(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20241224BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20241224BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B17/08
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2024089800
(22)【出願日】2024-06-03
【審査請求日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202410202541.6
(32)【優先日】2024-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520357958
【氏名又は名称】ジョウシュウシ エーエーシー レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】姜思遠
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特許第7406028(JP,B1)
【文献】特開2024-104349(JP,A)
【文献】特開2023-86613(JP,A)
【文献】国際公開第2023/153266(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第117420660(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第117270218(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116880074(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116880073(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116859610(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116594170(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116540397(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115576103(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114942489(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏側から前側に向かって、順に、光学系の裏側に位置する絞り
と、第1レンズ、第2レンズ
及び第3レンズ
のみから構成されたレンズ群と、円偏光板
と、映像面
とを備え、
ここで、前記円偏光板は、前記映像面の裏側表面に貼り付けられるように設けられ、前記第1レンズの前側表面または前記第2レンズの裏側表面に複合フィルムが設けられており、前記複合フィルムは、反射型偏光フィルム及び1/4波長板を含み、前記反射型偏光フィルムが前記1/4波長板の裏側に設けられ、
前記光学系の焦点距離をfと定義し、前記第2レンズの焦点距離をf2と定義し、前記第1レンズの裏側表面の中心曲率半径をR1と定義し、前記第1レンズの前側表面の中心曲率半径をR2と定義し、前記第3レンズの裏側表面の中心曲率半径をR5と定義し、前記第3レンズの前側表面の中心曲率半径をR6と定義し、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする光学系。
5.00≦f2/f≦9.00
1.30≦(R1+R2)/(R1-R2)≦4.80
0.90≦R5/R6≦2.80
SDmax≦23.00mm
【請求項2】
前記光学系のアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
Eyebox≧12.00mm
【請求項3】
人間の目から前記第1レンズの裏側表面までの軸上距離をeyereliefと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
eyerelief≦16.50mm
【請求項4】
前記第1レンズの裏側表面から前記映像面までの軸上距離をTLと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
TL≦18.40mm
【請求項5】
前記光学系の光学全長をTTLと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
TTL≦34.80mm
【請求項6】
前記第1レンズの裏側表面と前側表面、前記第2レンズの裏側表面と前側表面、及び前記第3レンズの裏側表面と前側表面はいずれも非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記光学系の画角をFOVと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
85.00°≦FOV≦95.00°
【請求項8】
前記第2レンズの前側表面に半透過半反射膜がめっきされていることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
記半透過半反射膜の透過率と反射率はいずれも40.00%~60.00%であることを特徴とする請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記反射型偏光フィルムの透過率は95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系の歪曲収差をMISTと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
MIST≦35.00%
【請求項12】
前記光学系の色収差をLCと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
LC≦100μm
【請求項13】
前記光学系の光学全長をTTLと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
TTL/f≦2.10
【請求項14】
前記映像面は、ディスプレイであり、そのサイズが1.0~1.3インチであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接眼ディスプレイ技術の分野に関し、特に光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートヘッドマウントデバイスに関する技術が急速に発展しており、光学レンズを搭載した電子機器の応用がより広くなり、光学レンズに対する要求もより多様化になり、仮想現実、拡張現実や複合現実などの分野での応用が急速に成長し、ユーザー体験の観点から、小型で優れた結像方式を兼ね備えた光学系に対する需要が非常に急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題に鑑みて、本発明は、優れた光学性能を有するとともに、小型で軽量の設計要件を満たす光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の実施形態には、光学系が提供され、前記光学系は、裏側から前側に向かって、順に、光学系の裏側に位置する絞り、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、円偏光板、映像面を備え、ここで、前記円偏光板は、前記映像面の裏側表面に貼り付けられるように設けられ、前記第1レンズの前側表面または前記第2レンズの裏側表面に複合フィルムが設けられており、前記複合フィルムは、反射型偏光フィルム及び1/4波長板を含み、前記反射型偏光フィルムが前記1/4波長板の裏側に設けられ、前記光学系の焦点距離をfと定義し、前記第2レンズの焦点距離をf2と定義し、前記第1レンズの裏側表面の中心曲率半径をR1と定義し、前記第1レンズの前側表面の中心曲率半径をR2と定義し、前記第3レンズの裏側表面の中心曲率半径をR5と定義し、前記第3レンズの前側表面の中心曲率半径をR6と定義し、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxと定義したときに、以下の関係式を満たす。
5.00≦f2/f≦9.00
1.30≦(R1+R2)/(R1-R2)≦4.80
0.90≦R5/R6≦2.80
SDmax≦23.00mm
【0005】
好ましくは、前記光学系のアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、以下の関係式を満たす。
Eyebox≧12.00mm
【0006】
好ましくは、人間の目から前記第1レンズの裏側表面までの軸上距離をeyereliefと定義したときに、以下の関係式を満たす。
eyerelief≦16.50mm
【0007】
好ましくは、前記第1レンズの裏側表面から前記映像面までの軸上距離をTLと定義したときに、以下の関係式を満たす。
TL≦18.40mm
【0008】
好ましくは、前記光学系の光学全長をTTLと定義したときに、以下の関係式を満たす。
TTL≦34.80mm
【0009】
好ましくは、前記第1レンズの裏側表面と前側表面、前記第2レンズの裏側表面と前側表面、及び前記第3レンズの裏側表面と前側表面はいずれも非球面である。
【0010】
好ましくは、前記光学系の画角をFOVと定義したときに、以下の関係式を満たす。
85.00°≦FOV≦95.00°
【0011】
好ましくは、前記第2レンズの前側表面に半透過半反射膜がめっきされている。
【0012】
好ましくは、前記半透過半反射膜の透過率と反射率はいずれも40.00%~60.00%である。
【0013】
好ましくは、前記反射型偏光フィルムの透過率は95%以上である。
【0014】
好ましくは、前記光学系の歪曲収差をMISTと定義したときに、以下の関係式を満たす。
MIST≦35.00%
【0015】
好ましくは、前記光学系の色収差をLCと定義したときに、以下の関係式を満たす。
LC≦100μm
【0016】
好ましくは、前記光学系の光学全長をTTLと定義したときに、以下の関係式を満たす。
TTL/f≦2.10
【0017】
好ましくは、前記映像面は、ディスプレイであり、そのサイズが1.0~1.3インチである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は、以下のことにある。
第1レンズの前側表面または第2レンズの裏側表面に反射型偏光フィルムと1/4波長板からなる複合フィルムが設けられ、かつ第2レンズの前側表面に半透過半反射膜が設けられることで、2枚のレンズを光路折り畳み構造の実現に関与させ、光学系の光学全長TTLを大幅に短縮し、光学結像モジュールの体積を小さくし、VR機器の小型化、軽量化の設計要求を満たすことができる。同時に、本発明に提供された光学系によって、ユーザーは、面倒な調整をせずに最適な位置で最適な表示効果を見ることができ、光学系は小型化及び優れた結像性能を兼ね備えた。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態における技術案をより明確に説明し、以下、実施形態の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面の説明が、本発明のいくつかの実施形態のみを説明するためのものであり、当業者にとっては、創造的な努力を払わなくても、これらの図面からほかの図面も得られる。ここで、
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学系の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光学系のスポットダイヤグラムである。
【
図3】
図3は、
図1に示す光学系の倍率色収差を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す光学系の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す光学系が膜層構造を備える模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学系の一部の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す光学系のスポットダイヤグラムである。
【
図8】
図8は、
図6に示す光学系の倍率色収差を示す図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す光学系の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳しく説明する。しかし、本発明の各実施形態において、本発明に対する理解を便宜にするために、多くの技術的細部まで記載されているが、これらの技術的細部および以下の各実施形態に基づく種々の変化及び修正がなくても、本発明が保護しようとする技術案を実現可能であることは、当業者にとっては自明なことである。
【0021】
図1~
図10に示すように、本発明の技術案では、光学系100、200が提供されている。
図1、
図6に示されたのは、本発明の光学系100、200であり、この光学系100、200は合わせて3枚のレンズを備える。具体的に、前記光学系100、200は、裏側から前側に向かって、順に、絞り11、第1レンズ12、反射型偏光フィルム13、1/4波長板14、第2レンズ15、半透過半反射膜16、第3レンズ17、円偏光板18、映像面19を備える。本実施形態では、映像面19は、ディスプレイであり、そのサイズが1.0~1.3インチである。なお、本発明において、裏側は人間の目側、前側はディスプレイ側であり、前側表面とは、光軸の方向においてディスプレイ側に向かう表面を指し、裏側表面とは、光軸の方向において人間の目側に向かう表面を指す。
【0022】
具体的に、前記映像面19から発せられた光線は、円偏光板18を通過した後、左回り円偏光LCPを形成して第3レンズ17に入射し、第2レンズ15の前側表面に半透過半反射膜16がめっきされ、第3レンズ17の裏側表面から出射された左回り円偏光LCPが半透過半反射膜16に入射し、一部の光線が反射され、一部の光線が第2レンズ15に入射し、このとき、第2レンズ15に入射した光線は左回り円偏光LCPである。
【0023】
第1レンズ12の前側表面に反射型偏光フィルム13と1/4波長板14からなる複合フィルムが設けられている場合、前記反射型偏光フィルム13は、前記1/4波長板14よりも前記第1レンズ12の前側表面に近く、第2レンズ15から出射された左回り円偏光LCPは、1/4波長板14を初回に通過した後に直線偏光Sに変換され、その後、反射型偏光フィルム13にて反射され、このときの反射光は依然として直線偏光Sであり、2回目に1/4波長板14を通過した後に左回り円偏光LCPに変換され、2回目に第2レンズ15に入射した後に、半透過半反射膜16にて部分的に反射され、反射された光線が右回り円偏光RCPに変換されて3回目に第2レンズ15に入射し、右回り円偏光RCPは第2レンズ15から出射されてから、1/4波長板14に入射し、1/4波長板14によって直線偏光Pに変換されて反射型偏光フィルム13に入射し、反射型偏光フィルム13が直線偏光Sを反射しかつ直線偏光Pを透過させる特性を有しているため、直線偏光Pは第1レンズを透過してから絞り19に入射する。ここで、絞り11の位置は人間の目の表面をシミュレーションする位置である。
【0024】
第2レンズ15の裏側表面に反射型偏光フィルム13と1/4波長板14からなる複合フィルムが設けられている場合、前記反射型偏光フィルム13は、前記1/4波長板14よりも前記第2レンズ15の裏側表面から遠く、第2レンズ15から出射された左回り円偏光LCPは、1/4波長板14を初回に通過した後に直線偏光Sに変換され、その後、反射型偏光フィルム13にて反射され、このときの反射光は依然として直線偏光Sであり、2回目に1/4波長板14を通過した後に左回り円偏光LCPに変換され、2回目に第2レンズ15に入射した後に、半透過半反射膜16にて部分的に反射され、反射された光線が右回り円偏光RCPに変換されて3回目に第2レンズ15に入射し、右回り円偏光RCPは第2レンズ15から出射されてから、1/4波長板14に入射し、1/4波長板14によって直線偏光Pに変換されて反射型偏光フィルム13に入射し、反射型偏光フィルム13が直線偏光Sを反射しかつ直線偏光Pを透過させる特性を有しているため、直線偏光Pは第1レンズを透過してから絞り19に入射する。
【0025】
第1レンズ12の前側表面に反射型偏光フィルム13と1/4波長板14からなる複合フィルムが設けられ、光路折り畳み構造を利用して光学系の体積を小さくしている。また、第2レンズ15の前側表面に半透過半反射膜16が設置され、第1レンズ12と第2レンズ15を同時に折り返し光路案に関与させることで、光学系の光学全長を大幅に短縮し、VR機器の小型化と軽量化の発展に有利である。
【0026】
光学系の焦点距離をfと定義し、第2レンズ15の焦点距離をf2と定義したときに、5.00≦f2/f≦9.00の関係式が設立され、第2レンズ15の焦点距離と光学系の総焦点距離の比が規定されている。この関係式の範囲内にあれば、焦点距離を配分することにより、軸外画角の収差の問題の補正に有利である。
【0027】
第1レンズ12の裏側表面の中心曲率半径をR1と定義し、第1レンズ12の前側表面の中心曲率半径をR2と定義したときに、1.30≦(R1+R2)/(R1-R2)≦4.80の関係式が設立され、第1レンズの形状が規定されている。この関係式の範囲内にあれば、表面形状を合理的に制御することにより、反射過程における光線の収差を補正するのに有利であると同時に、光学系の全長を短縮するのに有利である。
【0028】
第3レンズ17の裏側表面の中心曲率半径をR5と定義し、第3レンズ17の前側表面の中心曲率半径をR6と定義したときに、0.90≦R5/R6≦2.80の関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、第3レンズ17の表面形状を制御することにより、第3レンズ17からの光線の出射角を効果的に大きくすることができ、光学系が大きな視野範囲を持つようになり、大きな眼球運動範囲を提供することができる。
【0029】
光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxと定義したときに、SDmax≦23.00mmの関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、光学系の体積を減らすことに役立つ。
【0030】
光学系のアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、Eyebox≧12.00mmの関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、ユーザーは、面倒な調整をせずに最適な位置で最適な表示効果を見ることができ、FOVが90°に達するようにFOVを大きくする。さらに理解しやすいように、アイボックスのサイズeyeboxは、光学系の入射瞳径ENPD±4mmと眼球運動範囲eyeshift±4mmの和と見なされることができる。eyebox≧12mmのように設定することにより、光学系の全視野の性能がより良くなり、メガネの位置調整が悪い場合のユーザーの表示体験を向上させることができる。
【0031】
人間の目から第1レンズ12の裏側表面までの軸上距離をeyerelief、すなわち絞り11から第1レンズ12の裏側表面までの軸上距離(他の構造、例えば、機械的機構、メガネなどを置くことができる空間である)と定義したときに、eyerelief≦16.50mmの関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、目の順調さを満たしている場合、光学系の光学全長をより小さくすることができ、小型化に有利である。
【0032】
第1レンズ12の裏側表面から映像面19までの軸上距離をTLと定義したときに、TL≦18.40mmの関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、光学系の小型化に有利である。
【0033】
光学系の光学全長(人間の目から映像面19までの軸上距離、すなわち絞り11から映像面19までの軸上距離)をTTLと定義したときに、TTL≦34.80mmの関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、光学系の小型化に有利である。
【0034】
第1レンズ12の裏側表面と前側表面、第2レンズ15の裏側表面と前側表面、及び第3レンズ17の裏側表面と前側表面はいずれも非球面である。非球面に設計されることで、表示画像のフォーカス位置を調整し、表示画像の色収差と歪曲収差を小さくし、結像品質を向上させることができる。
【0035】
本発明では、半透過半反射膜16の透過率と反射率はいずれも40.00%~60.00%であり、例えば、各実施例では、50:50、40:60、60:40などであってもよい。
【0036】
本発明では、反射型偏光フィルム13の透過率は95%以上であり、より高い透過率によって、光学系の光線効能を高め、表示輝度を増加させることができる。
【0037】
光学系の光学歪曲収差をMISTと定義したときに、MIST≦35.00%の関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、光学系の歪曲収差が小さくなり、ユーザーによりリアルなVR環境を提供することができる。
【0038】
光学系の色収差をLCと定義したときに、LC≦100μmの関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、光学系の色収差が小さくなり、ユーザーによりリアルなVR環境を提供することができる。
【0039】
光学系の焦点距離をfと定義し、TTL/f≦2.10の関係式が設立され、この関係式の範囲内にあれば、光学系の体積を減らすことに有利である。
(第1実施形態)
【0040】
以下、実施例を用いて本発明の光学系100を説明する。各実施例に記載された記号は下記の通りである。焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、変曲点位置、停留点位置の単位はmmである。
【0041】
図1及び
図5には、本発明の第1実施形態の光学系100が示されている。
【0042】
図5に示すように、第1実施形態では、前記反射型偏光フィルム13と前記1/4波長板14からなる複合フィルムが前記第1レンズ12の前側表面122に設けられている。
【0043】
表1、表2には、本発明の第1実施形態における光学系100の設定データを示す。
【0044】
【0045】
ここで、各記号の意味は下記の通りである。
R:光学面の中心における曲率半径
R1:第1レンズ12の裏側表面の中心曲率半径
R2:第1レンズ12の前側表面の中心曲率半径
R3:第2レンズ15の裏側表面の中心曲率半径
R4:第2レンズ15の前側表面の中心曲率半径
R5:第3レンズ17の裏側表面の中心曲率半径
R6:第3レンズ17の前側表面の中心曲率半径
d:レンズの軸上厚み、レンズ間の軸上距離(光路を分かりやすくするために、光が裏側から前側に伝播することをプラス値とし、光が前側から裏側に伝播することをマイナス値とする)
d0:絞り11から第1レンズ12の裏側表面121までの軸上距離
d1:第1レンズ12の軸上厚み
d2:反射型偏光フィルム13の軸上厚み
d3:1/4波長板14の軸上厚み
d4:1/4波長板14の前側表面141から第2レンズ15の裏側表面151までの軸上距離
d5:第2レンズ15のの軸上厚み
d6:第2レンズ15の軸上厚みのマイナス値
d7:1/4波長板14の前側表面141から第2レンズ15の裏側表面151までの軸上距離のマイナス値
d8:1/4波長板14の軸上厚みのマイナス値
d9:第2レンズ15の前側表面152から第3レンズ17の裏側表面171までの軸上距離
d10:第3レンズ17の軸上厚み
d11:第3レンズ17の前側表面172から円偏光板18の裏側表面181までの軸上距離
d12:円偏光板18の軸上厚み
nd:d線の屈折率(d線は波長540nmの緑色光である)
nd1:第1レンズ12のd線の屈折率
nd2:第2レンズ15のd線の屈折率
nd3:第3レンズ17のd線の屈折率
ng:円偏光板18のd線の屈折率
vd:アッベ数
v1:第1レンズ12のアッベ数
v2:第2レンズ15のアッベ数
v3:第3レンズ17のアッベ数
vg:円偏光板18のアッベ数
【0046】
表2には、本発明の第1実施形態における光学系100の各レンズの非球面データを示す。
【0047】
【0048】
便宜上、各レンズ面の非球面は下記の式(1)に示す非球面を使用する。ただし、本発明は、この式(1)に示す非球面多項式形式に限定されていない。
z=(cr2)/{1+[1-(k+1)(c2r2)]1/2}+A4r4+A6r6+A8r8+A10r10+A12r12+A14r14+A16r16 (1)
【0049】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16は非球面係数であり、cは光学面の中心の曲率であり、rは非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、zは非球面深さ(非球面における光軸から離れた距離がrである点と、非球面光軸上の頂点に接する接平面との垂直距離)である。
【0050】
図2と
図3は、それぞれ、波長470nm、540nm、630nmの光が第1実施形態における光学系100を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差を示す図である。
図4は、波長540nmの光が第1実施形態の光学系100を通過した後の像面湾曲および歪曲収差を示す図であり、
図4の像面湾曲Sはサジタル方向の像面湾曲、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0051】
本実施形態では、前記光学系100の入射瞳径ENPDは4.00mm、全視野像高IHは11.500mm、対角線方向の画角FOVは89.94°であり、光学系100は、小型化、軽量化の設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を備えている。
(第2実施形態)
【0052】
第2実施形態は第1実施形態と基本的に同じであり、その記号の意味が第1実施形態と同じであり、以下では相違点のみを列挙する。
【0053】
図6及び
図10には、本発明の第2実施形態における光学系200が示されている。
【0054】
図10に示すように、第2実施形態の光学系200では、前記反射型偏光フィルム13と前記1/4波長板14からなる複合フィルムが前記第2レンズ15の裏側表面151に設けられている。
【0055】
表3と表4には、本発明の第2実施形態における光学系200の設定データを示す。
【0056】
この第2実施形態では、複合フィルムの設置位置が第1実施形態と異なるため、第1実施形態と異なるのは、表3中のd4が第1レンズ12の前側表面122から反射型偏光フィルム13の裏側表面131までの軸上距離を表していることである。
【0057】
【0058】
表4には、本発明の第2実施形態における光学系200の各レンズの非球面データを示す。
【0059】
【0060】
図7と
図8は、それぞれ、波長470nm、540nm、630nmの光が第2実施形態の光学系200を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差を示す図である。
図9は、波長540nmの光が第2実施形態の光学系200を通過した後の像面湾曲および歪曲収差を示す図である。
図9の像面湾曲Sはサジタル方向の像面湾曲、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0061】
本実施形態では、前記光学系10の入射瞳径ENPDは4.00mm、全視野像高IHは11.200mm、対角線方向の画角FOVは94.95°であり、光学系200は、小型化、軽量化の設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を備えている。
【0062】
【0063】
上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施形態であるが、実際の応用において、本発明の主旨及び範囲から逸脱しない範囲での形式及び細部に対する各種の変更は、いずれも本発明の保護範囲に属することは、当業者であれば理解できるはずである。
【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、光学系を開示する。
【解決手段】裏側から前側に向かって順に、絞り、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、円偏光板、映像面を備え、円偏光板は、映像面の裏側に設けられ、第1レンズの表面または第2レンズの裏側表面に複合フィルムが設けられており、複合フィルムは、反射型偏光フィルム及び1/4波長板を含み、反射型偏光フィルムが1/4波長板の裏側に設けられ、光学系の焦点距離をf、第2レンズの焦点距離をf2、第1レンズの裏側表面の中心曲率半径をR1、第1レンズの前側表面の中心曲率半径をR2、第3レンズの裏側表面の中心曲率半径をR5、第3レンズの前側表面の中心曲率半径をR6、光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxと定義したときに、5.00≦f2/f≦9.00、1.30≦(R1+R2)/(R1-R2)≦4.80、0.90≦R5/R6≦2.80、SDmax≦23.00mmなる式を満たす。
【選択図】
図1