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特許7609836複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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  • 特許-複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20241224BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20241224BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20241224BHJP
【FI】
H10K50/12
C09K11/06 690
H10K85/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022172306
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2019544070の分割
【原出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2023011751
(43)【公開日】2023-01-24
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2017-0025749
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0020359
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、サンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ムン、トゥヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビンナリ
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/030283(WO,A1)
【文献】特開2007-221097(JP,A)
【文献】特開2007-110102(JP,A)
【文献】特開2007-200938(JP,A)
【文献】特表2018-533200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/12
C09K 11/06
H10K 85/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホスト化合物の少なくとも1つと第2のホスト化合物の少なくとも1つとを含む複数のホスト材料であって、前記第1のホスト化合物が以下の式1-3
【化1】
(式中、
は、重水素置換又は非置換(C6~C30)アリールを表し、
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換もしくは非置換モノ-もしくはジ-(C6~C30)アリールアミノを表し、
及びRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、重水素置換もしくは非置換ジベンゾフラニル、重水素置換もしくは非置換ジベンゾチオフェニル、又は重水素置換もしくは非置換カルバゾリルを表し、
は、単結合、又は重水素置換もしくは非置換(C6~C30)アリーレンを表し、
aは1を表し、b及びcはそれぞれ独立して、1又は2を表し、dは1~4の整数を表す)
によって表され、前記第2のホスト化合物が以下の式3-1
【化2】
(式中、
Xは、N又はCHを表し、
11は、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
12~R16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C30)単環式又は多環式、脂環式又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、
は、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
a’は1を表し、b’及びc’はそれぞれ独立して、1又は2を表し、d’は1~4の整数を表し、
前記ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、
当該式3-1のR12~R16及びLにおける前記置換アリール(エン)、前記置換ヘテロアリール(エン)及び前記置換単環式又は多環式芳香環の置換基が、それぞれ独立して、ジュウテリウム;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシル;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;(C6~C30)アリール-置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール;シアノ-、(3~30員)ヘテロアリール-又はトリ(C6~C30)アリールシリル-置換又は非置換(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである)
によって表される、複数のホスト材料。
【請求項2】
~R 及びR 11 における前記置換アルキル、前記置換アルコキシ、前記置換シクロアルキル、前記置換アリール(エン)、前記置換ヘテロアリール(エン)、前記置換トリアルキルシリル、前記置換トリアリールシリル、前記置換ジアルキルアリールシリル、前記置換アルキルジアリールシリル、前記置換トリアリールシリル、前記置換モノ-又はジ-アルキルアミノ、前記置換モノ-又はジ-アリールアミノ、前記置換アルキルアリールアミノ、及び前記置換単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環の置換基が、それぞれ独立して、ジュウテリウム;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシル;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;(C6~C30)アリール-又はジ(C6~C30)アリールアミノ-置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール;シアノ-、(3~30員)ヘテロアリール-又はトリ(C6~C30)アリールシリル-置換又は非置換(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;アミノ;モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、
12~R16における前記置換アルキル、前記置換アルコキシ、前記置換シクロアルキル、前記置換トリアルキルシリル、前記置換トリアリールシリル、前記置換ジアルキルアリールシリル、前記置換アルキルジアリールシリル、前記置換トリアリールシリル、及び前記置換単環式又は多環式、脂環式環の置換基が、それぞれ独立して、ジュウテリウム;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシル;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;(C6~C30)アリール-又はジ(C6~C30)アリールアミノ-置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール;シアノ-、(3~30員)ヘテロアリール-又はトリ(C6~C30)アリールシリル-置換又は非置換(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;アミノ;モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、並びに、
12~R16及びLにおける前記置換アリール(エン)、前記置換ヘテロアリール(エン)、及び前記置換単環式又は多環式芳香環の置換基が、それぞれ独立して、ジュウテリウム;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシル;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;(C6~C30)アリール-置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール;シアノ-、(3~30員)ヘテロアリール-又はトリ(C6~C30)アリールシリル-置換又は非置換(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のホスト材料。
【請求項3】
1-3によって表される前記化合物は、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載のホスト材料。
【請求項4】
3-1によって表される前記化合物は、
【化4】
からなる群から選択される、請求項1に記載のホスト材料。
【請求項5】
アノード、カソード、及び前記アノードと前記カソードとの間の少なくとも1つの発光層を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記発光層が、ホスト及び燐光ドーパントを含み、前記ホストが、請求項1に記載のホスト材料を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセントデバイス(ELデバイス)は、より広い視野角、より大きいコントラスト比及びより速い応答時間を提供するという利点を有する自発光ディスプレイデバイスである。発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体を用いて1987年にEastman Kodakによって最初の有機ELデバイスが開発された(Appl.Phys.Lett.51、913、1987を参照されたい)。
【0003】
有機ELデバイス(OLED)は、有機エレクトロルミネセント材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノード、カソード及び2つの電極間に形成された有機層を含む。有機ELデバイスの有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層(ホスト材料及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等を含んでもよい。有機層において使用される材料は、それらの機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等に分類され得る。有機ELデバイスでは、電圧の印加により、アノードからの正孔とカソードからの電子とが発光層に注入され、正孔と電子との再結合により、高エネルギーを有する励起子が生成される。有機発光化合物は、有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るとき、エネルギーによって励起状態に移行し、エネルギーから光を発する。
【0004】
有機ELデバイスにおける発光効率を決定する最も重要な要因は発光材料である。発光材料には、高い量子効率、電子及び正孔の高い移動度、並びに形成された発光材料層の均一性及び安定性の特徴が要求される。発光材料は、発光色によって青色、緑色、及び赤色の発光材料に分類され、更に黄色又は橙色の発光材料が含まれる。更に、発光材料は、機能面でホスト材料とドーパント材料に分類される。近年、緊急の課題は、高効率及び長寿命を有する有機ELデバイスの開発である。特に、中型及び大型のOLEDパネルに必要なEL特性を考慮すると、従来の材料を凌ぐ非常に優れた発光材料の開発が急務である。このために、好ましくは、固体状態の溶媒及びエネルギー伝送器として、ホスト材料は、真空下で蒸着するために高い純度及び適した分子量を有するのがよい。さらに、ホスト材料は、熱安定性を達成するための高いガラス転移温度及び熱分解温度、長い寿命を達成するための高い電気化学安定性、非晶質薄膜の簡単な成形性、隣接した層との良い付着性を有すること、及び層間の移動がないことが必要とされる。
【0005】
ホストとドーパントとの組合せとして発光材料を使用して、色純度、発光効率、及び安定性を改良することができる。一般的に、すぐれた特性を有するELデバイスは、ドーパントをホストにドープすることによって形成される発光層を含む構造を有する。このようなドーパント/ホスト材料システムを発光材料として使用するとき、ホスト材料はELデバイスの効率及び寿命に非常に影響を与えるので、それらの選択は重要である。
【0006】
特開2001-23777号公報には、窒素を含有する5員ヘテロアリールがフェナントレン骨格の中間ベンゼン環で縮合されている化合物をホスト材料として使用する有機エレクトロルミネセントデバイスが開示されている。前記文献に開示された化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスは、青色のすぐれた色純度特性を示す。しかしながら、前記文献は、燐光発光層の混合構造を開示せず、駆動電圧、電流効率、及び駆動寿命の改良をさらに必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、高い発光効率を維持しながら長い寿命を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的問題を解決するための集中的な研究の結果として、本発明者は、前述の目的は、以下の式1又は2によって表される少なくとも1つの第1のホスト化合物と、以下の式3によって表される少なくとも1つの第2のホスト化合物とを含む複数のホスト材料によって達成することができることを見い出し、本発明を完成した。
【化1】
(式中、
は、-N=、-NR-、-O-又は-S-を表し、
は、-N=、-NR-、-O-又は-S-を表すが、但し、Xが-N=を表すとき、Yは、-NR-、-O-又は-S-を表し、Xが-NR-を表すとき、Yは、-N=、-O-又は-S-を表し、
は、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、或いは、置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C30)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、
は、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
aは1を表し、b及びcはそれぞれ独立して、1又は2を表し、d及びeはそれぞれ独立して、1~4の整数を表し、
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)
【化2】
(式中、
11は、-N=、-NR17-、-O-又は-S-を表し、
11は、-N=、-NR18-、-O-又は-S-を表すが、但し、X11が-N=を表すとき、Y11は、-NR18-、-O-又は-S-を表し、X11が-NR17-を表すとき、Y11は、-N=、-O-又は-S-を表し、
Xは、N又はCHを表し、
11は、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
12~R18は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、或いは、置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C30)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、
は、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
a’は1を表し、b’及びc’はそれぞれ独立して、1又は2を表し、d’は1~4の整数を表し、
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)
【0009】
発明の有利な効果
本開示によるフェナントロオキサゾール系及びフェナントロチアゾール系化合物は、本質的に高い電気陰性度及び電子豊富基を有すると共に、フェナントレン及びオキサゾール、又はフェナントレン及びチアゾール等が縮合している構造として硬質な特性を有し、本開示の上記の化合物は分子間電荷遷移を促進する。さらに、このような分子間積層が強化される場合、水平分子配向の導入が容易になり、それによって速い電子電流特性を導入することができる。したがって、トリアジン及びピリミジン誘導体等の限られた構造物を発光材料として使用することによって電子輸送層と共に分子間積層効果を維持しながら、電流効率及び電力効率、並びに高純度色などの界面特性及びすぐれた発光効率を改良することによって比較的低い駆動電圧を示す有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。
【0010】
さらに、第1のホストとしてフェナントロオキサゾール系化合物及びフェナントロチアゾール系化合物で置換された正孔型アミンと、第2のホストとしてフェナントロオキサゾール系化合物及びフェナントロチアゾール系化合物で置換された電子型アジン材料とを混合する発光材料を使用するとき、高い効率、長い寿命、及び速い駆動電圧を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを導入することができる。一般的に、燐光発光材料が、高い二面角を有するカルバゾール型誘導体などの他の置換基で置換されるとき、電子電流の遮断のために駆動電圧が増加し、効率が減少する。しかしながら、本開示による発光化合物を使用するとき、速い電流注入特性によって並びに分子間積層及び相互作用を改良することにより界面特性を改良して電流効率及び電力効率、並びに高純度色などの比較的低い駆動電圧及びすぐれた発光効率を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】比較例2及びデバイス実施例1において製造された有機エレクトロルミネセントデバイスの輝度による電流効率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は、本開示を説明することを意図しており、決して本開示の範囲を限定することを意味しない。
【0013】
上記の式1、2、又は3によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスは、下記の通り、より詳細に説明される。
【0014】
上記の式1及び2において、Xは、-N=、-NR-、-O-又は-S-を表し、Yは、-N=、-NR-、-O-又は-S-を表すが、但し、Xが-N=を表すとき、Yは、-NR-、-O-又は-S-を表し、Xが-NR-を表すとき、Yは-N=、-O-又は-S-を表す。本開示の一実施形態によれば、X及びYの一方が-N=であることができ、他方が-NR-、-O-又は-S-であることができる。さらに、本開示の別の実施形態によれば、X及びYの一方が-N=であることができ、他方が-O-又は-S-であることができる。ここで、X及びYの両方が-O-又は-S-を表すことはできず、X及びYのどちらか一方が-O-であることができるとき、他方は-S-であることができない。例えば、Xは-N=であることができ、且つYは-O-であることができ、Xは-O-であることができ、且つYは-N=であることができるか、或いはXは-S-であることができ、且つYは-N=であることができる。
【0015】
上記の式1及び2において、Rは、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、好ましくは、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(5~20員)ヘテロアリールを表し、例えば、非置換フェニル、非置換ビフェニル、非置換ナフチル、メチルで置換されたフルオレニル、メチルで置換されたベンゾフルオレニル、非置換ジベンゾフラニル、非置換ジベンゾチオフェニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、或いはスピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イルであることができる。
【0016】
上記の式1及び2において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、或いは、置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C30)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、好ましくは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C6~C25)アリール、置換又は非置換(3~25員)ヘテロアリール、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C25)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C25)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、より好ましくは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C6~C20)アリール、置換又は非置換(5~25員)ヘテロアリール、置換又は非置換ジ(C6~C18)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C25)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素及び酸素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、ヘテロアリールは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよい。例えば、R及びRは、それぞれ独立して、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換m-ビフェニル、置換又は非置換p-ビフェニル、置換又は非置換フルオレニル、置換又は非置換ナフチル、置換又は非置換フェナントレニル、或いは置換又は非置換ベンゾフルオレニルであることができる。
【0017】
上記の式1及び2において、aは1又は2を表し、好ましくは、1;b及びcはそれぞれ独立して、1又は2を表し、好ましくは、1;d及びeはそれぞれ独立して、1~4の整数を表し、好ましくは、1又は2を表す。
【0018】
上記の式1及び2において、Lは、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは、単結合、或いは置換又は非置換(C6~C18)アリーレン、より好ましくは、単結合、或いは非置換(C6~C12)アリーレンを表し、例えば、単結合、或いは非置換フェニレンであることができる。
【0019】
式1又は2によって表される化合物は、以下の式1-1~1-5の任意の1つによって表される:
【化3】
【0020】
上記の式1-1~1-5において、R~R、L及びa~eは、式1及び2に定義された通りである。
【0021】
上記の式3において、X11は、-N=、-NR17-、-O-又は-S-を表し、Y11は、-N=、-NR18-、-O-又は-S-を表すが、但し、X11が-N=を表すとき、Y11は、-NR18-、-O-又は-S-を表し、X11が-NR17-を表すとき、Y11は-N=、-O-又は-S-を表す。本開示の一実施形態によれば、X11及びY11の一方が-N=であることができ、他方が-NR17-、-O-又は-S-であることができる。さらに、本開示の別の実施形態によれば、X11及びY11の一方が-N=であることができ、他方が-O-又は-S-であることができる。ここで、X11及びY11の両方が-O-又は-S-を表すことはできず、X及びYのどちらか一方が-O-であることができるとき、他方は-S-であることができない。
【0022】
上記の式3において、R11は、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、好ましくは、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(5~20員)ヘテロアリールを表し、例えば、非置換フェニル、非置換ビフェニル、非置換ナフチル、メチルで置換されたフルオレニル、置換又は非置換カルバゾリル、メチルで置換されたベンゾフルオレニル、非置換ジベンゾフラニル、非置換ジベンゾチオフェニル、非置換ベンゾナフトフラニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、或いはスピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イルであることができる。
【0023】
上記の式3において、R12~R18は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、或いは、置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C30)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、好ましくは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C6~C25)アリール、置換又は非置換(3~25員)ヘテロアリール、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C25)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C25)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、より好ましくは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C6~C20)アリール、置換又は非置換(5~25員)ヘテロアリール、置換又は非置換ジ(C6~C18)アリールアミノを表すか、或いは、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換の、(C3~C25)単環式又は多環式、脂環式、又は芳香環を形成することができ、これらの炭素原子は、窒素及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく、ヘテロアリールは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む。例えば、R15及びR16は、それぞれ独立して、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換o-ビフェニル、置換又は非置換m-ビフェニル、置換又は非置換p-ビフェニル、置換又は非置換ナフチル、置換又は非置換フルオレニル、置換又は非置換カルバゾリル、置換又は非置換ジベンゾチオフェニル、置換又は非置換ベンゾフルオレニル、置換又は非置換ベンゾカルバゾール、及び置換又は非置換ベンゾナフトチオフェンからなる群から選択されてもよい。
【0024】
上記の式3において、a’は1又は2、好ましくは1を表し;b’及びc’はそれぞれ独立して、1又は2、好ましくは1を表し;d’は1~4の整数を表し、好ましくは、1又は2を表す。
【0025】
上記の式3において、XはN又はCHを表す。
【0026】
上記の式3において、Lは、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは、単結合、置換又は非置換(C6~C18)アリーレン、より好ましくは、単結合、非置換(C6~C12)アリーレンを表し、例えば、単結合又は非置換フェニレンであることができる。
【0027】
式3によって表される化合物は、以下の式3-1~3-6の任意の1つによって表される:
【化4】
【0028】
上記の式3-1~3-6において、R11~R18、L、X及びa’~d’は、式3に定義された通りである。
【0029】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル」は、鎖を構成する1~30の炭素原子(炭素原子数は好ましくは1~20、より好ましくは1~10である)を有する直鎖又は分岐アルキルであることを意図し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチル等を含む。「(C2~C30)アルケニル」は、鎖を構成する2~30の炭素原子(炭素原子数は好ましくは2~20、より好ましくは2~10である)を有する直鎖又は分岐アルケニルであることを意図し、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブタ-2-エニル等を含む。「(C2~C30)アルキニル」は、鎖を構成する2~30の炭素原子(炭素原子数は好ましくは2~20、より好ましくは2~10である)を有する直鎖又は分岐アルキニルであることを意図し、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペント-2-イニル等を含む。「(C3~C30)シクロアルキル」は、3~30の環骨格炭素原子(炭素原子数は好ましくは3~20、より好ましくは3~7である)を有する単環又は多環式炭化水素であることを意図し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」は、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、3~7、好ましくは5~7の環骨格原子を有するシクロアルキルであることを意図し、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等を含む。「(C6~C60)アリール(エン)」は、6~60の環骨格炭素原子(環骨格炭素原子数は好ましくは6~30、より好ましくは6~20である)を有する芳香族炭化水素に由来する単環式又は縮合環基であることを意図し、部分的に飽和していてもよく、スピロ構造を含んでもよい。上記のアリールとしては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニルエチレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル等を挙げることができる。「(3~30員)ヘテロアリール(ヘテロアリーレン)」という用語は、3~30の環骨格原子を有し、B、N、O、S、Si及びPからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4つのヘテロ原子を含むアリールであることを意図する。上記のヘテロアリールは、単環式環であるか、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり得、部分的に飽和され得、単結合を介してヘテロアリール基に少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基を結合することにより形成されるものであり得る。ヘテロアリールには、単環式環型ヘテロアリール、例えばフリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等、及び縮合環型ヘテロアリール、例えばベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジル、カルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル等が含まれる。「窒素を含有する(5~30員)ヘテロアリール」は、少なくとも1つのN、及び5~30の環骨格原子(環骨格原子の数は好ましくは5~20、より好ましくは5~15である)を有し、好ましくは1~4のヘテロ原子を有するアリール基であることを意図し、単環式環、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であってもよく、部分的に飽和していてもよく、少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基をヘテロアリール基に単結合によって結合することによって形成されるものであってもよく、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式環型ヘテロアリール、及びベンズイミダゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル等の縮合環型ヘテロアリールを含む。「ハロゲン」はF、Cl、Br、及びIを含む。
【0030】
さらに、「置換又は非置換」という表現における「置換」は、特定の官能基中で水素原子が別の原子又は別の官能基(即ち、置換基)で置き換えられていることを意味する。式1~3のR~R、R11~R18、L、及びLにおける置換アルキル、置換アルコキシ、置換シクロアルキル、置換アリール(エン)、置換ヘテロアリール(エン)、置換トリアルキルシリル、置換トリアリールシリル、置換ジアルキルアリールシリル、置換アルキルジアリールシリル、置換モノ-又はジ-アルキルアミノ、置換モノ-又はジ-アリールアミノ、置換アルキルアリールアミノ、及び置換単環式環又は多環式環、脂環式環又は芳香環の置換基は、それぞれ独立して、ジュウテリウム;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシ;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;(C6~C30)アリール-又はジ(C6~C30)アリールアミノ置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール;シアノ-、(3~30員)ヘテロアリール-、又はトリ(C6~C30)アリールシリル置換又は非置換(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;アミノ;モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくは、それぞれ独立して、(C1~C20)アルキル;(C6~C18)アリール-置換又は非置換(3~25員)ヘテロアリール;シアノ-、トリ(C6~C18)アリールシリル-、又は(3~20員)ヘテロアリール-、置換又は非置換(C6~C20)アリール;トリ(C6~C18)アリールシリル;及び(C1~C20)アルキル(C6~C20)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0031】
式1又は2によって表される化合物は、より具体的には、下記の化合物によって示されてもよいが、それらに限定されない:
【化5】
【化6】
【0032】
式3によって表される化合物は、より具体的には、下記の化合物によって示されてもよいが、それらに限定されない:
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0033】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間の少なくとも1つの有機層を含む。有機層は、ホストと燐光ドーパントとを含む発光層を含む。ホストは複数のホスト化合物を含み、複数のホスト化合物の少なくとも第1のホスト化合物は、上記の式1又は2によって表され、第2のホスト化合物は、上記の式3によって表される。
【0034】
本開示において、発光層は、光を放出する層であり、単層であり得、又は2つ以上の層が積層される複数の層であり得る。発光層において、ホスト化合物に基づくドーパント化合物のドーピング濃度は、20重量%未満であることが好ましい。
【0035】
有機層は、発光層を含んでもよく、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を更に含んでもよい。
【0036】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、第1のホスト化合物の、第2のホスト化合物に対する重量比は1:99~99:1の範囲である。
【0037】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、好ましくは少なくとも1つの燐光ドーパントである。本発明による有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる燐光ドーパント材料は、特に限定されないが、好ましくはイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)の金属化錯体化合物から選択されることができ、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)のオルト金属化錯体化合物から選択されることができ、さらにより好ましくはオルト金属化イリジウム錯体化合物であり得る。
【0038】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、以下の式101で表される化合物を含み得るが、これらに限定されない:
【化11】
(式中、Lは以下の構造1又は2:
【化12】
から選択され、R100~R103は、それぞれ独立して、水素、ジュウテリウム、ハロゲン、ハロゲン置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、或いは置換又は非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR100~R103は、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換縮合環、例えば、置換又は非置換キノリン、置換又は非置換ベンゾフロピリジン、置換又は非置換ベンゾチエノピリジン、置換又は非置換インデノピリジン、置換又は非置換ベンゾフロキノリン、置換又は非置換ベンゾチエノキノリン、或いは置換又は非置換インデノキノリンを形成してもよく;R104~R107は、それぞれ独立して、水素、ジュウテリウム、ハロゲン、ハロゲン置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ、或いは置換又は非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR104~R107は、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換縮合環、例えば、置換又は非置換ナフチル、置換又は非置換フルオレン、置換又は非置換ジベンゾチオフェン、置換又は非置換ジベンゾフラン、置換又は非置換インデノピリジン、置換又は非置換ベンゾフロピリジン、或いは置換又は非置換ベンゾチエノピリジンを形成してもよく;R201~R211は、それぞれ独立して、水素、ジュウテリウム、ハロゲン、ハロゲン置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリールを表すか;或いはR201~R211は、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換縮合環を形成してもよく;nは、1~3の整数を表す)
【0039】
ドーパント材料の具体例には、以下のものが含まれる:
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0040】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、有機層中にアリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含んでもよい。
【0041】
更に、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、有機層は、1族の金属、2族の金属、4族の遷移金属、5族の遷移金属、周期律表のd-遷移元素のランタニド及び有機金属、前述の金属を含む少なくとも1つの錯体化合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属を更に含み得る。
【0042】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、一方又は両方の電極の内部表面にカルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下、「表面層」)を配置することが好ましい場合がある。具体的には、エレクトロルミネセント媒体層のアノード表面にシリコン又はアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層を配置することが好ましく、エレクトロルミネセント媒体層のカソード表面に金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層を配置することが好ましい。このような表面層は、有機エレクトロルミネセントデバイスに動作安定性をもたらすことができる。好ましくは、前述のカルコゲナイドは、SiO(1≦X≦2)、AlO(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等を含み、前述の金属ハロゲン化物は、LiF、MgF、CaF、希土類金属フッ化物等を含み、前述の金属酸化物は、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaO等を含む。
【0043】
アノードと発光層との間に、正孔注入層、正孔輸送層、又は電子阻止層、或いはそれらの組合せから選択される層を用いてもよい。正孔注入層は、正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)をアノードから正孔輸送層又は電子阻止層まで下げるために複数層から形成されてもよい。2つの化合物をそれぞれの層において同時に使用することができる。また、正孔輸送層又は電子阻止層は複数層から形成されてもよい。
【0044】
発光層とカソードとの間に、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、又は電子注入層、又はそれらの組合せから選択される層を用いてもよい。電子緩衝層は、電子の注入を制御すると共に発光層と電子注入層との間の界面特性を高めるために複数層から形成されてもよい。2つの化合物をそれぞれの層において同時に使用することができる。また、正孔阻止層又は電子輸送層は複数層から形成されてもよく、それぞれの層は、2つ以上の化合物を含むことができる。
【0045】
さらに、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、電極の対の少なくとも一方の表面に配置されていることが好ましい。この場合、電子輸送化合物は、アニオンに還元されるため、混合領域からエレクトロルミネセント媒体への電子の注入及び輸送がより容易になる。更に、正孔輸送化合物は、カチオンに酸化されるため、混合領域からエレクトロルミネセント媒体への正孔の注入及び輸送がより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びそれらの混合物を含む。還元性ドーパント層を電荷発生層として使用して、2つ以上の発光層を有し且つ白色光を放出する有機エレクトロルミネセントデバイスを調製することができる。
【0046】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ及びイオンプレーティングなどの乾式成膜方法又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング及びフローコーティングなどの湿式成膜方法を使用することができる。
【0047】
湿式製膜法を用いる場合、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の適切な溶媒に溶解又は拡散させることによって薄膜を形成することができる。各層を形成する材料を溶解又は拡散させることができ、製膜能力に問題がない場合、溶媒は、任意の溶媒であり得る。
【0048】
また、本開示の第1及び第2のホスト化合物は、同時蒸発又は混合蒸発され得る。
【0049】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスを使用することによって、ディスプレイシステム又は照明システムを製造することができる。
【0050】
以下に、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物、その調製方法、及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスの発光特性は、本開示を詳細に理解するために本開示の代表的な化合物に関して詳細に説明される。
【0051】
実施例1:化合物H1-1の調製
【化17】
化合物1-1(4g、12mmol)、ビス(ビフェニル-4-イル)[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボラン-2-イル)フェニル]アミン(6.8g、13mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.3g、1mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.9g、2mmol)、炭酸セシウム(11.5g、35mmol)、60mLのo-キシレン、15mLのエタノール、及び15mLの蒸留水を反応器内に添加し、3時間還流した。反応の終了後に、有機層を蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を回転蒸発器で取り除き、得られた生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物H1-1を得た(2.2g、収率:27%)。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例2:化合物H1-42の調製
【化18】
化合物2-1(4.8g、11.34mmol)、N-(4-ブロモフェニル)-N-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(5g、12.47mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.4g、0.34mmol)、炭酸ナトリウム(3.0g、28.35mmol)、57mLのトルエン、14mLのエタノール、及び14mLの蒸留水を反応器内に添加し、120℃で4時間撹拌した。反応の終了後に、メタノールを混合物に滴下し、得られた固体を濾過した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーによって精製して再結晶させ、化合物H1-42を得た(1.4g、収率:20.0%)。
【0054】
【表2】
【0055】
実施例3:化合物H1-27の調製
【化19】
化合物3-1(4.5g、16.09mmol)、9,9-ジメチル-N-フェニル-9H-フルオレン-2-アミン(5.5g、19.31mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.2g、0.80mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.8mL、1.60mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(2.3g、24.14mmol)、及び80mLのo-キシレンを反応器内に添加し、120℃で2時間還流した。反応の終了後に、混合物を室温に冷却し、得られた固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で蒸留し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーによって精製して再結晶させ、化合物H1-27を得た(2.4g、収率:28%)。
【0056】
【表3】
【0057】
実施例4:化合物H2-1の調製
【化20】
化合物2-1(10g、23.7mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニルトリアジン(CAS:3842-55-5、5.8g、21.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.2g、1.0mmol)、炭酸カリウム(7.5g、59mmol)、90mLのトルエン、30mLのエタノール、及び30mLの蒸留水を反応器内に添加し、120℃で4時間撹拌した。反応の終了後に、メタノールを混合物に滴下し、得られた固体を濾過した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーによって精製して再結晶させ、化合物H2-1を得た(5.7g、収率:50%)。
【0058】
【表4】
【0059】
実施例5:化合物H2-2の調製
【化21】
化合物2-1(3.48g、8.3mmol)、2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-クロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(CAS:1472062-94-4、3.53g、9.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.48g、0.41mmol)、炭酸ナトリウム(2.2g、20.7mmol)、28mLのトルエン、7mLのエタノール、及び7mLの蒸留水を反応器内に添加し、120℃で5時間撹拌した。反応の終了後に、メタノールを混合物に滴下し、得られた固体を濾過した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーによって精製して再結晶させ、化合物H2-2を得た(3.7g、収率:74%)。
【0060】
【表5】
【0061】
上記の実施例1及び3において合成された化合物H1-1及びH1-27のLUMO(最低空分子軌道)エネルギー、HOMO(最高被占分子軌道)エネルギー、及び三重項エネルギーは、B3LYP/6-31g(d)レベルにおいて密度汎関数理論(DFT)を使用して計算され、以下の表1に示される。
【0062】
基本的には、上に記載されたように測定されたLUMO及びHOMOエネルギー値は、負の値を有する;しかしながら、便宜上、絶対値で表される。さらに、LUMO/HOMOエネルギー値の度合いを比較するとき、それはそれらの絶対値を比較する。
【0063】
【表6】
【0064】
上記の表1を参照して、一実施形態による第1のホスト化合物、すなわち、式1によって表される化合物H1-1、及び式2によって表される化合物H1-27のデバイス特性を比較し、予想することができる。具体的には、化合物H1-27は、化合物H1-1と同様なHOMOエネルギー値を有し、化合物H1-1よりも低いLUMOエネルギー値を有する。したがって、化合物H1-27が使用されるときに電子キャリアが十分に閉じ込められることが予想される。さらに、ホスト化合物H1-1及びH1-27を強い電子電流特性を有するホストと組み合わせるとき、そのエネルギー値はエキシプレックス形成に問題はないことを確認することができる。さらに、化合物H1-1及びH1-27の三重項エネルギー値はそれぞれ、2.4eV及び2.5eVであり、それらはドーパントの三重項エネルギーを阻止するために十分である。すなわち、一実施形態による第1のホスト化合物として化合物H1-1又はH1-27を使用するとき、それらのうちの一方を含有するデバイスは他方を含有するデバイスと同様なデバイス特性を示すことを予想することができる。
【0065】
したがって、以下のデバイス実施例において、代表的な第1のホスト化合物として式1によって表される化合物H1-1及びH1-42だけを使用することによって有機エレクトロルミネセントデバイスを製造し、そのデバイスの特性を説明する。
【0066】
比較例1:本開示によらない赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
本開示によらないOLEDデバイスを作製した。最初に、OLED用ガラス基板(ジオマテック株式会社、日本)の透明電極酸化インジウム錫(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、アセトン、及びイソプロピルアルコールで順次超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保存した。次に、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで、装置のチャンバー内の圧力を10-7トールに制御した。その後、セルに電流を流して上記導入された物質を蒸発させて、これによりITO基板に厚さ80nmの第1の正孔注入層を形成した。次に、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をセルに印加して、導入された材料を蒸発させ、それによって厚さ5nmの第2の正孔注入層を第1の正孔注入層上に形成した。次に、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセル中に導入した。その後、セルに電流を流して上記導入された物質を蒸発させて、これにより第2の正孔注入層に厚さ10nmの第1の正孔輸送層を形成した。次いで、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して上記導入された物質を蒸発させて、これにより第1の正孔輸送層に厚さ60nmの第2の正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、発光層を以下の通り蒸着した。ホストとして化合物H1-1を真空蒸着装置の1つのセルに導入し、ドーパントとして化合物D-39を装置の別のセルに導入した。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、ドーパントをホストとドーパントの総量に基づいて3重量%のドープ量で蒸着させて、第2の正孔輸送層に厚さ40nmの発光層を形成した。次に、50:50の重量比で電子輸送材料として化合物ETL-1及びEIL-1を発光層上に蒸着させて、厚さ35nmの電子輸送層を形成した。次に、電子輸送層に電子注入層として化合物EIL-1を2nmの厚さに蒸着した後、別の真空蒸着装置で電子注入層に厚さ80nmのAlカソードを蒸着した。このようにして、OLEDデバイスを作製した。OLEDデバイスを作製するために使用された全ての材料を、10-6トールで真空昇華によって精製した。
【0067】
比較例2:本開示によらない赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
発光材料としてH1-1の代わりに化合物H2-2を使用したこと以外、比較例1の場合と同じ方法でOLEDデバイスを製造した。
【0068】
比較例3:本開示によらない赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
発光材料としてH1-1の代わりに化合物H2-1を使用したこと以外、比較例1の場合と同じ方法でOLEDデバイスを製造した。
【0069】
デバイスの実施例1~3:本開示による赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
デバイス実施例1~3において、ホストとして以下の表2に記載された第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物のそれぞれを真空蒸着装置の1つのセルに導入し、ドーパントとして化合物D-39を装置の別のセルに導入したこと以外、OLEDデバイスを比較例1の場合と同じ方法で製造した。2つのホスト材料を1:1の同じ比率で且つ同時に蒸発させ、ドーパントをホスト及びドーパントの総重量に基づいて3重量%のドーピング量で異なった速度で蒸発させ、厚さ40nmの発光層を形成した。
【0070】
上記のように製造された比較例1~3及びデバイス実施例1~3の有機エレクトロルミネセントデバイスの、1,000ニトの輝度での駆動電圧、発光効率、及びCIE色座標及び5,000ニトの輝度で発光が100%から90%に低下されるためにかかった時間(寿命;T90)を以下の表2に示す。さらに、比較例2及びデバイス実施例1において製造される有機エレクトロルミネセントデバイスの輝度による電流効率を図1に示す。
【0071】
【表7】
【0072】
上記のデバイス実施例1~3から、本開示の化合物の組合せは、比較例の駆動電圧と同様な駆動電圧を維持しながら効率及び寿命特性を大幅に改良することができることが確認された。具体的には、図1を参照して、一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスとして発光層の組合せは、単一発光層の組合せである、比較例と比べてロールオフの改良に大きな効果を示す。
【0073】
比較例及びデバイスの実施例に用いた化合物を下記表3に示す。
【0074】
【表8】
図1