(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】医療用制御装置及び医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20241224BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20241224BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241224BHJP
G02B 23/26 20060101ALN20241224BHJP
【FI】
A61B1/06 612
A61B1/06 611
A61B1/045 632
A61B1/045 631
A61B1/045 630
A61B1/00 511
G02B23/26 B
(21)【出願番号】P 2020193777
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 航史
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/125724(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/158906(WO,A1)
【文献】特開2015-073772(JP,A)
【文献】特開2018-182580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、
供給される電流に応じて発光する発光素子を制御する調光制御部とを備え、
前記調光制御部は、
前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替えるとともに、前記駆動モードが前記撮像素子における有効画素領域の全ての水平ラインが同時に露光される全ライン露光期間がない第1の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第2の制御及び前記第3の制御のみを実行する医療用制御装置。
【請求項2】
複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、
供給される電流に応じて発光する発光素子を制御する調光制御部とを備え、
前記調光制御部は、
前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替えるとともに、前記駆動モードが複数のフィールドを擬似的に1つのフィールドとする長時間露光の第2の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第1の制御及び前記第2の制御のみを実行す
る医療用制御装置。
【請求項3】
前記調光制御部は、
前記駆動モードが前記第2の駆動モードである場合には、前記第2の駆動モードによって擬似的に生成される期間であって、前記撮像素子における有効画素領域の全てのラインが同時に露光される全ライン露光期間における前記発光素子の発光量を他の期間よりも高くする請求項
2に記載の医療用制御装置。
【請求項4】
複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、
供給される電流に応じて発光する発光素子を制御する調光制御部とを備え、
前記調光制御部は、
前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替えるとともに、前記駆動モードがビニングを含む第3の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第1の制御及び前記第2の制御のみを実行す
る医療用制御装置。
【請求項5】
前記調光制御部は、
前記駆動モードが前記第3の駆動モードである場合には、前記第3の駆動モードによって擬似的に生成される期間であって、前記撮像素子における有効画素領域の全てのラインが同時に露光される全ライン露光期間における前記発光素子の発光量を他の期間よりも高くする請求項
4に記載の医療用制御装置。
【請求項6】
前記発光素子は、
第1の波長帯域の光を発光する第1の発光素子と、前記第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域の光を発光する第2の発光素子とを備え、
前記医療用制御装置は、
観察モードを第1の観察モードまたは第2の観察モードに切り替える観察モード切替部をさらに備え、
前記第1の観察モードは、
前記第1の波長帯域の光が照射された観察対象を前記撮像素子にて撮像して第1の撮像画像を得る観察モードであり、
前記第2の観察モードは、
前記第1の撮像画像を得るとともに、前記第2の波長帯域の光が照射された前記観察対象を前記撮像素子にて撮像して第2の撮像画像を得る観察モードであり、
前記駆動モード切替部は、
前記観察モードが前記第2の観察モードである場合には、前記駆動モードを、複数のフィールドを擬似的に1つのフィールドとする長時間露光の第2の駆動モードに切り替え、
前記調光制御部は、
前記駆動モードが前記第2の駆動モードである場合には、前記第2の駆動モードによって擬似的に生成される期間であって、前記撮像素子における有効画素領域の全てのラインが同時に露光される全ライン露光期間毎に、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子をそれぞれ発光させる請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項7】
複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子を含む撮像装置と、
供給される電流に応じて発光する発光素子を含む光源装置と、
前記撮像装置及び前記光源装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、
前記医療用制御装置は、
前記撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、
前記発光素子を制御する調光制御部とを備え、
前記調光制御部は、
前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替えるとともに、前記駆動モードが前記撮像素子における有効画素領域の全ての水平ラインが同時に露光される全ライン露光期間がない第1の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第2の制御及び前記第3の制御のみを実行する医療用観察システム。
【請求項8】
複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子を含む撮像装置と、
供給される電流に応じて発光する発光素子を含む光源装置と、
前記撮像装置及び前記光源装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、
前記医療用制御装置は、
前記撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、
前記発光素子を制御する調光制御部とを備え、
前記調光制御部は、
前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替えるとともに、前記駆動モードが複数のフィールドを擬似的に1つのフィールドとする長時間露光の第2の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第1の制御及び前記第2の制御のみを実行する医療用観察システム。
【請求項9】
複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子を含む撮像装置と、
供給される電流に応じて発光する発光素子を含む光源装置と、
前記撮像装置及び前記光源装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、
前記医療用制御装置は、
前記撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、
前記発光素子を制御する調光制御部とを備え、
前記調光制御部は、
前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替えるとともに、前記駆動モードがビニングを含む第3の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第1の制御及び前記第2の制御のみを実行する医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用制御装置及び医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いて生体内等の観察対象を撮像し、当該観察対象を観察する医療用観察システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の医療用観察システムでは、撮像素子におけるCCD及びCMOS等の種別に応じて、発光素子の制御を切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、CMOSの撮像素子を用いた場合において、当該撮像素子の駆動モードを変更すると、当該撮像素子における有効画素領域の全ての水平ラインが同時に露光される全ライン露光期間や、当該撮像素子における複数の画素に蓄積された電荷を読み出す読み出し期間も変更される。そして、全ての駆動モードにおいて、発光素子を同一に制御した場合には、得られる撮像画像内に露光ムラによる縞模様が発生してしまう場合がある。
そこで、当該撮像素子の駆動モードを変更した場合であっても、縞模様の発生を抑制し、観察に適した画像を生成することができる技術が要望されている。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、観察に適した画像を生成することができる医療用制御装置及び医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る医療用制御装置は、複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、供給される電流に応じて発光する発光素子を制御する調光制御部とを備え、前記調光制御部は、前記駆動モードに応じて、前記発光素子の制御を切り替える。
【0007】
また、本開示に係る医療用観察システムは、複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子を含む撮像装置と、供給される電流に応じて発光する発光素子を含む光源装置と、前記撮像装置及び前記光源装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、前記医療用制御装置は、前記撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、前記発光素子を制御する調光制御部とを備え、前記調光制御部は、前記駆動モードに応じて、前記発光素子の制御を切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る医療用制御装置及び医療用観察システムによれば、観察に適した画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、カメラヘッド及び制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の駆動モードでの調光制御を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の駆動モードでの調光制御を説明する図である。
【
図5】
図5は、第2の駆動モードでの調光制御を説明する図である。
【
図6】
図6は、第3の駆動モードでの調光制御を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る医療用観察システムの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の観察モードでの制御部(駆動モード切替部及び調光制御部)の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0011】
(実施の形態1)
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システム1の構成を示す図である。
医療用観察システム1は、医療分野において用いられ、被写体となる生体内(観察対象)を撮像(観察)するシステムである。この医療用観察システム1は、
図1に示すように、挿入部2と、光源装置3と、ライトガイド4と、カメラヘッド5と、第1の伝送ケーブル6と、表示装置7と、第2の伝送ケーブル8と、制御装置9と、第3の伝送ケーブル10とを備える。
【0012】
本実施の形態1では、挿入部2は、硬性内視鏡で構成されている。すなわち、挿入部2は、全体が硬質、または一部が軟質で他の部分が硬質である細長形状を有し、生体内に挿入される。この挿入部2内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体からの光を集光する光学系が設けられている。
【0013】
光源装置3は、ライトガイド4の一端が接続され、制御装置9による制御の下、当該ライトガイド4の一端に生体内に照射する光を供給する。この光源装置3は、
図1に示すように、第1の光源31を備える。
第1の光源31は、本開示に係る発光素子及び第1の発光素子に相当する。この第1の光源31は、供給される電流に応じて、可視の波長帯域(第1の波長帯域)である通常光を出射(発光)する。本実施の形態1では、第1の光源31は、白色光を発光するLED(Light Emitting Diode)で構成されている。
なお、本実施の形態1では、光源装置3は、制御装置9とは別体で構成されているが、これに限らず、当該制御装置9内部に設けられた構成を採用しても構わない。
【0014】
ライトガイド4は、一端が光源装置3に着脱自在に接続されるとともに、他端が挿入部2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド4は、光源装置3から供給された光(通常光)を一端から他端に伝達し、挿入部2に供給する。生体内に照射され、当該生体内を介した通常光(当該生体内で反射された通常光)は、挿入部2内の光学系により集光される。
【0015】
カメラヘッド5は、本開示に係る撮像装置に相当する。このカメラヘッド5は、挿入部2の基端(接眼部21(
図1))に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド5は、制御装置9による制御の下、挿入部2にて集光された光を撮像して撮像画像を生成する。
なお、カメラヘッド5の詳細な構成については、後述する「カメラヘッドの構成」において説明する。
【0016】
第1の伝送ケーブル6は、一端がコネクタCN1(
図1)を介して制御装置9に着脱自在に接続され、他端がコネクタCN2(
図1)を介してカメラヘッド5に着脱自在に接続される。そして、第1の伝送ケーブル6は、カメラヘッド5から出力される撮像画像等を制御装置9に伝送するとともに、制御装置9から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力等をカメラヘッド5にそれぞれ伝送する。
なお、第1の伝送ケーブル6を介したカメラヘッド5から制御装置9への撮像画像等の伝送は、当該撮像画像等を光信号で伝送してもよく、あるいは、電気信号で伝送しても構わない。第1の伝送ケーブル6を介した制御装置9からカメラヘッド5への制御信号、同期信号、クロックの伝送も同様である。
【0017】
表示装置7は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイで構成され、制御装置9による制御の下、当該制御装置9からの映像信号に基づく画像を表示する。
第2の伝送ケーブル8は、一端が表示装置7に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第2の伝送ケーブル8は、制御装置9にて処理された映像信号を表示装置7に伝送する。
【0018】
制御装置9は、本開示に係る医療用制御装置に相当する。この制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成され、光源装置3、カメラヘッド5、及び表示装置7の動作を統括的に制御する。
なお、制御装置9の詳細な構成については、後述する「制御装置の構成」において説明する。
第3の伝送ケーブル10は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第3の伝送ケーブル10は、制御装置9からの制御信号を光源装置3に伝送する。
【0019】
〔カメラヘッドの構成〕
次に、カメラヘッド5の構成について説明する。
図2は、カメラヘッド5及び制御装置9の構成を示すブロック図である。
カメラヘッド5は、
図2に示すように、レンズユニット51と、撮像部52と、通信部53とを備える。
レンズユニット51は、1または複数のレンズを用いて構成され、挿入部2にて集光された光(通常光)を撮像部52(撮像素子521)の撮像面に結像する。なお、以下では、説明の便宜上、レンズユニット51から撮像素子521に向かう通常光(白色光)を被写体像と記載する。
【0020】
撮像部52は、制御装置9による制御の下、生体内を撮像する。この撮像部52は、
図2に示すように、撮像素子521と、信号処理部522とを備える。
撮像素子521は、被写体像を受光して電気信号(アナログ信号)に変換する。本実施の形態1では、撮像素子521は、複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子であるCMOSで構成されている。
ここで、撮像素子521は、具体的な図示は省略したが、電気的に保証されない無効領域と、光学的黒領域(OB領域)と、レンズユニット51にて結像した被写体像を撮像信号に変換して出力する有効画素領域とで構成されている。
以下では、説明の便宜上、撮像素子521により被写体像(通常光)を撮像することで生成された撮像画像を通常光画像と記載する。
信号処理部522は、撮像素子521にて生成されたアナログ信号の通常光画像に対して信号処理を行ってデジタル信号の通常光画像を出力する。
【0021】
通信部53は、第1の伝送ケーブル6を介して、撮像部52から出力される通常光画像を制御装置9に送信するトランスミッタとして機能する。この通信部53は、例えば、第1の伝送ケーブル6を介して、制御装置9との間で、1Gbps以上の伝送レートで通常光画像の通信を行う高速シリアルインターフェースで構成されている。
【0022】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置9の構成について
図2を参照しながら説明する。
制御装置9は、
図2に示すように、通信部91と、メモリ92と、観察画像生成部93と、制御部94と、入力部95と、出力部96と、記憶部97とを備える。
通信部91は、第1の伝送ケーブル6を介して、カメラヘッド5(通信部53)から出力される通常光画像を受信するレシーバとして機能する。この通信部91は、例えば、通信部53との間で、1Gbps以上の伝送レートで通常光画像の通信を行う高速シリアルインターフェースで構成されている。
メモリ92は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されている。このメモリ92は、カメラヘッド5(通信部53)から順次、出力される通常光画像を複数フレーム分、一時的に記憶可能とする。
【0023】
観察画像生成部93は、制御部94による制御の下、カメラヘッド5(通信部53)から順次、出力され、通信部91にて受信した通常光画像を処理する。この観察画像生成部93は、
図2に示すように、メモリコントローラ931と、通常光画像処理部932と、表示制御部933とを備える。
【0024】
メモリコントローラ931は、メモリ92への通常光画像の書込み及び読出しを制御する。より具体的に、メモリコントローラ931は、カメラヘッド5(通信部53)から順次、出力され、通信部91にて受信した通常光画像をメモリ92に順次、書き込む。また、メモリコントローラ931は、メモリ92から通常光画像を特定のタイミングで読み出すとともに、当該読み出した通常光画像を通常光画像処理部932に入力させる。
【0025】
通常光画像処理部932は、入力した通常光画像に対して第1の画像処理を実行する。
当該第1の画像処理としては、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス調整処理、デモザイク処理、色補正マトリクス処理、ガンマ補正処理、RGB信号(通常光画像)を輝度色差信号(Y,Cb/Cr信号)に変換するYC処理等を例示することができる。
【0026】
表示制御部933は、制御部94による制御の下、通常光画像処理部932にて第1の画像処理が実行された後の通常光画像を表示するための映像信号を生成する。そして、表示制御部933は、第2の伝送ケーブル8を介して、当該映像信号を表示装置7に出力する。
【0027】
制御部94は、例えば、CPUやFPGA等を用いて構成され、第1~第3の伝送ケーブル6,8,10を介して制御信号を出力することで、光源装置3、カメラヘッド5、及び表示装置7の動作を制御するとともに、制御装置9全体の動作を制御する。この制御部94は、本開示に係る駆動モード切替部及び調光制御部としての機能を有する。なお、当該駆動モード切替部及び調光制御部の機能については、後述する「制御装置の動作」において説明する。
【0028】
入力部95は、マウス、キーボード、及びタッチパネル等の操作デバイスを用いて構成され、医師等のユーザによるユーザ操作を受け付ける。そして、入力部95は、当該ユーザ操作に応じた操作信号を制御部94に出力する。
出力部96は、スピーカやプリンタ等を用いて構成され、各種情報を出力する。
記憶部97は、制御部94が実行するプログラムや、制御部94の処理に必要な情報等を記憶する。
【0029】
〔制御装置の動作〕
次に、上述した制御装置9の動作について説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、制御部94における駆動モード切替部の機能と、制御部94における調光制御部の機能とを主に説明する。
制御部94は、撮像素子521を以下に示すように制御する。
具体的に、制御部94は、撮像素子521の1フィールド期間における露光を水平ライン毎に順次、開始させ、露光開始から所定の期間(所謂、シャッタ速度)が経過した水平ライン毎に順次、読み出しを行わせる所謂、ローリングシャッタ方式による露光制御を行う。
そして、制御部94(駆動モード切替部)は、上述した露光制御の制御パターン(駆動モード)を切り替える。本実施の形態1では、制御部94(駆動モード切替部)は、例えば、術者等のユーザによる入力部95へのユーザ操作に応じて、当該駆動モードを第1~第3の駆動モードのいずれかに切り替える。
なお、第1~第3の駆動モードの詳細については、後述する。
【0030】
また、制御部94(調光制御部)は、通常光画像における特定の領域(検波領域)の明るさ(輝度値の平均値等)に基づいて、当該通常光画像を基準となる明るさに調整する調光制御を実行する。本実施の形態1では、制御部94は、当該調光制御として、第1の光源31に供給する電流の供給時間(電流の印加パルス幅)を調整する第1の制御と、第1の光源31に供給する電流値を調整する第2の制御と、撮像素子521の電子シャッタを調整する第3の制御とを実行可能とする。そして、制御部94は、撮像素子521の駆動モードに応じて当該調光制御を切り替える。
以下、第1の駆動モードでの調光制御、第2の駆動モードでの調光制御、及び第3の駆動モードでの調光制御を順に説明する。
【0031】
〔第1の駆動モードでの調光制御〕
図3及び
図4は、第1の駆動モードでの調光制御を説明する図である。具体的に、
図3(a)及び
図4(a)は、撮像素子521の露光タイミングを示した図であって、縦軸で撮像素子521の水平ラインを示し(最上段が最も上の水平ライン(1ライン目の水平ライン)を示し、最下段が最も下の水平ライン(最終ライン)を示し)、横軸で時間を示している。そして、平行四辺形の領域は、1フィールドの通常光画像の生成に寄与する領域となる。
図3(b)及び
図4(b)は、調光制御を示した図であって、縦軸で第1の光源31に供給する電流値を示し、横軸で時間(第1の光源31に供給する電流の供給時間)を示している。なお、
図3(b)及び
図4(b)では、調光制御のうち、第3の制御(電子シャッタの調整)を斜線で表現している。また、調光制御にて通常光画像の明るさを明るくしていく場合を
図3に示し、調光制御にて通常光画像の明るさを暗くしていく場合を
図4に示している。
【0032】
第1の駆動モードは、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、撮像素子521の複数の画素に蓄積された電荷を読み出す読み出し期間TRが長く、全ライン露光期間が取れない駆動モードである。ここで、全ライン露光期間は、撮像素子521における有効画素領域の全ての水平ラインが同時に露光される期間である。
【0033】
そして、制御部94(調光制御部)は、撮像素子521の駆動モードが第1の駆動モードである場合には、以下に示す調光制御を実行する。
先ず、調光制御にて通常光画像の明るさを明るくしていく場合を想定する。
この場合には、制御部94(調光制御部)は、
図3(b)に示すように、1フィールド毎に、第1の光源31に供給する電流の供給時間を固定(当該供給時間:1フィールド)するとともに、撮像素子521の電子シャッタを固定(NTSC方式の場合:1/60[秒])しつつ、第2の制御にて第1の光源31に供給する電流値を増加させていくことで、通常光画像の明るさを明るくしていく。
【0034】
次に、調光制御にて通常光画像の明るさを暗くしていく場合を想定する。
この場合には、制御部94(調光制御部)は、
図4(b)に示すように、1フィールド毎に、第1の光源31に供給する電流の供給時間を固定(当該供給時間:1フィールド)するとともに、第1の光源31に供給する電流値を最小定格電流値Iminで固定しつつ、第3の制御にて電子シャッタを調整することで、通常光画像の明るさを暗くしていく。
なお、
図4(b)において、斜線で示す平行四辺形の領域は、電子シャッタによる電荷の掃き捨てを示す領域である。また、白抜きで示す平行四辺形の領域は、有効な露光期間を示す領域である。
以上のように、制御部94(調光制御部)は、撮像素子521の駆動モードが第1の駆動モードである場合には、調光制御として、第1~第3の制御のうち、第2,第3の制御のみを実行する。
【0035】
〔第2の駆動モードでの調光制御〕
図5は、第2の駆動モードでの調光制御を説明する図である。具体的に、
図5は、
図3及び
図4に対応した図である。
ここで、
図5(a)に一点鎖線で示すように、読み出し期間が長く、全ライン露光期間が取れない場合を想定する。
第2の駆動モードは、複数(
図5(a)の例では2つ)のフィールドを擬似的に1つのフィールドとする長期間露光または長秒露光と呼ばれる駆動モードである。すなわち、撮像素子521の駆動モードが
図5(a)に一点鎖線で示した駆動モードから第2の駆動モードに切り替えられると、
図5(a)に実線で示すように、擬似的に纏めた1つのフィールド毎に、全ライン露光期間TEが擬似的に生成される。
【0036】
そして、制御部94(調光制御部)は、撮像素子521の駆動モードが第2の駆動モードである場合には、以下に示す調光制御を実行する。
制御部94(調光制御部)は、
図5(b)に示すように、擬似的に纏めた1つのフィールド毎に、撮像素子521の電子シャッタを固定しつつ、第2の駆動モードによって擬似的に生成される全ライン露光期間TE全体について第1の光源31に供給する電流値を最大定格電流値Imaxとする。そして、制御部94(調光制御部)は、擬似的に纏めた1つのフィールド毎に、第2の駆動モードによって擬似的に生成される読み出し期間TRにおいて、第1の制御にて第1の光源31に供給する電流の供給時間を調整することで、通常光画像の明るさを調整する。
ここで、全ライン露光期間TEにおける第1の光源31の発光量(第1の光源31に供給する電流値×電流の供給時間)は、読み出し期間TRにおける第1の光源31の発光量よりも高い。
以上のように、制御部94(調光制御部)は、撮像素子521の駆動モードが第2の駆動モードである場合には、調光制御として、第1~第3の制御のうち、第1,第2の制御のみを実行する。
【0037】
〔第3の駆動モードでの調光制御〕
図6は、第3の駆動モードでの調光制御を説明する図である。具体的に、
図6は、
図3ないし
図5に対応した図である。なお、
図6(a)において、
ここで、
図6(a)に一点鎖線で示すように、読み出し期間が長く、全ライン露光期間が取れない場合を想定する。
第3の駆動モードは、ビニングを含む駆動モードである。当該ビニングは、隣接する画素を加算するものに限らず、一部の画素を間引きしつつ読み出すものも含む。すなわち、撮像素子521の駆動モードが
図6(a)に一点鎖線で示した駆動モードから第3の駆動モードに切り替えられると、
図6(a)に実線で示すように、読み出しのスピードを速めることができ、1フィールド毎に、全ライン露光期間TEが擬似的に生成される。
【0038】
そして、制御部94(調光制御部)は、撮像素子521の駆動モードが第3の駆動モードである場合には、以下に示す調光制御を実行する。
制御部94(調光制御部)は、
図6(b)に示すように、1つのフィールド毎に、撮像素子521の電子シャッタを固定しつつ、第3の駆動モードによって擬似的に生成される全ライン露光期間TE全体について第1の光源31に供給する電流値を最大定格電流値Imaxとする。そして、制御部94(調光制御部)は、1つのフィールド毎に、第3の駆動モードによって擬似的に生成される読み出し期間TRにおいて、第1の制御にて第1の光源31に供給する電流の供給時間を調整することで、通常光画像の明るさを調整する。
ここで、全ライン露光期間TEにおける第1の光源31の発光量(第1の光源31に供給する電流値×電流の供給時間)は、読み出し期間TRにおける第1の光源31の発光量よりも高い。
以上のように、制御部94(調光制御部)は、撮像素子521の駆動モードが第3の駆動モードである場合には、調光制御として、第1~第3の制御のうち、第1,第2の制御のみを実行する。
【0039】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る制御装置9は、撮像素子521の駆動モードに応じて第1~第3の制御(調光制御)を切り替える。
具体的に、制御装置9は、撮像素子521の駆動モードが第1の駆動モードである場合には、調光制御として、第1~第3の制御のうち、第2,第3の制御のみを実行する。
ここで、通常光画像の明るさを明るくしていく場合には、第2の制御を実行する。すなわち、通常光画像内での上方の位置と下方の位置との輝度差は、隣接するフィールド間の発光量(第1の光源31に供給する電流値×電流の供給時間)の増加分に応じて大きくなる。言い換えれば、隣接するフィールド間の発光量の増加分を小さくすることによって、通常光画像内での輝度差を抑制することができる。また、通常光画像の明るさを暗くしていく場合には、第1の光源31の発光量を固定しつつ、撮像素子521の電子シャッタを調整する。すなわち、電子シャッタにて撮像素子521の全てのラインが同じ時間の電荷を掃き捨てるため、通常光画像内での輝度差は生じない。
【0040】
また、制御装置9は、撮像素子521の駆動モードが第2,第3の駆動モードである場合には、調光制御として、第1~第3の制御のうち、第1,第2の制御のみを実行する。
ここで、制御装置9は、擬似的に生成される全ライン露光期間TE全体について第1の光源31に供給する電流値を最大定格電流値Imaxとし、擬似的に生成される読み出し期間TRにおいて第1の制御を実行する。すなわち、全ライン露光期間TEで第1の光源31をフル発光させることによって、読み出し期間TRにおける第1の制御による通常光画像内の輝度差を目立たなくすることができる。
以上のことから、撮像素子521の駆動モードを変更した場合であっても、通常光画像内の輝度差を抑制し、観察に適した通常光画像を生成することができる。
【0041】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、実施の形態2に係る医療用観察システム1Aの構成を示す図である。
本実施の形態2に係る医療用観察システム1Aでは、第1の観察モードと第2の観察モードとを実行可能とする。
第1の観察モードは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同様に、通常光が照射された生体内を撮像素子521にて撮像して通常光画像(第1の撮像画像)を得る観察モードである。
第2の観察モードは、通常光画像を得るとともに、通常光とは異なる波長帯域である第2の波長帯域の光が照射された生体内を撮像素子521にて撮像して第2の撮像画像(以下、蛍光画像と記載)を得る観察モードである。
【0042】
そして、医療用観察システム1Aでは、
図7に示すように、上述した実施の形態1で説明した医療用観察システム1に対して、光源装置3、カメラヘッド5、及び制御装置9の構成が変更されている。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係る光源装置3、カメラヘッド5、及び制御装置9を光源装置3A、カメラヘッド5A、及び制御装置9Aと記載する。
【0043】
光源装置3Aでは、
図7に示すように、上述した実施の形態1で説明した光源装置3に対して、第2の光源32が追加されている。
第2の光源32は、本開示に係る発光素子及び第2の発光素子に相当する。この第2の光源32は、第2の波長帯域である近赤外の波長帯域(例えば750nm~800nm程度の波長帯域)の近赤外励起光を発光する半導体レーザまたはLEDで構成されている。当該近赤外励起光は、インドシアニングリーン等の蛍光物質を励起する励起光である。また、当該インドシアニングリーン等の蛍光物質は、当該近赤外励起光で励起すると、当該近赤外励起光の波長帯域の中心波長よりも長波長側に中心波長を有する可視域以外の波長帯域(例えば830nm近辺の波長帯域)の蛍光を発光する。なお、近赤外励起光の波長帯域と蛍光の波長帯域とは、一部が重なり合うように設定してもよく、あるいは、全く重なり合わないように設定しても構わない。
【0044】
そして、本実施の形態2に係る光源装置3Aでは、第1の観察モードにおいて、制御装置9Aによる制御の下、上述した実施の形態1において
図3ないし
図6に示したように、第1の光源31のみが駆動する。
また、本実施の形態2に係る光源装置3Aでは、第2の観察モードにおいて、制御装置9Aによる制御の下、交互に繰り返される第1,第2の期間のうち、第1の期間において、第1の光源31が駆動する。すなわち、第1の期間では、光源装置3は、通常光(白色光)を発光する。また、光源装置3Aでは、制御装置9Aによる制御の下、第2の期間において、第2の光源32が駆動する。すなわち、第2の期間では、光源装置3Aは、近赤外励起光を発光する。そして、ライトガイド4及び挿入部2を介して生体内に近赤外励起光が照射された場合には、当該生体内を介した近赤外励起光(当該生体内で反射された近赤外励起光)と、当該生体内における病変部に集積するインドシアニングリーン等の蛍光物質が当該近赤外励起光によって励起され、当該蛍光物質から発せられた蛍光とが挿入部2内の光学系により集光される。
【0045】
カメラヘッド5Aでは、
図7に示すように、上述した実施の形態1で説明したカメラヘッド5に対して、撮像部52に励起光カットフィルタ523が追加されている。
励起光カットフィルタ523は、レンズユニット51と撮像素子521との間に設けられ、特定の波長帯域を除去するバンドストップフィルタで構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、励起光カットフィルタ523にてカット(除去)する波長帯域をカット帯域と記載し、当該カット帯域よりも短波長側であって当該励起光カットフィルタ523を透過する波長帯域を短波側透過領域と記載し、当該カット帯域よりも長波長側であって当該励起光カットフィルタ523を透過する波長帯域を長波側透過領域と記載する。
ここで、カット帯域は、近赤外励起光の波長帯域の少なくとも一部を含む。本実施の形態1では、カット帯域は、近赤外励起光の波長帯域の全てを含む。また、長波側透過帯域は、蛍光の波長帯域を含む。さらに、短波側透過領域は、通常光(白色光)の波長帯域を含む。
【0046】
すなわち、励起光カットフィルタ523は、レンズユニット51から撮像素子521に向かう被写体像(通常光)を透過させる。一方、励起光カットフィルタ523は、レンズユニット51から撮像素子521に向かう近赤外励起光及び蛍光については、近赤外励起光を除去し、蛍光を透過させる。なお、以下では、説明の便宜上、励起光カットフィルタ523を透過し、撮像素子521に向かう蛍光を蛍光像と記載する。
そして、撮像素子521は、被写体像を撮像することで通常光画像を生成し、蛍光像を撮像することで蛍光画像を生成する。
【0047】
制御装置9Aでは、
図7に示すように、上述した実施の形態1で説明した制御装置9Aに対して、観察画像生成部93に蛍光画像処理部934と、重畳画像生成部935とが追加されている。
ここで、メモリコントローラ931は、第1の観察モードにおいて、上述した実施の形態1で説明した動作と同様に動作する。
また、メモリコントローラ931は、第2の観察モードにおいて、以下のように動作する。
メモリコントローラ931は、カメラヘッド5A(通信部53)から順次、出力され、通信部91にて受信した撮像画像(通常光画像及び蛍光画像)をメモリ92に順次、書き込む。また、メモリコントローラ931は、メモリ92から通常光画像を特定のタイミングで読み出すとともに、当該読み出した通常光画像を通常光画像処理部932に入力させる。さらに、メモリコントローラ931は、メモリ92から蛍光画像を特定のタイミングで読み出すとともに、当該読み出した蛍光画像を蛍光画像処理部934に入力させる。
【0048】
蛍光画像処理部934は、第2の観察モードにおいて、入力した蛍光画像に対して、通常光画像処理部932が実行する第1の画像処理とは異なる第2の画像処理を実行する。
当該第2の画像処理としては、当該第1の画像処理と同様に、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス調整処理、デモザイク処理、色補正マトリクス処理、ガンマ補正処理、RGB信号(蛍光画像)を輝度色差信号(Y,Cb/Cr信号)に変換するYC処理等を例示することができる。
【0049】
重畳画像生成部935は、第2の観察モードにおいて、通常光画像処理部932にて第1の画像処理が実行された後の通常光画像に、蛍光画像処理部934にて第2の画像処理が実行された後の蛍光画像を重畳して重畳画像を生成する重畳処理を実行する。
ここで、当該重畳処理としては、以下に示す第1,第2の重畳処理を例示することができる。なお、以下では、蛍光画像において、輝度値が特定の閾値以上となる画素で構成される領域を蛍光領域と記載する。
第1の重畳処理は、通常光画像において、蛍光領域と同一の画素位置となる領域を蛍光画像における蛍光領域の画像に置き換える処理である。
第2の重畳処理は、蛍光画像の蛍光領域における各画素位置の輝度値に応じて、通常光画像における蛍光領域と同一の画素位置となる領域の各画素に付す蛍光を示す色の明るさを変更する処理(所謂、アルファブレンド処理)である。
【0050】
そして、表示制御部933は、第1の観察モードにおいて、上述した実施の形態1で説明したように、通常光画像処理部932にて第1の画像処理が実行された後の通常光画像を表示するための映像信号を生成する。
また、表示制御部933は、第2の観察モードにおいて、重畳画像生成部935にて生成された重畳画像を表示するための映像信号を生成する。
【0051】
また、本実施の形態2に係る制御部94は、本開示に係る駆動モード切替部及び調光制御部としての機能の他、観察モード切替部としての機能も有する。
【0052】
次に、上述した制御装置9Aの動作について説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、制御部94における駆動モード切替部の機能と、制御部94における調光制御部の機能と、制御部94における観察モード切替部の機能とを主に説明する。
制御部94(観察モード切替部)は、例えば、術者等のユーザによる入力部95へのユーザ操作に応じて、観察モードを第1,第2の観察モードのいずれかに切り替える。
第1の観察モードでは、制御部94(駆動モード切替部及び調光制御部)は、上述した実施の形態1において「第1の駆動モードでの調光制御」、「第2の駆動モードでの調光制御」、及び「第3の駆動モードでの調光制御」で説明した動作と同様に動作する。このため、以下では、第2の観察モードでの制御部94(駆動モード切替部及び調光制御部)の機能のみを説明する。
【0053】
図8は、第2の観察モードでの制御部94(駆動モード切替部及び調光制御部)の機能を説明する図である。具体的に、
図8は、
図3ないし
図6に対応した図である。ここで、
図8(a)に示した一点鎖線は、切り替えられる前の駆動モードを示している。また、
図8(b)に示した実線は、切り替えられた後の駆動モード(第2の駆動モード)を示している。
ここで、
図8(a)に一点鎖線で示すように、読み出し期間が長く、全ライン露光期間TE0が短い場合を想定する。
この場合において、制御部94(駆動モード切替部)は、観察モードが第2の観察モードに切り替えられると、撮像素子521の駆動モードを第2の駆動モードに切り替える。そして、撮像素子521の駆動モードが
図8(a)に一点鎖線で示した駆動モードから第2の駆動モードに切り替えられると、
図8(a)に実線で示すように、擬似的に纏めた1つのフィールド毎に、全ライン露光期間TE0よりも長くなった全ライン露光期間TE1が擬似的に生成される。
【0054】
この後、制御部94(調光制御部)は、
図8(b)に示すように、擬似的に纏めた1つのフィールド毎に、第1の光源31の発光と第2の光源32の発光とを交互に繰り返す。なお、
図8(a)では、擬似的に1つに纏められた各フィールドのうち、通常光画像の生成に寄与する実線の平行四辺形の領域をWLI(White Light Imaging)フィールドと記載し、蛍光画像の生成に寄与する実線の平行四辺形の領域をIR(Infra-Red)フィールドと記載している。また、
図8(b)では、通常光の発光をWLIと記載し、励起光の発光をIRと記載している。
【0055】
具体的に、制御部94(調光制御部)は、交互に繰り返されるWLIフィールド及びIRフィールドのうちWLIフィールドにおいて、第2の駆動モードによって擬似的に生成される全ライン露光期間TE11内の第1の期間TE11´全体で第1の光源31を発光させる。なお、
図8(b)では、電流の供給時間を最大とし、電流値を最大定格電流値Imaxとした場合を例示している。このため、第1の期間TE11´は、全ライン露光期間TE11と同一の期間となっている。
一方、制御部94(調光制御部)は、交互に繰り返されるWLIフィールド及びIRフィールドのうちIRフィールドにおいて、第2の駆動モードによって擬似的に生成される全ライン露光期間TE12内の第2の期間TE12´全体で第2の光源32を発光させる。なお、
図8(b)では、電流の供給時間を最大とし、電流値を最大定格電流値Imaxとした場合を例示している。このため、第2の期間TE12´は、全ライン露光期間TE12と同一の期間となっている。
【0056】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態2に係る制御装置9Aは、観察モードが第2の観察モードである場合には、撮像素子521の駆動モードを第2の駆動モードに切り替える。また、制御装置9Aは、第2の駆動モードによって擬似的に生成される全ライン露光期間TE毎に、第1,第2の光源31,32をそれぞれ発光させる。
すなわち、全ライン露光期間TE0毎に第1,第2の光源31,32をそれぞれ発光させる構成では通常光画像及び蛍光画像の明るさが不十分となるところ、当該全ライン露光期間TE0よりも長い全ライン露光期間TE1を擬似的に生成し、当該全ライン露光期間TE1毎に第1,第2の光源31,32をそれぞれ発光させることで、通常光画像及び蛍光画像の明るさを十分に確保することができる。このため、観察に適した画像を生成することができる。
【0057】
(その他の実施の形態)
ここまで、本開示を実施するための形態を説明してきたが、本開示は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1,2では、本開示に係る調光制御部の機能として、撮像素子521の電子シャッタを調整する機能を含めていたが、これに限らず、第1の光源31(第2の光源32)のみを制御する機能としても構わない。
上述した実施の形態1,2では、撮像素子521の駆動モードの数を3つとしていたが、これに限らず、2つのみとしてもよく、あるいは、4つ以上としても構わない。
【0058】
上述した実施の形態1,2では、挿入部2を硬性内視鏡で構成した医療用観察システム1に本開示に係る光源制御装置を搭載していたが、これに限らない。例えば、挿入部2を軟性内視鏡で構成した医療用観察システムに本開示に係る光源制御装置を搭載しても構わない。また、被写体内(生体内)や被写体表面(生体表面)の所定の視野領域を拡大して観察する手術用顕微鏡(例えば、特開2016-42981号公報参照)等の医療用観察システムに本開示に係る光源制御装置を搭載しても構わない。
上述した実施の形態1,2において、カメラヘッド5の一部の構成や制御装置9の一部の構成を例えばコネクタCN1やコネクタCN2に設けても構わない。
【0059】
ところで、従来、癌細胞を検出する癌診断法の一つである光線力学診断(Photo Dynamic Diagnosis:PDD)が知られている。
当該光線力学診断では、例えば5-アミノレブリン酸(以下、5-ALAと記載)等の光感受性物質が用いられる。当該5-ALAは、元来、動植物の生体内に含まれる天然アミノ酸である。この5-ALAは、体内投与後に細胞内に取り込まれ、ミトコンドリア内でプロトポルフィリンに生合成される。そして、癌細胞では、当該プロトポルフィリンが過剰に集積する。また、当該癌細胞に過剰集積するプロトポルフィリンは、光活性を有する。このため、当該プロトポルフィリンは、励起光(例えば375nm~445nmの波長帯域の青色可視光)で励起すると、蛍光(例えば600nm~740nmの波長帯域の赤色蛍光)を発光する。このように、光感受性物質を用いて癌細胞を蛍光発光させる癌診断法を光線力学診断という。
そして、上述した実施の形態2において、白色光を発光するLEDで第1の光源31を構成し、プロトポルフィリンを励起する励起光(例えば375nm~445nmの波長帯域の青色可視光)を発光する半導体レーザで第2の光源32を構成しても構わない。このように構成した場合であっても、上述した実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0060】
上述した実施の形態2では、第2の観察モードにおいて、第1,第2の期間が交互に繰り返すように設定されていたが、これに限らず、第1,第2の期間の少なくともいずれかが連続し、第1,第2の期間の頻度の比率が1:1以外の比率となるように構成しても構わない。
【0061】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、供給される電流に応じて発光する発光素子を制御する調光制御部とを備え、前記調光制御部は、前記駆動モードに応じて、前記発光素子の制御を切り替える。
(2)前記調光制御部は、前記発光素子に供給する電流の供給時間を調整する第1の制御と、前記発光素子に供給する電流値を調整する第2の制御と、前記撮像素子の電子シャッタを調整する第3の制御とを含む調光制御を実行可能とし、前記駆動モードに応じて前記調光制御を切り替える前記(1)に記載の医療用制御装置。
(3)前記調光制御部は、前記駆動モードが前記撮像素子における有効画素領域の全ての水平ラインが同時に露光される全ライン露光期間がない第1の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第2の制御及び前記第3の制御のみを実行する前記(2)に記載の医療用制御装置。
(4)前記調光制御部は、前記駆動モードが複数のフィールドを擬似的に1つのフィールドとする長時間露光の第2の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第1の制御及び前記第2の制御のみを実行する前記(2)または(3)に記載の医療用制御装置。
(5)前記調光制御部は、前記駆動モードが前記第2の駆動モードである場合には、前記第2の駆動モードによって擬似的に生成される期間であって、前記撮像素子における有効画素領域の全てのラインが同時に露光される全ライン露光期間における前記発光素子の発光量を他の期間よりも高くする前記(4)に記載の医療用制御装置。
(6)前記調光制御部は、前記駆動モードがビニングを含む第3の駆動モードである場合には、前記第1の制御、前記第2の制御、及び前記第3の制御のうち、前記第1の制御及び前記第2の制御のみを実行する前記(2)~(5)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(7)前記調光制御部は、前記駆動モードが前記第3の駆動モードである場合には、前記第3の駆動モードによって擬似的に生成される期間であって、前記撮像素子における有効画素領域の全てのラインが同時に露光される全ライン露光期間における前記発光素子の発光量を他の期間よりも高くする前記(6)に記載の医療用制御装置。
(8)前記発光素子は、第1の波長帯域の光を発光する第1の発光素子と、前記第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域の光を発光する第2の発光素子とを備え、前記医療用制御装置は、観察モードを第1の観察モードまたは第2の観察モードに切り替える観察モード切替部をさらに備え、前記第1の観察モードは、前記第1の波長帯域の光が照射された観察対象を前記撮像素子にて撮像して第1の撮像画像を得る観察モードであり、前記第2の観察モードは、前記第1の撮像画像を得るとともに、前記第2の波長帯域の光が照射された前記観察対象を前記撮像素子にて撮像して第2の撮像画像を得る観察モードであり、前記駆動モード切替部は、前記観察モードが前記第2の観察モードである場合には、前記駆動モードを、複数のフィールドを擬似的に1つのフィールドとする長時間露光の第2の駆動モードに切り替え、前記調光制御部は、前記駆動モードが前記第2の駆動モードである場合には、前記第2の駆動モードによって擬似的に生成される期間であって、前記撮像素子における有効画素領域の全てのラインが同時に露光される全ライン露光期間毎に、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子をそれぞれ発光させる前記(1)~(7)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(9)複数の画素が水平ライン単位で2次元状に配列されたローリングシャッタ方式の撮像素子を含む撮像装置と、供給される電流に応じて発光する発光素子を含む光源装置と、前記撮像装置及び前記光源装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、前記医療用制御装置は、前記撮像素子の駆動モードを切り替える駆動モード切替部と、前記発光素子を制御する調光制御部とを備え、前記調光制御部は、前記駆動モードに応じて、前記発光素子の制御を切り替える医療用観察システム。
【符号の説明】
【0062】
1,1A 医療用観察システム
2 挿入部
3,3A 光源装置
4 ライトガイド
5,5A カメラヘッド
6 第1の伝送ケーブル
7 表示装置
8 第2の伝送ケーブル
9,9A 制御装置
10 第3の伝送ケーブル
21 接眼部
31 第1の光源
32 第2の光源
51 レンズユニット
52 撮像部
53 通信部
91 通信部
92 メモリ
93 観察画像生成部
94 制御部
95 入力部
96 出力部
97 記憶部
521 撮像素子
522 信号処理部
523 励起光カットフィルタ
931 メモリコントローラ
932 通常光画像処理部
933 表示制御部
934 蛍光画像処理部
935 重畳画像生成部
CN1,CN2 コネクタ
TE0,TE1,TE11,TE12 全ライン露光期間
TE11´ 第1の期間
TE12´ 第2の期間
TR 読み出し期間