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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】大動脈解離インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20241224BHJP
   A61F 2/962 20130101ALI20241224BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/962
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021556526
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020023651
(87)【国際公開番号】W WO2020191203
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】62/821,052
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521348096
【氏名又は名称】インキュベート メディカル テクノロジーズ、 エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INQB8 MEDICAL TECHNOLOGIES, LLC
【住所又は居所原語表記】123 Church Street, Winchester, Massachusetts 01890 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】クアドリ、 アルシャド
(72)【発明者】
【氏名】ラッツ、 ジェイ. ブレント
(72)【発明者】
【氏名】スティヴァーズ、 クリストファー ウィリアム
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】豪国特許出願公開第2007201644(AU,A1)
【文献】特表2018-507018(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129445(WO,A1)
【文献】特表2019-501729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0158121(US,A1)
【文献】特表2011-512217(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0022153(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0196477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/962
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の大動脈の中の解離を治療するための大動脈解離システムであって、
大動脈解離インプラントであって、
近位端部および遠位端部を有する拡張可能なサポート構造体であって、前記大動脈の上行部内に配置されるようなサイズおよび構成であり、拡張されたときに前記大動脈の下行部内へ延在するようなサイズおよび構成である、拡張可能なサポート構造体と、
前記解離に関連する偽腔に隣接して前記大動脈の内側壁に係合するように構成されている非外傷性の外側表面を含む、前記拡張可能なサポート構造体の上方に設けられた少なくとも1つの層と
を含む大動脈解離インプラントと、
送達システムであって、前記患者の中へ経皮的に挿入され、前記患者の大動脈の中へ前進させられるように構成されており、前記送達システムは、外側シースを含み、前記外側シースは、圧縮された構成で前記大動脈解離インプラントをその中に受け入れるように構成されている、送達システムと、
を含み、
前記拡張可能なサポート構造体の遠位端における拡張可能なインターフェース構造体が、両者が拡張されたときの前記拡張可能なサポート構造体の断面寸法よりも大きい断面寸法を有し、前記拡張可能なインターフェース構造体は、それぞれ対応する左冠状静脈洞、右冠状静脈洞、および非冠状静脈洞内で拡張するようなサイズとされ且つ構成された3つのローブを含むトリローブ形状を有する金属フレームを備え、前記トリローブ形状は、左右の冠状静脈洞内からそれぞれ左右の冠状動脈口の遠位に、および非冠状静脈洞内から近位に、洞上行大動脈接合部まで延在し、前記拡張可能なインターフェース構造体が拡張されるとき、左右の冠状静脈洞および非冠状静脈洞に半径方向の力を加えるように構成され、少なくとも1つの層が、前記拡張可能なサポート構造体および前記拡張可能なインターフェース構造体上に延在し、前記少なくとも1つの層は、多孔性セクションおよび非多孔性セクションを備える、大動脈解離システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの層は、前記解離の少なくとも一部分を横切って延在するように構成されている非多孔性セクションを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの層は、前記拡張可能なサポート構造体の上方に設けられる多孔性の層と、前記多孔性の層の上方に設けられる非多孔性の層とを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記拡張可能なサポート構造体は、下行大動脈から大動脈弓を通って上行大動脈の中へ延在するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの層は、多孔性セクションを含み、前記多孔性セクションは、前記拡張可能なサポート構造体の中から前記多孔性セクションを通って頸動脈および鎖骨下動脈の中への血流を可能にするように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの層は、非多孔性セクションを含み、前記非多孔性セクションは開口部を含み、前記拡張可能なサポート構造体の中から前記開口部を通って頸動脈および鎖骨下動脈の中へ血液が流れることを可能にする、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記拡張可能なサポート構造体は、前記大動脈弓に一致するように所定の湾曲を伴って事前形成される、請求項4から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの層は、前記下行大動脈から洞上行大動脈接合部まで前記拡張可能なサポート構造体を実質的にカバーするように構成された多孔性の層と、前記多孔性の層を部分的にカバーし、前記解離の断裂の両側において前記上行大動脈の壁に係合するように構成された非多孔性の層とを含む、請求項4から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記拡張可能なサポート構造体は、拡張させられたときに、下行大動脈に半径方向の力を印加するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記大動脈解離インプラントは、大動脈基部の中で拡張するように構成されている拡張可能なインターフェース構造体をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記拡張可能なインターフェース構造体は、左右の冠状静脈洞の中で左右の冠状動脈口を通過して遠位に延在するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記拡張可能なインターフェース構造体は、3つのローブを有するワイヤーフレームを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの層は、前記拡張可能なサポート構造体および前記拡張可能なインターフェース構造体の上方に延在している、請求項10から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの層は、左右の冠状動脈の中への血流を遮断することなく、左右の冠状静脈洞の中に延在するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの層は、非多孔性の層を含み、前記非多孔性の層は、前記解離の少なくとも一部分を横切って位置決めされ、前記偽腔に隣接した前記大動脈の前記内側壁に対抗して血流によって膨張するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記大動脈解離インプラントは、少なくとも1つの弁をさらに含み、前記少なくとも1つの弁は、血液が前記非多孔性の層の中のスペースに進入することを可能にするが、血液が前記スペースから退出することを防止する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送達システムは、前記拡張可能なサポート構造体よりも前に前記少なくとも1つの層を順次留置させるように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願に対する参照による組み込み
本出願は、2019年3月20日に出願された米国仮出願第62/821,052号の利益を主張し、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、移植可能な医療用デバイスに関し、より具体的には、大動脈解離インプラント、それらの送達のためのシステム、および、それらの使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
急性大動脈解離(Acute Aortic Dissections)は、大動脈内膜(大動脈の最も内側の層)の一部分が破裂するときに起こり、全身血圧が、媒体層から内膜層を剥離させるように働き、結果として、大動脈の長さに沿って複数の方向に伝播することができる血流に関して偽腔を生じさせる。AADは、米国で年間おおよそ7,000人の患者に影響を与えており、大動脈の最も一般的な大惨事であり、非常に高い死亡率をもたらす。大動脈の上行部分において起こる解離は、症例の大部分(63%)を占め、A型と称され、一方では、下行大動脈で起こるものは、B型と呼ばれる。B型 AADは、医学的に管理され得る場合もあるが、A型解離は、典型的に、即座の手術を必要とする。1時間当たり1~2%の死亡率で、患者の25%が、最初の24時間から48時間以内に死亡し、80%が、診断から2週間以内に死亡する。
【0004】
図1A図1Fは、本明細書で参照され得るさまざまなタイプの急性大動脈解離(AAD)を図示している。A型解離(図1A)に関連する高い死亡率にもかかわらず、A型解離を経皮的に治療するためのオプションに対する必要性が残っている。A型解離を治療するための1つのオプションは、上行大動脈の中にのみ存在する内蔵型補強を備えたファブリックから構築された単一ピースのインプラントを含む。しかし、インプラントのより短い長さは、安定性を損ない、このオプションは、頭部血管の下流態様および下行大動脈の初期部分に対処していない。治療のための別のオプションは、上行大動脈の中の初期の解離が外科的に治療された後に、むき出しの金属インプラント(ファブリックなし)によって下流部分を対処する。このオプションでは、補強の必要性が対処されるが、完全な経皮的な解決策は提供されない。いくつかのシナリオにおいて、むき出しの金属フレームのみによって解離を治療するための試みが行われ得るが、フレームが組織を通って腐食するというリスク、または、フレームが脆弱な内膜層をさらに解離させ得るというリスクを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大動脈瘤を治療するための大動脈グラフトは、グラフトのメインルーメンおよび大動脈から動脈瘤を遮断しようとする非多孔性のグラフト材料を組み込むことが可能である。結果的に、これらのグラフトは、フェネストレーションウィンドウ(fenestration window)および/または他の修正を必要とする分岐血管を伴う環境には不適当である可能性がある。結果として、動脈瘤のために設計されている大動脈グラフトをA型解離に適用しようとすることは、面倒であるか、または、単に不可能である可能性がある。したがって、A型AADを治療するための侵襲性の低い非外科的な解決策に対する満たされていない臨床的必要性が存在している。また、本明細書でさらに説明されるように、図1B図1Fに示されているようなものなど、他のタイプの大動脈解離のための改善された治療に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの態様において、患者の大動脈の中の解離を治療するための大動脈解離システムが開示される。大動脈解離システムは、大動脈解離インプラントおよび送達システムを含むことが可能である。大動脈解離インプラントは、拡張可能なサポート構造体および少なくとも1つの層を含むことが可能である。拡張可能なサポート構造体は、近位端部および遠位端部を有することが可能である。少なくとも1つの層は、拡張可能なサポート構造体の上方に設けられ得、解離に関連する偽腔に隣接して大動脈の内側壁に係合するように構成されている非外傷性の外側表面を含むことが可能である。送達システムは、患者の中へ経皮的に挿入され、患者の大動脈の中へ前進させられるように構成され得る。送達システムは、外側シースを含むことが可能であり、外側シースは、圧縮された構成で大動脈解離インプラントをその中に受け入れるように構成されている。
【0007】
いくつかの態様において、少なくとも1つの層は、解離の少なくとも一部分を横切って延在するように構成されている非多孔性セクションを含むことが可能である。
【0008】
いくつかの態様において、少なくとも1つの層は、拡張可能なサポート構造体の上方に設けられる多孔性の層と、多孔性の層の上方に設けられる非多孔性の層とを含むことが可能である。
【0009】
いくつかの態様において、拡張可能なサポート構造体は、下行大動脈から大動脈弓を通って上行大動脈の中へ延在するように構成され得る。少なくとも1つの層は、多孔性セクションを含むことが可能であり、多孔性セクションは、拡張可能なサポート構造体の中から多孔性セクションを通って頸動脈および鎖骨下動脈の中への血流を可能にするように構成されている。少なくとも1つの層は、非多孔性セクションを含むことが可能であり、非多孔性セクションは、開口部を含み、拡張可能なサポート構造体の中から、開口部を通って、頸動脈および鎖骨下動脈の中へ血液が流れることを可能にする。拡張可能なサポート構造体は、大動脈弓に一致するように所定の湾曲を伴って事前形成され得る。少なくとも1つの層は、下行大動脈から洞上行大動脈接合部(sinotubular junction)まで拡張可能なサポート構造体を実質的にカバーするように構成された多孔性の層と、多孔性の層を部分的にカバーし、解離の断裂の両側において上行大動脈の壁に係合するように構成された非多孔性の層とを含むことが可能である。
【0010】
いくつかの態様において、拡張可能なサポート構造体は、拡張させられたときに、下行大動脈に半径方向の力を印加するように構成され得る。
【0011】
いくつかの態様において、大動脈解離インプラントは、大動脈基部の中で拡張するように構成され得る拡張可能なインターフェース構造体をさらに含むことが可能である。拡張可能なインターフェース構造体は、左右の冠状静脈洞の中で左右の冠状動脈口を通過して遠位に延在するように構成され得る。拡張可能なインターフェース構造体は、3つのローブを有するワイヤーフレームを含むことが可能である。少なくとも1つの層は、拡張可能なサポート構造体および拡張可能なインターフェース構造体の上方に延在することが可能である。少なくとも1つの層は、左右の冠状動脈の中への血流を遮断することなく、左右の冠状静脈洞の中に延在するように構成され得る。
【0012】
いくつかの態様において、少なくとも1つの層は、非多孔性の層を含むことが可能であり、非多孔性の層は、解離の少なくとも一部分を横切って位置決めされ、偽腔に隣接した大動脈の内側壁に対抗して血流によって膨張するように構成され得る。大動脈解離インプラントは、少なくとも1つの弁をさらに含むことが可能であり、少なくとも1つの弁は、血液が非多孔性の層の中のスペースに進入することを可能にすることができるが、血液がスペースから退出することを防止する。
【0013】
いくつかの態様において、送達システムは、拡張可能なサポート構造体よりも前に少なくとも1つの層を順次留置させるように構成され得る。
【0014】
いくつかの態様において、システムは、1つまたは複数の一時的な長手方向リブをさらに含むことが可能であり、1つまたは複数の一時的な長手方向リブは、大動脈解離インプラントから除去可能であるように構成され得る。1つまたは複数の一時的な長手方向リブは、少なくとも1つの層の非外傷性の外側表面と大動脈の内側壁との間に円周方向のスペースを維持するように構成され得る。
【0015】
いくつかの態様において、システムは、一時的な外部コイルをさらに含むことが可能であり、一時的な外部コイルは、大動脈解離インプラントを取り囲んで、少なくとも1つの層の非外傷性の外側表面と大動脈の内側壁との間に円周方向のスペースを維持するように構成され得る。
【0016】
いくつかの態様において、システムは、少なくとも1つの層に沿って吸引ポートをさらに含むことが可能である。吸引ポートは、真空アプリケーターが吸引ポートに適用されるときに、少なくとも1つの層の非外傷性の外側表面と大動脈の内側壁との間の円周方向のスペースに真空を印加するように構成され得る。
【0017】
本開示のいくつかの態様において、患者の大動脈の中の解離を治療するための大動脈解離インプラントが、上記に説明されている、および/または、さらに下記に説明されているような特徴を有するように提供される。上記に説明されているような、または、本明細書でさらに説明されているような大動脈解離インプラントのいずれかは、拡張可能なアンカリング構造体および細長いチューブ状の構造体を含むことが可能である。拡張可能なアンカリング構造体は、患者の大動脈基部の中に位置決めされ、拡張させられたときに大動脈基部および/または洞上行大動脈接合部の洞のうちの1つまたは複数に半径方向の力を印加するように構成され得る。細長いチューブ状の構造体は、近位端部および遠位端部を有することが可能である。細長いチューブ状の構造体の近位端部は、下行大動脈の中に位置決めされるように構成され得る。細長いチューブ状の構造体の遠位端部は、上行大動脈、洞上行大動脈接合部、または大動脈基部の中に位置決めされるように構成され得る。拡張可能なアンカリング構造体は、細長いチューブ状の構造体の遠位端部に接続され得るかまたはそれを形成している。細長いチューブ状の構造体は、拡張可能なサポートフレーム、第1の多孔性の層、および第2の多孔性の層を含むことが可能である。拡張可能なサポートフレームは、第1の長さを有することが可能であり、それは、下行大動脈から少なくとも上行大動脈へ延在し、大動脈の中で拡張させられたときに大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成されている。第1の多孔性の層は、拡張可能なサポートフレームの上方に位置決めされ得、第2の長さを有することが可能であり、それは、下行大動脈から、少なくとも部分的に大動脈弓を通って延在するように構成されている。第1の多孔性の層は、非外傷性の外側表面を含むことが可能である。大動脈の中に位置決めされているときの拡張可能なサポートフレームの拡張は、第1の多孔性の層を拡張させることが可能であり、それにより第1の多孔性の層の非外傷性の外側表面が、大動脈の内部表面を押し付け、少なくとも下行大動脈に半径方向の力を印加するようになっている。第2の非多孔性の層は、拡張可能なサポートフレームの上方に位置決めされ得、第1の長さよりも小さい第3の長さを有することが可能である。第2の非多孔性の層は、解離の断裂の両側に位置決めされるように構成され得る第1の端部および第2の端部を含むことが可能である。第2の非多孔性の層は、使用時に、少なくとも拡張可能なサポートフレームを通る血流を介して膨張可能であり、それにより非多孔性の層が拡張して解離の少なくとも一部分に対してシールすることを引き起こすことが可能である。
【0018】
また、先行する段落のいずれかの、または、本明細書でさらに説明されているような大動脈解離インプラントは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。第1の多孔性の層の第2の長さは、拡張可能なサポートフレームの第1の長さとおおよそ同じであることが可能である。第1の多孔性の層および第2の非多孔性の層のうちの一方または両方は、ファブリック材料を含むことが可能である。拡張可能なサポートフレームは、ワイヤー、コイル状のリボン、レーザーカット構造体、またはブレイドを含むことが可能である。第1の多孔性の層の非外傷性の外側表面は、大動脈弓の中の大動脈の内部表面に係合するように、および、大動脈弓から、第1の多孔性の層を通って、頸動脈および/または鎖骨下動脈の中への血流を可能にするように構成され得る。拡張可能なアンカリング構造体は、左右の冠状動脈口への血流を可能にするための開口部を含むことが可能である。拡張可能なサポートフレームは、拡張させられたときにチューブ状の形状を有することが可能であり、拡張可能なアンカリング構造体は、拡張させられたときに拡張可能なサポートフレームの断面寸法よりも大きい断面寸法を有することが可能である。拡張可能なアンカリング構造体は、トリローブ形状を含むことが可能である。第2の非多孔性の層は、上行大動脈の中で拡張可能なサポートフレームの上方に位置決めされるように構成され得る。
【0019】
いくつかの態様において、先行する段落のいずれかの、または、本明細書でさらに説明されているような大動脈解離インプラントは、第1の層と第2の層との間に第3の層をさらに含むことが可能である。第3の層は、一方向弁を提供することが可能であり、一方向弁は、血液が第1の層と第2の層との間のスペースに進入することを可能にし、血液がスペースを退出することを防止するように構成されている。
【0020】
本開示のいくつかの態様において、近位端部と、遠位端部と、拡張可能なサポート構造体と、少なくとも1つの層と、拡張可能なインターフェース部分とを含む、患者の大動脈の中の解離を治療するための大動脈解離インプラントが提供される。近位端部は、下行大動脈の中に位置決めされるように構成され得、遠位端部は、患者の大動脈基部の中に位置決めされるように構成され得る。拡張可能なサポート構造体は、下行大動脈から上行大動脈へ延在するように、および、大動脈の中で拡張させられたときに大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成され得る。少なくとも1つの層は、サポート構造体の上方に設けられ得る。少なくとも1つの層は、多孔性セクションおよび非多孔性セクションを含むことが可能である。多孔性セクションは、大動脈弓の湾曲に沿って湾曲し、患者の頸動脈および鎖骨下動脈の中へ血液を流入させるように構成され得る。非多孔性セクションは、解離に関連する大動脈の中の断裂の両側において大動脈の壁に係合するように構成され得る。大動脈解離インプラントの遠位端部における拡張可能なインターフェース部分は、拡張して大動脈基部と接触するように構成され得る。
【0021】
また、先行する段落のいずれかの、または、本明細書でさらに説明されているような大動脈解離インプラントは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。拡張可能なサポート構造体は、コイル状のワイヤー、コイル状のリボン、レーザーカット構造体、またはブレイドを含むことが可能である。拡張可能なサポート構造体は、金属、ポリマー、生物学的材料、および生体吸収性材料のうちの1つまたは複数から形成され得る。拡張可能なサポート構造体は、チューブ状のワイヤーフレームを含むことが可能である。少なくとも1つの層は、可変の多孔性を有する単一の層を含むことが可能である。少なくとも1つの層は、チューブ状のファブリック層を含むことが可能である。少なくとも1つの層は、チューブ状の層を含むことが可能であり、チューブ状の層は、その近位端部および遠位端部において半径方向サポート特徴を有することが可能である。拡張可能なインターフェース部分は、少なくとも1つの層に隣接していることが可能である。拡張可能なインターフェース部分は、左右の冠状静脈洞の中で左右の冠状動脈口を遠位に通過して延在するように構成され得る。拡張可能なインターフェース部分は、左右の冠状動脈口への血流を可能にするための開口部を含むことが可能である。拡張可能なインターフェース部分は、3つのローブを有するワイヤーフレームを含むことが可能である。拡張可能なサポート構造体は、拡張可能なインターフェース部分とは別個の構造体であることが可能である。拡張可能なサポート構造体は、少なくとも1つの層によって拡張可能なインターフェース部分に接続され得る。拡張可能なサポート構造体および拡張可能なインターフェース部分は、単一のワイヤーから形成され得る。少なくとも1つの層は、下行大動脈から洞上行大動脈接合部まで拡張可能なサポート構造体を実質的にカバーするように構成され得る多孔性の層と、多孔性の層を部分的にカバーすることが可能であり、解離の断裂の両側において大動脈の壁に係合するように構成され得る非多孔性の層とを含むことが可能である。システムは、拡張可能な部分をさらに含むことが可能であり、拡張可能な部分は、拡張可能なインターフェース部分の近位にあることが可能である。拡張可能な部分は、洞上行大動脈接合部に対抗して半径方向に拡張するように構成され得る。
【0022】
いくつかの態様において、患者の大動脈の中の解離を治療する方法が開示される。方法は、折り畳まれた構成で経皮的に患者内の大動脈の中の治療場所へ大動脈解離インプラントを送達するステップと;大動脈の中で拡張構成まで大動脈解離インプラントを拡張させるステップとを含むことが可能である。大動脈解離インプラントの拡張の後に、大動脈解離インプラントの非多孔性セクションは、解離の断裂の両側において大動脈の内側壁に係合することが可能である。
【0023】
また、先行する段落の、または、本明細書でさらに説明されているような方法は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。大動脈解離インプラントは、下行大動脈の中で拡張させられ得、少なくとも下行大動脈に半径方向の力を印加することができる、一部分を含むことが可能である。大動脈解離インプラントは、大動脈基部の中で拡張させられ得、大動脈基部および洞上行大動脈接合部のうちの一方または両方に半径方向の力を印加することができる、一部分を含むことが可能である。拡張の後に、大動脈解離インプラントの多孔性セクションは、頸動脈および鎖骨下動脈への開口部をカバーして、それを通る血流を可能にすることができる。拡張の後に、大動脈解離インプラントの多孔性セクションは、左右の冠状動脈口のうちの一方または両方をカバーして、それを通る血流を可能にすることができる。方法は、血流によって非多孔性セクションを膨張させ、大動脈の内側壁に対抗して非多孔性の層を拡張させるステップをさらに含むことが可能である。方法は、大動脈の自然のフェネストレーションを通して大動脈の中の偽腔から流体を引き抜くことによって、偽腔を縮小させるステップをさらに含むことが可能である。
【0024】
いくつかの態様において、第1のインプラント層および第2のインプラント層を含む、血管のための二重層インプラントが開示される。第1のインプラント層は、非外傷性の外側表面および第1の静止時直径を有することが可能である。第2のインプラント層は、第1のインプラント層と別個であることが可能であり、第1の静止時直径よりも大きい第2の静止時直径を有することが可能である。第2のインプラント層は、第1のインプラント層の内部に配設され、第1のインプラント層を拡張させるように構成され得、それにより第1のインプラント層の非外傷性の外側表面が血管の表面を押し付けるようになっている。
【0025】
また、先行する段落の二重層インプラントは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。第1のインプラント層は、中央ルーメンを有するチューブ状の層であることが可能であり、中央ルーメンは、第2のインプラント層を受け入れ、血管の真腔と一致するように構成され得る。第1のインプラント層は、ファブリック層であることが可能である。第2のインプラント層は、コイルを含むことが可能である。コイルは、金属コイルであることが可能である。金属コイルは、コイル保持特徴を含むことが可能であり、コイル保持特徴は、送達システムのコイル保持構造体と係合し、第2のインプラント層の移植のときに、コイル保持構造体から解放するように構成され得る。第1のインプラント層および第2のインプラント層は、大動脈弓に一致するように曲がることができ得る。第1のインプラント層は、大動脈弓から第1のインプラント層を通って頸動脈または鎖骨下動脈への血流を可能にするために多孔性になっている少なくとも一部分を含むことが可能である。二重層インプラントは、大動脈弁尖の天然の解剖学的構造とインターフェース接続するためのインターフェース構造体をさらに含むことが可能である。インターフェース構造体は、左右の冠状動脈口への血流を可能にするためのフェネストレーションを含むことが可能である。第1のインプラント層は、非多孔性の部分および少なくとも1つの一時的なリブをさらに含むことが可能である。二重層インプラントは、X線不透過性の少なくとも一部分をさらに含むことが可能である。二重層インプラントは、エコー源性の少なくとも一部分をさらに含むことが可能である。第1のインプラント層は、その両側の端部において半径方向サポート構造体を含むことが可能である。
【0026】
いくつかの態様において、先行する段落のいずれか1つの二重層インプラントと、送達システムとを含むシステムが開示される。送達システムは、第1のインプラント層および第2のインプラント層を一緒に血管の中へ送達するように構成され得る。
【0027】
いくつかの態様において、先行する段落のいずれか1つの二重層インプラントと、送達システムとを含むシステムが開示される。送達システムは、血管の中への非同期の留置および解放のために、第1のインプラント層および第2のインプラント層を切り離すように構成され得る。
【0028】
いくつかの態様において、二重層インプラントを移植する方法が開示される。方法は、患者の大腿動脈の中へ経皮的にインプラントを挿入し、患者の大動脈の中へインプラントを前進させるステップと;外側シースを後退させて第1のインプラント層を留置させ、第1のインプラント層が大動脈の中で第1の静止時直径まで半径方向に拡張することを可能にするステップと;保持構造体を操作して、保持構造体から第1のインプラント層のルーメンの中に第2のインプラント層を留置させるステップと;保持構造体をさらに操作して、第1の静止時直径よりも大きい第2の静止時直径まで、第2のインプラント層が半径方向に拡張することを引き起こし、第1のインプラント層が第1の静止時直径を超えて半径方向に拡張して大動脈と接触することを引き起こすステップとを含むことが可能である。
【0029】
また、先行する段落の方法は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。外側シースを後退させることは、留置アームを留置させることが可能であり、そのことが第1のインプラント層が半径方向に拡張することを引き起こすことが可能であり、方法は、第2のインプラント層の留置の後に、留置アームを除去するステップをさらに含む。二重層インプラントは、先行する段落のいずれかの特徴のいずれかを含むことが可能である。第1のインプラント層は、遠位端部または近位端部において半径方向サポート特徴をさらに含むことが可能である。方法は、第1のインプラント層に連結されている長手方向のサポートリブによって、第1のインプラント層の外側表面と大動脈の内部壁との間のスペースを維持するステップと;第1のインプラント層の内側表面から第1のインプラント層の外側表面へ延在するチャネルに真空を適用し、大動脈の自然のフェネストレーションを通して大動脈の中の偽腔から流体を引き抜くことによって、偽腔を縮小させる、ステップとをさらに含むことが可能である。方法は、長手方向のサポートリブを除去するステップをさらに含むことが可能である。
【0030】
添付の図面は、本明細書のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の中に組み込まれており、本明細書の一部を構成しており、添付の図面は、開示される実施形態を図示しており、説明とともに、開示される実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】大動脈解離の一般的な分類:Stanford A型およびB型を示している。
図1B】大動脈解離の一般的な分類:Stanford A型およびB型を示している。
図1C】大動脈解離の一般的な分類のDeBakey I型、II型、およびIII型を示している。
図1D】大動脈解離の一般的な分類のDeBakey I型、II型、およびIII型を示している。
図1E】大動脈解離の一般的な分類のDeBakey I型、II型、およびIII型を示している。
図1F】大動脈解離の一般的な分類のDeBakey I型、II型、およびIII型を示している。
図2】本開示の特定の態様による、送達システムの内側に装填された大動脈解離グラフトシステムの概略的な部分断面図である。
図3】本開示の特定の態様による、大動脈解離システムのグラフトコンポーネントの概略斜視図である。
図4】本開示の特定の態様による、大動脈解離システムのサポート部材の概略斜視図である。
図5】本開示の特定の態様による、送達システムから留置されているときの大動脈解離システムの別の概略的な部分断面図である。
図6】本開示の特定の態様による、大動脈解離システムのための送達サポートアームの概略斜視図である。
図7】本開示の特定の態様による、システムが送達システムから留置されているときの送達サポートアームを備えた大動脈解離システムの別の概略的な部分断面図である。
図8】本開示の特定の態様による、大動脈弓の内側の大動脈解離システムの概略的な部分断面図である。
図9A】本開示の特定の態様による、大動脈解離システムのグラフトコンポーネントの別の概略的で部分的な斜視断面図である。
図9B】本開示の特定の態様による、大動脈弓の内側の大動脈解離システムのグラフトコンポーネントの別の概略的な部分断面図である。
図9C】本開示の特定の態様による、大動脈弓の内側の大動脈解離システムの別の概略的な部分断面図である。
図10】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの遠位端部の概略的な部分断面図である。
図11】本開示の特定の態様による、大動脈の内側に留置された大動脈解離システムの別の概略的な部分断面図である。
図12】本開示の特定の態様による、大動脈解離システムの留置の前の大動脈解離の概略的な断面図である。
図13A】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図13B】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図13C】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図14A】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図14B】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図14C】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図14D】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの留置の間および後の大動脈の概略的な部分断面図である。
図15A】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの拡張可能なサポート構造体の実施形態の斜視図である。
図15B】本開示の特定の態様による、層が構造体の中に設けられた状態の、図15Aに示されている拡張可能なサポート構造体の実施形態の斜視図である。
図15C】本開示の特定の態様による、層が構造体の上方に設けられた状態の、図15Aに示されている拡張可能なサポート構造体の実施形態の斜視図である。
図15D】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの遠位端部の斜視図である。
図16】本開示の特定の態様による、大動脈弓の中の大動脈解離インプラントの概略的な部分断面図である。
図17】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの拡張可能なサポート構造体の別の実施形態の概略斜視図である。
図18】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの拡張可能なサポート構造体の実施形態の概略斜視図である。
図19A】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの拡張可能なサポート構造体の実施形態の斜視図である。
図19B】本開示の特定の態様による、大動脈解離インプラントの拡張可能なサポート構造体の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
下記に記載されている詳細な説明は、主題の技術のさまざまな構成を説明しており、主題の技術が実践され得る構成のみを表すことを意図していない。詳細な説明は、主題の技術の徹底的な理解を提供する目的のために、具体的な詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な例として、特定の態様に関して提供され得る。しかし、主題の技術は、これらの具体的な詳細なしに実践され得るということが当業者に明らかになろう。いくつかの場合において、周知の構造体およびコンポーネントが、主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形態で示されている。
【0033】
本開示は、主題の技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないということが理解されるべきである。ここで、主題の技術のさまざまな態様は、特定の(しかし、非限定的な)例にしたがって開示されることとなる。本開示に説明されているさまざまな実施形態は、異なる方式および変形例で、ならびに、所望の用途または実装にしたがって実施され得る。
【0034】
以下の詳細な説明において、多数の具体的な詳細が、本開示の完全な理解を提供するために記載されている。しかし、本開示の実施形態が具体的な詳細のうちのいくつかなしに実践され得るということが当業者に明らかになろう。他の場合では、周知の構造体および技法は、詳細に示されておらず、本開示を曖昧にしないようになっている。
【0035】
主題の開示の態様は、大動脈解離の治療において利用され得る大動脈解離インプラント(たとえば、二重層インプラントなど)、ならびに、それを含むシステムおよび方法に関係している。主題の開示の特定の態様によれば、A型急性大動脈解離(AAD)、または、任意の他の腹部もしくは胸部の大動脈解離、破裂、もしくは動脈瘤の治療のために使用され得る二重層インプラントが提供される。二重層インプラントは、第1のインプラント層を含むことが可能であり、第1のインプラント層は、軟質の非外傷性の外側層を形成し、大動脈の内膜に直接的に接触する。また、二重層インプラントは、第2のインプラント層を含むことが可能であり、第2のインプラント層は、第1の層の後に、または、第1の層と順番に留置され得、それは、内膜に対する第1の層の補強および直接的な並置を提供する。いくつかの態様において、第1のインプラント層(たとえば、グラフト層)および第2のインプラント層(たとえば、サポート構造体)は、送達前には一緒に取り付けられておらず、したがって、2つの別個のおよび/または重複するステップで送達される可能性があるが、二重層インプラントは、二重層非同期のインプラントとして本明細書で説明される場合がある。すなわち、さらに詳細に以降で説明されるように、二重層インプラントのための送達システムは、2つの層を一緒に留置させることが可能であり、または、非同期の留置および解放を可能にするために、2つの層を切り離すことが可能である。また、本明細書で説明されているような二重層インプラントは、第1のインプラント層が第2のインプラント層の上方に設けられた状態で製造され得、2つの層が、単一のユニットとして治療場所へ送達されるようになっているということが認識されよう。
【0036】
図2図4は、特定の態様による大動脈解離システム100において使用するための大動脈解離インプラント102を図示している。大動脈解離インプラント102は、第1のインプラント層104(たとえば、本明細書でさらに説明されているような多孔性のおよび/または非多孔性の材料など)を含むことが可能であり、第1のインプラント層104は、第2のインプラント層106(たとえば、本明細書で説明されているように、コイル、ブレイド、ワイヤーフレーム、Z-ステント、または、任意の他の補強構造体など)によって補強され得る。本明細書で使用される場合、非多孔性は、開口部を備えないか、または、生理学的な圧力の範囲内での血流を防止するのに十分に小さい開口部を備えている、任意の材料または構造体を指す。大動脈解離システム100は、大動脈解離インプラント102および送達システムを含むことが可能であり、送達システムは、外側シース108および/または1つもしくは複数の他の送達コンポーネントを含むことが可能である。図2は、二重層インプラント102を含むシステム100を図示しており、二重層インプラント102は、移植のために外側シース108の中にパッケージ化されており、外側シース108は、ノーズコーン114に連結されており、ノーズコーン114は、ガイドワイヤー116に装着されるか、または、ガイドワイヤー116を介して送達される。システム100は、図2に部分的な断面で示されており、第1のインプラント層104および第2のインプラント層106が見られ得るようになっている。さらに詳細に以降で説明されているように、図2に示されている送達構成では、第1のインプラント層104および第2のインプラント層106は、移植のために外側シース108の中に圧縮されている。外側シース108は、第1のインプラント層104の留置のために、第1のインプラント層104に対して後退させられ得る。また、図2は、第2のインプラント層106(この実施形態ではコイルとして図示されている)のための保持層またはカテーテル110を図示している。保持層またはカテーテル110は、図2の圧縮された構成で第2のインプラント層106を拘束しており、第2のインプラント層106の制御された留置のために操作可能になっている(たとえば、回転可能になっているか、後退可能になっているか、またはその他)。さまざまな例において、二重層インプラント102は、A型解離の治療に関して本明細書で説明されている。しかし、二重層インプラント102は、同様に、B型解離およびすべてのタイプの大動脈瘤に適用され得るということが認識されるべきである。また、他の実装形態において、インプラント102は、3つ以上の層(たとえば、サポート層106の内側に2次的なグラフト層104を備え、または、サポート層106の内側に2次的なサポート層を備える)を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0037】
圧力が偽腔を通って伝播することを防止し、その代わりに、真腔を通してその圧力を方向付けるために、解離の発生源における層がその長さに沿って再近似され得る限りにおいて、AADのケースにおいて解離されたエリアを「遮断する(wall-off)」ことは必要でないことが発見されている。実際に、多孔性の材料から形成された第1のインプラント層104を提供することは、(たとえば、血流を妨げないことによって)留置の間にいくつかの利点を可能にし、大動脈のより健康的な機能性を可能にし、遭遇され得る分岐血管をより容易に扱う能力を提供する。また、本明細書で説明されている症状を伴う患者の中の大動脈は、非常に脆弱であり、したがって、いくつかの態様において、インプラントを可能な限り非外傷性なものにするために、注意が払われなければならないということが理解される。いくつかの態様において、2次的な補強層106を備えた軟質の非外傷性の第1の層104にインプラント102を分離することは(2次的な補強層106は、制御可能にかつ順次、第1の層104に対して非同期に留置される(たとえば、第1の層が適切な場所になった後に、または、第1の層104が完全に留置される前に))、安全性を改善することを助ける。天然の大動脈は最も外側の層からそのサポートを提供するが、インプラント102は、より軟質の層104が外側にある状態で、最も内側の層106からサポートを提供し、天然の大動脈の軟質の内膜層を並置する。
【0038】
システム100(最初に図2に示されている構成になっている)は、大腿動脈の中へ経皮的に挿入され、患者の大動脈200の中へ前進させられ得る。図1A図1Fに示されているように、治療および移植の所望の場所に応じて、システム100は、腸骨動脈202のうちの1つから下行大動脈204へ前進させられ得、大動脈弓206の周りに、上行大動脈208へ、および大動脈基部210の中へ継続することが可能である。本明細書で使用される場合、インプラント102またはシステム100の近位端部は、操作者に最も近く、大動脈基部210から最も遠い端部であり、インプラント102およびシステム100の遠位端部は、操作者から最も遠く、大動脈基部210に最も近い端部である。
【0039】
図2の送達構成では、初期の外側層104は、外側シース108の中に保持されており、一方では、補強層106は、メカニズムによる(たとえば、コイル保持構造体110による)ねじれ張力の下で保持されており、そのメカニズムは、2次的なインプラント層106が留置することを可能にするように巻き戻されるかまたはネジ戻されるように配置されている。他のメカニズムが利用され、送達の間にそれぞれの層の縮小された直径を維持し、留置のときに制御された直径の拡張を可能にすることができる。たとえば、第2のインプラント層106は、代替的に、内側シースの中に拘束され得、内側シースは、第2のインプラント層106の留置のために線形に後退させられ得る。ロッキングメカニズム112は、送達システムとの接続を維持するために設けられており、必要とされる場合には、インプラントの完全な留置の前に、インプラント102の再位置決め、再捕獲、および/または除去を可能にするように設けられている。
【0040】
図3は、本開示の態様による、第1のインプラント層104の1つの例の斜視図を図示している。第1のインプラント層104は、ファブリック、金属、ポリマー、または生物学的組織(例として)から形成され得る。第1のインプラント層104は、補強層106が内側にある状態で完全に拡張させられたときに、それが天然の大動脈の直径(たとえば、約40mmから45mmの最大直径)をわずかに越える直径に到達することができるようにサイズ決めされている。いくつかの態様において、第1のインプラント層104は、30mm(または、約30mm)の静止時直径を有することが可能であり、また、伸縮可能であり得るか、または、40mm(または、約40mm)から45mm(または、約45mm)の拡張時直径まで(たとえば、第2のインプラント層106によって)拡張することが可能である。第1のインプラント層104は、1つまたは複数の多孔性の領域300を含むことが可能であり、1つまたは複数の多孔性の領域300は、(たとえば、多孔性の領域が、分岐血管の入口部を横切って留置される場合には)血液がその領域を通って流れることを可能にする。第1のインプラント層104の材料は、大動脈弓の湾曲に合わせるのに十分に可撓性であることが可能である。いくつかの実装形態において、第1のインプラント層104の長さ全体が、多孔性であることが可能である。他の実装形態において、第1のインプラント層104の長さ全体が、非多孔性であることが可能である。さらに他の実装形態において、多孔性のレベルは、第1のインプラント層104の長さの全体を通して変化することが可能である。104が所与の厚さを有するさらなる他の実施形態において、内側表面の多孔性は、外側表面に沿った多孔性とは異なっていることが可能である。
【0041】
第1のインプラント層104は、ファブリックから形成され得、ファブリックは、(図3に示されているような)オープンハニカム形状で、または、壁厚さ304をもたらす1つまたは複数の他の構成で織られており、層104の外径が、大動脈の内側に対抗して配設され得るようになっており、内側補強層106が層104の内側で拡張させられているときには、内径が外径に対抗して圧縮され得、半径方向の荷重を分配し、大動脈壁に過度の圧力をかけることを回避する。
【0042】
たとえば、他の実施形態において、第1のインプラント層104は、血液が1つまたは複数の多孔性の部分300を通って流れることを可能にするオープン織りパターン、レーザーカットパターン、編組構成、または任意の他の形態によって形成され得る。いくつかのケースでは、第1のインプラント層104の多孔性は、第1のインプラント層104の周囲部の周りで、および/または、長さに沿って変化し、患者の解剖学的構造の異なる部分に対して、ターゲットにされたレベルの多孔性を実現する。たとえば、材料自身の多孔性は、層104の上の位置によって変化することが可能であり、または、孔部、開口部、または他のフェネストレーションが、層104の材料の中に形成され得る。
【0043】
追加的に、第1のインプラント層104、または、第1のインプラント層104の一部分は、多孔性のおよび/または非多孔性のファブリックまたはポリマーから形成され得る。第1のインプラント層104は、ポリエステル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、もしくはシリコーンのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含むことが可能である。
【0044】
図3の例では、第1のインプラント層104は、その遠位端部および近位端部において、半径方向サポート特徴301および302をそれぞれ含む。半径方向サポート特徴301および302は、第1のインプラント層104の介在長さの半径方向の圧縮率よりも小さい半径方向の圧縮率を有することが可能である。半径方向サポート特徴301または302などのような半径方向サポート特徴は、第2のインプラント層106の留置の前に、第1のインプラント層104の位置を固定することを助けるために設けられ得る。半径方向サポート特徴301および/もしくは302、ならびに/または、インプラント102の他の部分は、X線不透過性および/またはエコー源性であることが可能であり、X線透視法および/または超音波の下での可視化を手順内で可能にするようになっている。半径方向サポート特徴は、外側表面の上に設けられるか、内側表面の上に設けられるか、または、インプラント層104の中に埋め込まれ得る。半径方向サポート特徴の例は、ワイヤーフレーム、コイル、ブレイド、およびステントを含み、それらは、Z字形状、ジグザグパターン、または、より複雑な幾何学形状を有し、たとえば、自己拡張型の形状記憶合金からレーザーカットされている。半径方向サポート特徴は、円筒状の形状、切頭円錐状の形状、または他の形状を有することが可能である。
【0045】
さらに詳細に以降で説明されているように(たとえば、図8図10、および、関連の説明を参照)、いくつかの実装形態において、大動脈弁機能に影響を及ぼすことなく、および、冠状動脈へのフローを妨げることなく、大動脈基部の中に可能な限り深く係合することが望ましい状況において、第1のインプラント層104の遠位形状(たとえば、半径方向サポート特徴301を含む)(または、第1のインプラント層104の遠位端部における1つもしくは複数の追加的なインターフェース構造体)は、大動脈弁尖および左右の冠状動脈口の天然の解剖学的構造とインターフェース接続するように配置され得る。本明細書で使用される場合、大動脈弁尖は、大動脈基部の洞を含むことが意図されている。いくつかの実装形態において、インプラントの遠位端部は、人工大動脈心臓弁(たとえば、第1のインプラント層104とインターフェース接続するように連結されるかまたは構成されている)を組み込むことが可能である。
【0046】
第2のインプラント層106は、補強層であり、それは、第1のインプラント層104のものを超えるフープ強度および半径方向の力を提供し、内膜に対する第1のインプラント層104の並置を強化する役割を果たす。第2のインプラント層106は、金属(たとえば、ステンレス鋼またはニチノールなど)、ポリマー、生物学的材料、生体吸収性材料、および/または他の適切な材料のうちの1つまたは複数から形成され得る。図4は、1つの実装形態における、第2のインプラント層106の斜視図を示している。第2のインプラント層106は、ワイヤーフレームを形成するコイル状のワイヤー、図4の例にあるようなコイル状のリボン、レーザーカット構造体、ブレイドであることが可能であり、または、天然の大動脈の湾曲に合わせることができる別のオープン構成で形成され得る。第2のインプラント層106は、完全にまたは部分的にX線不透過性および/またはエコー源性になっており、手順内で可視化を強化することが可能である。
【0047】
図4は、第2のインプラント層106の斜視図を図示している。第2のインプラント層106は、たとえば、おおよそ2cmのピッチ、おおよそ12~15cmの間の全体的な長さ、おおよそ0.5mmの断面幅、および、おおよそ40mmからおおよそ45mmの静止時直径を有するコイル状の構造体として形成され得る。第2のインプラント層106は、(たとえば、大動脈の一部分からの圧縮力によって)おおよそ30mmの直径まで半径方向に圧縮可能であり得る。また、図2に図示されているように、第2のインプラント層106は、コイル保持構造体110によって、さらに縮小された挿入直径まで撚られ得る。図4の例では、第2のインプラント層106は、おおよそ5mmの断面高さを有するコイル状のリボンから形成されている。
【0048】
また、図4は、第2のインプラント層106のための近位解放特徴400をも示している。図4の例において、近位解放特徴400は、第2のインプラント層106の近位端部における開口部である。撚られてコイル保持構造体110の中の挿入直径とされるときに、近位解放特徴400は、コイル保持構造体110の内部の対応する特徴と係合され得る(たとえば、近位端部がコイル保持構造体110の中にある間に、コイル保持構造体110の中の第2のインプラント層の近位端部の回転を防止する)。図5に関連してさらに詳細に説明されるように、第2のインプラント層106の近位端部がコイル保持構造体110を退出し、インプラント102の移植を完了するときに、近位解放特徴400は、コイル保持構造体110の内部の対応する特徴から係合解除することが可能である。第2のインプラント層106は単一のコイルとして図4に示されているが、他の実装形態において、第2のインプラント層106は、ダブルコイルとして実装され(たとえば、螺旋を形成するために平行なピッチまたは反対のピッチを備える)、反対のピッチを備えた追加的なサポートを提供し、螺旋を形成することが可能である。さらに他の実装形態において、第2のインプラント層106は、マルチフィラー構築体、単一のもしくは複数のピースのワイヤーフォーム構造体、または、レーザーカット構造体を備えた粗いブレイドによって形成され得る。
【0049】
図5は、解離503に関連する偽腔502を有する血管500の真腔504の中の移植の途中のインプラント102の斜視的な部分断面図を(明確化のために部分的な断面で)図示している。解離503は、進入断裂を有する可能性があり、1つまたは複数の再進入断裂を有する可能性がある。図5の構成では、外側シース108は、部分的に後退させられており、第1のインプラント層104が真腔504の中のその静止時直径まで拡張することを可能にし、第1のインプラント層104の遠位端部(および、遠位の半径方向サポート特徴301)が解離503の遠位にあり、第1のインプラント層104の近位端部が解離503の近位にあるようになっている。図5の構成では、コイル保持構造体110は、また、回転させられており、第2のインプラント層106の遠位部分がコイル保持構造体110の遠位端部における開口部506を退出することを引き起こし、その静止時直径まで拡張し始めており、その静止時直径において、第2のインプラント層106は、血管500の内膜に第1のインプラント層104を押し付ける。他の実施形態において、保持構造体110は、単に、シースとして引き抜かれ得、第2のインプラント層106を露出させ、その拡張を可能にするようになっている。
【0050】
図5の構成から、インプラント102の移植は、半径方向サポート特徴302がシースを退出してその静止時直径まで拡張することを可能にするために、第1のインプラント層104の近位端部を越えて外側シース108をさらに引き抜くこと、ならびに、第2のインプラント層106が開口部506を通って完全に退出する(および、コイル保持特徴400がコイル保持構造体110の対応する内部特徴から解放する)まで、コイル保持構造体110をさらに撚ることによって完了され得る。ロッキング特徴112は、第2のインプラント層106の留置の間に、第2のインプラント層106が第1のインプラント層102の上で近位に引っ張るかまたはスライドすることを防止することが可能である。
【0051】
このように、外側層104の留置は、完全な解放の前の任意のポイントまで、層104を再捕獲する能力を維持しながら最初に開始される。層104の材料が多孔性になっている実装形態では、血圧がインプラントの内側に集まることが回避され、インプラント102の留置が、測定されたペースで進行することが可能である。外側インプラント層104の遠位端部が拡張させられると、ユーザーは、外側層104を留置し続けるか、または、第1の層104の位置をさらに安定化させる補強層106の一部分を解放し始めるかのオプションを有する。望まれる場合には、補強層106の留置が開始される前に、外側層104の大部分が、シース108から解放され得る。
【0052】
第2のインプラント層106の留置の始めに、コイル保持構造体110が撚られ得、第2のインプラント層106の遠位部分が開口部506から出現することができるようになっている。コイル保持構造体110の継続的な回転の後に、第2のインプラント層106の大部分は、コイル保持構造体110から出現することが可能である。
【0053】
いくつかの実装形態において、システム100は、送達の間に初期のグラフト層104と2次的なサポート層106との間に送達サポートアームを含むことが可能である。図6は、4つのアームを示す、例示的な送達サポートアーム604の斜視図を図示している。たとえば、3つ以上のアームなど、任意の数のアームが設けられ得る。グラフト層104を一時的に拡張させ、拡張の前に大動脈の内膜に対する並置を提供し、2次的なサポート層106を提供し、所望の場所および効果を保証するために、送達サポートアーム604が、システム100の中に設けられ得る。図6に示されているように、複数の角度的に分離されている送達サポートアーム604が、送達サポート構造体600の共通のベース602から延在することが可能である。
【0054】
図7は、システム100が送達サポートアーム604を含む構成において、図5の送達状態におけるシステム100を図示している。2つだけの送達サポートアーム604が、明確化のために示されている。図7に図示されているように、送達サポートアーム604は、外側シース108が引き抜かれるときに、外部の支援なしに拡張するように構成されている。ベース602は、ロッキングメカニズム112および/または送達システムの他の部分に連結され得、送達シーケンスが進行するにつれて(たとえば、第2のインプラント層106の留置の間に)、送達サポートアーム604が、近位に移動するようになっている。インプラント層104および106の両方を完全に解放すると、外側シース108が、2つの留置された層の内部に前進させられ、除去のために送達サポートアームを再捕獲するようになっている。図7の例では、送達サポートアーム604は、第1のインプラント層104の端部に延在している。しかし、第2のインプラント層106の最遠位端部よりも短い送達サポートアーム604が設けられ得る。送達サポートアーム604のこの配置は、第2のインプラント層106が留置されているときに、送達サポートアーム604が第2のインプラント層106と第1のインプラント層104との間に捕獲されないことを保証することを助けることが可能である。
【0055】
図5および図7は、単に便宜のために、血管500の実質的に真っ直ぐな部分の中でのインプラント102の留置を図示している。しかし、説明されているような第1のインプラント層104および第2のインプラント層106は、血管の湾曲した部分の中に、および/または、変化するサイズを有する血管の部分の中に、インプラント102が留置されることを可能にするということが認識されるべきである。
【0056】
たとえば、図8は、大動脈弓800の中に留置されたインプラント102を図示している。図8に示されているインプラントは、上記に説明されているように、順次留置されたインプラントであることが可能であり、または、それは、単一のユニットとして送達され得る。図8に示されているように、インプラント102は、細長い本体部を含み、細長い本体部は、下行大動脈807の中に位置決めされている近位端部806と、大動脈基部809の中に位置決めされている遠位端部808とを有している。インプラント102は、拡張可能な補強構造体(たとえば、上記に説明されている第2のインプラント層106、または、本明細書で説明されている他の補強構造体のいずれかなど)を含み、拡張可能な補強構造体は、下行大動脈807の中の近位端部806から、大動脈基部809の中の遠位端部808へまたはその近くへ延在している。インターフェース部分802が、インプラント102の遠位端部808に設けられており、それは、大動脈基部809の中で拡張可能であり、インプラント102をアンカー固定および固定することが可能である。インターフェース部分802は、拡張可能なワイヤーフレームを含むことが可能であり、また、上行大動脈および下行大動脈を通って延在する補強構造体の一部であるかまたはそれとは別個であることが可能である。もう1つの外側層が、補強構造体の上方に設けられており、それは、たとえば、補強構造体をカバーするための、および/または、大動脈の内側壁に接触するための、上記に説明されているインプラント層104、または、本明細書で説明されている他の層のいずれかなどである。たとえば、多孔性のインプラント層104は、補強構造体の全体または実質的に全体(随意的にインターフェース部分802を含む)にわたって、近位端部806から遠位端部808へ延在することが可能である。
【0057】
図8に(明確化のために部分的な断面で)示されているように、第1のインプラント層104および第2のインプラント層106の両方は、大動脈弓800の湾曲に沿って湾曲しており、第1のインプラント層104の中のフェネストレーション801は、頸動脈および鎖骨下動脈811の中への第1のインプラント層104を通る血流を可能にする。いくつかの実施形態において、第1のインプラント層104は、多孔性セクション810を有し、多孔性セクション810は、大動脈弓800の中に位置付けされるように構成され、血液が頸動脈および鎖骨下動脈811の中へ流入することを可能にする。インプラント102は、第1のインプラント層104の一部として、または、追加的な層として、第1のインプラント層104の多孔性セクション810の遠位に位置付けされている非多孔性セクション118をさらに含むことが可能である。非多孔性セクション118は、偽腔502に隣接して、および、解離503の進入断裂にわたって、大動脈の壁に係合するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1のインプラント層104は、全体的に多孔性である。いくつかの実施形態において、非多孔性セクション118は、全体的に非多孔性の第1のインプラント層104の上方に設けられる別個の層である。
【0058】
また、図8は、どのようにインターフェース部分802(たとえば、第1のインプラント層104および/または第2のインプラント層106に隣接しているかまたは連結されている)がインプラント102の遠位端部に設けられ得るかを示している。示されているように、インターフェース部分802は、大動脈弁尖の天然の解剖学的構造に(たとえば、大動脈基部の洞に)に一致するように構成されており、左右の冠状動脈口のためのフェネストレーション804を含む。図示されているように、インターフェース部分802は、3つのローブを有する拡張可能なワイヤーフレームを含むことが可能であり、それぞれのローブは、大動脈基部の洞のうちの1つの中に位置決めされるように構成されており、大動脈基部の洞のうちの1つと係合するように拡張可能である。ローブのいずれかまたはすべては、たとえば、第1のインプラント層104の多孔性の材料、または、追加的なインプラント層118の非多孔性の材料などのような、多孔性の材料または非多孔性の材料によって、部分的にまたは全体的にカバーされ得る。図示されているように、左冠状大動脈洞および右冠状大動脈洞の中のローブは、左右の冠状動脈813、815を越えて遠位にそれぞれ延在することが可能である。多孔性の材料によってカバーされているときには、血液は、これらのローブをカバーする多孔性の材料を通って左右の冠状動脈の中へ流入することを許容されることとなる。
【0059】
図9Aは、(たとえば、頸動脈および/または鎖骨下動脈とのアライメントのための)細長い開口部900を備えた二重層ハニカムファブリック実装形態の中に第1のインプラント層104を含むインプラント102の別の態様の斜視図を図示している。図9Bは、大動脈弓の中に留置された第1のインプラント層104の部分断面図を図示している。図9Bに示されているように、細長い開口部900は、頸動脈および鎖骨下動脈と整合することが可能であり、血液が細長い開口部900を通って動脈の中へ流入することができるようになっている。この実施形態では、層104は、非多孔性になっており、血液が解離503の中へ流入することを防止することが可能である。図9Bは、補強構造体または第2のインプラント層106なしのインプラント102を図示している。図9Cは、第2のインプラント層106が第1のインプラント層104の中に設けられた状態の、図9Aにあるような第1のインプラント層104を含むインプラント102の部分断面図を図示している。上記に説明されているようなインターフェース部分802は、第1のインプラント層104および/または第2のインプラント層106を大動脈基部にアンカー固定することが可能である。
【0060】
図10は、天然の解剖学的構造に一致するように拡張することができるインターフェース部分802のための縁部形状を図示している。インターフェース部分802は、第1の拡張可能なコンポーネント814を含むことが可能である。たとえば、インターフェース部分802は、第1の拡張可能なコンポーネント814を含むことが可能であり、第1の拡張可能なコンポーネント814は、患者の大動脈基部の中に位置決めされるように、および、拡張させられているときに大動脈基部の洞のうちの1つまたは複数に半径方向の力を印加するように構成され得る。第1のコンポーネント814は、複数のローブ、たとえば、トリローブアンカリング構造体を形成する3つのローブなどを含むことが可能であり、ローブは、大動脈基部の洞のそれぞれと係合し、第1のコンポーネント814を大動脈基部に固定するように半径方向の力を印加するように構成されている。追加的に、図10に示されているように、インターフェース部分802は、第1の拡張可能なコンポーネント814の近位に第2の拡張可能なコンポーネント812を含むことが可能であり、それは、洞上行大動脈接合部の中に位置決めされ、拡張させられているときにこの接合部に半径方向の力を印加するように構成され得る。異なる実施形態において、インターフェース部分802は、第1の拡張可能なコンポーネント814または第2の拡張可能なコンポーネント812のいずれかを含むことが可能である。
【0061】
追加的に、インターフェース部分802における第1のインプラント層104の形状は、第1のインプラント層104が冠状動脈口を通る血流を妨げないように形状決めされ得る。図示されているように、第1のインプラント層104は、上行大動脈から遠位に左右の大動脈洞の中へ延在し、左右の大動脈洞の中のインターフェース部分802の一部だけをカバーすることが可能であるが、左右の冠状動脈の近位において終端し、血液がそれを通って流れることを可能にすることができる。また、第1のインプラント層104は、上行大動脈から遠位に非冠状大動脈洞の中へ延在し、非冠状大動脈洞の中のインターフェース部分802の一部またはすべてをカバーすることが可能である。
【0062】
図11は、変化する直径を有する血管500の一部分の中の留置の間のインプラント102の1つの例を図示しており、血管の壁に沿って第1のインプラント層104に一致するために、どのように第2のインプラント層106が(たとえば、血管500の壁の半径方向の強度に応答して)可変的に圧縮可能であるかを示している。
【0063】
図12図14Dは、いくつかの実装形態において、どのようにインプラント1302、1402が、偽腔1201のさらなる閉塞を可能にする特徴を含むことができるかを図示している。図12は、真腔1207と、解離1203に関連する偽腔1201と、偽腔1201に隣接する自然のフェネストレーション1205とを有する血管の断面図を図示している。図13A図13Cの例では、第1のインプラント層1304が、吸引ポート1310を備えた第2のインプラント層1306の上方に設けられており、吸引ポート1310は、チャネルを提供しており、真空が、真空アプリケーター1312を介してチャネルに適用される。第1のインプラント層1304は、本明細書で説明されている他の第1のインプラント層または他の第1のインプラント層のうちのいずれかに関して上記に説明されているような特徴を含むことが可能である。そのうえ、第2のインプラント層1306は、本明細書で説明されている他の第2のインプラント層または任意の他の補強構造体に関して上記に説明されているような特徴を含むことが可能である。この例では、1つまたは複数の長手方向リブ1308が、層1304の外側表面と天然の大動脈の内部壁との間の円周方向のスペースを維持するために設けられ得る。1つまたは複数の長手方向リブ1308は、インプラント1302の長さに沿って軸線方向に延在することが可能であり、第2のインプラント層1306の剛性よりも大きい剛性を有することが可能である。1つまたは複数の長手方向リブは、湾曲を有するかまたは弓形であることが可能であり、それによって、インプラント層1306が完全に拡張することを防止する。インプラント1302が解離1203の周りにシールされているときに、真空がチャネル1310に適用され得る。図13Bに示されているように、これは、天然の大動脈の進入断裂1203および自然のフェネストレーション1205を通して偽腔1201から流体を引き抜くことによって、周囲の偽腔1201が縮小されることを引き起こす。図13Cに示されているように、次いで、サポートリブ1308が除去され、中膜層および外膜層に対する天然の大動脈へのインプラント表面の並置を可能にし、それによって、偽腔1201を最小化し、真腔1207の断面を最大化することが可能である。
【0064】
いくつかの実施形態において、インプラント1302は、たとえば、下行大動脈の中にあるB型解離のために使用され得る中実の非多孔性のグラフト部分を含むことが可能である。これらの例では、インプラント1302は、吸引ルーメン1310を維持しており、吸引ルーメン1310は、グラフトの内径から延び、偽腔1201に隣接するグラフトの外径の上のエリアと連通している。スペースを維持するために一時的な長手方向のサポートリブ1308を使用して(たとえば、図13A図13Bを参照)、真空が、インプラント1302と偽腔1201との間のスペースの中に引かれ、天然の大動脈の自然の多孔性1205を通して偽腔1201を空にすることを試みる。偽腔1201が引き下げられると、次いで、サポートリブ1308が除去され得(たとえば、図13Cを参照)、移植されたグラフト1302が、その完全な直径まで半径方向に拡張し、偽腔1201をさらに縮小させることが可能であり、偽腔1201は、図13Cの中の縮小された偽腔1201によって示されているように、溜まった血液を空にされている。
【0065】
図14A図14Dの例では、第1のインプラント層1404は、吸引ポート1410を備えた第2のインプラント層1406の上方に設けられ、吸引ポート1410は、チャネルを提供しており、真空が、真空アプリケーター1412を介してチャネルに適用される。この例では、外部コイル1414が、インプラント1402の中央部分の外側に巻き付けられ、吸引部分1410および真空アプリケーター1412を通過させられ得る。外部コイル1414は、第1のインプラント層1404の外側表面と天然の大動脈の内部壁との間の円周方向のスペースを維持するために設けられており、真空がポート1410に適用されるときに、天然の大動脈の進入断裂1203および自然のフェネストレーション1205を通して偽腔1201から流体を引き抜くことによって、周囲の偽腔1201が縮小されることとなるようになっている。図14C図14Dに示されているように、次いで、外部コイル1414が除去され、中膜層および外膜層に対する天然の大動脈へのインプラント表面の並置を可能にし、それによって、偽腔1201を最小化し、真腔1207の断面を最大化することが可能である。
【0066】
いくつかの実施形態において、インプラント1402は、たとえば、下行大動脈の中にあるB型解離のために使用され得る中実の非多孔性のグラフト部分を含むことが可能である。これらの例では、インプラント1402は、吸引ルーメン1410を維持しており、吸引ルーメン1410は、グラフトの内径から延び、偽腔1201に隣接するグラフトの外径の上のエリアと連通している。スペースを維持するために一時的な外部コイル1414を使用して(たとえば、図14A図14Bを参照)、真空が、インプラント1402と偽腔1201との間のスペースの中に引かれ、天然の大動脈の自然の多孔性1205を通して偽腔1201を空にすることを試みる。偽腔1201が引き下げられると、次いで、外部コイル1414が除去され得(たとえば、図14C図14Dを参照)、移植されたグラフト1402が、その完全な直径まで半径方向に拡張し、偽腔1201をさらに縮小させることが可能であり、偽腔1201は、図14Dの中の縮小された偽腔1201によって示されているように、溜まった血液を空にされている。
【0067】
図12図14Dは、単に便宜のために、血管の実質的に真っ直ぐな部分の中でのインプラント1302、1402の留置を図示している。しかし、説明されているような第1のインプラント層1304、1404および第2のインプラント層1306、1406は、血管の湾曲した部分の中に、および/または、変化するサイズを有する血管の部分の中に、インプラント102が留置されることを可能にするということが認識されるべきである。
【0068】
一般的に、インプラント102の多孔性のバージョンは、頭部血管を通って延在することを必要とする任意のA型(IまたはII)解離(たとえば、図1Aを参照)にとって有用である可能性があり、また、いくつかのB型事象(たとえば、図1Bを参照)に適用され得る。図13A図14Dの非多孔性のグラフトオプション1302、1402は、特定のB型構成により適用可能である可能性がある。層104、1304、1404の可変の多孔性(たとえば、1つのセクションが中実であり、別のセグメントが多孔性であるかまたは多孔性の程度が異なる)が使用され、異なる解離構成または動脈瘤構成のための解決策を提供することが可能である。
【0069】
図15A図15Cは、大動脈解離インプラント1700の別の実施形態を示している。図15Aは、近位端部1702から遠位端部1704へ延在する概してチューブ状の拡張可能なサポート構造体を含む、上記に説明されているようなインプラント層を示している。図15Aに示されている拡張可能なサポート構造体の実施形態は、コイル1713の円筒形状の部分1710に沿って、ジグザグ形状またはZ字形状のパターンを備えたワイヤーフレームまたはワイヤーコイル1713を示している。追加的に、拡張可能なサポート構造体は、大動脈解離を治療するために使用されるのに適した他のパターンを含むことが可能である。そのうえ、拡張可能なサポート構造体は、レーザーカット構造体、ブレイドであることが可能であり、または、天然の大動脈の湾曲に合わせることができる別のオープン構成で形成され得る。また、拡張可能なサポート構造体は、完全にまたは部分的にX線不透過性のおよび/またはエコー源性になっており、手順内で可視化を強化することが可能である。コイル1713の円筒形状の部分1710は、下行大動脈から上行大動脈へ延在し、大動脈の中で拡張させられているときに大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成され得る。
【0070】
遠位端部1704において、インプラント1700は、上記に説明されているインターフェース部分などのような拡張可能なアンカリング構造体1715を含むことが可能である。拡張可能なアンカリング構造体1715は、円筒形状の部分1710と比較して、拡張させられたときに拡大された断面直径を有することが可能である。拡張可能なアンカリング構造体1715は、1つまたは複数のコンポーネントを含むことが可能である。たとえば、拡張可能なアンカリング構造体1715は、第1の拡張可能なコンポーネント1706(たとえば、上記に説明されている第1の拡張可能なコンポーネントなど)を含むことが可能であり、第1の拡張可能なコンポーネント1706は、患者の大動脈基部の中に位置決めされるように、および、拡張させられたときに大動脈基部の洞に半径方向の力を印加するように構成され得る。第1のコンポーネント1706は、複数のローブ(たとえば、3つのローブなど)を含み、トリローブアンカリング構造体を形成することが可能であり、ローブは、大動脈基部の洞のそれぞれと係合するように、および、第1のコンポーネント1706を大動脈基部に固定するために半径方向の力を印加するように構成されている。追加的に、図15Aに示されているように、拡張可能なアンカリング構造体1715は、第1の拡張可能なコンポーネント1706の近位に第2の拡張可能なコンポーネント1708(たとえば、上記に説明されている第2の拡張可能なコンポーネントなど)を含むことが可能であり、それは、洞上行大動脈接合部の中に位置決めされ、拡張させられているときにこの接合部に半径方向の力を印加するように構成され得る。第2の拡張可能なコンポーネント1718は、いくつかの実施形態において、切頭円錐状の形状を有することが可能であり、より小さい直径の近位端部およびより大きい直径の遠位端部を備えており、円筒形状の部分1710と拡大された拡張可能なコンポーネント1706との間の移行を提供する。異なる実施形態において、拡張可能なアンカリング構造体1715は、第1の拡張可能なコンポーネント1706または第2の拡張可能なコンポーネント1708のいずれかを含むことが可能である。
【0071】
いくつかの態様において、ワイヤーフレーム1713は、第1の拡張可能なコンポーネント1706と、第2の拡張可能なコンポーネント1708と、円筒形状の部分1710とを形成する連続的なワイヤーであることが可能である。他の態様において、第1の拡張可能なコンポーネント1706、第2の拡張可能なコンポーネント1708、および円筒形状の部分1710は、別個のワイヤーフレームから形成され得る。ワイヤーフレーム1713は、金属(たとえば、ステンレス鋼またはニチノールなど)、ポリマー、生物学的材料、生体吸収性材料、および/または他の適切な材料のうちの1つまたは複数から形成され得る。いくつかの態様において、ワイヤーフレーム1713は、おおよそ12~15cmの間の全体的な長さ、おおよそ0.5mmのワイヤー断面幅または直径、および、おおよそ40mmからおおよそ45mmの円筒形状の部分1710の静止時直径を有することが可能である。ワイヤーフレーム1713は、おおよそ10mm以下の直径まで半径方向に圧縮可能であり得る。拡張可能なアンカリング構造体1715は、拡張させられたときにおおよそ45から55の直径を有することが可能である。
【0072】
図15B図15Cは、ワイヤーフレーム1713を含む大動脈解離インプラントの実施形態を図示しており、層1714がワイヤーフレーム1713の中(図15B)または上(図15C)のいずれかに設けられた状態になっている。層1714は、ワイヤーフレーム1713の近位端部1702からワイヤーフレーム1713の遠位端部1704へ延在することが可能である。いくつかの実施形態において、層1714は、拡張可能なアンカリング構造体1715の第2の拡張可能なコンポーネント1708、および、拡張可能なアンカリング構造体1715の第1の拡張可能なコンポーネント1706の一部をカバーすることが可能である。この構成は、大動脈解離インプラントの移植の後に、冠状動脈口がカバーされていないままであることを可能にし、それは、血液が入口部を通って自由に流れることを可能にする。他の実施形態において、層1714は、拡張可能なアンカリング構造体1715の遠位端部に延在することが可能である。
【0073】
いくつかの態様において、層1714は、ファブリック、金属、ポリマー、または生物学的組織から形成され得る。層1714は、ワイヤーフレーム1713が内側にある状態で完全に拡張させられたときに、それが天然の大動脈の直径(たとえば、約40mmから約45mmの最大直径)をほんのわずかに超える直径に到達することができるようにサイズ決めされている。他の実装形態において、層1714は、35mmの静止時直径および40mmの拡張時直径を有することが可能である。層1714の材料は、大動脈弓の湾曲に合わせるのに十分に可撓性であることが可能である。いくつかの実装形態において、層1714の長さ全体が、多孔性であることが可能である。他の実装形態において、層1714の長さ全体が、非多孔性であることが可能である。さらに他の実装形態において、多孔性のレベルは、層1714の長さの全体を通して変化することが可能である。たとえば、円筒形状の部分1710の遠位部分に沿った層1714の部分は、非多孔性であることが可能であり、円筒形状の部分1710の近位部分に沿った層1714の部分は、多孔性であることが可能である(たとえば、図8に示されているように)。この実施形態では、層1714の多孔性セクションは、大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように、および、血液が患者の頸動脈および鎖骨下動脈の中へ流入することを可能にするように構成され得る。この実施形態の非多孔性セクションは、解離に関連する偽腔に隣接した大動脈の壁と係合するように構成され得る。ワイヤーフレーム1713は、層1714のものを超えるフープ強度および半径方向の力を提供し、内膜に対する層1714の並置を強化する役割を果たす。
【0074】
いくつかの実施形態において、図15A図15Dに示されているワイヤーフレーム1713は、単一のピースのワイヤーから生成され得る。図15Dは、図15A図15Bに示されている大動脈解離インプラントの実施形態の遠位端部1704を示している。第2の拡張可能なコンポーネント1708の背面部分、および、第2の拡張可能なコンポーネントをカバーする層1714の切頭円錐形状の部分は、明確化のために、図15Dに示されていない。単一のワイヤーの遠位部分1720は、ワイヤーフレーム1713の遠位端部1704に位置付けされ得る。単一のワイヤーが曲げられ、拡張可能なアンカリングメカニズムの第1のコンポーネント1706のトリローブ構造体を形成することが可能である。単一のワイヤーの第1の移行部分1718において、ワイヤーは、拡張可能なアンカリング構造体の第2のコンポーネント1708を形成するように曲げられ得る。図示されているように、第2のコンポーネント1708は、インプラントの周囲部の周りに正弦波を形成するワイヤー1713によって作製され得る。単一のワイヤーの第2の移行部分1716において、ワイヤーが曲げられ、概してスパイラルのまたはヘリカル形状の経路にしたがって、ワイヤーフレーム1713の円筒形状の部分1710のZ字形状のまたはジグザグのパターンを形成し始めることが可能である。ワイヤーフレーム1713が形成された後に、遠位部分1720が、第1の移行部分1718に圧着または溶接される。追加的に、コイル1700の近位端部1702において、図15Bに示されているように、単一のワイヤーの近位端部は、単一のワイヤーの近位端部の直接的に遠位にあるコイル1700の部分に圧着または溶接され得る。他の実施形態において、コイル1700は、一緒に溶接されている複数のワイヤーを含むことが可能である。他の実施形態において、単一のワイヤーは、インプラントの遠位(または、近位端部)から他の端部へ延在し、そして戻ることが可能である。
【0075】
図16は、インプラント1802の別の実施形態の部分断面図を図示しており、インプラント1802は、大動脈弓の中に留置されており、下行大動脈の間に、上行大動脈を通って、大動脈基部の中へ延在している。この実施形態では、インプラント1802は、第1の層1814と、第2の層1822と、拡張可能なサポート構造体1800とを含むことが可能である。拡張可能なサポート構造体1800は、図15A図15Dに示されている、および、先述の段落に説明されているワイヤーフレーム1713と同様であることが可能であり、または、それは、補強構造体の先に説明されている実施形態のいずれかと同様であることが可能である。拡張可能なサポート構造体1800は、円筒形状のコイルまたはワイヤーフレームを含むことが可能であり、それは、正弦波パターン、Z字形状パターン、またはジグザグパターンを含むことが可能である。拡張可能なサポート構造体1800は、下行大動脈から上行大動脈へ延在し、大動脈の中に拡張させられたときに、大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成され得る。いくつかの態様において、拡張可能なサポート構造体の遠位端部は、上記に説明されているような拡張可能なアンカリング構造体1815を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、拡張可能なアンカリング構造体1815は、拡張可能なトリローブ構造体1806を含むことが可能であり、拡張可能なトリローブ構造体1806は、患者の大動脈基部の中に位置決めされ、大動脈基部の洞に半径方向の力を印加するように構成され得る。いくつかの実施形態において、拡張可能なアンカリング構造体1815は、正弦波構造体1812を含むことが可能であり、正弦波構造体1812は、洞上行大動脈接合部の中に位置決めされ、洞上行大動脈接合部に半径方向の力を印加するように構成され得る。図16に示されている実施形態では、拡張可能なアンカリング構造体1815は、拡張可能なトリローブ構造体1806および正弦波構造体1812の両方を含む。
【0076】
いくつかの態様において、インプラント1802、および、とりわけ、拡張可能なサポート構造体1800は、少なくとも下行大動脈の中で拡張し、下行大動脈の内側壁を押し付け、それに半径方向の力を印加するように構成され得る。そのような実施形態では、少なくともその近位部分における拡張可能なサポート構造体の直径は、下行大動脈の内径よりも大きくなっている。また、インプラント1802は、インプラントの遠位部分、および、とりわけ、拡張可能な構造体の遠位部分が、上行大動脈の内径よりも小さくなるように構成され得る。
【0077】
第1の層1814は、拡張可能なサポート構造体1800の上方に設けられ得、拡張可能なサポート構造体1800の近位端部から少なくとも正弦波構造体1812へ延在するように構成され得る。いくつかの態様において、第1の層1814は、ファブリック、金属、ポリマー、または生物学的組織から形成され得、層104に関して上記に説明されている材料のいずれかから作製され得る。第1の層1814は、拡張可能なサポート構造体1800が内側にある状態で完全に拡張させられたときに、それが天然の上行大動脈の直径(たとえば、約35mmの最大直径)をほんのわずかに下回る直径に到達することができるようにサイズ決めされている。他の実装形態において、第1の層1814は、35mmの静止時直径および40mmの拡張時直径を有することが可能であり、それがサポート構造体1800によって拡張させられ、天然の下行大動脈の最も内側の壁に接触することができるようになっている。第1の層1814の材料は、大動脈弓の湾曲に合わせるのに十分に可撓性であることが可能である。いくつかの実装形態において、第1の層1814の長さ全体が、非多孔性であることが可能であり、または、多孔性のレベルは、第1の層1814の長さの全体を通して変化することが可能である。図16に示されている大動脈解離インプラントの実施形態では、第1の層1814の長さ全体が多孔性である。第1の層1814の多孔性は、血液が患者の頸動脈および鎖骨下動脈の中へ流入することを可能にするように構成され得る。拡張可能なサポート構造体1800は、層1814のものを超えるフープ強度および半径方向の力を提供し、内膜に対する層1814の並置を強化する役割を果たす。
【0078】
第2の層1822は、第1の層1814の上方に設けられ得、偽腔に隣接した大動脈解離および大動脈壁の部位に接触するように構成され得る。いくつかの態様において、第2の層1822の長さは、第1の層1814の長さよりも小さいことが可能である。第2の層は、トリローブ構造体1806のローブのうちの1つに沿って延在することが可能であり、たとえば、そのローブは、非冠状大動脈洞の中に位置決めされており、他の2つのローブは、カバーされていないままであり、血液が冠状動脈口を通って流れることができるようになっている。第2の層1822は、ファブリック、金属、ポリマー、または生物学的組織から形成され得、それは、第1の層1814のために利用され得る材料のいずれかを含む。図16に示されている第2の層1822の実施形態では、第2の層1822の長さ全体が、非多孔性である。
【0079】
いくつかの実施形態において、第2の層1822の両方の端部は、第1の層1814にシールされ得、第2の層1822は、図16の中の矢印によって示されているように、血液がインプラントを通って流れるときに、バルーンのように拡張するように構成され得る。とりわけ、血液は、第1の層1814を通って流れ、第2の層1822を拡張させることが可能であり、第1の層1814と第2の層1822との間にスペースが存在するようになっている。第2の層1822の拡張時直径は、第1の層1814の直径よりも大きいことが可能である(たとえば、1822に関して45mmに対して、1814に関して35mm)。第2の層1822は、大動脈壁に対して膨張させられたままであることが可能であり、第2の層1822が、大動脈解離部位に半径方向の力を印加し、進入断裂をシールし、血液が偽腔の中へ流入することを防止するようになっている。いくつかの場合において、非多孔性になっている追加的な(第3の)層が、第1の多孔性の層1814と第2の非多孔性の層1822との間に配設され得、第3の層が一方向弁を提供するようになっており、一方向弁は、血液が層1814と層1822との間のスペースに進入することを可能にするが、血液が退出することを防止する。これは、第3の層の中にえら、スロット、またはフラップをレーザーカットするかまたはその他の方法で生成することによって達成され得、それは、血圧が最も高い心臓収縮期の間に、スペースの中へ開くが、血液が退出することを防止する心臓拡張期の間にその圧力が低減されるときに、第1の多孔性の層に対して閉じることが可能である。
【0080】
別の実施形態では、大動脈解離インプラントは、拡張可能なサポート構造体の遠位端部から近位端部へ延在する単一の層を含むことが可能である。単一の層は、膨張可能な非多孔性セクションと、膨張可能な非多孔性セクションの近位にある多孔性セクションとを含むことが可能である。膨張可能な非多孔性セクションは、第2の層1822と同様であることが可能であり、多孔性セクションは、図16に示されている、および、先述の段落で説明されている、第1の層1814と同様であることが可能である。
【0081】
図17は、拡張可能なサポート構造体1900の別の実施形態を図示している。拡張可能なサポート構造体1900は、図19に図示されているように、編組構成を含むことが可能であり、下行大動脈から上行大動脈へ延在し、大動脈の中で拡張させられたときに、大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成され得る。いくつかの態様において、拡張可能なサポート構造体1900は、金属(たとえば、ステンレス鋼またはニチノールなど)、ポリマー、生物学的材料、生体吸収性材料、および/または他の適切な材料のうちの1つまたは複数から形成され得る。他の態様において、拡張可能なサポート構造体1900は、おおよそ15cmの長さおよびおおよそ40mmの直径を有することが可能である。拡張可能なサポート構造体1900のこの実施形態は、先述の段落で説明されている異なる実施形態において使用され得る。
【0082】
図18は、第1のインプラント層2000の別の実施形態を示している。第1のインプラント層2000は、層2008と、遠位の拡張可能なサポート構造体2002と、近位の拡張可能なサポート構造体2004と、軸線方向のサポート構造体2006とを含むことが可能である。いくつかの態様において、層2008は、非多孔性であることが可能であり、ファブリック、金属、ポリマー、または生物学的組織から形成され得る。層2008は、形状が円筒状であることが可能であり、層2008が上行大動脈の形状に一致することができるように可撓性になるように構成され得る。いくつかの実施形態において、層2008の長さは、第1のインプラント層2000を患者の中へ挿入する前の手順のときに調節され得る。いくつかの態様において、層2008は、おおよそ4cmから8cmの長さ、および、おおよそ30mmから40mmの直径を有することが可能である。層2008の遠位部分は、いくつかの実施形態において、切頭円錐状の形状を形成することが可能であり、近位端部においておおよそ30mmのより小さい直径を有し、遠位端部においておおよそ40mmのより大きい直径を有している。
【0083】
遠位および近位の拡張可能なサポート構造体2002、2004は、層2008の上方または中に設けられており、上行大動脈の中で拡張させられたときに、上行大動脈の内膜に対抗して層2008に半径方向の力を印加することが可能である。遠位の拡張可能なサポート構造体2002は、ジグザグパターンを含むことが可能である。近位の拡張可能な構造体2004は、正弦波パターン、正弦波パターン、および/またはトリローブパターンを含むことが可能である。いくつかの態様において、遠位および近位の拡張可能なサポート構造体2002、2004は、金属(たとえば、ステンレス鋼またはニチノールなど)、ポリマー、生物学的材料、生体吸収性材料、および/または他の適切な材料のうちの1つまたは複数から形成され得る。遠位の拡張可能なサポート構造体2002の直径は、35mmから40mmの間にあることが可能である。近位の拡張可能なサポート構造体2004の直径は、おおよそ30mmであることが可能である。
【0084】
また、第1のインプラント層2000は、軸線方向のサポート構造体2006を含むことが可能である。軸線方向のサポート構造体2006は、層2008の上方に設けられるか、層2008の中に設けられるか、層2008の中へ織り込まれ得る。軸線方向のサポート構造体2006は、層2008の遠位端部と近位端部との間に延在することが可能であり、第1のインプラント層2000に補強を提供することが可能である。
【0085】
第1のインプラント層は、患者の大動脈の中に留置され、大動脈解離の部位に対抗する力を提供することが可能である。第1のインプラント層2000の設置に続いて、第2の長期間サポート構造体(たとえば、図15Aまたは図17に示されている拡張可能なサポート構造体)が、大動脈弓に沿って第1のインプラント層の内側に、ならびに、頸動脈および鎖骨下動脈を横切って下行大動脈へ留置され得る。留置の前に、図18の第1の拡張可能なサポート構造体の長さおよび/または直径は、後に留置される拡張可能なサポート構造体とは別個にサイズ決めされ得る。
【0086】
図19Aおよび図19Bは、拡張可能なサポート構造体の別の実施形態を図示している。拡張可能なサポート構造体2100のこの実施形態は、図17に説明されている実施形態と同様に、編組構成を有することが可能であり、下行大動脈から上行大動脈へ延在し、大動脈の中で拡張させられたときに、大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成され得る。いくつかの態様において、拡張可能なサポート構造体2100は、金属(たとえば、ステンレス鋼またはニチノールなど)、ポリマー、生物学的材料、生体吸収性材料、および/または他の適切な材料のうちの1つまたは複数から形成され得る。他の態様において、拡張可能なサポート構造体2100は、おおよそ15cmの長さおよびおおよそ40mmの直径を有することが可能である。拡張可能なサポート構造体2100のこの実施形態は、先述の段落で説明されている異なる実施形態において使用され得る。
【0087】
図19Aは、湾曲した配向の拡張可能なサポート構造体2100を示しており、図19Bは、真っ直ぐな配向の拡張可能な構造体2100を示している。拡張可能なサポート構造体2100は、遠位端部においてアンカリングメカニズム2104を含み、アンカリングメカニズム2104の近位に円筒形状の部分2102を含むことが可能である。アンカリングメカニズム2104は、3つのローブを含むことが可能であり、3つのローブは、患者の大動脈基部の中に位置決めされ、大動脈基部の洞に半径方向の力を印加するように構成され得る。円筒形状の部分2102は、下行大動脈から上行大動脈へ延在し、大動脈の中で拡張させられたときに、大動脈弓の湾曲に沿って湾曲するように構成され得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、大動脈解離インプラントは、先述の段落で説明されているように、製造の間に事前形成され得る。たとえば、インプラントは、おおよそ35mmの湾曲半径、および、150度から180度の湾曲角度を有するベンドを含むように事前形成され得る。このベンドは、大動脈弓の湾曲に沿って位置決めされるように構成され得る。トリローブアンカリング構造体を含むいくつかの実施形態において、事前形成された形状は、非冠状大動脈洞に対して整合させられ得る(たとえば、大動脈弓の主要なベンドは、非冠状大動脈洞からおおよそ90度であることが可能である)。他の実施形態において、図9A図9Cの中のウィンドウ900のような特定の特徴が、また、インプラントの事前形成された湾曲、および/または、上述のような特定のトリローブ特徴と整合させられ得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、大動脈解離インプラントは、先述の段落で説明されているように、可変の寸法を有し、インプラントを固定およびアンカー固定することを支援することが可能である。たとえば、拡張させられた構成のインプラントは、その遠位端部において、比較的に大きい直径(たとえば、たとえば、大動脈基部および/または洞上行大動脈接合部の中にアンカー固定するために、約35mm以上)を有し、中間部分において、比較的に小さい直径(たとえば、解離が起こった脆弱な大動脈壁に追加的な半径方向の力を働かせることなく、たとえば上行大動脈の中に位置決めするために、約30mm以下)を有し、その近位端部において、比較的に大きい直径(たとえば、たとえば下行大動脈の中にアンカー固定するために、約35mm以上)を有することが可能である。他の実施形態において、それは、その近位領域において、比較的により小さい直径(たとえば、30mm以下)を有し、より小さい下行大動脈直径に一致することが可能であり、また、上行大動脈直径がはるかに大きくなって広げられる場合には(たとえば、40mm)、中間部分において、比較的より大きい直径を有することが可能である。
【0090】
開示されるプロセスの中のブロックの任意の特定の順序または階層は、例示的なアプローチの図示であるということが理解される。実装の好みに基づいて、プロセスの中のブロックの特定の順序または階層が再配置され得るということ、または、すべての図示されているブロックが実施されるとは限らないということが理解される。ブロックのいずれかは、同時に実施され得る。1つまたは複数の実施形態において、マルチタスキングおよび並列処理が有利である可能性がある。そのうえ、上記に説明されている実施形態のさまざまなシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されているプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的に、単一のソフトウェア製品の中に一緒に一体化されるか、または、複数のソフトウェア製品の中へパッケージ化され得るということが理解されるべきである。
【0091】
主題の技術は、たとえば、上記に説明されているさまざまな態様にしたがって図示されている。本開示は、本明細書で説明されているさまざまな態様を任意の当業者が実践することを可能にするために提供されている。本開示は、主題の技術のさまざまな例を提供しており、主題の技術は、これらの例に限定されない。これらの態様に対するさまざまな修正例が、当業者に容易に明らかになることとなり、本明細書で定義されている一般的な原理は、他の態様にも適用され得る。
【0092】
単数形の要素への言及は、明確にそのように述べられていない限り、「1つだけ」を意味することを意図しているのではなく、むしろ、「1つまたは複数」を意味することを意図している。そうでないことを明確に述べられていない限り、「いくつかの」という用語は、1つまたは複数を指す。男性の代名詞(たとえば、彼の)は、女性および中性の性別(たとえば、彼女のおよびその)を含み、その逆もまた同様である。見出しおよび小見出しは、存在する場合には、便宜のためだけに使用されており、本発明を限定していない。
【0093】
「例示的な」という語句は、「例または図示としての役割を果たす」ことを意味するために本明細書で使用されている。「例示的な」として本明細書で説明されている任意の態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計よりも好適なまたは有利なものとして解釈されるべきではない。1つの態様では、本明細書で説明されているさまざまな代替的な構成および動作は、少なくとも同等であると考えられ得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、一連の項目に先行する「のうちの少なくとも1つ」という句は(項目のいずれかを分離するために「または」という語句を伴う)、リストのそれぞれの項目というよりもむしろ、全体としてリストを修正する。「のうちの少なくとも1つ」という句は、少なくとも1つの項目の選択を必要としない。むしろ、この句は、項目のうちの任意の1つのうちの少なくとも1つ、および/または、項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、および/または、項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という句は、Aのみ、Bのみ、もしくはCのみ;または、A、B、およびCの任意の組み合わせを指すことが可能である。
【0095】
「態様」などのような句は、そのような態様が主題の技術に必須であるということ、または、そのような態様が主題の技術のすべての構成に適用されるということを暗示するものではない。ある態様に関係する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に適用され得る。態様は、1つまたは複数の例を提供することが可能である。ある態様などのような句は、1つまたは複数の態様を指す可能性があり、その逆もまた同様である。「実施形態」などのような句は、そのような実施形態が主題の技術に必須であるということ、または、そのような実施形態が主題の技術のすべての構成に適用されるということを暗示するものではない。ある実施形態に関係する開示は、すべての実施形態、または、1つもしくは複数の実施形態に適用され得る。実施形態は、1つまたは複数の例を提供することが可能である。ある実施形態などのような句は、1つまたは複数の実施形態を指す可能性があり、その逆もまた同様である。「構成」などのような句は、そのような構成が主題の技術に必須であるということ、または、そのような構成が主題の技術のすべての構成に適用されるということを暗示するものではない。ある構成に関係する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に適用され得る。構成は、1つまたは複数の例を提供することが可能である。ある構成などのような句は、1つまたは複数の構成を指す可能性があり、その逆もまた同様である。
【0096】
1つの態様では、別段の記載がない限り、本明細書(以下に続く特許請求の範囲を含む)に記載されているすべての測定値、値、レーティング、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、概算であり、正確ではない。1つの態様では、それらは、それらが関連する機能と一貫する、および、それらが関係する技術分野において慣習的であるものと一貫する、合理的な範囲を有することを意図している。
【0097】
いくつかのまたはすべてのステップ、動作、またはプロセスは、ユーザーの介入なしに自動的に実施され得るということが理解される。方法の請求項は、例としての順序で、さまざまなステップ、動作、またはプロセスの要素を提示するために提供されている可能性があり、提示されている特定の順序または階層に限定されることを意味していない。
【0098】
当業者に知られているかまたは後に知られることとなる、本開示の全体を通して説明されているさまざまな態様の要素に対するすべての構造的なおよび機能的な均等物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれており、添付の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。そのうえ、本明細書で開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に提供されることを意図していない。請求項の要素は、その要素が「~のための手段(means for)」という句を使用して明示的に記載されてない限り、または、方法のケースでは、要素が「~のためのステップ(step for)」という句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。そのうえ、「含む」または「有する」などの用語が使用されている範囲において、そのような用語は、「含む(comprise)」が請求項の中の移行句として用いられるときに解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様の様式で包含的であることを意図している。
【0099】
本開示の発明の名称、背景技術、図面の簡単な説明、および特許請求の範囲は、これによって本開示に組み込まれており、限定的な説明としてではなく、本開示の例示目的の例として提供されている。それらが特許請求の範囲または意味を限定するために使用されることとはならないという理解とともに、それは提出されている。加えて、詳細な説明において、本説明は、例示目的の例を提供しており、本開示を合理化する目的のために、さまざまな特徴が、さまざまな実施形態において一緒にグループ化されているということが見られ得る。本開示のこの方法は、特許請求されている主題が、任意の請求項の中に明示的に記載されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された構成または動作のすべての特徴よりも少ないものにある。以下の特許請求の範囲は、これによって詳細な説明に組み込まれており、それぞれの請求項は、別個に特許請求されている主題を表すために自立している。
【0100】
特許請求の範囲は、本明細書で説明されている態様に限定されることを意図しているのではなく、特許請求の範囲の文言と一致する完全な範囲に与えられ、すべての法的な均等物を包含するものとする。それにもかかわらず、特許請求の範囲は、米国特許法第101条、102条、または103条の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、それらはそのように解釈されるべきでもない。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
図19A
図19B