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特許7609941治具付きコネクタ部品およびその着脱方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】治具付きコネクタ部品およびその着脱方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/26 20060101AFI20241224BHJP
   H01R 31/08 20060101ALI20241224BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
H01R43/26
H01R31/08 P
H01R11/01 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023133742
(22)【出願日】2023-08-21
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】吉永 幸太郎
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102351(JP,A)
【文献】特開2014-047994(JP,A)
【文献】実開平04-059079(JP,U)
【文献】特開平04-095366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/26
H01R 31/08
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品であって、
接続相手と電気的に接続する導体部を収容するハウジングを備え、
前記ハウジングにはコネクタ部品用治具が挿通可能な挿通口が形成され、当該挿通口を通って前記ハウジングの内部に挿入された前記コネクタ部品用治具の部位である挿入部を、前記ハウジングの内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する挟持構造が前記ハウジングの内部に備えられており、
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む形状であり、当該断面形状において互いに対向し合う辺に対応する前記挿入部の側面部分は、前記挟持構造により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっており、
前記ハウジングの内部には、接続相手に備えられている端子を保持する保持構造が設けられており、
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも弱く、前記保持構造が前記端子を保持している状態が維持されたまま前記挿入部を前記挟持構造から抜き出すことが可能な力の大きさであり、
前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも強く、前記挿入部を前記挟持構造から抜き出す方向の力を前記コネクタ部品用治具に加えても前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態のままで前記保持構造が前記端子を保持している状態を解消することが可能な力の大きさであ
治具付きコネクタ部品。
【請求項2】
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における前記断面形状が、短辺と長辺を備える長方形状と成している
請求項1に記載の治具付きコネクタ部品。
【請求項3】
前記挟持構造は、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部に付勢力を作用する弾性部材を有し、当該弾性部材による付勢力をもって前記コネクタ部品用治具を挿抜自在に挟持する
請求項1に記載の治具付きコネクタ部品。
【請求項4】
前記ハウジングにおける前記コネクタ部品用治具が挿通可能な前記挿通口は、当該挿通口に挿通している前記コネクタ部品用治具が前記回転軸を中心に回転可能な大きさを有する
請求項1に記載の治具付きコネクタ部品。
【請求項5】
前記導体部は、接続相手に備えられている端子に付勢力を作用する弾性部位を備え、
前記保持構造は、前記導体部の前記弾性部位を含み、当該弾性部位による付勢力を用いて接続相手の端子を保持する
請求項に記載の治具付きコネクタ部品。
【請求項6】
接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品は、接続相手と電気的に接続する導体部を収容するハウジングを備え、当該ハウジングにはコネクタ部品用治具が挿通可能な挿通口が形成され、当該挿通口を通って前記ハウジングの内部に挿入されたコネクタ部品用治具の部位である挿入部を、前記ハウジングの内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する挟持構造が前記ハウジングの内部に備えられており、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む形状であり、当該断面形状において互いに対向し合う辺に対応する前記挿入部の側面部分は、前記挟持構造により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっており、前記ハウジングの内部には、接続相手に備えられている端子を保持する保持構造が設けられており、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも弱く、前記保持構造が前記端子を保持している状態が維持されたまま前記挿入部を前記挟持構造から抜き出すことが可能な力の大きさであり、前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも強く、前記挿入部を前記挟持構造から抜き出す方向の力を前記コネクタ部品用治具に加えても前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態のままで前記保持構造が前記端子を保持している状態を解消することが可能な力の大きさである治具付きコネクタ部品の着脱方法であって、
前記治具付きコネクタ部品が接続相手と接続している装着状態であり、前記治具付きコネクタ部品の前記ハウジングにおける前記挿通口から前記コネクタ部品用治具の前記挿入部が前記ハウジングの内部に挿入され当該挿入部が前記挟持構造により挟持され、さらに、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態となるように前記コネクタ部品用治具の向きが調整されている状態で、前記コネクタ部品用治具に引き抜く方向の力を作用することにより前記治具付きコネクタ部品と接続相手との接続を解除し、
前記コネクタ部品用治具が挿入されている状態のまま、前記治具付きコネクタ部品を新たな接続先の接続相手と接続させ、
さらに、前記回転軸を中心にして前記コネクタ部品用治具を回転することにより、当該コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態から2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態となるように前記コネクタ部品用治具の向きを調整し、調整後の状態で、前記コネクタ部品用治具に引き抜く方向の力を作用することにより、前記コネクタ部品用治具を前記治具付きコネクタ部品から抜去する治具付きコネクタ部品の着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ部品に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャンパーコネクタやジャンパープラグなどと称されるコネクタ部品がある。このコネクタ部品(以下、ジャンパーコネクタとも称する)は電子回路基板に設けられたジャンパースイッチに用いられる。ジャンパースイッチは、電子回路基板に並設された複数の端子(ジャンパーピン)を有する。それら端子はそれぞれ電子回路基板に形成されている互いに異なる電気回路に接続されている。ジャンパーコネクタは、そのようなジャンパースイッチにおける2つの端子間を接続する構成を備えている。ジャンパーコネクタがジャンパースイッチにおける端子間を接続することにより、これら端子を介して当該端子に接続されている電気回路同士が接続する。また、ジャンパーコネクタがジャンパースイッチから一旦、取り外され、ジャンパーコネクタが接続する端子同士の組み合わせが変更されるようにジャンパースイッチに装着されることによって、接続される電気回路の組み合わせが切り替わる。つまり、上述したようなジャンパーコネクタの着脱作業により、ジャンパースイッチにおける電気回路の接続切り替えが行われる。
【0003】
近年、電子回路基板における配線や部品は配置の狭ピッチ化や微細化が進んでおり、これに伴い、ジャンパーコネクタも小型化(微細化)が進んでいる。上述したように、ジャンパーコネクタはジャンパースイッチに着脱されることがあるが、ジャンパーコネクタの小型化により当該ジャンパーコネクタを人の手や作業用ロボットにより把持して着脱作業を行うことが難しくなってきている。
【0004】
特許文献1(特許第7010681号公報)には、着脱自在なコネクタ用治具をジャンパーコネクタに装着させることにより、小型なジャンパーコネクタをジャンパースイッチに装着したり、ジャンパースイッチから取り外したりすることを容易にする技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7010681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されているジャンパーコネクタおよびジャンパーコネクタ用治工具を用いて、ジャンパースイッチにおける電気回路の接続切り替えを行う場合には、次のような着脱作業が行われる。
【0007】
例えば、ジャンパースイッチにジャンパーコネクタが装着され当該ジャンパーコネクタによって或る電気回路同士が接続されている状態において、そのジャンパーコネクタにジャンパーコネクタ用治工具が装着される。そして、このジャンパーコネクタ用治工具が人の手や作業用ロボットにより把持され当該ジャンパーコネクタ用治工具を用いてジャンパーコネクタがジャンパースイッチから引き抜かれる。この際、その引き抜く力によってジャンパーコネクタ用治工具がジャンパーコネクタから外れないように、ジャンパーコネクタ用治工具が設計されている。
【0008】
その後、別の電気回路同士を接続させるために、ジャンパーコネクタに装着されているジャンパーコネクタ用治工具を用いて、ジャンパーコネクタの位置が変更され、ジャンパーコネクタがジャンパースイッチに装着される。然る後に、ジャンパーコネクタからジャンパーコネクタ用治工具が抜去される。この抜去の際に、抜去する力によってジャンパーコネクタがジャンパースイッチから抜けてしまうのを防止できるように、ジャンパーコネクタ用治工具が設計されている。
【0009】
つまり、ジャンパーコネクタをジャンパースイッチから引き抜く場合には、ジャンパーコネクタ用治工具はジャンパーコネクタから外れないように設計しなければならない。その一方で、ジャンパーコネクタをジャンパースイッチに装着した後には、ジャンパーコネクタがジャンパースイッチに装着した状態を保持したままジャンパーコネクタから外れるように、ジャンパーコネクタ用治工具は設計しなければならない。このようなことから、ジャンパーコネクタ用治工具は、ジャンパーコネクタをジャンパースイッチから外す際に用いる抜去用と、ジャンパーコネクタをジャンパースイッチに装着する際に用いる装着用というような用途別のものが用意される。
【0010】
このため、上述したようなジャンパースイッチによる電気回路の接続切り替えのためにジャンパーコネクタを着脱する一連の作業を行う場合に、作業の途中で、ジャンパーコネクタに装着しているジャンパーコネクタ用治工具を抜去用から装着用に交換する必要がある。つまり、上述したようなジャンパーコネクタを着脱する一連の作業を連続的に行うことができず、作業の効率が悪いという問題がある。
【0011】
本開示は上述したような課題を解決するために考え出された。すなわち、本開示の主な目的は、コネクタ部品を着脱する一連の作業に係る作業の効率化を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本開示に係る治具付きコネクタ部品は、その一態様として、接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品であって、
接続相手と電気的に接続する導体部を収容するハウジングを備え、
前記ハウジングにはコネクタ部品用治具が挿通可能な挿通口が形成され、当該挿通口を通って前記ハウジングの内部に挿入された前記コネクタ部品用治具の部位である挿入部を、前記ハウジングの内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する挟持構造が前記ハウジングの内部に備えられており、
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む形状であり、当該断面形状において互いに対向し合う辺に対応する前記挿入部の側面部分は、前記挟持構造により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっている。
【0013】
また、本開示における治具付きコネクタ部品の着脱方法は、その一態様として、接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品は、接続相手と電気的に接続する導体部を収容するハウジングを備え、当該ハウジングにはコネクタ部品用治具が挿通可能な挿通口が形成され、当該挿通口を通って前記ハウジングの内部に挿入されたコネクタ部品用治具の部位である挿入部を、前記ハウジングの内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する挟持構造が前記ハウジングの内部に備えられており、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む形状であり、当該断面形状において互いに対向し合う辺に対応する前記挿入部の側面部分は、前記挟持構造により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっている治具付きコネクタ部品の着脱方法であって、
前記治具付きコネクタ部品が接続相手と接続している装着状態であり、前記治具付きコネクタ部品の前記ハウジングにおける前記挿通口から前記コネクタ部品用治具の前記挿入部が前記ハウジングの内部に挿入され当該挿入部が前記挟持構造により挟持され、さらに、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態となるように前記コネクタ部品用治具の向きが調整されている状態で、前記コネクタ部品用治具に引き抜く方向の力を作用することにより前記治具付きコネクタ部品と接続相手との接続を解除し、
前記コネクタ部品用治具が挿入されている状態のまま、前記治具付きコネクタ部品を新たな接続先の接続相手と接続させ、
さらに、前記回転軸を中心にして前記コネクタ部品用治具を回転することにより、当該コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態から2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態となるように前記コネクタ部品用治具の向きを調整し、調整後の状態で、前記コネクタ部品用治具に引き抜く方向の力を作用することにより、前記コネクタ部品用治具を前記治具付きコネクタ部品から抜去する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、コネクタ部品を着脱する一連の作業に係る作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示における治具付きコネクタ部品の構成例を説明する図である。
図2】治具付きコネクタ部品における保持構造の一例を説明する図である。
図3】コネクタ部品用治具の構成の一例を説明する図である。
図4】治具付きコネクタ部品における挟持構造の一例を説明する図である。
図5】さらに、コネクタ部品用治具の構成の一例を説明する図である。
図6】コネクタ部品用治具における挿入部の構成の一例を説明する図である。
図7】本開示における治具付きコネクタ部品の着脱作業の一例を説明するフローチャートである。
図8】治具付きコネクタ部品の着脱作業における一工程での作業例を説明する図である。
図9】治具付きコネクタ部品の別の着脱作業における別の工程での作業例を説明する図である。
図10】本開示における治具付きコネクタ部品の別の構成例を説明する図である。
図11】本開示における治具付きコネクタ部品の着脱作業の別の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本開示に係る実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<第1実施形態>
本開示における第1実施形態の治具付きコネクタ部品(以下、略してコネクタ部品とも称する)は、図1に表されるような構成を備えている。すなわち、第1実施形態のコネクタ部品1は、ジャンパーコネクタであり、コネクタ部品1の接続相手はジャンパースイッチである。コネクタ部品1は、コネクタ部品用治具5を挿抜自在に備え、また、ハウジング2の内部に導体部3が保持されている態様を備えている。なお、図1では、ハウジング2の一部を透視して内部の導体部3が視認可能に表されている。
【0018】
ハウジング2は筒状の形状を有し、両端面のうちの一方の端面(図1の例では上方側の端面)は開口部21と成し、他方の端面(図1の例では底側の端面)22は閉塞されている。その他方の端面22を閉塞している閉塞壁には、貫通孔24,25が形成されている。これら貫通孔24,25は、それぞれ、ジャンパースイッチの端子(ジャンパーピン)が貫通する貫通孔である。つまり、図1には、コネクタ部品(ジャンパーコネクタ)1と共に、ジャンパースイッチ7の一例が表されている。ジャンパースイッチ7は、複数(3以上)の端子(ジャンパーピン)70a,70b,70cを有し、これら端子70a,70b,70cが互いに間隔を介して並設されている構成を備える。これら端子70a,70b,70cの中から選択された、隣り合っている2つの端子のそれぞれがハウジング2の貫通孔24,25に挿通するように、貫通孔24,25の形成位置や大きさが設計されている。
【0019】
ハウジング2は、電気絶縁体(例えば樹脂)又は電気伝導体によって形成され、導体部3を保持する。導体部3がハウジング2に保持される構成はここでは限定されないので、その説明は省略する。
【0020】
導体部3は、導電体である例えば金属板を加工して形成されており、ジャンパー接点部31,32と、接続部33と、治具係止部34とを有している。
【0021】
接続部33は、ジャンパー接点部31とジャンパー接点部32を電気的に接続する部位である。ジャンパー接点部31,32は、それぞれ、ジャンパースイッチ7の端子に当接する部位である。ジャンパー接点部31,32は、ジャンパースイッチ7の端子に当接することにより、当該端子と電気的に接続する。ここで、ジャンパースイッチ7の端子70a,70bがそれぞれ貫通孔24,25を通ってハウジング2の内部に挿入されているとする。図2には、この状態におけるハウジング2の内部の一部(ジャンパー接点部31を含む部分)を図1における左側から見た模式的な図が表されている。つまり、図2には、ジャンパー接点部31と、端子70aとの当接態様が表されている。なお、図2には図示されていないが、ジャンパー接点部32と端子70bの当接態様も図2と同様である。
【0022】
ジャンパー接点部31,32は、ハウジング2の内壁面2a側に突出している態様を備え、ハウジング2の内壁面2aとの間の間隙に挿通された端子70a,70bを内壁面2aとジャンパー接点部31,32によって挟持して当該端子70a,70bを保持する。また、ジャンパー接点部31,32は、ハウジング2の内壁面2aとの間の間隙に挿通された端子70a,70bに内壁面2aに押し付ける方向の付勢力を作用する。つまり、接続部33とジャンパー接点部31,32を構成している導体部3の部分は、弾性部材である板バネとして機能できるように構成されており、当該板バネの付勢力がジャンパー接点部31,32から端子70a,70bに作用する。第1実施形態では、上述したように導体部3のジャンパー接点部31,32とハウジング2の内壁面2aによって端子70a,70bを挟持することにより、当該端子70a,70bを保持している。つまり、ジャンパー接点部31,32とハウジング2の内壁面2aは、接続相手(ジャンパースイッチ7)に備えられている端子を保持する保持構造を構成している。また、ジャンパー接点部31,32は、保持構造において、接続相手(ジャンパースイッチ7)の端子に付勢力を作用する導体部3の弾性部位である。
【0023】
治具係止部34は、コネクタ部品用治具を係止する部位である。コネクタ部品用治具とは、ここでは、コネクタ部品1をジャンパースイッチに装着する作業、コネクタ部品1をジャンパースイッチから取り外す作業、および、ジャンパースイッチから外されたコネクタ部品1を移動する作業で用いる治具である。第1実施形態では、コネクタ部品用治具は、図1に表されるような態様を備える。すなわち、第1実施形態におけるコネクタ部品用治具5は、把持部51と、挿入部52とを備える。挿入部52は、コネクタ部品1のハウジング2の内部に、図3に表されるように、開口部21から挿入される部位である。把持部51は、人の手やロボットにより把持される部位である。把持部51は、人の手やロボットが把持することを想定した形状や大きさを備えていれば、その形状や大きさは限定されない。なお、ハウジング2の開口部21は、上述したようにコネクタ部品用治具5の挿入部52が挿通する挿通口として機能する。
【0024】
コネクタ部品1の導体部3の治具係止部34は、コネクタ部品用治具5の挿入部52がハウジング2の内部に挿入された場合に、図4に表されているように、当該治具係止部34とハウジング2の内壁面2aによって挿入部52を挟持することにより当該挿入部52を係止する。つまり、治具係止部34は、弾性部材である板バネとして機能できるように構成されており、当該治具係止部34とハウジング2の内壁面2aによって挟持する挿入部52に、内壁面2aに向かう方向の付勢力を作用する。つまり、第1実施形態では、治具係止部34とハウジング2の内壁面2aは、コネクタ部品用治具5の挿入部52を挟持する挟持構造を構成している。
【0025】
第1実施形態では、治具係止部34からコネクタ部品用治具5の挿入部52に作用する付勢力の大きさは、次のような挿入部52の形状および大きさと合わせて設計される。
【0026】
すなわち、第1実施形態では、コネクタ部品用治具5の挿入部52がコネクタ部品1のハウジング2の内部に挿入され治具係止部34によって係止されることにより、コネクタ部品用治具5がコネクタ部品1と一体化される。このようにコネクタ部品用治具5が装着されたコネクタ部品1は、コネクタ部品用治具5の把持部51を用いることにより、小型化されても、ジャンパースイッチ7への挿入やジャンパースイッチ7からの取り外しや移動というような作業が容易となる。
【0027】
ところで、コネクタ部品用治具5を用いてコネクタ部品1がジャンパースイッチ7に装着された後には、コネクタ部品1からコネクタ部品用治具5が引き抜かれる。この引き抜く力によってコネクタ部品1がジャンパースイッチ7から外れないように、コネクタ部品用治具5(挿入部52)の外れ易さを考慮して、治具係止部34による挿入部52への付勢力の大きさが設計される。また、一方で、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7から取り外す際には、コネクタ部品用治具5を用いてコネクタ部品1をジャンパースイッチ7から引き抜く力でコネクタ部品用治具5がコネクタ部品1から外れないようにしなければならない。このような外れ難さを考慮して、治具係止部34による挿入部52への付勢力の大きさが設計されなければならない。ここで、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7に装着する作業の場合における治具係止部34による挿入部52への付勢力を装着時付勢力F1と称するとする。また、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7から取り外す作業の場合における治具係止部34による挿入部52への付勢力を解除時付勢力F2と称するとする。
【0028】
上述したような治具係止部34による挿入部52への付勢力(係止力)の大きさに関わる事項を考慮すると、解除時付勢力F2は装着時付勢力F1よりも大きくしなければならないというように、装着時付勢力F1と解除時付勢力F2を異ならせる必要がある。また、作業効率などの作業面において、コネクタ部品1におけるジャンパースイッチ7からの取り外し作業もジャンパースイッチ7への装着作業も同じコネクタ部品用治具5で行うことが好ましい。このようなことが考慮されたことにより、第1実施形態では、コネクタ部品用治具5の挿入部52は、次のような構成を備えている。
【0029】
すなわち、コネクタ部品用治具5の挿入部52は、図1に表されているように、把持部51から伸長形成されている態様を備える。挿入部52は、その伸長方向に沿う方向が挿抜方向(挿入する方向および抜去する方向)となり、この挿抜方向に、当該挿入部52は、コネクタ部品1のハウジング2に挿入され、かつ、ハウジング2から抜去される。また、図5に表されているように、挿入部52は、ハウジング2の内部に挿入され治具係止部34によって係止されている状態において、人の手やロボットによる把持部51の操作によって、挿抜方向に沿う回転軸を中心にして回転可能となっている。換言すれば、挿入部52は、治具係止部34とハウジング2の内壁面2aとの挟持力(換言すれば、治具係止部34から挿入部52への付勢力)に抗って回転可能となっている。
【0030】
図6には、挿入部52の一部が切り出されて模式的に表されている。第1実施形態では、挿入部52は、治具係止部34とハウジング2の内壁面2aによって挟持されている状態において、回転軸を中心にして回転することにより、治具係止部34と内壁面2aの間の間隔を可変する構成を備えている。図6の例では、治具係止部34と内壁面2aによって挟持される挿入部52の部位(以下、挟持部位とも称する)は四角柱状と成している。当該挟持部位を回転軸に直交する面で切った場合における断面形状(以下、単に、挿入部52の断面形状とも称する)は長方形状となっている。つまり、図6に表されているように、挟持部位の断面形状は、短辺の長さがHであり、かつ、長辺の長さがHよりも長いWであるというような長方形状となっている。挿入部52の断面形状は長方形状であることから、互いに対向し合う2組の辺の組み合わせ(長辺の組および短辺の組)を含む形状である。断面の長方形状における2つの長辺(長辺の組)に対応する挿入部52の側面部分は、治具係止部34とハウジング2の内壁面2aによって挟持される一対の挟持面と成す。また、同様に、断面の長方形状における2つの短辺(短辺の組)に対応する挿入部52の側面部分も、治具係止部34とハウジング2の内壁面2aによって挟持される一対の挟持面と成す。
【0031】
挿入部52における挟持部位が上述したような態様を備えていることから、挿入部52は、回転軸を中心にして回転することにより、治具係止部34と内壁面2aの間の間隔を可変することができる。
【0032】
このように治具係止部34と内壁面2aの間の間隔が可変することにより、第1実施形態では、治具係止部34の弾性変形の度合いが変化する。すなわち、治具係止部34から挿入部52への付勢力の大きさが変化する。ここで、治具係止部34と内壁面2aの間の間隔がWである場合における治具係止部34から挿入部52への付勢力をFwとする。また、治具係止部34と内壁面2aの間の間隔がHである場合における治具係止部34から挿入部52への付勢力をFhとする。この場合、付勢力Fwは付勢力Fhよりも大きくなる(Fw>Fh)という関係となる。つまり、挿入部52における対を成す挟持面の間の間隔H,Wは対ごとに異なっている。
【0033】
第1実施形態では、コネクタ部品1の治具係止部34およびコネクタ部品用治具5の挿入部52が次のような条件を満たすように互いに関連して設計されている。その条件とは、治具係止部34による付勢力Fhが前述したような装着時付勢力F1となり、かつ、治具係止部34による付勢力Fwが前述したような解除時付勢力F2となるという条件である。
【0034】
第1実施形態におけるコネクタ部品1およびコネクタ部品用治具5は上述したように構成されている。次に、コネクタ部品用治具5を用いて、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7から取り外し、その後、そのコネクタ部品1をジャンパースイッチ7に装着するという一連の着脱作業(コネクタ部品1の着脱作業)の一例を、図7を参照しながら説明する。
【0035】
ここで、説明の便宜上、図6に表されるような治具係止部34と内壁面2aの間の間隔をHとするコネクタ部品用治具5(挿入部52)の姿勢を挿抜状態姿勢と称し、また、治具係止部34と内壁面2aの間の間隔をWとするコネクタ部品用治具5(挿入部52)の姿勢を固定状態姿勢と称することとする。また、以下に説明する一連の作業は、人あるいはロボットの何れにおいても可能であるが、ここでは、ロボットによる作業として説明する。
【0036】
例えば、図8に表されるようにコネクタ部品1がジャンパースイッチ7に装着されているとする。この状態では、ジャンパースイッチ7の端子70a,70bがコネクタ部品1の導体部3を介して電気的に接続されている状態である。この状態から、例えばジャンパースイッチ7の端子70b,70cをコネクタ部品1の導体部3を介して電気的に接続させるために、ジャンパースイッチ7におけるコネクタ部品1の装着状態を変更するとする。
【0037】
まず、ロボットがコネクタ部品用治具5の把持部51を把持し、さらに、このコネクタ部品用治具5をコネクタ部品1のところまで搬送する。そして、ロボットは、コネクタ部品1を把持している状態を維持したまま、引き続き、コネクタ部品用治具5の挿入部52をコネクタ部品1における治具係止部34とハウジング2の内壁面2aとの間に挿入する。つまり、ロボットはコネクタ部品1にコネクタ部品用治具5を挿入する(図7におけるステップ101)。この挿入作業時には、挿入部52が挿抜状態姿勢となる状態でもって挿入部52がハウジング2の内部に挿入されるように、ロボットは、コネクタ部品用治具5の向きを調整する。
【0038】
その後、ロボットは、コネクタ部品用治具5を把持している状態を継続し、回転軸を中心にしてコネクタ部品用治具5を回転することにより、図9に表されるように、コネクタ部品用治具5を挿抜状態姿勢から固定状態姿勢に変える(ステップ102)。そして、ロボットは、把持しているコネクタ部品用治具5に引き抜く方向の力を作用することにより、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7から取り外し、コネクタ部品1とジャンパースイッチ7の接続を解除する(ステップ103)。このとき、コネクタ部品用治具5の挿入部52は固定状態姿勢であるから、治具係止部34による挿入部52への付勢力Fw(挟持力)は解除時付勢力F2である。第1実施形態では、解除時付勢力F2は、コネクタ部品1のジャンパー接点部31,32がジャンパースイッチ7の端子70a,70bに作用している付勢力(つまり、保持力)よりも強い。このため、ロボットがコネクタ部品用治具5に引き抜く方向の力を作用することにより、コネクタ部品用治具5がコネクタ部品1から外れることなく、コネクタ部品用治具5と一体化したままコネクタ部品1がロボットによりジャンパースイッチ7から取り外される。
【0039】
その後、ロボットは、コネクタ部品用治具5を引き続き把持してコネクタ部品1を新たな接続先に移動する(ステップ104)。そして、ジャンパースイッチ7の端子70b,70cがそれぞれコネクタ部品1の貫通孔24,25を通してコネクタ部品1(ハウジング2)の内部に挿入するように、ロボットは、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7に装着する(ステップ105)。
【0040】
然る後に、ロボットは、コネクタ部品用治具5を回転することにより、コネクタ部品用治具5を固定状態姿勢から挿抜状態姿勢に変える(ステップ106)。そして、ロボットは、把持しているコネクタ部品用治具5に抜去する方向の力を作用することにより、コネクタ部品用治具5をコネクタ部品1から抜去する(ステップ107)。つまり、このとき、コネクタ部品用治具5の挿入部52は挿抜状態姿勢であるから、治具係止部34による挿入部52への付勢力Fhは装着時付勢力F1である。第1実施形態では、装着時付勢力F1は、コネクタ部品1のジャンパー接点部31,32がジャンパースイッチ7の端子70a,70bに作用している付勢力よりも弱い。このため、ロボットがコネクタ部品用治具5に引き抜く方向(抜去方向)の力を作用することにより、コネクタ部品1がジャンパースイッチ7から外れることなく、コネクタ部品用治具5はロボットによりコネクタ部品1から抜去される。
【0041】
第1実施形態のコネクタ部品用治具5を備えたコネクタ部品1は上述したように同じコネクタ部品用治具5でありながら、コネクタ部品1における治具係止部34からコネクタ部品用治具5への係止力を可変できる構成を備えている。コネクタ部品1とジャンパースイッチ7の接続を解除する場合と、コネクタ部品1とジャンパースイッチ7を接続する場合とでは、治具係止部34からコネクタ部品用治具5への係止力を可変する必要がある。第1実施形態のコネクタ部品1は、そのような何れの場合にも、同じコネクタ部品用治具5でもって対応できる。つまり、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7から取り外す作業と、コネクタ部品1をジャンパースイッチ7に装着する作業とを含む一連の着脱作業を行う場合に、第1実施形態のコネクタ部品1は、コネクタ部品用治具を交換するという手間なく、当該一連の着脱作業を連続的に行うことを可能する。つまり、第1実施形態のコネクタ部品1は、コネクタ部品を着脱する一連の作業に係る作業の効率化を図ることができる。
【0042】
<その他の実施形態>
本開示は第1実施形態に限定されず。様々な実施の態様を採り得る。例えば、第1実施形態では、コネクタ部品用治具5の挿入部52における挟持部位は四角柱状である。これに代えて、例えば、挿入部52における挟持部位は、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む多角形状であってもよい。この場合においても、挿入部52における対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なる態様を備える。このような構成においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、コネクタ部品1は、コネクタ部品用治具5の挿入部52をハウジング2の内部に挿入する挿通口がハウジング2の上面に形成されている態様を備えている。これに代えて、ハウジング2は、コネクタ部品用治具5の挿通口が側面に形成されている態様であってもよい。このような態様であっても、そのような挿通口の位置に合わせて治具係止部34が設けられる。
【0044】
さらにまた、本開示における治具付きコネクタ部品は次のような構成を備えていてもよい。例えば、図10に表されるように、治具付きコネクタ部品100は、コネクタ部品用治具200を挿抜自在に備えるコネクタ部品である。コネクタ部品用治具200は、治具付きコネクタ部品100を接続相手と接続させる接続作業および治具付きコネクタ部品100と接続相手との接続を解除する接続解除作業を補助する治具である。
【0045】
治具付きコネクタ部品100は、ハウジング101を備える。ハウジング101は、接続相手と電気的に接続する導体部104を収容する。
【0046】
ハウジング101にはコネクタ部品用治具200が挿通可能な挿通口102が形成されている。コネクタ部品用治具200は、挿通口102を通ってハウジング101の内部に挿入される挿入部201を備える。
【0047】
また、ハウジング101の内部には挟持構造103を備える。挟持構造103は、コネクタ部品用治具200の挿入部201を、ハウジング101の内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する。
【0048】
コネクタ部品用治具の挿入部201は、回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせ(辺202a,202bの組み合わせ、辺203a,203bの組み合わせ)を含む形状である。このような断面形状における互いに対向し合う辺に対応する挿入部201の側面部分は、挟持構造103により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔D1,D2は対ごとに異なっている。
【0049】
このような構成を備えた治具付きコネクタ部品100は、次のように接続相手との接続作業と、接続相手との接続を解除する接続解除作業とを行うことができる。例えば、治具付きコネクタ部品が接続相手と接続している装着状態であるとする。また、治具付きコネクタ部品100にコネクタ部品用治具200が挿入されているとする。さらに、コネクタ部品用治具200の挿入部201における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって挟持構造103が挿入部201を挟持している状態となるようにコネクタ部品用治具200の向きが調整されている状態であるとする。この状態で、コネクタ部品用治具200に引き抜く方向の力を作用することにより治具付きコネクタ部品100と接続相手との接続を解除する(図11におけるステップ201)。その後、コネクタ部品用治具200が挿入されている状態のまま、治具付きコネクタ部品100を新たな接続先の接続相手と接続させる(ステップ202)。
【0050】
然る後に、コネクタ部品用治具200の向きを調整する(ステップ203)。つまり、回転軸を中心にしてコネクタ部品用治具200を回転することにより、コネクタ部品用治具200の挿入部201における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって挟持構造103が挿入部201を挟持している状態から2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって挟持構造103が挿入部201を挟持している状態となるようにコネクタ部品用治具200の向きを調整する。
【0051】
その後、調整後の状態で、コネクタ部品用治具200に引き抜く方向の力を作用することにより、コネクタ部品用治具200を治具付きコネクタ部品100から抜去する(ステップ204)。
【0052】
このような治具付きコネクタ部品100は、挟持構造103によってコネクタ部品用治具200を挟持する力を可変することができる。これにより、治具付きコネクタ部品100を接続相手と接続させる接続作業と、接続相手との接続を解除する接続解除作業とを含む一連の着脱作業において、治具付きコネクタ部品100は、コネクタ部品用治具を交換することなく、作業を連続的に行うことを可能にする。つまり、治具付きコネクタ部品100は、コネクタ部品を着脱する一連の作業に係る作業の効率化を図ることができる。
【0053】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品であって、
接続相手と電気的に接続する導体部を収容するハウジングを備え、
前記ハウジングにはコネクタ部品用治具が挿通可能な挿通口が形成され、当該挿通口を通って前記ハウジングの内部に挿入された前記コネクタ部品用治具の部位である挿入部を、前記ハウジングの内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する挟持構造が前記ハウジングの内部に備えられており、
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む形状であり、当該断面形状において互いに対向し合う辺に対応する前記挿入部の側面部分は、前記挟持構造により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっている
治具付きコネクタ部品。
(付記2)
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における前記断面形状が、短辺と長辺を備える長方形状と成している
付記1に記載の治具付きコネクタ部品。
(付記3)
前記ハウジングの内部には、接続相手に備えられている端子を保持する保持構造が設けられており、
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも弱く、
また、前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも強い
付記1に記載の治具付きコネクタ部品。
(付記4)
前記挟持構造は、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部に付勢力を作用する弾性部材を有し、当該弾性部材による付勢力をもって前記コネクタ部品用治具を挿抜自在に挟持する
付記1に記載の治具付きコネクタ部品。
(付記5)
前記ハウジングにおける前記コネクタ部品用治具が挿通可能な前記挿通口は、当該挿通口に挿通している前記コネクタ部品用治具が前記回転軸を中心に回転可能な大きさを有する
付記1に記載の治具付きコネクタ部品。
(付記6)
前記導体部は、接続相手に備えられている端子に付勢力を作用する弾性部位を備え、
前記保持構造は、前記導体部の前記弾性部位を含み、当該弾性部位による付勢力を用いて接続相手の端子を保持する
付記3に記載の治具付きコネクタ部品。
(付記7)
接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品は、接続相手と電気的に接続する導体部を収容するハウジングを備え、当該ハウジングにはコネクタ部品用治具が挿通可能な挿通口が形成され、当該挿通口を通って前記ハウジングの内部に挿入されたコネクタ部品用治具の部位である挿入部を、前記ハウジングの内部に挿入する方向に沿う方向の回転軸を中心にして回転可能な状態で挟持する挟持構造が前記ハウジングの内部に備えられており、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における断面形状が、互いに対向し合う少なくとも2組の辺の組み合わせを含む形状であり、当該断面形状において互いに対向し合う辺に対応する前記挿入部の側面部分は、前記挟持構造により挟持される対を成す挟持面と成し、対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっている治具付きコネクタ部品の着脱方法であって、
前記治具付きコネクタ部品が接続相手と接続している装着状態であり、前記治具付きコネクタ部品の前記ハウジングにおける前記挿通口から前記コネクタ部品用治具の前記挿入部が前記ハウジングの内部に挿入され当該挿入部が前記挟持構造により挟持され、さらに、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態となるように前記コネクタ部品用治具の向きが調整されている状態で、前記コネクタ部品用治具に引き抜く方向の力を作用することにより前記治具付きコネクタ部品と接続相手との接続を解除し、
前記コネクタ部品用治具が挿入されている状態のまま、前記治具付きコネクタ部品を新たな接続先の接続相手と接続させ、
さらに、前記回転軸を中心にして前記コネクタ部品用治具を回転することにより、当該コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態から2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している状態となるように前記コネクタ部品用治具の向きを調整し、調整後の状態で、前記コネクタ部品用治具に引き抜く方向の力を作用することにより、前記コネクタ部品用治具を前記治具付きコネクタ部品から抜去する
治具付きコネクタ部品の着脱方法。
(付記8)
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部は、前記回転軸に直交する面で切った場合における前記断面形状が、短辺と長辺を備える長方形状と成している
付記7に記載の治具付きコネクタ部品の着脱方法。
(付記9)
前記ハウジングの内部には、接続相手に備えられている端子を保持する保持構造が設けられており、
前記コネクタ部品用治具の前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が短い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも弱く、
また、前記挿入部における2対の挟持面のうちの挟持面の間の間隔が長い方の対の挟持面でもって前記挟持構造が前記挿入部を挟持している挟持力は、前記保持構造が前記端子を保持している保持力よりも強い
付記7に記載の治具付きコネクタ部品の着脱方法。
(付記10)
前記挟持構造は、前記コネクタ部品用治具の前記挿入部に付勢力を作用する弾性部材を有し、当該弾性部材による付勢力をもって前記コネクタ部品用治具を挿抜自在に挟持する
付記7に記載の治具付きコネクタ部品の着脱方法。
(付記11)
前記ハウジングにおける前記コネクタ部品用治具が挿通可能な前記挿通口は、当該挿通口に挿通している前記コネクタ部品用治具が前記回転軸を中心に回転可能な大きさを有する
付記7に記載の治具付きコネクタ部品の着脱方法。
(付記12)
前記導体部は、接続相手に備えられている端子に付勢力を作用する弾性部位を備え、
前記保持構造は、前記導体部の前記弾性部位を含み、当該弾性部位による付勢力を用いて接続相手の端子を保持する
付記9に記載の治具付きコネクタ部品の着脱方法。
【0054】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタ部品
2,101 ハウジング
3 導体部
5,200 コネクタ部品用治具
7 ジャンパースイッチ
34 治具係止部
52,201 挿入部
【要約】
【課題】 コネクタ部品を着脱する一連の作業に係る作業の効率化を図る。
【解決手段】 接続相手との接続作業および接続相手との接続解除作業を補助するコネクタ部品用治具を挿抜自在に備えるコネクタ部品は、コネクタ部品用治具を挟持する挟持構造を備える。コネクタ部品用治具は、挟持構造により挟持される対を成す挟持面を少なくとも2対、備える。対を成す挟持面の間の間隔は対ごとに異なっている。
【選択図】 図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11