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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】水封止性装飾用接着フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20241224BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
C09J11/08
C09J133/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020119354
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022016080
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀俊
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-304082(JP,A)
【文献】特開2020-100721(JP,A)
【文献】特開2018-178080(JP,A)
【文献】特開2002-201460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0185666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、並びに、
前記基材上に配置された構造化表面を有する接着層であって、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含む、接着層、
を備
前記構造化表面は、前記接着層を被着体に適用したときに、接着層及び被着体との界面において外気と連通したチャネルを形成している、水封止性装飾用接着フィルム。
【請求項2】
前記粘着性バインダーが、(メタ)アクリル樹脂を含む、請求項1に記載の接着フィルム。
【請求項3】
前記吸水性樹脂の含有量が、前記粘着性バインダー100質量部に対し、1質量部以上、30質量部以下である、請求項1又は2に記載の接着フィルム。
【請求項4】
前記構造化表面に対応する凹凸面を有する剥離ライナーが、前記凹凸面を介して前記接着層上に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項5】
前記接着層が、110マイクロメートル以上の体積平均粒子径を有する微小球を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項6】
前記接着層が、基材側に位置する第1の接着層と、最表面に位置する第2の接着層とを備え、前記第1の接着層が、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び110マイクロメートル以上の体積平均粒子径を有する微小球を含み、かつ、前記第2の接着層が、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項7】
前記微小球が、(メタ)アクリル樹脂を含む、請求項5又は6に記載の接着フィルム。
【請求項8】
屋外用として使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項9】
屋内の水回り用として使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の接着フィルムが、前記接着層を介して被着体に配置されている、構造物。
【請求項11】
前記被着体が、親水性部材、吸湿性部材、及び多孔質部材から選択される少なくとも一種である、請求項10に記載の構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装飾用接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の接着フィルムが開発されており、内装品又は外装品など幅広い分野で使用されている。
【0003】
特許文献1(特開平09-157606号公報)には、I)支持体と、II)支持体上に形成され、粘着性の弾性微小球と粘着性ポリマーとを含んでなる粘着層とを有してなる接着フィルムにおいて、a)粘着層は、弾性微小球が少なくとも2個集まって形成されたクラスターと粘着性ポリマーとを含有する凸状粘着部を有し、b)その接着フィルムを1kg/cmの圧力で平坦なガラス板表面に貼り付けて測定した場合、粘着層と板表面との面積接触率が20~90%である、屋外で使用し得る接着フィルムが記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2018-178080号公報)には、80マイクロメートル以上500マイクロメートル以下の厚みを有する剛性基材と、剛性基材の一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒子径110マイクロメートル以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層とを含み、第1感圧接着層が微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、建築物の壁面などに対して使用し得る接着フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平09-157606号公報
【文献】特開2018-178080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接着フィルムを装飾用途に使用する場合、被着体と接着フィルムとの界面に生じ得るエア溜まりに伴う外観不良を防止するために、かかる界面において外気と連通したチャネル(通路)を形成し得るように、接着フィルムの接着層に対し、特許文献1及び2に記載されるような凹凸層が形成される場合がある。
【0007】
このようなチャネルを形成し得る接着フィルムを、水と接触し得る環境下で使用した場合、毛細管現象等により、チャネルを通じて被着体と接着フィルムとの界面内に水が浸入する結果、接着力が低下して剥がれなどの不具合をもたらすおそれがある。このような水の浸入を防ぐには、フィルムの端部を、エッジシーリングしたり或いは他のフィルムで補強したりすることが考えられる。しかしながら、このような方法は、労力を要し、コスト増につながるおそれがある。
【0008】
被着体が、コンクリートのような多孔質体の場合には、被着体にしみ込んだ水が、被着体と接着フィルムとの界面に浸出することがあり得るが、このような場合において水の浸入を防止することは困難であった。
【0009】
本開示は、水と接触し得る環境下においても、接着層と被着体との界面内への水の浸入を低減又は防止し得る水封止性装飾用接着フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施態様によれば、基材、並びに、この基材上に配置された構造化表面を有する接着層であって、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含む、接着層を備える、水封止性装飾用接着フィルムが提供される。
【0011】
本開示の別の実施態様によれば、上記の水封止性装飾用接着フィルムが接着層を介して被着体に配置されている、構造物が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、水と接触し得る環境下においても、接着層と被着体との界面内への水の浸入を低減又は防止し得る水封止性装飾用接着フィルムを提供することができる。
【0013】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施態様による水封止性装飾用接着フィルムの断面図である。
図2】本開示の別の実施態様による水封止性装飾用接着フィルムの断面図である。
図3】本開示の別の実施態様による水封止性装飾用接着フィルムの断面図である。
図4】被着体に適用した本開示の一実施態様の水封止性装飾用接着フィルムにおいて、水の浸入を防いでいる状態を示す模式図である。
図5】(a)は水封止試験後の比較例1の試料の写真であり、(b)は水封止試験後の実施例3の試料の写真であり、(c)は水封止試験後の実施例4の試料の写真であり、(d)は水封止試験後の実施例5の試料の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、必要に応じて図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
【0016】
本開示において「フィルム」には、「シート」と呼ばれる物品も包含される。
【0017】
本開示において、例えば、「装飾層が基材の上に配置される」における「上」とは、装飾層が基材の上側に直接的に配置されること、又は、装飾層が他の層を介して基材の上側に間接的に配置されることを意図している。
【0018】
本開示において、例えば、「接着層が基材の下に配置される」における「下」とは、接着層が基材の下側に直接的に配置されること、又は、接着層が他の層を介して基材の下側に間接的に配置されることを意図している。
【0019】
本開示において「構造化表面」とは、接着フィルムを被着体に適用したときに、それらの界面において外気と連通したチャネル(通路)を形成し得る凹凸状の表面を意図している。
【0020】
本開示において「水封止性」とは、接着フィルムと被着体との界面内への水の浸入を低減又は防止する性能を意図する。
【0021】
本開示において「略」とは、製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
【0022】
本開示において「透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm~700nm)の平均透過率が、約80%以上をいい、望ましくは約85%以上、又は約90%以上であってよい。平均透過率の上限値については特に制限はないが、例えば、約100%未満、約99%以下、又は約98%以下とすることができる。
【0023】
本開示において「半透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm~700nm)の平均透過率が、約80%未満をいい、望ましくは約75%以下であってよく、下地を完全に隠蔽しないことを意図する。
【0024】
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0025】
以下、必要に応じて図面を参照し、本開示の水封止性装飾用接着フィルムについて説明する。
【0026】
図1における水封止性装飾用接着フィルム100は、基材101及び接着層105を備えている。
【0027】
以下、本開示の代表的な実施態様を例示する目的で、各構成要素の詳細について一部符号を省略して説明する。
【0028】
本開示の水封止性装飾用接着フィルム(単に「接着フィルム」と称する場合がある。)は、基材を含んでいる。かかる基材は、接着層、他の任意の層(例えば装飾層)の支持体として使用することができる。基材は、その表面にレセプター層を有してもよく、基材自体がレセプター性能を有していてもよい。レセプター層を有する又はレセプター性能を有する基材を用いることで、インクジェット印刷などを用いてグラフィック画像等の装飾層を基材上に直接形成することができる。
【0029】
例えば、基材の一方の面に接着層を適用し、他方の面に装飾層などの任意の層を適用してもよく、或いは、基材の一方の面に装飾層などの任意の層を適用し、その層の上に接着層を適用してもよい。後者の構成の接着フィルムを、被着体に対して接着層を介して適用した場合には、基材が最外層に配置されるように構成されるため、基材は保護層と同様の機能を呈することができる。基材は、その表面に対し、装飾等を目的としたエンボス処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0030】
基材の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
基材の厚さとしては特に制限はなく、接着フィルムの使用用途等に応じて適宜選択することができ、例えば、約50マイクロメートル以上、約80マイクロメートル以上、約100マイクロメートル以上、又は約150マイクロメートル以上とすることができる。厚さの上限値については特に制限はないが、剛性、製造コスト等の観点から、例えば、約500マイクロメートル以下、約400マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、又は約200マイクロメートル以下とすることができる。ここで、接着フィルムを構成する各層の厚さは、典型的には、走査型電子顕微鏡を使用して積層構成の厚さ方向断面を測定し、積層構成のうちの目的とする層、例えば、基材における任意の少なくとも5箇所の厚さの平均値として定義することができる。
【0032】
いくつかの実施態様では、剛性を呈する基材(「剛性基材」と称する場合がある。)を使用することができる。このような基材は、例えば、接着層中の吸水性樹脂の膨潤に伴う接着フィルムの変形を防止したり、或いは、接着フィルムの適用時に接着層に含まれる微小球の変形により生じた応力に抵抗して接着フィルムの変形を防止したりすることができ、その結果、接着フィルムの外観を平滑に保つことに寄与する。被着体が凹凸表面を有する場合は、剛性基材は接着時に接着フィルムが凹凸表面に過度に追従することを抑制し、凹凸表面の突起が接着フィルムを貫通することを防止できる。接着フィルムを垂直面に適用した場合、剛性基材は接着フィルムの変形を抑制して、自重による剥離を防止することができる。
【0033】
いくつかの実施態様では、剛性基材の降伏弾性率としては、約10MPa以上、約15MPa以上、又は約20MPa以上とすることができ、約300MPa以下、約250MPa以下、又は約200MPa以下とすることができる。剛性基材の降伏弾性率を上記範囲とすると、基材の厚みと組み合わされて、接着時に接着フィルムの外観の平滑性を良好に維持することができる。降伏弾性率は、剛性基材を幅15mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製し、JIS K 7127に準拠して試験片の伸び特性を、引張試験機を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定したときの、降伏点における弾性率と定義される。
【0034】
いくつかの実施態様では、剛性基材の降伏弾性率と厚みの積としては、約0.9×10N/m以上、約1.0×10N/m以上、又は約1.5×10N/m以上とすることができ、約5×10N/m以下、約4×10N/m以下、又は約3×10N/m以下とすることができる。降伏弾性率と厚みの積は、剛性基材の曲げ剛性に比例する。剛性基材の降伏弾性率と厚みの積を上記範囲とすることで、剛性基材が接着時に接着フィルムの外観の平滑性を維持するのに十分な曲げ剛性を有することができる。
【0035】
いくつかの実施態様では、剛性基材の2%引張強度は、約40N/25mm以上、約45N/25mm以上、又は約50N/25mm以上とすることができる。剛性基材の2%引張強度を上記範囲とすることで、接着時に接着フィルムの外観の平滑性を維持することができ、接着フィルムの破断又は破壊及びそれに伴う糊残りを生じさせずに接着フィルムを除去することができる。2%引張強度は、剛性基材を幅25mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製し、引張試験機を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定したときの、2%伸びにおける引張強度と定義される。
【0036】
基材は延伸フィルムであってもよく、又は非延伸フィルムであってもよい。基材は延伸フィルム、特に2軸延伸フィルムであることが、基材の剛性及び引張強度を有利に高めることができる。
【0037】
基材は、典型的には、透明又は半透明(例えば乳白色)であることが好ましいが、目的とする外観を提供するために、全体又は部分的に可視域において、透明、半透明、又は不透明であってもよい。基材は、無色であってもよく、或いは、全体又は部分的に着色されていてもよい。
【0038】
基材はその他の任意成分、例えばフィラー、顔料又は染料等の着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤などを含んでもよい。
【0039】
本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、構造化表面を有する接着層を含んでいる。
【0040】
基材上に配置した接着層の表面に形成される構造化表面のトポグラフィー(表面の形状又は特徴)としては、接着層の構造化表面側を被着体に適用したときに、接着層と被着体との界面において横方向から空気が通り抜けることが可能なチャネル又は同様な構造のネットワークが形成される限り特に制限はない。
【0041】
接着層の構造化表面は、例えば、(1)構造化表面に対応するエンボスパターン等の凹凸面を有する剥離ライナー上に接着剤組成物を塗布することによって、(2)構造化表面に対応するエンボスパターン等の凹凸面を有する剥離ライナーに適用した接着層を圧迫することによって、又は(3)微小球を含む接着剤組成物を基材に塗布することによって形成することができる。
【0042】
剥離ライナー又は基材への塗布手段としては特に制限はなく、例えば、ナイフコーター、グラビコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター等により行うことができる。接着剤組成物を塗布した後、必要に応じて溶媒を乾燥させることができる。乾燥は、例えば、温度60℃~120℃で10秒~10分間行うことができる。
【0043】
構造化表面を有する接着層は、典型的には、図1~3に示されるように、1つの凸部領域(例えば、図1の符号107によって示される微小球周辺の凸状の領域)における、凸部の最頂部から接着層に隣接する他の層の表面(例えば基材表面)までの距離に相当する最大厚みと、その凸部領域に隣接する他の凸部領域との間に形成される凹部の最底部から接着層に隣接する他の層の表面(例えば基材表面)までの距離に相当する最小厚みとを有する。接着層の最大厚みと最小厚みの差は、接着層の構造化表面のトポグラフィーを示す指標の一つであり、例えば、かかる指標は粗面部に対する接着性に関係し得る。
【0044】
いくつかの実施態様では、接着層の最大厚みと最小厚みの差は、約50マイクロメートル以上、約70マイクロメートル以上、又は約90マイクロメートル以上とすることができ、約400マイクロメートル以下、約350マイクロメートル以下、又は約300マイクロメートル以下とすることができる。接着層の最大厚みと最小厚みの差を上記範囲とすることで、例えば、高さ1~2mmの突起を有する粗面部に対しても接着フィルムを良好に接着させることができる。接着層の最大厚みと最小厚みはそれぞれ、走査型電子顕微鏡を使用して接着フィルムの厚さ方向断面を測定し、例えば、接着層における任意の少なくとも5箇所の凸部領域に基づく各厚さの平均値として定義することができる。
【0045】
接着層の構造化表面の60度光沢度は、接着層の構造化表面のトポグラフィーを示すもう一つの指標であり、例えば、かかる指標は粗面に対する接着性に関係する。いくつかの実施態様では、接着層の60度光沢度は、約3以上、約4以上、又は約5以上とすることができ、約60以下、約55以下、又は約50以下とすることができる。接着層の60度光沢度を上記範囲とすることで、例えば、高さ1~2mmの突起を有する粗面部に対しても高い接着力で粘着シートを接着することができる。60度光沢度は、JIS Z8741に準拠して測定した値と定義される。
【0046】
構造化表面を有する接着層の厚さは、上述した最大厚さに相当する。接着層の厚さとしては特に制限はなく、例えば、約30マイクロメートル以上、約40マイクロメートル以上、約50マイクロメートル以上、約60マイクロメートル以上、約70マイクロメートル以上、又は約80マイクロメートル以上とすることができ、約220マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、又は約180μ以下とすることができる。
【0047】
本開示の接着層は、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含んでいる。装飾フィルムの分野において、被着体に貼り合わせた後のフィルムの縮みは、装飾性能の低下につながるおそれがある。本開示の接着層を構成する粘着性バインダーは、架橋剤由来の架橋構造を有しているため、このようなフィルムの縮みを低減又は抑制することができる。その一方で、架橋構造を有する粘着性バインダーを含む接着層は、架橋構造を有さない粘着性バインダーを含む接着層に比べて形状保持性に優れるため、被着体に対して接着フィルムをローラー又はへら等を用いて圧力を付加して貼り合わせたとしても、界面におけるチャネルが維持される傾向にある。かかるチャネルは、例えば、被着体から発生し得る水蒸気等のガスを逃がすことができる一方で、水の浸入に伴う剥離を生じさせる可能性がある。本開示の接着層は、吸水性樹脂を含んでいるため、例えば、被着体に適用した接着フィルムの端部において水が接触した場合、或いは、多孔質の被着体から浸出した水が接着層と接触した場合、その水を吸水した吸水性樹脂が膨らむ結果、チャネル等からの水の浸入を低減又は防止することができる。
【0048】
粘着性バインダーとしては、架橋剤由来の架橋構造を有する限り特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ゴム系樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂等の公知の樹脂を使用することができる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。中でも、接着性、水封止性、吸水性樹脂の分散性等の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0049】
粘着性バインダーの架橋構造は、例えば、粘着性バインダー、架橋剤、及び吸水性樹脂を含む接着剤組成物を、基材に適用した後、加熱することによって又は電離放射線(例えばX線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線)を照射することによって付与することができる。
【0050】
架橋剤としては特に制限はなく、公知の架橋剤、例えば熱架橋剤又は紫外線架橋剤を使用することができる。架橋剤を用いて粘着性バインダーを架橋することにより、接着層の凝集力を高め、接着フィルムのリワーク性及び/又は寸法安定性を向上させることができる。粘着性バインダーの架橋構造は、接着層に含まれる吸水性樹脂の膨潤性、即ち、接着層の接着性及び水の耐浸入性にも貢献し得る。吸水性樹脂が水を吸収して大きくなればなるほど水の浸入を防止しやすくなるが、吸水性樹脂は、一般に、接着性能を呈しないため、吸水性樹脂の体積の増大は、接着性を低下させるおそれがある。つまり、粘着性バインダーの架橋構造の調整は、吸水性樹脂の膨潤性能の調整、即ち、接着フィルムの接着性及び水封止性の調整に寄与することができる。
【0051】
熱架橋剤としては、例えば、接着性、寸法安定性、吸水性樹脂の膨潤性等の観点から、エポキシ架橋剤及びビスアミド架橋剤からなる群より選択される熱架橋剤を使用することが好ましい。エポキシ架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)(三菱ガス化学社製:TETRAD-X)、綜研化学株式会社製のE-AX、E-5XM、N,N’-(シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレン)ビス(ジグリシジルアミン)(三菱ガス化学社製:TETRAD-C)、綜研化学株式会社製のE-5Cなどが挙げられる。ビスアミド架橋剤として、例えば、1,1’-(1,3-フェニレンジカルボニル)-ビス(2-メチルアジリジン)(1,1’-イソフタロイル-ビス(2-メチルアジリジン))、1,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ベンゼン、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,8-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)オクタンなどが挙げられる。
【0052】
熱架橋剤の配合量としては、接着層のリワーク性、寸法安定性、吸水性樹脂の膨潤性等の観点から、粘着性バインダー100質量部に対して、約0.01質量部以上、約0.02質量部以上、又は約0.05質量部以上とすることができ、約0.5質量部以下、約0.4質量部以下、又は約0.3質量部以下とすることができる。
【0053】
紫外線架橋剤としては、例えば、接着性、寸法安定性、吸水性樹脂の膨潤性等の観点から、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o-ベンゾイル安息香酸エステル構造、チオキサントン構造、3-ケトクマリン構造、2-エチルアントラキノン構造、カンファーキノン構造などの水素ラジカル引き抜き構造を有する化合物が挙げられる。透明性及び反応性の点でベンゾフェノン構造を有する化合物を用いることが有利である。
【0054】
紫外線架橋剤は、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o-ベンゾイル安息香酸エステル構造、チオキサントン構造、3-ケトクマリン構造、2-エチルアントラキノン構造、及びカンファーキノン構造からなる群より選択される水素ラジカル引き抜き構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーであってもよい。水素ラジカル引き抜き構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーを用いることで、接着剤組成物の粘度を調整しつつ架橋反応性を高めることができる。一実施態様では、紫外線架橋剤はベンゾフェノン変性(メタ)アクリル系ポリマーである。
【0055】
紫外線架橋剤の配合量としては、接着層のリワーク性、寸法安定性、吸水性樹脂の膨潤性等の観点から、粘着性バインダー100質量部に対して、約0.1質量部以上、約0.5質量部以上、又は約1質量部以上とすることができ、約20質量部以下、約10質量部以下、又は約5質量部以下とすることができる。
【0056】
吸水性樹脂は、典型的には、粒子の形態を呈しており、粘着性バインダー中で分散された状態で存在することができる。
【0057】
吸水性樹脂としては特に限定されず、公知の吸水性樹脂を使用することができる。吸水性樹脂の樹脂材料としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、でんぷん-アクリル酸グラフト共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等を挙げることができる。中でも、ポリアクリル酸ナトリウムは、吸水力が自重の100倍から1000倍と大きいことからもっとも好ましい。接着層に配合する吸水性樹脂は、単一の樹脂材料で構成されていてもよく、或いは、二種以上の樹脂材料で構成されていてもよい。
【0058】
吸水性樹脂は、典型的には、粒子の形態を呈しており、その平均粒子径は、粘着性バインダー中における分散性、水封止性等の観点から、約10マイクロメートル以上、約30マイクロメートル以上、又は約50マイクロメートル以上であり、約500マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、又は約100マイクロメートル以下であることが好ましい。吸水性樹脂粒子の粒子径(D50値)は、ふるい分け法によって測定することができる。D50値は、粒子の50体積%が、対応のメッシュサイズを有するふるいによって保持されるときの値である。
【0059】
吸水性樹脂の配合量としては、接着性、水封止性等の観点から、固形物換算で、粘着性バインダー100質量部(固形分100%)あたり、約1質量部以上、約2質量部以上、又は約3質量部以上であり、約30質量部以下、約20質量部以下、約10質量部以下、約10質量部未満、約9質量部以下、又は約8質量部以下であることが好ましい。吸水性樹脂は、接着性を呈しない一方で、水の吸収に伴い膨潤して水封止性を発現する。吸水性樹脂の配合量が上記範囲であると、接着性及び水封止性のバランスにより優れた接着層を得ることができる。
【0060】
いくつかの実施態様では、本開示の接着層の構造化表面は、図1に示されるように、微小球107を含む接着剤組成物を用いて調製することができる。
【0061】
微小球としては特に制限はないが、構造化表面の形成性の観点から、約110マイクロメートル以上の体積平均粒子径を有する微小球が好ましく、さらに被着体に対する接着性の観点から、約110マイクロメートル以上の体積平均粒子径を有する弾性樹脂微小球がより好ましい。
【0062】
本開示において「弾性樹脂微小球」とは、樹脂で形成された球状の材料であって、通常は微小球全体としてゴム弾性を示すものとして定義される。被着体に対する接着フィルムの接着時に、弾性樹脂微小球は、例えば接着フィルムの厚み方向に潰れるように変形し得るため、接着層の被着体表面との接触面積が増大し、接着フィルムを被着体表面に良好に接着させることができる。弾性微小球の体積平均粒子径は比較的大きいため、厚い感圧接着層が接着力に優れることに類似して、被着体との接触面積が比較的小さくても、微小球の有する弾性を利用して高い接着力を得ることができる。微小球に起因して形成される凹凸表面は、比較的大きな高低差を有していることから、例えば、被着体の粗面部との接触面積も大きくすることができ、それにより接着力を高めることができる。
【0063】
一実施態様では、弾性樹脂微小球は粘着性である。粘着性の弾性樹脂微小球を用いることで接着力をより高めることができる。
【0064】
微小球の体積平均粒子径は、約110マイクロメートル以上である。いくつかの実施態様では、微小球の体積平均直径は、約125マイクロメートル以上又は約130マイクロメートル以上であり、約500マイクロメートル以下又は約300マイクロメートル以下である。体積平均粒子径が上記範囲の微小球を含む接着層は、被着体表面に対して良好に追従して高い接着力を呈することができる。微小球の体積平均粒子径は、レーザー回折粒度分析装置、例えばBeckman Coulter LS230を用いて測定することができる。
【0065】
弾性樹脂微小球の圧縮弾性率は、20℃において、約1kPa以上、約100kPa以下であることが望ましい。弾性樹脂微小球の圧縮弾性率を上記範囲とすることで、粗面への接着に有利なように、微小球、又は2個以上の微小球が凝集した塊である微小球のクラスターを変形させることができる。微小球の圧縮弾性率は、微小球を所定の形状、例えばシリンダー状に成形した試料を作製し、粘弾性測定装置、例えばレオメトリックス社製RSAII粘弾性スペクトロメーターを用いて、周波数1rad/秒、圧縮歪みモード、測定温度範囲-80℃~150℃、昇温速度5.0℃/分で測定したときの20℃での測定値である。
【0066】
微小球の材料としては特に制限はなく、例えば、金属材料、無機材料、樹脂材料を使用することができるが、微小球の弾性作用を発現させる観点から、樹脂材料が好ましい。かかる樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、又は天然ゴムを含むことができる。(メタ)アクリル樹脂は高い耐候性を有しており、粘着性の制御が容易であることから有利に使用される。接着層に配合する微小球は、単一の材料で構成されていてもよく、或いは、二種以上の材料で構成されていてもよい。
【0067】
微小球は、架橋樹脂を含んでもよく、非架橋樹脂を含んでもよい。一実施態様では、微小球は架橋樹脂を含む。架橋樹脂を含む微小球は、形状保持性及び耐久性に優れていることから、接着フィルムの接着及び脱着を繰り返すことができる。
【0068】
微小球は、中実粒子、1つ若しくは複数の空隙を内部に有する中空粒子、又はこれらの混合物を含むことができる。一実施態様では微小球は中実粒子である。
【0069】
樹脂材料より構成される微小球は、例えば懸濁重合、乳化重合、シード重合などの公知の重合方法により製造することができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂を含む微小球は、以下の手順で懸濁重合により製造することができる。
【0070】
脱イオン水、モノマー混合物、ラジカル重合開始剤、任意の添加剤を機械式攪拌機付き反応装置に入れ、反応装置内を窒素ガスなどの不活性ガスでパージし、攪拌しながら所定温度に加熱して(メタ)アクリル系モノマーの重合反応を行う。攪拌速度は通常10~700rpmであり、反応温度は通常30~120℃であり、反応時間は通常数時間から数十時間である。
【0071】
モノマー混合物は、一般にアルキル(メタ)アクリレート(例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等)と、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とを含む。アルキル(メタ)アクリレート及びエチレン性不飽和結合を有するカルボン酸はそれぞれ1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸は、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して、一般に約1質量部以上、約10質量部以下の量で使用される。1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーを架橋剤として混合物に添加して、(メタ)アクリル樹脂を架橋してもよい。架橋剤の使用量は、モノマー混合物100質量部に対して、一般に約0.01質量部以上、又は約0.02質量部以上、約0.5質量部以下、又は約0.1質量部以下の量で使用される。重合して得られた微小球は、濾過により分離してもよく、反応終了後の微小球を含む水性分散液の状態で使用してもよい。
【0072】
微小球に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)は一般に室温より低く、例えば約-90℃以上、約-70℃以上、又は約-50℃以上、約0℃以下、約-10℃以下又は約-20℃以下である。ガラス転移温度は、モノマー混合物に含まれるモノマーの種類及び配合比により調節することができる。
【0073】
一実施態様では、微小球は、粘着性バインダー100質量部に対して約5質量部以上、約10質量部以上、又は約15質量部以上、約200質量部以下、約180質量部以下、又は約160質量部以下の量で、接着層に含まれる。微小球の含有量を上記範囲とすることで、粗面に対しても良好な接着性を示す凹凸状の構造化表面を接着層上に形成することができる。
【0074】
一実施態様では、接着層における粘着性バインダーと微小球の質量比は、40:60以上、90:10以下である。粘着性バインダーと微小球の質量比を上記範囲とすることで、粗面に対しても良好な接着性を示す凹凸状の構造化表面を接着層上に形成することができる。
【0075】
微小球を含む接着層の構造化表面は、図1に示されるように、1個の微小球107によって形成されていてもよいが、2個以上の微小球が凝集した塊(「微小球クラスター」と称する場合がある。)によって形成されていてもよい。微小球クラスターは、接着層に不規則な形状及び不規則な配置の凸部を形成する、微小球の集合体である。クラスターは、接着フィルムの平面方向に配列した複数の微小球を含んでもよく、粘着シートの厚み方向に積み重なった複数の微小球を含んでもよく、これらの組み合わせを含んでもよい。クラスターにより形成される島状構造には粘着性バインダーが含まれてもよい。島状構造の周囲には、比較的平坦なクラスターを含まない接着層の海部分が存在する。
【0076】
微小球が弾性樹脂微小球である場合、接着フィルムの被着体への貼り付け操作中にクラスター内の微小球が圧力で変形することで、粘着性の凸部は被着体表面に接着するのに適した形状に変形する。変形の程度は、接着層の厚み及び塗布重さ、微小球の圧縮弾性率、微小球及び粘着性バインダーの配合比などにより制御することができる。
【0077】
一実施態様では、クラスターは微小球を2個以上、約5個以上、又は約10個以上、約200個以下、約150個以下、又は約100個以下含む。クラスターに含まれる微小球の個数が上記範囲であることにより、被着体表面に対する追従性を高めつつ、粘着性の面内ばらつきを抑制することができる。クラスター全数のうち、上記個数の微小球を含むクラスターの数が80%以上であることが望ましい。接着層における微小球のクラスターの形成、その形状、サイズなどは、光学顕微鏡の反射光を用いて、通常10~100倍の倍率にて確認することができる。
【0078】
接着剤組成物の粘度、及び/又は接着剤組成物が塗布される基材等の表面の濡れ性を調整することで、微小球のクラスターの形成を促進し、クラスターの形状、配置及び大きさを制御することができる。いくつかの実施態様では、微小球は溶媒と粘着性バインダーを含む組成物中に分散しており、溶媒乾燥時に微小球が溶媒に溶解した粘着性バインダー成分に引きずられて移動し、凝集してクラスターが形成される。
【0079】
接着剤組成物の粘度を、約100mPa・s以上、又は約150mPa・s以上、約6,000mPa・s以下、又は約5,000mPa・s以下とすることが、クラスター形成の促進に有利である。
【0080】
接着剤組成物が塗布される基材等の表面の濡れ性は、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー処理、酸又はアルカリ処理等の表面処理により、あるいは基材に含まれる添加剤の種類及び量により、組成物の塗布ムラを抑制しつつクラスターが形成されるように制御することができる。
【0081】
微小球を用いて調製した構造化表面を有する接着層の表面を剥離ライナーにより保護してもよい。剥離ライナーの材料及び厚さに関しては、後述するエンボスパターンを有する剥離ライナーと同様のものを採用することができる。
【0082】
いくつかの実施態様では、本開示の接着層の構造化表面は、図3に示されるように、構造化表面に対応するエンボスパターン等の凹凸面を有する剥離ライナー309を用いて調製することができる。
【0083】
例えば、剥離ライナーの凹凸面に接着剤組成物を塗布し、必要に応じ、乾燥及び/又は架橋させて、接着層に凹凸模様を転写させることができる。得られた接着層を備える剥離ライナーの接着層を基材に適用することによって、図3に示されるような、構造化表面に対応する凹凸面を有する剥離ライナー309が、凹凸面を介して接着層305上に配置されている接着フィルム300を得ることができる。
【0084】
あるいは、平滑な第1の剥離ライナー上に、接着剤組成物を塗布し、必要に応じ、乾燥及び/又は架橋させて、接着層を形成した後、かかる接着層を、構造化表面に対応するエンボスパターン等の凹凸面を有する第2の剥離ライナーに適用し、必要に応じ、乾燥及び/又は架橋させ、さらに圧迫することによって、接着層に凹凸模様を転写させることができる。第1の剥離ライナーを除去した後、接着層を基材に適用することによって、図3に示されるような、構造化表面に対応する凹凸面を有する剥離ライナー309が、凹凸面を介して接着層305上に配置されている接着フィルム300を得ることができる。
【0085】
剥離ライナーとしては特に制限はなく、例えば、紙(例えば、クラフト紙)、ポリマー材料(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなど)などから調製されるものが挙げられる。剥離ライナーは、必要に応じてシリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料などの剥離剤の層が適用されていてもよい。
【0086】
剥離ライナーの厚さは、例えば、約5マイクロメートル以上、約15マイクロメートル以上、又は約25マイクロメートル以上とすることができ、約300マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、又は約150マイクロメートル以下とすることができる。剥離ライナーの厚さ、即ち、最頂部から最低部までの距離は、接着層から剥離ライナーを除去した後、高精度デジマチックマイクロメータ(MDH-25MB、株式会社ミツトヨ製)を使用し、かかる剥離ライナーの任意の部分の厚さを少なくとも5回測定して算出した平均値として定義することができる。
【0087】
接着層を形成するための接着剤組成物は、粘着性バインダー、架橋剤、及び吸水性樹脂以外に、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、上述した微小球以外のフィラー、顔料、染料、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、粘着付与剤、他の樹脂などが挙げられる。その他の成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0088】
接着剤組成物は、溶媒を含んでもよく、或いは溶媒を含まなくてもよい。溶媒としては特に制限はないが、接着剤組成物に含まれる吸水性樹脂の耐膨潤性等の観点から、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ヘキサン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。後述する第1の接着層の調製に使用される、吸水性樹脂を含まない接着剤組成物の場合には、溶媒として、水、有機溶媒又はこれらの混合物である水系溶媒を用いることができる。水系溶媒として、例えば3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルエステルと水との混合物が挙げられる。
【0089】
いくつかの実施態様では、接着層は、基材側に位置する第1の接着層と、最表面に位置する第2の接着層とを含む積層構成であってもよい。例えば、第1の接着層は、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダーを含み、かつ、任意に微小球及び/又は吸水性樹脂を含むことができ、第2の接着層は、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含むことができる。
【0090】
このような積層構成の接着層は、図2に示されるような、微小球207を含む接着層205を採用する場合に有利である。微小球を含む接着層を、接着剤組成物を用いて形成する場合、微小球の頂部付近の接着剤組成物は、凹部(谷部)の方へ流れる傾向を呈しやすい。その結果、微小球の頂部付近に形成される粘着性バインダーを含む層は、他の箇所に比べ、皮のように薄くなりやすいため、接着性等の性能が低下する場合がある。一方、積層構成の場合には、皮のように薄くなった頂部付近に第2の接着層が積層されて厚膜化し得るため、被着体に対する濡れ性、接着性等を向上させることができる。
【0091】
吸水性樹脂を含む第2の接着層は、第1の接着層の全面に適用してもよく、或いは、第1の接着層に対して部分的に適用してもよい。例えば、第2の接着層を、接着フィルムの端部周辺に位置する第1の接着層に対して部分的に適用してもよく、或いは、図1に示されるような凹凸状の構造化表面の凹部、即ち、接着層の構造化表面側を被着体に適用したときに、接着層と被着体との界面において横方向から空気が通り抜けることが可能なチャネルを形成し得る部分に適用してもよい。
【0092】
いくつかの実施態様では、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、任意の構成要素として、保護層、装飾層、光輝層、構成する層同士を接合する接合層(「プライマー層」又は「第3の接着層」などと呼ばれる場合もある。)などの追加の層をさらに含んでもよい。これらの追加の層は、単独で又は二種以上組み合わせて採用することができる。
【0093】
いくつかの実施態様では、接着フィルムの接着層の反対側の最表面に保護層を配置することができる。保護層は、接着フィルムを構成する装飾層などの他の層を外部からの穿刺、衝撃などから保護する機能を有してもよい。
【0094】
保護層は、多層積層体、例えば多層押出積層体であってもよい。保護層は、その表面にレセプター層を有してもよく、保護層自体がレセプター性能を有していてもよい。レセプター層を有する又はレセプター性能を有する保護層を用いることで、インクジェット印刷などを用いてグラフィック画像等の装飾層を保護層上に直接形成することができる。保護層は、略平滑な表面を有してもよく、艶消し(マット)パターン又はエンボスパターンなどの凹凸形状を表面に有してもよい。保護層は、その表面に対し、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0095】
保護層の材料として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート-フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂、シリコーン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの共重合体、又はこれらの混合物が使用できる。透明性、強度、耐衝撃性などの観点から、保護層の材料として、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、及びポリカーボネートが有利に使用できる。さらに、耐候性の観点から、(メタ)アクリル樹脂が有利である。
【0096】
保護層は、必要に応じて、ベンゾトリアゾール、Tinuvin(商標)400(BASF社製)などの紫外線吸収剤、Tinuvin(商標)292(BASF社製)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などを含んでもよい。紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定化剤などを用いることによって、保護層の下層に位置する層の劣化、例えば、装飾層の、変色、退色、劣化などを効果的に防止することができる。保護層は、ハードコート材、光沢付与剤などを含んでもよく、追加のハードコート層を有してもよい。
【0097】
保護層は、目的とする外観(例えば艶消し外観)を提供するために、全体又は部分的に可視域において、透明、半透明、又は不透明であってもよい。保護層は、無色であってもよく、或いは、全体又は部分的に着色されていてもよい。
【0098】
保護層の厚みは、例えば、約1マイクロメートル以上、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、又は約40マイクロメートル以上とすることができ、約500マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、約50マイクロメートル以下、約40マイクロメートル以下、又は約30マイクロメートル以下とすることができる。
【0099】
いくつかの実施態様では、本開示の接着フィルムは、例えば、基材の上又は下に装飾層を配置することができる。装飾層は、例えば、基材に対して全面に又は一部に適用することができる。
【0100】
装飾層としては、次のものに限定されないが、塗装色、例えば、白、黄等の淡色、赤、茶、緑、青、グレー、黒などの濃色を呈するカラー層;木目、石目、幾何学模様、皮革模様などの模様、ロゴ、絵柄などを物品に付与するパターン層;表面に凹凸形状が設けられたレリーフ(浮き彫り模様)層;及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。本開示の装飾層は、グラフィック画像又はグラフィック層と称する層も包含することができる。
【0101】
カラー層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料が、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などのバインダー樹脂に分散された材料を使用することができる。
【0102】
カラー層は、このような材料を用い、例えば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング法により形成することができ、或いは、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、レーザー印刷、静電印刷などの印刷法により形成することもできる。
【0103】
パターン層としては、次のものに限定されないが、例えば、模様、ロゴ、絵柄などのパターンを、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷法を用いて、基材等に適用したものを採用してもよく、或いは、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング、打ち抜き、エッチングなどにより形成された模様、ロゴ、絵柄などを有するフィルム、シートなどを使用することもできる。パターン層の材料としては、例えば、カラー層で使用した材料と同様の材料を使用することができる。
【0104】
レリーフ層として、従来公知の方法、例えば、エンボス加工、スクラッチ加工、レーザー加工、ドライエッチング加工、又は熱プレス加工などによる凹凸形状を表面に有する熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。凹凸形状を有する剥離ライナー上に硬化性(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化性又は電離放射線硬化性樹脂を塗布し、加熱又は電離放射線照射により硬化させて、剥離ライナーを取り除くことによりレリーフ層を形成することもできる。
【0105】
レリーフ層に用いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、PET、PENなどのポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などを使用することができる。レリーフ層は、カラー層で使用される顔料の少なくとも一種を含んでもよい。
【0106】
装飾層の厚さとしては、要する装飾性等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、約1マイクロメートル以上、約3マイクロメートル以上、又は約5マイクロメートル以上とすることができ、約50マイクロメートル以下、約40マイクロメートル以下、約30マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、又は約15マイクロメートル以下とすることができる。
【0107】
光輝層(「金属層」と称する場合もある。)は、次のものに限定されないが、例えば、基材、保護層、又は装飾層の全面若しくは一部に、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、めっきなどによって形成された、アルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、白金、クロム、鉄、スチール、スズ、インジウム、チタニウム、鉛、亜鉛、ゲルマニウムなどから選択される金属、又はこれらの合金若しくは化合物を含む層であってよい。光輝層は、箔又はシートの形態で適用してもよい。
【0108】
光輝層の厚さについては特に制限はなく、要する性能(例えば装飾性、輝度、不燃性)及びコスト等に応じて適宜選択することができる。例えば、装飾性に加えて不燃性も要する場合には、光輝層の厚さとしては、約8マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約15マイクロメートル以上とすることができ、約200マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、又は約100マイクロメートル以下とすることができる。例えば、光輝層がアルミニウムを含む場合、光輝層の厚みは、約12マイクロメートル以上、約15マイクロメートル以上、又は約25マイクロメートル以上とすることができ、約30マイクロメートル以上、約40マイクロメートル以上、又は約50マイクロメートル以上とすることで、より優れた不燃性を得ることができる。不燃性まで要しない場合には、光輝層の厚さは、約8マイクロメートル未満又は約5マイクロメートル以下とすることができ、約0.1マイクロメートル以上、約0.5マイクロメートル以上、約1マイクロメートル以上とすることができる。
【0109】
いくつかの実施態様では、本開示の接着フィルムは、構成する各層を接合するために接合層を備えることができる。接合層として、例えば、一般に使用される、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂などの公知の樹脂を含む、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型、又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接合層は、公知のコーティング法などによって適用することができる。
【0110】
接合層の厚さは、例えば、約0.05マイクロメートル以上、約0.5マイクロメートル以上、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、約20マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上とすることができ、約200マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、約50マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、又は約10マイクロメートル以下とすることができる。
【0111】
いくつかの実施態様では、保護層、装飾層、接合層などの追加の層は、使用用途等に応じ、任意成分として、例えば、充填剤、補強材、酸化防止剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、粘着付与剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料、増粘剤、バインダー樹脂などを含むことができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0112】
本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、公知の方法、例えば、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷などの印刷法、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコート、押出しコート法などのコーティング法、ラミネート法、転写法、貼り合わせ法、蒸着法、メッキ法などを、単独で又は複数組み合わせて適宜調製することができる。
【0113】
一例として以下の製造方法を説明するが、本開示の水封止性装飾用接着フィルムの製造方法はこれに限定されない。例えば、剥離ライナー、接着層、基材、接合層、装飾層、及び保護層を順に備える構成の水封止性装飾用接着フィルムの場合には、粘着性バインダー、架橋剤、及び吸水性樹脂を含む接着剤組成物を、構造化表面に対応するエンボスパターンを有する剥離ライナー上に塗布し、必要に応じて乾燥及び/又は架橋させて接着層を含む積層体Aを調製する。接合層形成用組成物を基材上に塗布し、必要に応じて乾燥及び/又は架橋させて接合層を形成した後、片面に装飾層を有する樹脂フィルムを、装飾層を介して接合層に貼り合わせて積層体Bを調製する。積層体Aの接着層を、積層体Bの基材面に貼り合わせることによって、接着フィルムを得ることができる。接着層の架橋は、積層体Aと積層体Bを貼り合わせた後に実施してもよい。
【0114】
あるいは、上述した積層体Bの基材面に対し、粘着性バインダー、架橋剤、微小球、及び吸水性樹脂を含む接着剤組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させた後、架橋させることによって、接着フィルムを得ることができる。
【0115】
本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、接着層が構造化表面を有しているにもかかわらず、優れた水封止性及び接着性を呈することができる。
【0116】
接着層の構造化表面は、例えば、後述する実施例において記載されるウェットアウト試験によって評価することができる。かかる試験によって求められるウェットアウト率は、その値が小さいほど、被着体と接着層との接触面積が少ない、即ち、チャネルの形成割合が多いことを意図し、ウェットアウト率の値が大きいほど、被着体と接着層との接触面積が多い、即ち、チャネルの形成割合が少ないことを意図する。いくつかの実施態様では、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、ウェットアウト率に関し、約30%以上、約35%以上、又は約40%以上、約90%以下、約88%以下、約85%以下、又は約80%以下を達成することができる。
【0117】
水封止性に関しては、例えば、後述する実施例において記載される水封止試験によって評価することができる。いくつかの実施態様では、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、水封止試験において、「B」又は「A」の評価を得ることができる。
【0118】
接着性に関しては、例えば、後述する実施例において記載される接着力試験によって評価することができる。接着フィルムの接着力は被着体表面によって様々であるが、いくつかの実施態様では、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、180度剥離力で表したときに、約0.5N/25mm以上、約1N/25mm以上、約3N/25mm以上、約5N/25mm以上、約60N/25mm以下、約55N/25mm以下、約50N/25mm以下、又は約45N/25mm以下を達成することができる。
【0119】
この他、接着フィルムと被着体を貼りあわせた構造における剪断力は被着体表面によって様々であるが、いくつかの実施態様では、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、約0.05MPa以上、又は約0.10MPa以上、約1.5MPa以下、又は約1.0MPa以下を達成することができる。接着フィルムは特に粗面に対して適用したときに高い剪断力を示すことができる。いかなる理論に拘束される訳ではないが、これは接着層の凹凸表面と粗面の凹凸とが噛み合うためであると考えられる。高い剪断力は接着フィルムを垂直面に適用するときに粘着シートの自重によるずれを防止するのに有利である。剪断力は、接着フィルムを幅25mm、長さ60mmの長方形に切断して試験片を作製し、接触領域が25mm×12mmとなるように、試験片を幅25mm、長さ60mm、厚み1mmのアルミニウムパネルの上に23℃でローラーを用いて貼り付けた後、20℃で24時間放置し、引張試験機を用いて20℃、引張速度50mm/分で測定したときの接着力として定義される。
【0120】
本開示の一実施態様によれば、上述した水封止性装飾用接着フィルムの接着層を被着体の表面に配置してなる構造物が提供される。本開示の接着フィルムは、略平坦な表面を有する被着体に限らず、凹凸を有する被着体、又は曲面状若しくは三次元形状の被着体などに適用することができるため、種々の用途で使用することができる。
【0121】
被着体の材料としては特に制限はなく、例えば、樹脂材料、無機材料(例えばガラス、セラミック、コンクリート)、金属材料、木質材料などを使用することができる。本開示の接着フィルムは、水封止性能を有しているため、被着体が、接着層と被着体との界面に水を呼び込みやすい部材、例えば、親水性部材、吸湿性部材、及び多孔質部材から選択される少なくとも一種に適用される場合に有用である。このような部材の材料としては、例えば、ガラス、セラミック、コンクリート、モルタルなどを挙げることができる。ここで、「親水性」とは、例えば、被着体の最表面の対水接触角が、約90°未満、約70°以下、約50°以下、又は約25°以下であることを意図することができる。この対水接触角は、JIS R 3257:1999に記載の静滴法に準拠して測定される値を採用することができる。「吸湿性」とは、周囲の湿気を吸い取る性能を意図し、かかる性能の有無は、例えば、JIS A 1470-1:2014に記載の吸放湿性試験によって確認することができる。
【0122】
本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、様々な用途及び表面に適用することができ、特に、水に晒される環境下において有利に使用することができる。いくつかの実施態様では、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、屋外用又は屋内の水回り用として使用することができる。具体的には、本開示の水封止性装飾用接着フィルムは、標識、看板、橋などの屋外に晒される構造物、家屋又はビルなどの建築物、或いは、屋内において水に晒され得る、台所、浴室、便所などの、壁面、床面、天井面、ドア面、扉面、窓面などに対して使用することができる。
【実施例
【0123】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。表1における「Tg」はガラス転移温度、「Mw」は重量平均分子量を意図する。ここで、ガラス転移温度は、ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、FOXの式から求めた値であり、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定における、テトラヒドロフラン(THF)溶媒でのポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0124】
本実施例で使用した材料を以下の表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
(粘着性バインダー1(ADH1)の調製)
2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)62質量部、ブチルアクリレート(BA)32質量部、及びアクリル酸(AA)6質量部を、酢酸エチル66.7質量部に溶解させ、重合開始剤としてジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(商品名V-601、富士フイルム和光純薬株式会社(日本国大阪府大阪市))0.7質量部を加えた後、窒素雰囲気下75℃で24時間反応させ、粘着性バインダー1(ADH1)の酢酸エチル溶液(固形分含量60%)を調製した。ADH1の重量平均分子量(Mw)は250,000、ガラス転移温度(Tg)は-57℃であった。
【0127】
(粘着性バインダー2(ADH2)の調製)
2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)62質量部、ブチルアクリレート(BA)32質量部、及びアクリル酸(AA)6質量部を、酢酸エチル66.7質量部に溶解させ、重合開始剤としてジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(商品名V-601、富士フイルム和光純薬株式会社(日本国大阪府大阪市))0.55質量部を加えた後、窒素雰囲気下75℃で24時間反応させ、粘着性バインダー2(ADH2)の酢酸エチル溶液(固形分含量60%)を調製した。ADH2の重量平均分子量(Mw)は290,000、ガラス転移温度(Tg)は-57℃であった。
【0128】
〈弾性樹脂微小球(LSA1)の調製〉
弾性樹脂微小球1(LSA1)を以下の手順で調製した。1リットルのバッフル板付きガラスフラスコに1.5gのポリビニルアルコール(ケン化度約88mol%、粘度約95mPa・s、pH約6)及び279gの脱イオン水を加えて、IR撹拌機を用いて45℃に昇温して撹拌機で混合した。ポリビニルアルコールの粒子が完全に水に溶解した後、141gの2-エチルヘキシルアクリレート、9gのアクリル酸、及び0.0375gの1,4-ブタンジオールジアクリレートをジャーに入れたプレミックスをフラスコに流し入れ、撹拌速度457rpmで45mmサイズのインペラーブレードを用いて撹拌し、窒素ガスを混合物中にバブリングしながらフラスコを再度45℃に加熱した。45℃になった時点で、0.45gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)を混合物に添加した。AVNを添加してから約1時間で重合は開始しており、発熱反応に伴って温度が上昇していた。温度上昇が停止したら、温度設定を65℃に上げて、重合開始から3時間その温度を保持した。その後冷却して、得られたポリマー懸濁液を#16金属メッシュを通して濾過した。得られた微小球の体積平均粒子径は、Beckman Coulter LS230レーザー回折粒度分析装置を用いて測定した。LSA1の体積平均粒子径は約137マイクロメートルであった。レオメトリックス社製RSAII粘弾性スペクトロメーター(Advanced Rheometric Expansion System(ARES))を用いて、LSA1の粘弾性測定を行なった。25℃における剪断貯蔵弾性率は7×10dyn/cmであり、圧縮弾性率としては約2.3×10Paであった。
【0129】
(樹脂(P1))
メチルメタクリレート(MMA)60質量部、ブチルメタクリレート(BMA)34質量部、及びジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)6質量部を酢酸エチル150質量部に溶解させ、重合開始剤としてジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(商品名V-601、富士フイルム和光純薬株式会社(日本国大阪府大阪市))0.6質量部を加えた後、窒素雰囲気下65℃で24時間反応させ、高Tg樹脂(P1)の酢酸エチル溶液(固形分含量40%)を調製した。P1の重量平均分子量(Mw)は68,000、ガラス転移温度(Tg)は63℃であった。
【0130】
(実施例1)
ADH2、P1、PIG1及びCL1を混合して白色接合層形成溶液を調製した。ADH2、PIG1、P1、CL1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:50:10:0.2であった。白色接合層形成溶液の不揮発分(固形分)は約55%であった。この白色接合層形成溶液をナイフコーターでPET1上に塗工した。この塗工層を約95℃で約5分間乾燥及び架橋させて、約30マイクロメートル厚の白色接合層を得た。白色接合層を一時的に保護するために、この接合層上に略平坦な剥離ライナーを積層した。
【0131】
ADH1、LSA1及びSAP1を混合して接着剤溶液を調製した。ADH1、LSA1及びSAP1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:25:2であった。接着剤溶液の不揮発分(固形分)は約46%であった。接着剤溶液にCL1を混合した。ADH1とCL1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:0.20であった。接着剤溶液を、白色接合層と反対側のPET1の別の表面にナイフコーターで塗工した。この塗工層を約95℃で約5分間乾燥及び架橋させて、構造化表面を有する約104マイクロメートル厚の接着層を得た。吸水性樹脂(SAP1)を含む接着層の乾燥塗工重量は約70g/mであった。接着層を一時的に保護するために、この接着層上に略平坦な剥離ライナーを積層した。白色接合層上の剥離ライナーを除去した後、グラフィック画像を有するスコッチカル(商標)ペイントフィルムPF997(BSPC:裏面に印刷可能な透明フィルム。スリーエムジャパン株式会社製)を積層し、実施例1の接着フィルムを得た。
【0132】
(実施例2)
接着層の乾燥塗工重量を約75g/mに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の接着フィルムを調製した。
【0133】
(実施例3)
実施例1と同様にして、白色接合層を有するPET1を調製した。ADH3及びLSA1を混合して第1の接着剤溶液を調製した。ADH3及びLSA1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:50であった。第1の接着剤溶液にCL1を混合した。ADH3とCL1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:0.09であった。第1の接着剤溶液の不揮発分(固形分)は約46%であった。第1の接着剤溶液を、白色接合層と反対側のPET1の別の表面にナイフコーターで塗工した。この塗工層を約95℃で約5分間乾燥及び架橋させて、構造化表面を有する約70マイクロメートル厚の第1の接着層を得た。第1の接着層の乾燥塗工重量は約53g/mであった。
【0134】
ADH2、P1、SAP1及びCL1を混合して第2の接着剤溶液を調製した。ADH2、P1、SAP1、CL1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:5:10:0.18であった。第2の接着剤溶液の不揮発分(固形分)は約52%であった。第2接着剤溶液をナイフコーターで第1の接着層上に塗工した。この塗工層を約95℃で約5分間乾燥及び架橋させて、構造化表面を有する第1の接着層上に厚さ約21マイクロメートルの吸水性樹脂(SAP1)を含む第2の接着層を調製した。第2の接着層の乾燥塗工重量は約41g/mであった。接着層を一時的に保護するために、この接着層上に略平坦な剥離ライナーを積層した。白色接合層上の剥離ライナーを除去した後、グラフィック画像を有するスコッチカル(商標)ペイントフィルムPF997(BSPC:裏面に印刷可能な透明フィルム。スリーエムジャパン株式会社製)を積層し、実施例3の接着フィルムを得た。
【0135】
(実施例4)
第2の接着層の乾燥塗工重量を約42g/mに変更したこと以外は、実施例3と同様にして実施例4の接着フィルムを調製した。
【0136】
(実施例5)
第2の接着層の乾燥塗工重量を約55g/mに変更したこと以外は、実施例3と同様にして実施例5の接着フィルムを調製した。
【0137】
(実施例6)
ADH2、P1、SAP1及びCL1を混合して接着剤溶液を調製した。ADH2、P1、SAP1、CL1の質量比は、不揮発分(固形分)を基準として100:5:10:0.15であった。接着剤溶液の不揮発分(固形分)は約52%であった。構造化表面に対応するエンボスパターンを有する剥離ライナーL1上に、接着剤溶液をナイフコーターで塗工した。この塗工層を約95℃で約5分間乾燥及び架橋させて、吸水性樹脂(SAP1)を含む構造化表面を有する約41マイクロメートル厚の接着層を調製した。接着層の乾燥塗工重量は約38g/mであった。この吸水性樹脂(SAP1)を含む接着層上に約50マイクロメートル厚のポリ塩化ビニルフィルムを積層し、実施例6の接着フィルムを得た。
【0138】
(実施例7)
吸水性樹脂(SAP1)の質量比を5質量部とし、かつ、接着層の厚さを約39マイクロメートルに変更したこと以外は、実施例6と同様にして実施例7の接着フィルムを調製した。
【0139】
(実施例8)
約170マイクロメートル厚のポリ塩化ビニルフィルムに変更したこと以外は、実施例6と同様にして実施例8の接着フィルムを調製した。
【0140】
(実施例9)
約170マイクロメートル厚のポリ塩化ビニルフィルムに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例9の接着フィルムを調製した。
【0141】
(比較例1)
構造化表面を有する第1の接着層上に吸水性樹脂(SAP1)を含む第2の接着層を設けなかったこと以外は、実施例3と同様にして比較例1の接着フィルムを調製した。
【0142】
(比較例2)
吸水性樹脂(SAP1)を有しない接着剤溶液に変更したこと以外は、実施例6と同様にして比較例2の接着フィルムを調製した。
【0143】
(比較例3)
吸水性樹脂(SAP1)を有しない接着剤溶液に変更したこと以外は、実施例8と同様にして比較例3の接着フィルムを調製した。
【0144】
〈物性評価試験〉
接着フィルムの特性を、以下の方法を用いて評価した。
【0145】
(水封止性試験)
接着フィルムを幅25mm、長さ60mmのサイズに切断して試験片を調製した。この試験片をガラス板(松浪硝子工業株式会社製)の上に23℃で貼り付けた。試験片の端を5mm程度、染色水に浸して試料を調製した。得られた試料を23℃の恒温槽内に配置した。24時間後、接着面の外観を目視で観察し、以下の基準で水封止性を評価した。ここで、「A」及び「B」が合格、「C」及び「D」が不合格に該当する。また、試験後における比較例1、及び実施例3~5の試料の写真を図5に示す。図5の(a)が比較例1、(b)が実施例3、(c)が実施例4、(d)が実施例5に該当する:
A:染色水が浸透した面積が5%以下であった。
B:染色水が浸透した面積が5%超、20%以下であった。
C:染色水が浸透した面積が20%超であった。
D:ガラス板から試料が剥がれた。
【0146】
(接着力試験)
接着フィルムを幅25mm、長さ150mmのサイズに切断して試験片を調製した。試験片を、メラミン塗装パネル(株式会社パルテック製)、モルタル基材、及びセラミックタイルの上に23℃で各々貼り付けた。貼り付け方法はJIS Z 0237 8.2.3.に準拠した。試験片を20℃で24時間放置した。引張試験機(テンシロン万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて20℃、300mm/分の剥離速度で180度剥離を行ったときの接着力を測定した。
【0147】
(ウェットアウト試験)
縦76mm、横26mm、厚さ1mmのスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、MICRO SLIDE GLASS 白縁磨No.1、平坦面のRaは、約0.001マイクロメートル)を用意した。このスライドガラスに、幅25mm、長さ60mmのサイズに調製した接着フィルムの接着層面を貼り合わせ、2kgのロ-ラ-で長さ方向に3往復し圧着したものを試験片とした。接着フィルムが貼り付けられていない側のガラス面に白色光を照射し、偏光フィルターを介して観察すると、突出した接着部とガラス面が接触している領域(接触領域)は黒っぽく見え、非接触領域は白っぽく見えた。かかる手順を、光学顕微鏡(EMP-ST、協和光学工業株式会社製)を用いて行い、CCDカメラ(TI-32XA、日本電気株式会社)を介して画像データを画像処理装置(Excell-II、日本アビオニクス株式会社製)に取り込んだ。観察視野全体の面積(見かけ上の接触面積に相当)に対する接触領域の総面積の比率を「%」で表し、これを「ウェットアウト率」とした。観察視野の面積は約1cmであった。
【0148】
作製した接着フィルムの接着層に関する詳細を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。ここで、表2の実施例3~5における粘着性バインダーは、第2の接着層で使用された粘着性バインダーを意図している。表3において評価していない項目は、NDと記載している。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0152】
100、200、300、400 水封止性装飾用接着フィルム
101、201、301、401 基材
105、205、305、405 接着層
202 第1の接着層
203 第2の接着層
107、207 微小球
309 構造化表面に対応するエンボスパターンを有する剥離ライナー
410 被着体
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目11]に記載する。
[項目1]
基材、並びに、
前記基材上に配置された構造化表面を有する接着層であって、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含む、接着層、
を備える、
水封止性装飾用接着フィルム。
[項目2]
前記粘着性バインダーが、(メタ)アクリル樹脂を含む、項目1に記載の接着フィルム。
[項目3]
前記吸水性樹脂の含有量が、前記粘着性バインダー100質量部に対し、1質量部以上、30質量部以下である、項目1又は2に記載の接着フィルム。
[項目4]
前記構造化表面に対応する凹凸面を有する剥離ライナーが、前記凹凸面を介して前記接着層上に配置されている、項目1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
[項目5]
前記接着層が、110マイクロメートル以上の体積平均粒子径を有する微小球を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
[項目6]
前記接着層が、基材側に位置する第1の接着層と、最表面に位置する第2の接着層とを備え、前記第1の接着層が、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び110マイクロメートル以上の体積平均粒子径を有する微小球を含み、かつ、前記第2の接着層が、架橋剤由来の架橋構造を有する粘着性バインダー、及び吸水性樹脂を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
[項目7]
前記微小球が、(メタ)アクリル樹脂を含む、項目5又は6に記載の接着フィルム。
[項目8]
屋外用として使用される、項目1~7のいずれか一項に記載の接着フィルム。
[項目9]
屋内の水回り用として使用される、項目1~7のいずれか一項に記載の接着フィルム。
[項目10]
項目1~9のいずれか一項に記載の接着フィルムが、前記接着層を介して被着体に配置されている、構造物。
[項目11]
前記被着体が、親水性部材、吸湿性部材、及び多孔質部材から選択される少なくとも一種である、項目10に記載の構造物。
図1
図2
図3
図4
図5