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特許7609770物理的システムのモデルを構築するための方法、システム、及びコンピュータ可読媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】物理的システムのモデルを構築するための方法、システム、及びコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241224BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241224BHJP
【FI】
G05B23/02 G
G06Q50/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021511624
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2019000831
(87)【国際公開番号】W WO2020044110
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】201821032236
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】16/551,781
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521079499
【氏名又は名称】ウィプロ - ラインクラフト エーアイ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダータ、ランジット
(72)【発明者】
【氏名】カレ、マンゲシ
(72)【発明者】
【氏名】ファタック、アビジート
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517129(JP,A)
【文献】特開2007-257184(JP,A)
【文献】特開平01-213795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的システムのモデルを構築する方法であって、
前記物理的システムを表す階層ツリー構造を受信することであって、前記階層ツリー構造が、前記物理的システム中に含まれるハードウェア構成要素又はデータ・ソースに関連付けられたノードを含む、前記構造の様々なレベルにおけるシステム内容を定義し、前記ノードは、前記物理的システムを表すトップ・ノード、前記物理的システムのアセットを表す中間ノード、及び前記アセットの入力/出力を表すリーフ・ノードの1つである、受信することと、
前記ハードウェア構成要素に関連付けられたデータを収集することであって、前記データがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、前記データが、前記物理的システムに関連付けられた観測データを含む、収集することと、
前記データに基づいて、第1のノード状態と第2のノード状態とを含む、前記ノードのノード状態を導出することであって、第1のノード状態が前記ノードの第1の状態を定義し、第2のノード状態が前記ノードの第2の状態を定義し、前記ノードが一度に1つのみのノード状態にあり、前記ハードウェア構成要素に関連付けられた前記データが前記第2のノード状態を定義する一意の組み合わせに変化したときに、前記ノードは前記第1のノード状態から前記第2のノード状態に遷移する、導出することと、
前記階層ツリー構造に基づき、有限状態機械(FSM)モデルを構築することであって、前記FSMモデルが、前記それぞれのタイム・スタンプに少なくとも部分的に基づいて、前記ノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義し、さらに、前記FSMモデルが前記物理的システムの全体的有限状態機械の一部である、構築することと、
前記全体的有限状態機械に基づいて前記物理的システムの前記モデルを作成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ノードの前記FSMモデルを構築することは、
第1の非状態情報を前記ノードの前記第1の状態に付加することであって、前記第1の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータのセットを定義し、データの前記セットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと、
第2の非状態情報を前記ノードの前記第2の状態に付加することであって、前記第2の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータの第2のセットを定義し、前記第2のセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれのノード状態の持続時間又は前記それぞれのノード状態中に発生するアクションに基づいて個々の複数のノード状態を分類することであって、前記分類が、固定状態、限界状態、変動状態、動的状態、又は静的状態からなるグループから選択される少なくとも1つを含む、分類すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ノードの前記FSMモデルを構築することが、非周期的システム動作モードで発生するノード状態をフィルタアウトすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記全体的有限状態機械に基づいて前記物理的システムの前記モデルを作成することは、
前記システムのノードの対話モデルを構築することであって、前記ノードの第1のノードが対話状態のままであり、前記第1のノードが、前記ノードの第2のノードが特定の状態から遷移したことに応答して前記対話状態から遷移する、構築すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
階層ツリー構造を受信することが、ユーザからの手動入力をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
階層ツリー構造を受信することが、前記物理的システムに関連付けられた前記観測データから前記階層ツリー構造を導出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物理的システムの前記モデルを作成することは、
イベントを良好なイベントとして定義することであって、前記良好なイベントが、前記物理的システムの性能パラメータを満たすことを生じる、定義することと、
イベントを不良なイベントとして定義することであって、前記不良なイベントが、前記物理的システムが前記物理的システムの性能パラメータを満たすことができないことを生じる、定義することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記物理的システムの前記モデルを構築することは、
複数のノードに関連付けられた追加のデータを収集することであって、前記追加のデータの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、前記追加のデータが、前記物理的システムに関連付けられた追加の観測データを含む、収集することと、
前記追加のデータから、前記複数のノードの各々の有限状態を導出することであって、前記複数のノードが、リーフ・ノードであるノードと、より高いレベルのノードであるノードとを含み、より高いレベルのノードが、前記より高いレベルのノードの下のノードの状態の一意の組合せを表す、導出することと
をさらに含み、
前記FSMモデルを構築することが、前記複数のノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
定義された条件外で機能するノードを外れ値ノードとして識別することであって、前記外れ値ノードが、前記ノードが対話がない状態を実施するのに最も多くの時間を要するもの、前記ノードに関連付けられたアセットが別のアセットに依存するもの、及び前記ノードに関連付けられたアセットが障害により利用不可能であるものを含むグループから選択される少なくとも1つに従う様式で機能する、識別することと、
静的状態と待ち状態とを含む、前記外れ値ノードの状態を識別することと、
前記外れ値ノードに関連付けられた前記静的状態と前記待ち状態とを除去することと、
前記アセットが別のアセットを待つとき、前記アセットに関連付けられた遅延を識別することと、
前記アセットと前記別のアセットとの間の動作を同期させる勧告を与えることと
によって、前記物理的システムの前記モデルの性能を最適化すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも部分的にコンピューティング・デバイス上に実装される生産性合成システム(PSS)であって、前記コンピューティング・デバイスが、
プロセッサと、
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体と
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
物理的システムを表す階層ツリー構造を受信することであって、前記階層ツリー構造が、前記物理的システム中に含まれるハードウェア構成要素又はデータ・ソースに関連付けられたノードを含む、前記構造の様々なレベルにおけるシステム内容を定義前記ノードは、前記物理的システムを表すトップ・ノード、前記物理的システムのアセットを表す中間ノード、及び前記アセットの入力/出力を表すリーフ・ノードの1つである、受信することと、
前記ハードウェア構成要素に関連付けられたデータを収集することであって、前記データがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、前記データが、前記物理的システムに関連付けられた観測データを含む、収集することと、
前記データに基づいて、第1のノード状態と第2のノード状態とを含む、前記ノードのノード状態を導出することであって、第1のノード状態が前記ノードの第1の状態を定義し、第2のノード状態が前記ノードの第2の状態を定義し、前記ノードが一度に1つのみのノード状態にあ前記ハードウェア構成要素に関連付けられた前記データが前記第2のノード状態を定義する一意の組み合わせに変化したときに、前記ノードは前記第1のノード状態から前記第2のノード状態に遷移する、導出することと、
前記階層ツリー構造に基づき、前記ノードの有限状態機械(FSM)モデルを構築することであって、前記FSMモデルが、前記それぞれのタイム・スタンプに少なくとも部分的に基づいて、前記ノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義し、さらに、前記FSMモデルが前記物理的システムの全体的有限状態機械の一部である、構築することと、
前記全体的有限状態機械に基づいて前記物理的システムのモデルを作成することと
を行わせる、
生産性合成システム(PSS)。
【請求項12】
前記非一時的コンピュータ可読媒体が、前記プロセッサに、有限状態機械モデルを構築させるとき、命令を記憶する前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、
第1の非状態情報を前記ノードの前記第1の状態に付加することであって、前記第1の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータのセットを定義し、データの前記セットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと、
第2の非状態情報を前記ノードの前記第2の状態に付加することであって、前記第2の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータの第2のセットを定義し、前記第2のセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと
をさらに行わせる、請求項11に記載のPSS。
【請求項13】
前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、それぞれのノード状態の持続時間又は前記それぞれのノード状態中に発生するアクションに基づいて個々の複数のノード状態を分類に分類することであって、前記分類が、固定状態、限界状態、変動状態、動的状態、又は静的状態からなるグループから選択される少なくとも1つを含む、分類することをさらに行わせる命令を記憶する、請求項11に記載のPSS。
【請求項14】
前記非一時的コンピュータ可読媒体が、前記プロセッサに、前記物理的システムの前記モデルを構築させるとき、前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、
複数のノードに関連付けられた追加のデータを収集することであって、前記追加のデータの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、前記追加のデータが、前記物理的システムに関連付けられた追加の観測データを含む、収集することと、
前記追加のデータから、前記複数のノードの各々の有限状態を導出することであって、前記複数のノードが、リーフ・ノードであるノードと、より高いレベルのノードであるノードとを含み、より高いレベルのノードが、前記より高いレベルのノードの下のノードの状態の一意の組合せを表す、導出することと
をさらに行わせる命令を記憶し、
前記FSMモデルを構築することが、前記複数のノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義することを含む、
請求項11に記載のPSS。
【請求項15】
前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、
定義された条件外で機能するノードを外れ値ノードとして識別することであって、前記外れ値ノードが、前記ノードが対話がない状態を実施するのに最も多くの時間を要するもの、前記ノードに関連付けられたアセットが別のアセットに依存するもの、及び前記ノードに関連付けられたアセットが障害により利用不可能であるものを含むグループから選択される少なくとも1つに従う様式で機能する、識別することと、
静的状態と待ち状態とを含む、前記外れ値ノードの状態を識別することと、
前記外れ値ノードに関連付けられた前記静的状態と前記待ち状態とを除去することと、
前記アセットが別のアセットを待つとき、前記アセットに関連付けられた遅延を識別することと、
前記アセットと前記別のアセットとの間の動作を同期させる勧告を与えることと
をさらに行わせる命令を記憶する、請求項14に記載のPSS。
【請求項16】
前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、
前記ノードの複数のノード状態を分析することであって、前記複数のノード状態がある時間期間中に発生する、分析することと、
前記複数のノード状態の周期的挙動を識別することと、次いで、
前記識別された周期的挙動に基づいて前記ノードの周期を定義することと
をさらに行わせる命令を記憶する、請求項15に記載のPSS。
【請求項17】
コンピュータ・システムのプロセッサによって実行されたとき、前記コンピュータ・システムに、
物理的システムを表す階層ツリー構造を受信することであって、前記階層ツリー構造が、前記物理的システム中に含まれるハードウェア構成要素又はデータ・ソースに関連付けられたノードを含む、前記構造の様々なレベルにおけるシステム内容を定義前記ノードは、前記物理的システムを表すトップ・ノード、前記物理的システムのアセットを表す中間ノード、及び前記アセットの入力/出力を表すリーフ・ノードの1つである、受信することと、
前記ハードウェア構成要素に関連付けられたデータを収集することであって、前記データがタイム・スタンプに関連付けられ、前記データが、前記物理的システムに関連付けられた観測データを含む、収集することと、
前記データに基づいて、第1のノード状態と第2のノード状態とを含む、前記ノードのノード状態を導出することであって、第1のノード状態が前記ノードの第1の状態を定義し、第2のノード状態が前記ノードの第2の状態を定義し、前記ノードが一度に1つのみのノード状態にあ前記ハードウェア構成要素に関連付けられた前記データが前記第2のノード状態を定義する一意の組み合わせに変化したときに、前記ノードは前記第1のノード状態から前記第2のノード状態に遷移する、導出することと、
前記階層ツリー構造に基づき、前記ノードの有限状態機械(FSM)モデルを構築することであって、前記FSMモデルが、前記タイム・スタンプに少なくとも部分的に基づいて、前記ノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義し、さらに、前記FSMモデルが前記物理的システムの全体的有限状態機械の一部である、構築することと、
前記全体的有限状態機械と相互接続とに基づいて前記物理的システムのモデルを作成することと
を行わせる命令を記憶するコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記コンピュータ可読媒体が前記FSMモデルを構築するとき、前記コンピュータ可読媒体は、前記コンピュータ・システムに、
第1の非状態情報を前記ノードの前記第1の状態に付加することであって、前記第1の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータのセットを定義し、データの前記セットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと、
第2の非状態情報を前記ノードの前記第2の状態に付加することであって、前記第2の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータの第2のセットを定義し、前記第2のセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと
をさらに行わせる命令を記憶する、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記コンピュータ可読媒体が、前記コンピュータ・システムに、前記物理的システムの前記モデルを構築させるとき、前記コンピュータ可読媒体は、前記コンピュータ・システムに、
複数のノードに関連付けられた追加のデータを収集することであって、前記追加のデータの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、前記追加のデータが、前記物理的システムに関連付けられた追加の観測データを含む、収集することと、
前記追加のデータから、前記複数のノードの各々の有限状態を導出することであって、前記複数のノードが、リーフ・ノードであるノードと、より高いレベルのノードであるノードとを含み、より高いレベルのノードが、前記より高いレベルのノードの下のノードの状態の一意の組合せを表す、導出することと
をさらに行わせる命令を記憶し、
前記FSMモデルを構築することが、前記複数のノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義することを含む、
請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記コンピュータ可読媒体が、前記コンピュータ・システムに、
前記物理的システムの前記モデルに基づいて、前記物理的システムのデジタル・ツインを作成すること
をさらに行わせる命令を記憶する、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本PCT出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「A System For Building A Model of A Discrete Manufacturing System And The Process For Its Performance Improvement Using This Model」と題する、2018年8月28日に出願されたインド仮出願第201821032236号、及び2019年8月27日に出願された米国実用特許出願第16/551,781号の米国特許法第119条(a)項に基づく利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
データ集約プラットフォームは、製造フロア上で動作する産業デバイスなど、システム内の様々な構成要素から生データを抽出することができる。データ集約プラットフォームは、異なる構成要素にわたって個別に又は連続的にサンプリングし、タイム・スタンプをもつ生データを記憶することができる。特に、生データは、2進形式でセンサー又はアクチュエータのステータスを識別し、様々なフォーマット(たとえば、整数又は浮動小数点形式)でセンサーのステータス又は値を処理することができる。
【0003】
特定のシステムから集約された生データを分析し、理解するために、様々なツールが利用可能である。たとえば、生データを分析するために、データ分析システムが、特定のシステムがどのように動作し、機能すると考えられるかを定義する、そのシステムの手動で導出されたモデルを含む。モデル化されているシステムの複雑さに応じて、モデルを手動で導出することは、煩雑であり、技能に基づく。システムがますます複雑になるにつれて、特定のシステムを完全且つ包括的に定義するモデルを手動で導出することも、ますます困難になっている。さらに、特定のシステムの動作が、動作の新しいノーマル又は標準に向かう新しい方向に逸脱し始めたとき、変更を反映するために、新しい手動で導出されたモデルが構築されなければならない。
【0004】
生データを有用に理解するために、分析製品が使用され得る。分析製品は、ユーザが、関心のある特定の変数又は時間間隔を手動で選択することを可能にし、ここで、分析製品は、データをグラフ又は表で提示する。したがって、分析製品は、ユーザが何を探しているかをユーザが詳細に知っているとき、ユーザにとって有用である。
【0005】
例示的な実施例の詳細な説明のために、次に、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な参照システム・モデルのブロック図である。
図2】例示的な実施例による流れ図である。
図3】例示的なシステム情報のブロック図である。
図4】例示的な有限状態機械を示す図である。
図5】本明細書で説明される例示的な実施例を実装するために使用される例示的なコンピューティング・デバイスを示す図である。
図6】いくつかの実施例による、例示的なPSSアーキテクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明は、本発明の様々な実施例を対象とする。これらの実施例のうちの1つ又は複数が選好され得るが、開示される実施例は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきでないか、又はさもなければ使用されるべきでない。さらに、当業者は、以下の説明が幅広い適用例を有し、いかなる実施例の説明も、その実施例を例示することを意図するにすぎず、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がその実施例に限定されることを暗示するものでなはいことを理解するであろう。
【0008】
特定のシステム構成要素を指すために、様々な用語が使用される。異なる会社は構成要素を異なる名前で呼ぶことがあり、本明細書は、名前は異なるが機能は異ならない構成要素を区別することを意図しない。以下の説明では、及び特許請求の範囲では、「含む(including)」及び「備える、含む(comprising)」という用語は、オープンエンド様式で使用され、したがって、「限定はしないが、...を含む(including,but not limited to...)」を意味すると解釈されるべきである。また、「結合する(couple)」又は「結合する(couples)」という用語は、間接接続又は直接接続のいずれかを意味するものとする。したがって、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接接続を通して、又は他のデバイス及び接続を介した間接接続を通してであり得る。たとえば、「結合する(couple)」又は「結合する(couples)」という単語は、機械(システム)のセット、又はそのサブアセンブリ(サブシステム)間の対話(インタアクション、相互作用ともいう)を示し得る。これは、システム及び/又はサブシステムが互いに電子的又は機械的に取り付けられないことがあるが、システム又はサブシステムの挙動の動作が1つ又は複数の結合されたシステム又はサブシステムの挙動に影響を及ぼし得ることを意味する。
【0009】
本明細書で説明される生産性合成システム(「PSS」:Productivity Synthesis System)を対象とする例示的な実施例は、大きく、複雑な相互リンクされたシステム(「物理的システム」)のためのモデルを導出するために使用され得、ここで、物理的システムの挙動は、条件付きで又は一時的に他のサブシステムとリンクされ、並びに、物理的システムの固有のモデルの一部でないが、そのシステムの挙動に影響を及ぼし得る、外部イベント及びファクタとリンクされる。物理的システムの実例は、自動車製造組立ライン、産業生産システム、産業用モノのインターネット(IIot:Industrial Internet of Things)内で動作する構成要素などを含む。
【0010】
PSSは、最小の手動入力で産業生産システムをモデル化するために使用され得るコンピュータ実装システムである。詳細には、PSSは、(本明細書では「システム挙動モデル」と呼ばれる)物理的システムのモデルを自動的に導出する。いくつかの事例では、導出されたシステム挙動モデルは、特定の物理的システムのデジタル・ツイン(digital twin)であり得る。
【0011】
PSSは、システムの挙動の有意味な分析を生成し、物理的システムのスループット、性能、及び信頼性を改善するための勧告を行うことができる。さらに、PSSは、物理的システムの劣化、不利なイベントを検出し、将来の障害及び危険を予測するために使用される、有意味な分析を生成することができる。PSSは、(より低いレベルのアグリゲートの機能的挙動の組合せを表すよりも)より高いレベルのアグリゲートをモデル化し、それらに関連付けられた、より高いレベルの分析パラメータを導出することができる。機能的挙動のより高いレベルのアグリゲートをモデル化することによって、PSSは、物理的システムの機能的挙動に関する分析及び勧告を生成することができ、分析及び勧告は、その後、生データまで掘り下げられ得る。様々な実施例では、分析及び勧告は、ユーザへの表示のためにレンダリングされる。
【0012】
さらに、PSSは、品質パラメータ、又は品質に関連付けられたパラメータを入力としてとり、品質パラメータを、導出された周期と導出された状態とを含む様々なシステム挙動と相関させ、考えられる将来の品質問題を、そのようなパターンが観測されたときに予測することができる。PSSはまた、非生産モードにある物理的システムに関するデータを記録し、もしあれば、手動動作中の物理的システムにおける逸脱又は物理的システム損傷の結果のさらなる分析のために、手動介入の完全な履歴を構築し得る。周期又は状態を含む、物理的システムの挙動の動作シーケンスが変更される事例では、PSSは、可能な新しい周期又は状態を含む挙動の変更を自動的に検出し、変更された挙動を反映して、自動的にモデルを作成するか又は既存のモデルを更新する。
【0013】
導出されたシステム挙動モデルは、分析研究及びシミュレーションを実施するために使用され得る。さらに、PSSは、物理的システムの動作のために、システム挙動、知識、診断及びトレーニングを文書化し、簡略化することができる。
【0014】
図1は、個別の製造システムに好適な例示的な参照システム・モデル100のブロック図を示す。最初に、生産性合成システム(「PSS」)は、システム挙動モデルを導出するために、参照システム・モデル100などの参照システム・モデルを使用する。基礎をなすPSS技術は、物理的システム(すなわち、製造システム)が、有限状態挙動と、状態のモデルと、周期的動作と、相互接続性質と、モジュラー性質と、階層性質と、性能尺度と、外部イベントとを含む、物理的システムの挙動を定義するために使用され得る以下の共通特性を有することを認識する。
【0015】
A)有限状態挙動。製造システムなどの物理的システムは、物理的システムの考えられる状態のセットを定義する様々なセンサー及びアクチュエータを使用して制御される。考えられる状態のセットは、数が有限である。これらの状態のうち、極めて少数の状態が、物理的システムの有意味な動作のために実際に必要とされる。PSSは、物理的システムの有限状態挙動を識別し、導出するように構成される。
【0016】
B)状態のモデル。PSSは、考えられる状態を識別し、定義するように構成され、ここで、各状態は、システムに可視である情報の一意の組合せである。PSSは、様々な考えられる状態のモデルを生成することができ、ここで、情報の一意の組合せが別の状態の定義に変化したとき、状態が別の状態に「遷移」する。
【0017】
C)周期的動作- 製造システムなどの物理的システムは、動作の同等又は同様のステップの反復的な様式で、したがって、そのような明確に定義された状態の周期的シーケンスにおいて動作する。PSSは、同じ物理的システムにおいて起こり得る複数のそのような周期があり得ることを認識することが可能である。
【0018】
D)相互接続性質- 製造システムなどの複雑な物理的システムは、複数のシステムからなり、各システムは複数の周期で動作し、プロセスのある部分については独立して働き、プロセスの他の部分については何らかの他の周期と互いに依存して働いて、全体的製造機能を達成する。PSSは、物理的システムの様々な部分を表す様々なノードの相互接続性質を識別し、導出し、定義することが可能である。
【0019】
E)モジュラー性質- 物理的システムのサイズ及び複雑さは、物理的システムの物理的サブシステムの周期を定義し、物理的システムのアグリゲートのより高いレベルの機能的挙動をなす、物理的システムの物理的サブシステム中のセンサー及びアクチュエータのセットをグループ化し、次いで、異なる物理的システムにおける対話を定義することによって、より良くモデル化され得る。より低いレベルの階層は、様々な条件下での複数の周期及び状態組合せを伴うことができる。
【0020】
F)階層性質- 物理的システムは、動作モードを定義する物理的システム特性、(マルチパート、マルチプロセス機器のような)複数の候補の中の特定の機能のためのセットアップを通して、階層性質を呈し、ここで、物理的システム・モードが変更されたとき、それの下のすべてのシステム構成要素は異なる様式で挙動する。
【0021】
G)性能尺度- 製造システム性能予想と性能の最適化とが、共通及び固有である。これらは、(限定はしないが)一般に以下のものである。
i. 有効性
ii. スループット
iii. プロセス能力及び安定性
iv. コスト最適化
v. 仕掛品(WIP:Work In Process)最適化
vi. フレキシビリティ
vii. エネルギー最適化
viii. 廃液/廃棄物最適化
【0022】
H)外部イベント- 製造システム性能は、物理的システムがその制御もそれに関する情報(すなわち、動作のシフト、担当の特定のオペレータ又はライン監督者、入力材料ベンダー、セットアップ、挙動の変更のための入力を与える企業システム及びMESとのインターフェースなど)も有しない外部イベントによって影響を及ぼされ得る。性能尺度と外部イベントとは、システム・レベル102において分析される。
【0023】
PSSは、したがって、観測されたデータからこれらの挙動を探し、システム挙動モデルを参照フォーミュレーションにマッピングする。このフォーミュレーションは、さらなる分析及びユーザとの対話の基礎として役立つ。
【0024】
図1では、トップ・レベル、すなわち、システム102は、ライン、店、及び工場など、トップ・レベル・アグリゲートを表す。システム102の前に定義されるシステム・プロパティ104は、作業時間、ライン・モード、及びライン・セットアップなどのプロパティを表す。システム・プロパティ104の下に、様々なサブシステム106が定義され得る。サブシステムは、セル、ゾーン、及びセグメントのようなアセットの様々なアグリゲートを定義することができる。それぞれのシステムに関連付けられた動作モードが、さらに定義され得る。
【0025】
例示的な図1では、サブシステム106-2に関連付けられたツリーの部分101が、さらに定義される。注目すべきことに、サブシステム106-1及び106-Mの各々は、サブシステム106-2に関連付けられたツリーの部分101と同様の、ツリーのそれぞれの部分に関連付けられ得る。様々な動作モード108が、サブシステム106-2について定義され得る。さらに、様々なアセット110が、サブシステム106-2について定義され得る。アセット110は、周期的挙動をもつより低いレベルのアグリゲートを含むことができる。すなわち、アセット110は、周期的挙動を定義することができる。アセット110の下で、シーケンス112が定義され得、ここで、シーケンスは、状態の連続した組合せである。
【0026】
それぞれのシーケンスについて、様々な状態114が定義され得る。様々な状態114について、様々なI/O情報116が定義される。いくつかの実施例では、I/O情報116は、デジタルI/Oと、サーバ位置と、測定された変数と、算出された変数と、品質情報と、ユーザ入力とを含むことができる。
【0027】
この手法の利点は、人間によって容易に解釈されるシステム挙動モデルを作成することを含む。機能的フォーミュレーションは、生データではなく、人間が知覚できるアクションの解釈を可能にする。たとえば、「デジタル入力#7が時間03:07:42.2においてオンになった」(生データ)は、「プレス・ラム前方移動は、プレス工具において軸受の存在が検出された後に発生した軸受プレス周期のプレス・ステップ中に完了した」と同程度に有用である情報を伝えない。両方のメッセージは同じ入力から導出され得るが、後者のメッセージは人間によってより容易に解釈される。
【0028】
追加の利点は、階層と、モジュラリティと、対話とのモデル化による低減された複雑さを含む。したがって、所与の時間において、理解及び分析は、必要とされてはいないが、物理的システム全体の知識なしに階層及びそのインターフェースにおける特定のモジュールの位置を理解することを含む、特定のモジュールのみに限定され得る。
【0029】
別の利点は、時間次元がシステム・モデル中に埋め込まれることを含み、これは、物理的システムの(所与の時間における)静的ピクチャと、物理的システムがどのように特定の状態に達したか(履歴ステップ・シーケンス)を理解するために使用され得る履歴ピクチャと、その後起こることが予想されること(将来の考えられる挙動)を反映する予測ピクチャとを取得し、可視化することを可能にする。
【0030】
システム・モデルは同じ参照モデルに従うので、システム・モデルにおけるパターン、挙動、変更の比較分析が行われ得る。さらに、参照モデルは標準化されるので、PSSを使用して人員をトレーニングすることがより容易である。
【0031】
動作中に、PSSは、PSSによって自動的に作成される物理的システムの動作「デジタル・ツイン」を作成し、更新する。したがって、元の設計者、どのようにシステムが動作するようにプログラムされたかの設計文書化、又はシステム動作を支配するコンピュータ・コードは、システム挙動モデル又は「デジタル・ツイン」の更新を行うために必要とされない。
【0032】
図2は、システム挙動モデルを作成する標準化プロセスの流れ図200を示す。流れ図は、最小の人間入力でシステム・モデルを導出するためのプロセスを示す。PSSは、予想される挙動をユーザによって定義された物理的システムに関する最小情報に整合させる、システム挙動モデルを自動的に導出することができる。流れ図200中のステップ204の後のステップの各々は、ユーザ入力を必要とすることなしに、自動的に行われる。すなわち、流れ図200中のすべてのステップにおいて、「自動」学習及び分析があり、ユーザのトリガ、始動、又はクエリなしに、PSSは、自己学習技法を適用することによって成果物(deliverable)(たとえば、214、216、220、及び224)を生成し、更新する。
【0033】
ユーザ入力は、PSSが成果物214、216、220及び224を生成するために必要とされないが、ユーザは、システム挙動モデルを改良し、自動分析されたパラメータのうちのいくつかを手動でオーバーライドし、PSSによって与えられた勧告の正当性又は有用性の評価を与え、ユーザ・インターフェースを通して分析を実施し、必要に応じてクエリ及び分析をセット・アップするために、PSSに入力を与えることもある。
【0034】
標準化されたプロセスは、システムに関する情報を受信することから始める(204)。受信された情報は、システム中に何が含まれているかと、システムの目的と、この情報がデータ中のどこで利用可能であるかとを含み得る。ユーザは、物理的システムがどのように働くか、又は働くと考えられるかを指定する必要がない。また、ユーザは、システムのモデル情報も「デジタル・ツイン」も与える必要がない。
【0035】
ユーザは、PSSに以下の情報を与える:システム内容(system content);センサー、アクチュエータ及びそれらのデータ・ソースを定義する;状態及び外部イベント及びユーザ定義イベントを定義するために関連するセンサー及びアクチュエータに関係しない物理的システム・コントローラ・メモリからの他の変数;手動で導出された状態;標準システム動作モードの存在を定義する;並びに外部イベント;品質パラメータ(たとえば、限定はしないが、溶接電流及び電圧及びワイヤ供給、部品機械加工自動品質チェック結果など)、生産部品履歴パラメータ(たとえば、限定はしないが、部品番号、部品タイプ)、アクチュエータ健全挙動を測定するためのシステム内在的パラメータ(たとえば、限定はしないが、モーター電流及び電圧、振動センサー)、又はシステムの出力の任意の他の、場合によっては関連する分析(たとえば、限定はしないが、システムへの入力電力、システムへの空気流)を分析するために関連する他の入力及び出力及びメモリ変数。ユーザによって与えられ得る情報の各タイプが、以下で、順にさらに説明される。
【0036】
システム内容を定義する- ユーザは、アセット(ラインにおいて使用される、概してスタンドアロンの独立した機器)又は(ストレージ/バッファ、並びにアセット間の論理的相互接続、ITシステム・インターフェース、データ・インターフェース・ポイントなどのような)システムの物理的内容を定義し得る。さらに、ユーザは、サブシステム及びそれらの副構成要素、すなわち、(たとえば、階層ツリー構造における)それらの論理的構成(logical construction)による構成要素の内訳を与え得る。ユーザは、様々なアセットのノードを、動作の周期的挙動を呈する、物理的システムにおける最も小さいアグリゲート・レベルまで定義し得、それらは、時間的インターフェース条件を除いて、他のノードの周期から独立している。ユーザはまた、ノードによって定義された周期の内容及び機能的目的を指名し得る。システム内容は、したがって、「ノード」の階層ツリー構造として定義され、そのトップ・ノードは、PSSの範囲内のシステム全体であり、中間レベルにおいてアセット又は他の物理的コンテンツ・ノードがあり、リーフ・レベルにおいてI/O及び変数ノードがある。
【0037】
システム内容は、したがって、「ノード」の階層ツリー構造として定義され、ここで、トップ・ノードは、PSSの範囲内のシステム全体を表し、キャプチャし、中間レベルにおいてアセット又は他の物理的コンテンツ・ノードがあり、リーフ・レベルにおいてI/O及び変数ノードがある。
【0038】
センサー及びアクチュエータ並びにそれらのデータ・ソースを定義する- ユーザは、各リーフ・ノードについて、センサー、アクチュエータ、及びそれらのデータ・ソースを、それらに関する情報について定義し得る。PSSは、様々なアクチュエータ及びセンサーを、アクチュエータ及びセンサーについての入力、出力、及び状態式のためのプレースホルダーとともにモデル化する能力を有する。PSSは、アクチュエータ及びセンサーがあり得る様々な状態の単純な状態式を書く能力をも有する。
【0039】
リーフ・ノードに関連付けられたデータが、それらのステータスに関する情報(たとえば、デジタルI/O、フラグ、(CNCシステム座標、測定値などのような)変数値)を与える。リーフ・ノードに関連付けられたデータは、リーフ・ノード・データ(「LND」:Leaf Node Data)と総称され、ユーザは、LNDを定義するために、産業コントローラからの入力及び出力の物理アドレスのようなデータ・ソース、コントローラにおいて使用される変数、又は軸数のような多値変数のソース、又はセンサー値アドレスを指定する能力を有する。ユーザは、浮動小数点/非2進データを使用して一般的なそのようなアクチュエータ及びセンサーのモデル・ライブラリを2進数(ブール変数)又は連続変数として定義し、使用する能力を有する。タイムスタンプをもつ値をもつLNDの特定のインスタンスは、リーフ・ノード値(「LNV」:Leaf Node Value)と呼ばれる。さらに、ユーザは、LNDに加えて、外部イベントを定義する(以下のセクション[0047]、「EED」)ためのデータを与える能力を有する。このデータは、PSSにとってアクセス可能な物理的システムにおける任意の変数であり得る。PSSはまた、限定はしないが、外部イベントを定義する(以下のセクション[0047])ために使用され得る時刻、日付などを含む、いくつかのあらかじめ定義された変数をも有する。
【0040】
手動で導出された状態を定義する- ユーザは、LNDの組合せを作成するために様々なLNDのブール式を書く能力をも有する。これらの手動で入力された状態式は、手動で導出された状態(MDS:Manually Derived State)と呼ばれる。ユーザは、(サーボ軸位置のような)マルチ値変数のための値範囲をも定義することができ、これは、変数を限られた数の値に量子化する。
【0041】
定義は、様々なテンプレート・ベースのアクチュエータ及びセンサーの使用によって簡略化され得る。テンプレート・ベースのアクチュエータ及びセンサーは、定義された入力及び出力、並びに入力及び出力変数プレースホルダーを使用する状態式を有する。PSSは、そのようなテンプレート・ベースのアクチュエータ及びセンサーが物理的システムにおいて使用されるとき、それらを追加する能力を有する。これにより、PSSは、知られているテンプレート、又は前に知られていなかったアクチュエータについて作成されたカスタム・テンプレートのいずれかを通して、アクチュエータの「アクション」状態を理解することを可能にすることができる。これらのアクション状態は、さらに、状態の動的挙動を決定するために使用される。これにより、PSSは、知られているテンプレート、或いは前に知られていなかった、定義されていない、又は識別されていないアクチュエータについて作成されたカスタム・テンプレートのいずれかを通して、アクチュエータの「アクション」状態を理解することができる。これらのアクション状態は、さらに、状態の動的挙動を決定するために使用される。
【0042】
さらに、ユーザは非リーフ・ノードについてのMDSを定義し得、ここで、非リーフ・ノードは、その子ノードのLNDと、上記で説明された物理的システム・コントローラからPSSによってキャプチャされた他のデータ・ポイントとの組合せとして、階層における親ノードである。
【0043】
条件付き結合ノードを定義する- 様々なノードは、互いに対して異なる挙動を示すことができる。様々なノードは、別のノードとの分離挙動(たとえば、2つの独立して機能する機械)、条件付き結合(2つのノードがしばらくの間互いと連携して働いている「インターフェース」条件中に、その2つのノードが結合される、たとえば、機械及び自動ロボット・ローダ)、及び結合(1つのノードが別のノードに完全に依存し、したがって、これらのノードは、それらのアクションを可能にするためにそのようなノードの組合せとして扱われる必要がある、たとえば、機械内の様々なサブシステム)などの挙動を呈し得る。
【0044】
したがって、第1のノード及び第2のノードに関して、ノードは、分離状態、条件付き結合状態、又は結合状態で動作し得る。分離条件で動作する第1のノードと第2のノードとの間では、第1のノード及び第2のノードは、独立して機能する機械として動作する。条件付き結合様式で動作する第1のノードと第2のノードとの間では、第1のノードは、第1のノード及び第2のノードがしばらくの間互いと連携して働く「インターフェース」条件が発生したとき、第2のノードと結合される、たとえば、機械及びその自動ロボット・ローダ。結合様式で動作する第1のノードと第2のノードとの間では、ノードは互いに完全に依存し、したがって、ノードは、それらのアクションを可能にするために2つのノードの組合せとして扱われる必要がある、たとえば、機械内の様々なサブシステム。たとえば、リーフ・ノードの第1の状態と異なるリーフ・ノードの追加の状態との間のインターフェースは、第1の状態が、異なるリーフ・ノードの追加の状態の条件に応答して発生することとして定義され得る。
【0045】
トップ分離ノード(TDN:Top decoupled node)は、それら及びすべてのそれらの子が結合されたと見なされ得る親ノードである。いくつかの実施例では、トップ分離ノードは、分離されるか又は他のTDNと部分的に結合されるかのいずれかであり得る。
【0046】
標準システム動作モードの存在を定義する- ユーザは、物理的システムの動作の「システム・モード」と、それぞれのシステム・モードに関連付けられた一般的なLNDとをも定義し得る。定義され得るいくつかのモードは、限定はしないが、自動周期モード、半自動モード、手動/教示/インタラクティブモード、故障/非動作モードなどである。
【0047】
外部イベントを定義する- ユーザは、外部イベントをも定義し得、外部イベントは、システム・モデルの一部ではなく、又は物理的システムの制御システムにとって利用可能な情報の一部ではないが、それにもかかわらず、システムの挙動に影響を与えるか又は影響を及ぼす。外部イベントは、PSSが、物理的システムの挙動をより良く分析することを可能にし得る。
【0048】
上記で説明された様々なユーザ入力は、他のシステム及びセンサーへのユーザ・インターフェース(手動入力)/データ接続を通してPSSに直接入力され得る。
【0049】
次に、PSSはリスニング・ステップ(206)を実施し得、PSSが、システム状態を導出し、それらを分析する。PSSは、システム挙動モデルを構築するためのデータを収集し、リーフ・ノード・データをキャプチャする。データ収集はオンラインで行われ得る。システム挙動モデル及び分析は、オンライン又はオフラインで行われ得る。PSSは、PSSが物理的システムに接続されたとき、データを収集する。オンライン・モードでは、PSSは、システム挙動モデルを構築し、データ収集と同時に分析を実施し得る。オフライン・モードでは、PSSのデータ・ロギング・サブシステムが様々な時点において物理的システムに接続され得、次いで、データが、後のモデル構築及び分析のためにPSSにアップロードされる。
【0050】
他のタイプのデータが同様の様式(たとえば、手動入力、外部システム・インターフェース(たとえば、顧客ショップ・フロア及び企業システムなど)で収集され得、タイム・スタンプをもつデータが、PSSがモデル構築又は分析を実施するためにオンライン又はオフラインで収集され得る。一実例では、様々なIIoTプラットフォームが、多様な製造業者からのハードウェア及びソフトウェア(たとえば、限定はしないが、Siemens-Mindsphere、GE-Predix、ABB-Ability、Fanuc-Field、Kuka-Connyun)によって制御される製造システムからPSSにデータを与え得る。他の実例では、そのようなプラットフォームが使用されないことがあるが、代わりに、データは、機械コントローラ(たとえば、OPCサーバを通したPLC)のネイティブ・データ・フォーマットのものであり得る。PSSは、構成において定義されたLNDをPSSに与える任意の形式のデータとともに働くことができる。構成において定義されたLNDの一実例は、LNVの表の形式のものであり得る。
【0051】
一般的な大きいシステムは、高速且つ頻繁に変化する、大量の入出力(「I/O」:input/output)、及び物理的システム挙動に関連するインメモリ・データ(in-memory data)を有する。状態が、あらゆる変化を追跡するために利用可能なI/O情報のすべてのセットを使用して定義された場合、状態の数が爆発的に増加し、分析が計算量的に非常に重くなり、ユーザが結果を解釈することがますます困難になる。たとえば、一般的なエンジン組立ラインは、9,900の2進数、及び100の浮動小数点の場合でも、情報の10,000個のデータ・ポイントを有し得る。浮動小数点変数がそれらの限界において10個の量子で量子化される場合でも、すべてのこのデータのすべての考えられる組合せは、(2^9900*10^100)超になり、これは、10^3080超の状態を意味し、有限時間におけるモデル化及び分析をほぼ不可能にする。
【0052】
しかしながら、PSSは、考えられる組合せの大部分が起こりそうもない(変数値のたいていの組合せが、理論上は可能であるが、決して発生しない)物理的システムにおける観測された現象を利用する。発生するものさえ、ノードに限定された変数を分離することによって、分離ノードにおける情報の変動が、そのノードにおける状態についての「無関係(don’t care)」条件であるので、数が著しく低減され得る。
【0053】
この観測された現象を使用して、状態を作成するために以下のアルゴリズムが使用され得る。
1)妥当な時間期間にわたって、共通タイムライン上でLNDを表にし、妥当な数のサンプルを与え、システムの状態の各々が何度も発生していることを可能にする。
2)LNVの変化が、ノードが存在することができる特定の状態を一意にシグナリングすることができるように、そのノード内でのみLNDを観測する。これは、発生しない状態の除去、並びに、ノードについての追加の状態と混同する、このノード外のLNV変化を隔離することの両方によって、組合せの爆発的増加を制限する。
3)タイム・スタンプされた生データを使用してリーフ・ノード・モデルを簡略化し、検証する能力、
a. リーフ・ノードについての実際に収集されたデータ及び導出されたMDSのグラフィック表示、並びに、ユーザがモデルを補正することを可能にするために、モデル化されたMDSがアクティブでない時間間隔を表示すること
b. 2つのMDSが、手動で入力されたモデルの不正確さにより、同時にアクティブになる場合、MDSの定義を自動的に分割し、修正すること、及び、一度に1つの状態のみがアクティブになるように、導出された内在的状態(「DIS」:Derived Intrinsic State)として知られる追加の状態を作成すること
c. 複数の値により、状態の数を爆発的に増加させる多値LNVの場合、状態の数を制限するために、これらの変数の「量子化」のためのゾーン又はバンドを定義する能力。これは、自動分析(PSSが、統計的分析によって「安定した」値範囲を示唆する)によって、又は、対話式(PSSが、状態を量子化するためにユーザが値の範囲を解釈し、定義するために、他の変数との関係において値のグラフを表示する)に行われ得る。
4)観測された状態の組合せ全体を分析する能力、並びに、階層的にリーフ・ノードの上の親ノードの状態を、ルート・ノードまで漸進的に上方に、導出する
a. 親ノードについての手動で定義された状態を定義し、評価する能力
b. 親のすべての子の観測された状態の一意の組合せである「導出された外在的状態」(DES:Derived Extrinsic State)を導出する能力
c. 任意のノードについてのMDS及びDESのデータを使用し、各ノードについてのDISを導出する能力
d. 結合条件がインスタンス化されたとき、追加のDES及びDISを導出するために結合条件を使用する能力
【0054】
一実例では、上記のアルゴリズムを実装することは、約10,000個の状態を生じ、これは、分析のための非常に簡略化されたモデルにつながる。各ノード内の状態が定義された後に、ノードの動作ステップの範囲全体が、これらの状態のうちの1つによって一意に説明される。各状態は、以下の特性を有する。状態は、ある一意の組合せから別の一意の組合せへのLNVの変化として始まり(「遷移開始」)、次いで、別のそのような一意の組合せで終了する(「遷移終了」)。ノードは常に唯一無二のある一意の状態になければならないので、ある状態の遷移終了は、唯一無二のある他の状態の遷移開始と(考えられるラグの1つのデータ・サンプリング間隔内で)一致しなければならない。
【0055】
十分な時間にわたる十分な数のLNVデータが利用可能であるとき、これらの状態の複数のインスタンスが分析のために利用可能である。次いで、さらなる分析のために状態を分類するために、以下の分析が実施される。
1)状態の時間挙動タイプ:(開始から終了までの)各状態の持続時間に基づく
a. 固定状態:かなり厳しい統計的許容バンド内の、固定時間挙動を示し、外れ値を無視する状態。これは、一般に、固定タスク(たとえば、クランプ開/クランプ閉/部品把持/その他)をもつブール・アクチュエータの場合である。
b. 限界状態(Bound State):タイミングの特定の間隔内で限界にあり、厳しい統計的バンド内にこの挙動を呈し、外れ値を無視する状態。これは、一般に、プロセス中にアクションの変動する進行又は速度を有するアクションの場合である。
c. 変動状態(Variable State):特定の限界及び統計的バンドなしに、タイミングの大きい変動を示す状態。これは、一般に、状態が、(システムについての望ましくない特性であり、したがって、システム安定性を改善するための第1のステップである)何らかの不安定な又は制御されていない物理的挙動に依存するか、或いは、待ちタイプの状態である場合であり、ここで、待ちタイプの状態の終了は、このノード外にある(たとえば、このアクチュエータは、別のノードに属する別のデバイスが片付かない限り、アクションを開始することができない)か、又は(オペレータが部品を積むのを待つような)システムの外部にある、別の状態に依存する。
【0056】
状態の動的挙動
a. アクション状態- 起こっている何らかのアクションがある場合。一般的な製造システムは、生産するためにいくつかのアクションを実施しているはずであるので、動的状態はシステムの潜在的な生産的挙動に相関する。
b. 静的状態- 起こっているアクションがないが、依然として、ノード間のインターフェース、動作の前提条件の利用可能性などのような可能条件(enabling condition)のために必要とされ得るとき。状態が他のノード又は外部イベントに依存しないとき、状態は、1つのアクション状態から別のアクション状態に、その中間に静的状態なしに、遷移するが、それらが依存するとき、それらは外側状態遷移を待たなければならない。静的状態は、通常、非生産的挙動を表す。
【0057】
PSSは、自動的に時間挙動分析を実施し(「自動分析」)、これらの状態の分類のこれらの所見をユーザに与え、ここで、ユーザは、分類をオーバーライドの分類の正確さを確認することができる。ユーザは、予想されるシステム挙動のユーザの理解が、PSSによって観測された挙動から逸脱するとき、分類をオーバーライドし得る。たとえば、たとえば「グリッパー閉(gripper close)」状態は厳しい統計的限界をもつ観測において2~4秒を要し、したがって、PSSはそれを限界状態として分類した。ユーザは、これが、フィンガー・ガイド上の汚れにより起こることであり、その汚れが時々このフィンガーをべとべとにし、通常2秒を要するはずであることが最高4秒を要することがあり、これが偶然、たまたま4秒に制限されたことを了解する。この実例では、ユーザは、状態タイプ定義を固定状態にオーバーライドすることを選定し得る。
【0058】
PSSは、(ユーザのプロンプト(prompting)又は入力なしに)自動的にアクション挙動タイプ分析を実施する。上記の混合状態分析の場合、そのような混合状態、及びそれらのインターフェースするノードがユーザによって識別されたとき、PSSは、同じく、インターフェース状態を識別するために自動的に分析を実施する。
【0059】
図3は、PSSを最初に構成するために使用され得る情報を図示するブロック図300を示す。ブロック図300は、説明のために拡大されたほんのいくつかの構成要素を示す。ブロック302及び304は、リーフ・ノード中の構成要素について識別され得る、識別されたリーフ・ノード・データを含む。
【0060】
リスニング機能(図2中のブロック204)の実例を示すために、図3中の例示的なノード306「ダウエル・プレス(Dowel Press)」が説明される。リスニング機能中に、この場合において観測された状態は、以下の通りであり得る。
1)パレットが存在する
2)パレットが移動している/存在しない
3)ラムが上にある
4)ラムが下に動いている
5)ラムが下にある
6)ラムが上に動いている
【0061】
リスニング機能中に状態を認識した後に、PSSは、学習機能(図2中のブロック212)に進み得る。PSSは、今や、常にシステムがどの状態にあるかを知り、したがって、遭遇される状態のシーケンスを知るために、状態式を連続的に解決するより高いレベルの能力を所有する。これらのシーケンスは、以下のプロパティを有する。
1)異なるノードは、所与の時間、及び時間の大部分において異なる状態を有し、これらのシーケンスは、互いと(タイミング関係なしに)非同期的に起こる。
2)ノード間の対話アクションは、特定の時間の間、同期するための特定の状態(1つのノードにおける状態が、別のノードからの別の状態が終わるのを待つ)を生じ得る。その後、もう一度、シーケンスは非同期様式で続くことができる。
3)反復して、特定の順序で次々に起こる特定の状態のシーケンスは、製造動作の一般的な性質である。
4)システムの望ましい(生産的な)動作は、ノードの各々について有限数のそのようなシーケンスを通して進む。
5)反復的な動作は、「周期的」挙動、すなわち、次々に反復する状態のシーケンスを必要とする。したがって、これらの状態のいずれかは「ホーム(home)」状態としてとられ得、周期は、ホーム状態からホーム状態までのシーケンスと見なされ得る。
6)ノードが複数の周期を有するとき、周期は、すべての周期のためのホーム状態として働くことができる少なくとも1つの共通状態を有する。しかしながら、PSSは、どの状態がホーム状態の候補であるかを予測することができ、ユーザは、各周期について別個のホーム条件を定義することができ、これは、リーフ・ノード又は親ノードについての複数の考えられるホーム条件を生じる。
7)ノードのFSM全体は、次いで、ホーム状態において接続された周期のセットとして視覚化可能である。
8)システムのFSM全体は、個々のノード間の特定の状態においてインターフェースされた、それらのノードのためのFSMとして視覚化可能である。
9)(「システム・モード」によって定義された)製造システムにおいて予想されるシステムの周期的挙動に対する特定の例外がある。たとえば、手動モード、及び故障モードは、非周期的動作である。
【0062】
関心のあるシステムの上記で説明された挙動に基づいて、PSSは、完全なシステムの周期及び完全なFSMを導出するために、以下のアルゴリズムとともに働く。
1) 再帰的ソルバー(recursive solver)を使用してあらゆるノードについてのあらゆる時間サンプルにおいて一意の状態を連続的に生成する。様々な実施例は、状態変化を連続的に監視することを含むことができる。追加の実施例は、異なる時間間隔においてサンプリングすることと、状態を比較することとを含むことができる。
2) モデル構築の目的の自動モード及び手動モードのような、非周期的システム動作モードで発生する状態のデータをフィルタアウトする。ただし、データは常に集約される。
3) 周期的システム・モードにおける状態発生順序から反復シーケンスを識別する。
4) 周期の定義のために潜在的ホーム状態を自動的に分析し、それを、ユーザによって確認されたか又はユーザによって異なって選択されたとき、構成情報に追加する。
5) ノードの各々及びノードによって経験される周期のすべての「有限状態機械」(FSM:Finite State Machine)モデルを構築する。
6) 状態間のインターフェースを通してノードFSMの接続によってシステム全体のFSMを構築する。
7) データ・ソースを観測し、リスニング段階(図2中のブロック206)中に観測されないことがある導出された外在的状態(「DES」)及び導出された内在的状態(「DIS」)を自動的に導出し、必要な場合、追加のFSMモデルを作成する。
8) 結合条件を観測し、真の場合、結合ノードのDES、DIS及びMDSを評価する。
9) 周期の複数のインスタンスを分析して、それらの時間的挙動、及び統計を識別する。
10) 周期の変動性のモデル化されていない候補を分析する。たとえば、モデル化されていない候補は、部品変形態(part variant)、部分的ライン動作などの異なるセットアップで稼働するような、異なる「動作モード」を含み得る。PSSは、考えられる動作モードと同様の、周期の発生の確率を提示し、ユーザ検証動作モードの構成を更新し得る。
11) 安定した周期挙動を作成するためのユーザへの報告勧告を可能にするために、動作モード以外に、たとえば、外部イベントとの相関に関して、周期の変動性を分析する。たとえば、第1のシフトよりも多くの、第2のシフトにおける手動モード/故障の発生、別のベンダーに対してより多くの、あるベンダーからの入力材料に関する較正周期頻度など。
12) さらなる分析のために周期のタイプの数を最小限に抑えるためのヒューリスティック(heuristic)及び機械学習に基づくシーケンスの類似度の分析。
13) アセット間の対話の分析:1つのアセットが、別のアセットが必須状態(requisite state)になるのを待つ対話。
14) アセット間のインターフェースの分析、両方のアセットが協働しており、したがって、各状態は、このインターフェース中に両方のアセットによって一緒に影響を及ぼされる。
15) アセットの独立した周期、たとえば、アセットが働くために必要とされる動作のシーケンスを識別する。独立した周期は、本明細書では、「自己(self)」又はそれ「自体の(own)」周期(アセットが他のアセットを待つことなしに働くために必要とされるが、上記のようなインターフェース・アクションを含む、動作のシーケンス)として定義され得、次いで、自己周期時間(それ自体の作業を完了するために必要とされる時間)を算出して、クリティカル(critical)及び準クリティカル(near critical)アセット並びにそれらのクリティカル周期(より時間の影響を与える周期)を識別する。アセットの独立した周期は、他のアセットを待つことを伴わないが、上記で説明されたようなインターフェース・アクションを含むことができる。アセットの独立した周期を識別した後に、独立した周期時間(独立した作業を完了するために必要とされる時間)を算出して、クリティカル及び準クリティカル・アセット並びにそれらのクリティカル周期(たとえば、クリティカル周期は、より大きい時間影響をもつ周期として定義される)を識別する。
【0063】
PSSが周期を定義した後に、追加の構成ステップが、システム性能予想と、この情報がどこで取得されることになるか(たとえば、どの状態のどの遷移が、予想される性能を表すイベントを表すか)とに関する入力をPSSに与え得る。
【0064】
さらに、PSSは、所望の性能パラメータである、上記の情報の状態又は論理的条件の終了の形態でもある、「良好なイベント」と、不利な性能に関連付けられたイベントを表す状態又は他の論理的組合せの入口である、「不良なイベント」とを定義する能力を有する。いくつかの実例では、良好なイベントは、物理的システムが、性能パラメータを満たすことを生じる。追加の実例では、不良なイベントは、物理的システムが、性能パラメータを満たすことができないことを生じる。さらに、PSSは、特定の焦点を絞った分析のためにユーザによって定義され得る、入口であるか、又は状態からの出口である、他の「分析イベント」を定義する能力を有する。
【0065】
さらに、PSSは、システム性能が最適化される必要がある、システムにおけるスループット、部品の生産量、品質測定値、かかったコスト、使用された人的労力、消耗されたエネルギー又は消耗品、WIP(仕掛品)に追加する部品の数のような、さらなる分析のための性能尺度(たとえば、性能パラメータ)に変換され得る情報を付加する能力を有する。複数のノード及び周期をもつ例示的なFSMモデルが、図4に示されている。
【0066】
シーケンス及び周期がFSMから観測されると、PSSは、これらのシーケンスの最大の矛盾しない及び安定した反復的な観測にシステム挙動を整合させる(図2中のブロック210)。挙動が矛盾する場合でも、それは、さらに高いレベルのモードの(modal)挙動を、それが存在するときに定義することを試みるか、又は、矛盾が(不信頼性、故障及び破損のような)望ましくない不安定性から生じるとき、それらの矛盾を強調することによってユーザをガイドする。以下のステップ及び分析は、安定化機能中に実施され得る。
1)状態の安定性
2)周期の安定性
3)各モード内の周期頻度の安定性
4)システムの矛盾しない挙動を探すために統計を使用すること、及び、矛盾が帰属され、矛盾しない挙動モデルに補正されるまで、矛盾を分析すること:
a)以下のタイプに分類され、それに応じてモデル化された状態変動性:
i)システムの矛盾する挙動- 順を追って、識別され、補正のためにユーザに報告される、システムに関する基本問題である、機械的、電気的又はソフトウェア制御又は動作の不信頼性による。
ii)他の状態への相互依存性に依存するシステムの状態- モデル化されているシステムの内部、又は外部のいずれかであり、したがってこれらのイベントに基づいて、状態が、変動タイミングを「待って」、それらのタイミングを同期させる。これらは、識別された相互依存をもつインターフェースとして識別される。
iii)限界持続時間状態- システム自体の設計により、タイミング限界内のある変動が存在することが予想され、そのような状態は、それらのタイミング範囲及びそれらの統計で分類される。
b)以下のタイプに分類され、それに応じてモデル化された周期変動性:
i)反復的な周期における異なるタイミング- 周期のタイミング変動性は、基礎をなす状態タイミングの変動に起因するが、スループット又は他の性能イベント(「良好なイベント」)を決定する「クリティカル」周期に関する、システム性能に対するそれらの影響は、状態に対する制御のユーザへの優先度付けを与えるために分析される。
ii)異常シーケンス- 前にモデル化された周期に矛盾しない周期に従わない。これらは、異常として検証され、したがって安定性改善アクションのためにユーザに報告されるか、又は、この特殊挙動につながる特殊条件が、システムにおいて、「モードの」情報にモデル化されるかのいずれかであり得る。
iii)予想される周期、ただし、相対的に不安定な確率- これらは、潜在的安定性改善、又は、新しい動作モードをモデル化するためのさらなる「モードの」情報の導出として、ユーザに報告される(図2中のブロック214)。
c)モードの変動性
i)スループット、品質部品、コストなどのような、システム性能尺度に関して様々なモードの性能を識別する。
ii)モードの頻度の相対的安定性と、それらの変動と、システムの性能に対するそれらの影響とを識別する。
5)上記のステップを通して、システム挙動、その性能、及びそれらに影響を及ぼす様々な対話のベンチマークとして使用され得るシステムの矛盾しないモデルを達成すること。
6)物理的システム挙動が、システム挙動モデルを変更するために改善又は最適化されるとき、上記のステップが漸進的にとられて、変更されたシステム挙動モデルを導出し、モデル化することを可能にして、最新のシステム挙動モデル、並びに、前のシステム挙動モデルに対する変更を、時間順序及び追跡可能性(誰が何をしたか、及びシステム挙動モデルをいつ変更すべきか)を伴って追跡する。
【0067】
上記のプロセスの後に、PSSは、人間が理解可能なモデルを作成し(図2中のブロック212)、ここで、得られた成果物は、物理的システムのリアル・タイム・モデル、ユーザ・インターフェース、及び文書(図2中のブロック214)を含み得る。すなわち、上記のプロセスを実施した後に、PSSは、物理的システムの完全な階層及びモジュラー挙動において物理的システムの完全なシステム挙動モデルを作成する。システム・モデル挙動は、物理的システムの理解を高める。この時点におけるPSSの有用な成果物は、すべてのセンサー及びアクチュエータを含む完全な機能的階層を伴って図式的に並びにテキストにおいて文書であるシステム挙動モデルを含む。物理的システムの動作モデルは、3つのレベル、すなわち、モード、周期、及び状態において、流れ図、周期図、タイミング図の形式でキャプチャされる。
【0068】
モデルは、ユーザが、ユーザの理解を助けるための特定のレベルの詳細を達成するために、「掘り下げる」(階層を通って下に動く)か又は「まくり上げる」(階層を通って上に動く)ことを可能にする、PSSのためのシステムのユーザ・インターフェースと一体である。モデルはまた、所望の解像度においてシステムの時間的挙動を可視化するために適時に(前方又は後方に)「パン」されるか又は「ズーム」(イン又はアウト)され得る。
【0069】
PSSはまた、性能と、周期時間、スループット、品質、コスト、及び消耗品を含む、性能の影響を及ぼすファクタとの仕様及び文書化を作成するために使用され得る。文書は、変動性の様々な原因の因果と、それらの改善の方法とに関する文書化をも含み得る。
【0070】
PSSの追加の成果物は、(what-if研究、新しいモデル導入のための検証及び妥当性確認などのような)モデル変更及び効果のシミュレーション及び研究と、PLCコードのような制御システム・ソフトウェアにおける問題をデバッグし、診断するための分析及びデバッギング情報とにおいて使用され得る、デジタル・ツイン・モデルの作成を含む。
【0071】
さらに、PSSは、性能を改善するために勧告を与えること(図2中のブロック218及び220)など、追加の成果物を与え得る。上記のシステム挙動モデルを使用して、PSSは、改善(たとえば、システムの隠れた容量)のための機会を識別し、以下の方法を通して、システムの性能をさらに改善するためにユーザに報告した。
1)各状態がその最小の可能なタイミングに最適化され得る場合、最も速い可能な周期を識別するために、状態タイプ及びそれらの挙動の分析を通して、周期についての「最小」時間要件を作成する。
2)「クリティカル」周期(最も高い最小タイミングを有する周期)を識別し、ライン・スループットを用いて因果性を検証する。
3)最適化候補の、前に遭遇した証拠について、クリティカル周期における状態の各々における機会を識別し、それらを最適化のためにユーザに報告する。
4)待ち状態、及び(他の周期との相互依存によるブロック状態及び欠乏状態(starved state)、外部イベントを待つことなどのような)それらの原因を識別し、それらを最適化のためにユーザに報告する。
5)性能を改善又は維持するために必要とされる外部影響の改善に関するアクション可能情報をユーザに与えるための、外部イベントと、性能のそれらの相関との分析。
6)どの場合及び条件がシステム性能に対するポジティブな効果を引き起こすように思われるかをユーザに報告するための、内部イベント並びに外部イベント、並びに安定性、スループット及びシステム上の他の性能尺度に対するそれらの効果に関する相関分析。
7)状態タイミング、周期確率及びモード変更のためのシミュレーションを通して感度分析を実施して、特定の性能改善のためにモデルの最も可能性が高い変更を識別する。
8)異なる動作モードでクリティカル・アセットを識別する。
9)クリティカル・アセットのためのクリティカル周期を識別する。
10)他のアセットを待つ条件を識別することによってクリティカル周期の効率を最適化し、クリティカル・アセットが他のアセットを待つことを決して可能にされないように周期間の対話及び同期を最適化する。
11)アセット自体のアクション内での待ち、又はインターフェース・アクション中の待ちによる、自己周期内の非アクション状態を識別することによって、クリティカル周期の自己周期時間を最適化する。
12)アクション・タイミングの差異を識別することと、アクション・タイミングを最も小さい観測されたタイミングにするための機会を識別することとによって、クリティカル周期の周期時間を最適化する。
13)周期時間の低減を可能にする、感度が最も高いアクションを識別することによって、クリティカル周期の周期時間を最適化する。
14)他のアセットとの同期、又は相互リンクされたアセットのチェーンとのそれらの同期の損失による、矛盾する対話によって、クリティカル・アセットの効率の損失を識別する。クリティカル・アセットについての対話損失無しのための得られた同期要件の識別。
15)アセットの停止により起こる同期の損失の頻度及び持続時間に対する感度を識別し、したがって、これらの効果の隔離のためにバッファの要件を分析する。
16)非クリティカル・アセットをクリティカルにすることを生じる、非クリティカル・アセットの対話による効率の損失を識別し、同様に、それらの対話効率をクリティカル・アセットのように改善する。
【0072】
様々な実例では、システム挙動モデルは、問題を検出し、将来の問題を予測して、物理的システムを最適に動作させ続けるための物理的システムの補正、予防的アクション、及び保守を可能にするために使用され得る。PSSは、危険及び障害モードを探すためにシステム挙動の分析を実施し得る。分析は、オンライン・モードでは、最適モデルからの逸脱につながる条件と、非最適挙動につながるパターンとを監視することを含み得る。条件を監視することによって、将来の逸脱は、望ましくないパターンが出現し始めるとき、より早く、及びモデルからの実際の逸脱の前に、検出され得る。
【0073】
PSSはまた、オンライン・モードでは、システム挙動モデルを再定義することを保証するのに十分に大きい物理的モデルの変更を検出するための条件を監視し、その変更が良いか悪いかを査定し得る。変更が悪い場合、PSSは、前のシステム挙動モデルに戻るためのアクションを実施し得る。
【0074】
PSSはまた、内部イベント並びに外部イベント、並びに安定性、スループット、及びシステム上の他の性能尺度に対するそれらの効果に関する相関分析を実施し、どの場合及び条件がシステム性能に対する不利な効果を引き起こすように思われるかをユーザに報告し得る。
【0075】
改善のためにユーザに対して行われる様々な報告の基礎は、「勧告」と呼ばれ、「勧告」は、様々なモデル及び逸脱属性についての許容差及び重み付け(weightage)のようなパラメータに基づくアルゴリズム及びヒューリスティックに基づく。これらの勧告が正しい又は有用であるとわかったかどうかに関するユーザからのフィードバックに基づいて、勧告を生じるこれらのパラメータは、勧告及び学習を改善するために機械学習技法を使用することによって改善される。上記の分析、安定性改善ステップ、最適化ステップ、勧告の重み付け及び許容差から集約された情報を使用して、ベスト・プラクティス及び参照モデル仕様が、特定の高レベル・プロセスのために作成される。
【0076】
図5は、いくつかの実施例による、本明細書で説明される様々な技法を実装するために使用されるコンピューティング・デバイスを表すことができるコンピューティング・デバイス500の詳細図を示す。たとえば、詳細図は、上記で説明されたようなPSSの機能を実装するコンピューティング・デバイス中に含まれ得る様々な構成要素を示す。図5に示されているように、コンピューティング・デバイス500は、コンピューティング・デバイス500の全体的な動作を制御するためのマイクロプロセッサ又はコントローラを表すプロセッサ502を含むことができる。コンピューティング・デバイス500は、コンピューティング・デバイス500のユーザがコンピューティング・デバイス500と対話することを可能にするユーザ入力デバイス508をも含むことができる。たとえば、ユーザ入力デバイス508は、ボタン、キーパッド、ダイヤル、タッチ・スクリーン、オーディオ入力インターフェース、ビジュアル/画像キャプチャ入力インターフェース、センサー・データの形式の入力など、様々な形態をとることができる。またさらに、コンピューティング・デバイス500は、ユーザに情報を表示するために(たとえば、グラフィックス構成要素を介して)プロセッサ502によって制御され得るディスプレイ510を含むことができる。データ・バス516が、少なくともストレージ・デバイス540とプロセッサ502とコントローラ513との間のデータ転送を可能にすることができる。コントローラ513は、機器制御バス514を通して異なる機器とインターフェースし、異なる機器を制御するために使用され得る。コンピューティング・デバイス500は、データ・リンク512に結合するネットワーク/バス・インターフェース511をも含むことができる。ワイヤレス接続の場合、ネットワーク/バス・インターフェース511は、ワイヤレス・トランシーバを含むことができる。
【0077】
上述のように、コンピューティング・デバイス500はストレージ・デバイス540をも含み、ストレージ・デバイス540は、単一のディスク又はディスクの集合(たとえば、ハード・ドライブ)を備えることができる。いくつかの実施例では、ストレージ・デバイス540は、フラッシュ・メモリ、半導体(ソリッド・ステート)メモリなどを含むことができる。コンピューティング・デバイス500は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)520と読取り専用メモリ(ROM)522とをも含むことができる。ROM522並びにストレージ・デバイス540は、不揮発性様式で実行されるべきプログラム、ユーティリティ又はプロセスを記憶することができる。RAM520は、揮発性データ・ストレージを与えることができ、コンピューティング・デバイス500上で実行するアプリケーションの動作に関係する命令を記憶する。
【0078】
コントローラ、又は製造システムからの様々なデバイス、或いはSCADA又はERPのような他の工場及び企業システムからのデータ収集は、(1つ又は複数の)ネットワーク・インターフェース511、及び/又は(1つ又は複数の)データ・リンク512を通して、オンラインで(PSSソフトウェアがコントローラ上で稼働している間に)実施されるか、又は、オフラインで実施され得る(データ収集は、PSSへの後のインポートのために何らかの他のソフトウェア・システムによって行われている)。データが、デジタル的にインターフェースされたシステムのいずれでも利用可能でない、いくつかの入力について、データは、入力デバイス508を通して手動で入力され得る。
【0079】
図6は、いくつかの実施例による、例示的なシステム・アーキテクチャ600を示す。特に、システム・アーキテクチャは、PSSシステム650と物理的生産システム660とを含む。物理的生産システム660は、産業コントローラ604によって制御され、(1つ又は複数の)制御ネットワーク608上で相互接続され得る、ショップ・フロア機器603を含む。PSSサーバ618は、(図5)で説明されたコンピューティング・システムを含み、PSSネットワーク610を通してデータ・ロガー及びエッジ・デバイス616に接続し、データ・ロガー及びエッジ・デバイス616は、ネットワーク又は直接接続上で産業コントローラ604又はショップ・フロア機器603に接続する。
【0080】
PSSサーバ618は、制御ネットワークを通してショップ・フロア機器と、並びに、情報、警報、及び必要とされるときには直接介入をショップ・フロア・システム(ショップ・フロア機器603)に与えるための独立した通知システム615と、インターフェースすることが可能である。
【0081】
PSSサーバ618は、次いで、ネットワーク、ウェブ、及びクラウドを通して、様々なデータ・ストレージ、処理及びユーザ・インターフェース・システムに、構内で、クラウド及びモバイル上で、接続される。様々な実施例では、PSS端末620はディスプレイ510(図5)と同じである。いくつかの実例では、PSS端末620は、モバイル・ユーザ・デバイス(たとえば、スマートフォン、タブレット)上でアクセスされ得るユーザ・インターフェースを与える。いくつかの実例では、PSS端末620は、表示のために、クラウドを通してアクセスされるユーザ・インターフェースをレンダリングする。いくつかの実例では、PSS端末620は、表示のために、物理的システムがある現場に位置するコンピューティング・デバイス上でユーザ・インターフェースをレンダリングする。
【0082】
説明される実施例の様々な態様、実施例、実装形態又は特徴は、別々に又は任意の組合せで使用され得る。説明される実施例の様々な態様は、ソフトウェア、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアとの組合せによって実装され得る。説明される実施例は、コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとしても具現され得る。コンピュータ可読媒体は、その後コンピュータ・システムによって読み取られ得るデータを記憶することができる任意のデータ・ストレージ・デバイスである。コンピュータ可読媒体の実例は、読取り専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、CD-ROM、DVD、磁気テープ、ハード・ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、及び光データ・ストレージ・デバイスを含む。コンピュータ可読媒体はまた、コンピュータ可読コードが分散様式で記憶され、実行されるように、ネットワーク結合コンピュータ・システム上で分散され得る。
【0083】
上記の開示に従って、以下の条項に列挙されるシステム及び方法の実例が、詳細に企図され、実例の非限定的なセットとして意図される。
【0084】
条項1. 物理的システムのモデルを構築する方法であって、
物理的システムを表す階層ツリー構造を受信することであって、階層ツリー構造が、物理的システム中に含まれるハードウェア構成要素又はデータ・ソースに関連付けられたノードを含む、構造の様々なレベルにおけるシステム内容を定義する、受信することと、
ハードウェア構成要素に関連付けられたデータを収集することであって、データがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、データが、物理的システムに関連付けられた観測データを含む、収集することと、
データに基づいて、第1のノード状態と第2のノード状態とを含む、ノードのノード状態を導出することであって、第1のノード状態がノードの第1の状態を定義し、第2のノード状態がノードの第2の状態を定義し、ノードが一度に1つのみのノード状態にある、導出することと、
有限状態機械(FSM)モデルを構築することであって、FSMモデルが、それぞれのタイム・スタンプに少なくとも部分的に基づいて、ノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義し、さらに、FSMモデルが物理的システムの全体的有限状態機械の一部である、構築することと、
全体的有限状態機械に基づいて物理的システムのモデルを作成することと
を含む、方法。
【0085】
条項2. ノードのFSMモデルを構築することは、
第1の非状態情報をノードの第1の状態に付加することであって、第1の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータのセットを定義し、データのセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと、
第2の非状態情報をノードの第2の状態に付加することであって、第2の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータの第2のセットを定義し、第2のセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと
をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0086】
条項3.
それぞれのノード状態の持続時間又はそれぞれのノード状態中に発生するアクションに基づいて個々の複数のノード状態を分類に分類することであって、分類が、固定状態、限界状態、変動状態、動的状態、又は静的状態からなるグループから選択される少なくとも1つを含む、分類すること
をさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
【0087】
条項4. ノードのFSMモデルを構築することが、非周期的システム動作モードで発生するノード状態をフィルタアウトすることをさらに含む、条項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【0088】
条項5. 全体的有限状態機械に基づいて物理的システムのモデルを作成することは、
システムのノードの対話モデルを構築することであって、ノードの第1のノードが対話状態のままであり、第1のノードが、ノードの第2のノードが特定の状態から遷移したことに応答して対話状態から遷移する、構築すること
をさらに含む、条項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【0089】
条項6. 階層ツリー構造を受信することが、ユーザからの手動入力をさらに含む、条項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【0090】
条項7. 階層ツリー構造を受信することが、物理的システムに関連付けられた観測データから階層ツリー構造を導出することをさらに含む、条項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【0091】
条項8. 物理的システムのモデルを作成することは、
イベントを良好なイベントとして定義することであって、良好なイベントが、物理的システムの性能パラメータを満たすことを生じる、定義することと、
イベントを不良なイベントとして定義することであって、不良なイベントが、物理的システムが物理的システムの性能パラメータを満たすことができないことを生じる、定義することと
をさらに含む、条項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【0092】
条項9. 物理的システムのモデルを構築することは、
複数のノードに関連付けられた追加のデータを収集することであって、追加のデータの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、追加のデータが、物理的システムに関連付けられた追加の観測データを含む、収集することと、
追加のデータから、複数のノードの各々の有限状態を導出することであって、複数のノードが、リーフ・ノードであるノードと、より高いレベルのノードであるノードとを含み、より高いレベルのノードが、より高いレベルのノードの下のノードの状態の一意の組合せを表す、導出することと
をさらに含み、
FSMモデルを構築することが、複数のノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義することを含む、
条項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【0093】
条項10.
定義された条件外で機能するノードを外れ値ノードとして識別することであって、外れ値ノードが、ノードが対話がない状態を実施するのに最も多くの時間を要するもの、ノードに関連付けられたアセットが別のアセットに依存するもの、及びノードに関連付けられたアセットが障害により利用不可能であるものを含むグループから選択される少なくとも1つに従う様式で機能する、識別することと、
静的状態と待ち状態とを含む、外れ値ノードの状態を識別することと、
外れ値ノードに関連付けられた静的状態と待ち状態とを除去することと、
アセットが別のアセットを待つとき、アセットに関連付けられた遅延を識別することと、
アセットと別のアセットとの間の動作を同期させる勧告を与えることと
によって、物理的システムのモデルの性能を最適化すること
をさらに含む、条項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【0094】
条項11. 少なくとも部分的にコンピューティング・デバイス上に実装される生産性合成システム(PSS)であって、コンピューティング・デバイスが、
プロセッサと、
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体と
を備え、命令は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、
物理的システムを表す階層ツリー構造を受信することであって、階層ツリー構造が、物理的システム中に含まれるハードウェア構成要素又はデータ・ソースに関連付けられたノードを含む、構造の様々なレベルにおけるシステム内容を定義する、受信することと、
ハードウェア構成要素に関連付けられたデータを収集することであって、データがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、データが、物理的システムに関連付けられた観測データを含む、収集することと、
データに基づいて、第1のノード状態と第2のノード状態とを含む、ノードのノード状態を導出することであって、第1のノード状態がノードの第1の状態を定義し、第2のノード状態がノードの第2の状態を定義し、ノードが一度に1つのみのノード状態にある、導出することと、
ノードの有限状態機械(FSM)モデルを構築することであって、FSMモデルが、それぞれのタイム・スタンプに少なくとも部分的に基づいて、ノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義し、さらに、FSMモデルが物理的システムの全体的有限状態機械の一部である、構築することと、
全体的有限状態機械に基づいて物理的システムのモデルを作成することと
を行わせる、
生産性合成システム(PSS)。
【0095】
条項12. 非一時的コンピュータ可読媒体が、プロセッサに、有限状態機械モデルを構築させるとき、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサに、
第1の非状態情報をノードの第1の状態に付加することであって、第1の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータのセットを定義し、データのセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと、
第2の非状態情報をノードの第2の状態に付加することであって、第2の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータの第2のセットを定義し、第2のセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと
をさらに行わせる、条項11に記載のPSS。
【0096】
条項13. 非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサに、それぞれのノード状態の持続時間又はそれぞれのノード状態中に発生するアクションに基づいて個々の複数のノード状態を分類に分類することであって、分類が、固定状態、限界状態、変動状態、動的状態、又は静的状態からなるグループから選択される少なくとも1つを含む、分類することをさらに行わせる命令を記憶する、条項11又は12に記載のPSS。
【0097】
条項14. 非一時的コンピュータ可読媒体が、プロセッサに、物理的システムのモデルを構築させるとき、非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサに、
複数のノードに関連付けられた追加のデータを収集することであって、追加のデータの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、追加のデータが、物理的システムに関連付けられた追加の観測データを含む、収集することと、
追加のデータから、複数のノードの各々の有限状態を導出することであって、複数のノードが、リーフ・ノードであるノードと、より高いレベルのノードであるノードとを含み、より高いレベルのノードが、より高いレベルのノードの下のノードの状態の一意の組合せを表す、導出することと
をさらに行わせる命令を記憶し、
FSMモデルを構築することが、複数のノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義することを含む、
条項11から13までのいずれか一項に記載のPSS。
【0098】
条項15. 非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサに、
定義された条件外で機能するノードを外れ値ノードとして識別することであって、外れ値ノードが、ノードが対話がない状態を実施するのに最も多くの時間を要するもの、ノードに関連付けられたアセットが別のアセットに依存するもの、及びノードに関連付けられたアセットが障害により利用不可能であるものを含むグループから選択される少なくとも1つに従う様式で機能する、識別することと、
静的状態と待ち状態とを含む、外れ値ノードの状態を識別することと、
外れ値ノードに関連付けられた静的状態と待ち状態とを除去することと、
アセットが別のアセットを待つとき、アセットに関連付けられた遅延を識別することと、
アセットと別のアセットとの間の動作を同期させる勧告を与えることと
をさらに行わせる命令を記憶する、条項14に記載のPSS。
【0099】
条項16. 非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサに、
ノードの複数のノード状態を分析することであって、複数のノード状態がある時間期間中に発生する、分析することと、
複数のノード状態の周期的挙動を識別することと、次いで、
識別された周期的挙動に基づいてノードの周期を定義することと
をさらに行わせる命令を記憶する、条項15に記載のPSS。
【0100】
条項17. コンピュータ・システムのプロセッサによって実行されたとき、コンピュータ・システムに、
物理的システムを表す階層ツリー構造を受信することであって、階層ツリー構造が、物理的システム中に含まれるハードウェア構成要素又はデータ・ソースに関連付けられたノードを含む、構造の様々なレベルにおけるシステム内容を定義する、受信することと、
ハードウェア構成要素に関連付けられたデータを収集することであって、データがタイム・スタンプに関連付けられ、データが、物理的システムに関連付けられた観測データを含む、収集することと、
データに基づいて、第1のノード状態と第2のノード状態とを含む、ノードのノード状態を導出することであって、第1のノード状態がノードの第1の状態を定義し、第2のノード状態がノードの第2の状態を定義し、ノードが一度に1つのみのノード状態にある、導出することと、
ノードの有限状態機械(FSM)モデルを構築することであって、FSMモデルが、タイム・スタンプに少なくとも部分的に基づいて、ノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義し、さらに、FSMモデルが物理的システムの全体的有限状態機械の一部である、構築することと、
全体的有限状態機械と相互接続とに基づいて物理的システムのモデルを作成することと
を行わせる命令を記憶するコンピュータ可読媒体。
【0101】
条項18. コンピュータ可読媒体がFSMモデルを構築するとき、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ・システムに、
第1の非状態情報をノードの第1の状態に付加することであって、第1の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータのセットを定義し、データのセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと、
第2の非状態情報をノードの第2の状態に付加することであって、第2の非状態情報が、測定値と、システム・プロパティと、外部変数とを含むデータの第2のセットを定義し、第2のセットの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられる、付加することと
をさらに行わせる命令を記憶する、条項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【0102】
条項19. コンピュータ可読媒体が、コンピュータ・システムに、物理的システムのモデルを構築させるとき、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ・システムに、
複数のノードに関連付けられた追加のデータを収集することであって、追加のデータの個々のデータがそれぞれのタイム・スタンプに関連付けられ、追加のデータが、物理的システムに関連付けられた追加の観測データを含む、収集することと、
追加のデータから、複数のノードの各々の有限状態を導出することであって、複数のノードが、リーフ・ノードであるノードと、より高いレベルのノードであるノードとを含み、より高いレベルのノードが、より高いレベルのノードの下のノードの状態の一意の組合せを表す、導出することと
をさらに行わせる命令を記憶し、
FSMモデルを構築することが、複数のノードに関連付けられた状態のシーケンスを定義することを含む、
条項17又は18に記載のコンピュータ可読媒体。
【0103】
条項20. コンピュータ可読媒体が、コンピュータ・システムに、
物理的システムのモデルに基づいて、物理的システムのデジタル・ツインを作成すること
をさらに行わせる命令を記憶する、条項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【0104】
上記の説明は、説明の目的で、説明される実施例の完全な理解を与えるために具体的な名称を使用した。ただし、具体的な詳細は、説明される実施例を実践するために必要とされないことが当業者には明らかであろう。したがって、特定の実施例の上記の説明は、例示及び説明の目的で提示される。それらは、網羅的なものではなく、説明される実施例を開示された厳密な形態に限定するものではない。上記の教示に鑑みて多くの修正及び変形が可能であることが当業者には明らかであろう。
【0105】
上記の説明は、本発明の原理及び様々な実施例を例示することを意図している。上記の開示が完全に諒解されると、多数の変形及び修正が当業者に明らかになろう。たとえば、1回限りの部品の生産のためにシステムのモデルを、たとえば、プロセス又は製品改善のための研究のための参照モデルの作成のためのプロトタイプ又はR&Dの目的で構築すること、或いは、人間の入力又はアクションを通して人間のアクションをキャプチャするために、コントローラなしに手動システムからモデルを構築すること、或いは、インターフェースを通してデータをインポートするために、ビデオ又はデータ・シリーズのような記録されたデータからモデルを構築すること。PSSの様々な限られた実装形態も、可能な実施例であり得、たとえば、アクションのシーケンシングをモデル化するためのものにすぎない時間情報なしに、後続の異なるシーケンスの品質に対する効果を分析するために必要とされ得るような持続時間分析なしに、このデータを収集する。
【0106】
以下の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形及び修正を包含すると解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6