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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】イカリチンの医薬使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20241224BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241224BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241224BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241224BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241224BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K9/08
A61K9/107
A61K9/20
A61K9/48
A61P7/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022554906
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2021079791
(87)【国際公開番号】W WO2021180087
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】202010163676.8
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010163677.2
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010163672.X
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010163671.5
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010163055.X
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516118615
【氏名又は名称】▲魯▼南制▲薬▼集▲団▼股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲貴▼民
(72)【発明者】
【氏名】姚 景春
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 成宏
(72)【発明者】
【氏名】李 斌
(72)【発明者】
【氏名】潘 思娜
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534074(JP,A)
【文献】特表2019-507796(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103690524(CN,A)
【文献】明治大学農学部研究報告,1991年,Vol.90,p.13-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出血性疾患を予防又は治療するための、イカリチンを含む医薬組成物であって、
前記出血性疾患は、血小板機能異常による出血性疾患、血液凝固異常による出血性疾患、又は抗凝固及びフィブリン溶解異常による出血性疾患であり、
前記血小板機能異常による出血性疾患は、脳梗塞出血性形質転換、脳梗塞用血栓溶解薬若しくは抗血栓薬による消化管出血、又は心筋梗塞用血栓溶解薬若しくは抗血栓薬による出血合併症であり、
前記血液凝固異常による出血性疾患は、血友病であって、血友病A、血友病B又は血友病Cのうちのいずれか一種である、血友病であり、
前記抗凝固及びフィブリンの溶解異常による出血性疾患は、獲得性疾患であって、ヘパリンの用量の過剰、クマリン薬物の過剰、免疫関連性抗凝固物の増加又は血栓溶解薬の過剰によるものを含むが、これらに限定されない獲得性疾患であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記脳梗塞出血性形質転換は、虚血性脳梗塞二次出血性形質転換、原発性出血性形質転換又は無症候性出血性形質転換であり、
好ましくは、二次出血性形質転換は、血栓溶解薬、抗血栓薬及び血管内治療のうちの一種又は複数種の治療方法を使用することによる出血性形質転換であり、
さらに好ましくは、前記血栓溶解薬は、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、及びラノテプラーゼから選択され、
さらに好ましくは、前記抗血栓薬は、抗凝固薬及び抗血小板薬のうちの一種又は複数種であり、
さらに好ましくは、前記抗凝固薬は、ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、低分子ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、及び組換えヒルジンから選択され、
さらに好ましくは、前記抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル、及びチクロピジンから選択され、
好ましくは、前記原発性出血性形質転換は、急性脳梗塞後の自発性出血性形質転換であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記心筋梗塞用血栓溶解薬又は抗血栓薬による出血合併症の場合、血栓溶解薬は、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、及びラノテプラーゼから選択され、抗血栓薬は、心筋梗塞の発症期及び一次予防期、二次予防期の抗血栓治療のために使用され、或いは前記抗血栓薬は、抗凝固薬又は抗血小板薬のうちの一種又は複数種であり、
好ましくは、前記抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル及びチクロピジンから選択され、抗凝固薬は、ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、低分子ヘパリン又はその薬学的に許容される塩及び組換えヒルジンから選択され、
好ましくは、前記出血合併症は、皮下出血、頭蓋内出血、上消化管出血又は歯肉出血のうちの一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記脳梗塞用血栓溶解薬又は抗血栓薬による消化管出血の場合、血栓溶解薬は、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、及びラノテプラーゼのうちの一種又は複数種であり、前記抗血栓薬は、抗凝固薬又は抗血小板薬のうちの一種又は複数種であり、
好ましくは、前記抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル、及びチクロピジンから選択され、抗凝固薬は、ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、低分子ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、組換えヒルジンから選択されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記血小板機能異常は、血小板活性化機能又は凝集機能異常であり、
好ましくは、前記血小板機能異常は、先天性血小板欠損又は獲得性血小板欠損であり、
好ましくは、前記先天性血小板欠損は、遺伝性巨大血小板症候群、遺伝性血小板無力症又は先天性結合組織病であり、前記獲得性血小板欠損は、薬物又は疾患によるものであり、
さらに好ましくは、前記薬物は、抗菌薬、抗腫瘍薬又はヘパリンのうちの一種又は複数種であり、前記疾患は、尿毒症、糖尿病、ネフローゼ症候群、冠状心疾患又は白血病のうちの一種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
記血友病は、遺伝的要因による血友病又は続発性血友病であり
ましくは、前記続発性血友病は、薬物又は自己免疫疾患によるものであり、
さらに好ましくは、前記自己免疫疾患は、肝臓病変、溶血、獲得性免疫不全症、Evans症候群、慢性リンパ球性白血病、様々な急性白血病、リンパ腫、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ又は甲状腺機能亢進を含むが、これらに限定されず、
さらに好ましくは、前記肝臓病変は、慢性持続性肝炎、肝硬変によるものであり、
さらに好ましくは、前記薬物は、アルキル化剤、代謝防止剤、細胞毒性製剤であるクロロチアジド類薬及びその相乗剤を含むが、これらに限定されないことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
注射剤、粉末注射剤、カプセル剤、錠剤、マイクロエマルション、ドロップ又は腸溶性ソフトカプセルであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記イカリチンの投与量は、0.01mg/kg~100mg/kgであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記イカリチンの投与量は、0.1mg/kg~10mg/kgであることを特徴とする請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野に属し、イカリチンの医薬使用に関し、具体的には、出血性疾患を予防するか又は治療するための薬物の製造における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の血管が損傷された場合、血液は、血管から流出するか又は滲出することができる。この時、機体は、一連の生理的反応により出血を停止させ、これは、止血というものである。止血過程に様々な要因が関与し、かつ一連の複雑な生理的、生化学的反応を含む。止血機能の欠陥による自発性、又は血管損傷後の出血を特徴とする疾患は、出血性疾患と呼ばれる。
【0003】
出血性疾患は、病因及び発症メカニズムに応じて、以下のいくつかの主なタイプに分けることができる。
【0004】
(一)血小板機能の異常によるもの。脳梗塞出血性形質転換、脳梗塞用血栓溶解薬若しくは抗血栓薬による消化管出血又は心筋梗塞用血栓溶解薬若しくは抗血栓薬による出血合併症を含む。そのうち、脳梗塞出血性形質転換は、虚血性脳梗塞二次出血性形質転換、原発性出血性形質転換又は無症候性出血性形質転換である。現在、血栓溶解薬又は抗凝固薬による治療は、急性虚血性梗塞を治療する効果的な方法であるが、血栓を溶解すると同時に、出血性形質転換などの様々なひどい合併症を引き起こすため、その臨床での応用を著しく制限する。現在、西洋医学では、血栓溶解薬又は抗凝固薬で治療した後の様々な合併症に対して各単一部分又は単一要素のみから予防・治療を行うが、まだ満足な治療効果を取得しないため、漢方医薬の全体調整及び複数部分総合治療の利点を十分に発揮することができれば、血栓を溶解すると同時に各類の出血性形質転換リスクを軽減するか又は除去することができる効果的な治療法及び処方薬を求め、梗塞類疾患の血栓溶解治療の近期及び遠期治療効果を向上させることは、非常に重要な意味を有する。
【0005】
(二)血管壁の異常によるもの。先天性又は遺伝性及び獲得性を含む。そのうち、先天性は、遺伝性出血性毛細血管拡張症、家族性単純性紫斑病及び先天性結合組織病を含む。
【0006】
(三)血液凝固の異常によるもの。先天性又は遺伝性及び獲得性を含む。そのうち、先天性血液凝固異常とは、血友病A、B及び遺伝性FV欠乏症、遺伝性プロトロンビン、FV、FVII、FXの欠乏症、遺伝性フィブリノゲン欠乏及び減少症、及び遺伝性FXII欠乏及び減少症を指す。遺伝性血液凝固異常とは、肝疾患性血液凝固障害、ビタミンK欠乏症、抗因子VIII、IX抗体形成、尿毒症性血液凝固異常等を指す。
【0007】
(四)抗凝固及びフィブリンの溶解異常によるもの。主に獲得性疾患であり、ヘパリン又はその薬学的に許容される塩の用量の過剰、クマリン薬物の過剰、免疫関連性抗凝固物の増加又は血栓溶解薬の過剰による出血性疾患を含むが、それらに限定されない。
【0008】
インヨウカクは、ベルベク科植物インヨウカク(Epimedium brevicornum Maxim)、キバナイカリソウ(Epimedium sagiatumMaxim)、柔毛インヨウカク(Epimedium pubescens Maxim)又は朝鮮インヨウカク(Epimedium koreanum Nakai)の乾燥茎葉である。臨床的には、主に腎陽虚、インポテンツ、頻尿、不妊、リウマチ麻痺痛、肢体麻木や痙攣、筋骨萎縮、歩行困難、喘咳短気に用いられる。
【0009】
イカリチン(IT)は、ベルベリン科インヨウカク属植物であるインヨウカクにおけるポリヒドロキシフラボノイド系モノマー成分である。薬理学的研究によると、ITの抗骨粗鬆症効果は、インヨウカク中の他のフラボン配糖体化合物よりも高く、人体外で骨芽細胞の活性を促進し、破骨細胞の活性を抑制する作用を有する。近年、インヨウカクにおける重要な活性成分であるイカリイン及びイカリチンは、ますます医薬作業者に注目される。例えば特許出願CN101637467Aは、イカリチンの骨粗鬆症を治療する薬物の製造における応用を開示する。特許US6399579は、イカリチンの性機能障害を治療する方面での使用を開示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
出願人は、研究過程においてイカリチンは、血小板の機能障害を改善し、トロンボプラスチンの時間を短縮し、血液凝固を促進することができ、血小板機能異常及びそれによる出血性疾患、血液凝固異常による出血性疾患、血管壁異常による出血性疾患又は抗凝固及びフィブリン溶解異常による出血性疾患の予防・治療に有用であると発見した。
【0011】
一つの態様では、本願は、疾患を予防又は治療するための薬物の製造におけるイカリチンの使用を提供し、前記疾患は、血小板機能異常及びそれによる出血性疾患、血液凝固異常による出血性疾患、血管壁異常による出血性疾患又は抗凝固及びフィブリン溶解異常による出血性疾患である。
【0012】
一つの実施形態において、前記血小板機能異常による出血性疾患は、脳梗塞出血性形質転換、脳梗塞用血栓溶解薬若しくは抗血栓薬による消化管出血又は心筋梗塞用血栓溶解薬若しくは抗血栓薬による出血合併症から選択される。
【0013】
一つの実施形態において、前記脳梗塞出血性形質転換は、虚血性脳梗塞二次出血性形質転換、原発性出血性形質転換又は無症候性出血性形質転換である。
【0014】
一つの実施形態において、前記二次出血性形質転換は、血栓溶解薬、抗血栓薬及び血管内治療のうちの一種又は複数種の治療方法の使用による出血性形質転換である。
【0015】
一つの実施形態において、前記血栓溶解薬は、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、及びラノテプラーゼから選択される。一つの実施形態において、前記抗血栓薬は、抗凝固薬及び抗血小板薬のうちの一種又は複数種である。一つの実施形態において、前記抗凝固薬は、ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、低分子ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、組換えヒルジンから選択される。一つの実施形態において、前記抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル又はチクロピジンから選択される。
【0016】
一つの実施形態において、前記原発性出血性形質転換は、急性脳梗塞後の自発性出血性形質転換である。
【0017】
一つの実施形態において、前記心筋梗塞用血栓溶解薬又は抗血栓薬による出血合併症の場合、血栓溶解薬は、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、及びラノテプラーゼから選択される。抗血栓薬は、心筋梗塞の発症期及び一次予防期、二次予防期の抗栓治療である。前記抗血栓薬は、抗凝固薬又は抗血小板薬のうちの一種又は複数種である。
【0018】
一つの実施形態において、前記抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル又はチクロピジンから選択され、抗凝固薬はヘパリン又はその薬学的に許容される塩、低分子ヘパリン又はその薬学的に許容される塩、組換えヒルジンから選択される。
【0019】
一つの実施形態において、前記出血合併症は、皮下出血、頭蓋内出血、上消化管出血又は歯肉出血のうちの一種又は複数種である。
【0020】
一つの実施形態において、前記脳梗塞用血栓溶解薬又は抗血栓薬による消化管出血の場合、血栓溶解薬は、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、及びラノテプラーゼのうちの一種又は複数種であり、前記抗血栓薬は、抗凝固薬又は抗血小板薬のうちの一種又は複数種である。
【0021】
一つの実施形態において、前記血小板機能異常は、血小板活性化機能又は凝集機能異常であり、前記血小板機能異常は、先天性血小板欠損又は獲得性血小板欠損である。
【0022】
一つの実施形態において、前記先天性血小板欠損は、遺伝性巨大血小板症候群、遺伝性血小板無力症又は先天性結合組織病であり、前記獲得性血小板欠損は、薬物又は疾患によるものである。
【0023】
一つの実施形態において、前記薬物は、抗菌薬、抗腫瘍薬又はヘパリンのうちの一種又は複数種であり、前記疾患は、尿毒症、糖尿病、ネフローゼ症候群、冠状心疾患又は白血病のうちの一種又は複数種である。
【0024】
一つの実施形態において、前記血液凝固異常による出血性疾患は、血友病である。
【0025】
一つの実施形態において、前記血友病は、遺伝的要因による血友病又は続発性血友病であり、前記続発性血友病は、薬物又は自己免疫疾患によるものである。
【0026】
一つの実施形態において、前記自己免疫疾患は、肝臓病変、溶血、獲得性免疫不全症、Evans症候群、慢性リンパ球性白血病、様々な急性白血病、リンパ腫、全身性エリテマトース、関節リウマチ又は甲状腺機能亢進を含むがこれらに限定されない。前記肝臓病変は、慢性持続性肝炎、肝硬変によるいずれか一種の肝臓病変であり、前記薬物は、アルキル化剤、代謝防止剤、細胞毒性製剤であるクロロチアジド類薬及びその相乗剤を含むがこれらに限定されない。
【0027】
一つの実施形態において、前記血友病は、血友病A、血友病B又は血友病Cのうちのいずれか一種である。
【0028】
一つの実施形態において、前記抗凝固及びフィブリンの溶解異常による出血性疾患は、獲得性疾患であり、ヘパリン又はその薬学的に許容される塩の用量の過剰、クマリン薬物の過剰、免疫関連性抗凝固物の増加又は血栓溶解薬の過剰によるものを含むがこれらに限定されない。
【0029】
薬効実施例1において、血小板活性化機能へのイカリチンの影響の研究結果によると、イカリチンを3日間投与した後、動物末梢抗凝固血は、アデノシン二リン酸の同じ条件で活性化された後、CD61で標識された全ての血小板において、CD62p発現が明らかに増加し、すなわちアデノシン二リン酸で活性化された血小板活性化率が上昇し、投与前の基礎値と比較して顕著な差異がある。本実験条件で、イカリチンを胃内投与すると、ラット末梢抗凝固血におけるアデノシン二リン酸(ADP)により誘導された血小板の活性化を明らかに促進することができることが提示される。
【0030】
インビトロでの血小板凝集機能に対するイカリチンの影響に関する研究の結果によると、各濃度のイカリチンは、いずれもアデノシン二リン酸によって誘発された血小板の凝集活性を促進する作用を有し、かつ濃度の増加に伴って促進作用が増強し、イカリチンのアデノシン二リン酸によって誘発された血小板の凝集活性への促進作用が用量依存関係を呈することを示す。
【0031】
薬効実施例2において、アスピリン又はクロピドグレルによる脳虚血再灌流後の出血性形質転換へのイカリチンの影響試験により、イカリチンがアスピリン又はクロピドグレルによる脳虚血再灌流後の出血性形質転換を顕著に抑制することができることを示す。
【0032】
薬効実施例3において、ヘパリンナトリウムによるマウスの出血時間へのイカリチンの影響作用の結果により、イカリチンは、ヘパリンナトリウムによるマウス出血時間を顕著に短縮することができ、かつ凝固促進作用を発揮すると同時に、血液検査及び血液凝固の四項を変更しないことを示す。
【0033】
薬効実施例4において、アスピリンによるマウス出血時間へのイカリチンの影響作用の結果により、イカリチンがアスピリンによるマウス出血時間を顕著に短縮することができることを示す。
【0034】
薬効実施例5において、血栓溶解薬の血栓溶解の効果へのイカリチンの影響及び実施例6において血栓溶解薬による出血性形質転換へのイカリチンの影響の結果により、イカリチンは、血栓溶解薬による出血性形質転換を顕著に改善することができ、かつ出血転換を阻止し出血量を減少させると同時に、血栓溶解薬の血栓への溶解作用に影響を与えず、血液検査の数値に影響を与えないことを示す。イカリチンは、上記実施例に挙げられた以外の血栓溶解薬、抗凝固薬及び抗血小板薬による出血性形質転換に対しても顕著な予防・治療作用を有し、かつ自発性出血性形質転換及び無症候性出血性形質転換に対して同様にリスクの顕著な低減作用を有する。上記脳梗塞が発生した後の出血性形質転換に対して顕著な予防・治療作用を有する以外に、イカリチンは、さらに初回頭蓋CT/MRIに基づいて決定可能な出血性梗塞の発生に対して顕著な予防・治療作用を有する。
【0035】
薬効実施例7において、アスピリンによる消化管出血に対するイカリチンの予防作用、薬効実施例8において血栓溶解薬による胃出血に対するイカリチンの予防作用への試験結果により、イカリチンは、血栓溶解薬による消化管出血の発生率を低下させることができるだけでなく、かつ高用量のイカリチンは、血栓類疾患自体による消化管出血に対しても顕著な予防作用を有し、かつ上記作用は、いずれも用量依存性関係を示す。
【0036】
薬効実施例9において、血栓溶解薬による出血合併症へのイカリチンの影響の実験結果により、イカリチンは、血栓溶解薬による心筋梗塞出血合併症の発生率を顕著に低減することができ、かつ血栓溶解薬と同時に使用しても血栓溶解薬の血栓溶解効果に影響を与えないことを示す。
【0037】
薬効実施例10において、血液凝固因子IX遺伝子が削除された血友病マウスの出血時間へのイカリチンの影響の結果により、イカリチンがIX遺伝子が削除された血友病マウスの出血時間を効果的に短縮することができ、かつ各グループのマウスの血液検査に顕著な差異がないことを示す。
【0038】
薬効実施例11において、獲得性血友病Aの活性化部分トロンボプラスチン時間へのイカリチンの影響の結果により、イカリチンが血友病患者の活性化部分トロンボプラスチン時間を明らかに短縮し、血友病患者の血液凝固を促進することができることを示す。
【0039】
イカリチンは、遺伝的要因による血友病に対して顕著な治療作用を有するだけでなく、続発性血友病に対しても顕著な治療効果を有する。
【0040】
イカリチンが出血性疾患の予防・治療に用いられる場合、投与経路は、消化管経路及び非経口経路を含み、非消化管経路は、皮下、皮内、動脈、静脈、筋肉、関節、鞘内、頭蓋内、胸腔、腹腔内注射又は点滴注入、経鼻、経頬、舌下、気管、尿道、直腸又は病巣局所投与等を含むが、それらに限定されない。他の薬物と同時に服用してもよく、予防投薬のために予め服用してもよい。
【0041】
本発明は、出血性疾患の予防・治療薬物の製造におけるイカリチンの使用を提供する以外に、さらに上記疾患の治療を行う時に使用される、イカリチン及び薬学的に許容可能な薬用補助材料を含む薬物製剤を提供する。
【0042】
本発明の製剤に用いられる薬用補助材料は、当業者に知られている一般的な補助材料である。
【0043】
適切な薬用補助材料は、『薬用補助材料大全』(第123ページ、四川科学技術出版社、1993年出版、羅明生及び高天恵編)に既に詳細に説明された。例えば、マイクロエマルション製剤を製造するための一般的な薬用補助材料は、大豆油、ポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル、1,2-プロピレングリコール、水素化ココナッツ油グリセリン、ラウロイルポリエチレングリコール-32-モノグリセリド、ポリエチレングリコール3350、サフラワー油、綿実油、デカグリセリンモノオレイン酸エステルを含むがこれらに限定されない。ドロップ製剤を製造するための一般的な薬用補助材料は、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール1000を含むがこれらに限定されない。カプセル製剤を製造するための一般的な薬用補助材料は、ラクトース及びコーンスターチを含むがこれらに限定されない。ソフトカプセル製剤を製造するための一般的な薬学的に許容される担体は、中鎖脂肪酸グリセライド、ポリオキシエチレンヒマシ油、1,2-プロピレングリコール等を含むがこれらに限定されない。
【0044】
当業者は、実際の必要に応じて適切な薬用補助材料を選択し、かつ本分野の既知の方法で本発明の製剤を調製することができる。前記製剤は、固体、液体、油、乳剤、ゲル、エアロゾル、吸入剤、噴霧、カプセル、丸薬、貼付剤及び坐剤等を含むがこれらに限定されない。
【0045】
本発明のイカリチンは、血小板の機能障害を改善し、トロンボプラスチン時間を短縮し、血液凝固を促進することができ、血小板機能異常及びそれによる出血性疾患、血液凝固異常による出血性疾患、血管壁異常による出血性疾患又は抗凝固及びフィブリン溶解異常による出血性疾患の予防・治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、具体的な実施形態により本発明をさらに説明し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0047】
製剤実施例1 イカリチンのマイクロエマルション製剤
イカリチン 10g 大豆油 35g
ポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル 60g 1,2-プロピレングリコール 30g
製造プロセス、処方量の大豆油、ポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル、1,2-プロピレングリコールを称量して取り、混合した後に均一に撹拌し、次にイカリチンを添加して溶解し、溶解を加速するために超音波処理してもよく、澄明な溶液を得て、すなわちイカリチンマイクロエマルション製剤である。レーザー粒度測定器によりその粒径を測定し、平均粒径は、15nmである。
【0048】
製剤実施例2 イカリチンのマイクロエマルション製剤
イカリチン 0.1g 水素化ココナッツ油モノグリセリド 5g
ラウロイルポリエチレングリコール-32-モノグリセリド20g 1,2-プロピレングリコール 5g
ポリエチレングリコール3350 20g
製造プロセス、処方量の水素化ココナッツ油モノグリセリド、ラウロイルポリエチレングリコール-32-モノグリセリド、1,2-プロピレングリコール、ポリエチレングリコール3350を称量して取り、混合した後に均一に撹拌し、次にイカリチンを添加して溶解し、溶解を加速ために超音波処理してもよく、澄明な溶液を得て、すなわちイカリチンマイクロエマルション製剤である。レーザー粒度測定器によりその粒径を測定し、平均粒径は、40nmである。
【0049】
製剤実施例3 イカリチン注射液
イカリチン 500g PEG-400 2L
エタノール 0.5L 0.9%塩化ナトリウム溶液を10Lまで添加する。
製造プロセス、処方量のPEG-400にイカリチンを添加し、撹拌して溶解し、0.9%の塩化ナトリウム溶液を10Lまで添加し、均一に撹拌し、0.5%の注射剤用活性炭を添加し、撹拌し、脱炭して得られる。
【0050】
製剤実施例4 イカリチン注射液
イカリチン10g エタノール 2L
ツイーン-80 1500g 注射用水を10Lまで添加する
製造プロセス、処方量のエタノールとツイーン-80を均一に混合し、イカリチンを添加し、撹拌して溶解し、注射用水を10Lまで添加し、均一に撹拌し、0.5%の注射剤用活性炭を添加し、撹拌し、脱炭して得られる。
【0051】
製剤実施例5 イカリチン注射液
イカリチン 1g エタノール 3.3L
注射用水を10Lまで添加する
製造プロセス、処方量のエタノールをイカリチンに添加し、撹拌して溶解し、注射用水を10Lまで添加し、均一に撹拌し、0.5%の注射剤用活性炭を添加し、撹拌し、脱炭して得られる。
【0052】
製剤実施例6 イカリチンドロップ製剤
イカリチン 5.0g ポリエチレングリコール-6000 14.5g
ポリエチレングリコール-1000 5.0g 1000粒製造する
製造プロセス、100メッシュの篩にかけられた処方量のイカリチンを称量して取り、水浴で加熱溶融された、処方量のポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール1000を含有する混合液に添加し、十分に撹拌し、それを均一にし、滴下瓶に入れ、95±2℃の条件で滴下する。4~6mLのメチルシリコーンオイルが入ったガラス凝縮カラム内に滴下し、成形した後に取り出し、吸水紙で附着されたメチルシリコーンオイルを吸い取って得られる。
【0053】
製剤実施例7 イカリチン腸溶性ソフトカプセル製剤
内容物の処方、
イカリチン 10g 無水エタノール 10g
1,2-プロピレングリコール 10g ポリオキシエチレンヒマシ油 50g
中鎖脂肪酸グリセライド 20g
カプセル剤皮の処方、
ゼラチン 10g グリセリン 5g
精製水 10g
腸溶性コーティング液の処方、
EudragitL30D-55 100g クエン酸トリエチル 3g
タルク 7.5g 精製水 200g
製造プロセス、処方量の中鎖脂肪酸グリセライド、ポリオキシエチレンヒマシ油、1,2-プロピレングリコール、無水エタノールを称量して取り、混合した後に均一に撹拌し、次にイカリチンを添加して溶解し、溶解を加速ために超音波処理してもよく、ソフトカプセルマイクロエマルション内容物を得る。処方量のゼラチン、グリセリン、精製水を称量して取り、均一に混合した後にカプセル剤皮にプレスし、さらに処方量のEudragitL30D-55、クエン酸トリエチル、タルク、精製水を称量して取り、均一に混合して腸溶性コーティング液を得る。イカリチンを含有するソフトカプセルマイクロエマルション内容物をカプセル剤皮で被覆してソフトカプセルに製造し、かつソフトカプセルに腸溶性コーティングを被覆して腸溶性ソフトカプセルを製造する。
【0054】
製剤実施例8 イカリチンカプセル製剤
イカリチン 50g ラクトース 120g
コーンスターチ 130g ステアリン酸マグネシウム 5g
製造プロセス、イカリチン100g、ラクトース120g及びコーンスターチ130gを混合機で10~15分間混合し、ステアリン酸マグネシウム5gを添加して1~3分間混合し、1000粒のカプセルシェルに入ればよい。
【0055】
製剤実施例9 イカリチン錠剤
イカリチン 50g 微結晶性セルロース 200g
カルボキシメチルスターチナトリウム 8g ステアリン酸マグネシウム 1.5g
適量の8%デンプンスラリー
製造プロセス、イカリチンと補助材料である微結晶セルロース、カルボキシメチルスターチナトリウムを均一に混合し、適量のデンプンスラリーを添加して軟材料を製造し、その後に16メッシュの篩にかけて造粒する。湿潤粒子を60℃で乾燥させ、乾燥粒子を20メッシュの篩にかけて整粒し、乾燥粒子における微粉を篩分け、ステアリン酸マグネシウムと均一に混合し、次に乾燥粒子と均一に混合し、打錠し、各錠が約260mgであれば、得られる。
【0056】
製剤実施例10 イカリチン粉末注射剤
イカリチン 10g グルコース 500g
注射用水を10Lまで添加する 合計2000のフリーズドライ製品が製造される
製造プロセス、処方量の注射用イカリチン原料を称量して取り、適量の注射用水を添加して溶解する。次に、予め除菌除熱原処理された所定量のグルコースを添加して均一に混合し、さらに注射用水を所定の10Lまで添加する。上記薬液に注射剤用活性炭を50g添加し、60~80℃で30分間加熱し、濾過膜で濾過し、濾過液を収集する。上記濾液を無菌操作法に応じて除菌フィルタで正圧除菌濾過し、0.22μMの微孔性濾過膜で濾過し、濾過液に対して熱原検査及び半製品含有量検査を行った後にペニシリン瓶に分注する。専用凍結乾燥箱内で、-40℃以下で1.5~3.5時間予め凍結し、真空度で遊離水分の90%を昇華して除去した後に加熱乾燥させ(最高温度が35℃を超えない)、凍結乾燥が終了すればイカリチン粉末注射剤を製造することができる。
【0057】
薬効実施例1 血小板活性化機能及びインビトロでの血小板凝集機能へのイカリチンの影響
1.血小板活性化機能へのイカリチンの影響
1.1実験動物
SDラット、SPFレベル、体重が250~300gであり、雌雄がそれぞれ半分であり、雌ラットが妊娠しない。
【0058】
1.2血小板活性化のフローサイトメトリー検出
ラットの眼窩から0.5mL採血し、3.8%クエン酸ナトリウムを抗凝固(血液と抗凝固剤の比率が9、1である)のために添加して抗凝固血を調製する。各動物に50μlの抗凝固血を取り、血小板自発活性化率の測定に用いられる。さらに50μlの抗凝固血を取って最終濃度が10μmolである50μlのアデノシン二リン酸を添加して活性化する。上記2種類の抗凝固血にそれぞれCD62pPE/Cy7及びCD61PEをそれぞれ1.0~1.5μL添加して二重標識をし、CD61で全ての血小板を標識し、CD62pで活性化血小板を標識する。抗凝固血50μLを取って最終濃度が10μmolである50μLのアデノシン二リン酸を添加して活性化する。二重標識のためにG2a-PE/Cy7を胃内投与し、G-PEを胃内投与して同型対照とする。以上各管を4℃で暗所で20minインキュベートする。さらに0.5mLの4%パラホルムアルデヒドを添加して10min固定する。固定された血液サンプルを50μL取り、1mLの希釈液を添加して希釈した後にフローサイトメーターで分析する。CD61PE/側方向角光散乱(SSC)の二重パラメータ散布図において血小板細胞群を画定し、5000個の血小板を計数し、さらにCD61/CD62p散布図においてCD61及びCD62p陽性発現の細胞数を計数し、かつCD62p陽性発現率がCD61発現率を占める百分率で血小板の活性化率(%)を反映する。
【0059】
1.3アデノシン二リン酸により誘発されたラット体内の血小板活性化へのイカリチンの影響
ラット24匹を取り、3組に分け、各組8匹であり、それぞれ3、6、18mg/kgのイカリチンを胃内投与し、毎日1回投与し、3日間連続的に投与し、投与前と最終回投与後の20minにそれぞれ眼窩から1.0mLの血を取り、そのうち、0.5mLは、血液検査を測定するために用いられ、0.5mLは、抗凝固血を調製するために用いられ、上記血小板活性化のフローサイトメトリー検出方法で処理した後にフローサイトメーターで分析し、投与前のアデノシン二リン酸で活性化された血小板活性化率(基礎値)及び投与後のアデノシン二リン酸で活性化された血小板活性化率を検出し、かつ両者を比較する。それと同時に、投与前にラット抗凝固血50μlを取り、アデノシン二リン酸を添加せず、同じ方法で検出し、動物抗凝固血の自発活性化率を測定する。毎回採血する前に動物は、16~24h絶食させる。
【0060】
1.4検出項目及び試験結果
(1)アデノシン二リン酸によるラット体内の血小板活性化の誘導への影響
投与前の動物の末梢抗凝固血は、アデノシン二リン酸により活性化された後、自発活性化率に比べて、CD61で標識された全ての血小板において、活性化血小板の比率が明らかに上昇し、すなわちCD62pの発現が明らかに増加し、アデノシン二リン酸は、血小板活性化率の上昇を誘導することができることを示す。イカリチンを3日間投与した後、動物の末梢抗凝固血は、アデノシン二リン酸で同じ条件で活性化された後、CD61で標識された全ての血小板において、CD62p発現が明らかに増加し、すなわちアデノシン二リン酸で活性化された血小板活性化率が上昇し、投与前の基礎値と比較して顕著な差異がある。本実験条件で、イカリチンを胃内投与し、ラット末梢抗凝固血におけるアデノシン二リン酸により誘導された血小板活性化を明らかに促進することができることを提示する。具体的には表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
(2)血液検査
イカリチンの各用量グループの血液検査の数値は、投与前と比較して顕著な差異がなく、特に血小板の数に明らかな差がなく、この結果は、イカリチンが血小板活性を増加させると同時に血小板の数に影響を与えないことを説明し、結果は、表2に示すとおりである。
【0063】
【表2】
【0064】
2.インビトロでの血小板凝集機能に対するイカリチンの影響
2.1インビトロ血小板凝集活性促進の実験方法
ウサギをプロカインで局所麻酔した後、手術で総頸動脈を分離して採血し、質量分率が3.8%のクエン酸ナトリウムで抗凝固し、800r/minで10min遠心分離し、多血小板血漿(PRP)を製造し、残りの部分を300r/minで10min遠心分離し、低血小板血漿(PPP)を製造し、血小板凝集実験を行う。測定管に265μlのPRP、30μlのイカリチン(最終濃度がそれぞれ0.1mmol/L、0.5mmol/L及び5mmol/Lとなるように)を添加し、5min培養し、5μlのアデノシン二リン酸(最終濃度25μmol/L)を誘導剤とし、5min内の最大凝集率を観察し記録する。質量分率が1%であるジメチルスルホキシドを対照とし、各濃度のイカリチンのアデノシン二リン酸により誘発された血小板凝集に対する促進作用を観察する。
【0065】
2.2実験結果
インビトロでアデノシン二リン酸により誘導された血小板凝集作用に対する異なる濃度のイカリチンの促進作用は、表3に示すとおりであり、表から分かるように、イカリチンの各濃度は、いずれもアデノシン二リン酸により誘導された血小板凝集活性を促進する作用を有し、かつ濃度の増加につれて促進作用が増強し、イカリチンのアデノシン二リン酸により誘導された血小板凝集活性に対する促進作用が用量依存関係を呈することを説明する。
【0066】
【表3】
【0067】
薬効実施例2 アスピリン又はクロピドグレルによる脳虚血再灌流後の出血性形質転換へのイカリチンの影響
1.実験手順
1.1モデル作成及び実験方法
雄性ICRマウス、150匹、済南朋悦実験動物繁育有限公司、SPFレベル、体重27~30g。動物合格証番号、No.1107262011001201、No.1107262011001347。
【0068】
マウスは、入室後3~7日間検疫し、健康な(未経産の雌性)マウスを選択して被験動物とする。検疫期の主な検査内容は、出願時に要求された動物の数及び品質指標と一致するか否か、一般的な状態、体重を含むがこれらに限定されない。以上の検疫不合格動物は、本試験に組み込まれない。具体的には表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
5週齢のICR雄マウスを、6週齢まで飼育し、体重に応じて対照グループ、モデルグループ、イカリチン-3mg/kgグループ、イカリチン-6mg/kgグループ、イカリチン-12mg/kgグループ、イカリイン-12mg/kgグループに分ける。グループに分けられた後の第1~3d、イカリチンの各グループに対してそれぞれ3、6、12mg/kgのイカリチンを胃内投与し、イカリイングループに12mg/kgのイカリインを胃内投与し、一日一回であり、残りの各グループに対して対応する溶媒を胃内投与する。対照グループ以外に、残りの各グループにアスピリン(100mg/kg)又はクロピドグレル(15mg/kg)を胃内投与し、一日一回である。胃内投与の体積は、いずれも10mL/kgである。
【0071】
三日目に投与した後の10minに、マウスの腹腔内に70mg/kgのペントバルビタールナトリウムを注射して麻酔を行い、腔内中大脳動脈閉塞(MCAO)手術を行い、虚血を1h行い、23h再灌流する。
【0072】
手術後の24hは、実験終点である。
【0073】
1.2検出指標
出血率、マウスの腹腔内に70mg/kgのペントバルビタールナトリウムを注射して麻酔し、脳組織を取り、脳出血状況を記録し、各グループのマウス脳出血率を計算する。脳出血率%=脳出血の動物数/各グループの生存動物の数×100。
【0074】
2、データ処理
全てのデータをExcelドキュメントに入力し、かつSPSS17.0で統計学的分析を行い、かつ平均値±標準偏差(mean±SD)の方式で表示する。実験データは、一要素分散分析方法(one-way ANOVA)及びttestを採用して各グループのデータを統計分析し比較する。
【0075】
3、試験結果
出血率への影響
実験結果によると、アスピリン併用脳虚血再灌流により誘導された出血性形質転換モデルにおいて、モデルグループの出血率は、85.7%であり、予防のために予めイカリチンを投与した後の出血率は、明らかに低下し、イカリチン-3mg/kgグループ、イカリチン-6mg/kgグループ、イカリチン-12mg/kgグループの出血率は、それぞれ37.5%、25.0%、22.2%であり、予防のために予めイカリインを投与したが、出血率は、明らかに改善されず、結果は、表5に示すとおりである。
【0076】
クロピドグレル併用脳虚血再灌流により誘導された出血性形質転換モデルにおいて、モデルグループの出血率が80%であり、予防のために予めインヨウカニンを投与した後に出血率が明らかに低下し、イカリチン-3mg/kgグループ、イカリチン-6mg/kgグループ、イカリチン-12mg/kgグループの出血率がそれぞれ42.9%、25.0%、25.0%であり、予防のために予めイカリインを投与したが、出血率が明らかに改善されず、結果は、表6に示すとおりである。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
本研究は、文献を参照して抗血小板凝集薬(アスピリン又はクロピドグレル)を選択して脳虚血再灌流と組み合わせて出血性形質転換モデルを成功裏に確立し、出血状況により出血性形質転換動物モデルに対するイカリチンの予防作用を考察する。
【0080】
本研究は、出血性形質転換マウスの動物モデルを成功裏に複製し、出血率が明らかに上昇する場合、予防のためにイカリチンを投与した後、上記各指標がいずれも明らかに低下し、イカリチンがアスピリン又はクロピドグレルによる脳虚血再灌流後の出血性形質転換を明らかに抑制することができることを提示する。
【0081】
薬効実施例3 ヘパリンナトリウムによるマウス出血時間延長へのイカリチンの影響
1.医薬品及び供給源
ヘパリンナトリウム注射液(供給源、江蘇万邦生化学医薬集団有限責任会社、ロット番号、51701106)
エタムシル酸塩注射液(供給源、山東方明薬業集団株式有限会社、ロット番号、18060672)
【0082】
2.試験動物及びグルーピング
5~6週齢ICRマウス72匹、体重19~21g、雌雄それぞれ半分。マウスは、入室後7日間検疫し、健康なマウスを選択して被験動物とする。検疫初日と終日に体重を秤量する。検疫終日の体重に応じてランダム化法を簡略化し、雌雄動物をそれぞれ六グループに分け、それぞれ正常グループ(C)、モデルグループ(V)、イカリチン低、中、高用量グループ(2、6、18mg/kg、L、M、H)及び陽性薬グループ(200mg/kgエタムシル酸塩、P)である。
【0083】
3.予備投与及びモデル化
グルーピングが完了した後、正常グループ、モデルグループに10ml/kgのイカリチン溶媒を胃内投与し、溶媒は、12gのヒドロキシプロピルメチルセルロースE5、0.1gのドデシル硫酸ナトリウムを1Lの水に添加して調製される。イカリチンの各用量グループにそれぞれ2、6、18mg/kgのイカリチンを胃内投与し、毎日一回であり、五日間連続する。陽性薬グループに毎日200mg/kgのエタムシル酸塩注射液を腹腔内注射し、毎日一回であり、五日間連続する。最後の予備投与の1h後、モデルグループと各投与グループに対して150U/kgのヘパリンナトリウム注射液を尾静脈注射してモデル化し、正常グループに対して10ml/kgの塩化ナトリウム注射液を尾静脈注射する。
【0084】
4.検出指標
4.1出血時間
15minモデル化した後、尾を切断して各マウスの出血時間を測定する。
【0085】
4.2血液検査及び血液凝固の四項
出血時間の検出を完了した後、ペントバルビタールナトリウムでマウスを麻酔し、腹主静脈で採血し、血液検査及び血液凝固の四項(プロトロンビン時間、トロンボプラスチン時間、トロンビン時間、フィブリノゲン)を検出する。
【0086】
5.試験結果
5.1出血時間
各グループのマウスの出血時間を表7に示す。
【0087】
【表7】
【0088】
表から分かるように、正常グループと比較して、モデルグループのマウスの出血時間が顕著に延長し、モデル化が成功したことを示す。モデルグループと比較して、各投与グループのマウスの出血時間が顕著に短縮し、イカリチンが出血マウスの出血時間を短縮することができることを示し、投与量の増加に伴って出血時間の短縮がより顕著であり、イカリチンの凝固促進作用が投与量依存性を有することを示し、かつ高用量グループが陽性対照薬グループと比較して顕著な差異があり、イカリチンの凝固促進作用が陽性対照薬の凝固促進作用よりも高いことを示す。
【0089】
5.2血液検査及び血液凝固の四項
各グループのマウスの血液検査及び血液凝固の四項の結果は、それぞれ表8及び表9に示すとおりである。
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
上表から分かるように、各グループのマウスの血液検査及び血液凝固の四項にいずれも顕著な差異がなく、イカリチンがヘパリンナトリウムによる出血時間の延長を短縮する時に血液検査及び血液凝固の四項に顕著な影響がないことを示す。
【0093】
薬効実施例4 アスピリンによるマウス出血時間延長へのイカリチンの影響
1.医薬品及び供給源
アスピリン(供給源、汕頭金石製薬本厂有限公司、ロット番号、1903012)
エタムシル酸塩注射液(供給源、山東方明薬業集団株式有限会社、ロット番号、1905032)
【0094】
2.試験動物及びグルーピング
5~6週齢ICRマウス96匹、体重19~21g、雌雄それぞれ半分。マウスは、入室後7日間検疫し、健康なマウスを選択して被験動物とする。検疫初日と終日に体重を秤量する。
【0095】
検疫終日の体重に応じてランダム化法を簡略化し、雌雄動物をそれぞれ六グループに分け、それぞれ正常グループ(C)、モデルグループ(V)、イカリチン低、中、高用量グループ(2、6、18mg/kg、L、M、H)及び陽性薬グループ(200mg/kgエタムシル酸塩、P)である。
【0096】
3.予備投与及びモデル化
グループ化が完了した後、正常グループ、モデルグループに10ml/kgのイカリチン溶媒を胃内投与し、イカリチンの各用量グループにそれぞれ2、6、18mg/kgのイカリチンを胃内投与し、毎日一回であり、五日間連続する。陽性薬グループに毎日200mg/kgのエタムシル酸塩注射液を腹腔内注射し、毎日一回であり、五日間連続する。最後の予備投与の1h後、モデルグループ及び各投与グループに20mg/kgのアスピリンを胃内投与してモデル化し、正常グループに等体積の生理食塩水を胃内投与する。
【0097】
4.出血時間検出
15minモデル化した後、尾を切断して各マウスの出血時間を測定する。
【0098】
5.試験結果
各グループのマウスの出血時間を表10に示す。正常グループと比較して、モデルグループのマウスの出血時間が顕著に延長し、モデル化が成功したことを示す。モデルグループと比較して、各投与グループのマウスの出血時間が顕著に短縮し、イカリチンが出血マウスの出血時間を短縮することができることを示し、投与量の増加に伴って出血時間の短縮がより顕著であり、イカリチンの凝固促進作用が投与量依存性を有することを示し、かつ高用量グループが陽性対照薬グループと比較して顕著な差異があり、イカリチンの凝固促進作用が陽性対照薬の凝固促進作用よりも高いことを示す。
【0099】
【表10】
【0100】
薬効実施例5 血栓溶解薬の血栓溶解効果へのイカリチンの影響
1.ラット腹大動脈血栓モデルの構築
ラット腹大動脈血栓モデルを以下の方法で作成した。40mg/kgの1.5%ペントバルビタールナトリウムを腹腔内注射してラットを麻酔する。ラットの腹部に毛を剃って皮を準備し、仰臥位でマウスプレートに固定する。ラットの腹部皮膚を切開し、血管と周囲組織を隔離し、腹大動脈を露出させ、ガラス分針で腹大動脈を注意深く分離する。腹大動脈の下に0.7cm×1.5cmの錫箔ストリップを敷き、次に35%のFeCl溶液が浸漬された濾紙ストリップ(0.5cm×1.0cm)で腹大動脈を包み、30min後に濾紙ストリップを取り外し、この時に血管壁の色が明らかに暗くなり、顕微鏡で血管内に塞栓が形成されることが見られ、病理切片により、血管が血栓によって閉塞されることを表示する。
【0101】
2.グルーピングと投与
SDラットを体重に応じて3グループにランダムに分け、各グループが10匹であり、すなわち血栓モデルグループ、ルンブロキナーゼカプセルグループ及びルンブロキナーゼカプセル+イカリチングループである。モデル化した後の5min投与し、ルンブロキナーゼカプセルを30×10U/kgに応じて十二指腸から直接注射して投与し、イカリチンを18mg/kgに応じて胃内投与し、血栓モデルグループに対しては、等体積の蒸留水で代替する。
【0102】
3.取材
止血鉗子で腹大動脈の両端を閉じ、モデル化される位置の血管セグメントを完全に取り、濾紙で被覆された0.5cmの血管セグメントを正確に切り取り、重量を称量し、残りの血管セグメントを10%のホルムアルデヒドに保存する。
【0103】
4.ラット血栓重量の測定
電子天秤で取った血管セグメントの重量を称量し、血栓を取り出した後に血管の重量を称量し、血栓湿重量=血栓及び血管の総重量-血管重量である。
【0104】
取り出した血栓をオーブンで80℃で乾燥させ、一晩中放置し、重量を秤量すれば、血栓の乾燥重量である。
【0105】
5.試験結果
各グループのラット血栓の重量は、以下の表に示すとおりであり、表から分かるように、モデルグループと比較して、ルンブロキナーゼグループの血栓重量が顕著に低下し、ルンブロキナーゼが顕著な血栓溶解作用を有することを説明する。ルンブロキナーゼグループと比較して、ルンブロキナーゼ+イカリチングループの血栓に顕著な差異がなく、イカリチンがルンブロキナーゼのラット血栓への溶解作用に影響を与えないことを説明する。
【0106】
【表11】
【0107】
薬効実施例6 血栓溶解薬による出血性形質転換へのイカリチンの影響
1.動物モデルの作製
下記方法でラット脳中動脈自己血栓塞栓モデルを作製する。ラットを10%の抱水クロラールで350mg/kg体重で腹腔内注射して麻酔し、仰臥して手術台に固定し、無菌操作手順に従って、従来の皮膚消毒をし、サージカルドレープを敷く。頚正中皮膚の切断長さが約3.0cmの切欠きを取り、筋肉及び皮下組織を不活性に分離し、右側両側頸総動脈、外頸動脈及び内頸動脈を分離し、迷走神経を損傷しないように頸内動脈を頭蓋底まで分離し、両側頸総動脈の分岐箇所で頸外動脈を結紮する。1mlの注射器でラットの大腿動脈を選択して動脈血を0.1ml取り、4Uトロンビンを吸入し、均一に混合して8~10min静置し、血液が凝固した後にそれを24g静脈留置針管に注入し、長さが約1cmの塞栓を製造し、その後に1~2mlの生理食塩水注射器に接続する。次に留置針を外頸動脈と内頸動脈が分岐した前方に両側頸総動脈に穿刺し、かつ前内側に向かって内頸動脈内に約8~10mm入り、針芯を引き抜き、注射器内の塞栓及び生理食塩水を内頸動脈内に迅速に注入し、次に結紮し、縫合する。偽手術グループ対照グループは、塞栓の代わりに生理食塩水を注入する以外、他の手術ステップは、いずれも以上の血栓溶解モデルの各グループと同じである。
【0108】
2.動物取り込み基準
モデル化手術後の2hにラットの症状及び兆候を観察し、以下の症状及び兆候が現れた者は、モデルの作製が成功したことを示す。虚血同側ホルネル症候群であり、走行時に虚血の反対側に回転し、反対側に傾倒し、ラットを尾を上げて宙吊りする時、脳虚血の反対側の前肢が屈曲して持ち上げ、肩内転、肘関節伸直などを呈する。
【0109】
3.実験グルーピング及び投与
102匹のラットを、偽手術グループ、rt-PA血栓溶解グループ(血栓溶解グループ)、rt-PA血栓溶解+イカリチン低、中、高用量グループにランダムに分け、そのうち、偽手術グループは、18匹であり、残りの各グループに各21匹がある。ここで、各グループは、さらに異なる致死時点(血栓溶解後の3、6、24時間)に応じて平均にグループ化し、偽手術グループの各時点は、6匹であり、残りの各グループに対しては3時間に各グループは、9匹であり、他の時点に各グループは、6匹である。さらに20匹のラットを取って使用に備え、例えばモデル化が失敗(死亡又は採点が0である)すればランダムに補充する。
【0110】
偽手術グループ以外の他の各グループは、いずれも3hモデル化した後に大腿静脈を介してアルテプラーゼ(rt-PA)を投与する(5mg/kg、rt-PA配合の滅菌水を1mlまで添加する)。偽手術グループに対して、等体積の生理食塩水を投与する。
【0111】
治療グループに対して二回に分けて投与し、それぞれモデル化後及び血栓溶解治療後に直ちに薬物を胃内投与する。投与量は、それぞれ2、6、18mg/kgである。偽手術グループに対して、等体積の生理食塩水を投与する。
【0112】
4.指標観察及び測定方法
4.1全体状況比較及び血液検査
4.1.1偽手術グループ、血栓溶解グループ及び血栓溶解グループ+イカリチングループの各グループのラット全体の状況を比較する。
【0113】
4.1.2偽手術グループ、血栓溶解グループ及び血栓溶解グループ+イカリチングループの各グループのラットの血液検査を検出する。
【0114】
4.2脳梗塞体積(率)測定
偽手術グループ以外に、3時間血栓溶解する時、各グループにラット3匹を取って致死させ、脳組織を-20℃の冷蔵庫内に入れて20分間急速冷凍した後、厚さが2mmである冠状脳スライスを製造し、2%のトロンビン溶液に浸漬し、37℃で遮光水浴を30分間行い、4%のパラホルムアルデヒド溶液に置いて24h固定し、撮影した後に画像分析ソフトウェア(Image-Pro Plus 6.0)で梗塞体積を測定する。梗塞体積=非虚血側半球体積-虚血側半球未梗塞領域体積であり、梗塞体の体積率の計算は、梗塞体の体積と非虚血側半球体積の百分率(%)で表される。
【0115】
4.3脳出血量の測定
(1)標準曲線の作成
さらに4匹の健康なラットを取り、過剰麻酔で致死させた後に心灌流により血を取る。8個の脳半球組織を取り、各半球組織に雄性SDラット動脈血0、0.5、1、2、4、8、16、32、50μlを順に添加し、さらにPH=7.4のPBSを総体積の3mlまで添加し、30sホモジネートした後に超音波分解し、4℃で13000r/minで30min遠心分離する。0.8mlのdrabkin試薬を取って各サンプルの0.2mlの上澄液と混合し、室温で暗所で10min放置した後に540nmの波長で吸光度を測定する(血液を添加しないサンプルの吸光度を0に設定する)。吸光度を縦座標とし、各サンプル中の血液量を横座標とし、標準曲線を描画する。
【0116】
(2)梗塞側半球出血量の測定
脳梗塞ラット梗の塞側半球組織にPH=7.4のPBSを総体積の3mlまで添加し、30sホモジネートした後に超音波分解し、13000r/minで30min遠心分離する。0.8mlのdrabkin試薬を取って各サンプルの0.2mlの上澄液と混合し、室温で暗所で10min放置した後に540nmの波長で吸光度を測定する(血液を含まない脳組織サンプルの吸光度を0に設定し、同ロットで測定する)。得られた吸光度の標準曲線上で対応する血量は、出血量である。
【0117】
5.統計学的処理
全ての実験データを平均数±標準偏差で表し、かつPASWStatistics17.0統計ソフトウェアパッケージでデータ処理を行う。グループ間グループ内の比較は、単一要素分散分析を採用し、分散性があればLSD検定を使用し、分散が異なればDunneトロンビン時間T3非パラメータ検定を採用する。相関分析は、直線相関二尾Pearsonの積差相関係数検定を採用し、両側P値<0.05で統計学的意義を有すると考えられる。
【0118】
6.実験結果
6.1全体状況比較及び血液検査の検出
6.1.1全体状況比較
偽手術グループのラットの精神状態が良好であり、毛皮の色つやが正常である。血栓溶解グループ、血栓溶解グループ+イカリチンの各用量グループは、手術後の精神が手術前に比べていずれも明らかに悪くなり、その表現は、以下のとおりである。毛色光沢が暗く、自発的活動が減少し、外部への反応が相対的に鈍くなり、ここでm血栓溶解グループが最悪であり、血栓溶解グループ+イカリチン高用量グループの精神状態が最もよい。
【0119】
6.1.2血液検査の検出
血液検査の検出結果により、血栓溶解グループは、血栓溶解グループ+イカリチングループのラット血液検査の数値と比較して顕著な差異がなく、かつ血栓溶解グループ、血栓溶解グループ+イカリチングループは、偽手術グループと比較していずれも明らかな差がない。
【0120】
6.2脳梗塞体積(率)測定
トロンビン時間C染色により脳虚血の範囲が観察された。染色結果によると、偽手術グループと他の各グループの非梗塞側脳組織は、均一で一致する赤色を呈し、梗塞側脳組織は、明らかに浮腫し、青白色であり、光沢がなく、トロンビン時間Cで染色した後に梗塞領域は、青白色を呈する。研究結果によると、予備ラットを取ってモデル化した後の3hに脳梗塞体積率が(38.84±3.67)%であると測定し、偽手術グループのラット脳組織トロンビン時間Cの染色に対して変化がない。モデルグループと比較して、血栓溶解グループ及び血栓溶解薬+イカリチンの各用量グループのラットトロンビン時間Cの染色は、いずれも梗塞領域の青白色の面積が顕著に減少することが見られ、脳梗塞体積の測定を行うと、血栓溶解薬+イカリチンの各用量グループの脳梗塞体積の低下率は、血栓溶解グループに相当し、この結果により、イカリチンは、血栓溶解薬の血栓溶解作用に影響を与えない。
【0121】
6.3異なる時点で各グループのラット脳出血量の比較
異なる時点で各グループのラット脳出血量は、以下の表に示すとおりであり、表から分かるように、血栓溶解グループの出血量が偽手術グループよりも顕著に多く、血栓溶解薬が脳梗塞ラットの出血性形質転換を引き起こし、かつ時間の延長に伴って出血量が顕著に増加することを示す。血栓溶解グループと比較して、血栓溶解薬+イカリチンの各用量グループの出血量がいずれも顕著に減少し、かつ出血量が時間の延長に伴って増加することがない。イカリチンは、血栓溶解薬による出血性形質転換を効果的に防止することができることを説明する。
【0122】
【表12】
【0123】
薬効実施例7 アスピリンによる消化管出血へのイカリチンの予防作用
1.モデル化及びグルーピング
24匹のSDラットに500mg/kgの胃内投与でアスピリンを投与して消化管出血モデルを作製し、さらに12匹のSDラットに等体積の生理食塩水を胃内投与して正常対照とし、出血モデルラットをモデルグループとイカリチングループにランダムに分け、イカリチングループは、モデルを作製すると同時に18mg/kgの胃内投与でイカリチングループを投与し、モデルグループに等体積の生理食塩水を胃内投与する。
【0124】
2.胃粘膜潰瘍出血状況の解剖及び観察
24時間胃内投与した後、麻酔してラットを致死させ、ラットを解剖して胃粘膜表面の出血、びらん、潰瘍の状況を観察する。
【0125】
3.試験結果と検討
各グループのラット胃粘膜出血の発生状況は、表13に示すとおりであり、表から分かるように、正常対照グループに出血状況が発生せず、モデルグループの出血発生率が66.7%であり、モデルグループと比較して、イカリチングループのラット胃粘膜出血状況が著しく軽微であり、出血発生率がモデルグループと比較して著しく低下し、P<0.01であり、イカリチンがアスピリンによる消化管出血の発生率を著しく低下させることができることを示す。
【0126】
【表13】
【0127】
薬効実施例8 血栓溶解薬による胃出血へのイカリチンの予防作用
1.モデル化及びグルーピング
120匹のSDラットは、ランダム数字法を採用して偽手術グループ、モデルグループ、ウロキナーゼグループ、イカリチン高用量+ウロキナーゼグループ、イカリチン中用量+ウロキナーゼグループ、イカリチン低用量+ウロキナーゼグループに分けられ、各グループは、それぞれ20匹である。そのうちイカリチンの各用量グループは、手術の4日前に胃内投与し、投与量は、それぞれ2mg/kg、6mg/kg、18mg/kgであり、偽手術グループ、モデルグループ及びウロキナーゼグループは、等体積の生理食塩水で胃内投与する。偽手術グループ及びモデルグループ以外に、残りの各グループは、カテーテルを介して領域動脈から投与され、ウロキナーゼ用量は、5000u/kgであり、濃度は、200u/μLであり、投与体積は、20μLであり、偽手術グループ及びモデルグループは、領域動脈から同等体積の生理食塩水を投与する。自己血栓で血栓を結合して脳中動脈を閉塞し血栓塞栓性脳虚血動物モデルを作製し、カテーテルを留置する。
【0128】
2.観察指標及び測定方法
2.1出血率算出
動脈投与後の24hに、麻酔して各グループのラットを解剖し、裸眼及び光学顕微鏡で出血者の統計数を観察し、かつ出血例数と総匹数との比率を計算する。
【0129】
2.2胃組織の病理観察、
左肺及び胃洞を切り取り、それぞれ100g/Lの中性ホルムアルデヒド液で固定し、従来の脱水、透明化、ワックス浸漬、包埋、切片、染色を行い、光学顕微鏡で病理学的形態変化を観察する。損傷程度は、組織の充血、浮腫及び細胞変性の程度に応じて軽いから重いまで分級し、I級が0%~25%であり、II級が26%~50%であり、III級が51%~75%であり、IV級>75%(鏡下で出血が観察された)である。
【0130】
3.実験結果と検討
3.1.出血率比較
各グループのラットの胃出血率の比較は、表14に示すとおりであり、表から分かるように、モデルグループは、偽手術グループと比較して胃出血の状況が現れ、脳虚血が一定の程度で胃出血合併症を引き起こすことができることを示す。ウロキナーゼグループは、モデルグループと比較して、出血率が顕著に上昇し、顕著な差異(P<0.01)を有し、血栓溶解薬が血栓性疾患に血栓溶解治療を行う時に消化管出血合併症を引き起こすことができることを示す。ウロキナーゼ+イカリチンの各用量グループは、ウロキナーゼグループと比較して、出血率がいずれも顕著に低下し、顕著な差異(P<0.01)を有し、イカリチンが血栓溶解薬による消化管出血率を低下させる作用を有し、かつこの作用が用量依存性関係を示すことを示す。
【0131】
イカリチンの高用量グループは、モデルグループと比較して、顕著な差異(P<0.01)を有し、イカリチンは、血栓類疾患自体による消化管出血に対しても一定の予防作用を有することを示す。
【0132】
【表14】
【0133】
3.2胃組織の病理観察
各グループのラットの胃組織の病理観察結果は、表15に示すとおりであり、表から分かるように、ウロキナーゼグループは、モデルグループと比較して、胃損傷率が顕著に向上し、顕著な差異(P<0.01)を有し、血栓溶解薬が血栓性疾患に血栓溶解治療を行う時に胃組織の充血、浮腫及び細胞変性さらに出血などの合併症を引き起こすことができることを示す。ウロキナーゼ+イカリチンの各用量グループは、ウロキナーゼグループと比較して、上記合併症の発生率がいずれも顕著に低下し、顕著な差異(P<0.01又はP<0.05)を有し、イカリチンが血栓溶解薬による消化管組織の充血、浮腫及び細胞変性さらに出血などの合併症を低減する作用を有し、かつモデルグループと比較して、ウロキナーゼ+イカリチンの高用量グループの上記合併症の発生率が顕著に低下することを示し、以上の結果によると、イカリチンは、血栓溶解薬による消化管出血の発生率を低下させることができるだけでなく、消化管組織の充血、浮腫及び細胞変性などの症状を軽減し、消化管損傷に対して良好な回復作用を果たす。
【0134】
さらに、モデルグループと比較して得られた結果によると、イカリチンは、虚血系疾患自体による消化管損傷に対しても一定の予防及び治療作用を有する。
【0135】
【表15】
【0136】
薬効実施例9 血栓溶解薬による出血合併症へのイカリチンの影響
1.モデルの作製
体重220~260gのwistar雄性ラット(SPF級)60匹をランダム化数字表に応じて心筋梗塞モデル化グループ(Myocardial Infarction)及び対照グループにランダムに分け、対照グループは、12匹であり、モデル化グループは、48匹である。別々のケージで一般的に飼育され、各ケージは、4匹である。正常な心電図を描記した後、心筋梗塞モデル化グループのラットに150mg・kg-1.d-1のイソプレナリン(ISO)を皮下注射し、0.2mL/100gの体積に応じて、24時間間隔し、2日間連続する。対照グループは、同じ方法で等量(0.2mL/100g)の生理食塩水を皮下注射し、2日間連続する。イソプレナリンを二回目に皮下注射してからの24時間に心電図を監視し、ラットをエーテルで麻酔後にそれぞれラットの投与前、投与後の同期六導(肢体誘導)心電図を記録し、心拍数を測定し、Qウェーブ及びSTセグメントのオフセットの程度を観察し、モデル化が成功したか否かを評価し、IIリードSTセグメントの持ち上げが0.2mVより大きいこと、又はQウェーブの形成を心筋梗塞の標準とする。
【0137】
2.グルーピングと投与
モデル化のためにラット36匹を選択し、ランダム化数字表に応じてモデルグループ、血栓溶解グループ及び血栓溶解薬+イカリチングループにランダムに分け、血栓溶解グループに5mg/kgのrt-PAを大腿静脈を介して投与し、血栓溶解薬+イカリチングループに同じ用量の血栓溶解薬を投与する以外にイカリチン(18mg/kg)を同時に胃内投与し、モデルグループに等体積の生理食塩水を大腿静脈を介して投与する。
【0138】
3.検出指標
3.1各グループのラットの心電図監視
ラットをエーテルを吸入させて麻酔し、ラットが麻酔状態に入り、呼吸が安定し、立ち直り反射が消失し、痛覚が消失した後、仰臥位を取り、ラットを試験台に固定し、(筋肉への挿入を回避するように)針状電極をラットの四肢の皮下に挿入し、肢体リードを採用してラットの心電図を監視し、右上肢-赤色、左上肢-黄色、左下肢-緑色、右下肢-黒色に応じて、心電図機を起動し、通紙速度が50mm/sであり、電圧が1mvであり、心電図が完了した後に動物をケージに戻す。
【0139】
3.2各グループのラットの心臓組織形態学的観察
最後に投与した後に動物を致死させ、マウスプレートに仰臥にして固定し、75%のアルコールで皮膚を消毒し、迅速に開胸し、組織はさみで胸骨の正中線に沿って皮膚及び皮下組織を切り取り、胸骨左側の肋骨を切断し、大血管を切断して心臓を取り出し、4℃0.9%の塩化ナトリウム溶液で心腔内に残された血液を洗浄し、左、右心耳及び残りの大血管を切り取った後に濾紙で濾過して乾燥させ、電子天秤で称量してラットの体質量値及び心質量値を計算し、心臓の実際の重量(湿重量)を称量し、かつそれと体重との比率(HWI=心臓重量/体質量)を計算する。
【0140】
3.3各グループのラット出血合併症観察
各グループのラット出血状況を観察し、皮下出血点を含み、解剖した後に各内臓出血状況及び頭蓋内出血状況を観察する。
【0141】
4.試験結果及び検討
4.1各グループの心電図状況
対照グループと比較して、モデルグループのラットに病理学的Qウェーブが現れ、モデル化が成功したことを示す。モデルグループと比較して、血栓溶解グループ及び血栓溶解+イカリチングループの病理学的Qウェーブがいずれも消失し、血栓溶解薬が心筋梗塞ラットの心筋梗塞状態を顕著に改善することができ、かつイカリチンが血栓溶解薬の血栓溶解効果に影響を与えないことを示す。
【0142】
4.2各グループのラットの心臓の大体形態の比較
肉眼で各グループのラットの心臓の大体形態を観察し、モデルグループは、対照グループと比較して心臓体積が明らかに増大し、左心室の室腔が明らかに拡大し、梗塞領域の心筋壁透過性が壊死し、色が青白色を呈し、薄くなる。血栓溶解グループ及び血栓溶解薬+イカリチングループは、モデルグループと比較して、心臓体積の増大程度及び心筋壁透過性壊死程度がモデルグループより明らかに軽微となる。各グループのラットの心臓重量及び心臓重量と体質量との比率は、以下の表に示すとおりであり、表から分かるように、モデルグループは、対照グループと比較して、心臓重量と体質量との比率に顕著な差(P<0.01)があり、モデル化が成功したことを示す。血栓溶解グループ及び血栓溶解薬+イカリチングループは、モデルグループと比較して顕著な差(P<0.01)があり、かつ血栓溶解グループは、血栓溶解薬+イカリチングループと比較して顕著な差異がなく、血栓溶解薬は、心梗ラットの心筋梗塞状態を顕著に改善することができ、かつイカリチングループが血栓溶解薬の効果に影響を与えないことを示す。
【0143】
【表16】
【0144】
4.3投与グループラット出血合併症の比較
【0145】
【表17】
【0146】
以上の表から分かるように、血栓溶解グループの出血百分率は、血栓溶解薬+イカリチングループの出血百分率より顕著に高く、統計学的意味(P<0.01)を有し、この結果によると、イカリチンは、血栓溶解薬による出血合併症の発生率を明らかに低減することができる。
【0147】
薬効実施例10 血液凝固因子IX遺伝子が削除された血友病マウスの出血時間へのイカリチンの影響
1.試験動物
IX遺伝子が削除された血友病マウスは、北京百奥賽図遺伝子生物有限会社により提供される。
【0148】
2.動物グルーピング及び投与
40匹のIX遺伝子欠陥血友病マウスをランダムに四グループに分け、各グループに10匹があり、イカリチンの低、中、高用量グループ(B、C、D)にそれぞれ3mg/kg、6mg/kg、18mg/kgに応じてイカリチンを胃内投与し、毎日1回であり、11日間連続的に投与する。対照グループ(A)に等体積の生理食塩水を胃内投与する。
【0149】
3.検出指標
3.1出血時間測定
最後の投与から1時間後、尾を切断して各マウスの出血時間を測定する。
【0150】
3.2血液検査の測定
最後の出血時間検出を完了した後、ペントバルビタールナトリウムでマウスを麻酔し、腹主静脈で採血し、血液検査を検出する。
【0151】
4.試験結果
4.1出血時間測定
各グループのマウスの出血時間は、以下の表に示すとおりであり、表から分かるように、対照グループと比較して、イカリチンの各用量グループのマウスの出血時間が顕著に短縮され、統計学的意義(#P<0.05又は##P<0.01)を有し、イカリチンがIX遺伝子が削除された血友病マウスの出血時間を効果的に短縮することができることを説明する。
【0152】
【表18】
【0153】
4.2血液検査
イカリチンの各用量グループのマウスの血液検査は、対照グループと顕著な差異がなく、イカリチンが血友病マウスの出血時間を短縮すると同時に血液検査の数値に影響を与えないことを説明する。
【0154】
薬効実施例11 イカリチンの獲得性血友病Aの活性化部分トロンボプラスチン時間への影響
1.試験材及び動物
活性化部分トロンボプラスチン時間の測定、キットは、上海太陽生物技術有限会社から購入され、獲得性血友病Aの患者の血漿は、臨沂市人民病院により提供される、健康な実験用ニュージーランドウサギは、中国氷峰牧業牛羊養殖科研究基地により提供される。
【0155】
2.獲得性血友病A動物モデルの作製及び投与
健康なニュージーランドウサギ24匹を選択し、対照グループ、モデルグループ及び治療グループにそれぞれ8匹にランダムに分け、各匹の体重が約1.5kgである。室温18~25℃で、ステンレスケージ内でケージに分けて飼育し、各グループにいずれも正常な食事を与え、いかなる特別な処理を行わない。1週間後、2%ペントバルビタール(1.5ml/kg)で耳縁静脈を介して麻酔を行い、その後にウサギの左側大腿静脈を分離しかつ注射用のために暴露する。獲得性血友病A患者(臨沂市人民病院血液学部により診断が確認された)の血漿を2ml/kgのウサギ体重に応じてモデルグループ及び治療グループのウサギに静脈注射し、注射が完了した後に、治療グループに18mg/kgの胃内投与でイカリチンを直ちに投与し、モデルグループに等量の生理食塩水を胃内投与する。対照グループウサギに等量の正常なヒト血漿を静脈注射し、それぞれ血漿を注射する前の30min及び血漿を注射した後の30min、60min、90min、120minの時点で耳縁静脈から採血し、3.8%の1:9クエン酸ナトリウムで抗凝固し、抗凝固血を3000r/mで遠心分離した後に血漿を分離する。
【0156】
3.トロンボプラスチン時間測定及び統計学的方法
キットの説明を参照し、0.1mlのウサギ血漿を取り、次に0.1mlのトロンボプラスチン時間試薬を添加し、混合した後に37℃で2min温浴し、さらに予熱された37℃で0.025Mの塩化カルシウム0.1mlを添加して均一に混合した後にストップウォッチを直ちに起動して各時点のトロンボプラスチン時間値を測定し、各時点のトロンボプラスチン時間を二回繰り返し、結果は、平均値を取る。
【0157】
SPSS11.0ソフトウェアを応用してデータを統計的に分析する。データは、平均値±標準偏差で表示され、かつ正規検査及び分散検査を行う。グループ間比較は、t検定を採用する。
【0158】
4.試験結果
各グループの各時点のトロンボプラスチン時間の比較は、表19に示すとおりであり、表から分かるように、対照グループのウサギトロンボプラスチン時間値には、血漿を注射する前後に明らかな変化がなく、モデルグループは、注射前のトロンボプラスチン時間値と比較して、注射後の30min、60min、90min、120min時点のウサギ血漿トロンボプラスチン時間が明らかに延長し、かつトロンボプラスチン時間の延長が時間依存性傾向を呈し、治療グループは、各時点のトロンボプラスチン時間を明らかに短縮することができる。イカリチンは、血友病患者の活性化部分のトロンボプラスチン時間を明らかに短縮し、血友病患者の血液凝固を促進することができることを説明する。
【0159】
【表19】