(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】携帯型印字装置及び印字プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 3/28 20060101AFI20241224BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B41J3/28
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2021042966
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】324006865
【氏名又は名称】理想テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】清本 博史
(72)【発明者】
【氏名】日吉 唯
(72)【発明者】
【氏名】深沢 大志
(72)【発明者】
【氏名】北脇 崇也
(72)【発明者】
【氏名】石川 大介
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-233944(JP,A)
【文献】特開昭63-053084(JP,A)
【文献】特開2018-052099(JP,A)
【文献】特開2020-029044(JP,A)
【文献】特開2008-194905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/28
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字項目を記憶するメモリと、
熱変色インクを吐出するノズル列が設けられたインクジェットヘッドと、
前記メモリに記憶している印字項目の情報を前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出する制御を行うプロセッサと、
を備える携帯型印字装置であって、
印字枠を構成する複数の罫線の内の第1の罫線を検出するスタート位置検出センサと、
前記スタート位置検出センサによって検出された
前記第1の罫線からの前記携帯型印字装置の移動距離を検出する移動量検出センサと、
を更に備え、
前記インクジェットヘッド
の前記ノズル列の長さは
、前記印字枠内に印字するキャラクタの前記第1の罫線の方向の長さよりも長く、
前記プロセッサは
、前記移動量検出センサが一定距離の移動量をカウントした時に
、前記メモリに記憶している印字項目の情報
に基づくキャラクタが前記印字枠内の前記第1の罫線の方向における中央配置で印字されるように、前記インクジェットヘッドから
前記熱変色インクを吐出
する制御を行う、
携帯型印字装置。
【請求項2】
前記プロセッサは複数の印字項目を印字する制御をするものであって、
前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し第1の印字項目を印字した後、前記移動量検出センサが
所定距離の移動量をカウントした時に前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し、前記第1の印字項目とは異なる第2の印字項目を連続印字する
請求項1記載の携帯型印字装置。
【請求項3】
前記吐出されたインクを消色する加熱部を備えた請求項1または請求項2記載の携帯型印字装置。
【請求項4】
携帯型印字装置
のプロセッサによって実行された際に、前記プロセッサに
位置検出センサを介して
印字枠を構成する複数の罫線の内の第1の罫線を検出させる機能と、
移動量検出センサを介して
前記第1の罫線からの前記携帯型印字装置の移動距離を検出させる機能と
、
前記移動量検出センサが一定距離の移動量をカウントした時に
、メモリに記憶している印字項目情報
に基づくキャラクタが前記印字枠内の前記第1の罫線の方向における中央配置で印字されるように、前記印字枠内に印字するキャラクタの前記第1の罫線の方向の長さよりも長いノズル列が設けられたインクジェットヘッドから熱変色インクを吐出する制御を行う機能と
を実現させるための印字プログラム。
【請求項5】
前記携帯型印字装置の前記プロセッサによって実行された際に、前記プロセッサに
複数の印字項目を印字する制御をさせるものであって、
前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し第1の印字項目を印字した後、前記移動量検出センサが
所定距離の移動量をカウントした時に前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し、前記第1の印字項目とは異なる第2の印字項目を連続印字する
制御を行う機能
を実現させるための請求項4記載の印字プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、携帯型印字装置及び印字プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
書き換え可能な記録媒体を通い箱などから記録媒体をはがさずに書き換えを行うものにレーザー書換装置がある。
従来のレーザー書換装置は搬送用ベルトコンベアで記録媒体のついた通い箱などを搬送しつつ記録媒体の表面情報を読み取り消色と書き換えを行う。
上述したレーザー書換装置は記録媒体のついた通い箱を搬送しつつ消色と書き換えを行うため搬送用ベルトコンベアが不可欠となる。そのためその場で書き換えを行うといった書き換えができず、搬送用ベルトコンベアが付いたレーザー書換装置にまで持っていき書き換えを行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、小型で、かつその場で記録媒体に書き換え可能な携帯型印字装置及び印字プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の携帯型印字装置は、メモリと、インクジェットヘッドと、プロセッサと、スタート位置検出センサと、移動量検出センサを持つ。メモリは印字項目を記憶する。インクジェットヘッドは、熱変色インクを吐出するノズル列が設けられている。プロセッサは、前記メモリに記憶している印字項目の情報を前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出する制御を行う。スタート位置検出センサは、印字枠を構成する複数の罫線の内の第1の罫線を検出する。移動量検出センサは前記スタート位置検出センサによって検出された前記第1の罫線からの前記携帯型印字装置の移動距離を検出する。前記インクジェットヘッドの前記ノズル列の長さは、前記印字枠内に印字するキャラクタの前記第1の罫線の方向の長さよりも長い。前記プロセッサは、前記移動量検出センサが一定量の移動量をカウントした時に、前記メモリに記憶している印字項目の情報に基づくキャラクタが前記印字枠内の前記第1の罫線の方向における中央配置で印字されるように、前記インクジェットヘッドから前記熱変色インクを吐出する制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態における携帯型印字装置1のハードウェアの構成の一例を示すブロック図
【
図2】第1の実施形態におけるラベルの全体構成の一例を示す全体図
【
図3】第1の実施形態における印字実行時の処理を示すフローチャート
【
図4】第2の実施形態におけるラベルの全体構成の一例を示す全体図
【
図5】第2の実施形態における印字実行時の処理を示すフローチャート
【
図6】第2の実施形態における印字実行時の処理を示すサブフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態について図面を参照にしながら説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
本実施形態は工場などで用いられる通い箱に貼付された記録媒体であるラベルに印字する例を挙げて説明する。
【0009】
図1は第1の実施形態における携帯型印字装置1のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。携帯型印字装置1は外部I/F(Interface)6、CPU(CentralProcessing Unit)7、ROM(Read Only Memory)8、RAM(Random Access Memory)9、センサ制御回路10、スタート位置検出センサ11、移動量検出センサ12、操作パネル制御回路13、操作パネル14、印字ボタン14a、ヘッド駆動回路15、インクジェットヘッド16を備えている。CPU7、ROM8,RAM9、センサ制御回路10、操作パネル制御回路13およびヘッド駆動回路15はバス17を通じて接続する。スタート位置検出センサ11および移動量検出センサ12はセンサ制御回路10に接続している。印字ボタン14aを含む操作パネル14は操作パネル制御回路13に接続している。インクジェットヘッド16はヘッド駆動回路15に接続している。
【0010】
外部I/F6は携帯型印字装置1と不図示の印字情報送信端末間の送受信を行う。外部I/F6と印字情報送信端末の接続方法は有線または無線のどちらでも問わない。外部I/F6は不図示の印字情報送信端末から送信された印字情報等の受信を行う。外部I/F6は印字情報送信端末から送信された印字情報をRAM9に入力する。RAM9は記憶部でもある。
【0011】
CPU7は携帯型印字装置1全体の制御を行う。CPU7はROM8などに保存されたプログラムに従って様々な処理を実行する。CPU7はRAM9に保存された印字情報をもとに指定された距離から印字を実行するように制御する。
【0012】
RAM9は外部I/F6が入力した印字情報、通い箱に貼付されたラベル20の罫線から検出した枠線21等を保存する。ROM8は各部が処理に用いるデータなどを記憶する。
【0013】
センサ制御回路10はスタート位置検出センサ11及び移動量検出センサ12の制御を行う。
【0014】
スタート位置検出センサ11は例えば投光部と受光部で構成された光学センサである。スタート位置検出センサ11はノズル列の配列方向の平行に所定量離れた位置に配置しているスタート位置検出センサはノズル列の一端側から他端側迄の長さより長い部分に位置している。ノズル列長より長い距離に渡り配置しているので、印字枠21の上端やコーナが検知できる。検知できた印字枠21の上端やコーナが制御する基準点となる。スタート位置検出センサ11は投光部から電磁波を通い箱に貼付されたラベル20に向けて投光し、ラベル20の表面から反射した反射光を受光部で受光し、ラベル20の表面情報を電気信号に変換する。スタート位置検出センサ11は所定の罫線の端を検出する。
【0015】
移動量検出センサ12は例えば投光部と受光部で構成された光学センサである。移動量検出センサ12は携帯型印字装置1が通い箱に貼付されたラベル上を移動する距離を検出する。移動量検出センサ12はスタート位置検出センサ11によって検出された罫線の端からの移動距離を検出する。また、一時的視覚情報を印字開始後に次のドット出力のタイミングの制御にも利用している。
【0016】
操作パネル制御回路13は操作パネル14の制御を行う。
【0017】
ヘッド駆動回路15はインクジェットヘッド16の動作を制御する。
【0018】
インクジェットヘッド16はヘッド駆動回路15に制御されてインクを吐出することで印字を行う。インクジェットヘッド16はキャラクタの高さ方向のドット個数上のノズルを備えたノズル列を有する。インクジェットヘッド16が吐出するインクは例えば、熱によって視覚的に消色する熱変色インクである。熱変色インクの消色とは特定の色から透明の色に変化させる場合も含む。
図2は通い箱に貼付されたラベル20の一例である。このラベル20には通い箱内部に入っている製品のコードを示す製品コード、行先の製造ラインNo.を示す製造ラインNo.、行先対象になる工場コードを示す工場コードの欄が横一例に配置示されている。製品コード、製造ラインNo.工場コードが各項目の下側欄に印字できるように製品コード空欄S1、製造ラインNo.空欄S2、工場コードの空欄S3が設けられている。また、製品コード空欄S1の左側上端部分のコーナを22a、製品コード空欄S1の左側下端部分のコーナを22bと定義する。22aおよび22bはCPU7がスタート位置検出センサ11を介して基準を検出する位置である。
さらにその下には行先の会社を示す行先、デジタル管理するためのQRコード(登録商標)を示すQRコード(登録商標)の欄が一列に示している。また、行先、QRコード(登録商標)が各項目の下側欄に印字できるように行先空欄S4、QRコード(登録商標)の空欄S5が設けられている。各項目が所定の空欄にインクジェットヘッド16によって一時的視覚情報が印字される。
本実施形態において携帯型印字装置1はラベル20の印字領域S1乃至S5に印字する。
【0019】
図3は携帯型印字装置1の印字動作の処理を説明するフローチャートである。本フローチャートは
図2に示すラベル20における印字領域S1を印字する例を示す。
CPU7は印字ボタン13を介し印字情報送信端末2から送信された印字情報についての印字を行う命令を受けたか否かを判断する。(ACT1)。CPU7は、印字を受けていないと判断したならば(ACT1のNo)、所定後に再びACT1の判断を行う。CPU7は、印字を受けたと判断したならば(ACT1のYES)、CPU7はスタート位置検出センサ11が光学センサを用いて印字枠21を検出したか否かを判断する(ACT2)。CPU7はスタート位置検出センサ11によって印字枠21を検出できなかった場合は再度スタート位置検出センサ11を制御して印字枠21の検出動作を行う(ACT2のNO)。CPU7はスタート位置検出センサ11によって印字枠21を検出できなかった場合(ACT2のNO)は、所定時間後に再度スタート位置検出センサ11を制御して印字枠21の検出をしたか否かを判断する。CPU7は印字枠21を検出したならば(ACT2のYES)、印字枠21の情報をRAM9に記憶するとともに、RAM9に記憶された印字枠21から所定の罫線の端部(コーナ)を検出する(ACT3)。この罫線の端部(コーナ)は携帯型印字装置1の移動距離を検出するための開始位置となる基準22a及び22bである。CPU7は基準22として基準22a及び基準22bの2か所を検出する。CPU7は移動量検出センサ12によるカウントを行い、移動量検出センサ12を介して、基準22aおよび22bからの所定距離相当をカウントしたならばの検出処理をおこなう(ACT4)。すなわち、CPU7は移動量検出センサ12を介してスタート位置検出センサ11が検出した罫線の端部である基準22a及び基準22bから移動距離を検出する。CPU7は移動量検出センサ12が一定量(距離)の移動距離を検出するとカウンタが所定値に達しているかを判断する(ACT5)。CPU7はカウンタでカウントしている数値が所定値に達していなければ(ACT5のNO)、カウンタのカウントを1つ加算する(ACT6)。CPU7はカウンタでカウントしている数値が所定値に達しているならば(ACT5のYES)、印字を行うための処理に移行する。すなわち、CPU7はヘッド駆動回路15を介してインクジェットヘッド16が印字領域S1に一時的視覚情報を出力するようにRAM9に記憶している印字項目の情報を熱変色インクで吐出する制御する(ACT7)。尚、所定値は不図示の印字情報送信端末から送られた印字情報内で設定されている。CPU7は印字領域S1に一時的視覚情報を印字した後、処理を終了する。
第1の実施の形態では、製品コードの項目のみの印字である印字領域S1に一時的視覚情報を印字する場合について説明をした。同様に特定の項目のみ一時的視覚情報を印字する場合も同様であるので、印字領域S2乃至S5のいずれかの項目について印字する場合の説明は省略する。
【0020】
各項目の印字は熱によって視覚的に消色する熱変色インクを用いたので、通い箱を次の行先表示する際は、ヒーターを有するドライヤで消色してもよい。ヒーターは携帯型印字装置1内に加熱部として備えたものでもよいし、携帯型印字装置1とは別体のドライヤで実現させてもよい。また、携帯型印字装置1の角を利用して摩擦熱によって消色することもできる。さらに、携帯型印字装置1に消色用のラバーを設けて印字を消色することでもよい。
上記第1の実施の形態では携帯型印字装置で印字をするので、通い箱をレーザー書換装置は搬送用ベルトコンベアに持っていき変更することなく対応することが出来る。また、熱によって消色するインクを用いているので、ドライヤなのどの小型機器で対応出来たり携帯型印字装置を用いて消色できたりするので、これも搬送用ベルトコンベアで対応する必要もない。
第1の実施の形態では、スタート位置検出センサ11および移動量検出センサ12を個別のセンサで説明をしたが、共通のセンサで行ってもよい。この場合、移動量検出センサ12はスタート位置検出センサ11と同様に投光部と受光部で構成される。スタート位置検出センサ11は、ノズル列と並行方向で携帯型印字装置1が動くことでノズル列の領域と同じ領域を通過させているので、例えば罫線の上端やコーナを検知できる。スタート位置検出センサがノズル列長より長いので、印字枠の高さが予め解っておりノズル長がキャラクタの高さ分より多く備えているならば、枠内高さの中央に印字制御させることも可能である。また、スタート位置検出センサ11はラインCCDセンサユニットを用いて実現してもよい。前述の構成例の他に移動量検出センサ12は投光部と受光部とスリットを有する回転円盤で構成されたロータリーエンコーダで構成されていても良い。
第1の実施の形態では、印字して枠のコーナを検出する例で説明をしたが、ラベルの右端の罫線を検知する制御でもよい。右端の罫線で制御する場合は、ノズル列と直交する仮想線がスタート位置検出センサ11とノズル列を含むことが必要である。ラベルの右端の罫線を検知するタイプのスタート位置検出センサ11を用いた場合、スタート位置検出センサ11の小型化に出来るので、携帯型印字装置では有効である。
移動量検出センサ12は、光線を直接ラベルに投光する光学センサタイプであるので、印字ドット間の粒度の細かな位置制御にも有効である。
【0021】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態の各部について、第1の実施形態の
図1携帯型印字装置の各部と同一部分は同一符号で示す。また、第1の実施形態の同様動作(作用)部分についても同一符号を付して説明をする。この第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は一度の印字動作で連続した印字領域を印字する点である。
本実施形態では
図4に記載された印字領域S1乃至S3を一度の印字動作で連続して印字する処理を例として挙げて説明する。つまり、第2の実施形態における携帯型印字装置1が
図4記載のラベル20の表面上に形成された一列に並んでいる製品コード、製造ラインNo.工場コードの3つの項目を印字する場合について説明する。
図4に示すラベルは
図2のコーナ22aおよび22bを22a(1)および22b(1)に変更している。また新たに項目の製造ラインNo.の左上下端部(コーナ)に22a(2)および22b(2)を追加している。また、新たに項目の工場コードの左上下端部(コーナ)に22a(3)および22b(3)を追加している。
【0022】
第2の実施形態での印字動作実行時の処理について
図5および
図6のフローチャートを用いて説明する。
CPU7は、印字を受けたと判断したならば(ACT1のYES)、変数iを1にセットする(ACT10)。CPU7は第1項目印字動作である製品コードの印字動作を行う(ACT11)。第1項目印字動作の詳細は、第i項目印字動作として
図6で後述する。CPU7は第1項目印字動作が終了したならば、変数iを1増加する(ACT20)。CPU7は第2項目印字動作である製造ラインNo.の印字動作を行う(ACT21)。第2項目印字動作の詳細は、第i項目印字動作として
図6で後述する。CPU7は第2項目印字動作が終了したならば、変数iを1増加する(ACT30)。CPU7は第3項目印字動作である工場コードの印字動作を行う(ACT31)。第3項目印字動作の詳細は、第i項目印字動作として
図6で後述する。CPU7は第3項目印字動作が終了したならば、横一列で印字する総ての印字が完了するので、動作を終了する。このように第2の実施形態では連続して横一列の複数の印字項目を印字する。
次に
図6のサブフローを用いて、第1乃至第3項目印字を第i項目印字項目として説明をする。
CPU7はスタート位置検出センサ11が光学センサを用いて印字枠21を検出したか否かを判断する(ACT2)。
CPU7はスタート位置検出センサ11によって印字枠21を検出できなかった場合(ACT2のNO)は、所定時間後に再度スタート位置検出センサ11を制御して印字枠21の検出をしたか否かを判断する。CPU7は印字枠21を検出したなら(ACT2のYES)ば、印字枠21の情報をRAM9に記憶するとともに、RAM9に記憶された印字枠21から所定の罫線の端部(コーナ)を検出する(ACT40)。この罫線の端部(コーナ)は携帯型印字装置1の移動距離を検出するための開始位置となる基準22a(i)及び22b(i)である。CPU7は基準22として基準22a(i)及び基準22b(i)の2か所を検出する。CPU7は移動量検出センサ12によるカウントを行い、移動量検出センサ12を介して、基準22a(i)および22b(i)からの所定距離相当をカウントしたならば検出処理をおこなう(ACT41)。すなわち、CPU7は移動量検出センサ12を介してスタート位置検出センサ11が検出した罫線の端部である基準22a(i)及び基準22b(i)から移動距離を検出する。CPU7は移動量検出センサ12が一定量の移動距離を検出するとカウンタが所定値に達しているかを判断する(ACT5)。CPU7はカウンタでカウントしている数値が所定値に達していなければ(ACT5のNO)、カウンタのカウントを1つ加算する(ACT6)。CPU7はカウンタでカウントしている数値が所定値に達しているならば(ACT5のYES)、印字を行うための処理に移行する。すなわち、CPU7はヘッド駆動回路15を介してインクジェットヘッド16が印字領域S(i)に一時的視覚情報を出力するようにRAM9に記憶している印字項目(i)の情報を制御する(ACT7)。
CPU7は印字領域S(i)に一時的視覚情報を印字した後、
図5のメインフローチャートに戻る。i=1の場合が製品コード印字であり、i=1の場合が製品コードの印字であり、i=1の場合が製品ラインNo.の印字であり、i=1の場合が工場コードの印字である。すなわちiの数値によって印字項目情報が異なる。
「行先」「QRコード(登録商標)」の行についても動作が共通であるので説明を省略する。
第2の実施例においては項目ごとに基準位置を検知して基準位置を決定して印字したが、基準位置の決定は最初の1か所のみで以降は移動量検出センサのカウントで印字位置を決定する制御であってもよい。
【0023】
この構成においても第1の実施形態と同様に、携帯型印字装置で印字することにより通い箱をレーザー書換装置の搬送用ベルトコンベアに持っていき変更することなく対応することができる。
また、一度の印字動作で複数の項目を印字できるため効率よく記録媒体への書き換えが可能である。
【0024】
第1の実施形態および第2の実施形態では、工場などで用いられる通い箱に貼付されたラベルに印字する例で説明をしたが、記録媒体はこれに限らない。例えば、社内便、行先明示版、工事用黒板などに適用することも可能である。また実施の形態では携帯型印字装置を載置された通い箱に対して水平方向移動の場合で説明をしたが、垂直方向に移動する場合でも対応可能である。
【0025】
なお、第1の実施形態および第2の実施形態で説明した携帯型印字装置1は印字情報送信端末2より送信された印字情報などをもとに印字の処理を行うが、これに加えてラベル20上にマークを印字し、消色回数を記録するようにしてもよい。このマークは、変色インクにより印字されたラベル20が何回消色されたか、あるいは何回印字されたかを示す。例えば、記録されるマークは、消色回数をブロック数、あるいはバーコード、数字などを用いても良い。記録媒体の消色回数の上限値は例えば8回である。なお、上限値は8回に限らず、ラベル20の特性を考慮して消色回数の上限値を設定するとよい。マークは不図示の読取部により読み取られる。CPU7は読取部が読取結果から消色回数を判断する。消色および印字が繰り返され、消色の上限値を超えた場合、CPU7は、印字の制限を行い、印字処理を終了するようにしてもよい。なお、消色回数を記録するマークを印字するインクは、熱変色インクを用いて、過去に記録したマークを一度消色し、新たにマークを記録し直しても良い。また、マークの印字に熱変色しないインクを用いる場合は、例えば消色回数をブロック数として表し、消色する度に追加でブロックを記録するか、記録済マークを塗り潰して異なる位置に新たにマークを記録しても良い。熱変色インクによる印字で、ラベル20の再利用回数または消色回数が多くなると、消色が不十分になることがあるが、このように消色回数の制限を設けることで、消色残りを抑制することができる。
【0026】
本実施形態では、装置内部に発明を実施する機能が予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様の機能をネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、光ディスク等のプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0027】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 印字項目を記憶するメモリと、
罫線の端を検出するスタート位置検出センサと、
前記スタート位置検出センサによって検出された罫線の端からの移動距離を検出する移動量検出センサと、
熱変色インクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記移動量検出センサが一定距離の移動量をカウントした時に前記メモリに記憶している印字項目の情報を前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出する制御を行うプロセッサと、
を備える携帯型印字装置。
[2] 前記プロセッサは複数の印字項目を印字する制御をするものであって、
前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し第1の印字項目を印字した後、前記移動量検出センサが前記所定距離の移動量をカウントした時に前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し、前記第1の印字項目とは異なる第2の印字項目を連続印字する[1]記載の携帯型印字装置。
[3] 前記吐出されたインクを消色する加熱部を備えた[1]または[2]記載の携帯型印字装置。
[4] 携帯型印字装置に
位置検出センサを介して罫線の端を検出させる機能と、
移動量検出センサを介して前記スタート位置検出センサによって検出された罫線の端からの移動距離を検出させる機能と。
インクジェットヘッドと、
前記移動量検出センサが一定距離の移動量をカウントした時にメモリに記憶している印字項目情報をインクジェットヘッドから熱変色インクを吐出する制御を行う機能とを実現させるための印字プログラム。
[5] 複数の印字項目を印字する制御をさせるものであって、
前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し第1の印字項目を印字した後、前記移動量検出センサが前記所定距離の移動量をカウントした時に前記インクジェットヘッドから熱変色インクを吐出し、前記第1の印字項目とは異なる第2の印字項目を連続印字する[4]記載の印字プログラム。
【符号の説明】
【0028】
1…携帯型印字装置
2…印字情報送信端末
7…プロセッサ
11…スタート位置検出センサ
12…移動量検出センサ
16…インクジェットヘッド
20…ラベル
21…印字枠
22a(1)…基準
22b(1)…基準
22a(2)…基準
22b(2)…基準
22a(3)…基準
22b(3)…基準