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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンク用二次防壁
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20241224BHJP
   B32B 5/10 20060101ALI20241224BHJP
   F17C 3/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B32B15/08 E
B32B5/10
F17C3/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022565593
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2021002211
(87)【国際公開番号】W WO2021221282
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0051087
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0136721
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0138632
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513235337
【氏名又は名称】エイチディー コリア シップビルディング アンド オフショア エンジニアリング カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520387760
【氏名又は名称】エイチディー ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム カン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チュン キュ チン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ヨン シン
(72)【発明者】
【氏名】イ トン チュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ウン ハ
(72)【発明者】
【氏名】ソ チョン キョン
(72)【発明者】
【氏名】イ チョン ミン
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530875(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0033470(KR,A)
【文献】特開平07-233899(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1053495(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
B32B 5/10
F17C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス貯蔵タンク用二次防壁であって、
金属を含む遮断層と、
前記遮断層の両面に積層される繊維層と、を含み、
前記繊維層は接着層によって固定され、
前記繊維層はポリエチレン繊維を含み、
前記接着層は、リニア低密度ポリエチレン及びエチレンビニルアセテートのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする二次防壁。
【請求項2】
液化ガス貯蔵タンク用の二次防壁として、
ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールおよびナイロンからなる群から選択される少なくとも1つの高分子を含む遮断層と、
前記遮断層の両面に積層される繊維層を含み、
前記繊維層は接着層によって固定され、
前記繊維層は、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維および炭素繊維からなる群から選択される少なくとも1つの繊維を含む二次防壁。
【請求項3】
前記遮断層の厚さは50~200μmであることを特徴とする請求項1に記載の二次防壁。
【請求項4】
前記ポリエチレン繊維は200~1600デニールであることを特徴とする請求項1または2に記載の二次防壁。
【請求項5】
前記高分子は0.9~1.7g/cm3の密度を有するものであることを特徴とする請求項2に記載の二次防壁。
【請求項6】
前記遮断層は、
少なくとも一部にアルミニウム、銅及びその酸化物から選択される1つ以上の金属または金属酸化物が蒸着されたものであることを特徴とする請求項2に記載の二次防壁。
【請求項7】
前記接着層は、
前記繊維層の融点より低い融点を有し、
前記接着層の融点は90~120℃であることを特徴とする請求項に記載の二次防壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液化ガス貯蔵タンク用二次防壁に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、天然ガス、エチレンなどの炭化水素は製造後低温に液化し、液化ガスの形態で貯蔵及び輸送する。例えば、天然ガスは-163℃に冷却して液化ガスの形態で取り扱うことができる。このため、液化ガスを生産または運搬する浮遊式海洋構造物や船舶では、液化ガスを低温状態で安定的に保管するための貯蔵タンクの構造が求められる。
【0003】
液化ガス貯蔵タンクの内部壁面には、断熱のための断熱壁と、貯蔵される液化ガスの液密のための防壁構造とが設けられ、二次の防壁構造が活用されてきた。液化ガス貯蔵タンクの内部壁面上に二次断熱壁と二次防壁が積層され、二次防壁上に一次断熱壁と一次防壁が積層されてもよく、上記一次防壁が液化ガスと接してもよい。二次防壁は液化ガスの流出を防止する気密構造を提供することができ、一次防壁が損傷しても船舶が港まで移動して液化ガスを荷下ろしするまで約2週間を耐えるように設けられることができる。
【0004】
図1を参照すると、従来の二次防壁にはアルミニウム箔またはステンレスシートなどの金属遮断層10の両面に接着層11を形成し、接着層11上にガラス繊維を含む繊維層(glass cloth)12を積層した構造が採用された。金属遮断層10と繊維層12を積層するために用いられる接着層11としてはポリウレタン系列の接着剤が使用された。
【0005】
二次防壁の施工工程で使用されるポリウレタン系またはエポキシ系接着剤は、接着硬化後に硬くて鋭い角を形成する。繊維層12は直接または間接的に冷熱を受けて収縮と膨張を繰り返すことによって二次防壁が破れる損傷を齎す。繊維層12の破断は、即ち、二次防壁の破断を意味し、二次防壁の損傷は液化ガスの流出と膨大な修理費用につながる。このため、二次防壁の繊維層の素材を変更して二次防壁の耐久寿命を向上させるための試みがなされてきたが、従来の接着剤はガラス繊維とは異なる表面特性を有する繊維素材を含む繊維層を金属遮断層の表面に接着させることができないという問題があった。
【0006】
また、遮断層10は数十~数百マイクロメートルの薄い金属層であって引裂強度が低いため、破れによる損傷に脆弱であるという短所があった。金属素材の遮断層10は水分により腐食しやすいため、極低温の液化ガスを取り扱うことによって凝結する周辺の空気中の水分による損傷が誘発されたり、船体外壁の損傷の発生時の海水への露出などによって二次防壁全体の強度が低くなるという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたものであり、本発明の目的は、腐食が生じない高分子を含む遮断層または繊維層を使用して極低温の環境でも優れた引張強度、せん断強度及び耐久寿命を示す二次防壁及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面による二次防壁は、液化ガス貯蔵タンク用であって、(a)金属または(b)ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール及びナイロンからなる群より選択される1つ以上の高分子を含む遮断層と、上記遮断層の両面に積層される繊維層と、を含み、上記繊維層は接着層によって固定されるものであてもよい。
【0009】
具体的に、上記遮断層は金属を含み、上記繊維層はポリエチレン繊維を含んでもよい。
【0010】
具体的に、上記遮断層の厚さは50~200μmであってもよい。
【0011】
具体的に、上記ポリエチレン繊維は200~1600デニールであってもよい。
【0012】
具体的に、上記遮断層は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール及びナイロンからなる群より選択される1つ以上の高分子を含んでもよい。
【0013】
具体的に、上記高分子は0.9~1.7g/cm3の密度を有するものであってもよい。
【0014】
具体的に、上記遮断層は、少なくとも一部にアルミニウム、銅及びその酸化物から選択される1つ以上の金属または金属酸化物が蒸着されたものであってもよい。
【0015】
具体的に、上記繊維層は、ガラス繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維及び炭素繊維からなる群より選択される1つ以上の繊維を含んでもよい。
【0016】
具体的に、上記接着層は、リニア低密度ポリエチレン及びエチレンビニルアセテートのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
具体的に、上記接着層は、上記繊維層の融点より低い融点を有し、上記接着層の融点は90~120℃であってもよい。
【0018】
本発明のさらに他の一側面は、上記本発明の一側面による二次防壁を含む液化ガス貯蔵タンクであって、船体に固定される二次断熱壁、二次防壁、一次断熱壁及び一次防壁が順に配置されたことを特徴とする。
【0019】
具体的には、上記二次防壁は上記二次断熱壁上に接着されて配置され、上記一次防壁は上記一次断熱壁上に溶接されて配置されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、従来のガラス繊維に比べて優れた引張強度を有するポリエチレン繊維層を使用して極低温の環境でも優れた耐久寿命を有する二次防壁を提供するとともに、低い比重による軽量化を達成し、作業性及び運行燃費を向上させることができる。
【0021】
また、本発明は、ポリエチレン繊維層の融点に比べて相対的に低い融点を有するポリエチレン系列の接着層を用いてポリエチレン繊維層を金属遮断層に接着させることにより、ポリエチレン繊維層に対する損傷なしに金属表面に対する難接着問題を解決することができる。
【0022】
また、本発明は、従来の金属または合金素材に比べて優れた耐腐食性及び引裂強度を有する高分子遮断層を使用して極低温の環境でも優れた引裂強度により耐久寿命の向上した二次防壁を提供するとともに、低い比重による軽量化を達成し、作業性及び運行燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の繊維層を含む二次防壁の断面図である。
図2】本発明による二次防壁の断面図である。
図3】本発明による二次防壁の製造方法を示す概念図である。
図4】本発明による二次防壁の製造方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は、添付の図面に係わる以下の詳細な説明及び好ましい実施例からより明らかになるであろう。本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同じ構成要素に限ってはたとえ異なる図面上に表示されても、できる限り同じ番号を付したことに留意されたい。なお、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0025】
以下において、液化ガスは沸点の低いLNG、エタン、水素などであってもよい。
【0026】
以下において、高圧、低圧、高温、低温、高い強度及び低い強度は相対的なものであり、絶対的な数値を示すものではない。
【0027】
以下において、液化ガス運搬船は貨物を運搬する船舶、商船、海洋で天然ガスを生産することができる船舶を全て包括する表現である。
【0028】
以下において、二次防壁は船体に固定される二次断熱壁上に配置されるものであり、二次断熱壁を覆うように設けられるRSB(Rigid Secondary Barrier)及び2つ以上のRSBを覆うように設けられるFSB(Flexible Secondary Barrier))を包括して意味することができる。
【0029】
以下において、金属素材は単一金属または2つ以上の金属を含む合金を包括して意味することができる。
【0030】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0031】
図1は従来の二次防壁の断面図である。
【0032】
図1を参照すると、二次防壁は金属素材の遮断層10を中心として遮断層10の両面に接着層11及び繊維層12が順に積層された構造である。
【0033】
遮断層10はアルミ箔やステンレスシートであってもよいが、これに限定されず、オーステナイト系ステンレス鋼、銅合金のようにその結晶が主に面心立方構造を有するもので、極低温の環境に適したものを使用することができる。しかし、このような金属からなる遮断層10は引裂強度が低く、腐食に脆弱であるという限界がある。
【0034】
接着層11はポリウレタン系接着剤であり、熱により溶融されて遮断層10と繊維層12を接着してから硬化する熱可塑性ポリウレタン接着剤(TPU)であってもよい。
【0035】
繊維層12はガラス繊維を樹脂に含浸させて固めることで強度が向上した織物層であってもよい。液化ガスが流出して二次防壁に接する場合、接着層11に熱収縮応力が集中し、接着層11と接着された繊維層12に収縮応力と接着層11の剥離応力が伝達されることによって低い耐久寿命を示す限界がある。
【0036】
図2は本発明による二次防壁1の断面図である。
【0037】
本発明による二次防壁1は、(a)金属または(b)ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール及びナイロンからなる群より選択される1つ以上の高分子を含む遮断層10と、遮断層10の両面に積層される繊維層30とを含み、上記繊維層30は接着層20によって遮断層10に固定される。
【0038】
図2を参照して、金属遮断層及びポリエチレン繊維を含む繊維層を含む二次防壁に関する実施例1、及び高分子を含む遮断層を含む二次防壁に関する実施例2について説明する。
【0039】
実施例1.ポリエチレン繊維層を含む二次防壁
【0040】
本実施例による二次防壁1は遮断層10を含み、遮断層10の両面に接着層20及び繊維層30が積層されて形成されるものであってもよい。
【0041】
遮断層10は上述した従来の二次防壁のように金属素材からなって二次防壁1を液密及び気密することで液化ガスの流出を防止する役割をすることができる。遮断層10はアルミ箔、銅箔、SUS304などのステンレスシート、ベリリウム銅などの銅合金などを含んでもよい。
【0042】
遮断層10の厚さは50~200μmであってもよい。遮断層10の厚さが50μmより小さいと、二次防壁1の液密を担う遮断層10の強度が著しく低くなって耐久寿命が低下する問題が発生し、200μmより大きいと、二次防壁1の製造及び施工の過程で巻き取りが困難となって作業性が低下する問題が発生する。
【0043】
さらに、遮断層10の表面にエポキシ系プライマーを塗布して後述する接着層20と遮断層10の接着強度を向上させることもできる。
【0044】
繊維層30は遮断層10の両面に形成される接着層20上に配置されて積層されるものであり、高分子繊維を含んでもよい。繊維層30は二次防壁1の両側の表面をなすようになるため、繊維層30の強度が二次防壁1の耐久寿命に直接的な影響を及ぼし得る。
【0045】
具体的には、繊維層30は高分子繊維であってポリエチレン繊維を含む織物層であってもよい。好ましくは、ポリエチレン繊維は超高分子量ポリエチレン繊維(UHMWPE fiber)であってもよい。超高分子量ポリエチレン繊維は分子量が3.5百万~7.5百万のものであり、引裂強度が高くて優れた耐切断性が求められる分野で使用されてきた。このような超高分子量ポリエチレン繊維が優れた引張強度と引裂強度を有し、軽量である点に着目して、当該繊維で織物層を製織し、これを二次防壁1に対する繊維層30として使用することで、二次防壁1の耐久寿命を増大させる効果が確保できるようになる。
【0046】
本実施例の繊維層30に使用するための超高分子量ポリエチレン繊維と、従来の繊維層に主に使用されていたガラス繊維の物性とを比較すると、下記表1の通りである。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すように、本実施例では繊維層30の素材としてガラス繊維に比べて弾性係数及び引張強度が高いとともに密度は著しく低い素材を使用し、後述するようにより優れた二次防壁1の引張強度を確保するとともに、軽量により作業性を向上させることができるようになる。
【0049】
また、本実施例による繊維層30に含まれるポリエチレン繊維としては、平均200~1600デニール(D)の太さ程度のものを使用することができる。デニールはポリエチレン繊維1gを9,000mに伸ばしたときの線形質量単位である。ポリエチレン繊維の太さ程度が200デニールより小さいと、極低温(-170℃)における引張強度が急激に低くなる現象が発生し、1600デニールより大きいと、二次防壁1の製造及び施工過程で巻き取りが難しくなって作業性が低下する問題が発生する。好ましくは、ポリエチレン繊維は平均200~800デニールの太さ程度のものを使用することができる。ポリエチレン繊維の厚さ別の引張強度は後述する。
【0050】
一方、このようなポリエチレン繊維層30は従来のガラス繊維を含む繊維層に比べて相対的に低い表面エネルギーを有するため、遮断層10をなす金属表面への接着が困難である。そこで、本実施例では、後述する接着層20を利用してポリエチレン繊維層30と遮断層10の接着を具現した。
【0051】
接着層20は遮断層10の両面に配置されて上述した繊維層30と遮断層10を接着して結合させる。接着層20は遮断層10の両面に接着剤組成物を塗布するか、接着フィルムやシートなどの別個の層を積層する方式で配置されてもよい。
【0052】
繊維層30を構成するポリエチレン繊維は従来のポリウレタン系接着フィルムの融点(165℃)に比べて著しく低い融点(140℃)を有しており、遮断層10に対する接着ができず、非極性の表面特性により難接着特性を有する。このため、本実施例では、接着層20として同種系列の高分子であるポリエチレン系化合物を使用して繊維層30の難接着問題を解決した。
【0053】
具体的には、接着層20はポリエチレン系化合物を含む接着剤組成物、接着フィルムまたは接着シートによって形成されてもよい。ポリエチレン系化合物はポリエチレン鎖をバックボーン(backbone)とする熱可塑性のものを使用することができる。
【0054】
好ましくは、ポリエチレン系化合物はポリエチレンを含む主鎖重合体に1つ以上の作用基が側鎖として結合したものであり、上記化合物は少なくとも一部が極性作用基の結合によって改質されたものであってもよい。化合物の少なくとも一部が改質されるとは、作用基が上記化合物に対してグラフト重合などの方法で架橋されて分岐を形成することを意味することができる。
【0055】
例えば、接着層20はポリオレフィンに極性を有する1つ以上の作用基が重合されるか、または1つ以上の作用基が重合されることによって全体のポレオレフィンが極性を有するようになるものであってもよい。
【0056】
例えば、接着層20はリニア低密度ポリエチレン(LLDPE;Linear low density polyethylene)、エチレンビニルアセテート(EVA;Ethylene vinil acetate)のうち少なくとも1つを含む接着フィルムを利用して形成されるものであってもよい。
【0057】
さらに、接着層20は融点が90~120℃の高分子を含んでもよい。ポリエチレン繊維を含む繊維層30は溶融点が約140℃で、繊維層30と同種系列を高分子をバックボーンとして繊維層30に対する接着力は向上させるが、融点は繊維層30より低い高分子で接着層20を形成して相対的に低温条件でも二次防壁1を製造することができるようになる。このため、本実施例の接着層20を繊維層30と遮断層10の間に配置して熱を加えることで、接着層20のみを溶融させることができるようになり、ポリエチレン繊維とそれを含む繊維層30に対する損傷なく繊維層30と遮断層10を接着させることができる。
【0058】
本実施例により厚さ70μmのアルミ箔を金属層10にして両面に融点が約115℃のLLDPEを含む接着フィルムとポリエチレン繊維を含む繊維層30を順に加圧、積層した後、加熱炉を経て様々な温度による接着層20の形成有無と隣接層に対する接着強度を確認し、下記表2に示した。
【0059】
【表2】
【0060】
表2に示すように、接着フィルムの融点(115℃)より低い温度では接着層20自体が形成されず、融点に該当する温度から接着フィルムが溶融してから固まることで接着層20を形成するが、130℃で最も大きい接着強度を示し、その後減少した。形成される接着層20の接着強度は必ずしも加熱温度に比例しないことが分かる。本実施例による接着層20を形成する場合、接着層20は常温で最大5MPa、極低温(-170℃)で最大25MPaの接着強度を示すことが確認された。
【0061】
接着層20の厚さは0.05~0.25mmであってもよい。接着層20の厚さが0.05mmより小さいと、遮断層10と繊維層30との結合強度が著しく低くなって耐久寿命が低下する問題が発生し、0.25mmより大きいと、二次防壁1の製造及び施工過程で巻き取りが難しくなって作業性が低下する問題が発生する。
【0062】
実施例2.高分子遮断層を含む二次防壁
【0063】
本実施例による二次防壁1は遮断層10を含み、遮断層10の両面に接着層20及び繊維層30が積層されて形成されるものであってもよい。
【0064】
遮断層10は高分子を含む高分子遮断層10であってもよく、二次防壁1を液密及び気密することで液化ガスの流出を防止する役割をすることができる。例えば、遮断層10は0.9~1.7g/cm3の密度を有する1つ以上の高分子を含んでもよい。従来の金属遮断層はアルミニウムなどの金属からなって約2.7g/cm3以上の密度を示し、これにより、液化ガス貯蔵タンクへの適用時にその重さが数トンに至った。本実施例では、遮断層10として耐腐食性に優れた高分子を使用し、金属に比べて優れた引裂強度を確保するとともに軽量により作業性を向上させることができる。
【0065】
具体的には、本実施例による遮断層10は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)及びナイロン(Nylon)からなる群より選択される1つ以上の高分子を含み、アルミニウムなどの従来の金属素材に比べて引裂強度を向上させることができ、また、腐食に対する優れた抵抗性を示すことができる。従来の金属素材と本実施例による遮断層10に使用するための高分子素材の主な特性を下記表3に示した。ガス遮断性及び耐腐食性は優秀:5、良好:4、普通:3、弱い:2、腐食または脆弱:1と示した。
【0066】
【表3】
【0067】
ポリエチレンは百万から7百万の分子量を有する高分子量ポリエチレンであってもよく、分子量が3.5百万~7.5百万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であってもよい。超高分子量ポリエチレンは約0.9~1.0g/cm3の密度を有し、極低温での使用に適し、耐水性、耐化学性及び耐摩耗性を始めとする耐腐食性に優れる。ポリエチレンテレフタレートは約1.1~1.5g/cm3の密度を有し、極低温での使用に適し、耐水性に優れる。ポリビニルアルコールは約1.0~1.3g/cm3の密度を有し、極低温での使用に適し、ガス遮断性に優れる。エチレンビニルアルコールは約1.0~1.3g/cm3の密度を有し、極低温での使用に適し、ガス遮断性に優れる。ナイロンは約1.1~1.7g/cm3の密度を有し、極低温での使用に適し、ガス遮断性及び耐水性に優れる。ナイロンは、例えば、ナイロン-6、ナイロン-66、ナイロン-MXD6などであってもよい。
【0068】
さらに、本実施例による遮断層10は、遮断層10の少なくとも一部にアルミニウム及び銅から選択される1つ以上の金属またはその酸化物を蒸着させたものを使用することができる。金属酸化物としては酸化アルミニウムを含むセラミックを使用することができる。従って、遮断層10は上述した高分子を含む高分子層であってもよく、遮断層10の表面の少なくとも一部に金属を蒸着させたものを使用することができる。金属の蒸着は化学的蒸着及び物理的蒸着のいずれであってもよい。遮断層10の両面に金属を蒸着させることが望ましい。
【0069】
遮断層10として使用できる高分子のうちポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートは、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール及びナイロンに比べて相対的にガス遮断性が低いことがある。このようなポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートの表面に金属やその酸化物を蒸着させることにより遮断層10のガス遮断性を増大させ、二次防壁1の液密及び気密性能を向上させることができる。但し、本実施例はこれに限定されず、相対的にガス遮断性に優れたポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール及びナイロンの表面に対しても金属やその酸化物の蒸着によりガス遮断性をさらに増大させることができる。また、遮断層10に対する金属またはその酸化物の蒸着は遮断層10のガス遮断性を向上させるだけでなく、遮断層10の表面エネルギーを相対的に増加させて後述する接着層20に対する接着力が向上する効果を提供することができる。
【0070】
接着層20は遮断層10の両面に形成されて後述する繊維層30を遮断層10に接着して結合させることができる。接着層20は遮断層10の両面に接着剤組成物を塗布するか、接着フィルムやシートなどの別個の層を積層する方式で配置されてもよい。
【0071】
遮断層10がポリエチレンやポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレン系高分子を含む場合、従来の金属素材の遮断層に比べて相対的に低い表面エネルギーを有するため、接着層20による繊維層30との接着が困難である。そのため、本実施例では、遮断層10がポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートのうち少なくとも1つを含む場合には、接着層20として同種系列の高分子であるポリエチレン系化合物を使用して遮断層10の難接着問題を解決する。
【0072】
具体的には、接着層20はポリウレタン系またはポリエチレン系化合物を含む接着剤組成物、接着フィルムまたは接着シートによって形成されるものであってもよい。接着層は熱可塑性のものを使用することができる。
【0073】
好ましくは、ポリエチレン系化合物はポリエチレン主鎖に1つ以上の作用基が側鎖として結合したものであり、上記化合物は少なくとも一部が極性作用基の結合によって改質されたものであってもよい。化合物の少なくとも一部が改質されるとは、作用基が上記化合物に対してグラフト重合などの方法で架橋されて分岐を形成することを意味することができる。
【0074】
本実施例による二次防壁1は上述した実施例1の接着層20を含むことができ、詳細な説明は上述の実施例に代える。
【0075】
遮断層10がポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール及びナイロンのうち少なくとも1つを含む場合には、熱可塑性ポリウレタン系接着剤を利用して接着層20を形成、繊維層30と接着させることができる。また、遮断層10がポリエチレンやポリエチレンテレフタレートを含む場合でも、上述したように遮断層10の表面の少なくとも一部をアルミニウムまたは銅などの金属またはその酸化物で蒸着させると、ポリウレタン系接着剤を使用することができるようになる。
【0076】
繊維層30は遮断層10の両面に形成される接着層20上に配置されて積層されるものであり、繊維層30はガラス繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO)、アラミド繊維(aramid)及び炭素繊維からなる群より選択される1つ以上の繊維を含んでもよい。
【0077】
例えば、ガラス繊維はEまたはSガラスであってもよく、ポリエチレン繊維は超高分子量ポリエチレン繊維であってもよい。繊維層30は上述した1つ以上の繊維を含む混合繊維であってもよい。
【0078】
好ましくは、繊維層30は高分子繊維としてポリエチレン繊維を含む織物層であってもよい。最も好ましくは、ポリエチレン繊維は超高分子量ポリエチレン繊維であってもよい。超高分子量ポリエチレン繊維は分子量が3.5百万~7.5百万のものであり、引裂強度が高くて優れた耐切断性が求められる分野で使用されてきた。このような超高分子量ポリエチレン繊維が優れた引張強度と引裂強度を有し、軽量である点に着目して、当該繊維で織物層を製織し、これを二次防壁1に対する繊維層30として使用することにより、二次防壁1の耐久寿命を増大させる効果を確保することができる。
【0079】
繊維層30がポリエチレン繊維を含む場合、接着層20は上述したようなポリエチレン系接着剤を使用することが好ましく、ガラス繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維及び炭素繊維のうち少なくとも1つを含む場合は、従来のようなポリウレタン系接着剤を使用することができる。
【0080】
本発明の実施例による液化ガス貯蔵タンクは、船体に固定される二次断熱壁、二次防壁、一次断熱壁及び一次防壁が順に配置されたものであってもよく、上記二次防壁は上述した実施例によるものであってもよい。
【0081】
断熱壁は液化ガス貯蔵タンクの壁面を構成し、断熱材を含んで上記液化ガス貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスに対する断熱を提供する。二次断熱壁は何れか一面以上が液化ガス運搬船の船体に固定されるように施工されてもよく、上記断熱壁上に二次防壁1が配置されてもよい。上記断熱壁上にRSBとFSBを含む二次防壁1が接着される形態で配置されてもよい。
【0082】
具体的には、上記断熱壁上に接着層を介してRSBが配置されてもよく、RSB上に接着層を介してFSBを配置されてもよい。
【0083】
RSBは上記断熱壁の上面を覆うように設けられて液密を提供することができる。FSBは複数個の断熱壁の上にそれぞれ設けられる複数個のRSBの間の隙間を覆うように設けられて気密を提供することができる。
【0084】
二次防壁1のRSB及びFSBは適用される液化ガス貯蔵タンクの形状、大きさと断熱壁の形状、大きさによって決められてもよく、広い板や狭くて長い形態の帯であってもよいが、これに限定されず、RSBとFSBの形状及び大きさが必ずしも同じである必要はない。
【0085】
図3は本発明の実施例による二次防壁1の製造装置100を示す概念図である。
【0086】
二次防壁1の製造装置100は遮断層ロール110、繊維ロール120、接着フィルムロール130、ロールプレス140、加熱炉150などを含んでもよい。上記装置100を利用して二次防壁1を連続的に製造することができる。
【0087】
遮断層10は遮断層ロール110に巻かれた形態で供給されてもよく、ポリエチレン繊維を含む繊維層30はそれぞれの繊維層ロール120に巻かれた形態で供給されてもよい。遮断層10の両面に繊維層30が積層されるようにそれぞれのロールが配置されてもよく、繊維層30が配置される前に接着層20がフィルムの形態でロール130に巻かれて供給されてもよい。接着フィルムロール130は接着フィルムが遮断層10と繊維層30の間に配置されるように供給されてもよい。
【0088】
図示していないが、繊維層30は、高周波、高電圧の出力が印加されてコロナ放電が起こる電極の間を通過させてコロナ処理するか、様々な反応ガスを利用して繊維層30の表面にプラズマ処理した後、遮断層10及び接着層20とともに積層されるように設けられてもよい。このような繊維層30の表面処理によりポリエチレンの低い表面エネルギーを増加させてから接着層20と接着させることで、遮断層10に対する接着力をさらに増大させることができる。
【0089】
遮断層10の両面に接着層20が形成された後、繊維層30が配置されると同時にロールプレス140により加圧され、加熱炉150を経て二次防壁1が製造されることができる。
【0090】
図4は本発明の他の実施例による二次防壁1の製造装置200を示す概念図である。
【0091】
二次防壁1の製造装置200は遮断層ロール210、繊維ロール220、接着剤注入タンク230、ロールプレス240、加熱炉250などを含んでもよい。上述の実施例と同様に、上記装置200を利用して二次防壁1を連続的に製造することができる。
【0092】
以下では、上述した実施例と異なる点を中心に説明し、共通の内容は上述した実施例の内容に代える。
【0093】
接着剤注入タンク230は上述したように難接着特性を有するポリエチレン繊維織物に合う接着剤を貯蔵し、遮断層ロール210の回転による遮断層10の解れる速度に合わせて供給して接着層20を形成するものであってもよい。
【0094】
遮断層10の両面に接着層20が形成された後、繊維層30が配置されるとともにロールプレス240によって加圧され、加熱炉250を経て二次防壁2が製造されることができる。
【0095】
このように、本実施例は、接着層20を含む二次防壁1の連続的な製造のための装置100、200及びそれを利用する製造方法を提供する。
【0096】
実験例1.実施例1による二次防壁の製造及び物性確認
【0097】
以下では、図3のような過程により二次防壁を製造し、常温及び低温条件で引張強度を確認した。遮断層としては厚さ70μmのアルミ箔を使用し、その両面にLLDPEフィルムを積層した後、超高分子量ポリエチレン繊維からなる繊維層を積層した。積層体を加熱炉に注入し130℃で加熱して二次防壁を製造した。このとき、超高分子量ポリエチレン繊維は200、400、及び800デニールの太さ程度を用意し、それぞれ実施例1-1~1-3と命名した。
【0098】
比較例としては従来のガラス繊維を含む繊維層が積層された二次防壁を使用し、遮断層は実施例と同じであるが、接着層は熱可塑性ポリウレタン接着フィルムを積層した後、180℃以上で加熱して二次防壁を製造した。
【0099】
製造された実施例及び比較例による二次防壁の常温及び極低温(-170℃)条件下での引張強度を測定し、下記表4に示した。
【0100】
【表4】
【0101】
表4に示すように、実施例1-1による二次防壁は比較例の二次防壁と類似する引張強度を示し、実施例1-2及び1-3による二次防壁は全ての温度条件で比較例に比べて優れた引張強度を示した。特に、実施例1-3による二次防壁1は従来の二次防壁に比べて常温での引張強度が79%さらに高く、極低温条件では約47%さらに高いことが確認された。
【0102】
実施例1-2及び1-3はともに比較例に比べて優れた引張強度を示したが、相対的に細い太さ程度を有してより優れた作業性を示す実施例1-2による二次防壁を選択して引張疲労試験を通じて耐久寿命を評価し、これを比較例による二次防壁と比較した。
【0103】
常温と低温(-110℃)条件でそれぞれの二次防壁試料に下記表5による応力を繰り返して加え、試料で疲労破壊が起こる瞬間まで応力が適用された回数(耐久寿命)を示した。
【0104】
【表5】
【0105】
表5に示すように、実施例1-2による二次防壁は、常温及び低温(-110℃)条件において比較例による二次防壁に比べて相対的に大きな応力を加えたにもかかわらず、非常に高い耐久寿命を示すことが確認された。
【0106】
以上のような本発明の実施例1は、遮断層10上にポリエチレン繊維を含む繊維層30とこれを固定するための接着層20とが積層された構造の二次防壁1を提供する。また、本実施例による二次防壁1は、極低温の環境でも優れた引張強度及び耐久寿命を確保することができ、従来広く知られているMark-IIIタイプのトリプレックスの代わりに使用することができる。
【0107】
実験例2.実施例2による二次防壁の製造及び物性確認
【0108】
以下では、図3のような過程により二次防壁を製造し、常温(23℃)及び極低温(-170℃)条件で引張強度(UTS;Ultimate Tensile Strength)、伸び率(UTSでの伸び率)、弾性係数及びせん断強度を確認し、下記表2に示した。遮断層としては厚さ100μmのエチレンビニルアルコールフィルムを使用し、その両面にLLDPEフィルムを積層した後、超高分子量ポリエチレン繊維からなる繊維層を積層した。積層体を加熱炉に注入し130℃で加熱して二次防壁を製造した。
【0109】
比較例としては従来のアルミニウム金属遮断層とガラス繊維層を含む二次防壁を使用した。比較例は、二次防壁で製織されたガラス繊維層の縦糸(Warp)部分と横糸(Woof)部分に対してそれぞれ測定して示した。
【0110】
【表6】
【0111】
液化ガス貯蔵タンクに適用するための二次防壁は、23℃で約172MPa、-163℃で約235MPa以上の引張強度を有することが求められる。実施例2による二次防壁は、基準値対比で23℃で約217%、-170℃で約165%さらに優れた引張強度を有しており、基準値対比で約127%~150%さらに優れた引張強度を有するに過ぎない比較例に比べて優れていることが分かる。
【0112】
また、液化ガス貯蔵タンクに適用するための二次防壁は、上記温度及び引張強度が加えられた条件で2%以上の伸び率を有することが好ましい。本実施例による二次防壁は約7~9%に達する伸び率を示しており、約4~5%の伸び率を示した比較例に比べて優れていることが確認された。
【0113】
また、液化ガス貯蔵タンクに適用するための二次防壁は、約20GPa以下の弾性係数を有することが好ましい。実施例2による二次防壁は比較例による二次防壁に比べて弾性係数が低く、特に極低温の条件でも20GPa未満の弾性係数を保持し、耐引裂性に優れていることが確認された。
【0114】
実施例2による二次防壁のせん断強度(MPa)は比較例に比べて低いことが示された。これは比較例による二次防壁が接着に容易なガラス繊維及び金属遮断膜を使用したために現れる結果であり、液化ガス貯蔵タンクに適用するためのせん断強度の条件が約3.5MPaより大きくなければならないことを考慮すると、本実施例による二次防壁は実際に適用するに適した水準であることが分かる。
【0115】
以上のような本発明の実施例2は、従来金属素材が用いられた遮断層10を比重が相対的に低い高分子を利用して、金属遮断層に比べて優れた耐引裂性及び耐腐食性を確保することができる。また、高分子を含む遮断層10の一部に比較的に薄い金属を蒸着させて遮断層10のガス遮断性を向上させることができる。これにより、遮断層10を含む二次防壁の軽量化を達成し、二次防壁の設置作業性及び船舶の運航効率を向上させることができる。
【0116】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0117】
本発明は上記で説明した実施例に限定されず、上記実施例の組み合わせまたは上記実施例の少なくとも何れか1つと公知技術の組み合わせをさらに他の実施例として含むことができる。
【0118】
本発明の単純な変形または変更はすべて本発明の領域に属し、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0119】
1 二次防壁
10 遮断層
11 接着層
12 繊維層
20 接着層
30 繊維層
100、200 二次防壁の製造装置
110、210 遮断層ロール
120、220 繊維層ロール
130 接着フィルムロール
230 接着剤注入タンク
140、240 ロールプレス
150、250 加熱炉
図1
図2
図3
図4