(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】袋処理システム
(51)【国際特許分類】
B65B 43/54 20060101AFI20241224BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B65B43/54 P
B65B43/54 D
B65B57/00 A
(21)【出願番号】P 2021121975
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】中本 格衛
(72)【発明者】
【氏名】吉門 賢
(72)【発明者】
【氏名】河村 健治
(72)【発明者】
【氏名】松村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】永田 景子
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特許第5563511(JP,B2)
【文献】特公平05-017082(JP,B2)
【文献】特許第3386932(JP,B2)
【文献】特許第4989866(JP,B2)
【文献】特開2019-189255(JP,A)
【文献】特開2012-218783(JP,A)
【文献】特開2007-057264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0083130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/54
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の支持及び解放が可能な複数の支持装置と、前記複数の支持装置を間欠的に移動させる移送駆動装置と、を有する移送機構と、
前記複数の支持装置により支持されている前記袋に液体を注入する液体注入装置と、
前記移送駆動装置を制御する移送制御装置と、
前記袋内における前記液体の揺れの状態を検知するセンサと、を備え、
前記移送駆動装置は、前記複数の支持装置が相互間で同じ加減速挙動を示すように、前記複数の支持装置を移動させ、
前記移送制御装置は、
前記センサの検知結果に基づいて前記移送駆動装置を制御して、前記袋内における前記液体の揺れを低減させる
力を前記液体に作用させるように前記複数の支持装置を加減速させる袋処理システム。
【請求項2】
前記複数の支持装置により支持されている前記袋の移動軌道の少なくとも一部は、非直線軌道を含み、
前記移送制御装置は、前記移送駆動装置を制御して、前記袋が前記非直線軌道の少なくとも一部分を移動する間、当該袋内における前記液体の揺れを低減させるように前記複数の支持装置を加減速させる請求項1に記載の袋処理システム。
【請求項3】
前記複数の支持装置により支持されている前記袋の、遠心力による揺れを抑える揺れ抑制ガイドを備える請求項1又は2に記載の袋処理システム。
【請求項4】
前記複数の支持装置は、前記袋を保持する保持部を複数有し、
前記移送制御装置は、前記移送駆動装置を制御して、前記複数の支持装置を、複数のステーションにおいて順次、間欠的に停止させ、
3以上の支持装置が、前記複数のステーションの各々において一度に停止される請求項1~3のいずれか一項に記載の袋処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、袋処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の袋を連続的に移送し、各袋を移送経路の途中に設けられた複数のステーションで間欠的に停止して各種処理(例えば袋の開口処理、内容物導入処理、及びシール処理等)を行う袋処理システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-8726号公報
【文献】特開2009-298418号公報
【文献】実公平5-28169号公報
【文献】特開平6-156440号公報
【文献】特開2000-318834号公報
【文献】特開2002-302227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
袋処理システムにおいて袋に液体が注入される場合、袋内の液体は、袋が移送される間揺れる。袋移送中に袋内の液体が激しく揺れると、液体が、袋の口部(例えばシール予定箇所)に付着したり、袋から飛び出したりすることがある。
【0005】
特に、生産性の向上ために袋の高速移送が求められることが多いが、袋移送の加減速度が大きくなると、袋内の液体には大きな慣性力が作用し、液体が激しく揺れやすい。
【0006】
袋内の液体が激しく揺れてシール予定箇所に液体が付着すると、シール処理を適切に行うことができないことがあり、シール不良を有する製品袋が製造されやすくなる。また袋から外部に液体が飛散すると、飛散液によって処理システムが汚染されたり、袋に注入される液体量が不十分になったりする。
【0007】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、袋内の液体の揺れを抑えるのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、袋の支持及び解放が可能な複数の支持装置と、複数の支持装置を間欠的に移動させる移送駆動装置と、を有する移送機構と、複数の支持装置により支持されている袋に液体を注入する液体注入装置と、移送駆動装置を制御する移送制御装置と、を備え、移送駆動装置は、複数の支持装置が相互間で同じ加減速挙動を示すように、複数の支持装置を移動させ、移送制御装置は、移送駆動装置を制御して、袋内における液体の揺れを低減させるように複数の支持装置を加減速させる袋処理システムに関する。
【0009】
複数の支持装置により支持されている袋の移動軌道の少なくとも一部は、非直線軌道を含み、移送制御装置は、移送駆動装置を制御して、袋が非直線軌道の少なくとも一部分を移動する間、当該袋内における液体の揺れを低減させるように複数の支持装置を加減速させてもよい。
【0010】
袋処理システムは、複数の支持装置により支持されている袋の、遠心力による揺れを抑える揺れ抑制ガイドを備えてもよい。
【0011】
複数の支持装置は、袋を保持する保持部を複数有し、移送制御装置は、移送駆動装置を制御して、複数の支持装置を、複数のステーションにおいて順次、間欠的に停止させ、3以上の支持装置が、複数のステーションの各々において一度に停止されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、袋内の液体の揺れを抑えるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、袋処理システムの一例の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、液体注入ステーションにおける袋処理システムの一例の部分断面図を示す。
【
図3】
図3は、第1シールステーションにおける袋処理システムの一例の部分断面図を示す。
【
図4】
図4は、袋処理システムの他の例の概略構成を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す袋処理システムの搬送装置の側方図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に基づく袋の加減速制御を行った場合の、袋内の液体の経時的な状態例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に基づく袋の加減速制御を行わなかった場合の、袋内の液体の経時的な状態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。まず、
図1~
図5を参照して本開示の技術を応用可能な袋処理システムの典型例について説明し、その後、
図6及び
図7を参照して、袋移送中の袋内の液体の揺れを抑える技術の具体的について説明する。
【0015】
図1は、袋処理システム10の一例の概略構成を示す平面図である。
図1には、袋処理システム10の一部のみが示されており、例えば回転テーブル29よりも上方に設けられる装置類の図示は省略されている。回転テーブル29よりも上方に設けられる装置類の例については、
図2及び
図3を参照して後述される。
【0016】
袋処理システム10は、中心軸線(回転軸線Ax)を中心に間欠的に回転する回転テーブル29と、回転テーブル29の外周部に等間隔(等角度間隔)に取り付けられる複数の支持ユニット(
図1では図示省略;
図2の符号「21」参照)と、を備える。
【0017】
回転テーブル29は、所定角度の回転及び停止を繰り返し行う。回転テーブル29の間欠回転に伴い、支持ユニットは円形の移動経路に沿って間欠的に移動する。支持ユニットは、移動経路に沿って一回転する間に、支持している袋とともに、給袋ステーションS1~袋放出ステーションS9に順次停止する。
【0018】
したがって各支持ユニットの支持装置によって支持される袋は、回転テーブル29の間欠回転に応じて円軌道(非直線軌道)に沿って移動し、給袋ステーションS1~袋放出ステーションS9で間欠的に停止する。各ステーションS1~S9では、以下の処理が行われる。
【0019】
給袋ステーションS1には、支持ユニットに袋を供給するコンベアマガジン式の給袋装置11が配置されており、給袋装置11によって給袋工程が行われる。給袋装置11から供給された袋は、給袋ステーションS1に間欠的に停止している支持ユニットにより口部付近の両側縁部を保持され、口部を上向きにして吊り下げられる。
図1に示す例において、各支持ユニットは支持装置として4つのグリッパーペアを有し、給袋装置11は各支持ユニットに4つの袋を一度に供給し、4つの袋は4つのグリッパーペアのそれぞれによって把持される。
【0020】
開口ステーションS2には開口装置12が配置されており、開口装置12によって、支持ユニットにより支持される袋の口部が開かれる開口工程が行われる。開口装置12は、お互いに近づいたり遠ざかったりすることが可能な吸盤のペアを具備する。
図1に示す開口装置12は、4組の吸盤ペアを具備し、各支持ユニット(4つのグリッパーペア)が保持する4つの袋の口部を一度に開くことができる。
【0021】
固形物投入ステーションS3には、昇降するホッパーを有する固形物投入装置13が配置されており、固形物投入装置13によって、内容物(特に固形物(
図2の符号「S」参照))が袋の内側に投入される固形物投入工程が行われる。固形物供給部(図示省略)から供給される内容物が、ホッパーにより案内され、口部を介して袋の内側に投入される。
【0022】
液体注入ステーションS4には、昇降する注入ノズルを有する液体注入装置14が配置されており、液体注入装置14によって、内容物(特に液体)が袋の内側に注入される液体注入工程が行われる。注入ノズルは、注入ノズルの全体が袋の外側に位置する退避位置と、注入ノズルの先端が袋の内側に位置する注入位置とに配置され、注入位置において袋内に向けて液体を噴出する。
【0023】
脱気ステーションS5には、吹込ノズルを有するスチーム脱気装置15が配置されており、スチーム脱気装置15によって、スチームが袋の内側に吹き込まれる脱気工程が行われる。スチーム供給部(図示省略)から供給されるスチームが、吹込ノズルから噴出されて、袋の内側に吹き込まれる。脱気ステーションS5において、グリッパー間の間隔が広げられ、袋の口部が緊張され、口部の開口面積が低減される。
【0024】
第1シールステーションS6には、開閉する第1シール加熱ユニット(例えば一対の熱板)を有する第1シール装置16が配置されており、第1シール装置16によって、袋(特に口部)をシールする第1シール工程が行われる。
【0025】
第2シールステーションS7には、開閉する第2シール加熱ユニット(例えば一対の熱板)を有する第2シール装置17が配置されており、第2シール装置17によって、袋(特に口部)をシールする第2シール工程が行われる。
【0026】
冷却ステーションS8には、開閉する冷却ユニット(例えば一対の冷却板)を有する冷却装置18が配置されており、冷却装置18によって、袋(特にシール箇所)を冷却するシール部冷却工程が行われる。
【0027】
袋放出ステーションS9には袋放出装置19が配置されており、袋放出装置19によって、内側に内容物が封入された袋(すなわち製品袋)を放出する製品袋放出工程が行われる。袋放出ステーションS9において、各グリッパーペアの挟持部が開かれると、袋(製品袋)は、グリッパーペアから解放されて重力の影響下で落下して袋放出装置19のコンベアに着地し、当該コンベアによって下流に送られる。
【0028】
液体注入ステーションS4、脱気ステーションS5及び第1シールステーションS6には、揺れ抑制ガイド28が設けられている。揺れ抑制ガイド28は、複数のグリッパーペアにより支持されている袋の、遠心力による移動(揺れ)を物理的に抑える。したがって、グリッパーペアにより移送される各袋は、液体注入装置14によって液体が注入されてから、第1シール装置16によって口部がシールされるまでの間、揺れ抑制ガイド28によって遠心力に起因する揺れが抑えられる。揺れ抑制ガイド28によって袋内の液体の揺れが抑えられることで、袋の口部(例えばシール予定箇所)に対する液体の付着や袋からの液体の飛び出しを効果的に防ぐことができる。
【0029】
図1に示す揺れ抑制ガイド28は、グリッパーペア及び袋の移動軌道(円軌道)よりも、回転テーブル29の半径方向(すなわち遠心力作用方向)の外側において、固定的に設置されており、袋の側面(特に半径方向外側面)に接触することで、袋の揺れを抑える。この揺れ抑制ガイド28は、軌道に沿って移動する袋と常に接触する位置に設けられてもよいし、半径方向に揺れていない袋とは接触しないが半径方向への揺れが大きい袋とは接触する位置に設けられてもよい。
【0030】
揺れ抑制ガイド28は
図1に示す構造には限定されない。例えば、2つの揺れ抑制ガイド28が、軌道に沿って移動する袋の半径方向外側及び半径方向内側のそれぞれに設置されてもよい。この場合、半径方向外側への袋の揺れ(移動)だけではなく、半径方向内側への袋の揺れも、揺れ抑制ガイド28によって抑えられる。
【0031】
また揺れ抑制ガイド28は、軌道に沿って移動する袋を下方から支持する位置に設けられてもよい。例えば、袋の半径方向外側の側面に接触しつつ袋が載せられる傾斜面を有する揺れ抑制ガイド28と、袋の半径方向内側の側面に接触しつつ袋が載せられる傾斜面を有する揺れ抑制ガイド28とが設けられてもよい。この場合、袋は、2つの揺れ抑制ガイド28の傾斜面上に載せられて、半径方向への揺れが抑えられた状態で隣り合うステーション間を移動する。
【0032】
また揺れ抑制ガイド28は、袋とともに移動可能に設けられてもよい。例えば、隣り合うステーション間を袋が間欠的に移動する際、揺れ抑制ガイド28が袋とともに隣り合うステーション間を間欠的に移動してもよい。この場合、揺れ抑制ガイド28は、下流側ステーションにおいて袋が間欠的に停止している間に上流側ステーションに戻り、その後、上流側ステーションに新たに配置された袋とともに下流側ステーションへ間欠的に移動してもよい。
【0033】
例えば、
図1に示す袋処理システム10において、液体注入ステーションS4と脱気ステーションS5との間を往復移動する1以上の第1の揺れ抑制ガイド28と、脱気ステーションS5と第1シールステーションS6との間を往復移動する1以上の第2の揺れ抑制ガイド28とが設けられてもよい。この場合、液体注入ステーションS4から脱気ステーションS5へ移動する袋は、第1の揺れ抑制ガイド28とともに間欠的に移動することができる。また脱気ステーションS5から第1シールステーションS6へ移動する袋は、第2の揺れ抑制ガイド28ととともに間欠的に移動することができる。
【0034】
また揺れ抑制ガイド28は、グリッパーペアと一体的に設けられてもよい。例えば、各グリッパーの挟持部と一体的に設けられる揺れ抑制ガイド28であって、挟持部から下方向(すなわち鉛直方向)に延びる揺れ抑制ガイド28が設けられてもよい。この場合、袋のうちグリッパーの挟持部よりも下方に位置する部分の揺れを、揺れ抑制ガイド28によって抑えることができる。
【0035】
各グリッパーの挟持部と一体的に設けられる揺れ抑制ガイド28は、挟持部とともに開閉するように設けられてもよい。この場合、揺れ抑制ガイド28は、袋(例えば側縁部(シール部))を圧迫するように袋を挟んでもよいし、袋を圧迫することなく袋の半径方向外側及び半径方向内側への移動を制限してもよい。揺れ抑制ガイド28が袋を圧迫するように挟む場合、袋は揺れ抑制ガイド28によっても支持され、袋の半径方向への揺れをより確実に抑えることができる。一方、袋の半径方向内側に位置する揺れ抑制ガイド28と、袋の半径方向外側に位置する揺れ抑制ガイド28との間に袋が位置付けられるが、これらの揺れ抑制ガイド28によって袋は圧迫されない場合、挟持部の把持力(すなわち挟持部から袋に加えられる力)の低下を防ぐことができ、また揺れ抑制ガイド28によって袋内部の容積が低減されることを防ぐことができる。
【0036】
袋処理システム10が備える各種装置は、制御装置(図示省略)の制御下で駆動されてもよいし、制御装置によって制御されることなく独立して駆動してもよい。制御装置の制御下で駆動される2以上の装置は、駆動タイミングが制御装置により調整されて、お互いに協調するように駆動されてもよい。
【0037】
図2は、液体注入ステーションS4における袋処理システム10の一例の部分断面図を示す。
図3は、第1シールステーションS6における袋処理システム10の一例の部分断面図を示す。
【0038】
図2及び
図3に示す袋処理システム10において、第1架台51に筒状のスタンド31が固定的に取り付けられ、スタンド31の内側には中空シャフト32を介して回転支持軸部35が回転自在に設けられている。より具体的には、中空シャフト32が、スタンド31の内側により、ベアリングを介して回転自在に支持され、回転支持軸部35が、中空シャフト32の内側により、ベアリングを介して回転自在に支持されている。
【0039】
回転支持軸部35の下端には駆動ギア40が固定されている。駆動ギア40は、第1架台51と第2架台52との間に設置された移送駆動装置22(本例では第2架台52により固定的に支持される移送駆動装置22)のギアに連結される。本例の移送駆動装置22は、回転動力を駆動ギア40に伝え、駆動ギア40、回転支持軸部35及び回転テーブル29を介し、支持ユニット21の各グリッパーペア(支持装置)21aに動力が伝えられる。
【0040】
移送駆動装置22は、移送制御装置30の制御下で、回転テーブル29に取り付けられる複数のグリッパーペア21aを間欠的に移動させ、当該複数のグリッパーペア21aは相互間で同じ加減速挙動を示すように一体的に動く。すなわち移送制御装置30は、移送駆動装置22を制御して、複数のグリッパーペア21aを一体的に間欠的に移送し、複数のステーションS1~S9において順次、間欠的に停止させる。なお移送制御装置30は、袋処理システム10が備える他の装置を制御する制御装置の一部として設けられてもよい。
【0041】
回転支持軸部35は、駆動ギア40と一体的に、間欠的に回転する。中空シャフト32及び回転支持軸部35は、共通の回転軸線Axを中心に、お互いに独立して回転する。
【0042】
第2架台52は、第1架台51から下方に離れた位置に設けられる。第1架台51と第2架台52との間のスペースには、移送駆動装置22及び駆動ギア40に加え、レバー37及びロッド38が設けられている。
【0043】
中空シャフト32の上端部には全周カム34が取り付けられている。全周カム34は、中空シャフト32に対して、上下方向に摺動自在に設けられ且つ回転方向に係合しており、回転軸線Axを中心に中空シャフト32とともに回転する。全周カム34は、略円盤状部分と、当該円盤状部分の外周部から上方に延びる円筒部とを有し、当該円筒部の上面がカム面として働く。全周カム34は、図示しない昇降装置により昇降され、高さ方向(上下方向)の位置が決められる。中空シャフト32の下端にレバー37が固定される。レバー37には、図示しないカムにより進退するロッド38の先端が、回転自在に連結されている。ロッド38が進退することで、レバー37とともに中空シャフト32及び全周カム34が回転軸線Axを中心に正方向及び逆方向に回転する。
【0044】
回転支持軸部35の上端部に回転テーブル29が取り付けられており、回転テーブル29は回転支持軸部35によって支持される。回転テーブル29は、回転支持軸部35に対し、回転軸線Axに沿う軸方向に所定範囲摺動自在に設けられ、且つ、回転軸線Axを中心とした回転方向に係合しており、回転軸線Axを中心に回転支持軸部35とともに回転する。回転支持軸部35が回転軸線Axを中心に間欠回転することにより、回転テーブル29が回転軸線Axを中心に間欠回転する。
【0045】
回転テーブル29の周囲には複数の支持ユニット21が等角度間隔で取り付けられており、隣り合う支持ユニット21間の角度間隔は、回転テーブル29の1回の間欠回転の角度と同じである。
【0046】
各支持ユニット21のグリッパーペア21aは、袋Bの支持及び解放が可能である。
図2に示す各支持ユニット21は、複数のグリッパーペア21a(
図1及び
図2に示す例では4つのグリッパーペア21a)を有し、それぞれのグリッパーペア21aによって複数の袋B(
図1に示す例では4つの袋)が把持される。したがって上述の複数のステーションS1~S9の各々には、対応の支持ユニット21が有する4つのグリッパーペア21aが把持する4つの袋Bが、一度に停止される。
【0047】
各グリッパーペア21aは、特開2009-298418号公報に記載されたグリッパーペアと同様に、回転テーブル29に固定された支持軸43に対して回動自在に取り付けられる左右一対の揺動レバー44(
図2及び
図3には片側の揺動レバー44のみ図示)、各揺動レバー44の先端に固定される筒状のグリッパーアーム45、及び各グリッパーアーム45の先端に取り付けられる挟持部を有する。各グリッパーアーム45の内側には、当該挟持部の開閉を行う駆動源としてエアシリンダが配置されている。
【0048】
各グリッパーペア21aが有する2つの揺動レバー44は、引張ばね46によって内向きに付勢され、お互いに対して近づく方向に引張ばね46から弾性力を受ける。
【0049】
全周カム34のカム面上にはコロ48が載せられ、コロ48はL状レバー47によって回転自在に支持されている。コロ48は全周カム34のカム面上を転動する。L状レバー47及びコロ48は、2つの揺動レバー44(ひいては2つのグリッパーアーム45及び2つの挟持部)を開閉させる機構の一部であり、当該機構は実公平5-28169号公報に記載された機構と同じ構造及び同じ機能を有し、各グリッパーペア21aに対応して回転テーブル29に取り付けられている。回転テーブル29と全周カム34が相対回転すると、コロ48が全周カム34のカム面上を転動する。その際、コロ48が転動するカム面に高低差があれば、L状レバー47が揺動し、2つの揺動レバー44(ひいては2つのグリッパーアーム45及び2つの挟持部)が水平面内で開閉し、2つの挟持部間の間隔が変わる。
【0050】
各支持ユニット21が有する複数のグリッパーペア21aは、お互いに同一の動作を行って同一の挙動を示し、一体的に動作する。
【0051】
回転テーブル29が間欠回転する場合、全周カム34も回転テーブル29に追従して回転テーブル29と同じ角度だけ正方向に回転し、回転テーブル29と全周カム34との間の相対回転角度はゼロ(0)であり、実質的に回転テーブル29と全周カム34との間で相対回転は生じない。一方、回転テーブル29が間欠停止する場合、全周カム34は逆方向に回転して元の位置に復帰し、実質的に回転テーブル29と全周カム34との間で相対回転が生じる。この点は、実公平5-28169号公報に記載された包装機と同じである。
【0052】
上記の袋処理システム10では、特開2009-298418号公報の開示技術と同様に、グリッパーペア21aの挟持部の開閉を行う駆動源としてエアシリンダを用いており、当該エアシリンダはグリッパーアーム45内に配置される。ただし、グリッパーペア21aの挟持部の開閉を、特開平6-156440号公報に記載されているように、第1架台51上又は第2架台52上の適所(例えば給袋ステーションS1或いは袋放出ステーションS9)に設置した開閉駆動機構により行うこともできる。
【0053】
特開平6-156440号公報に記載されたグリッパーは、間欠回転するテーブルに取り付けられる左右一対の揺動レバーと、基部が各揺動レバーに固定されたグリッパーアームと、各グリッパーアームの先端部に内向きに対向配置された挟持部と、を備え、挟持部は、挟持面を放射方向に向けた固定側挟持片と、グリッパーアームの先端部に回動自在に取り付けられる可動側挟持片とを有する。当該グリッパーは、特開2009-298418号公報に記載の装置のグリッパーと同様である。グリッパーアームには、開閉駆動機構の動力を可動側挟持片に伝達する連結機構部と、グリッパーアームに設置されて可動側挟持片を常時閉方向に付勢する圧縮ばねと、が設置されている。そして受動部材には円筒部材(ローラ)が装着され、開閉駆動機構の突子が前進して円筒部材をテーブルの放射方向に押圧したときには可動側挟持片が開き、突子が後退したときには可動側挟持片が圧縮ばねの付勢力で閉じるようになっている。
【0054】
袋処理システム10は、更に、第2架台52に支持固定部53を介して固定的に取り付けられる固定支持軸部33と、固定支持軸部33に対して固定的に取り付けられる固定支持部50とを備える。固定支持軸部33は、回転支持軸部35の内側を貫通するように高さ方向に延在し、回転軸線Ax上に配置される。回転支持軸部35と固定支持軸部33との間にはベアリングが設けられている。回転支持軸部35(ひいては回転テーブル29)が回転軸線Axを中心に回転しても、固定支持軸部33は回転しない。
【0055】
固定支持軸部33により支持される円盤状の固定支持部50は、固定支持軸部33の頂部に取り付けられ、回転テーブル29及び複数のグリッパーペア21aよりも上方に位置付けられる。上述のように、回転テーブル29を支持する回転支持軸部35が回転しても、固定支持部50を支持する固定支持軸部33は回転しないので、回転テーブル29が回転しても固定支持部50は回転しない。
【0056】
固定支持部50には任意の装置を取り付けることが可能であり、各ステーションに対応付けられて設けられる任意の装置が固定支持部50により支持されてもよい。例えば、
図2に示す例では、液体注入装置14の注入ノズル26を昇降移動させるノズル駆動装置(図示省略)が、固定支持部50により支持されてもよい。また
図3に示す例では、第1シール装置16が固定支持部50により支持されている。
【0057】
図4は、袋処理システム10の他の例の概略構成を示す平面図である。
図5は、
図4に示す袋処理システム10の搬送装置の側方図である。
図4及び
図5に示す袋処理システム10の構成要素のうち、上述の
図1~
図3に示す要素と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図4及び
図5に示す袋処理システム10も複数の支持ユニット21を備える。各支持ユニット21は、それぞれ無端状のコンベアチェーン(上側コンベアチェーン64及び下側コンベアチェーン65)によって等間隔に支持される複数のグリッパーペア21a(
図4に示す例では2つのグリッパーペア21a)を具備する。各ステーションS1~S9には、対応の支持ユニット21が有する2つのグリッパーペア21aが把持する2つの袋Bが、一度に停止される。
【0059】
グリッパーペア21aを袋Bの移送方向に沿って移動させる駆動源として移送駆動装置22が設けられている。移送駆動装置22によりチェーン64、65を回転させることで、複数のグリッパーペア21aが移動する。袋処理システム10の搬送装置の基本構造は、特開2000-318834号公報に記載の搬送装置と実質的に同じであるが、以下簡単に説明する。
【0060】
搬送装置は、架台75上に支持部76を介して据え付けられている。本例の搬送装置は、支持部76に取り付けられるフレーム77、軸受62及び軸受67を介してフレーム77に対して回転自在に取り付けられる支軸63、軸受68及び軸受69を介してフレーム77に対して回転自在に取り付けられる支軸70、支軸63及び支軸70に固定されるスプロケット71~74、上側のスプロケット71、73に掛け渡される無端状の上側コンベアチェーン64、及び下側のスプロケット72、74に掛け渡される無端状の下側コンベアチェーン65を備える。
【0061】
上側コンベアチェーン64及び下側コンベアチェーン65には、多数のグリッパーペア21a(支持ユニット21)が外向きに等間隔(ピッチ=p)で取り付けられている。移送駆動装置22から出力される動力は、駆動ギア40を介して支軸63に伝達され、スプロケット71、72を介してコンベアチェーン64、65を回転させ、それにより各グリッパーペア21aが環状軌道に沿って移送される。コンベアチェーン64、65に対するグリッパーペア21aの取付構造及び作動の詳細は、特開2002-302227号公報に記載されている。
【0062】
上述の
図4及び
図5に示す例において、移送駆動装置22が移送制御装置30の制御下で駆動されることにより、各グリッパーペア21aは環状軌道に沿って間欠的に移動し、ステーションS11~S20において間欠的に停止する。
【0063】
図4に示すステーションS11~S20では、上述の
図1に示すステーションS1~S9と同様の処理が行われる。
【0064】
すなわち給袋ステーションS11において給袋装置11により給袋工程が行われ、各支持ユニット21に袋Bが供給され、グリッパーペア21aによって当該袋Bが把持される。開口ステーションS12において開口装置12により開口工程が行われ、各グリッパーペアにより把持される袋Bの口部が開かれる。
【0065】
第1固形物投入ステーションS13及び第2固形物投入ステーションS14では、固形物投入装置13によって固形物投入工程が行われ、各グリッパーペア21aによって把持される袋Bの口部を介し、袋Bの内側に内容物(特に固形物)が投入される。第1液体注入ステーションS15及び第2液体注入ステーションS16では、液体注入装置14によって液体注入工程が行われ、内容物(特に液体)が袋の内側に注入される。
【0066】
第1固形物投入ステーションS13及び第2固形物投入ステーションS14では、お互いに同じ種類の固形物が袋Bの内側に投入されてもよいし、お互いに異なる種類の固形物が袋Bの内側に投入されてもよい。同様に、第1液体注入ステーションS15及び第2液体注入ステーションS16では、お互いに同じ種類の液体が袋Bの内側に注入されてもよいし、お互いに異なる種類の液体が袋Bの内側に注入されてもよい。同じ種類の固形物/液体を複数のステーションにおいて各袋Bの内側に供給する場合、各ステーションにおける各グリッパーペア21a及び各袋Bの停止時間が短くても、所望量の固形物/液体を各袋Bに導入することができるため、システム全体の処理時間を短縮できる。
【0067】
第1シールステーションS18及び第2シールステーションS19では、第1シール装置16及び第2シール装置17によってシール処理が行われ、各袋Bの口部がシールされる。冷却放出ステーションS20では、冷却装置18により冷却処理が行われて各袋Bのシール部分が冷却され、袋放出装置19により放出処理が行われて各袋Bが下流に送られる。
【0068】
図4及び
図5に示す例において各グリッパーペア21a及び各袋Bの移動軌道は、2つの直線軌道と、当該2つの直線軌道の端部を結ぶ2つの半円(円弧)軌道(非直線軌道)と、を含む。一方の直線軌道には、給袋ステーションS11、開口ステーションS12、第1シールステーションS18、第2シールステーションS19及び冷却放出ステーションS20が設けられる。他方の直線軌道には、第1固形物投入ステーションS13、第2固形物投入ステーションS14、第1液体注入ステーションS15及び第2液体注入ステーションS16が設けられる。
【0069】
半円軌道上には、いずれのステーションも設けられない。これにより、各ステーションS11~S20では、各グリッパーペア21a及び各袋Bが非直線軌道を移動している間に受ける遠心力の影響が低減された状態で、各種の処理を行うことができる。なお、第2液体注入ステーションS16と脱気ステーションS17との間の半円軌道には、各グリッパーペア21aにより支持されている袋Bの遠心力による揺れを抑える揺れ抑制ガイド28が設置されている。
【0070】
次に、袋B内の液体Lの揺れ制御の一例について説明する。
【0071】
図6は、本開示の一実施形態に基づく袋Bの加減速制御を行った場合の、袋B内の液体Lの経時的な状態例を示す図である。
図7は、本開示の一実施形態に基づく袋Bの加減速制御を行わなかった場合の、袋B内の液体Lの経時的な状態例を示す図である。
【0072】
図6及び
図7には、複数のグリッパーペア21aにより移送される複数の袋Bのうちの1つの袋Bに注目し、当該袋Bが
図1に示す液体注入ステーションS4から脱気ステーションS5に移動する場合が示されている。なお、
図4に示す第2液体注入ステーションS16から脱気ステーションS17に袋Bがグリッパーペア21aとともに移動する場合も、袋B内の液体Lは、
図6に示す挙動と基本的に同様の挙動を示す。また他のステーション(例えば
図1に示す脱気ステーションS5~袋放出ステーションS9及び
図4に示す脱気ステーションS17~冷却放出ステーションS20)間を移動する場合も、袋B内の液体Lは、
図6に示す挙動と基本的に同様の挙動を示す。
【0073】
本実施形態において袋Bが隣り合うステーション間を移動する際、グリッパーペア21a及び袋Bは、間欠停止工程(
図6(a):液体注入工程)、加速工程(
図6(b))、定速工程(
図6(c))、減速工程(
図6(d))、及び間欠停止工程(
図6(e):脱気工程)を経る。すなわち、間欠停止工程間の間欠移動工程は、加速工程(
図6(b))、定速工程(
図6(c))及び減速工程(
図6(d))を含む。
【0074】
液体注入ステーションS4において、液体注入装置14の注入ノズル26から袋B内への液体Lの注入が完了すると、停止している状態の袋B内の液体Lの液面は、基本的に基準液面位置Hrに位置する(
図6(a))。実際には、袋B内で液体Lは揺れることもあり、その場合、袋B内の液体Lの液面は基準液面位置Hrを基準に上下動する。
【0075】
グリッパーペア21a及び袋Bが徐々に加速する加速工程(
図6(b))において、袋B内の液体Lの液面は、慣性によって、進行方向側(
図6(b)の右側)が基準液面位置Hrよりも降下する一方で、進行方向とは逆側(
図6(b)の左側)が基準液面位置Hrよりも上昇する。したがって加速工程の間、袋B内の液体Lは、進行方向とは逆側において袋Bの口部(
図6(b)の上側の縁部)に近づく。
【0076】
そしてグリッパーペア21a及び袋Bが定速移送される定速工程(
図6(c))において、袋B内の液体Lの液面は、全体にわたって基準液面位置Hrに位置し或いは基準液面位置Hrを基準に規則的に上下動する。
【0077】
そしてグリッパーペア21a及び袋Bが減速される減速工程(
図6(d))において、袋B内の液体Lの液面は、慣性によって、進行方向側(
図6(d)の右側)が基準液面位置Hrよりも上昇する一方で、進行方向とは逆側(
図6(d)の左側)が基準液面位置Hrよりも降下する。したがって減速工程の間、袋B内の液体Lは、進行方向側において袋Bの口部(
図6(d)の上側の縁部)に近づく。
【0078】
そしてグリッパーペア21a及び袋Bが脱気ステーションS5において停止されると、袋B内の液体Lの液面は、全体にわたって基準液面位置Hrに位置し或いは基準液面位置Hrを基準に規則的に上下動する(
図6(e))。
【0079】
上述の一連の工程(
図6(a)~(e))において(特にグリッパーペア21a及び袋Bの加速の間(
図6(b))及び/又は減速の間(
図6(d)))、移送制御装置30(
図2参照)は移送駆動装置22を制御して、袋B内における液体Lの揺れを低減させるように複数のグリッパーペア21aを加減速させる。これにより、袋B内の液体Lが袋Bの口部(例えばシール予定箇所)に意図せずに付着したり、袋Bから意図せずに飛び出したりすることを防げる。
【0080】
袋B内における液体Lの揺れを低減させるような複数のグリッパーペア21aの加減速の具体的な方法は、限定されない。
【0081】
例えば、液体注入ステーションS4において袋B内の液体Lが揺れている場合、液体Lの揺れを低減させるタイミングでグリッパーペア21a及び袋Bの加速を開始することで、袋B内における液体Lの揺れを低減させることが可能である。具体的には、袋B内の液体Lの液面が進行方向側において上昇している間又は上昇を開始する直前にグリッパーペア21a及び袋Bを加速させることで、加速工程において、進行方向とは逆側における液体Lの液面上昇の程度を抑えうる。
【0082】
同様に、定速工程(
図6(c))において袋B内の液体Lが揺れている場合、液体Lの揺れを低減させるタイミングでグリッパーペア21a及び袋Bの減速を開始することで、袋B内における液体Lの揺れを低減させることが可能である。具体的には、袋B内の液体Lの液面が進行方向と逆側において上昇している間又は上昇を開始する直前にグリッパーペア21a及び袋Bを減速させることで、減速工程において、進行方向側における液体Lの液面上昇の程度を抑えうる。
【0083】
なお
図7に示すように、定速工程(
図7(c))において袋B内の液体Lが揺れている状態で、袋B内の液体Lの液面が進行方向側において上昇している間にグリッパーペア21a及び袋Bを減速させると、袋B内の液体Lには、減速に起因する揺れが、元々の揺れと重畳して作用する。その結果、袋B内の液体Lは、進行方向側において大きく上昇し、袋Bの口部(特にシール予定箇所)に付着したり、袋Bの口部から飛散したりする(
図7(d))。
【0084】
上述のように、袋B内における液体Lの揺れの状態に応じて複数のグリッパーペア21aを加減速させることで、袋B内における液体Lの揺れを低減させることができる。袋B内における液体Lの揺れの状態は、図示しないセンサによってリアルタイムに検知されてもよいし、センサによって予め検知された袋B内における液体Lの揺れの状態に基づいて推定されてもよいし、作業者が予め観察を行うことで知見した袋B内における液体Lの揺れの状態に基づいて推定されてもよい。センサ又は作業者によって予め推定された液体Lの揺れの状態に基づいて複数のグリッパーペア21aを加減速させる場合、複数のグリッパーペア21aの加速開始タイミング、定速開始タイミング、減速開始タイミング及び停止タイミングを予め定めることができる。したがって移送制御装置30は、移送駆動装置22を制御して、予め定められたタイミングで複数のグリッパーペア21aの加減速を行ってもよい。
【0085】
なお「袋B内における液体Lの揺れを低減させるように複数のグリッパーペア21aを加減速させる方法」は上述の例には限定されない。例えば、インプット・シェイピング(Input Shaping)の原理に則った任意の方法でグリッパーペア21a及び袋Bを加減速することで、袋B内における液体Lの揺れを低減させることができる。
【0086】
インプット・シェイピングの原理は、直前の液体の揺れを低減(キャンセル)するように液体に力を作用させることで、液体の揺れを低減(キャンセル)することによって実現される。袋B内における液体Lの揺れを低減させるように複数のグリッパーペア21aを加減速させる際、袋B内の液体Lに作用させる力(例えば慣性力)の大きさ及び力の作用時間(すなわち力積)は、袋Bを支持するグリッパーペア21a(支持ユニット21)の固有振動数及び減衰比も考慮して決められることが好ましい。
【0087】
したがって、一度の間欠移動工程の間に、2以上の加速工程を有していてもよいし、2以上の減速工程を有していてもよいし、定速工程を有していなくてもよい。各加速工程では、袋B内の液体Lの液面が進行方向側において上昇している間又は上昇を開始する直前にグリッパーペア21a及び袋Bの加速を開始することで、進行方向とは逆側における液体Lの液面上昇の程度を抑えることができる。一方、各減速工程では、袋B内の液体Lの液面が進行方向とは逆側において上昇している間又は上昇を開始する直前にグリッパーペア21a及び袋Bの減速を開始することで、進行方向側における液体Lの液面上昇の程度を抑えうる。
【0088】
上述のように複数のグリッパーペア21aを加減速させる際に、各袋B内における直前の液体Lの揺れを低減するように液体Lに作用させる力は、典型的には慣性力であるが、他の任意の力(例えば袋B及び液体Lに対して瞬間的に加えられる外力)であってもよい。
【0089】
以上説明したように本実施形態の袋処理システム10は、袋Bの支持及び解放が可能な複数のグリッパーペア(支持装置)21aと、複数のグリッパーペア21aを間欠的に移動させる移送駆動装置22と、を有する移送機構20と、複数のグリッパーペア21aにより支持されている袋Bに液体Lを注入する液体注入装置14と、移送駆動装置22を制御する移送制御装置30と、を備え、移送駆動装置22は、複数のグリッパーペア21aが相互間で同じ加減速挙動を示すように、複数のグリッパーペア21aを移動させ、移送制御装置30は、移送駆動装置22を制御して、袋B内における液体Lの揺れを低減させるように複数のグリッパーペア21aを加減速させる。
【0090】
この袋処理システム10によれば、グリッパーペア21aの加減速の際に袋B内の液体Lに作用する力(例えば慣性力)を利用して、袋B内における液体Lの揺れを低減させることができるため、袋移送中の袋B内の液体Lの揺れを効果的に抑えることができる。その結果、袋移送中に、袋Bの口部(例えばシール予定箇所)に液体Lが付着したり、袋Bの口部から液体Lが飛び出したりすることを有効に防げる。
【0091】
また複数のグリッパーペア21aが相互間で同じ加減速挙動を示すように、複数のグリッパーペア21aを移動させることで、複数のグリッパーペア21aによって支持される複数の袋B内の液体Lの揺れを、安価な装置構成で効果的に抑えることができる。
【0092】
また複数のグリッパーペア21aにより支持されている袋Bの移動軌道の少なくとも一部は、非直線軌道を含み、移送制御装置30は、移送駆動装置22を制御して、袋Bが非直線軌道の少なくとも一部分を移動する間、当該袋B内における液体Lの揺れを低減させるように複数のグリッパーペア21aを加減速させる。
【0093】
非直線軌道を移動する袋B及び液体Lには遠心力が作用し、袋B内の液体Lの揺れは大きくなりやすく、複雑化しやすい。本実施形態では、袋B及び液体Lが非直線軌道を移動する間も、袋B内における液体Lの揺れが低減されるため、袋B内の液体Lの揺れの大きさを抑えるとともに、液体Lの揺れの複雑化を抑えることができる。
【0094】
また袋処理システム10は、複数のグリッパーペア21aにより支持されている袋Bの、遠心力による揺れを抑える揺れ抑制ガイド28を備える。
【0095】
これにより、袋B及び液体Lに作用する遠心力の影響を低減して、袋B内における液体Lの揺れを低減することができ、また袋B内の液体Lの揺れの複雑化を抑えることができる。
【0096】
また移送制御装置30は、移送駆動装置22を制御して、複数のグリッパーペア21aを、複数のステーションS1~S9(S11~S20)において順次、間欠的に停止させ、3以上のグリッパーペア21aが、複数のステーションの各々において一度に停止される。
【0097】
一般に、各支持ユニット21が具備するグリッパーペア21aの数が増えるほど、一度の間欠移動工程で各グリッパーペア21a及び袋Bが移動する距離が大きくなり、各袋B内の液体Lは大きく揺れやすくなる。そのような場合であっても、本実施形態の袋処理システム10によれば、袋移送中の袋B内の液体Lの揺れを効果的に抑えることができる。
【0098】
上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間において部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 袋処理システム、11 給袋装置、12 開口装置、13 固形物投入装置、14 液体注入装置、15 スチーム脱気装置、16 第1シール装置、17 第2シール装置、18 冷却装置、19 袋放出装置、20 移送機構、21 支持ユニット、21a グリッパーペア、22 移送駆動装置、26 注入ノズル、28 揺れ抑制ガイド、29 回転テーブル、30 移送制御装置、31 スタンド、32 中空シャフト、34 全周カム、35 回転支持軸部、37 レバー、38 ロッド、40 駆動ギア、43 支持軸、44 揺動レバー、45 グリッパーアーム、46 引張ばね、47 L状レバー、48 コロ、50 固定支持部、51 第1架台、52 第2架台52、53 支持固定部、62 軸受、63 支軸、64 上側コンベアチェーン、65 下側コンベアチェーン、67 軸受、68 軸受、69 軸受、70 支軸、71 スプロケット、72 スプロケット、73 スプロケット、74 スプロケット、75 架台、76 支持部、77 フレーム、S1 給袋ステーション、S2 開口ステーション、S3 固形物投入ステーション、S4 液体注入ステーション、S5 脱気ステーション、S6 第1シールステーション、S7 第2シールステーション、S8 冷却ステーション、S9 袋放出ステーション、S11 給袋ステーション、S12 開口ステーション、S13 第1固形物投入ステーション、S14 第2固形物投入ステーション、S15 第1液体注入ステーション、S16 第2液体注入ステーション、S17 脱気ステーション、S18 第1シールステーション、S19 第2シールステーション、S20 冷却放出ステーション、Ax 回転軸線、B 袋、Hr 基準液面位置、L 液体、S 固形物