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特許7609631ICチップ搭載装置、ICチップ搭載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ICチップ搭載装置、ICチップ搭載方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241224BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20241224BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
G06K19/077 136
G06K19/077 212
G06K19/077 280
H05K13/04 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020216376
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2021106265
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2019235377
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】前田 禎光
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-021167(JP,A)
【文献】特開2008-077599(JP,A)
【文献】特開2007-043086(JP,A)
【文献】特開2016-133982(JP,A)
【文献】特開2011-198136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
G06K 19/07
G06K 19/077
H05K 13/04
B42D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を所定の搬送面上で搬送する搬送部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に設けられた光硬化型の接着剤上にICチップを配置するICチップ配置部と、
ICチップが配置され、前記搬送部によって搬送されている前記アンテナ連続体の各アンテナ上の前記接着剤に、光線を照射する光線照射部と、
前記搬送面に対して直交する方向に動作し、前記接着剤上に配置されたICチップを押圧する押圧ユニットと、
を備え、
前記光線照射部は、前記接着剤上に配置されたICチップが前記押圧ユニットでアンテナ側に押圧された状態で前記光線の照射を行い、
前記押圧ユニットは、前記光線照射部から照射された前記光線が前記接着剤に照射されるように、前記接着剤上に配置されたICチップをアンテナ側に押圧した状態で前記光線を透過させる、
ICチップ搭載装置。
【請求項2】
前記光線照射部は、前記搬送面上において前記アンテナ連続体の搬送方向に沿って配置されている、
請求項1に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項3】
前記押圧ユニットは、前記アンテナ連続体上の前記ICチップよりも上方に配置されている、
請求項1又は2に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記アンテナ連続体を搬送する搬送状態と、前記アンテナ連続体の搬送を停止する停止状態と、を繰り返すように切替可能であり、
前記光線照射部は、前記停止状態のときに前記接着剤に前記光線を照射し、
前記押圧ユニットは、前記停止状態のときに前記接着剤上に配置されたICチップを押圧する、
請求項1~3のいずれか1項に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項5】
前記押圧ユニットを待機位置から前記搬送面上のアンテナに向けて送り出し、前記搬送面に沿って移動させつつ、所定の環状軌道を循環移動させる押圧ユニット移動機構を備えた、
請求項1~のいずれか一項に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項6】
複数の前記押圧ユニットを備え、
前記押圧ユニット移動機構は、複数の前記押圧ユニットの各々を前記待機位置から所定のタイミングで送り出す、
請求項に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項7】
前記押圧ユニットは、前記接着剤上に配置されたICチップを押圧し、かつ前記光線を透過させるガラス製の押圧面を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項8】
前記光線照射部は、前記押圧ユニットに内蔵されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載されたICチップ搭載装置。
【請求項9】
基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を所定
の搬送面上で搬送し、
ディスペンサによって前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に光硬化型の接着剤を吐出するとともに、吐出された接着剤上にICチップを配置し、
前記接着剤上に配置されたICチップをアンテナ側に押圧した状態で、前記アンテナ連続体の各アンテナ上の前記接着剤に光線を照射する、ICチップ搭載方法であって、
ICチップをアンテナ側に押圧することは、押圧ユニットを前記搬送面に対して直交する方向に昇降動作させることによって行い、
前記押圧ユニットは、前記光線が前記接着剤に照射されるように、前記接着剤上に配置されたICチップをアンテナ側に押圧した状態で前記光線を透過させる、
ICチップ搭載方法
【請求項10】
前記押圧ユニットは、前記アンテナ連続体上の前記ICチップよりも上方に配置されている、
請求項9に記載されたICチップ搭載方法。
【請求項11】
前記アンテナ連続体を搬送することは、前記アンテナ連続体を搬送する搬送状態と、前記アンテナ連続体の搬送を停止する停止状態と、を繰り返すことにより行われ、
前記停止状態のときに前記接着剤に前記光線を照射し、
前記押圧ユニットは、前記停止状態のときに前記接着剤上に配置されたICチップを押圧する、
請求項9または10に記載されたICチップ搭載方法。
【請求項12】
前記押圧ユニットを待機位置から前記搬送面上のアンテナに向けて送り出し、前記搬送面に沿って移動させつつ、所定の環状軌道を循環移動させる、
請求項9または10に記載されたICチップ搭載方法。
【請求項13】
複数の前記押圧ユニットの各々を前記待機位置から所定のタイミングで送り出す、
請求項12に記載されたICチップ搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ搭載装置、および、ICチップ搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグの普及に伴い、アンテナと当該アンテナに電気的に接続されるICチップとを有するシート状のインレイの生産が拡大している。インレイを製造するには、ベース基材上に形成されたアンテナにおいて、ICチップを搭載するための基準となるアンテナ上の所定の基準位置に対して接着剤を設けるとともにICチップを当該基準位置に配置し、次いで接着剤を硬化させてICチップを固定する。
例えば、特許文献1に記載された接着剤の硬化方法では、基板上に配置されている4つの部品に対して、4つの圧着ツールを押し付けながら光を照射して光硬化型の接着剤を硬化させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-206278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、接着剤を硬化させてICチップ等の部品を固定するときに被接着部品の搬送を止めて行っているため、生産性を向上させることが困難である。
そこで、本発明のある態様は、インレイの製造工程において生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を所定の搬送面上で搬送する搬送部と、前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に設けられた光硬化型の接着剤上にICチップを配置するICチップ配置部と、ICチップが配置され、前記搬送部によって搬送されている前記アンテナ連続体の各アンテナ上の前記接着剤に、光線を照射する光線照射部と、を備え、前記光線照射部は、前記接着剤上に配置されたICチップをアンテナ側に押圧した状態で前記光線の照射を行う、ICチップ搭載装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のある態様によれば、インレイの製造工程において生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のアンテナの平面図とそのICチップ搭載前後の部分拡大図である。
図2】アンテナシートと、アンテナシートを巻回したロール体とを示す図である。
図3】実施形態のICチップ搭載装置においてICチップ配置工程に対応する部分を示す図である。
図4】チップ包含テープとその拡大断面を示す図である。
図5】実施形態のICチップ搭載装置におけるロータリーマウンタの側面図である。
図6】ロータリーマウンタとアンテナシートとの関係を概略的に説明する図である。
図7】チップ包含テープが分離ローラによって分離される状態を示す斜視図である。
図8】チップ包含テープからノズルユニットにICチップが供給される動作を説明する図である。
図9】実施形態のICチップ搭載装置において硬化工程に対応する部分を示す図である。
図10図9の矢視Jから見た押圧ユニットの一部と紫外線照射器を示す図である。
図11】実施形態の硬化装置に含まれる押圧ユニットの正面図と側面図である。
図12】実施形態の硬化装置に含まれる押圧ユニット循環機構の平面図である。
図13図12のB-B断面およびC-C断面を示す図である。
図14】押圧ユニット循環機構において押圧ユニットの引張状態と押圧状態でのレールに対する位置関係を説明する図である。
図15】押圧ユニットの送り出し動作を説明する図である。
図16】硬化装置を制御する制御部の機能ブロック図である。
図17】一実施形態のアンテナシートの搬送方法を示す図である。
図18】一実施形態のICチップ配置工程を説明する図である。
図19】一実施形態の硬化工程を説明する図である。
図20図19における紫外線硬化ユニットの構成例を示す図である。
図21】一実施形態の硬化工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係るICチップ搭載装置およびICチップ搭載方法について、図面を参照して説明する。
実施形態に係るICチップ搭載装置1は、RFIDインレイ等の非接触通信用インレイを製造する際に、薄膜状のアンテナに対してICチップを搭載する装置である。
図1には、所定のアンテナパターンを有する例示的なアンテナANが示されるが、当該アンテナパターンに限定する意図ではない。図1にはまた、アンテナANにICチップCが搭載される前と搭載された後のE部の拡大図を示している。この例では、アンテナパターンを基準として予め決定されている所定の基準位置PrefにICチップCが搭載される。ICチップCは、例えば縦および横のサイズは数百μmと極めて小さく、この極小サイズのICチップCを正確に基準位置Prefに搭載することが求められる。
【0009】
アンテナANにICチップCを搭載するには、アンテナANの基準位置Prefに向けて接着剤を塗布し、当該接着剤上にICチップCを配置するICチップ配置工程と、接着剤を硬化させてアンテナANとICチップCの接続を強固にする硬化工程とが必要となる。
【0010】
後述するICチップ配置工程には、図2に示すように、複数のアンテナANが一定のピッチで基材BM上に形成された帯状のアンテナシートAS(アンテナ連続体の一例)を巻回したロール体PRが設置される。ロール体PRから継続的にアンテナシートASが引き出され、ICチップ配置工程のラインに投入される。
基材BMの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。
アンテナANは、例えば、基材BMに金属箔を貼り付ける、又は、基材BMに導電材料を所定のパターンでスクリーン印刷若しくは蒸着すること等により形成される。
【0011】
なお、以下の説明では、図2に示すように、XYZ座標系を定義する。以下の説明では、各工程に配置された状態の図について言及するときには、YZ平面で見た図を正面図、XY平面で見た図を平面図、XZ平面で見た図を側面図という。
X方向は、ロール体PRから引き出されたアンテナシートASが以下で説明される各工程において搬送される方向であり、適宜、搬送方向D1ともいう。また、Y方向は、アンテナシートASの幅方向であり、適宜、幅方向D2ともいう。Z方向は、アンテナシートASと直交する方向である。
【0012】
(1)ICチップ配置工程
以下、ICチップ配置工程について、図3図10を参照して説明する。図3は、実施形態のICチップ搭載装置1においてICチップ配置工程に対応する部分を示す図である。図4は、チップ包含テープCTの平面図とそのA-A断面の拡大図を示す。
ICチップ配置工程では、ICチップ搭載装置1により、アンテナシートAS上の各アンテナANの基準位置Pref(図1参照)に対して、極めて小さいICチップを精度良く配置することが可能である。
【0013】
図3に示すように、ICチップ配置工程においてICチップ搭載装置1は、コンベア81と、ディスペンサ2と、ロータリーマウンタ3と、紫外線照射器41と、撮像装置CA1~CA3と、テープフィーダ71と、テープ本体巻取りリール72と、フィルム巻取りリール73と、分離ローラ74と、を含む。
【0014】
コンベア81(搬送部の一例)は、ロール体PR(図2参照)から引き出されるアンテナシートASを、工程の下流に向けて所定の搬送速度で搬送する。コンベア81の上面が搬送面に相当する。
ディスペンサ2は、搬送される各アンテナANの基準位置Prefに向けて定量の異方性導電ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste);以下、単に「導電ペースト」という。)を吐出する。この導電ペーストは、紫外線硬化型の接着剤の一例である。ディスペンサ2は、各アンテナANの基準位置Prefに対して正確に吐出位置を位置決めするために、吐出位置を幅方向に調整可能に構成されている。
【0015】
撮像装置CA1は、ディスペンサ2よりも上流に設けられ、導電ペーストを塗布する位置を決定するために、各アンテナANの基準位置Prefの近傍の部分の画像を撮像する。撮像装置CA2は、ディスペンサ2よりも下流に設けられ、各アンテナANに対する導電ペーストの塗布の有無を検査するとともに、導電ペーストが正確に基準位置Prefを含む領域に塗布されたか否かを検査するために、各アンテナANの基準位置Prefの近傍の部分の画像を撮像する。
【0016】
ロータリーマウンタ3(ICチップ配置部の一例)は、各アンテナANに塗布された導電ペースト上にICチップを配置するチップマウンタであり、図3の反時計回りに回転する。ロータリーマウンタ3は懸架板86に取り付けられており、懸架板86が支持台85に固定される。つまり、ロータリーマウンタ3は、支持台85に上から懸架された構造となっている。
後述するように、ロータリーマウンタ3は、チップ包含テープからICチップを吸着し、アンテナシートAS上の各アンテナANの基準位置Prefに向けて、吸着したICチップを放出して配置(搭載)する。このとき、ICチップを正確にアンテナANの基準位置Prefに配置するために、吸着したICチップの位置および向きを補正する処理を行う。撮像装置CA3は、ICチップをアンテナANに搭載するに際してICチップの位置および向きを補正する補正処理のために、ノズル(後述する)に吸着された状態のICチップを撮像する。
【0017】
テープフィーダ71は、ICチップを包含するチップ包含テープが巻回された状態で装填され、図3の矢印の方向にロータリーマウンタ3と同期した速度で順次、チップ包含テープを引き出すように構成される。
ここで、図4を参照して、チップ包含テープの一例について説明する。
図4に示すように、チップ包含テープCTは、ICチップCを包含する凹みTdが一定の間隔で形成されたテープ本体Tと、凹みTdを塞ぐようにしてテープ本体Tに貼着されている被覆フィルムCFと、を含む。凹みTdは、例えば、テープ本体Tにエンボス加工を施すことにより形成される。チップ包含テープCTの延伸方向に沿ってICチップCが各凹みTd内に包含されている。チップ包含テープCTの延伸方向には、一定の間隔で取付孔Hが形成されている。この取付孔Hは、分離ローラ74の周面に対する正確な位置決めを行うために設けられており、チップ包含テープCTが分離ローラ74に搬送されるときに、分離ローラ74に設けられる突起74p(後述する)に挿入される。
【0018】
図4に示すように、凹みTdの底面とテープ本体Tの裏面(被覆フィルムCFが接着されている面とは反対側の面)の間には、吸着孔Tsが形成されている。吸着孔Tsは、被覆フィルムCFを剥離したときに凹みTdからICチップCが落下しないように、分離ローラ74によってICチップCを吸着するために設けられている。
【0019】
再度図3を参照すると、分離ローラ74において、テープフィーダ71から1又は複数の補助ローラを経て供給されるチップ包含テープCTから被覆フィルムCFが剥離され、テープ本体Tと被覆フィルムCFに分離される。被覆フィルムCFが剥離されて露出したICチップCは、ロータリーマウンタ3に設けられる各ノズルに順次吸着される。
分離ローラ74によってチップ包含テープCTがテープ本体Tと被覆フィルムCFに分離された後、テープ本体Tは、1又は複数の補助ローラを経てテープ本体巻取りリール72に巻き取られ、被覆フィルムCFは、1又は複数の補助ローラを経てフィルム巻取りリール73に巻き取られる。
【0020】
次に、図5図6を参照して、ロータリーマウンタ3について説明する。
図5は、実施形態のICチップ搭載装置1におけるロータリーマウンタ3の側面図である。図6Aは、ロータリーマウンタ3に搭載されるノズルユニットの平面図である。図6Bは、ノズルユニット30の側面図である。図6は、ロータリーマウンタ3とアンテナシートASとの関係を概略的に説明する図である。
【0021】
図5に示すように、ロータリーマウンタ3には、ロータリーヘッド3Hから放射状に複数(図示の例では12個)のノズルユニット30-1~30-12が配設される。以下の説明では、ノズルユニット30-1~30-12に対して共通する事項に言及するときには、総称してノズルユニット30と表記する。
ロータリーヘッド3Hについて詳細は図示しないが、図5の反時計回りにノズルユニット30-1~30-12を回転させる回転駆動モータと、ノズルユニット30にICチップを吸着させるための真空ポンプと、ノズルユニット30からICチップを放出するためのブロワと、に接続されている。
【0022】
図6を参照すると、図示しない回転駆動モータによってロータリーヘッド3Hが反時計回りに回転させられ、それによって各ノズルユニット30のロータリーヘッド3Hの周上における位置が順次切り替わる。つまり、特定のノズルユニット30は、ロータリーヘッド3Hの回転に応じて、搬送面に直交する平面上で環状軌道を動くように、位置PAから反時計回りに位置PLまでのロータリーヘッド3Hの周上の12個の位置PA~PLの各々に順に位置することになる。
【0023】
ここで、位置PAは、ノズルユニット30がチップ包含テープCTから新たにICチップCを吸着する位置である。位置PEは、ノズルユニット30のノズルに吸着された状態のICチップCの画像が撮像装置CA3によって撮像される位置である。
位置PKは、搬送されるアンテナシートAS上のアンテナANに塗布されている導電ペースト上に、吸着したICチップCを放出する位置である。位置PKでは、ノズル先端の移動方向がアンテナシートASの搬送方向D1と一致する。位置PKでは、ICチップCを放出するためにノズルユニット30のノズルから空気を排出する。
位置PLでは、ICチップCを位置PKで放出済みであるため、ノズルユニット30はICチップCを吸着していない。なお、位置PLでは、ノズルに付着しうるゴミを除去するためにノズルから空気を放出してもよい。図6には、ノズルから放出されうるゴミを収集するために位置PLにゴミ収集トレイTRが配置された例が示される。
【0024】
例えば、図6において位置PAにあるノズルユニット30-1は、そこでICチップCを新たに吸着し、ICチップCを吸着したまま反時計回りに回転して、位置PKに達するとICチップCを放出し、位置PAに戻ると再度新たなICチップCを吸着することを繰り返し行う。かかるICチップ搭載方法では、アンテナシートASの搬送を止めることなく連続的にICチップを各アンテナANに配置することができ、生産性が高い。
【0025】
順に位置PKに到達するノズルユニット30が、上流から搬送されるアンテナシートASの各アンテナANの基準位置Prefに向けてICチップCを放出するように、ロータリーヘッド3Hの角速度とアンテナシートASの搬送速度が設定され、又は制御される。確実なICチップCの配置のために、位置PKに近傍のノズルユニット30の先端の速度とアンテナシートASの搬送速度とが等速となる区間を設けることが好ましい。
【0026】
なお、本実施形態では、ロータリーヘッド3Hに12個のノズルユニット30が配設されている例が示されるが、その限りではない。ロータリーヘッド3Hに配設されるノズルユニット30の数は任意に設定可能である。
【0027】
次に、図7および図8を参照して、ICチップCがノズルユニット30によって吸着される動作について説明する。
図7は、チップ包含テープCTが分離ローラ74によって分離される状態を示す斜視図である。図8は、分離ローラ74の近傍の側面図であり、チップ包含テープCTからノズルユニット30にICチップCが供給される動作を説明する図である。図8では、チップ包含テープCTの状態がわかるように、チップ包含テープCTのみ断面で示してある。
【0028】
図7に示すように、テープフィーダ71から供給されるチップ包含テープCTの取付孔Hに分離ローラ74の突起74pが挿入されることで、チップ包含テープCTの幅方向の位置決めが行われた状態でチップ包含テープCTが搬送される。このとき、分岐部材75によってチップ包含テープCTの被覆フィルムCFが剥離されてフィルム巻取りリール73に向かう。他方、チップ包含テープCTのテープ本体Tは、テープ本体巻取りリール72に向かう。
【0029】
図8に示すように、被覆フィルムCFが剥離されて露出したICチップCは、直ちにノズルユニット30によって吸着される。このとき、ICチップCが露出してからノズルユニット30によって吸着されるまでの僅かな時間にICチップCが落下しないように、分離ローラ74には、分離ローラ74の回転中心に向かってICチップCを吸引するための吸引路(図示せず)が設けられる。この吸引路とテープ本体Tに設けられている吸着孔Ts(図4参照)を通してICチップCが吸引される。
【0030】
(2)硬化工程
次に、硬化工程について、図9図15を参照して説明する。
硬化工程では、上述したICチップ配置工程を経た各アンテナに塗布されている導電ペーストを硬化させて、アンテナとICチップの物理的な接続を強固にするとともに、アンテナとICチップの電気的な導通を確実にする。
【0031】
図9は、実施形態のICチップ搭載装置1において硬化工程に対応する部分を示す図である。図10は、図9の矢視Jから見た押圧ユニット6の一部と紫外線照射器42を示す図である。図11は、実施形態の硬化装置4に含まれる押圧ユニット6を示す図である。図12は、実施形態の硬化装置4に含まれる押圧ユニット循環機構5の平面図である。なお、図12では、後述する下側レール51Lを省略している。
【0032】
図9に示すように、硬化工程においてICチップ搭載装置1は、コンベア82と、硬化装置4と、撮像装置CA4と、を含む。
コンベア82は、上流のICチップ配置工程から搬送されるアンテナシートASを、下流に向けて所定の搬送速度で搬送する。コンベア82の上面が搬送面に相当する。
撮像装置CA4は、硬化工程において最も上流側(つまり、ICチップ配置工程の最も下流側)において、アンテナシートASの上方に配置されており、ICチップ配置工程から搬送される各アンテナANの画像を撮像する。撮像装置CA4は、ICチップ配置工程においてICチップが適切な位置に配置されているか否かを検査するために設けられている。
【0033】
図9に示すように、硬化装置4は、押圧ユニット移動機構としての押圧ユニット循環機構5と紫外線照射器42(光線照射部の一例)を有する。図9および図12に示すように、押圧ユニット循環機構5は、上側レール51Uおよび下側レール51Lからなる循環レール51と、メインベルト52および歯車521,522と、補助ベルト53、送り出し歯車54、および、押圧ユニット6と、を含む。
押圧ユニット循環機構5は、押圧ユニット6を所定の環状軌道を循環移動させる。
押圧ユニット6は、搬送面に直交する方向に昇降動作し、アンテナANの導電ペースト上に配置されたICチップを、各アンテナANに紫外線を照射している間に押圧する。押圧ユニット循環機構5に設けられる押圧ユニット6の数は問わないが、生産性とコストの観点から、2以上の任意の数に設定可能とすることが好ましい。
紫外線照射器42は、搬送方向D1に沿って配置される。そのため、アンテナシートAS上の多くのアンテナANに対して同時に紫外線を照射することが可能である。
【0034】
本実施形態のICチップ搭載装置1において、ディスペンサ2によってアンテナANにエポキシ系樹脂等の熱硬化型の接着剤を塗布し、紫外線照射器42に代えて熱硬化装置を設けてもよい。
【0035】
図9に示すように、好ましくは、複数(図示の例では8個)の押圧ユニット6が、搬送されている複数(図示の例では8個)のアンテナANの導電ペースト上に配置されたICチップをそれぞれ同時に押圧する。このとき、コンベア82はアンテナシートASの搬送を停止することなく、押圧する複数の押圧ユニット6と、押圧される複数のアンテナANとが等速で搬送方向D1に移動しながら、各アンテナANに対して紫外線照射器42による紫外線の照射が行われる。そのため、ICチップをアンテナANに固定するときの生産性が極めて高いという利点がある。
【0036】
図10を参照すると、各アンテナANに対して紫外線照射器42によって紫外線が照射される状態が示される。
紫外線照射器42は、例えばLED(Light Emitting Device)等の光源42eを有する。光源42eは、搬送面に対して斜めに傾斜した方向からアンテナANに向けて紫外線を照射するように構成されている。
押圧ユニット6の押圧部61の側面(つまり、紫外線照射器42が配置される側の面)は開放している。押圧部61の押圧面を構成するガラス板61pは、紫外線を透過するガラスによって形成されている。
【0037】
次に、図11を参照して押圧ユニット6の構成について説明する。
図11に示すように、押圧ユニット6は、押圧部61、ハウジング62、シャフト63、および、ローラ保持部66を有する。ハウジング62には、下側レール51L上を回動する一対の下側ローラ64Lおよび一対の横方向ローラ65が取り付けられている。ローラ保持部66には、上側レール51U上を回動する一対の上側ローラ64Uが取り付けられている。下側ローラ64Lおよび上側ローラ64Uは水平面上を回動するのに適合したローラであり、横方向ローラ65は鉛直面上を回動するのに適合したローラである。
【0038】
シャフト63の一端は押圧部61に連結され、シャフト63の他端はローラ保持部66に連結されている。シャフト63は、ハウジング62に対して図11の上下方向に変位可能である。
ハウジング62の内部には、ばね(図示せず)が組み込まれている。図11では、押圧部61、シャフト63、および、ローラ保持部66について、外力が加わっていない自由状態を実線で表し、引張状態(外力を加えた状態)を仮想線で表している。引張状態での外力を解除するとばねの復元力により自由状態に復帰する。
ばねとしてコイルばねを用いてもよいが、磁気ばねを用いることが好ましい。磁気ばねは、ストローク量に関わらず押し圧が一定となるためにICチップに対する損傷が生じ難く、また、長期間使用後の特性劣化が極めて小さいという利点がある。
【0039】
ハウジング62には、一対のV溝部62gが形成されている。V溝部62gの溝数は問わないが、各溝は、メインベルト52および送り出し歯車54と嵌合するような形状となっている。
ハウジング62には、永久磁石が内蔵されていることが好ましい。永久磁石が内蔵されることによって、後述するように、複数の押圧ユニット6が待機区間において磁力によって互いに重なり合うようにすることができるため、正確なタイミングで押圧ユニット6を送り出すことができる。
【0040】
押圧部61は、V溝部62gが形成されている側に空隙61hが形成されており、底部には、紫外線を透過するガラス板61pが取り付けられている。図10に示したように、紫外線照射器42による照射が行われている状態では、ガラス板61pの底面によってICチップが押圧される。ガラス板61pの底部に紫外線を透過するガラス板61pを設けることで、紫外線を照射しながらICチップを押圧することができる。
【0041】
図12を参照すると、押圧ユニット循環機構5では、歯車521,522が反時計回りに定角速度で回転するようにメインベルト駆動モータM41(図12には図示せず)によって駆動される。歯車521,522の回転に応じて、各歯車に噛み合うメインベルト52が、押圧ユニット6の軌道に沿って一定速で、歯車521,522の周りを循環移動する。
補助ベルト53は、例えば平ベルト、Vベルトであり、補助ベルト駆動モータM42(図12には図示せず)により一定速で図12において時計回りに駆動されている。補助ベルト53は、押圧ユニット6のV溝部62gと係合することによって押圧ユニット6をレールに沿って加速させる役割を備える。
【0042】
送り出し歯車54は、押圧ユニット6のV溝部62gに噛み合うように構成され、送り出しベルト駆動モータM43(図12には図示せず)によって動作する歯車であり、図12の反時計回りに回転する。送り出し歯車54は、押圧ユニット6を待機位置から、搬送されているアンテナシートASに向けて送り出すために設けられている。送り出し歯車54が動作するタイミングは、後述する制御部200によって制御される。なお、送り出し歯車54に代えて、外側にV溝部を備えた送り出しベルトを適用してもよい。
【0043】
次に、押圧ユニット循環機構5の動作について、図12図15を参照して説明する。
図13は、図12のB-B断面およびC-C断面を示す図である。図14は、押圧ユニット循環機構5において押圧ユニット6の引張状態と押圧状態での循環レール51に対する位置関係を説明する図である。図15は、押圧ユニット6の送り出し動作を説明する図である。
【0044】
以下の説明の便宜のために、図12において、押圧ユニット6の循環路を区間S1~S5に分け、各区間について順に説明する。
図13に示すように、押圧ユニット6が循環レール51を循環するときには、押圧ユニット6の一対の上側ローラ64Uが上側レール51Uの上面511に接触しながら回動し、押圧ユニット6の一対の下側ローラ64Lが下側レール51Lの底面512に接触しながら回動する。
【0045】
ここで、コンベア82の搬送面を基準とした下側レール51Lの底面512の高さは、下側レール51Lの一周に亘って一定である。
それに対して、コンベア82の搬送面を基準とした上側レール51Uの上面511の高さは一周の中で変動する。具体的には、上側レール51Uの上面511の高さは、図12の区間S1で最も低く、区間S3,S4で最も高い。上側レール51Uの上面511の高さは、区間S2では図12の反時計回りに移動するにつれて次第に高くなり、区間S5では図12の反時計回りに移動するにつれて次第に低くなる。
押圧ユニット6が区間S1に位置するときには、上側レール51Uの上面511が一周の中で最も低く、押圧ユニット6は自由状態に近い押圧状態となり、押圧部61が一周の中で最も低い位置になる。この状態でアンテナに対して接触して押圧が行われるように、上側レール51Uの上面511および下側レール51Lの底面512の位置が設定されている。
【0046】
図12に示すように、区間S1では、各押圧ユニット6は、アンテナシートASの搬送方向D1に沿って、当該アンテナシートASの各アンテナの直上を移動する。区間S1では、各押圧ユニット6のV溝部62gがメインベルト52と噛み合い、メインベルト52の速度に従って各押圧ユニット6が移動する。
前述したように、区間S1では、上側レール51Uの上面511が一周の中で最も低く、図14に示すように、各押圧ユニット6は自由状態に近い押圧状態となるため、押圧部61が下方に突出する。図9に示したように、押圧ユニット6が押圧状態であるときには、押圧ユニット6に内蔵されるばねの反発力によって、アンテナシートASの対応するアンテナ上の導電ペーストに配置されたICチップを押圧する。
【0047】
区間S2では、前述したように、上側レール51Uの上面511の高さは図12の反時計回りに移動するにつれて次第に高くなる。そのため、ばねの復元力に反してシャフト63が次第に持ち上げられ(引っ張られ)、区間S2の最後には、図14の引張状態となる。区間S2では、各押圧ユニット6のV溝部62gがメインベルト52と噛み合い、メインベルト52の速度に従って各押圧ユニット6が移動する。
区間S2では、上側レール51Uの上面511が区間S1に対して次第に高くなっていくため、各押圧ユニット6のローラ保持部66がばねの復元力に抗して上方に引っ張られ、それによって押圧部61が上方に移動する。
【0048】
区間S3の開始位置に達すると、押圧ユニット6はメインベルト52との噛み合いが解除される。すなわち、図13のB-B断面とC-C断面とを比較してわかるように、区間S3,S4(C-C断面を参照)では、区間S2の最終位置および区間S5の開始位置(いずれもB-B断面を参照)に対して、上側レール51Uおよび下側レール51Lが全体的に外側にオフセットしており(図13のオフセット量ofs)、押圧ユニット6の一対の横方向ローラ65が下側レール51Lの内側面513に追従して回動する結果、押圧ユニット6のV溝部62gがメインベルト52から離れる。
区間S3では、押圧ユニット6がメインベルト52と接触しなくなった後、図12の時計回りに回転する補助ベルト53が押圧ユニット6の外側のV溝部62gに接触して強く押し出し、それによって、押圧ユニット6が循環レール51に沿って反時計回りに加速する。区間S3で押圧ユニット6を加速させるのは、押圧ユニット6の待機区間である区間S4において押圧ユニット6の数が足りなくなるという状況を回避するためである。
なお、区間S3と後述する区間S4では、上側レール51Uの上面511が一周において最も高く、図14に示すように、各押圧ユニット6は引張状態となっている。
【0049】
区間S4は、区間S3において順に加速して送られる複数の押圧ユニット6が、送り出しまでの間、待機する待機区間(待機位置の例)である。前述したように、押圧ユニット6のハウジング62には永久磁石が内蔵されていることが好ましく、それによって磁力により複数の押圧ユニット6が密着し、互いに重なり合った状態で待機する。
区間S4では、送り出し歯車54は、待機している複数の押圧ユニット6のうち先頭に位置する押圧ユニット6のV溝部62gと噛み合っている。そして、後述する制御部200によって決定されるタイミングにおいて送り出し歯車54が図12の時計回りに回転し、それによって、先頭に位置する押圧ユニット6が送り出される。待機区間では、各押圧ユニット6が磁力によって互いに重なり合っているため、正確なタイミングで押圧ユニット6を1つずつ待機区間S4から送り出すことができる。
【0050】
押圧ユニット6の送り出し動作について、図15を参照してさらに説明する。図15は、送り出し歯車54の近傍の押圧ユニット6について、V溝部62gと、メインベルト52および送り出し歯車54との噛み合い状態を示した図である。
図15に示すように、待機区間S4にある複数の押圧ユニット6-1,6-2,…の内側のV溝部62gはメインベルト52に噛み合っていないが、先頭に位置する押圧ユニット6-1は、外側のV溝部62gが送り出し歯車54と噛み合っている状態となる。この状態で、後述する制御部200による指令に基づいて送り出し歯車54が時計回りに回転すると、押圧ユニット6-1が図15の左側に移動して送り出される。このとき、押圧ユニット6の一対の横方向ローラ65が仮想線で示す軌跡で移動する(つまり、図13にも示したオフセット量ofsでメインベルト52側に移動する)ように下側レール51Lが形成されている。そのため、押し出された押圧ユニット6-1は、メインベルト52に向かって内側に移動し、区間S5の開始位置において内側のV溝部62gがメインベルト52と噛み合うようになる。内側のV溝部62gがメインベルト52と噛み合った後、区間S5において押圧ユニット6-1は、メインベルト52の動きに追従して動作する。
【0051】
すなわち、区間S5では、各押圧ユニット6のV溝部62gがメインベルト52と噛み合い、メインベルト52の速度に従って各押圧ユニット6が移動する。
前述したように、上側レール51Uの上面511の高さは図12の反時計回りに移動するにつれて次第に低くなる。そのため、ばねの復元力によってシャフト63が次第に下がっていき、区間S5の最後には、図14に示す押圧状態となる。押圧状態では、押圧ユニット6の押圧部61が一周において最も低い位置となり、搬送されてくる各アンテナを押圧可能な状態である。この状態で各押圧ユニット6は区間S1に進み、搬送される各アンテナの導電ペースト上に配置されたICチップを押圧する。
【0052】
以上説明したようにして、各押圧ユニット6は、循環レール51の軌道(区間S1~S5)に従って循環しつつ搬送面に直交する方向に昇降動作して、アンテナANの導電ペースト上に配置されたICチップを押圧する。押圧ユニット6が循環移動するため、所定数の押圧ユニット6を継続的に押圧のために利用することができる。
【0053】
次に、図16を参照して、硬化装置4を制御する制御部200によって行われる制御について説明する。図16は、制御部200の機能ブロック図である。
制御部200は、図示しない回路基板に実装されており、撮像装置CA4、メインベルト駆動モータM41、補助ベルト駆動モータM42、送り出しベルト駆動モータM43、および、紫外線照射器42と電気的に接続されている。
制御部200は、マイクロコンピュータ、メモリ(RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory))、ストレージ、駆動回路群を含む。マイクロコンピュータは、メモリに記録されているプログラムを読み出して実行し、ベルト駆動手段201、送出タイミング決定手段203、および、硬化実行手段204の各機能を実現する。
【0054】
ベルト駆動手段201は、メインベルト52および補助ベルト53がそれぞれ等速で駆動されるように、メインベルト駆動モータM41および補助ベルト駆動モータM42の駆動回路に制御信号を送出する。ベルト駆動手段201は、送出タイミング決定手段203によって決定される送出タイミングに応じて送り出しベルト駆動モータM43の駆動回路に制御信号を送出し、それによって当該送出タイミングで送り出し歯車54が回転する。それによって、図15に示したように、待機区間の先頭の押圧ユニット6が送り出される。
【0055】
送出タイミング決定手段203は、押圧ユニット循環機構5において待機区間にある複数の押圧ユニット6のうち先頭の押圧ユニット6を送り出す送出タイミングを決定する。送出タイミングの決定に当たっては、メインベルト52の速度、および、コンベア82による搬送速度の各パラメータが考慮される。すなわち、待機区間S4から順に送り出される各押圧ユニット6が、撮像装置CA4を通過する対応する各アンテナANと区間S1の開始位置において合流するように、各パラメータに基づき各押圧ユニット6の送出タイミングが決定される。
【0056】
硬化実行手段204は、搬送されているアンテナANの各々に対して、予め設定された積算光量で紫外線照射器42から紫外線が照射されるように、所定の駆動信号を紫外線照射器42に送出する。
【0057】
以上説明したようにして、複数のアンテナが一定のピッチで基材上に形成された帯状のアンテナシートがラインに投入され、ICチップ配置工程と硬化工程を経て、各アンテナ上にICチップが搭載される。本実施形態のICチップ搭載装置は、ICチップ配置工程においてアンテナの基準位置に向けて接着剤を塗布するとともに当該接着剤上にICチップを配置し、硬化工程において接着剤を硬化させてアンテナとICチップの接続を強固にする。特に本実施形態の硬化工程では、複数のアンテナが形成されたアンテナシートの搬送を停止することなく、導電ペースト上に配置されたICチップをアンテナ側に押圧した状態で光線の照射を行う。そのため、ICチップをアンテナに固定するときの生産性が極めて高い。すなわち、インレイの製造工程において生産性を向上させることができる。
【0058】
以上、ICチップ搭載装置、ICチップ搭載方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0059】
例えば、図3に示した実施形態では、ICチップ配置工程において、アンテナシートASがコンベア81上を一方向に搬送される場合を示したが、その限りではない。
一実施形態では、図17に示すように、ICチップ配置工程において、吸着ドラム92,94と複数の搬送ローラ(例えば、図17では、搬送ローラ91,93,95)によりアンテナシートASを搬送してもよい。図17では、吸着ドラム92の最も高い位置で、アンテナシートASのアンテナANの基準位置にディスペンサ2により導電ペーストが吐出される。また、吸着ドラム94の最も高い位置で、導電ペースト上にICチップが配置される。この場合、少なくとも吸着ドラム92,94は、アンテナシートASの裏面を吸着する吸着ローラであることが好ましい。それによって、アンテナシートASの位置ずれ(特に、長手方向)を防止することができ、導電ペーストの吐出及びICチップの配置を精度良く行うことができる。
【0060】
一実施形態では、搬送されるアンテナシートAS状のアンテナANに塗布されている導電ペースト上にICチップを放出することに代えて、ICチップを導電ペーストに押し付けることによって配置してもよい。
図18は、ICチップを導電ペーストに押し付けることによって配置する場合のロータリーマウンタ3の動作を時系列で示している。一実施形態では、ロータリーマウンタ3の各ノズルユニット30は、内蔵される駆動装置により個別に放射方向(径方向)に移動可能に構成される。
状態ST1は、ノズルユニット30がICチップCを吸着した状態である。吸着したICチップCを配置するときには、状態ST2に示すように、ノズルユニット30を放射方向(径方向)に延びるように基準位置に向けて(つまり、下方向、すなわち図2のZ方向に)移動させ、アンテナANに塗布されている導電ペースト上にICチップCを押し付けることでICチップCを導電ペースト上に配置する。ICチップCを配置した後は、吸着を解除するとともに状態ST1の位置までノズルユニット30を戻す。例えば、ノズルユニット30が位置PK(図6参照)に達するタイミングで状態ST1~ST3の動作を行うことで、ICチップCがアンテナANに塗布されている導電ペースト上に配置される。
【0061】
硬化工程は、押圧ユニット6を循環させる硬化装置4を使用する場合に限られない。
一実施形態の硬化工程を図19に示す。図19には、一実施形態の硬化工程で使用される硬化装置4Aが示される。硬化装置4Aは、複数の紫外線硬化ユニット43が取付板44に取り外し可能に取り付けられている。アンテナシートASの隣接するアンテナANの間隔に応じて、取り付け位置が異なる複数の取付板44を用意しておき、当該間隔に応じて取付板44を取り替えることで、様々なアンテナシートASに対応させることができる。
支持軸45は、取付板44を支持し、取付板44を昇降可能に構成されている。ICチップ配置工程から搬送されてくるアンテナシートASは、搬送ローラ96~98を介して硬化工程に送られる。搬送ローラ97は、図示しない駆動装置によって昇降可能に構成されている。
【0062】
紫外線硬化ユニット43の構成例を図20に示す。図20に示すように、紫外線硬化ユニット43は、筐体431内に紫外線を照射するための光源432(例えばLED光源)を内蔵する。光源432は、紫外線硬化ユニット43の外部から提供されるケーブル436(図19には不図示)によって給電される。筐体431内には、光源432によって照射される紫外線を集光する集光レンズを設けてもよい。保持板434は、筐体431に連結されており、ガラス板435を保持する。光源432から照射される紫外線は、各アンテナANに塗布されている導電ペーストに照射され、導電ペーストを硬化させる。
【0063】
再度図19を参照すると、搬送状態は、ICチップ配置工程からアンテナシートASが搬送される状態を示している。未硬化の導電ペーストが塗布されているアンテナANが紫外線硬化ユニット43の直下に位置するタイミングで、アンテナシートASの搬送が停止される。そして、アンテナシートASの搬送が停止された状態(停止状態)において、紫外線硬化ユニット43を下方向に移動させてアンテナANをガラス板435により押圧しながら紫外線を照射し、導電ペーストを硬化させる。
【0064】
停止状態のときにおいてもICチップ配置工程からアンテナシートASが搬送されてくるため、紫外線を照射している間は搬送ローラ97が自重で降下し、搬送されてきたアンテナシートASを搬送ローラ96と搬送ローラ98の間で吸収する。紫外線の照射が終了すると、紫外線硬化ユニット43の数に相当するアンテナANを下流に急速に搬送させ、未硬化のアンテナANが紫外線硬化ユニット43の直下に位置するように停止させる。つまり、一実施形態の硬化工程では、アンテナシートASの搬送状態と停止状態(紫外線照射を行う状態)が繰り返し行われる。アンテナANを急速に搬送する際、搬送ローラ97は、アンテナシートASに加わった張力により上昇する。
【0065】
一実施形態の硬化工程は、熱硬化装置を用いて行ってもよい。すなわち、ディスペンサ2においてエポキシ系樹脂等の熱硬化型の接着剤を塗布した場合には、硬化工程では、熱硬化処理を行うことで接着剤を硬化させる。
図21は、図19と同様に、アンテナシートASの搬送状態と停止状態が繰り返し行われるように構成された硬化装置4Bである。硬化装置4Bは、硬化装置4Aとは異なり、複数の熱硬化ユニット46を備える。各熱硬化ユニット46には、不図示のケーブルにより電源が供給されて動作する熱源が配置される。アンテナシートASが停止状態のときには、支持軸45が下降するように駆動され、各熱硬化ユニット46が対応するアンテナANを押圧しながら接着剤を加熱して硬化させる。加熱が完了すると、支持軸45が上昇するように駆動されるとともに、アンテナシートASの搬送が行われる。
【0066】
なお、図19において、導電ペーストを紫外線により硬化させる場合、光源を内蔵した紫外線硬化ユニット43に代えて、ガラス板を介してアンテナANを押圧する押圧ユニットを用い、停止状態で押圧されているアンテナAN上の導電ペーストに対して幅方向外部や斜め上方から紫外線を照射する紫外線照射装置を設けてもよい。
一実施形態では、紫外線を照射するときにアンテナシートASを停止状態とすることがないように、図9に示したように、複数の紫外線硬化ユニット43をアンテナシートASの進行速度と連動するように循環移動させ、アンテナANを押圧しながら内蔵する光源により紫外線を照射してもよい。
同様に、一実施形態では、導電ペーストを熱硬化させる場合、複数の熱硬化ユニット46をアンテナシートASの進行速度と連動するように循環移動させ、アンテナANを押圧しながら加熱するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…ICチップ搭載装置、2…ディスペンサ、3…ロータリーマウンタ、3H…ロータリーヘッド、4,4A,4B…硬化装置、5…押圧ユニット循環機構、6…押圧ユニット、30…ノズルユニット、41,42…紫外線照射器、42e…光源、43…紫外線硬化ユニット、44…取付板、45…支持軸、46…熱硬化ユニット、51…循環レール、51L…下側レール、51U…上側レール、52…メインベルト、53…補助ベルト、54…送り出し歯車、61…押圧部、61h…空隙、61p…ガラス板、62…ハウジング、62g…V溝部、63…シャフト、64L…下側ローラ、64U…上側ローラ、65…横方向ローラ、66…ローラ保持部、71…テープフィーダ、72…テープ本体巻取りリール、73…フィルム巻取りリール、74…分離ローラ、74p…突起、75…分岐部材、81,82…コンベア、85…支持台、86…懸架板、91,93,95~98…搬送ローラ、92,94…吸着ドラム、200…制御部、201…ベルト駆動手段、203…送出タイミング決定手段、204…硬化実行手段、511…上面、512…底面、513…内側面、521,522…歯車、AN…アンテナ、AS…アンテナシート、BM…基材、C…ICチップ、CA1~CA4…撮像装置、CF…被覆フィルム、CT…チップ包含テープ、H…取付孔、M41…メインベルト駆動モータ、M42…補助ベルト駆動モータ、M43…送り出しベルト駆動モータ、PR…ロール体、T…テープ本体、TR…ゴミ収集トレイ、Td…凹み、Ts…吸着孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
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図18
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図21