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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】移動体制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/08 20120101AFI20241225BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241225BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241225BHJP
   A47C 9/02 20060101ALI20241225BHJP
   A61G 5/04 20130101ALI20241225BHJP
【FI】
B60W40/08
B60W50/14
G08G1/16 F
A47C9/02
A61G5/04 707
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2022547623
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2021033023
(87)【国際公開番号】W WO2022054834
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】202010934507.X
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】甘 泉
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-285013(JP,A)
【文献】特開2006-280513(JP,A)
【文献】特開2018-202130(JP,A)
【文献】特開2019-016160(JP,A)
【文献】特開2020-052482(JP,A)
【文献】特開2019-136165(JP,A)
【文献】特開2006-281923(JP,A)
【文献】特開2010-069983(JP,A)
【文献】特開2012-230535(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221364(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
A47C 9/02
A61G 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体制御装置によって実行される移動体制御方法であって、
ユーザーが屋内オフィス環境の特定の区画で作業状態にあるときに、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、前記ユーザーを刺激するための移動案を特定する工程、および、
当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された前記移動案を実行させる工程を含み、
前記移動体はオフィス内を移動する車椅子である、ことを特徴とする、
移動体制御方法。
【請求項2】
ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、前記ユーザーを刺激するための移動案を特定する前記工程は、
ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定すること、
前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があった場合、前記ユーザーの作業状態パラメータの異常に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定すること、および、
特定された前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、前記移動案を特定することを含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項3】
ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定する前記工程は、
収集したユーザー生体情報から、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値を特定すること、および、
前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲とを比較し、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値が前記正常範囲内にある場合、前記ユーザーの作業状態パラメータが正常であることを特定し、前記ユーザーの作業状態パラメータが前記正常範囲外にある場合、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを特定すること、を含むことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項4】
前記ユーザー生体情報は、前記ユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、および、呼吸数のうちの少なくとも1つを含み、
前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲は、前記ユーザーの属性情報、作業情報、および、第1の環境情報のうちの少なくとも1つによって決められる、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項5】
前記ユーザーの属性情報は、前記ユーザーの年齢、性別、身長、体重、生活習慣、着用状況、および、個人的習慣化動作のうちの少なくとも1つを含み、
前記ユーザーの作業情報は、前記ユーザーの職業、職務、勤務年数、勤務時間、および、勤務スケジュールのうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の環境情報は、天気状況、空気質、および、前記移動体の周辺環境状況のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項6】
前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があった場合、前記ユーザーの作業状態パラメータの異常に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定する前記工程は、
前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の上限との差、および、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の下限との差、をそれぞれ、計算すること、および、
前記差に基づいて、前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定することを含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項7】
特定された前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、前記ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定する前記工程は、
前記移動体の移動案候補の集合と、前記集合における各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量とを特定すること、および、
前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、前記集合において前記調整量に対応する移動案候補を特定された移動案として選択すること、を含むことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項8】
前記集合における各移動案候補と特定された移動案は、少なくとも1つの実行可能な移動動作を含み、
前記移動動作は、移動距離、移動方向、回動角度、移動加速度、および、加速度持続期間のうちの少なくとも1つによって定義されている、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項9】
前記移動体の移動案候補の集合と、前記集合における各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量とを特定する前記工程は、
第2の環境情報と前記移動体の状態情報から、前記移動体の全ての移動案候補を特定すること、および、
各移動案候補に含まれた実行可能な移動動作に対応する作業状態パラメータの調整量に応じて、各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量を特定することを含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項10】
前記第2の環境情報は、前記移動体の周辺障害物と前記移動体の所在領域の地図情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記移動体の状態情報は、前記移動体の電力残量、前記移動体の残りの移動可能な距離、前記移動体の運転状態、及び、故障情報のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項11】
前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させた後、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元したか否かを特定する工程、および、
前記ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元しなかった場合、前記ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元するまで、前記移動案を再特定して前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させる工程、をさらに含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項12】
当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定した後、特定された前記移動案をユーザーに提示する工程、および、
ユーザーによる選択の結果に応じて、前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させるか否かを特定し、かつ、特定された前記移動案が複数ある場合、移動体を制御して実行させる移動案を特定する工程、をさらに含む、ことを特徴とする、
請求項に記載の移動体制御方法。
【請求項13】
前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させた後、前記ユーザーからのフィードバック情報を取得する工程、および、
前記フィードバック情報を、前記ユーザーを乗せた移動体の移動方法に対する特定の方法をトレーニングするために用いる工程、をさらに含むことを特徴とする、
請求項12に記載の移動体制御方法。
【請求項14】
前記ユーザーの作業状態パラメータは、ユーザーの集中力、感情的パラメータ、または、疲労度を含む、ことを特徴とする、
請求項1~13のいずれか1項に記載の移動体制御方法。
【請求項15】
ユーザーが屋内オフィス環境の特定の区画で作業状態にあるときに、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、前記ユーザーを刺激するための移動案を特定する特定手段、および、
当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された前記移動案を実行させる制御手段を備え、
前記移動体はオフィス内を移動する車椅子である
ことを特徴とする、
移動体制御装置。
【請求項16】
前記特定手段は、
ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定する第1の特定手段と、
前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があった場合、前記ユーザーの作業状態パラメータの異常状況に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定する第2の特定手段と、
特定された前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、前記移動案を特定する第3の特定手段と、を含む、ことを特徴とする、
請求項15に記載の移動体制御装置。
【請求項17】
前記第1の特定手段は、
収集したユーザー生体情報から、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値を特定する第4の特定手段と、
前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲とを比較し、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値が前記正常範囲内にある場合、前記ユーザーの作業状態パラメータが正常であることを特定し、前記ユーザーの作業状態パラメータが前記正常範囲外にある場合、前記ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを特定する第5の特定手段と、を含むことを特徴とする、
請求項16に記載の移動体制御装置。
【請求項18】
前記ユーザー生体情報は、前記ユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、および、呼吸数のうちの少なくとも1つを含み、
前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲は、前記ユーザーの属性情報、作業情報、および、第1の環境情報のうちの少なくとも1つによって決められる、ことを特徴とする、
請求項17に記載の移動体制御装置。
【請求項19】
前記ユーザーの属性情報は、前記ユーザーの年齢、性別、身長、体重、生活習慣、着用状況、および、個人的習慣化動作のうちの少なくとも1つを含み、
前記ユーザーの作業情報は、前記ユーザーの職業、職務、勤務年数、勤務時間、および、勤務スケジュールのうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の環境情報は、天気状況、空気質、および、前記移動体の周辺環境状況のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする、
請求項18に記載の移動体制御装置。
【請求項20】
前記第2の特定手段は、
前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の上限との差、および、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の下限との差、をそれぞれ、計算する第1の計算手段と、
前記差に基づいて、前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定する第6の特定手段と、を含む、ことを特徴とする、
請求項16に記載の移動体制御装置。
【請求項21】
前記第3の特定手段は、
前記移動体の移動案候補の集合と、前記集合における各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量とを特定する第7の特定手段と、
前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、前記集合において前記調整量に対応する移動案候補を特定された移動案として選択する第1の選択手段と、を含むことを特徴とする、
請求項16に記載の移動体制御装置。
【請求項22】
前記集合における各移動案候補と特定された移動案は、少なくとも1つの実行可能な移動動作を含み、
前記移動動作は、移動距離、移動方向、回動角度、移動加速度、および、加速度持続期間のうちの少なくとも1つによって定義されている、ことを特徴とする、
請求項21に記載の移動体制御装置。
【請求項23】
前記第7の特定手段は、
第2の環境情報と前記移動体の状態情報から、前記移動体の全ての移動案候補を特定する第8の特定手段と、
各移動案候補に含まれた実行可能な移動動作に対応する作業状態パラメータの調整量に応じて、各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量を特定する第9の特定手段と、を含む、ことを特徴とする、
請求項21に記載の移動体制御装置。
【請求項24】
前記第2の環境情報は、前記移動体の周辺障害物と前記移動体の所在領域の地図情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記移動体の状態情報は、前記移動体の電力残量、前記移動体の残りの移動可能な距離、前記移動体の運転状態、及び、故障情報のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする、
請求項23に記載の移動体制御方法。
【請求項25】
前記特定手段は、前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させた後、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元したか否かを特定し、
前記ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元しなかった場合、前記特定手段と前記制御手段は、それぞれ、前記ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元するまで、前記移動案を再特定し、前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させる、ことを特徴とする、
請求項15に記載の移動体制御装置。
【請求項26】
前記ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定した後、特定された前記移動案をユーザーに提示する提示手段と、
ユーザーによる選択の結果に応じて、前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させるか否かを特定し、かつ、特定された前記移動案が複数ある場合、前記移動体を制御して実行させる移動案を特定する第10の特定手段と、をさらに備えた、ことを特徴とする、
請求項15に記載の移動体制御装置。
【請求項27】
前記移動体を制御して特定された前記移動案を実行させた後、前記ユーザーからのフィードバック情報を取得する取得手段と、
前記フィードバック情報を、前記特定手段をトレーニングするために用いる、トレーニング手段と、をさらに備えた、ことを特徴とする、
請求項26に記載の移動体制御装置。
【請求項28】
前記ユーザーの作業状態パラメータは、ユーザーの集中力、感情的パラメータ、または、疲労度を含む、ことを特徴とする、
請求項15~27のいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項29】
請求項15~27のいずれか1項に記載の移動体制御装置と、
少なくとも1つのユーザーを乗せた乗せ手段と、
前記乗せ手段を一緒に移動するように連動させるとともに、前記移動体制御装置によって制御されたことで、特定された移動案を実行する移動手段と、を備えたことを特徴とする、
移動体。
【請求項30】
請求項15~27のいずれか1項に記載の移動体制御装置を備えた、ことを特徴とする、
サーバ。
【請求項31】
請求項29に記載の移動体を少なくとも1つ含む、ことを特徴とする、
オフィスシステム。
【請求項32】
請求項30に記載のサーバと、
少なくとも1つの移動体と、を含み、
前記移動体は、
少なくとも1つのユーザーを乗せた乗せ手段と、
前記乗せ手段を一緒に移動するように連動させるとともに、前記サーバによって制御されたことで、特定された移動案を実行する移動手段と、を含むことを特徴とする、
オフィスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御分野に関し、特に、移動体制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の領域において長期間に亘って作業や他の活動を行っていると、ユーザーの作業状態パラメータに異常が発生しやすく、作業や他の活動の展開に影響を与える。例えば、作業状態パラメータは、集中力であってもよい。
【0003】
また、現在の屋内オフェス環境では、社員が特定の区画において仕事をしていることが殆どである。社員による仕事の効率と集中力との間の関係は、通常、ヤーキーズ・ドットソンの法則(Yerkes-DodsonLaw)により説明することが可能である。つまり、集中力が低すぎると、又は、高すぎると、仕事の効率が低下していくが、集中力が適切なレベルにある場合のみにて、仕事の効率を最適にすることができる。
【0004】
ユーザーによる作業や他の活動の効率を向上させる方法として、従来技術では、ユーザーがいる領域内の装置を用いて、音声、照明、匂い、振動などの物理的刺激によってユーザーに刺激を与えることにより、ユーザーの集中力のような作業状態パラメータを調整することが一般的である。
【0005】
特許文献1(特開2019-016028号公報)では、シートにおける人体の異なる部位に対して機能させる振動装置を制御することにより、ユーザーの集中力への制御を実現させる方法が開示されている。人体の背中、頚部、腰部、臀部、大腿内側部に対して機能させる振動装置により、車両の運転手に対して振動の刺激を与えることで、車両の自動運転と手動運転との切り換え時、運転手が適切な集中力を有する状態にあることが可能である。
【0006】
特許文献2(特開2018-070029号公報)では、手動運転への集中力を向上させる方法が開示されている。車両による自動運転モードから手動運転モードへ切り換え時、運転者に対して、操作指示や味覚、聴覚、触覚、視覚などのような刺激を与えることで、運転者の集中力を車両に対する手動運転が可能な状態にさせる。
【0007】
特許文献3(特許第5741484号公報)では、睡眠深度を制御する方法が開示されている。走行軌跡情報、路上状況、車外騒音などの情報を検出し、当該情報に基づいて、例えば、スピーカーや照明装置などの刺激付与装置を制御するとともに、運転者に対して適切な物理的刺激を与えることにより、運転者の睡眠深度への制御を実現させる。
【0008】
ここで注意すべきなのは、上記の技術背景に対する紹介は、本発明の技術案に対してより明瞭かつ完全な説明を行うことに利便を図りながら、当業者が理解しやすいように供するものに過ぎない。本発明の背景技術の部分に記載されていることだけで、上記の技術案が当業者により公知されたものであると認定してはならない。
【発明の概要】
【0009】
しかし、発明者は以下のような問題点を発見した。これらの従来の方法では、ユーザーに刺激を与える手段がより簡単的であり、それでもたらされた刺激効果の持続期間も短い。与えられる刺激の種類が少ないので、一旦、ユーザーが慣れると、それらの刺激による集中力の向上という効果が大幅に低下していく。また、これらの従来の方法によって刺激が与えられるタイミングは必ずしも、ユーザーがその刺激を必要とするタイミングとは限らないので、刺激が与えられたとしても、あまり効果がない場合もある。
【0010】
上記問題点のうちの少なくとも1つを解決するために、本発明の実施例では、移動体制御方法及び装置を提供し、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0011】
本発明の実施例における第1の態様では、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定する工程、および、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる工程を含む、移動体制御方法を提供する。
【0012】
本発明の実施例における第2の態様では、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定する特定手段と、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる制御手段と、を備えた、移動体制御装置を提供する。
【0013】
本発明の実施例における第3の態様では、本発明の実施例における第2の態様に記載の移動体制御装置と、少なくとも1つのユーザーを乗せた乗せ手段と、前記乗せ手段を一緒に移動するように連動させるとともに、前記移動体制御装置によって制御されたことで、特定された移動案を実行する移動手段と、を備えた移動体を提供する。
【0014】
本発明の実施例における第4の態様では、本発明の実施例における第2の態様に記載の移動体制御装置を備えたサーバを提供する。
【0015】
本発明の実施例における第5の態様では、本発明の実施例における第3の態様に記載の移動体を少なくとも1つ含むオフィスシステムを提供する。
【0016】
本発明の実施例における第6の態様では、本発明の実施例における第4の態様に記載のサーバと、少なくとも1つの移動体と、を含み、前記移動体は、少なくとも1つのユーザーを乗せた乗せ手段と、前記乗せ手段を一緒に移動するように連動させるとともに、前記サーバによって制御されたことで、特定された移動案を実行する移動手段と、を備えたオフィスシステムを提供する。
【0017】
本発明の実施例による有益な効果の一つは以下の通りである。ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができ、また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることもできる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0018】
後述する説明と図面を参照して、本発明の特定な実施の形態は詳しく開示され、本発明の原理が使用されることも示された。理解すべきことは、本発明の実施の形態は、範囲上にそれで限定されていない。添付される特許請求の範囲の精神及び請求項の範囲内において、本発明の実施の形態は多くの変更、修正及び均等物を含む。
【0019】
1つの実施の形態の記載及び示された特徴情報に対して、同一又は類似した様態で1つ又は更に多くのその他の実施の形態に使用されてもよいし、その他の実施の形態の特徴と組み合わせてもよいし、或は、その他の実施の形態の特徴情報の代わりに使用してもよい。
【0020】
強調すべきことは、用語である「備える/含む」は、本文で特徴情報、整体部材、工程又は部材の存在を示すために使われているが、1つ又は更に多くのその他の特徴情報、整体部材、工程又は部材の存在或は付加が排除されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
下記の添付図面を参照してから、本発明の多くの態様をよりよく理解することが可能となる。添付図面に示す部材は、比例にして描かれたものではなく、本発明の原理を示すためのものに過ぎない。本発明に係るいくつかの部分の表現や記述に利便性を図るために、添付図面に対応する部分は、拡大されたり縮小されたりする可能性がある。本発明に係る1枚の添付図面または1つの実施の形態に示された要素や特徴情報は、1つ又は更に多くのその他の添付図面または実施の形態に示された要素や特徴情報と組み合わせることができる。また、添付図面には、類似した符号は、いくつかの添付図面における対応する部材を示し、かつ、1つ以上の実施の形態に使用された対応部材を示すこともできる。
図1】本発明の実施例1における移動体制御方法の一概略図である。
図2】本発明の実施例1における移動体の一概略図である。
図3】本発明の実施例1における工程101の実現方法の一概略図である。
図4】本発明の実施例1における当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定するための方法の一概略図である。
図5】本発明の実施例1における当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定するための方法の一概略図である。
図6】本発明の実施例1における移動案を特定する方法の一概略図である。
図7】工程601の実現方法の一概略図である。
図8】本発明の実施例1における移動動作を定義するための一概略図である。
図9】本発明の実施例1における一部の典型的な移動案と体感刺激の原理を説明するための一概略図である。
図10】本発明の実施例1における実行可能な移動動作から導き出された全ての移動案候補の一概略図である。
図11】本発明の実施例1における実行可能な移動動作から導き出された全ての移動案候補の別の概略図である。
図12】本発明の実施例1における移動体制御方法のフローチャートである。
図13】本発明の実施例1における移動体制御方法の別のフローチャートである。
図14】本発明の実施例2における移動体制御装置の一概略図である。
図15】本発明の実施例2における特定手段の一概略図である。
図16】本発明の実施例2における第1の特定手段の一概略図である。
図17】本発明の実施例2における第2の特定手段の一概略図である。
図18】本発明の実施例2における第3の特定手段の一概略図である。
図19】本発明の実施例2における第7の特定手段の一概略図である。
図20】本発明の実施例3における移動体の一概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0023】
<実施例1>
本発明における実施例1は、移動体制御方法を提供する。図1は、本発明の実施例1における移動体制御方法の一概略図である。図1に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0024】
工程101:ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定すること、および、
工程102:当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させること。
【0025】
それで、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができ、また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることもできる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0026】
本発明の実施例では、当該方法は、移動体制御装置の移動を制御するために用いられる。当該移動体は、少なくとも1つのユーザーを乗せることができる種々の移動体であってもよい。例えば、当該移動体はシートであってもよい。しかし、本発明の実施例では、当該移動体の形式や種類が制限されない。
【0027】
図2は、本発明の実施例1における移動体の一概略図である。図2に示されるように、移動体200は、少なくとも1つのユーザー300を乗せるための乗せ手段201と、乗せ手段201を一緒に移動するように連動させるための移動手段202と、を含み、且つ、移動手段202は、図1に示される移動体制御装置100によって制御されたことで、特定された移動案を実行する。例えば、当該移動手段202は、当該移動手段を駆動させるモータを少なくとも1つ備える。
【0028】
本発明の実施例では、当該乗せ手段201は、少なくとも1つのユーザーを乗せることができる空間を有し、当該移動手段202は、例えば、回転・転向可能な複数のホイール及びそれらのホイールの回転・転向を駆動させる駆動部材を有する。
【0029】
本発明の実施例では、当該方法は、当該移動体自体によって実行されてもよく、遠隔のサーバによって実行されてもよい。例えば、クラウド端末のサーバによって実行されてもよい。
【0030】
当該方法がサーバによって実行された場合、例えば、当該サーバは、移動案を実行する制御信号を生成した後、当該制御信号を当該移動体に送信し、当該移動体に当該移動案を実行させる。
【0031】
本発明の実施例では、当該ユーザーを刺激するための移動案は、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案であり、移動体の移動により、ユーザーに対して適宜な刺激を与える。
【0032】
本発明の実施例では、ユーザーの作業状態パラメータは、例えば、ユーザーの集中力、感情的パラメータ、または、疲労度を含む。
【0033】
本発明の実施例では、作業状態パラメータが集中力であることを例にして具体的に説明する。他の種類のパラメータについて、類似した方法によって実施されてもよい。本発明の実施例では、作業状態パラメータの具体的なパラメータ種類について制限されていない。
【0034】
図3は、本発明の実施例1における工程101の実現方法の一概略図である。図3に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0035】
工程301:ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定すること、
工程302:当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があった場合、当該ユーザーの作業状態パラメータの異常に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定すること、および、
工程303:特定された当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定すること。
【0036】
工程301では、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定する。当該ユーザーに対する作業状態パラメータへの検出は、種々のセンサによって実現されてもよい。これらのセンサは、移動体上に設けられてもよく、又は、一部のセンサが移動体上に設けられるが、他部のセンサが当該移動体の所在領域における適切な位置に設けられてもよい。
【0037】
本発明の実施例では、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出は継続して行われてもよい。例えば、ユーザーが当該移動体に乗っている期間に、当該ユーザーの作業状態パラメータに対する検出が継続して行われてもよい。
【0038】
本発明の実施例では、複数のセンサにより、ユーザー生体情報を収集して当該ユーザーの作業状態パラメータの検出結果を特定してもよい。当該ユーザー生体情報は、当該ユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、および、呼吸数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0039】
例えば、顔検出カメラ、動作検出カメラ、座り方検出センサ、心拍数センサ、呼吸数センサなどのセンサにより、ユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、及び、呼吸数などを収集してもよい。
【0040】
図4は、本発明の実施例1における当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定するための方法の一概略図である。図4に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0041】
工程401:収集したユーザー生体情報から、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値を特定すること、および、
工程402:当該ユーザーの作業状態パラメータの数値と当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲とを比較し、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値が当該正常範囲内にある場合、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常であることを特定し、当該ユーザーの作業状態パラメータが当該正常範囲外にある場合、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを特定すること。
【0042】
工程401では、例えば、収集したユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、および、呼吸数のうちの少なくとも1つに基づき、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値を特定する。当該工程は、1つのモデルをトレーニングして実現されてもよい。例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN、Convolutional Neural Networks)に基づくモデルをトレーニングして、収集したユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、および、呼吸数のうちの少なくとも1つを、当該モデルに入力し、当該モデルから当該ユーザーの作業状態パラメータの数値が出力される。
【0043】
ユーザーの集中力を例にして説明する。例えば、ユーザーの集中力の数値は0~100で示されてもよい。数値が高いほど、ユーザーの集中力が高いことを示すが、数値が低いほど、ユーザーの集中力が低いことを示す。
【0044】
工程402では、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値と当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲とを比較することで、当該ユーザーが現在、作業状態パラメータの異常状態にあるか否かを特定する。
【0045】
本発明の実施例では、ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲は予め決められてもよい。例えば、当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲は、当該ユーザーの属性情報、作業情報、および、第1の環境情報のうちの少なくとも1つによって決められてもよい。そうすると、ユーザーの属性情報を含む様々な方面の情報を組み合わせて作業状態パラメータの正常範囲を設定するとともに、各ユーザーの特徴及び他の情報に基づいて異なる作業状態パラメータの正常範囲を設定することにより、作業状態パラメータが異常か否かへの判断の正確性が確保され、さらに、刺激付与の適当性や必要性が確保される。
【0046】
例えば、ユーザーの属性情報は、当該ユーザーの年齢、性別、身長、体重、生活習慣、着用状況、および、個人的習慣化動作のうちの少なくとも1つを含み、ユーザーの作業情報は、当該ユーザーの職業、職務、勤務年数、勤務時間、および、勤務スケジュールのうちの少なくとも1つを含み、第1の環境情報は、天気状況、空気質、および、前記移動体の周辺環境状況のうちの少なくとも1つを含む。
【0047】
例えば、ユーザーの性別、年齢、現在の作業タスク情報を組み合わせて、集中力の正常範囲を、50~70に設定してもよい。例えば、当該ユーザーの現在の集中力の数値が35又は90であると特定されると、当該ユーザーの集中力が異常状態にあると思われる。
【0048】
工程302では、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があった場合、当該ユーザーの作業状態パラメータの異常に応じて、前記ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定する。
【0049】
図5は、本発明の実施例1における当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定するための方法の一概略図である。図5に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0050】
工程501:当該ユーザーの作業状態パラメータの数値と当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の上限との差、および、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値と当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の下限との差、をそれぞれ、計算すること、および、
工程502:当該差に基づいて、当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定すること。
【0051】
ユーザーの集中力を例にして説明する。例えば、当該ユーザーの現在の集中力の数値が35であり、当該ユーザーの集中力の正常範囲が50~70となると、現在の集中力の数値35と当該正常範囲の下限値50との差が15となり、上限値70との差が35となる。そうすると、数値15と数値35に基づいて、当該ユーザーの集中力の調整量を特定する。
【0052】
例えば、当該調整量が15~35の範囲内のいずれか1つの数値であってもよい。例えば、当該調整量が20であってもよい。
【0053】
つまり、作業状態パラメータの正常範囲を基準として当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定することにより、調整後の作業状態パラメータが当該作業状態パラメータの正常範囲内にあるようになり、又は、当該作業状態パラメータの正常範囲に接近するようになる。本発明の実施例では、具体的な計算方式が制限されていない。
【0054】
工程203では、特定された当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定する。
【0055】
本発明の実施例では、当該移動案では、少なくとも1つの動作が含まれてもよく、当該動作は、移動距離、移動方向、回動角度、移動加速度、および、加速度持続期間のうちの少なくとも1つによって定義されてもよい。
【0056】
本発明の実施例では、まず、当該移動体が実行可能な全ての移動案候補を特定し、即ち、移動案候補の集合を特定するとともに、当該調整量に基づいて当該集合から選択することが可能である。
【0057】
図6は、本発明の実施例1における移動案を特定する方法の一概略図である。図6に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0058】
工程601:当該移動体の移動案候補の集合と、当該集合における各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量とを特定すること、および、
工程602:当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該集合において当該調整量に対応する移動案候補を特定された移動案として選択すること。
【0059】
そうすると、全ての可能性のある移動案候補から、調整量に基づいて選択することにより、より大きな選択可能な範囲内から、適切な移動案を特定することができ、さらに、ユーザーの作業状態パラメータを適切な範囲内に制御できるような効果が確保される。
【0060】
本発明の実施例では、「当該調整量に対応する移動案候補」とは、当該移動案候補の調整量が当該調整量に等しいもの、又は、接近するものであることを意味している。
【0061】
本発明の実施例では、同様に、当該集合における各移動案候補では、少なくとも1つの実施可能な動作が含まれてもよく、当該移動動作は、移動距離、移動方向、回動角度、移動加速度、および、加速度持続期間のうちの少なくとも1つによって定義されてもよい。
【0062】
又は、本発明の実施例では、特定された当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を直接に特定してもよい。例えば、当該調整量に応じて、複数の実行可能な移動動作を選択又は組み合わせることで、当該移動案を特定してもよい。
【0063】
工程601では、当該移動体の移動案候補の集合と、当該集合における各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量とを特定する。図7は、工程601の実現方法の一概略図である。図7に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0064】
工程701:第2の環境情報と当該移動体の状態情報から、当該移動体の全ての移動案候補を特定すること、および、
工程702:各移動案候補に含まれた実行可能な移動動作に対応する作業状態パラメータの調整量に応じて、各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量を特定すること。
【0065】
例えば、当該第2の環境情報は、当該移動体の周辺障害物と当該移動体の所在領域の地図情報のうちの少なくとも1つを含み、当該移動体の状態情報は、当該移動体の電力残量、当該移動体の残りの移動可能な距離、当該移動体の運転状態、及び、故障情報のうちの少なくとも1つを含む。
【0066】
そうすると、環境情報と移動体の状態情報を組み合わせて、当該移動体の全ての移動案候補を特定することにより、全ての実行可能かつ実現されやすい移動案を取得することができる。
【0067】
工程702では、各移動案候補に含まれた実行可能な移動動作に対応する作業状態パラメータの調整量に応じて、各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量を特定する。例えば、複数の実行可能な移動動作が予め設定されるとともに、当該実行可能な移動動作でもたらされ得る作業状態パラメータの調整量も特定される。移動案候補に含まれた動作の作業状態パラメータの調整量を重畳した後、当該移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量が得られる。
【0068】
本発明の実施例では、各動作でもたらされ得る作業状態パラメータの調整量は、医学的経験及び/又は深度学習が行われた人工知能アルゴリズムによって推算されてもよい。
【0069】
以下は、具体的に例を挙げて説明する。
【0070】
本発明の実施例では、各移動案候補及び移動案候補から選択された移動案では、少なくとも1つの動作が含まれ、当該動作は、移動距離、移動方向、回動角度、移動加速度、および、加速度持続期間のうちの少なくとも1つによって定義されてもよい。
【0071】
例えば、各移動案候補及び移動案候補から選択された移動案は、1つの実行可能な移動動作または複数の実行可能な移動動作の組合せであってもよい。例えば、複数の移動動作が一定の順序に従って組み合せられたものであってもよい。
【0072】
本発明の実施例では、まず、各移動動作を定義する。図8は、本発明の実施例1における移動動作を定義するための一概略図である。図8に示されるように、移動体200の中心を原点Oとして定義された極座標系において、移動体の目標変位座標が(d,θ)で定義されてもよい。移動体の加速度aと加速度作用時間tを組み合わせると、移動動作は、d、θ、a、tの関数として、p(d,θ,a,t)で定義されてもよい。
【0073】
全ての実行可能な移動動作の集合は、P={p1,p2,……,pn}で示されてもよく、ただし、nが整数であってn≧1である。さらに、移動案候補の集合は、ACT(P)={act=s1s2……sm | sm∈P,m≧1}で定義されると、ここで、移動案act=s1s2……smは、移動動作がs1、s2、……、smの順に従って実行される一動作案を示し、ただし、m≧1であって、各移動動作が当該実行可能な移動動作の集合Pに属するものである。
【0074】
各移動案候補に対応する集中力の調整量は、当該移動案候補の関数として見なされてもよく、 (act)で定義される。移動体が特定された移動案を実行するときに発生した体感刺激効果は、「移動中でもたらされる刺激」と「移動先でもたらされる刺激」の2種類に分けられてもよい。
【0075】
図9は、本発明の実施例1における一部の典型的な移動案と体感刺激の原理を説明するための一概略図である。移動案と人体体感刺激との関連性及び体感刺激と集中力の変化との関連性を用いて、 (act)を算出することが可能である。
【0076】
本発明の実施例では、第2の環境情報と移動体の状態情報から、当該移動体の全ての移動案候補を特定する。例えば、第2の環境情報と移動体の状態情報から、実行可能な各動作及びそれでもたらされ得る作業状態パラメータの調整量を特定するとともに、実行可能な各動作に応じて、全ての移動案候補及び各移動案候補でもたらされ得る作業状態パラメータの調整量を特定する。
【0077】
例えば、移動体におけるレーザレーダにより、移動体が移動可能な範囲を測定し、電力残量から、モータを駆動して提供させることができる加速度と駆動時間を算出した後、実行可能な移動動作とそれで特定された全ての移動案候補を取得する。
【0078】
図10は、本発明の実施例1における実行可能な移動動作から導き出された全ての移動案候補の一概略図である。図10に示されるように、各実行可能な移動動作はそれぞれでもたらされ得る集中力の調整量に対応するものであり、各実行可能な移動動作を組み合わせることで、全ての移動案候補及びそれらでもたらされ得る集中力の調整量を特定することができる。
【0079】
例えば、あるユーザーの集中力の正常範囲が50~70の場合、集中力を検出することによって、当該ユーザーの現在の集中力の数値が36であることが特定される。図9に示す各移動案候補と比較してから分かるように、「加速で前進してから加速で後退することを連続して3回も繰り返すこと」(集中力の調整量が+15となること)により、当該ユーザーの集中力の数値を迅速に、正常範囲内にあるように調整することができる。そのため、その移動案候補を、特定された移動案として選択する。
【0080】
更に、例えば、集中力を検出することによって、当該ユーザーの現在の集中力の数値が82であることが特定される。図10に示す各移動案候補と比較してから分かるように、「人に見られにくい角度まで回転させること」(集中力の調整量が-10となること)により、当該ユーザーの集中力の数値を迅速に、正常範囲に接近する値に調整することができる。そのため、その移動案候補を、特定された移動案として選択する。
【0081】
本発明の実施例では、当該移動体は自由に移動することができ、又は、当該移動体は一定のレール上を移動することもできる。
【0082】
例えば、ユーザーが一定のレールに沿って等速で移動している移動体に乗っている場合、当該移動体は、事前に計画されたレールに沿って移動しており、加速度を調整することができ、加速度の持続期間を設定することができる。作業状態パラメータに対する検出の結果から、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったと判断された場合、実行可能な移動動作は、加速度aと加速度作用時間tの関数p'(a,t)で示されてもよい。
【0083】
図11は、本発明の実施例1における実行可能な移動動作から導き出された全ての移動案候補の別の概略図である。図11に示されるように、実行可能な動作は、加速又は減速であり、且つ、異なる実行可能な動作に応じて、全ての移動案候補を特定する。移動体を制御して加減速を行うこと、および、加減速の時間を制御することにより、集中力が増加し、又は、集中力が減少する効果が得られる。
【0084】
本発明の実施例では、図1に示されるように、該方法において、以下の工程がさらに含まれてもよい。
【0085】
工程103:当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させた後、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元したか否かを特定する。
【0086】
当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元しなかった場合、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元するまで、当該移動案を再特定して当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させること。つまり、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元するまで、工程101~工程102が繰り返し実行される。
【0087】
そうすると、調整後の作業状態パラメータの数値に基づいて、予想の調整効果が得られたか否かを確認することができ、得られない場合、調整を引き続き行うこととなる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適切な範囲内にあるように制御することが確保された。
【0088】
本発明の実施例では、「当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元しなかった場合」は、例えば、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値が当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲外にある場合、または、当該作業状態パラメータの正常範囲に接近するものである場合を指す。
【0089】
本発明の実施例では、当該工程103は、選択可能な工程である。
【0090】
図12は、本発明の実施例1における移動体制御方法のフローチャートである。図12に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0091】
工程1201:当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを判断し、例えば、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて判断し、判断の結果が「YES」の場合、工程1202に進むが、判断の結果が「NO」の場合、工程1201に戻ること、
工程1202:当該ユーザーの作業状態パラメータの異常に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定すること、
工程1203::特定された当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定すること、
工程1204:当該移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させること、
工程1205:当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元したか否かを判断し、例えば、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて判断し、判断の結果が「YES」の場合、プロセスを終了するが、判断の結果が「NO」の場合、工程1202に戻ること。
【0092】
本発明の実施例では、工程1201~工程1205の具体的な実現方式は、図1における各工程を参照して実現されてもよい。ここでは説明を省略されたい。
【0093】
本発明の実施例では、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定した後、特定された当該移動案をユーザーに対して提示することもでき、且つ、ユーザーによる選択の結果に応じて、当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させるか否かを特定し、かつ、特定された当該移動案が複数ある場合、当該移動体を制御して実行させる移動案を特定する。また、当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させた後、当該ユーザーからのフィードバック情報を取得し、当該フィードバック情報を、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案に対する特定の方法をトレーニングするために用いてもよい。
【0094】
それで、ユーザーによる確認や選択が得られてから、移動案が実行されることにより、ユーザー体験をさらに向上させることができる。しかも、ユーザーからのフィードバック情報を、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案に対する特定の方法をトレーニングするために用いることにより、移動案を特定するための正確性を高めることができ、それにより、作業状態パラメータの調整に対する当該移動案の有効性をさらに向上させる。
【0095】
図13は、本発明の実施例1における移動体制御方法の別のフローチャートである。図13に示されるように、当該方法において、以下の工程が含まれる。
【0096】
工程1301:当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを判断し、例えば、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて判断し、判断の結果が「YES」の場合、工程1202に進むが、判断の結果が「NO」の場合、工程1301に戻ること、
工程1302:当該ユーザーの作業状態パラメータの異常に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定すること、
工程1303:特定された当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定すること、
工程1304:特定された移動案をユーザーに対して提示すること、
工程1305:ユーザーによる選択の結果が実行される移動案か否かを判断し、判断の結果が「YES」の場合、工程1306に進むが、判断の結果が「NO」の場合、プロセスを終了すること、
工程1306:ユーザーによる選択の結果に応じて、移動案を特定すること、
工程1307:当該移動体を制御して、当該移動案を実行させること、
工程1308:当該ユーザーからのフィードバック情報を取得すること、および、
工程1309:当該フィードバック情報を、工程1303に提供して、移動案に対する特定の方法をトレーニングすること。
【0097】
本発明の実施例では、特定された移動案をユーザーに対して提示する工程及びユーザーからのフィードバック情報を、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案に対する特定の方法をトレーニングするために用いる工程は、当該方法が用いられる初期段階に実行されてもよい。大量のフィードバック情報が累積した後、特定された移動案をユーザーに対して提示することなく、また、ユーザーからのフィードバックを要求することなく、図11に示す工程を参照して当該方法を実行させてもよい。
【0098】
本発明の実施例では、特定された移動案をユーザーに対して提示するために、例えば、当該移動案を移動体の表示画面、又は、当該ユーザーが使用している移動端末に送信してもよい。当該ユーザーは、当該移動体の表示画面または当該移動端末を利用して情報をフィードバックすることができ、当該ユーザーからのフィードバック情報は、例えば、「変化無し」、「集中力が向上した」、又は、「リラックスできた」などであってもよい。
【0099】
本発明の実施例では、当該移動体は、2人以上のユーザーを乗せてもよい。移動体が2人以上のユーザーを乗せた場合、これらのユーザーに対して予め優先度を設定するとともに、これらのユーザーに対してそれぞれの作業状態パラメータを検出するとともに、優先度の重みを基にして作業状態パラメータの数値を特定し、それにより、移動案を特定してもよい。
【0100】
本発明の実施例では、当該移動体の形態は可変なものであり、例えば、当該移動体は、そこに乗せたユーザーが立位と座位の間に切り換えることが可能であるようにさせるものであってもよい。
【0101】
本発明の実施例では、例えば、当該移動体は、時計回り又は反時計回りに回動するとき、ユーザーに対して異なる刺激を与えてもよい。
【0102】
上記実施例から分かるように、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0103】
<実施例2>
本発明の実施例2は、実施例1に記載の移動体制御方法に対応する移動体制御装置を提供し、その具体的な実施について、実施例1に記載の方法の実施を参照されてもよく、同一又は関連する内容に対し、説明を省略されたい。
【0104】
図14は、本発明の実施例2における移動体制御装置の一概略図である。図14に示されるように、移動体制御装置1400は、
ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定する特定手段1401、および、
当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる制御手段1402を備えた。
【0105】
図15は、本発明の実施例2における特定手段の一概略図である。図15に示されるように、特定手段1401は、
ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったか否かを特定する第1の特定手段1501と、
当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があった場合、当該ユーザーの作業状態パラメータの異常状況に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定する第2の特定手段1502と、
特定された当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定する第3の特定手段1503と、を含む。
【0106】
図16は、本発明の実施例2における第1の特定手段の一概略図である。図16に示されるように、第1の特定手段1501は、
収集したユーザー生体情報から、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値を特定する第4の特定手段1601と、
当該ユーザーの作業状態パラメータの数値と当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲とを比較し、当該ユーザーの作業状態パラメータの数値が当該正常範囲内にある場合、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常であることを特定し、当該ユーザーの作業状態パラメータが当該正常範囲外にある場合、当該ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを特定する第5の特定手段1602と、を含む。
【0107】
本発明の実施例では、例えば、当該ユーザー生体情報は、当該ユーザーの表情、動作、姿勢、心拍数、および、呼吸数のうちの少なくとも1つを含み、当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲は、当該ユーザーの属性情報、作業情報、および、第1の環境情報のうちの少なくとも1つによって決められる。
【0108】
本発明の実施例では、例えば、当該ユーザーの属性情報は、当該ユーザーの年齢、性別、身長、体重、生活習慣、着用状況、および、個人的習慣化動作のうちの少なくとも1つを含み、当該ユーザーの作業情報は、当該ユーザーの職業、職務、勤務年数、勤務時間、および、勤務スケジュールのうちの少なくとも1つを含み、当該第1の環境情報は、天気状況、空気質、および、前記移動体の周辺環境状況のうちの少なくとも1つを含む。
【0109】
図17は、本発明の実施例2における第2の特定手段の一概略図である。図17に示されるように、第2の特定手段1502は、
当該ユーザーの作業状態パラメータの数値と当該ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の上限との差、および、前記ユーザーの作業状態パラメータの数値と前記ユーザーの作業状態パラメータの正常範囲の下限との差、をそれぞれ、計算する第1の計算手段1701と、
当該差に基づいて、当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量を特定する第6の特定手段1702と、を含む。
【0110】
図18は、本発明の実施例2における第3の特定手段の一概略図である。図18に示されるように、当該第3の特定手段1503は、
当該移動体の移動案候補の集合と、当該集合における各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量とを特定する第7の特定手段1801と、
当該ユーザーの作業状態パラメータの調整量に応じて、当該集合において前記調整量に対応する移動案候補を特定された移動案として選択する第1の選択手段1802と、を含む。
【0111】
本発明の実施例では、当該集合における各移動案候補及び特定された移動案では、少なくとも1つの動作が含まれ、当該動作は、移動距離、移動方向、回動角度、移動加速度、および、加速度持続期間のうちの少なくとも1つによって定義されてもよい。
【0112】
図19は、本発明の実施例2における第7の特定手段の一概略図である。図19に示されるように、第7の特定手段1801は、
第2の環境情報と当該移動体の状態情報から、当該移動体の全ての移動案候補を特定する第8の特定手段1901と、
各移動案候補に含まれた実行可能な移動動作に対応する作業状態パラメータの調整量に応じて、各移動案候補に対応する作業状態パラメータの調整量を特定する第9の特定手段1902と、を含む。
【0113】
本発明の実施例では、例えば、当該第2の環境情報は、当該移動体の周辺障害物と当該移動体の所在領域の地図情報のうちの少なくとも1つを含み、当該移動体の状態情報は、当該移動体の電力残量、当該移動体の残りの移動可能な距離、当該移動体の運転状態、及び、故障情報のうちの少なくとも1つを含む。
【0114】
本発明の実施例では、例えば、制御手段1402は、当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させた後、特定手段1401は、ユーザーの作業状態パラメータに対する検出の結果に応じて、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元したか否かを特定し、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元しなかった場合、特定手段1401と制御手段1402は、当該ユーザーの作業状態パラメータが正常に復元するまで、当該移動案を再特定して当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させる。
【0115】
本発明の実施例では、例えば、図14に示されるように、装置1400は、さらに、
当該ユーザーを乗せた移動体の移動案を特定した後、特定された当該移動案をユーザーに提示する提示手段1403と、
ユーザーによる選択の結果に応じて、当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させるか否かを特定し、かつ、特定された当該移動案が複数ある場合、当該移動体を制御して実行させる移動案を特定する第10の特定手段1404と、を含んでもよい。
【0116】
本発明の実施例では、例えば、図14に示されるように、装置1400は、さらに、
当該移動体を制御して特定された当該移動案を実行させた後、当該ユーザーからのフィードバック情報を取得する取得手段1405と、
当該フィードバック情報を、当該特定手段1401をトレーニングするために用いる、トレーニング手段1406と、を含んでもよい。
【0117】
本発明の実施例では、提示手段1403、第10の特定手段1404、取得手段1405、および、トレーニング手段1406は、選択可能な部材である。
【0118】
本発明の実施例では、上記各手段の機能の実現について、実施例1における関連工程の内容を参照されてもよい。ここでは説明を省略されたい。
【0119】
上記実施例から分かるように、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0120】
<実施例3>
本発明の実施例3は、実施例2に記載の移動体制御装置を含む移動体を提供し、その具体的な実施について、実施例2及び実施例1に記載の方法の実施を参照されてもよく、同一又は関連する内容に対し、説明を省略されたい。
【0121】
図20は、本発明の実施例3における移動体の一概略図である。図20に示されるように、移動体2000は、
移動体制御装置2001と、
少なくとも1つのユーザーを乗せた乗せ手段2002と、
当該乗せ手段を一緒に移動するように連動させるとともに、当該移動体制御装置によって制御されたことで、特定された移動案を実行する移動手段2003と、を含む。
【0122】
本発明の実施例では、移動体制御装置2001は、実施例2における移動体制御装置1400と同じであってもよい。
【0123】
つまり、実施例1に記載の移動体制御方法の各工程は全部、移動体によって実行されてもよく、移動体制御装置の各手段の機能の実現について、実施例1における関連工程の内容を参照されてもよい。ここでは説明を省略されたい。
【0124】
上記実施例から分かるように、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0125】
<実施例4>
本発明の実施例4は、実施例2に記載の移動体制御装置を含むサーバを提供し、その具体的な実施について、実施例2及び実施例1に記載の方法の実施を参照されてもよく、同一又は関連する内容に対し、説明を省略されたい。
【0126】
つまり、実施例1に記載の移動体制御方法の各工程は全部、サーバによって実行されてもよく、移動体制御装置の各手段の機能の実現について、実施例1における関連工程の内容を参照されてもよい。ここでは説明を省略されたい。
【0127】
上記実施例から分かるように、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0128】
<実施例5>
本発明の実施例5は、少なくとも1つの実施例3に記載の移動体を含むオフィスシステムを提供し、その具体的な実施について、実施例3及び実施例1に記載の方法の実施を参照されてもよく、同一又は関連する内容に対し、説明を省略されたい。
【0129】
つまり、実施例1に記載の移動体制御方法の各工程は全部、サーバによって実行されてもよい。
【0130】
上記実施例から分かるように、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0131】
<実施例6>
本発明の実施例6は、実施例4に記載のサーバ及び少なくとも1つの移動体を含むオフィスシステムを提供し、その具体的な実施について、実施例4及び実施例1に記載の方法の実施を参照されてもよく、同一又は関連する内容に対し、説明を省略されたい。
【0132】
つまり、実施例1に記載の移動体制御方法の各工程は全部、サーバによって実行されてもよい。
【0133】
本発明の実施例では、当該移動体は、少なくとも1つのユーザーを乗せた乗せ手段と、当該乗せ手段を一緒に移動するように連動させるとともに、前記サーバによって制御されたことで、特定された移動案を実行する移動手段と、を含んでもよい。
【0134】
上記実施例から分かるように、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されると、当該ユーザーを刺激するための移動案を特定し、また、当該ユーザーを乗せた移動体を制御して、特定された当該移動案を実行させる。そうすると、移動体による移動を活用する刺激方式はより新規性のあるものであり、且つ、作業状態パラメータの調整量に応じて適切な移動案を特定できるため、適切的かつ有効的な刺激をユーザーに与えることができる。また、ユーザーの作業状態パラメータに異常があったことを検出されたときに、移動案を特定するとともに、当該移動体を移動させるため、刺激を適切なタイミングで与えることが可能となる。それにより、ユーザーの作業状態パラメータを適宜な範囲内に制御することができ、ユーザーの作業効率を復元又は向上させることができ、あるいは、ユーザーによる他の活動の効率を復元または向上させることができる。
【0135】
本発明の実施例における上記装置や方法はハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せによって実現されてもよい。本発明は、以下のようなコンピュータ読み出し可能なプログラムに関するものである。当該プログラムがロジックユニットにより実行された場合、当該ロジックユニットに以上の装置又は構成部材を実現させることができ、或いは、当該ロジックユニットに以上の各種の方法又は工程を実現させることができる。
【0136】
本発明の実施例は上記のプログラムを記憶するための記憶媒介に関し、たとえば、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリ等に関する。
【0137】
以上、具体的な実施の形態を結び付けて、本発明を説明した。しかし、当業者が理解すべきことは、それらの記載はいずれも例示的なものに過ぎず、本発明の保護範囲に対する限定ではない。当業者は本発明の精神と原理に基づいて、本発明に対して種々変形や修正を行うことができるが、それらの変形と修正も本発明の範囲内に入っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0138】
【文献】特開2019-016028号公報
【文献】特開2018-070029号公報
【文献】特許第5741484号公報
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