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特許7609813真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの真空引き及び密封封止のためのフランジ付きチューブ、フランジ付きチューブを含むVIGユニット、及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの真空引き及び密封封止のためのフランジ付きチューブ、フランジ付きチューブを含むVIGユニット、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20241224BHJP
   E06B 3/677 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
C03C27/06 101D
C03C27/06 101E
E06B3/677
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021574242
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 IB2020055734
(87)【国際公開番号】W WO2020255032
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】16/444,728
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ホーガン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホダップ ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】パシオネク ブラッドリー
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-500430(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03363982(EP,A1)
【文献】特表2013-508260(JP,A)
【文献】特表2015-518810(JP,A)
【文献】特開2005-035835(JP,A)
【文献】米国特許第02749579(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
E06B 3/66 - 3/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットを作製する方法であって、
第1のガラス基板及び第2のガラス基板を有することであって、前記第1のガラス基板が前記第1のガラス基板に孔を含み、前記孔が、第1の部分及び第2の部分を有しており、前記第1の部分が、前記第2の部分よりも前記第1のガラス基板の外側表面に近く、前記第1の部分が、前記第1のガラス基板を横切る第1の幅を有しており、前記第2の部分が、前記第1のガラス基板を横切る第2の幅を有しており、前記第1の幅が前記第2の幅よりも広くなっており、前記第1の部分及び前記第2の部分が一緒になって前記第1のガラス基板を通る貫通孔を形成している、有することと、
フランジ付きポンプアウトチューブを前記孔の中に設置することであって、前記フランジ付きポンプアウトチューブが、前記フランジ付きポンプアウトチューブの上側部分と下側部分の中間に前記第1のガラス基板の外側表面に配置されるスカートを含み、前記設置により、前記チューブの前記下側部分が、前記孔の前記第2の部分の中に少なくとも部分的に延在し、前記チューブの前記上側部分が、前記孔の前記第1の部分の中に少なくとも部分的に配置される、設置することと、
前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板の外周に近接する領域を、前記第1のガラス基板及び/又は前記第2のガラス基板の周縁部の周りに提供された縁部封止部(4)で封止することであって、空洞が、少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間に画定されており、複数のスペーサが、前記空洞内の前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間に設けられており、互いに実質的に平行に離間した関係で前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を維持することを補助している、封止することと、
前記空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にすることと、
前記ポンプアウトチューブをレーザ加熱し、それにより前記チューブの前記上側部分の少なくとも一部をそれ自体の上に内側に崩壊させ、前記第2の幅を覆い、前記VIGユニットを密封封止することであって、封止されたチューブを形成し、前記封止されたチューブが、前記第1のガラス基板の最も外側の表面と面一であるか、又は前記最も外側の表面に対して部分的に凹状になっている、密封封止することと、を含前記スカートが、前記上側部分よりもレーザの波長に対してより透過性であり、レーザのエネルギを吸収することを回避する方法。
【請求項2】
前記孔の前記第1の部分及び前記第2の部分が、ドリル加工によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポンプアウトチューブ及び/又は前記第1のガラス基板に提供されたフリット材料を使用して、前記ポンプアウトチューブを前記第1のガラス基板に封着させることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリット材料が、前記スカートを前記第1のガラス基板に封着させる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フリット材料が、前記スカートの外周縁部を前記第1のガラス基板に封着させる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
フリット材料が、前記スカートの下側に提供されていない、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記チューブが前記孔内に設置される前に、フリット材料が前記ポンプアウトチューブに提供されている、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザ加熱が、前記ポンプアウトチューブを前記第1のガラス基板及び/又は前記スカートに対して優先的に加熱するように実施される、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記レーザ加熱が、前記封止されたチューブを形成する際に、前記チューブが、それ自体の上に内側に崩壊するように、前記チューブの崩壊部分をトレースすることを含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットサブアセンブリを作製する方法であって、
前記真空絶縁ガラス(VIG)ユニットサブアセンブリは、第1のガラス基板を含み、前記第1のガラス基板が、前記第1のガラス基板に形成された孔を含んでおり、前記孔が第1の部分及び第2の部分を有するように形成されており、前記第1の部分が、前記第2の部分よりも前記第1のガラス基板の外側表面に近接しており、前記第1の部分が、前記第1のガラス基板を横切る第1の幅を有し、前記第2の部分が、前記第1のガラス基板を横切る第2の幅を有しており、前記第1の幅が前記第2の幅よりも広くなっており、前記第1の部分及び前記第2の部分が一緒になって、前記第1のガラス基板を通る貫通孔を形成しており、
上側部分と下側部分の中間にある前記第1のガラス基板の外側表面に配置されるスカートを含むフランジ付きポンプアウトチューブを前記孔の中に設置し、前記チューブの前記下側部分が前記第2の部分の中に延在し、前記チューブの前記上側部分が前記第1の部分内に配置されるようにすること、
前記第1のガラス基板と第2のガラス基板とを、前記第1のガラス基板及び/又は前記第2のガラス基板の周縁部の周りに設けられた縁部封止部と関連付けて互いに封着させることであって、空洞が、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板によって画定され、複数のスペーサが、前記空洞内に前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられており、互いに実質的に平行に離間した関係で前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を維持することを補助している、封着させること、
前記空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にすること、並びに
前記ポンプアウトチューブをレーザ加熱し、それにより、前記チューブの前記上側部分の少なくとも一部をそれ自体の上に内側に崩壊させ、前記第2の幅を覆い、前記VIGユニットを密封封止し、封止されたチューブを形成することであって、前記封止されたチューブが、前記第1のガラス基板の最も外側の表面と面一になるか、又は前記最も外側の表面に対して部分的に凹状である、形成すること、を行うことと、を含前記スカートが、前記上側部分よりもレーザの波長に対してより透過性であり、レーザのエネルギを吸収することを回避する方法。
【請求項11】
前記孔の前記第1の部分及び前記第2の部分が、ドリル加工によって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポンプアウトチューブ及び/又は前記第1のガラス基板に提供されたフリット材料を使用して、前記ポンプアウトチューブが、前記第1のガラス基板に封着される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記フリット材料が、前記スカートを前記第1のガラス基板に封着させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フリット材料が、前記スカートの外周縁部を前記第1のガラス基板に封着させる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットであって、
実質的に平行に維持され、少なくとも1つの密封縁部封止部、及び第1のガラス基板及び第2のガラス基板の間に画定された空洞内に配置された複数のスペーサを介して互いに対して離間された、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板と、
フランジ付きチューブで密封封止された第1のガラス基板内に形成されたポンプアウトポートを使用して大気圧より低い圧力に真空された前記空洞であって、前記チューブが、前記空洞に近接して形成された封止部分を含み、前記チューブが前記VIGユニットから突出することなく、前記VIGユニットの内部に配置されている、前記空洞と、を含み、
前記チューブが、前記第1のガラス基板の貫通孔を通じて前記空洞とは反対の側に向けて突出した上側部分を含み、前記上側部分の少なくとも一部がそれ自体の上に内側に崩壊しており
前記チューブが、前記空洞に向けて延在している下側部分と、前記上側部分と前記下側部分の中間にある前記第1のガラス基板の外側表面に配置されるスカートとを含み、前記スカートが、前記上側部分よりもレーザの波長に対してより透過性であり、レーザのエネルギを吸収することを回避する、VIGユニット。
【請求項16】
前記チューブが、フリット材料を介して前記VIGユニットの前記第1のガラス基板に接続されている、請求項15に記載のVIGユニット。
【請求項17】
前記チューブを前記第1のガラス基板に接続する前記フリット材料が、前記チューブのスカートの周りに提供されている、請求項16に記載のVIGユニット。
【請求項18】
前記スカートが、前記封止部分と前記チューブの前記下側部分の中間にある、請求項15乃至17のいずれかに記載のVIGユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の例示的な実施形態は、真空絶縁ガラス(vacuum insulated glass、VIG)ユニット、及び/又はその作製方法に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的な実施形態は、VIGユニットの真空引きと密封封止のためのフランジ付きポンプアウトチューブ、ポンプアウトチューブを含むVIGユニットサブアセンブリ、フランジ付きポンプアウトチューブを使用して作製されたVIGユニット、及び/又は関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットは、典型的には、それらの間に真空又は低圧空間/空洞を囲む、少なくとも2つの離間したガラス基板を含む。基板は、周縁部封止部によって相互接続され、典型的には、ガラス基板間の間隔を維持し、かつ基板間に存在する低圧環境によって引き起こされ得るガラス基板の崩壊を回避するための、ガラス基板間のスペーサを含む。いくつかの例示的なVIG構成は、例えば、米国特許第5,657,607号、同第5,664,395号、同第5,902,652号、同第6,506,472号、及び同第6,383,580号に開示されており、これらの開示は全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0003】
図1図2は、典型的なVIGユニット1、及びVIGユニット1を形成する要素を示す。例えば、VIGユニット1は、それらの間に真空にされた低圧空間/空洞6を取り囲む、2つの離間した実質的に平行なガラス基板2、3を含み得る。ガラスシート又は基板2、3は、例えば、融着されたはんだガラスで作製され得る周縁部封止部4によって相互接続される。支持ピラー/スペーサ5のアレイは、基板2、3間に存在する低圧空間/間隙6を考慮して、VIGユニット1の基板2、3の間隔を維持するために、ガラス基板2、3間に含まれ得る。
【0004】
ポンプアウトチューブ8は、例えば、ガラス基板2の一方の内面から、ガラス基板2の外面の任意選択的な凹部11の底部まで、又は任意選択的にガラス基板2の外面まで通る開口/孔10まで、例えば、はんだガラス9によって密封封止され得る。真空をポンプアウトチューブ8に取り付けて、例えば、連続ポンプダウン動作を使用して、内部空洞6を低圧に真空にする。空洞6を真空にした後、チューブ8の一部分(例えば、先端)を溶融して低圧空洞/空間6内の真空を封止する。任意の凹部11は、封止されたポンプアウトチューブ8を保持し得る。任意選択的に、化学的ゲッター12は、ガラス基板、例えば、ガラス基板2のうちの1つの内面に配置された凹部13内に含まれ得る。化学的ゲッター12は、空洞6が真空にされ封止された後に残存し得る特定の残留不純物を吸収又は結合するために使用され得る。
【0005】
融着されたはんだガラス周縁部封止部4を有するVIGユニットは、典型的には、基板2(又は基板3上)の周囲に、ガラスフリットを溶液(例えば、フリットペースト)内に堆積させることによって製造される。このガラスフリットペーストは、最終的に、ガラスはんだ縁部封止部4を形成する。スペーサ/ピラー5及びガラスフリット溶液を2つの基板2、3間に挟むように、他の基板(例えば、3)を基板2上に引き下げる。次いで、ガラス基板2、3、スペーサ/ピラー5、及び封止部材料(例えば、溶液又はペースト中のガラスフリット)を含むアセンブリ全体を、少なくとも約500℃の温度まで加熱し、この時点で、ガラスフリットは、溶融し、ガラス基板2、3の表面を濡らし、最終的には密封周/縁部封止部4を形成する。
【0006】
基板間の縁部封止部4の形成の後、ポンプアウトチューブ8を介して、真空を引き、基板2、3間に低圧空間/空洞6を形成する。空間6内の圧力は、大気圧未満、例えば、約10-2Torr未満のレベルまで真空プロセスによって生成され得る。空間/空洞6内の低圧を維持するために、基板2、3は密封封止される。大気圧に対するほぼ平行な基板の分離を維持するために、小さい高強度のスペーサ/ピラー5が基板間に設けられている。上述したように、一旦基板2、3間の空間6が真空にされると、ポンプアウトチューブ8は、例えば、レーザなどを使用してその先端を溶融することによって封止され得る。
【0007】
孔又は開口10内にポンプアウトチューブ8を設置するための典型的なプロセスは、予め形成されたガラス製ポンプアウトチューブ8を、ガラス基板2のうちの1つに予め形成された(例えば、ドリル加工によって)開口/孔10内に挿入することを含む。ポンプアウトチューブ8が開口/孔10内に着座された後、接着フリットペーストが、典型的には、ガラス基板2の外面に近接する孔10の開口部に近い領域において、ポンプアウトチューブ8に適用される。上述のように、ポンプアウトチューブは、VIGユニット空洞の真空又はパージ後に封止され得る。
【0008】
空洞を大気圧未満の圧力に真空にした後、ポンプアウトチューブの封止は、空洞を真空にするか又はパージするために使用されるポンプアウトチューブの端部を加熱して開口部を溶融させ、したがって、VIGユニットの空洞を封止することによって達成され得る。例えば、限定するものではないが、この加熱及び溶融は、ポンプアウトチューブの先端部のレーザ照射によって達成され得る。
【0009】
時には、ポンプアウトチューブがガラス基板内に形成された孔に適切に着座しない場合があるかもしれない。その結果、ポンプアウトチューブは、一方の側に傾くか又は傾斜し得、したがって、孔が形成されるガラス基板の表面に対して実質的に垂直ではない。その結果、ポンプアウトチューブが不適切に着座し、ガラス基板の表面に対して望ましくない角度である状況では、レーザが、例えば、傾斜したポンプアウトチューブ頂部の様々な部分とレーザ源との間の距離の差のために、ポンプアウトチューブの先端を一貫して溶融することができないため、ポンプアウトチューブを適切に封止することは困難になり得る。ポンプアウトチューブの頂部の一貫した融解は、不完全な封止、ひいては空気漏れをもたらし得るが、これは、封止部の品質に応じて、経時的に急速に又はよりゆっくりと生じ得る。加えて、チューブの傾斜又は傾きの程度に基づいて、レーザが、頂部の代わりにチューブ壁に当たる可能性がある。レーザがチューブ壁に当たると、レーザは、チューブを潜在的に迂回し、フリットに当たる可能性があり、それにより、フリットを損傷し、空洞内への望ましくない脱ガスを引き起こし得る。
【0010】
ポンプアウトチューブを孔内に着座させて、チューブの傾斜量を許容範囲内に低減する方法を提供することが望ましいように思えるだろう。この点に関して、真空及び/又はチップオフプロセスを改善する試みがなされてきた。それらの内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第9,371,683号及び同第8,833,105号並びに米国特許出願公開第2013/0306222号を参照されたい。このような技法は、従来のアプローチと比較して有利である。更に、本出願の発明者らは、更なる改善が依然として可能であることを認識している。
【0011】
例えば、ポンプアウトチューブは、基板に対して適切に配向されている場合であっても、依然としてVIGユニットの最も外側の表面から外向きに突出する。封止されたチューブが押されるか、叩かれて緩まるか、又は全体的に若しくは部分的に破断される場合、VIGユニットは、そうでなければ望ましいであろうものよりも速く真空を失い得る。キャップは、破損などを引き起こす可能性がある衝撃に対して保護することを補助するために、突出封止されたチューブの上方に時には設けられるが、そのようなキャップは、重い機械力に対して限定された有効性を有し、追加の処理工程及び材料をVIGユニット製造プロセスに加える。
【0012】
この従来の構成は、図3でより完全に示されており、この図は、VIGユニットから外側に突出しキャップ15を使用して保護されている、封止されたポンプアウトチューブ8を有するVIGユニットの断面概略図である。VIGユニットを真空にして、続けて封止するとき、真空引き経路を可能にするためにポンプアウトポートが使用されている。従来、このポートは、フリット9が上に塗布されたチューブ8をガラス2内にドリル加工された孔に挿入し、孔の周りにフリット9を発射し、フリット9を定位置に封止し、それをレーザ、抵抗性フィラメント、又は同様の集束エネルギ源で溶融することによってチューブ8を封止し、それによってVIGユニットを密封封止することによって、封止されている。保護キャップ15は、接着テープ16又はガラス表面から突出する繊細なチューブ8を保護するのを助ける他の手段を介してガラス表面に取り付けられる。
【0013】
したがって、VIGユニット及び/又はそのキャップの最も外側の表面から外向きに突出するポンプアウトチューブの必要性を完全に排除することが望ましくなることが理解される。
【発明の概要】
【0014】
特定の例示的な実施形態の一態様は、VIGユニットの内部のポンプアウトチューブの使用に関する。特定の例示的な実施形態では、VIGユニットの最も外側の表面から外向きに突出するポンプアウトチューブが不要になっている。特定の例示的な事例におけるこの配置は、例えば、別個のキャップを提供して封止する必要性を取り除き、VIGユニットの非常に脆弱な要素を排除することで配慮を払う必要性を低減していることで、出荷、取り扱い、輸送、及び/又は他の加工作業を容易にすることによって、製造プロセスを簡素化している。フレーム設計、積層、IG構造、及び/又は同様のものも簡略化されることができる。
【0015】
特定の例示的な実施形態の別の態様は、フランジ付きポンプアウトチューブの封止に関し、封止されたチューブが、(例えば、VIGユニットと同一平面であるか、又はその内部にある)VIGユニットの最も外側の表面を越えて突出しないようになっている。この構成は、特定の例示的実例において有利であるが、これは、チューブの上方に置かれた別個の突出保護キャップの必要性を低減することができ、時には排除することができるためである。保護キャップの取り外しは、次に、審美的観点から有利となることができる。その上、保護キャップの取り外しは、VIGユニットへの損傷の可能性を低減し、かつ出荷、取り扱い、輸送、及び/又は他の加工作業をより容易にするという観点から有利となり得る。前者に関しては、上記に触れたように、キャップをバンピングすることは、力を封止チューブに並進させることができ、これによって、キャップが移動及び/又は破断する原因となり、VIGの真空の品質を損なうことができる。後者に関しては、キャップが欠けているため、そのようなキャップを収容する特別な輸送及び/又は包装材料を使用する必要を回避することが可能であり得る。
【0016】
特定の例示的な実施形態の別の態様は、再設計されたVIGポンプアウトポート及び/又はチューブを含む。再設計されたVIGポンプアウトポート及び/又はチューブは、例えば、VIGユニットの最も外側の平面を越えて延在するチューブを排除することによって、剪断荷重及び/又は同様のものに関連する脆弱性を有利に改善する。
【0017】
特定の例示的な実施形態では、VIGユニットを作製する方法が提供される。第1のガラス基板及び第2のガラス基板が提供される。第1の基板は、第1の基板に形成された孔を含み、孔が第1の部分及び第2の部分を有するように形成されており、第1の部分が、第2の部分よりも第1の基板の外側表面に近接しており、第1の部分が、第1の基板を横切る第1の幅を有し、第2の部分が、第1の基板を横切る第2の幅を有しており、第1の幅が第2の幅よりも広くなっており、第1の部分及び第2の部分が一緒になって、第1の基板を通る貫通孔を形成している。上側部分と下側部分の中間にあるスカートを含むフランジ付きポンプアウトチューブは、孔内に配置され、チューブの下側部分が第2の部分の中に延在し、チューブの上側部分が第1の部分内に位置するようになっている。第1の基板及び第2の基板は、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周りに設けられた縁部封止部と、第1の基板及び第2の基板によって画定された空洞と、そして、空洞内で第1の基板と第2の基板との間に設けられており、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助している複数のスペーサと共に封着されている。空洞は、大気圧よりも低い圧力に真空にされている。ポンプアウトチューブは、チューブの上側部分の少なくとも一部がそれ自体の上に内側に崩壊するように加熱され、第2の幅を覆い、VIGユニットを密封して封止されたチューブを形成し、封止されたチューブは、第1の基板の最も外側の表面と面一になっているか、又は最も外側の表面に対して部分的に凹状である。
【0018】
特定の例示的な実施形態では、VIGユニットサブアセンブリを作製する方法が提供されている。本方法は、そこに形成された孔を含む第1のガラス基板を提供することを含み、孔は、第1の部分及び第2の部分を有するように形成されており、第1の部分は、第2の部分よりも第1の基板の外側表面に近く、第1の部分が、第1の基板を横切る第1の幅を有しており、第2の部分が、第1の基板を横切る第2の幅を有しており、第1の幅が第2の幅よりも広くなっており、第1の部分及び第2の部分が一緒になって第1の基板を通る貫通孔を形成している。第1の基板は、別の一団へ転送され、チューブの下側部分が第2の部分の中へ延在し、チューブの上側部分が第1の部分に配置されるように、上側部分と下側部分の中間のスカートを含むフランジ付きポンプアウトチューブを孔内に配置し、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周りに設けられた縁部封止部と関連付けて互いに封着させ、空洞が、第1の基板と第2の基板によって画定され、複数のスペーサが、空洞内に第1の基板と第2の基板との間に設けられており、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助している、空洞を大気圧より低い圧力で真空にし、ポンプアウトチューブをレーザ加熱して、それにより、チューブの上側部分の少なくとも一部をそれ自体の上に内側に崩壊させ、第2の幅を覆い、VIGユニットを密封封止し、封止されたチューブを形成し、封止されたチューブが、第1の基板の最も外側の表面と面一になるか、又は最も外側の表面に対して部分的に凹状になるようにする。
【0019】
特定の例示的な実施形態では、VIGユニットが提供される。第1のガラス基板及び第2のガラス基板は、密封縁部封止部と、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に画定された空洞内に配置された複数のスペーサとを介して、互いに実質的に平行に離間した関係で維持されている。空洞は、レーザ封止されたフランジ付きチューブで密封封止された第1の基板に形成されたポンプアウトポートを使用して、大気圧よりも低い圧力に真空引きされる。レーザ封止されたチューブは、空洞に近接して、そこから作製された封止部分を含み、レーザ封止されたチューブが、そこから突出することなく、VIGユニットの内部に配置されている。
【0020】
本明細書に記載の特徴、態様、利点、及び例示的実施形態は、更なる実施形態を実現するために組み合わされてもよい。
【0021】
これら及び他の特徴及び利点は、図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良好かつより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの断面概略図である。
【0023】
図2】従来のVIGユニットの頂面図である。
【0024】
図3】VIGユニットから外向きに突出し、キャップを使用して保護されている、封止されたポンプアウトチューブを有するVIGユニットの断面概略図である。
【0025】
図4】特定の例示的な実施形態で使用され得るフランジ付きチューブの断面概略図である。
【0026】
図5】特定の例示的な実施形態で使用され得る例示的な基板設計を示す断面概略図である。
【0027】
図6】特定の例示的な実施形態による、フランジ付きポンプアウトチューブが、封止されるVIGユニットサブアセンブリに提供され得る第1の方法を示す断面概略図である。
【0028】
図7】特定の例示的な実施形態にしたがって封止された図6の例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。
【0029】
図8】特定の例示的な実施形態による、フランジ付きポンプアウトチューブが、封止されるVIGユニットサブアセンブリに提供され得る第2の方法を示す断面概略図である。
【0030】
図9】特定の例示的な実施形態にしたがって封止された図8の例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。
【0031】
図10】特定の例示的な実施形態にしたがって封止された上部ポケットを欠いた例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。
【0032】
図11】特定の例示的な実施形態にしたがって封止された上部ポケット及び下部ポケットを有する例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。
【0033】
図12】特定の例示的な実施形態による、フランジ付きポンプアウトチューブに関連付けられたVIGユニットを作製するための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0034】
図13】特定の例示的な実施形態による、内部封止に関連してVIGユニットを作製するための別の例示的なプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
特定の例示的な実施形態は、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットを真空にするための改善された技術に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的な実施形態は、VIGユニットの真空引きと密封封止のためのフランジ付きポンプアウトチューブ、ポンプアウトチューブを含むVIGユニットサブアセンブリ、フランジ付きポンプアウトチューブを使用して作製されたVIGユニット、及び/又は関連する方法に関する。典型的には、VIGユニットの内部空間は、内部空間が十分に低い圧力に達すると封止を容易にする表面装着型チューブ又は他の構造体を通して真空にされている。そのチューブ又は他の構造体は、封止されたときであっても表面から突出し、通常、保護キャップで保護されるが、それにもかかわらず、特別な取り扱いを必要とする。特定の例示的な実施形態は、その上部がVIGユニットの最も外側の表面を越えて突出しないように、先端除去したフランジ付き封止チューブを使用することによって、この手法を改善し、それにより、保護キャップの必要性を潜在的に排除し、取り扱い、フレーム設計、ハイブリッドVIG構造、積層などの更なる自由度を可能にしている。本質的に、フランジ付き封止チューブは、少なくとも特定の例示的な実施形態において、凹状ポケット内の内部表面に再配置される。
【0036】
特定の例示的な実施形態では、封止されたチューブは、VIGのガラスの外面と面一であるか、又はそれに対して凹状になっている。その結果、保護キャップはその上方に適用される必要はない。このことは、次に、特に積層、ハイブリッドVIG製造などの二次プロセスのために、より容易な処理をもたらすことができる。加えて、基板から外向きに突出する外側チューブの排除は、例えば、余分な突出を考慮するためにVIGユニットを適切に離間させるための追加のパッキングダンネージが、設けられる必要がない場合、輸送手法において実現される改善を可能にし得る。標準的な、又はより標準的な包装などが、特定の例示的な実施形態で使用され得る。
【0037】
異なる例示的な実施形態に関連して使用され得る複数のフランジ付きチューブ及び基板ポケット設計が存在する。この点に関し、そして、ここで、いくつかの図を通して同様の数字が同様の構成要素を示す図面をより詳細に参照すると、図4は、特定の例示的な実施形態で使用され得るフランジ付きチューブの断面概略図であり、図5は、特定の実施形態で使用され得る例示的な基板設計を示す断面概略図である。
【0038】
図4の例示的なフランジは、円筒形又は他の中空形状のチューブ40を含み、その全長L4に沿った突出機構42を備えている。図4の例では、チューブ40は、内径又は内側距離D1、及び外径又は外側距離D2を有し、それらの間に画定されているチューブの壁を備えている。また図4の例では、突出機構42は、チューブ40の上端と下端の中間にあり、例えば、チューブ40の上端から第1の距離L1で離間し、チューブ40の下端から第2の距離L3で離間するようになっており、L2の長さ又は厚さを有する。突出機構42は、直径又は主要距離D3を有する。
【0039】
この突出機構42はフランジとして機能し、以下に提供される説明からより完全に理解されるように、製品の改善と共にいくつかの可能性のある加工改善を提供する。チューブ40は、特定の例示的な実施形態では、一体部品として形成される。例えば、特定の例示的な実施形態では、チューブ40の本体及び突出機構42は両方とも、同じ材料(例えば、ガラス)から形成されている。特定の例示的な実施形態では、チューブ40及び突出機構42は、それらが異なる材料から形成されても、互いに一体であると見なされ得る。
【0040】
チューブ40はガラス基板内に形成された孔又はポケット機構に挿入されており、ガラス基板は、VIGユニットサブアセンブリの一部であるか、又はその一部になることになる。チューブ40は、フリットを使用して、この孔又はポケット内でガラス基板に気密封止される。図5は、ポンプアウトポート52を備える基板50を示す。凹部54a~54bは、ポンプアウトポート52に近接して形成されている。ポンプアウトポート52及び凹部54a~54bは、円筒形であることができるか、又は別の形状であることができる。図5に示すように、ポンプアウトポート52は、貫通直径又は主要距離THDを有し、凹部54a~54bは、それぞれDP1及びDP2の直径又は距離を有する。基板は厚さSTを有し、凹部54a~54bは、それぞれP1及びP2の深さを有する。以下でより詳細に説明されるように、異なる実施形態は、上部凹部54a、下側凹部54b、又は凹部54a~54bの両方を含み得る。
【0041】
封止フリットは、チューブの最外径に沿って(例えば、図6に示すように)塗布されることができ、及び/又はD2とD3のフランジ直径の間の上面若しくは下面とポケットの表面との間に塗布されることができる(例えば、図8を参照)。フランジ機構は、(例えば、図8の例のように)チューブを封止する際に使用されるレーザに対してフリットが被覆され、及び/又は(例えば、図6の例のように)レーザ経路を避けるように動かされるフリットを封止することを可能にする。フリットをレーザから離して配置すること、及び/又はレーザに対して遮蔽された場所に配置することは、フリットのレーザへの露出が、封止における欠陥、チューブ封止の問題、曇りの蓄積、及び/又はVIGユニットの処理における他の問題を促すことがあることから、有利となり得る。
【0042】
フランジ機構は、垂直停止部として機能し、チューブ端部とガラス表面との間の垂直又は実質的に垂直な関係を維持するのに役立つ。
【0043】
フランジが内部VIGユニット表面上に設けられるとき、熱絶縁がもたらされ得る。この熱絶縁は、チューブの適切な封止を好都合に可能にする。その結果、基板貫通孔直径又は距離(through-hole diameter or distance、THD)と外側チューブ直径又は距離(D2)との間に隙間が設けられ得る。これについては、例えば、図10図11を参照されたい。このクリアランスは、ゼロに近い値で、最大でチューブアセンブリの外径又は距離D3の約1mm以内であり得る。下部ポケットは、チューブの中心配置を促す。この構成での封止に必ずしも必要とされないが、それにもかかわらず、検査又は他の目的のためには、上部ポケットが望ましくなり得る。
【0044】
フランジ機構は、外部ポケット表面からの基準として使用される場合、VBZ系(バナジウム、バリウム、及び亜鉛系)又は他のフリットが、縁部封止及びチューブ接続プロセスの両方において使用されることを可能にする。このことが有利にも、1つの共通材料が複数の場所で使用されることを可能にする。特定の例示的な実施形態に関連して使用され得る例示的なVBZベース及び/又は他のフリットが、米国特許第10,125,045号、同第9,988,302号、同第9,593,527号、同第9,428,952号、及び同第9,309,146号に開示されており、これらそれぞれの全体的内容が、本明細書に参照として組み込まれている。
【0045】
フランジ機構は、内部ポケット表面(例えば、得られるVIGユニットの表面2又は表面3)上の基準として使用される場合、焼戻し中にチューブを発射し、ビスマス又は他のフリット封止を利用し、一部のVBZ系及び/又は他のフリットが影響を受けやすい凝縮水への脆弱性を低減することを可能にする。
【0046】
長さL1及び長さL3は、対称である必要はなく、ゼロ値(例えば、図8に示されるように、L3=0.00mm)であることができる。しかしながら、L1及びL3が対称である場合、設置動作は、より容易で、かつ、より信頼性の高いチューブのポンプアウトポートに対する配向を通じて容易になり得る。
【0047】
特定の例示的な実施形態では、スカート又は突出機構の厚さL2は、0.30mmから基板STの半分までの範囲であることができ、(典型的には最大0.75mmである)封止動作から残る厚さが薄くなる。フランジ付きポンプアウトチューブを収容するために基板を熱処理する(例えば、熱で焼戻し)ことが望ましい特定の例示的な実施形態では、ポケット深さP1及びP2内で除去することが可能な全体的ガラスは、最大で基板の全厚の半分である。場合によって、より多くのガラスを除去することは、高温焼戻しなどに不適合となり得る。したがって、特定の例示的な実施形態では、以下のようになる。
L2={0.30mm~[(ST/2)-0.75mm]}
P1+P2≦(ST/2)
P1は、P2と等しい必要はない
【0048】
上部又は外部ポケットフランジ基準では、外側から封止する場合、スカートL2の厚さと最終的なチューブ長との合計は、好ましくは基板厚さの半分よりも大きくならないことが好ましい。このことは、チューブがVIGユニットの最も外側の表面から外側に延在しないことを確実にすることを補助する。したがって、特定の例示的な実施形態では、以下のようになる。
【0049】
L2+0.75≦(ST/2),L2+0.75=P1
【0050】
下部又は内部ポケットフランジ基準では、チューブの全長L4は、基板の厚さに0.75mmを加えたもの以下であることが好ましく、ポケットP1の深さは、最小で0.75mmに等しいことが好ましい。フランジの厚さは、上記の範囲内にあり、基板厚さの半分以下を維持することにより、直径がポケットに接合された場合に、最大0.200mmの封止フリット材料を可能にする(図8を参照)。したがって、特定の例示的な実施形態では、以下のようになる。
(ST-0.200mm)≦L4≦ST+0.75mm
P1≧0.75mm
P2+P1≦ST/2
P2=(ST/2)-P1-0.200
P2=L2+0.200
【0051】
フランジ直径又は距離は、好ましくは、外側チューブ端部の直径又は距離よりも少なくとも1mm大きく、フランジが設置されるポケット直径又は距離よりも少なくとも2mm小さい。これにより、余分な材料のための空間、及び/又はフランジの縁部のための空間が基板に封着されるのを可能にしている。
【0052】
特定の例示的な実施形態では、チューブ端部の外径又は距離は、好ましくは、内側チューブ端部の直径よりも2mm以下である。この配置は、有利にも、レーザを使用してチューブの先端が効率よく先端除去されることを可能にする。したがって、特定の例示的な実施形態では、以下のようになる。
D3-D2≧1.00mm
D3≦(DP1又はDP2-2.00mm)、DP1又はDP2は挿入するポケットによる。
D2-D1≦2.00mm
D1≧0.50mm
【0053】
熱伝導絶縁が有利であり(例えば、図9図10を参照)、貫通孔の直径又は距離であるTHDは、DP2=D3+[(THDーD2)/2]になるように設定されることが好ましい。THDは、好ましくは、D2から最大でD3寸法の間の値を含み、ここでは、THDとD2との間の差は、0から最大D3値の範囲である。
【0054】
特定の例示的な実施形態では、チューブ端部の長さは、チューブ壁直径と同じ厚さの材料をチューブ端部上に封着させるのに必要とされる材料の体積によって決定される。
【0055】
図6は、第1の方法を示す断面概略図であり、ここでは、特定の例示的な実施形態にしたがって、フランジ付きポンプアウトチューブ40が、封止されるVIGユニットサブアセンブリに設けられ得る。図6の例示的なVIGユニットサブアセンブリは、第1の基板60a及び第2の基板60bを含み、それらの間に大気圧よりも低い圧力まで真空にされる間隙62を備えている。第2の基板60bは、ゲッター材料、などを収容することができる凹部64を含むが、これは、異なる例示的な実施形態において提供される必要はない。簡潔に言えば、VIGユニットサブアセンブリは、第1の基板60aに形成されたポケット66の外部ポケット表面からの基準を有するチューブ40を示し、第1の基板60aの内側面に形成された追加のポケットを備えていない。
【0056】
フランジ付きチューブ66は、図6のVIGユニットサブアセンブリの実質的に内部にあり、本質的に第1の基板60aにドリル加工されたか、又は別の方法で形成されたポケット66内に着座する。チューブ66は、フリット68を使用して定位置に保持され、フリットは、最も外側のフランジ42の周囲に(及び任意選択でフランジの下面とポケット66の上面との間に)提供され、従来の手法にしたがって発射されることができる。しかしながら、チューブ40自体が封止されると第1の基板60aの外面を越えて突出せず、チューブ40が先端除去されると、その側壁が内向きに崩壊し、既にその下に着座していない場合、基板60aの最も外側の表面の下方に降下する。すなわち、特定の例示的な実施形態では、封止されていないチューブ40は、第1の基板60aの外側主表面を越えて突出し得、封止されると突出し得ない。異なる例示的な実施形態では、封止されていないチューブ40は、封止される前後に第1の基板60aの外側主表面を越えて突出しない。
【0057】
チューブ40のスカート42が中に着座するポケット66は、より多くのチューブ材料を露出させ、封止を形成する際に使用されることを可能にするため、有利である。チューブ40の下側部分が中に着座するポートは、第1の直径の、又は主要距離の貫通孔をドリル加工することによって形成されることができ、ポケット66は、貫通孔に近接する基板に凹部をドリル加工することによって形成され得る。このポケット又は凹部66は貫通孔ではなく、そうではない単により大きな(又は補助的な)ポンプアウトポートとして機能する。貫通孔及び凹部は、例えば、それぞれの近似の中心が、(例えば、平面図及び/又は断面図の視点から(後者は図6から理解できる))実質的に整列されるように互いに位置合わせされて形成されることができる)。貫通孔及び凹部は、特定の例示的な実施形態では、平面図において実質的に円形であり得るが、異なる例示的な実施形態では他の構成も可能である。
【0058】
図6に示すVIGユニットサブアセンブリは、真空を用いてチューブ40を通して真空引きされており、これは内部空気空間又は空洞に開いている。図3に示されるものに類似する真空カップが、特定の例示的な実施形態で使用され得るが、全ての実施形態において(例えば、サブアセンブリ全体が真空状態で処理されている実施形態において)使用される必要はない。十分に低い圧力に達すると、チューブ40を封止するためにレーザ等が使用される。特定の例示的な実施形態では、レーザは、先端除去される側と同じ基板の側から向けられることができる。このことは、最終的に孔の上を覆うまで、溶融したチューブ材料が垂れ下がることを促すことができる。換言すれば、チューブ40の側壁へのレーザの暴露は、チューブ40の側壁が内側に垂れ下がり始めるようにする。レーザは、ブリッジが形成され始めると垂れ下がりをトレースして、チューブ40を密封封止することができる。
【0059】
特定の例示的な実施形態では、ガラス基板60aは、レーザの波長に対して十分に透過性であることが好ましく、それにより、かなりの量のエネルギを吸収することを回避するようになっている。対照的に、チューブ40はその波長に対して十分に不透明であることが好ましく、エネルギを吸収し、封止部を形成する。この意味において、チューブ40は、特定の例示的な実施形態において、(例えば、第1の基板60a及び/又は第2の基板60bと比較して)優先的に加熱され得る。更に、溶融されるチューブ40の部分は、溶融される部分よりもレーザの波長に対してより透過性であり得るスカート42と比較して優先的に加熱され得る。
【0060】
更に、特定の例示的な実施形態では、この加熱は、チューブ(又は封止側壁)を実質的に溶融するための第1の又はコアの加熱段階を含む優先的加熱であり得、チューブ(又は封止側壁)を共に垂れさせ、ブリッジを形成させる第2の段階がそれに続く。これらの段階の一方又は両方は、例えば、上に重なる基板を含むVIGユニットサブアセンブリの残りの部分に対してチューブ(又は封止側壁)を優先的に加熱することができる。レーザ加熱は、異なる例示的な実施形態において、いずれか又は両方の段階に使用され得る。レーザ加熱が本明細書で言及されているが、赤外線(IR)加熱は、本明細書に記載される任意の加熱手順に関連して使用され得ることが理解されるであろう。優先的加熱は、チューブとガラス基板の組成が異なることを確実にすることによって達成され得る。チューブの組成は、異なる例示的な実施形態において均一であるか、又は変化したものであり得る。例えば、チューブ(又はその一部分)は、ガラスに比較して、より高い鉄含量を有することができ、例えば、ガラスがレーザ又は他の放射線を吸収する可能性が低いようになっている。追加的に、又は代替的に、フランジ付きチューブのスカートは、フランジ付きチューブの他の部位と比較して、より高いか、又はより少ない鉄含有量を含み得る。特定の例示的な実施形態では、ガラス及びスカートは、同一か、又は実質的に同一の吸収性を有し、先端除去されるチューブの部位は、(例えば、異なる鉄含有量に基づいて)より高い吸収性を有する。
【0061】
図7は、特定の例示的な実施形態にしたがって封止された図6の例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。したがって、図7は、ブリッジ部分44を含む密封チューブ40’を示しており、このブリッジ部分は、ポンプアウトポートを覆い、密封封止を提供することを補助し、空洞62が真空状態を維持できるようになっている。ブリッジ部分44は、第1の基板60aの最外表面よりも遠くに突出していない。
【0062】
図8は、特定の例示的な実施形態による、フランジ付きポンプアウトチューブが、封止されるVIGユニットサブアセンブリに提供され得る第2の方法を示す断面概略図である。図8の例は、図4に関連して図示し、上述した基板の同じ例示的な種類である基板42に提供されるT字形フランジ付きチューブ40aを示す。つまり、ここで基板42は、上側ポケット54a及び下側ポケット54bを含み、ここでチューブ40aは、内部ポケット54b表面から配置されている。封止フリット68は、フランジ付きチューブ40aのスカートの上面と、内部又は下側ポケット54bの表面との間に設けられている。
【0063】
図9は、特定の例示的な実施形態にしたがって封止された図8の例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。上述した図7と同様に、ここで封止されたチューブ40a’は、基板42の最も外側の表面に凹んでいるか、又は少なくともそれに対して面一である。ブリッジ44は、チューブの側壁をレーザなどで溶融し、ユニットを密封封止することによって形成されている。有利にも、チューブ40aを溶融するレーザ又は他のエネルギ源は、封止されるチューブ40aの外側の周囲に提供されるフリット68に直接焦点を当てることはない。このことが、形成されている封止での潜在的な欠陥発生を回避することを補助する。
【0064】
上側ポケット54a及び下側ポケット54bの両方を有する基板と共に使用される必要がない、図8図9に関連して図示され、説明された基本的なフランジ付きチューブ設計が、理解されるであろう。この点に関し、図10は、特定の例示的な実施形態にしたがって封止された上部ポケットを欠いた例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。図10の例では、封止されたチューブ40a’は、基板60a’のポンプアウトポートに挿入されており、この基板は上側凹部54aを含むが、基板60a’の最も外側の表面に向かって上方にはない。図10の例から理解され得るように、フランジ付きチューブの外側縁部と凹部54bの内壁との間には空間が存在し、この空間は、追加のフリット材料68を収容するのを補助することができ、チューブの基板60aへの融着、及び/又はチューブの溶融、等の間に、いくらかの熱膨張/収縮を可能にすることができる。概略的に示されており、縮尺通りではないが、例えば、上述のガイダンスが特定の例示的な事例で使用される場合、ポンプアウトポート及び凹部のサイズは、異なる例示的な実施形態において変化し得ることも図9図10の比較から理解されるであろう。
【0065】
同様に上に示されるように、複数のポケットが提供される場合、それらは同じ寸法を有する必要はない。図11は、例えば、特定の例示的な実施形態にしたがって封止された上部ポケット54a’及び下部ポケット54b’を備えた例示的なVIGユニットサブアセンブリを示す断面概略図である。すなわち、第1基板42’は、異なる直径又は主要な距離、並びに基板42’を通る異なる長さを有する上部ポケット54a’及び下部ポケット54b’を含む。上部ポケット54a’は、これらの寸法の両方において下部ポケット54b’よりも大きく示されているが、異なる例示的な実施形態は、これらの関係性を変更することができる。例えば、上部ポケット54a’は、これらの寸法の両方において下部ポケット54b’よりも小さくなり得、上部ポケット54a’は、長さ寸法ではないが幅寸法において下部ポケット54b’よりも小さくなり得る。
【0066】
フランジ付きチューブを収容する基板内の機械加工されたポケットは、特定の例示的な実施形態では、封止チューブの周囲にゲッターを挿入することを可能にするために拡大され得る。例えば、フリットが提供される場所の周りに拡大領域が設けられることができる。これらの拡大領域は、異なる例示的な実施形態において、別個に画定された凹部であることができる。
【0067】
特定の例示的な実施形態では、チューブ及び封止フリットは、焼戻しされたVIGユニットの構築のために予備焼戻しして設置されることができる。封止フリットは、焼戻しプロセス中に発射されることができ、このことは、より高い融点のフリットが密封封止を得る際に使用されることを可能にし得る。
【0068】
プロファイル/断面は、貫通孔を形成することによって形成されることができ、貫通孔の周囲に1つ以上のチャネル又は溝が形成され、それによって凹部又はポケットを画定する。これらの特徴は、例えば、基板にドリル加工することによって、任意の好適な様式で形成され得る。
【0069】
断面視で見たとき、凹部は、概してU字形、半円形、台形、及び/又は同様のものであり得る。連続的なドリル加工は、これら及び/又は他の形状を、例えば、より段階的な方法で近似させるために実行され得る。
【0070】
異なる実施形態では、平面視で見たとき、貫通孔及び/又は凹部のために、概して円形、楕円形、正方形、長方形、及び/又は他の形状が使用され得る。例えば、平面視から見たとき、略正方形、卵形、及び/又は他の構成が、異なる例示的な実施形態で使用され得る。また、異なる形状の特徴が単一の実施形態に関連して使用され得ることも理解されるであろう。例えば、平面視から見たとき、例示的な実施形態は、概して円形の貫通孔、並びにその外側の範囲において概して正方形、矩形などである溝、チャネル、又は凹部を含み得る。同様に、平面視から見たとき、例示的な実施形態は、概して矩形又は正方形の貫通孔、並びに、その外側の範囲において概して円形、楕円形などである溝、チャネル、又は凹部を含む。
【0071】
米国特許第9,371,683号(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)の技法は、例えば、側壁/封止アームの対向する周縁部を互いに向かって垂れ下がり、ブリッジを形成するように、側壁/封止アームに近接するチューブの周りにますます小さい円又は他の接続したパターンを追跡することによって、フランジ付きチューブを封止するために使用され得る。複数の別個の側壁/封止アームが設けられる場合、より狭い幅の漸進的走査が同様の効果に使用され得る。例えば、1つ以上のレーザを使用して、第1の上方及び第2の上方に突出する封止アームに沿って走査して、それらを互いに向かって垂れ下がらせ得る。レーザは、例えば、垂れ下がりがブリッジの形成において発生し続けるときに、互いにますます近い走査線又は走査領域に沿って集束され得る。
【0072】
図12は、特定の例示的な実施形態による、フランジ付きポンプアウトチューブに関連してVIGユニットを作製するための例示的なプロセスを示すフロー図である。工程S1201では、ポートプロファイルは、例えば、1つ以上のドリル加工操作などを介して、第1の基板に形成される。すなわち、工程S1201において、貫通孔及び任意のポケットが形成される。ここでは、切削、ドリル加工、シーミング、及び/又は他の製造プロセスが実行され得る。工程S1203でフリット材料が、第2の基板の周縁部に塗布される。工程S1205でスペーサ又はピラーが、第2の基板上に置かれる。工程S1207でフランジ付きチューブは、第1の基板に固定される。このことは、例えば、基板に対して配置される前、かつ/又は後にフランジ付きチューブにフリットを塗布することを含み得る。フランジ付きチューブを基板に密封封止するために、フリットが、この時点で発射され得る。代替的に、フリット及びチューブが熱処理(例えば、熱焼戻し)に耐え得る場合、フランジ付きチューブが、そこに形成されたポートプロファイルを有する焼きなましされた基板に適用されることができ、基板は、関連する密封封止が1つのプロセスで共に形成されるように、フランジ付きチューブと共に熱処理され得る。
【0073】
第1の基板及び第2の基板は、空洞がその間に形成されるように工程S1209で共に記録され、密封縁部封止が、工程S1211において(例えば、レーザ加熱、炉内での加熱、赤外線ヒータの使用、及び/又は同様のものを介して)形成される。空洞は、工程S1213で大気圧よりも低い圧力に真空にされる。
【0074】
フランジ付きチューブは、任意選択的に、例えば、真空を維持しながら、工程S1215で予熱される。このことは、レーザなどを介して、赤外線ヒータを使用してオーブンを使用して達成され得る。コア加熱は、工程S1217で実行され、チェイス加熱は、チューブが封止されるまで(例えば、工程S1221で示されるように)、工程S1219で繰り返し実行される。工程S1217のコア加熱プロセスは、溶融プロセスのバルクを提供する一方で、工程S1219のチェイス加熱は、例えば、チューブ、側壁/封止アーム、貫通孔、生じている垂れ下がりなどの構成に応じて、漸進的により小さい円周、面積、及び/又は同様のものにおいて提供される。一旦封止されると、工程S1223で更に処理するために、ユニットは移動され得る。
【0075】
上述から理解されるように、特定の例示的な実施形態は、VIG処理温度に耐えることができ、ポンプアウトポートを内部から封止するのを補助するためにVIGサブアセンブリ内に配置することができる密封封止材料(例えば、金属はんだ)を利用することができる。はんだは、特定の例示的な実施形態では、ポートを通ってガスが排出できるようにするため、十分に成形され得る。例えば、異なる実施形態では、はんだ又は他のプリフォームが、フランジの外側の周囲に、フランジと基板との間に、及び/又は他の場所に適用され得る。このプリフォームは、発射されることができ、したがって、特定の例示的な実施形態においてフランジ付きチューブを基板に密封封着させるために使用され得る。
【0076】
特定の例示的な実施形態では、封止されたフランジ付きチューブに近接して二次封止部が設けられてもよい。この二次封止部は、樹脂などのより柔軟な材料から形成されることができ、場合によっては、チューブを更に保護することを補助できる。二次封止部は、例えば、VIGユニットの外側表面がその全幅にわたって面一であるか、又は実質的に面一になるように、ブリッジによって覆われていない外側凹部内のいずれかの空間を単純に占有することができる。
【0077】
図13は、特定の例示的な実施形態による、内部封止に関連してVIGユニットを作製するための別の例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0078】
図13は、特定の例示的な実施形態による、内部封止に関連してVIGユニットを作製するための別の例示的なプロセスを示すフロー図である。図13は、多くの点で図12に類似している。例えば、工程S1201では、ポンプアウトチューブプロファイルは、例えば、1つ以上のドリル加工操作などを介して、第1の基板に形成される。フリットを有するフランジ付きチューブは、ビスマス又は他の好適なフリットを使用して、工程S1301において第1の基板に固定される。このフリット材料は、熱焼戻しなどの熱処理に耐えることができ、そのため、固定されたフランジ付きチューブと第1の基板は共に焼戻しされる。その後、上述のように工程が実施される。
【0079】
図12及び図13の例示的なプロセスにおける工程は、異なる一団によって任意の好適な順序で実行され得、及び/又は、異なる例示的な実施形態では更なる工程が設けられ得ることが理解されるであろう。例えば、異なる一団は、チューブを作製する一団と比較して孔を形成し、孔にチューブを着座させ、VIG及び/又はポートを封止することができる。特定の例示的な実施形態では、チューブプロファイルは、第1の基板内に形成されることになり、第1の基板及び/又は第2の基板は焼戻しされ得、フリットは、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部に塗布され得、スペーサは配置され得、次いで、(例えば、これらの図に示すように)他の操作が実行され得る。
【0080】
任意の好適なレーザが封止のために使用され得る。例えば、10~30ワットで、より好ましくは20~30ワットで動作する1064nmの波長レーザが使用され得る。このようなレーザ及び直径により、チューブはフロートガラスを通した発射によって封止されることができ、遮られていないチューブを封止することと比較して約10~30%多いエネルギが必要とされることが見出されている。この増加は、異なる例示的な実施形態において、時間及び/又は電力で提供され得る。
【0081】
本明細書に開示される技法が、例えば、VIGウィンドウ用途、マーチャンダイザー、積層製品、ハイブリッドVIGユニット(例えば、基板がスペーサーシステムを介してVIGユニットから離間されているユニット)などを含む多種多様な用途で使用され得ることが理解されるであろう。
【0082】
本明細書で使用するとき、「熱処理」及び「熱処理する」という用語は、ガラス含有物品の、熱焼戻し及び/又は熱強化を達成するために十分な温度まで物品を加熱することを意味する。この定義は、例えば、オーブン又は加熱炉内でコーティングされた物品を、少なくとも約550℃、より好ましくは少なくとも約580℃、より好ましくは少なくとも約600℃、より好ましくは少なくとも約620℃、最も好ましくは少なくとも約650℃の温度で十分な期間にわたって加熱して、焼き戻し及び/又は熱強化を可能にすることを含む。これは、特定の実施形態において、少なくとも約2分、又は最大約10分であってよい。これらのプロセスは、異なる時間及び/又は温度を伴うように適合されてもよい。
【0083】
本明細書で使用するとき、「~上」及び「~によって支持されている」などの用語は、明示的に記載されない限り、2つの要素が互いに直接隣接していることを意味するものと解釈されるべきではない。換言すれば、第1の層は、第2の層との間に1つ以上の層が存在する場合であっても、第2の層「上」又は「によって支持されている」とされ得る。
【0084】
特定の例示的な実施形態では、VIGユニットを作製する方法が提供される。第1のガラス基板及び第2のガラス基板が設けられている。第1の基板は、第1の基板に形成された孔を含み、孔が第1の部分及び第2の部分を有するように形成されており、第1の部分が、第2の部分よりも第1の基板の外側表面に近接しており、第1の部分が、第1の基板を横切る第1の幅を有し、第2の部分が、第1の基板を横切る第2の幅を有しており、第1の幅が第2の幅よりも広くなっており、第1の部分及び第2の部分が一緒になって、第1の基板を通る貫通孔を形成している。上側部分と下側部分の中間のスカートを含むフランジ付きポンプアウトチューブは、孔内に配置され、チューブの下側部分が第2の部分の中に延在し、チューブの上側部分が第1の部分内に配置されるようになっている。第1の基板及び第2の基板は、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周りに設けられた縁部封止部と、第1の基板及び第2の基板によって画定された空洞と、そして、空洞内で第1の基板と第2の基板との間に設けられており、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助している複数のスペーサと共に封着されている。空洞は、大気圧よりも低い圧力に真空引きされている。ポンプアウトチューブは、チューブの上側部分の少なくとも一部がそれ自体の上に内側に崩壊するように加熱され、第2の幅を覆い、VIGユニットを密封して封止されたチューブを形成し、封止されたチューブは、第1の基板の最も外側の表面と面一になっているか、又は最も外側の表面に対して部分的に凹状である。
【0085】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、孔の第1の部分及び第2の部分は、ドリル加工によって形成されてもよい。
【0086】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポンプアウトチューブ及び/又は第1の基板に提供されたフリット材料を使用して、ポンプアウトチューブが第1の基板に封着されてもよい。
【0087】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、フリット材料は、スカートを第1の基板に封着してもよい。
【0088】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、フリット材料は、スカートの外周縁部を第1の基板に封着してもよい。
【0089】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、フリット材料は、スカートの下側に設けられても、設けられなくてもよい。
【0090】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、フリット材料は、チューブが孔内に配置される前に、ポンプアウトチューブに提供されてもよい。
【0091】
前の7つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、加熱はレーザ加熱であってもよい。
【0092】
前の8つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、レーザ加熱は、第1の基板及び/又はスカートに対してポンプアウトチューブを優先的に加熱するように実施されてもよい。
【0093】
前の9つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、レーザ加熱は、例えば、封止されたチューブを形成する際に、チューブが、それ自体の上に内側に崩壊するように、チューブの崩壊部分をトレースすることを含んでもよい。
【0094】
特定の例示的な実施形態では、VIGユニットサブアセンブリを作製する方法が提供されている。本方法は、そこに形成された孔を含む第1のガラス基板を提供することを含み、孔は、第1の部分及び第2の部分を有するように形成されており、第1の部分は、第2の部分よりも第1の基板の外側表面に近く、第1の部分が、第1の基板を横切る第1の幅を有しており、第2の部分が、第1の基板を横切る第2の幅を有しており、第1の幅が第2の幅よりも広くなっており、第1の部分及び第2の部分が一緒になって第1の基板を通る貫通孔を形成している。第1の基板は、別の一団へ転送され、チューブの下側部分が第2の部分の中へ延在し、チューブの上側部分が第1の部分に配置されるように、上側部分と下側部分の中間のスカートを含むフランジ付きポンプアウトチューブを孔内に配置し、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周りに設けられた縁部封止部と関連付けて互いに封着させ、空洞が、第1の基板と第2の基板によって画定され、複数のスペーサが、空洞内に第1の基板と第2の基板との間に設けられており、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助している、空洞を大気圧より低い圧力で真空にし、ポンプアウトチューブをレーザ加熱して、それにより、チューブの上側部分の少なくとも一部をそれ自体の上に内側に崩壊させ、第2の幅を覆い、VIGユニットを密封封止し、封止されたチューブを形成し、封止されたチューブが、第1の基板の最も外側の表面と面一になるか、又は最も外側の表面に対して部分的に凹状になるようにする。
【0095】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、孔の第1の部分及び第2の部分は、ドリル加工によって形成され得る。
【0096】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポンプアウトチューブ及び/又は第1の基板に提供されたフリット材料を使用して、ポンプアウトチューブが第1の基板に封着されてもよい。
【0097】
前の3つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、フリット材料は、スカートを第1の基板に封着してもよい。
【0098】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、フリット材料は、スカートの外周縁部を第1の基板に封着してもよい。
【0099】
特定の例示的な実施形態は、前の15の段落のいずれか1つの方法によって作製されたVIGユニットに関する。
【0100】
特定の例示的な実施形態では、VIGユニットが提供される。第1のガラス基板及び第2のガラス基板は、密封縁部封止部と、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に画定された空洞内に配置された複数のスペーサとを介して、互いに実質的に平行に離間した関係で維持されている。空洞は、レーザ封止されたフランジ付きチューブで密封封止された第1の基板に形成されたポンプアウトポートを使用して、大気圧よりも低い圧力に真空引きされる。レーザ封止されたチューブは、空洞に近接して、そこから作製された封止部分を含み、レーザ封止されたチューブが、そこから突出することなく、VIGユニットの内部に配置されている。
【0101】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チューブは、フリット材料を介してVIGユニットの第1の基板に接続されてもよい。
【0102】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チューブを第1の基板に接続するフリット材料は、チューブのスカートの周囲に設けられてもよい。
【0103】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チューブは、スカート及び下側部分を含んでもよく、スカートは封止部分とチューブの下側部分との中間にあり、チューブの下側部分は空洞に向かって延在している。
【0104】
本発明は、現在実用的で好ましい実施形態と考えられるものと関連して説明されたが、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではなく、寧ろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
図1
図2
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図10
図11
図12
図13