IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

特許7609996睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体
<>
  • 特許-睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体 図1
  • 特許-睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体 図2
  • 特許-睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体 図3
  • 特許-睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体 図4
  • 特許-睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体 図5
  • 特許-睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】睡眠管理システム、制御方法、制御プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/00 20060101AFI20241224BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20241224BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241224BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
A61M21/00 A
A61B5/16 130
A61B5/11 200
A61B5/026 120
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023531762
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 JP2022023568
(87)【国際公開番号】W WO2023276625
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2021108103
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】長崎 伸哉
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-017594(JP,A)
【文献】特開2001-353131(JP,A)
【文献】国際公開第2019/066075(WO,A1)
【文献】特開2011-122732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/00
A61B 5/16
A61B 5/11
A61B 5/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生理状態に関する第1の指標に基づいて覚醒タイミングを判定可能な判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、前記ユーザに前記覚醒タイミングを報知可能な覚醒部と、
前記ユーザが睡眠状態であるか否かを判定可能な睡眠判定部と、を備え、
前記睡眠判定部は、前記判定部が前記第1の指標に基づく判定を行えなかった場合に、前記第1の指標とは異なる前記ユーザから取得される第3の指標に基づき前記ユーザが睡眠状態であるか否かの判定を行い、
前記判定部は、前記ユーザの生理状態に関する第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じた場合に、非生体情報に基づく第2の指標に基づき覚醒タイミングを判定可能であり、
前記第3の指標は、前記ユーザの動作の程度を示す加速度に関する指標であり、
前記ユーザが睡眠状態でないと前記睡眠判定部が判定した場合に、前記ユーザの生理状態に関する第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じている旨の報知を行う報知部をさらに備える、
睡眠管理システム。
【請求項2】
前記第2の指標は、所定の機能が開始されてからの経過時間であり、
前記所定の機能は、前記第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定を行う機能である、
請求項に記載の睡眠管理システム。
【請求項3】
前記報知部は、前記覚醒部によって前記ユーザに前記覚醒タイミングが知らされた後に、前記支障が生じている旨の報知を行う、
請求項1または2に記載の睡眠管理システム。
【請求項4】
前記支障が生じている旨の報知には、前記判定部が前記判定を行える状態になるように前記睡眠管理システムを復帰させるための操作を前記ユーザに促す通知が含まれる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の睡眠管理システム。
【請求項5】
前記判定部が前記判定を行える状態になるように前記睡眠管理システムが復帰した場合、前記報知部は、その旨の通知を行い、
前記判定部は、前記第1の指標に基づく、前記ユーザの前記覚醒タイミングの判定を開始する、
請求項からのいずれか1項に記載の睡眠管理システム。
【請求項6】
前記第1の指標に基づく判定が開始されてからの経過時間を測定するタイマーをさらに備え、
前記覚醒部は、前記タイマーによって測定された経過時間に基づいて決定されたタイミングで前記ユーザを覚醒させる、
請求項1からのいずれか1項に記載の睡眠管理システム。
【請求項7】
前記第1の指標を生成するための前記ユーザの生理状態に関する第1の情報を取得する取得部と、
前記第1の情報に基づいて前記第1の指標を生成する生成部と、をさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の睡眠管理システム。
【請求項8】
前記取得部は、前記ユーザの身体における血流に関する情報を取得し、
前記判定部は、前記血流に関する情報または当該情報から生成された情報を前記第1の指標として用いる、
請求項に記載の睡眠管理システム。
【請求項9】
前記取得部を備え、前記ユーザの身体に装着される第1の装置と、
前記判定部を備え、前記第1の装置とは別体の第2の装置と、を備える、
請求項またはに記載の睡眠管理システム。
【請求項10】
前記第2の指標が、
(1)15分以上かつ30分以下の範囲内の時間、
(2)前記ユーザの前回の睡眠時間、または
(3)前記ユーザの過去の睡眠時間の統計値
のうちいずれかの時間に達したか否か、に基づき前記覚醒タイミングを判定する、
請求項からのいずれか1項に記載の睡眠管理システム。
【請求項11】
判定部を備える睡眠管理システムの制御方法であって、
前記判定部が、生理状態に関する第1の指標に基づいてユーザの覚醒タイミングを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて前記第1の指標に基づく判定を行えなかった場合に、前記第1の指標とは異なる前記ユーザから取得される第3の指標に基づき前記ユーザが睡眠状態であるか否かの判定を行うステップと、を含み、
前記第1判定ステップにおいて、前記ユーザの生理状態に関する第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じた場合に、非生体情報に基づく第2の指標に基づき覚醒タイミングを判定し、
前記第3の指標は、前記ユーザの動作の程度を示す加速度に関する指標であり、
前記ユーザが睡眠状態でないと前記判定を行うステップにおいて判定した場合に、前記ユーザの生理状態に関する第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じている旨の報知を行うステップをさらに含む、
制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法における各ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの睡眠を管理する睡眠管理システム、睡眠管理方法、制御プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、睡眠状態を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2018-161432号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様に係る睡眠管理システムは、ユーザの覚醒タイミングを判定可能な判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、前記ユーザに前記覚醒タイミングを報知可能な覚醒部と、を備え、前記判定部は、第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じた場合に、第2の指標に基づき覚醒タイミングを判定可能である。
【0005】
また、本開示の一態様に係る睡眠管理方法は、判定部を備える睡眠管理システムにおける睡眠管理方法であって、前記判定部が、第1の指標に基づきユーザの覚醒タイミングを判定する第1判定ステップと、前記第1の指標に基づく前記覚醒タイミングの判定に支障が生じた場合に、第2の指標に基づき、ユーザの覚醒タイミングを判定する第2判定ステップと、を含む。
【0006】
本開示の各態様に係る睡眠管理方法の各ステップは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記睡眠管理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記睡眠管理方法をコンピュータにて実現させる睡眠管理システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る睡眠管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図1の睡眠管理システムにおけるデバイスの外観を示す概略図である。
図3図1の睡眠管理システムにおいて行われるNAP機能の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図1の睡眠管理システムにおいて行われるNAP機能の動作の流れの別の例を示すフローチャートである。
図5】他の実施形態に係る睡眠管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図6】他の実施形態に係る睡眠管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ユーザの睡眠状態を判定し、睡眠管理の信頼性を向上させることが求められている。本開示の一態様によれば、睡眠管理の信頼性を向上させることができる。
【0009】
〔実施形態1〕
<睡眠管理システム100の概要>
以下、本開示の一実施形態に係る睡眠管理システム100の概要について説明する。図1は、一実施形態に係る睡眠管理システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、睡眠管理システム100は、デバイス1(第1の装置)、端末装置2、およびサーバ装置3(第2の装置)を備える。デバイス1、端末装置2、およびサーバ装置3は、それぞれ別体の装置であってよい。睡眠管理システム100は、ユーザの入眠を促し、入眠したユーザを適切なタイミングで覚醒させることでユーザの睡眠(仮眠)を管理する睡眠管理機能を有する。睡眠管理システム100において実施される睡眠管理機能は、NAP機能とも称され得る。本明細書における「睡眠」とは、短時間の仮眠を意味してもよいし、通常夜間に行われる長時間の睡眠を意味してもよい。
【0011】
以下、睡眠管理システム100において行われる睡眠管理の概要について説明する。まず、ユーザの操作によってNAP機能の動作が開始されると、デバイス1は、ユーザの生理状態に関連する第1の情報を取得し、サーバ装置3に送信する。サーバ装置3は、当該第1の情報に基づき第1の指標を生成し、当該第1の指標に基づいて判定されたユーザの睡眠状態が、予め設定された第1基準を満たすか否かに基づいてユーザの覚醒タイミングを判定する。デバイス1は、ユーザに対して、判定された覚醒タイミングが訪れた時点で、当該覚醒タイミングを知らせることで該ユーザの覚醒を促す。
【0012】
以上のように、ユーザは入眠した後、適切なタイミングで覚醒することができる。従って、ユーザは、睡眠管理システム100を利用することで、短い睡眠時間であっても満足度の高い睡眠を行うことができる。
【0013】
第1の指標とは、ユーザが睡眠状態であるか否かを判定するために用いられる指標である。例えば、第1の指標は、ユーザの生体情報であればよい。また、例えば、第1の指標は、ユーザの血流に関連する情報であればよい。より具体的には、第1の指標はユーザの血流量を示す情報またはユーザの脈波の波形データ等である。また、第1の情報は、第1の指標を生成するために用いられる情報である。第1の指標がユーザの脈波の波形データである場合、第1の情報は、例えば、ユーザの生理状態を反映したセンサ信号の値である。より具体的には、第1の情報とは、ユーザに対して照射された光が該ユーザの血管および血球等によって散乱した散乱光の強度に対応するセンサ信号値であってもよい。第1の情報がデバイス1によって複数回取得されることで、第1の指標としてのユーザの血流量が算出される。
【0014】
第1基準とは、ユーザの覚醒タイミングを特定するために用いられる基準である。睡眠管理システム100は、第1の指標に基づき判定されたユーザの睡眠状態が第1基準に当てはまるか否かを判定することで、ユーザの覚醒タイミングを判定(推定)してもよい。例えば、睡眠管理システム100は、ユーザの睡眠状態が第1基準に当てはまったタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングとして判定してもよい。第1基準は、ユーザの生体情報に基づいた基準であればよい。また、例えば、第1基準は、ユーザの睡眠状態に関する基準であってもよい。一例として、第1基準は、睡眠の段階、具体的にはノンレム睡眠のステージ2から3を示すものであってもよい。
【0015】
また、睡眠管理システム100は、デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、当該エラーの解消を試みるリカバリ機能を備えている。致命的なエラーとは、デバイス1において第1の情報を正常に取得または送信することができない状態を示すエラーである。致命的なエラーの詳細については後述する。デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、サーバ装置3は、第1の情報を受信できず、第1の指標に基づく睡眠段階の判定を行えない状態となる。従って、デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、換言すると睡眠管理システム100において、第1の指標に基づく睡眠状態の判定に支障が発生した場合、サーバ装置3は、ユーザの覚醒タイミングを判定できない。
【0016】
上述のようなエラーが発生した場合、睡眠管理システム100は、第1の指標とは異なる第2の指標に基づきユーザの覚醒タイミングを判定し、ユーザに当該タイミングを報知可能である。サーバ装置3は、第3の指標、例えばユーザの動作の程度(加速度)を示す情報に基づいて当該ユーザが覚醒しているか否かを判定し、覚醒している場合は、デバイス1の再起動を促す旨の報知をユーザに対して行う。これにより、ユーザは、デバイス1においてエラーが発生していることを認識することができる。また、ユーザの操作によりデバイス1が再起動することで、当該エラーが解消され得る。
【0017】
また、上述の判定の結果、ユーザが既に入眠していた場合、サーバ装置3は、第2の指標に基づきユーザの覚醒タイミングを判定する。また、デバイス1は判定された覚醒タイミングにおいてユーザに当該覚醒タイミングを報知可能である。第2の指標は、ユーザの覚醒タイミングを判定するために用いられる指標である。第2の指標は、例えば非生体情報に基づく基準であってもよい。第2の指標は、例えば睡眠時間に関する基準であってもよい。睡眠管理システム100は、第2の指標に基づき、ユーザが入眠してから覚醒タイミングを報知するまでの時間、すなわちユーザの睡眠時間を特定してもよい。
【0018】
以上のように、睡眠管理システム100は、デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、ユーザが覚醒していれば、デバイス1の再起動を促すことで、当該エラーからの回復を試みることができる。また、ユーザが既に入眠していた場合は、該ユーザの動作の程度に基づいて決定された覚醒タイミングでユーザの覚醒を促すため、ユーザの脈波の波形データに基づく判定を行えない場合であっても、適切なタイミングでユーザの覚醒を促すことができる。
【0019】
以下、睡眠管理システム100が、第1の情報としてユーザの生理状態に関連する情報を取得し、当該情報に基づき、第1の指標としてユーザの血流量を示す情報を生成する場合を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、睡眠管理システム100が第2の指標として、NAP機能がオンになってからの経過時間を用いる場合を例に挙げて説明する。また、第3の指標として、ユーザの動作に関連する指標を用いる構成を例に挙げて説明する。ユーザの動作に関連する指標とは、例えばユーザの動作の程度を示す指標であり、具体的にはユーザの動きに基づく加速度等である。但し、第1の情報、第1の指標、第2の指標、および第3の指標は上述のものに限られない。
【0020】
例えば、第1の指標は、血流に基づいて算出される種々の変数を含むデータであってもよい。具体的には、第1の指標は、例えば、ユーザの血流量、心拍数、心拍間隔、心拍出量、血流波高、および血管運動(バソモーション)の変動係数の少なくとも一つに関するデータを含むものであってもよい。
【0021】
血流量は、単位時間あたりに血管を流れる血液の量である。心拍数は、単位時間当たりの心臓の拍動の回数である。心拍間隔とは、心臓の拍動の間隔である。心拍出量は、一回の心臓の拍動によって送り出される血液の量である。血流波高は、心臓の一回の拍動における血流量の極大値と極小値の差である。バソモーションは、自然発生的かつ律動的な血管の収縮拡張運動である。バソモーションの変動係数は、バソモーションに基づいて生じた血流量の変動をバラつきとして示した値である。
【0022】
<デバイス1>
図2は、デバイス1の外観を示す概略図である。以下、図1および図2を用いてデバイス1の構成について説明する。上述したように、デバイス1は、ユーザの身体から第1の情報を取得し、端末装置2を経由してサーバ装置3に当該情報を送信する。また、デバイス1は、端末装置2を経由してサーバ装置3から受信した情報に基づき、ユーザの覚醒を促す動作、およびユーザへの各種報知を行う。また、デバイス1は、端末装置2と通信可能に接続されている。
【0023】
デバイス1は、ユーザの身体に装着されることで該ユーザの身体から第1の情報を取得する。一例として、図2に示すように、デバイス1は、ユーザの耳に装着され得る一体型のワイヤレスイヤホン形状の装置であってもよい。デバイス1は、ユーザの身体に装着される装着部10、および装着部10がユーザに装着された状態において該ユーザの首の周囲に位置し得る首掛け部20を備える。但し、デバイス1の形状は図2に示すものに限られない。例えば、デバイス1は、セパレート型のワイヤレスイヤホン形状を有する装置であってもよい。この場合、デバイス1は、装着部10のみを備え得る。
【0024】
装着部10は、ユーザの身体に装着される部材である。一例として、装着部10は、ユーザの耳、特に耳孔に挿入され得る。装着部10は、第1センサ14、覚醒部15、第2センサ16、および報知部17Aを備える。図2に示すように、デバイス1は、2つの装着部10を備えていてもよい。ただし、装着部10の数はこれに限られず、例えば装着部10は1つのみ設けられていてもよい。また、図2に示すように、第1センサ14および第2センサ16は、装着部10の一方のみに設けられていてもよい。あるいは、第1センサ14および第2センサ16は、両方の装着部10に設けられていてもよい。また、図2に示すように、覚醒部15および報知部17Aは、音声を出力可能なスピーカ等の同一の出力装置であってもよい。
【0025】
首掛け部20は、装着部10と接続されている。一例として、装着部10がユーザの耳に挿入されている状態において、首掛け部20は、ユーザの首の周囲に位置する。首掛け部20は、制御部11、入力部12、記憶部18、および通信部19を備える。首掛け部20は、音量を調節するための音量ボタン、および充放電可能なバッテリーを備えていてもよい。また、図1および図2に示すように、首掛け部20は、報知部17Bを備えていてもよい。
【0026】
デバイス1において、装着部10がデバイス1の全ての構成を有していてもよい。この場合、デバイス1は首掛け部20を備えずともよい。また、デバイス1が2つの装着部10を備える場合、2つの装着部10は、首掛け部20を介して、または直接的に、互いに有線接続されていてもよい。この場合、2つの装着部10のそれぞれにおいて再生される音声間のタイムラグを低減することができる。また、2つの装着部10が首掛け部20を介して接続される場合、上述のように首掛け部20に制御部11、および入力部12等を設けることで、装着部10を小型化することが可能である。
【0027】
一方、デバイス1は首掛け部20を備えず、2つの装着部10が互いに無線接続されていてもよい。この場合、デバイス1は、装着部10が装着される位置以外においてユーザの身体に接触しないため、デバイス1がユーザの身体から外れる可能性を低減できる。
【0028】
制御部11は、デバイス1における各種処理を実行する。図1に示すように、制御部11は、タイマー制御部111、センサ制御部112、第1取得部113(取得部)、回復制御部114、覚醒制御部115(判定部)、第2取得部116、および報知制御部117を備える。制御部11における各処理の詳細については後述する。制御部11は、入力部12から、NAP機能の動作の終了を指示する旨の操作を受け付けたことを示す信号を取得すると、デバイス1におけるNAP機能に関連する各部の動作および処理を終了させる。
【0029】
入力部12は、ユーザによる指示操作を受け付ける。例えば、入力部12は、NAP機能の開始および終了を指示する操作を受け付け可能なボタンであってもよい。入力部12は、ユーザによる操作を受け付けると、当該操作に対応する信号を制御部11に出力する。例えば、入力部12は、NAP機能の動作の開始を指示する旨の操作を受け付けると、当該操作を受け付けたことを示す信号をタイマー制御部111に出力する。また、入力部12は、NAP機能の動作の終了を指示する旨の操作を受け付けると、当該操作を受け付けたことを示す信号を制御部11に出力する。また、入力部12は、デバイス1の電源のオン・オフの切り替えを指示する入力を受け付け可能なボタンをさらに備えていてもよい。
【0030】
タイマー13は、タイマー制御部111の制御に従って動作し、NAP機能の動作が開始されてからの経過時間を測定する。換言すると、タイマー13は、睡眠管理システム100において第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定が開始されてからの経過時間を測定する。
【0031】
第1センサ14は、不図示の照射部および受光部を備える。第1センサ14は、受光部が受光した光に応じた強度の電気信号を生成するセンサである。照射部は、センサ制御部112の制御に従って所望の波長および強度の光を照射可能な発光素子である。照射部は、レーザ光を出射可能なレーザダイオードであってもよい。照射部から出射されるレーザ光の波長は、例えば700~900nmであってもよい。照射部によってユーザに照射された光は、血流とともに移動する血球及び血液を流すための血管によって散乱され、散乱光を発生させる。
【0032】
受光部は、ユーザにレーザ光を照射した結果発生した散乱光(光信号)を受光し、該散乱光に応じた電気信号を出力可能な受光素子である。受光部は、受光した光に応じた強度の電気信号を生成するフォトダイオードであってもよい。受光部は、生成した電気信号を第1取得部113に出力する。受光部は、散乱光を受光するごとに、電気信号の生成を行ってもよい。ユーザの耳孔に装着可能な形状を有するデバイス1の場合、照射部は、ユーザの耳殻に向けて(すなわち、耳殻の毛細血管に向けて)レーザ光を出射可能な位置に配されていてもよい。また、受光部は、レーザ光を受けた毛細血管からの散乱光を受光可能な位置に配されていてもよい。
【0033】
覚醒部15は、覚醒制御部115の制御に従って動作し、ユーザの覚醒を促す。一例として、覚醒部15は、覚醒制御部115の制御に従って所望の音声を出力可能なスピーカ等の出力部であってもよい。
【0034】
第2センサ16は、ユーザの動作の程度に応じた信号を生成可能なセンサである。例えば、第2センサ16は、センサ制御部112の制御に従って動作し、ユーザの姿勢の変化に応じた強度の信号を生成可能な加速度センサであってもよい。第2センサ16は、生成した信号を、第2取得部116に出力する。
【0035】
報知部17は、報知制御部117の制御に従って動作し、ユーザに各種報知を行う。図2に示すように、デバイス1は、報知部17として、装着部10に報知部17Aを、首掛け部20に報知部17Bを備えていてもよい。報知部17Aは、音声を出力可能なスピーカ等の音響的な出力部である。報知部17Bは、報知制御部117の制御に従って、光の色、または光り方のパターンを切り替え可能なLED(Light emitting diode)等の光学的な出力部であってよい。また、報知部17Aと覚醒部15とは同一のスピーカであってもよい。報知部17Aから出力される音声を視聴させる、または報知部17Bの光のパターンを目視させることにより、デバイス1は、ユーザに対して報知すべき情報を認識させることができる。また、報知部17は上述の構成に限られない。例えば、報知部17は、首掛け部20に設けられ、所望の報知内容を表示可能なディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0036】
記憶部18は、デバイス1において用いられる各種情報を記憶する。また、記憶部18は、デバイス1を識別するための識別情報(デバイスID)を記憶している。また、通信部19は、デバイス1が端末装置2と通信を行うための通信モジュールである。一例として、通信部19は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うことが可能なモジュールであってよい。
【0037】
タイマー制御部111は、タイマー13の動作を制御する。具体的には、タイマー制御部111は、入力部12から、NAP機能の動作の開始を指示する旨の信号を取得すると、タイマー13による経過時間の測定を開始させる。また、タイマー制御部111は、覚醒制御部115または報知制御部117から、NAP機能の動作が終了したことを示す情報を取得すると、タイマー13による測定を終了させる。また、タイマー制御部111は、タイマー13の動作を開始させると、タイマー13による測定が開始したことを示す情報をセンサ制御部112に出力する。
【0038】
センサ制御部112は、第1センサ14および第2センサ16の動作を制御する。具体的には、センサ制御部112は、タイマー制御部111から、タイマー13による測定が開始したことを示す情報を取得すると、第1センサ14の動作を開始させる。また、センサ制御部112は、回復制御部114から、致命的なエラーが発生したことを示すエラー情報を取得すると、第1センサ14の動作を停止させ、第2センサ16の動作を開始させる。また、センサ制御部112は、NAP機能の動作が終了すると、第1センサ14または第2センサ16の動作を停止させる。
【0039】
第1取得部113は、第1の指標を生成するための第1の情報を取得する。具体的には、第1取得部113は、第1センサ14からセンサ信号を取得する。当該センサ信号は、例えば、ユーザの血流に関する生理状態を反映した値を示しており、上述の第1の情報に相当する。第1取得部113は、当該センサ信号値をデバイスIDと共に、通信部19、21、32を介してサーバ装置3に送信する。
【0040】
回復制御部114は、NAP機能が動作している間、デバイス1に致命的なエラーが発生した場合、当該エラーが発生したことを示す情報を取得し、当該エラーを回復させるための制御を行う。デバイス1の各部は、致命的なエラーが発生した場合、当該エラーが発生したことを示す情報を回復制御部114に出力する。
【0041】
致命的なエラーとは、当該エラーが発生することにより、デバイス1において第1の情報の取得または第1の情報の送信が正常に行えなくなるエラーである。デバイス1において発生し得るエラーには、1度の発生で致命的となるものと数度までであれば許容されるエラーとが存在する。具体的には、致命的なエラーとは、1度でも発生すればデバイス1において第1の情報の取得または第1の情報の送信が正常に行われなくなるエラーである。または、致命的なエラーが発生した場合とは、複数回発生することにより血流量の測定または送信が正常に行われなくなる軽度のエラーが、許容され得る回数を越えて所定時間内において所定の割合以上発生した場合、あるいは当該軽度のエラーが連続で発生した場合を意味するものであってもよい。
【0042】
一例として、致命的なエラーとは、第1取得部113における演算タイムアウトエラーである。演算タイムアウトエラーは、第1取得部113が第1の情報に関して何らかの演算を行う場合に発生するエラーである。例えば、演算タイムアウトエラーとは、第1取得部113が所定時間内に第1の情報に関する演算処理が完了しなかった状態を示すエラーである。所定時間とは、例えば、正常な状態において、第1取得部113が、第1センサ14からの信号を1度取得してから次に取得するまでの時間である。上述のようなエラーは、例えば、第1センサ14の不具合または第1センサ14と制御部11との間の接触不良等により、信号が第1取得部113に出力されない場合に発生する。この場合、第1取得部113は所定の間隔で第1の情報を算出することができない。第1取得部113が所定の間隔で第1の情報を算出することができない状況が発生した場合、第1取得部113は演算タイムアウトエラーが発生したと認識し、演算タイムアウトエラーが発生したことを示す情報を回復制御部114に出力する。
【0043】
または、致命的なエラーとは、送信ビジーエラーである。送信ビジーエラーとは、第1取得部113から通信部19に第1の情報を正常に出力できない状態を示すエラーである。送信ビジーエラーは、例えば第1取得部113と通信部19との間におけるUART通信がビジー状態である場合に発生する。
【0044】
上述のように演算タイムアウトエラーまたは送信ビジーエラーが発生した場合、第1取得部113は、演算タイムアウトエラーまたは送信ビジーエラーが発生したことを示す情報を回復制御部114に出力する。回復制御部114は、演算タイムアウトエラーまたは送信ビジーエラーが発生したことを示す情報を取得すると、当該エラーが所定時間内に発生した回数を特定する。演算タイムアウトエラーまたは送信ビジーエラーが所定時間内に許容され得る回数を越えて発生していた場合、回復制御部114は、デバイス1において致命的なエラーが発生したと判定する。
【0045】
また、致命的なエラーとは、デバイスステータスエラーであってもよい。デバイスステータスエラーとは、何らかの理由によりデバイス1が動作不良となり、正常に動作できなくなるエラーを示す。何らかの理由とは、例えば接触不良、外部からのノイズ、あるいは静電気である。
【0046】
回復制御部114は、デバイス1が動作している間、デバイス1内の状態を監視している。デバイス1内の各部は、デバイスステータスエラーが発生した場合、デバイスステータスエラーが発生したことを示す情報を回復制御部114に出力する。これにより、回復制御部114は、デバイス1内においてデバイスステータスエラーが発生したことを認識し得る。デバイスステータスエラーが1度でも発生した場合、回復制御部114は、デバイス1において致命的なエラーが発生したと判定する。
【0047】
デバイス1において致命的なエラーが発生したと判定すると、回復制御部114は、センサ制御部112に対して、致命的なエラーが発生したことを示すエラー情報を出力する。また、回復制御部114は、エラー情報を、デバイスIDと共に、端末装置2を介してサーバ装置3に送信してもよい。
【0048】
また、致命的なエラーが発生した後、デバイス1またはNAP機能が再起動(リブート)した場合、回復制御部114は、致命的なエラーが回復したか否かを判定し、当該判定の結果を報知制御部117に出力する。また、回復制御部114は、致命的なエラーが回復した場合、換言すると、睡眠管理システム100が正常復帰し、第1判定部313(後述)がユーザの覚醒タイミングの判定を正常に行える状態となった場合、当該判定の結果をデバイス1の各部に出力する。これにより、睡眠管理システム100におけるNAP機能の通常動作が再度開始される。
【0049】
覚醒制御部115は、覚醒部15の動作を制御し、ユーザに適切な覚醒タイミングを報知可能である。具体的には、覚醒制御部115は、端末装置2を介してサーバ装置3からユーザの覚醒タイミングを示す情報を受信する。覚醒制御部115は、当該情報を受信すると、NAP機能の動作が開始してからの経過時間を示す情報をタイマー13から取得する。覚醒制御部115は、タイマー13から取得した経過時間が、第2判定部315によって判定された覚醒タイミングに達した場合、覚醒部15を動作させ、ユーザに覚醒タイミングを知らせる。すなわち覚醒制御部115は、タイマー13によって測定された経過時間に基づいて決定されたタイミングでユーザを覚醒させる。以上のように、覚醒制御部115は、第2の指標がユーザに報知すべき覚醒タイミングに達したか否かを判定する判定部とみなされ得る。また、覚醒制御部115は、覚醒部15を動作させた後、覚醒部15を動作させたことを示す情報、換言すると、NAP機能の動作が完了したことを示す情報を制御部11の各部に出力してもよい。また、覚醒制御部115は、サーバ装置3に設けられていてもよい。この場合、覚醒制御部115は、デバイス1から通信部32を介してNAP機能がオンになってからの経過時間またはNAP機能がオンになったタイミングを示す情報を受信する。NAP機能がオンになってからの経過時間が覚醒タイミングに達した場合、覚醒制御部115は、通信部32を介して第2の指標としての経過時間が覚醒タイミングに達したことを示す情報をデバイス1に送信する。デバイス1の制御部11は、当該情報を受信すると、覚醒部15を制御し、ユーザに覚醒タイミングを知らせる。
【0050】
第2取得部116は、第2センサ16からユーザの身体の動作の程度を示す信号を取得する。第2取得部116は、当該信号を取得すると、当該信号に基づき、ユーザの動作の程度を示す情報を算出する。第2取得部116は、算出した情報を、デバイスIDと共に端末装置2を介してサーバ装置3に送信する。
【0051】
報知制御部117は、報知部17を動作させ、ユーザに対する各種報知を行う。ユーザに対する報知は、報知部17Aによる音声案内、あるいは通知音であってもよいし、報知部17Bの光り方の変化による報知であってもよい。また、ユーザに対する報知は他の方法によって行われてもよい。
【0052】
報知制御部117は、サーバ装置3から、端末装置2を介して、ユーザが覚醒している、すなわちユーザが睡眠状態ではないとの判定結果を示す情報を受信した場合、報知部17を動作させ、デバイス1において致命的なエラーが発生していることを報知する。また、当該報知には、第1判定部313が判定を行える状態になるように睡眠管理システム100を復帰させるための操作を促す通知が含まれていてもよい。当該操作とは、具体的には、デバイス1またはNAP機能の再起動を行うための操作であり、例えば入力部12を長押しする等の操作であってもよい。
【0053】
また、報知制御部117は、サーバ装置3から、端末装置2を介して、ユーザが睡眠状態である旨の判定結果を示す情報を受信した場合、直ちにはユーザに対する報知を行わない。この場合、報知制御部117は、覚醒制御部115から、覚醒部15を動作させたことを示す情報を取得した後に報知部17を動作させ、ユーザに対してデバイス1における致命的なエラーの発生を報知する。すなわち、覚醒部15がユーザに対して覚醒タイミングを知らせた後に、報知制御部117は、エラーが発生している旨の報知を行う。
【0054】
また、報知制御部117は、致命的なエラーの発生後、デバイス1またはNAP機能の動作が再起動された場合、当該エラーが回復し、デバイス1が正常な動作状態に復帰したか否かの判定結果を示す情報を回復制御部114から取得し、当該判定結果をユーザに報知する。具体的には、デバイス1が再起動することにより致命的なエラーから復帰した場合、報知制御部117は、報知部17を動作させ、デバイス1の動作が正常復帰したことをユーザに報知する。
【0055】
一方、デバイス1が再起動しても致命的なエラーから復帰しなかった場合、報知制御部117は、報知部17を動作させ、デバイス1の動作が正常復帰しなかったことをユーザに報知する。また、このとき、報知制御部117は、再度デバイス1を再起動することをユーザに促す通知を行ってもよい。
【0056】
<端末装置2>
端末装置2は、デバイス1とサーバ装置3との間における各種情報の送受信を中継する。一例として、端末装置2は、ユーザが所持するスマートフォン等の装置であってよい。端末装置2は、デバイス1およびサーバ装置3と通信可能に接続されている。図1に示すように、端末装置2は、通信部21、制御部22、および記憶部23を備える。
【0057】
通信部21は、端末装置2が、デバイス1およびサーバ装置3と通信を行うための通信モジュールである。例えば、デバイス1と端末装置2とは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって接続されていてもよい。また、例えば、端末装置2とサーバ装置3とは、遠距離無線通信によって接続されていてもよい。
【0058】
制御部22は、通信部21を介してデバイス1から各種情報を受信すると、当該情報をサーバ装置3に送信する。また、制御部22は、サーバ装置3から各種情報を受信すると、当該情報をデバイス1に送信する。記憶部23は、端末装置2を動作させるための各種プログラムが記憶されている。
【0059】
<サーバ装置3>
サーバ装置3は、デバイス1によって取得されたユーザに関する情報に基づき、ユーザの覚醒に好ましい覚醒タイミングを決定する。また、サーバ装置3は、デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、ユーザが睡眠状態であるか否かの判定を行う。一例として、サーバ装置3は、クラウドサーバであってもよい。図1に示すように、サーバ装置3は、制御部31、通信部32、および記憶部33を備え、端末装置2と通信可能に接続されている。
【0060】
制御部31は、サーバ装置3の各部の動作の制御および各種処理を行う。図1に示すように、制御部31は、生成部311、第1睡眠判定部312、第1判定部313(判定部)、第2睡眠判定部314(睡眠判定部)、および第2判定部315(判定部)を備える。通信部32は、サーバ装置3が端末装置2と通信を行うための通信モジュールである。
【0061】
記憶部33は、サーバ装置3における各種処理を行うための情報を記憶している。図1に示すように、記憶部33は、睡眠履歴DB331(睡眠履歴データベース)を記憶している。睡眠履歴データベース331とは、デバイス1のデバイスIDと当該デバイス1を利用するユーザの睡眠時間の履歴データとが対応付けられてデバイス1ごとに記憶されたデータベースである。また、記憶部33は、デバイス1において発生したエラーの発生履歴を記録していてもよい。
【0062】
生成部311は、第1の情報に基づき、第1睡眠判定部312による判定において用いられる第1の指標を生成する。具体的には、生成部311は、端末装置2を介してデバイス1から第1の情報を受信する。生成部311は、当該情報に基づき、第1の指標として、ユーザの血流量を示す情報を生成し、第1睡眠判定部312に当該情報を出力する。また、生成部311は、ユーザの脈波の波形データ、すなわちユーザの時間ごとの血流量の変動パターンを示すパターンデータ等を生成し、第1の指標としてもよい。
【0063】
第1睡眠判定部312は、生成部311から第1の指標を取得すると、当該データに基づきユーザの睡眠段階を判定(推定)する。また、第1睡眠判定部312は、ユーザの睡眠段階を示す情報を第1判定部313に出力する。
【0064】
睡眠段階とは、ユーザの睡眠の深さを示す指標である。例えば、睡眠段階は、ユーザが覚醒している状態であるか、または睡眠状態であるかを示してもよい。また、睡眠段階は、より詳細に分類されてもよい。例えば、睡眠段階には、ユーザがレム睡眠(Rapid Eye Movement sleep, REM sleep)等の浅い睡眠にある状態、またはノンレム睡眠(Non-REM sleep)等の深い睡眠にある状態が含まれていてもよい。また、ノンレム睡眠の段階は、眠りの深さによってさらに分類されてもよい。例えば、ノンレム睡眠の段階は、眠りが浅い順に、ステージ1、ステージ2、ステージ3、およびステージ4と分類されてもよい。
【0065】
具体的には、第1睡眠判定部312は、ユーザの血流量を示す情報から睡眠段階を判定可能なニューラルネットワークを有していてもよい。この場合、当該ニューラルネットワークは、第1センサ14に基づいて測定したユーザの血流量を示す情報を学習に用いる入力データとし、脳波計などに基づいて測定した当該情報が生成された時のユーザの睡眠段階を教師データとして予め学習された学習済みニューラルネットワークであってよい。第1睡眠判定部312が有するニューラルネットワークは、生成部311から取得したユーザの血流量を示す情報を入力データとして用い、該入力データからユーザの現在の睡眠段階を判定する。
【0066】
ただし、第1睡眠判定部312が有するニューラルネットワークが用いる情報は、ユーザの血流量を示す情報に限られない。例えば、当該ニューラルネットワークは、ユーザの脈波を示す波形データに基づいて当該ユーザの睡眠段階を判定可能であってもよい。この場合、ニューラルネットワークは、ユーザの脈波を示す波形データを学習に用いる入力データとし、当該波形データが取得された時のユーザの睡眠段階を教師データとして学習を行えばよい。
【0067】
第1判定部313は、第1睡眠判定部312からユーザの睡眠段階を示す情報を取得すると、当該睡眠段階が第1基準を満たすか否かに基づいて、当該ユーザの覚醒タイミングを判定する。換言すると、第1判定部313は、第1基準に基づき、ユーザの覚醒タイミングを判定可能である。第1基準は、ユーザを覚醒させるのに適した睡眠段階の範囲を示す基準であってもよい。具体例として、第1基準は、ノンレム睡眠のステージ2から3の範囲内を示す基準であってもよい。この場合、第1判定部313は、ユーザの睡眠段階が、ノンレム睡眠のステージ2から3などの比較的浅い段階となったタイミングを、ユーザの覚醒タイミングとして判定する。第1判定部313は、判定したユーザの覚醒タイミングを示す情報を、端末装置2を介してデバイス1に送信する。また、第1判定部313は、さらにユーザの覚醒タイミングまでの睡眠時間を計測してもよい。この場合、当該睡眠時間は、ユーザが入眠してからの覚醒タイミングまでの時間でもよいし、ユーザが静止してから覚醒タイミングまでの時間であってもよい。第1判定部313で、計測された睡眠時間は、例えば、後述する記憶部33に記録することができる。
【0068】
第2睡眠判定部314は、第1の指標とは異なる第3の指標に基づき、ユーザが睡眠状態であるか否かを判定可能である。具体的には、第2睡眠判定部314は、デバイス1から端末装置2を介してユーザの動作の程度を示す情報を受信する。第2睡眠判定部314は、当該情報を受信すると、当該情報に基づき、ユーザが睡眠状態であるか否かの判定を行う。当該判定は、アクチグラフと同様のアルゴリズム(AW2式、またはCole式等)を用いて行われてよい。第2睡眠判定部314は、ユーザが覚醒していると判定した場合、当該判定の結果を、端末装置2を介してデバイス1に送信する。これにより、デバイス1の報知制御部117が、当該判定の結果に基づきユーザに対して報知を行うため、ユーザはデバイス1における致命的なエラーの発生を認識することができる。一方、第2睡眠判定部314は、ユーザが既に入眠し、睡眠状態であると判定した場合、当該判定の結果を、第2判定部315に出力する。
【0069】
第2判定部315は、第1の指標とは異なる第2の指標に基づき、ユーザの覚醒タイミングを判定可能である。具体的には、第2判定部315は、第2睡眠判定部314から、ユーザが睡眠状態である旨の判定結果を示す情報を取得すると、記憶部33を参照する。第2判定部315は、第2の指標としてのNAP機能が開始されてからの経過時間が、記憶部33に記憶されている睡眠履歴に含まれる経過時間のいずれかに達したタイミングを、ユーザの覚醒タイミングとして判定(決定)する。例えば、第2判定部315は、睡眠履歴データベース331を参照し、サーバ装置3が受信したデバイスIDによって特定されるデバイス1を使用するユーザの睡眠履歴に含まれる睡眠時間を特定する。第2判定部315は、第2の指標(経過時間)が、睡眠履歴に基づき特定したユーザの前回の睡眠時間に達したタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングとして判定してもよい。または、第2判定部315は、第2の指標(経過時間)が、特定したユーザの過去の睡眠時間の履歴の統計値に達したタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングとして判定してもよい。ユーザの過去の睡眠時間の履歴とは、例えば当該ユーザの前回までの睡眠時間の全ての履歴であってもよい。ユーザの過去の睡眠時間の統計値とは、睡眠履歴データベース331に記憶されているユーザの過去の睡眠時間に基づいて決定される時間であり、例えば、ユーザの過去の睡眠時間の平均値、または中央値等であってもよい。また、睡眠履歴データベース331に、該ユーザの睡眠時間の履歴が存在しない場合、第2判定部315は、タイマー13の動作開始から15分以上かつ30分以下の範囲内のタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングとして判定してもよい。すなわち、第2判定部315において判定の基準として用いられる経過時間は、睡眠時間に関する情報であってよい。具体的には、当該経過時間は、(1)15分以上かつ30分以下の範囲内の時間、(2)該ユーザの前回の睡眠時間、または(3)該ユーザの過去の睡眠時間の統計値のいずれかであってよい。また、第2判定部315は、上述の時間に、ユーザが入眠するまでに経過したと考えられる時間、例えば5分を加えたタイミングをユーザの覚醒タイミングとして判定してもよい。第2判定部315は、判定したユーザの覚醒タイミングを示す情報を、端末装置2を介してデバイス1に送信する。
【0070】
<通常動作時の処理の流れの一例>
図3は、睡眠管理システム100において行われるNAP機能の動作(睡眠管理方法)の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示す例は、デバイス1において致命的なエラーが発生しなかった場合に行われる処理および動作(通常動作)を示す。以下、図3を用いて、睡眠管理システム100において行われるNAP機能の通常動作の流れの一例について説明する。
【0071】
まず、制御部11は、入力部12を介してユーザによってNAP機能の動作を開始する旨の入力指示を受け付ける。タイマー制御部111は、当該指示を受け付けると、タイマー13を制御し、NAP機能開始からの経過時間の測定を開始させる(S1)。また、タイマー制御部111は、タイマー13による時間の測定が開始したことを示す情報をセンサ制御部112に出力する。
【0072】
センサ制御部112は、タイマー13による時間の測定が開始したことを示す情報を取得すると、第1センサ14の動作を開始させる(S2)。具体的には、センサ制御部112は、第1センサ14の照射部からのレーザ光の照射を開始させる。これにより、ユーザに照射された光が反射することによって生じた散乱光が受光部へ入射する。受光部は、当該散乱光に応じた強度の信号を生成し、第1取得部113に出力する。また、センサ制御部112は、第1センサ14の動作を開始させたことを示す情報を回復制御部114に出力する。
【0073】
回復制御部114は、第1センサ14の動作が開始したことを示す情報を取得すると、デバイス1において致命的なエラーが発生しているか否かの監視、換言すると致命的なエラーの発生の検出を開始する(S3)。
【0074】
ステップS2において第1センサ14の動作が開始することにより、第1取得部113には、ユーザの生理状態に応じた強度の信号が入力される。第1取得部113は、当該信号を第1の情報として取得する(S4)。第1取得部113は、第1の情報を、デバイスIDと共に端末装置2を介してサーバ装置3に送信する。
【0075】
サーバ装置3の生成部311は、端末装置2を介してデバイス1から第1の情報を示す情報を受信する。生成部311は、当該情報に基づき、第1の指標としてユーザの血流量を示す情報を生成し(S5)、第1睡眠判定部312に出力する。
【0076】
第1睡眠判定部312は、第1の指標を取得すると、第1の指標に基づき、ユーザの睡眠段階を判定する(S6)。第1睡眠判定部312は、判定したユーザの睡眠段階を示す情報を第1判定部313に出力する。
【0077】
第1判定部313は、第1睡眠判定部312による判定の結果、すなわち、ユーザの睡眠段階を示す情報を取得すると、取得したユーザの睡眠段階が、第1基準に当てはまるか否か、すなわち該ユーザの覚醒に適した睡眠段階か否かを判定する(S7)。第1判定部313は、ユーザの睡眠段階が、該ユーザの覚醒に適した睡眠段階であると判定されるまで当該判定を繰り返す。すなわち、ユーザの睡眠段階が、該ユーザの覚醒に適した睡眠段階でない場合(S7でNO)、睡眠管理システム100における処理はS5に戻り、S5からS7までの処理が繰り返される。ただし、S7の後に行われるS5の処理は、デバイス1から新たに受信した第1の情報が用いられる。
【0078】
ユーザの睡眠段階が、ユーザの覚醒に適した睡眠段階である場合(S7でYES)、第1判定部313は、当該判定を行ったタイミングをユーザの適切な覚醒タイミングの判定結果として決定する。換言すると、第1判定部313は、第1の指標に基づき、ユーザの覚醒タイミングを判定する(S8:第1判定ステップ)。第1判定部313は、デバイスIDに基づき情報の送信先のデバイス1を特定し、判定したユーザの覚醒タイミングを示す情報を、端末装置2を介して該デバイス1に送信する。
【0079】
デバイス1の覚醒制御部115は、第1判定部313によって判定されたユーザの覚醒タイミングを示す情報を受信すると、覚醒部15を動作させ、ユーザに覚醒タイミングを知らせる(S9)。すわなち、覚醒部15は、第1判定部313によるユーザの睡眠段階の判定結果に基づき、ユーザに覚醒タイミングを知らせる。具体的には、覚醒制御部115は、覚醒部15としてのスピーカから、アラーム等の音を出力させる。これにより、ユーザは適切なタイミングで覚醒を促される。覚醒制御部115は、覚醒部15を動作させた後、ユーザに覚醒タイミングを知らせたことを示す情報を、制御部11の各部、例えばタイマー制御部111およびセンサ制御部112に出力する。
【0080】
センサ制御部112は、当該情報を取得すると、第1センサ14の動作を終了させる。また、タイマー制御部111は、当該情報を取得すると、タイマー13による経過時間の測定を停止させる(S10)。以上により睡眠管理システム100におけるNAP機能の動作が完了する。
【0081】
<エラー発生時の処理の流れの一例>
図4は、睡眠管理システム100において行われるNAP機能の動作の流れの別の例を示すフローチャートである。図4に示す例は、デバイス1において致命的なエラーが発生した場合に行われる処理および動作を示す。以下、図4を用いて、睡眠管理システム100において行われるNAP機能のエラー発生の動作の流れの一例について説明する。
【0082】
まず、上述したNAP機能の通常動作中において、回復制御部114は、デバイス1において致命的なエラーが発生しているか否かの判定を繰り返す(S11)。換言すると、回復制御部114は、デバイス1における致命的なエラーの発生を監視している。デバイス1内で致命的なエラーが発生した場合(S11でYES)、換言すると、第1判定部313において行われる判定の過程においてエラーが生じた場合、回復制御部114は、当該エラーを回復させるための制御を開始する。例えば、第1センサ14からの信号の取得が正常に行われないというエラーが発生したことを示す情報を第1取得部113から取得した場合、回復制御部114は、当該エラーを回復させるための制御を開始する。
【0083】
具体的には、回復制御部114は、センサ制御部112に、致命的なエラーが発生したことを示す情報を出力する。センサ制御部112は、当該情報を取得すると、第1センサ14の動作を停止させ(S12)、第2センサ16の動作を開始させる(S13)。これにより、第2取得部116は、第2センサ16から出力される信号の取得を開始する(S14)。第2取得部116は、当該信号を取得すると、当該信号に基づき、ユーザの動作に関する指標、例えばユーザの動作の程度を示す加速度を算出し(S15)、第3の指標として取得する。第2取得部116は、算出したユーザの動作の程度を示す情報を、デバイスIDと共に、端末装置2を介してサーバ装置3に送信する。
【0084】
サーバ装置3の第2睡眠判定部314は、ユーザの動作の程度を示す情報を受信すると、当該情報に基づき、ユーザが睡眠状態であるか否かを判定する(S16)。
【0085】
S16において、ユーザが睡眠状態であると判定した場合(S16でYES)、第2睡眠判定部314は、当該判定の結果を示す情報を、第2判定部315に出力する。第2判定部315は、当該情報を取得すると、記憶部33を参照し、第2の指標に基づくユーザの覚醒タイミングの判定を行う(S17:第2判定ステップ)。具体的には、第2判定部315は、デバイスIDに基づき睡眠履歴データベース331を参照し、デバイスIDによって特定されるデバイス1を使用するユーザの睡眠時間の履歴を特定する。第2判定部315は、第2の指標(経過時間)が、ユーザの前回の睡眠時間に達したタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングを示す判定結果としてもよい。または、第2判定部315は、第2の指標(経過時間)がユーザの前回までの睡眠時間の履歴の統計値に達したタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングを示す判定結果としてもよい。また、睡眠履歴データベース331に、該ユーザの睡眠時間の履歴が存在しない場合、第2判定部315は、第2の指標が15分以上かつ30分以下の範囲内の時間に達したタイミングを該ユーザの覚醒タイミングを示す判定結果としてもよい。
【0086】
第2判定部315は、デバイスIDに基づき送信先のデバイス1を特定し、判定したユーザの覚醒タイミングを示す情報を、端末装置2を介して該デバイス1に送信する。デバイス1の覚醒制御部115は、当該情報を受信すると、タイマー13からNAP機能の動作開始からの経過時間を取得し、当該情報に示される覚醒タイミングとなるまで待機する。換言すると、覚醒制御部115は、タイマー13によって示される経過時間が覚醒タイミングに達したか否かを判定する(S18)。タイマー13によって示される経過時間が、覚醒タイミングに達した場合(S18でYES)、覚醒制御部115は、覚醒部15を動作させ(S19)、ユーザに覚醒タイミングを知らせる。これにより、ユーザは適切なタイミングで覚醒を促される。
【0087】
また、覚醒制御部115は、覚醒部15を動作させたことを示す情報を制御部11の各部に出力する。報知制御部117は、当該情報を取得すると、報知部17を動作させ、デバイス1においてエラーが発生したことをユーザに報知する(S20)。
【0088】
一方、ユーザが覚醒状態であると判定した場合(S16でNO)、第2睡眠判定部314は、当該判定の結果を示す情報を、端末装置2を介してデバイス1に送信する。デバイス1の報知制御部117は、当該情報を受信すると、報知部17を制御し、ユーザに対してデバイス1において致命的なエラーが発生した旨の情報を報知する(S21)。また、当該報知には、第1判定部313が第1の指標に基づく判定を行える状態になるように睡眠管理システム100を復帰させるための操作、すなわちデバイス1を再起動(リブート)する操作をユーザに促す通知が含まれる。
【0089】
S21の後、回復制御部114は、デバイス1が再起動されたか否かを判定する(S22)。S22においてNOである場合、回復制御部114は、S22の処理を繰り返す。上述の報知が行われた後、デバイス1が再起動された場合(S22でYES)、回復制御部114は、S11において検出した致命的なエラーが回復したか否かを判定する(S23)。デバイス1が再起動することで、致命的なエラーが回復した場合(S23でYES)、回復制御部114は、睡眠管理システム100が正常復帰し、第1判定部313が正常に判定を行える状態となったと判定し、当該判定の結果を制御部11の各部に出力する。これにより、睡眠管理システム100は、NAP機能の通常時の動作を再度開始する(S24)。具体的には、図3に示すS1以降の動作が開始される。従って、第1判定部313は、第1の指標に基づくユーザの覚醒タイミングの判定を開始することができる。
【0090】
S23においてNOの場合、すなわち、デバイス1を再起動してもエラーが回復しなかった場合、睡眠管理システム100は、S21以降の動作を繰り返す。
【0091】
<睡眠管理システム100の効果>
以上のように、睡眠管理システム100は、ユーザの覚醒タイミングを判定可能な第1判定部313と、第1判定部313の判定結果に基づき、ユーザに覚醒タイミングを報知可能な覚醒部15と、を備える。また、睡眠管理システム100は、第1判定部313による、第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じた(致命的なエラーが発生した)場合に、第2の指標に基づき該ユーザの覚醒タイミングを判定可能な第2判定部315を備える。
【0092】
上記の構成によれば、デバイス1においてエラーが発生し、第1の指標に基づく判定に支障が出た場合であっても、好ましいと推測されるタイミングでユーザに覚醒タイミングを知らせることができる。
【0093】
また、第2判定部315において用いられる第2の指標は、第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定が開始されてからの経過時間、すなわちNAP機能がオンになり、タイマー13による測定が開始してからの経過時間であってもよい。当該構成によると、睡眠管理システム100は、第1判定部313による判定に支障が生じた場合であっても、経過時間に基づきユーザの覚醒タイミングを判定することができる。
【0094】
また、睡眠管理システム100は、第2睡眠判定部314を備えていてもよい。第2睡眠判定部314は、第1判定部313が第1の指標に基づく判定を行えなかった場合に、第1の指標とは異なる第3の指標に基づき、ユーザが睡眠状態であるか否かを判定してもよい。
【0095】
上記の構成によれば、睡眠管理システム100は、第1の指標に基づく覚醒タイミングの判定に支障が生じた場合、第3の指標に基づいてユーザが睡眠状態であるか否かを判定し、当該第3の指標に基づいてユーザの覚醒タイミングを判定することができる。
【0096】
また、第3の指標は、ユーザの動作に関連する指標であってもよい。これにより、睡眠管理システム100は、第1の指標に基づいて睡眠判定を行えなかった場合は、ユーザの動作に関連する指標(例えば、加速度)に基づいた睡眠判定を行うことができる。
【0097】
また、睡眠管理システム100は報知部17を備えてもよく、報知部17はユーザが睡眠状態でないと第2睡眠判定部314が判定した場合に、支障が生じている旨の報知を行ってもよい。上記の構成によれば、報知部17による報知は、ユーザの睡眠中には行われない。従って、報知部17による報知によってユーザの睡眠が妨げられることを回避できる。
【0098】
また、報知部17は、覚醒部15によってユーザに覚醒タイミングが知らされた後に、支障が生じている旨の報知を行ってもよい。上記の構成によれば、報知部17による報知は、ユーザの睡眠中には行われず、ユーザに覚醒タイミングが知らされた後、すなわちユーザが覚醒していると考えられるタイミングで報知することができる。従って、ユーザの睡眠を妨げることなくエラーの発生を報知することができる。
【0099】
また、エラーが発生している旨の報知には、第1判定部313が判定を行える状態になるように睡眠管理システム100を復帰させるための操作をユーザに促す通知が含まれていてもよい。上記の構成によれば、ユーザが睡眠状態でないとき、または、ユーザの覚醒が促された後に、ユーザに復帰のための操作を促すことができ、ユーザの睡眠を妨げずにシステムを復帰させることができる。
【0100】
また、第1判定部313が判定を行える状態になるように睡眠管理システム100が正常復帰した場合、報知部17は、その旨の通知を行ってもよく、第1判定部313は、ユーザが睡眠状態であるか否かの判定を開始してもよい。
【0101】
上記の構成によれば、ユーザの操作により第1判定部313が判定を行える状態になるように睡眠管理システム100が復帰した場合には、そのことをユーザに認識させた上で、睡眠判定を行うことができる。
【0102】
また、睡眠管理システム100は、第1の指標に基づく判定が開始されてからの経過時間を測定するタイマー13を備えていてもよく、覚醒部15は、タイマー13によって測定された経過時間に基づいて決定されたタイミングでユーザを覚醒させてもよい。
【0103】
上記の構成によれば、第1の指標に基づく判定が行われなかった場合であっても、当該判定が開始されたタイミング、すなわち睡眠管理が開始されたタイミングを起点として算出されたタイミングでユーザに覚醒タイミングを知らせることができる。
【0104】
また、睡眠管理システム100は、第1の指標を生成するための第1の情報(例:血流量)を取得する第1取得部113と、第1の情報に基づいて前記第1の指標を生成する生成部311と、を備えていてもよい。
【0105】
上記の構成によれば、睡眠管理システム100は、第1取得部113において取得した第1の情報を用いて生成された第1の指標に基づきユーザの睡眠状態を判定することができる。
【0106】
また、第1取得部113は、ユーザの身体における血流に関する情報を取得し、第1睡眠判定部312は、血流に関する情報または当該情報から生成された情報(脈波)を前記第1の指標として用いてもよい。上記の構成によれば、第1判定部313は、ユーザの血流に関する情報または当該情報から生成された情報に基づいて覚醒タイミングを判定できる。
【0107】
また、睡眠管理システム100は、第1取得部113を備え、ユーザの身体に装着されるデバイス1と、第1睡眠判定部312を備え、デバイスとは別体のサーバ装置3と、を備えていてもよい。上記の構成によれば、ユーザの身体に装着されるデバイス1と、第1睡眠判定部312を備えるサーバ装置3とを別体の装置として実現することにより、デバイスを小型化することが可能である。
【0108】
また、第2判定部315は、第2の指標が、(1)15分以上かつ30分以下の範囲内の時間、(2)前記ユーザの前回の睡眠時間、または(3)前記ユーザの過去の睡眠時間の統計値のうちいずれかの時間に達したか否か、に基づき覚醒タイミングを判定してもよい。
【0109】
一般的に、15分~30分は、仮眠に適しているとされている時間である。上記の構成によれば、ユーザの睡眠の履歴に基づき、該ユーザに適したタイミングで該ユーザの覚醒を促すことができる。また、ユーザの睡眠の履歴が無かった場合であっても、少なくとも一般的に仮眠に好ましいと考えられる時間が経過した後にユーザ覚醒タイミングを知らせることができる。
【0110】
上述の実施形態において、第2判定部315が上述の判定に用いる基準は、デバイス1を使用しているユーザの過去の睡眠時間のデータに基づいている例を説明したが、第2判定部315において行われる判定では、他のデバイス1を使用している他のユーザの過去の睡眠時間のデータも考慮されていてもよい。
【0111】
<変形例>
第1判定部313が判定する覚醒タイミングには、下限値、例えば2分など、が設定されていてもよい。これにより、ユーザが入眠してすぐに覚醒タイミングと判定され得る睡眠段階になったとしても、その時点ではユーザに覚醒タイミングが知らされない。これにより、ユーザの仮眠時間が過剰に短くなる可能性を低減できる。
【0112】
また、睡眠管理システム100において、端末装置2の記憶部23には、ユーザの入眠を促す音楽等のコンテンツ情報が記憶されていてもよい。この場合、睡眠管理システム100においてNAP機能の動作が開始された後、デバイス1は、端末装置2から当該コンテンツ情報を受信してもよく、報知制御部117は報知部17Aを制御し、当該コンテンツ情報を出力させてもよい。
【0113】
また、サーバ装置3は、デバイス1において発生したエラーの回数を管理していてもよい。具体的には、あるデバイス1において、エラーの発生が予め設定された許容回数以上であった場合、サーバ装置3は、当該デバイス1の修理または交換を促す旨の情報を、端末装置2を介して当該デバイス1に送信する。また、デバイス1が当該情報を受信すると、報知制御部117は、報知部17を制御し、当該情報をユーザに報知させてもよい。
【0114】
また、睡眠管理システム100において、1度のNAP機能の動作において、デバイス1の再起動の回数には上限が設定されていてもよい。この場合、回復制御部114は、デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、デバイス1が再起動した回数を特定してもよい。当該回数が、予め設定された上限回数を越えた場合、回復制御部114は、エラーから復帰できなかった旨の情報を報知制御部117に出力する。報知制御部117は、当該情報を取得すると、報知部17を制御し、当該情報をユーザに通知する。
【0115】
第2判定部315が判定に用いる情報は、上述したものに限られない。例えば、睡眠履歴データベース331には、ユーザを示す識別情報と、該ユーザの過去の起床時刻、またはその統計値とが対応付けられて記録されていてもよい。この場合、第2判定部315は、第2の指標に基づき特定される時刻が該ユーザの過去の起床時刻、またはその統計値に達したタイミングを、該ユーザの覚醒タイミングとして判定してもよい。
【0116】
また、第2睡眠判定部314および第2判定部315は、第1判定部313が正常に判定を行える場合にも動作してもよい。すなわち、デバイス1においてエラーが発生していない場合であっても、デバイス1は、第2センサ16から取得した第3の指標を示す情報をサーバ装置3に送信してもよい。この場合、第2睡眠判定部314は、第3の指標に基づきユーザが睡眠しているか否かの判定を行い、第2判定部315は、該判定の結果に基づき該ユーザの覚醒タイミングの判定を行ってもよい。さらに、記憶部33には、第1判定部313によって判定されたユーザの覚醒タイミング(第1の覚醒タイミング)と第2判定部315によって判定されたユーザの覚醒タイミング(第2の覚醒タイミング)とが対応付けられた情報が記録されていてもよい。デバイス1において致命的なエラーが発生した場合、第2判定部315は、記憶部33を参照し、上述の対応関係に基づき、第2睡眠判定部314がユーザの入眠を判定してから何分後を覚醒タイミングとすべきかを判定してもよい。すなわち、第2判定部315は、既に記録されている第1の覚醒タイミングと第2の覚醒タイミングとの関係に基づいて、現時点で判定した第2の覚醒タイミングを補正してもよい。
【0117】
以上のように、第1判定部313による判定と第2判定部315による判定と、は同時に行われてもよい。この場合、睡眠管理システム100では、第1判定部313による判定結果および第2判定部315による判定結果の少なくとも1つに基づきユーザに覚醒タイミングが報知されてもよい。
【0118】
また、報知制御部117は、デバイス1においてエラーが発生した場合であって、ユーザが睡眠状態でないと第2睡眠判定部314が判定した場合に、ユーザに対して覚醒タイミングを報知した後にエラーの発生を報知してもよい。ユーザの入眠前にエラーが報知され、該ユーザがデバイス1を復帰させる作業を行った場合、該ユーザの睡眠時間が十分に確保されない可能性がある。上述のように、ユーザの覚醒を促した後にエラーの発生を報知することで、睡眠時間が短縮されるおそれを低減できる。
【0119】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0120】
図5は、別の実施形態に係る睡眠管理システム100Aの構成を示すブロック図である。図5に示すように、睡眠管理システム100Aは、デバイス1Aおよびサーバ装置3Aを備え、端末装置2を備えない構成であってよい。この場合、デバイス1Aの通信部19Aは、サーバ装置3Aの通信部32Aと通信可能に接続されている。換言すると、睡眠管理システム100Aにおいて、デバイス1Aとサーバ装置3Aとは直接通信を行うことが可能である。
【0121】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0122】
図6は、別の実施形態に係る睡眠管理システム100Bの構成を示すブロック図である。図6に示すように、睡眠管理システム100Bは、デバイス1Bおよび端末装置2Bを備え、サーバ装置3を備えない構成であってよい。図6に示すように、端末装置2Bは、実施形態1において説明したサーバ装置3が備える各部を備えていてもよい。具体的には、図6に示すように、端末装置2Bは、制御部22Bおよび記憶部23Bを備える。制御部22Bは、生成部311、第1睡眠判定部312、第1判定部313、第2睡眠判定部314、および第2判定部315を備える。記憶部23Bは、睡眠履歴データベース331を記憶している。
【0123】
睡眠管理システム100Bでは、デバイス1において取得された各情報に基づくユーザの睡眠段階の判定、および覚醒タイミングの判定等、実施形態1において説明したサーバ装置3が行った処理を、端末装置2Bが行ってもよい。
【0124】
〔実施形態4〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0125】
上述の各実施形態において、睡眠管理システム100、100A、および100Bは、2以上の装置によって構成されていたが、睡眠管理システム100、100A、および100Bの構成はこれに限られず、1つの装置のみによって構成されていてもよい。例えば、睡眠管理システム100、100Aおよび100Bは、デバイス1のみを備える構成であってもよい。この場合、デバイス1には、サーバ装置3が有する各構成が備えられ、NAP機能に係る各処理はデバイス1のみによって完結し得る。
【0126】
〔ソフトウェアによる実現例〕
睡眠管理システム100・100A・100B(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11、22・22B、31に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるための制御プログラムにより実現することができる。
【0127】
この場合、上記システムは、上記制御プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記制御プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0128】
上記制御プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記制御プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0129】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0130】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1、1A、1B デバイス(第1の装置)
3、3A サーバ装置(第2の装置)
13 タイマー
15 覚醒部
100、100A、100B 睡眠管理システム
113 第1取得部(取得部)
115 覚醒制御部(判定部)
311 生成部
313 第1判定部(判定部)
314 第2睡眠判定部(睡眠判定部)
315 第2判定部(判定部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6