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特許7609768液滴吐出ヘッド、そのためのマニホールド構成要素、および設計方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】液滴吐出ヘッド、そのためのマニホールド構成要素、および設計方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B41J2/14 603
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021500572
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 GB2019052106
(87)【国際公開番号】W WO2020021284
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】1812284.6
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516154934
【氏名又は名称】ザール テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XAAR TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】デグレーブ セバスチャン ロジャー ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルック コリン
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-010223(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149330(WO,A1)
【文献】特開平10-264376(JP,A)
【文献】特開2015-157445(JP,A)
【文献】特開2008-201024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0239245(US,A1)
【文献】特開2016-128224(JP,A)
【文献】特開2010-158806(JP,A)
【文献】特開昭62-135378(JP,A)
【文献】特開2014-117953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素(50)であって、前記マニホールド構成要素(50)が、
流体チャンバの1つ以上の列を提供するアクチュエータ構成要素(150)を受容するための装着部(80)であって、各流体チャンバが、それぞれの少なくとも1つの作動素子、およびそれぞれの少なくとも1つのノズル、を備え、各流体チャンバに対する前記少なくとも1つの作動素子が、前記対応する少なくとも1つのノズルを通って吐出方向(505)に流体の液滴を吐出するように作動可能であり、各列が、列方向(500)に延在する、装着部(80)と、
第1の端部(51)から第2の端部(52)まで延在し、かつ前記第1の端部(51)から前記第2の端部(52)へと広くなる、マニホールドチャンバ(55)であって、前記第2の端部(52)が、前記1つ以上の列内の流体チャンバの少なくとも一群に並列に流体接続を提供し、かつ前記装着部(80)に隣接して位置する、マニホールドチャンバ(55)と、少なくとも1つのポート(120)と、を備え、各ポート(120)が、その前記第1の端部(51)で前記マニホールドチャンバ(55)内に開口しており、
前記マニホールドチャンバー(55)は、前記第1端部(51)と前記第2端部(52)の間に双曲線ホーン状部分を有し、双曲線ホーン状部分は双曲線音響ホーンとして形成され、前記双曲線音響ホーンは、波面の面積拡大を伴う双曲線音響ホーンのファミリーに属し、前記双曲線ホーン状部分の断面積は次の式で示され:
A(x)=A2[cosh(mx)+Tsinh(mx)]^2;
ここで、Tは、双曲線音響ホーンの形状を設定するパラメータであり、
A2はポート(120)に近接する第1端部(51)での断面積であり、
A(x)は、当該双曲線ホーン状部分を中央に通る中心経路(515)に沿った所定の位置 xでの断面積を示し、前記中心経路は第1端部の中心から第2端部の中心まで延び、
mは、m=(2πf_c)/cと定義され、
cは流体中の音速を表し、f_cはカットオフ周波数を示し、
当該カットオフ周波数は、当該カットオフ周波数を下回るとエネルギーの大部分が反射される周波数であり、当該カットオフ周波数を上回るとエネルギーの大部分が透過される周波数である、
マニホールド構成要素。
【請求項2】
各双曲線ホーン形状部分が、前記対応するマニホールドチャンバ(55)の前記第1の端部(51)と前記第2の端部(52)との間の距離の少なくとも大部分に延在する、請求項1に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項3】
各双曲線ホーン形状部分が、前記対応するマニホールドチャンバ(55)の前記第1の端部(51)と前記第2の端部(52)との間の距離の0.6~0.9倍に延在する、請求項2に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項4】
各双曲線ホーン形状部分に対して、
対応する中心経路(515)が画定され、前記対応する中心経路(515)が、当該の前記双曲線ホーン形状部分を通って、その第1の端部の中心から第2の端部の中心まで中央に延び、前記中心経路上(515)の各点において、対応する幅(57)が画定され、前記対応する幅(57)が、前記点において、前記中心経路(515)に垂直であり、かつ深さ方向(510)と直角をなす方向に測定され、前記深さ方向は、前記列方向(500)および前記吐出方向(505)と垂直であり、
前記双曲線ホーン形状部分について、前記幅(57)が、前記中心経路(515)に沿って前記双曲線ホーン形状部分の前記第1の端部からの距離の双曲線関数に従って概して変化する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項5】
各双曲線ホーン形状部分が、深さ方向(510)に概して一定の深さを有し、前記深さ方向(510)が、前記列方向(500)および前記吐出方向(505)と直角をなす、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項6】
前記マニホールドチャンバ(55)に対して、
対応する中心経路(515)が画定され、前記対応する中心経路が、当該の前記マニホールドチャンバ(55)を通って、その前記第1の端部(51)の中心から前記第2の端部(52)の中心まで中央に延び、前記中心経路(515)が、当該の前記マニホールドチャンバ(55)の前記第2の端部(52)において、前記吐出方向(505)と略平行に延びる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項7】
前記マニホールドチャンバ(55)の前記第2の端部(52)は、前記列方向(500)と平行に細長い形の開口部によって画定され、前記開口部は、前記列方向(500)に延在する長軸と、前記深さ方向(510)に延在する短軸とを有し、前記第2の端部(52)における前記マニホールドチャンバ(55)の開口部は、前記開口部の平面と前記マニホールドチャンバ(55)の壁との間に同じ角度(53)を画定する長軸の両端部に点を有する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項8】
前記マニホールド構成要素(50)が、移行部分(25)をさらに備え、前記移行部分(25)が、前記ポート(120)の断面積から、前記アクチュエータ構成要素に適応する断面積に融合する、断面形状の変化を含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項9】
前記移行部分(25)が、双曲線音響ホーンをさらに含む、請求項8に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項10】
前記マニホールド構成要素(50)が、2つ以上のマニホールドチャンバ(55)を備え、前記2つ以上のマニホールドチャンバ(55)のうちの少なくとも2つが、1つのポート(120)に接続される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項11】
前記移行部分(25)が、前記ポート(120)を前記少なくとも2つのマニホールドチャンバ(55)に接続し、前記移行部分(25)が、少なくとも1つの通過部(25(c))を備え、かつ前記少なくとも2つのマニホールドチャンバ(55)のマニホールドチャンバ(55)ごとにアーム(25(a),25(b))をさらに備える、請求項8または9を引用する場合の請求項10に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項12】
前記マニホールドチャンバ(55)が、配列内で横並びに配置された複数の前記双曲線ホーン形状部分(30(x,y,z),30(1)(i-ii),30(2)(i-vi),30(3)(i-xii))を備える、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項13】
前記マニホールドチャンバが、複数の前記横並びの双曲線ホーン形状部分の配列を備え、前記配列が、前記マニホールドチャンバの前記第1の端部(51)に近接する双曲線ホーン形状部分(30(1)(i-ii))の最初の配列と、マニホールドチャンバの前記第2の端部(52)に近接する双曲線ホーン形状部分(30(3)(i-xii))の最後の配列と、を含み、前記配列が、前記マニホールドチャンバの前記第1の端部(51)から前記第2の端部(52)まで連続的に配置され、各配列の双曲線ホーン形状部分の数が、前記最初の配列(30(1)(i-ii))から前記最後の配列(30(3)(i-xii))へと漸進的に増加する、請求項12に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項14】
前記複数の双曲線ホーン形状部分が、階層的に配置され、それにより、前記配列のうちの所与の1つの配列の双曲線ホーン形状部分が、前記マニホールドチャンバの前記第2の端部(52)のより近くにある前記連続する配列の2つ以上の双曲線ホーン形状部分に流体接続する、請求項13に記載のマニホールド構成要素(50)。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のマニホールド構成要素(50)と、前記装着部(80)に固定された前記アクチュエータ構成要素と、を備える、液滴吐出ヘッド。
【請求項16】
液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素(50)を設計するための方法であって、前記マニホールド構成要素(50)が、
流体チャンバの1つ以上の列を提供するアクチュエータ構成要素を受容するための装着部(80)であって、各流体チャンバが、それぞれの少なくとも1つの作動素子、およびそれぞれの少なくとも1つのノズル、を備え、各流体チャンバに対する前記少なくとも1つの作動素子が、前記対応する少なくとも1つのノズルを通って吐出方向(505)に流体の液滴を吐出するように作動可能であり、各列が、列方向(500)に延在する、装着部(80)と、
第1の端部(51)から第2の端部(52)まで延在するマニホールドチャンバ(55)であって、前記第2の端部(52)が、前記1つ以上の列内の流体チャンバの少なくとも一群に並列に流体接続を提供し、かつ前記装着部(80)に隣接して位置する、マニホールドチャンバ(55)と、
少なくとも1つのポート(120)と、を備え、各ポート(120)が、その前記第1の端部で前記マニホールドチャンバ(55)内に開口しており、 前記マニホールドチャンバー(55)は、前記第1端部(51)と前記第2端部(52)の間に双曲線ホーン状部分を有し、双曲線ホーン状部分は双曲線音響ホーンとして形成され、前記双曲線音響ホーンは、波面の面積拡大を伴う双曲線音響ホーンのファミリーに属し、前記双曲線ホーン状部分の断面積は次の式で示され:
A(x)=A2[cosh(mx)+Tsinh(mx)]^2;
ここで、Tは、双曲線音響ホーンの形状を設定するパラメータであり、
A2はポート(120)に近接する第1端部(51)での断面積であり、
A(x)は、当該双曲線ホーン状部分を中央に通る中心経路(515)に沿った所定の位置 xでの断面積を示し、前記中心経路は第1端部の中心から第2端部の中心まで延び、
mは、m=(2πf_c)/cと定義され、
cは流体中の音速を表し、f_cはカットオフ周波数を示し、
当該カットオフ周波数は、当該カットオフ周波数を下回るとエネルギーの大部分が反射される周波数であり、当該カットオフ周波数を上回るとエネルギーの大部分が透過される周波数であり、
前記方法が、
前記マニホールドチャンバ(55)の最初の形状を決定するステップであって、それに従って、前記マニホールドチャンバ(55)が、最初の直線経路(515)に沿って、第1の端部(51)から第2の端部(52)まで延在し、前記最初の経路(515)と直角をなす一連の断面(A(x))が存在し、前記断面(A(x))の断面積が、前記第1の端部(51)からの距離が増加するにつれて増加し、その結果、前記断面(A(x))の断面積が双曲線状に増加する、前記マニホールドチャンバ(55)の少なくとも一部分が存在する、決定するステップと、
前記第1の端部(51)と前記第2の端部(52)との間に、前記最初の直線経路(515)と直角をなす測定された前記断面積が増加し、その結果、前記断面積が双曲線状に増加する、前記マニホールドチャンバ(55)の少なくとも一部分が存在する状態で、修正された経路(515’)を生成するように、前記最初の経路(515)を変形させるステップであって、各断面(A(x))を前記最初の経路(515)上の対応する点で移動させ、それに伴って、前記マニホールドチャンバ(55’)の修正された形状を提供する、変形させるステップ、を含む、方法。
【請求項17】
前記変形させるステップが、前記断面(A(x))が互いに実質的に平行であるようなものである、請求項16に記載のマニホールド構成要素(50)を設計するための方法。
【請求項18】
前記修正された経路(515’)が、直線経路である、請求項16または17に記載のマニホールド構成要素(50)を設計するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素、および関連する設計方法に関する。インクジェットプリントヘッドなどのプリントヘッドで特に有益な用途が見出される可能性がある。
【0002】
液滴吐出ヘッドは、インクジェット印刷などのより従来的な用途、もしくは3D印刷、または他のラピッドプロトタイピング技術かを問わず、現在広く使用されている。
【0003】
近年、高い信頼性およびスループットでインクをセラミックタイルに直接堆積させることができるインクジェットプリントヘッドが開発されている。これにより、タイル上のパターンを顧客の正確な仕様になるようにカスタマイズすること、ならびにあらゆる種類のタイルを在庫する必要性を低減することができる。
【0004】
他の用途では、液滴吐出ヘッドは、フラットスクリーンテレビの製造で使用されるLCDまたはOLEDディスプレイにおける色フィルタなどの素子を形成するために使用され得る。
【0005】
液滴吐出ヘッドおよびそれらの構成要素は、新しい、かつ/またはますます困難な用途に適するように、進化および特殊化し続けている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様を添付の独立請求項に記載し、本発明の特定の実施形態を添付の従属請求項に記載する。
【0007】
以下の開示は、一態様では、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素であって、マニホールド構成要素が、
流体チャンバの1つ以上の列を提供するアクチュエータ構成要素を受容するための装着部であって、各チャンバが、それぞれの少なくとも1つの作動素子、およびそれぞれの少なくとも1つのノズル、を備え、各チャンバに対する少なくとも1つの作動素子が、対応する少なくとも1つのノズルを通って吐出方向に流体の液滴を吐出するように作動可能であり、各列が、列方向に延在する、装着部と、
第1の端部から第2の端部まで延在し、かつ上記第1の端部から上記第2の端部へと広くなる、マニホールドチャンバであって、第2の端部が、上記1つ以上の列内のチャンバの少なくとも一群に並列に流体接続を提供し、かつ上記装着部に隣接して位置する、マニホールドチャンバと、
少なくとも1つのポートと、を備え、各ポートが、その第1の端部でマニホールドチャンバ内に開口しており、
マニホールドチャンバの第1の端部と第2の端部との間の少なくとも1つの部分が、双曲線音響ホーンとして成形されている、マニホールド構成要素を説明する。
【0008】
以下の開示は、別の態様では、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素であって、マニホールド構成要素が、1つ以上のマニホールドチャンバと、少なくとも1つのポートと、を備え、移行部分が、上記少なくとも1つのポートのうちの1つを上記1つ以上のマニホールドチャンバの第2の部分に接続し、上記移行部分が、上記1つのポートの断面積から、上記1つ以上のマニホールドチャンバの上記第2の部分の断面積に融合する、断面形状の変化を含む、マニホールド構成要素を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、図面を参照して本発明を説明する。図面は、単に代表的なものであり、縮尺どおりではない。
【0010】
図1A図1Aは、本開示の第1の実施形態によるマニホールド構成要素の断面図である。
図1B図1Bは、図1Aに示されるマニホールド構成要素の端面図である。
図2A図2Aは、別の実施形態によるマニホールド構成要素の断面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示されるマニホールド構成要素の端面図である。
図2C図2Cは、図2Aおよび図2Bに示されるマニホールド構成要素の側面図である。
図3A図3Aは、複数のホーン形状部分を有する別の実施形態によるマニホールド構成要素の断面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示されるマニホールド構成要素の端面図である。
図4図4は、別の実施形態によるマニホールド構成要素である。
図5A図5Aは、複数のホーン形状部分を有するさらに別の実施形態によるマニホールド構成要素の断面図である。
図5B図5Bは、図5Aに示されるマニホールド構成要素の端面図である。
図5C図5Cは、図5Aおよび図5Bに示されるマニホールド構成要素の側面図である。
図6A図6Aは、第1の試験設計によるマニホールド構成要素における流体経路である。
図6B図6Bは、複数のホーン形状部分を有する別の実施形態によるマニホールド構成要素における流体経路である。
図6C図6Cは、図6Aおよび図6Bのマニホールド構成要素の計算された性能の比較である。
図7A図7Aは、別の試験設計による、貫通流対応型のマニホールド構成要素における流体経路の切り欠き三次元図である。
図7B(a)】図7B(a)は、貫通流対応型であり、複数のホーン形状部分を有する、別の実施形態による、マニホールド構成要素における流体経路の切り欠き三次元図である。
図7B(b)】図7B(b)は、図7B(a)に描かれるマニホールド構成要素の断面図である。
図7B(c)】図7B(c)は、図7B(a)および図7B(b)に描かれるマニホールド構成要素750の断面図である。
図7B(d)】図7B(d)は、図7B(a)に描かれる流体経路の細部の切り欠き三次元図である。
図7C図7Cは、図7Aによるマニホールド構成要素および図7Bによるマニホールド構成要素について、周波数範囲にわたって計算された反射係数を比較している。
図8図8は、ドロップオンデマンドインクジェットプリントヘッドを使用して生成された印刷サンプルからの抽出物である。
図9(A-C)】図9(A-C)は、図7Aによる試験マニホールド構成要素を備えるプリントヘッドを使用して生成された落下速度データと、図7Bによるホーン形状マニホールド構成要素を備えるプリントヘッドを使用して生成された落下速度データとを比較したグラフである。
図10図10は、一実施形態によるマニホールド構成要素のためのホーン形状部分を設計する方法を描いた概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、概して、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素に関する。
【0012】
ここで図1を参照すると、第1の例示的な実施形態によるマニホールド構成要素50が示されている。より具体的には、図1Aは、本開示の第1の実施形態によるマニホールド構成要素50の断面図であり、図1Bは、図1Aに示されるマニホールド構成要素50の端面図である。図1Aおよび図1Bに示される例示的な実施形態は、概して、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素50に関する。マニホールド構成要素50は、流体チャンバ(図示せず)の1つ以上の列を提供するアクチュエータ構成要素150を受容するための装着部80を有する。かかるチャンバの各々は、それぞれの少なくとも1つの作動素子、例えば、圧電性作動素子と、それぞれの少なくとも1つのノズルと、を備える。動作中、各作動素子は、対応するノズルを通って吐出方向505に流体の液滴を吐出するように作動可能である。流体チャンバの列の各々は、図1Aおよび図1Bのそれぞれの矢印で示される列方向500に延在する。図1Aおよび図1Bの特定の例示的な実施形態では、装着部80は、平坦な受容面である。
【0013】
図1Aから見ることができるように、マニホールドチャンバ55は、マニホールド構成要素50内に提供されている。マニホールドチャンバ55は、第1の端部51から第2の端部52まで延在し、第1の端部51から第2の端部52へと広くなる。動作中、マニホールドチャンバ55内を流れる流体は、第2の端部52に近づくにつれて「扇状に広がっている」と説明することができる。第2の端部52は、アクチュエータ構成要素150内の1つ以上の列内のチャンバの少なくとも一群に並列に流体接続を提供し、第2の端部52は、上記装着部80に隣接して位置する。同様に図1Aから見ることができるように、マニホールド構成要素は、ポート120をさらに含み、ポート120は、その第1の端部51でマニホールドチャンバ55内に開口している。動作中、ポート120は、マニホールドチャンバ55の第1の端部51に流体を供給することができ、それにより、ポート120は入口ポートであると言うことができ、マニホールドチャンバ55は入口マニホールドチャンバであると言うことができる。次いで、動作中、流体は、入口マニホールドチャンバ55を通って、その第1の端部51から第2の端部52まで通過する。マニホールドチャンバ55については、その第1の端部51と第2の端部52との間の全部分は、アクチュエータ構成要素150内のチャンバの対応する群から離れる方向に音響波を伝えるのを助けるように、双曲線音響ホーンとして成形されている。これは、「ホーン形状部分」と称され得る。図1に代表的なものとして示されるように、マニホールドチャンバ55の断面積は、その中に双曲線音響ホーンを形成するように、第1の端部51から第2の端部52まで双曲線状に増加し得る。双曲線状に増加するマニホールドチャンバ55の双曲線ホーン形状部分の断面積は、動作中、アクチュエータ構成要素150の流体チャンバ間の低レベルの音響クロストークをもたらし得る。これは、双曲線音響ホーンとして成形された部分を有するマニホールドチャンバが、マニホールドチャンバ55から流体供給部へと(1つ以上の作動要素が作動されたときに発生した)音響波を透過させるのを助け得るため、生じ得る。これは次に、ノズルから吐出される流体の液滴の落下速度および体積プロファイルを改善し得る。
【0014】
図1に関連して説明したものと同様のマニホールド構成要素を使用した場合に、改善された音響性能を期待することができるということが計算されている。さらに、(後で説明する)代替の実施形態の実験ベースの試験は、改善された印刷品質をもたらし得ることを示している。これは、以下のように説明することができる。作動素子が、吐出方向505に流体の液滴を吐出するように作動されると、音響波は、アクチュエータ構成要素150からマニホールドチャンバ55内へと戻って通過する。反射波は、アクチュエータ構成要素150に戻り、アクチュエータの列の他の流体チャンバ内の流体の挙動に影響を及ぼし、不均一な落下速度および不均一な落下体積をもたらし、印刷された画像の外観に欠陥を引き起こす場合がある。ここで、ポート120を介してマニホールドチャンバ55から残りの流体システム内へと音響波を透過させることは、個々の流体チャンバから吐出される液滴の落下速度および体積の一貫性を改善し、ひいては、印刷された画像または製品の外観を改善することが示されている。
【0015】
図1に描かれるマニホールド構成要素50の実施形態に示されるものと同様の音響ホーンは、2つの断面積A2とA1とを接続する、双曲線方程式に従って断面積が増加する領域を含み、A2はより小さい面積であり、A1はより大きい面積である。図1に描かれるマニホールド構成要素50では、A2は、ポート120に近接する第1の端部51における断面積であり、A1は、装着部80に近接する第2の端部52における断面積である。マニホールド構成要素50では、対象となる音響波の供給源は、アクチュエータ構成要素150内の流体チャンバのうちの1つ以上である。したがって、動作中、音響波は、作動素子が作動される任意の流体チャンバからマニホールドチャンバ55内へと発散されることになり、例えば、面積A1を通って面積A2に向かって進む。
【0016】
図1Aの矢印56によって示される、マニホールドチャンバ55の断面積の変化は、方程式(1)によって表すことができ、式中、A(x)は、xが中心経路515に沿って面積A2から面積A1に向かって増加するときの所与の位置における面積56の計算された面積であり、x=0は、面積A2の場所である。2つの異なる断面積A2とA1とを連結する断面積が増加するかかる領域は、概して、双曲線ホーンと称され、双曲線-指数ホーンまたはhypexホーンとも呼ばれる。
【0017】
hypexホーンは、波面面積の拡大によって求められるホーンの一般的な集団であり、
A(x)=A2[cosh(x/x_T)+T sinh(x/x_T)]^2 (1)
式中、Tは、ホーンの形状を設定するパラメータである。大半の実用用途では、0≦T≦1。
x_Tは、以下のように求められる基準距離であり、
x_T=c/(2πf_c) (2)
式中、cは、流体中の音の速度であり、f_cは、カットオフ周波数である。カットオフ周波数は、エネルギーの大部分が反射される周波数を下回る周波数と、エネルギーの大部分が透過される周波数を上回る周波数である。
【0018】
かかる方程式を使用して、本明細書に記載の実施形態のいずれかによるhypexホーンを設計することができる。液滴吐出ヘッドの所望の動作能力に応じて、異なる動作周波数範囲および許容可能なカットオフ周波数が必要とされる場合があり、それに応じて、設計および選択され得ることが理解され得る。
【0019】
したがって、双曲線状に変化する断面積を有するマニホールド構成要素50は、以下のように説明することができる。マニホールドチャンバ55は、マニホールドチャンバ55を通って、第1の端部51に近接する面積A2の中心から第2の端部52に近接する面積A1の中心まで中央に延在する、中心経路515を有する。中心経路515に沿った任意の所与の点における断面積の変化は、矢印56で示されており、中心経路515に対して直角の面積である。図1に示される実施形態では、中心経路515は、吐出方向505と平行であるが、これは必須の特徴ではない。双曲線音響ホーンとして成形された部分では、面積56の断面積は、中心経路515に沿った面積A2からの距離の双曲線関数に応じて変化する。換言すれば、双曲線音響ホーンとして成形されたマニホールドチャンバ55の部分は、中心経路515を有し、中心経路515は、マニホールドチャンバを通って、マニホールドチャンバ55の第1の端部51の中心から第2の端部52の中心まで中央に延在し、中心経路515と直角をなしてとられた断面56の面積は、中心経路515に沿った上記第1の端部51からの距離の双曲線関数に従っておよそ変化する。
【0020】
いくつかの実施形態では、マニホールドチャンバ55のホーン形状部分の断面積は、指数関数に従って増加する。当業者であれば理解するであろうように、指数状に増加する断面積は、双曲線的またはhypex状に増加する断面積の特別なケース(T=1を伴う)であり、マニホールドチャンバ55は、指数音響ホーンとして動作する。
【0021】
実製品の製造の制約および製造公差の要求は、マニホールドチャンバ55が、ホーン形状部分に対して正確に数学的に真のhypex(双曲線プロファイルまたは指数プロファイル)を有し得ないことを意味することが理解され得る。双曲線に近いか、または実質的に双曲線のプロファイルを有するホーン形状部分は、マニホールドチャンバ55で使用される場合、吐出性能の改善をさらに提供し得る。したがって、単に「ホーン形状」を含む、「双曲線状」、「双曲線ホーン形状部分」などの用語は、実質的に双曲線であるプロファイルを包含すると理解され得る。例えば、滑らかな壁のプロファイルを有する代わりに、複数の積み重ねられた断面からなり、各セクションが吐出方向505に離散的な高さを有する、段付きホーン形状部分は、マニホールドチャンバ55で使用される場合、吐出性能の改善を提供し得る。かかるプロファイルは、例えば、複数の層を堆積させることによって、マニホールドチャンバ55を蓄積するために、3D印刷を使用するときに生じ得る。成型された構成要素は、例えば、マニホールドチャンバ55のプロファイルを変化させる製造中のある程度の収縮および反りを許容する一方で、依然として吐出性能を改善することができる。概して、依然として許容可能な液滴吐出性能を提供しながらマニホールドチャンバ55の壁のプロファイルを発生させる場合、特定の量のノイズが方程式(1)で許容される場合がある。
【0022】
他の実施形態では、双曲線ホーン形状部分は、マニホールドチャンバ55全体を通って延在しない場合があり、その場合、面積A2はマニホールドチャンバ55の第1の端部51に近接するが、必ずしもそれと一致するわけではなく、面積A1はマニホールドチャンバ55の第2の端部52に近接するが、必ずしもそれと一致するわけではないことが理解され得る。
【0023】
図1Bから見ることができるように、この実施形態では、アクチュエータ構成要素150は、その列方向500における長さが深さ方向510における深さよりもはるかに大きいように、細長い形である。したがって、いくつかの実施形態では、マニホールドチャンバ55の第2の端部52は、列方向500と平行に細長い形の開口部によって(例えば、開口部が、列方向500に延在する長軸と、深さ方向に延在する短軸と、を有するように)画定されることが望ましい場合がある。これにより、マニホールドチャンバ55からアクチュエータ構成要素150への流体接続の準備完了を可能にし得る。いくつかの実施形態では、第2の端部52におけるマニホールドチャンバ55の開口部は、開口部の平面とマニホールドチャンバ55の壁との間に同じ角度53(図1Aを参照)を画定する長軸の両端部に点を有し得る。
【0024】
さらに、図1からも見ることができるように、この実施形態では、マニホールド構成要素50およびマニホールドチャンバ55は、同様に細長い形であるが、これは決して必須ではない。かかる配置は、この形状により複数のマニホールド構成要素の密なパッキングが可能になるため、例えば、マニホールド構成要素50が、例えば、紙または布帛の上に印刷するために異なる色を供給するか、または単一色の密な印刷を可能にするように、複数のマニホールド構成要素の配置の一部である場合に好適であり得る。
【0025】
図1に描かれる特定の実施形態では、アクチュエータ構成要素150は矩形であり、マニホールドチャンバ55は、その第2の端部52で断面が矩形である開口部を有する。しかしながら、これは決して限定されるものではなく、他の流体チャンバの列の配置、ならびにアクチュエータおよびマニホールド構成要素の形状が企図される。
【0026】
アクチュエータ構成要素150が非常に長くて細い場合、列方向500において互いに隣接して配置されたマニホールドチャンバ55の配列を使用し、それにより、動作中、各々が入口マニホールドチャンバ55として作用し、アクチュエータ構成要素150の一部分に流体を供給することが好都合な場合があることが容易に理解され得る。かかる配置では、各個々のマニホールドチャンバ55が、アクチュエータ構成要素150内の流体チャンバの1つ以上の列内の少なくとも1つの群の流体チャンバに送給することになる。いくつかの実施形態では、マニホールドチャンバ55の第2の端部52は、流体チャンバの上記1つ以上の列のうちの対応する1つに並列に流体接続を提供し得る。
【0027】
ここで図2を参照すると、別の例示的な実施形態によるマニホールド構成要素250が示されている。より具体的には、図2Aは、マニホールド構成要素250の断面図であり、図2Bは、図2Aに示されるマニホールド構成要素250の端面図であり、図2Cは、図2Aおよび図2Bに示されるマニホールド構成要素250の側面図である。図2A図2Cに示される実施形態は、多くの点において、図1に見られるものと同様であり、ひいては、必要に応じて、同様の参照番号が使用されている。
【0028】
図1に示される実施形態とは異なり、図2に描かれるマニホールド構成要素250は、マニホールドチャンバ55の全長にわたってホーン形状のプロファイルを有していない。代わりに、図2Aに見られるように、マニホールドチャンバ55は、ホーン形状部分30、ならびに第1の端部51とホーン形状部分30との間に位置する追加の(非ホーン形状の)部分20を含む。ホーン形状部分30は、双曲線状に増加する断面積を有するマニホールドチャンバ55の部分である。ホーン形状部分は、マニホールドチャンバ55の第1の端部51から距離58だけオフセットされている面積A2で始まる。ホーン形状部分30は、第1の端部51に近接する面積A2で始まり、第2の端部52に近接する面積A1で終わるものとして説明され得る。図1に描かれるものなどの、双曲線部分が第1の端部51で始まる実施形態では、面積A2と第1の端部51とが一致し、追加の部分20は存在しないことを理解されたい。
【0029】
双曲線状に増加するマニホールドチャンバ55の部分は、より広い液滴吐出ヘッド設計の物理的制約によって部分的に制限され得るが、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマニホールドチャンバ55の断面積は、第1の端部51と第2の端部52との間の距離の大部分にわたって双曲線状に増加し得る。すなわち、双曲線ホーン形状部分は、対応するマニホールドチャンバ55の第1の端部51と第2の端部52との間の距離の少なくとも大部分に延在する。より具体的には、断面積は、第1の端部51と第2の端部52との間の距離の0.6~0.9の分数である距離にわたって双曲線状に増加し得る。すなわち、双曲線ホーン形状部分は、対応するマニホールドチャンバ55の第1の端部51と第2の端部52との間の距離の0.6~0.9倍に延在し得る。さらに他の実施形態では、マニホールドチャンバ55の断面積は、マニホールドチャンバ55に沿った、第1の端部51と第2の端部52との間の距離の全体にわたって双曲線状に増加し得る。すなわち、マニホールドチャンバ55全体が、(図1に描かれる実施形態に示されるように)双曲線ホーンである。この文脈における「距離」という用語は、マニホールドチャンバ55の中心経路515に沿った第1の端部51と第2の端部52との間の距離を指す。本明細書に記載の実施形態では、マニホールドチャンバ55内のA2およびA1の位置は、双曲線部分の第1の端部51に対する範囲および位置に依存することがさらに理解され得る。
【0030】
図1に例示される実施形態と同様に、図2のマニホールド構成要素250もまた、その列方向500における長さが深さ方向510における深さよりも大きいように、細長い形のアクチュエータ構成要素150を有する(図2Bを参照)。マニホールド構成要素250はまた、第2の端部52で列方向500と平行に細長い形の開口部を備えるマニホールドチャンバ55を有する。マニホールド構成要素250は、断面面積が双曲線ホーン形状部分30全体にわたって列方向500に細長い形であるという点で、図1のマニホールド構成要素50とは異なる。この場合、断面積は、面積56が細長い形である面積56として画定され得る。図2Aに見られるように、角度53は、列方向500における細長い形の面積56の両(短い)端部で測定され得る。面積56は、面積A2と面積A1との間の任意の所与の点でマニホールドチャンバ55の境界壁と交差する平面の部分であり、それにより、マニホールドチャンバ55の壁と断面の平面との間の角度53は、マニホールドチャンバ55の両端部の交点において等しい。換言すれば、マニホールドチャンバ55は、上記マニホールドチャンバ55の壁に対して同じ角度53を画定する少なくとも第2の端部52で、細長い形の面積56の両端部に少なくとも2つの点を有する。
【0031】
図2から見ることができるように、双曲線ホーン形状部分30の深さ方向510の深さは、概して一定のままである。図2Aおよび図2Bに見られるように、深さ方向510は、列方向500および吐出方向505と直角をなす。ホーン形状部分30の深さは概して一定であるため、断面積の双曲線的な変化は、主に、ホーン形状部分30の列方向500における幅57の増加に起因する。図2Aに見られるように、中心経路515は、ホーン形状部分30を通って、面積A2から面積A1まで中央に延びる、中心経路315のセクションを有する。中心経路315上の各点において、幅57は、その点において中心経路315に垂直であり、深さ方向510と直角をなす、方向に測定される。幅57は、概して、中心経路315に沿った、面積A2から面積A1までの距離と共に双曲線関数に従って変化する。
【0032】
図2Aからさらに見ることができるように、図1の実施形態に関しては、吐出方向505の装着部80に対して、マニホールド構成要素250の反対側の表面81上に位置するポート120がある。この実施形態では、ポート120は、流体供給システムへの接続の準備完了を可能にするように、円形の断面積を有する。同様に、マニホールドチャンバ55の第1の端部51は、円形の断面積を有する。先述のように、マニホールドチャンバ55の第2の部分30は、深さ方向510に概して一定の深さを有することができ、ひいては、中心経路315全体に沿って細長い形でもあり得る。これは、円形から細長い形への断面形状の変化が、マニホールドチャンバ55の部分20内で生じ、部分20が双曲線音響ホーンではないことを意味する。いくつかの実施形態では、部分20は、マニホールドチャンバ55が、その吐出方向505における範囲の少なくとも大部分に対して、列方向500および吐出方向505と直角をなす深さ方向510に概して一定の深さを有し得るように、部分20の範囲内に制限され得る。図2Bおよび図2Cから見ることができるように、図1の実施形態に対する別の大きな違いは、図2のマニホールド構成要素250が、2つのマニホールドチャンバ、マニホールドチャンバ55および60を有するのに対し、図1のマニホールド構成要素50が、単一のマニホールドチャンバ55のみを有する点である。図2Cから見ることができるように、マニホールドチャンバ60は、マニホールドチャンバ55からオフセットされており、その結果、これらの2つは、深さ方向510において互いに隣接している。さらに、この実施形態では、マニホールドチャンバ60の幾何学的形状は、マニホールドチャンバ55の幾何学的形状と同一であるが、これらは、決して本質的な特徴ではなく、マニホールドチャンバの他の配置および幾何学的形状が想定される。したがって、この実装例では、マニホールドチャンバ60の部分25(本明細書では「移行部分」と称され得る)および部分35は、マニホールドチャンバ55の部分20および部分30とそれぞれ同じ幾何学的形状である。また、ホーン形状部分35は、マニホールドチャンバ60の第1の端部61から距離58だけオフセットされている面積A2で始まり、マニホールドチャンバ60の第2の端部62で終わる。
【0033】
図2Cからさらに見ることができるように、図1に示される実施形態とは対照的に、図2A図2Cのマニホールド構成要素250は、2つのポート120および220を含むが、図1のマニホールド構成要素50は、単一のポート120のみを有する。示される特定の実施形態では、これらは表面81上に位置するが、この場所は決して必須ではないことを理解されたい。動作中、ポート120、220が好適な流体供給部に流体接続している場合、図2A図2Cに示されるマニホールド構成要素250は、液滴流体が、動作中、ポート120から、マニホールドチャンバ55、アクチュエータ構成要素150、およびマニホールドチャンバ60を介して、ポート220へと連続的に流れ、ポート120、マニホールドチャンバ55、アクチュエータ構成要素150、マニホールドチャンバ60、およびポート220がこの順序で直列に流体接続し得るように、いわゆる「貫流」モードで動作し得る。動作中、アクチュエータ構成要素150内の選択された流体チャンバを通って流れる流体の一部は、それらの流体チャンバのそれぞれのノズルから吐出され得る一方、流体の残りの部分は、個々の流体チャンバを通って、マニホールドチャンバ60を介して、ポート220へと続く。かかる実施形態では、マニホールドチャンバ55は、入口マニホールドチャンバとして構成されており、対応するポート120は、動作中、入口マニホールドチャンバ55の第1の端部51に流体を供給する入口ポートとして構成されている。動作中、入口マニホールドチャンバ55の第2の端部52は、アクチュエータ構成要素150内の対応する群の流体チャンバ内の各チャンバに並列に流体を供給する。さらに、かかる実施形態では、マニホールドチャンバ60は、出口マニホールドチャンバとして構成されており、対応するポート220は、動作中、当該の出口マニホールドチャンバ60の第1の端部61から流体を受容する出口ポートとして構成されている。動作中、出口マニホールドチャンバ60の第2の端部62は、アクチュエータ構成要素150内の対応する群の流体チャンバ内の各チャンバから並列に流体を受容する。
【0034】
代替的な配置では、動作中、流体は、ポート120および220の両方からアクチュエータ構成要素150に供給することができ、それにより、液滴吐出ヘッドは、非貫通流モードで動作するように考慮されてもよく、マニホールドチャンバ55および60は両方とも入口マニホールドチャンバであり、ポート120、200は両方とも入口ポートとして動作する。
【0035】
図2に描かれる実施形態では、中心経路515は、描かれる設計の幾何学的形状のために、吐出方向505と平行な直線である。他の実施形態では、中心経路515は、直線でなくてもよいが、湾曲した経路もしくは蛇行経路、またはマニホールドチャンバ55、60の形状によって画定される任意の他の経路に従い得る。マニホールドチャンバは、例えば、液滴吐出ヘッド内の他の場所での物理的制約の結果として、または流体供給部への接続の準備完了を可能にするために、かかる方法で成形され得る。かかる事例では、例えば、ポート120および/またはポート220を、マニホールド構成要素250の中心から配列方向500にオフセットすること、またはさらにはマニホールド構成要素250の側部82、83のうちの1つの上にポートを置くことが適切であり得る。これらの事例では、中心経路515は、例えば、マニホールドチャンバ55、60の形状に応じて、吐出方向505に対して、ある角度で異なる経路に従い得る。いくつかの実施形態では、当該のマニホールドチャンバを通って、第1の端部51の中心から第2の端部52の中心まで中央に延びる中心経路515は、その長さの一部に沿って吐出方向505と平行ではない場合がある。中心経路515が、好ましい方向に流れる流体をアクチュエータ構成要素150に提供することによって流体性能を改善するように、当該のマニホールドチャンバの第2の端部52において、吐出方向505と略平行に延びることを確実にすることが望ましい場合がある。容易に理解され得るように、マニホールドチャンバ55、60、ひいては、中心経路515の他の形状が想定される。
【0036】
ここで図3を参照すると、別の例示的な実施形態によるマニホールド構成要素350が示されている。より具体的には、図3Aは、マニホールド構成要素350の断面図であり、図3Bは、図3Aに示されるマニホールド構成要素350の端面図である。図3Aを考慮すると、この実施形態におけるマニホールド構成要素350は、それが配列内で横並びに配置された複数の双曲線ホーン形状部分30(x、y、z)を備えるという点で、先行する2つの実施形態とは異なることは明らかである。かかる設計は、例えば、アクチュエータ構成要素150が列方向500に長い場合、および列方向500にアクチュエータ構成要素全体を覆う単一のホーン形状部分が、吐出方向505に大きすぎて実用的でない可能性がある場合に好適であり得る。複数の双曲線ホーン形状部分を使用することにより、マニホールドチャンバ55の高さを低減することができ、よりコンパクトな液滴吐出ヘッドを製造することができる。例えば、マニホールドチャンバ55の第1の端部51から第2の端部52までの吐出方向505における高さは、アクチュエータ構成要素150の列方向500における範囲と比較的等しくが、その範囲よりも小さく、望ましくはコンパクトな配置をもたらすことが、図3Aから見ることができる。
【0037】
図3Aから見ることができるように、双曲線ホーン形状部分30(x、y、z)は、配列内で横並びに配置されており、それによって、列方向500において互いに隣接している。ホーン形状部分30(x、y、z)は各々、中心経路515から分裂した中心経路315(x、y、z)をそれぞれ有し、かつそれぞれの中心経路315(x、y、z)と直角をなすそれぞれの面積316(x、y、z)を有する。ホーン形状部分30(x、y、z)の面積316(x、y、z)は、面積A2(x、y、z)から面積A1(x、y、z)までのそれぞれの中心経路315(x、y、z)に沿って実質的に双曲線状に増加することが理解され得る。図2に示される実施形態のように、図3の実施形態は、マニホールドチャンバ55の第1の端部51で始まらない双曲線部分を含む。好適な空間オフセット58(x、y、z)により、中心経路515を分裂させ、それぞれの中心経路315(x、y、z)を形成することができる。設計上の制約により、オフセット58(x、y、z)は互いに同じではない場合があり、むしろ、ホーン形状部分30(x、y、z)および/もしくはそれらのそれぞれの中心経路315(x、y、z)、ならびに/またはそれらのそれぞれの面積A2(x、y、z)の各々への第1の端部51からの経路の形状、場所、向きなどに従って決定され得ることを理解されたい。実際には、各ホーン形状プロファイルの双曲線方程式は、それぞれの面積A2(x、y、z)の中心に位置する各々に対してx=0を個々に設定することによって、より容易に決定され得ることが理解され得る。
【0038】
各ホーン形状部分30(x、y、z)の断面積は、以下のように画定され得る。双曲線音響ホーンは各々、対応する中心経路315(x、y、z)を有することができ、対応する中心経路315は、部分30(x、y、z)を通って、面積A2(x、y、z)の中心から面積A1(x、y、z)の中心まで中央に延在する。中心経路315(x、y、z)に沿った各点には、対応する断面積の面積316(x、y、z)が画定され、これは、中心経路315(x、y、z)と直角をなす平面内にあり、かつ双曲線音響ホーンの壁によって境界付けられた面積であり、マニホールドチャンバ55の内面の一部、および複数の壁70(i、ii)のうちの1つの1つの側面、または複数の壁70(i、ii)のうちの2つの対向する壁の2つの側面であり得る。面積316(x、y、z)の断面積は、中心経路315(x、y、z)に沿った面積A2(x、y、z)からの距離の双曲線関数にほぼ依存して変化する。
【0039】
図3Aからも見ることができるように、隣り合うホーン形状部分30(x、y)は、マニホールドチャンバ55内に位置する対応する壁70(i)によって分離されており、同様に隣り合うホーン形状部分30(y、z)は、同様にマニホールドチャンバ55内に位置する対応する壁70(ii)によって分離されている。図3Aから明らかであるように、壁70(i、ii)の各々は、マニホールドチャンバ55の第1の端部51と第2の端部52との間の距離の一部のみにわたって延在する。ホーン形状部分30(x、y、z)は、第1の側面(701~703)(i)および第2の側面(701~703)(ii)を備え、これらは、上記列方向500に離間しており、上記側面701~703(i、ii)は、実質的に凹状である。第1の側面(701-703)(i)および第2の側面(701-703)(ii)は、壁70(i)および70(ii)の縁部とマニホールドチャンバ55の側部との間から形成され、それにより、第1の側面701(i)および第2の側面701(ii)は、ホーン形状部分30(x)と境界をなし、第1の側面702(i)および第2の側面702(ii)は、ホーン形状部分30(y)と境界をなし、第1の側面703(i)および第2の側面703(ii)は、ホーン形状部分30(z)と境界をなす。実製品の製造の制約および製造公差の要求は、ホーン形状部分30(x、y、z)が、数学的に真の双曲線プロファイルまたは指数プロファイルを有し得ないことを意味することが理解され得る。例えば、壁70(i、ii)は鋭利な端部または尖った端部を有するものとして描かれているが、これは、純粋に代表的なものであり、実際には、端部は、製造を容易にするために、例えば、鈍化または面取りされ得ることを理解されたい。双曲線に近いかもしくは実質的に双曲線である、または双曲線状に変化する、プロファイルもしくは形状は、例えば、ドロップオンデマンドプリントヘッド用にマニホールド構成要素350のホーン形状部分30(x、y、z)で使用した場合に、望ましい印刷性能を依然として提供し得る。例えば、製造上の理由から、設計上の制約は、壁70(i,ii)を、特定の厚さ、例えば、400マイクロメートル未満にすることができないように制限することができ、フィレットまたは他の平滑化特徴が壁の先端に必要となる場合がある。
【0040】
図3Aに示される特定の実施形態は、2つの壁70(i、ii)および3つのホーン形状部分30(x、y、z)を含むが、これは決して必須ではなく、代替的な実施形態が、任意の好適な数のホーン形状部分および対応する分割壁を備え得ることを理解されたい。他の実施形態では、吐出方向505に壁の位置を変化させることによって、または第1の部分20から複数のホーン形状部分への滑らかな流体の流れを助けるための他の好適な配置を変化させることによって、複数のホーン形状部分をずらすことが、流体的理由にとって望ましい場合がある。
【0041】
図3Aに描かれる実施形態では、壁70(i、ii)は、細長い形で湾曲しており、かつ好適な双曲線プロファイルを、面積A2(x、y、z)とA1(x、y、z)との間のホーン形状部分30(x、y、z)に提供するように適切に成形されている。かかる壁70(i、ii)を特徴とするマニホールド構成要素350は、例えば、3D印刷技術を使用して製造されてもよく、これは、この方法を使用して、かかる細い内部特徴部を製造することが、従来の鋳造、成型、または機械加工技術と比較して、より簡単になり得るためである。3D印刷構成要素は、継ぎ目および流体密封なしで簡単に作製し、液滴吐出ヘッドにおける漏れの問題を低減することもできる。しかしながら、細い壁の使用は、ホーン形状マニホールド30(x、y、z)を仕切るように説明されているが、他の実施形態は、代わりに、はるかに広い壁または他の物理的特徴を使用することができ、製造技術は、例えば、いくつかの別個の構成要素を形成することと、それらを任意の好適な様式で接合して、単一の流体密封マニホールド構成要素350を形成することと、を含む。
【0042】
図3Aから見ることができるように、ホーン形状部分30(x、y、z)の各々は、列方向500にマニホールドチャンバ55の第2の端部52のセクションと重複するように位置付けられる。動作中、各ホーン形状部分30(x、y、z)は、優先的に、アクチュエータ構成要素150内の1つ以上の列内のチャンバのそれぞれの群に並列に流体接続を提供する。この実施形態では、ホーン形状部分は、第2の端部52を3つの等しいセクションに分割する。例えば、列方向500に300個の流体チャンバがある場合、ホーン形状部分30(x、y、z)の各々は、動作中、主として、それらの位置の最も近くに隣接する100個の流体チャンバの群に流体を供給する。壁70(i、ii)はスロット201内に延在せず、中に一部の流体が混ざる可能性があるため、動作中、各ホーン形状部分30(x、y、z)が供給する流体チャンバの数は、正確に100個でなくてもよく、壁70(i、ii)の位置の近くに一部重複があってもよい。300個の流体チャンバは単なる一例であり、いくつかの実施形態では、より少ない数、またははるかに多い数の流体チャンバが存在し得ることをさらに理解されたい。
【0043】
他の実施形態では、任意の数のホーン形状部分が存在し得ることを理解されたい。複数のホーン形状部分を有する設計では、これらは必ずしも同一ではないことがさらに理解され得る。例えば、ホーン形状部分は、第2の端部52を等しいまたは等しくないセクションに分割するように、異なるサイズのものであってもよく、ひいては、ホーン形状部分は、流体チャンバの等しいまたは等しくないサイズの群に供給することができる。別の例として、複数の非同一のホーン形状部分を使用して、マニホールドチャンバ55内の非対称性を説明することができる。例えば、図3Aに見られるように、ポート120は、(図1および図2の実施形態とは異なり)マニホールド構成要素350の中心から列方向500にオフセットされた位置で表面81上に位置する。これは決して必須ではないが、流体供給部などの他の構成要素への接続の容易さのために、いくつかの実施形態では好適な場合がある。結果として、図3Aにも見ることができるように、ポート120をアクチュエータ構成要素150に接続するマニホールドチャンバ55は非対称であり、それに応じて、ホーン形状部分30(x、y、z)は、同一ではないように成形されている。
【0044】
図3のマニホールド構成要素350は、単一のマニホールドチャンバ55を含むという点で、図1に描かれる実施形態と同様である。しかしながら、ポート120に近接する(非ホーン形状の)部分20(1)と、アクチュエータ構成要素150に近接するホーン形状部分30とに分割されるマニホールドチャンバ55を含むという点で、図2の実施形態と同様である。図2のマニホールド構成要素250に関して、図3に描かれる実施形態は、ポート120と整合する円形から、部分20(1)内のアクチュエータ構成要素150と整合する細長い形への断面形状の変化を含む。さらに、図2に描かれる実施形態に関して、図3のマニホールド構成要素350は、列方向500に細長い形の断面積を有するホーン形状部分30(x、y、z)を含む。
【0045】
マニホールド構成要素350は、一緒に接合されている2つの部品、第1のマニホールドセクション100と第2のマニホールドセクション200とを備え、ここで、装着部80は、吐出方向505に第2のマニホールドセクション200の下部表面上に位置することを図3Aにおいてさらに見ることができる。アクチュエータ構成要素150は、装着部80上に装着されている。これは、決して必須の特徴ではないが、いくつかの実施形態では、アクチュエータ構成要素150をマニホールド構成要素350に確実に接続するのを助けるため、またはアクチュエータ構成要素150の寿命を改善するため、もしくは組み立てプロセスを改善するために有用であり得る。例えば、第1のマニホールドセクション100は、製造の容易さまたは費用の理由から、樹脂もしくは熱硬化性プラスチック、またはプラスチック/繊維複合材料などの材料から作製されている場合、主としてシリコンまたはピエゾセラミック材料から製造され得るアクチュエータ構成要素150とは異なる熱的性質を有し得る。第2のマニホールドセクション200は、第1のマニホールドセクション100よりもアクチュエータ構成要素150の熱的性質により厳密に整合する、セラミックまたは金属などの材料で作製され得、組み立てまたは動作中に、アクチュエータ構成要素150内に誘起される応力を低減し得る。
【0046】
図3Aはまた、第2のマニホールドセクション200が、その中にスロット20(2)を有し、ホーン形状部分30(x、y、z)をマニホールドチャンバ55の第2の端部52、ひいては、アクチュエータ構成要素150に流体接続していることを示している。かかる第2のマニホールドセクション200は、決して必須の特徴ではないこと、ならびに多くの実施形態では、好適な熱的整合は、図1および図2に描かれるように単一のマニホールド構成要素内、および/またはアクチュエータ構成要素150内に包含され得ることが理解され得る。
【0047】
図3Aからも見ることができるように、面積A1(x、y、z)および第2の端部52は一致しない。スロット20(2)は、ホーン形状部分30(x、y、z)をマニホールドチャンバ55の第2の端部52に接続する非双曲線部分である。動作中、スロットは、ホーン形状部分から出る流体とアクチュエータ構成要素150に入る流体との間の一部の流体混合を可能にすることができ、かつ動作中、第2の端部52において吐出方向505とより厳密に平行になるように、流体の流れを整列させ、かつ方向付ける、整流器として作用することもできる。アクチュエータ構成要素150に供給される流体がより均一な速度になるように、列方向500に沿って速度プロファイルを平坦化するように作用することもできる。
【0048】
図4は、別の実施形態によるマニホールド構成要素を示している。具体的には、図4は、複数の壁70(i、ii)、71(i~iii)、および72(i~vi)によって分割されている複数の双曲線ホーン形状部分30(1)(i、ii)、30(2)(i~vi)、および30(3)(i~xii)の階層的な配置を備えるマニホールドチャンバ55を有するマニホールド構成要素450を描いており、図3に描かれる実施形態とは異なり、壁のすべてが部分30の全体にわたって延在するわけではない。かかる設計は、例えば、アクチュエータ構成要素150が列方向500に長く、吐出方向505の空間的制約のために複数のホーン形状部分に対する要件がある場合に好適であり得る。複数の双曲線ホーン形状部分の階層的な配置を有する別の理由は、最小壁厚などの製造上の制約のために、第1の端部51に近接するマニホールドチャンバ55の頂点に、複数の壁に嵌合するための十分な余地がない場合であり得る。マニホールドチャンバ55が吐出方向505に広くなるにつれて壁の数を増加させて導入することにより、この制約を克服することができる。壁の導入をずらす別の理由は、例えば、流体設計が第1の端部51に近接する壁の間に列方向500の最小の隙間を必要とする場合であり得る。これは、ホーン形状部分への滑らかな、妨げられていない流体の流れが存在するが、第1の端部51の配列方向500の長さに空間的制約があることを確実にするために望ましい場合がある。
【0049】
壁のいくつか70(i、ii)は、階層的な部分30(1)(i、ii)、30(2)(i~vi)、および30(3)(i~xii)のうちの3つすべてを通って延在し、いくつか(壁71(i~iii))は、階層的な部分のうちの2つを通って延在し、残りの部分(壁72(i~vi))は、最終的な階層的な部分のみにあることが図4から見ることができる。かかる配置は、設計および製造をより容易にする場合があるが、決して必須ではない。いくつかの実施形態では、壁の異なる配置を使用して、階層的な部分を分離することができ、例えば、各壁が対応するマニホールドチャンバ55の第1の端部51から第2の端部52までの距離の一部にしか延長しない配置が想定される。
【0050】
複数の上記横並びのホーン形状部分の配列を備える、図4に描かれるマニホールド構成要素450は、入口マニホールドチャンバ55の第1の端部51に近接する横並びのホーン形状部分30(1)(i、ii)の最初の配列と、入口マニホールドチャンバ55の第2の端部52に近接するホーン形状部分30(3)(i~xii)の最後の配列と、を含み、上記配列は、マニホールドチャンバ55の第1の端部51から第2の端部52まで連続的に配置され、各配列のホーン形状部分の数は、上記最初の配列30(1)から上記最後の配列30(3)へと漸進的に増加する。さらに、複数のホーン形状部分30(1)(i、ii)、30(2)(i~vi)、および30(3)(i~xii)は、階層的に配置され、それにより、上記配列のうちの所与の1つの配列のホーン形状通路は、マニホールドチャンバ55の第2の端部52のより近くにある連続する配列の2つ以上のホーン形状通路に流体接続する。マニホールドチャンバ55内の各階層的な部分30(1)(i、ii)、30(2)(i~vi)、または30(3)(i~xii)において、複数の配列内の(列方向500に)隣り合うホーン形状部分は、当該のマニホールドチャンバ55内に位置する対応する壁によって分離されている。
【0051】
図4に描かれる階層的な配置の最後の段のホーン形状部分30(3)(i~xii)は、第2の端部52に近接する壁の端部で12個の部分に分割されている。さらに、音響上の理由から、その点で、列方向500に全体の幅の12分の1を超える任意の個々のホーン形状部分の第2の端部52に近接する幅を有していないことが望ましい場合がある。換言すれば、列方向500における各ホーン形状部分の幅は、列方向500におけるマニホールドチャンバ55の第2の端部52の幅の1/12未満である。これは、第1の横方向共振周波数を拒否することによって、音響性能を改善することができる。12個のホーン形状部分は、アクチュエータ構成要素150の長さ、およびインクジェット印刷のための液滴吐出ヘッド用の典型的な流体中の音の速度cに起因することが理解され得る。所望のホーン形状部分の数は、列方向500におけるアクチュエータ構成要素150の長さ、および使用される吐出流体中の音の速度に応じて異なり得る。さらに、音響上の理由から、ホーン形状部分30(3)(i~xii)のうちのすべてが、マニホールドチャンバ55の第2の端部52に近接する端部で列方向に等しい長さのものであることが好ましい場合がある。
【0052】
ここで図5を参照すると、別の例示的な実施形態によるマニホールド構成要素550が示されている。より具体的には、図5Aは、マニホールド構成要素550の断面図であり、図5Bは、図5Aに示されるマニホールド構成要素550の端面図であり、図5Cは、図5Aおよび図5Bに示されるマニホールド構成要素550の側面図である。マニホールド構成要素550は、図3に示される実施形態と同様のマニホールドチャンバ55を有することが図5Aから見ることができる。深さ方向510にマニホールドチャンバ55と部分的に重複する、2つのさらなるマニホールドチャンバ60(a、b)があることも図5Cから見ることができる。マニホールドチャンバ60(a)は、マニホールドチャンバ55の反転させた幾何学的形状のコピーであり、列方向500に横並びに、または互いに隣接して配置された複数のホーン形状部分35(a)(x、y、z)を有することが図5Aから見ることができる。図5Aには示されていないが、第2のマニホールドチャンバ60(b)は、第1のマニホールドチャンバ60(a)と同一であり、マニホールドチャンバ55の反対側の深さ方向510に位置する。以下の説明全体を通して、同様の参照番号が2つのマニホールドチャンバ60(a、b)の構成要素部品に使用されており、それに応じて(a)または(b)が付加されている。
【0053】
図5に描かれる実施形態は、図2に示されるものと同様の配置であり、これは、好適な流体供給部に接続されている場合、流体のいわゆる「貫通流」を可能にする。したがって、動作中、ポート120は入口ポートとして動作し得、マニホールドチャンバ55は入口マニホールドチャンバとして動作し得、マニホールドチャンバ60(a、b)は出口マニホールドチャンバとして動作し得、ポート220(a、b)は出口ポートとして動作する。1つの入口マニホールドチャンバ55と、1つの出口マニホールドチャンバ60とを有する、図2に描かれる実施形態と比較したときの主な違いは、図5の実施形態では、2つの出口マニホールドチャンバ60(a、b)の1つの入口チャンバ55に対する比が存在することである。
【0054】
図5に示される配置では、アクチュエータ構成要素150は、列方向500に互いに平行に延在する流体チャンバの2つの列(図示せず)を有する。前と同様に、列内の各流体チャンバには、少なくとも1つのそれぞれの作動素子、および少なくとも1つのそれぞれのノズルを提供することができ、各作動素子は、ノズルのうちの対応する少なくとも1つを通って吐出方向505に流体の液滴を吐出するように作動可能である。したがって、この例示的な配置は、ノズルの少なくとも2つの列を有し、各列は、流体チャンバの特定の列に対応する。
【0055】
貫通流モードでの動作中、図5に描かれるマニホールド構成要素550は、流体が入口ポート120から入口マニホールドチャンバ55を介してアクチュエータ構成要素150へと通過することを可能にし得、流体経路は、流体の一部が、中の各流体チャンバへの個々の入口を介して、流体チャンバの第1の列内へと通過し、流体の他の部分が、他の列の各流体チャンバへの個々の入口を介して、流体チャンバの第2の列を通って通過するように、分裂することになる。チャンバ内に通過する流体の一部が液滴の形態で吐出され得る一方、残りの部分は、それぞれの流体チャンバ出口を介してチャンバから出る。第1の列の流体チャンバ出口は、出口マニホールドチャンバ60(a)、ひいては、出口ポート220(a)に流体接続する。第2の列の流体チャンバ出口は、出口マニホールドチャンバ60(b)、ひいては、出口ポート220(b)に流体接続する。図5に描かれる実施形態を貫通流モードで動作させる場合、流体の分裂は、流体の半分がマニホールド構成要素550を通る1つの経路に従い、流体の半分がもう一方の経路に従うように、バランスをとることが好ましい場合がある。
【0056】
動作中、任意の個々の流体チャンバを通って通過する流体の一部は、作動素子(複数可)に配線(図示せず)によって供給される駆動信号に応じて吐出され得る。出口ポート220(a、b)は、マニホールド構成要素550から流体を除去するために、何らかの方法で単一の流体出口経路に接続され得るか、または個々の流体出口経路に別々に接続され得る。図5に示される実施例では、単一のポート120および単一の入口マニホールドチャンバ55が存在するため、この配置は、動作中、流体チャンバの両方の列に対して単一の流体タイプを供給し、それゆえ、ノズルの両方の列が同じ流体タイプを吐出することが明らかである。この配置は、アクチュエータ構成要素150内のノズルの列を密にパッキングすることを可能にすることができ、かつ例えば、空間的制約がある場合、および/または高解像度の液滴吐出ヘッドを形成するために高いノズル密度が必要な場合に、適切であり得る。図5に描かれる実施形態では、入口マニホールドチャンバ55の第2の端部52は、流体チャンバの2つの列に並列に流体接続を提供し、出口マニホールドチャンバ60(a)および60(b)の各々は、流体チャンバの1つの列に並列に流体接続を提供する。
【0057】
図5Aから見ることができるように、図3に描かれる実施形態と同様に、マニホールド構成要素550は、第1および第2のマニホールドセクション100、200を備える。第2のマニホールドセクション200は、第1のマニホールドセクション100とアクチュエータ構成要素150との間に位置する。第2のマニホールドセクション200は、3つのスロットを有し、1つのスロット20(2)は、ホーン形状部分30(x、y、z)を入口マニホールドチャンバ55の第2の端部52に、次いでアクチュエータ構成要素150に流体接続する。深さ方向510にスロット20(2)の両側にある2つのさらなるスロット25(2)(a)および25(2)(b)は、出口マニホールドチャンバ60(a、b)の第2の端部62(a、b)をホーン形状部分35(a、b)(x、y、z)に流体接続する。
【0058】
図3に描かれる実施形態に関して先述したように、各入口ホーン形状部分30(x、y、z)は、各々がアクチュエータ構成要素150内の1つ以上の列内のチャンバのそれぞれの群に並列に流体接続を提供するように、列方向500に第2の端部52の一部分を覆うように位置する。同様に、出口ホーン形状部分35(a、b)(x、y、z)は、アクチュエータ構成要素150内の1つ以上の列内のチャンバのそれぞれの群に並列に流体接続を提供するように位置する。動作中、各出口ホーン形状部分35(a、b)(x、y、z)は、主として、列方向500に隣接する流体チャンバのそれぞれの群から流体を受容する。しかしながら、壁75(a、b)(i、ii)はスロット25(2)(a、b)内に延在しないため、中で一部の流体が混ざる可能性がある。
【0059】
代替的な配置では、流体は、液滴吐出ヘッドが非貫通流モードで動作されると考慮され得るように、3つのポート120および220(a、b)のすべてからアクチュエータ構成要素150に供給され得る。
【0060】
ここで、図6A図6Cに注目する。図6Aは、第1の試験設計によるマニホールド構成要素10の入口のみの流体経路であり、図6Bは、さらなる実施形態によるマニホールド構成要素650の流体経路であり、図6Cは、マニホールド構成要素10および650の計算された性能を比較するグラフである。図6Bに見ることができるように、マニホールド構成要素650は、マニホールドチャンバ55が入口マニホールドチャンバ55であり、複数のホーン形状部分30(s~z)が存在する、図3のものと同様の実施形態である。かかる実施形態は、マルチセルの音響ホーンを含むものとして説明され得るか、またはマルチセルの「ホーン」マニホールドとして説明され得る。また、図2および図3のマニホールド構成要素に関して、図6Bに描かれる実施形態は、ポート120と整合する円形から、部分20(1)内のアクチュエータ構成要素150と整合する細長い形への断面形状の変化を含む。
【0061】
図6Aおよび図6Bを比較することによって見ることができるように、試験設計およびホーン付きマニホールド構成要素は、前者が双曲線音響ホーンではなく、後者が複数の音響ホーンを有するという点で異なるが、試験設計およびホーン付きマニホールド構成要素は両方とも、特定の特徴を共有するように設計した。試験マニホールド構成要素10およびホーン付きマニホールド構成要素650内のマニホールドチャンバ55’および55は両方とも、マニホールドチャンバ55’、55の矩形の第2の端部52’、52を有し、入口ポートは、マニホールドチャンバ55’、55の第2の端部52’、52に対して同じ位置で開口している。
【0062】
ここで、吐出の周波数が変化するときの、図6Aおよび図6Bに例示されるマニホールド構成要素10、650の音響圧力波の反射係数を示すグラフである図6Cに注目する。有限要素法解析を使用して反射係数を計算して、図6Bによるホーン付きマニホールド、および図6Aによる試験マニホールドの応答を調べた。計算は、0~100kHzの周波数スイープを実行するために、剛性ピストンの仮定を使用して実行した。剛性ピストンは、アクチュエータ構成要素150の位置と類似した位置で、第2の端部52、52’に置いた。
【0063】
図6Cに見ることができるように、0の反射係数は、反射なしに対応し、すべての音響波が、断面積A2を通してマニホールド構成要素から透過される。1の反射係数は、透過がなく、音響波のすべてが断面積A1に反射されることを意味する。マニホールド構成要素10(試験)および650(ホーン)のうちの一方または他方を利用する液滴吐出ヘッド設計の場合、考慮される周波数範囲は0~100kHzであり、0~100kHzは液滴吐出周波数である(100kHzは本実施形態の液滴吐出ヘッドの上限周波数である)。好ましくは、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素は、考慮された周波数範囲0~100kHzにわたって可能な限り低い反射係数を有し得る。ホーン付きマニホールド構成要素650については、反射係数が、試験マニホールド構成要素10と比較して、考慮された範囲の実質的な部分にわたって低減されることが図6Cから見ることができる。異なる周波数条件/要件を有する液滴吐出ヘッドについては、改善されたマニホールド構成要素が、100kHzとは異なる上限周波数に対して設計され得ることが理解され得る。
【0064】
ここで図7を考慮すると、図7Aは、第2の試験設計による、貫通流対応型のマニホールド構成要素110における流体経路の切り欠き三次元図である。これは、「試験」マニホールド構成要素と称され得る。図7B(a)は、貫通流対応型であり、複数のホーン形状部分を有する、別の実施形態による、マニホールド構成要素750における流体経路の切り欠き三次元図である。これは、「ホーン」マニホールド構成要素と称され得る。図7B(b)は、スロット20(2)も含む、図7B(a)に描かれるマニホールド構成要素750の入口マニホールドチャンバ55を通る断面図である。図7B(c)は、スロット25(2)(a)も含む、図7B(a)に描かれるマニホールド構成要素750の出口マニホールドチャンバ60(a)を通る断面図である。図7Cは、図7Aによる試験マニホールド構成要素および図7Bによるホーン付きマニホールド構成要素について、周波数範囲にわたって計算された反射係数を比較している。計算は、図6Cに関して上述したものと同様の方法で実行した。
【0065】
ここで図7B(a)を参照すると、図内に例示されるマニホールド構成要素750は、複数のホーン形状部分を有し、かつ貫通流対応型である、という点において、図5に例示される実施形態と同様である。流体供給部への接続を容易にするために、出口マニホールドチャンバ60(a)が入口マニホールドチャンバ55の同一の反射ではない、という点において、図5の実施形態とは異なる。マニホールド構成要素750内の出口マニホールドチャンバ60(a)および60(b)は、互いにほぼ同一である。出口マニホールドチャンバ60(a、b)が単一のポート220に接続すること、および移行部分25が、ポート220に接続する前に、両方の出口マニホールドチャンバ60(a、b)から出る流体を合流させるように作用することが図7B(a)からさらに見ることができる。複数のホーン形状部分30(x、y、z)および35(a、b)(x、y、z)は、吐出方向505の距離の少なくとも一部分にわたって双曲線状に増加する断面積を有し得る。
【0066】
図7B(a)に示される例示的な実施形態は、概して、液滴吐出ヘッドのためのマニホールド構成要素750に関する。マニホールド構成要素750は、流体チャンバの1つ以上の列を提供するアクチュエータ構成要素150を受容するための装着部80を備え、各チャンバは、それぞれの少なくとも1つの作動素子、およびそれぞれの少なくとも1つのノズル、を備え、各チャンバに対する少なくとも1つの作動素子は、対応する少なくとも1つのノズルを通って吐出方向505に流体の液滴を吐出するように作動可能であり、各列は、列方向500に延在する。マニホールド構成要素750は、マニホールドチャンバ55、60(a)、60(b)を有し、これらは、それぞれの第1の端部51、61(a)、61(b)からそれぞれの第2の端部52、62(a)、62(b)まで延在し、上記第1の端部51、61(a)、61(b)から上記第2の端部52、62(a)、62(b)へと広くなる。マニホールドチャンバ55、60(a)、60(b)の第2の端部52、62(a)、62(b)は、上記の1つ以上の列内のチャンバの少なくとも一群に並列に流体接続を提供し、装着部80に隣接して位置する。ポート120、220があり、これらのうちの前者は、第1の端部51でマニホールドチャンバ55内に開口し、後者は、第1の端部61(a)、61(b)でマニホールドチャンバ60(a)、60(b)内に開口している。マニホールドチャンバ55、60(a)、60(b)は、複数のホーン形状通路30(x、y、z)、35(a、b)(x、y、z)を備え、これらの各々の断面積は、マニホールドチャンバ55、60(a)、60(b)の第2の端部52、62(a)、62(b)からの距離と共に、減少する割合で減少する。各それぞれのマニホールドチャンバ55、60(a)、60(b)内のホーン形状通路は、概して列方向500に延在する配列に横並びに配置されている。ポート120、220は、それらのそれぞれのホーン形状通路30(x、y、z)および35(a、b)(x、y、z)と並列に流体接続する。
【0067】
図7B(b)から見ることができるように、ホーン形状通路30(x、y、z)は、第1の側面(701~703)(i)および第2の側面(701~703)(ii)を備え、これらは、上記列方向500に離間しており、上記側面701~703(i、ii)は、実質的に凹状である。図2のマニホールド構成要素250に関して、図7B(a)および図7B(b)に描かれるマニホールドチャンバ55は、本実装例では、ポート120と整合する円形から、アクチュエータ構成要素150(図示せず)と整合する細長い形(この例では矩形)への、部分20(1)内の断面形状の変化を含む。ポート120はまた、深さ方向510においてマニホールドチャンバ55からオフセットされているため、部分20(1)は、これらの2つを接続する深さ方向の成形も含む。
【0068】
同様に、図7B(c)から見ることができるように、ホーン形状通路35(a)(x、y、z)は、第1の側面(711~713)(i)および第2の側面(711~713)(ii)を備え、これらは、上記列方向500に離間しており、上記側面711~713(i,ii)は、実質的に凹状である。示されていないが、マニホールドチャンバ60(b)が同様に構成されていることが理解され得る。ホーン形状通路30(x、y、z)、35(a、b)(x、y、z)のうちの1つ以上は、双曲線プロファイルを有し得る。いくつかの実施形態では、ホーン形状通路30(x、y、z)、35(a、b)(x、y、z)のすべては、双曲線音響ホーンとして成形することができ、それにより、かかるホーン形状通路30(x、y、z)、35(a,b)(x、y、z)は、双曲線ホーン形状部分30(x、y、z)35(a、b)(x、y、z)として説明することができる。
【0069】
図7B(a)に描かれるマニホールドチャンバ60(a)、60(b)(および図7B(c)に描かれる60(a))はまた、アクチュエータ構成要素150(図示せず)と整合する細長い形から、ポート220と整合する円形への、移行部分25の断面形状の変化を含む。また、先述のように、出口マニホールドチャンバ60(a、b)は、単一のポート220に接続し、移行部分25は、ポート220に接続する前に、両方の出口マニホールドチャンバ60(a、b)から出る流体を合流させるように作用する。
【0070】
図7B(d)は、図7B(a)に描かれる流体経路の詳細図であり、部分20および25をより詳細に描いている。入口ポート120は、部分20が、入口ポート120を矩形の断面積4に接続する、深さ方向510における位置の融合変化をさらに含むように、部分20からオフセットされていることが見ることができる。
【0071】
図7B(d)をさらに考慮すると、移行部分25は、2つのアーム25(a)および25(b)(出口マニホールドチャンバ60(a)(b)ごとに1つ)を備え、これらは、矩形の断面積1(a)および1(b)から楕円形の断面積2(a)および2(b)に融合し、次いで、合流して、円形の断面積3を介して出口ポート220に接続する単一の通路25(c)を形成することが見ることができる。移行部分25は、融合したカウル状の形状を有し、これは、中の流体の流れを改善することができ、かつまたマニホールドチャンバ60(a)および60(b)から流体供給部への音響波の透過を助けることによって音響クロストークを低減させるのに役立つ場合がある。これは単なる1つの実装例であり、断面形状および面積と、融合した領域との他の組み合わせを、任意の好適な方法で組み合わせて、例えば、断面形状(複数可)および/または好適な経路もしくは軌道に沿った断面積の範囲を一掃することによって、融合したカウル状の形態を移行部分25に提供することができることが理解され得る。いくつかの実装例では、マニホールドチャンバは、細長い形の断面積を有し得る。移行部分25は、いくつかの断面積を、ポートおよびマニホールドチャンバに接続可能な両端部で、移行部分25の長さに沿って接続することができる。いくつかの実装例では、移行部分25の融合したカウル状の形態の断面形状は、細長い形、矩形、楕円形、および円形を含むリストから選択される。いくつかの実装例では、かかる融合したカウル状の形態は、3D印刷物から形成され得る。かかる移行部分25は、少なくとも2つ以上のマニホールドチャンバを有する実装例において好適に使用されてもよく、上記マニホールドチャンバのうちの少なくとも2つは、出口ポート220であってもよい単一のポートに接続され、移行部分25は、ポート220を少なくとも2つのマニホールドチャンバ60(a)(b)に接続する。かかる実装例では、移行部分25は、少なくとも1つの通路25(c)を備え、マニホールドチャンバ60(a)(b)ごとにアーム25(a)(b)をさらに備える。さらなるマニホールドチャンバは、好適な数の追加のアーム(マニホールドチャンバごとに1つ)を使用して接続することができ、アームは、任意の好適な数の接続通路を使用して一緒に合流させることができる。かかる移行部分25は、入口ポートまたは出口ポートにそれぞれ接続するために、2つ以上の入口マニホールドチャンバまたは2つ以上の出口マニホールドチャンバに対して使用され得ることが理解され得る。さらに、かかる移行部分25は、2つ以上のマニホールドチャンバが1つ以上のホーン形状通路を備える実装例、または2つ以上のマニホールドチャンバがホーン形状通路を含まない他の実装例において好適に使用され得る。
【0072】
図7Cは、図7Aによる試験マニホールド構成要素および図7Bによるホーン付きマニホールド構成要素について、0-100kHzの周波数範囲にわたって計算された反射係数を比較している。図7C(a)は、試験マニホールド(図7A)およびホーンN付きマニホールド(図7B)について、入口マニホールドチャンバの周波数範囲にわたって計算された反射係数を比較している。図7C(b)は、試験マニホールド(図7A)およびホーン付きマニホールド(図7B)について、出口マニホールドチャンバの周波数範囲にわたって計算された反射係数を比較している。ホーン付きマニホールドの反射係数は、試験マニホールドと比較して、入口チャンバおよび出口チャンバの両方で大きく低減されていることが見ることができる。
【0073】
ここで図8を考慮すると、図7Aと同様の試験マニホールド構成要素を備える液滴吐出ヘッド、および図7Bのものと同様のホーン付きマニホールド構成要素を備える液滴吐出ヘッドを使用して生成された、それぞれの印刷サンプルが示されている。印刷方向は、垂直方向に沿っている。ヘッドは、110kHzの液滴周波数で、貫通流モードで動作させた。サンプルを、マゼンタインクを使用して印刷した。サンプルの頂部から底部まで、グレースケールが印刷ブロックごとに連続的に増加したことが見ることができる。ホーン付きマニホールド構成要素(図8(a))は、試験マニホールド構成要素(図8(b))と比較して、印刷試験サンプルの品質の点で改善をもたらしたことがはっきりと見ることができる。試験マニホールド構成要素の印刷サンプルの欠陥は、音響クロストークによるものであると考えられる。
【0074】
図9(A-C)は、図7Aによる試験マニホールド構成要素を備えるプリントヘッドを使用して生成された落下速度データと、図7Bによるホーン付きマニホールド構成要素を備えるプリントヘッドを使用して生成された落下速度データとを比較したグラフである。データは、液滴測定および解析ツールの一般的に入手可能なブランド(ImageXpert(登録商標)のJetXpert(商標)Dropwatcher)を使用して収集した。結果は、5kHz(図9A)、20kHz(図9B)、および40kHz(図9C)の液滴吐出周波数(および流体チャンバ内のアクチュエータに供給される駆動信号)で、アクチュエータ構成要素150内の360個のノズルの1つの列から吐出された液滴の落下速度データを比較している。測定された周波数では、落下速度は、試験マニホールドとは対照的に、ホーン付きマニホールドの場合に、列方向500においてより一貫していることがはっきりと見ることができる。より高い周波数では、ホーン付きマニホールドと比較して、試験マニホールドの場合に、列方向500における落下速度プロファイルのかなりのうねりおよび変動性が見ることができる。
【0075】
図10は、本明細書に記載の一実施形態によるマニホールド構成要素のためのホーン形状部分を設計する方法を描いた概略図である。図10に示されるように、本方法は、マニホールドチャンバ55の最初の形状を決定することであって、それに従って、マニホールドチャンバが、最初の直線経路515に沿って、第1の端部51から第2の端部52まで延在し、最初の経路515と直角をなす一連の断面A(x)が存在し、上記断面の面積が、A2からA1まで、第1の端部51からの距離が増加するにつれて増加し、その結果、断面A(x)の面積が第1の端部51と第2の端部52との間で双曲線状に増加する、マニホールドチャンバの少なくとも一部分が存在する、決定することを伴う。次のステップは、修正された経路515’を生成するように、上記最初の経路515を変形させることであって、各断面A(x)を最初の経路515上の対応する点で移動させ、それに伴って、断面A2およびA(x)と同じ断面積を有する断面A2’、A(x)’を有する、修正された形状のマニホールドチャンバ55’を提供する、変形させることを伴う。第2の端部52の断面A1は、その最初の位置にとどまることが見ることができる。図10に描かれる変形させるステップは、断面A2’、A(x)’およびA1が実質的に平行のままであるようなものであるが、これはすべての実施形態において必須ではない場合があることを理解されたい。さらに、修正された経路515’は直線経路であってもよく、変形させるステップは、断面A2’、A(x)’、およびA1が互いに実質的に平行であり、かつ上記修正された経路515’に対して角度が付けられているようなものであってもよい。他の実施形態では、例えば、経路515’の直線ではない異形例、または最初の経路515の一部の他の形態の並進もしくは回転を使用して、他の変形させるステップを実施することができることが理解され得る。
【0076】
空間的制約の理由から、吐出方向505における各マニホールドチャンバ55、60の範囲が列方向500における範囲の2倍以下であり、いくつかの実施形態では、列方向500における各マニホールドチャンバの範囲が吐出方向505における範囲の2倍以下である、本明細書に記載の実施形態のいずれかによるマニホールド構成要素を有することが望ましい場合があることが概して理解されるべきである。いくつかの実施形態では、列方向500における各マニホールドチャンバの範囲は、図3および図4に示されるものと同様に、吐出方向505における範囲とほぼ等しいことが好ましい場合がある。空間的制約がある場合、図3および図4、ならびに他の場所に描かれるように、複数のホーン形状部分を有するマルチセルのホーンを使用して、好適にコンパクトな設計を可能にすることができることが理解され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、装着部80は、例えば、アクチュエータ構成要素150が接着剤によって取り付けられ得る、図1Aにあるような平坦な受容面を備え得ることが理解され得る。代替的に、装着部80は、本明細書に記載のマニホールド構成要素のいずれかにアクチュエータ構成要素150を確実に取り付けることを可能にするために、装着面および接続要素のより複雑な配置、ならびにねじもしくはピン、または押し込み嵌めもしくは摺動嵌めなどの固定装置、あるいは接着剤の使用を有し得る。流体チャンバは、流体チャンバの列内にあるものとして説明してきたが、列は必ずしも直線ではなく、流体チャンバが列内で互い違いに置かれていてもよいことを理解されたい。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1の部分20は、双曲線音響ホーンを備えることができ、ならびにポート120の断面積から、アクチュエータ構成要素150に適応する断面積に融合する断面形状の変化を含み得る。したがって、オフセット58は、かかる実施形態では必須の特徴ではない場合があることが理解され得る。オフセット58は、必ずしも吐出方向500における直線上の距離である必要はなく、マニホールドチャンバ55の形状、中心経路515が取るルート、および双曲線音響ホーンを形成する部分が生じる場所に依存することをさらに理解されたい。したがって、第1の部分20の形状は、ポートおよびアクチュエータ構成要素の断面形状(複数可)に依存し得ることが理解され得る。
【0079】
マニホールド構成要素は、本明細書に記載され、当該の用途に適した任意の方法で配置されるような、複数のマニホールドチャンバを備え得ることがさらに理解され得る。マニホールド構成要素は、複数の入口マニホールドおよび/または複数の出口マニホールドを備え得る。本明細書に記載の特徴の一部またはすべてを任意の好適な方法で組み合わせて、マニホールド構成要素を形成することができる。
【0080】
同じタイプのマニホールド構成要素(図5Aおよび図7Bに描かれる)が2つ以上ある場合、これらはすべて、独自の個々のポート(図5Aに描かれる)を有し得るか、または共通のポート(図7Bに描かれる)を共有し得ることがさらに理解され得る。後者の場合では、図7Bに描かれるように、移行部分25は、流体経路を好適な数のアームに分割して、それぞれのマニホールドチャンバに接続すること、ならびに流体経路の断面の形状および/または面積を、共通のポートのものから、アクチュエータ構成要素150に適応するものに融合することができる。かかる配置は、マニホールドチャンバが入口マニホールドまたは出口マニホールドとして作用するかどうかにかかわらず、機能することを理解されたい。
【0081】
本明細書に記載のマニホールド構成要素は、多種多様な液滴吐出ヘッドに含めるのに適していることを理解されたい。特に、本明細書に記載のマニホールド構成要素は、様々な用途を有する液滴吐出ヘッドに含めるのに適している。
【0082】
この点に関して、特定の用途に応じて、様々な流体を液滴吐出ヘッドによって吐出することができることを理解されたい。
【0083】
例えば、特定のヘッドを、例えば、一枚の紙もしくはカード、またはセラミックタイルもしくは成形物品(例えば、缶、ボトルなど)のような他の受容媒体の上にインクを吐出するように構成することができる。例えば、(液滴吐出ヘッドが、インクジェットプリントヘッド、または具体的な実施例では、ドロップオンデマンドインクジェットプリントヘッドと呼ばれ得る)インクジェット印刷用途の場合のように、インクの液滴を堆積させて、画像を形成することができる。
【0084】
代替的に、液滴吐出ヘッドは、流体の液滴を吐出することができ、これを使用して、構造体を構築することができ、例えば、電気的に活性な流体を、回路基板などの受容媒体の上に堆積させて、電気装置のプロトタイピングまたは製造を可能にすることができる。実施例では、ポリマー含有流体または溶融ポリマーを連続した層に堆積させて、(3D印刷の場合のように)3D物体を生成することができる。さらに他の用途では、液滴吐出ヘッドは、生体物質または化学物質を含有する溶液の液滴を、マイクロアッセイなどの受容媒体の上に堆積するように適合され得る。かかる代替の流体に適した液滴吐出ヘッドは、中のマニホールド構成要素も同様であり得るように、当該の特定の流体を取り扱うために何らかの適合が行われた可能性があるインクジェットプリントヘッドと構造が概して同様である場合がある。
【0085】
さらに、液滴吐出ヘッドは、好適な受容媒体の上に液滴を吐出するように配置することができ、ひいては、液滴堆積ヘッドと呼ばれ得ることに留意されたい。
【0086】
例えば、上述のように、受容媒体は、紙もしくはカード、セラミックタイル、成形物品(例えば、缶、ボトルなど)、回路基板、またはマイクロアッセイであってもよい。
【0087】
それにもかかわらず、本明細書に記載の液滴吐出ヘッドが液滴堆積ヘッドとして配置され、受容媒体の上に液滴を吐出することは、決して必須ではない。いくつかの用途では、吐出された液滴が着地する場所は比較的重要ではない場合がある。例えば、具体的な実施例では、液滴吐出ヘッドを利用して、吐出された液滴のミストを生成することができる。さらに、同様のヘッド構造を、場合によっては、吐出された液滴が受容媒体の上に着地するかどうかにかかわらず、使用することができる。したがって、「液滴吐出ヘッド」というより一般的な用語が、(適切な場合)上記開示で使用されている。
【0088】
上記開示に記載のマニホールド構成要素は、ドロップオンデマンドインクジェットプリントヘッドに好適であり得る。かかるヘッドにおいて、吐出された液滴のパターンは、ヘッドに提供される入力データによって異なる。
【0089】
液滴吐出ヘッドは、マニホールド構成要素の主要部分を、ポート、および装着部80に固定されたアクチュエータ構成要素150に接続するための、本明細書に記載のマニホールド構成要素のための部分を備え得る。
【0090】
液滴吐出ヘッドは、上記実施形態のいずれかに記載のマニホールド構成要素と、装着部80に固定されたアクチュエータ構成要素150と、を備え得る。
【0091】
液滴吐出ヘッドは、上記実施形態のいずれかに記載のマニホールド構成要素と、装着部80に固定されたアクチュエータ構成要素150と、を備えることができ、チャンバの各群は、少なくとも100個のチャンバを備える。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B(a)】
図7B(b)】
図7B(c)】
図7B(d)】
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10