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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】過酸化水素消毒剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/00 20060101AFI20241224BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20241224BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20241224BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20241224BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
A01N59/00 A
A01N25/02
A01N25/30
A01P1/00
A01P3/00
【請求項の数】 43
(21)【出願番号】P 2021539904
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 US2020019906
(87)【国際公開番号】W WO2020176623
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】62/811,293
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520061734
【氏名又は名称】アークサーダ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ARXADA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ベントレー,マーカス・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ジアーン,シヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ギャリソン,マーク
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222531(JP,A)
【文献】特表2011-506488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 59/00
A01N 25/02
A01N 25/30
A01P 1/00
A01P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒剤組成物であって、a)有効量の過酸化水素源、b)少なくとも一つの芳香族アルコール、c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル、d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤、及びe)少なくとも一つの酸を含み、
前記少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤が、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む、前記消毒剤組成物。
【請求項2】
過酸化水素源が、過酸化水素溶液、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化水素尿素又は過酸化物塩、それらの水和塩、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項3】
過酸化水素源の濃度が、当該組成物の全重量の0.01w/w%~約90w/w%である、請求項2に記載の消毒剤組成物。
【請求項4】
少なくとも一つの芳香族アルコールが、アニシルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、バニリルアルコール、フェノール類、ポリフェノール類、それらの誘導体、又はそれらの塩を含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項5】
少なくとも一つの芳香族アルコールが、ベンジルアルコール及び/又はフェノキシエタノールを含み、当該組成物全体の約0.01w/w%~50w/w%の量で存在する、請求項4に記載の消毒剤組成物。
【請求項6】
少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、又はそれらの組合せを含み、当該組成物全体の約0.01w/w%~50w/w%の量で存在する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルがブレンドとして存在し、そのブレンドは1:100~100:1の比率である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルのブレンドが、当該組成物全体の約0.01w/w%~90w/w%の量で存在する、請求項7に記載の消毒剤組成物。
【請求項9】
少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルのブレンドが、当該組成物全体の約0.1w/w%~75w/w%の量で存在する、請求項8に記載の消毒剤組成物。
【請求項10】
少なくとも一つのノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤がある量で存在し、存在する界面活性剤の全量が、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%の量である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項11】
少なくとも一つのノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤が、エトキシレート脂肪族アルコール、ポリオキシエチレン界面活性剤、ポリエチレングリコールエステル、無水ソルビトールエステル及びそのエトキシレート誘導体、グリコールエステル、カルボン酸アミド、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項12】
少なくとも一つのノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤が、カプリリル/カプリルグルコシドをさらに含む、請求項に記載の消毒剤組成物。
【請求項13】
少なくとも一つのノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤がアルキルスルフェート、アルカノールアミドスルフェート、エトキシル化アルキルフェノール、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項14】
少なくとも一つの酸が、有機酸、無機酸、カルボン酸、鉱酸、非界面活性剤のスルホン酸、又はそれらの塩を含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項15】
少なくとも一つの酸が、クエン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、プロピオン酸、又はメタンスルホン酸を含む、請求項14に記載の消毒剤組成物。
【請求項16】
当該酸の全量が、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%である、請求項14に記載の消毒剤組成物。
【請求項17】
直鎖又は分枝鎖水溶性アルコールをさらに含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項18】
過酸化物安定剤及び/又はキレート化剤をさらに含み、前記安定剤及び/又はキレート化剤が、当該組成物全体の重量を基にして0.01w/w%~5w/w%の量で存在する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項19】
過酸化物安定剤及び/又はキレート化剤が、類似の(like)リン酸又はホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)又はそれらの塩を含む、請求項18に記載の消毒剤組成物。
【請求項20】
約0~約5のpHを有する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項21】
0.01w/w%~40w/w%の量で存在する第二の殺生物剤をさらに含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項22】
濃縮物である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項23】
水性溶媒、非水性溶媒又はそれらの混合物で希釈するとすぐに使える組成物である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項24】
グラム陽性菌、グラム陰性菌、ウイルス、真菌、うどん粉病菌、かび又はそれらの組合せを含む一つ又は複数の微生物に対して有効である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項25】
前記微生物が、ブドウ球菌、シュードモナス菌、肝炎ウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、ツベルクローシス又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の消毒剤組成物。
【請求項26】
ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効である、請求項25に記載の消毒剤組成物。
【請求項27】
5分以下の接触時間で>5対数減少の効果的殺菌を提供する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項28】
3分の接触時間で>5対数減少の効果的殺菌を提供する、請求項27に記載の消毒剤組成物。
【請求項29】
a)有効量の過酸化水素源であって、過酸化水素溶液を含む過酸化水素源;b)少なくとも一つの芳香族アルコールであって、ベンジルアルコール及び/又はフェノキシエタノールを含む芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルであって、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを含むグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤であって、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む前記界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸であって、メタンスルホン酸を含む酸を含む請求項1に記載の消毒剤組成物であって、ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効である、前記消毒剤組成物。
【請求項30】
表面をツベルクローシス及び/又はM.テラエから消毒するための方法であって、前記
方法は、請求項1~28のいずれか1項に記載の有効量の消毒剤組成物を、前記表面上に存在する微生物の大部分を効果的に殺菌する量で表面に適用することを含む、前記方法。
【請求項31】
前記方法が、その中の一つ又は複数の微生物の増殖を阻害、及び/又は生きた微生物の数を低減するための消毒剤組成物を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1~28のいずれか1項に記載の消毒剤組成物が、5分以下の接触時間で>5対数減少を提供する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
表面が、床、壁、カウンタートップ、電化製品、造作物、ファブリック、テキスタイル、又はその他の硬質又は軟質表面を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
過酸化水素源の消毒特性を増強するための方法であって、前記方法は、十分な量のb)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を過酸化水素源と共に加え、その組成物を表面に適用することを含み、前記少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤が、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む、前記方法。
【請求項35】
b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む消毒剤組成物であって、前記組成物はツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効であり;そして前記組成物はすぐに使える組成物を形成するために溶媒で希釈でき、前記溶媒は、過酸化水素源を含み、前記少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤は、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む、前記消毒剤組成物。
【請求項36】
前記溶媒が、水性溶媒、非水性溶媒又はそれらの混合物をさらに含む、請求項35に記載の消毒剤組成物。
【請求項37】
過酸化水素源が、過酸化水素溶液、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化水素尿素又は過酸化物塩、それらの水和塩、又はそれらの組合せを含む、請求項35に記載の消毒剤組成物。
【請求項38】
2部構成の消毒剤であって、a)殺生物量の過酸化水素、及び溶媒を含む第一の容器と;b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む第二の容器とを含み、前記少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤が、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む、前記2部構成消毒剤。
【請求項39】
ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効であり、5分以下の接触時間で>5対数減少を提供する、請求項38に記載の2部構成消毒剤。
【請求項40】
3分の接触時間で>5対数減少を提供する、請求項39に記載の2部構成消毒剤。
【請求項41】
消毒剤組成物のための添加剤であって、b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含み、消毒活性物質と組み合わせた場合に前記組成物の消毒特性を増強し、前記消毒活性物質が、過酸化水素溶液を含み、前記少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤が、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む、前記添加剤。
【請求項42】
前記消毒活性物質が、アルコール、漂白剤、又はフェノール類をさらに含む、請求項41に記載の消毒剤組成物用添加剤。
【請求項43】
過酸化水素溶液が、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化水素尿素又は過酸化物塩、それらの水和塩、又はそれらの組合せを含む、請求項41に記載の消毒剤組成物用添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
[0002]本開示は、ツベルクローシス含有細菌に対して有効な、過酸化水素と新規溶媒系とを含有する消毒剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]
[0004]公知の消毒剤及び抗菌剤の中でも、過酸化水素は、殺生物剤としてのその潜在能力ゆえのみならず、非毒性の酸素と水に分解するというその低毒性ゆえにも好適な選択肢である。さらに、過酸化水素は、広範囲の微生物を殺菌できる固有能力を有すると共に生成物が低毒性であるため、非硬質多孔性表面の消毒用製剤のための理想的な活性物質(active)である。
【0003】
[0005]残念なことに、過酸化水素単独ではツベルクローシス(結核菌)のようなより高等レベルの生物を殺菌できず、特に、より短い殺菌時間(<5分が望ましい)を提示することも困難である。従って、過酸化水素は一定の生物に対してそれ自体ではあまり有効でない。過酸化水素は、高い活性レベルと長い接触時間を以てしても結核原因菌に対して効力を示さない。さらに、過酸化水素ベースの大部分の市販製品は、短い接触時間内に硬質表面上の結核原因菌(TB)を殺菌することができない。
【0004】
[0006]当該技術分野においては、結核原因菌の殺菌に有効で、表面への適用後に迅速な消毒特性を発揮する消毒剤製品を病院消毒剤市場に提供することが求められている。
【発明の概要】
【0005】
[0008]今回、驚くべきことに、過酸化水素と新規溶媒系の組合せがツベルクローシス含有細菌に対して有効であり、結核原因菌に対して5分以下の接触殺菌時間で>5対数減少の効果的殺菌力を有することが見出された。
【0006】
[0009]本開示は、結核原因菌に対して、その活性レベルが高くても有効な、過酸化水素を含有する消毒剤組成物を求めるニーズに答えを提供する。本発明は、pH0~5の酸性化過酸化水素溶液と新規溶媒系とを含有する、ツベルクローシス(結核菌)及び/又はマイコバクテリウム・テラエ(M. terrae)に対して有効な消毒剤組成物を提供する。当該組成物は、結核原因菌に対して5分以下の接触殺菌時間で>5対数減少の効果的殺菌を提供する。
【0007】
[0010]一態様において、本発明は、a)有効量の過酸化水素源、b)少なくとも一つの芳香族アルコール、c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル、d)少なくとも一つのノニオン(nonionic)及び/又はアニオン界面活性剤、及びe)少なくとも一つの酸を含む消毒剤組成物を提供する。
【0008】
[0011]一態様において、過酸化水素源は、過酸化水素溶液、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化水素尿素又は過酸化物塩、それらの水和塩、又はそれらの組合せを含む。
【0009】
[0012]一態様において、過酸化水素源の濃度は、組成物の全重量の0.01w/w%~約90w/w%である。
[0013]一態様において、アニシルアルコール(アニスアルコール)、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、バニリルアルコール、フェノール類、ポリフェノール類、それらの誘導体、又はそれらの塩を含む少なくとも一つの芳香族アルコールが存在する。
【0010】
[0014]別の態様において、ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、又はそれらの組合せを含む少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルが存在する。
【0011】
[0015]一つの特別な態様において、少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルはブレンドとして存在し、そのブレンドは1:100~100:1の比率である。
【0012】
[0016]一態様において、少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルのブレンドは、当該組成物全体の約0.01w/w%~90w/w%の量で存在する。
【0013】
[0017]一つの特別な態様において、少なくとも一つのノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤がある量で存在し、存在する界面活性剤の全量は、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%の量である。
【0014】
[0018]別の態様において、少なくとも一つの酸は、有機酸、無機酸、カルボン酸、鉱酸、非界面活性剤のスルホン酸、又はそれらの塩を含む。
[0019]一態様において、酸の全量は、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%の量で存在する。
【0015】
[0020]さらに別の態様において、当該組成物はさらに過酸化物の安定剤及び/又はキレート化剤を含み、その安定剤及び/又はキレート化剤は、当該組成物全体の重量を基にして0.01w/w%~5w/w%の量で存在する。
【0016】
[0021]一態様において、当該組成物は約0~約5のpHを有するものである。
[0022]さらに別の態様において、当該組成物はさらに0.01w/w%~20w/w%の量で存在する第二の殺生物剤を含む。
【0017】
[0023]一つの特別な態様において、当該組成物は濃縮物を含み、別の態様において、当該組成物は、水性溶媒、非水性溶媒又はそれらの混合物で希釈するとすぐに使える組成物(ready-to-use composition)を含む。
【0018】
[0024]更なる態様において、当該組成物は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、ウイルス、真菌、うどん粉病菌(mildew)、かび(mold)又はそれらの組合せを含む一つ又は複数の微生物に対して有効である。
【0019】
[0025]別の態様において、当該組成物は、ツベルクローシス及び/又はM.テラエ(M. terrae)に対して有効である。
[0026]一つの特別な態様において、当該組成物は、5分以下の接触時間で>5対数減少の効果的殺菌を提供する。
【0020】
[0027]一つの特別な態様において、本発明は、本発明に従って、a)有効量の過酸化水素源(前記過酸化水素源は過酸化水素溶液を含む);b)少なくとも一つの芳香族アルコール(前記アルコールは、ベンジルアルコール及び/又はフェノキシエタノールを含む);c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル(前記グリコールは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを含む);d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤(前記界面活性剤は、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む);及びe)少なくとも一つの酸(前記酸は、メタンスルホン酸を含む)を含む消毒剤組成物を提供し、該組成物は、ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効である。
【0021】
[0028]別の態様において、本発明は、表面をツベルクローシス及び/又はM.テラエから消毒するための方法を提供し、前記方法は、本発明に従って有効量の消毒剤組成物を加え、該組成物を、前記表面上に存在する微生物の大部分を効果的に殺菌する量で表面に適用(塗布)することを含む。
【0022】
[0029]別の態様において、本方法は、その中の一つ又は複数の微生物の増殖を阻害、及び/又は生きた微生物の数を低減するための消毒剤組成物を含む。
[0030]一態様において、表面は、床、壁、カウンタートップ(countertop)、電化製品、造作物(fixture)、ファブリック、テキスタイル又はその他の硬質又は軟質表面を含む硬質又は軟質表面である。
【0023】
[0031]なお更なる態様において、本発明は、過酸化水素源の消毒特性を増強するための方法を提供し、前記方法は、十分な量のb)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を過酸化水素源と共に加え、その組成物を表面に適用することを含む。
【0024】
[0032]別の態様において、本発明は、b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む消毒剤組成物を提供し、該組成物はツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効であり、そして該組成物はすぐに使える組成物を形成するために溶媒で希釈することができる。
【0025】
[0033]一つの特別な態様において、本発明は、a)殺生物量の過酸化水素、及び溶媒を含む第一の容器と;b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む第二の容器とを含む2部構成の消毒剤を提供する。
【0026】
[0034]一態様において、前記2部構成の消毒剤は、ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効であり、前記消毒剤は5分以下の接触時間で>5対数減少を提供する。
[0035]なお更なる態様において、本発明は、b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む消毒剤組成物のための添加剤を提供し、前記添加剤は、消毒活性物質と組み合わせた場合に前記組成物の消毒特性を増強する。
【0027】
[0036]一態様において、消毒活性物質は、過酸化水素溶液、アルコール、漂白剤、有機酸、又はフェノールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0038]本発明は、ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効で、5分以下の接触時間で>5対数減少を有する過酸化水素源含有消毒剤組成物を提供する。これら及びその他の側面は、本発明の詳細な説明を読めば明白になるであろう。
【0029】
[0039]本明細書において、用語“有効量”とは、成分の既知の目的及び機能や組成物の適用に基づいて、所望効果をもたらすであろう任意の量を指す。有効量を構成するものは、当業者であれば発明的実験に携わる必要なしに決定可能であろう。
【0030】
[0040]今回、驚くべきことに、pH0~5を有する酸性化過酸化水素溶液と新規有機溶媒系の組合せが、M.テラエ及び/又はツベルクローシスに対して5分以下の接触時間で>5対数減少を示す組成物を提供することが見出された。
【0031】
[0041]本発明の一側面において、a)有効量の過酸化水素源、b)少なくとも一つの芳香族アルコール、c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル、d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤、及びe)少なくとも一つの酸を含有する消毒剤組成物を提供する。
【0032】
[0042]本発明に記載される消毒剤組成物は、濃縮物及び/又はすぐに使える組成物である。
[0043]典型的には、過酸化水素源は、これらに限定されないが、過酸化水素溶液、過炭酸塩(すなわち、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム)、過ホウ酸塩(すなわち、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム)、過酸化水素尿素又は過酸化物塩、それらの水和塩、又はそれらの組合せなどを含む。
【0033】
[0044]典型的には、過酸化水素源の濃度は、組成物の全重量の0.01w/w%~約90w/w%である。消毒剤組成物中に存在する過酸化水素源は、典型的には、組成物の全重量を基にして0.1w/w%~約50w/w%の量で存在する。適切には、過酸化水素源の濃度は、組成物の全重量を基にして0.5w/w%~約20w/w%である。望ましくは、過酸化水素源の濃度は、組成物の全重量の0.01w/w%~約15w/w%である。すぐに使える(ready-to-use)形態では、典型的には、過酸化水素の量は、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%;適切には0.1w/w%~10w/w%又は望ましくは0.01w/w%~7w/w%である。
【0034】
[0045]典型的には、少なくとも一つの芳香族アルコールが組成物中に存在する。例を挙げると、これらに限定されないが、アニシルアルコール(アニスアルコール)、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、バニリルアルコール、フェノール類、ポリフェノール類、それらの誘導体、又はそれらの塩などである。適切には、少なくとも一つの芳香族アルコールはベンジルアルコール及び/又はフェノキシエタノールを含む。
【0035】
[0046]典型的には、少なくとも一つの芳香族アルコールは、当該組成物全体の重量を基にして約0.01w/w%~50w/w%の量で存在する。適切には、少なくとも一つの芳香族アルコールは、当該組成物全体の重量を基にして約0.1w/w%~25w/w%の量、望ましくは、約0.1w/w%~15w/w%の量で存在する。
【0036】
[0047]典型的には、グリコール又はグリコールエーテルの例は、これらに限定されないが、少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルは、ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコール n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、又はそれらの組合せなどを含む。適切には、少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び/又はトリエチレングリコールモノブチルエーテルを含む。
【0037】
[0048]典型的には、少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルは、当該組成物全体の重量を基にして約0.01w/w%~50w/w%の量で存在する。適切には、少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルは、当該組成物全体の重量を基にして約0.1w/w%~25w/w%の量;又は望ましくは、約0.1w/w%~15w/w%の量で存在する。
【0038】
[0049]所望であれば、当該組成物は新規溶媒系を含有する。それにより、該溶媒系は、a)少なくとも一つの芳香族アルコール、及び/又はb)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル又はc)少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルのブレンドである。所望であれば、典型的には、少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルのブレンドは、1:100~100:1の比率で存在する。適切には、該ブレンドは1:50~50:1の比率であるか;又は望ましくは該ブレンドは1:20~20:1の比率である。
【0039】
[0050]典型的には、少なくとも一つの芳香族アルコールと少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテルのブレンドは、当該組成物全体の約0.01w/w%~90w/w%の量で存在する。適切には、該ブレンドは、当該組成物全体の重量を基にして約0.1w/w%~75w/w%の量で存在するか又は適切には該ブレンドは、約0.1w/w%~50w/w%の量で存在する。
【0040】
[0051]例えば、消毒剤組成物は、ベンジルアルコール及び/又はフェノキシエタノールとジエチレングリコールモノブチルエーテル及び/又はトリエチレングリコールモノブチルエーテルの1:100~100:1の比率のブレンドを含有する。それにより、該ブレンドの典型的な全量は、当該組成物全体の重量を基にして約0.01w/w%~90w/w%の量である。
【0041】
[0052]所望であれば、当該組成物はさらに、少なくとも一つのノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤を含有する。それにより、存在する界面活性剤の全量は、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%の量である。適切には、当該組成物全体の約0.01w/w%~10w/w%である。
【0042】
[0053]典型的には、ノニオン界面活性剤は、これらに限定されないが、エトキシレート脂肪族アルコール、ポリオキシエチレン界面活性剤、ポリエチレングリコールエステル、無水ソルビトールエステル及びそのエトキシレート誘導体、グリコールエステル、カルボン酸アミド、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、又はそれらの組合せなどの少なくとも一つを含む。
【0043】
[0054]適切には、少なくとも一つのノニオン界面活性剤の例は、これらに限定されないが、カプリリル/カプリルグルコシド、C-C15エトキシル化アルコール、C-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、C-C14アルキル化ポリエチレングリコール、C-C14アルキル化ポリプロピレンリコール、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、及びグルコシドアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリグリセロールエステル、ラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポロキサマー及びポリエトキシル化牛脂アミン(POEA)、又はそれらの混合物などである。
【0044】
[0055]典型的には、アニオン界面活性剤の例は、これらに限定されないが、少なくとも一つのアニオン界面活性剤は、これらに限定されないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート/スルホネート、アルカノールアミドスルフェート、エトキシル化アルキルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アルコキシル化アルキルスルフェート、又はそれらの組合せなどである。
【0045】
[0056]当該組成物は、少なくとも一つの酸、例えばこれらに限定されないが、有機酸、無機酸、カルボン酸、鉱酸、非界面活性剤のスルホン酸、又はそれらの塩などを含有する。組成物中に存在する酸の全量は、当該組成物全体の0.01w/w%~15w/w%である。適切には、濃縮物又はすぐに使える形態の場合、0.01w/w%~10w/w%;望ましくは0.01w/w%~5w/w%である。
【0046】
[0057]適切には、少なくとも一つの酸の例は、これらに限定されないが、クエン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、プロピオン酸、又はメタンスルホン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、それらの混合物などである。
【0047】
[0058]典型的には、消毒剤組成物の濃縮形は、約0~5;適切には1~約3のpHを有する。すぐに使える溶液の場合、pHは約0.5~約4.5、適切には0.5~3でありうる。
【0048】
[0059]当該組成物には一つ又は複数の追加成分が含まれるのが望ましいであろう。それらは、これらに限定されないが、殺生物剤、溶媒、腐食防止剤、乳化剤、香料、染料、保存剤、消泡剤、増粘剤、ヒドロトロープ剤、第二の殺生物剤、金属イオン封鎖剤/キレート化剤、補助安定化可溶化剤(aid stabilizing solubilizer)、水性溶媒、又はそれらの混合物などである。
【0049】
[0060]安定剤及び/又はキレート化剤が添加される場合、安定剤は、当該組成物全体の重量を基にして0.01w/w%~5w/w%の量で存在する過酸化物安定剤(これに限定されない)などである。
【0050】
[0061]典型的には、安定剤/キレート化剤は、これらに限定されないが、アミノカルボン酸系製品、ホスフェート及びホスホネート、ヒドロキシカルボキシレート、ポリアクリレート、糖アクリレート、高分子清澄剤(polymeric clarifiers)、ジクロル(dichlor)、トリクロル(trichlor)、シアヌル酸、有機及び/又は無機金属イオン封鎖剤などである。
【0051】
[0062]ホスフェートの金属イオン封鎖剤の例は、無機ポリホスフェート、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、それらの組合せなどである。
【0052】
[0063]ホスホン酸化アミノポリカルボキシレートの例は、例えば、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DETMP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、HEDP、又はそれらの塩;それらの組合せなどである。
【0053】
[0064]適切には、安定剤/キレート化剤の例は、これらに限定されないが、リン酸、1-ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、フィチン酸、アミノホスフェート、ホスホネート及びグルタミン酸ナトリウム、NaHPO、Na10、有機ホスホン酸、アミノ-ホスホネート、クエン酸二水素銀、ジホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンリン酸)、2-ヒドロキシエチルイミノビス(エチレンリン酸)、クエン酸、ジピコリン酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、メチルグリシン二酢酸及びそれらのアルカリ塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、2-ヒドロキシエチルイミノ-二酢酸(HEIDA)、及びその塩、シクロヘキサン-1,2-ジアミノテトラキスメチレンホスホン酸又はウォーターゾル、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、コロイド状スズ酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、クエン酸塩、没食子酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、オキサロ酢酸塩、シュウ酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、2-ヒドロキシピリジン-1-オキシド(2-HPNO)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)亜鉛塩、トリエタノールアミンホスフェート又はそれらの混合物などである。
【0054】
[0065]典型的には、殺生物剤が消毒剤組成物に添加される場合、その殺生物剤は組成物中で第二の殺生物剤として作用する。それにより、該殺生物剤は、当該組成物全体の重量を基にして0.01%~40w/w%、又は適切には0.01w/w%~25w/w%の量で存在する。
【0055】
[0066]第二の殺生物剤の例は、これらに限定されないが、ハロゲン放出化合物;第四級アンモニウム化合物(第四級アンモニウムのハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、又はそれらの組合せ、例えば塩化ベンジルアルコニウムを含む)、イソチアゾロン類又はそれらの混合物、ピリチオン類、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ブロノポール、アミン類(例えばビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン)、金属塩、ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレンジクロリド)、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、2-クロロ-4,6-ビス(エチルアミノ)-5-トリアジン、酸化剤、それらの組合せなどである。
【0056】
[0067]ハロゲン放出化合物の例は、これらに限定されないが、塩素化イソシアヌル酸又はその塩、イソチアゾリノン又はイソチアゾリノン類の混合物;ハロゲン化ヒダントイン類、次亜塩素酸又はその塩、塩素ガス、二酸化塩素、次亜臭素酸塩、次亜臭素酸;及びそれらの適合可能な組合せなど;任意の過酸ベースの溶液、その誘導体又は塩を本質的に含まないものである。
【0057】
[0068]塩素化イソシアヌル酸又はその塩の例は、これらに限定されないが、例えば、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)、及びジクロロイソシアヌル酸(DCCA);ジクロロイソシアヌル酸塩(例えば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム)、トリクロロイソシアヌル酸塩(例えば、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム又はカリウム)、それらの組合せなどである。
【0058】
[0069]塩素化ハロゲン化ヒダントインの例は、塩素及び臭素の両方を含有するヒダントイン、例えば、ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH);ジブロモジメチルヒダントイン(DBDMH)、ジクロロジメチルヒダントイン(DCDMH)、ジクロロメチルエチルヒダントイン(DCMEH)、それらの組合せなどである。
【0059】
[0070]次亜塩素酸塩;次亜塩素酸又は次亜臭素酸及びそれらの塩の例は、これらに限定されないが、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カルシウム、それらの組合せなどである。
【0060】
[0071]金属塩の例は、これらに限定されないが、塩化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸銅、クエン酸銅、銅EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、グルコン酸銅、コロイダルシルバー、硝酸銀、一過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、それらの組合せなどである。
【0061】
[0072]本発明に記載される消毒剤組成物は、濃縮物及び/又はすぐに使える組成物である。それにより、濃縮組成物は、水性溶媒、非水性溶媒又はそれらの混合物で希釈されて、消費者用のすぐに使える組成物を提供する。希釈された場合、過酸化水素源は、当該組成物全体の重量を基にして0.01w/w%~20w/w%の量で存在する。適切には、当該組成物全体の重量を基にして0.1w/w%~15w/w%;望ましくは、当該組成物全体の重量を基にして0.1w/w%~8w/w%である。
【0062】
[0073]典型的には、溶媒は、水性溶媒、非水性溶媒又はそれらの混合物などで、当該組成物全体を100%に等しくするための量で存在する。例えば、溶媒は、直鎖又は分枝鎖の水溶性アルコール、水である。
【0063】
[0074]水性溶媒の例は、これらに限定されないが、水、水性アルコール、アンモニア水、酸溶液、過酸化水素溶液、塩溶液、水混和性有機溶媒、アルカノールアミン、又はグリコールエーテル、それらの組合せなどである。
【0064】
[0075]非水性溶媒の例は、これらに限定されないが、非水性アルコール、一価又は多価アルコール、アルカノールアミン、又はグリコールエーテル、水に非混和性の任意の物質、それらの混合物などである。
【0065】
[0076]適切には、使用される溶媒は、水、水性アルコール、グリコールエーテル、芳香族アルコール又はそれらのブレンドである。
[0077]消毒剤組成物は、これらに限定されないが、グラム陽性菌、グラム陰性菌、ウイルス、真菌、うどん粉病菌、かび又はそれらの組合せなどを含む一つ又は複数の微生物に対して効力を有するものである。
【0066】
[0078]具体的には、それにより、該微生物は、これらに限定されないが、ブドウ球菌、シュードモナス菌、肝炎ウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、ツベルクローシス又はそれらの組合せなどである。
【0067】
[0079]望ましくは、当該消毒剤組成物は、M.テラエ(これに限定されない)を含むツベルクローシス含有細菌に対して大きな効力を有する。当該組成物は、M.テラエに対して5分以下の接触時間で>5対数減少を示す。具体的には、それにより、当該消毒剤組成物は、M.テラエに対して約3分の接触時間で>5対数減少を示す。
【0068】
[0080]本発明の一側面は、本発明に記載されているように、a)有効量の過酸化水素源(前記過酸化水素源は過酸化水素溶液を含む);b)少なくとも一つの芳香族アルコール(前記アルコールはベンジルアルコール及び/又はフェノキシエタノールを含む);c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル(前記グリコールは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを含む);d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤(前記界面活性剤は、C12-C15エトキシル化アルコール、C12-C14第二エトキシル化アルコール70%、2-エチルヘキサノールEO-POノニオン界面活性剤、カプリリル/デシルグルコシド、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む);及びe)少なくとも一つの酸(前記酸はメタンスルホン酸を含む)を有する消毒剤組成物を提供し、該組成物は、ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効である。
【0069】
[0081]本発明の別の側面は、表面をツベルクローシス及び/又はM.テラエから消毒するための方法を提供し、前記方法は、本発明に従って有効量の消毒剤組成物を、前記表面上に存在する微生物の大部分を効果的に殺菌する量で表面に加えることを含む。
【0070】
[0082]記載される方法は、その中の一つ又は複数の微生物の増殖を阻害、及び/又は生きた微生物の数を低減するための消毒剤組成物を提供する。具体的には、それにより、本発明による消毒剤組成物は、5分以下の接触時間で>5対数減少を示す。適切には、それにより、本発明による消毒剤組成物は、3分の接触時間で>5対数減少を示す。
【0071】
[0083]典型的には、表面は、これらに限定されないが、床、壁、カウンタートップ、電化製品、造作物、ファブリック、テキスタイル、椅子張り(upholstery)、その他の硬質表面、軟質表面、又は微生物;適切にはツベルクローシス含有細菌及び/又はM.テラエに対する処理を必要とする任意の表面を含む硬質又は軟質表面である。
【0072】
[0084]軟質表面の例は、これらに限定されないが、椅子張り、ファブリック、(布・革)張り長椅子、ソファ、椅子、シートクッション、(布・革)張りクッション、枕、(布・革)張り家具、ファブリック製の窓周り装飾、カーテン、厚手のカーテン、シャワーカーテン、ファブリック製のジム/洗濯/おむつ用バッグ、バックパック、ファブリック製のかご(hamper)、ファブリック製のイヌ/ペット用寝具、毛布、ファブリック張りカーシート、ファブリック製の動物ぬいぐるみ、玩具などである。
【0073】
[0085]例えば、本発明の組成物は、硬質無孔性表面に衛生特性又は消毒特性を提供した。本発明の組成物は、床材料、カウンタートップ、セラミック表面、金属表面、ガラス表面、石表面などを消毒又は衛生的にするのによく適している。
【0074】
[0086]当該組成物は、表面を清浄にし、表面上の微生物を破壊及び/又は表面上の微生物の増殖を防止するのに使用できる。同様に、当該組成物は、外食産業で、食品加工装置及びその他の食品加工表面を消毒及び衛生的にし、又は野菜などの生産物を洗浄するために使用できる。また、当該組成物は、健康医療産業で、表面、施設、設備及び病院の機器及び設備を消毒し、及び/又は器具を消毒するためにも使用できる。
【0075】
[0087]マイコバクテリウム・テラエ(M.テラエ)の殺菌は、OECDの殺微生物剤の殺菌及び殺マイコバクテリウム活性を評価するための定量法を用いて評価された。この方法は、硬質無孔性表面用に設計された液体抗菌物質のM.テラエに対する性能の定量的評価を提供する。この方法は、経済協力開発機構(OECD)の指針書に基づき、液体消毒剤の効力の定量的尺度として対数減少(LR)を提供する。M.テラエのlog10減少は、一般的に殺菌がより難しく実験室での作業がより困難と認識されているツベルクローシスに対する潜在的効力を決定するための予備スクリーニングツールとして使用されることが多い。M.テラエのlog10減少は、3分の接触時間と5%土壌を用いて評価された。
【0076】
[0088]別の側面において、本発明は、過酸化水素源の消毒特性を増強するための方法を提供し、前記方法は、十分な量のb)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を過酸化水素源と共に加え、該組成物を表面に適用することを含む。
【0077】
[0089]さらに別の側面において、本発明は、b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む消毒剤組成物を提供し、該組成物はツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効であり、そして該組成物はすぐに使える組成物を形成するために溶媒で希釈することができる。
【0078】
[0090]すぐに使える組成物の形成に使用される溶媒は、これらに限定されないが、過酸化水素源、水性溶媒、非水性溶媒又はそれらの混合物などである。そのような溶媒の例は前述の通りである。
【0079】
[0091]更なる側面において、本発明は、a)殺生物量の過酸化水素、及び溶媒を含む第一の容器と;b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む第二の容器とを含む2部構成の消毒剤を提供する。
【0080】
[0092]典型的には、前記2部構成の消毒剤は、ツベルクローシス及び/又はM.テラエに対して有効であり、前記消毒剤は5分以下の接触時間で>5対数減少を提供する。適切には、前記2部構成の消毒剤組成物は、3分の接触時間で>5対数減少を提供する。
【0081】
[0093]別の側面において、本発明は、b)少なくとも一つの芳香族アルコール;c)少なくとも一つのグリコール又はグリコールエーテル;d)少なくとも一つのノニオン及び/又はアニオン界面活性剤;及びe)少なくとも一つの酸を含む消毒剤組成物のための添加剤を提供し、前記添加剤は、消毒活性物質と組み合わせた場合に前記組成物の消毒特性を増強する。
【0082】
[0094]典型的には、消毒活性物質は、これらに限定されないが、過酸化水素溶液、アルコール、酸化剤、金属塩、ハロゲン、漂白剤、フェノール、抗生物質クリーム、薬学的活性物質、収斂剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、皮膚洗浄/清浄剤、抗真菌/抗微生物/抗菌剤、又は精油、天然抽出物、又はその他の消毒特性を有する活性物質、それらの組合せなどである。
【0083】
[0095]以下の実施例で本発明を制限なしに説明する。すべての部及びパーセンテージは、別段の指示がない限り、重量による。
【実施例
【0084】
[0096]実施例1.製剤
[0097]表1.製剤
【0085】
【表1】
【0086】
[0098]表1のすべての製剤溶液は、そのままの(すぐに使える)状態で存在することも又は二つの基本的方法で濃縮することもできる(例として表7に製剤2を用いて示されている)。第一の方法は、例えば、これに制限されないが、1:4濃縮物を単純に製造する(この濃縮物は適当な量の過酸化水素と水で希釈されることとなる)。
【0087】
[0099]表1の製剤5は、界面活性剤を含有する酸性化過酸化水素製剤であるが、溶媒のブレンドが組成物中に含まれておらず、低いM.テラエ対数減少しか得られなかった(表2参照)。製剤3は、製剤5の成分に加えて新規溶媒ブレンドを含んでおり、M.テラエの対数減少に劇的な増加を示した。製剤4は、製剤5の成分に加えて溶媒ブレンドの半分のジエチレンしか含んでおらず、M.テラエの対数減少をほとんど示さなかった。製剤1は、製剤中に新規溶媒のブレンド比を含有しており、M.テラエの対数減少に劇的な増加を示している。製剤2は、4に類似しているが、1.5%のフェノキシエタノールも含有しており、これがM.テラエの対数減少を増大した。製剤6は、2に類似しているが、フェノキシエタノールのレベル(量、濃度)がブチルカルビトールレベルと共に倍増しており、これがM.テラエの対数減少を劇的に増加させた。
【0088】
[0100]グリコールエーテルとフェノキシエタノールを含有する溶媒ブレンド(製剤7及び2)がM.テラエとTBの効力に増加作用をもたらしたことを指摘することは重要である。製剤2は、溶媒ブレンドのレベルがさらに低かったものの、何とかTBに合格できたことはなお一層予想外のことである。
【0089】
[0101]実施例2.3分の接触時間でのM.テラエのOECD試験法
[0102]表2.M.テラエのOECD試験法の結果
【0090】
【表2】
【0091】
[0103]TBは、AOAC殺菌スプレー試験(Germicidal Spray Test)の殺ツベルクローシス試験を用いて評価された。この試験は、7H11増殖培地中で21±2日間、36±1℃で培養されたウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)(BCG) ATCC 35743の試験を含む。規制機関(EPA)のガイドラインによれば、全製剤が合格し、ロットごとの二次培養ブロスチューブのいずれにも目に見える増殖は観察されず、対照はそれらの規定基準を満たしていた。上記のように試験された場合、全製剤ともウシ型結核菌(BCG)に合格した(5%有機土壌負荷を含有、3分間の接触)。すべての試験対照は有効試験のために確立された基準を満たしていた。
【0092】
[0104]しかしながら、特に驚いたことは、グリコールエーテルとフェノキシエタノールを含有する溶媒ブレンド(製剤7及び2)がM.テラエとTBの効力増大に顕著な影響を及ぼしたことである。製剤2は、溶媒ブレンドのレベルがさらに低かったものの、何とかTBに合格できたことはなお一層予想外のことである。
【0093】
[0105]実施例3.TB評価(合/否)
[0106]表3.3分の接触時間でのTB評価
【0094】
【表3】
【0095】
[0107]実施例4.安定性試験
[0108]表4.消毒剤組成物の物理的安定性試験
【0096】
【表4】
【0097】
[0109]製剤1、7及び2を4オンス(113g)の蓋付きガラス瓶に充填し、様々な制御温度のオーブンに入れた。サンプルを、表4に記載された時間及び温度で取り出し、視覚的に評価した。4週間の終了時、全サンプルとも容認可能な物理的安定性を有していることが分かった。
【0098】
[0110]実施例5.過酸化水素の安定性
[0111]表5.過酸化水素の安定性
【0099】
【表5】
【0100】
[0112]表4で試験された同じ製剤をHの安定性について50℃で4週間試験した(表5参照)。全製剤ともかなり良好な過酸化物安定性を有しており、50℃の4週間時点で、Hに6w/w%を超える減少はなかった。
【0101】
[0113]過酸化水素の減少パーセントの計算:Hの減少%=(初期のH量-貯蔵後のH量)/初期H量、この結果に100を掛ける。
[0114]実施例6.硬質表面消毒のためのAOAC殺菌スプレー法
[0115]表6.硬質表面消毒のためのAOAC殺菌スプレー法
【0102】
【表6】
【0103】
[0116]製剤2を、サルモネラ菌(S. enterica)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及び緑膿菌(P. aeruginosa)に対し、硬質表面消毒のためのAOAC殺菌スプレー法を用い、GLP条件下、5%の土壌負荷(ウシ胎仔血清)と1分の接触時間を用いて微生物試験(micro tested)した(表6参照)。製剤2は、GLP条件下で全3種類の生物に対して合格した。
【0104】
[0117]実施例7.製剤番号2
[0118]表7.製剤番号2の比較(w/w%)
【0105】
【表7】
【0106】
[0119]表1のすべての製剤溶液は、そのままの(すぐに使える)状態で存在することも又は二つの基本的方法で濃縮することもできる(例として表7に製剤2を用いて示されている)。第一の方法は、例えば、これに制限されないが、1:4濃縮物を単純に製造する(この濃縮物は適当な量の過酸化水素と水で希釈されることとなる)。
【0107】
[0120]実施例8.製剤番号2の濃縮物パック製剤
[0121]表8.濃縮物A及びBのパック製剤の比較
【0108】
【表8】
【0109】
[0122]第二の方法は第一の方法と類似しているが、濃縮物からただ過酸化水素を除去するのではなく、2種類の溶媒も除去している(表7)。そこで、濃縮物は、水、過酸化水素、及び/又はジエチレングリコールモノブチルエーテルとフェノキシエタノールを含有する溶媒パックで希釈されることとなる(表8)。
【0110】
[0123]上記実施例に記載された要素のそれぞれ、又は二つ以上を一緒の組合せも、上記のタイプとは異なる他のタイプの方法に有用な用途を見出せることは理解されるであろう。更なる分析をせずとも、上記は本開示の要点を十分明らかにしているので、他の人は、現在の知識を適用することにより、先行技術の観点から見て、添付の特許請求の範囲に示されている本開示の一般的又は特定の側面の本質的特徴を適正に構成している特徴を省略することなく、それを様々な用途に容易に適応できるであろう。
【0111】
[0124]前述の態様は単に例として示されたものであり;本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。
[0125]本発明を、その特定の態様を参照しながら上に記載してきたが、本明細書中に開示されている本発明の概念から逸脱することなく、多くの変更、修正及び変形が可能であることは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入るすべてのそのような変更、修正、及び変形も包含されるものとする。