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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】廃棄物の封止フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20241224BHJP
   B32B 25/14 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241224BHJP
   C09J 109/06 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 107/00 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 125/10 20060101ALI20241224BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20241224BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20241224BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20241224BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20241224BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B32B25/14
C09J7/38
C09J109/06
C09J107/00
C09J11/06
C09J125/10
C09J153/02
B65F1/00 W
C08L53/02
C08L7/00
C08L91/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020202088
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089580
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395023071
【氏名又は名称】ユニ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】田中 潔
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/040002(WO,A1)
【文献】特開2016-186015(JP,A)
【文献】国際公開第2005/037684(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0283153(US,A1)
【文献】特開2004-010760(JP,A)
【文献】特開昭56-026968(JP,A)
【文献】特開2005-162933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00-201/10
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
B65F 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の一面に沿って粘着剤から形成された粘着層とを有し、一対の封止フィルムの間に臭気性廃棄物を挟み込んだ状態で、当該一対の封止フィルムの粘着層同士を粘着させることにより、前記臭気性廃棄物を封止する封止フィルムであって、
前記粘着層を構成する粘着剤の自着力が1.(N/10mm)以上であり、
前記自着力は、23℃50%RHの条件下、テープ(幅10mm)を試験片とし、前記試験片の粘着面を内側として、貼り合わせ長さが100mm以上になるようにして重ね、幅50mmの2kgローラーにより300mm/minの速度で1往復圧着し、30分放置する。その後、上記試験片をインストロン型引っ張り試験機に固定し、剥離速度20mm/minでT型剥離し、その時得られた剥離力(N/10mm)であり、
前記基材層の厚さが8~16μmであり、
前記粘着層の厚さが3~7μmであり、
前記粘着剤は、
タッキファイヤと、
エラストマーと、を含み、
前記エラストマーは、
スチレン-イソプレン-スチレン系合成ゴムと、
天然ゴムと、を含む、
ことを特徴とする、封止フィルム。
【請求項2】
前記エラストマーとタッキファイヤの配合比は、100:70~80である、
請求項に記載の封止フィルム。
【請求項3】
前記エラストマーは、
前記エラストマーの重量を100重量%とした場合に、
エラストマーにおける天然ゴムの配合比率が5~20%である、
請求項に記載の封止フィルム。
【請求項4】
前記合成ゴムのジブロック率は、26~78%である、
請求項に記載の封止フィルム。
【請求項5】
前記タッキファイヤは、
前記エラストマーの重量を100部とした場合に、
C5-C9系石油樹脂を30~40部と、
C5系石油樹脂を35部~45部と、を含む、
請求項1~4の何れか1項に記載の封止フィルム。
【請求項6】
前記基材層はPETフィルムからなる、
請求項1~の何れか1項に記載の封止フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の封止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、おむつなどの臭気性の廃棄物を廃棄する方法として、基材と、基材の表面に塗布された粘着層とを備えたフィルムを用い、粘着層同士を対向させた状態で間に廃棄物を挟み込み、粘着層同士を付着して廃棄物をフィルムにより挟み込んで封止する方法が知られている。また、このような廃棄物を封止するための装置として、一対のフィルムのロールからフィルムを繰り出し、フィルムの間に廃棄物が投下されると、フィルム同士を押圧する装置が開示されている(特に特許文献1の図7参照)。このような構成によれば、廃棄物からの臭気の漏れを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4195912号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されているような装置は、例えば、トイレなどに置かれて使用される。そして、トイレなどは定期的に巡回清掃が行われ、この際に新たなフィルムロールに交換される。しかしながら、巡回清掃の間に多数の廃棄物が廃棄されると、巡回清掃前にフィルムロールが終了してしまい、処理装置が使用することができなくなってしまう。このため、一対のフィルムロールにより、より多くの廃棄物を処理することができることが望まれるが、単にロールに巻かれるフィルムの長さを長くしてしまうと、フィルムロールの径が大きくなり、処理装置も大型化してしまう。また、単にフィルムロールに巻かれるフィルムの厚さを薄くしてしまうと、臭気がもれてしまうおそれがある。なお、このような処理装置は、公共の場所に限らず、家庭でも使用でき、家庭でも同様の問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、フィルムロールの径が大きくなることなく、臭気が漏れのない、より多くの廃棄物を処理することができる廃棄物の封止フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基材層と、基材層の一面に沿って粘着剤から形成された粘着層とを有し、一対の封止フィルムの間に臭気性廃棄物を挟み込んだ状態で、当該一対の封止フィルムの粘着層同士を粘着させることにより、臭気性廃棄物を封止する封止フィルムであって、粘着層を構成する粘着剤の自着力が1.8(N/10mm)以上である、ことを特徴とする。
【0007】
本発明において、好ましくは、基材層の厚さが8~16μmであり、粘着層の厚さが3~7μmである。
【0008】
本発明において、好ましくは、粘着剤は、タッキファイヤと、エラストマーと、を含み、エラストマーとタッキファイヤの配合比は、100:70~80である。
【0009】
本発明において、好ましくは、エラストマーは、エラストマーの重量を100重量%とした場合に、スチレン-イソプレン-スチレン系合成ゴムと、天然ゴムと、を含み、エラストマーにおける天然ゴムの配合比率が5~20%である。
【0010】
本発明において、好ましくは、合成ゴムのジブロック率は、26~78%である。
【0011】
本発明において、好ましくは、タッキファイヤは、エラストマーの重量を100部とした場合に、C5-C9系石油樹脂を30~40部と、C5系石油樹脂を35部~45部と、を含む。
【0012】
本発明において、好ましくは、基材層はPETフィルムからなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルムロールの径が大きくなることなく、臭気が漏れのない、より多くの廃棄物を処理することができる廃棄物の封止フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の封止フィルムが用いられる廃棄物処理装置を示す概略図である。
図2】本実施形態の封止フィルムの構成を示す拡大断面図である。
図3】臭気のもれを防止するために必要な自着力を検討するための方法を説明するための図である(その1)。
図4】臭気のもれを防止するために必要な自着力を検討するための方法を説明するための図である(その2)。
図5】自着力と、気泡が出た時のサンプルにかかった圧力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による封止フィルムについて図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0016】
<廃棄物処理装置>
まず、本実施形態の封止フィルムが用いられる廃棄物処理装置について説明する。図1は、本実施形態の封止フィルムが用いられる廃棄物処理装置を示す概略図である。廃棄物処理装置は、例えば、おむつや生理用ナプキンなど臭気性の廃棄物を、液漏れ及び臭気漏れのない状態に封止するためのものである。図1に示すように、廃棄物処理装置10は、一対の封止フィルムロール12と、一対のローラ14と、これらフィルムロール12及びローラ14を収容するハウジング16と、を備える。
【0017】
フィルムロール12は、本実施形態のフィルムが円筒状の芯に巻かれて形成されている。一対のフィルムロール12は、水平方向に間隔をあけて回転可能にハウジング16の上部に支持されている。一対のフィルムロール12からは、それぞれ封止フィルム1が巻きだされている。フィルムロール12は、それぞれから巻きだされた封止フィルムの粘着層が対向するように配置されている。
【0018】
ローラ14は、例えば、スポンジなどの柔軟性を有する円柱状のローラからなる。一対のローラ14は、図示しない回転装置により同期して回転される。これにより、フィルムロール12が巻き出される。一対のローラ14は、フィルムロール12の下方に配置されており、ローラ14の間にわずかに隙間がある状態で配置されている。一対のローラ14の間には、フィルムロール12から巻き出された封止フィルム1が巻き込まれるようになっている。
【0019】
廃棄物20を封止する際には、ローラ14の上方において、フィルムロール12から延びる封止フィルム1の間に廃棄物20を配置する。そして、廃棄物20が封止フィルム1の間に挟まれるように、一対のローラ14により封止フィルム1を巻き込む。これにより、一対の封止フィルム1の粘着層同士が付着し、封止フィルム1の間に廃棄物20が巻き込まれる。なお、ローラ14は、廃棄物20が間隔をあけて封止フィルム1に巻き込まれるように、回転が制御される。
【0020】
<封止フィルム>
次に、封止フィルムについて説明する。図2は、本実施形態の封止フィルムの構成を示す拡大断面図である。図2に示すように、封止フィルム1は、基材層2と、基材層2の一面に沿って形成された粘着層4と、基材層2の他面に沿って形成された剥離層6と、を有する。フィルムロール12は、粘着層4が半径方向内側に位置し、剥離層6が半径方向外側に位置し、剥離層6の外側面に粘着層4が接触するように巻かれて構成されている。封止フィルムの厚さは、3~40μmが好ましく、より好ましくは8~16μmである。なお、本実施形態では、粘着層4が基材層2の半径方向内側に設けられている場合を説明しているが、粘着層4を基材層2の半径方向外側に設けてもよい。
【0021】
<基材層>
基材層2は、特に限定されず、例えば、クラフト紙、クレープ紙、和紙等などの繊維状物質で形成された多孔性材料や、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂等で形成したプラスチックフィルムを上げることができる。
【0022】
上記多孔性材料を使用する場合、ガスバリヤ性、強度、剛性等の特性を調整するため含浸剤、背面処理剤、プラスチックフィルム積層によって処理したものを用いても良い。この多孔性材料の坪量や厚さは用途によって適宜に選択されるものであり特に限定されない。
プラスチックフィルムを使用する場合、ガスバリヤ性、強度、剛性等の特性を調整するため蒸着、樹脂コーティング、プラスチックフィルムの積層によって処理されたものを用いても良い。プラスチックフィルムの厚さは用途によって適宜に選択されるものであり特に限定されない。
【0023】
プラスチックフィルムは上記したものの他、生分解性や光分解性のプラスチックフィルムを使用すると環境面から好ましいものとすることができる。また、上記したプラスチックフィルム同士やプラスチックフィルムと多孔性材料を積層して使用することができる。
【0024】
これらプラスチックフィルムは粘着剤との密着性を向上させるために、片面または両面にコロナ処理やプラズマ処理、プライマー処理等の表面処理を施してもよい。さらにプラスチックフィルムに抗菌剤、防カビ剤、消臭剤等の表面処理を施したり、プラスチックフィルム中に含浸させてもよい。また、プラスチックフィルムに、プライバシー保護や識別目的で、フィルムに色素を付加したり不透明処理するなどして、隠蔽性のあるものや半透明なものにしても良い。
【0025】
本発明においては基材層のガスバリヤ性、強度、剛性等の優れたポリエステル系樹脂が好ましい。
基材層2の厚さは、6μm~25μmが好ましく、より好ましくは8μm~16μmである。
【0026】
<粘着層>
粘着層4は、後述する粘着剤が基材層2の一面に塗布されて形成されている。粘着層4は厚さが3μ~10μmであり、より好ましくは3μm~7μmである。これにより、封止フィルム1の厚さを薄くすることができ、封止フィルムロール12の径を変更することなく、従来に比べて長い封止フィルム1が巻きつけられた封止フィルムロール12を形成することができる。
【0027】
<封止フィルムの自着力>
ここで、発明者らが、封止フィルムの間におむつ等を封止し、臭気のもれを防止するために、粘着層4に必要な自着力を検討したので説明する。なお、本実施形態でいう自着力とは、以下の試験方法で得られた数値である。23℃50%RHの条件下、テープ(幅10mm)を試験片とし、試験片の粘着面を内側として、貼り合わせ長さが100mm以上になるようにして重ね、幅50mmの2kgローラーにより300mm/minの速度で1往復圧着し、30分放置する。その後、上記試験片をインストロン型引っ張り試験機に固定し、剥離速度20mm/minでT型剥離し、その時得られた剥離力(N/10mm)を測定した。
図3及び図4は、臭気のもれを防止するために必要な自着力を検討するための方法を説明するための図である。
【0028】
粘着層4に必要な自着力を検討するにあたり、まず、ラミネート装置(カルミック社製サニッコ)に自着力を測定した幅110mmの封止フィルム1をセットする。
【0029】
次に、30mm×30mm×30mmのスポンジ21を装置でラミネートする。これにより、封止フィルム1の粘着層同士が付着するとともに封止フィルム1の間にスポンジ21が挟み込まれた状態となる。
【0030】
次に、貼り合わされた幅110mmの封止フィルムを、スポンジが中心になるよう長さ110mmで切断する。これによりサンプル30が形成される。このようなサンプルを、粘着層の自着力の異なる封止フィルムで複数作成した。
【0031】
次に、各サンプル30を容器24内に充填された水25の中に入れ、サンプル30の上方から平板23で荷重Wをゆっくり加える。そして、水中で封止フィルムの合わせ部分から気泡つまり臭気が出た時の台秤26の値を測定する。
【0032】
その結果を、ラミネートされた封止フィルム1と平板23の接触面がフィルム幅Aの半分である一辺Bの領域であると仮定し、臭気が出た時のサンプル30にかかる圧力(Pa=N/m2)を算出する。
【0033】
封止フィルムの自着力と、気泡が出た時のサンプルにかかった圧力との関係は、表1及び図5に示す通りである。
【表1】
【0034】
図5に示すグラフの圧力Y(Pa)と、自着力X(N/10mm)との関係を示す回帰直線を求めると、Y=3424.2X-4055.7となる。
【0035】
ここで、使用後の紙おむつの重量は、大人用で約210gであり、乳児用で130gである。(例えば、福岡都市圏紙おむつリサイクルシステム検討委員会報告書-平成28年2月-(https://www.recycle-ken.or.jp/activite/document/01_honbun_all.pdf 2020年10月21日検索)の5頁参照)。
【0036】
使用後のおむつを大人用は330mm幅、乳幼児用は220mm幅の封止フィルムでラミネートして、その上に1つの使用済みおむつが重なった場合に下方の試料に加わる圧力は以下の通りである。
大人用210g×0.0098N/(330mm/2/1000)2=75.6Pa(N/m2
乳幼児用:130g×0.0098N/(220mm/2/1000)2=105.3Pa(N/m2
【0037】
加圧力の高い使用後の乳幼児用紙おむつをラミネートした資料の上に10枚の試料が垂直に重なったと仮定した場合、最下位の試料には105.3Pa×10枚=1053Paが加わる。この圧力値を上記算出した圧力Y(Pa)と、自着力X(N/10mm)との関係を示す回帰直線に圧力Y=1053(Pa)代入して自着力(X)を求めると、自着力X=1.5(N/10mm)となる。そして、安全率を10%、20%とすると、テープに要求される自着力は、それぞれ1.65(N/10mm)、1.8(N/10mm)となる。
【0038】
上記の検討を踏まえ、本実施形態の封止フィルム1は、粘着層4を構成する粘着剤の自着力が1.5(N/10mm)以上となっている。より好ましくは、自着力は安全率を10%とした1.65(N/10mm)以上であり、さらに好ましくは、自着力は安全率を20%にした1.8(N/10mm)以上である。このような自着力を有することにより、封止フィルムの間におむつ等を封止した状態で、臭気のもれを防止できる。
【0039】
<粘着剤>
上記の自着力及び厚さを有する粘着層を構成する粘着剤は、エラストマーと、タッキファイヤ(粘着付与樹脂)を含む。
エラストマーとタッキファイヤの配合比(重量比)は、望ましくは100:50~100である。また、エラストマーとタッキファイヤの配合比(重量比)は、より好ましくは100:70~80である。
【0040】
エラストマーには、例えば、SIS(スチレン-イソプレンブロック共重合体)などのスチレン-イソプレン-スチレン系合成ゴムと、天然ゴムを併用することが望ましい。望ましくは、エラストマーにおける天然ゴムの配合比率(重量比率)が0~30%であり、より好ましくは5~20%である。エラストマーとしては、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)などを含んでもよい。
【0041】
エラストマーの合成ゴムのジブロック率は26~78%が好ましく、さらにジブロック率の異なる2種類以上の合成ゴムを配合することがより望ましい。
【0042】
タッキファイヤとしては、C5系石油系樹脂、C5-C9系石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂の少なくとも1種類、または数種類を併用するとよい。好ましくは、タッキファイヤの重量を100部として、C5-C9系石油樹脂を30~40部、C5系石油樹脂を35部~45部含むのが好ましく、さらにC5-C9系石油樹脂やC5系石油樹脂を2種類以上配合することがより望ましい。
【0043】
<剥離層>
剥離層6はシリコーン系剥離剤、あるいはアルキルペンダント系、縮合ワックス系剥離剤などの非シリコーン系剥離剤からなる。
【0044】
<封止フィルムの製造方法>
粘着剤を構成する各成分をアジター式撹拌機(攪拌翼を持つ攪拌軸が1/4回転毎に反転する撹拌機)を有したタンク中で、エラストマー成分、タッキファイヤ成分が溶解可能な有機溶剤(トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)を用いて溶解撹拌させる。このようにして得られた粘着剤を基材に塗布し、乾燥させることで封止フィルムを得ることができる。
また、上記の剥離剤成分を、回転式撹拌機を有したタンクの中で有機溶剤(トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)を用いて溶解攪拌させる。このようにして得られた剥離剤を基材に塗布し乾燥及び硬化させることで剥離層を得ることができる。
【0045】
粘着剤の塗布方法は特に限定しないが、ナイフコーター、ロールコーター、リップコーター、ダイコーター、グラビアコーター、バーコーター、コンマ式コーター、キスリバースコーター等があげられる。
また、剥離剤の塗布方法は特に限定しないが、ナイフコーター、ダイコーター、グラビアコーター、バーコーター、カレンダーコーター等があげられる。
【0046】
本実施形態の封止フィルム1によれば、粘着層4を構成する粘着剤の自着力が1.8(N/10mm)以上である。これにより、粘着層4の厚さを薄くしても、確実におむつなどの廃棄物を封止することができ。臭気の漏れを防止できる。
【0047】
また、本実施形態の封止フィルム1によれば、基材層2の厚さが8~16μmであり、粘着層4の厚さが3~7μmである。これにより、従来に比べて、同一直径であっても長尺な封止フィルム1を巻き付けた封止フィルムロール12を形成することができ、廃棄物処理装置10に設置した際に、一対の封止フィルムロール12により、より多くの廃棄物を処理することができる。
【0048】
また、本実施形態の粘着層4に用いられる粘着剤によれば、粘着層4の厚さが薄くても十分な封止性能を得ることができる。
【実施例1】
【0049】
以下、本発明の実施例について説明する。
発明者らは、エラストマーの組成、タッキファイヤの組成、軟化剤の有無、及び粘着層の厚さを変更して比較例1~11及び実施例1~3を作成し、粘着力及び自着力を測定した。
【0050】
エラストマーとしては、日本ゼオン株式会社製のクインタック(登録商標)3421と、クインタック(登録商標)3433と、クインタック(登録商標)3520と、天然ゴムを、比較例1~11及び実施例1~3に対して、配合を変更して使用した。
【0051】
また、クレイトン(登録商標)G115(日本ゼオン株式会社製石油系樹脂(C5-C9系)、軟化点115℃)と、クレイトン(登録商標)N180(日本ゼオン株式会社製石油系樹脂(C5-C9系)、軟化点80℃)と、TレッツRC115(ENEOS株式会社製石油系樹脂(C5系)、軟化点115℃)と、スーパーエステルA115(荒川化学工業社製ロジンエステル系樹脂、軟化点115℃)と、YSレジンPX1150(ヤスハラケミカル社製ポリテルペン樹脂、軟化点15℃)、YSレジンPX800(ヤスハラケミカル社製ポリテルペン樹脂、軟化点80℃)とを、比較例1~11及び実施例1~3に対して、配合を変更して使用した。
【0052】
なお、比較例1~3では、天然ゴムの配合率とクインタック3520の配合率とを変更した。
また、比較例4~6では、合成ゴムとして、ジブロック率の異なる合成ゴムを使用した。
また、比較例7~11では、タッキファイヤとして用いる材料を変更した。
また、比較例1~3では、厚さを変更した。
【0053】
実施例1~3及び比較例1~11では、基材層として厚さ12μmのPETフィルムを用いた。そして、上記のように、粘着剤を構成する各成分をアジター式撹拌機(攪拌翼を持つ攪拌軸が1/4回転毎に反転する撹拌機)を有したタンク中で、エラストマー成分、タッキファイヤ成分を、有機溶剤を用いて溶解撹拌し、このようにして得られた粘着剤を基材に塗布し、乾燥させて粘着層を形成した。表2に比較例1~11及び実施例1~3のエラストマーの組成、タッキファイヤの組成、軟化剤の有無、及び粘着層の厚さを示す。
【0054】
【表2】
上記の比較例1~11及び実施例1~3の粘着力及び自着力を表3に示す。
【0055】
【表3】
このように、実施例1~3によれば、1.8(N/10mm)以上の自着力が得られることが確認された。
【符号の説明】
【0056】
1 :封止フィルム
2 :基材層
4 :粘着層
6 :剥離層
10 :廃棄物処理装置
12 :封止フィルムロール
14 :ローラ
16 :ハウジング
20 :廃棄物
21 :スポンジ
23 :平板
24 :容器
25 :水
26 :台秤
30 :サンプル
図1
図2
図3
図4
図5