(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B60K20/02 E
B60K20/02 D
(21)【出願番号】P 2021030764
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 博文
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳寛
(72)【発明者】
【氏名】遠山 睦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 章里
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-248521(JP,A)
【文献】実開昭64-035134(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
第1ロック部材が設けられ、
作動されないことで前記第1ロック部材が第1ロック位置に配置されて前記シフト体の第1シフト位置からの移動がロックされると共に、
作動されることで前記第1ロック部材が前記シフト体の第1シフト位置からの移動を許容する第1ロック機構と、
第2ロック部材が設けられ
ると共に、前記第1ロック機構と同時に作動され、
作動されることで前記第2ロック部材が第2ロック位置に配置されて前記シフト体の第2シフト位置からの移動がロックされる第2ロック機構と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記シフト体の外側に前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方が配置される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方が前記シフト体の前記シフト位置とは無関係に作動される請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記第1シフト位置がパーク位置にされると共に、前記第1ロック部材が前記第1ロック位置に配置された場合に前記第1ロック部材が前記シフト体の前記第1シフト位置以外の位置から前記第1シフト位置への移動を許容する請求項1~請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項5】
前記第2シフト位置がニュートラル位置にされると共に、前記第2ロック部材が前記第2ロック位置に配置された場合に前記第2ロック部材が前記シフト体の前記第2シフト位置以外の位置から前記第2シフト位置への移動を許容する請求項1~請求項4の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項6】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
第1ロック部材が設けられ、前記第1ロック部材が第1ロック位置に配置されて前記シフト体の第1シフト位置からの移動がロックされる第1ロック機構と、
第2ロック部材が設けられ、前記第2ロック部材が第2ロック位置に配置されて前記シフト体の第2シフト位置からの移動がロックされる第2ロック機構と、
前記第2ロック部材に設けられ、前記シフト体の前記第1シフト位置から前記第2シフト位置への移動を許容する許容部
と、
を備えるシフト装置。
【請求項7】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
第1ロック部材が設けられ、前記第1ロック部材が第1ロック位置に配置されて前記シフト体の第1シフト位置からの移動がロックされる第1ロック機構と、
第2ロック部材が設けられ、前記第2ロック部材が第2ロック位置に配置されて前記シフト体の第2シフト位置からの移動がロックされる第2ロック機構と、
前記第2ロック部材に設けられ、前記シフト体が前記第2シフト位置以外の所定シフト位置に配置される際に前記第2ロック部材が前記第2ロック位置から離間した位置に保持される保持部
と、
を備えるシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト体のシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフトレバー装置では、シフトレバーのボディにロック用リセス及び第2ロック用リセスが設けられる。また、制御ユニットのロック素子がロック用リセスに挿入されて、シフトレバーのシフトレバー位置Pからの移動がロックされる。さらに、制御ユニットのロック素子が第2ロック用リセスに挿入されて、シフトレバーのシフトレバー位置Nからの移動がロックされる。
【0003】
ここで、このシフトレバー装置では、シフトレバーのシフトレバー位置P及びシフトレバー位置Nに対応してそれぞれボディにロック用リセス及び第2ロック用リセスが設けられる。このため、シフトレバーのシフトレバー位置Pとシフトレバー位置Nとの位置関係にボディのロック用リセスと第2ロック用リセスとの位置関係が一致する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト体の構成の自由度を高くできるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、第1ロック部材が設けられ、前記第1ロック部材が第1ロック位置に配置されて前記シフト体の第1シフト位置からの移動がロックされる第1ロック機構と、第2ロック部材が設けられ、前記第2ロック部材が第2ロック位置に配置されて前記シフト体の第2シフト位置からの移動がロックされる第2ロック機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構とが同時に作動される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方が前記シフト体の前記シフト位置とは無関係に作動される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記第1シフト位置がパーク位置にされると共に、前記第1ロック部材が前記第1ロック位置に配置された場合に前記第1ロック部材が前記シフト体の前記第1シフト位置以外の位置から前記第1シフト位置への移動を許容する。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記第2シフト位置がニュートラル位置にされると共に、前記第2ロック部材が前記第2ロック位置に配置された場合に前記第2ロック部材が前記シフト体の前記第2シフト位置以外の位置から前記第2シフト位置への移動を許容する。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、前記第2ロック部材に設けられ、前記シフト体の前記第1シフト位置から前記第2シフト位置への移動を許容する許容部を備える。
【0012】
本発明の第7態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つのシフト装置において、前記第2ロック部材に設けられ、前記シフト体が前記第2シフト位置以外の所定シフト位置に配置される際に前記第2ロック部材が前記第2ロック位置から離間した位置に保持される保持部を備える。
【0013】
本発明の第8態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第7態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体の外側に前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方が配置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト体のシフト位置が変更される。また、第1ロック機構の第1ロック部材が第1ロック位置に配置されて、シフト体の第1シフト位置からの移動がロックされる。さらに、第2ロック機構の第2ロック部材が第2ロック位置に配置されて、シフト体の第2シフト位置からの移動がロックされる。
【0015】
ここで、シフト体の第1シフト位置からの移動とシフト体の第2シフト位置からの移動とがそれぞれ別々の第1ロック機構と第2ロック機構とによりロックされる。このため、シフト体の第1シフト位置と第2シフト位置との位置関係に一致する構成をシフト体に設ける必要をなくすことができ、シフト体の構成の自由度を高くできる。
【0016】
本発明の第2態様のシフト装置では、第1ロック機構と第2ロック機構とが同時に作動される。このため、第1ロック機構と第2ロック機構との制御を簡単にできる。
【0017】
本発明の第3態様のシフト装置では、第1ロック機構及び第2ロック機構の少なくとも一方がシフト体のシフト位置とは無関係に作動される。このため、第1ロック機構及び第2ロック機構の少なくとも一方の制御を簡単にできる。
【0018】
本発明の第4態様のシフト装置では、第1シフト位置がパーク位置にされており、第1ロック部材が第1ロック位置に配置された場合に、第1ロック部材がシフト体の第1シフト位置以外の位置から第1シフト位置への移動を許容する。このため、第1ロック部材が第1ロック位置に配置された場合でも、シフト体を第1シフト位置以外の位置から第1シフト位置に移動させることができる。
【0019】
本発明の第5態様のシフト装置では、第2シフト位置がニュートラル位置にされており、第2ロック部材が第2ロック位置に配置された場合に、第2ロック部材がシフト体の第2シフト位置以外の位置から第2シフト位置への移動を許容する。このため、第2ロック部材が第2ロック位置に配置された場合でも、シフト体を第2シフト位置以外の位置から第2シフト位置に移動させることができる。
【0020】
本発明の第6態様のシフト装置では、シフト体の第1シフト位置から第2シフト位置への移動を第2ロック部材の許容部が許容する。このため、シフト体を第1シフト位置から第2シフト位置に移動させることができる。
【0021】
本発明の第7態様のシフト装置では、第2ロック部材に保持部が設けられており、シフト体が第2シフト位置以外の所定シフト位置に配置される際に、第2ロック部材が第2ロック位置から離間した位置に保持される。このため、シフト体を所定シフト位置から第2シフト位置に移動させることができる。
【0022】
本発明の第8態様のシフト装置では、シフト体の外側に第1ロック機構及び第2ロック機構の少なくとも一方が配置される。このため、シフト体の内側に第1ロック機構及び第2ロック機構の少なくとも一方が配置されないことで、シフト体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置の主要部を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるPロックユニット等を示す右方から見た側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるPロックユニット等を示す右斜め後方から見た斜視図である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるPロックユニットの動作を示す右方から見た側面図であり、(A)は、ロック状態を示し、(B)は、アンロック状態を示している。
【
図6】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるNロックユニット等を示す左方から見た側面図である。
【
図7】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるNロックユニットの動作を示す上側から見た正面図であり、(A)は、ロック状態を示し、(B)は、アンロック状態を示している。
【
図8】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のNロックユニットのロック状態においてレバーが「P」位置から「N」位置に回動される際を示す上側から見た断面図であり、(A)は、レバーが「P」位置に配置される際を示し、(B)は、レバーが「R」位置に回動される際を示している。
【
図9】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のNロックユニットのロック状態においてレバーが「P」位置から「N」位置に回動される際を示す上側から見た断面図であり、(A)は、レバーが「R」位置に配置される際を示し、(B)は、レバーが「N」位置に配置される際を示している。
【
図10】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係るシフト装置においてレバーが「D」位置から「N」位置に回動される際を示す上側から見た断面図であり、(A)は、レバーが「D」位置に配置されると共にNロックユニットがアンロック状態にされる際を示し、(B)は、レバーが「D」位置に配置されると共にNロックユニットがロック状態にされる際を示し、(C)は、レバーが「N」位置に配置されると共にNロックユニットがロック状態にされる際を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が左斜め後方から見た斜視図にて示されており、
図2には、シフト装置10の主要部が左斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0025】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両のコンソールに設置されており、シフト装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方及び上方に向けられている。
【0026】
図1に示す如く、シフト装置10には、収容体としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されると共に、内部が上側に開放されている。プレート12の後壁には、略矩形状の開放孔14(
図7(A)参照)が貫通形成されており、開放孔14は、プレート12内を後方へ向かうに従い上方へ向かう方向に開放している。
【0027】
プレート12の上端部には、強度部材としての略矩形板状のゲート板16が固定されており、ゲート板16は、プレート12内を上側から閉鎖している。ゲート板16の強度は、プレート12の強度と同等の高強度にされており、ゲート板16には、所定形状のゲート溝16Aが貫通形成されている。
【0028】
ゲート板16の左右方向両端部には、規制部としてのディテント凸部18(
図3参照)が一体形成されており、ディテント凸部18は、下側に突出されて、プレート12内に配置されている。ディテント凸部18の前側部分には、矩形板状の前凸部18Aが設けられており、ディテント凸部18の後側部分には、矩形板状の後凸部18Bが設けられている。前凸部18Aと後凸部18Bとは、前後方向において一体にされており、前凸部18Aの下側への突出量は、後凸部18Bの下側への突出量に比し大きくされている。
【0029】
図1及び
図2に示す如く、プレート12内には、シフト体としての略棒状のレバー20が設けられており、レバー20の下端部には、略球状の回転軸20Aが一体に設けられている。回転軸20Aは、プレート12内の下端部に回転可能に支持されており、レバー20は、回転軸20Aを中心として回動(移動)可能にされている。
【0030】
レバー20は、ゲート板16のゲート溝16Aに貫通されており、レバー20は、ゲート溝16Aに案内されて、所定範囲で前後方向及び左右方向(シフト方向)に回動可能にされている。このため、レバー20が、左右方向に回動されない状態で、レバー20が前側から後側に回動されて、レバー20のシフト位置が、第1シフト位置としての「P」位置(パーク位置)、「R」位置(リバース位置)、第2シフト位置としての「N」位置(ニュートラル位置)及び所定シフト位置としての「D」位置(ドライブ位置)にこの順番で変更される。さらに、レバー20が「D」位置から左側(右側でもよい)に回動されて、レバー20のシフト位置が「S」位置(シーケンシャル位置)に変更されると共に、レバー20が「S」位置から前側及び後側に回動されて、それぞれレバー20のシフト位置が「+」位置(プラス位置)及び「-」位置(マイナス位置)に変更される。
【0031】
レバー20の上側部分は、コンソールの上側(車室内)に回動可能に延出されている。レバー20の上端部には、把持部としてのノブ20B(
図3参照)が固定されており、レバー20は、車両の乗員(特に運転者)により、ノブ20Bが把持された状態で、回動操作可能にされている。ノブ20Bには、操作部としてのノブボタン20Cが設けられており、ノブボタン20Cは、乗員により操作(押圧操作)可能にされている。
【0032】
レバー20の下部には、第1被ロック部としての略矩形柱状のディテントピン20Dが設けられており、ディテントピン20Dは、レバー20を左右方向に貫通して、レバー20と一体回動可能にされている。ディテントピン20Dは、レバー20の回動径方向(セレクト方向)に移動可能にされており、ディテントピン20Dは、上側に付勢されて、規制位置に配置されている(
図5(A)参照)。ディテントピン20Dは、ノブ20Bのノブボタン20Cに機械的に連絡されており、ノブボタン20Cが操作された際には、ディテントピン20Dが、付勢力に抗して下側に移動されて、解除位置に配置される(
図5(B)参照)。
【0033】
レバー20が「P」位置に配置される際には、ディテントピン20Dが、規制位置に配置されて、ゲート板16のディテント凸部18(前凸部18A)の前側に配置されており(
図5(A)参照)、ディテントピン20Dが前凸部18Aの前面に当接されて、レバー20の「P」位置から後側への回動が規制される。ノブボタン20Cが操作されて、ディテントピン20Dが解除位置に配置された際(
図5(B)参照)には、ディテントピン20Dがディテント凸部18(前凸部18A及び後凸部18B)の下側を前後方向に通過可能にされて、レバー20が前後方向に回動可能にされる。
【0034】
レバー20が「R」位置に配置される際には、ディテントピン20Dの回動位置が後凸部18Bの位置にされる。このため、ノブボタン20Cが操作されない際には、ディテントピン20Dが前凸部18Aの後面に当接されて、レバー20の「R」位置から「P」位置への回動が規制される。レバー20が「N」位置に配置される際には、ディテントピン20Dの回動位置が後凸部18Bの後側の位置にされる。このため、ノブボタン20Cが操作されない際には、ディテントピン20Dが後凸部18Bの後面に当接されて、レバー20の「N」位置から「R」位置への回動が規制される。
【0035】
レバー20の下部には、延出部20Eが一体に設けられており、延出部20Eは、後側に延出されている。延出部20Eの後端部には、第2被ロック部としての円柱状のロックピン20F(
図6参照)が固定されており、ロックピン20Fは、後方へ向かうに従い上方へ向かう方向に突出されている。レバー20が「P」位置より後側のシフト位置に配置される際には、ロックピン20Fがプレート12の開放孔14を介してプレート12の上側(後側)に突出される。
【0036】
プレート12内には、レバー20の前側かつ右側において、第1ロック機構としてのPロックユニット22(
図3及び
図4参照)がネジの締結により固定されている。
【0037】
Pロックユニット22には、第1ロック部材としての略長尺板状のPリンク24が設けられており、Pリンク24は、略上下方向に延伸されている。Pリンク24は、上部において、所定範囲で前後方向に回動可能に支持されており、Pリンク24は、後側に付勢されている。Pリンク24の後側への回動は、係止されており、Pリンク24は、Pロック位置(第1ロック位置)に配置されている。Pリンク24の下部には、第1ロック部としての略矩形板状のロック板24Aが一体に設けられており、ロック板24Aは、後側に突出されて、「P」位置に配置されるレバー20のディテントピン20Dの下側に配置されている。ロック板24Aの上面は、上下方向に略垂直に配置されており、ロック板24Aの上面は、Pリンク24の回動径方向及び「P」位置に配置されるレバー20のディテントピン20Dの移動方向に垂直に配置されている。ロック板24Aの後面は、前方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されており、ロック板24Aの後面は、レバー20(ディテントピン20Dを含む)の回動径方向に対し傾斜されている。
【0038】
Pリンク24の前側には、中間部材としての略逆T字形板状の中間リンク26が設けられており、中間リンク26は、下部が略前後方向に延伸されると共に、上部において前後方向に回動可能に支持されている。中間リンク26の後端部は、Pリンク24の下部に機械的に連結されており、中間リンク26の回動は、Pリンク24によって係止されている。中間リンク26の後端部は、Pリンク24の下部に対し回転可能かつスライド可能にされており、中間リンク26が前側に回動されて、Pリンク24が中間リンク26によって前側に回動される。
【0039】
Pリンク24の前側には、解除部材としての略逆T字形板状の解除リンク28が設けられており、解除リンク28は、下部が略前後方向に延伸されると共に、上部において所定範囲で前後方向に回動可能に支持されている。解除リンク28の回動中心軸は、中間リンク26の回動中心軸と同一にされており、解除リンク28は、後側に付勢されて、後側への回動が係止されている。解除リンク28の後部には、解除部としての略矩形板状の解除板28Aが設けられており、解除板28Aは、「P」位置に配置されるレバー20のディテントピン20Dの下側に配置されている。解除板28Aの上面は、Pリンク24のロック板24Aの上面の上側において、上下方向に略垂直に配置されており、解除板28Aの上面は、「P」位置に配置されるレバー20のディテントピン20Dの移動方向に垂直に配置されている。解除板28Aの後面は、前方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されており、解除板28Aの後面は、レバー20(ディテントピン20Dを含む)の回動径方向に対し傾斜されると共に、前後方向位置がロック板24Aの後面と略一致されている。
【0040】
解除リンク28の前部には、第1作動装置としての電磁石30が固定されており、電磁石30は、解除リンク28と一体に回動される。Pロックユニット22が作動される際には、電磁石30が通電されることで、電磁石30が発生する磁力により中間リンク26に吸着されて、中間リンク26が解除リンク28と一体回動可能にされる。
【0041】
プレート12の後側には、第2ロック機構としてのNロックユニット32(
図6及び
図7(B)参照)がネジの締結により固定されている。
【0042】
Nロックユニット32には、第2ロック部材としての略長尺板状のNリンク34が設けられており、Nリンク34は、前方へ向かうに従い上方へ向かう方向に延伸されている。Nリンク34は、後端部(下端部)において、所定範囲で左右方向に回動可能に支持されており、Nリンク34は、右側に付勢されて、右側への回動が係止されている。Nリンク34の前部(上部)には、第2ロック部としての略断面U字形板状のロック枠34Aが設けられており、ロック枠34A内は、左側に開放されて、「N」位置に配置されるレバー20のロックピン20Fの右側に対向される。
【0043】
ロック枠34Aの前壁下端には、第1許容部(許容部)としての三角形板状の第1許容板34B(
図8(A)参照)が一体に設けられており、第1許容板34Bは、前側に突出されると共に、左面が後側へ向かうに従い左側へ向かう方向に傾斜されている。ロック枠34Aの後壁下端には、第2許容部(保持部)としての略矩形板状の第2許容板34C(
図10(A)参照)が一体に設けられており、第2許容板34Cは、後側に突出されると共に、左面が前側へ向かうに従い左側へ向かう方向に傾斜されている。
【0044】
Nリンク34の後部の左側には、第2作動装置としてのソレノイド36が設けられており、ソレノイド36のプランジャ36Aは、右方に延出されて、右端部がNリンク34の後部に機械的に連結されている(
図10(A)参照)。プランジャ36Aの右端部は、Nリンク34の後部に対し回転可能かつスライド可能にされており、Nロックユニット32が作動される際には、ソレノイド36が通電されて、ソレノイド36が発生する磁力によりプランジャ36Aを左方に吸引することで、Nリンク34が、プランジャ36Aによって左側に回動されて、Nロック位置(第2ロック位置)に配置される(
図7(A)参照)。
【0045】
図7(A)に示す如く、Pロックユニット22の電磁石30及びNロックユニット32のソレノイド36は、車両の制御装置38に電気的に接続されている。制御装置38には、解除操作部としての車両のブレーキ40が電気的に接続されており、ブレーキ40が乗員により操作されて、車両が制動される。制御装置38には、作動操作部としての車両のNロックスイッチ42が電気的に接続されており、Nロックスイッチ42は、乗員により作動操作及び解除操作を可能にされる。ブレーキ40が操作された際及びNロックスイッチ42が作動操作された際には、制御装置38の制御により電磁石30が通電される(Pロックユニット22が作動される)と共に、制御装置38の制御によりソレノイド36が通電される(Nロックユニット32が作動される)。
【0046】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成のシフト装置10では、レバー20が「P」位置に配置される際に、ブレーキ40が操作されない場合には、Pロックユニット22が作動されずに、電磁石30が通電されないことで、電磁石30が中間リンク26に吸着されずに、中間リンク26が解除リンク28と一体回動可能にされない(
図5(A)参照)。このため、レバー20のノブボタン20Cが操作されて、レバー20のディテントピン20Dが下側に移動される際には、ディテントピン20Dが解除リンク28の解除板28A上面を下側に押圧して、解除リンク28が前側に回動されるものの、中間リンク26が解除リンク28と一体に前側に回動されずに、Pリンク24がPロック位置に配置される。これにより、ディテントピン20Dの下側(解除位置)への移動がPリンク24のロック板24A上面によって規制されることで、ディテントピン20Dがゲート板16のディテント凸部18(前凸部18A)前面に当接されて、レバー20の「P」位置から後側(「R」位置側)への回動がロックされる。
【0048】
一方、レバー20が「P」位置に配置される際に、ブレーキ40が操作された場合には、Pロックユニット22が作動されて、電磁石30が通電されることで、電磁石30が中間リンク26に吸着されて、中間リンク26が解除リンク28と一体回動可能にされる(
図5(B)参照)。このため、ノブボタン20Cが操作されて、ディテントピン20Dが下側に移動される際には、ディテントピン20Dが解除リンク28の解除板28A上面を下側に押圧して、解除リンク28が前側に回動されることで、中間リンク26が解除リンク28と一体に前側に回動されて、Pリンク24が中間リンク26によって前側に回動される。これにより、ディテントピン20Dが、解除リンク28の解除板28Aの後側及びPリンク24のロック板24Aの後側において下側に移動されて、解除位置に配置されることで、ディテントピン20Dがディテント凸部18(前凸部18A及び後凸部18B)の下側を回動可能にされて、レバー20の「P」位置から後側(「R」位置側)への回動がアンロックされる。
【0049】
レバー20が「N」位置に配置される際に、Nロックスイッチ42が作動操作された場合には、Nロックユニット32が作動されて、ソレノイド36が通電されることで、Nリンク34が、ソレノイド36のプランジャ36Aによって左側に回動されて、Nロック位置に配置される(
図7(A)参照)。このため、Nリンク34のロック枠34A内にレバー20のロックピン20Fが配置されることで、ロックピン20Fの前側及び後側への回動がそれぞれロック枠34Aの前壁及び後壁によって規制されて、レバー20の前側(「R」位置側)及び後側(「D」位置側)への回動がロックされる。
【0050】
一方、レバー20が「N」位置に配置される際に、Nロックスイッチ42が作動操作されない(解除操作された)場合には、Nロックユニット32が作動されずに、ソレノイド36が通電されないことで、Nリンク34が左側に回動されない(
図7(B)参照)。このため、ロックピン20Fの前側及び後側への回動が規制されずに、レバー20の前側(「R」位置側)及び後側(「D」位置側)への回動がアンロックされる。
【0051】
ここで、レバー20の「P」位置からの回動とレバー20の「N」位置からの回動とがそれぞれ別々のPロックユニット22とNロックユニット32とによりロックされる。このため、レバー20の「P」位置と「N」位置との位置関係に一致する構成をレバー20に設ける必要をなくすことができ、レバー20のディテントピン20Dとロックピン20Fとの位置関係の自由度を高くできて、レバー20の構成の自由度を高くできる。
【0052】
さらに、レバー20の前側及び後側(外側)にPロックユニット22及びNロックユニット32がそれぞれ配置されている。このため、レバー20の内側にPロックユニット22及びNロックユニット32が配置されないことで、レバー20を小型化できる。
【0053】
しかも、Pロックユニット22がPリンク24を回動させる構成にされると共に、Nロックユニット32がNリンク34を回動させる構成にされている。このため、Pロックユニット22の構成を簡単にできると共に、Nロックユニット32の構成を簡単にできる。
【0054】
また、ブレーキ40が操作された際及びNロックスイッチ42が作動操作された際に、制御装置38の制御によりPロックユニット22(電磁石30)とNロックユニット32(ソレノイド36)とが同時に作動される。このため、制御装置38によるPロックユニット22及びNロックユニット32の制御を簡単にできて、制御装置38の構成を簡単にできる。
【0055】
さらに、Pロックユニット22が作動されれば、レバー20が「P」位置に配置される場合に、レバー20の「P」位置からの回動をアンロックできる。しかも、Nロックユニット32が作動されれば、レバー20が「N」位置に配置される場合に、レバー20の「N」位置からの回動をロックできる。このため、本実施形態では、ブレーキ40が操作された際及びNロックスイッチ42が作動操作された際に、制御装置38が、レバー20のシフト位置とは無関係に、Pロックユニット22(電磁石30)及びNロックユニット32(ソレノイド36)を作動させる。これにより、制御装置38によるPロックユニット22及びNロックユニット32の制御を一層簡単にできて、制御装置38の構成を一層簡単にできる。
【0056】
また、Pロックユニット22が作動された場合及びPロックユニット22が作動されない場合に、Pリンク24がPロック位置に配置される。ここで、Pリンク24がPロック位置に配置された場合に、ノブボタン20Cが操作されてディテントピン20Dが解除位置(下側)に配置される状態で、レバー20が「R」位置から前側(「P」位置側)に回動される際には、ディテントピン20Dが解除リンク28の解除板28A後面及びPリンク24のロック板24A後面を前側に押圧して、解除リンク28及びPリンク24(中間リンク26を含む)が前側に回動される(
図5(B)参照)。このため、ノブボタン20Cの操作が解除されて、ディテントピン20Dが解除板28Aの後側及びロック板24Aの後側において上側に移動されることで、ディテントピン20Dが、規制位置に配置されて、ディテント凸部18(前凸部18A)の前側に配置される(
図5(A)参照)。これにより、Pリンク24がPロック位置に配置された場合でも、レバー20を「R」位置(車両が後進駆動される位置)から「P」位置(車両が駆動されない位置)に回動させることができる。
【0057】
さらに、例えば、Pロックユニット22が作動されてから(Nロックユニット32も作動されてから)早期にレバー20が「P」位置から後側に回動される場合、及び、Nロックユニット32が作動されたまま故障した状態でレバー20が「P」位置から後側に回動される場合には、Nリンク34がNロック位置に配置された状態で、レバー20が「N」位置側に前側から回動される。ここで、Nリンク34がNロック位置に配置された場合に、レバー20が「N」位置側に前側から回動される際には、レバー20のロックピン20FがNリンク34の第1許容板34B左面を後側に押圧して、Nリンク34が右側に回動されることで、レバー20の「N」位置への前側からの回動が許容される(
図8の(A)及び(B)、
図9(A)参照)。このため、レバー20が「N」位置に回動されることで、Nリンク34がソレノイド36のプランジャ36Aによって左側に回動されて、Nリンク34のロック枠34A内にロックピン20Fが配置される(
図9(B)参照)。これにより、Nリンク34がNロック位置に配置された場合でも、レバー20を「R」位置(車両が後進駆動される位置)から「N」位置(車両が駆動されない位置)に回動させることができる。
【0058】
しかも、例えば、Nロックユニット32が作動されたまま故障した状態でレバー20が「S」位置から「D」位置を介して前側に回動される場合には、Nリンク34がNロック位置に配置された状態で、レバー20が「S」位置から「N」位置側に回動される。ここで、Nリンク34がNロック位置に配置された場合に、レバー20が「S」位置から「N」位置側に回動される際には、レバー20のロックピン20FがNリンク34の第2許容板34C左面を右側及び前側に押圧して、Nリンク34が右側に回動されることで、Nリンク34が右側に回動された状態に保持される(
図10(B)参照)。このため、レバー20が「N」位置に回動されることで、Nリンク34がソレノイド36のプランジャ36Aによって左側に回動されて、Nリンク34のロック枠34A内にロックピン20Fが配置される(
図10(C)参照)。これにより、Nリンク34がNロック位置に配置された場合でも、レバー20を「D」位置、「S」位置、「+」位置及び「-」位置(車両が前進駆動される位置)から「N」位置(車両が駆動されない位置)に回動させることができる。
【0059】
また、レバー20の「P」位置から後側への回動がロックされる際には、ディテントピン20Dの下側(レバー20の回動径方向)への移動がPリンク24によって規制される。このため、レバー20の回動径方向への移動荷重が小さいディテントピン20Dの移動を回動可能に支持されて規制可能荷重が小さいPリンク24が規制でき、Pリンク24の損傷を抑制しつつ、ディテントピン20Dの移動を規制できる。
【0060】
さらに、レバー20の「P」位置から後側への回動がロックされる際には、レバー20の回動がゲート板16のディテント凸部18によって規制される。このため、レバー20が「P」位置に配置されて車両を運転していない乗員がレバー20を大荷重で回動させる場合でも、レバー20の大荷重の回動をプレート12に固定されて規制可能荷重が大きいゲート板16(ディテント凸部18)が規制でき、ゲート板16(ディテント凸部18)の損傷を抑制しつつ、レバー20の大荷重の回動を規制できる。
【0061】
また、レバー20の「N」位置からの回動がロックされる際には、レバー20(ロックピン20F)の回動がNリンク34によって規制される。このため、レバー20が「N」位置に配置されて車両を運転している乗員がレバー20を回動させる荷重が小さいことで、レバー20の小荷重の回動を回動可能に支持されて規制可能荷重が小さいNリンク34が規制でき、Nリンク34の損傷を抑制しつつ、レバー20の回動を規制できる。
【0062】
なお、本実施形態では、レバー20(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体がスライドされてもよい。
【0063】
さらに、本実施形態では、第1シフト位置が「P」位置にされると共に、第2シフト位置が「N」位置にされる。しかしながら、第1シフト位置及び第2シフト位置の少なくとも1つが「P」位置及び「N」位置以外のシフト位置にされてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、シフト装置10がコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10がインストルメントパネル又はステアリングコラムに設置されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10・・・シフト装置、20・・・レバー(シフト体)、22・・・Pロックユニット(第1ロック機構)、24・・・Pリンク(第1ロック部材)、32・・・Nロックユニット(第2ロック機構)、34・・・Nリンク(第2ロック部材)、34B・・・第1許容板(許容部)(保持部)、34C・・・第2許容板(保持部)