(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】2つの方向に湾曲したソーラーパネルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H10F 19/80 20250101AFI20241224BHJP
H10F 19/90 20250101ALI20241224BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2021542258
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 EP2019075088
(87)【国際公開番号】W WO2020064474
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】523310789
【氏名又は名称】ライトイヤー・レイヤー・イーペーセーオー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・レゴンディ
(72)【発明者】
【氏名】デュランドゥス・コルネリウス・ダイケン
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127053(JP,A)
【文献】特開平01-196181(JP,A)
【文献】特開2013-258309(JP,A)
【文献】特開2016-178120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの方向に湾曲したソーラーパネルを製造する方法であって、
感光性の面を有し、前記感光性の面の反対側でアノード(108-i)およびカソード(110-j)と接続する、複数の太陽電池(100)を提供するステップと、
透明または半透明であり、少なくとも2つの方向に局所的に湾曲する曲面(202)を提供するステップと、
を含み、
前記方法が、その上に導電性パターンを有する2つ以上の可撓性フォイル(206)を提供するステップと、
前記太陽電池(100)が、サブグループ(302L、302R、304L、304R、306L、306R、308)にグループ化され、前記サブグループのそれぞれが、前記曲面上の領域および前記可撓性フォイルに関連付けられており、
前記サブグループのそれぞれが、少なくとも1つの方向に小さいか無視できる曲率を有する前記曲面上の領域に関連付けられ、その結果、前記太陽電池の破壊限界を下回る機械的応力と、前記曲面に対して積層されたときに前記可撓性フォイルにしわが現れる限界を下回る機械的応力を有するサブグループとなり、
前記サブグループのそれぞれにおいて、前記太陽電池(100)を前記可撓性フォイル(206)に
はんだ付けすることを含む、はんだ付けステップ、または
前記サブグループのそれぞれにおいて、前記太陽電池を導電性接着剤で前記可撓性フォイルに
結合する
ことを含む、結合するステップと、
前記曲面上または前記曲面内に2つ以上の前記サブグループをドレープする、位置決めステップと、
前記サブグループを前記曲面(202)に積層する最終積層ステップと、
を含む、2つの方向に湾曲したソーラーパネルを製造する方法。
【請求項2】
前記はんだ付けステップ又は前記結合するステップの後、前記位置決めステップの前に、第1積層ステップを有し、
前記第1積層ステップが、
それぞれの及び全てのサブグループにおいて、前記太陽電池および関連する前記可撓性フォイルを積層するステップであって、前記積層が、完全な架橋をもたらさない温度および時間で行われるステップを含み、
前記位置決めステップが、前記太陽電池及び前記可撓性フォイルを含む、部分的に架橋した積層体を、前記曲面上または前記曲面内にドレープすることを含み、
前記最終積層ステップが、前記太陽電池及び前記可撓性フォイルを含む、部分的に架橋した積層体を前記曲面に積層することによって前記第1積層ステップで適用された積層体を完全に架橋することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記はんだ付けステップ又は前記結合するステップの後、前記位置決めステップの前に、第1積層ステップを有し、
前記第1積層ステップが、
それぞれの及び全てのサブグループにおいて、前記太陽電池および関連する前記可撓性フォイルを積層するステップであって、前記積層が、完全な架橋をもたらす温度および時間で行われるステップを含み、
前記位置決めステップが、積層された前記サブグループを前記曲面上または前記曲面内にドレープすることを含み、
前記最終積層ステップが、積層された前
記サブグループを前記曲面に積層することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最終積層ステップ中に、前記サブグループと前記曲面との間に、積層材料のいくつかの層が配置され、積層される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも
前記はんだ付けステップ又は前記結合するステップを実行している間、2つ以上の前記可撓性フォイルが1つの平面に置かれている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記太陽電池を提供する前に、
前記太陽電池の位置での前記曲面の湾曲に起因して前記太陽電池および前記可撓性フォイルで発生する機械的応力を推定し、
この推定に基づき、破砕が発生する機械的応力よりも、それぞれの太陽電池における機械的応力が小さくなるように、前記太陽電池のサイズを変更するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記太陽電池を提供する前に、
前記太陽電池の位置での前記曲面の湾曲に起因して前記太陽電池で発生する機械的応力を推定し、
この推定に基づき、前記太陽電池の破砕が発生する応力よりも、前記太陽電池で発生する応力値が小さくなるように、少なくとも積層材料の厚さを部分的に変更するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性の面を有し、感光性の面の反対側でカソードおよびアノードと接続する複数の太陽電池を提供するステップと、透明または半透明であり、2つの方向に湾曲する曲面を提供するステップと、を含む、2つの方向に湾曲したソーラーパネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルでは、多くの太陽電池が相互接続されており、通常は「フィンガー電極」を使用して、1つの太陽電池の感光性の面を隣接する太陽電池の裏面に接続する。次に、これらの相互接続されたセルは、たとえばポリオレフィンのシート、またはEVA(エチレン酢酸ビニル)やポリビニルブチラール(PVB)などのその共重合体の一種のシート等の2枚のシートの間に積層され、その後、シートはガラスに結合されて(フラット)ソーラーパネルを形成する。
【0003】
ここで、本文における積層とは、結合または封止(封止剤を使用)としても知られていることに留意されたい。したがって、積層、結合、封止は交換可能に使用される。
【0004】
太陽電池は、通常、半導体材料の薄いウェーハである。そのような太陽電池は、太陽電池で発生する応力に起因する限られた方法でのみ円筒形および他のいくつかの形状(例えば円錐形)に変形することができる。これらの応力が破壊限界を超えると、太陽電池に破砕が発生し、使用できなくなる可能性がある。
【0005】
本文における半導体材料のウェーハは、シリコン、GaAs、InPなどの単結晶、多結晶、およびアモルファスのウェーハを含む。
【0006】
本文における「可撓性シート」は、例えば、その上に導電層またはパターン(通常は銅、銀)を有するポリイミドまたはポリエステル(またはより包括的には、絶縁合成材料)のシートを言い表すことについても留意されたい。(エッチング、機械加工、またはその他の方法で導電性材料を除去するか、或いは導電性材料をブランクの合成材料に選択的に追加することにより)導電性パターンを説明する場合、このようなシートは可撓性PCBまたはFCBとも呼称される。
【0007】
二次元で湾曲したソーラーパネルを製造することは、太陽電池が非常に脆く、また2つの方向に湾曲しているときに発生する応力は、1つの方向にのみ湾曲する場合よりもはるかに高いという点で困難である。また、2つの方向に湾曲しているとき、可撓性シートに応力が発生すると、フォイルのしわや折り畳みにつながる可能性がある。
【0008】
可撓性フォイルとそれに付着した太陽電池を曲面に接着する場合、セル、相互接続またはセルへの相互接続の接合等の破損につながる可能性があることに留意されたい。
【0009】
この問題の解決策の1つは、米国特許出願公開US2014/0130848A1から知られている。ここでは、太陽電池を含む標準的なフラットシート(ラミネート)が提供され、シートに切り込みが入れられている。シートが凸型にドレープされたとき、切り込みが拡大し、それによって2つの方向への湾曲が可能である。
【0010】
この方法の欠点は、切り込みの隙間が原因で太陽電池の被覆率が低くなることである。また、フィンガー電極の使用は、太陽変換に利用できる太陽電池の面積を縮小する。また、これは技術的な問題ではないが、外観の審美性は均一に覆われたソーラーパネルよりも劣る。
【0011】
この問題に対する別の解決策は、米国特許出願公開US2017/0141253A1から知られている。ここで、太陽電池のグループは、上記のフィンガー電極とセルを使用して相互接続された太陽電池であり、上記公報は、太陽電池の配列を乱すためにフィンガー電極の長さを変更し、その後太陽電池が曲面に積層/結合する方法を開示している。
【0012】
この方法の欠点は、自動車のソーラールーフなどの曲面では、太陽電池の被覆率が平面の場合よりも小さいことである。また、フィンガー電極の使用は、太陽変換に使用できる半導体領域の量を減少させる。また、積層前にセルを配置することは、フィンガー電極によって不規則なマトリックスに配置されるため、困難である。また、これは技術的な問題にはなりませんが、外観の審美性は均一に覆われたソーラーパネルよりも劣る。
【0013】
価格が高いため広く使用されていないが、感光性の面の反対側にアノード接続及びカソード接続の両方を備えた太陽電池が知られていることに留意されたい。フィンガー電極が感光性の面の一部を「陰に」しない(感光側からの光を遮断しない)ため、これらの効率は高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2014/0130848号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0141253号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の解決策の問題を解決するために、本発明はこれらの問題を克服する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのため、この方法は、
その上に導電性パターンを有する2つ以上の可撓性フォイルが提供され、
太陽電池がサブグループにグループ化され、サブグループのそれぞれが曲面上の領域および可撓性フォイルに関連付けられ、
この方法は、
サブグループのそれぞれに対し、太陽電池を可撓性フォイルにはんだ付けし、または太陽電池を導電性接着剤で可撓性フォイルに接着するはんだ付けステップと、
曲面上に2つ以上のサブグループをドレープする位置決めステップと、
サブグループを曲面に積層する最終積層ステップと、を含む。
【0017】
太陽電池と可撓性フォイルは、1つの方向におけるある程度の湾曲に耐えることができるため、円筒面(の一部)に追従するが、2つの方向に湾曲した(双曲面の一部に局所的に追従した)場合、遥かに耐えられないことはよく知られている。特に、フィラーとして機能する結合材料(積層材料)と、太陽電池のサイズ全体にわたる結合材料の厚さの変化が湾曲の一部を「吸収」(均等に)する可能性があるため、2つの方向にある程度の湾曲が許容される。
積層は、最大積層厚さ(初期積層層の厚さ)を意味する。しかしながら、積層プロセス中に、(未硬化でまだ架橋されていない)積層シートの粘度により、厚さが局所的に変化する場合がある。
積層プロセス中に、積層シート(および埋め込まれた太陽電池)は、たとえば1気圧(10N/cm2)の圧力、125℃と145℃との間の温度、およびたとえば20分の時間で成形および硬化される。これにより、EVA層が完全に架橋される。時間と温度の他の組み合わせが用いられてもよく、温度が低いほど、完全な架橋(硬化)に長い時間が必要になる。また、より低い温度およびより短い時間で硬化して、不完全な(部分的とも呼ばれる)架橋をもたらし、材料を粘着性のままにし、依然として部分的に粘性にすることも可能である。他の積層材料の場合、他の温度および硬化時間を使用することができる。
多数の太陽電池をサブグループに分割することにより、サブグループのそれぞれは、少なくとも1つの方向に小さいまたは無視できる曲率を有する曲面上の領域に関連付けられ、曲面に結合(積層)できるサブグループを形成することが可能である。したがって、適切にサブグループに分割すると、太陽電池の破壊限界を下回り、曲面に積層したときに可撓性フォイルがしわを示す箇所に、限界を下回る機械的応力を持つサブグループになる。
【0018】
接合材料(積層材料)は、太陽電池と曲面の間で一定の厚さを有する必要はないが、効率、熱的挙動、および審美的理由から、厚さは、1つの太陽電池および多数の太陽電池にわたってあまり変化しないことが好ましいことに留意されたい。
【0019】
はんだ付けステップでは、太陽電池が電気的および機械的に可撓性フォイルに接続される。このステップは、例えば、200℃を超える温度でのはんだペーストのはんだ付けを含むか、或いは銅、銀などの導電性材料で満たされたエポキシなどの導電性接着剤との結合を含み得る。このような接着剤の硬化は、通常100~150℃の温度で行われ、積層中に行われてもよい。
【0020】
次の位置決めステップでは、これらのサブグループのそれぞれが曲面上に配置(ドレープ)される。
【0021】
最終積層ステップでは、曲面にドレープされたサブグループが曲面に積層される。
【0022】
可撓性フォイル(バックコンタクトフォイルまたはBCFとしても知られている)の使用は知られているが(ほとんどの場合、ポリエステル/銅フォイルが使用されるが、キャリアとしてはポリイミドも同様に知られており、導体としては銀も知られている)、(2つの方向に湾曲している)曲面でのそのようなフォイルの使用は知られておらず、本発明によるステップなしでは、可撓性フォイルは、2つの方向に湾曲した曲面で、またはその上で折りたためられるときや、ドレープされるときにしわを示す傾向があり、これらの条件下での使用には適さないことに留意されたい。
【0023】
米国特許出願公開US2017/0141253A1は、フィンガー電極の長さの変化に依存しており、片側にアノード接続及びカソード接続の両方を備えた太陽電池と一緒に可撓性フォイルを使用することを示唆していないことに留意されたい。
【0024】
本発明による方法の一実施形態では、はんだ付けステップの後、位置決めステップの前に、第1積層ステップを有し、
第1積層ステップが、
それぞれのサブグループにおいて、太陽電池および関連する可撓性フォイルを積層するステップであって、積層が部分的な架橋をもたらす温度および時間で積層が行われるステップと、
太陽電池および可撓性フォイルを含む部分架橋ラミネートを曲面上または曲面内にドレープする、位置決めステップと、
太陽電池および可撓性フォイルを含む部分架橋ラミネートを曲面に積層し、それによって第1積層ステップで適用された積層を完全に架橋する、最終積層ステップと、を含む。
【0025】
位置決めステップの前に、太陽電池と可撓性フォイルを部分的に積層することにより、太陽電池と可撓性フォイルが相互接続されたウェブを形成するため、位置決めが容易になる。また、取り扱い中や位置決め中に(壊れやすい)太陽電池が損傷する可能性は低くなる。不完全な架橋の利点は、同じ積層材料を最終積層に使用できることであり、最終積層では部分的な架橋が完了する。
また、最終積層ステップ中に完全に架橋された積層を加熱すると、最初の積層層の透明度が低下し、硬化など封止材の劣化が生じる可能性がある。この「部分的な」積層は、前述の問題とリスクを回避する。
【0026】
本発明による方法の一実施形態では、はんだ付けステップの後、位置決めステップの前に、第1積層ステップが挿入され、
第1積層ステップは、
完全な架橋をもたらす温度と時間で、太陽電池と関連付けられる可撓性フォイルとを積層するステップと、
積層されたサブグループを曲面上または曲面内にドレープする、位置決めステップと、
積層されたサブグループを曲面に積層する、最終積層ステップと、を含む。
【0027】
この実施形態は、前述の実施形態と類似するが、第1積層ステップで完全な架橋が起こるという違いがある。積層材料の透明度の低下を防ぐには、温度と時間の厳密な制御が必要であるが、これは、中間製品(太陽電池と可撓性フォイルの積層ウェブ)が、不完全に硬化した(部分的に硬化した)積層シートと比べ粘着性が低く、取り扱いやすく、太陽電池の保護を強化するため、これが好ましい場合がある。
【0028】
本発明による方法の別の実施形態では、積層サブグループと曲面との間の最終積層ステップ中に、積層材料(封止材)のより多くの層が配置され、それに積層される。
【0029】
この実施形態は、太陽電池と曲面との間に積層材料の複数の層(例えば、EVA-エチレン酢酸ビニル-の層)を配置する可能性を示し、その結果、局所的な厚さの変動を示し得るより多くの積層材料(封止材)がもたらされ、その結果、機械的応力が軽減される。
【0030】
本発明による方法のさらに別の実施形態では、少なくともはんだ付けステップ中に、2つ以上の可撓性フォイルが1つの平面に置かれている。
【0031】
平面内で可撓性フォイルと太陽電池を取り扱うことにより、標準的なはんだ付け装置での製造が可能になる。
【0032】
すべてのサブグループを同時に製造する必要はないため、はんだ付けステップが実行される瞬間はサブグループごとに異なっていてもよく、すべての可撓性フォイルを同時に平面に配置する必要はないことに留意されたい。
【0033】
本発明による方法のさらに別の実施形態では、この方法はさらに、太陽電池を提供する前に、太陽電池の位置での曲面の湾曲に起因して太陽電池で発生する機械的応力を推定し、この推定に基づき、太陽電池の破砕が発生する応力よりも、それぞれの太陽電池における機械的応力が小さくなるように、太陽電池のサイズを変更するステップを含む。
【0034】
サブグループのサイズ(最大面積)の決定は、太陽電池の最初のサイズから始めて、反復検証により行うのが最適であり、シミュレーションで、セルが曲面に追従するように力が加えられた場合にどのような応力が発生するかを決定する。応力が、高すぎ、許容最大値と想定される値(たとえば、太陽電池の破壊限界の半分)と想定される場合、高応力が発生した方向などにソーラーパネルのサイズを小さくする。
【0035】
本発明による方法のさらに別の実施形態では、この方法はさらに、太陽電池を提供する前に、太陽電池の位置での曲面の湾曲に起因して太陽電池で発生する機械的応力を推定し、この推定に基づき、太陽電池の破砕が発生する応力よりも太陽電池で発生する応力値が小さくなるように、少なくとも局所的に積層材料の厚さを変更するステップを含む。
【0036】
積層材料の厚さを少なくとも局所的に変化させることにより、未硬化の積層材料の粘度の影響で、太陽電池に発生する応力を低減することができる。積層材料の厚さの局所的な変化は、積層材料を硬化する前にリング、円、または他の形状を局所的に追加し、材料の3D形状を構築することによって実現できる。局所的に添加する材料を使用してこの解決策に到達することができるが、封止剤が僅かに行うので、より層厚が厚い封入剤(積層材料、またはいくつかの層の使用)を使用することもできることに留意されたい。
例えばEVAの3D成形は、少なくとも1つのシートが穿孔などを示す箇所で、1つまたは複数のシートを互いに重ねることによって実現することができる。EVAの3Dプリントも知られている。
【0037】
本発明は、図を用いることにより明瞭にされており、同一の参照記号は対応する特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】
図1Aは、感光性の面側から見た、本発明で使用される太陽電池を概略的に示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明で使用される太陽電池を、感光性の面側とは反対側から見たものである。
【
図2】
図2は、本発明に従って製造されたソーラーパネルの1つの可能なカットスルーを概略的に示している。
【
図3A】
図3Aは、ソーラーパネルの平面図を概略的に示しており、それぞれのサブグループを形成する領域を示している。
【
図3B】
図3Bは、ソーラーパネルの平面図を概略的に示しており、それぞれのサブグループを形成する太陽電池を示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1Aは、感光性の面側から見た、本発明で使用される太陽電池を概略的に示している。
【0040】
図1Aは、本発明で使用される太陽電池100を概略的に示す。その太陽電池は、感光領域102および絶縁エッジ部分104を表に出す。この絶縁部分(実際には絶縁側壁)は、いわゆる不動態化されたセルでのみ発生することに留意されたい。利点は、セルを互いに向かい合って配置できることである。短絡を避けるためには、側面にパッシベーションのないセルを分離する必要がある。商用のセルのほとんどは大きなウェーハから切り出されており、側壁の不動態化を示さないため、電気的短絡を回避するには互いに間隔を空ける必要がある。
太陽電池の典型的な厚さは200μm程度であるが、より柔軟な太陽電池の場合、たとえば150μmのより薄いセルが好ましい。
【0041】
図1Bは、本発明で使用される太陽電池を、感光性の面と反対側から見た概略図である。
【0042】
それ以外の場合、絶縁性の表面106上に、アノード108-iおよびカソード110-jへの接触領域を提供する切り欠きが提供される。
【0043】
図2は、本発明に従って製造されたソーラーパネルの1つの可能なカットスルーを概略的に示している。
【0044】
例えば、自動車のガラス屋根の形態の曲面202は、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル)またはポリオレフィンなどの積層材料の架橋層204で太陽電池102aに結合されている。その感光性の面はガラスに面している。
【0045】
可撓性フォイルは、ポリエステルまたはポリイミドフィルム206および銅トラック208を含む。太陽電池は、セルおよび可撓性フォイルを、例えば、200℃以上に加熱したはんだペーストではんだ付けすることによって、可撓性フォイル上にはんだ付けし、または、たとえば150℃未満の温度で硬化する導電性接着剤(通常は金属充填エポキシ)を使用することによって接着する。
太陽電池102bおよび102cは、ここでは、別のサブグループに属するものとして示されている(これらのセルについては示されていないが、その可撓性フォイルが、太陽電池102aの可撓性フォイルと同じではない)。
【0046】
可撓性フォイルと太陽電池の間に、はんだマスク(または導電性接着剤用のマスク)として、または可撓性フォイル上の銅トラックを隠すための審美的なスクリーンとして、或いはその他の目的で、さらなる材料の層を配置することができることに留意されたい。これは透明な材料である必要はない。積層層をこの層に追加することができる(これにより、可撓性フォイルを完全に封止する)が、必須ではない。
また、可撓性フォイルは、その上に導電性パターンを有する、ポリイミドまたはポリエステルなどの担体としての絶縁材料の1つの層のみを含み得るか、またははんだマスクとして機能するための、切り欠きの有無にかかわらない、または他の目的のためのさらなる層を、太陽電池側の面またはその反対側のいずれかに含み得る。
【0047】
太陽電池間の積層材料(結合材料、封止材)の量は、1つの積層層の結果である可能性があるが、積層材料の複数の層を含む場合がある。
【0048】
さらに、曲面(ガラス)と太陽電池との間に接合層(積層層)が必要であるが、可撓性フォイルを覆う積層層は本発明に必須ではないことについても留意されたい。
【0049】
図3Aは、ソーラーパネルの平面図を概略的に示しており、それぞれのサブグループを形成する領域を示している。
【0050】
図3Aは、領域302L、302R、304L、304R、306L、306R、および308に分割された曲面300を示している。
曲面の分布は、可撓性フォイルと太陽電池が曲面に接着(積層)されたときに発生する最大応力を分析した結果である。これらの応力はどの方向にも発生する可能性があるが、多くの応用(車の屋根など)においては、問題を単純化する対称軸(ここではx軸)がある。次に、実験的に(または別の方法を用いて、たとえばコンピュータベース)、太陽電池とフォイルの両方に許容可能な応力をもたらす領域の分割が見つかる。
関連しているが、太陽電池の応力問題が可撓性フォイルの問題につながる必要はなく、逆もまた同様であることに留意されたい。太陽電池のサイズは、多くの場合、可撓性フォイルの(最大)サイズよりも遥かに制限されている。したがって、適度な曲率では、最初に可撓性フォイルで問題が発生する可能性がある。ただし、局所的な曲率が大きいと、可撓性フォイルで問題が発生する前に太陽電池で問題が発生する可能性がある。
【0051】
図3Bは、ソーラーパネルの平面図を概略的に示しており、サブグループのそれぞれを形成する太陽電池を示している。
【0052】
図3Bは、
図3Aから派生したものと考えることができる。ここで、サブグループ(太い線で示されたサブグループの境界)を形成する太陽電池が描かれている。見てわかるように、例えばグループ304Lに示されるように、サブグループ内でさえ、セルの向きも変更することができる。
【0053】
ここで使用されるサブグループの定義は、ソーラー技術で通常使用される「グループ」の定義とは関係がないことに留意されたい。グループの標準的な定義は、通常は一連のものの一部であるセルのグループで構成され、最先端のパネルでは、それぞれのグループはオプティマイザー(最大電力点追従制御)に関連付けられている。本発明によるサブグループの定義は、所定の応力レベルを超えることなく(二重に)湾曲した面に付着しているセルを示すために使用される。
これは、1つのサブグループが複数のグループを含む場合があるか、1つのグループが複数のサブグループにまたがる場合があるか、またはそれらの任意の組み合わせを意味する。したがって、2つのサブグループが3つのグループで構成されるか、またはその逆である可能性があるが、それぞれのグループは独自のオプティマイザーに関連付けられている場合がある。
【0054】
さらに、通常、曲面は透明または半透明の曲面であるが、不透明な曲面(例えば、金属の曲面)でこの方法を使用することも可能であり、太陽電池の感光側は、曲面から最も除去されていることに留意されたい。その場合、可撓性フォイルを曲面と太陽電池の間に配置する必要がある。ただし、積層材料は柔らかく、引っかき傷や摩耗が発生しやすいため、ほとんどの場合、これは堅牢性の低い解決策である。
【0055】
ある可撓性フォイルと、別の可撓性フォイルとの電気的接続、または他のPCBまたはFBCとの間の電気的接続は、最初の可撓性フォイルに別の可撓性フォイルをはんだ付けまたは結合することにより形成されることに留意されたい。また、ワイヤーを介した電気接続を用いることも可能である。
【0056】
本発明の文脈において、積層は、完全な封止を説明し得るが、ポリオレフィンまたはEVA(エチレン酢酸ビニル)またはポリビニルブチラール(PVB)などのその共重合体の1つとして結合または積層材料を使用して、ある部分(例えば、太陽電池)を別の部分(例えば、曲面)に結合することも説明し得ることに留意されたい。例えば、先に定義された最終積層ステップの後、可撓性フォイルは、積層材料で覆われる場合とされない場合がある。
【0057】
例示的な硬化サイクルは、例えば、140℃に加熱された真空オーブン内で、EVAのシート、太陽電池、可撓性フォイル、およびEVA層の別のシートのサンドイッチ状のものを形成し、3分半真空引きし、シリコン膜を使用して約1気圧の圧力でサンドイッチ状のものを排気プレスしながら、この状態で17分間硬化し、圧力を取り除き、30秒間換気し、オーブンを開けてサンドイッチ状のものを取り除く。
これにより、完全に硬化した(完全に架橋された)サンドイッチ状のものが得られる。部分的に架橋されたサンドイッチ状のものは、硬化時間を8分に短縮することで得られる。
【0058】
前述のサンドイッチ状のものをソーラーカーのガラス屋根などの曲面に積層することは、たとえばガラス屋根、EVAの未硬化シート、および先に作られ、硬化された太陽電池および可撓性フォイルを含むサンドイッチ状のものを、排気可能なバッグに入れ、バッグを真空引きし(それにより、バッグの中身に1気圧の圧力をかける)、バッグを40分間で100℃の温度に加熱し、15分の立ち上げ時間でバッグを130℃の温度まで徐々に加熱し、130℃の温度で20分間硬化し、クールダウンすることによって実施できる。
尚、実験は、すでに完全に架橋されたサンドイッチ状のものの分解を示さないことに留意されたい。
【符号の説明】
【0059】
100 太陽電池
102 感光領域
102a、102b、102c 太陽電池
106 絶縁性の表面
104 絶縁エッジ部分
108 アノード
110 カソード
202 曲面
204 架橋層
206 可撓性フォイル
208 銅トラック
300 曲面