(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241224BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241224BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241224BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241224BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241224BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241224BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/00
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/02
A61Q5/12
A61K8/31
(21)【出願番号】P 2020097584
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真樹子
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073464(JP,A)
【文献】特開2013-173686(JP,A)
【文献】特開2008-044864(JP,A)
【文献】特開2021-138617(JP,A)
【文献】新規毛髪補修成分の開発とその応用,FRAGRANCE JOUNAL,2011年04月,p.58-60
【文献】公技番号2015-500067号,発明推進協会公開技報,2015年01月07日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪化粧料の全体質量に基づいて、
(A)25℃での動粘度が10Pa・s以下であって、105℃×24時間の揮発分が50%以上である揮発性油剤
であり、揮発性油剤が、イソドデカン及び/又は水添ポリイソブテンである 40質量%~
50質量%、
(B)エタノール 30質量%~60質量%、
(C)ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル
(D)γ-ドコサラクトン
を含有し、
ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより噴霧されることを特徴とする霧状に吐出される毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関し、詳しくは、ダメージを受けた毛髪へなめらかさ、しっとり感、ツヤといったダメージケア効果を付与するだけでなく、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくし、コーム・ブラシなどの器具や手ぐしで毛髪を整いやすくする、霧状に吐出される毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪や紫外線、乾燥、化学的処理(パーマ、ヘアカラー、ドライヤーやアイロンの熱など)の要因によりダメージを受けた毛髪になめらかさやツヤを付与し、くし通りをよくするために、インバスやアウトバス用のトリートメントで毛髪ダメージをケアする習慣が一般的となっている。中でも洗い流さないタイプのアウトバス用の毛髪化粧料が用いられ、一般にヘアエッセンス、ヘアクリーム、ヘアオイル、ヘアミスト等の名称のヘアトリートメントが市販されている。
【0003】
毛髪に優れたツヤを与えながらも、べたつきを生じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がりを実現するために、シリコーン油、エステル油等の成分が用いられている。また、髪への塗布時に化粧料の伸び・なじみが良好でありがならも、使用時に手から垂れ落ちることのないように適度の粘性を有する毛髪化粧料が多く提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、ダメージを受けた毛髪に対しべたつきのない保湿感、滑り性、まとまり感を与え、かつ、頭皮にうるおいを与える目的で、特定の三つの構性単位を含む共重合体と、特定の二つの構成単位を含む共重合体、エタノール、及び水を特定の比率で含有する毛髪用ミスト化粧料が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-14695号公報
【文献】特開2017-36229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような使用時に手から垂れ落ちることのない程度の粘性を有する毛髪化粧料では、毛髪全体に均一に塗布することが難しいという課題があった。
【0007】
一方で、特許文献2に記載のような水を配合する毛髪用ミスト化粧料では、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくする効果は十分ではないという課題があった。
【0008】
したがって本発明は、ダメージを受けた毛髪へなめらかさ、しっとり感、ツヤといったダメージケア効果を付与するだけでなく、毛髪全体に均一塗布され、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくする、霧状に吐出される毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、毛髪化粧料の全体質量に基づいて、(A)25℃での動粘度が10Pa・s以下であって、105℃×24時間の揮
発分が50%以上である揮発性油剤 30質量%~60質量%、(B)低級アルコール 30質量%~60質量%、(C)20℃で液状のエステル油1種以上及び、(D)ラクトン誘導体を含有することを特徴とする霧状に吐出される毛髪化粧料により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
第一の発明は、毛髪化粧料の全体質量に基づいて、
(A)25℃での動粘度が10Pa・s以下であって、105℃×24時間の揮発分が50%以上である揮発性油剤 30質量%~60質量%、
(B)低級アルコール 30質量%~60質量%、
(C)20℃で液状のエステル油1種以上
(D)ラクトン誘導体を含有することを特徴とする、霧状に吐出される毛髪化粧料である。
【0011】
第二の発明は、ポンプ式ディスペンサー、トリガー式ディスペンサー又はアクチュエーターを装着したエアゾールスプレー容器などにより内容物が噴霧される、第一の発明に記載の霧状に吐出される毛髪化粧料である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の毛髪化粧料によれば、ダメージを受けた毛髪へなめらかさ、しっとり感、ツヤといったダメージケア効果を付与するだけでなく、毛髪全体に均一塗布され、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくすることができる。さらにそのようなダメージケア効果とばらけやすくする効果により、コーム・ブラシ等の器具や手ぐしで毛髪を整えやすくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
[毛髪化粧料]
本発明において毛髪化粧料とは、毛髪化粧料の全体質量に基づいて、(A)25℃での動粘度が10Pa・s以下であって、105℃×24時間の揮発分が50%以上である揮発性油剤、(B)低級アルコール、(C)20℃で液状のエステル油、及び(D)ラクトン誘導体を特定の割合で含有することを特徴とする、霧状に吐出される毛髪化粧料である。これらの成分(A)~(D)を特定の割合で配合することにより、本発明による効果を発揮することができる。本発明の毛髪化粧料組成物は、本発明の効果を発揮できる限りにおいて洗い流さないタイプであっても洗い流すタイプであってもよいが、好ましくは洗い流さないタイプの毛髪化粧料である。ここで、「洗い流さないタイプの毛髪化粧料」とは、洗い流さず毛髪へ塗布したままにする、いわゆるアウトバスタイプの毛髪化粧料である。
【0015】
本発明において毛髪化粧料の剤型は、本発明の効果を発揮できる限りにおいて限定されるものではないが、ポンプ式ディスペンサー、トリガー式ディスペンサー又はアクチュエーターを装着したエアゾールスプレー容器などにより霧状に吐出される毛髪化粧料であることが好ましい。
【0016】
以下、本発明の毛髪化粧料の各成分について詳細に説明する。
【0017】
[(A)揮発性油剤]
本発明の毛髪化粧料にて用いられる(A)揮発性油剤は、25℃での動粘度が10Pa・s以下であって、105℃×24時間の揮発分が50%以上である揮発性油剤である。
一般的に(A)揮発性油剤は、毛髪化粧料中に溶剤、ヘアコンディショニング剤、エモリエント剤の目的で配合される。本発明において揮発性油剤の動粘度は、当該技術分野において通常用いられる方法によって測定することができ、例えば、ASTM D445-46Tによるウッベローデ粘度計を用いて測定することができる。また、本発明において揮発性油剤の揮発分は、当該技術分野において通常用いられる方法によって測定することができ、例えば、JIS0067-1992によって測定することができる。また、本発明においては、(A)揮発性油剤は市販品を用いてもよい。本発明において用いることができる市販品としては、これらに限定されるものではないが、例えば、マルカゾールR(丸善石油化学株式会社製)、Creasil ID CG(CIT,Sarl社製)、パールリーム3(日油株式会社製)、パールリーム4(日油株式会社製)、KF-96L-1cs(信越化学工業株式会社製)、KF-96L-2cs(信越化学工業株式会社製)、KF-96L-5cs(信越化学工業株式会社製)、KF-96L-6cs(信越化学工業株式会社製)、等が挙げられる。このような揮発性油剤は、それぞれ単独で用いることもでき、また2種以上を組合せて配合することもできる。(A)揮発性油剤の動粘度が10Pa・s以下であれば、本発明の毛髪化粧料を容器から霧状に吐出することができ、105℃×24時間の揮発分が50%以上であれば、本発明の毛髪化粧料を毛髪へ塗布した後に、本発明の他の成分の効果を早く発揮することができる。
【0018】
本発明の毛髪化粧料における(A)揮発性油剤の含有量は、毛髪化粧料100質量%に基づき、30質量%~60質量%であり、好ましくは35質量%~55質量%であり、より好ましくは40質量%~50質量%である。本発明の毛髪化粧料における(A)揮発性油剤の含有量がこの範囲内であれば、毛髪へ毛髪化粧料を均一に塗布し、毛髪に適度なしっとり感とツヤを与え、かつべたつきが少ない状態を実現することができる。
【0019】
[(B)低級アルコール]
本発明の毛髪化粧料にて用いられる(B)低級アルコールは、一般的には炭素数5以下のアルコールであって、化粧料等に使用できるものであれば特に限定されない。一般的に(B)低級アルコールは、毛髪化粧料中に溶剤の目的で配合される。例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。中でもエタノールが好適に用いられる。本発明の毛髪化粧料には、(B)低級アルコールをそれぞれ単独で用いることもでき、また2種以上を組合せて配合することもできる。
【0020】
本発明の毛髪化粧料における(B)低級アルコールの含有量は、毛髪化粧料100質量%に基づき、30質量%~60質量%であり、好ましくは35質量%~55質量%であり、より好ましくは40質量%~50質量%である。本発明の毛髪化粧料における(B)低級アルコールの配合量が30質量%未満であると霧の噴霧状態が悪くなる傾向がある。また、60質量%以上であると、毛髪のなめらかさ、しっとり感やまとまり感が不足する。
【0021】
[(C)20℃で液状のエステル油]
本発明の毛髪化粧料にて用いられる(C)20℃で液状のエステル油は、脂肪酸とアルコールとのエステル体を主成分としたエステル油であって、一般的に化粧料中にはヘアコンディショニング剤、エモリエント剤、可溶化剤、加脂肪剤、感触改良剤、滑沢剤、表面改質剤、経皮吸収促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の目的で配合される。本発明における(C)20℃で液状のエステル油としては、これらに限定されるものではないが、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル等の直鎖高級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、等の直鎖高級脂肪酸と直鎖高級アルコ
ールとのエステル;ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチルドデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル等の直鎖脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル等の分枝脂肪酸と低級アルコールとのエステル;オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル等の分枝脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット等の脂肪酸と多価アルコールとのエステル;ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソペラルゴン酸オクチル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル等の分枝脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル等の乳酸エステル;クエン酸トリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル等の二塩基酸のエステル;等が挙げられる。また、本発明においては、(C)20℃で液状のエステル油は市販品を用いてもよい。本発明において用いることができる市販品としては、これらに限定されるものではないが、例えば、サラコス816T(日清オイリオグループ株式会社製)、CEH(高級アルコール工業株式会社製)、サラコス99(日清オイリオグループ株式会社製)、サラコスP-8(日清オイリオグループ株式会社製)、サラコス5408(日清オイリオグループ株式会社製)、サラコス GE-318(日清オイリオグループ株式会社製)、EMALEX GWIS-320(日本エマルジョン株式会社製)、EMALEX GWIS-320EX(日本エマルジョン株式会社製)、ミリトール318(BASFジャパン株式会社製)、クロダモルSTS(クローダ社製)、クロダモルSFX(クローダ社製)、ユビナールMC-80(BASFジャパン株式会社製)、パラソルMCX-AS(DSMニュートリションジャパン株式会社製)等が挙げられる。このような20℃で液状のエステル油は、それぞれ単独で用いることもでき、また2種以上を組合せて配合することもできる。
【0022】
本発明の毛髪化粧料における(C)20℃で液状のエステル油の含有量は特に限定されないが、毛髪化粧料100質量%に基づき、好ましくは1質量%~10質量%であり、より好ましくは3質量%~8質量%である。本発明の毛髪化粧料における(C)20℃で液状のエステル油の含有量が1質量%以上であれば、なめらかさ、しっとり感、ツヤやまとまり感といったヘアトリートメント効果を毛髪へ付与することができ、10質量%以下であれば絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪のばらけづらさの要因のひとつである過度のべたつきが生じない。
【0023】
[(D)ラクトン誘導体]
本発明の毛髪化粧料にて用いられる(D)ラクトン誘導体としては、例えば5員環を有するγ-ラクトン誘導体、6員環を有するδ-ラクトン誘導体等が挙げられる。これらのラクトン誘導体は、上記5員環又は6員環を構成する炭素原子の一つに、炭素数9~22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基が付加(水素と置換)された誘導体であると好ましいが、安定性の観点からは飽和炭化水素基であると更に好ましい。具体的にはノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等を挙げることができる。具体的な物質名を例示すれば、例えば、γ-ドコサラクトン、メドウフォーム-δ-ラクトン、メバロノラクトン、及びグルコノラクトン等を挙げることができる。これらの中でもγ-ドコサラクトン、及びメドウフォーム-δ-ラクトンが好ましい。このようなラクトン誘導体は、一般的に化
粧料中にはヘアコンディショニング剤、エモリエント剤の目的で配合され、それぞれ単独で用いることもでき、また2種以上を組合せて配合することもできる。
【0024】
本発明の毛髪化粧料における(D)ラクトン誘導体の含有量は特に限定されないが、毛髪化粧料100質量%に基づき、好ましくは0.001質量%~0.2質量%であり、より好ましくは0.005質量%~0.1質量%である。本発明の毛髪化粧料における(D)ラクトン誘導体の含有量がこの範囲内であれば、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくしながら、かつ毛髪に適度ななめらかさとしっとり感を与え、整いやすくすることができる。
【0025】
[(E)その他の成分]
本発明の毛髪化粧料は、上記成分(A)~(D)を必須成分とし、溶剤などを加えた液にこれらを含有させることによって調製されるが、これらの必須成分以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、通常毛髪化粧料に一般的に配合される(E)その他の成分を目的に応じて配合することができる。
【0026】
上記のような他の成分としては、水;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;、ジメチルシリコーン(例えばメチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等)、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン(例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、シクロペンタシロキサン等)、メチルハイドロジェンシリコーン、アルコール変性シリコーン(例えばステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン等)、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の(A)成分以外のシリコーン;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール、グリコシルトレハロース等の湿潤剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸などの高級脂肪酸;流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ成分;l-メントール、ハッカ油等の冷感剤;アーモンド油、アボカド油、アマニ油、アルガニアスピノサ核油、アンズ核油、イチゴ種子油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、カニナバラ油、キョウニン油、クランベアビシニカ種子油、グレープシード油、ゴマ種子油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シア脂、セイヨウハッカ油、ダイズ油、チャ実油、チャ種子油、ツバキ種子油、ナタネ油、ヒマワリ種子油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、モモ核油、ヤシ油、ユチャ油、レモン油、ローズヒップ油、ローズマリー油等の植物油;L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム、DL-アラニン、L-アルギニン、グリシン、L-グルタミン酸、L-システイン、L-スレオニン等のアミノ酸;液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射ガス;12-ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール、アミノ酸誘導体等の低分子化合物;その他、紫外線吸収剤、防腐剤、糖類、植物由来エキス、動物由来エキス、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤、等が挙げられる。
【0027】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアローション、ヘアリキッド、ヘアミスト、ヘアウォーター、ヘアオイル等の液状毛髪化粧料、ヘアスプレー等のエアゾール状毛髪化粧料等に用いることができ、特に好ましくはヘアミスト、ヘアスプレーなどの洗い流さないタイプの毛髪化粧料に用いることができる。また本発明の毛髪化粧料は、常法により製造することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0029】
[試料の調製]
以下の試料を下表1~2に記載の成分・配合量で、常法により調製した。その他成分については、ヘアミストには、水、ブチレングリコール(BG)及び香料等を適宜配合した。
【0030】
[毛髪サンプルの調製]
本発明の毛髪化粧料組成物の有用性を評価するために、まず、次の方法で毛髪を処理した。市販の毛髪(10g、30cm、ビューラックス社製)を濃度10質量%のポリオキシエチレン(2E.O.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液2gでシャンプー洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、ブリーチ処理を3回行い、再度シャンプー洗浄した。その後、タオルドライを行い、ドライヤーで毛髪を乾燥させた。次に、下表1~2に示した実施例及び比較例の毛髪化粧料組成物を、一度に0.15mL分のミストが吐出できるポンプ式ディスペンサーを備える100mLの容器に充填し、ヘアミストとして0.5gずつ噴霧し、自然乾燥させた後、なめらかさ、しっとり感、ツヤ等毛髪へのダメージケア効果を評価した。
【0031】
[毛髪サンプルの評価]
上記のように調製した毛髪サンプルを用いて、以下の指標について評価した。なお、比較例4が特許文献1に、比較例5が特許文献2に対応する市販品の例である。
【0032】
(1)なめらかさ
動摩擦係数を測定することにより毛髪のなめらかさを評価した。毛髪の動摩擦係数は、摩擦感テスター(KES-SE型、カトーテック株式会社製)を使用し、摩擦子としてシリコンシートを取り付け、荷重50g、移動スピード1mm/secの条件で動摩擦係数(MIU値)の測定を行い、20本の毛束の平均値を求めた。尚、動摩擦係数が低いほど、なめらかであることを示すものである。尚、評価基準は以下の通りである。
◎ :極めて良好 0.2未満
○ :良好 0.2以上0.3未満
△ :やや悪い 0.3以上0.4未満
× :悪い 0.4以上
【0033】
(2)しっとり感
20名の専門パネラーにより毛髪のしっとり感を評価した。尚、評価基準は以下の通りである。
◎ :極めて良好 しっとり感があると答えた被験者の数が15人以上
○ :良好 しっとり感があると答えた被験者の数が10人以上、15人未満
△ :やや悪い しっとり感があると答えた被験者の数が7人以上、10人未満
× :悪い しっとり感があると答えた被験者の数が7人未満
【0034】
(3)ツヤ
SAMBA Hair System(Bossa Nova Vision社製)を使用し、20本の毛束についてツヤ値(Luster Value)の測定を行い、平均値を求めた。尚、ツヤ値(Luster Value)が高いほどツヤがあることを示すものである。尚、評価基準は以下の通りである。
◎ :極めて良好 40以上
○ :良好 35以上40未満
△ :やや悪い 30以上35未満
× :悪い 30未満
【0035】
(4)髪の絡まりほぐし効果
デジタルフォースゲージ(DPS-5R、株式会社 イマダ製)の先端にコームを取り付け、くし通しを行う際の引っ張り荷重を測定できるようにした。これを使用し、故意に絡ませた毛束の引っ張りくし通し荷重(kgf)の測定を20回行い、20本の毛束の平均値を求めた。尚、荷重値が低いほど絡まりもつれた毛髪がばらけやすいことを示すものである。尚、評価基準は以下の通りである。
◎ :極めて良好 1.0未満
○ :良好 1.0以上1.5未満
△ :やや悪い 1.5以上2.0未満
× :悪い 2.0以上
【0036】
(5)噴霧状態の確認
下表1~2に示した実施例及び比較例の毛髪化粧料組成物を、一度に0.15mL分のミストが吐出できるポンプ式ディスペンサーを備える100mLの容器に充填し、内容物を吐出させる際の噴霧状態の確認試験を行った。尚、評価基準は以下の通りである。
◎:霧状の形態を維持している。
○:噴霧状態がやや悪くなる(霧が粗い、霧の広がりが小さいなど)。
△:噴霧状態が悪くなる(違方吐出や液滴吐出が見られるなど)。
×:霧状の形態で吐出(噴霧)できない。
【0037】
実施例1~5及び比較例1~7の配合及び評価結果を、下表1及び2に記載する。
【0038】
【0039】
【0040】
表1~2から明らかなように、本発明の毛髪化粧料に関する実施例1~5は、比較例1~7の組成物に比べていずれも優れた性能を示したしたがって、本発明の毛髪化粧料は、ダメージを受けた毛髪へなめらかさ、しっとり感、ツヤといったダメージケア効果を付与するだけでなく、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくしコーム・ブラシなどの器具や手ぐしで毛髪を整いやすくするという優れた性能を示すことが分かった。
【0041】
以下、本発明の毛髪化粧料組成物の処方例を挙げる。なお、これらの処方例の毛髪化粧料についても、上記のなめらかさやしっとり感、ツヤなど毛髪へのダメージケア効果、絡まりやもつれ、ひっかかった毛髪をばらけやすくしコーム・ブラシなどの器具や手ぐしで毛髪を整いやすくする効果、霧の状態について各項目を検討したところ、いずれの処方例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0042】
処方例1(ヘアオイルミスト) (%)
(1)イソドデカン 45.0
(2)エタノール 45.0
(3)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 2.0
(4)ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル 1.5
(5)トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル 1.5
(6)セバシン酸ジエチル 1.0
(7)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.2
(8)γ‐ドコサラクトン 0.1
(9)BG 0.5
(10)(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー 0.5
(11)シア脂 0.2
(12)ラクトフェリン 0.2
(13)ヨーグルト液 0.2
(14)グリチルリチン酸2K 0.2
(15)精製水 残 余
【0043】
(製法)(2)に(1)、(3)、(4)、(6)及び(7)を均一に混合溶解し、(8)、(10)及び(11)を加えた後、別槽にて調製した(5)、(9)、(12)~(15)を均一に分散させた液を加えて均一に混合し、ポンプ式ディスペンサー容器に充填してヘアミストを調製した。
【0044】
処方例2(ヘアスプレー) (%)
(1)水添ポリイソブテン 35.0
(2)エタノール 35.6
(3)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 3.0
(4)ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル 2.0
(5)パルミチン酸イソプロピル 1.0
(6)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.0
(7)γ‐ドコサラクトン 0.1
(8)メドウフォーム-δ-ラクトン 0.1
(9)ジメチコン 2.0
(10)シア脂 0.2
(11)LPG(0.2) 20.0
【0045】
(製法)(2)に(1)、(3)~(6)及び(9)を均一に混合溶解した後、(7)、(8)及び(10)を加えて均一に混合し、エアゾール容器に充填、装栓した後、(11)を充填し、アクチュエーターを装着してヘアスプレーを調製した。