周波数f
p)がf
p=|f
2-f
1|=|f
b-f
a|の関係を満たすように印加される。
【0025】
上述の通り、
図2および
図3の非縮退パラメトリック・デバイス102は、出力信号のパルスを整形することに加えて、周波数変換を用いて、ポート150における入力信号の入力周波数f
1をポート160における出力信号の出力周波数f
2に変換する。この実施例は、上方変換で示されているが、同様に下方変換が行われてもよい。
【0026】
冷却システムにおいて超伝導回路(例えば、回路100および後述の回路400)によってマイクロ波信号のパルス整形または波形整形を実行することの様々な技術的利益がある。超伝導回路は、冷却システムにおいてパルス整形されたマイクロ波信号を受信する1つまたは複数の量子プロセッサの近傍にある。室温の電子部品を用いてマイクロ波信号/パルス(キュービット読み出し信号およびキュービット制御信号であり得る)を生成すること、ならびにそれらを希釈冷凍機内に位置する超伝導量子プロセッサにマイクロ波線路を通して伝送することは、いくつかの問題を有する。それらの問題は、本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得るが、必須ではない。本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得る例としての問題は、以下を含む。典型的には同軸ケーブル、マイクロ波コネクタ、フィルタ、減衰器、マイクロ波コンポーネントを含む希釈冷凍機の入力線路における様々なインピーダンス不整合および分散関係(即ち、周波数依存関係)に起因して、伝送されたマイクロ波パルスは、量子プロセッサまでの経路において歪みを受ける。これらの歪みは、読み出しの単一キュービット・エラーおよび2キュービット・ゲート・エラーを引き起こすことがあり、これらのエラーは、冷却システムの内部で発生するパルス整形のために、本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得るが、必須ではない。さらに、これらのマイクロ波コンポーネントの応答は、冷却されるときに変化する傾向にあるため、これらの歪みは、希釈冷凍機が室温であるときは測定および特性化することが困難であり得ることに留意されたい。
【0027】
本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得る別の例としての問題は、以下を含む。室温でマイクロ波パルスを生成するために使用されるダイオードベースの混合器は、寄生高調波およびサイドバンドを作り出す傾向にあり、それらは、セットアップにオーバヘッドを追加することを代償に、抑制またはフィルタリングされない場合に、量子プロセッサについての読み出しエラーおよびゲート・エラーを引き起こすことがある。しかしながら、これらのおよび他の問題は、本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得るが、必須ではない。本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得る追加例としての問題は、以下を含む。(キュービット位相緩和につながり得る)読み出し入力線路を通って伝わるノイズに起因する上昇した熱光子分布から、量子プロセッサの読み出し共振器を遮蔽するために、強度のフィルタリングおよび減衰がこれらの線路に組み込まれて、読み出し共振器のこれらの比較的高い周波数(例えば、7ギガヘルツ(GHz)以上)における熱雑音を減衰させる。これは、また、ハードウェア・オーバヘッドをセットアップに追加する。しかしながら、高周波は、室温にある外部からではなく冷却システム内部において生成されるため、これらのおよび他の問題は、本発明の1つまたは複数の実施形態によって回避または軽減あるいはその両方が行われ得るが、必須ではない。
【0028】
図4は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、非縮退パラメトリック・デバイスを結合する回路400の概略図を示す。
図4(
図5および
図6と共に)において、非縮退パラメトリック・デバイスは、
図1の非縮退パラメトリック・デバイス102の詳細を含み、2つの非縮退パラメトリック・デバイスは、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2と示されているが、それらの構造は、名目上同一である。
図1の非縮退パラメトリック・デバイス102のいくつかの詳細は、簡潔にするために
図4、
図5、および
図6には記載されていないが、類推により適用される。
【0029】
図4において、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2は、基本固有モードのrf電流波腹において2つのマイクロ波共振器110(例えば、共振器a)および112(例えば、共振器b)に組み込まれる、それぞれそれ自体のJRM104を含む。上述の通り、各JRM104は、ジョセフソン・トンネル接合106を含む。回路400の非縮退パラメトリック・デバイス102_1において、共振器110(例えば、共振器a)の一端は、カップリング・コンデンサ114Aおよび伝送線路116を介してポート150_1(例えば、ポートa)に結合し、共振器110の他端は、カップリング・コンデンサ114Aおよび伝送線路116を介してグランドに結合する。非縮退パラメトリック・デバイス102_1において、共振器112(例えば、共振器b)の一端は、カップリング・コンデンサ114Bおよび伝送線路116を介してポート160_1(例えば、ポートb)に結合し、共振器112の他端は、カップリング・コンデンサ114Bおよび伝送線路116を介してグランドに結合する。非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、磁束線120を介してポンプ・ポート170_1に結合される。
【0030】
同様に、
図4の回路400の非縮退パラメトリック・デバイス102_2において、共振器110(例えば、共振器a)の一端は、カップリング・コンデンサ114Aおよび伝送線路116を介してポート150_2(例えば、ポートa)に結合し、共振器110の他端は、カップリング・コンデンサ114Aおよび伝送線路116を介してグランドに結合する。非縮退パラメトリック・デバイス102_2において、共振器112(例えば、共振器b)の一端は、カップリング・コンデンサ114Bおよび伝送線路116を介してポート160_2(例えば、ポートb)に結合し、共振器112の他端は、カップリング・コンデンサ114Bおよび伝送線路116を介してグランドに結合する。非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、磁束線120を介してポンプ・ポート170_2に結合される。ポート160_1および160_2(ポートb)は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2(例えば、JPCは背中合わせである)の両方によって共有される。
【0031】
図1と同様に、
図4の回路400内の非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2は、それぞれのポート180_1および180_2(ポートM)を介してそれぞれのJRM104を通して磁束(Φ
ext)を別々に受信する。
図4は、電流(I)に基づいて磁場(例えば、Bフィールドまたは磁束密度)を生成することによって、非縮退パラメトリック・デバイス102_1においてポート180_1を介してJRM104に外部磁束バイアスを提供する磁気源182_1を示す。同様に、
図4は、ポート180_2を介して非縮退パラメトリック・デバイス102_2内のJRM104に外部磁束バイアスを提供する磁気源182_2を示す。
図4は、チップ190上の回路400を示す。
図4は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2のマイクロストリップ実施態様を示しているが、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2は、限定されることを意味しておらず、本明細書で述べたように他の実施態様が可能である。
【0032】
回路400の例としての構成を参照すると、
図5は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、(入力信号の周波数を出力信号と比較したときに)周波数変換なしのパルス整形を示す。非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート150_1(例えば、回路400の入力ポートa)において周波数f
1を有する連続波/信号を、かつポート170_1(ポートP)において周波数f
pを有する連続波/信号を受信する。非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、ポート170_2(ポートP)において周波数f
pを有する連続波/信号を受信する。ハイブリッド・カプラ502は、ポンプ・ポート170_1および170_2を介して回路400に接続される。ハイブリッド・カプラ502の反対側の端は、ポンプ信号をポンプ・ポート170_1および170_2に分配する前にポンプ信号を受信するポート504に接続され、ポート506に接続される。ポート506は、低温端子、例えば標準50オーム(Ω)端子に結合され得る。ハイブリッド・カプラ502は、90°(度)ハイブリッド・カプラとして示され、他の種類のカプラが利用され得ることを理解されたい。ポート170_1および170_2はそれぞれ、ハイブリッド・カプラ502のためにポンプ信号の大きさの2分の1を受信する。本発明の1つまたは複数の実施形態では、ハイブリッド・カプラ502は、省略されてもよく、ポンプ・ポート170_1および170_2は、それらのポンプ信号を別々に受信し得る。
【0033】
図5の例に戻って、非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート180_1(例えば、ポートM)において固定磁束を受信する。固定磁束は、経時的に変化せず、したがって、その大きさ(B1)は不変のままである。固定磁束の大きさは、経時的に一定またはほぼ一定あるいはその両方のままであるように意図されるが、大きさは、磁束を生成する機器の許容誤差の範囲内で一定であり、誤差による変動は許容されることを理解されたい。しかしながら、非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、ポート180_2(例えば、ポートM)において時間変動磁束またはパルス磁束を受信し、ポート180_2において、大きさは、例えば0からB
1まで経時的に変化する。この実施例では、時間変動磁束は、矩形パルスとして示されている。
【0034】
非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート160_1(ポートb)における周波数変換された信号を非縮退パラメトリック・デバイス102_2のポート160_2に出力する。本明細書に記載した通り、ポート160_1および160_2は、
図5の非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2の共有ポートである。周波数変換された信号は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1のポート150_1において受信される入力信号(f
1)の上方変換または下方変換あるいはその両方であってもよい。この実施例では、入力信号の周波数は、周波数f
2の信号に上方変換され、非縮退パラメトリック・デバイス102_2に伝送される。周波数f
2のこの変換後の信号は、中間信号である。
【0035】
ポート160_2において周波数変換された信号を受信することに応答して、非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、周波数f1を有し、かつポート180_2(ポートM)における時間変動磁束入力に基づいて整形されたパルスまたは波形を有する出力信号を生成するように構成される。周波数f1の入力信号および周波数f1の出力信号に関して、周波数変換された信号が周波数f2を有すると仮定すると、ポンプ信号(周波数fp)は、fp=|f2-f1|の関係を満たすように印加される。本明細書に記載した通り、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2(例えば、JPC)の作動点は、印加された磁束バイアスに依存する。非縮退パラメトリック・デバイス102_1のために固定磁束を維持すること、および非縮退パラメトリック・デバイス102_2のために印加磁束を時間の関数として変化させることによって、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2を通して伝送された入力マイクロ波信号を変調するように構成され、それによって、周波数f1の出力信号のための変調されたパルス形状または波形形状がもたらされる。
【0036】
磁気源182_1および182_2は、1つまたは複数の電流源に結合された1つまたは複数のコントローラを用いて、それぞれポート180_1のための固定磁束およびポート180_2のための時間変動磁束を生成するように制御され得る。本発明の1つまたは複数の実施形態において、各磁気源182_1および182_2は、それ自体のコントローラまたは電流源あるいはその両方に結合され得る。追加的に、コントローラは、磁気源182_1および磁気源182_2に独立して電流を提供するための複数の出力を有する電流源を制御し得る。
図5は、矩形波を時間変動磁束として示す。本明細書に記載した通り、異なる種類の時間変動磁束が、周波数f
1を維持しつつ、対応する出力信号をパルス整形するために利用され得る。時間変動磁束の例としての種類は、方形パルス(例えば、
図5に示される)、シンク(sinc)・パルス、ガウシアン・パルス(例えば、
図6に示される)、レイズドコサイン(コサイン2乗)・パルスなどを含み得る。
【0037】
図6は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、回路400による周波数維持を用いたパルス整形を示す。
図6において、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2は、
図5と類似であり、いくつかの詳細の説明が省略され得る。非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート150_1(例えば、回路400の入力ポートa)において周波数f
1を有する連続波/信号を、かつポート170_1(ポートP)において周波数f
pを有する連続波/信号を受信する。非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、ポート170_2(例えば、ポートP)において周波数f
pを有する連続波/信号を受信する。
【0038】
本明細書に記載される通り、非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート180_1(例えば、ポートM)において固定磁束を受信し、固定磁束は、経時的に変化せず、したがって、その大きさ(B1)は不変のままである。非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、ポート180_2(例えば、ポートM)において時間変動磁束またはパルス磁束を受信し、ポート180_2において、大きさは、例えば0からB1まで経時的に変化する。この例では、時間変動磁束は、ガウシアン・パルスとして示されている。
【0039】
非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート160_1(ポートb)における周波数変換された信号を非縮退パラメトリック・デバイス102_2のポート160_2に出力する。周波数変換された信号は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1のポート150_1において受信される入力信号(f1)の上方変換または下方変換あるいはその両方であってもよい。例えば、周波数f1の入力信号は、周波数f2に上方変換されて、周波数変換された信号として非縮退パラメトリック・デバイス102_2に伝送されてもよい。ポート160_2において周波数変換された信号を受信することに応答して、非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、周波数f1を有し、かつポート180_2(ポートM)における時間変動磁束入力に基づいて整形されたパルスまたは波形を有する出力信号を生成するように構成される。周波数f1の入力信号および周波数f1の出力信号に関して、周波数変換された信号が周波数f2であると仮定すると、ポンプ信号(周波数fp)は、fp=|f2-f1|の関係を満たすように印加される。非縮退パラメトリック・デバイス102_1のために固定磁束を維持すること、および非縮退パラメトリック・デバイス102_2のために印加磁束を時間の関数として変化させることによって、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2を通して伝送された入力マイクロ波信号を変調するように構成され、それによって、周波数f1の出力信号のための変調されたパルス形状または波形形状がもたらされる。
【0040】
図5および
図6は、非縮退パラメトリック・デバイス102_1がポート180_1において固定磁束を受信し、非縮退パラメトリック・デバイス102_2がポート180_2において時間変動磁束を受信する例を示しており、他のアーキテクチャが可能であることを理解されたい。本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、回路400内の出力信号(例えば、周波数f
1)の位相または振幅あるいはその両方が、時間変動磁束の周波数で変調され得る。この実施例では、非縮退パラメトリック・デバイス102_1は、ポート180_1において時間変動磁束を受信し、非縮退パラメトリック・デバイス102_2は、ポート180_2において固定磁束を受信し、これは、ポート180_1および180_2にそれぞれ印加される外部バイアスが逆であることを意味する。その結果、非縮退パラメトリック・デバイス102_2のポート150_2において伝送される出力信号は、ポート180_1において非縮退パラメトリック・デバイス102_1によって受信される時間変動磁束の周波数に従って変調された位相または振幅あるいはその両方を有し得る。回路400は、受信機(図示せず)に結合されてもよく、伝送された出力信号は、回路400から受信機に伝送され、それによって、回路400がマイクロ波通信に利用されることが可能となる。
【0041】
図7は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、イン・サイチュ(in situ)で(例えば、冷却システム内で)量子信号(例えば、読み出し信号またはキュービット信号あるいはその両方)を生成し、パルス整形するために回路100を利用するシステム700を示す。システム700は、例えば希釈冷凍機などの冷却システムにおいて量子プロセッサ702に結合された回路100を含む。量子プロセッサ702は、複数の超伝導キュービット、読み出し共振器、量子メモリ、および量子カップリング・デバイスを含み得る。量子プロセッサ702は、読み出し共振器712に結合されたキュービット710を含む。共振器は、量子ビットの情報の全てまたは一部を記憶するために使用され得る複数のエネルギー・レベルを有する物理アセンブリである。例えば、共振器は、伝送線路、共振キャビティ、または所与の用途に適した任意の他の構造として実施され得る。概して、共振器は、一定である特性周波数を有するが、チューナブル共振器アセンブリは、所与の用途によって必要とされる場合に使用され得ることを理解されたい。キュービットは、分布が制御され得る複数のエネルギー状態を有する物理アセンブリである。キュービットは、例えば、コンデンサの電場、インダクタの磁場、および超伝導位相差の何らかの組み合わせの間でエネルギーを移送し得る非調和振動子として実施され得る。キュービットの例としての実施態様は、ジョセフソン接合、線形インダクタ、超伝導ループ、ギャップ静電容量、プレート静電容量のうちの1つまたは複数を含んでもよく、それは、例えば、クーパー対ボックス・キュービット、トランズモン・キュービット、フラクソニウム・キュービット、およびフラックス・キュービットとして実現され得る。
【0042】
図7において、1つまたは複数の読み出し共振器712は、1つまたは複数のキュービット710の状態を推測するか、または読み出すように構成される。読み出し共振器712は、読み出し共振器712に、1つまたは複数のキュービット710の状態に対応するそれらの状態情報を、量子プロセッサ702を出る出力読み出し信号に符号化させる、読み出し信号/パルスを受信するように構成される。回路100は、非縮退パラメトリック・デバイス102のポート160(例えば、ポートb)からの出力信号である、読み出し信号を生成し、パルス整形するように構成される。
【0043】
非縮退パラメトリック・デバイス102のポート160からの出力信号を量子プロセッサ702のための読み出し信号/パルスとして使用することによって、システム700に様々な利益がもたらされる。周波数f
2の読み出しパルスは、f
1およびf
pの連続波を非縮退パラメトリック・デバイス102(例えば、JPC)に供給することによって、かつ時間変動磁束(例えば、DC電流またはAC電流あるいはその両方を用いて)によって生成されるため、結果として生じるパルス(即ち、出力信号)は、量子プロセッサ702に距離が近く(例えば、同一冷却システム内で)、それによって、室温の電子部品(冷却システムの外部にある)を用いて生成される読み出しパルスに関連する歪みおよび不要な高調波を回避する(またはほとんど受けない)。特に、システム700は、室温の電子部品を用いて生成され、かつ複数の減衰器、フィルタ、マイクロ波ケーブル、およびコネクタを含む希釈冷凍機入力線路を通って伝送される読み出しパルスに関連する歪みおよび不要な高調波を回避する。様々な回避困難なインピーダンス不整合および周波数分散に起因して、複数の減衰器、フィルタ、マイクロ波ケーブル、およびコネクタの全てが、量子プロセッサに到達する前に周波数f
2で線路を伝播する読み出しパルスを潜在的に歪め得る。室温の電子部品は、室温において始まり、かつ冷却システム内部で終了する入力線路によって冷却システムに接続される。
図7において、回路100および量子プロセッサ702を接続する伝送線路は、冷却システム内にある。
【0044】
さらに、周波数f
1およびf
pの比較的低い周波数のマイクロ波信号、ならびに時間変動磁束は、通常室温で生成される周波数f
2の高周波マイクロ波信号と比較して生成および制御するのがより容易かつ安価である。したがって、量子プロセッサ702と共に冷却システム内で周波数f
2の出力信号を生成する回路100を有することによって、システム700は、キュービット位相緩和を引き起こす、読み出し共振器712の内部の熱光子分布を低減させる。量子プロセッサ702に結合される1つの回路100が、
図7において示されているが、多数の回路100が量子プロセッサ702に結合され得ることを理解されたい。
【0045】
図8は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、イン・サイチュで(例えば、冷却システム内で)量子信号(例えば、読み出し信号またはキュービット信号あるいはその両方)を生成し、パルス整形するために回路400を利用するシステム800を示す。システム800は、例えば希釈冷凍機などの冷却システムにおいて量子プロセッサ702に結合された回路400を含む。本明細書で述べたように、量子プロセッサ702は、読み出し共振器712に結合された1つまたは複数のキュービット710を含む。1つまたは複数のキュービット710の状態は、キュービット710の共振周波数の信号または共振周波数前後の信号であり得るキュービット信号/パルスを受信することに基づいて影響を受け、または変更され得る。回路400は、非縮退パラメトリック・デバイス102_2のポート150_2からの出力信号である、キュービット信号(または読み出し信号あるいはその両方)を生成し、パルス整形するように構成される。
【0046】
(例えば、出力信号に対応する)周波数f
1のキュービット信号/パルスは、ポート150_1における周波数f
1の連続波、ポンプ・ポート170_1および170_2における周波数f
pの連続波、ポート180_1における固定磁束、およびポート180_2における時間変動磁束を、2つの非縮退パラメトリック・デバイス102_1および102_2(例えば、2つのJPC)にそれぞれ供給することによって生成されるため、結果として生じるパルス(即ち、出力信号)は、量子プロセッサ702に距離が近く(例えば、同一冷却システム内にあり)、したがって、量子プロセッサ702への出力信号は、冷却システムの外部にある室温の電子部品を用いて生成されるキュービット・パルスに関連する歪みおよび不要な高調波を回避する(またはほとんど受けない)。量子プロセッサ702に結合される1つの回路400が、
図8に示されているが、多数の回路400が量子プロセッサ702に結合され得ることを理解されたい。
【0047】
本明細書で述べたように、システム800は、室温の電子部品を用いて生成され、かつ複数の減衰器、フィルタ、マイクロ波ケーブル、およびコネクタを含む希釈冷凍機入力線路を通して伝送されるキュービット・パルスに関連する歪みおよび不要な高調波を回避する。複数の減衰器、フィルタ、マイクロ波ケーブル、およびコネクタの全てが、様々な回避困難なインピーダンス不整合および長い線路に沿った周波数分散に起因して、量子プロセッサに到達する前に周波数f1で線路を伝播するキュービット・パルスを潜在的に歪め得る。したがって、システム800は、量子プロセッサ702においてより良好なシングル・キュービット忠実度および2キュービット・ゲート忠実度をもたらすように構成される。
【0048】
読者の理解を助けるため、および限定のために、非縮退パラメトリック・デバイス102に関するさらなる詳細が、
図9、
図10A、
図10B、および
図10Cにおいて後述される。
図9は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、周波数変換における非縮退3波混合デバイスについての信号フロー図を示す。超伝導非縮退3波混合デバイスは、3つのポートを有し、3つのポートは、概して、信号ポート(S)(例えば、ポートa)、アイドラー・ポート(I)(例えば、ポートb)、およびポンプ・ポート(例えば、ポンプP)と示される。超伝導非縮退3波混合デバイスは、アイドラー・ポートから信号ポートへの伝送tおよび信号ポートからアイドラー・ポートへの伝送t’を有する。アイドラーから信号ポートへ、アイドラー・マイクロ波信号は、周波数f
2でアイドラー・ポートに入り、下方変換され、周波数f
1で信号ポートから出る。信号からアイドラー・ポートへ、信号マイクロ波信号は、周波数f
1で信号ポートに入り、上方変換され、周波数f
2でアイドラー・ポートから出る。ポンプ・マイクロ波信号は、周波数上方変換および周波数下方変換のためのエネルギーを提供する。ポンプ周波数は、f
pであり、ここで、f
p=f
2-f
1=f
b-f
aである。
【0049】
JPCなどの超伝導非縮退3波混合デバイスは、ノイズレス周波数変換において動作されるときに共振について以下の散乱行列を満たす。
【0050】
【数1】
ここで、φ
pは、JPCに供給するポンプ駆動の位相であり、
【数2】
は、ポンプ光子束(即ち、単位時間当たりのポンプ光子の数)である。
【0051】
完全変換作動点は、反射がなく周波数変換を用いた完全伝送で|r|
2=0、|t|
2=1である。散乱行列がユニタリであるため、以下の関係が|r|
2+|t|
2=1を保持する。ユニタリは、伝送される信号のエネルギーおよび位相コヒーレンスを保存する。JPCは、3つのモードを含む3波混合デバイスであり、3つのモードは、
図10Aに示される差動モードX、
図10Bに示される差動モードY、および
図10Cに示される共通モードZである。
【0052】
図10A、
図10B、および
図10Cは、JRMのモードX、Y、Zについてのrf電圧励起パターンを示す。これらの3つのモード間のカップリング定数g
3は、JRMの外側のジョセフソン接合のジョセフソン・エネルギーE
j、モードX、Y、Zの周波数、および共振モード構造の総インダクタンスに対するジョセフソン接合(JJ)インダクタンスの比率に対応する3つのモードの関与率に依存し、ならびにJRMループを通り抜ける磁束(Φ
ext)に依存する。JJのジョセフソン・エネルギーは、E
jと示される。JJをシャントする線形インダクタは、Lと示される。
【0053】
図10A、
図10B、および
図10Cにおいて、カップリング定数g
3の符号は、JRMの外側ループにおける循環電流I
circ(例えば、DC電流)の方向に依存し、または代替的に、JRMループを通り抜ける外部磁束(Φ
ext)に依存する。ポンプ駆動(例えば、強いコヒーレント・マイクロ波トーン)がJPCに加えられるとき、JPCのモードaおよびbの間のカップリング定数は、
【数3】
によって与えられ、ここで、n
pは、JRMを駆動するポンプ光子の平均数であり、φ
pは、ポンプ駆動の位相である。
【0054】
誘導シャントされたJRMのエネルギーに関して、さらなる説明が与えられる。
【数4】
と仮定すると、JRMエネルギーは、以下の式によって与えられる。
【0055】
【数5】
ここで、
【数6】
、Φ
0は、磁束量子であり、
【数7】
は、シャント・インダクタの誘導エネルギーである。さらに、
【数8】
は、モードX、Y、Zのマイクロ波励起にそれぞれ対応する減少された一般化磁束である。
【0056】
E
JRM式(JRMエネルギー)において、
【数9】
の項は、JRMエネルギーの一次項であり、それは、
【数10】
、
【数11】
、
【数12】
の間のデバイスの3波混合動作を示す。E
JRM式中の項
【数13】
は、モードX、Y、Zの周波数を繰り込みする。項
【数14】
は、
【数15】
から独立している。
【数16】
は、3波混合動作がJRMを通り抜ける外部磁束によって可能にされることを示す。例えば、外部磁束φ
ext=0の場合、これは、3つのモード間の混合がないことを意味する。φ
ext=定数を維持すべきであるように見えることがあり、定数は、モードXおよびYに対してある周波数を与えるように設定されるが、本発明の1つまたは複数の実施形態は、本明細書に説明されるモードXおよびYの出力信号をパルス整形するために用いられるφ
ext(t)が、時間で変調され得るように構成される。
【0057】
図11は、1つまたは複数の実施形態による、周波数変換を用いたパルス整形のための方法1100のフロー・チャートである。方法1100は、ブロック1102において、混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102)によって、(例えば、ポート180(ポートM)を介して)信号および時間変動磁束を受信することを含む。ブロック1104において、混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102)は、信号および時間変動磁束を用いて、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する出力信号を(例えばポート160を介して)生成するように構成される。
【0058】
信号は、第1のマイクロ波信号(例えば、周波数f1の入力信号)および第2のマイクロ波信号(例えば、周波数fpのポンプ信号)を含み、第1のマイクロ波信号および第2のマイクロ波信号は、異なる周波数である。(例えば、ポート180を介した)時間変動磁束は、時間の関数として変調される大きさを有する時間変動制御信号である。マイクロ波信号は、振幅、周波数、および位相が経時的に固定である連続波信号である。混合デバイスは、リング変調器(例えば、ジョセフソン・リング変調器104)を含む。出力信号の波形プロファイル(例えば、周波数f2の出力信号)が、時間変動磁束に応じた混合デバイスのリング変調器に少なくとも一部基づいて生成される。
【0059】
図12は、1つまたは複数の実施形態による、周波数変換なしの(即ち、出力信号および入力信号の周波数が等しい(または実質的に等しい))パルス整形のための方法1200のフロー・チャートである。ブロック1202において、方法1200は、回路(例えば、回路400)によって、(例えば、ポートを介して)信号および時間変動磁束を受信することであって、回路が、第2の混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_2)に結合された第1の混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_1)を含む、受信することを含む。ブロック1204において、回路(例えば、回路400)は、(例えば、ポート150_1、150_2、170_1、170_2を介して)信号および(ポート180_2を介して)時間変動磁束を用いて、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する出力信号を生成するように構成される。
【0060】
時間変動磁束は、時間の関数として変調される大きさを有する時間変動信号である。第1の混合デバイスおよび第2の混合デバイスのうちの1つが、時間変動磁束を受信し、第1の混合デバイスおよび第2の混合デバイスのうちのもう1つが、固定磁束を受信する。第1の混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_1)は、信号のうちの第1の信号(例えば、ポート150_1を介した入力信号)および第2の信号(例えば、ポート170_1を介したポンプ信号)を用いて、中間信号(例えば、ポート160_1を介して変換された信号)を第2の混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_2)に提供するように構成される。第2の混合デバイスは、第1の混合デバイスから中間信号を受信するように構成され、第2の混合デバイスは、中間信号(例えば、変換された信号)を入力として使用して、出力信号(例えば、ポート150_2を介した出力信号)を生成するように構成される。
【0061】
図13は、1つまたは複数の実施形態による、回路100を構成する方法1300のフロー・チャートである。ブロック1302において、方法1300は、3波混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102)を磁気源(例えば、磁気源182)に結合することであって、3波混合デバイスが、磁気源から(例えば、ポート180を介して)時間変動磁束を受信するように構成される、結合することを含む。ブロック1304において、方法1300は、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する出力信号を(例えば、ポート160を介して)生成するように3波混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102)を構成することを含む。
【0062】
時間変動磁束は、時間の関数として変調される大きさを有する時間変動信号である。3波混合デバイスは、リング変調器を含む。出力信号の波形プロファイルは、時間変動磁束に応じるように構成される3波混合デバイスのリング変調器に少なくとも一部基づいて生成される。3波混合デバイスは、リング変調器に結合された共振器(例えば、共振器110(または共振器a)共振器112(または共振器b))を含む。3波混合デバイスは、元の波形プロファイルを有する入力信号を、波形プロファイルを有する出力信号に変換するように構成される。
【0063】
図14は、1つまたは複数の実施形態による、回路400を構成する方法1400のフロー・チャートである。ブロック1402において、方法1400は、回路400内の第1の3波混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_1)および第2の3波混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_2)を結合することであって、第1の3波混合デバイスが、固定磁束を受信するために第1の磁気源(例えば、磁気源182_1)に結合され、第2の3波混合デバイスが、時間変動磁束を受信するために第2の磁気源(例えば、磁気源182_2)に結合される、結合することを含む。ブロック1404において、方法1400は、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する出力信号を(例えば、ポート150_2を介して)生成するように回路400を構成することを含む。
【0064】
時間変動磁束は、時間の関数として変調される大きさを有する時間変動信号である。固定磁束は、経時的に一定のままである大きさを含む。第1の3波混合デバイスは、第1の信号(例えば、ポート150_1を介した入力信号)および第2の信号(例えば、ポート170_1を介したポンプ信号)を用いて、中間信号(例えば、ポート160_1を介して変換された信号)を第2の3波混合デバイスに提供するように構成される。第2の3波混合デバイスは、第1の3波混合デバイスから(例えば、ポート160_2を介して)中間信号を受信するように構成され、第2の3波混合デバイスは、中間信号を入力として使用して、出力信号を(例えば、ポート150_2を介して)生成するように構成される。
【0065】
1つまたは複数の実施形態によれば、システムは、第1の部分および第2の部分を含む回路400と、第1の部分に結合され、かつ第1の部分に固定磁束を提供するように構成される第1の磁気源182_1と、を含む。第2の磁気源182_2は、第2の部分に結合され、第2の部分に時間変動磁束を提供するように構成され、回路400は、時間変動磁束によって設定される波形プロファイルを有する出力信号を生成するように構成される。
【0066】
第1の部分は、第1の3波混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_1)を含み、第2の部分は、第2の3波混合デバイス(例えば、非縮退パラメトリック・デバイス102_2)を含む。第1の部分は、固定磁束と相互作用するように構成されるリング変調器(例えば、ジョセフソン・リング変調器104)を含み、第2の部分は、時間変動磁束と相互作用するように構成される別のリング変調器(例えば、ジョセフソン・リング変調器104)を含む。第1の部分は、中間信号を第2の部分に出力するように構成され、第2の部分は、中間信号を入力として使用して、出力信号を生成するように構成される。
【0067】
本発明の様々な実施形態が、関連する図面を参照して本明細書で説明される。代替的実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく考案され得る。様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣接など)が、以下の説明および図面内の要素間において述べられているが、当業者は、向きが変更されても説明された機能性が維持されるときに、本明細書に記載された位置関係の多くが向きに独立していることを認識する。これらの接続または位置関係あるいはその両方が、特段の指定がない限り、直接または間接であってもよく、本発明は、この点に関して限定することを意図するものではない。したがって、エンティティの結合は、直接結合または間接結合のいずれかを指してもよく、エンティティ間の位置関係は、直接または間接の位置関係であってもよい。間接的な位置関係の例として、層「B」上に層「A」を形成することに対する本説明における参照は、層「A」および層「B」の関連特性および機能性が中間層によって実質的に変更されない限り、1つまたは複数の中間層(例えば層「C」)が層「A」と層「B」との間にある状況を含む。
【0068】
以下の定義および略称は、特許請求の範囲および明細書の解釈のために使用されるものとする。本明細書において使用される、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「包含する(contains)」、もしくは「包含している(containing)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を含むことを意図するものである。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的に列挙されない他の要素、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含み得る。
【0069】
さらに、「例示的」という用語は、「例、事例、または例示として機能すること」を意味するために、本明細書において使用される。本明細書において「例示的」と説明される任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好適または有利であると解釈されるべきではない。「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という用語は、1以上の任意の整数、即ち、1、2、3、4などを含むように理解される。「複数の」という用語は、2以上の任意の整数、即ち、2、3、4、5などを含むように理解される。「接続」という用語は、間接「接続」および直接「接続」を含み得る。
【0070】
「一実施形態」、「実施形態」、「例としての実施形態」などへの明細書中の参照は、説明される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、あらゆる実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を含んでも含まなくてもよいことを示している。さらに、そのような語句は、必ずしも同一の実施形態に言及していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、実施形態に関連して説明されるとき、明示的に説明されるか否かに関わらず、他の実施形態に関連するそのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
【0071】
以下の説明のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」という用語、およびそれらの派生語は、描かれている図面において方向付けられているように、説明された構造および方法に関連するものとする。「上に重なる」、「頂上に」、「上部の上に」、「上に配置される」、または「頂上に配置される」という用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素上に存在することを意味し、界面構造などの介在要素が、第1の要素と第2の要素の間に存在してもよい。「直接接触」という用語は、第1の構造などの第1の要素、および第2の構造などの第2の要素が、2つの要素の界面においていかなる中間導電層、絶縁層、または半導体層もなしに接続されることを意味する。
【0072】
「約」、「実質的に」、「おおよそ」という用語およびそれらの変形は、本出願の出願時点に入手可能な機器に基づく特定の数量の測定値に関連する誤差の程度を含むように意図される。例えば、「約」は、所与の値の±8%、または5%、または2%の範囲を含み得る。
【0073】
図面中のフロー・チャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態による製作または動作方法あるいはその両方の考えられる実施態様を示す。方法の様々な機能/動作が、フロー図においてブロックにより表される。いくつかの代替的実施態様において、ブロック内に記載された機能は、図面中に記載された順序以外で発生してもよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、または、ブロックが、関係する機能性次第で逆の順序で実行されることがあってもよい。
【0074】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であるように、または説明された実施形態に限定されるように意図されない。多くの修正および変形が、説明された実施形態の範囲および思想から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の用途、もしくは市場で発見される技術を超える技術的改善を最もよく説明するため、または他の当業者が本明細書で説明された実施形態を理解できるようにするために、選択された。