(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ベーパライザシステム
(51)【国際特許分類】
F17C 7/04 20060101AFI20241224BHJP
E01H 5/10 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
F17C7/04
E01H5/10 Z
(21)【出願番号】P 2021050955
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋隆
(72)【発明者】
【氏名】庄野 幸司
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159566(JP,A)
【文献】特開2011-032730(JP,A)
【文献】特開2021-004636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 7/04
E01H 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の燃料ガスを貯蔵するガス容器と、
前記ガス容器からの液状の燃料ガスを導入して加熱により気化させるベーパライザと、
液状の燃料ガスを加熱する熱源機と、
前記熱源機から前記ベーパライザに媒体を直接供給する第1通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に直接戻す第2通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に戻し、かつ、一部が地中を経由する第1地中配管と、
前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通及び、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通を切り替える第1切替弁と、
前記第2通常配管の温度である第2通常配管温度を測定する第1温度センサと、
前記第2通常配管温度に応じて前記第1切替弁を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第2通常配管温度が第1所定温度以上である場合に、前記第1切替弁により前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通から、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通に切り替えることを特徴とするベーパライザシステム。
【請求項2】
液状の燃料ガスを貯蔵するガス容器と、
前記ガス容器からの液状の燃料ガスを導入して加熱により気化させるベーパライザと、
液状の燃料ガスを加熱する熱源機と、
前記熱源機から前記ベーパライザに媒体を直接供給する第1通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に直接戻す第2通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に戻し、かつ、一部が地中を経由する第1地中配管と、
前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通及び、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通を切り替える第1切替弁と、
外気温度を測定する第2温度センサと、
地中温度を測定する第3温度センサと、
前記外気温度及び前記地中温度の外気地中温度差に応じて前記第1切替弁を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記外気地中温度差が第1所定温度差以上の場合に、前記第1切替弁により前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通から、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通に切り替えることを特徴とするベーパライザシステム。
【請求項3】
液状の燃料ガスを貯蔵するガス容器と、
前記ガス容器からの液状の燃料ガスを導入して加熱により気化させるベーパライザと、
液状の燃料ガスを加熱する熱源機と、
前記熱源機から前記ベーパライザに媒体を直接供給する第1通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に直接戻す第2通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に戻し、かつ一部が地中を経由する第1地中配管と、
前記熱源機から前記ベーパライザに媒体を供給し、かつ、一部が地中を経由する第2地中配管と、
前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通及び、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通を切り替える第1切替弁と、
前記熱源機と前記第1通常配管との連通及び、前記熱源機と前記第2地中配管との連通を切り替える第2切替弁と、
前記第2通常配管の温度である第2通常配管温度を測定する第1温度センサと、
前記第2通常配管温度に応じて、前記第1切替弁および前記第2切替弁を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第2通常配管温度が第2所定温度以上の場合に、
前記第1切替弁により前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通から、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通に切り替え、かつ、前記第2切替弁により前記熱源機と前記第1通常配管との連通から、前記熱源機と前記第2地中配管との連通に切り替え、
前記第2通常配管温度が前記第2所定温度よりも低い第3所定温度以上の場合に、
前記第2切替弁により前記熱源機と前記第1通常配管との連通から、前記熱源機と前記第2地中配管との連通に切り替え、
前記第2通常配管温度が前記第3所定温度よりも低い第4所定温度以上の場合に、
前記第1切替弁により前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通から、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通に切り替える
ことを特徴とするベーパライザシステム。
【請求項4】
液状の燃料ガスを貯蔵するガス容器と、
前記ガス容器からの液状の燃料ガスを導入して加熱により気化させるベーパライザと、
液状の燃料ガスを加熱する熱源機と、
前記熱源機から前記ベーパライザに媒体を直接供給する第1通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に直接戻す第2通常配管と、
前記ベーパライザから排出される媒体を前記熱源機に戻し、かつ一部が地中を経由する第1地中配管と、
前記熱源機から前記ベーパライザに媒体を供給し、かつ、一部が地中を経由する第2地中配管と、
前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通及び、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通を切り替える第1切替弁と、
前記熱源機と前記第1通常配管との連通及び、前記熱源機と前記第2地中配管との連通を切り替える第2切替弁と、
外気温度を測定する第2温度センサと、
地中温度を測定する第3温度センサと、
前記外気温度及び前記地中温度の外気地中温度差に応じて前記第1切替弁と前記第2切替弁を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記外気地中温度差が第2所定温度差以上の場合に、
前記第1切替弁により前記ベーパライザと前記第2通常配管との連通から、前記ベーパライザと前記第1地中配管との連通に切り替えることを特徴とするベーパライザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーパライザシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロパンガス等のLPガスを強制的に気化させるベーパライザが知られている。このようなベーパライザは、電気ヒータやボイラー等の熱源で加熱された温水等の熱媒に液状のLPガスを通過させることで自然気化よりも効率的に気化させる装置である。
【0003】
このようなベーパライザは、各種センサを備え、センサの検出値に基づいて制御を行うようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、雪国などの降雪地帯にベーパライザが設置されている場合は、ベーパライザの定期点検の際に、ベーパライザ周辺に積雪がある場合、点検前に除雪作業が発生し、点検作業における作業効率が悪化してしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ベーパライザの熱媒を降雪地帯の地中配管に流すことで、路面の温度を上げるロードヒーティングに利用することを可能とするベーパライザシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液状の燃料ガスを貯蔵するガス容器と、ガス容器からの液状の燃料ガスを導入して加熱により気化させるベーパライザと、液状の燃料ガスを加熱する熱源機と、熱源機からベーパライザに媒体を直接供給する第1通常配管と、ベーパライザから排出される媒体を熱源機に直接戻す第2通常配管と、ベーパライザから排出される媒体を熱源機に戻し、かつ、一部が地中を経由する第1地中配管と、ベーパライザと第2通常配管との連通及び、ベーパライザと第1地中配管との連通を切り替える第1切替弁と、第2通常配管の温度である第2通常配管温度を測定する第1温度センサと、第2通常配管温度に応じて、第1切替弁を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、第2通常配管温度が第1所定温度以上である場合に、第1切替弁によりベーパライザと第2通常配管との連通から、ベーパライザと前第1地中配管との連通に切り替えることを特徴とする。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液状の燃料ガスを貯蔵するガス容器と、ガス容器からの液状の燃料ガスを導入して加熱により気化させるベーパライザと、液状の燃料ガスを加熱する熱源機と、熱源機からベーパライザに媒体を直接供給する第1通常配管と、ベーパライザから排出される媒体を熱源機に直接戻す第2通常配管と、ベーパライザから排出される媒体を熱源機に戻し、かつ一部が地中を経由する第1地中配管と、熱源機からベーパライザに媒体を供給し、かつ、一部が地中を経由する第2地中配管と、ベーパライザと第2通常配管との連通及び、ベーパライザと前記第1地中配管との連通を切り替える第1切替弁と、熱源機と第1通常配管との連通及び、熱源機と第2地中配管との連通を切り替える第2切替弁と、第2通常配管の温度である第2通常配管温度を測定する第1温度センサと、第2通常配管温度に応じて、第1切替弁および第2切替弁を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、第2通常配管温度が第2所定温度以上の場合に、第1切替弁によりベーパライザと第2通常配管との連通から、ベーパライザと第1地中配管との連通に切り替え、かつ、第2切替弁により熱源機と第1通常配管との連通から、熱源機と第2地中配管との連通に切り替え、第2通常配管温度が第2所定温度よりも低い第3所定温度以上の場合に、第2切替弁により熱源機と第1通常配管との連通から、熱源機と第2地中配管との連通に切り替え、第2通常配管温度が第3所定温度よりも低い第4所定温度以上の場合に、第1切替弁によりベーパライザと第2通常配管との連通から、ベーパライザと第1地中配管との連通に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるベーパライザシステムは、ベーパライザの熱媒を降雪地帯の地中配管に流すことで路面の温度を上げるロードヒーティングに利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるベーパライザシステムの構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるベーパライザシステムの制御フローを示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の変形例におけるベーパライザシステムの制御フローを示す図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態におけるベーパライザシステムの構成図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態におけるベーパライザシステムの制御フローを示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の変形例におけるベーパライザシステムの制御フローを示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態におけるベーパライザシステム1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明におけるベーパライザシステムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態におけるベーパライザシステムの構成図である。
【0013】
第1実施形態におけるベーパライシステム1は、バルク貯槽2と、ベーパライザ3と、熱源機4と、液ガス供給ユニット5と、気化ガス供給ユニット6と、第1圧力スイッチPSW1と、第2圧力スイッチPSW2と、第1切替弁7と、第1温度センサTH1と、第2温度センサTH2と、第3温度センサTH3と、第1配管R1から第9配管R9と、降雪センサ(不図示)と、制御装置9とを備えている。
【0014】
バルク貯槽2は、液状のLPガス(燃料ガス)を貯蔵する大容量容器である。第1配管R1は、バルク貯槽2とベーパライザ3とを液ガス供給ユニット5を介して接続する液相ラインとなる配管である。第1配管R1は、一端にバルク貯槽2の下部が接続され、他端にベーパライザ3の後述する熱交換器32が接続され、液状のLPガスをベーパライザ3に導入するものである。液ガス供給ユニット5は、第1配管R1上に設けてられており、少なくともサーモバルブTV(不図示)を備えている。サーモバルブTVは、ベーパライザ3の温度(温水温度)が一定温度以上である場合に開弁し、一定温度未満である場合に閉弁するものである。
【0015】
ベーパライザ3は、液状のLPガスを導入して加熱により強制気化させるものである。ベーパライザ3は、媒体である温水を利用して強制気化させる温水循環式のものであって、温水槽31と、熱交換器32とを備えている。
【0016】
温水槽31は、温水を貯留する貯留部となるものであり、温水入口31a及び温水出口31bを有している。温水入口31a及び温水出口31bは、それぞれ第2配管R2と第3配管R3とが接続されている。温水槽31は、熱源機4にて加熱された温水を温水入口31aから導入されると共に、気化に利用されて温度低下した温水を温水出口31bから導出され、温水が熱源機4に戻される。
【0017】
第2配管R2は、一端に熱源機4が接続され、他端に温水入口31aが接続されている。
【0018】
第3配管R3は、一端に温水出口31bが接続され、接続部である接点Aにおいて他端に第5配管R5及び第9配管R9が接続されている。
【0019】
第4配管R4は、一端にベーパライザ3の熱交換器32が接続され、他端に気化ガス供給ユニット6が接続されている。第4配管R4は、ベーパライザ3により強制気化されたLPガスを気化ガス供給ユニット6に導入するものである。
【0020】
第5配管R5は、接続部である接点Aにおいて一端に第3配管R3及び第9配管R9が接続され、他端に第1切替弁7が接続されている。
【0021】
熱交換器32は、液状のLPガスを導入し、導入した液状のLPガスを温水槽31内の温水により加熱気化させるものである。熱交換器32は、温水槽31内においてコイル状に設けられており、一端に第1配管R1が接続され、他端に第4配管R4が接続されている。液状のLPガスは、熱交換器32に導入され、熱交換器32の内部を一端から他端まで移動する際において周囲の温水によって強制気化されて、ベーパライザ3から導出されることとなる。
【0022】
熱源機4は、ベーパライザ3に対して温水を導入するために、水を加熱するボイラー等である。熱源機4は、第2配管R2を介して温水をベーパライザ3に導入させる。また、熱源機4は、第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6を介して、ベーパライザ3から導出される温水が導入される。さらに、熱源機4は、温水をベーパライザ3に送り込む動力となるポンプ(不図示)を備えている。熱源機4は、制御装置9と電気的に接続されており、制御装置9により稼働制御が行われる。
【0023】
第6配管R6は、一端に第1切替弁7が接続され、他端に熱源機4が接続されている。
【0024】
第7配管R7は、一端にバルク貯槽2に接続され、他端に気化ガス供給ユニット6が接続された気相ラインである。バルク貯槽2内では液状のLPガスが周囲温度によって気化していく。第7配管R7は、バルク貯槽2の上部に接続されて、周囲温度によって自然的に気化したLPガスを気化ガス供給ユニット6に導入する。
【0025】
気化ガス供給ユニット6は、少なくとも第1調整器PR1(不図示)と、第2調整器PR2(不図示)を備える。第1調整器PR1(不図示)は、バルク貯槽2から第7配管R7を経由して導入されるLPガスを一定圧に調圧するものである。また、第2調整器PR2は、ベーパライザ3から第4配管を経由して導入されるLPガスを一定圧に調圧するものである。第2調整器PR2の出口設定圧力は、第1調整器PR1の出口設定圧力よりも高くされている。このため、液ガス供給ユニット5に設けられたサーモバルブTVが開弁しているときには、液相ラインを通じたLPガスが導入される。気化ガス供給ユニット6は、第8配管R8を介して燃焼機器100にLPガスを供給するものである。
【0026】
第8配管R8は、一端に気化ガス供給ユニット6が接続され、他端に燃焼機器100が接続されている。
【0027】
第1圧力スイッチPSW1は、第7配管R7上に設けられて、第7配管R7における圧力が第1所定圧力未満でオンするものであり、オン時にオン信号を制御装置9に送信するものである。制御装置9は、例えば第1圧力スイッチPSW1からのオン信号を受信すると熱源機4の稼働を開始させる。
【0028】
第2圧力スイッチPSW2は、ベーパライザ3から第4配管を経由して供給されるLPガスの圧力が第2所定圧力未満でオンするものであり、オン時にオン信号を制御装置9に送信するものである。制御装置9は、例えば第2圧力スイッチPSW2からのオン信号を受信するとバルク貯槽2のガス容量が低下した、又は、液ガス供給ユニット内のサーモバルブTVが作動したと判定する。
【0029】
第1切替弁7は、第5配管R5、第6配管R6及び第9配管R9に接続される。第1切替弁7は、第5配管R5と第6配管R6との連通及び、第9配管R9と第6配管R6の連通を切り替える。つまり、第1切替弁7は、ベーパライザ3と後述する第2通常配管との連通及び、ベーパライザ3と後述する第1地中配管との連通を切り替える。第1切替弁7は、制御装置9と電気的に接続されており、制御装置9により切替制御が行われる。
【0030】
第9配管R9は、接続部である接点Aにおいて一端に第3配管R3及び第5配管R5が接続され、他端に第1切替弁7が接続されている。第9配管R9は、配管の一部が地中を経由する。第9配管R9は、通常、ベーパライザ3から熱源機4に導入される温水を地中に導入し、温水の熱を地中に伝熱させる役割を持つ。また、第9配管R9は、ベーパライザ3から接点Aまでの第3配管R3を第5配管R5と共有した構成となっている。
【0031】
ここで、第1実施形態における第1通常配管は第2配管R2で構成され、第2通常配管は第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6で構成され、第1地中配管は第3配管R3、第9配管R9及び第6配管R6で構成される。ここで、本発明における地中配管は、ベーパライザ3の近傍の路面に対応して地中に埋設されている。路面は、例えば、作業員がベーパライザ3の点検作業を行うために歩行する道路である。道路は、例えば、ベーパライザ3のある施設の外からベーパライザ3まで敷設された道路である。
【0032】
第1温度センサTH1は、第3配管R3に設けられ、第2通常配管温度T1を測定する温度センサである。第1温度センサTH1は、制御装置9と電気的に接続されており、第2通常配管温度T1に応じた信号を制御装置9に出力する。
【0033】
第2温度センサTH2は、外気温度T2を測定する温度センサである。第2温度センサTH2は、例えば、ベーパライザ3の外部において、大気に露出した状態で設置されている。第2温度センサTH2は、制御装置9と電気的に接続されており、外気温度T2に応じた信号を制御装置9に出力する。
【0034】
第3温度センサTH3は、地中温度T3を測定する温度センサである。第3温度センサTH3は、例えば、第9配管R9が埋設されている地中において、地中に伝熱される温水の熱の影響が及ばない位置に設置されている。第3温度センサTH3は、制御装置9と電気的に接続されており、地中温度T3に応じた信号を制御装置9に出力する。
【0035】
降雪センサ(不図示)は、制御装置9に電気的に接続されており、通常制御から、路面に雪が積もった場合に、ロードヒーティングにより除雪する除雪制御に切替るための切替タイミングを知らせるものである。降雪センサ(不図示)は、例えば、雪が降り始めることで、雪がセンサに付着した後、溶けて水になったことで降雪を検知するセンサである。また、本実施形態では、降雪センサ(不図示)の様な降雪を検知し切替タイミングを自動で判別するが、これに限定されるものではなく、手動で通常制御から降雪制御に切替えても良い。例えば、通常制御から降雪制御に切替えることは、手動SWやスマートフォンなどの機器の操作機器を用いて行っても良い。
【0036】
制御装置9は、ベーパライザシステム1の全体を制御するものであり、第1切替弁7と、熱源機4とを制御する装置であって、通信部9aと判定部9bを備える。通信部9aは、少なくとも各温度センサTH1~TH3からの信号が入力され、第1切替弁7及び熱源機4に対する制御信号を入出力する。判定部9bは、各温度センサTH1~TH3の測定結果である第2通常配管温度T1、外気温度T2、地中温度T3に応じて、第1切替弁7の切替制御を行う、すなわち通常制御と降雪制御とを切り替える。具体的には、第1切替弁7は、配管パターンAと配管パターンBとを切り替える。
【0037】
ここで、第1実施形態における配管パターンAは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第2配管R2、すなわち第1通常配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を熱源機4に直接戻す第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6、すなわち第2通常配管を経由する経路である。
【0038】
また、第1実施形態における配管パターンBは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第2配管R2、すなわち第1通常配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を地中を経由して熱源機4に戻す第3配管R3、第9配管R9及び第6配管R6、すなわち第1地中配管を経由する経路である。
【0039】
以上のようなベーパライザシステム1は、まず熱源機4が停止している。このとき、ベーパライザ3内の温水の温度は、外気温度T2程度となっており、液ガス供給ユニット5内のサーモバルブTVは閉弁している。
【0040】
ここで、バルク貯槽2内においてLPガスが多く気化している場合は、圧力が高まっていることから、第1圧力スイッチPSW1はオフである。この場合、熱源機4が稼働されることなく、気相ラインとなる第7配管R7及び第8配管R8を経由してLPガスが燃焼機器100に供給、すなわち需要者に供給される。
【0041】
気相ラインとなる第7配管R7及び第8配管R8を経由して多くのLPガスが燃焼機器100に供給されると、バルク貯槽2内の圧力が低下する。このとき、第1圧力スイッチPSW1がオンとなり、制御装置9は、稼働制御により熱源機4を稼働させる。熱源機4が稼働すると、ベーパライザ3内の温水の温度が上昇して液ガス供給ユニット5内のサーモバルブTVが開弁する。これにより、液状のLPガスがベーパライザ3にて強制気化される。強制気化されたLPガスは第4配管R4及び第8配管R8を経由してLPガスが燃焼機器100に供給される。
【0042】
次に、第1実施形態におけるベーパライザシステム1の動作について説明する。
図2は、第1実施形態におけるベーパライザシステム1の制御フローを示す図である。
【0043】
まず、
図2に示すように、制御装置9は、除雪が必要であるか否かを判定する(S101)。ここでは、制御装置9は、降雪センサ(不図示)により降雪を検知したことに基づいて除雪が必要か否かを判定する。
【0044】
次に、制御装置9は、除雪が必要であると判定する(S101=YES)と、ベーパライザ3が稼働しているか否かを判定する(S102)。ここでは、制御装置9は、液ガス供給ユニット5内のサーモバルブTVが開弁した否かを判定する。
【0045】
次に、制御装置9は、ベーパライザ3が稼働していると判定する(S102=YES)と、第2通常配管温度T1がTT1以上であるか否かを判定する(S103)。ここで、TT1は、第1所定温度であり、第1実施形態では、例えば65℃である。
【0046】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT1以上であると判定する(S103=YES)と、配管パターンBとする(S104)。ここでは、制御装置9は、第2通常配管温度T1が第1所定温度TT1以上であると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第1地中配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、地中、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0047】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT2以上であるか否か判定する(S105)。ここで、TT2は、TT1よりも低い温度であり、第1実施形態では、例えば55℃である。
【0048】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT2以上であると判定する(S105=YES)と、配管パターンBを維持する(S104)。
【0049】
また、制御装置9は、除雪が必要でないと判定する(S101=NO)、第2通常配管温度T1がTT1以上でないと判定する(S103=NO)、第2通常配管温度がTT2以上でないと判定する(S105=NO)のいずれかの場合には、配管パターンAとする(S106)。ここでは、制御装置9は、除雪の必要がない、第2通常配管温度T1が第1所定温度TT1未満である、第2通常配管温度T1がTT2未満であるのいずれかであると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第2通常配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0050】
また、制御装置9は、ベーパライザ3が稼働していないと判定する(S102=NO)と、配管パターンBとする(S104)。
【0051】
本実施形態によれば、ベーパライザ3から熱源機4に戻る温水、すなわち地中配管回りの温度よりも高い温度の温水を除雪が必要な路面に対応する地中に埋設されている地中配管に流すことで路面の温度を上げて、ロードヒーティングに利用することが可能となる。
【0052】
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態におけるベーパライザシステム1の他の動作について説明する。
図3は、第1実施形態の変形例におけるベーパライザシステム1の制御フローを示す図である。なお、本変形例の前提として、夏場など降雪がない、すなわち降雪センサ(不図示)により降雪を検知しない場合に実行される。
【0053】
まず、制御装置9は、外気温度T2がTT3以上であるか否か判定する(S110)。ここで、TT3は、本変形例では、例えば5℃である。
【0054】
次に、制御装置9は、外気温度T2がTT3以上であると判定する(S110=YES)と、ベーパライザ3が稼働しているか否かを判定する(S111)。
【0055】
次に、制御装置9は、ベーパライザ3が稼働していると判定する(S111=YES)と、地中温度T3と外気温度T2の温度差である外気地中温度差ΔT1(=T3-T2)がΔTT1以上であるか判定する(S112)。ここで、ΔTT1は、第1所定温度差であり、本変形例では、例えば2℃である。
【0056】
次に、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1がΔTT1以上であると判定する(S112=YES)と、配管パターンBとする(S113)。ここでは、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1が第1所定温度差ΔTT1以上であると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第1地中配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、地中、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0057】
次に、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1がΔTT2以上であるか否か判定する(S114)。ここで、ΔTT2は、ΔTT1よりも低い温度であり、本変形例では、例えば0.5℃である。
【0058】
次に、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1がΔTT2以上であると判定する(S112=YES)と、配管パターンBを維持する(S113)。
【0059】
また、制御装置9は、外気温度T2がTT3以上でないと判定する(S110=NO)、ベーパライザが稼働していないと判定する(S111=NO)、外気地中温度差ΔT1がΔTT1以上でないと判定する(S112=NO)、外気地中温度差ΔT1がΔTT2でないと判定する(S114=NO)のいずれかである場合に、配管パターンAとする(S115)。ここでは、制御装置9は、外気温度T2がTT3未満である、熱源機4が稼働していない、すなわち熱源機4に戻った温水を加熱していない、外気地中温度差ΔT1がΔTT1以上でない、すなわち外気温度T2に対して地中温度T3が温水を加熱できるほど高くない、外気地中温度差ΔT1がΔTT2でない、すなわち外気温度T2に対して地中温度T3が温水を加熱できないのいずれかであると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第2通常配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0060】
本変形例によると、地中熱で、熱源機4に戻る温水の温度を上昇させることが出来るので、温水に対する熱源機4の加熱量を抑制することが出来る。よって、地中熱をベーパライザを加熱するための熱源として利用することが可能となる。
【0061】
また、本変形例では、外気地中温度差ΔT1がΔTT1以下であり、かつ、ベーパライザ3が稼働状態にあれば配管パターンBにより熱源機4からベーパライザ3に温水を供給しても良い。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図4は、第2実施形態におけるベーパライザシステム1の構成図である。第1実施形態で記載されている構成において、同一符号の説明は省略する。
【0063】
第2実施形態におけるベーパライザシステム1は、バルク貯槽2と、ベーパライザ3と、熱源機4と、液ガス供給ユニット5と、気化ガス供給ユニット6と、第1圧力スイッチPSW1と、第2圧力スイッチPSW2と、第1切替弁7と、第2切替弁8と、第1温度センサTH1と、第2温度センサTH2と、第3温度センサTH3と、第1配管R1から第11配管R11と、降雪センサ(不図示)と、制御装置9とを備えている。
【0064】
第2配管R2は、一端に第2切替弁8が接続され、他端に温水入口31aが接続されている。
【0065】
第10配管R10は、一端に熱源機4が接続され、他端に第2切替弁8が接続されている。
【0066】
第11配管R11は、一端に第2切替弁8が接続され、他端に第2配管R2が接続されている。第11配管R11は、配管の一部が地中を経由する。第11配管R11は、通常、熱源機4からベーパライザ3に導入される温水を地中に導入し、温水の熱を地中に伝熱させる役割を持つ。
【0067】
ここで、第2実施形態における第1通常配管は、第10配管R10及び第2配管R2で構成され、第2通常配管は第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6で構成され、第1地中配管は第3配管R3、第9配管R9及び第6配管R6で構成され、第2地中配管は第10配管R10、第11配管R11及び第2配管R2で構成される。
【0068】
第2切替弁8は、第2配管R2、第10配管R10及び第11配管R11に接続される。第2切替弁8は、第10配管R10と第2配管R2との連通及び、第10配管R10と第11配管R11との連通を切り替える。つまり、第2切替弁8は、熱源機4と第1通常配管との連通及び、熱源機4と第2地中配管との連通を切り替える。第2切替弁8は、制御装置9と電気的に接続されており、制御装置9により切替制御が行われる。
【0069】
制御装置9は、各温度センサTH1~TH3の測定結果である第2通常配管温度T1、外気温度T2、地中温度T3に応じて、第1切替弁7及び第2切替弁の切替制御を行う、すなわち通常制御と降雪制御とを切り替える。具体的には、第1切替弁7及び第2切替弁8は、配管パターンAと、配管パターンBと、配管パターンCと、配管パターンDとを切り替える。
【0070】
ここで、第2実施形態における配管パターンAは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第10配管R10及び第2配管R2、すなわち第1通常配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を熱源機4に直接戻す第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6、すなわち第2通常配管を経由する経路である。
【0071】
また、第2実施形態における配管パターンBは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第10配管R10及び第2配管R2を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を地中を経由して熱源機4に戻す第3配管R3、第9配管R9及び第6配管R6、すなわち第1地中配管を経由する経路である。
【0072】
また、第2実施形態における配管パターンCは、熱源機4から供給される温水を地中を経由してベーパライザ3に供給する第10配管R10、第11配管R11及び第2配管R2、すなわち第2地中配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を熱源機4に直接戻す第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6、すなわち第2通常配管を経由する経路である。
【0073】
また、第2実施形態における配管パターンDは、熱源機4から供給される温水を地中を経由してベーパライザ3に供給する第10配管R10、第11配管R11および第2配管R2、すなわち第2地中配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を地中を経由して熱源機4に戻す第3配管R3、第9配管R9及び第6配管R6、すなわち第1地中配管を経由する経路である。
【0074】
次に、第2実施形態におけるベーパライザシステム1の動作について説明する。
図5は、第2実施形態におけるベーパライザシステム1の制御フローを示す図である。
【0075】
まず、
図5に示すように、制御装置9は、除雪が必要であるか否かを判定する(S201)。
【0076】
次に、制御装置9は、除雪が必要であると判定する(S201=YES)と、ベーパライザ3が稼働しているか否かを判定する(S202)。
【0077】
次に、制御装置9は、ベーパライザ3が稼働していると判定する(S202=YES)と、第2通常配管温度T1がTT4以上であるか否かを判定する(S203)。ここで、TT4は、第2所定温度であり、第2実施形態では、例えば65℃である。
【0078】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT4以上であると判定する(S203=YES)と、配管パターンDとする(S204)。ここでは、制御装置9は、第2通常配管温度T1が第2所定温度TT4以上であると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第1地中配管との連通とし、第2切替弁8により熱源機4と第2地中配管との連通とし、熱源機4、地中、ベーパライザ3、地中、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0079】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT4以上でないと判定する(S203=NO)と、第2通常配管温度T1がTT5以上であるか否かを判定する(S205)。ここで、TT5は、第3所定温度であり、TT4よりも低い温度であり、第2実施形態では、例えば60℃である。
【0080】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT5以上であると判定する(S205=YES)と、配管パターンCとする(S206)。ここでは、制御装置9は、第2通常配管温度T1が第3所定温度TT5以上であると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第2通常配管との連通とし、第2切替弁8により熱源機4と第2地中配管との連通とし、熱源機4、地中、ベーパライザ3、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0081】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT5以上でないと判定する(S205=NO)と、第2通常配管温度T1がTT6以上であるか否かを判定する(S207)。ここで、TT6は、第4所定温度であり、TT5よりも低い温度であり、第2実施形態では、例えば55℃である。
【0082】
次に、制御装置9は、第2通常配管温度T1がTT6以上であると判定する(S207=YES)と、配管パターンBとする(S208)。ここでは、制御装置9は、第2通常配管温度T1が第4所定温度TT6以上であると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第1地中配管との連通とし、第2切替弁8により熱源機4と第1通常配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、地中、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0083】
また、制御装置9は、除雪が必要でないと判定する(S201=NO)、ベーパライザが稼働していないと判定する(S202=NO)、第2通常配管温度T1がTT6以上でないと判定する(S207=NO)のいずれかの場合には、配管パターンAとする(S209)。ここでは、制御装置9は、除雪の必要がない、熱源機4が稼働していない、すなわち熱源機4に戻った温水を加熱していない、第2通常配管温度T1が第1所定温度TT6以上でないのいずれかであると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第2通常配管との連通とし、第2切替弁8により熱源機4と第1通常配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0084】
本実施形態によれば、ベーパライザ3から熱源機4に戻る温水、すなわち地中配管回りの温度よりも高い温度の温水を除雪が必要な路面に対応する地中に埋設されている地中配管に流すことで路面の温度を上げて、ロードヒーティングに利用することが可能となる。さらに、温水の温度の変化に応じて、温水を流す配管を切り替えることで、ロードヒーティングの能力を段階的な切り替えることができる。
【0085】
[第2実施形態の変形例]
次に、第2実施形態におけるベーパライザシステム1の他の動作について説明する。
図6は、第2実施形態の変形例におけるベーパライザシステムの制御フローを示す図である。なお、本変形例の前提として、夏場など降雪がない、すなわち降雪センサ(不図示)により降雪を検知しない場合に実行される。
【0086】
まず、制御装置9は、外気温度T2がTT7以上であるか否か判定する(S210)。ここで、TT7は、本変形例では、例えば5℃である。
【0087】
次に、制御装置9は、外気温度T2がTT7以上であると判定する(S210=YES)と、ベーパライザ3が稼働しているか否かを判定する(S211)。
【0088】
次に、制御装置9は、ベーパライザ3が稼働していると判定する(S211=YES)と、地中温度T3と外気温度T2の温度差である外気地中温度差ΔT1(=T3-T2)がΔTT3以上であるか判定する(S212)。ここで、ΔTT3は、第2所定温度差であり、本変形例では、例えば2℃である。
【0089】
次に、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1がΔTT3以上であると判定する(S212=YES)と、配管パターンBとする(S213)。ここでは、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1が第2所定温度差ΔTT3以上であると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第1地中配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、地中、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0090】
次に、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1がΔTT4以上であるか否か判定する(S214)。ここで、ΔTT4は、ΔTT3よりも低い温度であり、本変形例では、例えば0.5℃である。
【0091】
次に、制御装置9は、外気地中温度差ΔT1がΔTT4以上であると判定する(S214=YES)と、配管パターンBを維持する(S213)。
【0092】
また、制御装置9は、外気温度T2がTT3以上でないと判定する(S210=NO)、ベーパライザが稼働していないと判定する(S211=NO)、外気地中温度差ΔT1がΔTT3以上でないと判定する(S212=NO)、外気地中温度差ΔT1がΔTT4でないと判定する(S214=NO)のいずれかである場合に、配管パターンAとする(S215)。ここでは、制御装置9は、外気温度T2がTT3未満である、熱源機4が稼働していない、すなわち熱源機4に戻った温水を加熱していない、外気地中温度差ΔT1がΔTT3以上でない、すなわち外気温度T2に対して地中温度T3が温水を加熱できるほど高くない、外気地中温度差ΔT1がΔTT4でない、すなわち外気温度T2に対して地中温度T3が温水を加熱できないのいずれかであると、第1切替弁7によりベーパライザ3と第2通常配管との連通とし、熱源機4、ベーパライザ3、熱源機4の順番で温水を循環させる。
【0093】
本変形例によると、地中熱で、熱源機4に戻る温水の温度を上昇させることが出来るので、温水に対する熱源機4の加熱量を抑制することが出来る。よって、地中熱をベーパライザを加熱するための熱源として利用することが可能となる。
【0094】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図7は、第3実施形態におけるベーパライザシステム1の構成図である。第1実施形態および第2実施形態で記載されている構成において、同一符号の説明は省略する。
【0095】
第3実施形態におけるベーパライザシステム1は、バルク貯槽2と、ベーパライザ3と、熱源機4と、液ガス供給ユニット5と、気化ガス供給ユニット6と、第1圧力スイッチPSW1と、第2圧力スイッチPSW2と、第1切替弁7と、第2切替弁8と、第3切替弁10と、第1開閉弁11と、第2開閉弁12と、第1温度センサTH1と、第2温度センサTH2と、第3温度センサTH3と、第1配管R1から第13配管R13と、降雪センサ(不図示)と、制御装置9とを備えている。
【0096】
第9配管R9は、接続部である接点Aにおいて一端に第3配管R3及び第5配管R5が接続され、他端に第3切替弁10が接続されている。
【0097】
第12配管R12は、第1バイパス配管であり、一端に第3切替弁10が接続され、他端に第11配管R11のうち地中と第2配管R2までの間が接続されている。
【0098】
第13配管R13は、第2バイパス配管であり、一端に第11配管R11のうち第2切替弁8と地中までの間に接続され、他端に第9配管R9のうち第3切替弁10と第2開閉弁12までの間が接続されており、配管全体が地上に設置されている。
【0099】
第3切替弁10は、第9配管R9の途中に設けられ、第12配管R12に接続される。第3切替弁10は、接点Aに繋がる第9配管R9と、第12配管R12との連通及び、接点Aに繋がる第9配管R9と、第1切替弁7に繋がる第9配管R9との連通を切り替える。つまり、第10切替弁10は、第1地中配管と熱源機4の連通及び、第1地中配管4とベーパライザ3との連通を切り替える。第3切替弁10は、制御装置9と電気的に接続されており、制御装置9により切替制御が行われる。
【0100】
第1開閉弁11は、第13配管R13に設けられており、制御装置9と電気的に接続されており、制御装置9により開閉制御が行われる。第1開閉弁11は、通常制御において、閉弁されている。
【0101】
第2開閉弁12は、第11配管R11に設けられており、制御装置9と電気的に接続されており、制御装置9により開閉制御が行われる。第2開閉弁12は、通常制御において、開弁されている。
【0102】
制御装置9は、各温度センサTH1~TH3の測定結果である第2通常配管温度T1、外気温度T2、地中温度T3に応じて、第1切替弁7、第2切替弁8及び第3切替弁10の切替制御を行う、すなわち通常制御と降雪制御とを切り替える。具体的には、第1切替弁7、第2切替弁8及び第3切替弁10は、配管パターンAと、配管パターンBと、配管パターンCと、配管パターンDと、配管パターンEと、配管パターンFとを切り替える。
【0103】
ここで、第3実施形態における配管パターンAは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第10配管R10及び第2配管R2、すなわち第1通常配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を熱源機4に直接戻す第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6、すなわち第2通常配管を経由する経路である。
【0104】
また、第3実施形態における配管パターンBは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第10配管R10及び第2配管R2を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を地中を経由して熱源機4に戻す第3配管R3、第9配管R9及び第6配管R6、すなわち第1地中配管を経由する経路である。
【0105】
また、第3実施形態における配管パターンCは、熱源機4からベーパライザ3に温水を直接供給する第10配管R10及び第2配管R2を経由し、第1開閉弁11を開弁し、第2開閉弁12を閉弁することで、ベーパライザ3から排出される温水を地中を2回経由して熱源機4に戻す第3配管R3と第9配管R9と第12配管R12と第11配管R11と第13配管R13と第9配管R9と第6配管R6、すなわち第1地中配管及び第2地中配管を経由する経路である。
【0106】
また、第3実施形態における配管パターンDは、熱源機4から供給される温水を地中を経由してベーパライザ3に供給する第10配管R10、第11配管R11及び第2配管R2、すなわち第2地中配管を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を熱源機4に直接戻す第3配管R3、第5配管R5及び第6配管R6、すなわち第2通常配管を経由する経路である。
【0107】
また、第3実施形態における配管パターンEは、熱源機4から温水を地中を経由してベーパライザ3に供給する第10配管R10、第11配管R11及び第2配管R2を経由し、ベーパライザ3から排出される温水を地中を経由して熱源機4に戻す第3配管R3と第9配管R9と第6配管R6を経由する経路である。
【0108】
また、第3実施形態における配管パターンFは、第1開閉弁11を開弁し、第2開閉弁を閉弁することで、熱源機4から供給される温水を2回地中を経由して熱源機4に戻す第10配管R10、第11配管R11、第12配管R12、第9配管R9、第5配管R5及び第6配管R6、すなわち第2地中配管及び第1地中配管を経由する経路である。
【0109】
次に、第3実施形態におけるベーパライザシステム1の動作について説明する。制御装置9は、除雪が必要であると判定し、ベーパライザ3が稼働していると判定し、第2通常配管温度T1がTT8以上であると判定すると配管パターンFとし、第2通常配管温度T1がTT8よりも低い温度であるTT9以上であると判定すると配管パターンEとし、第2通常配管温度T1がTT9よりも低い温度であるTT10以上であると判定すると配管パターンDとし、第2通常配管温度T1がTT10よりも低い温度であるTT11以上であると判定すると配管パターンCとし、第2通常配管温度T1がTT11よりも低い温度であるTT12以上であると判定すると配管パターンBとする。
【0110】
また、制御装置9は、除雪が必要でないと判定する、ベーパライザが稼働していないと判定する、第2通常配管温度T1がTT12以上でないと判定するのいずれかの場合には、配管パターンAとする。
【0111】
本実施形態によれば、ベーパライザ3から熱源機4に戻る温水、すなわち地中配管回りの温度よりも高い温度の温水を除雪が必要な路面に対応する地中に埋設されている地中配管に流すことで路面の温度を上げて、ロードヒーティングに利用することが可能となる。さらに、温水の温度の変化に応じて、温水を流す配管を切り替えることで、ロードヒーティングの能力を段階的な切り替えることができる。また、配管パターンFとすることで、熱源機4から温水に対してベーパライザ3での放熱が無く、除雪能力を高めることが可能となる。
【0112】
なお、上記第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、地中熱で、熱源機4に戻る温水の温度を上昇させる制御を行っても良い。
【0113】
なお、上記第1実施形態および第2実施形態において、第1通常配管と第2通常配管は必ずしもベーパライザ3を介する必要はない。例えば、第1通常配管と第2通常配管との間にバイパスするバイパス管を設けても良い。これにより、ベーパライザへの放熱が無く、除雪能力を高めることが可能となる。
【0114】
なお、本発明におけるすべての実施形態において、ベーパラーザ3は、第7配管R7を介して、周囲温度によって自然的に気化したLPガスを気化ガス供給ユニット6に導入するが、これに限定されるものではなく、第7配管R7を用いず自然的に気化したLPガスを気化ガス供給ユニット6に導入しないベーパラーザであってもよい。
【0115】
なお、本発明におけるすべての実施形態において、ベーパラーザ3の熱交換器32がコイル状に設けられているが、これに限定されるものではなく、プレート式熱交換器であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 ベーパライザシステム
3 ベーパライザ
4 熱源機
7 第1切替弁
8 第2切替弁
9 制御装置
10 第3切替弁
TH1 第1温度センサ
TH2 第2温度センサ
TH3 第3温度センサ
T1 第2通常配管温度
T2 外気温度
T3 地中温度
ΔT1 外気地中温度差
TT1 第1所定温度
TT4 第2所定温度
TT5 第3所定温度
TT6 第4所定温度
ΔTT1 第1所定温度差
ΔTT3 第2所定温度差