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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ガス交換弁の弁座リング及びガス交換弁
(51)【国際特許分類】
   F01L 3/22 20060101AFI20241224BHJP
   F01L 3/12 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
F01L3/22 Z
F01L3/12 Z
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020189505
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2021080921
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】10 2019 130 852.6
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・リッター
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・リッツェル
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】オーストリア国実用新案第10003977(AT,U1)
【文献】特開平9-287421(JP,A)
【文献】特開昭58-62306(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108412570(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102016214009(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 3/00- 7/18
F01L 11/00-11/06
F01L 15/00-35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダのガス交換弁のための弁座リング(30,40,50)であって、
貫通流れ開口部(32,42,52)を形成している一体式又は複分割式の本体(31,41,51)と、
前記貫通流れ開口部(32,42,52)の領域において前記本体(11,21,31,41,51)の一部分に形成されている弁座領域(33,43,53)であって、前記弁座領域(33,43,53)の表面が、前記ガス交換弁の弁本体のための弁座(34,44,54)を形成している、前記弁座領域(33,43,53)と、
を有している前記弁座リング(30,40,50)において、
少なくとも1つの凹所(35,45,55)が、少なくとも前記本体(31,41,51)に配設されており、蝋接材料(36,46,56)で少なくとも部分的に充填されており、
前記蝋接材料(36,46,56)で充填されている少なくとも1つの前記凹所(35,45,55)が、前記本体(31,41,51)及び前記弁座領域(33,43,53)に配設されており、
前記凹所(35,45,55)が、前記貫通流れ開口部(32,42,52)の軸線方向において前記本体(41,51)から前記弁座領域(33,43,53)に向かって前記弁座領域(33,43,53)の内部に至るまで延在しており、前記弁座領域(33,43,53)前記弁座(34,44,54)まで貫通していることを特徴とする弁座リング。
【請求項2】
前記凹所(35)が、前記貫通流れ開口部(32)の軸線方向において前記弁座領域(33)から前記本体(31)に向かって前記本体(31)の内部に至るまで延在しているが、前記本体(31)を貫通していないことを特徴とする請求項1に記載の弁座リング。
【請求項3】
前記蝋接材料(36,46,56)が、熱伝達及び潤滑のために利用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の弁座リング。
【請求項4】
前記凹所(55)それぞれには、前記蝋接材料(56)によって前記凹所(55)に固定されているインサート本体(57)が配置されており、
前記インサート本体(57)が、熱伝達面及び/又は潤滑面及び/又は硬質の面として利用されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の弁座リング。
【請求項5】
内燃機関のシリンダのガス交換弁のための弁座リング(60)であって、
貫通流れ開口部(62)を形成している一体式又は複分割式の本体(61)と、
前記貫通流れ開口部(62)の領域において前記本体(61)の一部分に形成されている弁座領域(63)であって、前記弁座領域(63)の表面が、前記ガス交換弁の弁本体のための弁座(64)を形成している、前記弁座領域(63)と、
を有している前記弁座リング(60)において、
前記弁座領域(63)が、異なる金属材料から成る層(65,66)で構成されており、前記層(65,66)が、前記弁座(64)に同心リングを形成しており、
前記弁座領域(63)が、高い延性を有する金属材料から成る複数の層(65)と、蝋接材料から成る複数の層(66)とを備えており、
前記蝋接材料が、熱伝達及び潤滑のために利用されることを特徴とする弁座リング。
【請求項6】
内燃機関のガス交換弁であって、弁本体と、前記弁本体のための弁座リング(30,40,50,60)と、を有している前記ガス交換弁において、
前記弁座リング(30,40,50,60)が、請求項1~5のいずれか一項に記載の弁座リングであることを特徴とするガス交換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のガス交換弁の弁座リングに関する。さらに、本発明は、内燃機関のためのガス交換弁に関する。
【0002】
従来技術に基づく内燃機関は、ガス交換弁すなわち入口側ガス交換弁を備えている。内燃機関のシリンダは、ガス交換弁を介して給気又は給気混合体を供給可能とされ、排ガスは、ガス交換弁を介して内燃機関のシリンダから発散可能とされる。
【0003】
内燃機関のガス交換弁それぞれが、弁座リングと相互作用する弁本体を備えている。ガス交換弁を閉じることによって、弁本体は、弁座リングの弁座に当接又は載置される。ガス交換弁を開くことによって、弁本体は、弁座リングの弁座に載置されなくなるが、離隔されるか、又は弁座リングの弁座から離れるように持ち上げられる。
【0004】
特許文献1から知られるように、内燃機関のガス交換弁の弁座リングは、冷却された弁座リングとして構成されている。特許文献1に開示される弁座リングは、複数の部品から、具体的には蝋接継ぎ目を介して互いに接続されている少なくとも2つのリング部品から構成されている本体を備えている。これら2つのリング部品は、弁座リングを冷却するための冷却剤通路を形成している。
【0005】
特許文献2は、内燃機関のガス交換弁のさらなる弁座リングを開示している。特許文献2に開示される弁座リングは、貫通した流れ開口部を形成している一体化された本体を備えている。弁座を形成している弁座領域は、本体に接続されており、弁座リングは、熱間等静圧圧縮成形によって製造されている。弁座リングを冷却するための冷却剤通路は、一体化された本体に配設されている。
【0006】
特許文献3は、内燃機関のガス交換弁のためのさらなる弁座リングを開示している。特許文献3は、弁座リングが異なる材料から成ることを提案している。従って、三次元構造体は、第1の材料及び第2の材料から形成されている。三次元構造体の空洞部は、第2の材料で充填されており、第1の材料は、第2の材料と比較して高い強度を有しており、第2の材料は、第1の材料と比較して高い熱伝導性を有している。実際の弁座を形成している弁座領域は、第1の材料及び第2の材料と比較して高い延性を有している第3の材料から製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102004027084号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011007140号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017102544号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
弁座リングのさらなる改善に対するニーズが、特に摩耗を低減させるために観点から熱発散の改善に関して存在する。このことを発端として、本発明は、ガス交換弁の新しいタイプの弁座リング、及び当該弁財リングを具備するガス交換弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の実施態様では、当該目的は、請求項1に記載の弁座リングによって解決される。これにより、少なくとも1つの凹所が、本体及び好ましくは弁座領域に配設されており、蝋接材料で部分的に充填されている。少なくとも1つの凹所が蝋接材料で充填されているので、熱が弁座リングから、特に弁座リングの弁座領域から効果的に発散される。
【0010】
好ましくは、蝋接材料で充填されている少なくとも1つの凹所が、本体及び弁座領域に配設されており、好ましくは弁座に至るまで弁座領域を貫通している。この場合、蝋接材料は、熱の発散のために利用することができないばかりか、弁座リングの摩耗を低減させるために、弁座の領域において潤滑材料としても利用することができない。
【0011】
好ましくは、凹所それぞれには、蝋接材料によって凹所に固定されているインサート本体が配置されており、インサート本体が、熱伝達面及び/又は潤滑面及び/又は硬質の面として利用される。インサート本体が蝋接材料によって凹所それぞれに固定されていることによって、弁座リングの摩耗をさらに低減させることができる。
【0012】
本発明の第2の実施態様では、当該目的は、請求項10に記載の弁座リングによって解決される。これにより、弁座領域は、異なる金属材料から成る層で構成されており、層は、弁座に同心リングを形成している。これにより、弁座領域から熱を発散させ、弁座リングの摩耗を低減させることができる。
【0013】
本発明におけるガス交換弁が、請求項12に定義されている。
【0014】
本発明の好ましいさらなる発展形態は、従属請求項及び発明の詳細な説明から理解される。本発明の典型的な実施例について、非限定的な添付図面を参照しつつ詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施態様における、本発明のガス交換弁の弁座リングの部分図である。
図1a図1に表わす弁座リングを製造する際における中間状態を表わす。
図1b図1に表わす弁座リングを製造する際における中間状態を表わす。
図2】本発明の第1の実施態様における、本発明のガス交換弁の第2の弁座リングの部分図である。
図2a図2に表わす弁座リングを製造する際における中間状態を表わす。
図2b図2に表わす弁座リングを製造する際における中間状態を表わす。
図3】本発明の第1の実施態様における、本発明のガス交換弁の第3の弁座リングの部分図である。
図4】本発明の第1の実施態様における、本発明のガス交換弁の第4の弁座リングの部分図である。
図4a図4に表わす弁座リングを製造する際における中間状態を表わす。
図4b図4に表わす弁座リングを製造する際における中間状態を表わす。
図5】本発明の第1の実施態様における、本発明のガス交換弁の第5の弁座リングの部分図である。
図6】本発明の第2の実施態様における、本発明のガス交換弁の弁座リングの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図1a、及び図1bは、本発明の第1の実施態様に係る、本発明における第1の弁座リング10の詳細図である。弁座リング10は、貫通流れ開口部12を形成している本体11を備えており、図1図1a、及び図1bに表わす典型的な実施例では、本体11は、一体に形成されている。
【0017】
弁座リング10は、本体11の一部分に形成されている弁座領域13を備えている。弁座領域13の表面は、弁座領域13ひいては弁座リング10の弁座14を形成しており、弁座14は、図示しないガス交換弁の弁本体と相互作用する。
【0018】
図1図1a、及び図1bに表わす典型的な実施例では、少なくとも1つの凹所15が、本体11に配設されており、凹所15は、蝋接材料16で少なくとも部分的に充填されているが、図1図1a、及び図1bに表わす典型的な実施例に表わすように蝋接材料16で完全に充填されている場合もある。
【0019】
図1図1a、及び図1bでは、凹所15は、本体11のみに配設されている。具体的には凹所15は、本体11から弁座領域13に向かって軸線方向に延在しており、弁座領域13の手前で終端している。弁座リング11から、具体的には弁座リング11の弁座領域13から熱を発散させるための熱伝達のために利用される蝋接材料16が凹所15に配設されている。
【0020】
図1a及び図1bは、図1に表わす弁座リング10を製造するための中間段階を表わす。従って、図1aは、凹所15が本体11に配設された状態を表わす。図1bでは、蝋接材料16から成る半完成品17が、凹所15の上方の領域に配置されている。図1bに表わす配置に熱を加えることによって、蝋接材料16から成る半完成品17が液状化され、例えば真空蝋接によって凹所15に集められる。冷却後、凹所15は蝋接材料16によって充填されている。
【0021】
図2は、本発明における弁座リング20の第2の典型的な実施例を本発明の第1の実施例と同様に表わす。図2a及び図2bは、弁座リング20を製造する際の弁座リング20の中間状態を表わす。
【0022】
図2に表わす弁座リング20も、貫通流れ開口部22を形成している本体21を備えている。図2に表わす典型的な実施例では、本体21は、特に蝋接によって当接結合面28に沿って互いに対して接続されている2つの部分21a,21bから二分割式で構成されている。2つの部分21a,21bは、冷却剤空間29を形成しており、動作中には、例えば水が冷却剤空間29を通じて流れる。
【0023】
弁座リング20は、弁座領域23を本体21の一部分に備えており、弁座領域23の表面が、弁座24を形成している。
【0024】
また、少なくとも1つの凹所25が、本体21に、具体的には本体21の部分21bに配設されており、凹所25は、蝋接材料26で少なくとも部分的に充填されているが、図示の実施例のように完全に充填されている場合もある。具体的には、図2では、蝋接材料26が、具体的には凹所25それぞれに隣接している冷却剤空間29の下側部分を覆っている。
【0025】
また、図2では、凹所25が、本体21のみに配設されている。具体的には凹所25が、貫通流れ開口部22の軸線方向で見ると、本体21から弁座領域23に向かって延在しており、弁座領域23の手前で終端している。
【0026】
図2に表わす弁座リング20を製造するために、図2a及び図2bに表わす手順に従うと、凹所25が本体21の部分21bに配設され、その後に蝋接材料26から成る半完成品27が、凹所25の領域に載置され、このような配置に熱を加えることによって、半完成品27が液状化されるので、これにより蝋接材料26が凹所25それぞれに流入するようになる。
【0027】
図3は、本発明における弁座リング30の第3の典型的な実施例を本発明の第1の実施態様と同様に表わす。弁座リング30の本体31が、図2図2a、及び図2bに表わす典型的な実施例と同様に当接結合面38に沿って互いに対して接続されている部分31a,31bから複分割式で形成されている。部分31a,31bは、冷却剤空間39を形成している。
【0028】
また、本体31は、貫通流れ開口部32を形成しており、弁座34を形成している弁座領域33が、本体31の一部分に形成されている。また、図3に表わす典型的な実施例では、少なくとも1つの凹所35が蝋接材料36で充填されており、図3に表わす典型的な実施例では、凹所35は弁座領域33及び本体31に配設されている。
【0029】
図3に表わす典型的な実施例では、凹所35は、貫通流れ開口部32の軸線方向において、弁座34を形成している弁座領域33から本体31の内部に、本体31を貫通することなく延在している。蝋接材料36は、凹所35それぞれの内部に配設されている。蝋接材料36は、弁座領域33から熱を発散させるために利用され、動作中に弁座リング30の摩耗を低減させるために弁座34の潤滑剤としても利用される。
【0030】
図4図4a、及び図4bは、本発明における弁座リング40のさらなる典型的な実施例を、弁座リング40の製造の際における弁座リング40の中間状態と共に、本発明の第1の実施態様と同様に表わす。また、図4に表わす弁座リング40は、当接結合面48の領域において接続されている部分41a,41bから成る複分割式本体41を備えており、部分41a,41bは、貫通流れ開口部42を形成しており、弁座44を形成している弁座領域43が、本体41の一部分に形成されている。図4では、蝋接材料46で充填されている少なくとも1つの凹所45が、本体41及び弁座領域43に配設されており、凹所45は、本体41から弁座領域43に向かって、具体的には弁座領域43の内部に且つ弁座領域43を貫通して延在している。図3の場合には、蝋接材料46が、弁座44の領域における潤滑剤として、さらには冷却剤通路49に向かって熱を発散させるために利用されるが、図4の場合には、蝋接材料46は、冷却剤通路49を通じて流れる冷却液体と接触可能とされる。
【0031】
図4に表わす弁座リング40を製造するための手順としては、弁座領域43を備えている本体41を準備し、最初から完全に弁座領域43を貫通することなく、本体41から、具体的には本体41の部分41aから、本体41及び弁座領域43に凹所45を配設する。その後に、蝋接材料46から成る半完成品47を準備し、半完成品47に熱を加える。図4bに従ってこのようにして、蝋接材料46は凹所45それぞれに流入し、凹所45それぞれを充填する。この後に、弁座領域43は、弁座リング40を形成するために、材料切削によって機械加工される。これにより、弁座44の領域における蝋接材料46はアクセス可能となり、蝋接材料46は、摩耗を低減させるために利用可能となる。
【0032】
図5は、弁座リング50の典型的な実施例を本発明の第1の実施態様と同様に表わす。また、弁座リング50は、当接結合面58の領域において蝋接により接続されている2つの部分51a,51bから成る本体51を備えており、2つの部分51a,51bは、冷却剤空間59を形成している。また、図5に表わす弁座リング50の本体51は、貫通流れ開口部52を形成しており、実際の弁座54を形成している弁座領域53を備えている。
【0033】
図4に表わす典型的な実施例と同様に、少なくとも1つの凹所55が、本体51及び弁座領域53に配設されており、凹所55は、本体51、具体的には部分51bと弁座領域53とを貫通して延在している。しかしながら、図5に表わす典型的な実施例では、図4に表わす典型的な実施例とは対照的に、蝋接材料56及びインサート本体57とが凹所55に配設されており、インサート本体57は、蝋接材料56によって凹所55それぞれに固定すなわち保持されている。インサート本体57の材料が、弁座54の領域においてアクセス可能とされるので、所定の潤滑性を有する面及び/又は熱伝達に優れた面及び/又は硬質の面が弁座54の領域に設けられるので、弁座リング50の耐摩耗性を向上させることができる。
【0034】
図6は、弁座リング60の典型的な実施例を本発明の第2の実施態様と同様に表わす。また、弁座リング60は、部分61a,61bから成る本体61を備えている。部分61a,61bは、当接結合面68に沿って接続されており、冷却剤のための冷却剤空間69を形成している。本体61は、貫通流れ開口部62を形成しており、弁座領域63を備えており、弁座領域63の表面は、実際の弁座64として形成されている。
【0035】
本発明の第2の実施態様では、弁座領域63は、異なる金属材料から成る複数の層65,66から構成されており、層65,66は、同心リングを弁座リング64に形成している。従って、層65は、好ましくは高い延性を有する金属材料から形成されている。層66は、好ましくは蝋接材料から形成されているので、好ましい熱伝達性及び潤滑性のために有益である。層65,66によって形成されているリングの領域では、これら2つの金属材料それぞれが、弁座リング64の領域においてアクセス可能とされる。
【0036】
さらに、本発明は、このような弁座リングを有しているガス交換弁、及び当該弁座リングそれぞれの弁座と相互作用する弁本体に関する。
【符号の説明】
【0037】
10 弁座リング
11 本体
12 貫通流れ開口部
13 弁座領域
14 弁座
15 凹所
16 蝋接材料
17 半完成品
20 弁座リング
21 本体
21a 部分
21b 部分
22 貫通流れ開口部
23 弁座領域
24 弁座
25 凹所
26 蝋接材料
27 半完成品
28 当接結合面
29 冷却剤空間
30 弁座リング
31 本体
31a 部分
31b 部分
32 貫通流れ開口部
33 弁座領域
34 弁座
35 凹所
36 蝋接材料
37 半完成品
38 当接結合面
39 冷却剤空間
40 弁座リング
41 本体
41a 部分
41b 部分
42 貫通流れ開口部
43 弁座領域
44 弁座
45 凹所
46 蝋接材料
47 半完成品
48 当接結合面
49 冷却剤通路
50 弁座リング
51 本体
51a 部分
51b 部分
52 貫通流れ開口部
53 弁座領域
54 弁座
55 凹所
56 蝋接材料
57 インサート本体
58 当接結合面
59 冷却剤空間
60 弁座リング
61 本体
61a 部分
61b 部分
62 貫通流れ開口部
63 弁座領域
64 弁座
66 層
68 当接結合面
69 冷却剤空間
図1
図1a
図1b
図2
図2a
図2b
図3
図4
図4a
図4b
図5
図6