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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ボウル付き槽システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/04 20060101AFI20241224BHJP
   E03C 1/18 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
A47K1/04 G
A47K1/04 F
E03C1/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021061525
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157352
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】山本 大助
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-103372(JP,U)
【文献】特開平07-026606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/04
A47K 5/03
E03C 1/18
E03C 1/24
A47B 67/02
日本意匠分類 D5-240
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を有するボウル部と、槽システムの利用に関連する用品・器具を置くトレイ部と、前記ボウル部とトレイ部との間に配設された堰部とを備えた槽システムであって、
前記堰部及び/又はトレイ部は、前記トレイ部の上面につながるオーバーフロー孔が設けられ、該オーバーフロー孔が、前記ボウル部の手前側に居る人から視認できないように構成され、
前記ボウル部と前記トレイ部とを囲繞する周壁部を備え、
前記堰部は、前記ボウル部と前記トレイ部との間において左右の周壁部に亘って形成され、前記ボウル部の右端と左端との間において長く伸び、
前記左右の周壁部の間において伸びる前記堰部の頂きの頂上線の高さは、前記ボウル部およびトレイ部の領域の周壁部の高さより低い、
ボウル付き槽システム
【請求項2】
前記オーバーフロー孔は、隠れるように、前記堰部のトレイ部側に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のボウル付き槽システム。
【請求項3】
前記堰部は、前記ボウル部側に形成された手前側部分と前記トレイ部側に形成された向こう側部分とを備えており、
前記オーバーフロー孔は、前記堰部の向こう側部分に形成されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のボウル付き槽システム。
【請求項4】
槽システムは、前記ボウル部の向こう側に堰部が配設され、更に堰部の向こう側にトレイ部が配設され、
前記周壁部は、ボウル部及びトレイ部の領域においては水が溢れ出ないように、高く形成され、
前記堰部は、前記ボウル部及びトレイ部の領域の周壁部より高さが低く、ボウル部より溢れ出た水が周壁部を超えることなく堰部を越えてトレイ部に流れ込み、堰部の頂部を越えて堰部の向こう側に流れ込む水が、オーバーフロー孔に流れ込み、外部に排水できるように構成されたことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のボウル付き槽システム。
【請求項5】
前記堰部は、前記ボウル部と前記トレイ部との間において形成され、前記ボウル部の右端と左端との間において長く伸びる、断面略倒Uの字型である、請求項1ないし4のいずれかに記載のボウル付き槽システム。
【請求項6】
前記オーバーフロー孔は、前記トレイ部の排水口を兼ねるように構成されたことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のボウル付き槽システム。
【請求項7】
排水口を有するボウル部と、槽システムの利用に関連する用品・器具を置くトレイ部と、前記ボウルとトレイ部との間に配設された堰部とは、一体成形されて、ボウル付き槽体の部分を構成しており、
前記堰部及び/又はトレイ部は、前記トレイ部の上面につながるオーバーフロー孔が設けられ、該オーバーフロー孔が、前記ボウル部の手前側に居る人から視認できないように、堰部により視界が遮られて隠れるように、前記堰部のトレイ部側に形成され、
前記ボウル付き槽体は、前記ボウル部と前記トレイ部と堰部を囲繞する周壁部を備えており、一体成形されている、請求項1ないし6のいずれかに記載のボウル付き槽システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボウル付き槽システムに関し、特に、例えば、洗面ボウルなどの槽を備えた水受け装置などの槽システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗面ボウルは、オーバーフロー孔が洗面ボウルを利用する人が洗面ボウルの前に立つと、視認でき、外観が好ましくない。
そこで、洗面ボウルのオーバーフロー穴を利用者から見えにくくする、外観の良好な洗面ボウルが提案されている(特許文献1)。
また、水受け部の周囲の天板部に、水受け部側が水受け部内に開放された凹入部が形成され、この凹入部の底部にオーバーフロー用水抜き孔が設けられている、水受け部付きカウンターが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-036842号公報
【文献】特許第3443091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の洗面ボウル及び特許文献2の水受け部付きカウンターは、その前に立つ人の位置よってオーバーフロー孔が見えたり見えなかったりする。それゆえに、外観が好ましいとは言い難い。
この発明は、従来の問題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ボウルの前に立つ人がオーバーフロー孔を視認することができないボウル付き槽システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1にかかるボウル付き槽システムは、
排水口を有するボウル部と、槽システムの利用に連する用品・器具を置くトレイ部と、前記ボウル部とトレイ部との間に配設された堰部とを備えた槽システムであって、
前記堰部及び/又はトレイ部は、前記トレイ部の上面につながるオーバーフロー孔が設けられ、
該オーバーフロー孔が、前記ボウル部の手前側に居る人から視認できないように構成されたことを特徴とする。
この発明の請求項2にかかる槽システムは、前記オーバーフロー孔が、隠れるように、前記堰部のトレイ部側に形成されたことを特徴とする。
この発明の請求項3にかかるボウル付き槽システムは、前記堰部が、前記ボウル部側に形成された手前側部分と前記トレイ部側に形成された向こう側部分とを備えており、
前記オーバーフロー孔が、前記堰部の向こう側部分に形成されたことを特徴とする。
この発明の請求項4にかかるボウル付き槽システムは、
前記ボウル部と前記トレイ部とを囲繞する周壁部を備えており、
前記ボウル部の向こう側に堰部が配置され、更に堰部の向こう側にトレイ部が配置され、
前記周壁部が、ボウル部及びトレイ部の領域においては水が溢れ出ないように、高く形成され、
前記堰部が、前記ボウル部及びトレイ部の領域の周壁部より高さが低く、ボウル部より溢れ出た水が周壁部を超えることなくトレイ部に流れ込み、トレイ部側に流れ込むように、堰部の頂部を越えて堰部の向こう側に流れ込む水が、オーバーフロー孔に流れ込み、外部に排水できるように構成されたことを特徴とする。
この発明の請求項5にかかるボウル付き槽システムは、
前記堰部が、前記ボウル部と前記トレイ部との間において形成され、前記ボウル部の右端と左端との間において長く伸びる、断面略倒Uの字型である。
この発明の請求項6にかかるボウル付き槽システムは、
前記オーバーフロー孔が、前記トレイ部の排水口を兼ねるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るボウル付き槽システムは、ボウルの前に立つ人がオーバーフロー孔を視認することができない。
【0007】
この発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施の形態であるボウル付き槽システムの斜視図解図である。
図2図1図示実施の形態のボウル付き槽体の斜視図解図である。
図3図1図示実施の形態のボウル付き槽体の底面側の斜視図解図である。
図4図1図示実施の形態のボウル付き槽体の図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は右側面図解図である。
図5図1図示実施の形態のボウル付き槽体の底面図解図である。
図6図1図示実施の形態のボウル付き槽体の縦断面図解図である。
図7図1図示実施の形態のボウル付き槽体の断面図解図であり、(A)は図4B-B断面図解図であり、(B)は、C-C断面図解図である。
図8図1図示実施の形態のボウル付き槽体の利用方法を示す図解図である。
図9図1図示実施の形態のボウル付き槽システムの斜視図解図である。
図10】本発明にかかるボウル付き槽システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明にかかるボウル付き槽システム10は、ボウル付き槽体12を備えており、
前記槽体12は、排水口を有するボウル部14と、槽システムの利用に関連する用品・器具を置くトレイ部16と、前記ボウル14とトレイ部16との間に配設された堰部18とを備えている。
前記堰部18及び/又はトレイ部16は、前記トレイ部16の上面につながるオーバーフロー孔20が設けられ、該オーバーフロー孔20が、前記ボウル部14の手前側に居る人から視認できないように構成されたことを特徴とする。
【0010】
前記オーバーフロー孔20は、隠れるように、前記堰部18のトレイ部16側に形成されている。
【0011】
前記堰部18は、前記ボウル部14の側に形成された手前側部分と、前記トレイ部16の側に形成された向こう側部分とを備えており、
前記オーバーフロー孔20は、前記堰部18の向こう側部分に形成されている。
【0012】
ボウル付き槽システム10の槽体12は、前記ボウル部14と前記トレイ部16とを囲繞する周壁部22を備えており、
前記ボウル部14の向こう側に堰部18が配設され、更に堰部18の向こう側にトレイ部16が配設され、
前記周壁部22は、ボウル部14及びトレイ部16の領域においては水が溢れ出ないように、高く形成され、
前記堰部18は、前記ボウル部14及びトレイ部16の領域の周壁部22より高さが低く、ボウル部14より溢れ出た水が周壁部22を超えることなく堰部18を越えてトレイ部16に流れ込み、堰部18の頂部を越えて堰部18の向こう側に流れ込む水が、オーバーフロー孔20に流れ込み、外部に排水できるように構成されている。
【0013】
前記堰部18は、前記ボウル部14と前記トレイ部16との間において形成され、前記ボウル部14の右端と左端との間において長く伸びる、断面略倒Uの字型である。
【0014】
前記オーバーフロー孔20は、前記トレイ部16の排水口24を兼ねるように構成されている。
【0015】
(第1の実施の形態)
【0016】
この発明の第1の実施の形態にかかるボウル付き槽システム10は、ボウル付き槽体12を備えている。
【0017】
前記槽体12は、排水口を有するボウル部14と、槽システムの利用に関連する用品・器具を置くトレイ部16と、前記ボウル14とトレイ部16との間に配設された堰部18とを、プラスチック又は陶磁器の原材料により、一体成形されたプラスチック製又は陶磁器製である。
【0018】
前記堰部18は、断面略逆Vの字型であり、山の頂上部部分と、前記ボウル部14の側に形成された手前側の山腹部分と、前記トレイ部16の側に形成された向こう側のふもと、即ち裾部分とを備えている。
堰部18は、頂上から麓に至る傾斜が、手前側より向こう側の方が急であり、向こう側の傾斜は急峻である。
【0019】
前記堰部18及び/又はトレイ部16は、堰部18の裾の部分であって、前記トレイ部16の上面につながるオーバーフロー孔20が設けられている。
前記オーバーフロー孔20は、前記堰部18の向こう側の裾部分に形成されている。
該オーバーフロー孔20は、堰部18の前記ボウル部14の手前側に居る人から視認できないように構成されている。
即ち、前記オーバーフロー孔20は、隠れるように、前記堰部18の向こう側にあるトレイ部16側に形成されている。
オーバーフロー孔20は、トレイ部16と堰部18との境界線W2上において、境界線W2に沿って幅方向にのびる長孔である。
【0020】
ボウル付き槽体12は、前記ボウル部14と前記トレイ部16とを囲繞する周壁部22を備えている。
前記周壁部22は、前記ボウル部14の向こう側に堰部18が配設され、更に堰部18の向こう側にトレイ部16が配設されるように、ボウル部14の周縁部分と、堰部18の左右両端の縁部分と、トレイ部16の周縁部分と連接されて、一体化されている。
【0021】
前記周壁部22は、ボウル部14及びトレイ部16の領域においては水が溢れ出ないように、高く形成されている。
前記堰部18は、前記ボウル部14及びトレイ部16の領域の周壁部22より高さが低く形成されている。
その為に、ボウル部14より溢れ出た水が周壁部22を超えることなく堰部18を越えてトレイ部16に流れ込む。
そして、堰部18の頂部を越えて堰部18の向こう側に流れ込む水は、オーバーフロー孔20に流れ込み、外部に排水される。
【0022】
前記ボウル部14は、手前側端及び左右端を囲むように14の底面より上方に向けて伸びる周壁部22によって囲繞された略椀状である。
【0023】
前記堰部18は、前記ボウル部14と前記トレイ部16との間において、左右の周壁部22に亘って形成され、前記堰部18は、前記ボウル部14の右端と左端との間において長く伸びる、断面略倒Uの字型である。
【0024】
トレイ部16は、比較的浅い皿状であり、その上面に、石鹸、シャンプー等の槽システムの利用に関連する用品・器具を置く比較的平らな底面を備えている。
トレイ部16の底面には、排水口24が形成されている。
この実施の形態においては、前記オーバーフロー孔20が、前記トレイ部16の排水口24を兼ねるように、繋っている。
【0025】
ボウル付き槽体12は、堰部18の近傍で、堰部18の下部に、このボウル付き槽体12を、壁ないしは床の然るべき箇所に取り付ける、取り付け器具100を取り付けるための取り付け部30が形成されている。
この実施の形態においては、取り付け部30は、取り付け器具100を取り付けするための取り付け器具100の棒状部分102を嵌挿する取り付け孔32により、構成されている。
【0026】
堰部18の頂きの幅方向に伸びる頂上線W1と床面との間の高さH1に対する、堰部18のトレイ部16側の麓の幅方向に伸びる麓線W2と、床面との間の高さH2の比率は、98%以上99%以下である。
ボウル部14の手前側の周壁部22の幅方向に伸びる頂上線W4と、床面との間の高さH5に対する、堰部18の頂上の幅方向に伸びる頂上線W1との間の高さH1の比率は、98%以上99%以下である。
ボウル部14の手前側の周壁部22の幅方向に伸びる頂上線W4と堰部18の頂上の幅方向に伸びる頂上線W1との間の高さH3に対する、堰部18の頂上の幅方向に伸びる頂上線W1と堰部18の向こう側の麓の幅方向に伸びる麓線W2との間の高さH4の比率は、100%以上200%以下である。
【0027】
この実施の形態においては、ボウル部14の手前側の周壁部22と堰部18の頂上線W1との間の長さ(高さH3)は、1cm以上2cm以下である。
この実施の形態においては、堰部18の頂上の幅方向に伸びる頂上線W1と堰部18の麓の幅方向に伸びる麓線W2との間の高さH4は、1cm以上2cm以下である。
この実施の形態においては、ボウル部14の手前側の周壁部22の頂上線W4と堰部18の頂上の幅方向に伸びる頂上線W1との間の長さD1は、28cm以上30cm以下である。
この実施の形態においては、堰部18のトレイ部16側の麓の幅方向に伸びる麓線W2は、トレイ部16と堰部18との境界線W2と共通である。
【0028】
このボウル付き槽システム10は、例えば、住宅用、店舗用として設置される、洗面・手洗い用の衛生設備である洗面・手洗い場所に設置される化粧台、床面ないしは壁面などに取り付けて利用される。
この実施の形態においては、取り付け器具100によって、ボウル付き槽体12を、化粧台、床面ないしは壁面に取り付けられる。
具体的には、ボウル付き槽体12に形成された、取り付け部30を構成する取り付け孔32に、取り付け器具100の棒状部分102を嵌挿して、取り付け器具100を固定し、そのボウル付き槽体12が配設された取り付け器具100を然るべき場所に取り付けることによって、洗面・手洗いをすることができる場所を構成することができる。
【0029】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
10 ボウル付き槽システム
12 ボウル付き槽体
14 ボウル部
16 トレイ部
18 堰部
20 オーバーフロー孔
22 周壁部
24 排水口

30 取り付け部
32 取り付け孔

100 取り付け器具
102 棒状部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10