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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241224BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20241224BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021090563
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182821
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】錦織 正孝
(72)【発明者】
【氏名】神谷 治雄
(72)【発明者】
【氏名】塚本 翔太
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133887(JP,A)
【文献】特開2017-85710(JP,A)
【文献】特開2019-17229(JP,A)
【文献】特開2020-61795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置され車両の下側から充電コネクタを介して前記車両の充電を行う充電装置であって、
前記充電コネクタは、
前記車両と電気的に接続するための電極プラグを含む第1部分と、
前記第1部分に対して前記地上側であり、前記電極プラグと電気的に接続し前記電極プラグに電力を伝達するための電極を含む第2部分と、
を備え、
前記第2部分は、
前記電極を覆い保持する絶縁ケースと、
前記絶縁ケースと前記地上側で接する金属プレートと、
前記絶縁ケース及び前記金属プレートに接する熱伝導板と、
をさらに含み、
前記熱伝導板は、
熱伝導率が前記絶縁ケースよりも大きい
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電装置であって、
前記絶縁ケースは、
樹脂を材料とし、
前記熱伝導板は、
金属を材料とする
ことを特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、
前記絶縁ケースの側面に接する位置である
ことを特徴とする充電装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、
前記電極の近傍に位置するように、前記絶縁ケースに圧入されており、
前記金属プレートは、
前記熱伝導板が圧入される前記絶縁ケースの圧入口を塞ぐように配置され、その圧入口で前記熱伝導板と接している
ことを特徴とする充電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、前記絶縁ケースと部分的に接する板バネとなっている
ことを特徴とする充電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、波型の板バネである
ことを特徴とする充電装置。
【請求項7】
請求項5に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、曲げ角度が直角でないL字型の板バネである
ことを特徴とする充電装置。
【請求項8】
地上に設置され車両の下側から充電コネクタを介して前記車両の充電を行う充電装置であって、
前記充電コネクタは、
前記車両と電気的に接続するための電極プラグを含む第1部分と、
前記第1部分に対して前記地上側であり、前記電極プラグと電気的に接続し前記電極プラグに電力を伝達するための電極を含む第2部分と、
を備え、
前記第1部分は、
前記電極プラグを覆い保持する絶縁ケースと、
前記絶縁ケースと前記車両側で接する金属プレートと、
前記絶縁ケース及び前記金属プレートに接する熱伝導板と、
をさらに含み、
前記熱伝導板は、
熱伝導率が前記絶縁ケースよりも大きい
ことを特徴とする充電装置。
【請求項9】
請求項8に記載の充電装置であって、
前記絶縁ケースは、
樹脂を材料とし、
前記熱伝導板は、
金属を材料とする
ことを特徴とする充電装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、
前記電極プラグの近傍に位置するように、前記絶縁ケースに圧入されており、
前記金属プレートは、
前記熱伝導板が圧入される前記絶縁ケースの圧入口を塞ぐように配置され、その圧入口で前記熱伝導板と接している
ことを特徴とする充電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、前記絶縁ケースと部分的に接する板バネとなっている
ことを特徴とする充電装置。
【請求項12】
請求項11に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、波型の板バネである
ことを特徴とする充電装置。
【請求項13】
請求項11に記載の充電装置であって、
前記熱伝導板は、曲げ角度が直角でないL字型の板バネである
ことを特徴とする充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地上に設置され車両の下側から充電コネクタを介して車両の充電を行う充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、底面に充電コネクタの接続部分を備える車両に対して、車両の下側から充電コネクタを介して車両の充電を行う充電装置の開発が進められている。このような充電装置は、現在主流である車両の側面に接続部分が備えられる場合に比べて、充電コネクタを車両に接続する際の位置合わせが容易である。このため、人手を要することなく車両の充電を実施する技術として期待されている。
【0003】
特許文献1には、電気自動車のバッテリの充電に採用することができ、また車両の下側から充電を行うように適用することができる充電装置が開示されている。この充電装置は、接触要素を含む第1の構成要素と、結合要素を含む第2の構成要素と、を備えている。ここで、第1の構成要素の接触要素は、第2の構成要素の結合要素と電気的に接続することができる。第1の構成要素は、基部と、基部の上に配置されるアームと、をさらに含んでいる。アームは、複数の軸の周り、又は複数の軸に沿って移動し、接触要素を結合要素に導くことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2020/0164758号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地上に設置され車両の下側から充電コネクタを介して車両の充電を行う充電装置による充電においては、充電コネクタが地上と車両との間に位置する。また、充電コネクタの接続部分が車両の底面となるため、車両の積載量の変化等により接点抵抗が増加しジュール熱が増大する場合がある。
【0006】
このように、充電コネクタは、温度が高くなりやすい環境に置かれることとなる。延いては、充電コネクタが、充電装置の性能や信頼性を担保できない異常な温度まで上昇する虞がある。
【0007】
従来、冷却装置を付加的に備えることによって、充電装置の冷却を行うことが考えられている。しかしながら、急速充電を行おうとする場合や悪環境で充電を行おうとする場合等において、十分な冷却機能を備えるためには装置が大型化してしまう。このため、充電コネクタの温度上昇を抑制するためのさらなる技術が求められている。
【0008】
本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、充電コネクタの温度上昇を抑制することが可能な充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の開示に係る充電装置は、地上に設置され車両の下側から充電コネクタを介して車両の充電を行う充電装置である。この充電装置の充電コネクタは、車両と電気的に接続するための電極プラグを含む第1部分と、第1部分に対して地上側であり、電極プラグと電気的に接続し電極プラグに電力を伝達するための電極を含む第2部分と、を備えている。第2部分は、電極を覆い保持する絶縁ケースと、絶縁ケースと地上側で接する金属プレートと、絶縁ケース及び金属プレートに接する熱伝導板と、をさらに含んでいる。ここで、熱伝導板は、熱伝導率が絶縁ケースよりも大きくなっている。
【0010】
第2の開示に係る充電装置は、第1の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
絶縁ケースは、樹脂を材料とし、熱伝導板は、金属を材料としている。
【0011】
第3の開示に係る充電装置は、第1又は第2の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、絶縁ケースの側面に接する位置である。
【0012】
第4の開示に係る充電装置は、第1又は第2の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、電極の近傍に位置するように、絶縁ケースに圧入されている。また、金属プレートは、熱伝導板が圧入される絶縁ケースの圧入口を塞ぐように配置され、その圧入口で熱伝導板と接している。
【0013】
第5の開示に係る充電装置は、第4の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、絶縁ケースと部分的に接する板バネとなっている。
【0014】
第6の開示に係る充電装置は、第5の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、波型の板バネである。
【0015】
第7の開示に係る充電装置は、第5の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、曲げ角度が直角でないL字型の板バネである。
【0016】
第8の開示に係る充電装置は、地上に設置され車両の下側から充電コネクタを介して車両の充電を行う充電装置である。この充電装置の充電コネクタは、車両と電気的に接続するための電極プラグを含む第1部分と、第1部分に対して地上側であり、電極プラグと電気的に接続し電極プラグに電力を伝達するための電極を含む第2部分と、を備えている。第1部分は、電極プラグを覆い保持する絶縁ケースと、絶縁ケースと車両側で接する金属プレートと、絶縁ケース及び金属プレートに接する熱伝導板と、をさらに含んでいる。ここで、熱伝導板は、熱伝導率が絶縁ケースよりも大きくなっている。
【0017】
第9の開示に係る充電装置は、第8の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
絶縁ケースは、樹脂を材料とし、熱伝導板は、金属を材料としている。
【0018】
第10の開示に係る充電装置は、第8又は第9の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、電極プラグの近傍に位置するように、絶縁ケースに圧入されている。また、金属プレートは、熱伝導板が圧入される絶縁ケースの圧入口を塞ぐによう配置され、その圧入口で熱伝導板と接している。
【0019】
第11の開示に係る充電装置は、第10の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、絶縁ケースと部分的に接する板バネとなっている。
【0020】
第12の開示に係る充電装置は、第11の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、波型の板バネである。
【0021】
第13の開示に係る充電装置は、第11の開示に係る充電装置に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
熱伝導板は、曲げ角度が直角でないL字型の板バネである。
【発明の効果】
【0022】
本開示に係る充電装置によれば、充電コネクタの第2部分又は第1部分は、絶縁ケース及び金属プレートに接する熱伝導板を含んでいる。これにより、電極又は電極プラグの熱を、絶縁ケースを通して、熱伝導板により金属プレートに伝熱することができる。延いては、充電コネクタの温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る充電装置について説明するための概念図である。
図2】第1実施形態に係る充電コネクタの構成について説明するための概念図である。
図3】第2実施形態に係る充電コネクタの構成について説明するための概念図である。
図4】第2実施形態に係る充電コネクタにおいて、熱伝導板を波型の板バネとする場合の例を示す概念図である。
図5】第2実施形態に係る充電コネクタにおいて、熱伝導板を曲げ角度が直角でないL字型とする場合の例を示す概念図である。
図6】第3実施形態に係る充電コネクタの構成について説明するための概念図である。
図7】第4実施形態に係る充電コネクタの構成について説明するための概念図である。
図8】第5実施形態に係る充電コネクタの構成について説明するための概念図である。
図9】従来の充電コネクタを備える充電装置、及び本実施形態に係る充電装置100について、通常の使用環境における充電時の充電コネクタの温度の比較結果を示すグラフである。
図10】従来の充電コネクタを備える充電装置、及び本実施形態に係る充電装置100について、悪環境における充電時の充電コネクタの温度の比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構成等は、特に明示した場合や原理的に明らかにそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を附しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0025】
1.充電装置
本実施形態に係る充電装置は、車両の下側から充電コネクタを介して車両の充電を行う装置である。図1は、本実施形態に係る充電装置100について説明するための概念図である。図1は、充電装置100により車両200の充電を行う場合を示している。ここで、図1の(A)は、充電コネクタ110が車両200と接続していない状態を示し、図1の(B)は、充電コネクタ110が車両200と接続している状態を示している。
【0026】
充電装置100は、地面1上(地上)に設置されている。ただし、充電装置100は、向きの変更及び地面1上の移動をすることができるように構成されていても良い。例えば、充電装置100は、複数の駆動輪を備え、駆動輪を適当に動作させることにより向きの変更及び地面1上の移動を行う。この場合、充電装置100の向きの変更及び地面1上の移動は、自律的に行われて良い。つまり、充電装置100は制御装置を備え、制御装置が、センサや通信により取得する情報に基づいて、充電装置100の向きの変更及び地面1上の移動の制御を行って良い。
【0027】
充電装置100は、電力ケーブル120により電源装置2と接続している。また、電力ケーブル120の一端に充電コネクタ110が備えられている。
【0028】
電力ケーブル120は、電源装置2から供給される電力を伝送するケーブルである。電力ケーブル120は、想定される電力に応じて適当な構成を採用して良い。充電コネクタ110は、充電装置100と車両200とを電気的に接続するためのコネクタである。充電コネクタ110の構成の詳細については後述する。
【0029】
電源装置2は、所定の電力を供給する装置である。例えば、定格出力50kW、最大出力電圧500Vの直流電力、定格出力3.6kW、単相200Vの交流電力等を供給する。電源装置2は、典型的には、供給する電力を制御する構成を有している。例えば、電力変換回路、制御装置、HMI(Human Machine Interface)等を備えている。ただし、電源装置2は、一定電圧を出力する電源であっても良い。例えば、出力電圧200Vの商用電源であっても良い。
【0030】
図1の(B)に示すように、充電コネクタ110が車両200に備える充電インレット210に接続することにより、充電装置100と車両200とは電気的に接続される。充電装置100は、充電コネクタ110を移動させ充電インレット210に接続するための接続操作機構130を備えている。
【0031】
図1の(B)では、接続操作機構130として、アーム機構が示されている。この場合、充電コネクタ110と連結したアームを動作させることで、充電コネクタ110を充電インレット210に接続する。接続操作機構130は、その他の機構であっても良い。例えば、テレスコピック構造を採用した機構であっても良い。なお、接続操作機構130の動作は、典型的には、充電装置100が備える制御装置により制御される。
【0032】
充電装置100により車両200の充電を行う場合、まず図1の(A)に示すように、充電装置100と充電インレット210とが対面する状態とする。ただし、充電装置100と充電インレット210との位置関係は、接続操作機構130の動作範囲で充電コネクタ110を充電インレット210に接続することができるようになっている。これは、典型的には、駐車している車両200の位置に応じて、充電装置100が向きの変更及び地面1上の移動を行うことにより実現される。あるいは、車両200を所定の位置まで移動して駐車させることにより実現される。
【0033】
次に図1の(B)に示すように、接続操作機構130を動作させ、充電コネクタ110を充電インレット210に接続する。そして、電源装置2から供給される電力が電力ケーブル120により伝送され、充電装置100は、充電コネクタ110を介して車両200の充電を行う。
【0034】
なお、これらの充電装置100の一連の動作は、充電装置100が備える制御装置により自律的に行われて良い。
【0035】
車両200は、充電インレット210と、充電制御装置230と、バッテリ240と、を備えている。車両200は、典型的には、電気自動車又はPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)である。図1に示すように、充電インレット210と充電制御装置230、及び充電制御装置230とバッテリ240は、それぞれ電力ケーブル220で接続している。なお、図1においては、それぞれの電力ケーブル220を区別するため、それぞれの電力ケーブル220の符号に記号(a,b)を附している。
【0036】
電力ケーブル220は、充電装置100から給電される電力を伝送するケーブルである。電力ケーブル220は、想定される電力に応じて適当な構成を採用して良い。
【0037】
充電制御装置230は、充電装置100から給電される電力をバッテリ240の充電電力に変換して出力する装置である。充電制御装置230は、典型的には、OBC(On-Board Charger)である。
【0038】
バッテリ240は、充放電可能な二次電池であり、車両200を駆動するための電力を蓄える。バッテリ240は、典型的には、リチウムイオン電池である。ただし、全固体電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のその他の二次電池であっても良い。
【0039】
充電装置100から充電コネクタ110を介して給電される電力は、電力ケーブル220aにより充電制御装置230に伝送される。次に、充電制御装置230は、充電装置100から給電される電力をバッテリ240の充電電力に変換して出力する。そして、充電制御装置230が出力する充電電力が電力ケーブル220bによりバッテリ240に伝送され、バッテリ240が充電される。
【0040】
なお、電源装置2及び充電装置100は、普通充電用(例えば、単相の交流電力を給電する)として構成されていても、急速充電用(例えば、高出力の直流電力を給電する)として構成されていても良い。また、車両200は、普通充電用と急速充電用で別個に充電インレット210及び電力ケーブル220を備えていても良い。この場合に、急速充電用の電力伝送において、充電制御装置230による電力変換を行わないように構成されていても良い。
【0041】
2.充電コネクタ
図1に示すように、本実施形態に係る充電装置100においては、充電コネクタ110が、車両200の底面と地面1との間に位置することとなる。このため、充電コネクタ110は、車両200が発生する熱や地面1からの照り返しによる熱を受けやすい。また、車両200の積載量の変化等により充電中に車両200の車高が変化すると、充電コネクタ110と充電インレット210との間の接点抵抗が増加し、ジュール熱が増大することがある。このため、充電コネクタ110が、充電装置の性能や信頼性を担保できない異常な温度まで上昇する虞がある。
【0042】
本実施形態に係る充電装置100は、充電コネクタ110の温度上昇を抑制するために、充電コネクタ110の構成に特徴を有している。以下、充電コネクタ110の構成について、いくつかの実施形態を示して説明する。
【0043】
2-1.第1実施形態
図2は、第1実施形態に係る充電コネクタ110の構成について説明するための概念図である。図2の(A)は、充電コネクタ110の斜視図を示し、図2の(B)は、充電コネクタ110の断面図を示している。
【0044】
充電コネクタ110は、電極プラグ111aを含む第1部分111と、第1部分111に対して地上側であり、電極112aを含む第2部分112と、を備えている。
【0045】
電極プラグ111aは、充電コネクタ110が充電インレット210と接続する部分である。電極プラグ111aは、充電インレット210の構成に応じて適当な規格を採用して良い。電極112aは、電極プラグ111aと電気的に接続し、電極プラグ111aに電力を伝達する。電極プラグ111a及び電極112aは、典型的には、銅や銀等の金属材料により形成される。なお、電極プラグ111a及び電極112aは一体的に形成されていても良い。
【0046】
第1部分111は、第1絶縁ケース111bと、第1金属プレート111cと、を含んでいる。
【0047】
第1絶縁ケース111bは、電極プラグ111aを覆い保持する。また、電極プラグ111aを周囲と絶縁する。第1絶縁ケース111bは、典型的には、樹脂材料(合成樹脂を含む)により形成される。
【0048】
第1金属プレート111cは、第1絶縁ケース111bと車両側で接するように備えられ、第1部分111の熱を外部に放出する。第1金属プレート111cは、典型的には、銅、鉄、又はアルミニウム、あるいはそれらの合金により形成される。
【0049】
第2部分112は、第2絶縁ケース112bと、第2金属プレート112cと、熱伝導板112dと、を含んでいる。
【0050】
第2絶縁ケース112bは、電極112aを覆い保持する。また、電極112aを周囲と絶縁する。第2絶縁ケース112bは、典型的には、樹脂材料(合成樹脂を含む)により形成される。なお、第1絶縁ケース111b及び第2絶縁ケース112bは一体的に形成されていても良い。
【0051】
第2金属プレート112cは、第2絶縁ケース112bと地上側で接するように備えられ、第2部分112の熱を外部に放出する。第2金属プレート112cは、第1金属プレート111cと同等に形成されていて良い。
【0052】
熱伝導板112dは、図2に示すように、第2絶縁ケース112bの側面及び第2金属プレート112cに接する位置に備えられる。熱伝導板112dは、第2絶縁ケース112bの全ての側面に接するように備えられていても良いし、第2絶縁ケース112bの側面に部分的に接するように備えられていても良い。また、熱伝導板112dは、第2絶縁ケース112bの側面に接するように、複数備えられていても良いし、適当な形状が与えられていても良い。
【0053】
熱伝導板112dは、熱伝導率が第2絶縁ケース112bよりも大きくなるように構成される。典型的には、第2絶縁ケース112bは樹脂により形成され、熱伝導板112dは、金属(銅、鉄、又はアルミニウム、あるいはそれらの合金等)により形成される。
【0054】
第2部分112は、主に電極112aが発生する熱により温度が上昇する。電極112aが発生する熱は、第2絶縁ケース112bを通して第2金属プレート112cに伝熱することで、外部に放出される。一方で、図2に示すように、第2絶縁ケース112bの側面は、第2金属プレート112cが接していない。そこで、第2絶縁ケース112bの側面及び第2金属プレート112cに接する位置に熱伝導板112dを備えることで、電極112aが発生する熱を効率的に第2金属プレート112cに伝熱することができる。つまり、電極112aが発生する熱を、第2絶縁ケース112bの側面に接して位置する熱伝導板112dによっても第2金属プレート112cに伝熱することができる。これにより、第2部分112の温度上昇、延いては、充電コネクタ110の温度上昇を抑制することができる。
【0055】
2-2.第2実施形態
第2実施形態に係る充電コネクタ110は、第1実施形態に係る充電コネクタ110に対して、熱伝導板112dを備える位置が異なる。図3は、第2実施形態に係る充電コネクタ110の構成について説明するための概念図である。図3は、第2実施形態に係る充電コネクタ110の断面図を示している。なお以下、前述した内容において説明した事項については適宜省略している。
【0056】
第2実施形態に係る充電コネクタ110では、熱伝導板112dが、電極112aの近傍に位置するように、第2絶縁ケース112bに圧入されている。また、第2金属プレート112cは、熱伝導板112dが圧入される第2絶縁ケース112bの圧入口を塞ぐように配置され、その圧入口で熱伝導板112dと接している。
【0057】
第2実施形態に係る充電コネクタ110においても、熱伝導板112dにより、電極112aが発生する熱を効率的に第2金属プレート112cに伝熱することができる。つまり、電極112aが発生する熱を、電極112aの近傍に位置する熱伝導板112dによっても第2金属プレート112cに伝熱することができる。これにより、第1実施形態に係る充電コネクタ110と同様に、第2部分112の温度上昇、延いては、充電コネクタ110の温度上昇を抑制することができる。
【0058】
さらに、第2実施形態に係る充電コネクタ110においては、熱伝導板112dは、第2絶縁ケース112bに圧入すれば構成することができる。これにより、熱伝導板112dを固定する部品を要することがなく、また生産時の組付け作業が容易である。また、圧入口は、第2金属プレート112cにより塞がれるため、熱伝導板112dの圧入は軽圧入であっても十分な組付けが可能である。
【0059】
ところで、第2絶縁ケース112bと熱伝導板112dとは、材質が異なり、線膨張係数が異なる。典型的には、樹脂で形成される第2絶縁ケース112bの線膨張係数は、金属で形成される熱伝導板112dの線膨張係数よりも大きい。
【0060】
このため、第2実施形態に係る充電コネクタ110においては、充電コネクタ110の温度が高く、第2絶縁ケース112bの膨張量が熱伝導板112dの膨張量よりも一定程度以上大きくなると、第2絶縁ケース112bと熱伝導板112dとの間に隙間が生じる場合がある。延いては、熱伝導板112dによる伝熱効果が低下する虞がある。
【0061】
また一方で、充電コネクタ110の温度が低く、第2絶縁ケース112bの収縮量が熱伝導板112dの収縮量よりも一定程度以上大きくなると、熱伝導板112dの接触圧力により第2絶縁ケース112bに割れが発生する虞がある。
【0062】
そこで、第2実施形態に係る充電コネクタ110において、熱伝導板112dを、第2絶縁ケース112bと部分的に接する板バネとしても良い。図4及び図5は、熱伝導板112dを板バネとする場合の例を示す概念図である。図4及び図5は、充電コネクタ110の1つの電極112aの周囲の部分を示している。図4は、熱伝導板112dを波型の板バネとする場合を示し、図5は、熱伝導板112dを曲げ角度が直角でないL字型の板バネとする場合を示している。
【0063】
図4及び図5に示すように、熱伝導板112dは、第2絶縁ケース112bと部分的に接している。このため、電極112aが発生する熱を、第2絶縁ケース112bを通して、熱伝導板112dにより第2金属プレート112cに伝熱することができる。さらに、熱伝導板112dは、板バネとなっており、第2絶縁ケース112bとの接点においてバネ性を有している。
【0064】
これにより、第2絶縁ケース112bの膨張量が大きくなったとしても、熱伝導板112dは第2絶縁ケース112bと接した状態を維持することができる。延いては、第2絶縁ケース112bの膨張に伴う熱伝導板112dによる伝熱効果の低下を抑制することができる。また、第2絶縁ケース112bの収縮量が大きくなったとき、熱伝導板112dは、第2絶縁ケース112bとの接点におけるバネ性により変形する。延いては、熱伝導板112dの接触圧力の増加を抑制し、第2絶縁ケース112bの割れの発生を抑制することができる。
【0065】
なお、熱伝導板112dは、その他の形状により、第2絶縁ケース112bと部分的に接する板バネとしても良い。
【0066】
2-3.第3実施形態
第3実施形態に係る充電コネクタ110は、第1部分111に熱伝導板を備える。図6は、第3実施形態に係る充電コネクタ110の構成について説明するための概念図である。図6は、第3実施形態に係る充電コネクタ110の断面図を示している。なお以下、前述した内容において説明した事項については適宜省略している。
【0067】
第3実施形態に係る充電コネクタ110では、第1部分111に備える熱伝導板111dが、電極プラグ111aの近傍に位置するように、第1絶縁ケース111bに圧入されている。ここで、図6に示すように、熱伝導板111dは、それぞれの電極プラグ111aの近傍に位置するように複数備えられている。また、第1金属プレート111cは、熱伝導板111dが圧入される第1絶縁ケース111bの圧入口を塞ぐように配置され、その圧入口で熱伝導板111dと接している。
【0068】
第1部分111は、主に電極プラグ111aが発生する熱により温度が上昇する。電極プラグ111aが発生する熱は、第1絶縁ケース111bを通して第1金属プレート111cに伝熱することで、外部に放出される。そして、熱伝導板111dにより、電極プラグ111aが発生する熱を効率的に第1金属プレート111cに伝熱することができる。つまり、電極プラグ111aが発生する熱を、電極プラグ111aの近傍に位置する熱伝導板111dによっても第1金属プレート111cに伝熱することができる。これにより、第1部分111の温度上昇、延いては、充電コネクタ110の温度上昇を抑制することができる。
【0069】
ここで、充電コネクタ110は、充電時において、第1金属プレート111cが充電インレット210又は車両200の底面に接するように構成しても良い。そして、第1金属プレート111cが接する充電インレット210又は車両200の底面の部分を、金属等の熱伝導率の大きな材料により構成しても良い。これにより、充電インレット210又は車両200の底面の部分においても放熱することができ、第1部分111の温度上昇、延いては、充電コネクタ110の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0070】
さらに、第3実施形態に係る充電コネクタ110においては、熱伝導板111dは、第1絶縁ケース111bに圧入すれば構成することができる。これにより、熱伝導板111dを固定する部品を要することがなく、また生産時の組付け作業が容易である。また、圧入口は、第1金属プレート111cにより塞がれるため、熱伝導板111dの圧入は軽圧入であっても十分な組付けが可能である。
【0071】
第3実施形態に係る充電コネクタ110において、熱伝導板111dを、第1絶縁ケース111bと部分的に接する板バネとしても良い。例えば、第2実施形態に係る充電コネクタ110において説明したように、波型の板バネ、又は曲げ角度が直角でないL字型の板バネとして良い。
【0072】
これにより、第1絶縁ケース111bの膨張量が大きくなったとしても、熱伝導板111dは第1絶縁ケース111bと接した状態を維持することができる。延いては、第1絶縁ケース111bの膨張に伴う熱伝導板111dによる伝熱効果の低下を抑制することができる。また、第1絶縁ケース111bの収縮量が大きくなったとき、熱伝導板111dは、第1絶縁ケース111bとの接点におけるバネ性により変形する。延いては、熱伝導板111dの接触圧力の増加を抑制し、第1絶縁ケース111bの割れの発生を抑制することができる。
【0073】
2-4.第4実施形態
第4実施形態に係る充電コネクタ110は、1つの熱伝導板111dを第1絶縁ケース111bに圧入することにより構成される。図7は、第4実施形態に係る充電コネクタ110の構成について説明するための概念図である。図7は、第4実施形態に係る充電コネクタ110の断面図を示している。なお以下、前述した内容において説明した事項については適宜省略している。
【0074】
第4実施形態に係る充電コネクタ110においては、図7に示すように、1つの熱伝導板111dは、特定の部分が、それぞれの電極プラグ111aの近傍に位置するように圧入されている。
【0075】
第4実施形態に係る充電コネクタ110においても、熱伝導板111dにより、電極プラグ111aが発生する熱を効率的に第1金属プレート111cに伝熱することができる。つまり、それぞれの電極プラグ111aが発生する熱を、電極プラグ111aの近傍に特定の部分を有する熱伝導板111dによっても第1金属プレート111cに伝熱することができる。これにより、第1部分111の温度上昇、延いては、充電コネクタ110の温度上昇を抑制することができる。
【0076】
2-5.第5実施形態
第5実施形態に係る充電コネクタ110は、第1部分111及び第2部分112それぞれに熱伝導板111d及び熱伝導板112dを備える。図8は、第5実施形態に係る充電コネクタ110の構成について説明するための概念図である。図8は、第5実施形態に係る充電コネクタ110の断面図を示している。なお以下、前述した内容において説明した事項については適宜省略している。
【0077】
第5実施形態に係る充電コネクタ110においては、図8に示すように、第1絶縁ケース111bに熱伝導板111dが圧入されており、また第2絶縁ケース112bに熱伝導板112dが圧入されている。ここで、第1部分111の構成は、図7において説明した第4実施形態に係る充電コネクタ110と同等であり、第2部分112の構成は、図3において説明した第2実施形態に係る充電コネクタ110と同等である。
【0078】
このように構成することで、熱伝導板111dにより、電極プラグ111aが発生する熱を効率的に第1金属プレート111cに伝熱することができるとともに、熱伝導板112dにより、電極112aが発生する熱を効率的に第2金属プレート112cに伝熱することができる。これにより、第1部分111及び第2部分112の温度上昇を低減することができる。延いては、第1部分111又は第2部分112のいずれか一方に熱伝導板111d又は熱伝導板112dを備える場合に比べて、充電コネクタ110の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0079】
なお、第1部分111及び第2部分112の構成は、前述したいずれかの実施形態のものに置き換えても良い。例えば、第1部分111を図2において説明した第1実施形態に係る充電コネクタ110と同等のものとし、第2部分112を図6において説明した第3実施形態に係る充電コネクタ110と同等のものとして良い。あるいは、その他の実施形態の組み合わせであっても良い。
【0080】
3.効果
以上説明したように、本実施形態に係る充電装置100の充電コネクタ110は、第1部分111と、第2部分112と、を備えている。そして、第1部分111は、第1絶縁ケース111b及び第1金属プレート111cに接する熱伝導板111d、又は第2部分は、第2絶縁ケース112b及び第2金属プレート112cに接する熱伝導板112dを含んでいる。これにより、充電コネクタ110の温度上昇を抑制することができる。また、付加的な装置に依らない充電コネクタ110自体の構成により充電コネクタ110の冷却機能を高めるものである。従って、さらに従来の冷却装置等を付加的に備える場合に、冷却機能の向上及びそれに伴う充電電力の向上、装置の小型化といった効果を奏することができる。
【0081】
図9は、熱伝導板を備えていない従来の充電コネクタ110を備える充電装置、及び本実施形態に係る充電装置100(第1実施形態、第4実施形態、及び第5実施形態に係る充電コネクタ110それぞれを備える充電装置100)について、通常の使用環境における充電時の充電コネクタ110の温度の比較結果を示すグラフである。なお、図9は、外気温25℃における比較結果を示している。
【0082】
図9に示すように、通常の使用環境において、本実施形態に係る充電装置100は、従来の充電装置と比べて、充電コネクタ110の温度上昇を抑制することができている。
【0083】
図10は、熱伝導板を備えていない従来の充電コネクタ110を備える充電装置、及び本実施形態に係る充電装置100(第5実施形態に係る充電コネクタ110それぞれを備える充電装置100)について、悪環境における充電時の充電コネクタ110の温度の比較結果を示すグラフである。なお、図10は、外気温25℃における比較結果を示している。
【0084】
図10に示すように、悪環境における充電時、従来の充電装置では70℃を超える異常な温度まで上昇しているのに対して、本実施形態に係る充電装置100では、50℃程度までの温度上昇に抑制することができている。
【符号の説明】
【0085】
1 地面
100 充電装置
110 充電コネクタ
111 第1部分
111a 電極プラグ
111b 第1絶縁ケース
111c 第1金属プレート
111d 熱伝導板
112 第2部分
112a 電極
112b 第2絶縁ケース
112c 第2金属プレート
112d 熱伝導板
200 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10