(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】電力グリッド資源割当て
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20241224BHJP
G06N 99/00 20190101ALI20241224BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241224BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20241224BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G06N99/00 180
G06Q50/06
H02J3/46
H02J3/38 110
(21)【出願番号】P 2023537647
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2021086624
(87)【国際公開番号】W WO2022136186
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-28
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン,シャオミン
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-259450(JP,A)
【文献】国際公開第2020/219042(WO,A1)
【文献】特表2016-525309(JP,A)
【文献】特表2009-539188(JP,A)
【文献】特開2006-238537(JP,A)
【文献】特開2011-188590(JP,A)
【文献】特開2002-300720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0286993(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0039145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
G06N 99/00
G06Q 50/06
H02J 3/46
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力グリッドを動作させる方法であって、
中間資源割当てスケジュールを、前記電力グリッドの電力管理システムによって生成することであって、前記中間資源割当てスケジュールが、前記電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、
前記電力管理システムによって、前記中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、前記電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を前記中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、前記電力グリッド資源割当てプロファイルが、前記電力グリッドの動作情報によって制約される前記電力グリッドの動作を指示していることと、
前記中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、前記電力管理システムによって、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、前記中間資源割当てスケジュールを修復することであって、前記資源割当てスケジュールが、前記電力グリッドの中で動作している前記電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、前記中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を含
み、
前記第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することが、
前記電力グリッド資源割当てプロファイルの前記結合制約に、および前記電力グリッド資源割当てプロファイルの目的関数に、スラック変数を追加することによって、前記ディスパッチ問題を形成することと、
前記第1のディスパッチ解を得るために、前記中間資源割当てスケジュールからの前記固定整数決定で前記ディスパッチ問題を解くことと、
前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があるかどうかを判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記電力管理システムによって、前記電力グリッド資源に前記資源割当てスケジュールを伝送することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作情報が、前記電力グリッドの動作を制約するための情報を含み、セキュリティ関連伝送制約情報およびコスト情報を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記電力グリッド資源割当てプロファイルを生成することが、混合整数計画に基づいてセキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)システムとして前記電力グリッド資源割当てプロファイルを定式化することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記中間資源割当てスケジュールが、前記電力グリッド資源割当てプロファイルのラグランジュ緩和(LR)双対を解くことによって生成され、前記電力グリッド資源割当てプロファイルの前記LR双対が、前記電力グリッド資源割当てプロファイルの、ラグランジュ乗数および結合制約を含み、前記電力グリッド資源割当てプロファイルの前記LR双対が、複数のLR部分問題を含み、前記中間資源割当てスケジュールを生成することが、複数の混合整数計画(MIP)ソルバを使用して前記複数のLR部分問題を並列に解くことを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記中間資源割当てスケジュールを生成することが、
前記ラグランジュ乗数についての部分勾配を計算することと、
計算された前記部分勾配を使用して前記ラグランジュ乗数を更新することと、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数がないと判定することに応答して、前記第1のディスパッチ解のコミットメント決定から前記資源割当てスケジュールを生成することをさらに含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があると判定することに応答して、前記第1のディスパッチ解が実行不可能であると判定される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、
前記第1のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、
第1の拡張部分問題解を生成するために複数の拡張部分問題を解くことと、
前記第1の拡張部分問題解からの固定整数決定で前記ディスパッチ問題を解くことによって第2のディスパッチ解を生成することと、
前記第2のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することと、
前記第2のディスパッチ解が実行可能である場合に前記第2のディスパッチ解のコミットメント決定から前記資源割当てスケジュールを生成することと、をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、前記複数の拡張部分問題を解く前に、
前記複数の拡張部分問題をセットアップすることであって、前記複数の拡張部分問題が、前記複数の拡張部分問題についての、ラグランジュ乗数および結合制約境界を含むことと、
前記複数の拡張部分問題についての前記結合制約境界を初期化することと、をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、
前記第2のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、
前記複数の拡張部分問題の、前記ラグランジュ乗数および前記結合制約境界を更新することと、
第2の拡張部分問題解を生成するために、更新されたラグランジュ乗数および更新された結合制約境界で、前記複数の拡張部分問題を解くことと、
前記第2の拡張部分問題解からの固定整数決定で前記ディスパッチ問題を解くことによって第3のディスパッチ解を生成することと、
前記第3のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することと、
前記第3のディスパッチ解が実行可能である場合に前記第3のディスパッチ解のコミットメント決定から前記資源割当てスケジュールを生成することと、をさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
電力グリッドの電力管理システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
前記プロセッサ内で実行されるプログラムを記憶するメモリであって、前記プログラムが、命令を含み、前記命令が、前記1つ以上のプロセッサ内で実行されるとき前記1つ以上のプロセッサに、
中間資源割当てスケジュールを生成することであって、前記中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、
前記中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、前記電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を前記中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、前記電力グリッド資源割当てプロファイルが、前記電力グリッドの動作情報によって制約される前記電力グリッドの動作を指示していることと、
前記中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、前記中間資源割当てスケジュールを修復することであって、前記資源割当てスケジュールが、前記電力グリッドの中で動作している前記電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、前記中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を行わせる、メモリと、を備え
、
前記第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することが、
スラック変数で前記電力グリッド資源割当てプロファイルを改変することによって、前記ディスパッチ問題を形成することと、
前記第1のディスパッチ解を得るために、前記中間資源割当てスケジュールからの固定整数解で前記ディスパッチ問題を解くことと、
前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があるかどうかを判定することと、を含む、電力管理システム。
【請求項13】
前記電力グリッド資源に前記資源割当てスケジュールを伝送するように構成されたトランスミッタをさらに備え、前記電力グリッド資源が、前記資源割当てスケジュールに従って制御されるように構成された、
請求項
12に記載の電力管理システム。
【請求項14】
前記中間資源割当てスケジュールが、前記電力グリッド資源割当てプロファイルのラグランジュ緩和(LR)双対を解くことによって生成され、前記電力グリッド資源割当てプロファイルの前記LR双対が、複数のLR部分問題を含み、前記プログラムが、命令を含み、前記命令が、前記1つ以上のプロセッサに、複数のソルバを使用して前記複数のLR部分問題を並列に解くことによって、前記中間資源割当てスケジュールを生成することを行わせる、請求項
12または
13に記載の電力管理システム。
【請求項15】
中間資源割当てプロファイルを修復することが、前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数がないと判定することに応答して、前記第1のディスパッチ解のコミットメント決定から前記資源割当てスケジュールを生成することをさらに含む、請求項
12~14のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、
第1の拡張部分問題解を生成するために複数の拡張部分問題を解くことであって、前記複数の拡張部分問題が、前記複数の拡張部分問題についての、ラグランジュ乗数および結合制約境界を含むことと、
前記第1の拡張部分問題解からの固定整数決定で前記ディスパッチ問題を解くことによって第2のディスパッチ解を生成することと、
前記第2のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することと、
前記第2のディスパッチ解が実行可能であると判定することに応答して、前記第2のディスパッチ解のコミットメント決定から前記資源割当てスケジュールを生成することと、を行わせることによって、前記中間資源割当てスケジュールを修復するための、さらなる命令を前記プログラムが含む、請求項
15に記載の電力管理システム。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサに、
前記第2のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、
前記複数の拡張部分問題の、前記ラグランジュ乗数および前記結合制約境界を更新することと、
第2の拡張部分問題解を生成するために、更新されたラグランジュ乗数および更新された結合制約境界で、前記複数の拡張部分問題を解くことと、
前記第2の拡張部分問題解からの固定整数決定で前記ディスパッチ問題を解くことによって第3のディスパッチ解を生成することと、を行わせることによって、前記中間資源割当てスケジュールを修復するための、命令を前記プログラムが含む、請求項
16に記載の電力管理システム。
【請求項18】
電力グリッドのシステムであって、
電力管理システムであって、
中間資源割当てスケジュールを生成することであって、前記中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、
前記中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、前記電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を前記中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、前記電力グリッド資源割当てプロファイルが、前記電力グリッドの動作情報によって制約される前記電力グリッドの動作を指示していることと、
前記中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、前記中間資源割当てスケジュールを修復することによって、実行可能な資源割当てスケジュールを生成することであって、前記資源割当てスケジュールが、前記電力グリッドの中で動作している前記電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、前記中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を行うように構成された、電力管理システムと、
前記資源割当てスケジュールに従って制御されるように構成された、電力グリッド資源と、
前記電力管理システムから前記電力グリッド資源に前記資源割当てスケジュールを伝送するように構成された、トランスミッタと、を備
え、
前記第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することが、
スラック変数で前記電力グリッド資源割当てプロファイルを改変することによって、前記ディスパッチ問題を形成することと、
前記第1のディスパッチ解を得るために、前記中間資源割当てスケジュールからの前記固定整数決定で前記ディスパッチ問題を解くことと、
前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があるかどうかを判定することと、を含む、システム。
【請求項19】
前記中間資源割当てスケジュールを修復することが、前記第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数がないと判定することに応答して、前記第1のディスパッチ解のコミットメント決定から前記資源割当てスケジュールを生成することをさらに含む、請求
項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、一般に電力グリッドおよび電力グリッドの動作に、ならびに特定の実施形態において電力グリッド資源割当てに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
独立系統運用機関(Independent system operator:ISO)は、電力グリッドにおいて、発電資源および需要コミットメントならびにディスパッチを得るために、ユニットコミットメント(unit commitment:UC)を使用する。ユニットコミットメントは、スケジューリング視野にわたって、すべての発電機、エネルギー貯蔵システム、および価格依存負荷の、コミットメント状態および発電レベルを確定して、負荷バランスおよび瞬動予備力要件、伝送ネットワーク制約、ならびに個別のユニット動作制約などの、すべてのシステムおよび領域制約に合致しながら、総発電コストを最小にする。ユニットコミットメントはしばしば、混合整数線形計画(mixed integer linear programming:MILP)問題として定式化される。
【0003】
典型的な電力グリッドは、そのセキュリティマージンのますます近くで動作するように運転されているから、セキュリティ関連伝送制約は、ユニットコミットメントを制約するために含まれる。したがって、典型的な電力系統資源スケジューリングは、セキュリティ制約ユニットコミットメント(security constrained unit commitment:SCUC)を内包し、ここでセキュリティ制約は、例えば、基本ケース動作条件および偶発的動作条件に対する伝送線熱容量制約であってもよい。前日、日内、およびリアルタイム電力グリッドスケジューリングにおいて、SCUCは使用される。セキュリティ制約ユニットコミットメントについて解くことにおいて、発電機(電力プラントとも呼ばれてもよい)についての最小コスト動作スケジュールは、スケジューリング視野にわたって確定される。例えば、各発電機ユニットの動作制約、基本ケース・ネットワーク・トポロジにおける電気性ネットワーク制約、および様々なオペレータ指定の偶発シナリオを満たす、最小コスト動作スケジュールが識別される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
いくつかの実施形態では、電力グリッドを動作させる方法は、中間資源割当てスケジュールを、電力グリッドの電力管理システムによって生成することであって、中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、電力管理システムによって、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、電力グリッド資源割当てプロファイルが、電力グリッドの動作情報によって制約される電力グリッドの動作を指示していることと、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、電力管理システムによって、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、中間資源割当てスケジュールを修復することであって、資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、中間資源割当てスケジュールを修復することが、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、電力グリッドの電力管理システムは、1つ以上のプロセッサと、プロセッサ内で実行されるプログラムを記憶するメモリであって、プログラムが、命令を含み、命令が、1つ以上のプロセッサ内で実行されるとき1つ以上のプロセッサに、中間資源割当てスケジュールを生成することであって、中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、電力グリッド資源割当てプロファイルが、電力グリッドの動作情報によって制約される電力グリッドの動作を指示していることと、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、中間資源割当てスケジュールを修復することであって、資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、中間資源割当てスケジュールを修復することが、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を行わせる、メモリと、を備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、電力グリッドのシステムは、電力管理システムであって、中間資源割当てスケジュールを生成することであって、中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、電力グリッド資源割当てプロファイルが、電力グリッドの動作情報によって制約される電力グリッドの動作を指示していることと、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、中間資源割当てスケジュールを修復することによって、実行可能な資源割当てスケジュールを生成することであって、資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、中間資源割当てスケジュールを修復することが、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を行うように構成された、電力管理システムと、資源割当てスケジュールに従って制御されるように構成された、電力グリッド資源と、電力管理システムから電力グリッド資源に資源割当てスケジュールを伝送するように構成された、トランスミッタと、を備える。
【0007】
図面の簡単な記述
本開示の、1つ以上の実施形態の詳細は、随伴する図面および以下の記述において明記される。本開示の他の特徴、対象、および利点は、記述および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。図において、同一の参照符号は、一般に、様々なビュー全体を通して同じ構成要素パーツを示しており、それは、簡潔さという関心のために、一般には再記述されない。本開示のより完全な理解のために、随伴する図面と併せて以下の記述を今から参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実施形態における、電力グリッドの制御ループ内に電力管理システム(power management system:PMS)を有する電力グリッドのブロックダイアグラムを例証する図である。
【
図2】いくつかの実施形態における、電力管理システム(PMS)の機能用ブロックダイアグラムである。
【
図3】いくつかの実施形態における、セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)ソルバの機能ブロックダイアグラムである。
【
図4】実施形態における、セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)システムのラグランジュ緩和(Lagrangian-relaxed:LR)双対を解くための方法のフローチャートを例証する図である。
【
図5】実施形態における、電力資源割当てプロファイルの実行不可能性を修復するための方法のフローチャートを例証する図である。
【
図6】いくつかの実施形態における、電力管理システムの処理を遂行するための処理システムのブロックダイアグラムである。
【
図7】いくつかの実施形態における、電力グリッドを動作させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例証的な実施形態の詳細な記述
好ましい本実施形態の作製および使用を以下で詳細に議論する。しかしながら、本開示は、多種多様な具体的な状況で具体化することができる多くの適用可能な発明概念を提供することを認めるべきである。議論される具体的な実施形態は、本開示を作製および使用するための具体的なやり方の単なる例証であり、本開示の範疇を限定しない。
【0010】
大規模セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)を解くことは、その巨大な次元および複雑さに起因して膨大な時間およびコンピューティング資源を要するのでありうる。本開示の実施形態は、大規模SCUCを効率的に解くSCUCソルバを記述する。例示的なSCUCソルバは、最初に、電力グリッド資源割当てプロファイルのラグランジュ緩和(LR)双対を解くことによって、仮の電力資源割当てスケジュールを見つける。次いで、SCUCソルバは、仮の資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、チェックする。仮の資源割当てスケジュールが実行不可能である場合、SCUCソルバは、実行可能な資源割当てスケジュールを達成するために、仮の資源割当てスケジュールの実行不可能性を修復する。
【0011】
図1は、いくつかの実施形態における電力グリッド100のブロックダイアグラムを例証する。電力グリッド100(電力系統とも呼ばれてもよい)は、複数の電力資源101(例えば、電力発電機、またはエネルギー貯蔵システム)を含む。電力資源101は、火力プラント(例えば、石炭、天然ガス、原子力プラント)、水力プラント、再生可能資源電力プラント(例えば、ウインドファーム、ソーラプラント)、エネルギー貯蔵システム、および需要応答プログラムなどの、異なるタイプのものであってもよい。電力プラントタイプに依存して、電力資源101の各々は、最小アップ/ダウンタイム、ランプ・アップ/ダウン・レート、調節/安定性(例えば、ユニットは、その生産レベルを過度に多くの回数変更しなくてもよい)、およびスタート・アップ/シャット・ダウン・ランプ・レート(例えば、開始/停止時、ユニットは具体的な電力曲線に従い、それは、どれくらい長くプラントがオフライン/オンラインになっているかに、依存してもよい)などの、複雑な技術およびビジネス制約を受けてもよい。
【0012】
電力グリッド100はまた、伝送グリッド103を含み、それは、電力資源101(例えば、電力プラント)によって生成された電気を消費者に供給する、電気的グリッドである。伝送グリッド103は、広い地理的領域(例えば、国)にまたがってもよい、相互接続されたネットワークである。ネットワークトポロジ、装置設備パラメータ、および線フロー制限などの、伝送グリッド103の複雑な特性とともに、資源応答レートは、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムを解く際に考慮する必要があってもよい。
【0013】
図1において例証する通り、電力グリッド100は、市場管理システム(market management system:MMS)または緊急管理システム(emergency management system:EMS)であってもよい、電力管理システム(PMS)105をさらに含む。PMS105は、
図3の機能ブロック200および300などの様々な機能を実装するための、様々な機能ブロックを含んでもよい。例えば、PMS105は、市場スケジューリングアプリケーションを走らせて市場をクリアリングして、エネルギーおよび付随サービス(様々な予備力および応答など)の市場クリアリング価格を確定しならびに信頼性のためにコミットメントおよびディスパッチをスケジュールする、クリアリングエンジンを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、清算エンジンは、電力グリッド100についての資源割当てスケジュールを提供するために、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムを解く。資源割当てスケジュールは、コミットメント決定(例えば、電力プラントがオンラインであり任意の時刻でエネルギーを生産する能力があるかどうか)、生産(ディスパッチとも称される)決定(例えば、任意の時刻でどれくらいたくさんのエネルギーを電力プラントが生産しているか)、および制御可能ネットワーク要素決定(例えば、位相角調整器を伴うHVDC伝送線およびAC伝送線上の電力潮流)を含んでもよい。資源割当てスケジュールは、電力グリッド100の動作スケジュールとも呼ばれてもよい。いくつかの実施形態では、生成された後、資源割当てスケジュールは、電力資源101が資源割当てスケジュールに従って動作させられるように、例えばトランスミッタ(電力管理システム105の一部であってもよい)によって電力資源101に送られる。
【0015】
いくつかの実施形態では、資源割当てスケジュールは、電力資源101の制約(例えば、安全動作範囲を含む、発電キャパシティおよび動作マージン)、伝送グリッド103の制約、市場情報(例えば、入札情報、コスト情報、予測需要情報、排出目標などの規制要件)などの、電力グリッド100の動作情報(例えば、様々な制約)を考慮に入れながら、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムを解くことによって生成される。資源割当てスケジュールのゴールは、総福利を最大にしまたは総コストを最小にしながら、市場オファーおよび入札をクリアリングすることである。例示的な一実施形態では、ゴールは、信頼性および排出の制約を受けながらエネルギー生産コストを最小にする、エネルギー需要を満たすことであってもよい。別の例示的な実施形態では、ゴールは、エネルギー生産利益、例えば、(電気の販売からの)収益と(電気の生産からの)コストとの差を、最大にすることであってもよい。
【0016】
図2は、実施形態における、電力管理システム(PMS)105の機能用ブロックダイアグラムである。
図2におけるPMS105は、例として、
図1の電力管理システム105において使用されてもよい。簡単さのためであるが、PMS105のすべての機能ブロックが
図2において例証されているわけではない。
【0017】
図2において例証する通り、PMS105は、SCUCモデル131を使用し市場およびグリッドデータ132をSCUCモデル131に適用することによって、SCUC問題を混合整数計画(mixed integer programming:MIP)表現133として定式化する。したがって、MIP表現133は、いくつかの実施形態では、制約を伴う数学的モデル(例えば、131)である。SCUCモデル、およびMIP表現133の定式化の、詳細を以下に記述する。本明細書における議論では、混合整数計画(MIP)という用語は、混合整数線形計画(MILP)と交換可能に使用されてもよい。
【0018】
PMS105は、SCUC解135(例えば、資源割当てスケジュール)を生成するように構成された、SCUCソルバ134をさらに含む。いくつかの実施形態では、SCUCソルバ134は、
図3の機能ブロック200および300を実装するように構成され、以下でさらに詳細に記述される。
【0019】
実施形態では、セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)システムのためのSCUCモデル131は、以下の最適化問題
【0020】
【0021】
として定式化され、これは以下の制約
【0022】
【0023】
かつ
【0024】
【0025】
を受け、式中、Nは電力グリッド資源の数(例えば、電力グリッド内の電力プラントおよび負荷の数)であり、jは資源インデックスであり、xjは資源jについての決定ベクトルであり、cjは資源jについてのコスト係数ベクトルであり、Ajは資源jについての制約行列であり、Ac,jは資源jについての結合制約行列であり、bjは資源jについての制約境界ベクトルであり、bcは結合制約の制約境界ベクトルである。数式(1.2)における制約は、電力グリッド資源の各々の制約と呼ばれてもよく、数式(1.3)における制約は、SCUCシステムの結合制約と呼ばれてもよい。本明細書における議論では、数式(1.1)~(1.3)のSCUCシステム(SCUC問題とも呼ばれる)は、電力グリッド資源割当て機能、または電力グリッド資源割当てプロファイルとも呼ばれてもよい。数式(1.1)では、ベクトルxは、決定ベクトルxj,j=1,2,…,Nのすべてを表示するために使用されることに留意されたい。本明細書における議論全体を通して、別段の指定がない限り、異なる数式中の同じ数学記号(例えば、xj、cj、Aj、Ac,j)は、同じまたは類似の存在を指す。
【0026】
したがって、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムを解くことは、数式(1.2)および(1.3)における様々な制約を満たしながら数式(1.1)に示す損失関数(またはコスト関数)を最小にする決定ベクトルxj,j=1,2,…,N,を見つけることと同等であり、ここで決定ベクトルxjは、第jの電力グリッド資源についての資源割当てスケジュールについての情報を含む。例えば、各決定ベクトルxjは、第jの電力資源についてのバイナリ情報(例えば、特定のスケジュールされたタイムスロットにおいて第jの電力資源をオンまたはオフにするためのコミットメント決定)を含む。加えて、各決定ベクトルxjは、生産情報(例えば、生産するエネルギーの量)などの、第jの電力資源についての非バイナリ(例えば、連続値)情報を含む。決定ベクトルxj,j=1,2,…,N,は、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当てのスケジュール(例えば、特定のタイムスロットにおいて電力ステーションをオンまたはオフにするかどうか、およびどれくらいたくさんの電力を生成するかなど)を提供する、電力資源割当てスケジュールを形成するために使用される。
【0027】
いくつかの実施形態では、上で議論した電力グリッド100の様々な制約(例えば、市場およびグリッドデータ132)は、制約行列Ajおよび/または結合制約行列Ac,jに含まれてもよい。コスト係数ベクトルcjは、エネルギー生産のコスト情報などの情報を含んでもよい。様々な実施形態において、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムは、大規模混合整数線形非凸最適化問題である。セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムは、非決定性多項式時間困難性(Non-deterministic Polynomial-time hardness:NP hard(NP困難))であり、従来の方法を使用する並列MIPソルバでは不十分にスケーリングされる。
【0028】
図2の例において例証される通り、セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)システムは、混合整数計画(MIP)表現133として表現されてもよい。伝統的に、SCUC問題を解くためにはMIPソルバを使用する。MIPソルバは、MIP問題(例えば、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システム)を解くためにプロセッサ(例えば、コンピュータ)上で走るソフトウェアパッケージであってもよい。CPLEXまたはGurobiなどの、市販の汎用MIPソルバを使用して、セキュリティ制約ユニット・コミットメント・システムを解いてもよい。CBCなどのオープンソースMIPソルバも、MIPソルバとして使用してもよい。
【0029】
典型的には、MIPソルバは、一連の分枝限定法(branch-and-bound:B&B)操作および/または一連の分枝切除法(branch-and-cut:B&C)操作を通して、決定ベクトルのベクトル空間を通して探索して、SCUCシステムについてのだんだんとより小さい損失関数を伴う整数実行可能解を見つけ、それによって最適解(例えば、SCUCシステムについての最小損失関数に対応する決定ベクトルxiの集合)に徐々に近づく。SCUCシステムの最適解であるかまたは最適解に十分近い、最終解にMIPソルバが達するまで、時間が経過するにつれて損失関数が減少するように、MIPソルバは決定ベクトルのための値をマルチ反復/ステップでコンピューティングおよび更新する。初期(例えば、暫定)解から最終解への経路(例えば、MIPソルバによってトラバースされるベクトル空間)は、MIPソルバの(またはSCUCシステムの)収束経路であると言われ、MIPソルバは、この収束経路に沿って最終解に収束すると言われる。
【0030】
例えば、決定ベクトル内のより多数(例えば、数百、数千、または数百万)の変数と、決定ベクトルが整数値変数と実数値変数(例えば、連続値を有する)の両方を含むという要因とに起因して、MIPソルバがSCUCシステムに対する実行可能解を見つけるために、長い時間および集中的なコンピューティング資源がかかってもよい。本開示は、SCUCシステムに対する(典型的には、双対ギャップ<0.5%を伴う)良好な最適性を伴う実行可能解を効率的に見つけるための2ステップ処理を使用するSCUCソルバを記述する。
【0031】
図3は、いくつかの実施形態における、セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)ソルバ134の機能ブロックダイアグラムを例証する。SCUCソルバ134は、
図2のSCUCソルバ134において使用されてもよい。SCUCソルバ134は、SCUCシステムに対する実行可能解を見つけるための2ステップ処理のための2つの機能ブロック200および300を含む。
【0032】
図3において例証する通り、機能ブロック200において、SCUCソルバ134は、数式(1.1)~(1.3)のSCUC問題のラグランジュ緩和(LR)双対(LR双対問題とも呼ばれる)を最適化して、中間(例えば、仮の)資源割当てスケジュールを生成する。しかしながら、中間資源割当てスケジュールは、SCUCシステムの、すべての結合制約を満たさなくてもよい。次いで、SCUCソルバ134は、仮の資源割当てスケジュールが実行可能である(例えば、SCUCシステムのすべての制約を満たす)かを、チェックする。仮の資源割当てスケジュールが実行不可能である場合、SCUCソルバ134は、機能ブロック300において実行可能な資源割当てスケジュールを達成するために、仮の資源割当てスケジュールの実行不可能性を修復する。機能ブロック200および300の詳細を以下で議論する。
【0033】
図4は、実施形態における、セキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)システムのラグランジュ緩和(LR)双対を最適化するための方法250のフローチャートを例証する。
図4において例証する処理は、例証される実施形態において、
図3の機能ブロック200を実装するために使用される。
【0034】
図4のブロック201において、SCUCシステムのLR双対は、セットアップされる。例示的な実施形態では、SCUC問題のLR双対を最適化することは、以下の最適化問題
【0035】
【0036】
として定式化され、これは
【0037】
【0038】
を受け、式中、λはラグランジュ乗数ベクトル(例えば、複数のラグランジュ乗数を含むベクトル)であり、Φ (λ)は、
【0039】
【0040】
【0041】
として定義されるSCUCのLR双対であり、これは以下の制約
【0042】
【0043】
を受ける。
(2.3)を(2.4)に書き換えることによって、数式(2.3)および(2.5)のLR双対問題は、複数のLR双対部分問題
【0044】
【0045】
に分解され、これは数式(2.5)(例えば、Ajxj>_bj, j=1,2,…,N.)の制約を受けることに留意されたい。(2.6)におけるLR双対部分問題の各々は、第jの決定ベクトルxjおよび第jの結合制約行列Ac,jのみを含有する。したがって、LR双対部分問題の各々における変数の数は、もとのSCUC問題における変数の数よりもはるかに小さく、それゆえ、はるかにより速く解かれることができる。加えて、LR双対部分問題の各々は、異なるソルバ(例えば、MIPソルバ)によって解かれてもよく、それゆえ、LR双対部分問題のすべては、LR双対部分問題を解くために必要な時間量を低減するために、複数のソルバ(例えば、N個のMIPソルバ)によって並列に解かれてもよい。言い換えると、LR双対問題を解くことは、複数のLR双対部分問題を並列に解くことによって達成することができる。本明細書における議論では、LR双対部分問題を解くためのソルバは、LR双対部分問題ソルバとも呼ばれてもよい。下記でより詳細に記述する通り、SCUC問題のLR双対を最適化することは、LR双対問題を解くこと、およびラグランジュ乗数ベクトルλをマルチ反復でかわるがわる更新することによって、達成される。
【0046】
次に、ブロック203において、SCUCシステムのLR双対は、例えば、複数のLR双対部分問題ソルバ(例えば、複数のMIPソルバ)を使用して数式(2.6)の複数のLR双対部分問題を解くことによって、解かれる。数式(2.6)のLR双対部分問題を解くとき、解く(例えば、最適化する)変数は決定ベクトルxjであり、ラグランジュ乗数ベクトルλは(例えば、定数ベクトルとして扱われる)固定値を有することに、留意されたい。最初の反復では、ラグランジュ乗数ベクトルλは、適切な初期値(例えば、ゼロベクトル)を代入される。ラグランジュ乗数ベクトルλは、各反復において、後続して更新される(ブロック205および207を見られたい)。したがって、後続の反復では、ブロック203の処理のために、ラグランジュ乗数ベクトルλは、以前の反復から得られたラグランジュ乗数ベクトルλの更新された値を使用する。
【0047】
次に、ブロック205において、ラグランジュ乗数ベクトルλの部分勾配は、以下の数式
【0048】
【0049】
を使用して計算され、ここで、数式(2.7)中の決定ベクトルxjは、ブロック203においてLR双対問題を解くことから得られた決定ベクトルxjである。
【0050】
次に、ブロック207において、ラグランジュ乗数ベクトルλは、ブロック205からの計算された部分勾配sgを使用して更新される。ラグランジュ乗数ベクトルλを更新するための異なる方法が利用可能であること、および任意の適切な更新方法を使用してラグランジュ乗数ベクトルλを更新してもよいことを、当業者は直ちに認めるであろう。非限定的な例として、ラグランジュ乗数ベクトルλは、以下
【0051】
【0052】
によって更新されてもよく、式中、Δは、ラグランジュ乗数ベクトルλを更新することにおいて使用されるステップサイズであり、kは、反復インデックスである。
【0053】
次に、ブロック209において、例えば、現在の反復と最後の反復とで達成されたΦ(λ)の値の間の差をチェックすることによって、LR双対問題の最適化の収束がチェックされる。例えば、現在の反復と最後の反復とにおけるΦ(λ)の間の差が所定の閾よりも小さい場合、LR双対問題の最適化の収束が達成されると判定され、処理はブロック211に進む。反復的処理を停止するための別の基準は、反復の所定の最大数に達していることであってもよい。LR双対問題の最適化の収束を達成せず反復の最大数に達していない場合、処理は次の反復のためにブロック203に戻って行く。
【0054】
ブロック211において、中間資源割当てスケジュールは、LR双対問題に対する解(または略してLR双対問題解)の決定ベクトルxjに基づいて形成される。LR双対問題解は、緩和された制約に関して実行可能解でなくてもよいため、中間資源割当てスケジュールは、仮の資源割当てスケジュールを提供する。次に、LR双対問題解の実行可能性をチェックする。LR双対問題解の決定ベクトルxjが、数式(1.2)および(1.3)におけるすべての制約を満たす場合、LR双対問題解は、実行可能であると言われ、中間資源割当てスケジュールは、資源割当てスケジュールとしてSCUCソルバ134によって出力され、機能ブロック300における処理は、スキップされる。
【0055】
他方、決定ベクトルxjが、数式(1.2)および(1.3)におけるすべての制約を満たすわけではない場合、LR双対問題解は、実行不可能であるまたは残留実行不可能性を有すると、言われる。例証される実施形態では、LR双対部分問題(2.6)に対する解は、数式(2.5)の制約を満たさなければならず、これは、数式(1.2)における制約と同じであり、それゆえ、LR双対問題解の実行可能性を判定するためには、数式(1.3)における結合制約のみがチェックされる必要があることに留意されたい。数式(1.2)における結合制約のうちのいずれかが満たされないとき、LR双対問題解は、結合制約による残留実行不可能性を有すると言われる。
【0056】
LR双対問題解が実行不可能であると判定されるとき、実行可能な資源割当てスケジュールを得るために中間資源割当てスケジュールは機能ブロック300(
図3を見られたい)によって修復される。したがって、機能ブロック300の処理は、中間資源割当てスケジュールの(残留)実行不可能性を修復すること、LR双対問題解の(残留)実行不可能性を修復すること、または結合制約の(残留)実行不可能性を修復することとも呼ばれてもよい。
【0057】
図5は、実施形態における、電力資源割当てプロファイルの実行不可能性を修復するための方法350のフローチャートを例証する。
図5において例証する処理は、例証される実施形態において、
図3の機能ブロック300を実装するために使用される。
【0058】
図5において例証する処理は反復的であり、およびしたがって、反復的処理の反復数を指示するためにインデックスkが使用される。ブロック301において、インデックスkは、初期値のゼロを代入される。次に、ブロック303において、ディスパッチ問題(経済的ディスパッチ問題とも呼ばれる)が解かれる。最初の反復について(例えば、k=0のとき)、ディスパッチ問題は、(
図3の機能ブロック200において得られる)LR双対問題解からの固定整数決定で解かれる。後続の反復について(例えば、k>0のとき)、ディスパッチ問題は、(最後の反復のブロック309において得られる)拡張型部分問題解からの固定整数決定で解かれる。議論の容易さのために、ディスパッチ問題は、(例えば、LR双対問題解から、または拡張部分問題解からの、)固定整数決定のもとを識別することなく、固定整数決定で解かれることと呼ばれてもよい。ディスパッチ問題は、
【0059】
【0060】
として定式化され、これは
【0061】
【0062】
および
【0063】
【0064】
を受ける。
(3.1)~(3.3)におけるディスパッチ問題は、(1.1)~(1.3)におけるもとのSCUC問題に類似するが、しかし(実数値の複数のスラック変数を含む)スラック変数ベクトルSが追加される。言い換えると、ディスパッチ問題は、スラック変数でSCUC問題を改変することによって得られる。ディスパッチ問題は、スラック変数ベクトルSに対するペナルティベクトルMも含む。ディスパッチ問題は固定整数決定で解かれるのであり、これは、(3.1)~(3.3)の最適化問題を解くとき、決定ベクトルxj内の整数変数(例えば、電力グリッド資源をオンまたはオフにするための決定、および、もしあれば、整数値を有する他の変数)が、(k=0のとき)LR双対問題解によってまたは(k>0のとき)拡張部分問題解によって提供される値に固定されることを意味することに、留意されたい。言い換えると、ディスパッチ問題の最適化は、決定ベクトルxj内の非整数変数に対してのみ遂行され、決定ベクトルxj内の整数変数は、定数として扱われる。ディスパッチ問題における解く変数の数はもとのSCUCシステムにおけるそれよりも少ないから、および、最適化する変数はすべて実数値である(それゆえ、連続的に勾配を有してもよい)から、ディスパッチ問題は、解くことがより容易である。MIPソルバを使用してディスパッチ問題を解いてもよいが、このケースでは、MIPソルバは、非整数変数を解く必要があるのみであり、これは、ディスパッチ問題を解くために必要な時間がより短いという結果になる。代替的に、MIPソルバよりも簡単なソルバ、例えば、非整数変数を最適化するのみであるソルバが、ディスパッチ問題を解くために使用されてもよい。
【0065】
スラック変数ベクトルSは、技術実行可能性を確保するためにディスパッチ問題に追加され、そのため、ディスパッチ問題のためのソルバは、(3.2)および(3.3)におけるすべての制約を満たす、解(例えば、決定ベクトルxjおよびスラック変数ベクトルS)を見つけることができる。特に、スラック変数は、(3.3)における結合制約を満たすのに役立つ。スラック変数ベクトルSなしでは、ディスパッチ問題は、実行可能解を有しなくてもよく、なぜならば、決定ベクトルxj内の整数変数は、実行可能解を許容しなくてもよい、LR双対問題解または拡張部分問題解によって提供される値に固定されるためである。最適化プロセスは、スラック変数に関連付けられた高いコストを回避する可能性が高いから、ペナルティベクトルM内の要素は、十分に大きい値(例えば、スラック変数に対する高いコスト)を代入されて、(3.3)における結合制約を満たすためにソルバがスラック変数ベクトルSに頼ることを抑止する。
【0066】
次に、ブロック305において、ディスパッチ問題に対する解(ディスパッチ解とも呼ばれる)の実行可能性がチェックされる。ディスパッチ解は、(3.3)における結合制約がゼロ値スラック変数ベクトルSで満たされるとき、実行可能であり、これは、もとのSCUCシステムの結合制約(1.3)を満たすことと同等である。したがって、ディスパッチ解は、スラック変数ベクトルS内のスラック変数がゼロであるとき、実行可能であると考えられる。非ゼロ値スラック変数ベクトルSは、ディスパッチ解が、スラック変数に頼って技術実行可能である(例えば、(3.3)を満たす)が、しかしSCUCシステムの結合制約(1.3)を満たさず、それゆえ実行可能でないことを、意味する。ディスパッチ解が実行可能である場合、処理はブロック306に行き、ここでSCUCソルバ134は、実行可能なディスパッチ解の、決定ベクトルxjに基づいて、資源割当てスケジュールを生成し、処理は停止する。
【0067】
ディスパッチ解が実行不可能である場合、方法350は、1つ以上の反復において、複数の拡張部分問題を解き、拡張部分問題に対する解からの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって、実行不可能性を修正し、その詳細は、以下で議論される。議論の容易さのために、ディスパッチ解が実行不可能であるかどうかをチェックすることは、ディスパッチ解の結合制約実行不可能性をチェックすることとも呼ばれてもよい。
【0068】
ディスパッチ解の実行不可能性を修復するために、方法350の処理は、最初の反復(例えば、k=0)のためにブロック307に進み、ここで、複数の拡張部分問題はセットアップされ、拡張部分問題についての結合制約境界は初期化される。拡張部分問題は、
【0069】
【0070】
として定義され、これは
【0071】
【0072】
および
【0073】
【0074】
を受け、式中、kは反復インデックスであり、λ(k)は第kの反復における(例えば、複数の乗数を含む)乗数ベクトルであり、sj
(k)は第kの反復における第jの拡張部分問題についてのスラック変数ベクトルであり、yj
(k)は第kの反復における第jの拡張部分問題についての(例えば、結合制約の、複数の境界を含む)結合制約ボンドベクトルであり、ρは(4.1)における2次の項についてのペナルティ係数である。乗数ベクトルλ(k)は、拡張部分問題のラグランジュ乗数ベクトルとも呼ばれてもよく、乗数ベクトルλ(k)内の複数の乗数は、ラグランジュ乗数とも呼ばれてもよい。
【0075】
乗数ベクトルλ
(k)は、
図2のブロック200から得られた最終値に初期化される。後続の反復(k>0)では、乗数ベクトルλ
(k)は各反復において更新される。ペナルティ係数ρは、拡張部分問題についての入力パラメータであり、それゆえ、最適化中に固定値を有する。結合制約ボンドベクトルy
j
(k)は、もし何かあれば、割り当てられた実行不可能性を、ディスパッチ解からの値に加えたもので、最初の反復において(k=0のとき)初期化される。詳細は以下で議論される。
【0076】
【0077】
拡張部分問題がセットアップされ結合制約ボンドベクトルyj
(0)が初期化されると、ブロック309において例証する通り、MIPソルバなどの適切なソルバは、拡張部分問題の各々を解くために使用されてもよい。拡張部分問題に対する解を見つけるために必要な時間を低減するために、拡張部分問題を並列に解くために、複数のソルバを使用してもよい。本明細書における議論では、拡張部分問題に対する解(例えば、決定ベクトルxj、j=1、2、….N)は、拡張部分問題解とも呼ばれる。
【0078】
次に、ブロック310において、反復インデックスkは、1だけインクリメントされる。処理は、処理の、次の反復のためにブロック303に戻って行く。
【0079】
次に、ブロック303において、ディスパッチ問題は、拡張部分問題解からの固定整数決定で再び解かれる。詳細は、上で議論したものと同じであるかまたは類似し、それゆえここでは繰り返されない。
【0080】
次に、ブロック305において、上で議論したのと同じまたは類似の処理を使用して、ディスパッチ解の実行可能性がチェックされる。ディスパッチ解が実行可能である場合、処理はブロック306に行き、ここでSCUCソルバ134は、実行可能なディスパッチ解の、決定ベクトルxjに基づいて、資源割当てスケジュールを生成し、処理は停止する。ディスパッチ解が実行不可能である場合、処理はブロック311および313に進み、そこで、以下で議論されるように、乗数ベクトルλ(k)および結合制約境界ベクトルyj
(k)は更新される。
【0081】
次に、ブロック311において、乗数ベクトルλ(k)および結合制約境界ベクトルyj
(k)についての、更新が計算される。特に、第kの反復における乗数ベクトルλ(k)の第iの要素についての更新Δλ(k)(i)は、
【0082】
【0083】
によって計算される。
第kの反復における第jの結合制約境界ベクトルyj
(k)の第iの要素についての更新Δyj
(k)(i)は、
【0084】
【0085】
【0086】
次に、ブロック313において、ブロック311において計算された更新を使用して、乗数ベクトルλ(k)および結合制約境界ベクトルyj
(k)は更新される。特に、乗数ベクトルλ(k)は、
【0087】
【0088】
によって更新され、結合制約境界ベクトルyj
(k)は、
【0089】
【0090】
によって更新される。
次に、ブロック309において、拡張部分問題は、上で議論したのと同じまたは類似の処理を使用して、更新された乗数ベクトルλ(k)および更新された結合制約境界ベクトルyj
(k)を使用して解かれ、それゆえ詳細は繰り返されない。
【0091】
次に、ブロック310において、反復インデックスkは、1だけインクリメントされ、処理は、処理の、次の反復のためにブロック303に戻って行く。
【0092】
次に、ブロック303において、ディスパッチ問題は、更新された乗数ベクトルλ(k)および更新された結合制約境界ベクトルyj
(k)で得られた、拡張部分問題解からの、固定整数決定で解かれる。反復的処理は、実行可能解が達成されるまで、継続する。ブロック307における処理は、始まりにおいて一度のみ遂行され、k=0のときであることに留意されたい。後続の反復(k>0)では、方法350の処理は、ブロック311および313に沿った経路を通って行く。各反復において乗数ベクトルλ(k)および結合制約境界ベクトルyj
(k)を更新することによって、方法350の処理は、結合制約の残留実行不可能性を低減し、実行可能なディスパッチ解を結局見つける。
【0093】
図6は、いくつかの実施形態における、電力管理システムの処理を遂行するための処理システム900のブロックダイアグラムである。例えば、処理システム900は、
図1のPMS105を実装するために使用されてもよい。
【0094】
図6に示す通り、処理システム900は、プロセッサ902、メモリ904、およびインタフェース906~910を含み、これらは
図6に示す通りに、配置されてもよい(または配置されなくてもよい)。プロセッサ902は、コンピューティングおよび/または他の処理関連タスクを遂行するように適合された、任意の構成要素または構成要素の集まりであってもよく、メモリ904は、プロセッサ902による実行のためのプログラミングおよび/または命令を記憶するように適合された、任意の構成要素または構成要素の集まりであってもよい。実施形態では、メモリ904は、非一時的コンピュータ可読媒体を含む。インタフェース906、908、910は、処理システム900が他のデバイス/構成要素と通信することを許容する、任意の構成要素または構成要素の集まりであってもよい。例えば、インタフェース906、908、910のうちの1つ以上は、プロセッサ902から、ホストデバイスおよび/またはリモートデバイスにインストールされたアプリケーションに、データ、制御、または管理メッセージを通信するように適合されてもよい。別の例として、インタフェース906、908、910のうちの1つ以上は、デバイス(例えば、パーソナルコンピュータ(personal computer:PC)など)が処理システム900と相互作用/通信することを、許容するように適合されてもよい。処理システム900は、長期記憶装置(例えば、不揮発性メモリなど)などの、
図6に描写されていない追加的な構成要素を含んでもよい。
【0095】
図7は、いくつかの実施形態に従う、電力グリッドを動作させる方法1000のフローチャートを例証する。
図7に示す実施形態方法は、多くの可能な実施形態方法の、単なる例であることを理解すべきである。当業者は、多くの変形、代替、および改変を認識するであろう。例えば、
図7において例証する通りの様々なステップを、追加し、除去し、置換し、再配置し、または繰り返してもよい。
【0096】
図7を参照すると、ブロック1010では、電力グリッド資源割当てプロファイルは、電力グリッドの電力管理システムによって生成され、電力グリッド資源割当てプロファイルは、電力グリッドの動作情報によって制約される電力グリッドの動作を指示している。ブロック1020では、中間資源割当てスケジュールは、電力管理システムによって生成され、中間資源割当てスケジュールは、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供する。ブロック1030では、電力管理システムは、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定する。ブロック1040では、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、電力管理システムは、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、中間資源割当てスケジュールを修復し、資源割当てスケジュールは、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供する。
【0097】
実施形態は、利点を達成してもよい。例えば、例えばより多数の最適化する変数、最適化する変数のタイプ(例えば、整数値および実数値変数)、およびSCUCシステムのNP困難性に起因して、MIPソルバがSCUCシステムについての実行可能解を見つけるために、長い時間がかかってもよい。本開示は、2つのステップでSCUC問題を解くための、コンピューティングの効率的なやり方を提供する。第1のステップでは、SCUCソルバは、SCUC問題のラグランジュ緩和(LR)双対問題を解く。より低い次元(例えば、より少数の変数)を有し、かつ並列処理のために適切な、複数のLR部分問題を、LR双対問題は含む。LR双対問題解の実行可能性は、チェックされる。LR双対問題解が実行可能である場合、資源割当てスケジュールは、LR双対問題解の決定ベクトルから生成される。LR双対問題解が実行不可能である場合、LR双対問題解の実行不可能性は、実行可能解を達成するために、修復される。修復するプロセスは、固定整数決定でディスパッチ問題を解くことと、より低い次元を伴い、かつ並列処理のために適切な、複数の拡張部分問題を解くこととを内包する。ディスパッチ問題および拡張部分問題は、実行可能解を迅速かつ効率的に見つけることを、許容する。
【0098】
開示される実施形態に対する変形および改変は、可能であり、本開示の範疇に含まれるように全面的に意図される。例えば、開示される方法は、SCUC問題を解く枠組み内に記述されるのであるが、開示される方法は、他のMIP問題に直ちに適用されてもよい。別の例として、乗数ベクトルλ
(k)を更新するための処理(例えば、
図5のブロック311および313)は、ディスパッチ解からの実行不可能性を伴う結合制約に対してのみ遂行されてもよい。なおも別の例として、
図5において実行可能性テストはディスパッチ解に対して行われるのに対して、拡張部分問題解に対して直接に実行可能性をテストすることが可能である。
【0099】
本開示の例示的な実施形態をここで概括する。他の実施形態も、本明細書および本明細書にファイリングされた特許請求の範囲の全体から理解することができる。
【0100】
例1.実施形態では、電力グリッドを動作させる方法は、電力グリッド資源割当てに関係する最適化問題に取り組むオプティマイザを、電力グリッドの電力管理システムによって生成することであって、オプティマイザが、目的、制約、およびコンピューティングモデルを含み、結合が、制約のうちの少なくとも2つの間にあることと、中間資源割当てスケジュールとして最適化問題に対する解をオプティマイザのコンピューティングモデルによって生成することであって、中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源のための資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、オプティマイザのコンピューティングモデルによって、解がオプティマイザの結合制約を満たすかどうかをチェックすることによって、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを判定することと、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、オプティマイザのコンピューティングモデルによって、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、中間資源割当てスケジュールを修復することであって、資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、中間資源割当てスケジュールを修復することが、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を含む。
【0101】
例2.電力管理システムによって、電力グリッド資源に資源割当てスケジュールを伝送することをさらに含む、例1に記載の方法。
【0102】
例3.オプティマイザの制約が、電力グリッドの動作を制約するための情報を含み、セキュリティ関連伝送制約情報およびコスト情報を含む、例1に記載の方法。
【0103】
例4.オプティマイザを生成することが、混合整数計画に基づいてセキュリティ制約ユニットコミットメント(SCUC)システムとして最適化問題を定式化することを含む、例1に記載の方法。
【0104】
例5.中間資源割当てスケジュールが、最適化問題のラグランジュ緩和(LR)双対を解くことによって生成され、最適化問題のLR双対が、最適化問題の、ラグランジュ乗数および結合制約を含み、最適化問題のLR双対が、複数のLR部分問題を含み、中間資源割当てスケジュールを生成することが、複数の混合整数計画(MIP)ソルバを使用して複数のLR部分問題を並列に解くことを含む、例1に記載の方法。
【0105】
例6.中間資源割当てスケジュールを生成することが、ラグランジュ乗数についての部分勾配を計算することと、計算された部分勾配を使用してラグランジュ乗数を更新することと、をさらに含む、例5に記載の方法。
【0106】
例7.第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することが、スラック変数で最適化問題を改変することによって、ディスパッチ問題を形成することと、第1のディスパッチ解を得るために、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことと、第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があるかどうかを判定することと、を含む、例1に記載の方法。
【0107】
例8.中間資源割当てスケジュールを修復することが、第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数がないと判定することに応答して、第1のディスパッチ解のコミットメント決定から資源割当てスケジュールを生成することをさらに含む、例7に記載の方法。
【0108】
例9.第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があると判定することに応答して、第1のディスパッチ解が実行不可能であると判定される、例8に記載の方法。
【0109】
例10.中間資源割当てスケジュールを修復することが、第1のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、第1の拡張部分問題解を生成するために複数の拡張部分問題を解くことと、第1の拡張部分問題解からの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって第2のディスパッチ解を生成することと、第2のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することと、第2のディスパッチ解が実行可能である場合に第2のディスパッチ解のコミットメント決定から資源割当てスケジュールを生成することと、をさらに含む、例9に記載の方法。
【0110】
例11.中間資源割当てスケジュールを修復することが、複数の拡張部分問題を解く前に、複数の拡張部分問題をセットアップすることであって、複数の拡張部分問題が、複数の拡張部分問題についての、ラグランジュ乗数および結合制約境界を含むことと、複数の拡張部分問題についての結合制約境界を初期化することと、をさらに含む、例10に記載の方法。
【0111】
例12.中間資源割当てスケジュールを修復することが、第2のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、複数の拡張部分問題の、ラグランジュ乗数および結合制約境界を更新することと、第2の拡張部分問題解を生成するために、更新されたラグランジュ乗数および更新された結合制約境界で、複数の拡張部分問題を解くことと、第2の拡張部分問題解からの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって第3のディスパッチ解を生成することと、第3のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することと、第3のディスパッチ解が実行可能である場合に第3のディスパッチ解のコミットメント決定から資源割当てスケジュールを生成することと、をさらに含む、例11に記載の方法。
【0112】
例13.実施形態では、電力グリッドの電力管理システムは、1つ以上のプロセッサと、プロセッサ内で実行されるプログラムを記憶するメモリであって、プログラムが、命令を含み、命令が、1つ以上のプロセッサ内で実行されるとき1つ以上のプロセッサに、中間資源割当てスケジュールを生成することであって、中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、電力グリッド資源割当てプロファイルが、電力グリッドの動作情報によって制約される電力グリッドの動作を指示していることと、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、実行可能な資源割当てスケジュールを生成するために、中間資源割当てスケジュールを修復することであって、資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、中間資源割当てスケジュールを修復することが、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を行わせる、メモリと、を備える。
【0113】
例14.電力グリッド資源に資源割当てスケジュールを伝送するように構成されたトランスミッタをさらに備え、電力グリッド資源が、資源割当てスケジュールに従って制御されるように構成された、例13の電力管理システム。
【0114】
例15.中間資源割当てスケジュールが、電力グリッド資源割当てプロファイルのラグランジュ緩和(LR)双対を解くことによって生成され、電力グリッド資源割当てプロファイルのLR双対が、複数のLR部分問題を含み、プログラムが、命令を含み、命令が、1つ以上のプロセッサに、複数のソルバを使用して複数のLR部分問題を並列に解くことによって、中間資源割当てスケジュールを生成することを行わせる、例13に記載の電力管理システム。
【0115】
例16.第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することが、スラック変数で電力グリッド資源割当てプロファイルを改変することによって、ディスパッチ問題を形成することと、第1のディスパッチ解を得るために、中間資源割当てスケジュールからの固定整数解でディスパッチ問題を解くことと、第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があるかどうかを判定することと、を含み、中間資源割当てプロファイルを修復することが、第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数がないと判定することに応答して、第1のディスパッチ解のコミットメント決定から資源割当てスケジュールを生成することをさらに含む、例13に記載の電力管理システム。
【0116】
例17.1つ以上のプロセッサに、第1のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、第1の拡張部分問題解を生成するために複数の拡張部分問題を解くことであって、複数の拡張部分問題が、複数の拡張部分問題についての、ラグランジュ乗数および結合制約境界を含むことと、第1の拡張部分問題解からの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって第2のディスパッチ解を生成することと、第2のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することと、第2のディスパッチ解が実行可能であると判定することに応答して、第2のディスパッチ解のコミットメント決定から資源割当てスケジュールを生成することと、を行わせることによって、中間資源割当てスケジュールを修復するための、さらなる命令をプログラムが含む、例16に記載の電力管理システム。
【0117】
例18.1つ以上のプロセッサに、第2のディスパッチ解が実行不可能であると判定することに応答して、複数の拡張部分問題の、ラグランジュ乗数および結合制約境界を更新することと、第2の拡張部分問題解を生成するために、更新されたラグランジュ乗数および更新された結合制約境界で、複数の拡張部分問題を解くことと、第2の拡張部分問題解からの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって第3のディスパッチ解を生成することと、を行わせることによって、中間資源割当てスケジュールを修復するための、命令をプログラムが含む、例17に記載の電力管理システム。
【0118】
例9.実施形態では、電力グリッドのシステムは、電力管理システムであって、中間資源割当てスケジュールを生成することであって、中間資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての仮のスケジュールを提供することと、中間資源割当てスケジュールが実行可能であるかどうかを、電力グリッドの電力グリッド資源割当てプロファイルの結合制約を中間資源割当てスケジュールが満たすかどうかをチェックすることによって、判定することであって、電力グリッド資源割当てプロファイルが、電力グリッドの動作情報によって制約される電力グリッドの動作を指示していることと、中間資源割当てスケジュールが実行不可能であると判定することに応答して、中間資源割当てスケジュールを修復することによって、実行可能な資源割当てスケジュールを生成することであって、資源割当てスケジュールが、電力グリッドの中で動作している電力グリッド資源についての資源割当ての最終スケジュールを提供し、中間資源割当てスケジュールを修復することが、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことによって得られる第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することを含むことと、を行うように構成された、電力管理システムと、資源割当てスケジュールに従って制御されるように構成された、電力グリッド資源と、電力管理システムから電力グリッド資源に資源割当てスケジュールを伝送するように構成された、トランスミッタと、を備える。
【0119】
例20.第1のディスパッチ解が実行可能であるかどうかを判定することが、スラック変数で電力グリッド資源割当てプロファイルを改変することによって、ディスパッチ問題を形成することと、第1のディスパッチ解を得るために、中間資源割当てスケジュールからの固定整数決定でディスパッチ問題を解くことと、第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数があるかどうかを判定することと、を含み、中間資源割当てスケジュールを修復することが、第1のディスパッチ解内に非ゼロのスラック変数がないと判定することに応答して、第1のディスパッチ解のコミットメント決定から資源割当てスケジュールを生成することをさらに含む、例19に記載のシステム。
【0120】
この開示は、例証的な実施形態を参照して記述されてきたが、この記述は、限定的な意義で解釈されることを意図されていない。例証的な実施形態の様々な改変および組合せとともに、本開示のその他の実施形態は、記述を参照すれば当業者に明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のそのような改変または実施形態を包含することが意図される。