(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】電気化学セルの乾燥粉末被覆層のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20241224BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20241224BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20241224BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241224BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20241224BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/04 Z
H01M10/0585
H01M50/403 F
H01M50/403 A
H01M50/403 B
H01M50/403 D
H01M4/66 A
H01M10/0562
(21)【出願番号】P 2021564263
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 US2020032836
(87)【国際公開番号】W WO2020232222
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-01-31
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521470814
【氏名又は名称】ドラゴンフライ エナジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フェアズ,デニス
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243395(JP,A)
【文献】特表2014-523624(JP,A)
【文献】特表2016-517139(JP,A)
【文献】特表2016-512384(JP,A)
【文献】特開2016-213106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04-66
H01M 10/04-587
H01M 50/40-497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子層を形成するためのシステムであって
電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む粒子を基板の方向へ噴霧するように構成された少なくとも1つの噴霧器;
前記基板の第1の領域内の粒子から前記基板を選択的にマスクするために移動可能な第1のマスクであって、前記第1のマスクはアクチュエータにより作動されるクランプであり、前記クランプは前記基板を選択的に把持するように構成される、第1のマスク;
前記基板の第2の領域内の粒子から前記基板を選択的にマスクするために移動可能な第2のマスク;及び、
前記基板を加熱するように構成されたヒータを含み、
前記少なくとも1つの噴霧器は前記粒子の噴霧を前記第1のマスクと前記第2のマスクとの間の前記基板の一部の方向へ向ける、システム。
【請求項2】
前記アクチュエータは空気圧、流体圧、又は電気的アクチュエータである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの噴霧器は、前記基板の第1の側の方向へ粒子を噴霧するように構成された第1の噴霧器及び前記基板の第1の側に対向する前記基板の第2の側の方向へ粒子を噴霧するように構成された第2の噴霧器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のマスクは前記基板に電気的に接触するように構成された第1の電極であり、前記第2のマスクは前記基板に電気的に接触するように構成された第2の電極であり、前記ヒータは前記基板を抵抗加熱するために前記基板を介し電流を前記第1のマスクから前記第2のマスクへ通すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの噴霧器に対し前記基板の少なくとも一部を移動するように構成されたコンベヤーをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンベヤーは第1のローラ及び第2のローラを含み、前記第1のローラ及び第2のローラは、前記基板の少なくとも一部が前記第1のローラから前記第2のローラの方向へ移動するように前記基板を移動するように構成され、前記基板は前記第1のローラから巻き戻され、前記第2のローラ上へ巻き付けられる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンベヤーは前記粒子が前記基板の方向へ噴霧されている間に前記基板を前記少なくとも1つの噴霧器に対し移動するように構成され、前記第1のマスク及び前記第2のマスクは前記基板と同期して移動する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
金属箔である前記基板をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記粒子は結合剤をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの噴霧器は第1の噴霧器及び第2の噴霧器を含み、前記第1の噴霧器は前記基板上に配置される第1の層を形成するために前記基板の方向へ第1の粒子を噴霧するように構成され、前記第2の噴霧器は前記第1の層上に配置される第2の層を形成するために前記基板の方向へ第2の粒子を噴霧するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
材料層
の噴霧堆積方法であって、
基板の第1の領域をマスクすること;
前記基板の第2の領域をマスクすること;
前記基板を加熱すること;及び
第1の層を前記基板上に形成するために、電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第1の粒子を前記加熱された基板の方向へ噴霧することを含み、
前記基板の前記第1の領域をマスクすることは、第1のクランプにより前記基板を把持することを含む、方法。
【請求項12】
前記第1の粒子を前記加熱された基板の方向へ噴霧することは前記基板の第1の側及び前記第1の側に対向する前記基板の第2の側の方向へ前記第1の粒子を噴霧することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板を加熱することは、前記基板を抵抗加熱するために、前記基板に接触する第1のマスク及び前記基板に接触する第2のマスクを介し電流を前記基板に通すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記基板の前記第2の領域をマスクすることは第2のクランプにより前記基板を把持することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2のクランプに対して前記基板を移動することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の粒子が前記加熱された基板の方向へ噴霧される間に前記基板を移動することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の層をカレンダー加工することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の粒子は結合剤をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の層上に配置される第2の層を形成するために第2の粒子を前記第1の層上へ噴霧することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
電極を形成する方法であって、
基板の第1の領域をマスクして前記第1の領域内の前記基板上の材料
堆積を禁じること;
前記基板の第2の領域をマスクして前記第2の領域内の材料
堆積を禁じること;
第1の層を形成するために、電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第1の粒子を前記基板へ
噴霧して堆積させること;及び
前記第1の層上に配置される第2の層を形成するために、前記電気化学材料、前記イオン伝導性材料、前記電気伝導性材料及び前記隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第2の粒子を前記第1の層へ
噴霧して堆積させることを含み、
前記基板の前記第1の領域をマスクすることは第1のクランプにより前記基板の前記第1の領域を把持することを含む、方法。
【請求項21】
前記第1の粒子及び前記第2の粒子を
噴霧して堆積させることは前記第1の粒子を前記基板の方向へ噴霧すること及び前記第2の粒子を前記第1の層の方向へ噴霧することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の粒子は前記電気化学材料を含み、前記第2の粒子は前記隔離板材料及び/又は前記イオン伝導性材料を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の層及び前記第2の層を順次カレンダー加工することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の層及び前記第2の層を同時にカレンダー加工することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記基板を加熱することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記基板を加熱することは、前記基板を抵抗加熱するために、前記基板に接触する第1のマスク及び前記基板に接触する第2のマスクを介し電流を前記基板に通すことを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記基板の前記第2の領域をマスクすることは第2のクランプにより前記基板の前記第2の領域を把持することを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、その開示の全体を参照により本明細書に援用する2019年5月16日出願の米国仮特許出願第62/848,849号に対する合衆国法典第35巻第119条(e)下の優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
[0002] 開示される実施形態は電気化学セルの乾燥粉末被覆層のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] リチウムイオン電池は通常、電極間のリチウムイオンの拡散に対し浸透性である電気的絶縁材料により分離された2つ以上の電極を含む。いくつかの事例では、一方の電極は銅基板上へ被覆される陽極材料を含み、他方はアルミニウム基板上へ被覆される陰極材料を含む。これらの電極の製造は慣習的に、スラリー方法(電気化学材料(例えば陽極又は陰極材料)が、適切な溶剤(例えば通常N-メチルピロリドン)中に溶解された高分子結合剤(例えば典型的にはフッ化ビニリデン樹脂PVDF)と混合される)を使用して行われる。その結果のスラリーは電極基板上へ被覆される。その後、溶剤は、電極表面上に電気化学材料の乾燥層を形成するために蒸発され再利用される。電池内への組み込みに先立って溶剤のすべてを電極から除去するために、膨大な量の時間及びエネルギーが、堆積スラリーを乾燥するために役立つ大きなコンベヤーオーブン及び真空乾燥器の使用の際に費やされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] いくつかの実施形態では、粒子層を形成するためのシステムは、電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む粒子を基板の方向へ噴霧するように構成された少なくとも1つの噴霧器を含む。本システムはまた、基板の第1の領域内において粒子から基板を選択的にマスクするために移動可能な第1のマスク及び基板の第2の領域内において粒子から基板を選択的にマスクするために移動可能な第2のマスクを含み、少なくとも1つの噴霧器は粒子の噴霧を第1のマスクと第2のマスクとの間の基板の一部の方向へ向ける。本システムはまた、基板を加熱するように構成されたヒータを含む。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態では、材料層を堆積する方法は、基板の第1の領域をマスクすること、基板の第2の領域をマスクすること、基板を加熱すること、及び第1の層を基板上に形成するために、電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第1の粒子を、加熱された基板の方向へ噴霧することを含む。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、電極を形成する方法は、基板の第1の領域をマスクして第1の領域内の基板上の材料堆積を禁じること、基板の第2の領域をマスクして第2の領域内の材料堆積を禁じること、第1の層を形成するために、電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第1の粒子を基板へ塗布すること、及び第1の層上に配置される第2の層を形成するために、電気化学材料、イオン伝導性材料、電気伝導性材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第2の粒子を第1の層へ塗布すること、を含む。
【0007】
[0007] 前述の概念及び以下に論述される追加概念は本開示がこの点に関し制限されないため任意の好適な組み合わせで配置され得るということを理解すべきである。さらに、本開示の他の利点及び新規な特徴は添付図面と併せて考察されると様々な非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【0008】
図面の簡単な説明
[0008] 添付図面は原寸に比例して描かれるように意図されていない。添付図面において、様々な図に示されるそれぞれの同一又はほぼ同一部品は同様な参照符号により表され得る。明暸性の目的のため、すべての部品がすべての図面においてラベル付けされないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]噴霧
堆積システムの一実施形態の側面概略図である。
【
図2】[0010]材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図3】[0011]材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図4】[0012]材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図5】[0013]材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システムの上面概略図である。
【
図6】[0014]材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システムの上面概略図である。
【
図7】[0015]材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システムの上面概略図である。
【
図8】[0016]
図1の噴霧
堆積システムにより生成された材料の上面概略図である。
【
図9】[0017]
図8の材料の側面概略図である。
【
図10】[0018]噴霧
堆積システムの別の実施形態の側面概略図である。
【
図11】[0019]材料
堆積過程中の
図10の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図12】[0020]材料
堆積過程中の
図10の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図13】[0021]材料
堆積過程中の
図10の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図14】[0022]
図10の噴霧
堆積システムにより生成された材料の上面概略図である。
【
図16】[0024]噴霧
堆積システムにより生成された材料の一実施形態の上面概略図である。
【
図18】[0026]材料
堆積過程中の噴霧
堆積システムのさらに別の実施形態の側面概略図である。
【
図19】[0027]材料
堆積過程中の
図18の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図20】[0028]材料
堆積過程中の
図18の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図21】[0029]材料
堆積過程中の
図18の噴霧
堆積システムの側面概略図である。
【
図22】[0030]材料
堆積過程中の噴霧
堆積システムのさらに別の実施形態の上面概略図である。
【
図23】[0031]材料
堆積過程中の噴霧
堆積システムのさらに別の実施形態の側面概略図である。
【
図24】[0032]材料
堆積過程中の噴霧
堆積システムのさらに別の実施形態の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
[0033] 本発明者らは、電気化学セルの乾燥粉末製造のための従来の処理が長尺の被覆材料を生成してきたということを認識した。具体的には、これらの処理は連続的又は半連続的のいずれかで行われるため、間隙の無い一様な被膜が、これらの方法を使用して基板上に形成される。したがって、電池セル製造過程中に電気的リードを集電体へ取り付けるための好適な場所を形成することは、カレンダー加工に先立って堆積材料の一部を削除することに関わり得る。さらに、これらの処理が抵抗加熱された基板を使用してきたいくつかの事例では、電流は、全抵抗及びしたがって電池層形成過程のエネルギー消費量を増加し得る基板の裸部分及び基板の対応被覆部を介し、基板内に入りそれから出る。
【0011】
[0034] 上記を考慮し本発明者らは、電気化学セルの基板(集電体など)上へ堆積される1つ又は複数の層を形成するためのシステムの恩恵を認識した。電気化学セルの基板では、所望材料が基板の1つの対向面又は2つの対向面のいずれかの上の基板上に層(例えば電極層、隔離板層、固体電解質層など)を形成するために基板上へ噴霧される又はそうでなければ塗布される間に2つ以上のマスクが基板の少なくとも1つの第1の領域及び第2の領域を選択的に覆い得る。2つ以上のマスクは、第1の領域及び第2の領域がその上の1つ又は複数の層の堆積後に基板の裸領域として維持されるように、第1の領域及び第2の領域が噴霧材により被覆されるのを防止し得る。堆積層が基板の1つ又は2つの対向側へ塗布されるかに依存して、これらのマスク及び基板の対応するマスクされた裸領域は基板の1つ又は2つの対向側に位置し得る。いくつかの実施形態では、裸領域は、そうでなければ連続なロールの基板が個別電極を形成するために分離され得る領域を表すために使用され得る。裸領域はまた、その後の電池形成過程中に電気的リードを集電体へ溶接するために使用され得る。
【0012】
[0035] 本発明者らはまた、基板上へ堆積された層に電流を通すこと無くマスク間の基板に電流を通すために、基板の裸領域に接触する2つ以上のマスクを採用する恩恵を認識した。したがって、このようなシステムにより基板内に発生される抵抗性熱は、電流が介在層を通ること無く下地基板内へそして下地基板から直接通されるとより安定且つ効率的となり得る。これはまた、基板内の熱発生のエリアを、材料がマスク間の基板上へ噴霧される標的領域に対応する基板の一部分内となるように制限し得る。本発明者らはまた、このような構成が、マスクにより維持された裸部分を介し基板が抵抗加熱される間に様々な材料の複数層が順に堆積されることを可能にし得る、ということを認識した。
【0013】
[0036] いくつかの実施形態では、基板上に粒子層を形成するためのシステムは、電気化学材料、イオン伝導性材料、隔離板材料、導電材料、結合剤、上記の組み合わせ、及び/又は電気化学セル内に基板の方向へ層を形成するための任意の他の適切な材料のグループから選択された少なくとも1つを含む粒子を帯電及び噴霧するように構成された少なくとも1つの噴霧器を含む。それにもかかわらず、このような粒子は、電極層(例えば陽極又は陰極)、固体電解質層、隔離板層、又は任意の他の望ましい材料層を形成するために独立に又は組み合わせて使用され得る。本システムはまた、粒子から基板の第1の領域を選択的にマスクするために移動可能な第1のマスク及び粒子から基板の第2の領域を選択的にマスクするために移動可能な第2のマスクを含み得る。第1のマスク及び第2のマスクは、粒子から基板の第1及び第2の領域を覆い得るクランプ、シールド又は他の好適な移動可能物であり得る。第1の領域及び第2の領域は、基板の対応する裸領域が少なくとも1つの噴霧器により被覆される基板の標的領域の対向側に配置されるように、少なくとも1つの噴霧器が向けられる基板の標的領域の対向側に配置され得る。したがって、堆積される材料層は基板の長さに沿った画定された標的領域に限られ得る。
【0014】
[0037] いくつかの実施形態では、上述のシステムはまた、基板を加熱するように構成されたヒータを含み得る。第1のマスク及び第2のマスクは、電流を第1及び第2のマスク間の基板に通すように構成された第1及び第2の電極として構成され得る。この実施態様によると、ヒータは、基板を内部で抵抗加熱するために電流を基板を介し第1のマスクから第2のマスクへ通すように構成され得る。しかし、以下に詳述されるように、本開示はそのように限定されないため、放射型、導電型、及び/又は対流型加熱方法などの様々な加熱方法が基板を加熱するために1つ又は複数のヒータにより使用される実施形態もまた構想される。
【0015】
[0038] いくつかの実施形態では、所望材料の層を基板上へ堆積する過程は以下のことを含み得る。最初に、基板の長さに沿って互いに離間された第1の領域及び第2の領域がマスクされ得る。次に、基板は加熱(例えば、抵抗加熱)され得る。次に、複数の粒子が基板上へ噴霧され得る。いくつかの実施形態では、粒子は溶剤を使用すること無く噴霧され得る。さらに、いくつかの実施形態では、粒子は、第1の材料と結合剤との混合物、結合剤により予被覆された材料、及び/又は基板及び/又は下位層へ結合することができる材料自体であり得る。それにもかかわらず、一実施形態では、粒子は、アエロゾル化され得る又はそうでなければ任意の好適なやり方で基板の標的領域の方向へ向けられる粒子の噴霧へ変換され得る。いくつかの例では、アエロゾル化された粒子は基板上へ堆積される前に適切に帯電され得る。基板及びその上に既に堆積された任意の層が加熱されることのおかげで、堆積された材料は、その上に配置される所望層を形成するために、加熱された基板又は層へ接着し得る。
【0016】
[0039] いくつかの実施形態では、基板上に2つ以上の材料層を堆積することが望ましいかもしれない。このような実施形態では、電気化学材料、イオン伝導性材料、導電材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第1の粒子が基板へ塗布され得る。いくつかのケースでは、これらの第1の粒子は塗布されると陽極又は陰極などの第1の電極層を基板上に形成し得る。例えば、第1の電極層は電気化学材料及び固体電解質の両方を含み得る。次に、第1の粒子とは異なる電気化学材料、イオン伝導性材料、導電材料及び隔離板材料のグループから選択された少なくとも1つを含む第2の粒子が第1の層の上の基板へ塗布され得る。第1の層が電極層である実施形態では、第2の粒子は、電極層の上に配置される隔離板層及び/又は固体電解質層を形成するための材料から作製され得る。次に、いくつかのアプリケーションでは、第2の電極層は隔離板層及び/又は固体電解質層上に堆積され得る。例えば、電池電極製造プロセスの一実施形態では、陽極層、固体電極及び/又は隔離板層並びに陰極層は、本明細書において開示される方法及びシステムを使用して基板上へ順次堆積され得る。当然、本明細書において説明されるシステム及び方法は、本開示がそのように制限されないため、任意の所望アプリケーションのための任意の好適な数の材料層を形成するために使用され得る。
【0017】
[0040] 開示された堆積システムは材料堆積過程中に基板を加熱するために使用され得る任意の好適なヒータを含み得るということを理解すべきである。例えば、一実施形態では、ヒータは、基板内に内部熱を発生するために電流を基板に通すことにより基板を抵抗加熱するように構成され得る。代替的に、噴霧堆積システムと共に採用されるヒータは、対流熱伝達、伝導性熱伝達及び/又は放射熱伝達含む任意の適切なやり方で熱を基板及び関連堆積層へ伝達し得る。例えば、適切なタイプのヒータは、限定しないが:放射ヒータ;基板が通過する滑らかな加熱ガラス又はローラ面などの加熱面;基板が通過する加熱されたオーブン又は他の環境;熱風送風機;又は熱を基板へ伝達することができる任意の他の適切な装置を含み得る。当然、本開示は基板を加熱するためのいかなる特定構成のヒータにも限定されないため上記ヒータの組み合わせもまた構想される。
【0018】
[0041] いくつかの実施形態では、粒子層を基板上に形成するためのシステムは、基板及び基板上に堆積された1つ又は複数の材料層が対向カレンダーローラ間を通過するとこれらを圧縮及び任意選択的に加熱して1つ又は複数の材料層を緻密化するように構成された1又は複数対のカレンダーローラを含む。いくつかの実施形態では、カレンダーローラは、追加材料層を堆積すること及び/又は所望の層形成過程を完了することに先立って堆積材料を緻密化する及び/又は基板へ十分に固着するために堆積材料がカレンダー加工され得るように製造ラインに沿った各噴霧器に続く位置に配置され得る。代替的に、基板がシステム内を移動する方向に沿った複数の噴霧器に続く位置に配置されたシステムに含まれる一対のカレンダーローラが存在し得る。噴霧器は別個の材料層を順次堆積し得る。したがって、このような配置は、複数の堆積材料層が単一対のカレンダーローラにより同時にカレンダー加工されることを可能にし得る。したがって、本開示はいかなる特定配置へも限定されないため任意の適切な数のカレンダーローラが任意数の適切な場所においてシステム内に含まれ得るということを理解すべきである。
【0019】
[0042] いくつかの実施形態によると、粒子層製造過程は半連続又は連続過程であり得る。半連続過程では、基板は、基板を様々な噴霧器、ヒータ、カレンダーローラ、及び/又は他の部品に対してシステム内を移動させるように構築されたコンベヤーによりシステムに断続的に通され得る。例えば、コンベヤーは、基板がローラ間のシステム内を基板の予め選択された長さだけ進むために第1のローラから巻き戻され、第2のローラ上へ巻き付けられ得る一対のローラに対応し得る。少なくとも1つの噴霧器並びに少なくとも1つの第1及び第2のマスクは、ローラ間に延伸する基板の経路に沿った第1のローラと第2のローラとの間に配置され得る。第1のマスク及び第2のマスクは基板が静止している間に基板の第1の領域及び第2の領域をそれぞれ選択的に覆うために移動可能であり得る。次に、少なくとも1つの噴霧器は材料を第1及び第2のマスクされた領域間の基板の標的領域に堆積し得る。次に、第1及び第2のマスクは、その上で第1のローラ及び第2のローラが基板を進み得る第1の領域及び第2の領域を解放する又はそうでなければ覆わなくするために移動され基板と接触しなくなり得る。この半連続過程は基板全体に関して複数回繰り返され得る。材料が順次進められると、マスクは基板の様々な領域を覆い、材料は、隣接標的領域間の基板の領域を堆積材料の無い状態に維持しながら基板の長さに沿った複数の標的領域上へ堆積される。別の実施形態では、この過程は連続的であり得、ここでは、第1のマスク及び第2のマスクは、基板が第1のローラから連続的に巻き戻され第2のローラ上へ巻き付けられると発生し得るように、基板がシステムに連続的に通されると、基板と同期して移動し得る。追加マスクが基板の他の領域を覆い得る。さらに、基板がシステムを通過すると少なくとも1つの固定又は可動噴霧器が材料を基板上へ堆積し得る。したがって、このような配置は材料が基板上へ連続的に堆積されることを可能にし得る。当然、本明細書において説明される例示的実施形態によるシステムは、本開示がそのように制限されないため連続的、半連続的、又は非連続的やり方で使用され得る。
【0020】
[0043] システムは、材料を基板上へ堆積するために使用される1つ又は複数の噴霧器に対して基板をシステムを介し輸送するための任意の適切なタイプのコンベヤーを含み得る。例えば、コンベヤーは基板をシステムを介し上流位置から下流位置の方向へ移動し得る。適切なタイプのコンベヤーは、限定しないが:本明細書に開示されるように、基板が1つのローラから巻き戻され他のローラ上へ巻き付けられるようにその間に延伸し得る対向ローラ;基板がその上に配置される移動可能プラットフォーム及び/又はコンベヤーベルト;及び/又は1つ又は複数の層をその上に堆積するためのシステムを介し基板を移動することができる任意の他の適切な装置又は構造を含む。
【0021】
[0044] 本明細書で使用されるように、マスクは、マスクにより覆われた領域内の基板上へ粒子が噴霧される又はそうでなければ堆積されることを禁じるために基板の所望部分を実質的に覆うために好適な任意の固体物を指す。いくつかの実施形態では、マスクは、基板の所望部分へ移動され接触し得るクランプ又は他の選択的移動可能部品として構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、マスクは、噴霧された粒子が基板のマスクされた部分を覆うことをさらに禁止するために基板をクランプし得る。他の実施形態では、マスクは、基板と物理的に接触すること無く基板の一領域又は一部分から粒子を効果的にそらすために噴霧器と基板との間に配置されるシールドとして構成され得る。したがって、マスクは、マスクの下にある基板の一部が、材料層が基板上へ堆積された後に裸のままであるように材料が基板上へ堆積されることを禁じる任意の好適な構造であり得る。再び、基板をマスクすることができる任意の適切な構造が使用され得るが、可能な構造は、限定しないがケーシング、覆い、包装、エンベロップ、シールド、シース、及び/又は任意の他の適切な構造を含み得る。さらに、これらのマスクは、実施形態に依存して静的であり得る及び/又は基板と接触するように及び基板と接触しなくなるように移動可動であり得る。
【0022】
[0045] 特定アプリケーションに依存して、上述の基板上へ噴霧される粒子は、電気化学セル内に1つ又は複数の層(限定しないが陽極、陰極、隔離板、及び/又は固体電解質層を含む)を形成する際に使用される任意の適切な材料に対応し得る。これらの材料は、イオン伝導性材料、電気化学材料、隔離板材料、導電材料、結合剤、上記の組み合わせ、及び/又は任意の他の適切な材料を含み得る。さらに、特定材料に依存して、材料はそれ自体が堆積され得る、結合剤と混合され得る、及び/又は材料は結合剤により予被覆され得る。したがって、本開示はそのように限定されないため、基板上に堆積層を形成するために単一材料を含む粒子が基板上へ噴霧される実施形態と、基板上に堆積層を形成するために様々な材料の組み合わせを含む粒子が共噴霧される及び/又は共アエロゾル化される実施形態とが両方とも構想される。
【0023】
[0046] 上に指摘したように、いくつかの実施形態では、説明された材料及びプロセスは、電気化学セルの製造において使用される1つ又は複数の層を形成するために使用され得る。これらの層は、陽極、陰極、隔離板層、固体電解質層、及び/又は所望電気化学セル内に存在する任意の他の適切な層の1つ又は複数を含み得る。電気化学セルの例は限定しないが電池(一次及び二次)、スーパーキャパシタ、燃料セル、及び/又は任意の他の適切な電気化学セルを含み得る。しかし、本明細書において説明される特定材料及びプロセスは主として電気化学セル及びより具体的にはリチウムイオンベース化学物質に向けられるが、本開示はいかなる特定用途及び/又は化学的性質にも限定されないため、今説明した方法及び装置は、結合剤と混合され結合剤で被覆される任意の適切なタイプの粒子材料、及び/又は様々なタイプの電気化学セル化学物質を含む所望基板へ接着するために適切な材料特性を有する任意の適切なタイプの粒子材料を製造及び堆積するために使用され得る、ということを理解すべきである。
【0024】
[0047] 電気化学セルの上述の層の製造を容易にするために、本明細書において説明される方法を使用して他の層の上に配置される別個の層内に様々なタイプの材料を順次堆積することが望ましいかもしれない。例えば、一実施形態では、電気化学材料などの第1の電気化学材料を含む第1の粒子が電気化学セルの陽極又は陰極に対応する第1の活性層を形成するために電極上へ堆積され得る。次に、第1のイオン伝導性材料又は隔離板材料などの第2の材料が電極上に隔離板又は固体の電解質層を形成するために第1の活性層上へ堆積され得る。次に、第2の電気化学材料などの第3の材料が電気化学セルの陽極及び陰極の他方に対応する第2の活性層を形成するために第2の層上へ堆積され得る。代替的に、他の活性層が、別個の電極上へ堆積され、積み重ね過程又は巻き取り過程のいずれかを介し他の層と共に組み立てられ得る。いくつかの実施形態では、高圧カレンダー加工が、様々な層の堆積の間に及び/又は層のそれぞれが基板上へ堆積された後に同時にのいずれかで様々な層を緻密化するのを助けるために使用され得る。
【0025】
[0048] 本開示方法及びシステムと共に使用され得る可能な電気化学材料は、限定しないがコバルト酸リチウム(LCO)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムマンガンコバルト酸化物(LMCO)、燐酸鉄リチウム(LFP)、燐酸リチウムマンガン鉄(LMFP)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)、チタン酸リチウム(LTO)、シリコン、硫黄、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。特定タイプの電気化学材料が上に列挙されたが、本開示はこれらの材料だけに限定されないため任意の適切な電気化学材料が使用され得るということを理解すべきである。
【0026】
[0049] 本開示方法及びシステムと共に使用され得る可能な導電材料は、限定しないが炭素(例えば黒鉛)及び/又は特定電気化学セルにおいて使用するために適切な任意の他の適切な導電材料を含み得る。炭素はいくつかの実施形態では電気化学材料(例えばリチウムイオン陽極)としても使用され得るということに注意すべきである。
【0027】
[0050] 本開示の目的のために、イオン伝導性材料は、材料のバルクを介したイオンの輸送及び/又は材料と粒子表面上に配置される結合剤材料の層との界面に沿ったイオンの輸送の両方を容易にする材料を含み得る。例えば、Li2O粒子はリチウムイオンを粒子のバルクを介し輸送し得る。対照的に、TiO2は、ポリエチレンオキシド(PEO)と合成されると、これらの材料のいずれかと比較してリチウムイオンの増強された輸送を呈示し得、これは理論より束縛されることを望まないがTiO2粒子とPEO結合剤との界面に沿ったリチウムイオンの増強された輸送に起因し得る。当然、いくつかの粒子結合剤組み合わせがこれらの効果の一方又は両方のいずれかを呈示し得るということが構想される。しかし、いずれの場合も、これらの材料は本出願の目的のためにはイオン伝導性材料であると依然として考えられる。
【0028】
[0051] 上記を考慮し、本開示方法及びシステムと共に使用され得る可能なイオン伝導性材料は、金属酸化物及び/又は結合剤との界面に沿ったイオンの輸送を容易にする金属酸化物などの1つ又は複数のイオン伝導性セラミック(Al2O3、SiO2、TiO2、MgO、ZnO、ZrO2、CuO、CdO及びLi2Oなど)を含み得る。代替的に及び/又は上述の金属酸化物と組み合わせて、イオン伝導性材料は、Li2S、P2S5及びxLi2S-(1-x)P2S5のうちの1つ又は複数などのイオン伝導性ガラスであり得る。特定タイプのイオン伝導性材料が上に列挙されたが、本開示はこれらの材料だけに限定されないため任意の適切なイオン伝導性材料が使用され得るということを理解すべきである。
【0029】
[0052] いくつかの実施形態では、上述のイオン伝導性材料は固体電解質層を形成するために使用され得る。代替的に、これらの材料は当該層のイオン伝導率を増加するために1つ又は複数の他の材料(電気化学材料、隔離板材料、導電材料、及び/又は任意の他の適切な材料など)と混合され得る。
【0030】
[0053] 上に指摘したように、いくつかの実施形態では、隔離板層は電気化学セルの電極など以前に堆積された材料層上に形成され得る。このような実施形態では、隔離板は、限定しないがポリエチレン、プロルプロピレン又は他のポリマを含む任意の好適な数の材料で形成され得る。他のいくつかの実施形態では、隔離板層はポリマと混合されたセラミック粒子で形成され得る。このような実施形態では、セラミック粒子は噴霧堆積過程中にポリマと合成され得る。例えば、セラミック粒子との予混合ポリマ粒子又はセラミック粒子との気相混合及び共堆積ポリマ粒子が使用され得る。代替的に、セラミック粒子は噴霧堆積に先立ってポリマにより予被覆され得る。
【0031】
[0054] 本開示方法及びシステムと共に使用され得る適切なタイプの結合剤は、限定しないが任意の適切な熱可塑性ポリマを含み得る。本明細書において説明される方法及びシステムを使用することにより溶剤の使用の無い材料層の堆積はその結果の電気化学セルの特性を改善し得るが溶媒ベース堆積過程では通常使用されない結合剤材料の使用を可能にし得るということに留意すべきである。例えば、典型的結合剤よりイオン伝導性及び/又は電子伝導性であるが典型的溶剤中に容易に溶解可能でない結合剤が、予被覆された粒子を形成するために使用され得る。したがって、適切なポリマは、限定しないがフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンスルフィド、及び/又は上記ものの組み合わせを含み得る。
【0032】
[0055] 使用される特定結合剤に依存して、使用される結合剤材料のイオン伝導率を増加することが望ましいかもしれない。したがって、いくつかの実施形態では、イオン伝導性塩がイオン伝導率を改善するために結合剤中に溶解され得る。このような実施形態では、リチウム塩が結合剤の熱可塑性プラスチック材料中に溶解され得る。このような実施形態では、熱可塑性結合剤材料は、本明細書において説明されるポリマの任意のものに対応し得、その中に溶解されるリチウム塩を含み得る。適切なリチウム塩は限定しないがLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiTf、LiTFSI、LiBETI、LiCTFSI、LiBOB、LiTDI、LiPDI、LiDCTA及びLiB(CN)4を含む。1つの特定実施形態では、リチウム塩はPEO-LiXを形成するためにPEO中に溶解され得る。当然、非リチウムベース塩を含む他のタイプの塩が、結合剤と共に使用される電気化学セルの特定化学的性質に依存して使用され得る。
【0033】
[0056] 上に既に述べたように、いくつかの実施形態では、結合剤は、別の材料と共噴霧される別個の粉末として材料層の噴霧堆積中に塗布され得る及び/又は結合剤は所望材料の粒子上へ予被覆され得るかのいずれかである。いずれの場合も、任意の適正量の結合剤が、材料層を基板又は下位材料層へ結合するための結合剤材料特性と組み合わせた所望導電率を提供するために材料層内に含まれ得る。したがって、結合剤を含む材料層は、1%、10%、20%以上である割合の結合剤又は任意の他の適切な割合の結合剤を含み得る。これに応じて、材料層は、40%、30%、20%、10%以下である割合又は任意の他の適切な割合で結合剤を含み得る。本開示はそのように限定されないため、例えば1%~40%又は1%~10%に等しい割合の結合剤を有する材料層若しくは上記割合を越える又は上記割合未満の両割合である任意の他の適切な割合の結合剤を含む上記範囲の組み合わせが構想される。
【0034】
[0057] 本明細書において説明される噴霧堆積システム及び方法により使用される粒子は、ミクロ粒子及び/又はナノ粒子を含む任意の適切なサイズを有し得る。例えば、粒子は、10nm、50nm、100nm、250nm、1μm、100μm又は任意の他の適切なサイズ以上である最大横断寸法(例えば最大径)を有し得る。同様に、粒子は、300μm、250μm、100μm、1μm、250nm又は任意の他の適切なサイズ以下である最大横断寸法を有し得る。例えば10nm~300μmの最大横断寸法を有する粒子を含む上記範囲の組み合わせが構想される。当然、本開示はそのように限定されないため上述の寸法を越える又は未満の両方の寸法を有する粒子もまた構想される。
【0035】
[0058] 本明細書で使用されるように、用語:被膜、予被覆及び他の同様な用語は通常、粒子の外面へ塗布される材料の層を指す。加えて、材料のこの被膜は個々の粒子を完全に被覆し得る及び/又は被膜は粒子が完全に被覆又はカプセル化されないように粒子の少なくとも一部へ適用され得るかのいずれかである。加えて、被膜又はカプセル化は単一粒子へ適用され得る、又は複数の粒子が被覆され得る、又は単一外側シェル又は被覆内でカプセル化され得るかのいずれかである。例えば、単一のより大きな粒子を形成するように2又は3個の粒子などの複数の粒子がカプセル化又は被覆され得る。したがって、被覆された粒子を含む複数の粒子は各粒子が個々に被覆される実施形態(例えば、いくつかの粒子が、より大きな複合粒子、部分的にのみカプセル化される粒子、完全にカプセル化される粒子、及びこれらのタイプの粒子の合成物を形成するために被覆される場合)に対応し得るということを理解すべきである。
【0036】
[0059] 添付図面に移ると、具体的な非限定的実施形態がさらに詳細に説明される。これらの実施形態に対して説明される様々なシステム、部品、特徴及び方法は、本開示が本明細書において説明される具体的な実施形態だけに限定されないため、個々に及び/又は任意の所望組み合わせでのいずれかで使用され得るということを理解すべきである。
【0037】
[0060]
図1は基板上に層を形成するための噴霧
堆積システム100の一実施形態の側面概略図である。特に、
図1の噴霧
堆積は、陽極又は陰極材料を含む電池電極を形成するように構成され得る。
図1に示すように、噴霧
堆積システムは、本システムを介し金属箔などの基板101を移動するためのコンベヤーを含む。例えば、描写された実施形態では、コンベヤーは、その間に基板が懸架される第1のローラ102A及び第2のローラ102Bを含み得る。第1及び第2のローラは一方のローラから他方のローラへ(例えば第1のローラから第2のローラへ又は第2のローラから第1のローラへ)基板を移動するように構成される。いずれの場合も、基板は、材料が必要に応じ連続過程又は半連続過程で
堆積され得るように一方のローラから巻き戻され他方のローラ上へ巻き付けられる。しかし、本開示はそのように限定されないため、基板がローラの使用無しに噴霧
堆積システムを通される実施形態がまた構想される。噴霧
堆積システムはまた、その上に材料を
堆積するために基板の方向へ向けられる少なくとも1つの噴霧器104を含む。例えば、材料を基板の両側に同時に
堆積することが望ましいいくつかの実施形態では、材料を単一過程で基板の2つの面上へ
堆積するための2つの噴霧器104が基板の対向側に配置され得る。いずれの場合も、噴霧器は、粉末被覆過程のために次に基板の面上へ噴霧される粉末をエアロゾル化することができ、いくつかの実施形態では適切に帯電することができる噴霧銃として又は任意の他の適切な装置として配置され得る。
【0038】
[0061] 上記実施形態では、噴霧器はそれぞれ、基板上に
堆積するための粉末材料を含む貯蔵器106へ接続される。いくつかの実施形態では、貯蔵器は、流動床、ベンチャーアトマイザ(venture atomizer)、Wright給塵器、又は乾燥粉末をエアロゾル化及び/又はそうでなければ噴霧器へ輸送することができる他の適切な装置に対応し得る。
図2を参照してさらに論述されるように、噴霧器は、噴霧銃から射出された粒子を帯電し得、これにより、噴霧器により標的にされる基板の或る領域全体にわたって粒子が一様に分散してそれへ付着することを容易にし得る。
【0039】
[0062] 既に論述されたように、粉末材料は、電気化学セル内に1つ又は複数の層(限定しないが陽極、陰極、隔離板、及び/又は固体電解質層を含む)を形成する際に使用される任意の適切な材料を含み得る。これらの材料は、イオン伝導性材料、電気化学材料、隔離板材料、導電材料、結合剤、上記の組み合わせ、及び/又は任意の他の適切な材料を含み得る。さらに、特定材料に依存して、材料はそれ自体が堆積され得る、結合剤と混合され得る、及び/又は材料は結合剤により予被覆され得る。
【0040】
[0063]
図1の実施形態に示すように、噴霧
堆積システムはまた、第1のマスクアクチュエータ110A及び第2のマスクアクチュエータ110Bへそれぞれ結合される第1のマスク108A及び第2のマスク108Bを含む。
図1の実施形態によると、第1のマスク及び第2のマスクは、基板のいくつかの領域を噴霧
堆積過程中に裸状態に維持するために選択的に把持し覆うために基板101の上面及び下面をしっかりと握るクランプとして構成される。しかし、第1及び第2のマスクが基板の片側だけへ適用される実施形態も構想される。第1及び第2のマスクの位置は、基板に接触する第1の位置と基板に接触しない第2の位置との間でマスクが移動可能であるようにアクチュエータにより制御される。例えば、第1及び第2のマスクアクチュエータは第1及び第2のマスクを基板の近くへ移動させ得る又はそれからさらに離れさせ得る。第1のマスクアクチュエータ及び第2のマスクアクチュエータは電気機械的アクチュエータ(例えば線形アクチュエータ、サーボモータ、DCモータ、ブラシレスモータなど)、空気式アクチュエータ、油圧アクチュエータ、及び/又はマスクを基板に対し移動させるために好適な任意の他の適切なアクチュエータであり得る。第1及び第2のマスクアクチュエータは、マスクを移動して基板と接触させる又は接触しなくさせるために同マスクアクチュエータにより採用される電気、空気、及び/又は油圧液の供給を制御する第1のマスクアクチュエータコントローラ112A及び第2のマスクアクチュエータコントローラ112Bにより制御される。当然、他の実施形態では、噴霧
堆積システムは、本開示がそのように制限されないため、任意の好適な数のマスクアクチュエータを制御する単一マスクアクチュエータコントローラ又は任意の他の好適な数のマスクアクチュエータコントローラを採用し得る。さらに、これらのコントローラは、少なくとも1つのハードウェアプロセッサと、少なくとも1つのハードウェアプロセッサにより実行されると本明細書において説明される方法を行うために本システムのアクチュエータ及び他の部品を制御するプロセッサ実行可能命令を格納する少なくとも1つの関連非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含み得る。
【0041】
[0064]
図1の実施形態によると、第1及び第2のマスク108A、108Bは、1つ又は複数の噴霧器104が向けられる領域内のマスク間の基板を抵抗加熱するために、関連電源により供給される電流を基板101を介し第1及び第2のマスク間に通すように構成される。すなわち、基板内の電流の通過は基板の内部電気抵抗と組み合わせて、第1及び第2のマスク間の基板の当該領域内の基板内に内部熱を発生する。例えば、第1及び第2のマスクは、噴霧された粒子から基板の裸領域をマスクするためにマスクが基板と接触すると基板と電気的接触する電極として機能するように構成され得る。特定実施形態に依存して、第1及び第2のマスクは、電流が第1のマスク及び第2のマスクを介し基板に通され得るように、任意の好適な導電材料で構成されてもよいし又は1つ又は複数の導電性部分を含んでもよい。電流は基板を介し任意の好適な方向に通され得るということに注意すべきである。すなわち、いくつかの実施形態では電流は第1のマスク108Aから第2のマスク108Bへ通され得、他の実施形態では本開示がこのやり方に制限されないため電流は第2のマスクから第1のマスクへ通され得る。さらに、基板に接触する第1のマスク及び第2のマスクの導電性部分は、ホットスポットが電流集中を介し基板上に形成されるのを回避するように、そしてさらに抵抗加熱を促進するように好適に寸法決めされ得る。例えば、一実施形態では、第1のマスク及び第2のマスクの導電性部分は潜在的ホットスポット形成を軽減するために基板の全幅にわたり得るが、より小さい電気的接触サイズも構想される。いくつかの実施形態では、マスクアクチュエータコントローラ112A、112Bはまた電流を第1のマスク108A及び第2のマスク108Bへ選択的に通し得るため様々なコントローラの数が低減され得る。当然、電流は、本開示がそのように制限されないため任意の好適な数の独立又は複合コントローラを使用してマスクに通され得る。
【0042】
[0065]
図1の実施形態は電流を基板に通すための電極として第1及び第2のマスクを使用するが、電流を基板に通すために任意の好適な配置の電極が採用され得るということに注意すべきである。例えば、様々な位置における導電性ローラ又は導電性ブラシが電流を基板に通し得る。例えば、いくつかの実施形態では、導電性ローラ又はブラシは、基板と噴霧器により
堆積された材料の1つ又は複数の層とに電流を通し得る。すなわち、電流は、基板上に配置された材料層と電気的に接触する導電性ローラ又はブラシを介し下地基板内へ通され得る又はそれから出され得る。このような実施形態では、カレンダーローラは、電流を材料層を介し基板に通す又はそれから引き出すために使用され得る。この実施形態では、別のローラ又はブラシが、噴霧
堆積を未だ受けていない基板の位置において電流を基板に通す又はそれから直接引き出すために使用され得る。当然、本開示はそのように限定されないため任意の好適な抵抗加熱配置が採用され得る。
【0043】
[0066]
図1に示すように、噴霧
堆積システム100はまた、
堆積材料層を緻密化するために使用され得る一対のカレンダーローラ114を含み得る。カレンダーローラは、加熱され得、基板が一対のカレンダーローラ間を通ると層を所望厚まで緻密化し基板へ固着するために、十分に高い圧力を基板と基板上に配置され得る任意の材料層とへ印加し得る。したがって、
堆積材料層がカレンダーローラに通された後、材料層は、カレンダー加工されていない層より緻密になることに加えて均一密度及び厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、カレンダーローラは複数の材料層を同時に緻密化するために使用され得る。
【0044】
[0067]
図2は材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システム100の側面概略図である。
図2に示すように、第1のマスク108A及び第2のマスク108Bは、
堆積される材料が裸マスク領域上に蓄積しないように基板の両側の基板の裸領域をマスクする(すなわち覆う)ために移動され基板101と接触した。しかし、再び、材料層が基板の片側に
堆積され且つ単一対のマスクが使用される実施形態も構想される。マスクがクランプ位置に在る間、その間に延伸する基板101の運動を制御する第1及び第2のローラ102A、102Bは静止状態に保持される。既に論述されたように、第1のマスク及び第2のマスクは、電極として構成され得、
図2に示すクランプ状態で基板を介し互いに電気的に連通し得る。適切に位置決めされると、電流が、第1のマスクと第2のマスクとの間の基板を抵抗加熱するために第1のマスク及び第2のマスクに通される。
図2に示すように、マスク間の基板の標的領域の対向側に位置する2つの噴霧器104が、第1の粒子200を帯電しエアロゾル化し、次に第1の粒子を基板の対向露出面の方向へ噴霧する。第1の粒子は貯蔵器106から噴霧器へ供給される。噴霧
堆積過程は、好適な量の第1の粒子が第1及び第2のマスク間の基板上に
堆積されるまで続けられ得る。
堆積層の厚さは、噴霧銃から発射される材料の
堆積速度、
堆積の時間、及び/又は他の適切な制御パラメータにより制御され得る。いくつかの実施形態では、第1のマスク及び第2のマスクを介し基板へ印加される電位は、荷電粒子が基板の方向へ引き付けられるように選択され得る。例えば、荷電粒子は大きな負又は正電位により帯電され得、第1及び第2のマスクにより印加される電位は、噴霧されると荷電粒子が基板へ引き付けられ、基板にくっつくように荷電粒子の電位より低いかもしれない、及び/又はそれと反対であり得る。一実施形態では、第1のマスク及び第2のマスクの一方は、接地されたマスクに隣接する基板の少なくとも一部が接地されるように接地され得る。
【0045】
[0068] 先に上で述べたように、堆積層を形成するためにどのタイプの材料が基板へ噴霧されるかに依存して、様々なタイプの構造が、説明された過程を使用して形成され得る。例えば、開示されたシステムは、電極層、隔離板層、固体電解質層、導電層及び/又は他の適切な材料層を堆積するために使用され得る。したがって、いくつかの可能な実施形態が上で説明されたが、本開示の材料及びプロセスはこれらのタイプの応用及び構造だけに限定されるべきでないということを理解すべきである。
【0046】
[0069] リール・ツー・リール(reel-to-reel)噴霧
堆積システム100が
図1~2において示されたが第1のローラ102A及び第2のローラ102Bを含まない代替噴霧
堆積システムが採用され得るということに留意すべきである。1つのこのような実施形態では、第1のマスク108A及び第2のマスク108Bは噴霧器104による噴霧
堆積中に基板を静止状態に保持するように構成され得る。すなわち、第1のマスク及び第2のマスクは、噴霧
堆積過程が非連続的に行われ得るように、マスク間に配置されマスクにより適所に保持された個々の基板を選択的に把持するために使用され得る。
【0047】
[0070]
図3は第1の材料層202が基板101上に
堆積された後の材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システム100の側面概略図である。
図3に示すように、所望厚さの材料層が噴霧器104から基板上に
堆積された。第1のマスク108A及び第2のマスク108Aは、基板がマスク間のシステムを介し横方向に移動され得るように、基板の表面から離間されるように解放位置へ移動された。すなわち、
図3の実施形態において、第1のマスクアクチュエータ110A及び第2のマスクアクチュエータ110Bは、第1のマスク及び第2のマスクそれぞれを移動して基板から離し基板と接触しなくした。第2のローラ102Bに隣接した矢印より表されるように、第1のマスク及び第2のマスクが基板と接触しなくなると第1のローラ102A及び第2のローラ102Bはシステムを介し基板を移動するために回転し得る(又は別の適切なコンベヤー構造が作動され得る)。マスクは、基板が移動されると
堆積層と接触することを避けるために開構成で基板から適切に離間され得る。描写された実施形態では、第1のローラ及び第2のローラは基板を第1のローラから巻き戻し第2のローラ上に巻き付けるために紙面に対して時計回りに回転するが、本開示はシステムを介した基板の運動のこの方向及び/又は方法に限定されない。したがって、第1及び第2のローラは、
堆積済み材料層をカレンダー加工するためにこれをカレンダーローラ114の方向へ移動する。
【0048】
[0071]
図4は
図3に示す状態に続く材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システム100の側面概略図である。
図4に示すように、第1の
堆積材料層は、第1の材料が緻密化されるとカレンダー加工済み材料層204が形成されるようにカレンダーローラ114を通される。いくつかの実施形態では、カレンダーローラは
堆積材料層の緻密化及び基板への
堆積材料層の固着を容易にするために加熱され得る。
図4に示すように、第1の
堆積材料層が移動され第2のマスク108Bを通過すると、第1及び第2のローラ102A、102Bは別の第1の材料層が基板上に
堆積されるように基板を停止し得る。すなわち、第1のマスク108Aにより最初に覆われた裸領域が第2のマスク108Bとアライメントされると、基板は停止され得、第1及び第2のマスクは基板を把持するために移動した。第1のマスクアクチュエータ110A及び第2のマスクアクチュエータ110Bは、基板の裸領域が被覆されるように第1のマスク及び第2のマスクを基板の方向へそして基板と接触するように移動し得る。
図4に示すように、噴霧器104は、第1及び第2のマスクが裸領域を粒子
堆積から遮蔽し電流を基板に通して基板を抵抗加熱する間に、帯電された第1の粒子200を貯蔵器106から基板の両側へ
堆積し得る。したがって、
図1~4の噴霧
堆積システムは、材料層をマスクにより遮蔽された裸領域により分離された基板上へ順次
堆積する。先に述べたように、裸領域は、噴霧器の標的領域内の基板の一貫した抵抗加熱を保証するのを助け得る一方で後の形成工程中の基板の切断及び/又は電気的リードの基板への取り付けを容易にする裸基板のいくつかの領域も提供する。
【0049】
[0072] 上記実施形態において描写されたカレンダーローラ114はシステムを通過する基板の長さに沿ったシステム内の任意の適正位置に配置され得るということを理解すべきである。例えば、カレンダーローラは添付図に描写するように位置決めされ得る、又はカレンダーローラは基板の新しい標的領域がマスク間に位置決めされる延長期間の間熱及び/又は圧力を堆積材料層の一部へ印加することを避けるために基板の裸領域の上に位置し得る。したがって、カレンダーローラは描写された位置だけに限定されない。
【0050】
[0073]
図5は材料
堆積過程中の
図1の噴霧
堆積システム100の上面概略図である。
図5に示す状態は
図4に示すものに続く状態に対応する。ここでは、複数の第1の材料層202が、複数のカレンダー加工済み第1の材料層204を形成するために
堆積されカレンダーローラ114を通された。カレンダー加工済み第1材料層のそれぞれは、第1のマスク108A及び第2のマスク108Bにより覆われた領域に対応する基板の裸領域118により、隣接するカレンダー加工済み第1の材料層から分離される。基板の次の標的領域116が、材料
堆積のために、第1のマスク108Aと第2のマスク108Bとの間にアライメントされており、以前に
堆積された第1の材料層は、基板の長さに沿ったカレンダーローラの位置に依存して部分的及び/又は完全にカレンダー加工された。さらに、この特定構成では、第1のマスクにより既に遮蔽された基板の部分は、今や第2のマスクとアライメントされ第2のマスクにより遮蔽される。
【0051】
[0074]
図6は
図5に示す状態に続く
図1の噴霧
堆積システム100の上面概略図である。
図6に示すように、噴霧器104は、標的領域に隣接した裸領域が第1のマスク108A及び第2のマスク108Bにより覆われている間に別の第1の材料層202を形成するために第1の粒子を基板の標的領域の方向へ噴霧する。第1のマスク及び第2のマスクは、基板の下位領域を効果的に覆い噴霧された粒子が裸領域上に
堆積されることを禁じるように噴霧過程中に下地基板に接触し得る。
図6に示すように、第1のマスク及び第2のマスクは基板の全幅を覆うが、マスクが基板の幅にわたって部分的に延伸する及び/又は様々な配置及び/又は形状を呈示する実施形態も構想される。いずれの場合も、マスクが基板と接触して置かれると、電流は、第1の粒子が噴霧器104から
堆積される間基板の標的領域を抵抗加熱するために基板を介し第1及び第2のマスク間に通され得る。
【0052】
[0075]
図7は
図6の過程の続きを示す。追加の第1の材料層202が基板の標的領域内に
堆積される
図6に示す状態から、第1のマスク108A及び第2のマスク108Bは、基板が移動されると基板又は
堆積材料層と干渉しないように適切な距離だけ移動されて基板と接触しなくなる。第1のローラ102A及び第2のローラ102B(又は他の適切な基板ハンドリングシステム)は、基板をカレンダーローラ114の方向へ移動させるように次に作動される。次の標的領域116が第1及び第2のマスク間にアライメントされると、第1及び第2のローラは停止される。この状態から、第1及び第2のマスクは、追加材料層が
堆積され得るように後退され裸領域において基板と再び接触し得る。この過程は、基板の長さに沿って一連の順次配置された
堆積材料層及び裸領域を生成するために所望の回数繰り返され得る。
【0053】
[0076]
図8~9は
図1~7の噴霧
堆積システムにより作製された材料のそれぞれ上面概略図及び側部概略図である。既に述べたように、
図1~7の噴霧
堆積システムにより作製された最終材料は基板の長さに沿って位置する
堆積済み材料層204の領域と裸領域118との交互領域を有する基板101であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、材料層はカレンダー加工済み材料層であり、
堆積済みカレンダー加工済み材料層のそれぞれは裸領域により他のカレンダー加工済み材料層から少なくとも部分的に分離され得る。したがって、基板のいくつかの区画は、裸領域に沿って容易に分離(すなわち切断)され得、後の形成過程中に裸領域内の基板へ溶接、半田付け、又はそうでなければ結合される電気的リードを有し得る様々な電極を生成する。このような材料は、電気的リードのカレンダー加工及び/又は取り付けに先立って基板から材料を除去する追加処理工程を削除するため、電池又は他の電気化学セルの製造を大いに単純化し得る。
【0054】
[0077]
図10~13は複数の材料が基板上へ順次
堆積される噴霧
堆積システム300の別の実施形態の側面概略図である。
図1~7の実施形態と同様に、
図10に示す
堆積システムは、基板101が連続的に1つのローラから巻き戻され他のローラ上へ巻き付けられることを可能にする第1のローラ302A及び第2のローラ302Bを含み得る。
図10に示すように、噴霧
堆積システムは、様々な材料層が順に
堆積される2つの別個のステーションを含む。噴霧
堆積システムの第1のステーションは、第1の貯蔵器306Aへ結合され第1の粒子を基板上に
堆積する第1の噴霧器304Aを含む。第1のマスク308A及び第2のマスク308Bもまた第1のステーションの一部を形成する。第1のマスク308A及び第2のマスク308Bは、裸領域を覆い材料
堆積のためにその間に基板の第1の標的領域を画定するために基板と選択的に接触するように構成される。
図1~7の実施形態のように、第1のマスク及び第2のマスクは第1のマスクアクチュエータ310A及び第2のマスクアクチュエータ310Bによりそれぞれ制御される。第1のマスクアクチュエータ及び第2のマスクアクチュエータは第1のマスクアクチュエータコントローラ312A及び第2のマスクアクチュエータコントローラ312Bにより制御される。最後に、第1のステーションは、第1の作業ステーションの下流側に、第1の噴霧器304Aにより
堆積されると第1の材料層を緻密化するように構成され得る第1組のカレンダーローラ314Aを含み得る。噴霧
堆積システムの第2のステーションは第1のステーションと同様な部品を含む。第2のステーションは第2の貯蔵器306Bへ結合される第2の噴霧器304Bを含む。第2のステーションはまた、材料を基板上へ
堆積するための第2の標的領域をその間に画定する第3のマスク308C及び第4のマスク308Dを含む。第3及び第4のマスクは、第3のマスクアクチュエータコントローラ312C及び第4のマスクアクチュエータコントローラ312Dにより制御される第3のマスクアクチュエータ310C及び第4のマスクアクチュエータそれぞれと結合され得る。最後に、第2のステーションもまた第2のステーションの下流側に、第2の噴霧器により
堆積された第2の材料層を緻密化するように構成された第2のカレンダーローラ314を含み得る。したがって、
図10~13の噴霧
堆積システムは2つの別個の材料層を基板上に順次
堆積しカレンダー加工するように構成される。当然、2つの層を
堆積するための2つのステーションが上に説明されたが、システムは、本開示がシステムに含まれる
堆積ステーションの数に制限されないため、任意数の異なる材料層を順次
堆積するための任意数の
堆積ステーションを含み得るということを理解すべきである。
【0055】
[0078]
図10に示す状態では、噴霧
堆積システムはいかなる材料層も
堆積されていない開始状態に在る。このような状態は、基板101のロールが第1のローラ302A及び第2のローラ302Bへ最初に接続されると存在し得る。
図10に示すように、第1、第2、第3、及び第4のマスク308A-Dのそれぞれはこの開始状態において基板から離間される。
【0056】
[0079]
図11は第1の材料層202
堆積中の
図11の噴霧
堆積システムを描写する。
図11に示すように、第1のマスク308A及び第2のマスク308Bは基板と接触するために移動された。したがって、第1及び第2のマスクの下に配置された基板の裸領域は、第1の粒子200が基板の対向側に第1の材料層202を形成するために第1の貯蔵器306Aから供給され第1の噴霧器304Aから基板の方向へ噴霧されると裸の未被覆状態で維持されるように遮蔽される。
図1~7の実施形態と同様に、第1の噴霧器304Aは、第1の粒子200が基板へ引き付けられ第1のマスク及び第2のマスク間に一様に分散するように第1の粒子200を帯電させ得る。
図10~13の実施形態によると、基板は抵抗加熱されるように構成され得る。
図11に示すように、電流が基板を加熱するために基板を介し第2のマスクから第1のマスクへ通されるように、第1のマスク308Aは負、接地、又は低電位電極として機能し得、第2のマスク308Bは正又は高電位電極として機能し得る。したがって、第1のマスク及び第2のマスクは両方とも、裸領域を材料
堆積から遮蔽し基板のヒータとして機能する。当然、
図11の実施形態は電流を第2のマスクから第1のマスクへ通すように構成されるが、本開示はそのように限定されないため、電流の方向は他のいくつかの実施形態では反転され得る(すなわち、第1のマスクが正又は高電位を有し第2のマスクが負、接地、又は低電位を有することにより)。
【0057】
[0080] 十分な量の第1の粒子200が第1の材料層202内へ
堆積されると、噴霧
堆積システムは
図12に示す状態へ進む。
図12に示すように、第1のマスク308A及び第2のマスク308Bは、第1のマスクアクチュエータ310A及び第2のマスクアクチュエータ310Bにより基板に対して離間された非接触位置へ移動された。第1のローラ302A及び第2のローラ302Bが第1のカレンダーローラ314Aを介し第1の材料層及び基板を第2の
堆積ステーションの方向へ平行移動させると、第2のマスク308Bは、第2のマスクが第1の材料層202をクリアにするために十分な寸法だけ基板から離間され得る。第1及び第2のローラは、基板の所望部分が第3のマスク308Cと第4のマスク308D(これらは、第1のマスクと第2のマスクとの間の分離の距離に等しい距離だけ互いに分離されて配置され得る)との間に配置されるまで基板を移動する。したがって、第3のマスク及び第4のマスクは、噴霧
堆積システムが
図13に示す状態へ進むと、第1のマスク及び第2のマスクにより既に覆われた基板の対応裸領域とアライメントされ得る。
【0058】
[0081]
図13に示すように、以前に
堆積された第1の材料層202は第3のマスク308Cと第4のマスク308Dとの間にアライメントされるように移動された。次に、ローラは、追加材料層が
堆積され得、マスクが、マスクとアライメントされた基板の裸部分内の基板と接触するために移動され得るように、基板を停止する。
図13に示すように、第3のマスク308C及び第4のマスク308Dは、基板が第3及び第4のマスクにより把持されるように、第3のマスクアクチュエータ310C及び第4のマスクアクチュエータ310Dそれぞれにより移動され基板101と接触した。同様に、第1のマスク308A及び第2のマスク308Bはまた第1のマスクアクチュエータ310A及び第2のマスクアクチュエータ310Bにより移動され基板の別の部分と接触した。したがって、第1、第2、第3、及び第4のマスクのそれぞれは、粒子が第1の噴霧器304A及び第2の噴霧器304Bから基板上へ
堆積される間、基板の対応部分と直接接触して遮蔽する。
図13に示すように、第1の噴霧器は、追加の第1の材料層を基板上に形成するために粒子200を基板の対向側へ
堆積する。一方、第2の噴霧器304Bは、第2の材料層208を基板の対向側に形成するために、第2の貯蔵器306Bから供給される第2の粒子206を対向するカレンダー加工済みの第1の材料層204上へ
堆積する。同層がその後システムを介し第2のローラ302Bの方向へ平行移動させられると、第1及び第2の層だけでなく基板も、第2のローラ上へ巻き付けられることに先立って第2のカレンダーローラ314Bを通過し得る。
【0059】
[0082]
図13に示すように、複数の材料層が別個ステーションにおいて同時に
堆積され得る。既に述べたように、基板は、粒子が基板上に
堆積されると標的領域内で抵抗加熱され得る。
図10~13の実施形態によると、第3のマスク308C及び第4のマスク308Dは、電流を噴霧
堆積システムの第2のステーションにおいて基板に通す電極として構成され得る。しかし、隣接
堆積システム間(例えば第2及び第3のマスク間)の基板の抵抗加熱を回避するために、第3のマスク及び第4のマスクは第1のマスク308A及び第2のマスク308Bとは反対方向に電流を通す。すなわち、
図13に示すように、第2のマスク308B及び第3のマスク308Cは正又は高電位電極として構成され得、一方、第1のマスク308A及び第4のマスク308Dは負、接地、又は低電位電極として構成され得る。したがって、電流は、第2のマスク又は第3のマスクから外側へ第1のマスク又は第4のマスクのいずれかに向かって反対方向に流れる。したがって、第1のステーションと第2のステーションとの間で互いに隣接するマスクは、電流が第3のマスクから第2のマスクへ通されないように等しい電位を有し得る。したがって、マスクのこの配置は、粒子
堆積に晒される標的領域内の基板に電流が排他的に通される(基板全体を加熱することとは対照的に)ことを可能にし得る。このような構成はエネルギー消費量を低減する又はそうでなければ噴霧
堆積過程の効率を改善し得る。上記に加えて、順に配置された
堆積ステーション(ここでは材料が基板の2つ以上の隣接標的領域上へ噴霧される)間でローラが使用されない実施形態では、単一マスクが、隣接標的領域間に配置され得、高電位マスクと低電位マスクとを基板の長さに沿って交番することの使用に起因して、両方の標的領域を加熱するための電極として機能し得る。
【0060】
[0083] 上記を考慮し、任意の好適な正電位、負電位、相対的電位、又は接地電位を有するマスクが、基板の標的領域内の電流通過を絶縁するように配置され得るということに注意すべきである。さらに、他の実施形態では、追加ステーションが噴霧堆積システムへ加えられ得、隣接ステーション内のマスクはステーション間の基板を介した電流伝送を禁じるように等しい又は同様な電位を共有する。しかし、いくつかの実施形態では、本開示は基板の抵抗加熱がシステムの1又は複数の堆積ステーションの範囲内であるように制限される実施形態に限定されないため、電流は特定ステーションに対し絶縁されないかもしれなく、このような基板の任意の所望部分(例えば任意の長さ)及び可能性として基板全体が抵抗加熱され得る。
【0061】
[0084] この過程は、基板の供給が尽くされるまで
図13に示すシステムを介し
堆積サイクルを行い基板を周期的に移動するために継続し得る。すなわち、第1、第2、第3、及び第4のマスク308A-Dは移動され基板と接触しなくなり得、第1のローラ302A及び第2のローラ302Bは、第1のカレンダーローラ314Aを介し第1の材料層202を、そして第2のカレンダーローラ314Bを介し第2の材料層208を供給し得る。したがって、カレンダー加工された後、第2の材料層は第2のローラ302B上へ巻き付けられ得る。第1及び第2のローラは、
図14の状態が反復され得るように次の未被覆の第1の材料層202が第3のマスクと第4のマスクとの間にアライメントされると基板を停止し得る。したがって、噴霧
堆積システムは、基板を進め、停止し、材料層を
堆積し、基板を再び進めることにより半連続過程を行い得る。形成された材料は、基板の裸領域により分離された第1の材料層の上に配置された第1の材料層202及び第2の材料層208を有する一連の領域を有し得る。
【0062】
[0085] 複数のステーション間で基板101を移動した後に材料層を順に
堆積する複数のステーションを有する
図10~13の実施形態が示されたが、他の実施形態では、複数のステーションは、基板を移動することなく複数の材料層が
堆積される単一ステーションへ合成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、材料の複数の貯蔵器は、基板を移動すること無く又は基板に接触するいかなるマスクも無しに第1の材料層が
堆積され得、次に第2の材料層が後で
堆積され得るように1つ又は複数の噴霧器へ結合され得る。別の実施形態では、別個の貯蔵器へ結合された複数の噴霧器は、両者が基板の同じ領域を効果的に標的とするように互いに近接し得る。この実施形態では、第1の噴霧器は第1の材料層を
堆積し得、第2の噴霧器は基板を移動することなく第2の材料層を第1の材料層の上に
堆積し得る。当然、噴霧
堆積システムは、本開示がそのように制限されないため任意の好適な数のステーション、噴霧器、貯蔵器及びマスクを使用し得る。
【0063】
[0086]
図14~15はそれぞれ、
図10~13の噴霧
堆積システムにより生成される材料の上面概略図及び側面概略図である。
図14~15に示すように、カレンダー加工された第2の材料層208は、基板101の対向側に配置されるカレンダー加工済み第1の材料層204の上に配置される。カレンダー加工された第1の材料層及び第2の材料層の各断面は、基板の裸領域118により、
堆積済み材料層の隣接断面から分離される。既に述べたように、このような配置は、材料層のいくつかの区画を容易に分離すること及び/又は基板を電気的リードなどの別の構造へ連結する(例えば溶接又は半田付により)ことが望ましい製造プロセスを改善する。
【0064】
[0087] いくつかの実施形態では、
図14~15の材料は複数の別々の電極を形成するために使用され得る。この実施形態では、カレンダー加工済み材料層204は電気化学材料(すなわち陽極又は陰極材料)を使用して形成され得る。このような実施形態では、カレンダー加工された第2の材料層210は隔離板及び/又は固体電解質層であり得る。他のいくつかの実施形態では、第1のカレンダー加工された材料層はまた結合剤及び/又は固体電解質を含み得る。当然、任意の好適な材料又は材料の混合物は、本開示がそのように制限されないためカレンダー加工された第1の材料層及び第2の材料層を形成するために使用され得る。
【0065】
[0088]
図16~17は噴霧
堆積システムにより生成される材料の一実施形態の上面概略図及び側面概略図である。
図16~17の材料はカレンダー加工された第1及び第2の材料層204、210を有する
図14~15と同様である。加えて、カレンダー加工された第3の材料層214は基板の対向側に位置する第2の材料層の上に配置され得る。一実施形態では、第1の材料層204は第1の電極層(例えば陽極又は陰極)を形成するための電気化学材料を含み得る。これに応じて、第2の材料層210は、固体電解質を形成するためのイオン伝導性材料又は隔離板層を形成するための隔離板材料であり得る。第3の材料層は第1の電極層とは異なる電気化学材料を含む第2の電極層であり得る。このような配置は、その後の電池形成過程における使用に先立って複数の電池電極を単一基板上に形成するために役立ち得る。当然、特定材料層が上に論述されたが、本開示はそのように限定されないため任意の材料又は材料混合物が任意の望ましい順序でそして任意数の層内に
堆積され得る。
【0066】
[0089]
図18~21は材料
堆積過程中の噴霧
堆積システム400のさらに別の実施形態の側面概略図である。非連続的過程又は半連続過程を行った前述の実施形態とは対照的に、
図18~21の噴霧
堆積システムは、基板が第1のローラ402Aから常時巻き戻され第2のローラ402B上へ巻き付けられる連続過程において基板101上に材料層を形成するように構成される。
図18に示すように、噴霧
堆積システムは、材料の噴霧を第1の標的領域内の基板の対向面の方向へ向ける第1の貯蔵器406Aへ結合された第1の噴霧器402Aと、材料の噴霧を第2の標的領域内の基板の対向面の方向へ向ける第2の貯蔵器406Bへ結合された第2の噴霧器404Bとを含む。第1及び第2の噴霧器は第1の粒子及び第2の粒子をそれぞれ送出する。噴霧
堆積システムはまた、第1のマスクアクチュエータ410A及び第2のマスクアクチュエータ410Bにより制御される第1のマスク408A及び第2のマスク408Bを含む。第1のマスクアクチュエータ及び第2のマスクアクチュエータは、第1の粒子及び第2の粒子が
堆積されると基板の裸領域を遮蔽するために基板との接触を維持する一方でマスクが基板と同期して移動することを可能にするように構成されるトラック412へ作動可能に結合される。いくつかの実施形態では、トラック412は、基板が第1のローラから第2のローラに移動されと基板をマスクするためにシステム内で繰り返し再循環されるように連続的であり得る。マスクアクチュエータ同士は、材料層が等長区画内に
堆積されるようにマスクのそれぞれの間の所定距離を維持する鎖、ベルト又は他の適切な構造を介し連結され得る。当然、マスクは、本開示がそのように制限されないため任意の適切な等しい、等しくない距離、及び/又は可変距離だけ分離され得る。
図18に示すように、第3のマスク408C及び第3のマスクアクチュエータ410Cはトラックに沿って第1のマスク及び第2のマスクに追随する。
【0067】
[0090]
図18に示す状態によると、第1のマスク408A及び第2のマスク408Bはマスクにより遮蔽された基板の裸領域を効果的にマスクするために基板101を把持した。第1のマスク及び第2のマスクはそれらの間の基板の標的領域(材料層が
堆積される)を画定する。
図18に示すように、第1のマスクと第2のマスクとの間の標的領域が第1の噴霧器404Aを横断すると、第1の噴霧器は第1の材料層を形成するために第1の粒子200を基板上へ
堆積する。第1の貯蔵器406Aから流れる間に、第1の粒子は、第1の噴霧器404Aにより帯電され、第1の材料層を形成するために基板上へ噴霧され得る。基板、第1のマスク及び第2のマスクは第1のローラから第2のローラの方向へ一定速度で移動し得る。この実施態様によると、第1の材料層の厚さは、第1の噴霧器404Aから発射される材料の
堆積速度、基板101の速度、及び/又は他の適切な制御パラメータにより制御され得る。第1の粒子200が第1の噴霧器から射出されている間に、基板は第1のマスク及び第2のマスクを通される電流により抵抗加熱され得る。いくつかの実施形態によると、そして
図18に示すように、マスクは、第1の噴霧器404A及び第2の噴霧器404Bの一方の下を通ると電流が標的領域を加熱するために各標的領域を通されるということを保証するために交番電位により配置され得る。より具体的には、電流が第1のマスクから第2のマスク及び/又は第3のマスクへ流れるように、第1のマスクは正電位又はそうでなければ高電位を有し、第2のマスク及び第3のマスクは負電位、接地電子、又は低電位を有する。すなわち、
図18に示す状態では、電流は第1のマスクから第2のマスクへそして第3のマスクから第1のマスクへ通される。
【0068】
[0091]
図19は
図18に示す状態からの噴霧
堆積過程の続きを描写する。
図19に示すように、第1の材料層202が
堆積され、第1の噴霧器404Aは噴霧することを中止した。基板101、第1のマスク408A、第2のマスク408B及び第3のマスク408Cは第2のローラ402Bの方向へさらに移動した、第3のマスク408Cが好適に基板に隣接すると、第3のマスクアクチュエータ410Cは、基板を把持し第1のマスクと第3のマスクとの間の基板の別の標的領域を画定するために第3のマスクを移動して基板と接触させ得る。既に述べたように、マスクのそれぞれは、第1の噴霧器404A及び第2の噴霧器404Bにより噴霧された材料で覆われる又はそれから遮蔽される裸領域を画定する。
【0069】
[0092] マスクアクチュエータが
図18~21の実施形態では採用されるがマスクはトラックを使用することにより移動され基板と接触し得る又は接触しなくなり得るということに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、トラックは、基板に対するマスクの相対運動を制御するために、マスクをトラックの特定部分に沿って移動させて基板に近づけ、マスクをトラックの他の部分に沿って基板からさらに遠くに移動させ得る。したがって、これらのトラック部分は、マスクが
堆積過程中にマスクされる基板の領域と受動的に接触させられる及び接触させられないよう配置され得る。いくつかの実施形態では、本開示がそのように制限されないためマスクアクチュエータはマスクを基板に対し任意の望ましい方向に移動させるために様々なトラック形状と組み合わせられ得る。
【0070】
[0093]
図20は
図19に示す噴霧
堆積システム400の状態からの材料
堆積過程の続きである。
図20に示すように、基板101、第1のマスク408A、第2のマスク408B及び第3のマスク408Cは互いに同期して第2のローラ402Bの方向へ移動し続けた。第1のマスク、第2のマスク及び第3のマスクのそれぞれは、下地基板との接触を維持し、基板がマスクにより接触される裸領域を維持した。
図20の状態では、第1及び第2のマスクにより画定される基板の標的領域は、第2の材料層208を形成するために第2の粒子206を第2の貯蔵器406Bから第1の材料層202上へそれに応じて
堆積する第2の噴霧器404Bに隣接する。一方、第1及び第3のマスクにより画定される基板の標的領域は、基板上に直接配置される第1の材料層内へ第1の粒子200を
堆積する第1の噴霧器に隣接して位置決めされる。これらの層のそれぞれが
堆積される間、基板は、第1のマスク408Aから第2のマスク408B及び第3のマスク408Cの両方へ通される電流により抵抗加熱され得る。当然、他の実施形態では、本開示はそのように限定されないため、電流通過の方向は、反転され、電流は第3のマスク及び第2のマスクから第1のマスクへ通され得る。
図20に示すように、第4のマスク408D及び第4のマスクアクチュエータ410Dは、第3のマスクと第4のマスクとの間にさらに別の標的領域を画定するためにトラック412に沿って第3のマスクに追随する。
【0071】
[0094]
図21は
図20に示す状態に続く材料
堆積過程を描写する。
図21に示すように、基板101、第1のマスク408A、第2のマスク208B、第3のマスク408C、及び第4のマスク408Dは第2のローラ402Bの方向へさらに移動した。第1及び第2のマスク間の第2の材料層208の
堆積は完了し、第2のマスクは第2のマスクアクチュエータ410Bにより移動され基板と接触しなくなった。第2の材料層208及び第1の材料層202を含む基板の解放された部分は、基板を第2のローラ402B上へ巻き付けることに先立って第1及び第2の材料層を同時に緻密化するカレンダーローラ414内へ供給される。第2のマスクが基板を解放すると、第4のマスク408Dは第4のマスクアクチュエータ410Dにより移動され基板と接触した。したがって、第3のマスク408C及び第4のマスク408Dは材料
堆積のためのその間のさらに別の標的領域を画定し得る。
【0072】
[0095]
図18~21に示す実施形態は、材料が一気に(すなわち非連続的に)
堆積されるように第1及び第2の噴霧器404A、404Bのタイミングを描写するが、他の実施形態では、第1の噴霧器及び第2の噴霧器は材料を絶えず
堆積し得る。すなわち、第1の粒子及び第2の粒子は、基板及びマスクが第1のローラ402Aから第2のローラ402Bの方向へ移動すると第1の噴霧器及び第2の噴霧器から連続的に射出され得る。この実施態様によると、噴霧器は、マスク及び基板が噴霧器の下を通り所望範囲内に位置すると粒子を基板に直接噴霧し得る。しかし、マスクが下地基板を遮蔽するため、基板の裸領域はこのような配置でマスクの下に依然として維持され得る。
【0073】
[0096]
図22は連続材料
堆積過程中の噴霧
堆積システム500のさらに別の実施形態の上面概略図である。
図22の実施形態によると、噴霧
堆積システムは、同システムが様々なステーションにおいて3つの材料層を順に
堆積するということを除き
図18~21のものと同様である。
図22に示すように、本システムは、リール・ツー・リール処理において基板を第1のローラから巻き戻し基板を第2のローラ上に巻き付けることにより基板101を平行移動させる第1のローラ502A及び第2のローラ502Bを含む。本システムは、それぞれが様々な材料又は材料混合物を順に基板上に
堆積する第1の噴霧器504A、第2の噴霧器504B及び第3の噴霧器504Cを含む。本システムはまた、基板が連続運動で移動されて基板と接触する又は接触しなくなることを可能にする連続的トラック512上に配置された複数のマスク508及びマスクアクチュエータ510を含む。明確化のために、基板と接触したマスク及びマスクアクチュエータは、第1のマスク508A、第1のマスクアクチュエータ510A、第2のマスク508B、第2のマスクアクチュエータ510B、第3のマスク508C、第3のマスクアクチュエータ510C、第4のマスク508D及び第4のマスクアクチュエータ510Dとしてラベル付けされる。
図18~21の実施形態を参照して既に述べたように、マスクは、各標的領域が、マスクにより遮蔽された基板の裸領域により隣接標的領域から分離されるように、材料
堆積のためのそれらの間の標的領域を画定する。
図22の実施形態によると、第1のマスク508A及び第3のマスク508Cは負電位、接地電位、又はそうでなければ低電位電極として構成される。対照的に、第2のマスク508B及び第4のマスク508Dは、材料が噴霧器のそれぞれにより
堆積されると基板を抵抗加熱するために電流が第2及び第4の電極から第1及び第3の電極それぞれへ流れるように正電位又はそうでなければ高電位電極として構成される。
【0074】
[0097]
図22の実施形態に示すように、噴霧
堆積システムは、第2のローラ502B上へ巻き付けられる前に同時にカレンダー加工される3つの相異なる材料層を
堆積する。すなわち、基板が第1の噴霧器504Aを通ると、第1の材料層202が基板上に形成される。基板が続き、第2の噴霧器504Bに隣接して位置決めされるため、第2の噴霧器は第2の材料層208を第1の材料層の上に
堆積する。続けると、基板は、第3の材料層212を第2の材料層の上に
堆積する第3の噴霧器504Cに隣接して移動する。第3の材料層が
堆積された後、カレンダーローラ514に最も近いマスク(
図22に示す状態では第4のマスク508Dである)が移動され基板と接触しなくなり、3つの層を含む基板はカレンダーローラ514を通される。3つの層はカレンダー加工されるため、3つの層は、第2のローラ502B上へ巻き付けられるカレンダー加工済みの3層複合物を生じるために同時に緻密化される。既に述べたように、本開示はそのように限定されないため、3つの層は任意の望ましい材料又は材料の混合物を含み得る。
【0075】
[0098] 楕円状トラックが
図22の実施形態を参照して示され説明されたが、本開示はシステム内のいかなる特定数及び/又は配置のトラックにも限定されないため、トラックは任意の適切な形状を有し得、任意数のトラックがシステムのマスクを扱うために使用され得るということを理解すべきであるということに留意すべきである。さらに、いくつかの実施形態では、噴霧
堆積システムは、複数の噴霧器に関連付けられた複数の短いトラックを含み得る。この実施形態では、マスクは、トラックの開始位置へ移動し、基板と接触し、トラックの端まで基板と共に同時に移動し得る。マスクがトラックの端に到達すると、マスクは移動して基板と接触しなくなり、トラックの開始位置へ戻るために基板の走行方向の反対方向に走行し得る。したがって、本開示はそのように限定されないため、開示されたシステムは任意の好適なトラックタイプ及び/又は任意の好適な数のトラックを含み得る。
【0076】
[0099]
図23は材料
堆積過程中の噴霧
堆積システム100のさらに別の実施形態の側面概略図である。
図23の実施形態は、基板を抵抗加熱する代わりに噴霧
堆積システムが複数の放射ヒータ120を使用することにより基板を加熱するということを除いて
図1~7のものと同様である。
図23に示すように、放射ヒータは、第1の粒子200が噴霧器104から基板上に
堆積されると基板が効果的に加熱されるように熱を基板の方向へ放射するように基板101の片側又は両側に配置され得る。
【0077】
[0100]
図24は材料
堆積過程中の噴霧
堆積システム100のさらに別の実施形態の側面概略図である。
図23の実施形態のように、
図24の噴霧
堆積システムは、第1の粒子200が基板上に
堆積されると熱を基板101へ放射する放射ヒータを採用する。
図23の実施形態とは対照的に、放射熱は基板の第1の側へ向けられ、第1の粒子は第1の側に対向する第2の側の第1の材料層202内に
堆積される。このような配置は、標的領域内で移動されることに先立って基板を加熱するヒータと比較して標的領域内の基板のさらに一貫した加熱すら促進し得る。
【0078】
[0101] 本明細書において説明される様々な実施形態の態様は合成又は置換され得るということを理解すべきである。さらに、本明細書に開示される例示的実施形態の噴霧堆積システムは単一の層又は材料層を基板の片側又は2つの対向側へ堆積し得る。加えて、開示された噴霧堆積システムは非連続、半連続、又は連続過程の一部として材料層を基板上に堆積し得る。開示された噴霧堆積システムはまた、個々のマスクを移動して基板と接触させる又は接触しなくさせるアクチュエータ又は複数のマスクを同時に移動する組み合わせアクチュエータを採用し得る。最後に、開示された噴霧堆積システムは、本開示がそのように制限されないため、複数の材料層を異なる時間に単一ステーションにおいて及び/又は別個の物理的に分離された堆積システムにおいてのいずれかにおいて順次堆積し得る。
【0079】
[0102] 本教示は様々な実施形態及び例と併せて説明されたが、本教示がこのような実施形態又は例に限定されるということは意図されていない。逆に、本教示は当業者により理解されるように様々な代替案、修正及び等価物を包含する。したがって、前述の説明と図面は単なる一例である。