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特許7609956シール材の製造方法、脱型装置及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】シール材の製造方法、脱型装置及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20241224BHJP
   B29C 35/08 20060101ALI20241224BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B29C33/44
B29C35/08
B29C39/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023191543
(22)【出願日】2023-11-09
【審査請求日】2024-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 紗也佳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙一
(72)【発明者】
【氏名】上田 彰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 憲
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-109786(JP,A)
【文献】特開2019-032038(JP,A)
【文献】特開2000-135724(JP,A)
【文献】特開2000-127209(JP,A)
【文献】特開平10-264216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/44
B29C 35/08
B29C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を用いるシール材の製造方法であって、
前記金型を準備する金型準備工程、
前記金型に充填機を用いてシール材組成物を充填する充填工程、
前記金型に充填されたシール材組成物を硬化する硬化工程、
シール材を前記金型から取り外す脱型工程を含み、
前記金型を工程間において搬送させ、
前記シール材組成物は、紫外線硬化性シール材組成物であり、
前記金型は、上金型および下金型を含み、
前記上金型は、貫通孔と、前記シール材が形成される空洞部を構成する凹部とを有し、
前記貫通孔は、前記上金型の上面側表面から前記凹部まで直線状に貫通しており、
前記脱型工程において、前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記上金型を上昇させながら、前記貫通孔にピンを差し込み、前記ピンを前記シール材に直接押し当てて前記シール材を前記凹部から押し出すことにより前記シール材を前記上金型から取り外し、
前記脱型工程において前記シール材を取り出した金型を前記金型準備工程に戻す、シール材の製造方法。
【請求項2】
金型を用いるシール材の製造方法であって、
前記金型を準備する金型準備工程、
前記金型に充填機を用いてシール材組成物を充填する充填工程、
前記金型に充填されたシール材組成物を硬化する硬化工程、
シール材を前記金型から取り外す脱型工程を含み、
前記金型を工程間において搬送させ、
前記シール材組成物は、紫外線硬化性シール材組成物であり、
前記金型は、上金型および下金型を含み、
前記上金型は、貫通孔と、前記シール材が形成される空洞部を構成する凹部とを有し、
前記貫通孔は、前記上金型の上面側表面から前記凹部まで直線状に貫通しており、
前記金型準備工程において前記上金型及び前記下金型の間に基板が配置され、
前記脱型工程において、前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記上金型を上昇させながら、前記貫通孔にピンを差し込み、前記ピンで前記基板を押し出すことにより前記シール材を前記上金型から取り外し、
前記脱型工程において前記シール材を取り出した金型を前記金型準備工程に戻す、シール材の製造方法。
【請求項3】
前記貫通孔にエアを吹き込みながら前記上金型を上昇させる、請求項1または2に記載のシール材の製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔は、複数の貫通孔から構成され、
前記ピンは、複数のピンから構成され、
前記複数のピンを構成するピンをそれぞれ前記複数の貫通孔を構成する貫通孔に全て同時に、または1本ずつまたは2本以上を同時に任意の順に差し込む、請求項1または2に記載のシール材の製造方法。
【請求項5】
前記金型を厚み方向からみたときに、前記上金型の中央部から前記上金型の端部側に向けて順に前記ピンを差し込む、請求項に記載のシール材の製造方法。
【請求項6】
前記金型を水平方向から見たとき、前記複数の貫通孔のうち前記上金型の端部の最も近くに存在する貫通孔を第1番目の貫通孔とし、第n-1番目の貫通孔に隣接する貫通孔を第n番目の貫通孔としたとき(nは2以上の整数)、
前記第1番目の貫通孔から前記第n番目の貫通孔の順に又は任意の貫通孔から任意の順に、前記ピンを1本ずつまたは2本以上同時に差し込む、請求項に記載のシール材の製造方法。
【請求項7】
前記複数のピンを構成するピンは互いに、長さが異なっており、
前記第1番目の貫通孔から前記第n番目の貫通孔の順に長さの長いピンを差し込む、請求項に記載のシール材の製造方法。
【請求項8】
前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記シール材を前記上金型側に残留させながら前記上金型を上昇させ、前記基板と前記下金型との間に前記シール材の回収装置を配置した後、前記回収装置上に前記シール材を前記上金型から押し出す、請求項に記載のシール材の製造方法。
【請求項9】
前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記基板を前記下金型側に残留させながら前記上金型を上昇させる、請求項に記載のシール材の製造方法。
【請求項10】
前記金型は離型処理されている、請求項1または2に記載のシール材の製造方法。
【請求項11】
前記貫通孔は、前記充填機の充填ノズルを差し込むための充填ノズル挿入部の機能を有する、請求項1または2に記載のシール材の製造方法。
【請求項12】
前記上金型の厚みは5mm以下である、請求項1または2に記載のシール材の製造方法。
【請求項13】
前記上金型は搬送用フレームを備え、
前記搬送用フレームを支持しながら前記上金型を上昇させる、請求項1または2に記載のシール材の製造方法。
【請求項14】
シール材の製造装置であって、
金型を供給する金型供給装置、紫外線硬化性シール材組成物を金型に充填する充填装置、金型に充填された紫外線硬化性シール材組成物を硬化する硬化装置、シール材を金型から取り外すシール材の脱型装置、及び装置間において金型を搬送する搬送装置を備え、
前記金型は、上金型および下金型を含み、
前記上金型は、貫通孔を有し、
前記上金型は、前記シール材が形成される空洞部を構成する凹部を有し、
前記貫通孔は、前記上金型の上面側表面から前記凹部まで直線状に貫通しており、
前記シール材の脱型装置は、
前記貫通孔に対応する位置にピンを備え、
前記上金型を上昇させて、前記上金型と前記下金型とを分離し、前記貫通孔に前記ピンを差し込み、前記ピンをシール材に直接押し当てて前記シール材を押し出す手段を備える、シール材の製造装置。
【請求項15】
シール材の製造装置であって、
金型を供給する金型供給装置、紫外線硬化性シール材組成物を金型に充填する充填装置、金型に充填された紫外線硬化性シール材組成物を硬化する硬化装置、シール材を金型から取り外すシール材の脱型装置、及び装置間において金型を搬送する搬送装置を備え、
前記金型は、上金型および下金型を含み、
前記上金型は、貫通孔を有し、
前記上金型は、前記シール材が形成される空洞部を構成する凹部を有し、
前記貫通孔は、前記上金型の上面側表面から前記凹部まで直線状に貫通しており、
前記金型供給装置において、前記上金型と前記下金型との間に基板が配置され、
前記シール材の脱型装置は、
前記貫通孔に対応する位置にピンを備え、
前記上金型を上昇させて、前記上金型と前記下金型とを分離し、前記貫通孔に前記ピンを差し込み、前記ピンで基板を押し当ててシール材を上金型から取り外す手段を備える、シール材の製造装置。
【請求項16】
前記貫通孔は、複数の貫通孔から構成され、
前記ピンは、複数のピンから構成され、
前記複数のピンを構成するピンはそれぞれ、前記複数の貫通孔を構成する貫通孔に全て同時に、または1本ずつまたは2本以上を同時に任意の順番で差し込まれる、請求項14または15に記載のシール材の製造装置。
【請求項17】
前記金型を厚み方向からみたときに、前記上金型の中央部から前記上金型の端部側に向けて順に前記ピンが差し込まれる、請求項16に記載のシール材の製造装置。
【請求項18】
前記金型を水平方向から見たとき、前記複数の貫通孔のうち前記上金型の端部の最も近くに存在する貫通孔の1つを第1番目の貫通孔とし、第n-1番目の貫通孔に隣接する貫通孔を第n番目の貫通孔としたとき(nは2以上の整数)、
前記第1番目の貫通孔から第n番目の貫通孔の順に又は任意の貫通孔から任意の順に、前記ピンが1本ずつまたは2本以上同時に差し込まれる、請求項16に記載のシール材の製造装置。
【請求項19】
前記複数のピンを構成するピンは互いに、長さが異なっており、
前記第1番目の貫通孔から前記第n番目の貫通孔の順に差し込まれるピンの長さが長い、請求項18に記載のシール材の製造装置。
【請求項20】
前記金型は離型処理されている、請求項14または15に記載のシール材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材の製造方法、脱型装置及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シール材組成物を金型内に充填し、硬化することによりシール材を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-177720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金型を用いるシール材を製造する方法において、シール材が離形性の低い材料から形成される場合やシール材が粘着性を有する場合、脱型工程においてシール材を金型から取り外し難い場合がある。
【0005】
本発明の目的は、脱型工程においてシール材を金型から取り外し易いシール材の製造方法、脱型装置及び製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のシール材の製造方法、脱型装置及び製造装置を提供する。
[1] 金型を用いるシール材の製造方法であって、
シール材を金型から取り外す脱型工程を含み、
前記金型は、上金型および下金型を含み、
前記上金型は、貫通孔を有し、
前記脱型工程において、前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記上金型を上昇させながら、前記貫通孔にピンを差し込むことにより前記シール材を前記上金型から取り外す、シール材の製造方法。
[2] 前記上金型は、前記シール材が形成される空洞部を構成する凹部を有し、
前記貫通孔は、前記上金型の上面側表面から前記凹部まで直線状に貫通しており、
前記ピンで前記シール材を前記凹部から押し出す、[1]に記載のシール材の製造方法。
[3] 前記上金型及び前記下金型の間に基板が配置され、
前記ピンで前記基板を押し出す、[1]又は[2]に記載のシール材の製造方法。
[4] 前記貫通孔にエアを吹き込みながら前記上金型を上昇させる、[1]~[3]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[5] 前記貫通孔は、複数の貫通孔から構成され、
前記貫通孔は、複数の貫通孔から構成され、
前記ピンは、複数のピンから構成され、
前記複数のピンを構成するピンをそれぞれ前記複数の貫通孔を構成する貫通孔に全て同時に、または1本ずつまたは2本以上を同時に任意の順番で差し込む、[1]~[4]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[6] 前記金型を厚み方向からみたときに、前記上金型の中央部から前記上金型の端部側に向けて順に前記ピンを差し込む、[5]に記載のシール材の製造方法。
[7] 前記金型を水平方向から見たとき、前記複数の貫通孔のうち前記上金型の端部の最も近くに存在する貫通孔を第1番目の貫通孔とし、第n-1番目の貫通孔に隣接する貫通孔を第n番目の貫通孔としたとき(nは2以上の整数)、
前記第1番目の貫通孔から前記第n番目の貫通孔の順に又は任意の貫通孔から任意の順に、前記ピンを1本ずつまたは2本以上同時に差し込む、[5]に記載のシール材の製造方法。
[8] 前記複数のピンを構成するピンは互いに、長さが異なっており、
前記第1番目の貫通孔から前記第n番目の貫通孔の順に長さの長いピンを差し込む、[7]に記載のシール材の製造方法。
[9] 前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記シール材を前記上金型側に残留させながら前記上金型を上昇させ、前記基板と前記下金型との間に前記シール材の回収装置を配置した後、前記回収装置上に前記シール材を前記上金型から押し出す、[3]に記載のシール材の製造方法。
[10] 前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記基板を前記下金型側に残留させながら前記上金型を上昇させる、[3]に記載のシール材の製造方法。
[11] 前記金型は離型処理されている、[1]~[10]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[12] 前記金型を準備する金型準備工程、
前記金型に充填機を用いてシール材組成物を充填する充填工程、及び
前記金型に充填されたシール材組成物を硬化する硬化工程をさらに含み、
前記脱型工程において前記シール材を取り出した金型を前記金型準備工程に戻す、[1]~[11]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[13] 前記貫通孔は、前記充填機の充填ノズルを差し込むための充填ノズル挿入部の機能を有する、[12]に記載のシール材の製造方法。
[14] 前記上金型の厚みは5mm以下である、[1]~[13]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[15] 前記上金型は搬送用フレームを備え、
前記搬送用フレームを支持しながら前記上金型を上昇させる、[1]~[14]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[16] シール材を金型から取り外すシール材の脱型装置であって、
前記金型は、上金型および下金型を含み、
前記上金型は、貫通孔を有し、
前記貫通孔に対応する位置にピンを備え、
前記上金型を上昇させて、前記上金型と前記下金型とを分離し、前記貫通孔に前記ピンを差し込む手段を備える、シール材の脱型装置。
[17] 前記貫通孔は、複数の貫通孔から構成され、
前記ピンは、複数のピンから構成され、
前記複数のピンを構成するピンはそれぞれ、前記複数の貫通孔を構成する貫通孔に全て同時に、または1本ずつまたは2本以上同時に任意の順番で差し込まれる、[16]に記載のシール材の脱型装置。
[18] 前記金型を厚み方向からみたときに、前記上金型の中央部から前記上金型の端部側に向けて順に前記ピンが差し込まれる、[17]に記載のシール材の脱型装置。
[19] 前記金型を水平方向から見たとき、前記複数の貫通孔のうち前記上金型の端部の最も近くに存在する貫通孔の1つを第1番目の貫通孔とし、第n-1番目の貫通孔に隣接する貫通孔を第n番目の貫通孔としたとき(nは2以上の整数)、
前記第1番目の貫通孔から第n番目の貫通孔の順に又は任意の貫通孔から任意の順に、前記ピンが1本ずつまたは2本以上同時に差し込まれる、[17]に記載のシール材の脱型装置。
[20] 前記複数のピンを構成するピンは互いに、長さが異なっており、
前記第1番目の貫通孔から前記第n番目の貫通孔の順に差し込まれるピンの長さが長い、[19]に記載のシール材の脱型装置。
[21] 前記金型は離型処理されている、[16]~[20]のいずれかに記載のシール材の脱型装置。
[22] [16]~[21]のいずれかに記載のシール材の脱型装置を含む、シール材の製造装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脱型工程においてシール材を金型から取り外し易いシール材の製造方法、脱型装置及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、脱型工程を説明するための断面図である。
図2図2は、脱型工程を説明するための断面図である。
図3図3は、脱型工程を説明するための断面図である。
図4図4は、シール材の製造方法を示すフローチャートである。
図5図5は、シール材を連続的に製造する方式を概略的に説明する図である。
図6図6は、シール材の製造装置を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0010】
<シール材の製造方法>
本発明のシール材の製造方法は、金型を用いるシール材の製造方法であり、シール材を金型から取り外す脱型工程を含み、金型は、上金型および下金型を含み、上金型は、貫通孔を有し、脱型工程において、上金型を上昇させながら貫通孔にピンを差し込むことによりシール材を上金型から取り外す。
【0011】
脱型工程について、図1図3を参照しながら説明する。脱型工程は、脱型装置を用いて行うことができる。図1は脱型装置10を水平方向から見たときの断面図を示す。脱型装置10の載置台22に金型13が配置されている。金型13は、脱型工程の前の工程(例えば硬化工程)から搬送されてきてよい。金型13を搬送する方法としては、例えばベルトコンベア、フリーフローコンベア、リニアコンベアモジュール、搬送ロール、搬送アーム等を用いることができる。
【0012】
金型13は、上金型13a及び下金型13bから構成されている。金型13は、空洞部17を有する。上金型13aは、貫通孔14及び凹部12を有する。空洞部17は、凹部12と下金型13bとで形成されている。金型13には、空洞部17に充填されたシール材組成物が硬化して形成されたシール材11が収容されている。
【0013】
金型13は、上金型13a及び下金型13bがクランプ(不図示)で固定されている状態で脱型工程に運ばれてきてよい。クランプは上金型13aと下金型13bとを分離する前に取り外される。
【0014】
次に、図2に示すように、上金型13aを上昇させることにより、上金型13aと下金型13bとを分離する。上金型13aと下金型13bとを分離するとき、シール材11は凹部12に収まった状態である。シール材11は、下金型13bに比べ上金型13aとの接触する表面積が大きいため、上金型13aに固着する力が大きくなり、上金型13aと下金型13bとが分離された場合でも、上金型13aから落下することがない。上金型13aと下金型13bとは、支持体23に支持された上昇機構19の爪部20に上金型13aの端部を載せて上昇機構19を上昇させることにより分離することができる。
【0015】
上金型13aを上昇させることにより、支持体23に支持されたピン15を貫通孔14に差し込むことができる。ピン15を貫通孔14に差し込むことにより、シール材11を上金型13aから取り外すことができる。本発明によれば、シール材が金型に固着し、シール材を金型から取り外し難い場合でも、シール材を金型から取り外し易くすることができる。また、シール材が後述の基板を備え、ピン15で基板を押してシール材11を取り外す場合、上金型と下金型とを分離するとき、シール材と基板とが分離することを抑制し易くなる傾向にある。
【0016】
貫通孔14は、上金型13aの上面側表面から凹部12まで直線状に貫通していてよい。貫通孔14が、上金型13aの上面側表面から凹部12まで直線状に貫通している場合、上金型13aを上昇させながら貫通孔14にピン15を差し込むことにより、ピン15をシール材11に直接押し当ててシール材11を押し出すことで、シール材11を上金型13aから取り外すことができる。貫通孔14は、金型13にシール材組成物を充填するための充填ノズルを挿入するための充填ノズル挿入部としての機能を有していてよい。貫通孔14が充填ノズル挿入部としての機能を有する場合、貫通孔14は充填ノズルとの填め合いが可能な形状であることができる。ピン15の先端の形状は、ピン15がシール材11に突き刺さったり、シール材11がピン15に固着したりするのを防止するために例えば半球型や平坦面になっていてよい。ピン15の先端の形状は、ピン15が接触する対象物の種類、例えばシール材11や基板等に応じて、およびピン15が脱型装置10において配置される位置に応じて選択することができる。ピンが複数存在する場合、ピンの先端の形状は異なった形状の組み合わせであってよい。ピン15は、シール材11の損傷を抑制するために、ピン15全体またはピン15の先端が樹脂製またはゴム製であってよい。
【0017】
上金型13a及び下金型13bの間に、基板(不図示)が配置されていてもよい。基板は、例えばフィルム、板材及び成形物からなる群から選択される1種であってよい。基板は、例えば金属板等であってよく、好ましくはSUS等から構成されてよい。基板は、シール材に密着した状態であってよく、シール材と共に製品中に含まれてもよい。上金型13a及び下金型13bの間に基板が配置される場合、シール材が形成される空洞部17は、上金型13aの凹部12と基板とにより形成される。上金型13aを上昇させるとき、基板はシール材11に密着した状態でシール材と共に上昇されてよい。上金型13a及び下金型13bの間に基板が配置される場合、上金型13aを上昇させながら貫通孔14にピン15を差し込むことにより、ピン15で基板を押してシール材11を上金型13aから取り外すことができる。ピン15で基板を押す場合、ピン15が差し込まれる貫通孔14は上金型13aの上面側表面から凹部12を通らずに直線状に貫通していてよい。上金型13aと下金型13bとを分離するとき、基板を下金型13b側に残留させながら上金型を上昇させることによりシール材を取り外し易くすることができる。基板を下金型13b側に残留させる方法としては、例えば基板を下金型13b側から吸引する方法、基板を下金型13bに固定する方法、基板を下金型側に引っ掛けておく方法等が挙げられる。
【0018】
上金型13aは、貫通孔14を1または2以上有していてよい。貫通孔14の直径は、例えば0.5~50mmであってよく、好ましくは1~20mm、より好ましくは1~10mmである。
【0019】
ピン15は、上金型13aの貫通孔14に挿入することが可能なように配置されている。ピン15の直径は、貫通孔14に挿入することができる太さであればよく、例えば0.3~45mmである。
【0020】
貫通孔14が複数の貫通孔から構成される場合、ピン15は複数のピンから構成されることができる。ピンはそれぞれ、対応する貫通孔の位置に合わせて配置することができる。1つの貫通孔に対し1本のピンを差し込むことができる。複数のピンを構成するピン15をそれぞれ複数の貫通孔を構成する貫通孔に全て同時に、または1本ずつまたは2本以上同時に任意の順に差し込むことができる。また、金型13を厚み方向からみたときに、上金型13aの中央部から上金型13aの端部側に向けて順にピン15を差し込むことができる。また、金型13を水平方向から見たとき、複数の貫通孔のうち上金型13aの端部の最も近くに存在する貫通孔を第1番目の貫通孔とし、第n-1番目の貫通孔に隣接する貫通孔を第n番目の貫通孔としたとき(nは2以上の整数)、第1番目の貫通孔から第n番目の貫通孔の順に又は任意の貫通孔から任意の順にピン15を1本ずつまたは2本以上同時に差し込み、シール材11をピン15で凹部12から押し出すことができる。nは、例えば2~100等の整数であってよい。
【0021】
複数のピンを構成するピン15は互いに、長さが異なっていてよい。第1番目の貫通孔に挿入するピン15の長さを最も長くし、第1番目の貫通孔から第n番目の貫通孔の順に挿入するピン15の長さを短くすることにより、第1番目の貫通孔から第n番目の貫通孔の順に長さの長いピンを差し込むことができる。これにより、シール材11を凹部12から段階的に押し出すことが可能となり、凹部12から外れたシール材11が回収装置16上に落下したときの衝撃を和らげることができる。ピン15の長さは、上金型13aの厚み及びピン15の本数に応じて調節することが可能であり、例えば1~100mmであってよい。ピン15が配置される間隔は、例えばシール材11の形状及びピン15の本数に応じて調節することが可能である。また、貫通孔14が充填ノズル挿入部としての機能を有する場合、ピン15が配置される間隔は充填装置に配置される充填ノズルの間隔であってよく、貫通孔14全てにピン15が配置されなくてもよい。ピン15が配置される間隔は、例えば1~500mm間隔であってよい。
【0022】
図3に示すように、上金型13aと下金型13bとを分離するとき、シール材11を上金型13a側に残留させながら上金型13aを上昇させ、シール材11と下金型13bとの間に、または基板が存在する場合には基板と下金型13bとの間に、シール材11を回収するための回収装置16を配置した後、回収装置16上にシール材11を上金型13aから押し出すことができる。押し出したシール材11は、回収装置16により回収することができる。回収装置16は、上金型13aが上昇している間、ピン15がシール材11を押し出す前に、上金型13aの下に配置することができる。回収装置16は可動式であってよく、例えばロボットアーム等であってよい。
【0023】
上金型13aと下金型13bとを分離し易くするため及びシール材11を金型13から取り外し易くするために貫通孔14にエアを吹き込みながら上金型13aを上昇させることができる。金型13は離型処理されていてよく、凹部12の表面が離型処理されていてよく、下金型13bの表面が離型処理されていてもよい。離型処理は、金型表面に離型剤を塗布することにより行うことができる。
【0024】
上金型13aの厚みは、例えば20mm以下であってよく、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下であり、例えば1mm以上であってよい。下金型13bの厚みは、シール材組成物の充填圧により耐え得る厚みであればよい。
【0025】
金型13を形成する材料としては、例えば金属、ガラス、樹脂等であることができる。シール材組成物が後述の紫外線硬化性シール材組成物である場合、金型13は、後述の硬化工程において金型13内に充填された紫外線硬化性シール材組成物に紫外線を照射して硬化させるために、紫外線透過性を有することができる。紫外線透過性は、波長365nmにおける光線透過率が例えば80%以上であってよく、紫外線硬化性シール材組成物の硬化性の観点から好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、通常100%以下である。
【0026】
金型13が紫外線透過性を有する場合、金型13は、紫外線透過性を有する材料で形成されていてよい。紫外線透過性を有する材料としては、例えばガラス、石英、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。中でも、取り扱い性及び透明性の観点からテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)およびアクリル系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。紫外線透過性を有する材料は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
金型13は、上金型13aの端部に搬送用フレーム21を備えていてもよい。金型13は、搬送用フレーム21を搬送装置に載置しながら搬送することができる。金型13が搬送用フレーム21を備える場合、搬送用フレーム21を支持しながら上金型13aを上昇させることができる。金型13は、上金型13aと下金型13bとの密閉性を高めるために金型シール材18が配置されていてよい。
【0028】
シール材組成物は、例えば紫外線硬化性シール材組成物、熱硬化性シール材組成物等であることができる。シール材組成物は、シール材の製造時間が短く、及び熱が生じない観点から好ましくは紫外線硬化性シール材組成物である。紫外線硬化性シール材組成物は、紫外線の照射を受けて硬化する性質を有する組成物である。紫外線硬化性シール材組成物は、紫外線硬化性樹脂成分及び光重合開始剤を含むことができる。
【0029】
紫外線硬化性樹脂成分としては、例えばゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。紫外線硬化性樹脂成分は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂を含んでよい。これらの硬化物は、架橋点を有し、ゴム弾性を持つことができる。
【0030】
ゴム系樹脂としては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリイソブチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂を含む紫外線硬化性シール材組成物の市販品としては例えばThreeBond3178(スリーボンド社製)等が挙げられる。
【0031】
紫外線硬化性樹脂成分の含有量は、紫外線硬化性シール材組成物の固形分中、例えば50質量%以上であってよく、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上であり、極めて好ましくは90質量%以上である。紫外線硬化性樹脂成分の含有量は、紫外線硬化性シール材組成物の固形分中、例えば99質量%以下であってよく、98質量%以下であってよい。
【0032】
光重合開始剤としては、例えば光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
【0033】
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂成分100質量部に対して、例えば0.001質量部以上10質量部以下であってよく、好ましくは0.005質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上10質量部以下である。
【0034】
紫外線硬化性シール材組成物は、さらに架橋剤、その他の樹脂成分、添加剤、フィラー等をさらに含むことができる。
【0035】
紫外線硬化性シール材組成物の粘度は、例えば500Pa・s以下であってよく、充填性の観点から好ましくは300Pa・s以下、より好ましくは200Pa・s以下である。紫外線硬化性シール材組成物の粘度は、例えばB型粘度計を用いて測定される。
【0036】
シール材の製造方法は、脱型工程に加えて、金型を準備する金型準備工程、金型にシール材組成物を充填する充填工程、及び金型に充填されたシール材組成物を硬化する硬化工程をさらに含むことができる。金型が搬送可能である場合、複数の金型を用い、工程間において金型を搬送することにより、複数の工程をそれぞれ独立して連続的に行うことが可能となり、シール材の生産性を高めることが可能となる。
【0037】
シール材の製造方法は、シール材を連続的に製造する方法であってよい。シール材の製造方法は、図4に示すように、金型準備工程(S10)、充填工程(S20)、硬化工程(S30)及び脱型工程(S40)を含むことができる。充填工程(S20)においてシール材組成物を充填した金型を硬化工程(S30)に搬送し、脱型工程(S40)においてシール材を取り出した金型を金型準備工程(S10)に戻すことができる。図4に示すシール材の製造方法は、取り出したシール材を検査する検査工程(S50)、シール材を包装するパッケージ工程(S60)、金型準備工程(S10)に戻される金型を掃除する掃除工程(S70)、掃除後の金型に離型剤を塗布する離型剤塗布工程(S80)等をさらに含む。シール材の製造方法は、金型準備工程(S10)から離型剤塗布工程(S80)までを連続的に行うことができる。脱型工程(S40)の後、金型を金型準備工程(S10)に戻すことにより、上記の工程を繰り返し連続的に行うことが可能となる。
【0038】
シール材を連続的に製造する方式は、特に限定されないが、例えば金型を直線的に搬送しながら上記工程を直列的に行う方式(以下、直線方式ともいう)、上記直線方式を複数並べて行う方式(以下、複線方式ともいう)、金型を同心円状に搬送しながら上記工程を行う方式(以下、回転方式ともいう)等が挙げられる。また、複数の工程を統合して1つの工程として行ってもよいし、複数の工程を並列的に行ってもよい。
【0039】
図5は、シール材を連続的に製造する方式を金型の搬送方向を矢印で示して説明する図である。図5(a)に示す方式は、工程a1、a2、a3及びa4をこの順に連続的に行い、工程a4(例えば脱型工程)で金型を回収し、工程a1(例えば金型準備工程)に金型を戻す直線方式である。図5(b)に示す方式は、工程a1、a2、a3及びa4をこの順に連続的に行いながら工程a2を並列的に複数行い、工程a4(例えば脱型工程)で金型を回収し、工程a1(例えば金型準備工程)に金型を戻す直線方式である。図5(c)に示す方式は、工程a1、a2、a3及びa4をこの順に連続的に行い、工程a2では金型を同心円状に1~8の順番に搬送しながら処理を行う回転方式である。図5(c)に示すように、例えば工程a3(例えば脱型工程)で金型から製品を取り出し、金型を工程a1(例えば金型準備工程)に戻し、製品は引き続きの工程a4(例えば検査工程等)に搬送することもできる。
【0040】
シール材の製造方法は、例えば金型準備工程から、充填工程及び硬化工程を経て、脱型工程においてシール材を取り外すまでの間の時間(タクト時間)が例えば60秒以下であってよく、好ましくは50秒以下、より好ましくは40秒以下、さらに好ましくは30秒以下、特に好ましくは20秒以下、極めて好ましくは10秒以下であることができる。
【0041】
シール材の製造方法によって製造されるシール材の種類は特に限定されない。シール材の製造方法によって製造されるシール材の用途としては、特に限定されず、例えば車両、航空機、船舶、内燃機関、製造装置、プラント、医療品、建築、半導体、食品、電池等の用途であってよい。また、本発明のシール材は、金型や樹脂部品、各種シートと組み合わせて一体成形品や複合品等とすることもできる。
【0042】
<シール材の脱型装置>
本発明の別の一態様に係るシール材の脱型装置は、シール材を金型から取り外すシール材の脱型装置であって、金型は、上金型及び下金型を含み、上金型は、貫通孔を有し、貫通孔に対応する位置にピンを備え、上金型を上昇させて貫通孔にピンを差し込む手段を備える。シール材の脱型装置は、支持体、載置台及び回収装置をさらに備えていてよい。シール材、金型、上金型、下金型、貫通孔、ピン、支持体、載置台及び回収装置について上述の説明が適用される。回収装置は、上金型と下金型とを分離するときにシール材を上金型側に残留させながら上金型を上昇させる場合、基板と下金型との間に配置して上金型から押し出したシール材を回収することができる。
【0043】
上金型を上昇させて、上金型と下金型とを分離し、上金型の貫通孔にピンを差し込む手段は、例えば上金型の搬送用フレームを支持しながら上金型を上昇させる搬送アーム等であることができる。脱型装置は、貫通孔にエアを吹き込む手段を備えていてよい。脱型装置は、上金型と下金型とを分離するときに、基板が下金型側に残留する手段を備えていてよい。基板が下金型側に残留する手段としては、例えば基板を下金型側から吸引する手段、基板を下金型に固定する手段、基板を下金型側に引っ掛けておく手段等であってよい。金型は離型処理されていてよく、凹部の表面が離型処理されていてよく、下金型の表面が離型処理されていてもよい。離型処理は、金型表面に離型剤を塗布することにより行うことができる。
【0044】
貫通孔は、複数の貫通孔から構成されていてよい。ピンは、複数のピンから構成されていてよい。ピンはそれぞれ、対応する貫通孔の位置に合わせて配置されることができる。1つの貫通孔に対し1本のピンが差し込まれてよい。複数のピンを構成するピンはそれぞれ複数の貫通孔を構成する貫通孔に全て同時に、または1本ずつまたは2本以上同時に任意の順に差し込まれてよい。また、金型を厚み方向からみたときに、上金型の中央部から上金型の端部側に向けて順にピンが差し込まれてもよい。金型を水平方向から見たとき、複数の貫通孔のうち上金型の端部の最も近くに存在する貫通孔の1つを第1番目の貫通孔とし、第n-1番目の貫通孔に隣接する貫通孔を第n番目の貫通孔としたとき(nは2以上の整数)、第1番目の貫通孔から第n番目の貫通孔の順に又は任意の貫通孔から任意の順に、ピンが1本ずつまたは2本以上同時に差し込まれるようになっていてよい。複数のピンを構成するピンは互いに、長さが異なっていてよい。第1番目の貫通孔からn番目の貫通孔の順に差し込まれるピンの長さが長くなっていてよい。
【0045】
<シール材の製造装置>
シール材の製造装置は、上述の充填装置を含むことができる。シール材の製造装置は、上述の工程を行うために用いる複数の装置が直線的に配置されていてよく、複数の装置のうちいずれか又は全部が並列的に配置されていてよく、複数の装置が同心円状に配置されていてよく、これらの配置が組み合わされていてもよい。
【0046】
図6は、直線方式のシール材の製造装置を示す。図6に示すシール材の製造装置200を参照しながら、本発明のシール材の製造装置を説明する。シール材の製造装置200は、搬送装置201、金型供給装置202、金型13、充填装置203、硬化装置204、脱型装置10が直線的に配置されている。硬化装置204は、紫外線(UV)照射装置を備えている。シール材の製造装置200は、紫外線硬化性シール材組成物を用いてシール材を製造する製造装置であってよい。金型供給装置202により金型13が供給され、搬送装置201により金型13が充填装置203に搬送され、充填装置203により金型13に紫外線硬化性シール材組成物が充填され、次いで硬化装置204において紫外線が照射され、硬化後、脱型装置10において金型13からシール材205が取り外される。金型供給装置202において、上金型13aと下金型13bとの間に基板206が配置される。金型13は、脱型装置10からの矢印に従って金型供給装置202へ戻される。
【0047】
搬送装置201としては、例えばベルトコンベア、フリーフローコンベア、リニアコンベアモジュール、搬送ロール、搬送アーム等を用いることができる。
【0048】
紫外線照射装置は、例えばメタルハライドランプ、LED等の光源を備えることができる。本発明によれば、上金型の厚みを薄くすることが可能となるため、光源と、金型内に充填された紫外線硬化性シール材組成物との距離を近づけ易くすることができる。金型内に充填された紫外線硬化性シール材組成物との距離が短い場合、例えば高い照度での紫外線を照射しなくても金型内に充填された紫外線硬化性シール材組成物を短時間で硬化させ易くなる傾向にある。光源と、金型内に充填された紫外線硬化性シール材組成物との距離は、例えば30mm以下であってよく、紫外線硬化性シール材組成物の効率的な硬化の観点から好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、さらに好ましくは10mm以下、特に好ましくは6mm以下である。
【実施例
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
<実施例1>
金型準備工程において、アクリル系樹脂からなる上金型と下金型との間にSUS板を配置して金型を準備した。上金型は、充填ノズル挿入部、ランナー部、ゲート部を有していた。上金型の厚みは5mmであった。ベルトコンベアにより充填工程に搬送され、充填ノズルが上金型の貫通孔(充填ノズル挿入部)に差し込まれた後、充填機で金型が押さえ付けられた。上金型と下金型とがクランプで固定された後、充填ノズルから金型の空洞部に紫外線硬化性シール材組成物(ポリイソブチレンと光重合開始剤とを含む)が充填された。次いで、充填ノズルが金型から取り外された。その後、紫外線硬化性シール材組成物が充填された金型は、硬化工程に搬送され、紫外線の光源としてLEDを有する紫外線照射装置より紫外線が照射され、紫外線硬化性シール材組成物が硬化された。その後、脱型工程に搬送され、クランプが外された。下金型を吸引して固定した後、上金型の搬送フレームをアームで持ち上げた。上金型の凹部にはシール材がSUS板と共に収まった状態であった。脱型装置には長さの異なるピンが複数配置されていた。長さの長いピンから順に、上金型の一方の端部から他方の端部に配置された貫通孔に差し込まれた。シール材が上金型の一方の端部から他方の端部にかけて取り外され、上金型から取り外されたシール材はSUS板が密着した状態で回収装置により回収された。
【符号の説明】
【0051】
10 脱型装置、11 シール材、12 凹部、13 金型、13a 上金型、13b 下金型、14 貫通孔、15 ピン、16 回収装置、17 空洞部、18 金型シール材、19 上昇機構、20 爪部、21 搬送用フレーム、22 載置台、23 支持体、200 シール材の製造装置、201 搬送装置、202 金型供給装置、203 充填装置、204 硬化装置、205 シール材、206 基板。
【要約】
【課題】脱型工程においてシール材を金型から取り外し易いシール材の製造方法、脱型装置及び製造装置を提供すること。
【解決手段】金型を用いるシール材の製造方法であって、シール材を金型から取り外す脱型工程を含み、前記金型は、上金型および下金型を含み、前記上金型は、貫通孔を有し、前記脱型工程において、前記上金型と前記下金型とを分離するとき、前記上金型を上昇させながら、前記貫通孔にピンを差し込むことにより前記シール材を前記上金型から取り外す、シール材の製造方法。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6