(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】燃料電池スタックケース
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2475 20160101AFI20241224BHJP
H01M 8/248 20160101ALI20241224BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20241224BHJP
【FI】
H01M8/2475
H01M8/248
H01M8/2465
(21)【出願番号】P 2020187425
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布川 拓未
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114476(JP,A)
【文献】特開2022-066743(JP,A)
【文献】特開2020-071986(JP,A)
【文献】特開2020-170653(JP,A)
【文献】特開2017-188376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックを収容可能な凹状ケース本体と、
前記凹状ケース本体の開口部を閉塞するフタ部と、を備えた燃料電池スタックのスタックケースであって、
前記燃料電池スタックに所定の圧力を付与する一対のエンドプレートの一方が前記凹状ケース本体の底部を構成すると共に、前記一対のエンドプレートの他方が前記フタ部を構成
し、
前記フタ部は、前記凹状ケース本体の開口部を閉塞する上面板と周壁を備えた凹状体であり、
前記凹状ケース本体の側面と前記周壁の側面とが接触することで、前記凹状ケース本体の内部を封止する接触部を形成している、燃料電池スタックケース。
【請求項2】
前記フタ部と、前記凹状ケース本体との間には所定の間隙が形成され、
前記間隙には前記圧力を調整可能な第1圧力調整部材が配置されて、前記フタ部と前記凹状ケース本体とが連結されてなる、請求項1に記載の燃料電池スタックケース。
【請求項3】
前記フタ部と前記凹状ケース本体との間に、前記第1圧力調整部材とは異なる第2圧力調整部材が設けられてなる、請求項1又は2に記載の燃料電池スタックケース。
【請求項4】
前記凹状ケース本体の側面には、
当該側面から突出するとともに前記第1圧力調整部材が挿入される挿入孔が形成された環状突起部が設けられ、
前記フタ部の周壁と、前記環状突起部と、を積層方向に関して拘束する拘束部材を更に有する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の燃料電池スタックケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素と酸素を燃料とする燃料電池車に搭載される燃料電池スタックケースに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会において移動手段として例えば自動車は不可欠であり、日常において様々な車両が路上を移動している。近年では、鉛蓄電池やリチウムイオン電池に対して代替可能な新たな電池として、環境に対する負荷が比較的小さい燃料電池が注目されてきている。
【0003】
かような燃料電池は、燃料電池ユニットとして車両に搭載される。例えば特許文献1に例示されるように、この燃料電池ユニットには、圧縮力が付与されつつ複数の単位セルが積層された燃料電池スタックと、この燃料電池スタックを収容する燃料電池スタックケースを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献に限らず現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えず以下に述べる課題が存在する。
すなわち上記した燃料電池ユニットにおいて、燃料電池スタックは、一対のエンドプレートによって挟持されてボルトなどを介して所望の圧力が付与されるように締結されている。かようなエンドプレートは、上記した圧力を付与可能な程度の強度と剛性が必要であることから重量が嵩んでしまう。
【0006】
一方、車両用燃料電池においては衝突安全性を確保するため上記した燃料電池スタックケースが必須となるが、十分な強度を持たせようとした場合には当該燃料電池スタックケース自体も重量増となりがちである。この点、例えば上記した特許文献1では、一対のエンドプレートのうちの一方をケースと兼用していることから、その分だけ軽量化は果たせるものの、高い省燃費性能を実現するには未だに改善の余地は大きい。
【0007】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、部品点数を削減して軽量化を図りつつ十分な強度も確保可能な燃料電池スタックケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態における燃料電池スタックケースは、(1)燃料電池スタックを収容可能な凹状ケース本体と、前記凹状ケース本体の開口部を閉塞するフタ部と、を備えた燃料電池スタックのスタックケースであって、前記燃料電池スタックに所定の圧力を付与する一対のエンドプレートの一方が前記凹状ケース本体の底部を構成すると共に、前記一対のエンドプレートの他方が前記フタ部を構成し、前記フタ部は、前記凹状ケース本体の開口部を閉塞する上面板と周壁を備えた凹状体であり、前記凹状ケース本体の側面と前記周壁の側面とが接触することで、前記凹状ケース本体の内部を封止する接触部を形成している。
【0009】
なお、上記した(1)に記載の燃料電池スタックケースにおいては、(2)前記フタ部と、前記凹状ケース本体との間には所定の間隙が形成され、前記間隙には前記圧力を調整可能な第1圧力調整部材が配置されて、前記フタ部と前記凹状ケース本体とが連結されてなることが好ましい。
【0010】
また、上記した(1)又は(2)に記載の燃料電池スタックケースにおいては、(3)前記フタ部と前記凹状ケース本体との間に、前記第1圧力調整部材とは異なる第2圧力調整部材が設けられてなることが好ましい。
【0012】
また、上記した(1)~(3)のいずれかに記載の燃料電池スタックケースにおいては、(4)前記凹状ケース本体の側面には、当該側面から突出するとともに前記第1圧力調整部材が挿入される挿入孔が形成された環状突起部が設けられ、前記フタ部の周壁と、前記環状突起部と、を積層方向に関して拘束する拘束部材を更に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両に搭載される燃料電池ユニットにおいて、部品点数を削減して軽量化を図りつつ十分な強度も確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における燃料電池スタックケースの外観を示した斜視図である。
【
図2】実施形態における燃料電池スタックケースのうち凹状ケース本体の構造を示した斜視図である。
【
図3】実施形態における燃料電池スタックケースのうちフタ部の構造を示した斜視図である。
【
図4】本実施形態の圧力調整部材によって所定の圧力が付与された状態を示す燃料電池スタックケースの斜視図である。
【
図5】ある実施形態に係る燃料電池スタックケースの断面を模式的に示した上面図および外観の側面図である。
【
図6】変形例1における燃料電池スタックケースの外観を示した斜視図である。
【
図7】変形例2における燃料電池スタックケースの外観を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。また、以下で詳述する以外の構成については、上記した特許文献を含む公知の燃料電池ユニットや燃料電池ユニットを搭載する車両における要素技術やその構成を適宜補完してもよい。
【0016】
また、以下では、燃料電池スタックケースに収容された燃料電池ユニットにおける単セルの積層方向をZ方向とし、単セルの面方向をそれぞれX方向およびY方向として便宜的に設定した。しかしながらこれら方向の定義は一例であって、本発明の趣旨を過度に限定するものではない。
【0017】
<燃料電池スタックケース100>
図1に、本実施形態に係る燃料電池スタックケース100の外観を示す。この燃料電池スタックケース100は、例えば燃料電池ユニットを搭載するモータ駆動の車両に搭載される。燃料電池ユニットは、一例として、以下で詳述する燃料電池スタックケース100と、燃料電池スタックCSと、を少なくとも含んで構成されている。
【0018】
燃料電池スタックCSは、酸素ガスおよび水素ガスの電気化学反応によって発電する複数の単セルを備えている。かような単セルは、上記したZ軸方向に沿って積層されて当該積層方向(Z方向)に平行な所定の圧力(圧縮荷重)が加わった状態で締結されている。
【0019】
なお、本発明に好適な車両としては、燃料電池ユニットを搭載可能な構造体であれば特に制限はなく、例えば四輪自動車の他に二輪や三輪の自動車、車輪を有する航空機、住宅やオフィス向けの定置用電源などの蓄電装置などが例示できる。
また、燃料電池スタックCSの構成としては、複数の単セルが積層されたスタック構成である限りにおいて特に制限はなく、例えば特許文献1を始めとした公知の燃料電池スタックの構成が適用できる。
【0020】
図1~3から理解されるとおり、本実施形態の燃料電池スタックケース100は、凹状ケース本体10と、フタ部20と、を含んで構成されている。そして本実施形態では、
図1などに示すように、燃料電池スタックケース100は、燃料電池スタックCSを収容する。したがって、本実施形態の燃料電池スタックケース100は、燃料電池スタックCSの外形にあわせるように、直方体となっていることが好ましい。
【0021】
そしてこの燃料電池スタックケース100では、燃料電池スタックCSに所定の圧力を付与する一対のエンドプレートEP1及びEP2の一方(EP1)が凹状ケース本体10の底部を構成すると共に、一対のエンドプレートの他方(EP2)がフタ部20を構成する点に主とした特徴がある。
【0022】
凹状ケース本体10は、上記した燃料電池スタックCSを収容可能な箱状の部材である。かような凹状ケース本体10の材質としては、例えばアルミニウムまたはアルミニウムと合成樹脂の複合体などが適用できる。なお凹状ケース本体10の材質としては、ケースとしての仕様を満たす限りにおいて上記に限られず、例えばチタンやCFRPなど他の公知の素材を適用してもよい。
【0023】
図2に示すように、本実施形態における凹状ケース本体10は、底面板11、側面板12及び環状突起部13を含んで構成されている。
底面板11は、収容される燃料電池スタックCSの積層方向端部と対向して配置される。上述のとおり底面板11は、燃料電池スタックCSを収容するケースとしての機能の他、この燃料電池スタックCSに上記所定の圧力を付与する一対のエンドプレートの一方としての機能も兼備する。
【0024】
なお底面板11のZ方向から見た平面視の形状は、本実施形態では六角形状であるが、燃料電池スタックCSの収容エリアCAに燃料電池スタックCSが収容可能な限りにおいて特に制限はなく、例えば上記平面視の形状が四角形状であってもよい。
【0025】
側面板12は、上記した底面板11の周縁からZ方向に沿って立設された側壁部材である。本実施形態では、合計5つの側面板12が底面板11の周縁から立設されることで、この側面板12の内面12bで囲まれた収容エリアCAが形成されるとともに、底面板11から側面板12が立設されない領域で挿入開口部10bが形成される。一例として、燃料電池スタックCSは、この挿入開口部10bを介して収容エリアCAに収容されてもよい。
【0026】
また、同図に示すように、凹状ケース本体10のうち底面板11とは反対側の端部は開口部10aが形成されており、この開口部10aを形成する側面板12の端面12cに対して後述するフタ部20をカバーすることで、上述した箱状の燃料電池スタックケース100が実現される。
【0027】
また本実施形態の凹状ケース本体10では、この側面板12の外面12aのうち上記した開口端面に近い側に環状突起部13が設けられている。そして
図1などから理解されるように、環状突起部13は、側面板12の外面12aから面方向(Z方向と直交する方向)へ突出するように形成されている。
【0028】
また、環状突起部13には、後述する第1圧力調整部材30が挿入される挿入孔(ネジ孔13a~13d)が形成されている。なお本実施形態では、上記した5つの側面板12の一部に環状突起部13が設けられているが、すべての側面板12に設けられていてもよいし、上記した挿入孔を形成する必要がある領域だけに設置する態様であってもよい。また、本実施形態では5つの側面板12は一体で形成されているが、この形態に限られずそれぞれ独立して底面板11から立設するように形成されていてもよい。
【0029】
フタ部20は、前記した凹状ケース本体10の開口部10aを閉塞する機能を有して構成された凹状体の部材である。
図3に示すように、本実施形態におけるフタ部20は、上面板21及び周壁22を少なくとも含んで構成されている。かようなフタ部20の材質としては、例えばアルミニウムなど上記した凹状ケース本体10と同様の材質とすることができる。なお本実施形態のフタ部20は、凹状ケース本体10とは異なる材質で構成されていてもよい。
【0030】
図5から理解されるとおり、このフタ部20が凹状ケース本体10に装着された状態において、凹状ケース本体10の側面(外面12a)と周壁22の側面(内面22b)とが接触することで、凹状ケース本体10の周囲を封止する接触部Cpが形成されている。本実施形態の燃料電池スタックケース100においては、この接触部Cpを備えることで、例えばこの重なりの部分で強度を向上させることや、防水シールを設置する箇所としても機能させることが可能となっている。
【0031】
上面板21は、上記した積層方向に関して底面板11とは反対側の端部において燃料電池スタックCSの積層方向端部と対向して配置される。この上面板21は、燃料電池スタックCSを収容するケースとしての機能の他、この燃料電池スタックCSに上記所定の圧力を付与する一対のエンドプレートの他方としての機能も兼備する。換言すれば、
図4もあわせて参照して、本実施形態における底面板11と上面板21は、燃料電池スタックCSに所定の圧力を付与する一対のエンドプレートとしても機能している。
【0032】
なお本実施形態の上面板21は、上記した底面板11のZ方向から見た平面視の形状と同じ形状となるように六角形状となっている。しかしながらこの形態には限定されず、例えば底面板11の形状と同様にしてもよいし、あるいは底面板11の形状とは独立して上記平面視の形状が四角形状などであってもよい。
【0033】
周壁22は、
図1及び
図3などに示すように、上記した上面板21の周縁からZ方向に沿って立設された側壁部材である。かような周壁22は、上面板21と一体として成形されることが好ましい。本実施形態では、凹状ケース本体10の形状と対応するように、合計5つの周壁22が上面板21の周縁から立設されている。
【0034】
したがって、フタ部20が凹状ケース本体10に装着された際には、上面板21から周壁22が立設されない領域が上記した挿入開口部10bと連続することになる。これにより、例えばメンテナンス時などでフタ部20が凹状ケース本体10と装着された状態で挿入開口部10bを介して収容エリアCAから燃料電池スタックCSを一時的に取り外すことなども可能となっている。
【0035】
なお
図3に示すように、本実施形態のフタ部20は、内側段部23をさらに含んで構成されていてもよい。この内側段部23は、フタ部20が凹状ケース本体10に装着された際に凹状ケース本体10における側面板12の端面12cと対向する部位である。なお内側段部23は必須ではなく、適宜省略してもよい。
【0036】
なお本実施形態においては、この内側段部23は上記した接触部Cpとは異なるシールポイントとして機能させることが可能である。例えば本実施形態の燃料電池スタックケースが挿入開口部10bを閉塞するカバー部材(不図示)をさらに備える場合においては、側面板12の端面12cとフタ部20の内側段部23とが密着することでより密封性を向上させることが可能となる。
【0037】
また
図4及び
図5に示すように、フタ部20が凹状ケース本体10に装着された状態において、フタ部20と凹状ケース本体10との間には所定の間隙GPが形成される。そして本実施形態では、この間隙GPには上記した所定の圧力を調整可能な第1圧力調整部材30が配置されてフタ部20と凹状ケース本体10とが連結されている。
【0038】
かような圧力調整機能を備えた第1圧力調整部材30は、本実施形態では4つのねじ部材31~34で構成されている。このうちねじ部材31及び32の組とねじ部材33及び34の組とが、燃料電池スタックCSを挟むようにして、それぞれ環状突起部13のネジ孔13aとフタ部20の周壁22を接続するように締め込まれる。そしてこの第1圧力調整部材30によって環状突起部13と周壁22との間隔が調整されることで、上記した所定の圧力の強弱を調整することが可能となっている。
【0039】
なお本実施形態では第1圧力調整部材30の具体例として公知のねじを例示したが、フタ部20と凹状ケース本体10との締結態様は上記の形態には限られない。具体的に例えば、ネジ孔13aでねじを切らずにボルト&ナット構造を採用するなど他の公知の締結手段を用してもよい。
【0040】
このように本実施形態では、第1圧力調整部材30によって、フタ部20と凹状ケース本体10とを締結しつつ、一対のエンドプレート(底面板11及び上面板21)に必要な上記圧力を発生させることが可能となっている。
【0041】
なお本実施形態の燃料電池スタックケース100は、一対のエンドプレート(底面板11及び上面板21)に必要な上記圧力を発生させる第2圧力調整部材40をさらに備えていてもよい。かような第2圧力調整部材40は、
図5に示すように、第1圧力調整部材30とは異なる部材であって、前記したフタ部20と凹状ケース本体10との間に設けることができる。
【0042】
一例として本実施形態の第2圧力調整部材40は、一対のエンドプレート(底面板11及び上面板21)に直接的に接続される通しボルトが例示できる。このような第2圧力調整部材40を燃料電池スタックケース100が更に備えることで、燃料電池スタックCSに付与される上記所定の圧力(圧縮圧力)の値をより正確に管理することが可能となる。
【0043】
なお図示のとおり、本実施形態の第2圧力調整部材40は2本の通しボルト41及び42で構成されているが、1本の通しボルトでもよいし、設置するためのスペースが許容できる限りにおいて3本以上の任意の数だけ通しボルトを設置してもよい。
【0044】
また
図5に示すように、本実施形態の燃料電池スタックケース100は、フタ部20の周壁22と環状突起部13とを積層方向に関して拘束するストッパとしての拘束部材50を更に有するように構成されていてもよい。この拘束部材50を備えることで、例えば特許文献1で開示された衝突時の衝撃で第1圧力調整部材30の機能が損なわれたとしても、燃料電池スタックCSの積層方向への膨張によってケースが完全に破壊されてしまうことなどが抑制される。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、燃料電池自動車など燃料電池を搭載して走行可能な車両に適用される燃料電池ユニットにおいて、部品点数を削減して軽量化を図り、燃費性能などに多大な貢献をすることができる。また、本実施形態によれば、単に軽量化するのみに留まらず、燃料電池スタックに必要な所定の圧力(圧縮応力)を付与しながら十分な強度も確保することが可能となっている。
【0046】
なお添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態には限定されない。すなわち当業者であれば上記した実施形態に対して更なる修正を試みることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以下、一例として上記した実施形態の変形例について説明する。
【0047】
<変形例1>
図6に、本実施形態の変形例1に関する燃料電池スタックケース110を示す。
同図から理解されるとおり、本発明の凹状ケース本体10は、周方向(
図6のθz周り)に関して連続した枠部14と、この枠部14により形成された開口部(縮小された挿入開口部10b)を備えるように構成されていてもよい。かような開口部を燃料電池スタックケース110が更に備えることで、収容された燃料電池に付随する周辺部品(例えば配管、バスバー、リレー、セル電圧測定装置等)へ当該開口部を介してアクセスすることが可能となっている。
【0048】
すなわち上記した実施形態では、底面板11から側面板12が立設されない領域で挿入開口部10bが形成されていたが、本変形例1ではこの挿入開口部10bの一部が閉塞されて枠部14の一部となっている点に主とした特徴がある。さらに
図6に示すように、変形例1の燃料電池スタックケース110においては、この枠部14上に環状突起部13を設けるように構成してもよい。
【0049】
一方でフタ部20についても、この延長された環状突起部13および枠部14に対応して、周壁22を上記した周方向で連続する環状壁となるように上面板21から立設することもできる。
これにより、燃料電池スタックケース110が枠部14を備えることで凹状ケース本体10の剛性を向上させることが可能となっている。
【0050】
また、枠部14上に環状突起部13を増設することで、第1圧力調整部材30を介してフタ部20の増設された周壁22と接続させることも可能となる。さらに、枠部14上に環状突起部13を増設することで、上記した防水シールを設置する箇所が増加するのでシール性を向上させることが可能となる。
【0051】
<変形例2>
図7に、本実施形態の変形例2に関する燃料電池スタックケース120を示す。
同図に示すように、燃料電池スタックケース120においては、互いに対向する側面板12の内面12b同士を接続する中間梁15を具備していてもよい。これにより、凹状ケース本体10の剛性を向上させることが可能となっている。
【0052】
なお本変形例2では1本の中間梁15が例示されているが、当該形態に限定されず、例えば2本以上の複数の中間梁15を備えていてもよい。
また、同図に示すように、枠部14の上に必ずしも環状突起部13を形成する必要はなく、環状突起部13は適宜省略することができる。この場合、変形例1と同様に、本変形例の枠部14は、上記した防水シールの設置に必要な面圧を確保できる程度以上の強度があることが好ましい。
【0053】
なお、上記した実施形態、変形例1および変形例2では、すべて凹状ケース本体10の挿入開口部10bを覆うカバー部材は図示を省略したが、当該挿入開口部10bを覆うカバー部材は公知の種々の材料で構成されていてもよい。この場合、内部の気密性を重視する場合には挿入開口部10bを覆うカバー部材は他の側面(側面板12)と同じ構成にしてもよいし、更なる軽量化を重視する場合には他の側面板12に比して薄くしたり材料を変更するなど簡易な仕様としてもよい。
【0054】
また、上記した実施形態や変形例においては、フタ部20の内側に凹状ケース本体10が収まる形態を例示したが、この形態には限られず、例えばフタ部20の外形を凹状ケース本体10よりも小さくして凹状ケース本体10の内側にフタ部20が挿入される形態としてもよい。
【0055】
また、上記した実施形態においては、ストッパとしての拘束部材50は断面がコの字状の部材を用いて嵌め込む形で周壁22と環状突起部13とを積層方向に関して拘束したが、この形態には限られない。すなわち拘束部材50の他の例として、例えば周壁22と環状突起部13の双方に貫通孔を形成するとともに、この貫通孔にボルトを挿入してナットによって締結する構造を採用してもよいし、リベットを用いて周壁22と環状突起部13の最大離間距離を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 燃料電池スタックケース
10 凹状ケース本体
11 底面板
12 側面板
13 環状突起部
20 フタ部
21 上面板
22 周壁
23 内側段部