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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/00 20250101AFI20241225BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241225BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241225BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
H01L33/00 L
G09F9/33
G09F9/30 308Z
G09F9/00 313
G09F9/30 330
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020196367
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084458
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】513141913
【氏名又は名称】株式会社ワンダーフューチャーコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】福田 光樹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 保嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 柾之
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195352(JP,A)
【文献】特許第6738057(JP,B1)
【文献】特開2018-106970(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088641(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/220847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
G09F 9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基材の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子を備えるLEDデバイスと、LEDデバイスのLED配置面側の少なくとも一部を覆う多孔質材料を有する、表示装置であって、
前記LEDデバイスが、可撓性基材の一面側上に設けられる回路、前記回路に設けられる回路側端子、可撓性基材の他面側の前記回路側端子に対応する位置に設けられる導電性パッド、及び前記回路側端子に電磁誘導加熱によりハンダ接合されたLED素子を備え、
前記LEDデバイスが、下記要件(a)~(c):
(a)可撓性基材の厚さが0.001mm~5.0mm、
(b)回路の厚さが0.001mm~0.3mm、
(c)LEDデバイスを直径1cmの円筒に巻き付けることが可能である、
を満たすものであり、
前記LEDデバイスが、可撓性基材の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子と、前記複数のLED素子の少なくとも一部が嵌合される連結部を可撓性基材端部の少なくとも一部に備える2枚以上のシートを、前記連結部と可撓性基材端部の前記LED素子を嵌合させて結合して大画面化されたものであり、
前記多孔質材料は、開孔面積率が5%以上75%以下、可視光線透過率が10%以上70%以下であり、
表示装置において、LEDデバイスが発光していないときは、LEDデバイスを目視により容易に認識できないものである、
前記表示装置。
【請求項2】
前記LEDデバイスが、下記要件(d)~(h):
(d)LED素子の個数が1個/100cm~4000個/100cm
(e)回路が導電性インクの印刷により形成されている、
(f)回路がメッキレジスト形成後にメッキすることにより形成されている、
(g)回路がメッキのシード層を印刷後にメッキすることにより形成されている、
(h)回路の幅が0.01mm~3.0mm、
の少なくとも1つ以上の要件を満たす、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LEDデバイスと前記多孔質材料が、可撓性基材の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子の少なくとも一部に対応する凹部又は孔部を有する両面接着シートにより結合されている、請求項1又は2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性LEDデバイスと、LEDデバイスのLED配置面側の少なくとも一部を覆う多孔質材料を有する、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED素子を選択的に発光させることにより、任意の文字、記号、図柄等の情報を表示する、ドットマトリックス表示装置等のLED表示装置が急速に普及している。
従来のLED表示装置は、実質的に可撓性のない硬質基材に、LED素子を実装したものが広く採用されている。しかし、このようなLED表示装置は、設計の自由度が低いため、その用途等が限られていた。
【0003】
目的の形状に変形させ得る可撓性を有するLED表示装置については、例えば特許文献1及び2に挙げられるものが知られている。
特許文献1には、地下街の支柱等に巻き付けることができ、デジタルサイネージとして機能させることが記載されている。
特許文献2には、可撓性のLED表示装置において、可撓性基材のシワの発生を抑制するために、可撓性基材のLED素子が実装されていない面に、補助基板を積層することが記載されている。
これら特許文献に記載のLED表示装置は、LED素子が発光しているときには表示効果に優れるものである。しかし、LED素子が発光していないときにもその存在が目立つため、意匠性の点で改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6738057号公報
【文献】特開2017-157837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、LEDデバイスが発光していないときはその存在を感じさせず、LEDデバイスが発光しているときは表示効果に優れる、意匠性及び可撓性に優れる表示装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、以下のような構成とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
項1:可撓性基材の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子を備えるLEDデバイスと、LEDデバイスのLED配置面側の少なくとも一部を覆う多孔質材料を有する、表示装置。
項2:前記LEDデバイスが、可撓性基材の一面側上に設けられる回路、前記回路に設けられる回路側端子、及び前記回路側端子に電磁誘導加熱によりハンダ接合されたLED素子を備える、項1に記載の表示装置。
項3:前記LEDデバイスが、可撓性基材の一面側上に設けられる回路、前記回路に設けられる回路側端子、可撓性基材の他面側の前記回路側端子に対応する位置に設けられる導電性パッド、及び前記回路側端子に電磁誘導加熱によりハンダ接合されたLED素子を備える、項1に記載の表示装置。
項4:前記LEDデバイスが、下記要件(1)~(8)、
(1)可撓性基材の厚さが0.001mm~5.0mm、
(2)LED素子の個数が1個/100cm~4000個/100cm
(3)回路が導電性インクの印刷により形成されている、
(4)回路がメッキレジスト形成後にメッキすることにより形成されている、
(5)回路がメッキのシード層を印刷後にメッキすることにより形成されている、
(6)回路の幅が0.01mm~3.0mm、
(7)回路の厚さが0.001mm~0.3mm、
(8)LEDデバイスを直径1cm以上の円筒に巻き付けることが可能である、
の少なくとも1つ以上の要件を満たす、項2又は項3に記載の表示装置。
項5:前記多孔質材料は、開孔面積率が3~80%、可視光線透過率が5%以上である、項1~項4のいずれか1項に記載の表示装置。
項6:前記LEDデバイスが、可撓性基材の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子と、前記複数のLED素子の少なくとも一部が嵌合される連結部を可撓性基材端部の少なくとも一部に備える2枚以上のシートを、前記連結部と前記LED素子を嵌合させて結合して形成されたものである、項1~項5のいずれか1項に記載の表示装置。
項7:前記LEDデバイスと前記多孔質材料が、可撓性基材の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子の少なくとも一部に対応する凹部又は孔部を有する両面接着シートにより結合されている、項1~項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、LEDデバイスが発光していないときはその存在を感じさせず、LEDデバイスが発光しているときは表示効果に優れる、意匠性及び可撓性に優れる表示装置が提供される。
本発明の表示装置は、LEDデバイスが発光していないときにはその存在を感じさせないことから、建築物の美観や街中における景観を損なうことなく意匠性に優れた表示装置とすることができる。さらに、可撓性に優れることから、交通標識用ポールや街路樹に巻き付けて設置することや、暖簾や垂幕等に設置することが可能である。そして、任意の時に表示装置として使用することができ、表示装置として使用しないときにはその存在を感じさせないことから、景観と調和させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施態様である表示装置の概略構成図
図2図1の表示装置の概略断面構成図
図3】本発明の別の実施態様である表示装置の概略構成図
図4図3の表示装置の概略断面構成図
図5】本発明の第3の実施態様である表示装置の概略構成図
図6図5の表示装置の概略構成展開図
図7図5の表示装置の概略断面構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る表示装置の好適な一実施態様について説明するが、本発明は、以下の一実施態様に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲において適宜変更することが可能である。なお、異なる図面における同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目または特徴を示す。
【0010】
本発明の一実施態様である表示装置Dは、図1に示されるように、LEDデバイスLと多孔質材料1とを有する。LEDデバイスLは、可撓性基材2の一面側上に複数のLED素子3がハンダ接合されたものである。
本発明の別の実施態様である表示装置Dは、図3に示されるように、前記LEDデバイスLが、可撓性基材2の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子3と、前記複数のLED素子3の少なくとも一部が嵌合されるLEDデバイス連結部22を可撓性基材2の端部の少なくとも一部に備える2枚のLEDデバイスLa及びLbを、前記LEDデバイス連結部22と前記LED素子3とを嵌合させて結合して形成されたものであってもよい。連結するLEDデバイスは、2枚以上であってもよい。
本発明のまた別の実施態様である表示装置Dは、図5に示されるように、前記LEDデバイスLと前記多孔質材料1が、可撓性基材2の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子3の少なくとも一部に対応するLED素子嵌合部71を有する両面接着シート7により結合されたものであってもよい。
以下、LEDデバイスL、多孔質材料1及び表示装置Dについて、詳細に説明する。
【0011】
[LEDデバイス]
<可撓性基材>
LEDデバイスLにおける可撓性基材2は、絶縁体からなる。例えば、樹脂フィルム、紙、布等の絶縁体であって可撓性を有するものであれば特に限定されない。求める物性の付与が容易であるため、樹脂フィルムを有することが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を特に制限することなく使用することができる。
また、これらの樹脂の混合物であってもよく、必要に応じて、着色剤、紫外線吸収剤、赤外線反射材料、光散乱性粒子等の機能性材料を含んでいてもよい。
さらに、これらの樹脂フィルム、紙、布を、任意に組み合わせて形成された積層体であってもよい。
【0012】
可撓性基材2の厚さは、可撓性を有する限り特に限定されず、例えば、0.001mm~5.0mmとすることができる。強度とフレキシブル性の観点から、好ましくは0.01mm~3.0mm、より好ましくは0.02~1.0mmとすることができる。
可撓性基材2の光学特性は、特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明、不透明のいずれでもよい。表示装置の用途や設置場所等に応じて適宜選択することができる。
可撓性基材2の形状は、特に限定されず、多角形であっても円形であってもよい。また、同一又は異なる形状を組み合わせることで、立体構造を有していてもよい。
【0013】
(回路及び回路側端子)
可撓性基材2におけるLED素子3がハンダ接合により実装される一側面上には、少なくとも、回路と、この回路に設けられる回路側端子21(以下、回路と回路側端子21をまとめて配線という場合がある。)が形成されている。さらに、回路の末端は、電源や制御装置に接続するための接続端子を有している。
配線は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属系材料、導電性ポリマー、導電性カーボン等からなる群より選ばれる1種以上の導電性材料から構成される。
配線は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、エッチング、金属蒸着、メッキ、銀塩等からなる群より選ばれる1つ以上の方法により形成することができる。
【0014】
配線、特に回路は、その幅が0.01mm~3.0mm、好ましくは0.03mm~2.0mm、より好ましくは0.1mm~1.0mmであることが好ましい。
配線の幅が0.01mm未満であると、配線を作成することが困難になるおそれがあり、また、表示装置D及び/又はLEDデバイスLを変形させた際に、生成した応力に耐えきれず配線が断線するおそれがある。配線の幅が3.0mmを超えると、可撓性基材2として透明のものを用いて表示装置Dを形成した際に、配線が目立ち意匠性を損なうおそれがある。
【0015】
配線、特に回路は、その厚さが0.001mm~0.3mmであることが好ましい。
本発明のLEDデバイスLにおいて、LED素子3がハンダ接合されたハンダ接合部4は、剛直でありフレキシブル性を有さず、LED素子3がハンダ接合されていない部分で屈曲しフレキシブル性が発現する。そして、本発明の表示装置D及び/又はLEDデバイスLを屈曲させると、LED素子3をハンダ接合したハンダ接合部4に応力が加わることとなる。このため、配線の厚さが0.001mm未満であると、表示装置D及び/又はLEDデバイスLを変形させた際に、生成した応力に耐えきれずLED素子3のハンダ接合部4近傍で、可撓性基材2と配線との間における剥離・破壊等が起こるおそれがある。一方、配線の厚さが0.3mmを超えると、配線が剛直さを増し、表示装置D及び/又はLEDデバイスLのフレキシブル性が低下するおそれがある。配線の厚さは、より好ましくは0.003mm~0.2mm、さらに好ましくは0.003mm~0.1mm、よりさらに好ましくは0.003mm~0.08mm、最も好ましくは0.005mm~0.06mmである。
【0016】
本発明において、可撓性基材2の一面側上に設けられる配線は、導電性インクの印刷により形成されたものとできる。印刷方法としては、特に、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビアオフセット印刷が好ましい。印刷により回路を形成することで、安価に容易に大量生産することが可能となる。
また、本発明において、可撓性基材2の一面側上に設けられる配線は、印刷等の手段でメッキレジストを形成した後にメッキすることにより形成された、又はメッキのシード層を印刷後にメッキすることにより形成されたものとできる。このような方法によっても、安価に容易に大量生産することができる。
【0017】
(LED素子)
本発明のLEDデバイスLは、複数のLED素子3が、可撓性基材2の一面側上にハンダ接合されている。
LED素子3の個数は、特に限定されず、LEDデバイスLに求めるドット密度に応じて適宜定めることができる。例えば、LED素子3の個数を1個/100cm~4000個/100cm、好ましくは30個/100cm~3000個/100cm、より好ましくは60個/100cm~3000個/100cm、さらに好ましくは80個/100cm~2500個/100cmとすることができる。
これら複数のLED素子3は、一定のピッチで可撓性基材2の一面側上に設けることができる。また、任意の配列で可撓性基材2の一面側上に設けることができる。
【0018】
LED素子3は、特に限定されず、単色のLED素子、フルカラーLED素子等任意のものを用いることができる。本発明においては、制御部内臓フルカラーLEDを用いることが、表示装置Dの表現力等の観点から好ましい。フルカラーLEDは、1つのLED素子部品内に、赤(R)、緑(G)及び青(B)の少なくとも3つのLED素子と制御部を有するものである。制御部は、外部からの指令信号に基づいて、各色のLED素子の1つ以上を選択的に発光させることで、任意の色調を発光できるように構成されたものである。
外部のメイン制御部により生成された信号が、各制御部内臓フルカラーLEDに送信され制御されることで、複数のLEDがカラーディスプレイとして機能することとなる。
LEDのドット密度を高くすることで、より精細な表示を行うことができるが、フレキシブル性は低下するおそれがある。
【0019】
<ハンダ接合>
本発明において、可撓性基材の一面側上にハンダ接合する手段は、特に限定されない。使用するハンダの融点等の物性、可撓性基材2やLED素子3の耐熱性、作業性等を考慮して適宜定めることができる。
例えば、回路側端子の上に、ハンダを介してLED素子を配置し、この状態で加熱し、ハンダを溶融させて、回路側端子と電子部品側端子とをハンダ接合できればよい。これにより、例えば、図2(a)や図2(b)に示されるように、可撓性基材2の一面側上に形成された回路に設けられた回路側端子21と、LED素子3が有するLED素子側端子31とが、ハンダ接合部4を介して接続されることとなる。
ハンダ接合の際に用いられるハンダの種類は特に限定されない。本発明においては、環境面等の観点から、無鉛ハンダを用いることが好ましい。たとえば、高温ハンダ(SnAgCu系ハンダ、融点220℃程度等)から低温ハンダ(SnBi系ハンダ、融点140℃程度等)まで用いることができる。
【0020】
ハンダ接合する手段としては、例えば、ハンダフロー、ハンダリフロー、電磁誘導加熱技術(IH技術)を用いたハンダ接合等の手段を用いることができる。
このうち、ドット密度を上げるために多数のLED素子を接合させる場合等には、ポリイミド系樹脂等の耐熱性を有する可撓性基材を用い、ハンダリフロー等の手段を用いることで、作業性を向上させることができる。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等の耐熱性がそれほど高くないポリエステル系樹脂等を可撓性基材として用いる際には、電磁誘導加熱技術(IH技術)を用いたハンダ接合手段を用いることができる。電磁誘導加熱技術(IH技術)を用いたハンダ接合手段(電磁誘導加熱によるハンダ接合手段)は、導電性物質に渦電流を流してジュール熱を発生させるものであり、導電性物質を自己発熱させることができる。
電磁誘導加熱技術(IH技術)を用いたハンダ接合手段としては、例えば、前記特許文献1に記載されている手段を用いることができる。
【0021】
例えば、耐熱性がそれほど高くない可撓性基材2を用いる場合、図2(b)に示されるように、可撓性基材2の一面側上に設けられる回路に設けられる回路側端子21に対し、可撓性基材2の他面側の前記回路側端子21に対応する位置に設けられる導電性パッド5を設けることで、回路側端子21上にLED素子3を電磁誘導加熱技術(IH技術)により確実にハンダ接合することができる。これにより、LED素子3を、任意の位置に容易に配置することができる。
LEDデバイスLにおいて、可撓性基材2の他面側に設けられた導電性パッド5は、回路側端子21やハンダ等と比較して体積が大きいため、電磁誘導加熱による発熱量が大きい。そして、電磁誘導加熱により導電性パッド5で発生した熱が、可撓性基材2、回路側端子21を通じて、ハンダに伝熱することにより、効率的にハンダが加熱されて溶融し、LED素子3がハンダ接合されることとなる。この際、電磁誘導加熱により導電性パッド5で発生した熱は、速やかに熱伝導率の高いハンダに移行し、可撓性基材2の昇温が抑えられるため、可撓性基材2を非耐熱性物質とすることができる。
【0022】
導電性パッドは、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、クロム等からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含む金属系材料により形成されている。導電性パッド5は、配線と同様の方法により形成することができる。導電性パッド5は、可撓性基材2の反対面に位置する回路側端子21を包含するサイズを有し、その形状は特に限定されないが、円形状、多角形状等とすることができる。例えば、直径3mmの円形とすることができる。導電性パッド5の厚さは、配線と同じく、0.001mm~0.3mmであることが好ましく、0.003mm~0.2mmであることがより好ましく、0.005mm~0.06mmであることがさらに好ましい。
導電性パッド5は、電磁誘導加熱により発生する熱を増大させ、導電性パッド5が形成された領域の温度を特に向上させることができ、ハンダ接合をより確実に行うことが可能となる。
【0023】
また、例えば図2(a)に示されるように、可撓性基材2が他面側に導電性パッド5を有さない場合でも、加熱時間を長くする、電流を増やす、抵抗を小さくする等により、電磁誘導加熱により回路側端子21やハンダ等の内部で発生する熱により、ハンダ接合部4によりハンダ接合することができる。
また、可撓性基材2やLED素子3が耐熱性を有する場合は、リフロー炉等を用いて全体を加熱してハンダ接合することもできる。
【0024】
<LEDデバイスの特徴>
本発明の表示装置Dを構成するLEDデバイスLは、可撓性を有する。例えば、LEDデバイスLを直径1cm以上の円筒に巻き付けることが可能である。ここで、巻き付けることが可能であるとは、円筒に巻き付けた後であっても、配線の断線やLED素子3の剥離・脱落等のLEDデバイス機能の損傷が発生しないことを意味する。
本発明においては、直径1cm以上、例えば、直径10cm以上の円筒に巻き付けることが可能である。また、直径1cm以上の円弧が連なった波板等に追随されることも可能である。
【0025】
[多孔質材料]
表示装置における多孔質材料1は、可撓性を有するものであれば特に限定されない。例えば、布(織布、不織布、編物)、網、紙、多孔性フィルム、樹脂フォーム、パンチング材料(パンチングメタル、穿孔(穴あき)樹脂フィルム、メッシュ等)等があげられる
例えば、多孔質材料1として布を用いた場合、暖簾、垂幕、カーテン、壁布、旗、衣類等として用いることができる。
また、樹脂フォーム、多孔性フィルム、パンチング材料を用いた場合、建築物、内装材、看板等として用いることができる。
多孔質材料1は、必要に応じて印刷等を行うことで、その意匠性を向上させることができる。
【0026】
本発明において、多孔質材料1は、開孔面積率が3~80%であることが好ましい。より好ましくは5~75%であり、さらに好ましくは10~70%である。開口面積率は、多孔質材料1の表面に形成されている孔(開口部)の面積の割合を意味する。
開口面積率が3%未満であると、実質的に多孔質材料1の特性を示さなくなるおそれがある。また、開口面積率が80%を超える多孔質材料1は、形成することが困難となるおそれがあり、また、強度等の観点から、実用的ではないおそれがある。
【0027】
本発明において、多孔質材料1は、可視光線透過率が5%以上であることが好ましい。本発明において、可視光線の波長範囲は、360nm~830nmである。可視光線透過率は、分光光度計を用い、ISO 9050に規定する試験方法によって求められる。例えば、JIS S 3107(なお、JIS S 3107では、樹脂フィルムをガラスに貼り付けて測定が行われるが、本発明においては、ガラスに貼り付けることなく、多孔質材料1自体を測定する。)に準じて、求めることができる。
【0028】
可視光線透過率が5%未満であると、多孔質材料1を通してLEDデバイスLにおけるLED素子3の発光を目視により認識することが難しくなるおそれがある。
可視光線透過率の上限としては、例えば、80%とすることができる。80%を超えると、多孔質材料1の下にLEDデバイスLがあることが目視により容易に認識することができ、意匠性等が悪くなるおそれがある。
本発明において、多孔質材料1の可視光線透過率は、より好ましくは7~75%、さらに好ましくは10~70%である。
【0029】
[表示装置の構成・用途]
本発明において、図3に示されるように、2枚以上のLEDデバイスLa、Lb・・・を、各々連結することで、大画面のLEDデバイスLを形成することができる。
これらのLEDデバイスLa、Lb・・・は、例えば、可撓性基材2の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子3と、前記複数のLED素子3の少なくとも一部を嵌合し得るLEDデバイス連結部22を可撓性基材2の端部の少なくとも一部に備えている。
2枚以上のLEDデバイスLa及びLbは、例えば、図3及び図4に示されるように、第1のLEDデバイスLaの一面側上にハンダ接合された複数のLED素子3を、第2のLEDデバイスLbの可撓性基材2の端部に設けたLEDデバイス連結部22に嵌合させることで連結することができる。
このような構成とすることで、大画面の表示装置DやLEDデバイスLを容易に形成することが可能である。
【0030】
LEDデバイス連結部22は、LED素子3が嵌合できる形状のものであれば特に限定されず、例えば、孔や凹部があげられる。例えば、LEDデバイス22は、孔であることが簡便であり好ましい。孔の形状は、LED素子3が嵌合できれば特に限定されず、丸、多角形、楕円等の形態があげられる。
2枚以上のLEDデバイスLa、Lb・・・を、各々連結する際、それぞれのLEDデバイス間を結着するLEDデバイス連結部結着層6を形成することが好ましい。LEDデバイス連結部結着層6は、粘着剤、接着剤、接着シート等から構成することができ、2枚以上のLEDデバイスLa、Lb・・・におけるLEDデバイス間の連結を確実にすることができる。粘着剤、接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム系、エポキシ樹脂系等のものを用いることができる。弾性を有するものを用いることで、床等の衝撃を受ける場所等にも表示装置Dを設けることが可能となる。
LEDデバイス連結部結着層6を、粘着剤、接着剤、接着シート等から構成することで、2枚以上のLEDデバイスLa、Lb・・・の連結に際してLED素子3がLEDデバイス連結部22に固定され動きにくくなるため、LED素子3の配列が乱れることを防止することができ、また、2枚以上のLEDデバイスLa、Lb・・・の連結に伴う表示部の違和感を低減させることができる。
【0031】
連結により形成され大画面化されたLEDデバイスは、連結後もフレキシブル性を備えており、大型の一枚の可撓性基材に形成されたLEDデバイスと同様に取り扱うことができる。
また、LEDデバイス連結部結着層6を再剥離性の粘着剤により構成すると、LED素子3の故障等が発生してドット抜けが生じた場合であっても、対応するLED素子3が実装されているLEDデバイスLのみを交換すればよく、メンテナンス性等にも優れている。再剥離性の粘着剤としては、シリコーン樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、アクリル樹脂系等を特に制限することなく利用することができる。
【0032】
本発明において、LEDデバイスLと多孔質材料1とは、固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。また、袋状に形成した多孔質材料1にLEDデバイス3を封入した形態等であってもよい。
LEDデバイスLと多孔質材料1とを固定する場合には、例えば、粘着剤、接着剤、接着シート等を用いることができる。また、縫い合わせ、嵌合等の手段を用いることができる。
LEDデバイスLと多孔質材料1とを固定する場合、その一部を固定してもよく、全面を固定してもよい。
【0033】
本発明において、LEDデバイスLと多孔質材料1とを固定する場合は、図5図7に示すように、可撓性基材2の一面側上にハンダ接合された複数のLED素子3の少なくとも一部に対応するLED素子嵌合部71を有する両面接着シート7を用いることが好ましい。
このような両面接着シート7を用いることで、接着剤又は粘着剤のはみ出し等による汚染等が発生することを防止することができ、また、簡便な手段で容易に固定することができる。
【0034】
LEDデバイスLと多孔質材料1とが固定されていない場合、単に挟み込むだけでよい。例えば、壁等に対して、必要に応じて印刷・染色・刺繍等の装飾が施された多孔質材料1を固定する際に、多孔質材料1と壁との間にLEDデバイスLを挟み込むことができる。また、本発明の表示装置Dを暖簾や垂幕とする場合には、印刷・染色・刺繍等の装飾が施された布等の多孔質材料1とLEDデバイスLを吊り下げる等の手段をとることができる。
また、多孔質材料1とLEDデバイスLを、互いに固定することなく柱等に巻き付けることで両者を固定することができる。
【0035】
本発明の表示装置Dは、従来知られているLED発光装置として用いることができる。また、本発明の表示装置Dは、LED発光装置と同様に、多種多様な用途に供することができる。さらに、本発明の表示装置Dは、そのフレキシブル性を活かした用途に供することができる。本発明の表示装置Dの用途としては、例えば、暖簾、垂幕、カーテン、壁布、旗、衣類、内装材、建築物、看板、玩具、遊技機(パチンコ台、スロットマシン等)、ゲーム機、照明器具、タイル、医療機器、検査装置、各種産業機械、輸送機器、電気機器、農業用装置、漁具等があげられる。特に、本発明の表示装置Dは、LEDデバイスLが発光していないときにはその存在を感じさせないことが可能であり、景観に溶け込ませることが可能である。
また、事故、火災、地震、津波、洪水等の非常時・災害時や、コンサート・祭り等のイベント時等には、車両、街中、建物内等の表示装置D(LEDデバイスL)を用いて、場合によっては複数の表示装置D(LEDデバイスL)を制御し連動して情報表示させることで、避難・誘導や注意喚起等を行うことができ、極めて有用である。
さらに、衣類とすることで、警備等の際の安全ベスト、コンサートやスポーツイベント等におけるグッズとして展開することができる。
【0036】
本発明の表示装置Dの電源としては、特に限定されず、電池、家庭用電源、車両等を電源として用いることができる。例えば、電池として、乾電池やリチウムイオン電池等があげられ、特に、リチウムイオン電池は、充電により電源が繰り返し使用可能となることから好ましい。
本発明においては、電池等の電源を組み込んだ形で、さらに、必要な文字や記号等の情報等を表示させるための制御装置や制御プログラム等を含む製品として展開することができる。
【0037】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上記の構成において、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。したがって、上記の説明に含まれるか又は添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
D 表示装置
L LEDデバイス
La 第1のLEDデバイス
Lb 第2のLEDデバイス
1 多孔質材料
2 可撓性基材
21 回路側端子
22 LEDデバイス連結部
3 LED素子
31 LED素子側端子
4 ハンダ接合部
5 導電性パッド
6 LEDデバイス連結部結着層
7 両面接着シート
71 LED素子嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7