(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】接合性導体ペースト
(51)【国際特許分類】
H01B 1/22 20060101AFI20241224BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20241224BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20241224BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
H01B1/22 A
H01B1/00 K
H01B1/00 E
H01B13/00 503D
H05K3/32 B
(21)【出願番号】P 2021537313
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029758
(87)【国際公開番号】W WO2021025003
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2019145510
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】小畑 貴慎
(72)【発明者】
【氏名】江川 智哉
(72)【発明者】
【氏名】赤井 泰之
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038572(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163076(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
H01B 1/00
H01B 13/00
H05K 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粒子と溶剤を含む、電子素子を接続するための導体配線及び/又は接合構造体を形成するための接合性導体ペーストであって、導電性粒子として平均粒子径が1nm以上100nm未満の銀粒子(A)及び平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の銀粒子(B)を含み、
前記銀粒子(A)は、アミンを含む保護剤で表面が被覆された構成を有する銀ナノ粒子であり、
溶剤として下記式(I)
R
a-O-(X-O)
n-R
b (I)
(式中、R
aは炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。Xは炭素数2~6の炭化水素基から選択される2価の基を示す。R
bは水素原子、又は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。R
aとR
bは同一の基であってもよい。n
は3を示す)
で表される化合物(C)を含み、
前記溶剤を含む有機成分の含有量は、接合性導体ペースト(100重量%)に対して15重量%以下である接合性導体ペースト。
【請求項2】
前記接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(A)の割合が、50重量%以下である請求項1に記載の接合性導体ペースト。
【請求項3】
前記銀粒子(A)における保護剤が、アミンとして、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が6以上である脂肪族炭化水素モノアミン(1)を含み、
さらに、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が5以下である脂肪族炭化水素モノアミン(2)、及び脂肪族炭化水素基と2つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が8以下である脂肪族炭化水素ジアミン(3)のうちの少なくとも一方を含む請求項1又は2に記載の接合性導体ペースト。
【請求項4】
前記式(I)で表される化合物(C)の常圧下における沸点が160℃以上である請求項1~3の何れか1項に記載の接合性導体ペースト。
【請求項5】
前記式(I)で表される化合物(C)の25℃におけるSP値[(cal/cm
3)
1/2]が11.0以下である請求項1~4の何れか1項に記載の接合性導体ペースト。
【請求項6】
式(I)中のXがエチレン基、プロピレン基又はトリメチレン基である請求項1~5の何れか1項に記載の接合性導体ペースト。
【請求項7】
接合性導体ペースト全量における銀粒子(A)及び銀粒子(B)の合計の含有量が50~99.8重量%である請求項1~6の何れか1項に記載の接合性導体ペースト。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の接合性導体ペーストを基板上に塗布し、その後焼結することにより導体配線及び/又は接合構造体を形成する工程を有する電子部品の製造方法。
【請求項9】
導電性粒子と溶剤を含む、電子素子を接続するための導体配線及び/又は接合構造体を形成するための接合性導体ペーストであって、導電性粒子として平均粒子径が1nm以上100nm未満の銀粒子(A)及び平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の銀粒子(B)を含み、
前記銀粒子(A)は、アミンを含む保護剤で表面が被覆された構成を有する銀ナノ粒子であり、
溶剤として下記式(I)
R
a
-O-(X-O)
n
-R
b
(I)
(式中、R
a
は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。Xは炭素数3の2価の炭化水素基を示す。R
b
は水素原子、又は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。R
a
とR
b
は同一の基であってもよい。nは1~3の整数を示す)
で表される化合物(C)を含み、
前記溶剤を含む有機成分の含有量は、接合性導体ペースト(100重量%)に対して15重量%以下である接合性導体ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワー半導体素子、LED素子などの電子素子を接続するための導体配線や接合構造体を形成する用途に使用する接合性導体ペーストに関する。本願は、2019年8月7日に日本に出願した特願2019-145510の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子、LED素子などの電子素子を実装する際には複数の材料間を高強度に接合する必要があり、そのために導体配線や接合構造体や、これらを備えた配線基板が用いられる。
【0003】
前記導体配線の形成方法としては、例えば、絶縁基板に張り合わせた銅箔にエッチングを施すことにより銅配線を製造する方法が知られている。しかし、前記方法ではエッチングにより廃棄物が大量に生じることが問題であった。
【0004】
その他の方法として、導電性粒子と接着剤を含む導体ペーストを印刷法等によって絶縁基板の上に塗布し、その後、焼結することにより導体配線を製造する方法が知られている(非特許文献1)。前記接着剤を含有する導体ペーストは適度な粘性を有するので、精度良く印字することができ、それを焼結することにより配線が製造される。しかし、焼結後に非導電成分である前記接着剤や接着剤由来の成分が残留するため、導電性粒子間や導電性粒子と基板とのインタラクションが阻害されることにより、良好な導電性が得られ難いことが問題であった。
【0005】
特許文献1には、0.1μm~15μmの平均粒径(メジアン径)を有する銀粒子とアルコール溶剤(メタノール、エタノール、又はエチレングリコール)を混合して得られる、接着剤、増粘剤を含まない導体ペーストを使用することで焼結後の非導電成分の残留を抑制し、電気抵抗値を引き下げることが記載されている。しかし、半導体モジュール中のめっき保護されていない銅、ニッケル基板や配線は酸素により酸化を受けやすく、窒素などの不活性ガスの雰囲気下で焼結する必要があるが、0.1μm以上の平均粒径を有する銀粒子を含む導体ペーストでは、窒素雰囲気下では焼結が進行せず、接合することが困難であった。また、前記アルコール溶剤を使用した導体ペーストは「にじみ」が生じ易く、更にメタノールやエタノールは印刷温度における揮発速度が速いため、これを使用した導体ペーストは印刷時に粘度が変動し易く、精度良く微細パターンを形成することは困難であった。また、エチレングリコールを使用した導体ペーストでは、基板との接合強度に優れた導体配線が得られ難いことが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Yi Li, C.P. Wong, "Recent advances of conductive adhesives as a lead-free alternative in electronic packaging: Materials, processing, reliability and applications", Materials Science and Engineering, 2006, R51, p1-35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本開示の目的は、基板上に、電子素子を接続するための導体配線や接合構造体を印刷法等によって形成するための接合性導体ペーストであって、印刷温度では粘度の変動を抑制してムラ無く印字することができ、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度で接続可能な高精度の導体配線や接合構造体を形成することができる接合性導体ペーストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、平均粒径(メジアン径)0.1μm以上の銀粒子に加えて、平均粒径(メジアン径)0.1μm(100nm)未満の銀粒子を配合すると、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度で接続可能な高精度の導体配線や接合構造体を形成することができることを見出した。さらには、溶剤として下記式(I)で表される化合物を含有し、且つ導電性粒子として上記2種の異粒径を有する銀粒子を含有するペーストは、増粘剤を添加せずとも、印刷に適した粘度を有し、にじみを生じること無く印字できること、前記式(I)で表される化合物は印刷温度では揮発しにくく、溶剤として前記式(I)で表される化合物を含むペーストは、印刷時には粘度の変動を抑制することができ、ムラ無く印字することができること、低温でも導電性に優れた焼結体を形成することができることを見いだした。本開示の発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本開示は、導電性粒子と溶剤を含む、電子素子を接続するための導体配線及び/又は接合構造体を形成するための接合性導体ペーストであって、導電性粒子として平均粒子径が1nm以上100nm未満の銀粒子(A)及び平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の銀粒子(B)を含み、
前記銀粒子(A)は、アミンを含む保護剤で表面が被覆された構成を有する銀ナノ粒子であり、
溶剤として下記式(I)
Ra-O-(X-O)n-Rb (I)
(式中、Raは炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。Xは炭素数2~6の炭化水素基から選択される2価の基を示す。Rbは水素原子、又は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。RaとRbは同一の基であってもよい。nは1~3の整数を示す)
で表される化合物(C)を含む接合性導体ペーストを提供する。
【0011】
本開示は、また、前記接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(A)の割合が、50重量%以下である前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0012】
本開示は、また、前記銀粒子(A)における保護剤が、アミンとして、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が6以上である脂肪族炭化水素モノアミン(1)を含み、
さらに、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が5以下である脂肪族炭化水素モノアミン(2)、及び脂肪族炭化水素基と2つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が8以下である脂肪族炭化水素ジアミン(3)のうちの少なくとも一方を含む前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0013】
本開示は、また、式(I)で表される化合物(C)の常圧下における沸点が160℃以上である前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0014】
本開示は、また、式(I)で表される化合物(C)の25℃におけるSP値[(cal/cm3)1/2]が8.6以下である前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0015】
本開示は、また、式(I)中のXがエチレン基、プロピレン基又はトリメチレン基である前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0016】
本開示は、また、接合性導体ペースト全量における銀粒子(A)及び銀粒子(B)の合計の含有量が50~99.8重量%である前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0017】
本開示は、また、有機成分の含有量が、接合性導体ペースト(100重量%)に対して15重量%以下である前記の接合性導体ペーストを提供する。
【0018】
本開示は、また、前記の接合性導体ペーストを基板上に塗布し、その後焼結することにより導体配線及び/又は接合構造体を形成する工程を有する電子部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本開示の接合性導体ペーストは、導電性粒子として平均粒子径が1nm以上100nm未満の銀粒子(A)及び平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の銀粒子(B)の2種の異粒径を有する銀粒子を含むため、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度で接続可能な高精度の導体配線や接合構造体を形成することができる。さらに、銀粒子(A)及び(B)に加えて溶剤として式(I)で表される化合物(C)を含有するため、印刷法に適した粘性を有し、にじみを生じ難く、印刷法によって高精度の配線パターンや接合構造体パターンを形成することができる。また、接着剤を添加して増粘する必要がなく、従来は焼結後に残留する接着剤由来の非導電成分によって電気特性が低下するという問題があったが、非導電成分が残留することによる電気特性の低下を防止することができ、電気特性に優れた導体配線や接合構造体を形成することができる。
更に、本開示の接合性導体ペーストは、印刷温度では揮発しにくい式(I)で表される化合物(C)を溶剤として使用するため、印刷時に粘度を一定に保持することができ、ムラの無い、高精度の印字が可能となる。
更にまた、本開示の接合性導体ペーストは、より低い温度で焼結しても、基板に対する接合強度に優れた導体配線や接合構造体を形成することができ、焼結による基板等の劣化又は損傷を低減することができる。
従って、本開示の接合性導体ペーストを使用すれば、接合強度に優れた導体配線や接合構造体を、印刷法により精度良く形成することができ、基板と電子素子とを、前記導体配線や接合構造体を介して強度に接合することができるため、電気特性に優れた電子部品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(溶剤)
本開示の接合性導体ペーストは、溶剤として、下記式(I)で表される化合物(C)を1種又は2種以上含む。
Ra-O-(X-O)n-Rb (I)
【0021】
式(I)中、Raは炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。
前記Raにおける炭素数1~6の炭化水素基としては、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基及び炭素数3~6の脂環式炭化水素基から選択される1価の基が挙げられる。前記炭素数1~6の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;ビニル基、アリル基、1-ブテニル基等の炭素数2~6のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2~6のアルキニル基等を挙げることができる。前記炭素数3~6の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等を挙げることができる。
【0022】
前記Raにおけるアシル基(RCO-基)としては、前記Rが炭素数1~10(好ましくは1~5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であるアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等)が挙げられる。
【0023】
式(I)中、Xは炭素数2~6の炭化水素基から選択される2価の基を示す。前記Xにおける炭素数2~6の炭化水素基としては、炭素数2~6の脂肪族炭化水素基及び炭素数3~6の脂環式炭化水素基から選択される2価の基が挙げられる。前記炭素数2~6の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH(CH3)CH2-)、トリメチレン基(-CH2-CH2-CH2-)等の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基等を挙げることができる。前記炭素数3~6の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基等を挙げることができる。本開示においては、なかでも、Xは炭素数2~6の脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基又はトリメチレン基である。
【0024】
式(I)中、Rbは水素原子、又は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。前記炭素数1~6の脂肪族炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基としては、上記Raにおける例と同様の例を挙げることができる。RbはRaと同一の基であってもよく、異なっていてもよい。
【0025】
nは1~3の整数を示す。nは好ましくは2又は3である。
【0026】
式(I)で表される化合物(C)を構成する炭素原子の数としては、印刷温度では揮発し難く、焼結温度ではより速やかに揮発する点で、8~13個が好ましく、より好ましくは10~12個である。
【0027】
式(I)で表される化合物(C)は、印刷温度においては揮発しにくいことが好ましく、沸点(常圧下における)は、例えば160℃以上、好ましくは190℃以上、より好ましくは190~290℃、さらに好ましくは200~260℃である。沸点が上記範囲を下回ると、接合性導体ペーストを調製若しくは印刷する際に揮発して粘度が変動し易く、導体配線や接合構造体をムラ無く、高精度で形成することが困難となる傾向がある。
【0028】
また、式(I)で表される化合物(C)は、焼結時には速やかに揮発することが好ましく、凝集エネルギー密度の平方根(SP値;(cal/cm3)1/2)は、例えば11.0以下、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下である。尚、SP値(25℃における)はFedorsの計算式により算出することができる。
【0029】
式(I)で表される化合物(C)において、式(I)中のRaが炭素数1~6の炭化水素基であり、Rbが水素原子又は炭素数1~6の炭化水素基であり、Xがプロピレン基であり、nが2の場合の具体例としては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソペンチルエーテル等のジプロピレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジペンチルエーテル、ジプロピレングリコールペンチルイソペンチルエーテル等のジプロピレングリコールジC1-6アルキルエーテルを挙げることができる(異性体を含む)。
【0030】
式(I)で表される化合物(C)において、式(I)中のRaが炭素数1~6の炭化水素基であり、Rbが水素原子又は炭素数1~6の炭化水素基であり、Xがプロピレン基であり、nが3の場合の具体例としては、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソペンチルエーテル等のトリプロピレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルブチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジペンチルエーテル、トリプロピレングリコールペンチルイソペンチルエーテル等のトリプロピレングリコールジC1-6アルキルエーテルを挙げることができる(異性体を含む)。
【0031】
式(I)で表される化合物(C)において、式(I)中のRaが炭素数1~6の炭化水素基であり、Rbが水素原子又は炭素数1~6の炭化水素基であり、Xがエチレン基であり、nが1~3の整数の場合の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエチレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;エチレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、エチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、エチレングリコールメチルイソアミルエーテル等のエチレングリコールジC1-6アルキルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル等のジエチレングリコールジC1-6アルキルエーテル;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のトリエチレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;トリエチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル等のトリエチレングリコールジC1-10アルキルエーテル等が挙げられる(異性体を含む)。
【0032】
式(I)で表される化合物(C)において、式(I)中のRaがアシル基であり、Rbが水素原子、又は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基であり、Xがエチレン基又はプロピレン基であり、nが1~3の整数の場合の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のC2-3アルキレングリコールC1-6アルキルエーテルC1-10アルキルエステル;ジエチレングリコール-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のジC2-3アルキレングリコールC1-6アルキルエーテルC1-10アルキルエステル;トリエチレングリコール-n-ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のトリC2-3アルキレングリコールC1-6アルキルエーテルC1-10アルキルエステル;プロピレングリコールジアセテート等のC2-3アルキレングリコールジC1-10アルキルエステル等が挙げられる(異性体を含む)。
【0033】
式(I)で表される化合物(C)において、式(I)中のRa、Rb、X、nが上記以外の場合の具体例としては、上記例示に対応する化合物を挙げることができる。
上記溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中から、上記条件に合致するように、その種類及び含有量を適宜選択することが好ましい。
【0034】
本開示の接合性導体ペーストは、上記以外にも他の溶剤(例えば、乳酸エチルアセテート、テトラヒドロフルフリルアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール等)を1種又は2種以上含有していても良いが、これらの溶剤の含有量は、本開示の接合性導体ペーストに含まれる溶剤全量の、例えば30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下、さらにより好ましく5重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下である。他の溶剤の含有量が上記範囲を上回ると、揮発性が高すぎる溶剤を多く含有する場合は塗布装置の目詰まりが生じ易くなる傾向があり、揮発性が低すぎる溶剤を多く含有する場合は、速乾性が損なわれ、塗布後に乾燥させるために加熱等の処理を施すことが必要となり、作業性が低下する傾向がある。
【0035】
従って、溶剤全量における、前記式(I)で表される化合物(C)の含有量の占める割合は、例えば70~100重量%であり、下限は、好ましくは80重量%、より好ましくは85重量%、さらにより好ましくは90重量%、さらにより好ましく95重量%、さらにより好ましくは99重量%である。
【0036】
前記式(I)で表される化合物(C)の含有量は、導電性粒子(銀粒子(A)及び銀粒子(B)の合計)100重量部に対して、例えば1~50重量部、好ましくは2~30重量部、より好ましくは3~30重量部である。
【0037】
(導電性粒子)
本開示の接合性導体ペーストは、導電性粒子として平均粒子径が1nm以上100nm未満の銀粒子(A)及び平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の銀粒子(B)を含む。
【0038】
[銀粒子(A)]
本開示の接合性導体ペーストに含まれる銀粒子(A)は、平均粒子径が1nm以上100nm未満であって、アミンを含む保護剤で表面が被覆された構成、より詳細には、銀粒子(A)表面にアミンの非共有電子対が電気的に配位した構成を有する銀ナノ粒子である。本開示における銀粒子(A)は、前記構成を有することにより銀粒子(A)相互間の再凝集が防止され、接合性導体ペースト中において、高分散した状態を安定的に維持することができる。
【0039】
銀粒子(A)の平均粒子径(メジアン径)は、上記の通り0.1nm以上100nm未満であり、好ましくは0.5~90nm、より好ましくは1~80nm、さらに好ましくは1~75nmである。尚、粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求められる粒子径をもとに、粒子をアスペクト比1と仮定した上で体積分布に換算した平均粒子径(メジアン径)として求められる。
【0040】
本開示の接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(A)の割合は、例えば50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。銀粒子(A)を上記範囲で含有すると、印刷性が向上する点、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度を形成できる点などで好ましい。一方、当該銀粒子(A)の割合は、例えば1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上である。
【0041】
銀粒子(A)の含有量は、良好な導電性を有する焼結体が得られる点、及び分散安定性に優れる(すなわち、高分散性を長期に亘って安定的に維持することができ、粘度の上昇を抑制することができる)点、印刷性が向上する点、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度を形成できる点において、接合性導体ペースト全量の、例えば1~45重量%であり、好ましくは2~43重量%、より好ましくは3~40重量%である。
【0042】
[銀粒子(A)の製造方法]
銀粒子(A)は、アミンと、銀化合物とを混合して、前記銀化合物及び前記アミンを含む錯化合物を生成させ、
前記錯化合物を加熱して熱分解させることにより、製造され得る。このように、銀粒子(A)の製造方法は、錯化合物の生成工程と、錯化合物の熱分解工程とを主として含む。
【0043】
本開示において、前記銀化合物としては、加熱により容易に分解して、金属銀を生成する銀化合物を用いる。このような銀化合物としては、ギ酸銀、酢酸銀、シュウ酸銀、マロン酸銀、安息香酸銀、フタル酸銀などのカルボン酸銀;フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀などのハロゲン化銀;硫酸銀、硝酸銀、炭酸銀等を用いることができるが、分解により容易に金属銀を生成し且つ銀以外の不純物を生じにくいという観点から、シュウ酸銀が好ましく用いられる。シュウ酸銀は、銀含有率が高く、且つ、還元剤を必要とせず熱分解により金属銀がそのまま得られ、還元剤に由来する不純物が残留しにくい点で有利である。
【0044】
また、銀との複合物を得るために、上記の銀化合物と、銀以外の他の金属化合物を併用してもよい。他の金属化合物は、加熱により容易に分解して、目的とする金属を生成する金属化合物を用いる。他の金属化合物としては、上記の銀化合物に対応するような金属の塩、例えば、金属のカルボン酸塩;金属ハロゲン化物;金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属炭酸塩等の金属塩化合物を用いることができる。これらのうち、分解により容易に金属を生成し且つ金属以外の不純物を生じにくいという観点から、金属のシュウ酸塩が好ましく用いられる。他の金属としては、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In、及びNi等が挙げられる。銀複合物は、銀と1又は2以上の他の金属からなるものであり、Au-Ag、Ag-Cu、Au-Ag-Cu、Au-Ag-Pd等が例示される。金属全体を基準として、銀が少なくとも20重量%、通常は少なくとも50重量%、例えば少なくとも80重量%を占める。
【0045】
本開示において、錯化合物の生成工程において、アミンと銀化合物とを無溶剤で混合してもよいが、炭素数3以上のアルコール溶剤存在下で混合して、前記銀化合物及び前記アミンを含む錯化合物を生成させることが好ましい。
【0046】
前記アルコール溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、好ましくは炭素数4~6のアルコールを用いることができる。例えば、n-プロパノール(沸点bp:97℃)、イソプロパノール(bp:82℃)、n-ブタノール(bp:117℃)、イソブタノール(bp:107.89℃)、sec-ブタノール(bp:99.5℃)、tert-ブタノール(bp:82.45℃)、n-ペンタノノール(bp:136℃)、n-ヘキサノール(bp:156℃)、n-オクタノール(bp:194℃)、2-オクタノール(bp:174℃)等が挙げられる。これらの内でも、後に行われる錯化合物の熱分解工程の温度を高くできること、銀粒子(A)の形成後の後処理での利便性等を考慮して、n-ブタノール、イソブタノール、 sec-ブタノール、tert-ブタノールから選ばれるブタノール類、ヘキサノール類が好ましい。特に、n-ブタノール、n-ヘキサノールが好ましい。
【0047】
また、前記アルコール溶剤は、銀化合物-アルコールスラリーの十分な攪拌操作のために、前記銀化合物100重量部に対して、例えば120重量部以上、好ましくは130重量部以上、より好ましくは150重量部以上用いることがよい。前記アルコール系溶剤量の上限については、特に制限されることなく、前記銀化合物100重量部に対して、例えば1000重量部以下、好ましくは800重量部以下、より好ましくは500重量部以下とするとよい。
【0048】
本開示において、アミンと銀化合物とを炭素数3以上のアルコール溶剤存在下で混合するには、いくつかの形態をとり得る。
例えば、まず、固体の銀化合物とアルコール溶剤とを混合して、銀化合物-アルコールスラリーを得て[スラリー形成工程]、次に、得られた銀化合物-アルコールスラリーに、アミンを添加してもよい。スラリーとは、固体の銀化合物が、アルコール溶剤中に分散されている混合物を表している。反応容器に、固体の銀化合物を仕込み、それにアルコール溶剤を添加しスラリーを得るとよい。
あるいは、アミンとアルコール溶剤とを反応容器に仕込み、それに銀化合物-アルコールスラリーを添加してもよい。
【0049】
本開示において、錯形成剤及び/又は保護剤として機能するアミンとして、例えば、炭化水素基の炭素総数が6以上である脂肪族炭化水素モノアミン(1)を含み、さらに、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が5以下である脂肪族炭化水素モノアミン(2)、及び脂肪族炭化水素基と2つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が8以下である脂肪族炭化水素ジアミン(3)のうちの少なくとも一方を用いてもよい。これら各成分は、通常、アミン混合液として用いられるが、ただし、前記銀化合物(又はそのアルコールスラリー)に対する前記アミンの混合は、必ずしも混合された状態のアミン類を用いて行う必要はない。前記銀化合物(又はそのアルコールスラリー)に対して、前記アミン類を順次添加してもよい。
【0050】
本明細書において、確立された用語であるが、「脂肪族炭化水素モノアミン」とは、1~3個の1価の脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなる化合物である。「炭化水素基」とは、炭素と水素とのみからなる基である。ただし、前記脂肪族炭化水素モノアミン(1)、及び前記脂肪族炭化水素モノアミン(2)は、その炭化水素基に、必要に応じて酸素原子あるいは窒素原子の如きヘテロ原子(炭素及び水素以外の原子)を含む置換基を有していてもよい。この窒素原子がアミノ基を構成することはない。
【0051】
また、「脂肪族炭化水素ジアミン」とは、2価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基)と、該脂肪族炭化水素基を介在した2つのアミノ基と、場合によっては、該アミノ基の水素原子を置換した脂肪族炭化水素基(アルキル基)とからなる化合物である。ただし、前記脂肪族炭化水素ジアミン(3)は、その炭化水素基に、必要に応じて酸素原子あるいは窒素原子の如きヘテロ原子(炭素及び水素以外の原子)を含む置換基を有していてもよい。この窒素原子がアミノ基を構成することはない。
【0052】
炭素総数6以上の脂肪族炭化水素モノアミン(1)は、その炭化水素鎖によって、生成する銀粒子表面への保護剤(安定化剤)としての高い機能を有する。
【0053】
前記脂肪族炭化水素モノアミン(1)としては、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミンが含まれる。第一級アミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素数6~18の直鎖状脂肪族炭化水素基を有する飽和脂肪族炭化水素モノアミン(すなわち、アルキルモノアミン)が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素モノアミンとして、上記の直鎖脂肪族モノアミンの他に、イソヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、tert-オクチルアミン等の炭素数6~16、好ましくは炭素数6~8の分枝状脂肪族炭化水素基を有する分枝脂肪族炭化水素モノアミンが挙げられる。また、シクロヘキシルアミンも挙げられる。さらに、オレイルアミン等の不飽和脂肪族炭化水素モノアミン(すなわち、アルケニルモノアミン)が挙げられる。
【0054】
第二級アミンとしては、直鎖状のものとして、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジペンチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジペプチルアミン、N,N-ジオクチルアミン、N,N-ジノニルアミン、N,N-ジデシルアミン、N,N-ジウンデシルアミン、N,N-ジドデシルアミン、N-プロピル-N-ブチルアミン等のジアルキルモノアミンが挙げられる。第三級アミンとしては、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン等が挙げられる。
【0055】
また、分枝状のものとして、N,N-ジイソヘキシルアミン、N,N-ジ(2-エチルヘキシル)アミン等の第二級アミンが挙げられる。また、トリイソヘキシルアミン、トリ(2-エチルヘキシル)アミン等の第三級アミンが挙げられる。N,N-ジ(2-エチルヘキシル)アミンの場合、2-エチルヘキシル基の炭素数は8であるが、前記アミン化合物に含まれる炭素の総数は16となる。トリ(2-エチルヘキシル)アミンの場合、前記アミン化合物に含まれる炭素の総数は24となる。
【0056】
上記モノアミン(1)の内でも、直鎖状の場合には、炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素モノアミンが好ましい。炭素数6以上とすることにより、アミノ基が銀粒子表面に吸着した際に他の銀粒子との間隔を確保できるため、銀粒子同士の凝集を防ぐ作用が向上する。炭素数の上限は特に定められないが、入手のし易さ、焼成時の除去のし易さ等を考慮して、通常、炭素数18までの飽和脂肪族モノアミンが好ましい。特に、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン等の炭素数6~12のアルキルモノアミンが好ましく用いられる。前記直鎖脂肪族炭化水素モノアミンのうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
また、分枝脂肪族炭化水素モノアミン化合物を用いると、同じ炭素数の直鎖脂肪族炭化水素モノアミン化合物を用いた場合と比べ、分枝脂肪族炭化水素基の立体的因子により銀粒子表面上へのより少ない付着量で銀粒子表面のより大きな面積を被覆することができる。そのため、銀粒子表面上へのより少ない付着量で、銀粒子(A)の適度な安定化が得られる。焼成時において除去すべき保護剤(有機安定剤)の量が少ないので、200℃以下の低温での焼成の場合にも、有機安定剤を効率よく除去でき、銀粒子の焼結が十分に進行する。
【0058】
上記分枝脂肪族炭化水素モノアミンの内でも、イソヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン等の主鎖の炭素数5~6の分枝アルキルモノアミン化合物が好ましい。主鎖の炭素数5~6であると、銀粒子(A)の適度な安定化が得られやすい。また、分枝脂肪族基の立体的因子の観点からは、2-エチルヘキシルアミンのように、N原子側から2番目の炭素原子において枝分かれしていることが有効である。前記分枝脂肪族モノアミンとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本開示において、前記脂肪族炭化水素モノアミン(1)として、前記直鎖状脂肪族炭化水素モノアミンと、前記分枝状脂肪族炭化水素モノアミンとをそれぞれの利点を得るために併用してもよい。
【0060】
炭素総数5以下の脂肪族炭化水素モノアミン(2)は、炭素総数6以上の脂肪族モノアミン(1)に比べると炭素鎖長が短いのでそれ自体は保護剤(安定化剤)としての機能は低いと考えられるが、前記脂肪族モノアミン(1)に比べると極性が高く銀化合物の銀への配位能が高く、そのため錯体形成促進に効果があると考えられる。また、炭素鎖長が短いため、例えば120℃以下の、あるいは100℃程度以下の低温焼成においても、30分間以下、あるいは20分間以下の短時間で銀粒子表面から除去され得るので、得られた銀粒子(A)の低温焼成に効果がある。
【0061】
前記脂肪族炭化水素モノアミン(2)としては、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、 sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert-ペンチルアミン等の炭素数2~5の飽和脂肪族炭化水素モノアミン(すなわち、アルキルモノアミン)が挙げられる。また、N,N-ジメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N-メチル-N-プロピルアミン、N-エチル-N-プロピルアミン等のジアルキルモノアミンが挙げられる。
【0062】
これらの内でも、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert-ペンチルアミン等が好ましく、上記ブチルアミン類がより好ましい。前記脂肪族炭化水素モノアミン(2)のうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
炭素総数8以下の脂肪族炭化水素ジアミン(3)は、銀化合物の銀への配位能が高く、錯体形成促進に効果がある。脂肪族炭化水素ジアミンは、一般に、脂肪族炭化水素モノアミンと比べて極性が高く、銀化合物の銀への配位能が高くなる。また、前記脂肪族炭化水素ジアミン(3)は、錯化合物の熱分解工程において、より低温且つ短時間での熱分解を促進する効果があり、銀ナノ粒子製造をより効率的に行うことができる。さらに、前記脂肪族ジアミン(3)を含む銀粒子の保護被膜は極性が高いので、極性の高い溶剤を含む分散媒体中での銀粒子の分散安定性が向上する。さらに、前記脂肪族ジアミン(3)は、炭素鎖長が短いため、例えば120℃以下の、あるいは100℃程度以下の低温焼成においても、30分間以下、あるいは20分間以下の短い時間で銀粒子表面から除去され得るので、得られた銀粒子(A)の低温且つ短時間焼成に効果がある。
【0064】
前記脂肪族炭化水素ジアミン(3)としては、特に限定されないが、エチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N'-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N'-ジエチルエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N'-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N'-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N'-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、N,N'-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ヘキサンジアミン、N,N-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N'-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン等が挙げられる。これらはいずれも、2つのアミノ基のうちの少なくとも1つが第一級アミノ基又は第二級アミノ基である炭素総数8以下のアルキレンジアミンであり、銀化合物の銀への配位能が高く、錯体形成促進に効果がある。
【0065】
これらの内でも、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン等の2つのアミノ基のうちの1つが第一級アミノ基(-NH2)であり、他の1つが第三級アミノ基(-NR1R2)である炭素総数8以下のアルキレンジアミンが好ましい。好ましいアルキレンジアミンは、下記構造式で表される。
【0066】
R1R2N-R-NH2
ここで、Rは、2価のアルキレン基を表し、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、アルキル基を表し、ただし、R、R1及びR2の炭素数の総和は8以下である。該アルキレン基は、通常は酸素原子又は窒素原子等のヘテロ原子(炭素及び水素以外の原子)を含まないが、必要に応じて前記ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。また、該アルキル基は、通常は酸素原子又は窒素原子等のヘテロ原子を含まないが、必要に応じて前記ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。
【0067】
2つのアミノ基のうちの1つが第一級アミノ基であると、銀化合物の銀への配位能が高くなり、錯体形成に有利であり、他の1つが第三級アミノ基であると、第三級アミノ基は銀原子への配位能に乏しいため、形成される錯体が複雑なネットワーク構造となることが防止される。錯体が複雑なネットワーク構造となると、錯体の熱分解工程に高い温度が必要となることがある。さらに、これらの内でも、低温焼成においても短時間で銀粒子表面から除去され得るという観点から、炭素総数6以下のジアミンが好ましく、炭素総数5以下のジアミンがより好ましい。前記脂肪族炭化水素ジアミン(3)のうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
本開示において、前記炭素総数6以上の脂肪族炭化水素モノアミン(1)と、前記炭素総数5以下の脂肪族炭化水素モノアミン(2)及び前記炭素総数8以下の脂肪族炭化水素ジアミン(3)のいずれか一方又は両方との使用割合は、特に限定されないが、前記全アミン類[(1)+(2)+(3)]を基準として、例えば、
前記脂肪族モノアミン(1):5モル%~65モル%
前記脂肪族モノアミン(2)及び前記脂肪族ジアミン(3)の合計量:35モル%~95モル%
とするとよい。前記脂肪族モノアミン(1)の含有量を5モル%~65モル%とすることによって、該(1)成分の炭素鎖によって、生成する銀粒子表面の保護安定化機能が得られやすい。前記(1)成分の含有量が5モル%未満では、保護安定化機能の発現が弱いことがある。一方、前記(1)成分の含有量が65モル%を超えると、保護安定化機能は十分であるが、低温焼成によって該(1)成分が除去されにくくなる。該(1)成分として、前記分枝状脂肪族モノアミンを用いる場合には、前記脂肪族モノアミン(1):5モル%~65モル%を満たすように、前記分枝状脂肪族モノアミン:10モル%~50モル%とするとよい。
【0069】
前記脂肪族モノアミン(1)と、さらに、前記脂肪族モノアミン(2)及び前記脂肪族ジアミン(3)の両方とを用いる場合には、それらの使用割合は、特に限定されないが、前記全アミン類[(1)+(2)+(3)]を基準として、例えば、
前記脂肪族モノアミン(1): 5モル%~65モル%
前記脂肪族モノアミン(2): 5モル%~70モル%
前記脂肪族ジアミン(3): 5モル%~50モル%
とするとよい。該(1)成分として、前記分枝状脂肪族モノアミンを用いる場合には、前記脂肪族モノアミン(1):5モル%~65モル%を満たすように、前記分枝状脂肪族モノアミン:10モル%~50モル%とするとよい。
【0070】
この場合には、前記(1)成分の含有量の下限については、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましい。前記(1)成分の含有量の上限については、65モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
【0071】
前記脂肪族モノアミン(2)の含有量を5モル%~70モル%とすることによって、錯体形成促進効果が得られやすく、また、それ自体で低温且つ短時間焼成に寄与でき、さらに、焼成時において前記脂肪族ジアミン(3)の銀粒子表面からの除去を助ける作用が得られやすい。前記(2)成分の含有量が5モル%未満では、錯体形成促進効果が弱かったり、あるいは、焼成時において前記(3)成分が銀粒子表面から除去されにくいことがある。一方、前記(2)成分の含有量が70モル%を超えると、錯体形成促進効果は得られるが、相対的に前記脂肪族モノアミン(1)の含有量が少なくなってしまい、生成する銀粒子表面の保護安定化が得られにくい。前記(2)成分の含有量の下限については、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。前記(2)成分の含有量の上限については、65モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
【0072】
前記脂肪族ジアミン(3)の含有量を5モル%~50モル%とすることによって、錯体形成促進効果及び錯体の熱分解促進効果が得られやすく、また、前記脂肪族ジアミン(3)を含む銀粒子の保護被膜は極性が高いので、極性の高い溶剤を含む分散媒体中での銀粒子の分散安定性が向上する。前記(3)成分の含有量が5モル%未満では、錯体形成促進効果及び錯体の熱分解促進効果が弱いことがある。一方、前記(3)成分の含有量が50モル%を超えると、錯体形成促進効果及び錯体の熱分解促進効果は得られるが、相対的に前記脂肪族モノアミン(1)の含有量が少なくなってしまい、生成する銀粒子表面の保護安定化が得られにくい。前記(3)成分の含有量の下限については、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。前記(3)成分の含有量の上限については、45モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
【0073】
前記脂肪族モノアミン(1)と前記脂肪族モノアミン(2)とを用いる(前記脂肪族ジアミン(3)を用いずに)場合には、それらの使用割合は、特に限定されないが、上記各成分の作用を考慮して、前記全アミン類[(1)+(2)]を基準として、例えば、
前記脂肪族モノアミン(1): 5モル%~65モル%
前記脂肪族モノアミン(2): 35モル%~95モル%
とするとよい。該(1)成分として、前記分枝状脂肪族モノアミンを用いる場合には、前記脂肪族モノアミン(1):5モル%~65モル%を満たすように、前記分枝状脂肪族モノアミン:10モル%~50モル%とするとよい。
【0074】
前記脂肪族モノアミン(1)と前記脂肪族ジアミン(3)とを用いる(前記脂肪族モノアミン(2)を用いずに)場合には、それらの使用割合は、特に限定されないが、上記各成分の作用を考慮して、前記全アミン類[(1)+(3)]を基準として、例えば、
前記脂肪族モノアミン(1): 5モル%~65モル%
前記脂肪族ジアミン(3): 35モル%~95モル%
とするとよい。該(1)成分として、前記分枝状脂肪族モノアミンを用いる場合には、前記脂肪族モノアミン(1):5モル%~65モル%を満たすように、前記分枝状脂肪族モノアミン:10モル%~50モル%とするとよい。
【0075】
以上の前記脂肪族モノアミン(1)、前記脂肪族モノアミン(2)及び/又は前記脂肪族ジアミン(3)の使用割合は、いずれも例示であり、種々の変更が可能である。
【0076】
本開示においては、銀化合物の銀への配位能が高い前記脂肪族モノアミン(2)、及び/又は前記脂肪族ジアミン(3)を用いると、それらの使用割合に応じて、前記炭素総数6以上の脂肪族モノアミン(1)の銀粒子表面上への付着量は少なくて済む。従って、前記低温短時間での焼成の場合にも、これら脂肪族アミン化合物類は銀粒子表面から除去されやすく、銀粒子(A)の焼結が十分に進行する。
【0077】
本開示において、前記脂肪族炭化水素アミン[例えば、(1)、(2)及び/又は(3)]の合計量は、特に限定されないが、原料の前記銀化合物の銀原子1モルに対して、1~50モル程度とするとよい。前記アミン成分の合計量[(1)、(2)及び/又は(3)]が、前記銀原子1モルに対して、1モル未満であると、錯化合物の生成工程において、錯化合物に変換されない銀化合物が残存する可能性があり、その後の熱分解工程において、銀粒子の均一性が損なわれ粒子の肥大化が起こったり、熱分解せずに銀化合物が残存する可能性がある。一方、前記アミン成分の合計量[((1)、(2)及び/又は(3)]が、前記銀原子1モルに対して、50モル程度を超えてもあまりメリットはないと考えられる。実質的に無溶剤中において銀ナノ粒子の分散液を作製するためには、前記アミン成分の合計量を例えば2モル程度以上とするとよい。前記アミン成分の合計量を2~50モル程度とすることにより、錯化合物の生成工程及び熱分解工程を良好に行うことができる。前記アミン成分の合計量の下限については、前記銀化合物の銀原子1モルに対して、2モル以上が好ましく、6モル以上がより好ましい。なお、シュウ酸銀分子は、銀原子2個を含んでいる。
【0078】
本開示において、銀粒子(A)の分散媒への分散性をさらに向上させるため、安定剤として、さらに脂肪族カルボン酸(4)を用いてもよい。前記脂肪族カルボン酸(4)は、前記アミン類と共に用いるとよく、前記アミン混合液中に含ませて用いることができる。前記脂肪族カルボン酸(4)を用いることにより、銀ナノ粒子の安定性、特に有機溶剤中に分散された塗料状態での安定性が向上することがある。
【0079】
前記脂肪族カルボン酸(4)としては、飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸が用いられる。例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、エイコセン酸等の炭素数4以上の飽和脂肪族モノカルボン酸; オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸等の炭素数8以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
【0080】
これらの内でも、炭素数8~18の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸が好ましい。炭素数8以上とすることにより、カルボン酸基が銀粒子表面に吸着した際に他の銀粒子との間隔を確保できるため、銀粒子同士の凝集を防ぐ作用が向上する。入手のし易さ、焼成時の除去のし易さ等を考慮して、通常、炭素数18までの飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸化合物が好ましい。特に、オクタン酸、オレイン酸等が好ましく用いられる。前記脂肪族カルボン酸(4)のうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
前記脂肪族カルボン酸(4)は、用いる場合には、原料の前記銀化合物の銀原子1モルに対して、例えば0.05~10モル程度用いるとよく、好ましくは0.1~5モル、より好ましくは0.5~2モル用いるとよい。前記(4)成分の量が、前記銀原子1モルに対して、0.05モルよりも少ないと、前記(4)成分の添加による分散状態での安定性向上効果は弱い。一方、前記(4)成分の量が10モルに達すると、分散状態での安定性向上効果が飽和するし、また、低温焼成での該(4)成分の除去がされにくくなる。ただし、低温焼成での該(4)成分の除去を考慮すると、脂肪族カルボン酸(4)を用いなくてもよい。
【0082】
本開示において、通常は、用いる各脂肪族炭化水素アミン成分を含む混合液;例えば、前記脂肪族モノアミン(1)と、さらに、前記脂肪族モノアミン(2)及び前記脂肪族ジアミン(3)のいずれか一方又は両方とを含むアミン混合液を調製する[アミン混合液の調製工程]。
【0083】
アミン混合液は、各アミン(1)、(2)及び/又は(3)成分、及び用いる場合には前記カルボン酸(4)成分を、所定割合で室温にて攪拌して調製することができる。
【0084】
上記銀化合物(又はそのアルコールスラリー)に、各アミン成分を含む脂肪族炭化水素アミン混合液を添加して、前記銀化合物及び前記アミンを含む錯化合物を生成させる[錯化合物の生成工程]。各アミン成分は、混合液としてないで、逐次に銀化合物(又はそのアルコールスラリー)に添加してもよい。
【0085】
銀化合物(又はそのアルコールスラリー)と、所定量のアミン混合液とを混合する。混合は、常温にて行うとよい。「常温」とは周囲温度に応じて5~40℃を意図する。例えば、5~35℃(JIS Z 8703)、10~35℃、20~30℃を意図する。通常の室温(例えば、15~30℃の範囲)であってもよい。この際の混合は、攪拌しながら、あるいは銀化合物へのアミン類の配位反応は発熱を伴うため、上記温度範囲となるように、例えば5~15℃程度になるように適宜冷却して攪拌しながら行ってもよい。銀化合物とアミン混合液との混合を、炭素数3以上のアルコール存在下にて行うと、攪拌及び冷却は良好に行うことができる。アルコールとアミン類の過剰分が反応媒体の役割を果たす。
【0086】
銀アミン錯体の熱分解法においては、従来、反応容器中に液体の脂肪族アミン成分をまず仕込み、その中に粉体の銀化合物(シュウ酸銀)が投入されていた。液体の脂肪族アミン成分は引火性物質であり、その中への粉体の銀化合物の投入には危険がある。すなわち、粉体の銀化合物の投入による静電気による着火の危険性がある。また、粉体の銀化合物の投入により、局所的に錯形成反応が進行し、発熱反応が暴発してしまう危険もある。銀化合物とアミン混合液との混合を、前記アルコール存在下にて行うと、このような危険を回避できる。従って、スケールアップされた工業的な製造においても安全である。
【0087】
生成する錯化合物が一般にその構成成分に応じた色を呈するので、反応混合物の色の変化の終了を適宜の分光法等により検出することにより、錯化合物の生成反応の終点を検知することができる。また、シュウ酸銀が形成する錯化合物は一般に無色(目視では白色として観察される)であるが、このような場合においても、反応混合物の粘性の変化などの形態変化に基づいて、錯化合物の生成状態を検知することができる。例えば、錯化合物の生成反応の時間は、30分~3時間程度である。このようにして、アルコール及びアミン類を主体とする媒体中に銀-アミン錯体が得られる。
【0088】
次に、得られた錯化合物を加熱して熱分解させて、銀粒子(A)を形成する[錯化合物の熱分解工程]。還元剤を用いることなく、銀粒子(A)が形成される。ただし、必要に応じて本開示の効果を阻害しない範囲で適宜の還元剤を用いてもよい。
【0089】
このような金属アミン錯体分解法において、一般に、アミン類は、金属化合物の分解により生じる原子状の金属が凝集して微粒子を形成する際の様式をコントロールすると共に、形成された金属微粒子の表面に被膜を形成することで微粒子相互間の再凝集を防止する役割を果たしている。すなわち、金属化合物とアミンの錯化合物を加熱することにより、金属原子に対するアミンの配位結合を維持したままで金属化合物が熱分解して原子状の金属を生成し、次に、アミンが配位した金属原子が凝集してアミン保護膜で被覆された金属ナノ粒子が形成されると考えられる。
【0090】
この際の熱分解は、錯化合物をアルコール(用いる場合)及びアミン類を主体とする反応媒体中で攪拌しながら行うことが好ましい。熱分解は、被覆銀ナノ粒子が生成する温度範囲内において行うとよいが、銀粒子表面からのアミンの脱離を防止する観点から前記温度範囲内のなるべく低温で行うことが好ましい。シュウ酸銀の錯化合物の場合には、例えば80℃~120℃程度、好ましくは95℃~115℃程度、より具体的には100℃~110℃程度とすることができる。シュウ酸銀の錯化合物の場合には、概ね100℃程度の加熱により分解が起こると共に銀イオンが還元され、被覆銀ナノ粒子を得ることができる。なお、一般に、シュウ酸銀自体の熱分解は200℃程度で生じるのに対して、シュウ酸銀-アミン錯化合物を形成することで熱分解温度が100℃程度も低下する理由は明らかではないが、シュウ酸銀とアミンとの錯化合物を生成する際に、純粋なシュウ酸銀が形成している配位高分子構造が切断されているためと推察される。
【0091】
また、錯化合物の熱分解は、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気内において行うことが好ましいが、大気中においても熱分解を行うことができる。
【0092】
錯化合物の熱分解により、青色光沢を呈する懸濁液となる。この懸濁液から、過剰のアミン等の除去操作、例えば、銀ナノ粒子の沈降、適切な溶剤(水、又は有機溶剤)によるデカンテーション・洗浄操作を行うことによって、目的とする安定な銀粒子(A)が得られる[銀ナノ粒子の後処理工程]。洗浄操作の後、乾燥すれば、目的とする安定な銀粒子(A)の粉体が得られる。しかしながら、湿潤状態の銀ナノ粒子(N)を接合性導体ペーストの調製に供してもよい。
【0093】
デカンテーション・洗浄操作には、水、又は有機溶剤を用いる。有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素溶剤;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等のような芳香族炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のようなアルコール溶剤;アセトニトリル;及びそれらの混合溶剤を用いるとよい。
【0094】
本開示の接合性導体ペーストに前記式(I)で表される化合物(C)以外の溶剤の混入を避けるため、デカンテーション・洗浄操作の有機溶剤として、前記式(I)で表される化合物(C)を用いてもよい。また、前記式(I)で表される化合物(C)以外の有機溶剤を用いてデカンテーション・洗浄操作を行った後に、前記式(I)で表される化合物(C)を用いてデカンテーション・洗浄操作を行ってもよい。その場合は、式(I)で表される化合物(C)以外の有機溶剤の混入を回避するため、式(I)で表される化合物(C)で複数回(好ましくは、2~4回)デカンテーション・洗浄操作を行うことが好ましい。
【0095】
本開示の銀ナノ粒子の形成工程においては還元剤を用いなくてもよいので、還元剤に由来する副生成物がなく、反応系から銀粒子(A)の分離も簡単であり、高純度の銀粒子(A)が得られる。しかしながら、必要に応じて本開示の効果を阻害しない範囲で適宜の還元剤を用いてもよい。
【0096】
このようにして、用いた保護剤によって表面が被覆された銀粒子(A)が形成される。前記保護剤は、例えば、前記脂肪族モノアミン(1)を含み、さらに、前記脂肪族モノアミン(2)及び前記脂肪族ジアミン(3)のうちのいずれか一方又は両方を含み、さらに用いた場合には前記カルボン酸(4)を含んでいる。保護剤中におけるそれらの含有割合は、前記アミン混合液中のそれらの使用割合と同等である。銀粒子(A)についても同様である。
【0097】
銀粒子(A)としては、市販品を使用してもよく、例えば、(株)ダイセル製の銀ナノインク「Picosil(登録商標)」のLow Viscosity-Type(銀濃度30~50質量%)などを使用することもできる。
【0098】
[銀粒子(B)]
銀粒子(B)の平均粒子径(メジアン径)は、上述の通り、0.1~10μmであり、好ましくは0.1~9μm、より好ましくは0.3~8μmである。尚、銀粒子(B)の平均粒子径(メジアン径)は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。
【0099】
また、銀粒子(B)の比表面積は、例えば0.5~4.0m2/g、好ましくは0.6~3.0m2/g、より好ましくは0.7~2.5m2/g、さらに好ましくは0.8~2.5m2/gである。尚、銀粒子(B)の比表面積は、BET法により測定することができる。
【0100】
本開示の接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(B)の割合は、例えば40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。銀粒子(B)を上記範囲で含有すると、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度を形成できる点で好ましい。一方、当該銀粒子(B)の割合は、例えば99重量%以下、好ましくは97重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。
【0101】
銀粒子(B)においては、なかでも、平均粒子径が異なる銀粒子(群)を組み合わせて使用することが、より一層電気抵抗値が低く、電気特性に優れた導体配線や接合構造体を形成することができる点で好ましく、平均粒子径が0.1~1.5μm(より好ましくは0.1~0.6μm)の銀粒子(群)と平均粒子径が1.5μmを超え、8μm以下(より好ましくは5~8μm)の銀粒子(群)を、例えば70/30~30/70、好ましくは40/60~60/40、より好ましくは45/55~55/45(前者/後者:重量比)の割合で組み合わせて使用することが好ましい。
【0102】
銀粒子(B)の含有量は、良好な導電性を有する焼結体が得られる点、及び分散安定性に優れる(すなわち、高分散性を長期に亘って安定的に維持することができ、粘度の上昇を抑制することができる)点、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度を形成できる点において、接合性導体ペースト全量の、例えば20~95重量%であり、好ましくは30~90重量%、より好ましくは40~90重量%である。
【0103】
銀粒子(B)の形状としては、例えば、球状、扁平な形状、多面体等が挙げられ、形状の異なる導電性粒子を組み合わせて使用しても良く、同じ形状の導電性粒子のみを使用しても良い。
【0104】
銀粒子(B)としては、市販品を使用してもよく、例えば、商品名「AgC-239」(平均粒子径(メジアン径)6.0μm、福田金属箔粉工業(株)製)、商品名「S211A-10」(平均粒子径(メジアン径)0.54μm、大研化学工業(株)製)などを使用することができる。
【0105】
本開示の接合性導体ペーストには、銀粒子(A)、銀粒子(B)以外の導電性粒子(以後、「他の導電性粒子」と称する場合がある)を含有していてもよいが、銀粒子の含有量は本開示の接合性導体ペーストに含まれる導電性粒子全量の例えば75重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。尚、銀粒子の含有量の上限は100重量%である。従って、他の導電性粒子の含有量は本開示の接合性導体ペーストに含まれる導電性粒子全量の例えば25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下である。銀粒子を上記範囲で含有すると、電気特性に特に優れた、導体配線や接合構造体を形成することができる点で好ましい。
【0106】
他の導電性粒子を含有する場合、本開示の接合性導体ペーストに含まれる銀粒子と他の導電性粒子の重量比(前者:後者)は、例えば4:1~30:1、好ましくは6:1~25:1、より好ましくは8:1~20:1である。
【0107】
前記他の導電性粒子としては、例えば、パラジウム、白金、金、銅、ニッケル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0108】
(接合性導体ペースト)
本開示の接合性導体ペーストは、導電性粒子としての銀粒子(A)、銀粒子(B)と溶剤としての式(I)で表される化合物を含む。
【0109】
本開示の接合性導体ペースト全量(100重量%)における溶剤の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは3~30重量%である。
【0110】
また、本開示の接合性導体ペースト全量(100重量%)における式(I)で表される化合物(C)の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは3~30重量%である。
【0111】
更に、本開示の接合性導体ペースト全量(100重量%)における導電性粒子の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば50~99重量%、好ましくは60~97重量%、より好ましくは70~95重量%である。
【0112】
更にまた、本開示の接合性導体ペースト全量(100重量%)における銀粒子の含有量(銀粒子(A)と(B)の合計含有量)は、例えば50~99.8重量%、好ましくは60~97重量%、より好ましくは70~95重量%である。
【0113】
本開示の接合性導体ペースト全量(100重量%)において、式(I)で表される化合物(C)と銀粒子の合計含有量が占める割合は、例えば70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。従って、本開示の接合性導体ペーストに含まれる式(I)で表される化合物(C)と銀粒子以外の成分の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0114】
更にまた、本開示の接合性導体ペースト全量(100重量%)における有機成分の含有量は、例えば、15重量%以下、好ましくは13重量%以下である。該有機成分とは、式(I)で表される化合物(C)が含まれ、さらに、その他の溶剤や有機質の添加剤(接着剤、増粘剤、バインダーなど)も含まれ得る。
【0115】
本開示の接合性導体ペーストは、銀粒子(A)と銀粒子(B)を含むため、窒素等の不活性ガス雰囲気下でも速やかに焼結して、基板と電子素子とを高い接合強度で接続可能な高精度の導体配線や接合構造体を形成することができる。
【0116】
そして、本開示の接合性導体ペーストに含まれる式(I)で表される化合物は、印刷温度においては揮発速度が遅く、焼結温度においては揮発速度が速い。そのため、本開示の接合性導体ペーストを使用すれば、印刷時は粘度の変動を抑制して、ムラなく印刷することができる。そして、焼結時は、窒素等の不活性ガス雰囲気下において低温(例えば150℃以上、300℃未満、好ましくは170~280℃)でも、接合強度に優れた焼結体を形成することができ(焼結時間は、例えば0.1~2時間、好ましくは0.5~1.5時間)、焼結工程における基板の劣化又は損傷を防止することができる。
【0117】
本開示の接合性導体ペーストを印刷法(具体的には、ディスペンサ印刷法、マスク印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等)などにより基板に塗布し、その後、焼結することにより導体配線や接合構造体を形成することができる。
【0118】
前記焼結温度は、例えば150℃以上、300℃未満、好ましくは160~280℃である。また、焼結時間は、例えば0.1~2時間、好ましくは0.5~1.5時間である。
【0119】
前記焼結は、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性ガス雰囲気下で行うことが、半導体モジュール中のめっき保護されていない銅、ニッケル基板や配線の大気中の酸素による酸化を防止できる点で好ましい。
【0120】
本開示の接合性導体ペーストを基板上に塗布する厚さとしては、上記方法で形成される導体配線や接合構造体の厚みが、例えば15~400μm、好ましくは20~250μm、より好ましくは40~180μmとなる範囲である。
【0121】
導体配線や接合構造体を形成する基板としては、例えば、セラミック基板、SiC基板、窒化ガリウム基板、金属基板、ガラスエポキシ基板、BTレジン基板、ガラス基板、樹脂基板等が挙げられる。本開示の接合性導体ペーストは上述の通り低温で焼結可能であるため、熱に弱い基板も用いることができる。
【0122】
導体配線や接合構造体の形状としては、電子素子を接続することが可能な形状であれば特に制限されることがない。
【0123】
また、本開示の接合性導体ペーストは、接着剤(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の分子量10000以上の高分子化合物)を含有してもよいが、その含有量は、接合性導体ペースト全量(100重量)の例えば10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。そのため、本開示の接合性導体ペーストによれば、接着剤や接着剤由来の非導電成分によって、導電性粒子間や導電性粒子と基板とのインタラクションが阻害されることが無く、導電性に優れた導体配線や接合構造体[電気抵抗値は、例えば10×10-6Ω・cm以下、好ましくは9.0×10-6Ω・cm以下、より好ましくは8.5×10-6Ω・cm以下、さらに好ましくは7.0×10-6Ω・cm以下である]を形成することができる。
【0124】
更に、本開示の接合性導体ペーストを使用して基板上に形成された導体配線や接合構造体は、焼結によって導電性粒子が密に集合し、導電性粒子同士が溶け合うことにより、基板に対して優れた接合強度を発揮することができ、例えば銀メッキを施した銅基板に対する接合強度(JIS Z 3198準拠)は、10MPa以上、好ましくは20MPa以上である。
【0125】
本開示の接合性導体ペーストは上記特性を有するため、例えば、印刷法を用いて電子部品(例えば、パワー半導体モジュール、LEDモジュール等)を製造する目的に好適に使用することができる。
【実施例】
【0126】
以下に、実施例に基づいて本開示をより詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0127】
以下において、銀粒子(A)の平均粒子径(メジアン径)は以下の方法により測定した。
銀粒子(A)の分散液を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察を行った。観察は10万倍で4視野×50個とした。また、観察箇所は大小の粒子が共存している箇所とした。画像を解析することで個数粒径分布を求めた。この個数粒径分布に対して公知の換算式を用い粒子をアスペクト比1と仮定した上で体積粒径分布へ変換を行った。この粒径分布より平均粒子径(メジアン径)を求めた。
【0128】
また、銀粒子(B)の平均粒子径(メジアン径)はレーザー回折・散乱法により測定した値である。
【0129】
使用した銀粒子及び溶剤は、以下のとおりである。
[銀粒子(A)]
・「nAg」:平均粒子径(メジアン径)40nm、(株)ダイセル製
[銀粒子(B)]
・「AgC-239」:平均粒子径(メジアン径)6.0μm、福田金属箔粉工業(株)製
・「S211A-10」:平均粒子径(メジアン径)0.54μm、大研化学工業(株)製
[溶剤(化合物(C))]
・トリプロピレングリコールメチルエーテル:沸点242℃、(株)ダイセル製
・ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル:沸点229℃、(株)ダイセル製
・ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル:沸点212℃、(株)ダイセル製
・トリプロピレングリコールメチルn-プロピルエーテル:沸点258℃、(株)ダイセル製
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:沸点230℃、(株)ダイセル製
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル:沸点193℃、(株)ダイセル製
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル:沸点196℃、(株)ダイセル製
・ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート:沸点218℃、(株)ダイセル製
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:沸点247℃、(株)ダイセル製
・エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:沸点192℃、(株)ダイセル製
・エチレングリコールモノヘキシルエーテル:沸点205℃、(株)ダイセル製
・ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート:沸点213℃、(株)ダイセル製
【0130】
実施例1
nAgのメタノールスラリー10gに溶剤(C1)としてジエチレングリコールモノブチルエーテルを50g添加し遠心分離により溶剤分とnAgの湿粉に分離した。
溶剤分を廃棄し、湿粉にジエチレングリコールモノブチルエーテルを50g添加し分散後、遠心分離により溶剤分とnAgに湿粉に分離した。この操作を3回繰り返し、nAgのジエチレングリコールモノブチルエーテル湿粉を得た。湿粉をTG-DTAで400℃まで加熱し、重量減少分から含有のジエチレングリコールモノブチルエーテル重量を算出した。湿粉中のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有量は14.5wt%であった。
その後、AgC-239を80部、nAg湿粉を23.4部(nAg20部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル3.4部:上記TG-DTAからの算出値より)、溶剤(C2)としてトリプロピレングリコールメチルn-プロピルエーテル8部を自転公転ミキサーで混合し、nAgとAgC-239を含有する接合性導体ペーストを得た。
【0131】
実施例1~40
銀粒子(A)、銀粒子(B)、溶剤(C1)、溶剤(C2)の配合量を表1~6の通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、接合性導体ペーストを得た。
【0132】
比較例1
AgC-239を100部、及び溶剤(C2)としてジプロピレングリコールn-プロピルエーテル10部を自転公転ミキサーで混合し、AgC-239を含有する接合性導体ペーストを得た。
【0133】
比較例2~7
銀粒子(B)、溶剤(C2)の配合量を表1~6の通りとしたこと以外は、比較例1と同様にして、接合性導体ペーストを得た。
【0134】
(メタルマスク印刷性、接合強度の評価)
使用した基板、マスク、機器は、以下のとおりである。
[基板]
・銀メッキ基材(日本テストパネル(株)製)
基板:銅(1.0mm×9mm×60mm)
下地:無電解ニッケルめっき(5μm)
最表面:半光沢銀めっき(1.0μm)
・金メッキ基材(日本テストパネル(株)製)(実施例32~35、比較例5のみ)
基板:銅(1.0mm×9mm×60mm)
下地:無電解ニッケルめっき(5μm)
最表面:半光沢銀めっき(1.0μm)
・シリコンチップ(ヤマナカヒューテック(株)製)
シリコン(0.525mm×3mm×3mm)
下地:チタン500nmスパッタ
最表面:銀2μmスパッタ
[マスク]
・メタルマスク((株)東和テック社製)
3mm×3mm、メッシュ厚み100μm
[機器]
・チップマウンター
SMT-64H(奥原電機(株)製)
・焼結炉(リフロー炉)
RSS-450-210-FA(UNITEMP製)
【0135】
基板(1)に、メタルマスク印刷方法により、上記実施例、比較例で得られた接合性導体ペーストを塗布して塗膜を形成した(塗膜厚み:約100μm)。メタルマスク印刷性を以下基準で評価した。結果を表1~4に示す。
・銀メッキ基材、金メッキ基材、シリコンチップの何れの基板においても塗膜が基板から滲み出さない・・・良好
・銀メッキ基材、金メッキ基材、シリコンチップの何れかの基板において塗膜が基板から滲み出す・・・不良
【0136】
次に、形成された塗膜の上に、基板(1)と同じ基板(2)を載せたものを、リフロー炉を使用して、以下の条件で加熱して焼結を行って試料(基板(1)/焼結された接合性導体ペースト/基板(2))を作成した。
・大気下(実施例1~35、40、比較例1~5、7):
25℃→180℃(昇温速度:15℃/min)
180℃で60minホールド
・大気下(実施例36~39、比較例6)
25℃→160℃(昇温速度:15℃/min)
160℃で60minホールド
・窒素雰囲気下(実施例1~31、比較例1~4):
25℃→250℃(昇温速度:15℃/min)
250℃で60minホールド
・窒素雰囲気下(実施例40、比較例7)
25℃→180℃(昇温速度:15℃/min)
180℃で60minホールド
【0137】
得られた試料(n=4)について、ダイシェアテスターSERIES4000(DAGE製)を使用して、室温条件下、以下の条件で、基板(1)と基板(2)間の接合強度を測定して接合性を評価した。基板として銀メッキ基材、金メッキ基材(実施例32~35、比較例5のみ)、シリコンチップを用いた場合の接合強度(MPa)の平均値を表1~5に示す。
テスト速度:50μm/s
テスト高さ:50μm
【0138】
【0139】
銀粒子(A)を配合した実施例の接合性導体ペーストはマスク印刷性が良好であったに対して、銀粒子(A)を配合していない比較例の接合性導体ペーストのマスク印刷性は不良であった。また、銀粒子(A)を配合していない比較例の接合性導体ペーストの接合強度は、窒素雰囲気下で大きく低下するのに対して、銀粒子(A)を配合した実施例の接合性導体ペーストは窒素雰囲気下でも良好な接合強度を示した。
【0140】
実施例40、比較例7の接合性導体ペーストについて、焼結時間(ホールド時間)を10分、20分、30分、60分にしたこと以外は、上記と同様にして、接合強度を評価した。結果を表6に示す。
【表6】
【0141】
銀粒子(A)を配合した実施例の接合性導体ペーストは、焼結時間を短縮してもが良好な接合強度を示した。一方、銀粒子(A)を配合していない比較例の接合性導体ペーストは、焼結時間を短縮すると、大気下でも接合強度が大きく低下した。
【0142】
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0143】
上記で説明した本開示のバリエーションを以下に付記する。
[1]導電性粒子と溶剤を含む、電子素子を接続するための導体配線及び/又は接合構造体を形成するための接合性導体ペーストであって、導電性粒子として平均粒子径が1nm以上100nm未満の銀粒子(A)及び平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の銀粒子(B)を含み、
前記銀粒子(A)は、アミンを含む保護剤で表面が被覆された構成を有する銀ナノ粒子であり、
溶剤として下記式(I)
Ra-O-(X-O)n-Rb (I)
(式中、Raは炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。Xは炭素数2~6の炭化水素基から選択される2価の基を示す。Rbは水素原子、又は炭素数1~6の炭化水素基及びアシル基から選択される1価の基を示す。RaとRbは同一の基であってもよい。nは1~3の整数を示す)
で表される化合物(C)を含む接合性導体ペースト。
[2]前記銀粒子(A)の平均粒子径(メジアン径)が、0.5~90nm(好ましくは1~80nm、さらに好ましくは1~75nm)である、上記[1]に記載の接合性導体ペースト。
[3]前記接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(A)の割合が、50重量%以下(好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下)である、上記[1]又は[2]に記載の接合性導体ペースト。
[4]前記接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(A)の割合が、1重量%以上(好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上)である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[5]前記銀粒子(A)の含有量が、接合性導体ペースト全量(100重量%)に対して1~45重量%(好ましくは2~43重量%、より好ましくは3~40重量%)である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[6]前記銀粒子(A)における保護剤が、アミンとして、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が6以上である脂肪族炭化水素モノアミン(1)を含み、
さらに、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が5以下である脂肪族炭化水素モノアミン(2)、及び脂肪族炭化水素基と2つのアミノ基とからなり且つ該脂肪族炭化水素基の炭素総数が8以下である脂肪族炭化水素ジアミン(3)のうちの少なくとも一方を含む、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[7]前記脂肪族炭化水素モノアミン(1)と、前記脂肪族炭化水素モノアミン(2)及び前記脂肪族炭化水素ジアミン(3)のいずれか一方又は両方との使用割合が、前記全アミン類[(1)+(2)+(3)]を基準として、
前記脂肪族モノアミン(1):5モル%~65モル%
前記脂肪族モノアミン(2)及び前記脂肪族ジアミン(3)の合計量:35モル%~95モル%
である、上記[6]に記載の接合性導体ペースト。
[8]前記脂肪族モノアミン(1)と、さらに、前記脂肪族モノアミン(2)及び前記脂肪族ジアミン(3)の両方とを用いる場合、それらの使用割合が、前記全アミン類[(1)+(2)+(3)]を基準として、
前記脂肪族モノアミン(1): 5モル%~65モル%
前記脂肪族モノアミン(2): 5モル%~70モル%
前記脂肪族ジアミン(3): 5モル%~50モル%
である、上記[6]に記載の接合性導体ペースト。
[9]前記脂肪族モノアミン(1)と前記脂肪族モノアミン(2)とを用いる(前記脂肪族ジアミン(3)を用いずに)場合、それらの使用割合が、前記全アミン類[(1)+(2)]を基準として、
前記脂肪族モノアミン(1): 5モル%~65モル%
前記脂肪族モノアミン(2): 35モル%~95モル%
である、上記[6]に記載の接合性導体ペースト。
[10]前記脂肪族モノアミン(1)と前記脂肪族ジアミン(3)とを用いる(前記脂肪族モノアミン(2)を用いずに)場合、それらの使用割合が、前記全アミン類[(1)+(3)]を基準として、
前記脂肪族モノアミン(1): 5モル%~65モル%
前記脂肪族ジアミン(3): 35モル%~95モル%
である、上記[6]に記載の接合性導体ペースト。
[11]前記保護剤が、さらに、脂肪族カルボン酸(4)を含む、上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[12]前記脂肪族カルボン酸(4)が、炭素数8~18の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸を含む、上記[11]に記載の接合性導体ペースト。
【0144】
[13]前記銀粒子(B)の平均粒子径(メジアン径)が、0.1~9μm(好ましくは0.3~8μm)である、上記[1]~[12]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[14]前記銀粒子(B)の比表面積が、0.5~4.0m2/g(好ましくは0.6~3.0m2/g、より好ましくは0.7~2.5m2/g、さらに好ましくは0.8~2.5m2/g)である、上記[1]~[13]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[15]前記接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(B)の割合が、40重量%以上(好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上)である、上記[1]~[14]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[16]前記接合性導体ペーストに含まれる全銀粒子のうち、銀粒子(B)の割合が、99重量%以下(好ましくは97重量%以下、より好ましくは95重量%以下)である、上記[1]~[15]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[17]前記銀粒子(B)が、平均粒子径が0.1~1.5μm(好ましくは0.1~0.6μm)の銀粒子(群)と平均粒子径が1.5μmを超え、8μm以下(好ましくは5~8μm)の銀粒子(群)を含む、上記[1]~[16]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[18]平均粒子径が0.1~1.5μmの銀粒子(群)と平均粒子径が1.5μmを超え、8μm以下の銀粒子(群)の割合(前者/後者:重量比)が、70/30~30/70(好ましくは40/60~60/40、より好ましくは45/55~55/45)である、上記[17]に記載の接合性導体ペースト。
[19]前記銀粒子(B)の含有量が、接合性導体ペースト全量(100重量%)に対して、20~95重量%(好ましくは30~90重量%、より好ましくは40~90重量%)である、上記[1]~[18]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
【0145】
[20]前記式(I)で表される化合物(C)の常圧下における沸点が160℃以上(好ましくは190℃以上、より好ましくは190~290℃、さらに好ましくは200~260℃)である、上記[1]~[19]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[21]前記式(I)で表される化合物(C)の25℃におけるSP値[(cal/cm3)1/2]が11.0以下(好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下)である、上記[1]~[20]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[22]前記式(I)中のXがエチレン基、プロピレン基又はトリメチレン基である、上記[1]~[21]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[23]前記溶剤全量(100重量%)における、前記式(I)で表される化合物(C)の含有量の占める割合は、70~100重量%(好ましくは80重量%~100重量%、より好ましくは85重量%~100重量%、さらにより好ましくは90重量%~100重量%、さらにより好ましく95重量%~100重量%、さらにより好ましくは99重量%~100重量%)である、上記[1]~[22]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[24]前記式(I)で表される化合物(C)の含有量が、導電性粒子(銀粒子(A)及び銀粒子(B)の合計)100重量部に対して、1~50重量部(好ましくは2~30重量部、より好ましくは3~30重量部)である、上記[1]~[23]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
【0146】
[25]前記接合性導体ペースト全量(100重量%)における溶剤の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)が、1~50重量%(好ましくは2~40重量%、より好ましくは3~30重量%)である、上記[1]~[24]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[26]前記接合性導体ペースト全量(100重量%)における式(I)で表される化合物(C)の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)が、1~50重量%(好ましくは2~40重量%、より好ましくは3~30重量%)である、上記[1]~[25]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[27]前記接合性導体ペースト全量(100重量%)における導電性粒子の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)が、50~99重量%(好ましくは60~97重量%、より好ましくは70~95重量%)である、上記[1]~[26]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[28]前記接合性導体ペースト全量(100重量%)における銀粒子(A)及び銀粒子(B)の合計の含有量が50~99.8重量%(好ましくは60~97重量%、より好ましくは70~95重量%)である、上記[1]~[27]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[29]前記接合性導体ペースト全量(100重量%)において、式(I)で表される化合物(C)と銀粒子の合計含有量が占める割合が、70重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上)である、上記[1]~[28]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[30]有機成分の含有量が、接合性導体ペースト(100重量%)に対して15重量%以下(好ましくは13重量%以下)である、上記[1]~[29]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[31]接着剤(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の分子量10000以上の高分子化合物)の含有量が、接合性導体ペースト全量(100重量)の10重量%以下(好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下)である、上記[1]~[30]のいずれか1つに記載の接合性導体ペースト。
[32]上記[1]~[31]のいずれか1つに記載の接合性導体ペーストを基板上に塗布し、その後焼結することにより導体配線及び/又は接合構造体を形成する工程を有する電子部品の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示の接合性導体ペーストは、例えば、印刷法を用いて電子部品(例えば、パワー半導体モジュール、LEDモジュール等)を製造する目的に好適に使用することができる。